活动剧情

刻まれた傷は、やがて

活动ID:122

第 1 话:ドキドキ打ち合わせ!

カフェ
???:では、改めまして……
川西:皆さんの物件探しをお手伝いさせていただきます、 『ハピネスホームリサーチ』の川西と申します。 よろしくお願いします
みのり:よろしくお願いしますっ!
川西:それでは早速ですが……。 皆さんは、お仕事の拠点となる物件をお探しなんですよね
みのり:はいっ!
みのり:(わたし達の拠点…… 『モアモアハウス』……!)
みのり:モアモアハウス~~っ!?!?
斎藤:たしかに、そういう拠点があるほうが、 今後の活動は楽になりそうですね
遥:はい。さっき、会議室の予約や 移動時間が大変だって話がありましたけど……
遥:そういう場所を作れば、会議だけじゃなくて レッスンや配信もできて時間も短縮できますし
愛莉:ふふ、そうでしょ?
愛莉:最近は仕事量が増えて 時間の確保が難しくなってるから、 真剣に検討してもいいと思うのよね
雫:ええ……私もいいと思うわ! 学校の屋上を使うのも限界があったものね
みのり:た、たしかに、そういう わたし達の事務所みたいな場所ができたら すっごく便利だなーって思うけど……
みのり:そんな夢みたいなおうち、 わたし達に借りられるのかな!?
愛莉:もちろん『ものすごく広くてピカピカで、駅近の物件がいい!』 ってなったら、予算的に厳しいと思うわ
愛莉:でも、みんなで条件をすり合わせて、 妥協できそうなところを妥協していけば、 実現不可能じゃないと思うの
遥:……たしかにね。 最近私達、結構コンスタントに仕事もらえてて、 その分、みんなで使えるお金も増えてるし
みのり:なるほど……!
斎藤:……なんにせよ、詳しいことは不動産屋に 相談してみるのがいいかもしれませんね
斎藤:予算のこともありますし、なるべく安くできそうで、 かつ信頼をおけそうな会社を探してみます
斎藤:私はしばらく、ここを離れられないのですが…… 良さそうな会社が見つかったら連絡しますので、 待っていてください!
みのり:(これから、どんなおうちに会えるんだろ……)
みのり:(楽しみだなあ……!)
川西:ではひとまず、候補になりそうな物件の資料を持ってきたので 一緒に見ていきましょうか
川西:希望条件は事前に斎藤さんから伺っていたので、 これを見つつ、皆さんの譲れない箇所などを発見できればと
雫:私達が希望する条件は……。 練習部屋に配信部屋、 それと打ち合わせに使えそうな部屋があること……だったわよね
川西:そのご希望で探すと、 貸しオフィスが多くヒットするのですが……
川西:できればシャワールームつきがいい というお話も聞いていましたので、 一般の住居タイプの物件も条件にあっていると思いました
愛莉:たしかに、貸しオフィスに シャワールームがついてるのは珍しいものね
みのり:でも、練習部屋がついてるおうちって、 どんな感じなんだろう?
川西:イメージを持っていただくためにも、 ひとつめの物件から見ていきましょうか。 ……まずは、こちらです
みのり:わ……すごい!  見た目は普通のおうちなのに、 地下にちゃんと鏡張りの練習部屋がある!
遥:しかも、鏡はスライドドアで隠せるようになってるんだ。 ……防音もしっかりしてるって書いてあるね
愛莉:すごく行き届いた設計になってるのね! これなら、練習部屋と配信用スタジオを兼ねられそうだわ
川西:ええ、それに1階には広めのリビングとキッチンがありますね。 キッチンはオシャレなアイランド型のようです
みのり:アイランド型?
愛莉:家庭科室の調理台みたいに独立してるキッチンのことよ。 これなら、料理配信もやりやすいんじゃないかしら
雫:たしかに、リビング側にカメラを置けば 料理番組みたいな配信ができそうね!
遥:……ちなみに、このベランダの奥にある空間ってなんですか?
川西:ああ、それは露天風呂ですね
みのり:ろ……露天風呂っ!?
川西:間取り図的に、そんな大きなものではなさそうですが…… ちょっと気分を変えたい時にいいかもしれませんね
雫:すごいわね……。 まさか、おうちに露天風呂があるなんて
みのり:う、うん……。 アイランドキッチンに露天風呂……
みのり:そんなおうちで過ごしてたら——
遥:みのり、配信お疲れさま。 今日はみのりを元気づけるために、サーモンのポキを作ったよ。 いっぱい食べて、また明日頑張ろうね
遥:みのり、お風呂もう出たの? 髪の毛濡らしたままだと風邪ひくよ。 ドライヤーかけてあげるからこっち来て
みのり:な~~んてことになっちゃって、 心臓バクバク新生活が始まっちゃうよ~~っ!
遥:みのり……
愛莉:まーた自分の世界に入ってるわね……
みのり:はいはいっ、わたしここがいいですっ! このおうちにしますっ!
みのり:『生活のイメージが浮かぶ部屋がいいでしょう』って 新生活応援.comってサイトにも書いてあったので!
川西:え、ええと……
愛莉:ちょっと落ち着きなさいよ。 たしかに、この家は一見わたし達の希望を満たしてるわ
愛莉:けど、大事なのは賃料よ。 ……ちゃんと見てみなさい
みのり:え? えーっと……
みのり:こ……こんなにするの?
川西:……はい。 こちらは皆さんのご希望を満たした 最高のグレードの物件となっています
川西:なのでこちらは参考程度に、 他の物件も見ていただきつつ……
川西:その中で気に入ったものがあれば後日内見していただく、 という流れを想定しています
みのり:わあ、内見……!
遥:それじゃあ、1件ずつ見せてもらおうか
みのり:うん!
1時間後
川西:今日はお時間をいただきありがとうございました
川西:候補に挙げていただいた物件については、 内見できるよう進めてまいります
川西:また、他にも候補を送りますので、 気になるものがあったらメッセージで 『内見希望』とお送りください
愛莉:わかりました。 こちらこそ、今日はありがとうございました!
川西:はい、今後ともよろしくお願いします
みのり:はあ~、いっぱい資料見れて楽しかったね!
遥:話してる中で、練習部屋は鏡張りだと嬉しいとか、 配信部屋はそこまで広くなくていいとか 条件もいろいろ整理できてよかったな
雫:露天風呂もアイランドキッチンも、 私達にはなくても大丈夫だったわね
愛莉:ま、ついてたら嬉しいけど、 それを基準に選ぶことはないわね
みのり:それにしても、次は内見ってことになるんだよね! 早くその日にならないかな~!
愛莉:まったく……これから他の候補も送られてくるって話なのに、 気が早いんじゃない?
みのり:だってだって、もうすぐモアモアハウスが ホントにできちゃうかもしれないんだよ!?
みのり:そうしたら、みんなで一緒に泊まることだって あるかもしれないし……それって、すっごく楽しそうだなって!
遥:気持ちはわかるけど……
愛莉:遊びじゃないのよ? 仕事のために必要なものなんだから、 そこを忘れないようにしなさいよね
みのり:うっ……た、たしかに、 あんまりはしゃいでちゃダメだよね
みのり:……でもやっぱり、 みんなと長く一緒にいられるって思うと、嬉しいなあ……!
愛莉:まったく……
みのり:えへへ……
みのり:(いろんな候補の中から選ぶのは大変だと思うけど…… しっかり内見して、最高のモアモアハウスにしたいな!)

第 2 话:内見!モアモアハウス候補!

1週間後
宮益坂
みのり:ついに……、ついにやってまいりました……
みのり:モアモアハウス候補、内見のお時間ですっ!
リン:『わーいっ、内見だ~♪』
MEIKO:『どんなおうちに出会えるのか楽しみね!』
レン:『今日見に行くのは、 川西さんって人が選んでくれた物件なんだっけ?』
遥:そうだよ。 最寄り駅とか築年数はバラバラだけど、 私達のあげた条件にぴったりのものを探してくれたんだ
愛莉:全部予算内だったし、 気に入った家が見つかったら決めちゃいたいわね
ミク:『その……みんな、ちょっといいかな?』
みのり:どうしたの、ミクちゃん?
ミク:『えっと、わたし達、“内見なんて楽しそう!”って思って 軽い気持ちでついてきちゃったけど……』
ミク:『お邪魔じゃなかったかな? 事務所を決めるのって、すごく大事なことだと思うし……』
愛莉:そんなの、全然問題ないわよ!
遥:そうだね。モアモアハウスができたら ミク達とも一緒に過ごせるし、みんなにも見てほしいな
ミク:『そっか……よかった!』
ミク:『じゃあ、わたし達もしっかり見させてもらうね。 最近、みんなにいろんな場所に連れて行ってもらってるから、 隠れるのも慣れたし——』
川西:皆さん、もういらっしゃってたんですね
川西:……あ、すみません、通話中でしたか? でしたら、そちらが終わったあとで——
愛莉:ああいえ、大丈夫です! ちょうど今、終わったところなので
川西:そうでしたか。 では、さっそく行きましょうか。 ご準備よろしければ車の中へどうぞ
ミク:『はあ、危なかったあ……』
ルカ:『慣れてきた時が危険っていうから、 そういう時こそ気をつけなくちゃね』
数時間後
住宅街
川西:以上で、予定分の内見は終了となりますが——
川西:ご希望に合いそうな物件はありませんでしたね……
雫:家を選ぶのって、こんなに難しいのね
遥:資料で見た時は、どの物件もよさそうだと思ったんだけどね
愛莉:そうね。1件目は、部屋の真ん中に大きな柱があって、 配信の邪魔になりそうってことで断念したし……
愛莉:2件目は築90年でも、写真ではきれいな感じだったし、 間取りも条件にぴったりだったから見てみたけど……
雫:全然写真と違ったのよね
雫:練習部屋もあったけど…… ダンスをしたら床が抜けてしまいそうで、心配になっちゃったわ
川西:すみません……。 資料にのってる写真は綺麗だったので、 これならばと思ったのですが……
遥:いえ、私達も写真を見て大丈夫そうだと思ってたので……。 やっぱり、実物をちゃんと見るのが大事なんだなって思いました
みのり:そう考えると、やっぱり3つめのおうちはよかったよね! きれいだったし、間取りもぴったりだったし!
愛莉:でも、やっぱり家までの坂はきついと思うわよ。 駅からも結構距離あるのに、 あの坂登らないと行けないのはハードル高すぎるわ
遥:トレーニングにはなりそうだけど…… 雨の日とか、仕事がハードな日とかは 行き来が大変になりそうだよね
雫:そうなると、せっかくのモアモアハウスも 意味がなくなっちゃうものね……
みのり:ううっ、坂道さえ……坂道さえなければ~!
川西:そうですね……。 ただ、あのグレードの家がこの賃料で出ることは珍しいので、 坂道を考慮しての価格設定になっているんだと思います
愛莉:……そう考えると、この予算じゃ わたし達の希望の物件を見つけるのは厳しいってことよね
遥:こうなったら、予算を少し増やしたほうがいいのかな。 その分、私達も頑張らなきゃいけなくなるけど……
川西:…………
川西:……実は、あと1件だけ、 皆さんの条件に合いそうな物件があるんです
みのり:えっ、そうなんですか!?
川西:ええ。ちょっと特殊な物件で、 候補にあげていなかったのですが……
雫:特殊な物件……?
川西:……でも、一度見ていただいたほうがいいかもしれません。 まずは皆さんがその物件を気に入るかどうかというのもありますし
川西:もし今日まだお時間があれば、大家さんに連絡して 内見の許可をとろうと思うのですが、いかがでしょうか?
愛莉:あ……お願いします。 時間は大丈夫ですし、もし他の候補も見れるなら こちらとしてもありがたいです
みのり:行きたいです、ぜひ!
川西:では、連絡してきますね。 少々お待ちください
遥:……特殊な物件ってなんだろう?
MEIKO:『もしかして、幽霊が出たりするのかしら?』
リン:『あっ! 怖い人が近くに住んでるとか!』
みのり:ゆ、幽霊はともかく、怖い人くらいなら わたし、大丈夫な気がするよ!
川西:——皆さん、お待たせしました! 許可が取れました!
川西:ちょうど前の人の内見が終わったところのようなので、 今から向かいましょう!
みのり:ホントですか!? よかった……!
愛莉:ありがとうございます、よろしくお願いします!
みのり:(特殊な物件、か……)
みのり:(……それって、どんなのだろ?)

第 3 话:期待の4件目は……

数十分後
住宅街
川西:——到着しました。 こちらが、先ほどお話しさせていただいた物件です
みのり:ここが、4件目のおうち……
みのり:特殊って言ってたけど…… 見た目は普通のおうちだね
愛莉:普通というか……なんだか、かわいいわね。 屋根の配色や形がレトロで、味があるわ
遥:雰囲気いいよね。駅からは少し遠いけど、 その分周りにたくさん緑があるし
雫:ここに来るまでに、坂道もなかったものね
愛莉:……でも、油断しちゃいけないわ。 外観はよくても、中に問題があるかもしれないし
みのり:た、たしかに……! 2件目のおうちみたいに、 ドアノブが取れちゃったりするかも……!
川西:それじゃあ、早速中に入ってみましょうか
みのり:えっ!? 玄関開けたらすぐ階段だ!
川西:ああ、この物件は1階が大家さんの家になっているので、 そういう作りになっているんですよ
みのり:へえ……おもしろいですね!
雫:2世帯住宅ってこういう感じよね。 私の知り合いにも、同じようなおうちの子がいたわ
愛莉:玄関周りも、思っていた以上にきれいね……。 ……これは、中も期待できそうじゃない!?
みのり:うん、ワクワクしてきちゃった! 早く入ろう入ろう~!
遥:もう、そんなに押したら危ないよ
みのり:わあ……
みのり:明るいね……! それに、部屋の中もきれい……
川西:南向きだから、あったかいですよね。 他のお部屋も窓が大きくて、しっかり日の光が入るんですよ
遥:そうなんですね。 ……防音はどうなってるんだろう
愛莉:他の部屋の間取りと広さも気になるわよね
川西:それなら是非皆さんで、自由に回ってみてください。 ……あ、練習部屋はその先の階段を下りたところですよ
みのり:ホントですか!? じゃあわたし見に行ってきま~すっ!
遥:あっ、みのり——
愛莉:まったく、はしゃぎすぎよ
愛莉:まあでも、みんなそれぞれ見たいものあるでしょうし、 あとで合流しましょうか
雫:そうね
練習部屋
みのり:ここが、練習部屋……
みのり:(他のおうちにあった練習部屋よりも ちょっと小さめだけど……)
みのり:(ここのはなんか、雰囲気が違う感じがする……)
みのり:床に傷がついてる……。 これって、もしかして——
ミク:『前にいた人達の練習のあとかな?』
みのり:ミクちゃん……!
ミク:『ふふっ、今ならみのりちゃんしかいないから いいかなって思って、出てきちゃった』
ミク:『……すごくいい雰囲気のところだね。 使い込まれてるけど、きちんと手入れされてて』
みのり:うん…… なんだか、あったかい感じがするよね
みのり:この傷は、ミクちゃんが言ってたとおり 今までここに住んでた人の練習のあとなのかな
ミク:『たぶん、そうだよね……。 ここの傷も、わたし達のステージにあるのと似てる気がする』
みのり:ダンスのステップの跡みたいだよね
みのり:あ……よく見たら、細かい傷もたくさんある。 ……きっと前にいた人、たくさん練習してたんだろうな
ミク:『そうだね。 ……でも、前の人だけじゃないのかも』
みのり:えっ?
ミク:『この傷は、今までこの家を借りてた人達、 みんながつけた傷な気がするな』
ミク:『よーく見たら、 新しそうな傷から古そうな傷までいろいろあるから』
みのり:あ、ホントだ……!
ミク:『この傷は、ここに住んできたみんなの がんばったあとなんだね』
みのり:がんばったあと……
ミク:『そう考えると、ここって——』
ミク:『すっごく、たくさんの人の想いがつまってる場所だよね』
みのり:……そうだね。そう感じたから、 今まで見たのとは雰囲気が違うなあって思ったのかも
みのり:わたし、好きだなあ。 この練習部屋も、この雰囲気も
ミク:『……うん』
ミク:『本当に、すてきなところだね』
数十分後
川西:さて、ひととおり見ていただきましたが…… いかがでしたか?
遥:……顔を見た感じ、みんな気持ちは同じみたいだね
愛莉:ええ、どの部屋も、 わたし達の希望に合っていたわ
みのり:うん——
みのり:ぜひ、このおうちを借りさせていただきたいですっ!
川西:……気に入っていただけたようですね
川西:ただ—— 最初に言ったとおり、この物件には特殊な事情があります
遥:それについては、私達も伺いたいと思ってました
雫:特に建物の中に何かあるわけではなかったものね。 かといって、周りも普通の住宅街で お墓とかがあるわけでもなさそうだし……
川西:はい、建物自体に何かがあるわけじゃないんです。 この物件の特殊なところは——
川西:入居審査です
みのり:にゅ、入居審査……!
雫:……でも、部屋を借りるなら 入居審査があるのは普通なんじゃないかしら?
遥:そうだね。保証人に関しては、 みんな両親の了解をもらってるから大丈夫だと思ってたけど……
遥:もしかして、その審査がすごく厳しいってことですか?
愛莉:たしかに、わたし達は高校生だし、駆け出しのアイドルだし……。 入居審査が厳しいところだと、弾かれる可能性はあるわね
川西:いえ、皆さんがおっしゃってる点に関しては 大丈夫だと思っています
みのり:えっ!?
遥:どういうことですか?
川西:この入居審査が特殊だと言ったのは、 その審査が『普通の審査方法ではないから』です
川西:ここの入居審査で見られるのは——
川西:入居者が『夢を叶えられる人かどうか』
みのり:夢を……?
川西:他の物件も見ていただいたのでわかると思うのですが、 この条件でこの賃料というのは、かなりの破格なんですよね
川西:でもそれは、大家さんの『夢を叶えたい人を応援したい』という ご意向があるからなんです
雫:大家さんの……
遥:たしかに、どうしてこんないい家が この金額で借りれるんだろうとは思ってたけど、 そういうことだったんだ
みのり:で——でもでも! 『夢を叶えたい人』っていうのが条件なら、 わたし達はあってるんじゃないかな!?
みのり:わたし達もアイドルとしてみんなに希望を届けたいって——、 ドームライブをやりたいって夢があるし!
川西:そうですね。そのことも事前にお聞きしていたので、 この部分に関しては私もクリアしていると思うのですが……
川西:ここの大家さんは、『夢を叶えたい』だけではなく 『叶えられる人』にしか、ここを貸したくないらしいんです
愛莉:『叶えられる人』にしか……
遥:どういうことなんだろう。 『絶対に夢を叶える』って確証が持てるかどうかってこと……?
雫:でもそれって、どうやって判断するのかしら……? 未来のことは誰にもわからないと思うけど……
川西:はい、その審査基準が非常に曖昧でして、 私にもよくわからないんです
川西:実はうちの会社からも 何回か他の入居希望者さんを紹介したことがあるのですが とおったことがなくて……
みのり:そ、そんなに難しいんですか!?
愛莉:なんだか、オーディションみたいね……
川西:ええ。なので皆さんにご紹介しても ご期待に沿えないことになってしまうかも、と思ったのですが……
川西:もし、今の話を聞いても審査をしてもらいたい、 ということであれば希望を出しますが、 いかがいたしましょうか
愛莉:たしかに、一筋縄ではいかなそうね
遥:そうだね
遥:……でも、私は希望を出してみていいと思うな
雫:すごくいいおうちだったものね。 私達の条件にもぴったりだったし……
みのり:うん、それに——
ミク:『すっごく、たくさんの人の想いがつまってる場所だよね』
みのり:わたし……ここでみんなと活動したいって思うから
雫:みのりちゃん……
遥:……そうだね
遥:すみません。 ——審査を、お願いできますか?
川西:……わかりました。 では、早速大家さんに連絡してみますので、お待ちください
みのり:はいっ!

第 4 话:思いがけぬ電話

センター街
愛莉:ふう…… 物件4つも回って、充実した日になったわね
みのり:そうだね! すてきなおうちも見つけられてよかったなあ
遥:って言っても、まだどうなるかわからないけどね
MEIKO:『入居審査——大家さんとの面接は、 あさっての20時からって話だったわよね』
雫:まさか面接があるなんて……緊張しちゃうわね。 何を聞かれるのかしら?
愛莉:『夢を叶えられるかどうか』が条件みたいだし、 それに関することなんじゃない?
みのり:う、うまく答えられるかな……
ルカ:『どんなことだったとしても、 ありのまま、思ったことを話せばいいんじゃないかしら。 言葉を飾らずに、自然体で』
ミク:『あれ、電話?』
雫:斎藤さんからだわ。 ええと、スピーカーにするのはこのボタンで——……もしもし?
斎藤:『お疲れさまです! 今日は内見の日でしたよね。いい物件はありましたか?』
雫:ええ、とても素敵なおうちが見つかったんです
みのり:まだこれから審査があるんですけど…… 斎藤さんにも早く見てほしいよね!
斎藤:『そうだったんですね……! 私も参加したかったんですが……すみません。 まだ実家の旅館が繁忙期で……』
遥:気にしないでください。 旅館の仕事もある中、不動産屋さんの手配まで やってくれてありがたいです
愛莉:運よくその家に決まったら一番に案内するので 楽しみにしててくださいね!
斎藤:『はい! それを糧に、旅館の仕事頑張ります!』
斎藤:『ええと、それで……。 電話したことはまた別件なんですけど』
斎藤:『先ほどアイハザのプロデューサーの黒宮さんから 連絡がありまして』
みのり:黒宮さんから?
斎藤:『はい、実は——』
斎藤:『どうやら、担当されている番組に 出演予定だったアイドルグループが、 急遽出れなくなってしまったようで……』
斎藤:『代わりにMORE MORE JUMP!に出てもらえないかと』
遥:えっ……
みのり:それって…… またテレビのお仕事ってこと!?
斎藤:『はい、収録があさってという かなりタイトなスケジュールなんですが……いかがでしょうか?』
斎藤:『皆さんの予定はありませんでしたが、 念のため確認させていただきたいと思いまして』
みのり:あさって……って
雫:大家さんとの面接日だわ
愛莉:……面接も大事だけど、このチャンスも逃したくないわね
遥:そうだね。黒宮さんの番組なら、 多分キー局の地上波だろうし…… たくさんの人に私達のことを知ってもらうチャンスだと思う
みのり:ち、ちなみにそれって、 何時に終わるか聞いてますか!?
斎藤:『ええと……15時終了予定だと伺ってますね』
雫:それなら、大丈夫じゃないかしら。 面接は20時からの予定だったわよね
みのり:そうだね! 5時間もあいてるなら、 移動時間のこと考えても全然余裕あるよ!
遥:それじゃあ、大丈夫だって 正式にお返事しておいてもらえますか?
斎藤:『わかりました! ちなみに—— 皆さん、このあとご予定はありますか?』
雫:いえ、特にないので、 これから帰ろうと思っていたところですが……
斎藤:『それならちょうどよかったです! 実は、可能なら、今からテレビ局で打ち合わせできないかって お話ももらってまして』
斎藤:『“迷惑じゃなければ”って感じだったんですが…… 今から向かっていただくことってできたりしますか?』
みのり:もちろんですっ!
遥:収録があさってなら、私達も早めに話聞きたいしね
斎藤:『わかりました! じゃあ、そのこともあわせて連絡しておくので、 皆さんはそのままテレビ局に向かっちゃってください』
みのり:了解しました! 斎藤さん、ありがとうございます!
雫:それじゃあ、また
レン:『——すごいね、みんな。 また地上波テレビのお仕事がくるなんて』
愛莉:ホントにね。 アイハザでわたし達を起用してくれたこともそうだし、 黒宮さんには頭があがらないわ
ルカ:『プロデューサーさんも待ってるだろうし、 早くテレビ局に向かったほうがよさそうね』
KAITO:『じゃあ、僕達はいったんセカイに帰ろうか。 そのお仕事については、またあとで聞かせてほしいな』
みのり:うん! また報告するね!
遥:それじゃ、向かおうか。 ——みんな、またあとでね
リン:『ばいば~い!』
数十分後
宮益坂
みのり:はあ……はあ……
みのり:結構近くだから、って思ってたけど…… 思ったより時間かかっちゃったね! 黒宮さん、待たせてないかな!?
遥:まさか、道路工事であんなに迂回させられるなんてね……
愛莉:とにかく、急ぎましょ! 『黒宮さんは19時に会議室で待ってる』って さっきメッセージがきてたし
みのり:19時……って、あと5分しかないよ! 信号変わったら走って——
???:あっ!
みのり:えっ……
みのり:だ——大丈夫ですかっ?
おばあさん:あらあら恥ずかしい……ごめんなさいね。 どうやらヒールが折れてしまったみたいで
遥:立てますか? 私の手につかまってください
おばあさん:ありがとう。 お言葉に甘えて——
おばあさん:……っ!
愛莉:……! もしかして、足ケガしてるんじゃないですか?
おばあさん:……どうやら、そうみたい。 今ので少しひねってしまったのかもしれないわ
雫:どこかで休まれたほうがいいんじゃないかしら。 この辺りにベンチとか——
おばあさん:ああ、いいのいいの、大丈夫よ。 行きたいところはすぐそこだから、自分で歩けるわ。 お気づかいありがとう
雫:で、でも……
みのり:それならわたし、目的地まで送っていきます!
おばあさん:え……
みのり:みんな、先行っててもらっていいかな? すぐ追いかけるから!
愛莉:わかったわ。 黒宮さんには、わたし達から事情を話しておくわね
みのり:ありがとう! じゃあまたあとでね!
おばあさん:……ごめんなさいね。 あなた達も急いでいるようだったのに
みのり:いえ! みんなが先に行ってくれるので、全然大丈夫です!
みのり:それより、目的地ってどこですか? そこで休めればいいんですけど……
おばあさん:ああ、それなら、すぐそこよ
みのり:そこって—— テレビ局、ですか?
おばあさん:……ええ。 今日はワイドショーの収録を見に来たの
おばあさん:もうすぐ始まる時間なのに……困ったものね
みのり:(そっか、番組の観覧で来たんだ……)
みのり:(でも、番組始まっちゃったら 入れなくなっちゃうんじゃないかな。 せっかく楽しみに来たのに、そんなの悲しいよね……)
みのり:——わたしの背中に乗ってください!
おばあさん:えっ?
みのり:このほうが早く着くし、 番組収録にも間に合うかもしれないので!
みのり:せっかく番組を見に来たのに 見れなくなったら悲しいですから!
おばあさん:……ありがとうね、みのりちゃん。 こんなに親切にしてもらえるなんて、嬉しいわ
みのり:気にしないでください! 実はわたし達も目的地は一緒だったので!
みのり:それじゃ……ちゃんとつかまっててくださいね!
みのり:——って
みのり:(あれ? わたし……名前言ったっけ?)

第 5 话:お仕事報告!

ステージのセカイ
みのり:——って感じで、 あのあと、いろいろあったんだ!
ルカ:そうだったのね……
ミク:そのおばあさん、収録には間に合ったの?
みのり:うん! 受付のスタッフさんに声かけたら 『あとはこちらでご案内します』って連れてってくれたから 大丈夫だと思うよ!
KAITO:そっか……よかったね
レン:それにしても、物件見て、 おばあさんを助けて、打ち合わせして…… 盛りだくさんの1日だったね。みんな、お疲れさま
リン:ねえねえ、打ち合わせはどんな感じだったの? みんなが出る番組の話、聞きたいな!
愛莉:ふふ、それを報告しにきたのよ!
愛莉:今回の番組は、23時に放送されるトークバラエティなの。 MCは芸人さんで、週替わりのゲストが 何人か選ばれるんだけど……
雫:そのうちの、ひと枠が私達なのよね
MEIKO:ってことは、みんなの他にもゲストがいるのね。 どんな人達なの?
みのり:モデルのユイカさんと、 インフルエンサーのMYUさんだよ!
愛莉:ふたりとも知名度のある人だし、 MCの芸人さんも有村さんっていう大御所の人だから、 ちょっと緊張しちゃうわね
ミク:大御所さん……!
MEIKO:そんな人達と共演することになるなんて、すごいわね
雫:実際、MORE MORE JUMP!としては、 今までで一番大きな仕事になるかしら?
遥:そうだね。スタジオも結構大きくて、 観覧席に一般のお客さんも入るみたいだし
みのり:お客さんが見てくれてる中で収録するのって初めてだよね!
みのり:撮影、どんな感じなのかな…… 楽しみだな~♪
愛莉:楽しみばかりじゃいられないわよ。 これからトーク用に企画を考えなくちゃいけないんだから
ミク:トーク用の企画?
遥:番組の中で、私達ゲストがやりたいことを企画して 持ち込むコーナーがあるんだ
雫:今までの放送では『好きな具材でハンバーガーを作ろう!』とか 『宝くじで10000円以上当たるまで買ってみよう!』とか やったって言ってたわね
レン:そっか……それをみんなで考えなくちゃいけないんだ
ルカ:おもしろそうだけど、大変そうでもあるわね
KAITO:配信の企画とは違って、みんなを知らないお客さんにも 楽しんでもらえるものを考えないといけなそうだしね
愛莉:ええ、収録まで時間もないし、準備することも多いけど…… みんなで力を合わせてがんばりましょう!
遥:それと、収録終わったあとはモアモアハウスの面接もあるから、 気合い入れていかなくちゃね
リン:そ、そういえばそうだったね……
レン:ここ最近のみんな、すごく忙しそうだから…… 無理しないように気をつけてね
みのり:ありがとう、レンくん! 体壊さないように注意してがんばるよ!
ミク:ふふ、応援してるね。 みんなの出る番組、楽しみだな
収録当日
テレビ局 スタジオ
有村:——さあ、それでは我らがファッションリーダー、 ユイカちゃんに判定していただきましょう!
有村:私服センスがあるのは……、 愛莉ちゃんとみのりちゃん、どっち!?
ユイカ:可愛い……というよりは、私的には正直、 どっちも『おもしろい』って感じなんだけど……
みのり:わっわっわっ、わたしは! 今までにないストリートな格好に挑戦してみました!
みのり:キャップにバンダナ巻いているのが 渾身のオシャレポイントで——
愛莉:ちょ、ちょっと待ちなさいよ! アピールタイムがあるなんて聞いてないわよ!?
愛莉:それでいうと、わたしだってこだわりポイントあるんだから! ……ほら見て、この靴下のタラバガニのワンポイント!  かわいくないですか!?
みのり:そ、そんなこと言いましたら わたしだって、この中に着てる服にワンポイントがあります!
ユイカ:いや、中に着てたら見えないし、 『インナー』って言葉が出ないのにオシャレ初心者を感じるけど
雫:(みのりちゃん、こういう感じのバラエティは初めてなのに うまくやってるわね)
遥:(素で言うことが面白いし、やっぱりバラエティ向いてるな。 ちょっとうらやましいかも……)
みのり:お、オシャレ初心者だけど攻めてみたのがこのファッションです! 靴下も右と左で色を変えて——
愛莉:だからアピールタイムはないって言ってるでしょ! いつまでやるつもりなのよ!?
雫:(愛莉ちゃんのツッコミも調子いいわね)
遥:(あの服装……愛莉のセンスじゃないし、 番組を面白くするために即興で考えたんだろうな)
遥:(お客さんの反応もいいし…… この調子なら、大丈夫そうだね)
有村:——ということで、ユイカちゃん持ち込み企画、 『アイドルちゃんのファッションチェック』は みのりちゃんの勝利で~す!
ユイカ:違う柄を5つも組み合わせてるのが斬新だったし、 アピールもおもしろかったからね
みのり:やった~っ! ありがとうございます!
愛莉:くうっ……わたしだって海をテーマに カニやザリガニやヤドカリモチーフでまとめた 渾身のコーディネートだったのに……!
有村:まあ、判定に議論の余地はありますが、 これがユイカちゃんのオシャレの秘密なのでしょう!
有村:ということで、以上、ユイカちゃんの持ち込み企画でした! 挑戦者の愛莉ちゃんみのりちゃん、ありがとうございました~!
みのり・愛莉:『ありがとうございました!』
スタッフ:——はい、ありがとうございます! いったんここで休憩に入ります!
スタッフ:次のコーナーの撮影開始は20分後です。 観覧席の皆さんもお手洗いなどを済ませてきてください
遥:みんな、お疲れさま。 ユイカさんの持ち込み企画、面白かったね
遥:愛莉のツッコミも楽しかったし、 みのりのファッションもすごくよかったよ
みのり:えへへ、急に愛莉ちゃんとバトルって言われた時は びっくりしちゃったけど、勝ててよかった~!
みのり:あ、もしかしてわたし、 ファッションのセンスあるってことなのかも!?
愛莉:……本気でそう思ってるなら、 アンタの能天気さがうらやましいわよ
雫:最初の私達の企画もうまくいったし…… 休憩後はMYUさんの企画の撮影をして、終わりになりそうね
遥:うん。このあとは休憩なしで最後まで撮影だから 引き続き頑張っていこう
みのり:あっ、じゃあわたし、ちょっとお手洗い行ってくる!
愛莉:たしか、スタジオ出て左のほうにあったわよ。 戻ってくる時に迷わないよう気をつけてね
みのり:はーい、いってきます!
数分後
みのり:ふう~、よかった! ちゃんと戻ってこれた……!
みのり:テレビ局の廊下って、同じような部屋がズラーッて並んでて スタジオの場所わからなくなっちゃうとこだったよ……
ミク:『みのりちゃん、お疲れさま! 収録、すごく盛り上がってたね!』
みのり:あ、ミクちゃん!
みのり:もしかして撮影、見ててくれてた!?
ミク:『うん、ポケットの中で みんなでこっそり聞いてたよ!』
ミク:『ファッションチェックの企画、おもしろかったね! オンエアされたらもう1回見たいなあ』
みのり:ホント!? ……えへへ、わたしもすっごく楽しくやれたから、 そんな風に言ってもらえて嬉しいな!
ミク:『観覧席のお客さんも笑ったり拍手してくれたり…… すっごく喜んでくれてたね!』
みのり:うんっ、反応よくてすっごく嬉しかったな! 顔見て撮影できるのもすごく新鮮だったし、 後半も、この調子で——
観覧席のお客さんA:ねえ、なんで今日のゲストって MORE MORE JUMP!とかいう子達になったの?
みのり:え……
観覧席のお客さんA:元々『LiLia』がゲストだったから、 それ楽しみに観覧申し込んだんだけど
観覧席のお客さんB:あー、今LiLiaって海外にいるんだって。 で、向こうの飛行機が天候不良で飛べなくなったから 帰ってこれないらしいよ
観覧席のお客さんA:へ~、そうだったんだ。 じゃあ、あの子達はその代打ってことか
観覧席のお客さんA:まあ、そういう事情ならしょうがないし、 MORE MORE JUMP!の子達も頑張ってるとは思うけど……
観覧席のお客さんB:やっぱり、LiLiaが見たい気持ちはあるよね
みのり:…………
ミク:『……みのりちゃん……』
みのり:……そうだよね
みのり:出演予定の子達を見たくて観覧を申し込んだのに、 その子達が見られなかったら……がっかりしちゃうよね
みのり:わたしも同じ立場だったら、 きっとそう思っちゃうだろうな
ミク:『それは……、そうかもしれないけど……』
みのり:今日の収録まで、 『わたし達のやりかたでお客さんを楽しませよう!』 ってことばっかり考えてたけど……
みのり:代わりを任されてるんだってこと、 ちゃんと考えておくべきだったな……
ミク:『……っ』
???:あら、みのりちゃん?
みのり:えっ……
おばあさん:こんにちは。 また会えたわね
みのり:この前の、おばあさん……!?

第 6 话:再会の先に

テレビ局 スタジオ
みのり:どうして、おばあさんがここに——
みのり:……もしかして、今日も何かの番組の観覧ですか?
おばあさん:ええ、そうなの。 今日は音楽番組の観覧に来てるのよ
みのり:そうだったんですか! いろんな番組を見てるなんて、すごくテレビがお好きなんですね!
おばあさん:……そうね。 だから、結構芸能人には詳しいの
みのり:あ…… じゃあ、もしかして、わたしの名前を知ってたのも……
おばあさん:ええ、テレビで見たことがあったから。 MORE MORE JUMP!の花里みのりちゃんよね
みのり:わあ……! まだそんなにテレビに出てないのに、わたし達のことまで……!
みのり:すっごく嬉しいです、ありがとうございます!
おばあさん:ふふ、私も可愛いアイドルさんと また会えて嬉しいわ。でも……
おばあさん:大丈夫かしら? さっき、少し表情が暗かったけれど……
みのり:あ……
みのり:い、いえ! そんなことないですよ!
みのり:いつもどおり、元気いっぱいですっ!
おばあさん:そう……
おばあさん:——芸能のお仕事って大変よね。 時にはつらい気持ちも押し込めなくちゃいけなくて
おばあさん:特にアイドルは、みんなに希望を届けるお仕事だもの。 どんな時も笑顔でいなくちゃいけないわよね
みのり:おばあさん……?
おばあさん:……ごめんなさい。 実はさっきお客さんが話していたこと、 少しだけ聞こえてしまっていたの
みのり:あ……
おばあさん:だから、もし楽になるのなら、 みのりちゃんの気持ちを話してもらえないかなと思って
みのり:わたしの気持ちを……
みのり:ありがとうございます
みのり:……それじゃあ、少しだけ話させてもらってもいいですか?
おばあさん:ええ、もちろんよ
みのり:……実は……
おばあさん:……そう言われたら、やっぱり気にしてしまうわよね
みのり:……はい。 わたし達も『お客さんに喜んでもらえるように』って思って やってきたつもりだったんですけど……
みのり:LiLiaの代わりにはなれなくて——、 LiLiaに会いに来たお客さんをガッカリさせちゃったので……
みのり:……すごく、力不足だったなあって
おばあさん:みのりちゃん……
おばあさん:…………
おばあさん:——でも、仕方がないんじゃないかしら?
みのり:えっ?
おばあさん:LiLiaにはLiLiaのよさがあって…… その代役は、誰にもできないと思うの
おばあさん:今回はMORE MORE JUMP!が代わりに入ったけれど…… 違うグループの子達だったとしても、 同じことになっていたはずだわ
おばあさん:だから、みのりちゃんが気に病む必要はないんじゃないかしら
おばあさん:私も長く番組の観覧に来ているけれど、 こういうことは、よくあることだし
みのり:……たしかに、そうかもしれませんけど……
みのり:(でも……)
おばあさん:…………
みのり:(だからって、お客さんをがっかりさせたまま 収録が終わっちゃうのは……違うよね)
みのり:(わたし達はわたし達にできることで、 来てくれたお客さんを喜ばせたい……)
みのり:(それなら——)
おばあさん:みのりちゃん?
みのり:わたし……決めました
みのり:おばあさんのいうとおり、 わたし達はLiLiaの代わりにはなれません。でも……
みのり:100%期待に応えられなくても、 今日見に来てくれた人達みんなに、少しでも 『楽しかった』とか『元気になった』って感じてもらって——
みのり:『明日をがんばる希望』を届けることは できるんじゃないかって思うんです
おばあさん:…………!
みのり:だから……このあとの収録は、 そういう気持ちで、もっともっとがんばりたいと思います!
おばあさん:みのりちゃん……
みのり:……えへへ。 なんだか、おばあさんと話しているうちに 頭の中が整理できたような気がします
みのり:話を聞いてくれて、ありがとうございました! すっごくスッキリしました!
おばあさん:……そう。 少しでもこの前の恩返しができたならよかったわ
みのり:恩返しなんて、本当に気にしないでください! わたしは別に、たいしたことしてな——
みのり:って、そろそろ休憩時間おわっちゃう! 早くセットのとこ戻らなくちゃ!
みのり:え、えっと、バタバタしちゃってすみません! もうすぐ収録再開で……!
おばあさん:ふふ、早く戻ったほうがいいわ。 収録、頑張ってちょうだいね
みのり:ありがとうございます! それじゃ、また……!
おばあさん:ええ……
おばあさん:MORE MORE JUMP!の花里みのりちゃん……ね
数十分後
みのり:カメラさんカメラさんっ!
みのり:有村さんが持ってる大福のここ! ここ映してくださいっ! こ~んなにたっぷり、あんこが入ってるんですよ!
ユイカ:あはは、カメラさんめちゃくちゃ寄せるじゃん! でも、そのほうがお客さんには見やすいかも
有村:こしあんじゃなくて粒あんってことも、 僕の手がシワシワってことも伝わったんじゃない?
遥:(なんだかみのり、休憩のあとから すごくお客さんを意識して動いてる気がする)
雫:(お客さんの反応も、さっきより興味を持って 聞いてくれてる感じがするわ)
愛莉:(……休憩中に何があったかは知らないけど、いい感じね)
愛莉:(わたしも、しっかりしなくちゃ)
みのり:MYUさんの『隠れたローカルお土産紹介』、最高ですね! 食べてるだけで旅行した気分になっちゃうなあ!
遥:……そうだね。 それに、こんなに美味しいお土産を、たくさん知ってるなんて さすが旅系インフルエンサーですね
MYU:え~、そんな風に言ってもらえると調子に乗っちゃいますね! まだまだあるから、次は——
カメラマン:す、すみません、ちょっといいですか! いったん収録止めます!
みのり:え……
ユイカ:このタイミングで? なんかあったのかな?
カメラマン:プロデューサー、すみません……! 実は——
カメラマン:録画が開始されてなかったようで……
黒宮:なんだって? ……一体どこから?
カメラマン:そ、それが—— 休憩終了後から、ずっと……です
有村:な——
雫:それって……
みのり:40分くらい話してたのが、 全部撮れてなかったってこと……!?

第 7 话:まさかのトラブル!?

テレビ局 スタジオ
有村:はあ、機材トラブルか……。 しかも40分ともなると、厳しいことになったなあ
みのり:テレビ局の収録でも、こういうことってあるんだね……
愛莉:ええ。わたしも実際に遭遇したのは初めてだわ。 たまに起きるって聞いたことはあるけど……
遥:録画ミスって、単純なミスにしては影響が大きいから カメラマンにとっては夢に出てくるくらい 怖いことだって言われてるらしいよ
みのり:そうなんだ……
みのり:(そんなことが起きちゃったなんて……。 このあとの撮影、どうなっちゃうのかな……)
黒宮:皆さん、お待たせしてすみません! お聞きのとおり、トラブルが起きてしまいまして……
黒宮:結論から言うと……大変申し訳ないのですが、 休憩後の部分から撮り直しをさせていただきたいです
MYU:……やっぱり、そうなりますよね
遥:となると、MYUさんのお土産紹介企画が始まるところから、 もう一度撮影する感じになるかな
ユイカ:うっ、演技で初見っぽい反応しなくちゃいけないってことか……。 大丈夫かな……
みのり:た、たしかに……! 撮り直すってことは、そういうことですもんね……!
雫:……それに、観覧席のお客さん達も 同じやり取りをもう1回見ることになっちゃうわね……
MYU:というか私、ひとつ気になってることがあって……
MYU:私の企画で使ったお土産、 さっきの収録で、ほとんど封が開いてしまってるんですよ。 それだけなら誤魔化せるかもしれないんですけど——
MYU:肝心の中身が、もうほとんどないんです。 さっき、みんなで食べてしまったので
雫:あ……!
MYU:となると、この企画自体、結構きついかもと思っていて……。 何か別のものにできるならしたほうがいいのかなって
みのり:今から別のものに……!?
遥:……でも、肝心のお土産がないとなると、 そうするしか方法はなさそうですね
黒宮:ええ、私達のほうでも、 そのことについて相談したいと思っていました
黒宮:ただ、お土産紹介のように『物』が必要な企画になると それを調達する時間はなくて……
黒宮:となると、トークでなんとかしなくてはなりません。 ……そこで、オススメの旅行先などの話にできないでしょうか?
愛莉:旅行先……。 たしかにそれなら、MYUさんの得意ジャンルね
黒宮:宿とかの名前を出していただいても問題ないです。 それなら、撮影後に取材に行って 映像を撮ってくることはできますので
MYU:…………。 なるほど、わかりました
MYU:正直そういうのはピクシェアにもたくさんのせてて 視聴者さん的に、あまり目新しい情報はないと思いますが…… 事情が事情ですし、仕方ないですね
みのり:(あ……)
みのり:(……そうだよね。MYUさんも、 見てくれるお客さんに喜んでもらいたいって思って いろいろ準備してきたはず……)
みのり:(それなのに中途半端な企画になっちゃったら、 MYUさんも、MYUさんを見に来てるお客さんも悲しいよね……)
みのり:(企画を変更しなくちゃいけないのは、しょうがないけど…… もっとよくできないかな)
みのり:(MYUさんのお土産企画みたいな、 お客さんに喜んでもらえるような企画にできたら——)
みのり:——あっ!
雫:どうしたの、みのりちゃん
みのり:あっ、えっと……代わりの企画を思いついて……!
みのり:……で、でも、よく考えたらすっごく思いつきって感じで、 あんまりいいアイディアじゃないかもしれないけど……
遥:……いったん、話してみたら? 何かヒントになるかもしれないし
黒宮:ええ、ぜひ教えてください。 私達も、よりいい企画にできるのであれば そちらを優先したいと思っているので
みのり:プロデューサーさん……
みのり:……わ、わかりました! えっと——
みのり:テレビ局のお土産を紹介する企画は どうかなって思ったんです
MYU:テレビ局のお土産を?
有村:たしかに局内には一般のお客さん用に売店があるね。 番組企画で作ったようなやつとか、 キャラクターをモチーフにしたグッズとか
みのり:はい! 前にわたしも見たことがあるんですけど、 そこでしか売ってないものも多くて、おもしろかったなって
みのり:だから、その紹介なら楽しそうだし、 テレビ局の売店のものなら、 今からでもすぐ用意できるかなって思ったんですが——
みのり:ど、どうでしょうか……!
MYU:…………。 アリなんじゃないでしょうか
みのり:え……
ユイカ:私もそう思います。 それなら、MYUさんのフォロワーさん達にも 楽しんでもらえそうだし
MYU:私自身、興味ありますしね! テレビ局で売ってるお土産ってどんなのなんだろうって
MYU:——なので、花里さんの案をもらって 『気になるテレビ局のお土産をチェックしよう!』 みたいな企画にするのはどうでしょうか?
みのり:い……いいんですか!?
黒宮:たしかに、それならすぐに用意できるし、 意外性もあって、トークも盛り上がりそうですね
黒宮:……花里さんの案、いただきましょう。 その方向で調整するので、もうしばらく時間をください
黒宮:——全員準備! 30分後には再開するからそのつもりで!
スタッフ達:『はい!』
みのり:あ……
雫:……すごいわ、みのりちゃん! この状況であんな素敵なアイディアを出せるなんて!
愛莉:そうね。どうなることかと思ったけど…… みのりのおかげで、いい番組になりそうだわ
みのり:ほ、ホントに思いつきだったんだけど、 役に立てたみたいでよかった!
遥:それじゃあ、あとは準備を待つだけだね
雫:ええ! それまでは——
観覧席の客の声:トラブルって言ってたけど、 結構時間かかってるね……
観覧席の客の声:いつから再開するんだろ。 私、ちょっとお尻痛くなってきちゃったよ
観覧席の客の声:準備含めて3時間くらい座ってるもんね……。 時間延びるかもとは書いてあったけど、 ここまでかかるとは思わなかったなあ
みのり:あ……
遥:……お客さん達も、待ってるの大変だよね
愛莉:そうね。休憩以外はずっと座りっぱなしだし、 用意されてる椅子も簡易なものだものね……
雫:早く再開できればいいんだけど……
みのり:うん……
みのり:(それに——)
スタッフ達:有村さんは申し訳ないですが プロデューサーと一緒に番組構成と 書き換えた台本の確認お願いします!
スタッフ達:ユイカさん、今のうちにメイク直すのでこっちに!
スタッフ達:さっき使ったのでセット乱れてるの直して! あとカメラも配置確認!
みのり:(スタッフさん達も全力でがんばってるのに、 わたし……何もできてない)
みのり:(何か、やれることないかな……。 お客さんやスタッフさん達、みんなのためにできること——)
スタッフ:おーい、誰か手あいてるやついるか!? MYUさんが指定したお土産、買ってきてくれ!
みのり:あ……
みのり:はいはいっ! わたし行ってきますっ!
愛莉:えっ!?
みのり:すぐ戻ってくるので、待っててくださ~い!
スタッフ:ああ、助かる——……って
スタッフ:なんで、花里さんが……!?
遥:私達も行こう。 きっと手伝えることがあると思うし
雫:あ……
愛莉:そうね。 わたし達だけ、ここでじっとしてるわけにはいかないわ
雫:ええ。 スタッフさんに話してから、追いかけましょう
数分後
みのり:——買ってきました! 売店の売り上げランキング上位のお土産達です!
MYU:あ、ありがとうございます。 ホントに花里さん達が買ってきてくれたんですね
有村:ていうか、すごい量だね。 さすがにこんなには使わないんじゃないかな?
みのり:あっ、こっちはお客さん用のお菓子です!
ユイカ:お客さん用?
みのり:はい! トラブルでたくさん待たせちゃってるので、 そのお詫びっていうのもあるんですけど……
みのり:お客さんに一緒に食べてもらうことで、 企画の時にも一緒に『わかる!』とか楽しんでもらえるかなって
MYU:そんなことまで考えてたんだ……
スタッフ:とてもありがたいですけど…… 私達の仕事ですし、任せていただいてよかったんですよ
みのり:あ……す、すみません! メイク直しとかもあるのに、勝手に動いちゃって……!
みのり:でも、お客さんのためにスタッフさんもがんばってるのに、 何もしないで立ってるの、モヤモヤして……
みのり:それに、お客さんもずっと待ってて 疲れてるかなって思ったので……!
有村:……たしかに、そういう気持ちは忘れちゃいけないよね
雫:有村さん……
有村:こういう場所だと、つい勝手に線引きをしてしまうけど…… 僕達出演者も、スタッフのみんなも お客さんのためにいい番組を作ってる仲間だから
有村:『これはスタッフの仕事だ』『これは出演者の仕事だ』 って切り分けずに、お客さんのことを思って行動しないと
ユイカ:……たしかに、そうですね
MYU:なんか、花里さんに学ばせてもらっちゃいました。 素敵な心掛けでお仕事されているんですね
みのり:え……
みのり:わ、わたしは、そんなたいしたことは……
遥:……もしよかったら、 買ってきたお菓子、私達でお客さんに配りませんか? まだ収録再開まで少し時間がありそうですし
愛莉:いいアイディアね! 皆さんから手渡しされたら、 きっとお客さん達も喜んでくれると思うわ
有村:たしかに、いいサービスになるかもな
ユイカ:やろうやろう! じゃあ私、奥のほうから配ってくるよ!
愛莉:みんな、待たせてごめんなさいね! 突然だけど、わたし達からプレゼントがあるわ!
観覧席のお客さん達:えっ……なになに!?
MYU:もうすぐ本番始まると思うから、 これ食べてもう少しだけ待っててくださいね
観覧席のお客さん達:わっ……MYUが……!? いつもピクシェア見てます、嬉しいです……!
雫:……よかった。 お客さん達、喜んでくれてるみたいね
遥:うん。モヤモヤさせちゃった分、 少しでもいい思い出になればいいな
みのり:あとは、スタッフさん達の準備が整えばいいんだけど——
スタッフ達:皆さん、お待たせしました! 準備完了しましたので、スタンバイお願いします!
愛莉:仕切り直しの後半戦、スタートね
みのり:うん……
みのり:見てくれてるお客さんに たくさん喜んでもらえるように、がんばろう!
愛莉・雫・遥:『ええ!』 『うん!』

第 8 话:撮影を終えて

テレビ局 スタジオ
スタッフ達:それでは、撮影終了です! お疲れさまでした!
みのり:お疲れさまでした!
愛莉:——ふう、いろいろあったけど、 なんとか乗り切ったわね!
みのり:うん! 食レポの時に、 観覧席のお客さんも『わかる~』って感じでうなずいてくれて 嬉しかったなあ
雫:ふふ、お客さん達にも配ってよかったわね
遥:他にも、いろいろと振り返りたいことはあるけど……
遥:今は、このあとについて考えなきゃいけないかも
愛莉:……例の物件の面接のことよね
みのり:あーっ、そうだった! えっと、面接は20時で、今は——
みのり:じゅ、19時!? もうそんな時間になってたんだ!
雫:トラブルでかなり時間がおしたものね。 今から出れば、ギリギリ間に合うと思うけど……
スタッフ:お客さん、スタジオ出られます!
ユイカ:あ、それじゃあ私、お見送りしに行こうかな
MYU:私も行きます! 今日の撮影の感想とか聞きたいですし!
みのり:あ……
遥:お見送り……。 たしかに、せっかく来てくれたお客さんに挨拶したいよね
愛莉:ええ……。 でも、そうすると面接には間に合わないわ
愛莉:もともと入居審査が厳しいって話だから、 遅刻なんてことも許されそうにないし
雫:そうなると、あのおうちは諦めなくちゃいけなくなるわね。 でも——
みのり:それでもわたし、ちゃんとお見送りしたいな
みのり:トラブルのせいで長い時間待たされちゃったのに 最後まで見てくれてありがとう、って
みのり:あ……あと、一緒にがんばったスタッフさんや 出演者の皆さんにも挨拶したいし……
愛莉:……そうね
雫:ええ! 私も、同じことを思っていたわ
遥:大家さんには迷惑をかけちゃうから、 あとでちゃんと謝らなくちゃいけないけど……
遥:今は、私達にとって一番大事なことをやろう
みのり:あ……
雫:川西さんには、いったん斎藤さんから 連絡してもらうようにお願いしておくわ
みのり:……ありがとう、雫ちゃん!
みのり:それじゃあ行こう、みんな!
スタッフ:すごいですね、あの子達。 番組のフォローもそうですけど、あの状況でお客さんや、 出演者の空気までよくできるなんて
黒宮:……ああ、そうだね
黒宮:『アイドルよ、いかなる時もアイドルであれ』か
スタッフ:なんですか、それ?
黒宮:知らない? 関係者のあいだで語り継がれてる、伝説のアイドルの言葉だよ
黒宮:アイドルが希望を届けるのは、 ステージの上だけじゃない——
黒宮:あの子達は、それを体現する存在になるかもね
おばあさん:……そうですか、わかりました
おばあさん:いいえ、私もいつも無理を言っておりますので。 それでは、またいつでもご連絡ください
おばあさん:……ふう。 急いで戻る必要はなくなったわね
観覧席のお客さんA:ねえねえ、よかったよね、MORE MORE JUMP!
観覧席のお客さんB:うん! トラブルで待たされてかなり退屈だったけど、 『退屈してないですか?』って声かけてくれたり、 帰りもニコニコで挨拶してくれて——
観覧席のお客さんB:なんか、推せる感じだったよね! 帰ったら、配信チェックしてみよっかな
おばあさん:……そう。 やりきったのね
おばあさん:……きっと、あの子達なら——
スクランブル交差点
リン:『みんな、今日の収録、ホントにすごかったね!』
ミク:『うんうん!  あんな風にトラブル解決しちゃうなんて、 びっくりしちゃったよ!』
愛莉:そうね。でも…… 今回成功したのは、みのりのがんばりがあったからよね
雫:ええ。お客さんのために頑張るみのりちゃん、 とってもかっこよかったわ! ……私も見習わなくちゃ
みのり:あ、アイドルの先輩のみんなに そんな風に言ってもらえるなんて、恐縮だよ……!
愛莉:でも…… 家のことは残念だったわね
レン:『……そうだよね。 みんなも気に入ってたし、素敵なおうちだったのに、残念だな』
遥:私達の見積もりも甘かったかもね。 時間があいてたとはいえ、 やっぱり同じ日に予定を入れるべきじゃなかったと思う
雫:そうね……。 斎藤さんから、今回の収録の話をもらった時に 別の日にできないか相談しておけばよかったわね
愛莉:まあ、厳しい大家さんみたいだし、 リスケの相談の時点で、駄目って言われてた可能性はあるけどね
KAITO:『でも、大丈夫! きっとまたいい家が見つかるはずだよ』
ルカ:『そうね。 諦めないで探していくのが大事だと思うわ』
みのり:うん! また、川西さんにも相談して——
みのり:——あれ、電話?
雫:斎藤さんからだわ。 物件のキャンセルのことについてかしら
雫:……お疲れさまです、日野森です。 すみません斎藤さん、今収録が終わって——
雫:——えっ……!?
遥:どうしたの?
雫:ど、どうしてかわからないけど……
雫:大家さんが私達に興味を持ってくれているらしくて、 明日でもいいから会えないかって……
みのり:ええっ!?
翌日
住宅街
みのり:い、言われるままに来ちゃったけど……
みのり:だ、大丈夫かな!? ドタキャンしちゃったこと怒られたりして……
遥:それで呼び出すのは、 そうとう気難しい人だと思うけど……
遥:悪いのは私達だし、直接謝りたいとは思ってたから、 しっかり私達の気持ちを伝えよう
みのり:そ、そうだね……! じゃあ、ピンポン押すよ……!
愛莉:ええ……
みのり:え~~~いっ!
???:『……はい』
みのり:あっ……しゅ、しゅしゅしゅしゅみません! わたし達、今日お約束しているMORE MORE JUMP!の……
???:『はいはい、よくいらっしゃいました。 少しお待ちくださいね』
みのり:はっ……、はいっ!
遥:……なんだか、思ったより優しい感じの声の人だね
愛莉:そうね。というか……
雫:この声、どこかで——
???:お待たせしました。 わざわざお越しいただいてありがとうございます
遥:え……
みのり:あ、あなたは——
おばあさん:こんにちは。 私がこの物件の大家です
みのり:お、おばあさん……!
おばあさん:また会ったわね、みのりちゃん
みのり:え、えっと……? おばあさんがこの物件の大家さんで、わたし達の面接を……?
みのり:あ! っていうより、 まずはキャンセルしちゃったこと謝らなきゃいけないですよね!
みのり:わたし達、番組の収録があって、 おばあさんも知ってると思うんですが、その——
おばあさん:ふふっ、落ち着いて。 キャンセルになったことは気にしていないわ
おばあさん:それより—— 今日は、顔合わせのつもりでお呼びしたの
おばあさん:この物件の、未来の入居者さん達とのね
雫:……! それって——
みのり:わたし達に、このおうちを…… 貸してもらえるってことですか!?
遥:でも、どうして……?
おばあさん:皆さんには助けてもらったご恩があるし——
おばあさん:みのりちゃんと話していて、 皆さんはこの物件の入居条件である、 『夢を叶えられる人』を満たしていると感じたの
みのり:わたしと話して……
おばあさん:——さあ、これがここの鍵よ。 今はあいているから、いつ入居しても構わないわ
おばあさん:聞いているかもしれないけれど、 ここの1階は私の家になっているの。 だから、困ったことがあったらいつでも声をかけてちょうだいね
みのり:あ……
みのり:ありがとうございます! わたし、このおうちのこと気に入っていたので、すごく…… すっごく嬉しいです!
雫:本当ね……! 大切に使わせていただきます!
愛莉:たしかにわたし達、転んでた大家さんを助けたけど…… それだけで審査をパスして本当によかったのかしら
遥:たしかにね。 ……でも、『みのりと話して』って言ってたし、 そこで何かあったのかも
愛莉:そう考えるのが自然よね
遥:……『夢を叶えられる人』か……
愛莉:……まあ、当の本人はわかってなさそうだけど
遥:ふふ、そうだね
愛莉:(それに——)
愛莉:(最初に会った時には気づかなかったけど…… この大家さん、ずっと前にどこかで会ったような気がするのよね)
愛莉:(でも、思い出せないわ。気のせいかしら……)
遥:とにかく、これで無事に私達の拠点…… 『モアモアハウス』ができそうでよかったよ
愛莉:ふふっ、そうね。 これからは——
愛莉:この場所から、たくさんの人に希望を届けていきましょ!
みのり:(これから、ここでみんなと活動していくんだ)
みのり:(配信も、編集も、打ち合わせも、練習も…… 全部このおうちで——)
みのり:(……そっか)
みのり:(あそこにあった傷は、 夢を叶えるためにがんばったあとだった)
みのり:(これからは、わたしも—— わたし達も、あの場所に、たくさんの想いを残していくんだ……)
みのり:(いろんなことがあるだろうな。 楽しいことも、大変なことも)
みのり:(でも……)
みのり:(みんなが近くにいるから——、 みんながもっともっと近くなったから、 なんだって乗り越えられる気がする)
みのり:——みんな! これからも、一緒にがんばっていこうね!
遥:どうしたの、突然
愛莉:まったく、脈絡ないんだから