活动剧情
Lead to shine more
活动ID:133
第 1 话:仕事を選ぶために
モアモアハウス
斎藤:——皆さん、長時間の配信お疲れさまでした!
愛莉:ふう……『モアモア勉強会』、思ってた以上に みんな喜んでくれてたわね!
みのり:うん! 3時間も勉強するの、大丈夫かな~!?って 心配だったけど……
みのり:わたし達と一緒だと苦手な勉強も頑張れるって 言ってくれてる人がいて、すっごく嬉しかったな!
雫:息抜きにやったゲームやトーク企画も、 楽しんでもらえてよかったわね
遥:ふふ、そうだね
遥:あ……ところで斎藤さん。 今日はこのあと、相談があるって言ってましたよね?
斎藤:はい。今後のお仕事について話し合えればと思いまして
斎藤:以前から、仕事のオファーが増えていることは お話ししていたと思うんですけど……
斎藤:実は今、全部は受けきれない量になってきているんです
みのり:えっ!
斎藤:私もできる限り受けられるように スケジュールを調整していたのですが、 最近は追いつかないくらいになっていまして
斎藤:なので、この先どういう仕事を受けるべきか、 方針を相談させていただきたいんです
遥:……なるほど……
みのり:でも、そんなにたくさん仕事がきてるんですね! なんだかすごいなあ
斎藤:はい。『有村孝志のアリナシ話』での成功をきっかけに テレビ関係者からのオファーが増えたっていうのもありますが……
斎藤:皆さん、そのあとに入った新しい仕事でも 活躍してくださったので。 業界的な信用も高まってきてるんだと思います
雫:そうだったんですか……
愛莉:今までの仕事がオファーにつながってるっていうのは、 ありがたい話ね
雫:それで、今はどんなお仕事のオファーがきてるんですか?
斎藤:はい。一覧資料を作ってきたので配りますね
愛莉:えーと、どれどれ……
愛莉:って、ええ!? 『はっちゃけ昼休み』からもオファーがきてるじゃない!
雫:愛莉ちゃん、知ってるの?
愛莉:去年の漫才グランプリで話題になった、 わんちゃんこさんがMCのバラエティ番組よ
みのり:あ、それお昼休みに友達が見てたやつかも! たしか、わんちゃんこさんとゲストがチームを作って、 ゲームとか料理バトルをしてたような……
愛莉:そう、それよ。ネット配信の番組だけど、 今、若い世代を中心にすごく流行ってるみたいなの
遥:他にも、雑誌モデルや食レポ、ラジオ…… 町おこしをするドキュメンタリーの撮影なんかもあるね
雫:町おこし?
遥:うん。地域のお祭りやイベントのお手伝いをするみたい
みのり:それなら、番組を見てくれた人だけじゃなくて、 地域の人達にも元気になってもらえるかも……!
雫:ええ。どれも、とっても素敵なお仕事だと思うわ
雫:でも……ここから選ばなきゃいけないのよね
遥:うん。だから—— どういう基準で仕事を選んでいくか、考えていかないとね
みのり:どういう基準で……
愛莉:これは、正解はないっていうか……グループによって違うわよね
愛莉:例えば、とにかく知名度を上げたい!って感じなら、 『たくさんの人に見てもらえる』番組を選ぶでしょうし——
愛莉:コンセプトがはっきりしてるアイドルなら、 『グループのイメージに合ってるか』が重要になるでしょ?
みのり:な、なるほど……
遥:……私達の夢は、『ドームライブ』をできるくらい たくさんの——日本中の人に希望を届けられるアイドルになること
遥:だから、その夢を叶えるために必要なことを考えて、 基準を決めていく必要がありそうだね
斎藤:……では、まずはどんどん意見を出していきましょうか。 何か考えがある人はいますか?
遥:じゃあ……早速だけど、いいですか?
斎藤:はい、どうぞ!
遥:私は……『誰かに希望を届けられるか』っていうところは、 絶対に持っておきたいって思うんだ
遥:それが、私達にとって一番大切なことだから
愛莉:——そうね。そこは外せないわよね
雫:ええ。私達は、そのためにアイドルをしているんだもの
遥:もちろん、仕事をとおして誰かに希望を届けられるかは、 私達の頑張り次第だけど……相性がいい仕事を選ぶことはできる
遥:例えば、見た人が笑ったり、感動したりして 元気をもらえるような番組とかね
斎藤:じゃあ、『誰かに希望を届けられるか』っていうのは、 一番大事な基準として考えますね!
愛莉:……とはいえ、やっぱり どれだけ『たくさんの人に見てもらえるか』っていうのも大事よね
愛莉:ドームのキャパは30000人—— 中間目標の武闘館でも、15000人
愛莉:わたし達の夢を見据えるなら、 少なくともそれくらいの人数を集客できるくらいの 知名度は欲しいわね
遥:そうだね……
みのり:えっと、じゃあ……今のわたし達は、 『誰かに希望を届けられて』、『たくさんの人に見てもらえる』 ようなお仕事を選んでいけばいいってことかな?
愛莉:今出てる基準をもとにすると、そんな感じね
遥:でも、もっといろいろあると思うから 意見を出し合ってみよう
第 2 话:足りない何か
1時間後
モアモアハウス
遥:…………
斎藤:——では、今まで話した基準をまとめてみましょうか
愛莉:まずは、『誰かに希望を届けられるか』と 『たくさんの人に見てもらえるか』よね
みのり:えーっと、それから 『グループで出演できるか』っていうのも大事なんだよね!
遥:うん。今は、MORE MORE JUMP!を 初めて知る人が多い時期だから。 ちゃんとグループとして覚えてもらえるようにしないとね
雫:それに、『配信のスケジュールも確保できるか』 っていうのも出たわね
雫:ただでさえ減ってしまっている配信をこれ以上減らすと、 ファンのみんなを悲しませてしまうし……
愛莉:わたし達としても、配信をとおして希望を届けることは、 これまでどおり大切にしていきたいものね
斎藤:あとは——
遥:(……考えられそうな基準は、全部出た)
遥:(だけど……)
みのり:でも……これ、全部当てはまるお仕事ってあるのかな?
愛莉:さすがに全部当てはまる仕事ってなると難しいから、 優先順位をつけないといけないわね
愛莉:一番優先するのは、わたし達の活動目的でもある 『誰かに希望を届けられる』ことだとして……
愛莉:次は『たくさんの人に見てもらえる』ことなんじゃないかしら。 それが、わたし達の夢を叶える近道になるはずだもの
雫:ええ、私もそれがいいと思うわ
斎藤:わかりました。 それでは、このふたつがクリアできるのを優先しつつ、 他の基準にも合う仕事を選んでいくという形で……
遥:…………
斎藤:……遥ちゃん? どうかしましたか?
遥:…………ごめん。 もう少し、考えさせてもらってもいいかな?
愛莉:え……?
遥:愛莉が言ったように、 そのふたつを重視するのは、正しいと思う。 優先順位も間違ってない
遥:でも……
遥:なんだか、まだ考えられてないことがある気がするの
みのり:考えられてないこと……?
遥:……うん。 それがなんなのかは、うまく言えないんだけど……
遥:このまま仕事を選んで、 本当に、私達の夢に届くのかっていうと…… まだ何かが、足りない気がして——
愛莉:何かが……
遥:……ごめん。曖昧なことばっかり言って
遥:こういう時考え過ぎちゃうの、 私の悪い癖だよね
愛莉:何言ってんの! その慎重さに、わたし達はいつも助けられてきたんじゃない
雫:ええ。遥ちゃんが気になることがあるって言うなら、 私も一緒に考えたいわ
雫:だから、全員が納得できるまで考えましょう
みのり:みんなで考えれば、 見落としてることを見つけられるかもしれないもんね!
遥:みんな……ありがとう
遥:ただ、オファーの返事をあんまり遅らせるわけにはいかないし、 ちゃんと期日は決めておいたほうがいいと思うから……
遥:考えるのは、明日までにしよう。 それまでには私もちゃんと答えを出すよ
愛莉:わかったわ。 わたし達も、もう1回ちゃんと考えてみましょう!
斎藤:それじゃあ、ミーティングはいったん閉じて…… 次は雑誌のインタビューが入っているので、 そろそろ移動の準備をしましょう!
みのり:ええっ! もうそんな時間!? か、回答考えたノート、取ってこないと!
雫:あら? みのりちゃん、さっきカバンにいれてなかった?
みのり:はっ! そ、そうでした……
愛莉:もう、ちょっとは落ち着きなさいよ
数時間後
遥の部屋
遥:……やっぱり、わからないな
愛莉:一番優先するのは、わたし達の活動目的でもある 『誰かに希望を届けられる』ことだとして……
愛莉:次は『たくさんの人に見てもらえる』ことなんじゃないかしら。 それが、わたし達の夢を叶える近道になるはずだもの
遥:(……愛莉が言ってたことは、間違ってないと思う)
遥:(でも……)
遥:(この選びかたで——この基準だけで、本当にいいのかな)
遥:(MORE MORE JUMP!と……ファンのみんなと、 一緒に行けるのかな)
遥:(……あの、ステージに)
遥:……あ……
遥:(そういえば、ASRUNの時は どういう基準で仕事を選んでたんだっけ)
遥:(たしか、柊プロデューサーが——)
第 3 话:あの人の教え
数年前
レッスン場
遥:……ふう。みんな、だいぶ息が合ってきたね
ASRUNのメンバー達:うん! フォーメーションはバッチリだったと思う
遥:じゃあ次は、もっと振りの精度も上げられるように——
ASRUNのメンバーA:…………
遥:ん……?
遥:どうかした? さっきからちょっと元気がないけど……体調悪いの?
ASRUNのメンバーA:あ……その、そうじゃないんだけど……
遥:……?
ASRUNのメンバー達:なになに? どうしたの?
ASRUNのメンバーA:その……さっき休憩の時、 マネージャーが柊さんと電話してるの聞いちゃって……
ASRUNのメンバー達:お。なんの話してたの?
ASRUNのメンバーA:……『はしゃいでいいんです!』って番組、あるでしょ?
遥:ああ、あのお昼の長寿番組の?
ASRUNのメンバー達:1回出てみたいよね! 日本人なら誰でも知ってるってレベルで有名な番組だし!
ASRUNのメンバーA:そのレギュラー出演依頼がASRUNにきてたらしいんだけど—— 柊さん……断っちゃったみたいなんだ
みんな:『……えっ!?』
遥:(あの番組のレギュラーを……!?)
ASRUNのメンバー達:な、なんで!? 『はしゃいでいいんです!』っていったら、 ほんとに日本中の人が見てるのに……!
ASRUNのメンバー達:そうだよね。レギュラーになれば、 私達のこと、もっと知ってもらえるし……
ASRUNのメンバー達:日本中に希望を届けるトップアイドルにも、 もっと近づけるはずだよね……
マネージャー:遥、レッスンが終わったら事務所に寄ってちょうだい。 柊プロデューサーから話があるそうよ
遥:え……
遥:——はい、わかりました
事務所
???:——桐谷
遥:あ……
遥:お疲れさまです、柊さん
柊:ああ。急に呼び出してすまなかった。 お前に単独の仕事がきていてな
遥:単独の、ですか
柊:そうだ。内容は、数人のアイドルが 与えられた曲に即興で振りをつける パフォーマンスバトルだな
柊:うまくいけば、お前はもちろん ASRUNのパフォーマンス力の高さを示す機会になる。 ASRUNを代表するつもりで臨んでほしい
遥:……! はい!
柊:詳細は、後ほどマネージャーに送らせる。 話は以上だ
遥:あ……、あの!
柊:……? どうした?
遥:……お聞きしたいことがあるんです
遥:——『はしゃいでいいんです!』のレギュラーを 断ったというのは、本当でしょうか?
柊:…………
柊:……まったく。 聞こえるところで電話をするなと、言っておかないとな
遥:っ、じゃあ、やっぱり……!
柊:本当だ
遥:……よろしければ、理由を聞いてもいいでしょうか?
遥:私達は日本中の人に希望を届けるアイドルを目指しています。 なのに、どうして——
柊:まさに、その夢のためだ
遥:え……?
柊:ASRUNがここまで人気になったのは、なぜか
柊:それは——『個性』を見失わなかったからだ
遥:個性……
柊:ああ。私は、アイドルには“強い個性”が必要だと考えている
柊:つまり、他のアイドルやアーティストではなく、 “ASRUNでなければならない”と感じさせる独自性だ。 それがあれば、代えの利かないアイドルになる
柊:そして——個性に惹かれたファンは強いファンになり、 声を上げてくれる
遥:声……?
柊:そうだ。ASRUNの夢を一緒に叶えようと、 お前達を支えて、応援してくれる声
柊:その声が重要なんだ
遥:あ……
遥:(……たしかに、私達はいつも、 みんなの『元気をもらった』とか、『頑張って』って 声に支えられてきた)
遥:(それに、私達の夢をかなえようと、 家族や友達に『一緒に応援しよう』って 呼び掛けてくれた人達がいて……)
遥:(そのおかげで、CDの手売りから始まった私達が、 ここまで大きくなれた)
遥:(みんなの声があったから…… ASRUNは、前に進み続けてこれたんだ)
柊:——知名度の高い番組に出て、存在を知ってもらう。 それはもちろん大事なことだ
柊:だがそれ以上に——熱心なファンを作ること。 これを積み重ね、“大きな声”を得ることが重要になる
遥:大きな、声……
柊:……桐谷。ASRUNの個性はなんだと思う?
遥:…………
遥:(私達の個性……。 ファンのみんなに、“私達じゃないとだめ”って 思ってもらえる部分は……)
遥:……パフォーマンス、でしょうか?
柊:そうだ
柊:力強いステップで、遠くまで響く歌声で、 心を照らす笑顔で、見ている人に希望を届ける
柊:——ASRUNは、そういうアイドルだ
遥:……!
柊:とはいえ、『はしゃいでいいんです!』は 流石に私も悩んだ案件だ。 だが、今はまだ時期じゃないと判断した
柊:ASRUNとは、どういうアイドルなのか。 その認識が正しく広まり、定着するまでは——
柊:多少スケールは小さくても、 私はお前達の個性を伝えることを優先する
柊:そのほうが、ASRUNが夢を叶える近道になるからな
遥:(……今まで私は、“たくさんの人に希望を届ける” ってことしか考えてなかった)
遥:(そのゴールにたどり着くまで、 どの道を進むのが最善かなんて……頭になかった)
遥:(でも……)
遥:(柊さんは、そこまで——)
遥:……ありがとうございます、柊さん。 お話を聞かせてくれて
柊:構わない。 それより……次のライブも、期待しているぞ
柊:お前達の個性を、全力で伝えてこい。 それがお前達の未来を切り拓く
遥:——はい!
遥:個性を、伝える……
遥:そっか……あの人はいつも、 ASRUNの個性を活かせるような仕事を選んでた
遥:その基準が、抜けてたんだ
遥:だけど……
遥:MORE MORE JUMP!の個性って、なんだろう
遥:パフォーマンスは頑張ってるけど…… プロの振り付け師やトレーナーがついてるグループに比べると、 どうしても見劣りするところはある
遥:トークは……愛莉もそうだし、 みのりにもお客さんを笑顔にする才能があると思うけど、 グループの個性とは違うと思うし……
遥:でも——
遥:(……うまく言葉にできないけど、何かある)
遥:……もどかしいな。 どうしたら、うまく言語化できるんだろう
遥:みんなにも相談したいけど…… 時間も遅いし明日にしたほうが——
遥:あ……
遥:——うん。 少しだけ、聞きに行ってみよう
第 4 话:私達の個性は
ステージのセカイ
遥:誰かいるかな……
???:『————♪』
遥:あっ……
KAITO:ワン、ツー、スリー……ポーズ!
KAITO:——ふふ、こんな感じでどうかな?
レン:うん、かっこよく決まってたと思うよ
KAITO:よかった……! じゃあ、本番も今の感じで——
遥:カイトさん、レンくん
KAITO:え……遥ちゃん!?
遥:こんばんは。遅くにお邪魔します
遥:ふたりとも、こんな時間まで練習していたんですね。 お疲れさまです
レン:ありがとう、遥ちゃん
KAITO:実は、次のライブは特に気合いが入ってて—— レンくんにもこうして、練習を手伝ってもらってるんだ
遥:何か、特別なライブなんですか?
レン:ふふ、カイトくんにとってはそうかもね
レン:ほら、カイトくんは演出を考えたり、 裏方の作業をしたりして、 僕達のライブを手伝ってくれてるでしょ?
レン:だから、いつも僕達を輝かせてくれるお礼に—— 次のカイトくんのライブは、 僕達でプロデュースすることになったんだ
遥:なるほど……
遥:それはたしかに、カイトさんにとって 特別なライブになりそうですね
KAITO:うん。せっかくレンくん達がプロデュースしてくれるんだから、 僕も頑張らないとね
KAITO:でも……全部やりたくてやってることだから、 お礼なんて言われると、やっぱりちょっとくすぐったいな
KAITO:僕はみんなのファンでもあるから。 みんなの素敵なところをお客さんに伝える手伝いができて、 むしろ感謝したいくらいなんだけど……
レン:カイトくん? いつも言ってるけど、それは僕達も——
KAITO:う、うん、わかってるよ! だから——
KAITO:みんなの気持ちに応えて、 最高のステージにしてみせるよ!
遥:ふふ。頑張ってくださいね
レン:そういえば、遥ちゃんはこんな時間にどうしたの?
遥:あ……実は、相談したいことがあって……
KAITO:MORE MORE JUMP!の『個性』、か……
遥:はい。さっき、ASRUN時代の プロデューサーの言葉を思い出して——
遥:『私達の個性を知ってもらえるか』も、 仕事を選ぶ上で大事な基準になると思ったんです
遥:でも……肝心の個性がなんなのか、うまく言葉にできなくて。 よければ、客観的な意見を聞かせてくれませんか?
KAITO:うーん、そうだね……
KAITO:みんなには、素敵な個性がたくさんあるけど——
KAITO:MORE MORE JUMP!ならではってことなら、 『ファンの前で自然体でいること』 なんじゃないかって僕は思うな
遥:自然体で……
KAITO:うん。アイドルってすごくキラキラしてて、 みんなの憧れになるような存在だよね
KAITO:でも、遥ちゃん達はそれだけじゃなくて……
KAITO:誰かに希望を届けるために、一生懸命頑張ってたり——
KAITO:自分達じゃどうしようもできないことを、 ファンのみんなと一緒にのりこえたり——
みのり:……実はね、会場と日時は決まったんだけど、 イベント当日に手伝ってくれるスタッフさんが足りてないの
みのり:今のままだと、イベントでできることが少なくなったり、 来てくれる人の数を減らさなきゃいけなくなっちゃうんだ
みのり:だけどわたし達は、できるだけたくさんの人達——、 応援してくれるみんなに来てほしいの!
KAITO:普通ならファンには見せない姿も見せてきた
遥:……そうですね。 かっこ悪いところも見せちゃいましたけど
KAITO:でも……それは、みんなの個性だと思うんだ
KAITO:そんな風にありのままの姿を見せてくれるみんなだから、 ファンはきっと、MORE MORE JUMP!のことを すごく近くに感じてくれてると思うし……
KAITO:みんなが頑張ってる姿を見て、 “自分も一緒に頑張ろう”って気持ちになるんじゃないかな
遥:自分も、一緒に……
みのり:わたし達と一緒だと苦手な勉強も頑張れるって 言ってくれてる人がいて、すっごく嬉しかったな!
遥:そういえば……配信でも、 同じようなことを言ってくれてた人がいたな
レン:そうなの?
遥:うん。『勉強してるのを見ると親近感がわく』とか、 『みんなが頑張ってるのを見てやる気出た』、 『4人と一緒なら頑張れる』とか……
遥:(……そっか。ありのままで、近くに感じられて……)
遥:(だからこそ、たくさんの希望を届けられるアイドル)
遥:(それが、MORE MORE JUMP!なんだ——)
遥:……ありがとうございます、レンくん、カイトさん
遥:おかげで——考えがまとまりました
KAITO:そっか……! 力になれたならよかったよ
レン:次のお仕事も、楽しみにしてるね
遥:うん、いい報告ができるように頑張るね
第 5 话:出した答え
翌日
モアモアハウス
斎藤:——これで、今週のスケジュールの共有は以上です
愛莉:ありがとうございます、斎藤さん。 じゃあ、次は……
遥:待たせちゃってごめん。 でも、みんなが時間をくれたおかげで ちゃんと納得できる答えを出せたよ
みのり:本当?
愛莉:なら、さっそく聞かせてもらえるかしら
遥:わかった。 ……昨日も言ったけど、愛莉達の考えは正しいと思う
遥:仕事を選ぶ上で、“誰かに希望を届けられる”ことは これからも一番大事にしたいって思うし……
遥:“たくさんの人が見てくれる”仕事を受けて、 私達を広く知ってもらうことも、 夢を叶えるために絶対必要だから
遥:でも——
遥:まだ他にも、大事にしなきゃいけないことがあると思うんだ
みのり:えっ?
雫:……それって……
遥:それは——MORE MORE JUMP!の『個性』を伝えること
愛莉:個性、ね……
遥:と言っても、これはASRUN時代のプロデューサーの 受け売りなんだけどね。実は——
愛莉:なるほど……。たしかに、 わたし達ならではの『個性』を好きになってもらえれば、 その人にとっての唯一無二になれるわよね
愛莉:熱心に応援してくれる人の声が、 わたし達を励ましてくれるのはもちろん、 ファンを増やすきっかけになるっていうのも納得できるし……
遥:うん。だから、知名度を上げることも大事なんだけど——
遥:私達の個性を知ってもらえるか、っていうところも 重視したほうがいいと思うんだ
愛莉:……そうね。でも……
雫:私達の個性って、何なのかしら
遥:それは——
遥:『ありのままのアイドル』ってこと、だと思う
みのり:ありのままの……
遥:結果的に、なんだけどね
遥:例えば——雫は、お客さんに喜んでもらうために、 ひたむきに努力してる姿
遥:愛莉なら、誰かを元気にするために、 人一倍考えて動いてる姿
遥:みのりは……夢に向かって、 壁にぶつかっても諦めずに、一生懸命進んでいく姿
みのり:遥ちゃん……
遥:そういう、“ありのままのみんなの姿”が、 私は好きだし、ファンの人達も好きになってくれてるんだと思う
遥:これは、フリーで配信を中心に活動しているからこそ、 伝えられたことでもあって——
遥:その結果、私達だけじゃどうにもならない問題も たくさんあったけど
遥:そういった時に励ましてもらったり、助けてもらいながら みんなで一緒に歩いてこれたことは、 MORE MORE JUMP!らしいことなんじゃないかな
斎藤:——それ、わかります!
斎藤:これは、ファン目線の意見なんですけど。 モモジャンの皆さんは、 私達に、対等に接してくれている気がするんです
斎藤:配信を見てても、画面の向こうの遠い存在じゃなくて…… すごく身近で、安心できる存在に感じるというか
斎藤:だから、つらい時や元気が出ない時、 皆さんを見ると、隣で励ましてもらっているような 気持ちになりますし……
斎藤:一生懸命頑張っている皆さんを見ていると、 自分も頑張ろうって思えるんです
雫:斎藤さん……
みのり:そっか……ありのままの姿だから、 ひとりひとりに寄り添って、希望を届けられる……
みのり:えへへ……それならすっごく嬉しいな!
愛莉:——そうね、わたしも同感よ
愛莉:じゃあ、遥が考えてくれた “ありのままのアイドルという個性を知ってもらえるか” も視野に入れて、仕事を選びましょ!
雫:そうなると……どんなお仕事がいいのかしら
遥:そうだね。決まった台本や演出に応えていく仕事より、 できるだけ自然体の姿を見せられる仕事……
遥:例えば、フリートークを長めにとってもらえる番組や 何かに密着する番組とかのほうが、 私達の個性を知ってもらいやすいかもしれないね
斎藤:なるほど……
斎藤:でしたら、その条件や他の基準をもとに、 よさそうな仕事をピックアップしていきましょうか
斎藤:ひととおり検討してみましたが、 基準を概ねクリアしていそうなのは……
斎藤:バラエティ番組の『はっちゃけ昼休み』と、 町おこしのドキュメンタリーを撮影する 『どっこい!町おこし隊』、ですかね
遥:そうですね。どちらの番組も、 見ている人を笑わせたり、励ましたりして、 希望を届けられそうですし……
雫:『どっこい!町おこし隊』は地方局だけど 人気番組みたいだから、 どっちもたくさんの人に見てもらえそうね
斎藤:はい。そして、肝心のお仕事内容ですが……
斎藤:『どっこい!町おこし隊』は、 “やらせ無しのリアルなドキュメンタリーを撮りたい” とあったので、恐らく条件に合うと思います
愛莉:『はっちゃけ昼休み』は推測するしかないけど、 対決系のバラエティは、台本が段取りだけだったりするから ある程度わたし達との相性は良さそうね
斎藤:では、このふたつから選んでいければと思うのですが……
愛莉:……普通に考えると、『はっちゃけ昼休み』がいい気がするわね
愛莉:『どっこい!町おこし隊』も人気番組のコーナーではあるけど、 視聴層が限られてるし、 配信も一部のアプリ限定みたいだから——
愛莉:『はっちゃけ昼休み』のほうが、 幅広く、たくさんの人に見てもらえるでしょうし
遥:うん……
遥:(でも——)
遥:……私は、『どっこい!町おこし隊』がいいと思う
みのり:えっ……
遥:『どっこい!町おこし隊』は撮影期間が長いし、 ほとんど台本が無い状態で、現地の人達と交流しながら 町おこしをしていく番組でしょ?
遥:良いことも悪いことも、ありのまま番組に使われる。 他のアイドルだったらリスクもありそうだけど……
遥:でも、私達にとっては合うと思う。 『はっちゃけ昼休み』よりも 確実にありのままの姿で取り組めそうだから
遥:たしかに、一般的な知名度は劣っちゃうけど…… それでも、個性をより知ってもらえるほうを優先したいなって
遥:……みんなは、どうかな
愛莉:——そうしましょう!
遥:愛莉……
愛莉:遥の案に乗るわ。 今回は、ありのままのわたし達を見てもらうのを優先しましょ!
雫:そうね。私も遥ちゃんの考えを聞いて、 それがいいと思ったわ
遥:……ありがとう。じゃあ……
みのり:うんっ! 『どっこい!町おこし隊』で決まりだね!
数週間後
花見岡町
スタッフ:おーい! そっちの機材も運んでくれ!
スタッフ:はい! よい、しょっと……
みのり:ついに……今日から収録が始まるんだ……!
雫:ふふ、少し緊張するけれど、 花見岡町の皆さんの力になれるように頑張りましょうね
愛莉:ええ!
テレビ局
番組ディレクター:——では、改めて番組について説明します
斎藤:はい、よろしくお願いします
番組ディレクター:この『どっこい!町おこし隊』は、 町からの依頼を受けて、町おこしを手伝う番組コーナーです
番組ディレクター:今回の収録場所は、花見岡町。 人口6000人程度の小さな町です。 そして、皆さんに手伝っていただくのは——
番組ディレクター:事前にお伝えしたとおり、町のマラソン大会になります
遥:あの……どうして『マラソン大会』なのか、 理由をうかがってもいいでしょうか?
番組ディレクター:はい。花見岡町は、有名な特産物こそないのですが、 とても自然が豊かな町でしてね
番組ディレクター:美しい自然に囲まれたコースを走ってもらうことで、 花見岡町の魅力を知ってもらおうと、 このマラソン大会を始めたようですよ
遥:なるほど……
番組ディレクター:しかし、なかなか参加者が増えないそうでしてね。 スタッフの人手不足の問題もあり、 地域貢献をテーマにしている当番組に手伝いの依頼が来たんです
番組ディレクター:その関係で、当日の運営はもちろん、 マラソン大会を盛り上げる施策の案出しや準備も 手伝ってほしい、とのことでした
愛莉:そうだったんですね……。 もちろん、なんでもお手伝いさせてもらうつもりでいます
みのり:マラソン大会のお手伝いは初めてですけど…… 花見岡町の皆さんのために、一生懸命がんばります!
番組ディレクター:ええ、よろしくお願いします
番組ディレクター:私は……視聴者に面白いものを届けるのはもちろん、 地域の皆さんの役にたつような番組を作りたいと思っています
番組ディレクター:この番組が長く続いているのは、 地域の皆さんの協力と応援のおかげですから
番組ディレクター:是非、花見岡町やそこに住む人達と真剣に向き合いながら 収録に臨んでください
みんな:『はい……!』
愛莉:依頼内容が『マラソン大会』って知った時は ちょっと驚いたけど……
愛莉:花見岡町のすてきなところを、 たくさん伝えられるような大会にしましょう!
遥:うん、そうだね
遥:(それに…… テレビを見てくれた人に、私達のことも伝えられるように)
遥:(それができれば——この仕事はきっと、 夢をかなえる近道になるはずだから)
斎藤:——皆さん! 最初の撮影の準備ができたので、移動お願いします
みのり:あっ、はーい!
第 6 话:伝わるように、全力で
数時間後
花見岡町 公民館
スタッフ:MORE MORE JUMP!の皆さん、入ります~!
愛莉:まったく、いい加減慣れなさいよね。 これから長期間撮影が続くんだから、 そんなに緊張してたら身がもたないわよ?
みのり:は、はいっ!
雫:えっと……今日撮影するのは、 大会の運営委員の皆さんとの顔合わせよね?
遥:そのはずだよ。 どんな人達なのか、会うのが楽しみだね
???:——あっ、MORE MORE JUMP!の皆さん!
みのり:へ?
会長:はじめまして。 マラソン大会運営委員、会長の田村です。 これからよろしくお願いします
みのり:え……か、会長さん!? こちらこそ、よろしくお願いします!
遥:精一杯頑張らせていただきます。 私は、MORE MORE JUMP!の桐谷遥です
会長:ああ、皆さんのことは存じてますよ。 番組に依頼をしたのは私ですから
遥:あ……そうだったんですね
会長:ご存じかもしれませんが、 この町は、年々過疎化が進んでましてね。 若い人が減って、昔みたいな賑わいもなくなって……
会長:ずいぶん、寂しい町になってしまいました
雫:田村さん……
会長:でも……本当に、いいところなんです。 食べ物は美味しいし、自然も豊かで
会長:特に高台から見る景色は、 四季折々の山や町を一望できて絶景なんです
会長:……だから、マラソン大会を開いて その美しさを知ってもらえれば、 観光客や移住者が増えるんじゃないかと思ったんですけど……
会長:なかなかうまくいかなくてね。 このままじゃ、予算をおろしてもらえなくなってしまう
会長:そんな時、番組のことを知って。 この番組に……皆さんにかけてみることにしたんです
遥:お話ししてくださって、ありがとうございます
遥:皆さんが愛する花見岡町のことを知ってもらって、 好きになってもらえるような—— そんなイベントになるように、精一杯頑張ります
愛莉:あ……人が集まってきたわ。 他の運営委員の方達かしら
遥:うん。挨拶に行こうか
遥:あの、すみませ——
運営委員達:……!
運営委員達:あ……ああ、よろしくね
遥:(えっ………)
遥:(……気のせいかな? 今、避けられたような……)
会長:ああ、運営委員の皆さん、いらっしゃいましたね。 ではイベントの顔合わせを始めますので、 こちらへお集まりください
数時間後
花見岡町 高台
遥:(……顔合わせの時も、やっぱり何か変だった。 どこか、態度がそっけないというか……)
遥:(でも……大事な企画なのに いきなり外から来て『手伝わせてください』って言われたら、 私も戸惑うかもしれないな……)
雫:遥ちゃん? どうしたの?
遥:あ……なんでもない。 ちょっとボーっとしちゃって
遥:それより、さっそく次の会議に向けて、 大会を良くするアイディアを考えないとね
愛莉:ええ。まずは花見岡町を見て回って、 町のことを知っていきましょ!
みのり:おーっ!
雫:それにしても……本当に素敵な町ね。 自然が豊かで、空気が澄んでいて……
みのり:うん! それに、食べ物もおいしいよね! 定食屋さんで食べたごはん、 お肉も野菜も全部おいしくて、止まらなくなっちゃったもん!
遥:たしかに、素材の味が活きてるって感じがしたな。 食べ過ぎないように注意しないとね
雫:あ……!
愛莉:ん? どうしたの、雫
雫:見て、みんな。 こっちに、とっても素敵なお花畑があるわ
遥:わ……本当だ。綺麗……
愛莉:ええ。いろんな種類の花がたくさん咲いてて…… こういう自然が豊かな場所でしか、見られない光景よね
みのり:この景色も、大会に参加してくれた人に見てもらえるといいな!
みのり:あ……でも、大会はけっこう先だから、 その頃にはもう枯れちゃってる花があるかもしれないよね……
遥:……でも、使いかたによっては活かせるんじゃないかな?
雫:え?
遥:例えばだけど、これを——
???:——本当に大丈夫かしら? あの子達、アイドルなんでしょ?
遥:(……? あそこの道の隅で話してるのって……)
町人B:あんな若い子達が町おこしの力になるのかしらねえ
遥:……!
町人C:どうだろうな。 うちのこともそこまで知らんだろうし、 あまり期待しないほうがいい
町人A:私達は真剣にやってるのに…… テレビなんて呼んで、会長さんは何を考えてるのかしら
愛莉:……あの人達、運営委員の皆さん、よね
みのり:そっか……そういう風に思ってる人もいるんだね
遥:……そうだね
遥:でも……それだけみんな、この町おこしに真剣なんだよ
遥:町が大切だからこそ、頼りない人がきたら不安になる。 それはしょうがないと思う
遥:だから、その不安がなくなるように全力を尽くそう
みのり:遥ちゃん……
雫:……そうね
雫:マラソン大会にも、町の皆さんにも真剣に向き合って…… 私達の本気が伝わるように、頑張りましょう
みのり:うん……! わたし達は、町の人達にも希望を届けにきたんだもんね!
みのり:力になれるように一生懸命がんばって…… みんなにたくさん笑顔になってもらいたいな!
遥:あ……それで、さっきの花畑のことなんだけど——
数日後
スタッフ:カメラ5秒前! 4、3——
会長:——では、大会をよりよくするために、 アイディアを出していこうと思います。 意見がある人はいますか?
遥:あの——では、私達から提案してもいいでしょうか
会長:ええ、もちろん。 お願いします
遥:……みんなでマラソンコースを走ったり、 町をめぐってみたりしてみて、思ったんです
遥:花見岡町は自然が豊かで、食べ物も美味しくて—— やっぱり、とっても素敵な町だなって
町人A:…………
愛莉:そこで、例えば……SNSの公式アカウントで、 町の魅力を発信していくのはどうでしょうか?
愛莉:『こんなにきれいな景色を楽しみながら走れるんだ』とか、 『おいしい食べものがあるんだ』って知ってもらえれば、 たくさんの人が興味を持ってもらえると思うんです
愛莉:もちろん、取材やSNSの更新は、 わたし達が主体になってやっていければと思います
町人A:……たしかに、SNSにはもっと力を入れたいと思っていたし、 率先してやってくれるなら助かるわね
みのり:それから、給水スポットで配る軽食も 工夫できるんじゃないかなって思いました!
みのり:去年までは、飲み物とエネルギー補給のための 飴やチョコレートを配ってたって聞いたんですけど……
みのり:花見岡町のおいしい食べ物を使った、 軽食を振る舞えないかなって
みのり:ど……どうでしょうか!?
町人B:……そうね。素材の味には自信があるから、 食べてもらえたら宣伝になるかも
町人C:しかし、飴やチョコなら買って並べるだけだが、 軽食となると予算や人手も必要だぞ
雫:はい、実施するかどうかを決めるのは、 予算を確保できる確信を持ててからでかまいません
雫:人手については、私達も全力でお手伝いしますので、 よければ考えてみてください
町人C:ふむ……
遥:すみません、もうひとつなのですが——
遥:お土産に、押し花の栞を配るのはどうでしょうか?
町人A:押し花?
みのり:わたし達で町を歩いてる時、 とってもすてきなお花畑を見つけたんです!
遥:それで、この景色をマラソン大会に参加してくれた人にも 知ってほしいなと思ったんですけど…… 大会の時期には、枯れてしまう花もあると思います
遥:だから、栞にすればいいんじゃないか、と思ったんです
遥:そうすれば、あの光景を参加者の皆さんにお裾分けできるし、 『花が咲いてる時期にまた来たい』って 思ってもらえるかもしれません
遥:だから——
町人A:……うん、いいんじゃないかしら
町人B:そうね。たしかに花畑はうちの売りでもあるし—— 検討してみましょう
遥:ありがとうございます……!
遥:台紙さえ用意していただければ、 栞は私達で作りますので、是非よろしくお願いします
番組ディレクター:…………
雫:よい、しょ……! ……この大根、大きくてなかなか抜けないわ……
町のおばあさん:ごめんねぇ。 野菜の収穫なんて頼んじゃって。 最近腰が痛くて……
雫:いえ。大会で振る舞うお野菜ですし、 お手伝いができてよかったです
遥:あ……雫、鼻にテントウムシついてるよ
雫:え? あ、本当ね。 ちょっとムズムズして……くしゅんっ!
雫:わっ……今のでバランスが——きゃっ
雫:あ……! 見てください、おばあさん。 転んだ勢いで、立派な大根が抜けました
愛莉:……ふう。 木材のカット、終わったわ
みのり:わたしも、見える部分の塗装終わったよ! これなら本番までにステージ完成しそうだね!
愛莉:ええ。町の大工さんがいろいろ教えてくれたおかげね。 わたし達だけじゃ1年経っても終わらなそうだったもの
愛莉:このステージで歌って踊って、 みんなが険しい山道のコースを乗り越えられるように 応援しましょ!
町の大工:……やってるな
みのり:あ……親方さん!
町の大工:そろそろネジ打ちに入る頃だと思って、 様子を見にきたんだが……
町の大工:……綺麗な断面だ。 それに、塗装もムラが減っている
町の大工:……いい腕になったな
愛莉・みのり:『お、親方……!』
スタッフ:頑張ってますね、モモジャンの皆さん。 町の人達とも積極的に関わってますし
番組ディレクター:そうですね。 正直、ここまで真摯に向き合ってくれるとは 思っていませんでした
番組ディレクター:このまま、無事に大会を成功させられれば…… 撮りたかったものが撮れそうです
大会前日
遥:——よし、今日のSNSの更新、終わったよ
愛莉:『#花見岡町マラソン大会』も、 見てくれる人だいぶ増えたわね
みのり:うん! おかげで、参加応募も 去年よりたくさん集まってるみたいだし——
斎藤:た、大変です、皆さん……!
第 7 话:一緒に
花見岡町 公民館
遥:会長さん……!
会長:あ……MORE MORE JUMP!の皆さん。 すみません、急にお呼びしてしまって
愛莉:いえ。それより、栞の在庫が足りないって……
運営委員:はい……参加応募が想像以上に増えたので、 全員分用意できなくなりそうなんです
会長:……できれば全員に配りたかったけど、 参加賞は先着順にするしかないかな……
運営委員:……そうですね。 この町に来てくれたいい記念になると思ったんですが
遥:あ……
会長:……だから、マラソン大会を開いて その美しさを知ってもらえれば、 観光客や移住者が増えるんじゃないかと思ったんですけど……
遥:……あの!
運営委員:え?
遥:栞って、あとどれくらい必要になりそうですか?
運営委員:えっと……400枚くらいあれば足りるかと……
遥:——じゃあ、1人100枚だね
雫:あ……
雫:……ふふ、そうね!
運営委員:あの、どういうことですか……?
愛莉:わたし達がひとり100枚作れば、全員に配れます。 今からやれば、大会には間に合うと思うので
運営委員:そ、そんな! そこまでやってもらうわけには……
みのり:大丈夫です! もともと栞を配りたいって 言ったのはわたし達ですから!
雫:参加者も、町の皆さんも、 大会に関わった人全員が笑顔になれるように、 お手伝いさせてください
運営委員:皆さん……
運営委員:……では、お願いします。 私も手伝いたいんですが、明日の準備があって……
遥:はい、任せてください
遥:では……まずは、 予備の押し花がどれくらい残ってるか確認させてください。 足りない分は……
会長:町の花屋で、栞に使われている花を集めましょうか。 その分の予算はなんとかします
遥:ありがとうございます……! それなら、電子レンジを使って乾燥させれば 間に合うと思います
遥:じゃあ、愛莉と雫は花の在庫を確認して、 田村会長と一緒に調達してきてもらっていい?
雫:ええ!
遥:みのりは、すぐ作業に入れるように道具を用意してもらえる? 私は材料を集めてくるから
みのり:うんっ!
斎藤:私も荷物持ち手伝います!
番組ディレクター:…………。 このまま、カメラ回しておいてください
スタッフ:は、はい……!
数時間後
遥:……ふう
愛莉:これで、合わせて20枚くらいになったかしらね
みのり:もうそんなに作ったんだ! ……と思ったけど、目標は400枚だしまだまだだよね
みのり:よーっし、まだまだ気合い入れてがんばらないと!
雫:そうね。1枚1枚、丁寧に作っていきましょう
???:——あっ、本当にやってるねえ
遥:えっ——
運営委員達:もう、どうして声かけてくれなかったの?
愛莉:皆さん!? どうして……
町人A:それはこっちのセリフよ
遥:あ……
町人A:——本当に大丈夫かしら? あの子達、アイドルなんでしょ?
遥:すみません、勝手に進めてしまって。ですが——
町人A:会長さんが声をかけてくれなかったら、 みんなだけに頑張らせることになってたわ
遥:え……?
遥:えっと、でも……
町人C:……そんな顔をするな
町人C:まあ、そうなってしまうのもわかる。 正直最初は、あんた達を歓迎はしていなかったからな
町人C:町おこしを手伝う、なんて言って、 所詮はテレビや自分らのためにやってるだけだろうが、ってな
町人C:だが……蓋を開けてみたら、そうじゃなかった
町人B:みんな、この町のために一生懸命頑張ってくれていたものね
町人B:カメラが回ってない時も、 泥だらけで畑を手伝ったり、ステージを作ったりしてて…… あの時はびっくりしたわ
町人B:でも……とても嬉しかったの
遥:あ……
町人C:そもそも、これは俺達の町のためなんだからな。 俺達自身が動かねえと
町人A:そうね。だから——
町人A:一緒に、頑張りましょう
遥:……! ありがとうございます
遥:(……嬉しいな)
遥:町が大切だからこそ、頼りない人がきたら不安になる。 それはしょうがないと思う
遥:だから、その不安がなくなるように全力を尽くそう
雫:マラソン大会にも、町の皆さんにも真剣に向き合って…… 私達の本気が伝わるように、頑張りましょう
遥:(私達の気持ち、ちゃんと伝わってたんだ)
運営委員達:あら。遥ちゃん、花並べるの上手ねえ。 どうやってるの?
遥:ありがとうございます。 枠内からわざとはみ出させて並べると、 お花がぎゅって、敷き詰められてるみたいになるんです
運営委員達:そっか、はみ出してもいいのね
遥:あとは、規則的に並べるんじゃなくて こんな風にわざと重ねてみたり——
第 8 话:新たな決意
1カ月後
モアモアハウス
司会:『——さて、続いては皆さんお待ちかね、 “どっこい!町おこし隊”のコーナーです!』
司会:『今週は、MORE MORE JUMP!の皆さんが、 花見岡町の町おこしに挑戦してくれましたよ~』
リン:『わ……! みんなが出るコーナー、始まったよ!』
みのり:『わーっ! ステージ作る用の木の板、 運んでも運んでも終わんないよ~』
愛莉:『泣きごと言わないで運ぶわよ! って言いたいとこだけど…… さすがにこの山道の往復は堪えるわね』
愛莉:『こんな時は——いくわよ! ハッピ~ヨイショーーー!』
みのり:『こ、これは……! どんなに疲れててもフルパワーを出せちゃう、 ハッピーアイドルにしか使えない必殺技……!』
愛莉:『この技を使って乗り切れなかったロケはないわ! さ、最後まで運びきるわよ!』
みのり:『はい、がんばります!』
町人C:『そもそも、これは俺達の町のためなんだからな。 俺達自身が動かねえと』
町人A:『そうね。だから——』
町人A:『一緒に、頑張りましょう』
遥:『……! ありがとうございます』
雫:『完走おめでとうございます! よかったら、大会の記念に栞をどうぞ』
参加者達:『わ、かわい~! 花畑みたい!』
参加者達:『ふふ、走ってる時に見た景色にそっくりだね』
参加者達:『ご飯もおいしかったし、また来たいな~』
雫:『……! ありがとうございます!』
リン:『お……おもしろかった~!』
MEIKO:『ええ! 町のみんなが手伝いに来てくれるところとか、 感動しちゃったわ』
KAITO:『僕もだよ。みんなの一生懸命さが町の人達にも伝わって、 心がひとつになって……胸が熱くなっちゃったな』
みのり:えへへ、ありがとう、みんな!
レン:『それで——テレビを見た人の反応は、どうだった?』
遥:あ……それがね。高齢の視聴者の方が多いからか、 今回はSNSの書き込みは多くなかったんだけど……
遥:でも、たくさんファンレターが届いたんだ
レン:手紙が?
KAITO:それって……SNSに書き込むだけじゃなくて、 ちゃんと感想を伝えたいって思ってくれた人が たくさんいたってことだよね
遥:はい。内容も、『全力で頑張る姿を見て元気をもらえた』とか、 『応援したくなった』とか、嬉しいものばかりで……
遥:視聴者はそこまで多くないかもしれないけど…… 見てくれた人には、 ちゃんと希望を届けられたんじゃないかなって思います
愛莉:町の人達にもすごく喜んでもらえたし、いい仕事ができたわね
斎藤:——み、みみ皆さん! ビッグニュースです!
雫:どうしたんですか? 斎藤さん
斎藤:『どっこい!町おこし隊』のディレクターさんから、 お仕事の相談が来たんですけど……
斎藤:今、別番組を立ち上げようとしてるらしいんですが、 そのレギュラーに抜擢したいそうです!
みのり:え……ええっ!?
みのり:そ、それって、つまり…… わたし達がレギュラーの番組が 誕生するってことでしょうかっ!?
愛莉:って、まんまじゃない!
斎藤:しかも、深夜帯ではあるんですが、キー局です!
雫:えっ、キー局……!?
遥:すごくありがたい話だけど、どうして……
斎藤:それが、私達のほうだけではなく、番組のほうにも いつも以上にお便りがたくさん届いたんだそうです!
斎藤:また、MORE MORE JUMP!に出てほしいって!
遥:……!
斎藤:それから……ディレクターさん自身も、 皆さんと一緒にこれからも仕事をしたいって 思ってくれたそうですよ
斎藤:『いいものが撮れたのはもちろん、 町の人達にもすごく喜んでもらえて、理想の仕事ができた』 っておっしゃってました
みのり:わ……!
雫:そんな風に言ってもらえるなんて……とっても嬉しいわね
みのり:うん! ディレクターさんの想いにも、 ちゃんと応えられたってことだよね!
愛莉:……この成功は、遥のおかげね
遥:え?
雫:そうね。遥ちゃんは、私達の夢のためにたくさん考えて、 ぴったりの仕事を選んでくれたし……
雫:ロケ中も、町の皆さんの想いを大事にして、 適切な判断をしてくれたもの
みのり:うん! だから、関係者の皆さんも、 番組を見てくれた人達も、 みんなが喜んでくれる番組になったんだもんね
愛莉:本当にありがとう、遥
愛莉:遥のおかげで、わたし達はまた、 一歩前に進むことができたと思うわ
遥:みんな……
遥:——ありがとう。 私はできることをしただけだけど…… そう言ってもらえると、嬉しいよ
愛莉:……ねえ、遥。 提案があるんだけど……
遥:え?
愛莉:MORE MORE JUMP!のプロデュースをお願いできないかしら?
遥:それって……
愛莉:もちろん、全部を任せたりしないわ。 これまでどおり、大事なことは みんなで話しながら決めたいって思ってる
愛莉:でも……今回のことで思ったの。 これから先は、もっと活動方針を考えて動いていく必要がある
愛莉:プロデュース方針を練って、 グループを引っ張っていく存在が必要だって
愛莉:そして、それができるのは……遥しかいないと思ってるわ
愛莉:やっぱり、トップアイドルのセンターだった アンタにしか見えないことがあると思うから
遥:…………
遥:(……プロデューサーは、 MORE MORE JUMP!のかじを取る大事な役割)
遥:(もし引き受けたら、 私の判断がみんなの今後を左右することになる……)
雫:……そうね
雫:私も、遥ちゃんがよければお願いしたいわ
遥:え……
雫:遥ちゃんは知識や経験はもちろん、 視野の広さや慎重さも持ってて…… そんな遥ちゃんに、これまで何度も助けられてきたもの
みのり:うん……わたしも、 遥ちゃんについていきたいなって思う!
みのり:その分、配信の企画とか練習の計画とか、 遥ちゃんの分までがんばるし…… 困った時は、一緒にたくさん考えるから!
遥:みんな……
遥:(……みんな、私を信じてくれてるんだ)
遥:(なら……みんなの期待に応えたい。それに……)
遥:……わかった。私がやるよ
みのり:ほ、本当?
遥:うん。実は私も、そういった役割は必要だって考えてたんだ
遥:……それに今回、自分の出した答えが MORE MORE JUMP!の役に立って、すごく嬉しかったから
遥:私の手で、みんなを——私達をもっと輝かせて……
遥:もっと、高いところまで一緒にいきたいなって思ったんだ
みのり:遥ちゃん……
遥:でも、今の私がちゃんとプロデュースできるかっていうと、 まだわからないから……これからしっかり勉強しないとね
愛莉:……ふふっ、遥ならきっとできるわ
遥:斎藤さんも、いろいろ相談することになると思いますが、 よろしくお願いします
斎藤:はい……! 私もたくさん勉強して、お力になれるように頑張りますね!
遥:(……気合い入れないとな。 MORE MORE JUMP!を、もっともっと輝かせられるように)
遥:(そして——日本中の人に希望を届けられるような トップアイドルに導けるように)
芸能事務所
マネージャー:お疲れさまです、柊さん
柊:ああ。 ……そういえば、『BAZUピック』のアイドル紹介枠に、 うちのアイドルを入れられそうだと言っていたな
柊:あの件、どうなっている?
マネージャー:そ、それが……確認したら、 すでに別のアイドルに決まってしまっていて……
柊:……そうか。 あそこは押さえておきたかったんだが……
マネージャー:すみません……。 今伸びてきている『MORE MORE JUMP!』を、 いち早く取り上げたいとのことで……
柊:…………
柊:MORE MORE JUMP!か——