活动剧情

揺れるまま、でも君は前へ

活动ID:10

第 1 话:もうひとりの先輩

昼休み
宮益坂女子学園
穂波:(今日は、放課後みんなで練習する日だから、 スコア忘れないようにしないと)
穂波:(相変わらず志歩ちゃんの指導は厳しいけど……)
穂波:(やっとバンドらしくなってきたし、 わたしも練習頑張らなくっちゃ!)
咲希:ほーなちゃん!
穂波:きゃっ、咲希ちゃん!? はぁ、びっくりしちゃった
一歌:咲希、急に抱きつくのやめなって。 ケガでもしたら大変でしょ
咲希:だってほなちゃんって、くっつくと柔らかいんだもーん
一歌:それ、全然理由になってないんだけど……
穂波:柔らかい……。 アップルパイ食べすぎちゃったかな……
一歌:あ、そうだ穂波。 今日の練習の最初に、このあいだうまくいかなかったところを 確認したいんだけど、いい?
穂波:うん、もちろんいいよ
咲希:あ、しほちゃんに言われたところだよね! アタシもあそこやりたいな!
一歌:今日こそ、みんなで志歩に褒められたいね
穂波:そうだね、みんなで頑張ろうね
一歌:……あ。そういえば穂波……
一歌:その、最近……クラスの子とはどう?
穂波:あ……
穂波:ありがとう、一歌ちゃん。 心配してくれて
穂波:大丈夫だよ。 ちゃんとみんなと仲良くできてるよ
一歌:そっか。ならよかった
咲希:でも、もしクラスの子と何かあったら言ってね! アタシ達が華麗に解決しちゃうから!
穂波:ふふっ。 ありがとう、ふたりとも
一歌:あ、そろそろ戻らないと。 じゃあね、穂波。また放課後
穂波のクラスメイトA:あ、いたいた! 穂波、今日の放課後あいてる?
穂波:放課後?
穂波のクラスメイトB:みんなでパンケーキ食べに行こうって話してて。 穂波も一緒にどう?
穂波:あ、えっと……
穂波:誘ってくれてありがとう。でも、ごめんね。 今日の放課後は予定があって行けないの
穂波のクラスメイトA:そうなんだー。予定って、何するの?
穂波:バンドの練習だよ
穂波のクラスメイトB:ああ! そういえばそうだったね!
穂波のクラスメイトA:じゃあ、また今度一緒に行こうよ。 練習頑張ってね、穂波!
穂波:うん!
穂波:(……こうやって、クラスのみんなと素直な気持ちで話せるのも、 一歌ちゃん達のおかげだな)
穂波:(本当にありがとう、みんな)
教室のセカイ
志歩:それじゃ、今日も練習始めよっか
一歌:……あれ? ミクとルカがいない?
志歩:本当だ。珍しいね
咲希:どこかに行ってるんじゃない? 前もいなかったことあったけど、 その時は屋上でルカさんに会ったし
穂波:じゃあ、みんなで準備してようか
咲希:そうだね! 今日もがんばるぞーっと!
穂波:ふふ、咲希ちゃんすっごく張りきってるね
一歌:うん。最近絶好調みたい
一歌:それに、もうすぐ合唱祭があるでしょ? それでテンション上がってるんだよ
志歩:合唱祭……。 ああ、そういえばそんなのあったっけ
穂波:たしか、課題曲と自由曲を歌うんだよね
志歩:はぁ……。面倒くさい
咲希:ええー!? 面倒くさくないよ! クラスのみんなと一緒に歌ったら、きっと楽しいもん!
志歩:その分、こっちの練習時間が削られるでしょ
咲希:うっ……それはそうだけど~
穂波:いろんな意見の人がいるよね。 それより……
一歌:……うん。ミクとルカ、なかなか来ないね
穂波:ちょっと心配だね。何かあったのかな?
咲希:んー。じゃあ、みんなで探しに行ってみる?
志歩:そうだね。 他の教室にいるかもしれないし、行ってみよ
咲希:おーい! ミクちゃーん! ルカさーん!
一歌:こっちの教室にもいない……。 本当に、何かあったんじゃ——
穂波:あれ、この音……ドラム?
志歩:一番端の教室からみたい
一歌:ミク達が叩いてるのかも。 行ってみよう!
穂波:ここの教室、だよね?
穂波:あの、ミクちゃん、ルカさん——。 え?
???:みんな、よく来たね。いらっしゃい
MEIKO:……っていうのも変かな。 私のほうがあとから来たんだし
MEIKO:あなた達が、このセカイの想いの持ち主なんでしょ?
一歌:まさか……あなた、もしかして——
MEIKO:うん、メイコだよ。 みんな、これからよろしく
咲希:え……ええ〜〜〜〜!?

第 2 话:バンドの柱

教室のセカイ
一歌:メイコが……どうして!?
穂波:今まではいなかったのに……
ミク:あ、みんなこっちに来てたんだね
ルカ:もしかして私達を探していたの?
咲希:ミクちゃん、ルカさん! どこ行ってたの?
ルカ:心配かけてごめんなさい。 メイコが来てくれたから、ここを案内してたの
ミク:そしたらみんなが来た気配がしたから、せっかくだしこの教室に 連れてきて驚かせようと思ったんだけど……。 行き違っちゃったみたいだね
志歩:メイコさんが来てくれたって……どういうことですか? 今までいなかったのに、急に現れるなんて
ルカ:それは多分、みんなの本当の想いが関係しているの
一歌:本当の想いって、あの、『ずっと一緒にいたい』っていう……?
MEIKO:そうだよ
MEIKO:私達は、あなた達がセカイで想いを見つけるのを 手伝うためにここにいるんだけど—— 今回はちょっと勝手が違うみたいだね
MEIKO:きっと、あなた達が本当の想いを見つけて一歩前に進めたから、 こうして会えたんじゃないかな
MEIKO:まあ、これは私が勝手にそう思ってるだけだけどね
MEIKO:とにかく、これも何かの縁だし。 これからよろしく
穂波:えっと、よ、よろしくお願いします……!
志歩:相変わらず、よくわからない場所……
咲希:んー。つまり……
咲希:これからは、メイコさんとも一緒に練習できるってこと?
MEIKO:そういうこと!
MEIKO:一歌に、咲希に、志歩に……それから穂波だよね。 仲良くしようね
穂波:は、はい……!
一歌:……びっくりしたけど、嬉しいな。 メイコとも話せちゃうなんて
一歌:よろしく、メイコ
ルカ:ねえメイコ、みんなにも会えたことだし、 さっそく一緒に演奏しない?
MEIKO:いいね。ちょうど私も、 何かやりたいなって思ってたんだ
穂波:あの……さっきドラムの音がしてましたけど、 メイコさんはドラムを叩くんですか?
MEIKO:そうだよ、他にもいろいろ弾くけどね。 そういえば、穂波はドラムなんだっけ?
穂波:は、はい! あの、もしよかったら、あとでいろいろ教えてもらえたら……!
MEIKO:もちろん! 私でよかったらいつでも教えるよ
穂波:ありがとうございます!
ミク:じゃあ、さっそくあわせてみる?
一歌:……あ、ミク。 その前に、ちょっとお願いがあるんだけど
ミク:お願い?
一歌:みんなで演奏する前に、ミクとルカとメイコの3人で 弾いてるところを見学させてもらえたら嬉しいなって思って
一歌:その……単に私が見たいっていうだけなんだけど……
志歩:私も気になる。 3人の演奏、聴いてみたい
MEIKO:ふふ、いいよ
ミク:そういうことなら、私達でやろっか
ミク:私がギターで、ルカがベース、メイコがドラムでいい?
ルカ:ええ、大丈夫よ
MEIKO:私もオッケーだよ
MEIKO:じゃ、始めよっか! ワン、ツー、スリー、フォー
一歌:これって、私達の……!
穂波:……すごい! いつも聴いてるミクちゃんとルカさんの音じゃないみたい……!
咲希:それに、アタシ達が弾いてる時より、 すっごくかっこよく聴こえない?
一歌:うん。全然違う。 ミクとルカの演奏も、私達と弾いてる時よりずっと……
志歩:——きっと、メイコさんのドラムがあるからだと思う
咲希:え、どういうこと?
志歩:ドラムは、バンドを支える柱。 バンド全体を支えながら引っ張っていく力がある
志歩:メイコさんのドラムが支えてくれてるから、 ミクとルカさんも、いつもより思いきり弾けてるんだと思う
一歌:そうだったんだ……
穂波:バンドの柱……か
穂波:(かっこいいな、メイコさん。 堂々としてて、力強くて……)
穂波:(わたしもいつか、あんな風に 叩けるようになれるのかな……?)

第 3 话:波乱の合唱祭!?

翌日
宮益坂女子学園 1年B組
女性教師:さて、そろそろ合唱祭に向けて準備をする時期ですね
女性教師:合唱祭では、課題曲と自由曲の2種類を歌うことになります。 なので今日のHRでは、自由曲で何を歌うか決めていきましょう
穂波:(あ、メイコさんのことがあってすっかり忘れちゃってたけど、 今日から合唱祭の準備があるんだった)
穂波:(志歩ちゃんは面倒だなんて言ってたけど、 クラスのみんなと一緒に歌うのは楽しみだな)
えむ:合唱祭……! うう~っ!! 楽しみだな~!!
えむ:体育祭の時みたいに、みんなで笑顔になれたら最高だよねっ☆ 楽しく歌って、金賞もらっちゃお~っ!
女性教師:ほら、鳳さん。張りきるのはいいですけど、 ちゃんと席に座りなさい?
えむ:はわっ! ご、ごめんなさ~い!
穂波:ふふっ、えむちゃんったら
穂波:(……でも、えむちゃんの言うとおりだな)
穂波:(体育祭のおかげでクラスのみんなも仲良くなってきたし、 合唱祭の練習も、いい雰囲気でできるといいな)
女性教師:さて、HRで話しあいをするにあたって、学級委員とは別に、 合唱祭の取りまとめ役を決めたいと思っているんですが……
女性教師:望月さん、もしよかったらお願いできないかしら?
穂波:えっ? わ、わたしですか?
女性教師:ええ。望月さんなら、きっとクラスを うまくまとめられると思うの。どうかしら?
穂波:あ、えっと……
穂波:(できるのかな。わたしに……)
穂波:(バンドの練習もあるし、 クラスのみんなに迷惑かけちゃったら……)
穂波:(……でも)
穂波:わかりました。やってみます
女性教師:ありがとう、じゃあ今日のHR、お願いね
穂波:はい!
穂波:(一歌ちゃん達のおかげで、クラスのみんなと 向きあって話せるようになれたから……)
穂波:(みんなが楽しめる合唱祭にしていけるように、頑張りたいな)
放課後 HR
穂波:それでは、話しあいを始めようと思います。 今日の議題は、自由曲の選曲と、 練習時間のスケジュールについてですが……
穂波:まずは、自由曲を何にするか決めようと思います。 意見のある人はいますか?
えむ:はいはいはーい! あたしは、『明日も笑って』がいーなー!
えむ:明るくって楽しい曲だから、 みーんな笑顔になれると思いますっ♪
クラスメイトA:私も鳳さんに賛成! ちょっと難しい曲だけど、練習しがいがあるしね
クラスメイトA:それにたしか、去年金賞とった先輩達が歌ってたのもそれだよね? せっかくだから頑張って練習して、金賞狙おうよ!
穂波:ありがとうございます。 他に、意見のある人はいますか?
クラスメイトB:……はい。私は、『時の声』がいいです
クラスメイトB:音楽の授業で歌ったことあるから、 そんなに練習しなくてもよさそうだし
えむ:ええ!? あんまり練習したくないのっ?
クラスメイトB:私、塾があるから。 合唱の練習に時間とられたくないの
クラスメイト達:あ……私も部活の大会が近いから、 あんまり練習出られないっていうか……
クラスメイト達:私はバイトが……
クラスメイトB:ほら、みんなそれぞれやることがあるでしょ? だったら簡単な曲のほうがいいなって思って
穂波:な、なるほど……
クラスメイトA:ねえちょっと、こっちはやる気出してんのに、 そういう士気が下がること言わないでほしいんだけど
クラスメイトB:勝手にやる気出して、全員面倒なことに 巻きこもうとしてるほうが迷惑でしょ
クラスメイトA:はぁ? 何それ
えむ:わ、わわわ~! ケンカはやめようよ~!
えむ:みんなで体育祭の時みたいに、仲良くがんばろうよ!
クラスメイトB:体育祭は種目ごとに練習できたけど、 合唱祭だと全員で時間合わせなきゃいけないし 大変さが全然違うでしょ
えむ:そ、それはそうだけど〜〜!
クラスメイト達:うん……あんまり練習に時間とられちゃうのは嫌だなぁ
クラスメイト達:私は、せっかくやるならちゃんとやりたいけど……
穂波:(ど、どうしよう……。 意見が割れて、まとまらなくなってきちゃった)
穂波:(えむちゃんも、頑張って まとめようとしてくれてるけど——)
穂波:(取りまとめ役はわたしだし、 わたしが、なんとかしないと……っ)
穂波:……そうしたら、多数決を取ろうと思います!
穂波:クラス全員の意見で決めれば、問題ないと思うんですが……。 どうですか、皆さん?
クラスメイトA:……うん。まあ、それならいいけど
クラスメイトB:まあ、そうするしかないしね
穂波:(よかった。これでまとまりそう……)
穂波:それでは、決を採りますね。 じゃあ、まず——
穂波:14、15、16……
穂波:16ってことは……同じ数?
クラスメイトA:え? うちのクラスって33人じゃなかったっけ?
えむ:あ! そっか、穂波ちゃん!
穂波:……えっと……
クラスメイトA:あ、そっか。 望月さんは挙げてないから……
クラスメイトB:ああもう面倒くさい……。 ねえ、望月さん
穂波:え? は、はい
クラスメイトB:まとめ役は望月さんなんだし、 望月さんが決めてくれない?
穂波:えっ、わたしが!?
クラスメイトA:んーまぁ、最後のひとりは望月さんだしね。 どっち歌うか望月さんが決めてよ
穂波:わ、わたしは……その……!
えむ:あっ、チャイム鳴っちゃった~
穂波:……す、すみません、この話しあいは、 また来週のHRに持ち越させてください
クラスメイト達:はあ……こんなのすぐ決まると思ったのに
クラスメイト達:どっちでもいいから決めちゃってほしいよね
穂波:(どうしよう……)
穂波:(難しい曲にしたら、他に予定がある子達が困るし、 簡単な曲にしたら、やる気のある子達ががっかりするし……)
穂波:どうしたらいいんだろう……

第 4 话:揺れる心

宮益坂女子学園 1年B組
穂波:……はぁ
穂波:(来週のHRまでに、どうするか決めないと。 でも、どうすれば……)
えむ:穂波ちゃん、大丈夫?
穂波:あ、えむちゃん。 わたしは大丈夫、なんだけど……
穂波:……えむちゃんは、合唱祭を思いっきりやりたいんだよね?
えむ:うん!! みんなで練習して、聴いてくれる人も、 たっくさん笑顔にしたい!!
えむ:でも……みんな忙しいなら、 簡単な曲のほうがいいのかなぁ
えむ:合唱祭がんばりたいけど、そのせいで クラスのみんなの仲が悪くなっちゃったらイヤだなって思うの
穂波:うん、そうだね……。 わたしもそう思う
穂波:(責任重大だな……。 でも、取りまとめ役を引き受けたんだし、 みんなのためにも頑張らないと——)
えむ:……でも、あたし、穂波ちゃんが苦しそうなのもイヤなの
穂波:えっ?
えむ:あたし、穂波ちゃんの笑った顔、 すっごくすっごくすっごーく好きなんだ!
えむ:だから、今日の話しあいの時みたいに、 苦しい顔してほしくないの……
穂波:えむちゃん……
えむ:だから、手伝えることがあったら言ってね! あたし、なんでもやるよっ!
穂波:……ふふ。ありがとう、えむちゃん。 その時はお願いするね
一歌:そっか……合唱祭の話しあい、揉めちゃったんだ
穂波:……うん
志歩:意見がまっぷたつに割れた……ね
咲希:でもそれって、どうすればいいんだろう? すっごく難しくない?
穂波:うん。一生懸命やりたいっていう人の気持ちも、 他のことに時間を使いたいっていう人の気持ちも、 どっちもわかるから……
咲希:あ。じゃあ、あいだをとって、 カンタンだけど、ちょっぴり難しい曲にするとか、どう!?
一歌:えっと……それって結局簡単なの? 難しいの?
咲希:え? ん~、どっちだろ?
志歩:っていうかそれ、結局どっちも不満に思いそうだけど
咲希:えー! そうかな~?
一歌:それにしても、意見が割れたからって、 穂波に決めてって言うなんて……
一歌:そんなこと言われても、 みんなの意見を聞いたら悩んじゃうよね……
穂波:うん……
志歩:…………
咲希:むむっ! ほなちゃん、顔がどよーんってしちゃってる!
咲希:暗い顔してると、いいアイディアも出てこなくなっちゃうよ! そうだ、今日アップルパイ食べに行こっか!?
穂波:……ふふ。ありがとう、咲希ちゃん
穂波:でも今は大丈夫だよ。 お腹いっぱいだから……
咲希:ほなちゃん……
志歩:……あのさ、穂波
志歩:穂波が悩んでるのって、怖いからじゃない?
穂波:え?
志歩:どっちかを選ばないことで、 そっちの意見の人に嫌われるのが怖いんじゃない?
穂波:それ、は……
咲希:ちょ、ちょっとしほちゃん!
志歩:私は、何かを決めるっていうのは、 何かを切り捨てることだって思ってる
志歩:だから、どうしたって恨まれることはある。 それが普通
志歩:……だから、穂波がいいって思うほうにしたらいいよ
穂波:……うん
志歩:そろそろ行こう、練習
穂波:うん、そうだね……。 みんな聞いてくれてありがとう
教室のセカイ
咲希:はぁ……。今日もいっぱい練習したね……
ミク:お疲れ、みんな。 今日はもう遅いし、そろそろ終わろうか
一歌:うん。それじゃ、そろそろ帰る支度しよう
穂波:あ……ごめん。 わたし、もう少し練習していこうと思うの
穂波:今日は、あんまりうまく叩けなかったし……
ルカ:穂波、大丈夫?
穂波:はい。大丈夫です。 集中したいから、隣の教室借りますね
志歩:穂波……
志歩:…………。 じゃあね、また明日
MEIKO:…………
穂波:……はぁ
穂波:ダメ……。今日は全然集中できない……
???:コンコンっと。 ちょっとお邪魔するよ?
穂波:あ、メイコさん……
MEIKO:今日は前の時と比べてキレがなかったね。 何か考えごとでもしてたの?
穂波:えっ。あ、その……すみません
穂波:せっかく練習を見てもらってるのに、 他のこと考えちゃってて……
MEIKO:あはは、謝らなくてもいいって
MEIKO:ただ、結構悩んでるみたいだったから 気になっただけ
穂波:悩んでる……。 そう、ですね
穂波:……わたし、いつもこうなんです
穂波:いつも、嫌われるのが怖くて悩んでばっかりで……。 何も進歩がなくて……
穂波:だから志歩ちゃんにも呆れられて……
MEIKO:……うーん。 まあ、練習には集中できたほうがいいけど……
MEIKO:でも、何かに悩むのは そんなに悪いことじゃないと思うよ
穂波:え?
MEIKO:それはつまり、何かを今より良くしたいって 思ってるってことでしょ?
MEIKO:前に進もうと頑張ってるのは、 すごくいいことじゃないかな
穂波:メイコさん……
MEIKO:私でよかったら話聞くよ? ここに来るのは遅れたけど、 私だって穂波達の先輩みたいなものだし
穂波:…………っ
穂波:ありがとうございます、メイコさん……

第 5 话:優しさと勇気と

教室のセカイ
MEIKO:なるほど。 クラスの揉め事で悩んでたんだ
穂波:はい
穂波:でも、どうすればいいのかわからなくて。 みんなにも相談に乗ってもらったんですけど……
MEIKO:ふふ。本当に仲がいいんだね、あなた達
穂波:……はい。 それに、みんなすごくよくしてくれるんです
穂波:一歌ちゃんは一緒に悩んでくれて、 咲希ちゃんは落ちこんでるわたしを 元気づけようとしてくれて……
穂波:志歩ちゃんには……厳しいことも言われちゃったんですけど
MEIKO:あ、そうなの?
穂波:はい。わたしが今こうやって悩んでるのは、 結局人から嫌われるのが怖いからだって
MEIKO:嫌われるのが怖い、か……。 どうしてそう思ったの?
穂波:……わたし、中学の時、クラスのみんなの相談や愚痴を 聞いていたことがあるんです
穂波:最初は、ちょっとでも不満を吐き出してもらえれば スッキリするかなって思ったんですけど
穂波:でもそれが原因で『誰の味方なの?』『誰にでもいい顔する』 って言われて、無視されるようになったんです
MEIKO:…………
穂波:それから、高校にあがって無視されることがなくなっても、 嫌われるのが怖くて、何もできなくなって……
穂波:一歌ちゃん達のおかげで、 また、前を向けるようになったって思ったんですけど
穂波:みんなのために、って思ってやったことも 結局誰のためにもならなくて……
穂波:……だから志歩ちゃんは正しいんです。 わたしがあの頃から、何も変わってないから……
MEIKO:…………
MEIKO:本当にそうなのかな
穂波:え……?
MEIKO:穂波は、クラスのみんなのために、 今の自分に何ができるか、一生懸命探してる
MEIKO:変わろうと頑張ってる。そうでしょ?
穂波:だけど、このままじゃ何も……
MEIKO:そうだね。 私は、そのままの優しい穂波も素敵だと思ってるけど
MEIKO:でも、もっと優しくなるためには、 勇気が必要な時も、きっとやってくる
穂波:勇気……
MEIKO:穂波は、優しいってどういうことだと思う?
穂波:え?
穂波:優しい……ですか。 それは……
一歌:そんなこと言われても、 みんなの意見を聞いたら悩んじゃうよね……
咲希:暗い顔してると、いいアイディアも出てこなくなっちゃうよ! そうだ、今日アップルパイ食べに行こっか!?
穂波:誰かの気持ちに寄り添ったり……、 落ちこんでいる人を笑わせたり……
穂波:それから——
志歩:穂波が悩んでるのって、怖いからじゃない?
志歩:……だから、穂波がいいって思うほうにしたらいいよ
穂波:あ……
穂波:相手のために、厳しいことを言ったり……
MEIKO:うん、そうだね
MEIKO:優しさには、いろんな形があると思うんだ
MEIKO:悩んでる人に寄り添ったり、笑わせたり、 あえて突き放したり——
MEIKO:その人のことを思ってやっているなら、 それはどんな形であれ、優しさだと思う
MEIKO:もちろん、それを受け止める側が どう捉えるかってことも大事だけどね
穂波:優しさの、形……
MEIKO:穂波は、クラスのみんなにどんな形の優しさをあげたい?
穂波:わたしは……
穂波:今、わたしがみんなのためにできる、 一番の形は……
穂波:…………
MEIKO:ふふ、いい表情だね
穂波:ありがとうございます、メイコさん
穂波:わたし、どこかで、 誰かの意思を尊重できたら それでいいって思ってました
穂波:できるだけ希望に応えて、満足してもらえたらそれでいい。 それが優しさだって思いこんじゃってて——
穂波:でも……それじゃ、 やっぱり昔と何も変わらないんですよね
穂波:だからもう一度考えてみます
穂波:わたしの思う、一番優しい形を
MEIKO:うん、頑張って。 穂波なら、きっとできるよ
MEIKO:じゃ、ここからは気持ちを切り替えて、 ドラムの練習をしようか!
穂波:はい、よろしくお願いします!
翌日 早朝
宮益坂女子学園 中庭
穂波:今のわたしがみんなのためにできる、 一番の優しさ……
穂波:これでいいのかは、まだわからないけど……
穂波:それでも今は——進みたい!

第 6 话:わたしにできること

宮益坂女子学園 1年B組
えむ:おっはよ~! 今日もお天気わんだほ~い!
穂波:おはよう、えむちゃん!
えむ:わ、穂波ちゃんが元気になってる!
穂波:うん。今わたしがどうすればいいのか、 ちょっとわかったの
穂波:実際に解決できるかどうかは まだわからないんだけど……
穂波:でも、クラスのみんなが合唱祭を楽しめるように、 わたしなりに頑張ろうと思うの
えむ:そっか……!
えむ:ねえねえ、それってあたしも何か お手伝いできないかなっ?
穂波:え? えむちゃんが?
えむ:うんっ! だってあたしも、みんなが笑顔になってくれるのが 一番嬉しいもん☆
穂波:ふふっ、ありがとう。 えむちゃんが手伝ってくれるなら、すごく心強いな
穂波:じゃあ……これをお願いしようかな。 みんなにアンケートを取りたいの
えむ:まかせて! がんばるぞーっ☆
放課後
穂波:(……うん、えむちゃんが手伝ってくれたおかげで アンケートもまとまったし……)
穂波:(あとは、自由曲をどっちにするか決めるだけ)
穂波:…………
MEIKO:でも、もっと優しくなるためには、 勇気が必要な時も、きっとやってくる
MEIKO:穂波は、優しいってどういうことだと思う?
穂波:わたしは——
教室のセカイ
穂波:……っ、ふう……
咲希:ほなちゃん、すごーい!
穂波:えっ?
一歌:なんだか、いつもよりいい感じだったね。 すごく気持ちよく歌えた気がする
穂波:そ、そうかな?
志歩:うん。……それに、少し似てた気がする
志歩:メイコさんのドラムを聴いた時の感覚に
穂波:あ……
志歩:ドラムは、バンドを支える柱。 バンド全体を支えながら引っ張っていく力がある
志歩:メイコさんのドラムが支えてくれてるから、 ミクとルカさんも、いつもより思いきり弾けてるんだと思う
一歌:それ、ドラムがバンドの柱になるって話だったよね
咲希:そっか! ほなちゃんが支えてくれてたから アタシ達も思いっきり弾けたんだね!
志歩:まだリズムは甘いし、 メイコさんのドラムには敵わないけどね
志歩:……でも、前よりずっと良くなった
穂波:ありがとう、志歩ちゃん
穂波:このあいだ、みんなに相談乗ってもらったから 気持ちが楽になって、うまく叩けたのかも
一歌:……合唱祭、うまくいきそう?
穂波:まだ、どうなるかわからないけど、 準備はちゃんとできたよ
穂波:あとは、自由曲を決めるだけ
志歩:……大丈夫なの?
穂波:正直……ちょっと怖いよ
穂波:でも、わたしが決めなきゃいけないことだから。 だから——頑張るよ
志歩:……そう
咲希:でもでも! アタシ達もいるからね、ほなちゃん!
一歌:うん
一歌:何があっても、穂波がみんなのために頑張ってること、 私達は見てるよ
穂波:……うん! ありがとう!
MEIKO:あの調子なら大丈夫そうだね
ミク:そうだね。 …………
MEIKO:あれ、ミク。なんか拗ねてる?
ミク:べ、別に……拗ねてなんてないよ
ルカ:メイコが、先にいいアドバイスをしてたからじゃないかしら
ルカ:ミクも昨日、穂波になんて言おうって、 うんうん考えてたから
ミク:そ、そうだけど、別に拗ねてないってば! 穂波が元気になってくれれば私も嬉しいし
ミク:ただちょっと、私も先輩として、 力になりたかったっていうか……
MEIKO:あはは。ミクってば、すっかりいい先輩じゃん
MEIKO:本当に、ここにいるのは優しい子ばっかりだね

第 7 话:一歩前へ

翌日
宮益坂女子学園 1年B組
穂波:それでは、合唱祭の話しあいを始めます
クラスメイトA:話しあいって言っても、やる気のない人達と話しても 平行線だと思うんだけど
クラスメイトB:じゃあもう1回多数決取る?  いい加減面倒くさくなってきた人も増えてきたんじゃない
クラスメイト達:もうどっちでもいいのにね……
えむ:うええ、どうしよう……!
穂波:——皆さん、静かにして下さい
クラスメイトA:え?
クラスメイトB:えっと……?
えむ:穂波ちゃん?
穂波:話しあいの前に、ひとつ、わたしの意見を言わせて下さい
穂波:わたしは……
穂波:…………っ
穂波:(どうしよう、声が震えそう……)
穂波:(やっぱり、怖い……。 これでみんなに嫌われたらって思ったら……)
穂波:(でも……)
穂波:(これが、今、わたしがみんなにできる 一番のことだって——信じてるから)
穂波:……わたしは
穂波:みんなが納得いく形で合唱祭に参加したいと思っています
穂波:ですが、全員が納得できる形にするのは、 とても大変なことだとも思っています
穂波:みんな、考えかたも、大切にしていることも、 それぞれ違いますから
穂波:話しあえば話しあうほど、 ぶつかることも増えます。 不満も出ると思います
穂波:でも……
穂波:それでも、わたしはクラスのみんなで納得できるように もっと真剣に話しあいたいです
穂波:自分とは違う意見にも耳を傾けて、 どうすればその人も納得できるのか、 もっと考えていきたいんです
穂波:わたしはそのために、全力をつくします。 だからどうか——わたしに協力してください
穂波:お願いします!
クラスメイトA:…………
クラスメイトB:…………
穂波:(どうか……伝わって……!)
クラスメイトB:……そこまで言うなら、 譲歩くらいはするけど
穂波:……!
えむ:あたしも穂波ちゃんに賛成ーっ!!
えむ:だって、み~んなで笑顔になりたいもんっ♪ どうすればみんなが楽しく歌えるのか、いっぱい話しあおっ!
クラスメイトA:……まぁ、そうだね。 みんなで楽しくやりたいってのは、私も同じだし
クラスメイト達:曲が決まっても、クラスの雰囲気が悪くなったら嫌だしねー
クラスメイト達:ちょっと面倒だけど、スッキリするほうがいいな!
穂波:みんな……
えむ:じゃあ、どの曲にするか、 またみんなで考えようっ!
クラスメイトA:でも、やっぱり難しい曲にすると、 練習時間はどうしても増えるんだよね……
穂波:それについては、音楽の先生に聞いてみました
穂波:わたし達のクラスは歌のうまい子が多いから、 その子達がパートリーダーになれば、 効率的に練習ができるんじゃないかって
クラスメイトA:あ、そっか。練習の仕方でちょっとは時間が 短くできるんだ
クラスメイト達:その日練習したものを録って、 みんなで聴けるようにしてもいいかもね
クラスメイト達:でも忙しい人はそもそも練習できる日が少ないんじゃ……?
穂波:練習時間なら、大丈夫だと思います
穂波:鳳さんに協力してもらって、みんなの 放課後の空き時間を調べさせてもらったんですが、 うまくスケジュールが組めそうでした!
えむ:えっへん!
クラスメイト達:あ、あのアンケートなんだろうって思ってたけど、 そういうことだったんだ!
クラスメイト達:うーん……。 でもちゃんと集まれるかな……
穂波:きっと毎日はつらいだろうから 週に何回って、練習の回数を決めてやるのもいいですね
クラスメイトB:……うん。 それくらいなら、やってもいいかな
えむ:すごいすごーい! 穂波ちゃん、頭いいね〜!!
穂波:そんなことないよ。 これは、わたしだけじゃ考えられなかったし
穂波:(みんなが、いろいろ相談に乗ってくれたから)
穂波:……じゃあ、曲は少し難しいですが『明日も笑って』で。 練習日は調整させて下さい。それでいいですか?
えむ:あたしはさんせーい!
クラスメイトA:私も
クラスメイトB:うん
クラスメイトA:その……やる気ないとか言ってごめん。 塾とかも大変なのに
クラスメイトB:……ううん。こっちこそ水差してごめん。 ちょっと成績下がってて、イライラしちゃってたんだ
えむ:えへへっ♪ よかったね、穂波ちゃん!
穂波:……うん!
穂波:みんな、大変だろうけど、一緒にがんばろうね!

第 8 话:光を胸に

数週間後
教室のセカイ
咲希:このあいだの合唱祭、すっごく楽しかったねー!
穂波:うん! すごく盛り上がったし、わたしも楽しかったな
MEIKO:ふふ、私も、みんなの歌を聴きたかった
ミク:それで、結果はどうだったの?
一歌:あ、うちのクラスは銅賞だったよ
咲希:惜しかったよねー! 結構、練習がんばったんだけどなー
ルカ:ふふ、そういうイベントは、参加して楽しかったって 思えることが大事なんじゃないかしら
MEIKO:そうだね。結果はどうであれ、 いい思い出になるのが一番大事だし
咲希:ですよね! アタシもすっごく楽しかったから、それでオッケーかなって!
志歩:私は……ああいうのは苦手
咲希:でも、しほちゃんも、がんばって歌ってたよね! えら〜い!
志歩:別に……。足引っ張るのがイヤだっただけ
一歌:どのクラスもすごくいい歌だったよね
志歩:……ま、穂波のクラスが抜群にうまかったけどね
咲希:そうそう! 3年生をおさえての金賞だもんね! 発表された時、体育館がどよどよーってしてすごかったな〜
一歌:先生達もすごく褒めてたね
穂波:えへへ……そう言ってもらえると嬉しいな。 みんな、一生懸命練習したから
穂波:でも……。クラスで頑張って金賞をとれたのは、 一歌ちゃん達のおかげでもあるんだよ
一歌:え?
穂波:みんなが相談に乗ってくれたから、 勇気を出して、クラスの子達の前で意見を言えたの
穂波:……本当に、ありがとう、みんな
ミク:よかったね、穂波
穂波:うん!
志歩:じゃあ、そろそろ練習始めよっか
咲希:そうだね!
一歌:志歩、この前アドバイスもらったところ、家で練習してきたんだ。 音合わせる前に見てくれないかな?
志歩:ん、いいよ
ミク:じゃあ、私達も楽器取ってこよっか
ルカ:ええ、そうね
穂波:……あの、メイコさん
MEIKO:どうしたの、穂波?
穂波:ありがとうございました
穂波:メイコさんのおかげで、勇気を出して一歩進めました。 だから、何かお礼ができたらって思って——
MEIKO:ふふ、私は何もしてないよ
MEIKO:穂波は、自分で答えを見つけて、 自分で前に進んだんだよ
穂波:でもわたし、あの時メイコさんに背中を押してもらえたから……
MEIKO:うーん、そうだね……
MEIKO:じゃあ、また今度、一緒にドラムの練習をしない?
穂波:え、練習ですか?
MEIKO:そう。ドラムの練習を誰かとすることって なかなかないから。どうかな?
穂波:はい……! もちろんです!
MEIKO:ありがと、楽しみだよ
咲希:メイコさーん、ほなちゃーん! そろそろ音合わせるよー!
MEIKO:はーい、今行くー!
MEIKO:それじゃ、行こうか、穂波!
穂波:はいっ!!
数日後
ライブハウス
志歩:店長、おはようございます。 今日もよろしくお願いします
ライブハウス店長:ああ、それじゃあセッティングよろしくね。 あとはフライヤーの準備も
志歩:はい
志歩:今日はずいぶんお客さんが多いな。 出演するバンドは……
志歩:(へえ、『STANDOUT』か。 元々実力派だけど、最近特にファンが増えてきてるな)
観客A:ねえ、知ってる? STANDOUT、今度メジャーデビューするんだって
観客B:え、そうなの!? でも納得だな。最近すごいもんね……!
観客A:でも、デビューする前に メンバー入れ替えるらしいよ
観客B:あー。ベースの子かな。 最近やる気なさそうだったしね
志歩:…………
志歩:(メジャーデビューか……。 私も、いつかは——)
???:——ねえ、あなた、ここのスタッフの日野森さんだよね。 よく代理でベース弾いてる
志歩:え?
イオリ:私、STANDOUTのボーカルやってるイオリっていうんだ。 突然だけど……私、あなたのベースが好きなんだよね
イオリ:ねえ、私達と一緒に、バンドやらない?
志歩:——!