活动剧情

BURN MY SOUL

活动ID:109

第 1 话:After that day

ビビッドストリート
洸太郎:……はぁ
洸太郎の友人:——三田? おーい、三田! 話聞いてるか?
洸太郎:あ、悪い……ぼーっとしてた。 なんだ?
洸太郎の友人:ったく、さっきから何回も言ってるってのに……。 『オレ達のイベントに出ねえか』って話だよ
洸太郎:あ……
洸太郎の友人:……お前、あの件があってから、 1回もイベントに出てないだろ?
洸太郎の友人:なんつーか……あんだけ歌えんのにもったいねえって思ってさ。 だからそろそろ——
洸太郎:——いや
洸太郎:悪い。しばらくは、いいわ……
洸太郎の友人:……そうか
洸太郎:……本当に悪い。 せっかく誘ってくれたのに……
洸太郎の友人:いやいや、気にすんなって! ま、やる気になったら言えよ。 お前ならいつでも大歓迎だからな
洸太郎の友人:それじゃ、オレはイベントの準備があるから、またな!
洸太郎:おう。頑張れよ
洸太郎:…………
洸太郎:(……あれから、しばらくたったが……)
洸太郎:(あいつら、どうしてんだろうな……。 謙さんの店も、休業しちまったみたいだし……)
街の若いミュージシャン達:そういえば—— WEEKEND GARAGE、いつ再開すんだろうな
洸太郎:あ……
街の若いミュージシャン達:たしかになあ。 あそこのカレー、すげえ美味いからまた食いてえんだけどな~
街の若いミュージシャン達:つうか、ずっと休業だと困るよな。 この辺の連中みんなあそこに行ってたし。 謙さん、どこ行っちまったんだろ?
街の若いミュージシャン達:そうだな……。 あ、どこ行っちまったんだっていえば——
街の若いミュージシャン達:Vivid BAD SQUADとかもそうだよな。 見かけねえけど、今どうしてんだ?
街の若いミュージシャン達:なんだお前、知らねえのか? たしか、Vivid BAD SQUADは解散したんだぞ
洸太郎:——は?
街の若いミュージシャン達:大河さんにやられて、4人とも歌やめちまったらしい
街の若いミュージシャン達:え! マジかよ!
街の若いミュージシャン達:ま、相手が悪かったよな。 あの大河さんと正面からぶつかったんじゃ、 さすがに心バキバキに折られるだろうし
街の若いミュージシャン達:そうなのか? 噂じゃ、別の場所に行っちまったって話も——
洸太郎:(Vivid BAD SQUADが……解散……?)
洸太郎:いや……んなわけねえだろ……
洸太郎:あいつらが、そんな簡単に諦めるわけ……!
Crawl Greenオーナー:——君、もしかして三田くんか?
洸太郎:え?
洸太郎:あ……オーナーさん! お、お久しぶりです!
Crawl Greenオーナー:ああ、久しぶりだな。 前のイベント以来か?
洸太郎:はい! ていうか……オレなんかの名前も覚えてくれてたんすね
Crawl Greenオーナー:当然だろう。 うちのハコで、あれほどのイベントをやってくれたんだ
Crawl Greenオーナー:……大河とやりあったってのは聞いてる。 大変だったな
洸太郎:……はい……
Crawl Greenオーナー:だが——それでもこの街に残ってるんだ。 君もなかなかタフだな
洸太郎:あ……
洸太郎:いえ……オレは、そういうんじゃないです
洸太郎:オレはあのあと、この辺にはあんまり顔出してなくて…… 今日はダチに『付き合い悪いからたまには来い』って 引っ張り出されてきただけなんです
Crawl Greenオーナー:……そうか、なるほどな
Crawl Greenオーナー:だがどういう理由にせよ、 またこの街に来てくれたのは嬉しい
Crawl Greenオーナー:新も、EVERも——Vivid BAD SQUADも、 今じゃすっかり見なくなっちまったからな
洸太郎:あ……! そのことなんですけど……!
洸太郎:オレ、あいつらが…… Vivid BAD SQUADが解散したって噂を聞いて……。 そんなことないですよね?
Crawl Greenオーナー:……ああ。俺は、解散していないと思ってる
洸太郎:……『俺は』?
Crawl Greenオーナー:……実のところ、詳しくは知らないんだ
洸太郎:え……
Crawl Greenオーナー:数カ月前、街の古株連中と店に行ったんだ。 杏と……話がしたくてな
Crawl Greenオーナー:その時はほんの少し話せたんだが……。 まあ、今はその話は置いておこう
Crawl Greenオーナー:様子を見た限り、 あいつらはまだ歌っているようだった。 だが……
Crawl Greenオーナー:どうも、よその街に行ってるようでな。 もしかすると…… ここ以外でやることにしたのかもしれない
洸太郎:……ここ以外で……
洸太郎:(でもそれじゃあ、RAD WEEKENDのことは……)
Crawl Greenオーナー:……三田くんは、あいつらと連絡を取ってないのか?
洸太郎:あ、オレは……
彰人:——待て。 お前に、話しておきたいことがある
洸太郎:……すまねぇ……
洸太郎:…………っ
杏:あ、洸太郎——!
洸太郎:……はい。 あれからは、全然……
Crawl Greenオーナー:……そうか……
Crawl Greenオーナー:しかし…………この辺りもずいぶん寂しくなっちまったな。 客が帰ったあとのハコみてえだ
Crawl Greenオーナー:君達がいた、あの頃の熱い景色が……懐かしいな
洸太郎:…………
洸太郎:(……たしかに、 少し見ないあいだに、ずいぶん変わっちまったな)
洸太郎:(前はもっと熱い場所だった。 ストリートで歌ってる連中もギラギラしてて、 街中に色がついてるみてえな……)
洸太郎:(だけど、あいつらがいなくなった今は…………)
洸太郎:(……どこに行っちまったんだ)
洸太郎:(まさかRAD WEEKENDを諦めて、よそで……。 いや、そんなわけねえ)
洸太郎:(だって、あいつらは前会った時、 折れてる場合じゃねえって言ってたんだ。 諦めるわけ……)
洸太郎:(でも……)
洸太郎:(やっぱり諦めちまっても、おかしくはねえし……)
洸太郎:(……いや、そんなこと考えたって仕方ねえよな)
洸太郎:(どの道オレはもう、関係ねえんだ)
洸太郎:(あいつらより先に諦めちまって、 話も聞かずに逃げたオレには……何か言う資格なんか……)
???:あ……あー……
街の若いミュージシャン達:……お? おい、あれ見ろよ
街の若いミュージシャン達:誰か歌うみたいだぞ
Crawl Greenオーナー:……ん? あれは……
洸太郎:…………彰人?

第 2 话:作戦会議

ビビッドストリート
洸太郎:彰人……!
街の若いミュージシャン達:あれは……Vivid BAD SQUADの東雲か? まだここらでやってたのか
街の若いミュージシャン達:でも、なんで東雲ひとりなんだ?
街の若いミュージシャン達:やっぱ大河さんに負けて解散したんじゃねえの?
彰人:(……想定どおりの反応だな)
彰人:(あの日から、この街で、 オレ達に期待するヤツはほとんどいなくなった)
彰人:(だが——)
彰人:(これくらい冷めてるほうが、わかせ甲斐があるってもんだ)
彰人:——んじゃ、いくか
数カ月前
WEEKEND GARAGE
謙:それじゃあ今から、今後の活動について話していくとしよう
謙:つまり——RAD WEEKENDを超えるための、作戦会議だ
こはね・杏・彰人・冬弥:『はい!』 『うん!』
謙:早速だが——
謙:お前達は、何ができたら、 『RAD WEEKENDを超えた』と言えると思う?
こはね:何ができたら……ですか?
謙:そうだ
杏:……私は——
杏:みんなであの日の熱狂を超えられたら、 『RAD WEEKENDを超えた』って言えると思ってる
杏:でも……どうすればそれができるのかは、 まだ全然わかってない
冬弥:……ああ。 力をつけたら、いつか超えられると思っていたが……。 RAD WEEKENDの裏側を知った今は……
謙:——そうだな
謙:ただオレは、お前達がRAD WEEKENDを超える熱狂を 生み出せる可能性を、たったひとつだけ知っている
彰人:え……!
杏:父さん、それって……?
謙:凪の願い、オレ達RADderが歩んできた道、 そこから生まれた……街の連中の想い——
謙:それを——お前達の新しい想いで上書きすることだ
こはね:……上書き?
冬弥:それは……つまりどういうことですか?
謙:あの日——真実を話した日。 お前達は言っていたな
謙:『RAD WEEKENDを絶対超えて—— オレ達RADderの夢の先に行ってみせる』と
謙:その想いを音楽に……お前達のイベントにして、 全員に“見せる”んだ
謙:……みんな、それぞれの夢が——想いがある
謙:凪は——お前達、次の世代に“夢の先”に行ってほしいと願い、 オレもその景色を見てみたいと思った
謙:街の昔馴染みは、 そんな凪の願いを叶えたいと願った
謙:オーディエンスや若手の奴らも、今こそ冷めちゃいるが、 お前達のような連中が伝説を超える瞬間を見たいと、 心のどこかでは思っているはずだ
謙:それぞれ、勝手な想いだ……本当にな
謙:だが、これが結びついた時—— 『お前達が夢の先に行ってくれる』と、全員が確信した時
謙:オレは、RAD WEEKENDを超える熱狂が 生まれると思っている
謙:……どうだ?
杏:それは……そう思うし、そうできればいいなって思う
こはね:うん……そうだね
彰人:(…………だが問題は、 今のオレ達にはその力がないってことだ)
彰人:(実力だけじゃねえ。仲間もいねえ。街は冷めきってる。 しかも相手は100人じゃきかねえ——)
謙:……困難な道だということは、わかっている
謙:だが——オレはお前達を信じている
彰人:……!
謙:オレは、お前達に夢の先に行ってほしいと願っている。 その最初のひとりだ
謙:……いや、正確にはふたり目だな。 最初に願ったのは、あいつだ
杏:……父さん……
謙:この街は、本当は望んでいるんだ。 だからその想いを呼び覚まして、応えてやれば…… 道を拓くことはできるはずだ
杏:……うん、そうだね。 やろう
杏:っていうか、やらなきゃ何も始まらないしね!
彰人:……そうだな
彰人:それができなきゃ、RAD WEEKENDは超えられねえんだ。 なら、やるしかねえだろ
こはね:うん……! 私も、頑張ります!
冬弥:よろしくお願いします、謙さん
謙:よし。 じゃあ——ここからは、具体的な話をしていくとしよう
謙:オレは、これからやるべきことは、 大きく分けてふたつだと考えている
謙:ひとつはシンプルに、実力をつけること。 これがなきゃ話は始まらねえ
謙:そしてもうひとつは、 さっき言ったとおり、お前達の新たな想いを、この街に—— この街の全員に見せつけることだ
謙:まず実力をどうつけるかだが—— 力をつけるなら、実践に勝るものはない
謙:だから、お前達を レベルの高い連中だけが集まるライブハウスに連れて行く。 そして、対戦イベントに出てもらおうと思う
冬弥:レベルの高い人達が集まる……というと、 Crawl Greenのような場所ということですか?
謙:ああ。 『うまい』って程度じゃ 入口すらくぐらせてもらえないような所だ
こはね:入口すら……
謙:——こいつは普段の練習と並行して、ほぼ毎日やってもらう。 平日は学校が終わったら車で迎えに行くから、 そのままライブハウスに直行だ
彰人:車……ってことは、 遠出するってことですか?
謙:ああ、そうだ。 この街の外にも、とんでもない連中はごろごろいる
謙:オレ達RADderがそうだったように、 その街で育って、その街で成り上がっていった連中が
謙:これからは、そういう連中としのぎを削ってもらう。 幸い、伝手があるんでな
彰人:(……なるほど。 つーことは、これから謙さん達みたいなトップクラスと 戦うことになるのか……)
謙:そして、もうひとつのほうだが——
数週間後
神山高校 校門
彰人:(……あれからしばらく経った)
彰人:(謙さんの車でライブハウス回りながら、 それぞれやるべきことをやって……その毎日だ)
彰人:(強敵とばかり戦ってるから、実力がついてきてる感覚はある。 だが……)
謙:もし実力がついたとしても、 これまでのように ただイベントをやるだけじゃあ、難しいと思っている
謙:一度消えかかった火をもう一度燃え上がらせるのは困難だ。 チャンスもそう何度もないだろう
彰人:…………
謙:そこで……役割分担をしよう
彰人:え?
謙:RAD WEEKENDを超えるイベントをやるための、 壮大な下準備だ
謙:まずは——彰人、お前はオーディエンスに火をつけてこい
彰人:……オーディエンスに……?
謙:そうだ
謙:お前達も十分感じてるだろうが……、 大河の件があってから、 お前達に期待していた連中は、大分冷めちまった
謙:一度失望させちまったヤツらを、 もう一度、本気で熱くさせるのは難しい
謙:だがそれに、お前が火をつけるんだ
謙:お前は、どんな絶望的な状況でも絶対に折れねえ。 泥臭くしがみついて、這い上がってきた
謙:そして、連中はそんなお前を見ていたはずだ。 ……街の連中が、オレ達RADderを見ていたようにな
謙:そんなお前が、この状況でもう一度立ち上がったら…… いや、それだけでなく度肝を抜くほどの実力を身に付けていたら、 その姿は、必ずオーディエンスに火をつけるはずだ
杏:でもそれなら、彰人だけじゃなくて、 みんなで一緒にやったほうが良くない? だって——
彰人:——いや
彰人:これは、オレひとりにやらせてくれ
杏:え……なんで!?
彰人:謙さんの言うとおり、 この街でオレ達に残されたチャンスは少ねえ
彰人:だから全員でやるのは、 すべての準備が終わったあと……一番大事な時にやるべきだと思う
彰人:それに今オレ達は、 『しっぽ巻いて街から逃げた連中』と思われてるはずだ
彰人:ほんのちょっと力をつけて帰ってきただけじゃ、 連中の度肝を抜くことはできねえ
彰人:だが……オレがひとりで、今まで全員でやってきたイベントぐらい わかせられるようになってたら、連中も間違いなく動かされる
彰人:……そういうことですよね、謙さん
謙:——ああ、そうだ
冬弥:……そうか
冬弥:『彰人ひとりでこれならば、 4人そろったらどうなってしまうんだ』……と、 そう期待を煽ることができるのか
彰人:そういうことだ
杏:……そっか
杏:——わかった! それじゃ、彰人に任せるよ!
彰人:おう
謙:……彰人。 そいつをやるには、圧倒的な実力をつける必要があるぞ
彰人:はい。 わかってます
謙:そうか。 なら……やるぞ、彰人
彰人:……はい!!
謙:そして、他の3人だが……ひとりずつ話そう。 まずは——
彰人:(……まだ、オレには火をつけるほどの力はついてねえ)
彰人:(もっともっと、力をつけねえとな)
杏:あ! ふたりとも、車来たよ! こっちこっちー!
謙:すまん、遅くなった。 嬢ちゃんを拾ったあと、渋滞につかまっちまってな
彰人:いえ。オレ達もさっき来たところです。 問題ありません
冬弥:謙さん、今日行くのはどんなハコなんですか?
謙:今から行くところは『Rodin』ってハコだ。 昔オレ達も苦戦した場所だな
杏:え、父さん達が!?
謙:ああ。あそこは特にレベルが高い。 あれ以上は、日本中探したって数えるほどしかねえ
謙:それこそ、メジャーでやってる連中や、 実力派が腕試しに門を叩くようなところだ
冬弥:……つまり、それだけ客の耳も肥えているということですね
謙:そうだ。 お前達のレベルを考えりゃ、まだ早い
謙:だが、常識外れに格上な相手のほうが、 今のお前達にはちょうどいいだろう
彰人:(——今までのハコも相当だったが、 今日は特に厳しい勝負になりそうだな)
彰人:(だが……望むところだ。 デカい壁にぶつかればぶつかるほど、 乗り越えた時強くなれる)
彰人:(絶対に、死に物狂いで食らいついてやる……!)

第 3 话:一対一

ライブハウス
彰人:(く……っ!)
冬弥:♪——————!!
こはね・杏:『♪——————!!!!』
観客達:あいつら、新入りか?
観客達:みたいだな。 年のわりには歌えるようだが……
彰人:(クソ……!)
彰人:(全員、全力で歌ってるってのに…… これっぽっちも空気が作れねえ……!)
彰人:(だが……このまま終わるわけにはいかねえ)
彰人:(客に火をつけて……わかせて……勝ってみせる!!)
彰人:♪——————!!
観客達:……! 今のは悪くなかったな
観客達:こいつら、なんてチームだ? ……Vivid BAD SQUADか
謙:…………
謙:(……彰人は、この特訓の中でかなり伸びている。 だが……)
彰人:♪——————!!
謙:——枷をかけちまってるみたいだな
イベント終了後
ライブハウス 楽屋
こはね:なんとか……勝てたね……
杏:うん……。 ほんとにギリギリだったけど……
冬弥:だが今日は、常連のチームが不在だったと言っていた。 そういったチームがいたら、わからなかっただろうな……
彰人:……ああ、そうだな……
杏:……あーごめん、ちょっと横になっていい? 体キツくて……
こはね:わ、私も……。 でも、大丈夫かな?
冬弥:数分程度なら問題ないんじゃないだろうか。 イベント後の挨拶回りも終わったし、 謙さんが車を回してきてくれるまで、少し時間がある
杏:そうだね……。 じゃ、ちょっとだけ……
冬弥:ふたりとも、ものの数秒で寝たな……
彰人:……冬弥も横になったほうがいいんじゃねえか?
冬弥:え? いや、俺は……
彰人:お前、目がちゃんと開いてねえぞ。 例の件で、あんま寝てねえだろ
冬弥:それは…………。 たしかに、そうだな……
彰人:ちょっと寝とけ。 謙さんが来たら起こしてやる
冬弥:……わかった。 それなら、少し休ませてもらおう
彰人:おう
彰人:(……全員、だいぶ疲れが溜まってんな)
彰人:(それも仕方ねえか。 特訓と、それぞれの担当分で、毎日体力使い果たしてるからな)
彰人:(今日もなんとか勝ちはしたが……)
街の若いミュージシャン達:——なあ、おい。 あいつら……Vivid BAD SQUADじゃねえか?
街の若いミュージシャン達:あいつらこの前、 大河さんにこてんぱんにされたんだって?
街の若いミュージシャン達:ああ、そこらで噂になってるぜ。 派手に潰されちまって……大河さんも鬼だよな
街の若いミュージシャン達:いい線いくと思ってたんだけど、やっぱ駄目だったか。 やっぱRAD WEEKENDは、誰も超えらんねえよ
彰人:(このままじゃ、まだ駄目だ)
彰人:(もっと力をつけねえと、 あいつらに火をつけることなんて——)
謙:よう、待たせたな。 ……なんだ、他の連中は寝ちまったか
彰人:あ、すみません。 今起こして——
謙:いや、大丈夫だ。 クローズまでまだしばらく時間があるからな
謙:彰人も疲れが溜まってるだろう。 少し寝ていいぞ
彰人:いや……オレは大丈夫っす。 体力はあるんで
謙:そうか
謙:……調子はどうだ?
彰人:あ…………
彰人:……悪くはないっす。 格上のチームと何回も戦って、力もついてると思います
彰人:……ただ……
謙:まだ足りない、か?
謙:——肩に力を入れ過ぎるな、彰人
彰人:え……
謙:今お前には、相当力がついている。 これまで必死に努力した分の力がな
謙:だがお前は今、もっと上へ上へと……そう思うあまり、 本来の力をすべて出せていない。 自分で作った天井にぶつかっちまってる
謙:だから今は一度、立ち止まって、力を抜いて…… お前の心のままに歌うといい
彰人:心の……ままに……
彰人:(……力が入ってるってのは、たしかにそうかもしれねえ。 オレの悪い癖だ)
彰人:(けど、心のままに……か。 感情を込めるってこととは、また違うのか……?)
謙:——彰人
謙:オレとサシで歌わないか
彰人:……え?
謙:特訓前の朝早くか、特訓後の遅くになるが…… しばらく、オレがお前に直接稽古をつける。どうだ?
彰人:謙さんが……オレと一対一で、ですか?
謙:ああ
彰人:……! やりたいです! やらせてください!!
謙:おいおい、そう声を上げると 杏達が起きちまうぞ
彰人:あ……すんません
彰人:(……マジかよ。 謙さんが、オレに直接……)
彰人:(謙さんは、オレに夢をくれた人のひとりで—— オレの、憧れの人だ)
彰人:(その人がオレのことを、 わざわざ一対一で鍛えてくれる)
彰人:(……ここでやらないわけには、いかねえだろ!)
彰人:謙さん、よろしくお願いします!

第 4 话:変わらない熱

WEEKEND GARAGE
冬弥:……ふぅ
こはね:青柳くん、お疲れさま。 だいぶ疲れてるみたいだけど……大丈夫?
冬弥:ああ、戻る前に楽屋で寝かせてもらったからな。 体力的には問題ない
冬弥:ただ……例の役割の件で、だいぶ時間をとられてしまっている。 進捗は、まだ3割程度だろうか
杏:それでも十分すごいでしょ。 私のほうは、まだどうやってやるか考え中だし……
こはね:私も、練習はしてるけど……。 これでいいのかなって悩みながら進めてるよ
こはね:でも、そう簡単に答えが出るものじゃないし…… 考えながら一歩一歩進んでいけるといいな
杏:だね!
杏:あ……でも、もうみんな帰らなきゃいけない時間か
冬弥:そうだな。 そろそろ彰人にも声をかけて——
冬弥:……いや、 彰人は今日から、謙さんと特訓をするんだったな
杏:私達が寝てるあいだに約束してて、びっくりしたよね
杏:でもそっか……。 最近父さんが歌ってたのって、このためだったんだ
こはね:え?
杏:父さん最近ずっと、私達が学校行ってるあいだも 歌ってるっぽいんだ。 多分……現役の時のカンを取り戻そうとしてたんじゃないかな
こはね:現役時代の……。 私も、今度聴かせてもらいたいな
杏:うん! そうしてよ!
杏:父さんの歌は……本当にすごいから!
店内ライブスペース
彰人:……それじゃあ改めて、よろしくお願いします
謙:まったく、相変わらず前のめりなヤツだな。 まさか、今日からすぐに始めてくれと言われるとは思わなかったぞ
彰人:やるなら早いに越したことはないと思うんで。 ……すみません、無理言って
謙:いや、気にするな
謙:……さて彰人、Rodinで言ったことは覚えているな?
彰人:はい。 力を抜いて……心のまま歌え、ですよね
謙:そうだ。 もちろん、力を抜くといっても手を抜けってことじゃない。 ちゃんと全力で歌えよ
彰人:……うす
謙:で、練習の方法はシンプルだ。 オレとお前で、交互に歌う。いいか?
彰人:……はい!
謙:よし。 それじゃあ——かかってこい
彰人:(……謙さんのことは見慣れてるってのに…… こうやって向かい合うと、やけにデカく見える)
彰人:(……だが、ここでビビってられるかよ)
彰人:(わざわざ謙さんが見てくれんだ。 胸を借りるつもりでやらねえとな……!)
彰人:いきます!
彰人:♪————!!
彰人:(よし……! 声の調子はいい。今日のイベントよりやれてるくらいだ)
彰人:(だが……こんなもんじゃ、まだまだだ……!)
彰人:♪——————!
彰人:はぁ、はぁ……
謙:悪くない。 だが……まだ力が入っているな
彰人:……すみません
謙:謝る必要はねえ。 それをどうにかするための特訓だからな
謙:さて——それじゃあ、次はオレの番だ
謙:いくぞ
謙:♪——————————————!!
彰人:(……すげえ)
謙:♪————!! ————!! ————!!
彰人:(——昔なら、 すげえってことしか感じられなかっただろうな)
彰人:(だが……今は違う。 ここまで歌ってきたから、わかる)
彰人:(謙さんの歌は、大河さんの歌みたいに パワーで圧倒するタイプじゃねえ)
彰人:(びっくりするくらい冷静だ。 ブレスひとつとっても、嘘だろってくらい隙がねえ)
彰人:(そんでこれは……きっと、努力で手に入れた力だ)
彰人:(毎日バカにみたいに練習して、 地べたを這いずり回ったからこそ手に入れた力…… そんな気がする)
彰人:(その証拠に——)
彰人:(とんでもなく、熱い)
彰人:(冷静なのに、火傷しそうなほど熱い……! まるで——)
彰人:…………やっぱ、すげえ人だ
謙:まずは、こんなもんだな
謙:——彰人。 今、向き合っているオレに何を見ている
彰人:え……
謙:いろいろあるだろう。 昔お前が見た景色だったりな
謙:オレの中にお前は、あの夜を—— RAD WEEKENDを見るはずだ
謙:お前はそれに向かって、難しいことを考えずに歌え。 全力でな
彰人:……RAD WEEKENDに向かって……
彰人:(……落ち着け。 謙さんの言うとおり……難しく考えすぎるな)
彰人:(まずは素直に受け止めろ。 力を抜いて、心のままに。 RAD WEEKENDに向かって歌うつもりで——)
彰人:♪————!!
彰人:ぜぇ、はぁ、はぁ……ゲホッ、はぁ……
謙:……今日は、ここまでにしたほうがよさそうだな。 そろそろ体力の限界だろう
謙:今日はゆっくり休んで、明日に備えろ
彰人:……は……はい……
彰人:(クソ……ダメだ。 全然わからねえ)
彰人:(歌っても歌っても、いつもと変わらねえし…… 謙さんの反応も変わらねえ)
彰人:(一体、どうすればいい……!)

第 5 话:必要なものは

数週間後
彰人:♪————!! ————!!
謙:彰人、まだ力が入っているぞ!
彰人:♪——! ——……!
彰人:♪……——!
彰人:(……練習始めてから、何時間経った……?)
彰人:(歌い過ぎて、頭に酸素が回ってねえな……)
謙:……今日はここまでだな。 限界だろう
彰人:…………っ
彰人:はい………… わかりました…………
彰人:(クソ……情けねえ……)
彰人:(謙さんが見てくれてるってのに、 今日も、何も……)
謙:(……この枷は、なかなか厄介だな。 あの手この手を使ってはいるが……)
謙:(だがそれは……仕方ないことだろう。 これが、彰人をここまで成長させてきたんだからな)
謙:…………。 なあ、彰人
謙:——今から、ドライブに行かないか?
彰人:……え?
1時間後
謙:ここらで少し休憩とするか。 彰人、何か飲むか?
彰人:あ……はい
彰人:(謙さんに誘われて、 そのままついてきちまったが……)
彰人:(……本当にただ、ドライブしただけだったな)
彰人:(オレが集中できてねえから、 わざわざ気分転換させようとしてくれたのか?)
謙:ほらよ、カフェオレだ。 熱いから気をつけろ
彰人:ありがとうございます
彰人:(……こうやってのんびりするのは、久しぶりだな)
彰人:(ここ最近、朝起きてすぐ練習して、学校行って、 その足でライブハウス行って、そのあと謙さんと歌って…… そういう生活だったから、落ち着く暇もなかったっつーか……)
彰人:(だが……)
彰人:(こんなことをしてる場合なのか?)
彰人:(今こうしてる時間も練習に使えば、もっと……)
謙:…………
謙:こうしてると、お前と最初に会った時を思い出すな
彰人:え?
謙:覚えてないか? ビビッドストリートで初めて会った時のことだ
彰人:……あ……
謙:どうした、坊主
中学生の彰人:……え、RADderの……なんで……
謙:——ほら、これでも飲め。 隣、座ってもいいか?
彰人:謙さん、あの時のこと覚えてるんですか?
謙:おう、しっかり覚えてるぞ。 お前の、今にも泣きそうな顔もな
彰人:いや、そういうことは忘れていいんで……
謙:——お前はあれから、ずいぶん変わったな
謙:自分の心臓を信じて、ここまで駆け上がって来た。 大したもんだ
彰人:……ありがとうございます
謙:どうだ。 あの時からここまで、全力で走ってきた感想は
彰人:感想っすか……
彰人:……なんつーか……
彰人:いろいろありすぎて……うまく言えねえっす
謙:——その感じだ
彰人:いて……! な、なんすか謙さん、急にデコピンって……
謙:今感じたそいつを、忘れないためだ
謙:彰人。次は、そいつを歌に乗せてみろ
彰人:そいつ、って……
謙:心配するな。 お前はもう、必要なものを持ってる
謙:あとはそれに気づいて、歌ってやればいい
彰人:…………
謙:——さて、もう遅い。 そろそろ帰るとするか
彰人:あ…………
彰人:…………はい
スクランブル交差点
謙:本当に駅でよかったのか?
彰人:はい、電車はまだあるんで。 遅くまでありがとうございました
謙:おう。 体はよく休ませろよ。じゃあな
謙:心配するな。 お前はもう、必要なものを持ってる
謙:あとはそれに気づいて、歌ってやればいい
彰人:気づいてやる……か
彰人:(謙さんの言いかただと、 答えはすぐそこにある気がする)
彰人:(あともう一歩…… 何か、見つけられれば——)
こはね:……みんなのおかげだね
こはね:ミクちゃん達と、 東雲くん、青柳くん、杏ちゃん……
こはね:みんながいたから、今の私があるんだって思う
彰人:(……そうだな)
彰人:(何も、ひとりで考え続ける必要はねえんだ)
彰人:——向こうに行ってみるか
翌日
crase cafe
ルカ:お! 彰人くんだ!
レン:いらっしゃい! 今日も練習だったの?
彰人:ああ、まあな
MEIKO:お疲れさま。 今飲み物持ってくるから、座ってちょうだい
彰人:あ……ありがとうございます
ルカ:メイコに聞いたよー! 彰人くん達って、今みんなで、 いろんなライブハウスを回ってるんでしょ?
ルカ:いいな~。 私もみんなの世界のライブハウス、たくさん見てみたいな~
MEIKO:もう、前も言ったでしょルカ。 それはみんなの邪魔になっちゃうからダメよ
ルカ:は~い
ルカ:で、実際ライブハウスでの特訓ってどんな感じなの? すごい人達と歌ってるんでしょ?
彰人:……まあ、そうっすね
彰人:オレらよりずっとうまい人達ばっかりなんで、 なんとか食らいついてやろうって毎回必死っつうか
彰人:学校終わったら車の中で作戦会議して、 ライブハウスで歌って、帰りに反省会してっての繰り返しで……
彰人:まあ、そっちのほうは なんとかいい勝負させてもらってるんですけど…… …………
彰人:……あの、少し相談してもいいすか?
レン:彰人、杏のお父さんとそんな練習してたんだ……!
彰人:ああ。 もう何週間かになる
彰人:だが……正直、うまく進めてねえ
彰人:謙さんの言うことが頭で理解できても、 どうすりゃいいのか、わかんねえんだ
MEIKO:たしかに、 今少し話を聞いただけでも、難しそうね……
MEIKO:力を抜いて、心のままに歌う。 感情を歌に乗せる
MEIKO:言葉にするのは簡単だわ。 でも、実際にやるっていうと——
ルカ:ん~~~そうだねえ。 こういうのって、フィーリングだし……
ルカ:……あ! そうだ!
ルカ:ねえ彰人くん、 よかったらさ、今歌ってもらってもいい?
彰人:え……今ですか?
ルカ:うん! 実際に今の彰人くんの歌を聴いてみたほうが、 アドバイスしやすいかなって思って
MEIKO:たしかにそれはそうね。 私達も聴かせてもらいたいわ
彰人:……わかりました。 それじゃあお願いします
彰人:(……最近はあっちで練習続きだったから、 ここで歌うのは久しぶりだな)
彰人:(ルカさん達が、今のオレの歌をどう感じるか—— 聞かせてもらおう)
彰人:(それで何かわかるかもしれねえ……!)
彰人:(オレが感じたことを……歌に乗せて……)
彰人:♪————!!
彰人:……はぁ。どうでした?
MEIKO:すごく迫力があったわ。 鬼気迫る……って言うのかしら
レン:うん……! 体がビリビリしたよ! 彰人、すっごくうまくなってるじゃん!!
彰人:ま、ずっと練習してるからな
彰人:あとは、どうでしたか? 何か気づいたことがあったら——
ルカ:むー……
MEIKO:……ルカ?
ルカ:彰人くんの歌、たしかにすっごく良かったけど……
ルカ:彰人くんなら、もっとこういろいろ、ドバーって出せると思う!!
彰人:ド、ドバー……?
MEIKO:言いたいことはわかるけれど……アドバイスとしては 漠然としすぎてるんじゃないかしら?
ルカ:え、ええー!? そうかな!?
ルカ:でも……彰人くんの中にはもっとこう、 いろいろあるんじゃない?
ルカ:謙さんと練習できて嬉しいとか、ワクワクするとか、 期待に応えたいとか、でも緊張するとか……
ルカ:そういうのも全部ドバーっと出せば、もっと——
レン:うーん……?
彰人:……やっぱり、感情が乗ってないってことですかね……
ルカ:それもそうなんだけど…… うーん、なんて言えば……あ
ルカ:——ねえ、彰人くん!
ルカ:謙さんとやってるみたいに、私ともサシで歌わない?
彰人:……え?

第 6 话:この胸にあるもの

ストリートのセカイ
crase cafe
彰人:ルカさんとサシで……ですか?
ルカ:うん!
彰人:なんでまた、そんな話に……
ルカ:それはもちろん、 彰人くんに全部ドバーって出してもらうためだよ!
彰人:それは……謙さんが言ってた、心のままに歌うってことですよね。 でも、ただサシで歌うだけじゃ……
ルカ:ん~じゃあ勝負ってことにしようよ! それなら、ちょっとやる気が出るんじゃない?
ルカ:それとも、まさか勝負から逃げないよね~?
彰人:そういう安い挑発には あんまり乗りたくねえっすけど……
彰人:(だが……)
彰人:(ルカさんは、オレが気づけてねえことを 直感で感じ取ってるようにも見える)
彰人:——わかりました。やりましょう
ルカ:やった! ありがとう、彰人くん! 私は歌で伝えるほうが得意だから、助かるよ!
MEIKO:だいぶ無理やり言いくるめたわね、ルカ
ルカ:これが私流なの! あ、じゃあ勝負のジャッジはメイコ達にお願いしよっかな
レン:お、いいね! やりたいやりたい!
ルカ:ありがと! それじゃ、始めよっか! 先攻は……私からでいい?
彰人:はい。大丈夫です
ルカ:よーし、それじゃ、全力全開でいくよ~!!
ルカ:♪————!!
彰人:(……やっぱりルカさんは、レベルが高えな。 初っ端からよく伸びて——)
彰人:……ん?
彰人:(この歌……どこかで聴いたことがあるような……)
彰人:(あ……そうか。 たしか冬弥達とキャンプに行った時に歌った——)
ルカ:♪————!!
彰人:(……やけに嬉しそうだな。 なんだかこっちまで、つられちまいそうになる)
ルカ:……うん! まずはこんな感じかな? じゃあ次彰人くん、いってみよー!
彰人:……はい!
彰人:♪————!!
彰人:(今のルカさんの歌は、たしかに良かった)
彰人:(だが……今のでオレに何を伝えたかったんだ?)
ルカ:うんうん、悪くないねー! それじゃこっからはスピード上げてガンガンいくよ!
ルカ:♪————!!
彰人:……!!
レン:あれ? さっきと歌いかたが全然違う!
MEIKO:そうね。 でもこの歌は……?
彰人:(こいつはたしか、 シェパードとやりあった時、オレが歌った……!!)
彰人:(……あの時は、いろいろあったな)
彰人:(あの時オレは、昔感じた限界を超えられた。 だが、あんなとこで満足していいはずねえって思って……)
彰人:(そのあと——大河さんに、謙さんに似てるって言われて、 少し胸のつかえが取れた)
ルカ:♪————!!
彰人:(しかし……さっきレンが言ってたとおり、 まるで雰囲気が全然違え。……まさに変幻自在だな)
彰人:(しかも……なんだ? それだけじゃねえ。 何かが掻き立てられる)
彰人:(胸の中の、何かが——)
ルカ:♪————! ♪————!
ルカ:……ふぅ。 さあ、次は彰人くんの番!
ルカ:彰人くんの気持ち、もっと全部、私にぶつけてよ!
彰人:オレの、気持ち……?
ルカ:そう! 今まで彰人くんが感じてきたこと、たくさんあるはずだよ。 それをお互いぶつけあおうよ!
彰人:オレが感じてきたこと……
彰人:(今オレが……感じた……)
彰人:♪……————
ルカ:いいねいいね! その感じだよ彰人くん!
レン:……なんだろう、メイコ! 今ちょっとだけ彰人の雰囲気が変わったよね?
MEIKO:ええ。ほんの少しだけれど……
MEIKO:……そう。そういうことなのね
レン:え、なになに?
MEIKO:多分ルカは、 彰人くんの気持ちを引き出して、解放してあげたのよ
レン:解放?
MEIKO:ええ
MEIKO:彰人くんは歌う時、もっと上へ—— 『超えたい』っていう気持ちで やってきたことが多いと思うの
MEIKO:そのやりかたは、何も間違ってないわ。 彰人くんがここまで成長できたのは、 そういうストイックさがあったからだもの
MEIKO:でもきっとその影には—— たくさん抑えつけてきた気持ちがあったと思うの
MEIKO:超えるために、楽しいことを諦める。 悲しさや不安を押し殺す
MEIKO:そういう枷は——自制心は、 前に進むために必要なことだわ。 でも彰人くんは、もうそれを十分頑張ってきた
MEIKO:だからきっと、今の彰人くんは次の段階
MEIKO:これまで、成長するために抑え込んできたいろいろな感情を 思いっきり解き放って、全力で歌に乗せる——
MEIKO:それを教えようとしているんだわ。 彰人くんの感じた、大切なことに気づかせて
MEIKO:……本当は謙さんも同じことを考えて、 一対一で歌っていたんじゃないかしら
MEIKO:けれど、謙さんは彰人くんにとって特別な存在だから…… 力が入ってしまった
MEIKO:だけど、ルカなら——
ルカ:♪————————————!!
彰人:(……不思議だ)
彰人:(感情が、自然とわいてくる)
彰人:(楽しさも、熱さも、悔しさも——)
謙:心配するな。 お前はもう、必要なものを持ってる
彰人:……! そうか……!
彰人:今オレの中にわいてきたものを、もっと歌に乗せれば……
ルカ:彰人くん、ストーーーップ!!
彰人:っ……!
レン:ちょ……! どうしたの、ルカ? せっかく彰人がノってきたのに!
ルカ:えっと、それはたしかにそうなんだけど……
ルカ:——そこから先は、謙さんとの勝負に取っておいてよ
ルカ:今、彰人くんの中には、 いろんなものがグルグルしてると思うんだ
ルカ:でもそれを向ける相手は、きっと私じゃないと思う
ルカ:憧れの謙さんに、ガツンとぶつけちゃえ!
彰人:……なるほど、わかりました
彰人:ありがとうございます。 ルカさんのおかげで、コツが掴めた気がします
ルカ:ふふっ、よかった!
ルカ:それじゃ彰人くんの全部、ドバーっと出してきてね!

第 7 话:あの夜の火は、今も

翌日 夜
WEEKEND GARAGE
彰人:お願いします、謙さん
謙:ああ
謙:(……今日は、ずいぶん落ち着いてるな。 いつもの追い詰められた様子がねえ)
謙:どうやら……何か掴んだようだな
謙:——それじゃ、今日はオレが先攻をもらおうか。 始めるぞ
彰人:はい!
謙:(……なるほど。 オレの歌に集中しようとしているのか)
謙:(なら……満足するまで聴いてもらおう)
謙:♪————————!!
彰人:っ……!
彰人:(……やっぱり、すげえ)
彰人:(謙さんの歌を聴くと、全身が熱くなる。 指の先までドクドク脈打ってるのがわかる)
彰人:(しかも、こんな間近で…… オレのためだけに歌ってくれてる)
彰人:(なんつーか……まるで奇跡だな)
彰人:(……この歌を、もっと感じろ)
彰人:(オレに消えねえ火をつけた、謙さんの歌を——)
謙:♪————————!!
彰人:(オレの心臓を動かし始めたのは、他の誰でもない。あんただ)
彰人:(あんたがいたからオレは、ここにこうして立ってる)
彰人:(そのあんたと向き合う楽しさを。 緊張を、興奮を、喜びを—— 無視して抑え込んでいいはずがなかったんだ)
彰人:(だからオレは、 あんたがくれたものを全身で感じて、そして——)
彰人:♪——————!!
彰人:(——それを力に、あんたを超える!!)
謙:……ようやくわかったか
謙:(お前は難しく考えすぎる癖がある。 だが、本当はもっとシンプルでいい)
謙:(お前の感じたものを—— 喜びも、悲しみも、怒りも、すべて燃料にすればいい)
謙:(それが、お前の歌になる)
彰人:♪————————っ!!
彰人:……はぁ、はぁ、はぁ……
謙:——いい歌だ
謙:だが……まだ終わっちゃねえぞ
彰人:え……
謙:♪————————!!!!
彰人:(……! この歌は……!)
彰人:(RAD WEEKENDの時の……!)
彰人:(本気でぶっ潰しにきたってことかよ……!)
謙:♪————————!!!!
彰人:(……クソ。 情けねえ……覚悟してきたってのに)
彰人:(手が……震える……)
彰人:(こんなもん、オレは本当に……)
彰人:(そうじゃねえ。 そうじゃねえだろ……!)
彰人:(燃やせ……! もっと燃やせ!)
彰人:(オレの中にあるもん、全部——!)
彰人:(なあ……謙さん)
彰人:(オレはRAD WEEKENDに出会って、 数えられねえくらい、たくさんのものをもらったんだ)
彰人:(最初は苦しいことばかりだった。 何回折れそうになったかわからねえ)
彰人:(でも——)
彰人:(それでも————)
彰人:(必死で走るオレの横に、あいつらがいてくれた)
彰人:(そんで—— 手に入れて……失って…… こんだけボロボロになってもまだ進めるのは——)
彰人:(この胸の真ん中に、あの夜があるからだ!)
彰人:♪————————————————!!!!
彰人:(——なあ、謙さん)
彰人:(あの夜つけられた火は、今も、オレの中で燃え続けてる)
彰人:(あんたには本当に、感謝してもしきれねえ)
彰人:(だから——)
彰人:(だからオレは、あんたを超える)
彰人:(……そうだ。 最後はやっぱり、こいつが残るんだ)
彰人:(オレをこの場所まで突き動かした、この想いが——)
彰人:(——謙さん)
彰人:(オレはあんたを超えて—— RAD WEEKENDを超えて、その先に行く!!)
彰人:♪————————————————!!!!
謙:…………熱いな
彰人:……はぁ、はぁ、はぁ……!
彰人:(クソ、もう、立ってられねえ……!)
謙:よくやった、彰人
彰人:え……
謙:今オレは、心の底から見たいと感じた
謙:お前が——お前達が、オレ達の先に行く姿を
彰人:……ありがとうございます!
数週間後
謙:さて——お前達、今日までよく頑張ったな
謙:実力は、全員及第点だ。 機は熟したってやつだな
謙:——彰人
彰人:はい!
謙:いよいよ前哨戦だ。 準備はいいか?
彰人:はい。 いつでもやれます
杏:あーあ、せっかくの復活1発目だから、 一緒に歌いたかったけど……
杏:でも、彰人ならきっと、ドカンと火をつけてくれるよね!
こはね:うん! 東雲くん……頑張って!
冬弥:——彰人
冬弥:お前の努力は、お前を裏切らない。 ……俺はそう思う
彰人:ありがとな、お前ら
謙:オレ達は、水を差さないよう、通りの向こうで見ている。 思いっきりやってこい
彰人:はい
彰人:そんじゃ——行くとするか

第 8 话:火をつけろ!

ビビッドストリート
こはね:頑張って……東雲くん……!
彰人:——んじゃ、いくか
彰人:(……! あれは……)
彰人:(……そうか)
彰人:(見てろよ、三田)
彰人:——お前ら、久しぶりだな
彰人:お前らのあいだで、 オレ達が噂になってんのは知ってる
彰人:大河さんに負けて、 Vivid BAD SQUADは解散した。 街から逃げ出した、ってな。だが——
彰人:——オレ達は、何ひとつ諦めてねえ!
彰人:RAD WEEKENDはオレ達が超える!
彰人:今日はその狼煙を上げに来た!!
洸太郎:……あいつら……
洸太郎:あいつらやっぱり、諦めてなんかなかったんだ……!!
彰人:(……これが、オレ達の最初の一歩だ)
彰人:(不思議なもんだな。 しくじったら取り返しのつかない大役だってのに——)
彰人:(早く歌いたくて仕方がねえ……!)
彰人:♪——————!!
洸太郎:…………っ!?
街の若いミュージシャン達:な……なんだ!?
街の若いミュージシャン達:すげえ迫力だ……!
彰人:♪——————————————!!
Crawl Greenオーナー:あれが本当に、あの東雲くんなのか……!?
洸太郎:………………なんだよ、この歌
洸太郎:どんだけ練習したら、ここまで……
洸太郎:あいつ……知らねえうちに、あんなとこまで行っちまって……
洸太郎:(……いや)
洸太郎:(思えば、最初っからそうだったな)
洸太郎:(あいつは最初、声がでかいだけなんて馬鹿にされてた。 オレも、同じように思ってた)
洸太郎:(こいつは何も特別じゃない。 才能のねえ、平凡なヤツだって)
洸太郎:(でも、あいつはすげえ努力するから、 バカにしてる連中なんかあっという間に追い抜いちまって——)
洸太郎:(……気づいたらオレは、あいつの歌が大好きになってた)
彰人:♪————!! ————!!
街の若いミュージシャン達:……あいつ、マジで何があったんだよ!?
街の若いミュージシャン達:もしかして俺達……今、すげえもん聴いてんじゃねえか!?
洸太郎:(オレとあいつは……何が違ったんだ?)
洸太郎:(何が……)
洸太郎:(……そんなの、決まってる。 オレが、どんなに頑張っても下手くそなのは、 きっと……度胸がねえからで……)
洸太郎:(それですぐ逃げ出して、 あいつみたいに、歌と最後まで向き合えねえから……)
洸太郎:(だから……あいつみたいには……)
洸太郎:(あいつみたいに……歌いてえな……)
洸太郎:(……オレも、諦めたくねえ。 今は下手くそでも、いつか……あんな風に……!)
彰人:♪————!! ————!!
洸太郎:(それで、また——)
洸太郎:(また、あの日みたいに……!)
彰人:♪——————————————!!
彰人:……わかったか。オレ達の覚悟が
彰人:4人そろえば、こんなもんじゃねえ。 もっとすげえもんをお前らに見せてやる!
街の若いミュージシャン達:今のよりも、もっと……!?
彰人:——次のイベントだ!
彰人:次のイベント、COLで、 RAD WEEKENDを超える!!
街の若いミュージシャン達:は……!?
街の若いミュージシャン達:本気で言ってんのかよ!?
洸太郎:次の……!?
彰人:——RAD WEEKENDは、 ただの伝説のイベントじゃねえ
彰人:そこに込められた願いも、想いも、 ……オレ達は知ってる
彰人:だが——
彰人:オレ達はその想いも背負って、超える!
彰人:それでお前らに、あの夜を——いや
彰人:新しい伝説を見せてやる!
洸太郎:…………!!
彰人:だから、ついてきてくれ
彰人:一緒に超えてえってヤツは、オレ達についてこい!!
洸太郎:(一緒に……)
洸太郎:(……オレも……!)
洸太郎:(……いや……ダメだ)
洸太郎:(一度諦めて、あいつらから逃げちまったオレが、 そんな簡単に戻っていいわけねえ……)
洸太郎:(だいたい、あいつらに合わせる顔だって……)
Crawl Greenオーナー:……行かねえのか?
洸太郎:え? あ……いえ、オレは……
洸太郎:オレは……
洸太郎:……もう、あいつらの足を引っ張りたくないんです
洸太郎:それに、あんな……あんなみじめな気持ち……
Crawl Greenオーナー:……お前は、このままでいいのか?
洸太郎:……っ
洸太郎:(このまま……)
洸太郎:(このまま……また逃げだすのか?)
洸太郎:(下手くそで、臆病な自分のままで…… この先も、ずっと後悔して生きていくのか?)
洸太郎:それは……
洸太郎:…………いやだ……
洸太郎:……もう、諦めたくない……。 あいつみたいに自分の歌と向き合って、少しでも——
洸太郎:……彰人……!
洸太郎:——彰人! 待ってくれ!!
洸太郎:オレも行かせてくれ! もう一度、一緒に……!!
洸太郎:どの面さげてって思うかもしれねえけど…… でも、このとおりだ……! 頼む!!
彰人:三田……
洸太郎:オレは……お前みたいに歌いてえ……
洸太郎:お前と、お前達と…… RAD WEEKENDを超えたいんだ……!!
彰人:『オレみたいに歌いたい』 『オレ達と超えたい』って程度の想いじゃ、どうにもならねえ
洸太郎:あ…………
洸太郎:…………
彰人:覚悟はできるか?
洸太郎:え?
彰人:『超えるためならなんでもする』 そういう気持ちが——度胸があるか?
洸太郎:…………っ
洸太郎:(度胸、が……オレには……)
洸太郎:————ある!!
洸太郎:オレはもう二度と、逃げねえ!!
洸太郎:お前らと一緒に——超えるんだ!!
彰人:……ったく、腹くくるのが遅いんだよ
洸太郎:……!
彰人:やるぞ。一緒にな
洸太郎:……ありがとう! 彰人……!
彰人:別に、礼を言われるようなことはしてねえよ
彰人:それに——
彰人:お前は自分が下手くそだって言うけど、そんなことねえよ。 お前はちゃんと……熱い歌が歌える
彰人:オレ達には、お前の歌が必要だ。 だから……一緒にRAD WEEKENDを超えるぞ
洸太郎:……! おうっ!
WEEKEND GARAGE
彰人:——ってわけで、だ
彰人:お前ら、仲間がひとり戻ってきたぞ
洸太郎:あ…………
洸太郎:その、オレ——
杏:おかえり、洸太郎!
洸太郎:え……!
冬弥:戻ってきてくれて……本当にありがとう。 また、よろしく頼む
こはね:一緒にRAD WEEKENDを超えましょう! 三田さん!
洸太郎:——ああ! またよろしくな、お前ら!
謙:——彰人
彰人:あ……謙さん
謙:ここから覗いてみろ、通りにいる連中を
街の若いミュージシャン達:あいつら、次のイベントでって……本気なのか!?
街の若いミュージシャン達:しかもCOLって、もうとっくに閉まってんだろ? どういうことだ?
街の若いミュージシャン達:わかんねえけど、でも、さっきの歌は……。 東雲だけであんだけやれるんなら、本当に……
謙:あれが、お前がつけた火だ
彰人:……はい
彰人:でも、今日はまだ前哨戦です
彰人:オレは、あの火をもっと燃え上がらせてみせます。 次は——
彰人:あいつらと一緒に
謙:……そうか。 期待してるぞ
彰人:はい。 その期待も、超えてみせます。きっと
謙:さて——彰人の力で、オーディエンスに火がついた
謙:次は、お前達の番だな
彰人:(……そうだ。ここからが本当の勝負だ)
彰人:やるぞ、お前ら!! この街を、丸ごと動かすぞ!!
杏・こはね・冬弥・洸太郎:『うん!』 『ああ!』 『おう!』