活动剧情

Whip the wimp girl!!

活动ID:129

第 1 话:戦い

ビビッドストリート
こはね:えっと、たしか次の角を左……だよね
こはね:(今日は早いから、 いつもと違って全然人がいないな)
こはね:(それにしても…… どうして、ここに呼ばれたんだろう?)
こはね:あ……!
こはね:杏ちゃん! おはよう!
杏:おはよう、こはね
杏:練習ない日なのに、急に呼び出しちゃってごめんね
こはね:ううん、大丈夫だよ。 最近お休みの日は、早起きして声出しするようにしてるから
杏:……そっか。さすがこはねだね。 休みもやる気満々じゃん
こはね:えへへ、ありがとう
こはね:それより杏ちゃん、今日はどうしたの?
こはね:『大事な話がある』って言ってたけど…… それなら、通りじゃなくて、お店で話したほうが……
杏:——ここじゃないと、駄目なの
こはね:え?
杏:……実は、こはねにお願いしたいことがあってさ
こはね:お願いしたいこと?
杏:そう。私の課題のことで
こはね:あ……。 謙さんから言われた課題、だよね
杏:うん
杏:いろいろ考えてようやくわかったんだ。 クリアするために、やらなくちゃいけないこと
杏:ただそれは……私ひとりじゃ、どうしてもできないことで
杏:だから、こはねに力になってほしいんだ
こはね:……うん、それなら手伝うよ!
こはね:それで私は、何をしたらいいの?
杏:……ありがとう、こはね
杏:————私と戦って
杏:今、ここで
こはね:…………え?
数カ月前
WEEKEND GARAGE
謙:——さて、次は……
謙:杏。お前の課題についてだ
杏:うん
杏:——なんでも言って。 どんな課題でもやり切ってみせるから
謙:……そうか、そいつは頼もしいな
謙:だが…………
杏:……? どうしたの?
謙:……いや。気にするな
謙:杏、お前にやってもらいたいことは——
謙:お前もよく知る—— 『この街に昔からいる連中を、本気にさせること』だ
杏:……!
杏:街のみんなを……本気にさせる……?
謙:そうだ
謙:これまで何度か話したが…… RAD WEEKENDが伝説となったのは、そこに 込められた想いの大きさが、並大抵のものじゃなかったからだ
謙:そしてその想いは、ここ…… ビビッドストリートで時間をかけて育まれた
謙:音楽を心から愛する連中が集まった、この特別な街でな
杏:…………
謙:RAD WEEKENDを超えるなら、 この街に昔っからいる連中を巻き込むべきだ
謙:……あいつらの想いは、圧倒的に強い
謙:もしあいつらが、 『凪の最期の願いを見届けたい』と本気で思わなかったら、 RAD WEEKENDはあれほどのものになっていなかっただろう
杏:…………
謙:だから、あいつらを突き動かす必要がある。 だが……
謙:あいつらはまだ、お前らのほうを見ちゃいねえ。 ……いや、見ることができねえでいる
杏:……私達のほうを……?
謙:そうだ
謙:凪は、次の世代に——お前達に願いを託した。 だからあいつらはお前達に、 凪の夢の先に行ってもらいたいと思っている
謙:だが……あいつらはまだどこかで、凪の姿を追ってる。 無意識に凪の影を……幻影を見ている
謙:……あとは、お前への罪悪感もあって、 向き合えねえのもあるかもな
杏:…………
謙:——だから、杏
謙:そんなあいつらに、思わせろ
謙:凪が託したから叶えてほしい——じゃねえ
謙:『お前達の夢が叶う瞬間がどうしても見たい』。 そう本気で思わせるんだ
杏:……本気で……
彰人:…………。 たしかに、謙さんの言ってることはわかるが……
こはね:…………
杏:……どうして!? どうしてっ!!?
杏:どうしてそんなに大事なこと、私だけ知らされてないの!?
杏:おかしいでしょそんなの! みんな仲間だと思ってた、家族だと思ってた!!
杏:なのに、なんで!? なんで、私だけ……っ!!
こはね:…………
こはね:杏ちゃんじゃなきゃダメ……なんですよね……
謙:……ああ
謙:これは、杏にしかできねえ。 ——凪と同じように、この街で育って、 あいつらから家族同然に扱われてきた杏にしかな
謙:あいつらは、ずっと見てきた。 凪の背を追って、大きくなっていく杏を
謙:凪が夢を託したい相手だと言った、杏を
謙:だからこそ杏だけが——あいつらを動かせる
こはね:…………
杏:……ありがとう、こはね。 私のこと心配してくれて
杏:でも——大丈夫。 やってみせる
杏:みんなが、凪さんが死んだことをずっと黙ってたのは やっぱり許せない
杏:でも……わかるんだ。 凪さんの最期のお願いを聞いてあげたかった気持ちは
冬弥:白石……
杏:……それにね、 この前少し、みんなと話をしたんだ。 Crawl Greenのオーナーさんとか、来てくれてさ
彰人:そうだったのか?
杏:うん。それでね——
Crawl Greenのオーナー:…………黙っていて、本当にすまなかった
杏:…………
ライブハウス店長:……っ。 悪かった杏ちゃん! こんな大事なことをずっと……!
くせっ毛のレコード屋店員:本当に……ごめん……
Crawl Greenのオーナー:……許してくれとは言わない。 そんなことを言う資格は、俺達にない
Crawl Greenのオーナー:ただ…………本当にすまない
杏:…………私は…………
杏:ごめん……。 今は……うまく話せない……
Crawl Greenのオーナー:……そうだな。急に押しかけてすまなかった
Crawl Greenのオーナー:……会ってくれてありがとう。杏
杏:…………
杏:あの時、私は みんなにちゃんと返事できなかったけど……
杏:今はもう、大丈夫
杏:私もみんなも——凪さんが好きな気持ちは一緒だってわかるから
謙:……杏
謙:——頼んだぞ
謙:お前達の想いは、オレ達にも負けねえくらい熱い。 それをあいつらにも、見せてやってくれ
杏:……うん! 任せて!

第 2 话:わずかな迷い

杏の部屋
杏:……ふぅ。 今日はいろんなこと話して、すごく疲れたな
杏:(だけど、そんなこと言ってる場合じゃないよね)
杏:(……やるんだ。これから)
杏:(街のみんなを本気にさせる。 そのためにできることを、全部……!)
杏:(あとは、どうやってやるかだけど……)
杏:(——うん。私の覚悟を、みんなに聴かせよう)
杏:(私の覚悟を乗せた、最高の歌を)
杏:(それで、 いつか凪さんがみんなに伝えたみたいに、宣言するんだ)
杏:(『私達が凪さんの夢の先に行く』……って)
杏:……よし!
杏:(そうと決まったら、もっと鍛えなくちゃ。 個人練習も増やして……)
杏:……あ、そうだ
杏:父さん、まだ店にいるかな
謙:——ああ。それじゃ、あとは頼む
謙:……ふぅ。 ばあさんに連絡もついたし、そろそろ引き上げるとするか
杏:あ、いた! よかった~、まだこっちにいて
謙:ん? どうしたこんな遅くに。 明日も朝から練習だぞ
杏:それはそうなんだけど……。 なんかまだ、寝るって気分じゃなくてさ
杏:だから、ちょっとだけ練習見てくれない? 今日はあんまり歌えてないし……30分だけでもいいから!
謙:ああ、わかった
杏:ほんと? ありがとう!
杏:それじゃ、そこで聴いてて! 何かあったら口挟んでいいから!
謙:了解だ
杏:えっと、マイク……はもう遅いしやめたほうがいいよね。 曲は——
謙:(……どうやら、なんとかなりそうだな)
謙:(正直なところ、杏の課題は、 どう転ぶかわからないと思っていた)
謙:(街の連中は、 杏をまっすぐ見ることが難しくなっていたし……)
謙:(杏は……当然だが、街の連中を以前のように思うことは できなくなっている)
謙:(……と、そう思っていたが——)
杏:うん、準備オッケー! それじゃいくよ!
杏:♪——————!!
謙:(……いい歌だ)
謙:(これまでのしがらみを感じさせない。 杏自身が、すべての想いをぶつけようとしてる歌だ)
謙:(この調子なら——)
杏:♪——————!!
杏:(……うん。声はよく出てる。 けど——)
杏:(これじゃまだまだ足りない)
杏:(凪さんのあの時の熱さに、負けないように——)
杏:(ううん、誰にも負けないくらい——!)
杏:……っ
杏:(……ダメ! 今は、あのことは関係ない……!)
杏:(集中しないと——!)
杏:♪……——————!!
謙:……ん?
謙:(なんだ?)
謙:(今……妙な引っかかりを覚えた)
謙:(これは——)
杏:♪——————~~!!
謙:——すまん、杏。 一度止めてくれ
杏:…………っ
杏:……何? 父さん。 音程外れてた?
謙:いや。音もリズムもズレちゃいねえ。 ただ……
謙:——杏
謙:お前、何か気にかけてることがあるんじゃねえか?

第 3 话:この気持ちに決着を

杏の部屋
杏:…………
謙:お前、何か気にかけてることがあるんじゃねえか?
杏:え…………
謙:今、お前の歌に、迷いを感じた
謙:街の連中のことが気にかかってんのかとも思ったが…… どうもそういう感じでもねえ
謙:……何かあるんじゃねえか。 お前の心に引っかかってるもんが
杏:……引っかかってるもの……
杏:…………
謙:……思い当たるフシがあるって顔だな
杏:…………うん
杏:多分……ずっと前から、考えてたことなんじゃないかって……思う
謙:ずっと前から……? そいつは一体——
謙:…………嬢ちゃんのことか
杏:……まさか、歌にまで出ちゃうなんてな
杏:(……こはねのことは、 前から、ずっと引っかかってる)
杏:(でも、それは——)
杏:(彰人達と話して……整理できたと思ってた)
杏:(相棒で居続けるために、歌い続けようって)
杏:(『この不安を振り切るために、 前を向いて走ろう』って)
杏:(だけど……)
杏:(……やっぱり、不安は消えてない)
杏:(こはねが成長すればするほど、 胸が苦しくなる)
杏:(……この気持ちがあったから、 必死に頑張ってもこれたけど……)
杏:(だけどやっぱり——)
謙:……迷いがある歌は、聴くやつが聴けば必ずわかる
謙:その気持ちは……デカい障害になるかもしれねえ
杏:…………このままじゃ、ダメだ
杏:(…………ちゃんとつけなくちゃ)
杏:(この気持ちに——決着を)
数日後
ストリートのセカイ
彰人:今のままじゃ、課題をクリアできないかもしれない……か
杏:うん
杏:……こはねのことで迷ったままじゃ、 街のみんなに『凪さんの夢の先に行く』って覚悟が 伝わらない……って、そう思ったんだ
杏:凪さんは、みんなと心から信頼しあって、 RAD WEEKENDを作り上げた
杏:でも、私は……不安な気持ちになっちゃってる
杏:『やるしかない』って思ってたのに、 こはねの歌が、凪さんを思い出すくらいすごくなって…… また不安がわいてきて……
杏:……そんな状態じゃ、凪さんみたいに みんなの気持ちを動かすことは……きっとできない
杏:だから——迷いをなくしたいの
杏:ただやっぱり、ひとりで考えても、 どうしたらいいのかわからなくて……
ミク:……なるほどね
彰人:……実際、厄介な問題だよな
彰人:こいつは、こはねがどうこうっつうより、 お前自身の気持ちの問題だ
杏:うん……そうなんだよね
杏:こはねは離れていかないって言ってくれたし、 やれることだって、今みたいに頑張ることしかないのに
杏:なんでか、あれこれ考えちゃって……
杏:あーもう。 こんな風にグズグズしちゃうのって好きじゃないのにな
杏:……ホント……かっこ悪いよね
ミク:そんなこと——
???:——そんなことないって!
杏:えっ?
杏:ルカさん……!? それに、冬弥も……!!
ルカ:杏ちゃんは、かっこ悪くなんてないよ!
ルカ:よくわかんないけど、杏ちゃんはこはねちゃんと 距離ができちゃいそうなのが不安なんでしょ!?
ルカ:つまり、それだけこはねちゃんが大事!ってことじゃん! だから、全然かっこ悪くない!
冬弥:ルカさん……その……
ルカ:……あーっ! や、やっちゃった! ごめんみんな! これは、その~!
冬弥:すまない白石。 ルカさんに曲の感想をもらっていたんだが、 白石達の会話が聞こえてきて……
ルカ:と、冬弥くんは悪くないって! 私が『ちょっと聞いちゃおー♪』って言っちゃったの! ごめんなさい!
ルカ:でも……さっき言ったことは本当だよ! 杏ちゃんは、全然かっこ悪くない!
杏:……ふふっ。 ありがとうございます、ルカさん
杏:まあ、偶然聞いちゃったんならしょうがないですから、 そんなに謝らないでください
杏:ていうか——どうせならルカさん達も 相談のってくれませんか?
杏:いっぱいアドバイスしてくれる人がいたほうが、 私も助かりますし!
ルカ・冬弥:『うん!』 『ああ』

第 4 话:言葉にならないもの

ストリートのセカイ
冬弥:……そうか。 白石は小豆沢に、そんな想いを抱いていたのか
杏:うん。……黙っててごめんね。 私の気持ちの問題だし、わざわざ話すのも変かなって思って
冬弥:それは構わない。 誰にでも、あえて口にしたくないことはあるものだからな
冬弥:しかし……白石がそこまで不安になるのは不思議だな
杏:え?
冬弥:小豆沢の歌はたしかにすごい。 成長速度も、目を見張るものがある
冬弥:だが俺からしてみれば、それは白石もだ
冬弥:大河さんとやりあった時の歌には、凄まじい気迫があった。 決して小豆沢に引けを取っていないだろう
杏:……そう、なのかな
彰人:——ああ。 オレも、お前らの実力は拮抗してると思ってる
彰人:ま……オレ達がそう言ってもお前は、 『もしかしたらいつか』って不安になっちまうんだろうけどな
杏:それは……そんな気がするな
ミク:——ちなみにさ、 ふたりは、こはねが成長してる時、どんな風に感じるの?
冬弥:ん? 俺達が……か?
ミク:そう。 杏との感じかたの違いがわかれば、 何かヒントになるかもしれないなって
彰人:どんな風に感じる……か
冬弥:俺は……頼もしいと思っている
冬弥:日に日に進化していくあの歌のおかげで、 俺達はさらに高みにいけるからな
彰人:高みに——か
彰人:……そう考えるとオレも、燃料にしてるな
ミク:燃料?
彰人:ああ。あいつが伸びるたびに 『負けてられねえ』って気合いが入るからな
ルカ:あ、なるほど! 彰人くんらしいね~!
杏:……そっか。 ふたりは、そう感じてるんだ
ミク:——杏は、どうなの?
杏:えっと……
杏:……ふたりの気持ちは、すっごくわかるんだ。 私もこはねの歌を聴くたびに、頼もしいって思うし、 負けられないなって気持ちもわいてくるから
杏:だけど——
杏:それがみんな押しつぶされちゃうくらい、 不安な気持ちがどんどんあふれてきちゃうんだ……
ルカ:……そんな風になっちゃうんだね……
杏:……一応、理由はわかってるんです
杏:私は、小さい頃からずっと父さん達を見てたから、 相棒っていうものにすっごく憧れてて
杏:同じ夢を全力で追いかけていけるような…… そんな存在がほしいって思ってたんです
杏:でも、なかなかいい人が見つからなくて……
杏:そんな時に出会ったのが、こはねだったんです
杏:こはねは、すごくドキドキする歌を歌えて、 その上、私と一緒に頑張りたいって言ってくれて…… すごく嬉しかった
杏:だから絶対大事にするんだ!って思ってたら、 ずっと一緒にいたい、 相棒として対等でいたいって気持ちが大きくなっちゃって……
冬弥:白石……
杏:だから、こうなっちゃう理由はわかってるんですけど…… 解決方法は、全然……
ミク:……そうだね
彰人:具体的な解決の仕方が思い浮かぶかっつーと……だな
ルカ:ん~、どうしたらいいんだろう…………って、そうだ!
ミク:何か思い浮かんだの?
ルカ:うん!
ルカ:——このことって、まだこはねちゃんには話してないんだよね?
杏:え? こはねに……ですか?
ルカ:そうそう! 杏ちゃんの感じてきた不安とか、これまでやってきたこととか
杏:それは……まだ、ですけど……
ルカ:そっか。なら——
ルカ:思い切って話してみるのはどう?
杏:え……!?
ルカ:杏ちゃんは自分だけの問題って思ってるかもしれないけど 私は、そんなことないんじゃないかなって思うんだ
ルカ:もちろん、成長する姿が不安になる、なんて言ったら 困らせちゃうかもしれないけど……
ルカ:でも私がこはねちゃんだったら、 杏ちゃんが悩んでることは教えてほしいし 一緒に解決したいって思うから
杏:こはねに……この気持ちを……
杏:そんなこと、考えもつかなかったな……
杏:(でも、たしかにルカさんの言うとおりかも)
杏:(案外シンプルに、 素直にこはねに話して、一緒に考えてもらったほうが——)
杏:…………!
杏:……その、えっと……
杏:やっぱり……こはねには、言いたくない……かな
杏:……話したら困らせちゃうと思うから……
ルカ:そっか……
杏:(……それに……)
杏:(なんだろう。 こはねに、このことを話す瞬間のことを考えると——)
杏:(すごく……嫌な感じがする)
杏:あ、こはねから……!
彰人:こっちにも来てるな。 『電車が遅延してるから少し遅れる』だと
杏:そっか……。 もうすぐ練習の時間だし、行かないとね……
杏:——みんな、相談に乗ってくれてありがとう
杏:このことは、もうちょっと自分で考えてみるよ。 さっきルカさんが言ってくれたみたいに、 いろんな方法があると思うからさ
ミク:……わかった。 必要だったら、いつでも相談に来て
杏:うん! ありがとう!
冬弥:…………

第 5 话:よく似た想い

ライブハウス
バックステージ
謙:それじゃ、今日もぶちかましてこい!
杏・こはね・彰人・冬弥:『はい!!』
彰人:そんじゃ、反省会始めるぞ。 いつもみたいに、気になったことはバンバン挙げてってくれ
こはね:あ、えっと……今日はサビ前がもうちょっと タメられたんじゃないかなって思ってて——
冬弥:…………
数カ月後
こはね:ふぅ……。 今日も疲れたね
杏:ホントにね! 私、家戻ったらすぐ寝ちゃいそうだよ
こはね:ふふ、わかるなそれ。 お風呂入ったあと、 髪乾かしてる時とかにウトウトしちゃうんだよね
杏:そうそう! それで泥みたいに寝て、気づいたらすぐ朝なんだよね~
こはね:そう考えると、なんだかすごい生活してるね、私達
こはね:……でも……
こはね:杏ちゃんのお父さんのおかげで どんどん力がついてきて、すごく楽しいな
こはね:——杏ちゃん。私、もっと頑張るよ。 みんなで、RAD WEEKENDを超えるために
杏:……うん
こはね:あ、信号変わっちゃいそう! またね、杏ちゃん!
杏:——うん! 気をつけてね!
杏の部屋
杏:……はぁ
杏:(ダメだな、私……)
杏:(……あれからずっと、 この気持ちをどうにかできないかって、考えてみた)
杏:(でも、今日も……)
こはね:——杏ちゃん。私、もっと頑張るよ。 みんなで、RAD WEEKENDを超えるために
杏:(こはねの笑顔に、まっすぐ応えられなかった)
杏:(ちゃんと……向き合えなかった)
杏:(……やっぱり、このままじゃダメだ)
杏:(でも一体、どうすればいんだろう……)
ルカ:思い切って話してみるのはどう?
杏:(こはねに、話す……)
杏:(でもそれは…………)
杏:……こんな時間に、メッセージ? 誰が……
杏:え——
30分後
杏:っと、たしかこの辺りに……あ!
杏:——冬弥!
冬弥:すまない、白石。 こんな時間に呼び出してしまって
杏:ううん、大丈夫!
杏:でも、こんな夜中にどうしたの? ていうか、話なら練習のあとすればよかったのに
冬弥:それでは、あまりゆっくり話せないと思ってな
冬弥:……この話は、 彰人も小豆沢もいない場所でしたほうがいいと思ったんだ
杏:え?
冬弥:実は——以前聞いた白石の悩みの件で、 ひとつ、言えることがあると気づいた
杏:……! それって……!?
冬弥:以前話をしていた時、ルカさんが、 今の白石の気持ちを小豆沢に話してみてはどうか…… と言っただろう?
冬弥:だが白石は、その方法を選択しなかった。 ……それは覚えているか?
杏:あ…………うん
冬弥:あの時の白石の様子が、 俺の中で引っかかっていたんだ
冬弥:どこか覚えがあるような気がしてな
杏:覚え……?
冬弥:ああ。 ずっと引っかかっていたが……ようやくわかった
冬弥:あの時の白石は、似ているんだ
冬弥:以前の——BAD DOGSを抜けると言った時の俺と
杏:え?
冬弥:……あの時俺は、 本当の気持ちを隠して、彰人から離れようとした
冬弥:……俺自身の、 『俺は彰人と同じように夢を持てていない』という気持ちを、 正直に話すことができなかった
冬弥:そしてそれは——
冬弥:彰人に、失望されたくなかったからだ
冬弥:一緒に夢を追う相棒だと思っていたのに、 そんな人間だったのかと……そう言われることが……怖かった
杏:……怖い……
冬弥:……白石も、そうなんじゃないか?
杏:え……
冬弥:すべてを話すことに、 知らず知らず恐怖を感じている……そんな気がしたんだ
杏:(恐怖……)
杏:(……そう、なのかな)
杏:(私も、もしかして——)
杏:…………っ
杏:……たしかに、そうかも
杏:改めて想像したら…… すごく怖いなって思っちゃった
冬弥:…………
杏:……そっか……。 こはねにがっかりされちゃうのが、怖かったんだな……私
杏:……こはねってさ
杏:いっつも、キラキラした目で私を見てくれるんだ
杏:それで私のこと、 ドキドキする歌を歌う、かっこいい子だって—— 憧れだって、そう言ってくれるの
杏:でも……本当はそうじゃない
杏:本当の私は、自分で思ってたよりずっと臆病で……弱くて……
杏:こはねの歌を聴くたびに、 やるしかないってわかってるのに…… 何度も、何度も不安になってる
冬弥:白石……
杏:……きっと、こはねはこんな私を見ても、 がっかりしないでいてくれると思う
杏:私がどんな人間でも、ちゃんと受け止めて、 『憧れてるよ』って言ってくれるって思う
杏:だから本当は、怖がる必要なんてないのかもしれない
杏:……だけど……
杏:それじゃ……私が嫌なんだ
杏:こんなかっこ悪い自分を、 こはねに見られたくない、知られたくないって思っちゃってる
杏:こはねには、 心から憧れてほしいって……
杏:だから…………こはねに話せない
杏:……あの時、 話さないのは、こはねを困らせたくないから、 なんて言ったけど……
杏:本当はただ……自分を守りたいだけだったんだ……
冬弥:……その気持ちは、よくわかる
冬弥:相手の存在が大切であればあるほど、 失望される恐怖は、大きなものになるからな
冬弥:だから俺も……同じように気持ちを押し隠した
冬弥:だが——
冬弥:俺は、すべてを話したことで、 彰人と本当の相棒になれた
冬弥:失望されるのは、たしかに怖い
冬弥:だが……気持ちをぶつけることで、開ける道もある
冬弥:少なくとも俺はそう思う
杏:冬弥……
杏:…………。 ……うん
杏:ありがとう
杏:……私、考えてみる
杏:こはねにちゃんと、この気持ちを伝えられるように

第 6 话:私達の勝負

杏の部屋
杏:…………
冬弥:失望されるのは、たしかに怖い
冬弥:だが……気持ちをぶつけることで、開ける道もある
冬弥:少なくとも俺はそう思う
杏:(……ちゃんと全部話すことで この気持ちに決着がつくかもしれない)
杏:(決着……っていうのが、 どんな形になるのかは、まだよくわかんないけど)
杏:(……でも、今よりも良いほうに向かう可能性があるなら——)
杏:…………。 ……はぁ
杏:(本当にかっこ悪いな、私)
杏:(もうこれ以外、方法なんてないのに…… まだ怖がってる)
杏:…………こういう時、凪さんだったらどうするんだろ
杏:(もし父さんや、大河おじさんが、 自分よりずっとずっと高いところに行こうとしてたら——)
凪:——————
杏:あ……
杏:——ふふっ
杏:今のセリフ、凪さんなら絶対言いそうだな
杏:『私はあんた達の先に行ってみせる』って
杏:それで、話すだけじゃなくって、正面切って戦って——
杏:戦う……
杏:……そっか。 そういうやりかたも、あるんだ
杏:……うん。そうしよう
杏:——本当の相棒になるために
こはね:杏ちゃんと……戦う、って……
杏:——私、ずっと不安だったんだ
杏:こはねが成長して、 どんどん歌がうまくなってくのが
こはね:え……?
杏:いつか私は、こはねを、 ドキドキさせられなくなっちゃうんじゃないか……って
杏:それにね
杏:こんな風に思ってる自分を、 こはねに知られたくないって思ってた
杏:こんなかっこ悪い私じゃ、 がっかりされちゃうって……怖くて……
こはね:……! がっかりなんて……!
杏:うん。わかってる
杏:こはねはそんな風には思わない。 でも……
杏:私が勝手に怖くなっちゃうの
こはね:杏ちゃん……
杏:……それで、いろいろ考えてたんだ。 この気持ちを振り払う方法を
杏:そしたら、凪さんのことが思い浮かんでさ
杏:きっと、凪さんは、仲間に隠しごとなんてしない
杏:弱いところも、情けない気持ちも全部全部打ち明けて、 それで——
杏:『もっと先に行く』って言う。 そう思ったんだ
こはね:先に……?
杏:うん
杏:遠くに行かれるのが怖いなら、 その先を走ればいい
杏:ずっと先に——ずっと上にいればいい
杏:だから、私は決めたの
杏:——こはねを超え続けるって
こはね:……!!
杏:私は、こはねの先に居続ける。 その証明をするために……勝負したいの
こはね:私の……先を……
杏:……こんなわがままにつきあわせて、ごめん
杏:でも……
杏:私と戦ってほしいの。お願い
こはね:杏ちゃん……
こはね:……ごめん、杏ちゃん
杏:え……
こはね:あのね、私、今少しだけ——
こはね:嬉しい、って思っちゃったんだ
杏:……嬉しい……?
こはね:……ごめんね。 こんな風に言うのはよくないかもしれないんだけど……
こはね:私、杏ちゃんに、 本気で勝ちたい相手だ、って思ってもらえたんだなって
こはね:やろう、杏ちゃん
杏:……ありがとう、こはね
30分後
WEEKEND GARAGE
彰人:……ったく、練習ねえ日だってのに、 結局ここに集まるとはな
洸太郎:いやー、家にいるとやっぱりソワソワしちまうんだよなー。 こっちで練習してるほうが、落ち着くっつーか
冬弥:ああ、それはよくわかる。 しかしここに来てないということは、 白石達は、ゆっくり休めているようだな
洸太郎:だな。オレ達も今日は喉休めろって言われてるし、 軽く練習したらどっかに——
街のミュージシャン達:おい! 例のやつ、どっちでやってんだ?
街のミュージシャン達:あっちらしいぞ!
彰人:……ん? 外が妙に賑やかだな
冬弥:誰かが通りで歌っているんだろうか
洸太郎:へえ! ちょっと見に行ってみるか?
彰人:おい、野次馬やってるほど暇じゃ……ん?
彰人:あれは……!
冬弥:ん? どうした彰人
洸太郎:あ、おい! どこ行くんだよ彰人!
彰人:……どこだ! 今、絶対店の前に……
彰人:あ……!
彰人:岡崎さん! 皆さん!
達也:……! 東雲……
冬弥:皆さん、どうしてここに?
EVERのメンバー:あ……いやちょっと、用があったっつうか……
達也:……俺達は、世話になってるレコード屋の親父に 荷物整理のバイトを頼まれただけだ
冬弥:そうだったんですか……
達也:……で、さっき終わって、帰るところだったんだが……
達也:あいつらが戦ってるせいで、人が集まって道がふさがっちまった。 ……これじゃバイクも出せねえ
洸太郎:へ? あいつらって誰だよ?
達也:お前達、聞いてないのか……?
達也:白石と、小豆沢だ。 あいつらが通りの奥でやりあってるらしい
洸太郎:はあ? 白石と小豆沢が……!?
彰人:なんであいつらが……!
冬弥:……もしや……
冬弥:ぶつかることで、乗り越えようとしているのか……?
冬弥:先に行かれてしまうかもしれないという、恐怖に——
彰人:……!
達也:恐怖……?
洸太郎:なんだそれ? どういう意味だ?
彰人:……あいつらには、戦う理由があるかもしれねえってことだ
彰人:とにかく、行くぞ! あいつらがどうなるのか、この勝負にかかってるかもしれねえ!
冬弥:ああ!
彰人:それから——岡崎さん、皆さん
彰人:もしまだ気持ちが少しでも残ってんなら—— あいつの覚悟、見ていってやってください
達也:え……
彰人:よし! 行くぞお前ら!
洸太郎:あ……! おい、ちょっと待てよ!!
達也:…………

第 7 话:相棒というもの

ビビッドストリート
洸太郎:うお! すげえ人数だな……! 100人近く集まってんじゃねえか!?
くせっ毛のレコード屋店員:あ……! 君達、Vivid BAD SQUADのメンバーだよね!
冬弥:皆さんは、この街の——
ベテランスタッフ:な、なあ! なんでふたりが戦ってるんだ!?
ライブハウスの店長:通りからすげえ歌が聴こえると思ったら、 表でふたりが歌ってて……びっくりしたぞ!
セクシーなお姉さん:それに、いつもとなんだか雰囲気が違うっていうか…… ケンカしてるみたいで……
Crawl Greenのオーナー:——何か、理由があるのか?
冬弥:……はい
冬弥:これはおそらく、白石にとって、必要な戦いです
Crawl Greenのオーナー:杏に……必要な……?
冬弥:はい。……皆さんも見届けてやってください
冬弥:白石達のことを
彰人:……岡崎さん……!
達也:……どうせしばらくは帰れなさそうだしな
杏:はぁ、はぁ……
こはね:♪————————!!
杏:……っ!
杏:(やっぱり……すごい)
杏:(声が伸びて——なのに突き刺さるみたい。 まるで、本当に……)
杏:(でも……!)
杏:(負けるわけには、いかない——!!)
杏:♪————————!!
こはね:…………っ
こはね:(これが……『絶対に勝つ』って気持ちが乗った、 杏ちゃんの歌……!)
こはね:(隣で歌ってる時と、全然違う。 さっきからずっと、肌がビリビリして……)
こはね:(やっぱり……杏ちゃんはすごいな)
こはね:(……杏ちゃんの歌を聴くと本当にドキドキする。 こんな風に、歌ってみたいって思う)
こはね:(だけど——)
こはね:(負けたくない)
こはね:(私は杏ちゃんと出会って、歌を歌うようになって、 いろんなことを知ったんだ)
こはね:(自分にプライドを持てるようになったし——)
こはね:(負ける悔しさだって、知った)
こはね:(だから……勝ちたい!)
こはね:(杏ちゃんにだって、負けたくない!!)
こはね:♪————————!!
杏:…………っ!
洸太郎:な……! 小豆沢のやつ、さっきより……!
達也:あいつ……どこまで進化すんだ……
彰人:わからねえ。 だが……
冬弥:——それは、白石も同じです
こはね:♪————————!!
杏:(……こはね)
杏:(全力でぶつかってきてくれて、本当にありがとう)
杏:(こはねの歌を、ずっと隣で聴いてきたけど…… 今日の歌が、今までで一番だよ)
杏:(こはねは……わかってくれてるんだね。 全力じゃなきゃ、この勝負は意味がないって)
杏:(……あのね)
杏:(こうやって正面切って勝負してる今も、怖いんだ)
杏:(ここで負けたら、ずっとこの不安を—— 苦しさを抱えて生きることになるから)
杏:(こはねの隣で、ずっと…… 怖がったまま歌い続けることになるから)
杏:(だから……勝つんだ)
杏:(胸を張って、こはねの隣に立つために)
杏:(——絶対に勝つ!!)
達也:……なんなんだ?
達也:白石は、なんであそこまで……
冬弥:……岡崎さん。 岡崎さんは、怖いと感じたことはありませんか?
達也:怖い……?
冬弥:誰かの歌を聴いて、恐怖を感じたことです
達也:それは……
達也:…………
彰人:あいつはずっとそれを、感じてたんです
彰人:ただ、その相手は大河さんじゃなく——
達也:……! 小豆沢……か?
彰人:——だからあいつは、それを振り払うために、戦ってるんです
達也:……白石が……
杏:っはぁ、はぁ、はぁ……!
杏:(……やっぱり、すごい——)
杏:……!
杏:(いつの間にこんなに……)
杏:(冬弥……彰人……洸太郎……。 EVERも……?)
杏:(あ——)
Crawl Greenのオーナー:…………
杏:(……よかった。 やっぱりみんな、見に来てくれた)
杏:(ここで歌ってれば、 絶対見てくれるって思ってた)
杏:(だっていつも——)
杏:(みんなは私のこと、見ててくれてたから)
杏:(まあ……いざ勝負が始まっちゃったら、 全然周りが見えなくなっちゃってたけど)
杏:……でも、これで、勝負の舞台はできたよね
杏:——こはね!!
こはね:……!
杏:次で決めよう
こはね:…………うん
こはね:私も、そう思ってた
こはね:♪————————!!!!
杏:……!!
洸太郎:ま…………まだ上があんのかよ!!
彰人:……ったく、どうなってんだあいつは……
Crawl Greenのオーナー:……杏……
杏:(——こはね)
杏:(こはねは本当に、どんどん成長するね)
杏:(この戦いの中でも、 信じられない勢いで駆け上がっていって……ほんと、怖いくらい)
杏:(でも——)
達也:あいつ……笑って……
杏:(だからすごく、ドキドキする)
杏:(——こはねはまだちゃんとわかってないかもしれないけど、 こはねは私にとって、最高の相棒なんだよ)
杏:(私の中に眠ってたいろんなもの…… 不安になっちゃう気持ちも、かっこ悪い私も、 全部全部引きずり出してくれた)
杏:(見たくないものもあったけど、 でも、そんな私も見つけられてよかったって、今は思ってる)
こはね:♪————————!!!!
杏:(……でもね、こはね)
杏:(それだけじゃ、嫌なの)
杏:(私も、引きずり出したい)
杏:(こはねの新しい力も、知らなかった気持ちも、 全部全部全部全部——)
杏:(私の歌で、引きずり出したい!)
こはね:……っ。 はぁ、はぁ、はぁ……!
洸太郎:うお……! 今日イチでデカいぞ!
達也:…………っ
達也:やれんのか……白石……
杏:……聴いててよ
杏:絶対、熱くさせるから
Crawl Greenのオーナー:……凪……?
杏:♪————————!!
Crawl Greenのオーナー:いや…………違う
Crawl Greenのオーナー:あれは——
ライブハウスの店長:……っ! 杏ちゃん、頑張れえええ!!
くせっ毛のレコード屋店員:……杏ちゃん! 負けるな!!
セクシーなお姉さん:杏ちゃん……!!
ベテランスタッフ:——いってくれ!! 杏ちゃん!!
杏:♪————————!!
杏:(もっと……もっと!!)
杏:(まだいける……! この程度じゃない……!)
杏:(だって私は…………白石杏だ!)
杏:(この街で、凪さん達に鍛えられて、 みんなにたくさん愛されて——)
ライブハウスの店長:杏ちゃん……!!
Crawl Greenのオーナー:——杏!!
杏:(全部背負うって覚悟を決めて、 ここまで駆け上がってきたんだ!)
杏:(だから超えられる! ……ううん)
杏:(——超えろ!)
杏:(超えるんだ!!)
杏:♪————————っ!!!!
こはね:あ…………!
こはね:(……胸が……)
こはね:(————ドキドキする)
洸太郎:すげえ!! すげえ……!! なんだよあの歌……!!
冬弥:…………決まった
達也:…………っ
ライブハウスの店長:よっしゃ~!! 杏ちゃん、すげえぞ!!
ミュージシャン達:こはねちゃんもすごかったぞ!! いい勝負だった!!
Crawl Greenのオーナー:…………
杏:……っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ……
こはね:————私の、負けだね
杏:え……
こはね:やっぱり、杏ちゃんはすごいな
こはね:私—— 勝負してることを忘れちゃうくらい、ドキドキしちゃった
杏:……こはね
こはね:でも負けたのは……やっぱり、悔しいから……
こはね:——また戦おうね。杏ちゃん
こはね:私、次は勝つよ
杏:……うん!
杏:でも……その時はまた、私が勝つよ
杏:こはねの——最高の相棒で居続けるために!
杏:(あ……)
杏:(……そっか。そういうことだったんだ)
杏:(勝って、負けて……追い越して、追い越されて……)
杏:(そうやってふたりで先へ行く)
杏:(きっとそれが——私の一番ほしかった、“相棒”なんだ)

第 8 话:揺るぎなく、ここに

ビビッドストリート
洸太郎:うお……勝負が終わったってのに、まだすげえ盛り上がってんな
達也:…………ああ
達也:…………
冬弥:……岡崎さん?
達也:あいつは……勝ったんだな。 自分自身に
達也:……俺はあの日——大河さんと戦った時、 『どうしたって勝てない』と思った
達也:バイクで、大型トラックに突っ込むようなもんだってな
達也:だが…… 本当に諦めてよかったのか、わからなかった
達也:……俺達が歌を始めたのは、 周りに笑われちまうような、無茶な夢でも追いかける 先輩の姿に憧れたからだ
達也:それなのに俺達は……その無茶を、押しとおさなかった。 どうしたって勝てねえって、理由をつけて
達也:…………でもそれはきっと、言い訳だったんだな
達也:『勝てない』ってイメージを…… もう一度ボロボロに負けることへの恐怖を、 振り払うことができねえから
達也:それが変えられない現実だと思っちまった
達也:だが白石は…………勝った
達也:自分の中にある、恐怖に
EVERのメンバー:…………
冬弥:……はい
達也:ったく、大したヤツだ
達也:……なあお前ら、 逃げるのはもう、やめにしねえか?
EVERのメンバー:……!
達也:“いつか勝つまで戦う”
達也:そう覚悟決めたから、 俺達は、EVERって名前にしたんだ
冬弥:岡崎さん……
EVERのメンバー:……そう、だな……
EVERのメンバー:このままじゃ……格好つかねえよな
達也:……本当に、悪かった
達也:もう一度、一緒にやらせてほしい
杏:……うん。 声、さっきよりはおさまってきたかな
杏:——みんな、聞いて!
杏:私達は、凪さんの夢の先に行く!
Crawl Greenのオーナー:……!
街のミュージシャン達:凪さん……って、誰だ?
街のミュージシャン達:おい知らねえのかよ。 RADderのメンバーのひとりだっての
街のミュージシャン達:ってことは……RADderの先に行く…… RAD WEEKENDを超えるってことか?
杏:私は、凪さんが行けなかった場所に、 凪さんの想いを背負って行きたい
杏:あの日、凪さんが私に託した願いに応えて
セクシーなお姉さん:……杏ちゃん……
杏:だから——
杏:みんなも一緒に、ついてきてよ
Crawl Greenのオーナー:…………
杏:——っていうか、ごちゃごちゃ考えないで、ついてきて!!
杏:凪さんの夢も! みんなの願いも!
杏:全部全部——私達が背負って進む! どんなに高い壁でも超えて進んでみせる!
杏:それで、RAD WEEKENDでも見せられなかった景色を、 ここにいる全員に見せてあげる!
杏:だから——
杏:みんな私達に、ついてきて!!
くせっ毛のレコード屋店員:……っ
セクシーなお姉さん:杏ちゃん……
Crawl Greenのオーナー:——杏!!
Crawl Greenのオーナー:俺達は、必ず見届ける
Crawl Greenのオーナー:お前達の進む道を
杏:うん!
杏:ありがとう、みんな!
こはね:……ふふっ
こはね:やっぱり——かっこいいな
杏:こはね、今日は本当にありがとう
杏:こはねのおかげで私、 今までの自分を超えられたって思う
こはね:ううん、私のほうこそ、ありがとう
こはね:今日のおかげで——もっと強くなれるって思う
杏:……こはねの課題は、クリアできそう?
こはね:——うん
こはね:すごく難しいけど—— 今ならやれるって……そう思う
杏:——そっか
杏:それじゃ——期待してるよ。相棒!
冬弥:——白石!!
杏:あ……! みんな! 見ててくれてありがとう!
彰人:それはこっちの台詞だ。 お前らのおかげで、戻ってきたぞ
杏:え? あ、EVERの……!
達也:……お前達の勝負を見て、ようやく目が覚めた
達也:また——よろしく頼む
杏:うん! 本当に……戻ってきてくれて、ありがとう!
杏:——それじゃあ、いこうみんな
杏:今度こそ、RAD WEEKENDを超えるよ!!