活动剧情

On Your Feet

活动ID:103

第 1 话:今はできることから

宮益坂女子学園 1年A組
先生:はい、よくできました。 それでは次のページを——
杏:…………決めた
杏:私もう————迷わない
杏:RAD WEEKENDを絶対に超えて—— その先に、父さん達の夢の先に行ってみせる!!
こはね:(あの時の熱さが……今も、ここに残ってる)
こはね:(……私も、凪さん達の夢の先に行きたい。 杏ちゃんと——みんなと一緒に)
こはね:…………っ
大河:これが、お前達が超えようとしてる壁だ。 俺は、教えた
こはね:(……大河さんの歌、本当にすごかった)
こはね:(怖くなって……声も出せないくらい……)
こはね:(RAD WEEKENDを超えるのに必要なのは、実力だけじゃない。 でも、あの歌に負けないくらい歌えるようにならないと—— 何も始まらない気がする)
こはね:(どれだけ高い壁なんだろう……。 わからないくらい、すごく高くて…………)
こはね:(でもだからって、止まってなんていられない)
こはね:(みんなと、決めたんだから……!)
杏:やろうみんな。 ここからが、本当のスタートだよ
杏:もっと力つけて、 新も、洸太郎も、EVERも、もう一度集めて……!
杏:RAD WEEKENDを——超えよう!!
彰人・こはね・冬弥:『おう!』 『うん!』 『ああ!』
杏:——それじゃあ、まずは今後のこと考えなくちゃね
冬弥:ああ。そうだな、まずは——
冬弥:RAD WEEKENDを超えるようなイベントをやるために、 俺達がこれから何をすべきか——
冬弥:——いや、何ができるのか。 それを考える必要があるだろう
彰人:ああ……そうだな
彰人:実力だけじゃなく、仲間やオーディエンスとの一体感が必要なのは わかってたつもりだった。 だが……
こはね:人生最期の、イベント——
冬弥:それも、凪さんという、 街に深く愛されていた人物の……
彰人:……どうしたら超えられるかは、まだわからねえ
彰人:だが……どうしてあれだけのイベントになったのかは、 痛いほどわかった
彰人:あの夜があったから、今のオレ達はここにいるってこともな。 それだけは、あの日から少しも変わってねえ
杏:……そうだね
杏:——まずは、やれることをひとつずつやっていこう
杏:今の私達には、実力も、 一緒にイベントをやる仲間も足りない
杏:冬弥が言ってくれてる『何ができるか』も考えながら—— その2つにも、向き合わなきゃいけないと思うんだ
冬弥:……そうだな。立ち止まってしまうよりは、 歩きながら考えていったほうがいい
冬弥:ではまず——
冬弥:離れていってしまった、 遠野さんや三田、EVERの皆さんのこと、か
杏:……この方法で呼び戻せるかはわからないけど……
杏:みんなに会って、凪さん達のことや、 私達のことをちゃんと話す必要があると思う
彰人:……そうだな
彰人:RAD WEEKENDの裏にあった想いを知れば あいつらも、もう一度立ち上がってくれるかもしれねえ
彰人:少なくとも、可能性はゼロじゃないはずだ
こはね:……うん! 私もそう思う。 それに——
こはね:みんながいてくれたから—— 一緒に競いあってきたから、ここまで来れたんだって思うから
冬弥:……俺も、みんなとはもう一度話しあうべきだと思う
冬弥:だが……果たして、そう簡単にいくだろうか
こはね:え?
冬弥:水を差すようですまないが…… 一度折れた心は、そう容易くは戻らない
冬弥:経緯は違うが、俺にも挫折しかけた経験がある。 だからあの時の——
冬弥:——何もかも諦めてしまった時の気持ちは、 少し、わかるんだ……
杏:冬弥……
彰人:…………一度敵わねえ、届かねえと思っちまったら、 そう簡単に気持ちは立て直せねえ
彰人:……それは、オレもわかる
彰人:あんなヤベえ歌を聴いたら、なおさらな……
こはね:(……たしかに、大河さんの歌は……怖いくらいで……)
こはね:(あんな歌に敵うわけないって…… それにもしも敵ったとしても、 RAD WEEKENDはさらにその先なんだって思うと……)
こはね:(どうしようもないって、 そう思っちゃうのは、すごくわかる)
こはね:(でも……)
こはね:……っ
こはね:(…………悔しいな……)
こはね:(あの時、もっと歌えてたら……。 もっと……みんなのこと、引き止められてたら……)
こはね:(……ううん。 終わっちゃったことばかり考えてても仕方ない)
こはね:(これからどうしていくかを、考えないと——)
杏:……冬弥達の言うとおり、たしかに難しいと思う。 話したら絶対戻ってきてもらえるなんてことも……ないと思う
杏:……それでも、 せめて凪さんのことだけでも、みんなに伝えたい
杏:——ううん。一緒にやってきた仲間として、 みんなには知ってもらうべきだって思うんだ
冬弥:……ああ。たしかに、そうだな
冬弥:それに、僅かだとしても戻ってきてくれる可能性はある
彰人:なら、あいつらにはオレから連絡しとく。 どこかで会って話せねえかってな
杏:わかった。 よろしくね、彰人
杏:——あとは実力の差、か
冬弥:…………正直、これについてもすぐに答えは見つからないと思う
彰人:……だな。 少なくとも、今ここでパッと思いつくようなことじゃ、 大した結果は出せそうにねえ
杏:……そんなことなら、もうとっくにやってるだろうしね
冬弥:ああ……
冬弥:……方法が見つからない以上、 実力のつけかたについても、 普段の練習を重ねながら考えていくことにしよう
冬弥:そうなるとまずは——
冬弥:各々、今以上に時間を確保するところから 始めるのはどうだろうか?
冬弥:練習時間を増やすためにも、 今後どうやっていくか考える時間を作るためにも、有効なはずだ
こはね:……うん。そうだね!
こはね:(……私も、やるんだ)
こはね:(もっと、歌に使える時間を増やしていこう——!)
数時間後
ストリートのセカイ
杏:あ、こはね! こっちこっち!
こはね:——みんな、おまたせ!
こはね:ごめんね。 先生に委員会のことを相談してたら、遅れちゃって……
杏:全然気にしなくていいって! それより、委員会の相談って……
こはね:えっと、実は…… 委員会のお仕事をお昼にずらしてもらったら、 練習時間を少しでも作れないかな?って思って
冬弥:……そうか。 みんな、考えることは同じだな
こはね:え?
冬弥:ちょうど今日、俺と白石も、 似たようなことを相談してきたんだ
杏:私の風紀委員も冬弥の図書委員も、 頼んだら結構すぐにオッケーしてくれたんだ
こはね:そうだったんだ……! よかったね!
彰人:オレは、バイトを辞めさせてもらった
こはね:え!? えっと……アルバイトって、そんなにすぐに辞められるものなの?
彰人:いや、最低でも2週間前には伝えなきゃならねえが……。 うちの店長は、オレ達の活動をずっと応援してくれてたからな。 ……大河さんに負けたことも、噂で知ってるみてえだった
彰人:で、しばらく歌だけに専念したいって伝えたら、 『今から頑張ってこい!』って、送り出してくれたってわけだ
こはね:……そうだったんだ。 素敵な店長さんだね
杏:あ、バイトっていえば——
杏:私、お店の手伝い、しばらくやらないことにしたの
こはね:それって……お店のほうは大丈夫なの?
杏:うん。 父さんも『こっちは気にするな』って言ってくれたしね
杏:……正直、ちょっとほっとしちゃった
杏:今、父さんとか、街のみんなの顔見ると、 どうしてもいろいろ考えちゃうから……
こはね:あ……
杏:あ……なんかごめん! 別に、ギクシャクしてるってわけじゃないよ
杏:——父さんとも、あのあとちゃんと、話したしさ
杏:(さてと、 そろそろ寝る準備しよっかな)
杏の父:——杏
杏:…………何?
杏の父:——もう一度言わせてくれ
杏の父:凪が死んだことを黙っていて、 本当に……悪かった
杏:…………本当だよ
杏:父さん……いつもと変わらない顔で、 いつか凪さんが、帰って来るって……言ってさ……
杏:凪さんの最期のお願いだから、 父さんや街のみんなからしたら仕方ないかもしれないけど……っ
杏の父:オレは結局……すべて捨てきれなかった
杏:…………
杏の父:お前の言うとおり オレは仲間として、ガキの頃から一緒だった凪の最期の願いを 叶えてやりたいと思った
杏の父:ひとりのアーティストとして、 凪が言う、『次の世代』の切り拓く道を、 見てみたいとも思った
杏の父:そして…… お前には信じてもらえないかもしれないが——
杏の父:……父親として、お前の夢を曇らせたくないと思ったんだ
杏:……!
杏の父:その結果……お前を傷つけたことには変わりはない
杏の父:……本当に悪かった。杏
杏:…………
杏:…………謝ったって、許さないから
杏の父:…………
杏:……でも
杏:もしあの時凪さんが死んじゃったって聞いてたら、 私は——
杏:……まっすぐ、歌えなくなってたかもしれない
杏:そしたら…… こはねにも、彰人にも冬弥にも出会ってなかったかもしれない
杏:だから、父さん達がしたことは許せないけど
杏:私は、この道を歩いてこれたこと……後悔してないよ
杏の父:……杏
杏の父:…………すまない
杏の父:……ありがとう
こはね:そんな話してたんだ……
こはね:(……よかった。 杏ちゃんが、杏ちゃんのお父さんと、ちゃんと話し合えて)
彰人:——ま、とにかくだ。 せっかく歌に使える時間が増えたんだ
彰人:無駄にしねえように、 今後の時間の使いかたも考えていこう
こはね:うん! あ……そういえば東雲くん——
彰人:ん? どうした?
こはね:遠野さん達には、このあいだ連絡してくれてたよね。 あのあとどうだったんだろう?って思って……
彰人:……ああ。 連絡はしたが……岡崎さんからしか返事は来てねえ
彰人:ただ岡崎さんも、 『冷静になりたいからしばらく時間をくれ』って……
こはね:そっか……
杏:……ま、新達のことは地道にやってくしかないよね。 今は、練習に集中しよう!
杏:少し声出ししてから、 今日もメイコさんのところでいいよね?
冬弥:ああ。最近、特にお世話になっていて申し訳ないが…… またメイコさん達に、カフェのスペースを貸してもらおう

第 2 话:今日も練習!

1時間後
crase cafe
KAITO:じゃ、始めていこっか!
こはね:はい! 今日もお願いします!
こはね:♪————! ————!!
KAITO:うん! 出だしばっちり! その調子だよ!
KAITO:(今日も、気合い入ってるね)
KAITO:(——自分の声がどう響くのか、 しっかりイメージしながら歌えてるみたいだ)
こはね:(みんなと、決めたんだ。 みんなで頑張ろう、ここからがスタートだ!って)
こはね:(それなら……)
こはね:(サードイベントや、大河さんと戦った時の—— あの時の感覚で……!)
こはね:♪————!!
ルカ:おお~っ、いいね。 こはねちゃんの歌声、ノッてきた感じがする!
ルカ:それじゃこっちも頑張ろっか、彰人くん?
彰人:——はい。 よろしくお願いします
ルカ:オッケー! いくよ!
冬弥:……力強い歌だ。 こちらも負けていられないな
MEIKO:ふふ、そうね。私達も始めましょうか
MEIKO:リン、レン! 今日も手伝ってもらえるかしら
リン:もちろん!
MEIKO:今から、ふたりの歌をよく聴いて、 力の入れかたや抜きかたを考えながら歌ってみて
冬弥:はい! やってみます。 ではふたりとも、よろしく頼む
レン:よーっし、がんばろうな! せーの!
リン・レン:『♪————!』
冬弥:♪————!
杏・ミク:『♪————! ————!!』
杏:……っ、やっぱ……ミクの歌に押されちゃうな
杏:……でも、まだまだ! ミク、もう1回お願い!
ミク:ふふ、そう来なくちゃ。 いくらでもつきあうよ
こはね:(……すごく気合い入ってるな、みんな)
こはね:(考えても仕方ない。 今はとにかく集中しよう。私も……もっと……!)
数時間後
こはね・杏:『はぁ、はぁ……はぁ……』
彰人・冬弥:『はぁ……はぁ……』
ミク:お疲れさま。 さすがに、歌に疲れが見えてきたね
KAITO:うん。そろそろ練習はおひらきにしようか。 遅い時間になってきたし、ご家族を心配させちゃうだろうから
彰人:……そうっすね
杏:……もう、こんな時間だったんだ。 急いで帰らないと!
こはね:う、うん……
こはね:(でも……)
こはね:……練習、し足りないな……
ミク:こはね、無理は禁物だよ。 何事もやりすぎはよくないからね
KAITO:そうそう。体を休めることも練習のうちだよ
こはね:……はい。わかりました
冬弥:では、メイコさん。今日もお店を貸していただいて、 ありがとうございました
MEIKO:いいのよ。気にしないで
彰人:また明日も、よろしくお願いします
冬弥:……ん?
杏:——あれ、冬弥? どうしたの?
冬弥:……ああ。実は今、 颯真さん——遠野さんの相棒である人から、連絡が来たんだが……
翌日
ビビッドストリート
こはね:……颯真さんって、どんな人なんだろう
彰人:ああ、そういやお前ら、 まだ会ったことなかったか
杏:うん。なんだかんだで都合つかなくて、 新と一緒にお見舞いに行く機会もなかったからさ
冬弥:……どんな人、か。 そうだな——
冬弥:颯真さんは、とても気さくで話しやすくて…… それに、音楽を愛している人だ
冬弥:きっとふたりとも、気が合うんじゃないかと思う
こはね:そうなんだ……よかった
こはね:突然ついてきちゃったから 大丈夫かなって思ってたけど、楽しみだな
杏:だね。 あとは——
杏:新の話も聞けるといいな。 颯真さんなら、連絡がつくかもしれないし
こはね:うん……。 早く会って話したいね
街の若いミュージシャン達:——なあ、おい。 あいつら……Vivid BAD SQUADじゃねえか?
街の若いミュージシャン達:あいつらこの前、 大河さんにこてんぱんにされたんだって?
街の若いミュージシャン達:ああ、そこらで噂になってるぜ。 派手に潰されちまって……大河さんも鬼だよな
街の若いミュージシャン達:いい線いくと思ってたんだけど、やっぱ駄目だったか。 やっぱRAD WEEKENDは、誰も超えらんねえよ
こはね:(あ……)
杏:RAD WEEKENDは超えられない、か……
杏:……でも、仕方ないよね。 それだけ、私達とおじさんには力の差があったから……
彰人:……ああ
冬弥:……気にしていても仕方がない。 行こう
こはね:…………うん
街の若いミュージシャン達:だいたい、RAD WEEKENDを超えようなんて、 身の程わきまえてねえよなあ
街の若いミュージシャン達:な。大河さん達の伝説は超えられるわけねえし
Crawl Greenオーナー:——おい
Crawl Greenオーナー:壁に挑んだ奴を笑って、楽しいか?
街の若いミュージシャン達:は? なんだよこのオッサン
街の若いミュージシャン達:げ……! お前この人、あのCrawl Greenのオーナーだぞ!
街の若いミュージシャン達:え!? やべ……! す、すみませんでした!!
Crawl Greenオーナー:……はぁ
COLオーナー:…………。 ——あんたも謙から、話を聞いたのかい?
Crawl Greenオーナー:ああ。全部話した、ってな
Crawl Greenオーナー:……その時が来たんだ。 他の連中とも雁首そろえて詫びにいかないとな
Crawl Greenオーナー:——凪の願いだけじゃねえ。 俺達は、いろいろなものを背負わせちまった
COLオーナー:……そうだね
Crawl Greenオーナー:…………なあ
Crawl Greenオーナー:……杏には、本当に悪いことをしたと思っている。 それでも俺は——
Crawl Greenオーナー:杏が、凪の願いを受け取ってくれたんだとしたら…… やっぱり……嬉しく思っちまうんだよ…………
COLオーナー:…………
COLオーナー:……老いぼれにできることは少ない。 私達には……あの子達の選んだ道を見守るしかできないよ
Crawl Greenオーナー:ああ……そうだな……
杏:……はぁ。 はずれのほうまで来たら、やっとチラチラ見られなくなったね
彰人:よっぽど大河さんとの勝負が噂になってるみたいだな……
こはね:……あれ?
こはね:あっ……! みんな、あそこに——
杏:洸太郎……!

第 3 话:思いがけない再会

ビビッドストリート
杏:洸太郎……
彰人:——おい、三田!
洸太郎:えっ?
洸太郎:——あ……
洸太郎:……彰人……? それにお前らも……
彰人:……あの日以来だな
洸太郎:……あ、ああ
彰人:……メッセージ、見てくれたか?
洸太郎:あ、いや…… 返そうとは思ったんだけど……スマホが壊れちまってよ!
彰人:…………そうか
洸太郎:わりぃ……急いでるから——
彰人:——待て。 お前に、話しておきたいことがある
洸太郎:え……?
杏:……あのあと、父さんが来て、 RADderや凪さんのこと、全部話してくれたんだ
杏:RAD WEEKENDの裏であったこと…… それからあのイベントにどんな想いがあったのかを
杏:……その話を聞いて、ここで折れてる場合じゃないって思った
杏:だから洸太郎にも、その話を聞いてほしいんだ
冬弥:——ああ。RAD WEEKENDのことは、 それを聞いてから判断してくれないだろうか
こはね:お、お願いします……!
洸太郎:オレは……
洸太郎:オレはもう、これ以上……お前らの……
洸太郎:……すまねぇ……
洸太郎:…………っ
杏:あ、洸太郎——!
彰人:……クソ
冬弥:三田……
彰人:……あいつらに、話を聞いてもらうには…… どうすりゃいいんだ……
こはね:…………
達也:それに、もしも—— もしも、いつか大河さんを超えることができても……
達也:RAD WEEKENDを超えられる……イメージが、わかねえ
洸太郎:もしかしたら……大河さんは……
洸太郎:『身の丈に合わねえ夢は見るな』って、言いたかったのかもな……
こはね:……私達が——
こはね:私達が、もっと力をつけて 本当にRAD WEEKENDを超えられるかもって、 またみんなに思ってもらうことができたら……
こはね:そうしたら、戻ってきてもらえないかな……
杏:……うん。私も、こはねと同感
杏:だって……あの日手も足も出なかったのは、私達も同じでしょ?
杏:そんな私達が大河おじさんくらいの実力をつけたら、きっと、 『RAD WEEKENDを超えるのは不可能なんかじゃない。 あの壁は、超えられる』って思ってもらえると思うんだ
彰人:……そうだな。 それができたら、チャンスはある
彰人:RAD WEEKENDは必ず超える。 それは、あいつらと一緒にだ
彰人:だが……今のオレ達じゃ、何言ったって説得力なんかねえ。 口で言うだけなら簡単だって思われるだけだ
冬弥:……ああ、どれだけ時間がかかってもいい。 力をつけて、もう一度信じてもらおう
冬弥:——RAD WEEKENDを超えるために
冬弥:——おっと。 間もなく颯真さんとの約束の時間だ。急ごう
彰人:ああ
病院
冬弥:すみません、遅くなってしまって
颯真:お、青柳くん! いらっしゃい。 ごめんな、急に呼び出しちゃって
冬弥:いえ。ご無沙汰しています
冬弥:こちら、よかったら召し上がってください。 つまらないものですが……
颯真:相変わらず律儀だなあ。 オレから呼び出したんだから、別にいいのに
颯真:でも、嬉しいよ。サンキューな!
杏:はじめまして! 冬弥達と同じチームで活動してる、白石杏です!
こはね:あっ……! 私は、小豆沢こはねです!
颯真:ああ、わざわざ来てくれてありがとう!
颯真:もう新や青柳くんから聞いて知ってるとは思うけど…… オレは宮田颯真。よろしくな
颯真:青柳くんから『ふたりも一緒だ』って連絡もらって、 テンションあがったよ! 一度会ってみたかったからさ!
杏:いえいえ! 私達も、お会いできて嬉しいです!
杏:……それにしても……うーん
杏:……冬弥達に聞いたとおり、新と全然タイプ違いますね! こう、新がクールな感じなんで、そういう人かなって思ってました
颯真:あははっ、たしかにタイプは違うな~。 でも想像してみなよ、 あいつみたいなのがふたりもいたら大変じゃないか?
杏:え? それは……たしかにそうかも……
こはね:(この人が、遠野さんの相棒なんだ……)
こはね:(……青柳くん達が言ってたとおり、 明るくて話しやすい人だな)
颯真:あ、そういえば青柳くん! このあいだ送った曲、良くなかったか!?
冬弥:はい。曲構成が挑戦的で、とても興味深かったです
颯真:だよな! オレもあんな構成の曲、 聴いたことなかったからビビったよ!
冬弥:はい。あれから何度も聴き直してしまって——
杏:あの~……ひとつ聞いてもいいですか?
颯真:ん? どうしたの、白石さん
杏:冬弥と颯真さんって、 いつからそんなに仲良くなったんですか?
冬弥:え?
颯真:ああ、そうか。 青柳くん、みんなに話してなかったんだな
冬弥:あ……
冬弥:……そうですね。 秘密にしよう、と言われていたので
こはね:秘密?
颯真:うん。まあいろいろあって、 実は一時期、青柳くんにはトラックメイクを教えてたんだ
彰人:トラックメイクを……
冬弥:今回のイベントに、というわけではないんだが……、 実は、トラックを作ってきたんだ
杏:冬弥が最近忙しそうだったのって、 やっぱこの作曲のためだったの?
冬弥:いや、……実は作曲の件で、 ある人に相談にのってもらっていたんだ。 このトラックを作れたのは、その人のおかげだ
彰人:……ああ。 相談にのってもらった人って、颯真さんだったのか
颯真:まあ、相談っていっても、オレが青柳くんに 教えられるようなことなんて、ほとんどなかったんだけどさ
颯真:——って、ごめん。話が逸れちゃったな。 そろそろ本題に入ろうか
こはね:本題……
颯真:うん。みんなをここに呼んだのは、 新のことで、少し話がしたかったからなんだ
颯真:ちょっと前に、あいつが来たんだよ。 それがかなり暗い顔でさ……
颯真:みんなに何があったのか、聞かせてもらった。 なんていうか……かなり大変なことになってるみたいだな
冬弥:……はい
彰人:あの、颯真さん。 遠野は今、どこにいるんですか?
彰人:連絡はしてみたんですけど、返事がなくて……
颯真:そっか……。 ったく、薄情なヤツだよな。みんなにくらい挨拶してけってんだよ
こはね:……挨拶って……
颯真:……あいつはもう、この街にいないんだ

第 4 话:あいてしまった距離

数日前
病院
颯真:——よし、結構できてきたな
颯真:(……曲、だいぶ良くなってきたな。 音のバランスの取りかたも、結構コツ掴めてきたし——)
颯真:んじゃ、今日はもうひと頑張りしてっと——
???:……颯真、いる?
颯真:……っ!
颯真:(うっわ、あぶね! 曲作ってるところ、見られてないよな……?)
颯真:おい新、びっくりすんだろ! 来る前に連絡しろって——
新:……ごめん
新:ちょっと、話したいことがあってさ
颯真:……なんか、暗くないか? 何かあったのか?
新:…………
新:……ごめん。 俺は……
新:…………RAD WEEKENDを超えるのは、諦めるよ
颯真:……え……。 急に、何言って——
颯真:……何があったんだ?
新:…………
新:……大河さんと勝負してきた
新:……自分の実力不足を痛感したよ。 この先、どんなに努力したとしても——ああは歌えない
颯真:…………
新:それに……それだけじゃない。 あのイベントは……
新:RAD WEEKENDは—— 病気になった凪さんの、最期を飾るイベントだったんだ
颯真:……え? 凪さんの、最期……?
颯真:そんな……嘘だろ? だって、凪さんは海外に……
新:俺も、最初は信じられなかった
新:だけど……本当だよ。 大河さんの口から聞いた
颯真:(たしかに……あの夜の熱さは異常だった)
颯真:(わけがわからなくなるくらい昂ってるのに、 今とんでもないものを見てるってわかるくらい……)
颯真:(——そうか……)
颯真:(……あの中心には、 みんなの、凪さんへの想いがあったのか……)
颯真:(だけど——)
颯真:……新。 お前の話はわかった
颯真:あの大河さん達がやった、凪さんの最期を飾るイベントなんて そう簡単に超えられるはずがない
颯真:でも……ひとつ聞かせてくれ
颯真:お前は、それを聞いたからって素直に諦めるやつじゃない。 むしろ……できないって言われるほど燃える性質だ
颯真:そんなお前が諦めるってことは…… ……他にも何かあったんじゃないか?
新:……何か?
颯真:ああ
新:別に……何もなかったよ
新:…………
新:とにかく俺はもう、この夢から降りるよ
新:しばらくは、この街から離れて考えてみる
新:これからの、俺の生きかたを
颯真:新、待っ……!
颯真:……あ……
颯真:…………そう、か……
こはね:……そんなことが、あったんですね……
颯真:……ああ
颯真:結局、それから連絡もつかなくてさ。 まったく……困った奴だよな
冬弥:颯真さん……
颯真:……そういったわけで、 みんなに来てもらったんだ
颯真:新に何があったのか……知ってるんだろ? 教えてくれないか?
杏:それは……
大河:なあ新。お前は、お前のために歌ってんじゃねえか?
大河:お前は相棒の夢を背負ってるわけじゃねえ。 颯真を失った、その痛みに耐えきれねえから、 颯真の夢にすがって歌ってる
新:結局、俺は……言えなかったんだ
新:『あんたになんて言われても、 俺はあいつの夢を背負ってる』って……言えなかった……!
こはね:(……遠野さんは、颯真さんの夢を……)
こはね:(でも…… それを私達が話すのは……)
冬弥:…………
颯真:……そうか。 やっぱり、何かあったんだな
颯真:——ごめん! 今のナシ! 今の質問、なかったことにしてくれ!
こはね:……え? でも……
颯真:……本当は、オレもわかってんだ。 新が隠したことは、直接あいつに聞くべきだ、って
颯真:だからこれ以上、あいつのことは聞かないよ
こはね:…………すみません
颯真:いいって。 それに、今日は青柳くん達の顔が見れただけでも 収穫だったしな!
冬弥:え?
颯真:新が死にそうな顔してたからな。 そっちは大丈夫かなって、気になってたんだ
颯真:だけど心配いらなさそうだ。 その顔——まだ、諦めてないんだろ?
冬弥:——はい。まだ、諦めてません。 俺達は、何があってもRAD WEEKENDを超えたい
颯真:……そっか。みんな、強いんだな
杏:いえ、そんなことないです。 私達も、すごくショックで……
杏:でも……どうしても諦められない理由ができたので
颯真:理由?
杏:はい。 ちょっと、長い話になるんですけど……
颯真:——次の世代……。 凪さんは、そんな風に考えてたのか……
杏:はい。だから私は、凪さんが信じてくれてたように——
杏:絶対、RAD WEEKENDを超えて、 凪さん達の夢の先に行きたいんです
颯真:なるほどな……
颯真:君達のことも、凪さんのことも……知れてよかったよ
颯真:……新のことは残念だけど、 でも……これでいいのかもしれないな
颯真:あいつはずっと——オレのために頑張ってくれてたからな
颯真:これであいつが、自由になれるなら……
こはね:あ…………
颯真:……あー、悪い。 なんかしんみりしちゃったな
颯真:……頑張れよ
冬弥:……はい
こはね:あの……今日は遠野さんのこと、 教えてくれてありがとうございました
颯真:ううん。こっちこそ、 凪さん達の話を聞かせてくれて、ありがとな
颯真:じゃ、そろそろ暗くなりそうだし、 気を付けて帰ってな
冬弥:はい。では失礼します
颯真:…………
颯真:……本当に、強い子達だな
颯真:……青柳くんに、謝り損ねちゃったな。 せっかく手伝ってもらったのに、ごめんなって
颯真:…………
颯真:この曲はもう……あいつに、歌ってもらえないんだな……

第 5 话:このままでいいのかな

数分後
ビビッドストリート
杏:……颯真さんから話聞けて、よかったね
冬弥:……ああ
冬弥:だが——
冬弥:遠野さんは、この街に来ることも なくなってしまうかもしれないな……
彰人:…………
こはね:……このままで、いいのかな……
こはね:今私達は力をつけることしかできなくて…… それなのに、いい方法も見つけられてなくて……
彰人:……そうだ。 正直、どん詰まりだが——
彰人:でもそうなら……今までより何倍もやるしかねえ
彰人:がむしゃらにやって…… この道は前に通じてるって、そう信じるしかねえんだ……
こはね:……うん……
杏:……ほんと、参っちゃうよね。 今日だけでも、いろんなことあったし
杏:ねえ、今は少し息抜きしない? 甘いものとか食べてさ
彰人:……だな。 そうするか
ストリートのセカイ
crase cafe
MEIKO:あら、いらっしゃいみんな
こはね:……こんばんは、メイコさん
ミク:なんか……元気がないみたいだね
ミク:みんな、今日は颯真さんの病室に行ってたんでしょ? どんな話したの?
杏:あ……えっとね、新のこと話してきたんだ
杏:颯真さんの話だと——
MEIKO:そう……。 もう街から出てしまったなんて、残念ね
KAITO:……うん。なんだか寂しいね。 せっかくみんな、いいチームになれたと思ったのに……
こはね:いい、チーム……
こはね:…………
こはね:…………悔しいな……
レン:え……?
こはね:……あ……えっと……
こはね:なんていうか……
こはね:カイトさんの言うとおり、私も…… 遠野さん達と良いチームになってきてる、って思ってたから……
こはね:みんなでずっと一生懸命やってきて—— サードイベントみたいな良いイベントもできた
こはね:遠野さん達と一緒なら、 きっとRAD WEEKENDを超えられるって、そう思ってた
こはね:それなのに……私——
こはね:あの時、何もできなかった……
こはね:足から力が抜けて、もう……何もできないって思っちゃったの
こはね:でも……
こはね:——でも、あの時……。 もしも諦めなかったら。 もっとちゃんと歌えてたら——
こはね:そしたら何か、変えられてたのかなって……
こはね:もしかして、誰かの気持ちを繋ぎとめることが、 少しはできたのかもしれないって……
杏:こはね……
こはね:大河さんは世界で歌ってるすごい人で……。 だから、ああいう結果になるのは、 当たり前かもしれないけど……
こはね:……でも、やっぱり思っちゃうの
こはね:——悔しい。 あの時、もっと何か、できてたんじゃないか……って
こはね:……こんなこと、 今さら考えても、どうにもならないのに……
ミク:(……そっか。こはねは——)
ミク:——こはねは本当に、変わったね
こはね:……え?

第 6 话:掴んできたもの

crase cafe
こはね:変わった……?
ミク:うん。変わったよ
ミク:あんなにおどおどしてたこはねが、 『悔しい』って言い出すなんてね
こはね:え……?
ミク:昔のこはねだったら言わなかったと思うよ。 大河さんみたいな人に負けて、『悔しい』って
こはね:あ……
ミク:きっとこはねは、あの街で歌を始めて、 いろんな人と競ったり、認めてもらったりして——
ミク:自分の歌でできることがあるって 思えるようになったんだ
ミク:こはねには——シンガーとしてのプライドが生まれてたんだよ
こはね:……シンガーとしての、プライド……
ミク:うん
ミク:歌うことに本気だから、今より少しでも、前に進みたいから—— だから、悔しいって思うんじゃないかな
ミク:その想いは、絶対に手放しちゃだめだよ
ミク:その悔しさがきっと、こはねを支えて、 前に進む道を見つけてくれるから
MEIKO:ええ。ミクの言うとおりだと思うわ
MEIKO:大河さんとの一件で失ってしまったものは、 たくさんあると思うわ
MEIKO:でもそういう時こそ立ち止まって、 今、持っているものに目を向けてみてもいいんじゃないかしら
MEIKO:あなた達は、失ってしまったものよりも、 掴んできたもののほうがずっと多いはずだから
冬弥:掴んできたもの……か……
冬弥:……たしかに、以前までの俺は…… 自分の気持ちさえ、よくわかっていなかった。だが……
冬弥:新しい夢と出会い、父さんと向き合って、 ……自分の気持ちを、言葉にできるようになった
冬弥:今では、大事な想いを見つけて曲に込めることも—— まだ少しではあるが、身についてきたと思う
彰人:……そうだな。オレも——
彰人:昔は、なんつーか……自分のことで一杯一杯だった。 それで、周りが見えなくなっちまうこともあったが……
彰人:でも今は、前より視野が広がった気がする。 おかげで周りが見えなくなることも、前よりなくなった
彰人:……頼もしいヤツらが周りにいるって、 そう思えるようになったからかもしれねえな
杏:私は、最高の相棒と——最高の仲間に出会えた
杏:……仲間ができたから、 今まで感じたことのない気持ちを、感じることができた
杏:それから、みんなのおかげで——
杏:私はここまで来れて……ここに立ててるって、思う
レン:——みんな本当に、いろんなものを掴んできたよね
こはね:(……そうだ。 私もこれまで、いろんなものを見つけてきた)
こはね:(でもそれは——私だけの力じゃない)
こはね:……みんなのおかげだね
こはね:ミクちゃん達と、 東雲くん、青柳くん、杏ちゃん……
こはね:みんながいたから、今の私があるんだって思う
こはね:いつもみんなが隣にいて、見守ってくれたから—— 一緒に走ってくれたから、ここまで来れたんだって思う
杏:ふふ、それは私も同じだよ、こはね!
彰人:……ま、そうだな。 あの日お前らと会ってなきゃ、今のオレ達はなかっただろうしな
冬弥:ああ。 それから、謙さんや、仲間になってくれたみんな、それに——
こはね:街の人達、RAD WEEKENDを残してくれた凪さんと——
大河:鍛えたら、この嬢ちゃんの歌がどうなるのか、 ちょっとばかり興味がわいた
大河:RAD WEEKENDをイメージしに来たんだろ? なら立つべきは観客席じゃなく——あっちだ
大河:ばあさん、こいつらステージに上げていいだろ?
大河:嬢ちゃん、いい歌だ!
こはね:……大河さんも
こはね:(——そうだ)
こはね:(大河さんは、歌うために大切なことも、 RAD WEEKENDを超える厳しさも……教えてくれた)
こはね:(大河さんは私の、先生だった)
こはね:(だから、いろんな気持ちがある。 ありがとうって気持ちも……悔しいって気持ちも……)
こはね:それなら……
こはね:それなら、私は——

第 7 话:この気持ちを握りしめて

空港
大河:送迎ごくろうさん
杏の父:たく……朝から人を足に使いやがって
大河:固いこと言うなよ。店開けるまで時間あるだろ? 最後くらい付き合え
杏の父:……お前が勝手なのはいつものことだが……
杏の父:——あのやりかたは、正しくないだろう
大河:ハッ、お前に責められる筋合いはねえよ
大河:杏は、どうだった?
杏の父:…………
杏の父:——最後には凪の想いを受け止めて、 前に進むと言っていた
大河:……そうか
大河:んじゃ、お前もようやくケジメがついたってわけだな
杏の父:いや、まだだ
大河:ん?
杏の父:オレにはまだ、やらなきゃならねえことがある
大河:なるほどな。 お前もまだまだ、凪のわがままに振り回されるってことか
杏の父:そうじゃねえ。 これは杏と次の世代への——オレとしてのケジメだ
大河:……杏達は今頃、学校か?
大河:学生ってのは難儀だよな。 歌える時間が少ねえしよ
杏の父:オレらが言えた義理かよ。 そういうのは、真面目に学校に行ってたヤツが言うセリフだろ
大河:はは、そりゃそうか
杏の父:じゃあ、オレはそろそろ帰るぞ
大河:おう。じゃあな、謙
大河:……ああ、そうだ。 お前のコーヒー、悪くなかったぜ
杏の父:——そりゃどうも
大河:さて、手続きも終わったし……少し早いが行くとするか
大河:あっちに戻ったら、 レコード会社の連中がうるせえだろうな
大河:(……まったく。 それもこれも、あの嬢ちゃんのせいだな)
大河:ん? あれは……
大河:……嬢ちゃん?
こはね:あ……! 大河さんっ!!
大河:お前ら……
大河:……平日の真っ昼間だぞ。 学校はどうした
こはね:え、えっと、その……
こはね:さ、サボりました!!
大河:おいおい……。 誰に似ちまったかね
杏:——おじさん
杏:今からあっちに行くんでしょ。 だから最後に、ちゃんと話しておきたいって思ったの
杏:凪さんのこと、全部聞いたよ。 父さんの事情も、大河おじさんの事情も、全部わかった
大河:……そうか
大河:——どうやら、覚悟決めたみてえだな
杏:……うん。凪さんの想いには、私達が応える
杏:でも……おじさんのことは全っ然許してないから!!
杏:だけど、おじさんに謝れって言ったところで意味ないし、 そもそもおじさん、絶対謝らない人だから……
杏:だから——おじさんよりも私達が、夢の先に行く! それがおじさんにとって、一番悔しいことでしょ?
冬弥:……俺達は、本気です。 どれだけ時間がかかっても、絶対に超えます
彰人:ってわけで——向こうで首洗って待っててください
大河:そうかい。んじゃ——楽しみに待ってるぜ
こはね:——大河さん
こはね:私、大河さんに、伝えたいことがあるんです
大河:おう、なんだ?
こはね:今まで——ありがとうございました!
こはね:大河さんは……私に、 いろいろなことを教えてくれました
こはね:歌との向き合いかたや……、 RAD WEEKENDを見たことがなかった私を、 COLに連れて行ってくれたり……
こはね:大河さんがたくさんのことを教えてくれたから、 サードイベントの熱さにもたどりつけました
こはね:それから大河さんは、この気持ちに——
こはね:この悔しさに、気づかせてくれました
こはね:私は…… この悔しさを握りしめて、進みます
こはね:どんなに怖くても、足が固まっちゃっても、前に!
こはね:それで私達は、大河さんの歌も想いも超えて——
こはね:RAD WEEKENDを超えて、その先に行きます!
大河:……やってみな
こはね:——はい!!

第 8 话:この場所からもう一度

数十分後
空港
杏:……行っちゃったね
こはね:うん……
こはね:……やっぱり、見送りに来てよかったな。 言いたいことも全部言えて、スッキリした気がする
杏:ふふっ。 こはねってば、バシッて言っててかっこよかったよ!
こはね:えへへ、そうかな
彰人:ま、お前にしちゃ上出来だったんじゃねえか
冬弥:ああ。 ……言ったからには、超えなければな
杏:だね! よーっし、頑張ろう!!
こはね:うんっ!
杏:にしても、学校サボっちゃったね~
冬弥:ああ……。 今頃は……英語の小テストをやっている頃だろうか……?
杏:……なんかそわそわしてるね、冬弥
こはね:……私は、ちょっとわかるかも。罪悪感っていうか…… 私だけ休んじゃって、学校のみんなに悪いなって
彰人:そうか? べつに問題ねえだろ、1日くらい
冬弥:いや、問題はあるだろう
冬弥:特に彰人、白石。 ふたりは出なかった分、自習で取り戻せるのか?
彰人:うっ……、それは……
杏:ま、まあ、そのことはいいじゃん!
冬弥:まったく……
こはね:……でも、今日学校サボっちゃったこと、 お母さんとお父さんにはちゃんと話さなくちゃな
こはね:話したあと、大変かもだけど……
彰人:あー……お前の家は、だいぶ叱られそうだな
こはね:……も、もう練習に参加しちゃだめ!って 言われちゃったらどうしよう……!?
杏:……そ、その時は……私達も一緒に謝るよ!
冬弥:ああ、そうだな。 もしもの時は、俺達も協力する
冬弥:だが……小豆沢も、譲れないものがあってここに来たんだ
冬弥:だから怒られはしても…… さっきのようにまっすぐ想いを伝えれば、 きっとわかってもらえるんじゃないだろうか
こはね:……う、うん! 帰ったら、ちゃんと話してみる……!
冬弥:それより……このあとはどうする?
彰人:……今から学校戻っても、 授業には間に合わねえしな。やるならあっちで——
杏:……それなら、 WEEKEND GARAGEに行くのはどう?
こはね:え……いいの?
杏:うん。おじさんにズバっと言ったこと、 ちょっと父さんにも話したいしね
冬弥:……そういえば、最近はセカイで集まってばかりで、 謙さんのところにも顔を出せていなかったしな
こはね:うん! それじゃあ……行こう!
数時間後
WEEKEND GARAGE
杏:ただいま!
杏:……って、あれ……?
杏:……なんか……お店の中がスッキリして……?
こはね:え?
こはね:……本当だ。 これって……
杏:あ……父さん! 外の看板、オープンのままだったけど……どうしたの?
杏の父:ん……ああ、しまった。 看板を戻し忘れてたか
杏の父:しかし……お前達、もう帰りか? 学校帰りにしちゃ少し早いんじゃないか
杏の父:さては——
こはね:あ……えっと……
こはね:……ごめんなさい! 実は……私がみんなに話して、 大河さんの見送りに行ってきたんです……!
杏の父:嬢ちゃんが?
杏:こ、こはねは悪くないよ! 私がそれいいね!って乗ったんだし!
杏:……ごめん。勝手に休んじゃって……
杏の父:まったく……学生の本分は学業だろうが
杏の父:しかし、やっちまったもんは仕方ない。 ……お前らにも、譲れないものがあるだろうしな
杏の父:ただ、こういうことはちゃんと話をとおしてからやれ。 理由があるなら、頭ごなしに反対したりはしない
杏:うん……わかった
杏の父:言っておくが……お前達もだぞ?
杏:あっと……それでさ、父さん。 お店の椅子と机、ずいぶん減ってる気がするんだけど……
杏の父:……ああ。店を整理しててな。 今、カップをまとめてたところだ
こはね:整理、ですか……?
杏の父:そうだ。——この店を、一時休業することにした
杏:えっ!? 休業!?
彰人:な、なんでまた……
杏の父:お前達、RAD WEEKENDを超えるんだろ?
杏の父:なら、オレも手伝おう
こはね:え……?
杏の父:お前達が覚悟を決めたんだ。 ならこっちも、本腰入れるのが筋ってもんだろう
杏の父:それが……これまで真実を隠してきたオレなりの、ケジメだ
杏:あ……
杏の父:それにこれは、オレ自身のためでもある
杏の父:あの日凪が未来に託した夢が、この街でどう育っていくのか……。 それを——オレ自身も見たいんだ
杏の父:ってわけで、しばらくこの店は閉めることにしたわけだ
杏の父:まあ、モーニングとランチだけ営業するのも考えたが…… 中途半端は柄じゃねえ。しばらく全面休業だな
杏:で、でも、母さんは……
杏の父:ちゃんと、母さんとも話しあってる
杏の父:……この件は、ずっと気にしてたからな、 『さっさとケジメをつけろ』と言ってくれた
杏の父:現役時代の貯えもある。 しばらく店閉めたとしても、食いっぱぐれることもねえ
杏の父:それにオレも、本業はプレイヤーだ。 人に教えるってことには慣れてねえ。 使える時間は、全部使う覚悟でいかねえとな
杏:……本気なの、父さん……?
杏の父:オレはここで、オレが教えられるすべてを、お前達に叩き込む
杏の父:つまり——これから、オレの持つすべてを お前達に賭けさせてほしいんだ
杏:…………!
杏の父:ただし……やるなら、歌も体づくりも容赦なしだ。 毎日、血反吐を吐くくらいやってもらう
杏の父:……どうだ、やるか?
彰人:……謙さんが、オレ達に……
彰人:そんなの——答えなんてひとつしかねえ
冬弥:ああ。迷う余地はない
こはね:うん!
杏:——望むところだよ、父さん!
杏の父:決まりだな
杏の父:今日をもって、この店は休業だ
こはね:(この場所で—— WEEKEND GARAGEから、また始まるんだ)
こはね:(杏ちゃんのお父さんがあんなこと言うくらいだから、 練習、きっとすごく厳しいんだろうな)
こはね:(もしかしたら、 怖くて、逃げ出したくなっちゃうくらい……)
こはね:(でも……)
こはね:(私……このお店に入って、本当にいいのかな……)
こはね:…………
こはね:ううん。 またあの歌を聴きに行くって、決めたんだから!
こはね:だから……開けなくちゃ!!
こはね:(今までも、怖いって思うことは、たくさんあった)
こはね:(それでも……)
こはね:(勇気を出して扉を開けてみたら、 見たことのない景色がたくさんあって——)
こはね:(——その先にはいつも、嬉しいことがあった。 だから怖くても、前に進んでよかったって思えたんだ)
こはね:(だから……大丈夫)
こはね:(だって、ミクちゃん達が教えてくれた——)
ミク:——こはねは本当に、変わったね
ミク:こはねには——シンガーとしてのプライドが生まれてたんだよ
こはね:(今はこの悔しさが……私を、支えてくれる)
こはね:(私は——前に、進める!)
こはね:(みんなと、超えるんだ。 すごく高い壁だけど、みんなとなら……!)
杏:……こはね……
こはね:——え? なに、杏ちゃん?
杏:ううん。 ただ……すっごく気合い入ってるなって!
こはね:……うん!
杏:じゃあ、やろう! 私達で絶対、RAD WEEKENDを超えよう!
こはね:(……こんなに、ドキドキすること……他にないだろうな)
こはね:(あの日……この通りで迷った日、 このお店に来て、本当によかった)
こはね:(……杏ちゃんの歌を聴いてドキドキした この場所から——もう一度、始めよう!)
こはね:みんな、頑張ろうね!
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