活动剧情

変わらぬあたたかさの隣で

活动ID:117

第 1 话:嬉しい知らせ

瑞希の部屋
瑞希:最後に、エフェクト追加して……
瑞希:よーっし、できたー! このレース使った切り替え、めちゃくちゃいいんじゃない!? カワイイし、まふゆの歌詞も活かせてるし……!
瑞希:さっそく、みんなに見てもらっちゃお♪ 『MVできたよ~!我ながら自信作!感想求む』っと……
瑞希:……でも、次の曲は絵名のラフ待ちだし、 返信来るまでやることなくなっちゃったな~
瑞希:そうだ、ちょっとだけアレ見てみよっと!
瑞希:えっと……あったあった、初売りの福袋情報! もうすぐお正月だし、何買うか決めとかなきゃね~
瑞希:……あ! このブランドも福袋出すんだ! しかも、3万円分のアイテムが1万円で買えちゃうって お得すぎじゃない!?
瑞希:販売店舗は……お、ショッピングモールの中にある店も 入ってるじゃん
瑞希:ネットで注文してもいいけど…… 初売りの空気も楽しみたいし、直接ゲットしに行っちゃおーっと♪
瑞希の母の声:瑞希ー、オレンジ剥いたんだけど、食べる?
瑞希:え、ホント!? 食べる食べる~!
瑞希:ありがと、お母さん!
瑞希の母:はーい。あ、それと……
瑞希の母:さっき、お姉ちゃんから電話かかってきたんだけど、 お正月、久しぶりに帰ってくるって!
瑞希:——え? お姉ちゃんが……!?
瑞希の母:うん。大晦日にフランスの空港を発って 元日の夕方、こっちに着くみたい
瑞希:……! じゃあ、来週には会えるんだ!
瑞希の母:ふふ、楽しみだね
瑞希:……うん!
瑞希の母:じゃ、オレンジ、リビングのテーブルに置いておくから、 食べに来てね
瑞希:わかった! もうちょっとしたら行くよ
瑞希:……そっか。お姉ちゃん、帰ってくるんだ
瑞希:メールとか電話でやりとりはしてたけど、 直接話すのは……中学生の時以来かな?
瑞希:……話したいこと、いっぱいあるな
瑞希:あ、せっかく会えるんだから遊びにも行きたいな~。 どこかいい場所は……
瑞希:……そうだ、初売り!
瑞希:お姉ちゃん、日本の服もいろいろ見たいだろうし、 ボクも、久しぶりに一緒に買い物したいな
瑞希:(中学に上がってからは、あんまり行かなくなっちゃったけど…… 昔は、よく服選んでもらってたもんね)
瑞希:(お姉ちゃんが作ってくれた服を着て 出かけたりもして——)
数年前
小学生の瑞希:わぁ……!
瑞希の姉:よし! 全身コーディネート、完成~!
小学生の瑞希:すごいすごい! くつも、リボンも、お姉ちゃんが作ってくれたブラウスに ぴったりだし、すっごくかわいい……!
小学生の瑞希:でもボク、こんなにかわいくしていいのかな?
瑞希の姉:いいに決まってるじゃん! 瑞希、す~っごく似合ってるもん!
瑞希の姉:あ、向こうにあるアクセも見に行こうよ!
小学生の瑞希:……うんっ!
瑞希:……懐かしいな。 お姉ちゃんにコーディネートしてもらうの、大好きだったっけ
瑞希:えへへ。今度は、ボクがお姉ちゃんに合う服 選んであげたりもしたいな~
瑞希:……よし! そうと決まれば、 さっそくお姉ちゃんに初売り行こうってメールしよーっと!
数時間後
瑞希:『——ってことで、 お正月はお姉ちゃんが帰ってくるから、 あんまり作業できなくなっちゃうかもしれないんだ』
奏:『わかった。せっかく久しぶりに会えるんだし、 お姉さんとゆっくり過ごしてほしいな』
絵名:『Amiaのお姉さんって、 たしか、海外でファッションデザイナーやってるんだっけ?』
瑞希:『そうそう! だから、デザインもそうだけど、 コーディネートのセンスもすっごくいいんだよ!』
瑞希:『帰ってきたら、初売り行って 一緒にカワイイ服探すつもりなんだ♪』
絵名:『初売りか……そういえば、 もう福袋のネット注文始まってるよね。 私もあとでチェックしなきゃ』
奏:『へえ……福袋って、ネットでも買えるんだね』
絵名:『うん。お正月ってどこも混んでるから、 あんまり外出たくないし、便利だよね』
瑞希:『あ、さては寝正月する気満々だな~? お正月で暇だからって、寝て食べてばっかだと太っちゃうよー?』
絵名:『うるさいな。今年は絵画教室の課題とか、親戚回りとか、 いろいろやることあって忙しいの』
まふゆ:『……あ……』
奏:『……雪、どうしたの?』
まふゆ:『……なんでもない。ただ、私も……お正月は毎年、 お母さん達と親戚の家に挨拶に行ってたなって……』
絵名:『あ……』
瑞希:(……そうだよね。 お正月って、家族と過ごすことが多いし…… いろいろ、考えちゃうよね)
瑞希:『……じゃあ、息抜きにちょっと 出かけてみるといいんじゃない? 引きこもってると健康にも良くないしさ!』
奏:『健康……たしかに、最近寒くてあんまり外に出てないし、 散歩とかしてみようかな』
まふゆ:『……K、前に足を滑らせて 転びそうになってなかった?』
絵名:『え、そうなのっ!? お正月にケガとか縁起悪いし、気をつけてね?』
奏:『う、うん……ありがとう』
瑞希:『あはは。お互いケガなく健康に、いいお正月にしようね!』

第 2 话:いざ、初売りへ!

1月2日 初売り当日
ショッピングモール
瑞希:うわー、相変わらずすっごい人……。 はぐれないように気をつけなきゃね
瑞希の姉:だね。まずはどこ行こっか。 瑞希、欲しい福袋あるって言ってたよね?
瑞希:うん! 最近お気に入りのショップのなんだけど、 レースの柄とか、ボタンの形とか 細かいとこまでこだわっててすっごくカワイイんだ!
瑞希:あ、でも、今日はお姉ちゃんが行きたい店もたくさん回ろうね! 久しぶりに戻ってきたんだから
瑞希の姉:ありがと! ふふ。実は、楽しみでいっぱい調べてきてるんだ♪
瑞希の姉:じゃあ、最初に瑞希の福袋買ったあと 私の買い物につきあってもらっちゃおっかな
瑞希:オッケー! こっちだよ!
???:わ~、やったよしほちゃん、 割引券当たっちゃった!
瑞希:——あれ?
瑞希:(今の声って——)
瑞希の姉:瑞希? どうかした?
瑞希:あ……ううん、なんでもない!
瑞希:(ん~……気のせいかな)
咲希:コマにかるたに、だるま落とし……これだけあれば、 いっぱいお正月の遊びを楽しめそうですね!
MEIKO:『うん、リン達すっごく喜びそう! ふたりとも、買い物につきあってくれてありがとね!』
MEIKO:『お正月っぽいことをしてみようにも、 セカイにある物でってなると、書初めしかできなかったから すっごく助かったよ』
志歩:いえ。メイコさん達には いつもお世話になってるので、これくらいは
咲希:それにしても、年末セカイに行った時はびっくりしたな~! メイコさん達が、すっごく真剣に習字の練習をしてて!
MEIKO:『あはは、驚かせちゃってごめんね』
数日前
KAITO:……あ。最後、墨がかすれちゃった
MEIKO:『払い』って難しいよね。 力を入れすぎても抜きすぎてもダメっていうか……
咲希:こんにちはー! ……って、ええっ!?
志歩:なんで、習字してるの?
ミク:あっ! みんな、来てたんだね。 ごめん、集中してて気づかなかった
ルカ:もうすぐお正月でしょう? だから、書初めをしようと思って今から練習していたの
MEIKO:あ……そういえば、 志歩って昔、習字を習ってたんだよね?
志歩:え? まあ……一応。 小学生の時なので、だいぶ昔ですけど
MEIKO:よかったら、『払い』のコツを教えてくれない? 私達だけだとなかなかうまくできなくて
志歩:ああ、なるほど……。 そんなに詳しくは教えられないと思いますけど、それでもよければ
MEIKO:ありがとう、助かるよ!
志歩:えっと……練習してるのは、『右払い』ですね。 だったら、払い始めのところで一度筆を止めて……
志歩:横に押し出すように、ゆっくり引き抜いてください。 筆が紙から離れても進むつもりで書くと、 切れたり掠れたりしにくいですよ
MEIKO:横に押し出すように、ゆっくり……
MEIKO:あ……さっきよりいい感じに書けたかも!
リン:あ~、めーこ姉ずるい! しほっち、あたしもあたしも~!
レン:わがまま言うなよ。 志歩達はこれから練習なんだから、メイコから教わればいいだろ
MEIKO:『習字を教えてくれてありがとう、志歩。 あのあとも、何度か様子を見に来てくれたおかげで、 みんなも納得いく字が書けたみたいだよ』
志歩:たいしたことはしてないですけど…… でも、力になれたならよかったです
志歩:……じゃあ、目的のものは全部買えたし、 そろそろ帰ろうか
咲希:あ、ちょっと待って! 帰る前に、みんなにお土産を買わない?
咲希:ほら! いっちゃんとほなちゃん、 今日おうちの用事で来れなかったでしょ?
MEIKO:『ああ、たしかに。 買っていってあげたら、みんな喜びそうだね』
咲希:はい! それと……アタシ、 お兄ちゃんにもお土産を買いたいんです
咲希:お兄ちゃん、最近すっごくがんばってるから プレゼントを渡して応援したくって!
志歩:司さんが?
咲希:うん。家でも暇があれば練習してて、 いつもは読まない本とかも読んで勉強してるみたい
咲希:今日も『勉強のために』って、 えむちゃん達とショーを見に行ってるんだ
MEIKO:『ふふ、勉強熱心だね』
MEIKO:『それじゃ、お兄さんにも素敵なプレゼントを選ばないとね』
志歩:……そうですね。 なら、お土産見に行こうか
咲希:やったー!
咲希:……そうだ! しほちゃんも、しずく先輩に何か買って行ったら?
志歩:え、お姉ちゃんに?
咲希:うん! しずく先輩も モモジャンの活動がんばってるみたいだし!
咲希:それに、しほちゃんがプレゼントあげたら、 す~っごく喜ぶんじゃないかなって!
志歩:(たしかに……お姉ちゃん、最近すごく忙しそうだな。 お正月も、生配信があってゆっくりできなそうだったし)
志歩:……まあ、いつも私達のこと応援してくれてるから、 たまにはこっちが応援するのもいいかもね
MEIKO:『じゃあ、私にもお土産探すの手伝わせてほしいな。 おもちゃを選んでくれたお礼もしたいし!』
志歩:ありがとうございます、メイコさん
咲希:よーっし、お土産探しにレッツゴ―!
瑞希:ふ~。けっこう並んだけど、無事に買えてよかったー!
瑞希の姉:早めに並んでおいてよかったね! あと10個くらいしかなかったもん
瑞希:ね~! 売り切れないかなって冷や冷やしちゃったよ!
瑞希:ねえお姉ちゃん、ちょっとだけ福袋の中覗いていい? どんなのが入ってるか気になっちゃって!
瑞希:今見ておけば、このあとそれに合う服も探せるしさ!
瑞希の姉:たしかに! じゃあ、そこのベンチ座ろっか
瑞希の姉:たしか、トップスとボトムスが2点ずつと、 小物が入ってるんだよね?
瑞希:そうそう! えっと……
瑞希:あ……小物はシュシュだ!
瑞希:色は紫で大人っぽい感じだけど、 フリルがついててカワイイ~!
瑞希:(これ、まふゆに似合いそう……! 今度、つけてみてってお願いしてみよっと!)
瑞希:えへへ♪ トップスは何かな~
瑞希の姉:わ……! そのピンクのカットソー、瑞希に似合いそ~! いや、絶対似合う! 間違いないよ!
瑞希:え~? そんなこと……あるかも!? 袖のレース、ふわっとしててめっちゃカワイイし、 これは当たり引いちゃったね!
瑞希の姉:うーん……よし、予定変更!
瑞希の姉:このあとは私の買い物に付き合ってもらう予定だったけど…… その前に、カットソーに合うボトムス探しに行こうよ!
瑞希:えっ? でも、お姉ちゃんも行きたい店あるんじゃ……
瑞希の姉:そんなのあとでいいって!
瑞希の姉:私、初売りの話聞いた時から 『久々に瑞希の服選べる!』って楽しみにしてたんだ
瑞希の姉:だからさ、お姉ちゃんにどどーんとコーディネートさせてよ!
瑞希:お姉ちゃん……
瑞希:えへへ……じゃ、お願いしちゃおっかな♪
瑞希の姉:うん、任せて!
瑞希:じゃあ、残りもささっと確認しちゃおう! もうひとつのトップスは——
瑞希:(……やっぱり、お姉ちゃんと買い物するの、楽しいな)
瑞希:(それに……なんだろう。 お姉ちゃんといると、ほっとできる気がする)
瑞希:(……懐かしいな、この感じ)
瑞希:(自然とありのままでいられるっていうか…… 余計なこと何も考えなくていいから、楽だな)

第 3 话:思い出すのは

ファミリーレストラン
瑞希:ふ~、やっと座れた~!
瑞希の姉:フードコートはどこも混んでたから 近くのファミレスに来てみたけど、入れてよかったね
瑞希:ホントだよ~。 歩きっぱなしで疲れてたから、救世主って感じ!
瑞希の姉:あはは、いろんなショップ回ったもんね~
瑞希の姉:でも、楽しかったな。 久しぶりに瑞希と買い物できて!
瑞希:ボクも! ちょっと、昔に戻ったみたいだったな
瑞希:あの頃は、お姉ちゃんが作ってくれた服着て 出掛けたりもしてたよね!
瑞希の姉:わ、懐かし~! 今日みたいに、服に合わせてくつとか選んだっけ
瑞希の姉:瑞希がすっごく喜んでくれて、私も嬉しかったな~
瑞希:(……あの頃も、いっぱい嫌なことはあったけど……)
瑞希:(でも、お姉ちゃんと買い物してる時は、 そういうのも、忘れられたんだよね)
小学生の瑞希:……あーあ
小学生の瑞希:(せっかく、お姉ちゃんが作ってくれた服を着て 学校行ったのに……)
小学生の瑞希:…………
小学生の瑞希:(……大丈夫だよね。 お姉ちゃん、似合ってるって言ってたし……)
クラスメイトA:みずき、おはよう!
小学生の瑞希:お、おはよ……
クラスメイトA:あれ? 今日の服……
小学生の瑞希:う、うん……
クラスメイトA:す~っごくかわいいね!
小学生の瑞希:えっ……
小学生の瑞希:あ……ありがとう! これ、お姉ちゃんに作ってもらったんだ
クラスメイトA:そうなの? すごーい、お店で売ってるみたい!
小学生の瑞希:(よかった……かわいいって言ってもらえた……!)
小学生の瑞希:えへへ、ボクが好きな色とかフリルも入れてもらったんだよ
小学生の瑞希:このくつも、一緒に選んでもらって——
クラスメイトB:え~、たしかにかわいいと思うけど……
クラスメイトB:みずきが着てるのは変じゃない?
小学生の瑞希:え……
クラスメイトC:そうだよ。なんでそんな服着てるの?
小学生の瑞希:…………
小学生の瑞希:…………っ
小学生の瑞希:なんでって、そんなの……
小学生の瑞希:好きだからに、決まってるじゃん
小学生の瑞希:(どうして、ボクがかわいい服を着たら変なの?)
小学生の瑞希:(みんなと、違うから……?)
小学生の瑞希:(でも……それって、いけないことなの?)
小学生の瑞希:(ボクは、好きな格好をしてるだけなのに……)
小学生の瑞希:(……おかしいよ、そんなの)
小学生の瑞希:(でも……)
小学生の瑞希:(もう、変って言われるのも、 こそこそされるのも、いやだ……)
???:——瑞希?
小学生の瑞希:えっ?
小学生の瑞希:あ……お姉ちゃん……
瑞希の姉:帰り道で会うなんて、偶然だね。 学校、どうだった——
瑞希の姉:……何か、あったの?
小学生の瑞希:……なんでもない
瑞希の姉:……本当に?
小学生の瑞希:(……言えないよ)
小学生の瑞希:(だって……)
小学生の瑞希:(この服は、お姉ちゃんがボクのために 作ってくれた服なんだもん)
小学生の瑞希:(話したら、お姉ちゃんもきっと、悲しい思いしちゃう)
瑞希の姉:瑞希……
瑞希の姉:……そうだ! 今から、一緒に買い物行かない?
小学生の瑞希:え……?
瑞希の姉:気分転換! お姉ちゃん、いっぱい勉強して頭疲れちゃったから、 リフレッシュしたいんだ!
瑞希の姉:ね? お願い
小学生の瑞希:…………

第 4 话:大事な気持ちを

ショッピングモール
瑞希の姉:さて、着いたっと!
瑞希の姉:まずはどこ行こっか。 瑞希、見たいお店ある?
小学生の瑞希:…………
瑞希の姉:いつもの雑貨屋さんは? あ、2階に新しいジュエリーショップ入ったみたいだよ。 行ってみない?
小学生の瑞希:え……ジュエリーショップ?
小学生の瑞希:(……どんな感じなんだろう? かわいいのもあるかな?)
クラスメイトB:みずきが着てるのは変じゃない?
小学生の瑞希:あ…………
小学生の瑞希:ううん、大丈夫
瑞希の姉:……そっか……
瑞希の姉:……じゃ、甘いものでも食べよう!
瑞希の姉:クレープ買ってくるから、 そこのベンチに座って待っててよ
小学生の瑞希:……わかった
小学生の瑞希:(……お姉ちゃん、困らせちゃってるな)
小学生の瑞希:(……ここに来たのって、ボクが落ち込んでたから……だよね)
小学生の瑞希:(なのに、ボク……)
小学生の瑞希:(でも、このままだと……)
小学生の瑞希:(また、みんなに変って言われちゃう)
小学生の瑞希:(それはもう……いやなんだ)
小学生の瑞希:(変だって……みんなと違うって言われると、 ボクがいちゃいけないって言われてるみたいで……)
小学生の瑞希:(苦しいし……寂しいよ……)
小学生の瑞希:(だから……もう……)
小学生の瑞希:あ……
小学生の瑞希:(あそこのお店のワンピース、新作かな? この前、お姉ちゃんと来た時はなかったし)
小学生の瑞希:(リボンもフリルもいっぱいで、やっぱり……)
小学生の瑞希:……かわいい、な…………
小学生の瑞希:すごいすごい! くつも、リボンも、お姉ちゃんが作ってくれたブラウスに ぴったりだし、すっごくかわいい……!
小学生の瑞希:(……いやだ……)
小学生の瑞希:(やっぱり、ボクは……)
瑞希の姉:おまたせ、クレープ買ってきたよ! 瑞希の好きなイチゴ味~
小学生の瑞希:…………
小学生の瑞希:……お姉ちゃん
小学生の瑞希:ボクって……やっぱり、変なのかな?
瑞希の姉:……どうして? 変じゃないよ
小学生の瑞希:じゃあ……なんで変って言われるの?
瑞希の姉:…………、それは……
小学生の瑞希:ボク……思ったんだ。 かわいいもののこと、好きじゃなくなっちゃえばいいのかなって
瑞希の姉:え……
小学生の瑞希:そうすれば、もう変って言われなくなるし…… いやな気持ちにも、ならなくなるから
小学生の瑞希:でも……
小学生の瑞希:ボク……かわいいものも、 お姉ちゃんが作ってくれた服も、大好きなんだ
小学生の瑞希:好きじゃないなんて、言いたくないよ……
瑞希の姉:瑞希……
瑞希の姉:……ごめん
瑞希の姉:瑞希がそんなに悩んでたこと、 私、全然わかってなくて……ごめんね
瑞希の姉:……そうだよね
瑞希の姉:周りに嫌なこと言われるのも、 かわいいものが好きって気持ちを我慢するのも…… どっちも、苦しいよね
小学生の瑞希:……っ、…………
瑞希の姉:でもね……私、思うんだ
瑞希の姉:『かわいいものが好き』って気持ちは、 持ったままでいいんじゃないかな……って
小学生の瑞希:——え?
瑞希の姉:だって、それは……瑞希の大事な気持ちでしょ?
小学生の瑞希:……でも、それじゃあ……
瑞希の姉:……うん。 また、嫌なこと言われちゃうかもしれないよね
瑞希の姉:それで……嫌なこと言われないように、 かわいいものを我慢しないといけなくなっちゃうことも…… あるのかもしれない
瑞希の姉:でも……周りに合わせて、 『かわいいものが好き』って気持ちまで捨てなくても、 いいんじゃないかな……?
瑞希の姉:だって……瑞希は絶対に、変なんかじゃないもん
瑞希の姉:私は、かわいいものが好きな瑞希のこと、大好きだよ
小学生の瑞希:お姉ちゃん……
瑞希の姉:だから……私は、 瑞希には、瑞希の気持ちを大事にしてほしいな
小学生の瑞希:(……いい、のかな)
小学生の瑞希:(ボク、このまま……かわいいものを好きでいても)
小学生の瑞希:(それでまた何か言われちゃうのは、やっぱり怖いけど……)
小学生の瑞希:(……でも、ボクのこと、変じゃないって。 大好きって言ってくれるお姉ちゃんがいてくれるなら……)
小学生の瑞希:……うん
瑞希の姉:……ねえ。 クレープ食べたら、私の買い物につきあってくれない?
瑞希の姉:新しい服を作ってるんだけどさ、 どんなボタンをつけようか迷ってるんだ
小学生の瑞希:え、ボタン……?
瑞希の姉:うん。今作ってるのは自分の服なんだけど…… せっかくなら、また瑞希に『大好き』って 思ってもらえる服にしたくって!
瑞希の姉:だから、瑞希が好きなもののこと、 もっと教えてくれない?
小学生の瑞希:あ……
小学生の瑞希:……うん!
瑞希:(……あのあとも、やっぱり、いろいろ嫌なことはあって……)
瑞希:(ちょっとずつ疲れていって、 ボクでいるのを諦めちゃうこともあった)
瑞希:(でも——あの時、お姉ちゃんが ボクの気持ちを大事にしてって言ってくれたから……)
瑞希:(どんなに苦しくても、 『カワイイものが好き』って気持ちだけは、 手放さないでいられたんだよね)
瑞希の姉:瑞希? どうしたの?
瑞希:あ……ううん! ちょっと、昔のこと思い出してたんだ
瑞希:お姉ちゃんが作ってくれた服着て 一緒に買い物するの、楽しかったな~って
瑞希の姉:ふふ、瑞希のためにいっぱい作ったよね
瑞希の姉:そういえば瑞希、私がミシン使ってると、 よく部屋に来てじ~っと見てたよね? あれ、かわいかったな~
瑞希:え~、そんなことまで覚えてるのー?
瑞希の姉:覚えてるよ! フリルとかボタン縫いつけるたびに『カワイイ!』って 言ってくれるから、嬉しくて——
瑞希:う……ボクの話はいいからさ、 お姉ちゃんの話聞かせてよ!
瑞希:向こうでの生活とか、仕事のこととか、 いろいろ聞けるの楽しみにしてたんだ!
瑞希の姉:ふふ、わかった。 じゃあ何から話そうかな——

第 5 话:新春・お土産探し

1時間後
ショッピングモール
瑞希:よーっし、ファミレスでバッチリ休憩したし、 後半戦もはりきっていこ~!
瑞希の姉:おー!
瑞希:まずはどこに——って、あっ!
瑞希:あそこにいるのって……
瑞希:おーいっ! 咲希ちゃ~ん!
咲希:え?
咲希:みずきちゃん!
咲希:あっ、あのメイコさん……
MEIKO:『うん、隠れてるね』
志歩:……すみません、よろしくお願いします
瑞希:あけおめ~! 咲希ちゃんも初売り来てたんだね!
咲希:あけおめ~! えへへ、今年もよろしくね♪
咲希:えっと、隣の方は……
瑞希の姉:瑞希の姉の、暁山優希です。 よろしくね、咲希ちゃん
咲希:わ~、お姉さんだったんですね! よろしくお願いします!
咲希:あ、こっちは一緒にバンドをやってるしほちゃんです!
志歩:はじめまして。 日野森志歩です
瑞希:あっ、見覚えあると思ったら、 Leo/needのライブで咲希ちゃんと演奏してた子か!
瑞希:ていうか、日野森ってことは……
瑞希:もしかして、キミが雫ちゃんが言ってた『しぃちゃん』!?
志歩:え? 姉と知りあいなんですか?
瑞希:雫ちゃんとは裁縫仲間だからね♪ たまに一緒に手芸店行ったり、作業したりしてるんだ~
瑞希:よく会話に『しぃちゃん』が出てくるから、 どんな子なんだろ?って気になってたんだよ
志歩:……お姉ちゃんってば……
瑞希:あはは♪ そういうわけで、よろしくね!
志歩:……うん、よろしく。えっと……
瑞希:あ、ボクは暁山瑞希! 同い年だと思うし、瑞希って呼んでくれていいから!
志歩:わかった
瑞希:ていうか、ここギフトコーナーだよね? 誰かにプレゼント選んでたの?
咲希:うん! 一緒にバンドやってる子とお兄ちゃんに、 お土産を買っていこうと思って!
咲希:しほちゃんも、今ちょうどしずく先輩へのお土産を——
志歩:ちょっと咲希、別に言わなくていいから
瑞希:雫ちゃん、志歩ちゃんのこと大好きみたいだし絶対喜ぶね! もう何渡すか決まってるの?
志歩:いや、まだ考え中なんだ
咲希:美容グッズがいいかなって話してたんだけど、 しずく先輩こだわりがありそうだから、悩んでたんだよね
瑞希:なるほどね。 雫ちゃんへのプレゼントか……
瑞希:……あ! じゃあ、服とかアクセはどうかな? それなら普段使いもできるし!
志歩:服とかアクセ、か……
咲希:たしかにいいかも! じゃあ、どんな服が合いそうか考えてみようよ!
瑞希の姉:……雫ちゃんって、もしかしてモモジャンの?
瑞希:そうそう! 前に、友達になったって話した雫ちゃん!
瑞希の姉:あ、やっぱり! あの綺麗な子だよね。それなら——
瑞希の姉:もともと華があるから、鮮やかな色が似合いそうだね。 デザインもシンプル目のとこにして……
瑞希の姉:……ねえ瑞希、休憩前に行ったお店の服とか合いそうじゃない?
瑞希:あっ、たしかに!
咲希:わ~、ゆうきさん、詳しいですね……!
瑞希:お姉ちゃん、ファッションデザイナーなんだ! だから、こういう時すっごく頼りになるんだよ
志歩:へえ……すごいな
瑞希の姉:よければ、お店まで案内しようか? 選ぶ時もアドバイスできるかもしれないし
志歩:え? でも、ふたりも買い物があるんじゃ……
瑞希:ボク達は全然大丈夫だよ! もともと行きたかったところはもう回っちゃってるしね!
瑞希:雫ちゃんには仲良くしてもらってるし、 ボクにも協力させてよ!
志歩:瑞希さん……
志歩:……じゃあ、お願いしてもいい? 正直、私とお姉ちゃんじゃ好みが違うから、 何を渡せば喜ぶかわからなくて……
瑞希の姉:おっけー! それじゃ、さっそく行こっか!
セレクトショップ
瑞希:——到着~! こちらのお店でーす!
咲希:わあ……すてきな服がいっぱい……! しずく先輩が着たらきれいだろうな……!
瑞希の姉:ここはシンプルで綺麗めな服を扱ってるんだけど、 レースとかフリルもさりげなく取り入れてるんだ
瑞希の姉:だから、雫ちゃんの大人っぽくて柔らかい雰囲気に ぴったりだと思って!
瑞希:たしか、こっち側に雫ちゃんに似合いそうな服が あったんだよね……。 あ、ほら! これこれ!
志歩:……たしかに、似合うかも
瑞希:えへへ、でしょでしょ?
瑞希:奥のほうにファッション雑貨のコーナーもあるから、 行ってみようよ! ここ、アクセもすっごくカワイイんだ!
咲希:わ、楽しみ~♪
咲希:あ……このパールのネックレス、きれい……!
瑞希:ホントだ! 上品なデザインだし、雫ちゃん似合いそ~!
志歩:そうだね。ただ……
志歩:……お姉ちゃん、仕事の時はこういうのよくつけてるけど、 プライベートではもう少しラフなのを使ってる気がする
瑞希:あ……言われてみれば。 前に遊んだ時つけてたネックレスも、 もうちょっとカジュアルな感じだったかも
瑞希の姉:なるほどね。 じゃあ、もう少し気軽につけられそうなのがいっか……
瑞希の姉:あ、あそこのブレスレットとかイイ感じかも。 見に行ってみよう!
志歩:……はい!
瑞希:(……志歩ちゃん、雫ちゃんのことよく見てるんだな。 それに……)
瑞希:(すっごく真剣に選んでる)
瑞希:(好みが合わないって言ってたけど…… なかなか決められない理由は、それだけじゃないみたいだね)
瑞希:(——よし! ボクも、気合い入れてプレゼント選び手伝おっと!)

第 6 话:好きなものを楽しんで

数分後
ショッピングモール
瑞希:うーん……雫ちゃんのプレゼント、何がいいかな~
瑞希の姉:どれもいいけど、これだ!って感じじゃないんだよね
志歩:……すみません、なかなか決められなくて
瑞希:気にしないでよ! 選ぶの楽しいし、ボクも雫ちゃんには喜んでほしいからさ
咲希:あっ——ねえねえ、こっちに動物モチーフのブローチがあるよ!
瑞希:ホントだ! 犬とか猫とか、全部すっごくカワイイ!
瑞希:雫ちゃんが好きな動物もあるかな?
志歩:えっと……お姉ちゃんが好きなのはシマエナガって鳥だけど、 流石にないよね……
志歩:あ……うさぎなら……
瑞希:うさぎ?
志歩:なんか、お姉ちゃんと縁があるんだよね。 小さい頃にうさぎの形したおだんごを作ったり、 雪うさぎを作ったり……
瑞希の姉:そうなんだ……。 ふふ、微笑ましい思い出だね
瑞希:じゃあ、探してみよう! うさぎ、うさぎ……
瑞希:——あった! 見て見て! 目とか耳に宝石が埋め込まれてる!
瑞希:それに尻尾のとこ、もふもふの毛玉がついてるよ!
咲希:わ、ホントだ~!
志歩:……可愛い
瑞希:えっ?
志歩:あ……ううん。 なんでもない
志歩:……それより、このブローチいいかも。 落ち着いた色だから使いやすそうだし
瑞希:ホント? よかった~! それじゃ、これで決定かな?
志歩:うん。本当にありがとう、選ぶの手伝ってくれて
志歩:咲希と、優希さんも。すごく助かりました
瑞希の姉:どういたしまして! いいプレゼントが見つかってよかったね!
志歩:はい。それじゃあ、買ってきま——
瑞希:あ……ちょっと待って! このうさぎのブローチ、色違いのもあるよ!
志歩:え?
瑞希:ふむふむ……
瑞希:この色、すっごく似合いそう!
志歩:……そう? 私は、さっきの子のほうがお姉ちゃんに合うと思うけど
瑞希:違う違う! こっちは、雫ちゃんじゃなくて志歩ちゃんにだよ!
志歩:……私?
瑞希:ねえねえ、ちょっとつけてみない?
志歩:……いや、いい。 こういうの、趣味じゃないから
瑞希:えー? でも、志歩ちゃんさっき、カワイイって言ってたよね?
志歩:…………言ってない
瑞希:も~、なんでうそつくの!?
咲希:しほちゃん、かわいいもの好きなのに アタシと買い物してる時も、 かわいいものは絶対つけてくれないんだ~
志歩:咲希……!
瑞希の姉:まあ、人には人のスタイルがあるし。 気に入ったものと、身につけたいものが同じとは限らないよね
瑞希:……それもそっか。 ボクとしては、ブローチつけてる志歩ちゃんが 見れないのはちょ~っと残念だけど!
志歩:……とにかく。私はお姉ちゃんの分買ってくるから
咲希:あ! アタシも、自分用にほしいアクセ見つけたから 一緒に行く!
瑞希:じゃあ、ボク達はお店の外で待ってるね!
瑞希:(……でも、ちょっともったいないな~。 志歩ちゃん、ブローチのこと気に入ってるみたいだったのに)
瑞希:(たしかに、志歩ちゃんってクールな感じだし、 カワイイ系はなんか違うな~って なっちゃうのかもしれないけど……)
瑞希:(ブローチっていろんなアレンジの方法があるから、 工夫すれば志歩ちゃんらしく使えると思うんだけどな)
瑞希の姉:……瑞希? どうしたの?
瑞希:え?
瑞希の姉:む~って、何か悩んでる時の顔してたよ
瑞希:あはは、さすがお姉ちゃんだなー
瑞希:実は、さっきのうさぎのブローチのこと考えてたんだ。 工夫すれば、志歩ちゃんらしく使えるんじゃないかな~って
瑞希の姉:あー、そうだね。帽子とか鞄にさり気なくつけたり、 チェーンとかキーホルダーにアレンジしてもいいかも!
瑞希:そうそう、そういうの!
瑞希:……だから、これはボクの勝手な気持ちなんだけど、 ちょっともったいないな~ってさ。 志歩ちゃん、カワイイもの自体は好きみたいだったから
瑞希:ほら、好きなもの身につけると、 それだけで元気が出るっていうか…… 明るい気持ちになれるでしょ?
瑞希の姉:……じゃあ、志歩ちゃんにそのまま伝えてみたら?
瑞希:え? でも……余計なお世話じゃない?
瑞希:お姉ちゃんも言ってたじゃん。 人には人のスタイルがあるって
瑞希の姉:それはそうだけど。 アレンジ教えたら、使ってみようって 思ってくれるかもしれないでしょ?
瑞希の姉:それに……瑞希は志歩ちゃんに、 好きなものをもっと楽しんでほしいって思ってるんだよね?
瑞希:あ……うん
瑞希の姉:だったら、こうしたらどうかな?ってことだけでも 提案したらいいんじゃない?
瑞希の姉:誰にだって、いろんな可能性があると思う。 そのことを伝えたら——あとは志歩ちゃんがどうするか次第
瑞希:いろんな可能性……
瑞希:……そうだね
瑞希:ありがとう、お姉ちゃん。 ボク、ちょっと志歩ちゃんのとこ行ってくる!
瑞希の姉:うん、いってらっしゃい!
瑞希:(……やっぱりすごいな、お姉ちゃんは)
瑞希:(——よし!)
瑞希:——ねえ、志歩ちゃん!
志歩:……え?
瑞希:えっと、さっきのブローチなんだけどさ……。 ちょっとボクにプレゼンさせてくれない!?
志歩:……プレゼン?
瑞希:そう! 志歩ちゃんがつけるにしてはカワイすぎるかも っていうのはわかるんだけどさ、 もっと志歩ちゃんらしく使える方法もあると思うんだ!
瑞希:例えば、服につけるんじゃなくて——
咲希:へえ~! ブローチって、キーホルダーにしたりもできるんだ!
瑞希:うん、それなら志歩ちゃんでも 使いやすいんじゃないかって思って
志歩:たしかに……。 鞄につけるだけなら、そこまで抵抗ないかも
瑞希:でしょでしょ?
瑞希:ボク、カワイイもの大好きなんだ。 見てると癒されるし、元気もらえる気がしてさ
志歩:……まあ、わからなくはないかな
瑞希:だから……志歩ちゃんも、 もし、このブローチをカワイイって思ってるのなら
瑞希:志歩ちゃんらしく身につけて気分上げられたら、 すっごく嬉しいな~って!
志歩:…………
志歩:……そう、だね
志歩:……じゃあ、自分の分も買ってみようかな。 キーホルダーなら使えそうだし
瑞希:え、ホント!?
咲希:わ~! じゃあじゃあ、しずく先輩とおそろいだね!
志歩:別にそれはどうでもいいけど
瑞希:あはは! じゃあはい、これ! 志歩ちゃんの分のうさぎさん!
志歩:……ありがとう
志歩:(おそろい、か……そういえば、 昔はいつも、お姉ちゃんとおそろいの服とか着てたっけ)
志歩:(まあ……たまには、いいか)
咲希:えへへ、しずく先輩、喜んでくれるといいね、しほちゃん!
志歩:……そうだね

第 7 话:少しでもできることを

数時間後
センター街
瑞希:は~、いっぱい買ったなー!
瑞希:欲しかった物ゲットできたし、 お姉ちゃんとコーディネートできて、もう大満足だよ!
瑞希の姉:私も楽しかった! ショップを回って、シブヤのトレンドもだいたいわかったし……
瑞希の姉:瑞希の友達にも会えたしね♪
瑞希:えへへ、志歩ちゃん達と一緒にプレゼント選ぶの すっごく楽しかったよね!
瑞希:次は、もっとゆっくり買い物とかしたいな~。 ふたりにオススメのショップあるし、今度誘ってみよっと♪
瑞希の姉:……ふふっ。 なんか、嬉しいな
瑞希:え、何が?
瑞希の姉:言ってなかったけど……実はね。 私、瑞希の元気な顔が見たくて帰ってきたんだ
瑞希の姉:ほら、前に向こうで作った服を送った時、 お返しにってたくさん写真を送ってくれたでしょ?
瑞希の姉:あの写真に映ってる瑞希、すごく楽しそうだったから
瑞希:あ……
瑞希:(そういえば、『ちゃんと今を楽しめてるよ』って伝えたくて、 いろいろ送ったな)
瑞希:(ピクニック行った時のとか、 体育祭で応援団やった時のとか……)
瑞希:(……昔のボクじゃ考えられないくらい、 ちゃんと笑えてるやつ)
瑞希の姉:それ見たら、瑞希に会いたくなってきちゃって…… 帰ってくることにしたんだ
瑞希の姉:だから、今日は楽しそうな瑞希をいっぱい見れて、 すっごく嬉しい!
瑞希:お姉ちゃん……えへへ、ありがと!
瑞希の姉:そういえば、前に話してくれたサークルの子達とはどうしてるの? 写真にもたくさん映ってたよね
瑞希:今も一緒に活動してるよ! それ以外にも、打ち上げしたり、遊びに行ったり……
瑞希:そうそう! このあいだもみんなで年越しパーティーして——
???:——瑞希?
瑞希:えっ?
瑞希:わ……! うそ、すっごい偶然! 今、ちょうどふたりの話してたんだよ!
瑞希の姉:え? てことは、もしかして……
瑞希:うん! 一緒にサークルやってる、奏とまふゆ!
まふゆ:あ……えっと、私は——
瑞希:——まふゆ、気をつかわなくて大丈夫だよ。 ボクのお姉ちゃんだからさ! いつものままで!
まふゆ:……そうなんだ、わかった
奏:えっと……サークルで作曲を担当している、宵崎奏です
まふゆ:朝比奈まふゆです。よろしくお願いします
瑞希の姉:暁山優希です。 こちらこそ、よろしくね!
瑞希の姉:嬉しいな~、瑞希がみんなのこと話してたから、 ずっと会ってみたいなって思ってたんだ!
奏:そうなんですね。 わたし達も瑞希から話を聞いていたので、会えて嬉しいです
瑞希:そういえば、奏達はどうしてここにいるの? 初売り……じゃ、ないよね
奏:うん。食べ物とか、日用品を買いに来たんだ
奏:家の近くのスーパーでもよかったんだけど……。 少し遠出したほうが運動になるし、息抜きもできるかなって……
瑞希:あ……
瑞希:『……じゃあ、息抜きにちょっと 出かけてみるといいんじゃない? 引きこもってると健康にも良くないしさ!』
奏:『健康……たしかに、最近寒くてあんまり外に出てないし、 散歩とかしてみようかな』
瑞希:(奏、まふゆのこと気づかって外に連れ出したのかな)
瑞希:(せっかくのお正月なのに、 いろいろ悩んじゃうのはつらいもんね……)
瑞希:…………
瑞希:(ボクにも、何かできないかな)
瑞希:(まふゆの心がちょっとでも軽くなるような、何か……)
瑞希:(——あ!)
瑞希:あ……小物はシュシュだ!
瑞希:色は紫で大人っぽい感じだけど、 フリルがついててカワイイ~!
瑞希:(これ、まふゆに似合いそう……! 今度、つけてみてってお願いしてみよっと!)
瑞希:そういえばさ、今日初売りですっごくいいもの ゲットしちゃったんだよね~
まふゆ:いいもの……?
瑞希:そう! じゃ~ん! このシュシュ、まふゆにすっごく似合いそうじゃない?
まふゆ:……そう?
奏:あ、でもわかるな。 色合いも大人っぽいし……
奏:まふゆがつけたら、 いつもとちょっと雰囲気が変わりそうだね。 わたしも、いいと思う
まふゆ:……そうなんだ
瑞希:ってことで……よかったらもらってくれない? フリル控え目だから、普段使いもできると思うし!
まふゆ:…………
まふゆ:……でもそれ、 自分のために買ったんじゃないの?
瑞希:大丈夫! 福袋に入ってたやつだから。 見た瞬間、まふゆに似合いそうだな~、 つけてほしいな~って思ったんだよね!
瑞希:それに……カワイくオシャレしたら、 気分もちょっと変わるかもしれないからさ
瑞希:あっ、好みじゃないとかなら全然いいんだけど!
まふゆ:…………
まふゆ:……わかった。 じゃあ……ありがとう
瑞希:えへへ、どういたしまして!
瑞希:早くまふゆがつけてるとこみたいな~♪ あ、ボクがヘアアレンジしてあげよっか!
まふゆ:それはいい
瑞希:え~、なんで!? させてよ~!
奏:ふふ……
瑞希の姉:……よかったね、瑞希
瑞希の姉:奏ちゃん、まふゆちゃん。 ——これからも、瑞希をよろしくね!
奏:あ……はい。こちらこそ……?
瑞希:ちょっとお姉ちゃん、恥ずかしいって! 奏、困っちゃってるじゃん
瑞希の姉:え~? やっぱ、姉として言っておかないとって思って!
瑞希:そういうのいいよ、も~

第 8 话:昔も、今も

数時間後
雫の部屋
雫:——えっ、私にプレゼント……!?
志歩:……うん、まあ、たいしたものじゃないけど……
雫:そんなことないわ! しぃちゃんからプレゼントなんて……とっても嬉しい!
雫:えっと、開けてみてもいいかしら?
志歩:うん、いいよ
雫:……まあ! とっても可愛いうさぎさんね。 キラキラのおめめと、ふわふわの尻尾がついていて……!
雫:でも、いいの? こんなに素敵な物をもらっちゃって
志歩:プレゼントなんだから当たり前でしょ。 それにこれは……お土産だけじゃなくて、 いつも応援してくれてるお礼も兼ねてるから
志歩:いつもありがとう。 ……お姉ちゃんも、仕事頑張ってね
雫:しぃちゃん……!
志歩:ちょっと、絶対来ると思ったけど、 抱きつかないで!
雫:だって、しぃちゃんがプレゼントをくれて、 その上、応援までしてくれて……! 本当に嬉しいんだもの
雫:本当にありがとう、しぃちゃん!
雫:今度、お返しするわね。 あ、そうだ! しぃちゃんもうさぎさん好きだし、 私も、うさぎさんのアクセサリーを——
志歩:いや、大丈夫。 それだとお礼にならないし……
志歩:……そのブローチ、私のも買ってあるから
雫:え……!
雫:しぃちゃん、おそろいで買ってくれたの?
志歩:いや、そういうわけじゃないから。 私も欲しくて買ったら、結果的に——
雫:ふふ。しぃちゃんとおそろいなんて、 ちょっと昔に戻ったみたいね♪
志歩:だから、違うってば……!
雫:そうだわ! ねえ、しぃちゃん……
雫:一緒にこのブローチをつけて、お出かけしない?
志歩:い、一緒に!?
志歩:いや、流石にそれは……
雫:お願い、しぃちゃん! しぃちゃんとおそろいでお出かけできたら きっと、とっても、と~っても素敵な時間になると思うの!
雫:ダメかしら……?
志歩:う……
雫:お願い……!
志歩:……もう、1回だけだからね
雫:ええ! 約束よ、しぃちゃん♪
志歩:はいはい
志歩:(……まさか、こんなことになるなんて……)
志歩:(でも……こんなに喜んでもらえるなら、 私の分も買ってよかったな)
志歩:(普段の私なら、絶対買わないデザインだけど…… 瑞希さんに教えてもらったみたいに、 キーホルダーにすれば使いやすいし)
志歩:(……実際、すごく可愛いし…… 持ち歩いたらすごく癒されそう)
志歩:(瑞希さんと……それに、一緒に選んでくれたみんなにも。 今度、改めてお礼を言わないとな)
瑞希の部屋
瑞希:うーん……ここの演出、ピンと来ないな~。 落ち着いたメロディーラインだから、 もっと切り替えもゆっくりにして……
瑞希:……って、もう3時か。 初売りでたくさん歩いたし、さすがに眠くなってきたな……
絵名のメッセージ:『Amia、頼まれた素材できたから、確認してくれる?』
瑞希:え……えななん、もう描いてくれたんだ!
瑞希:……うん、イメージぴったり! 『ありがとー!カンペキ!』っと……
瑞希:みんな、お正月なのに作業がんばってるみたいだし…… ボクも、もう少し進めてから寝よっかな!
瑞希:じゃあ、早速もらった素材でいろいろ試して……
瑞希の姉の声:瑞希、まだ起きてる?
瑞希:えっ?
瑞希:お姉ちゃん、こんな時間にどうしたの?
瑞希の姉:あ……作業中だった? ごめんね、瑞希にちょっと渡したいものがあって
瑞希:渡したいもの……?
瑞希の姉:はい、これ
瑞希:わ……シュシュだ! フリルがついててカワイイ……!
瑞希:て、あれ? このデザインって……
瑞希の姉:うん。瑞希がまふゆちゃんにあげたシュシュと、 色違いで作ってみたんだ
瑞希の姉:それと、これはよかったらなんだけど…… 奏ちゃんと、絵名ちゃんの分も
瑞希:え、ふたりのも作ってくれたの!? わ~、特に絵名とか、すっごく喜びそう!
瑞希:でも、どうしてみんなの分まで……?
瑞希の姉:今日、奏ちゃん達と会ってみて、 瑞希にとってあの子達が すっごく大事な存在なんだってわかったから
瑞希の姉:だから……このシュシュは、おまじないみたいなものかな
瑞希の姉:瑞希が、これからも奏ちゃん達と一緒にいられますようにって
瑞希:これからも、みんなと……
瑞希の姉:……なんて、余計なお世話かもしれないけど……
瑞希:……ううん、嬉しいよ
瑞希:……ありがとう、お姉ちゃん! 次あった時、奏と絵名に渡すね
瑞希:……また、背中押されちゃったね
瑞希の姉:え……?
瑞希:今日……一緒に買い物して、 小さかった頃のことを思い出したんだ
瑞希:学校でイヤなこと言われて落ち込んでた時、 お姉ちゃんが励ましてくれて……
瑞希:そのおかげでボクは、『カワイイものが好き』って気持ちを ずっと手放さずにいられたんだって
瑞希:……ううん。あの時だけじゃなくって……
瑞希の姉:ねえ——瑞希は、どうしたい?
瑞希:え?
瑞希の姉:私はさ、瑞希が、瑞希の気持ちを大事にできたら 嬉しいなって、ずっと思ってる
瑞希の姉:周りがどうだって……瑞希の気持ちが、一番大事なんだ。 だから、それを聞きたいなって
瑞希の姉:それに……瑞希は志歩ちゃんに、 好きなものをもっと楽しんでほしいって思ってるんだよね?
瑞希の姉:だったら、こうしたらどうかな?ってことだけでも 提案したらいいんじゃない?
瑞希:一番苦しかった時も、今も——
瑞希:いつも、お姉ちゃんは ボクの気持ちを大事にしてくれて……
瑞希:だからボクも、自分の気持ちを大事にして、 いい方に進んでこれたんだと思う
瑞希:本当に……ありがとね
瑞希の姉:……そっか。 瑞希の力になれてたなら、よかった
瑞希の姉:でも……それなら私も、瑞希にお礼を言わなくちゃだね
瑞希:え、なんで?
瑞希の姉:実はね、デザイナーになりたいって思ったのは、 瑞希がきっかけなんだ
瑞希の姉:小さかった瑞希に服を作ってあげた時、 すっごく喜んでくれたでしょ? それが、本当に嬉しくてさ
瑞希の姉:瑞希にもっと喜んでもらいたいって思って、 趣味だった服作りに熱中するようになって……
瑞希の姉:いつの間にか、自分の作った服でたくさんの人を 瑞希みたいに喜ばせたいって思うようになってたの
瑞希の姉:今でも、瑞希が私の服を『カワイイ』って喜んでくれると、 その気持ちを思い出すんだ
瑞希の姉:それで……苦しい時も、もっと頑張ろうって思えるんだよ
瑞希:そう、だったんだ……
瑞希:……お姉ちゃんなら、絶対なれるよ。 たっくさんの人を喜ばせられるデザイナーに
瑞希:だってボク、昔からずっと、 お姉ちゃんの作る服が、世界で一番大好きだもん!
瑞希:……ボク、応援してるから。 これからもがんばってね、お姉ちゃん!
瑞希の姉:えへへ……ありがと!
瑞希の姉:……私も、応援してるからね。 瑞希がこれからも、自分の気持ちを大事にして進めるように
瑞希:……そうだね
瑞希:(やっぱり、まだ怖いけど、でも……)
瑞希:——ありがとう、お姉ちゃん
瑞希:ボク、頑張ってみるよ