活动剧情

鍛えてFLY!Muscle Training!

活动ID:142

第 1 话:今、できることを

早朝
住宅街
遥:……はっ……はっ……はっ……
遥:(——あ。いつも曲がってる道、とおり過ぎちゃった)
遥:……ダメだな、もっと集中しないと
遥:(……でも……)
遥:(やっぱり、ずっとあのことが引っかかってる)
遥:(……どうして、ドルラバが終わってから、 1件も仕事が来ないんだろう)
遥:(……あの日は、お客さんもすごく盛り上がってたし、 SNSでの評判も良かった)
遥:(私達も手ごたえがあったし…… もし仕事が増えないとしても、減るってことは考えにくい)
遥:(それなら、どうして……)
MEIKO:『——遥ちゃん、浮かない顔ね』
遥:え……メイコ?
遥:どうしたの? 何かあった?
MEIKO:『最近、なんとなく元気がなさそうに見えたから。 気になってちょっと様子を見に来たの』
遥:あ……
遥:……ごめんね、心配させちゃって
MEIKO:『いいのよ、そんなの! でも——』
MEIKO:『……やっぱり、お仕事が来なくなったこと。 悩んでいるの?』
遥:……うん、そうなんだ
遥:原因は斎藤さんが調べてくれてるし、 今は目の前のことに集中しなくちゃって思ってるんだけど…… やっぱり、気になっちゃって
MEIKO:『遥ちゃん……』
MEIKO:『たしかに、不安になるわよね……。 ここまでお仕事が増えてきたのに、急になくなっちゃうなんて』
遥:……うん……
MEIKO:『心配でしょうけど、気にしすぎるのもよくないわ』
MEIKO:『何があったのかはまだわからないけれど…… 今まで遥ちゃん達は、ファンのみんなのために 頑張ってきたんだもの』
MEIKO:『それはみんなの活動やパフォーマンスにも しっかり現れてるし、評価もされているはずよ』
MEIKO:『だから今は——できることを ひとつずつやっていくのが一番じゃないかしら』
遥:……そうだね
遥:(メイコの言うとおりだな)
遥:(考えてもわからないことに悩んでも仕方ない)
遥:(今は、ファンのみんなに希望を届けるために 目の前のことに全力で取り組まなきゃ)
遥:——メイコ、ありがとう
遥:とりあえず今は、ランニングをしっかりやらないとね
MEIKO:『ええ、その意気よ。 頑張ってね、遥ちゃん!』
遥:うん、ありがとう
遥:——よし
遥:(メイコのおかげで気合いが入ったな。 このまま走りきって——)
遥:(……そうだ。 せっかくだし、もう少し距離を伸ばしてみようかな。 いつもと違う道を走れば、気分転換にもなりそうだし)
遥:(——こっちの道を選んで正解だったな)
遥:(緑が多くて空気が美味しいし、 道も広くて走りやすい)
遥:(これからは、この道もたまに走ろうかな——)
遥:ん? あれって……
遥:……天馬さんと、東雲くん?
司:む? そこにいるのは……
彰人:……! 桐谷遥?
遥:おはようございます。 お久しぶりですね
遥:おふたりは何をされていたんですか?
司:日課のランニングをしていたところだ! そうしたら、同じく走り込みをしていた彰人に会ってな
司:こうして、楽しく世間話に花を咲かせていたというわけだ!
彰人:いや、咲いてませんけど
彰人:えっと……桐谷さんもランニングですか?
遥:はい。日課のトレーニングです
遥:普段、このあたりは走らないんですけど…… ちょっと時間ができたので、少し多めに走ろうと思いまして
司:ほう、素晴らしい心構えだな! 流石はプロのアイドル!
司:未来のスターとして、オレも負けていられん! よし、桐谷を見習って今日はたっぷりと走るか!
彰人:いや、ただ無闇に走ればいいってもんじゃないでしょ
彰人:けどまあ、歌うのも動くのも体力が必要っすからね。 普段から鍛えておくのはオレもいいと思います
司:そうだろうそうだろう! 疲れにくい体があれば、練習の効率も上がるしな!
遥:ふふ、そうですね。 お互いに頑張りましょう
司:ああ!
遥:っと……それじゃ、そろそろランニングに戻りますね。 学校行く前に着替えたいですし
彰人:んじゃ、オレも
司:ああ、また学校でな! 桐谷もさらばだ!
遥:はい
遥:(みんな、自分の夢のために頑張ってるんだな)
遥:(ふたりに負けないように——私も、頑張ろう!)

第 2 话:SHINOBI-BATTLE

モアモアハウス 練習部屋
愛莉:——5、6、7、8! はい、お疲れさま。これで終わりよ!
遥:……ふう、みんなどう? 真似して踊れたかな?
コメント:『はーい!』 『疲れた~』 『さすが教えるの上手い』
愛莉:ふふ、それじゃあ『みんなでモアモアダンス!』のコーナーは ここまでにしましょうか!
愛莉:みんな、ダンスのコツは掴めたかしら?
みのり:ダンスって、最初は難しそう!って思っちゃうけど、 踊れるようになるとすっごく楽しいよね!
雫:ええ。ダンスの楽しさが 少しでも伝わったら嬉しいわ
コメント:『楽しかった~!』 『またこのコーナーやってほしいな』
遥:(……ふふ、よかった)
遥:(配信に力を入れてやっていこうってことで 始めた新しい企画だったけど…… ちゃんと喜んでもらえてるみたい)
遥:(次もやってほしい、ってコメントも結構あるな。 じゃあ、また違ったダンスで考えて——)
コメント:『私、うまくできなかった……』 『遥ちゃんみたいにかっこよくできない』 『ピタッと止まれないな~』
遥:あ……
遥:……大丈夫だよ、少しずつ一緒にやっていこう
遥:ピタッと止まれないのは、体を使いきれてないのかも。 こういうのは体幹が大事だから、筋トレがオススメだよ
コメント:『筋トレ……やってみようかな……』 『遥ちゃんありがとう!』 『みんなみたいにできるように頑張る』
コメント:『私も、運動苦手だけど……遥ちゃんみたいになりたいなあ』
遥:——ふふっ、ありがとう。 それなら毎日のトレーニングからだね
遥:あとで、私がやってるトレーニングを教えるから 少しずつ苦手を克服していけるように、頑張ろう
雫:——みんな、お疲れさま。 はい、お水よ
遥:雫、ありがとう
みのり:うぅ、生き返るよ~!
愛莉:それにしても、今日の配信はすごく反応よかったわね。 みんな楽しんでくれたみたいだし
雫:またやってほしい、って声もあって嬉しかったわ
遥:そうだね。でも、うまくできない子もいたみたいだし…… 今度は私達がやってるトレーニングを 配信してもいいかもしれないな
愛莉:たしかに、ダンス練習にも使えるし ダイエットにもなるから需要はありそうね
愛莉:わたし達も、パフォーマンス向上のために トレーニングをがんばりたいし
みのり:うんうん! わたしも賛成ですっ
遥:よかった
遥:まあ、やるなら本格的に機材とか揃えたいけど…… それはまた後で検討しようか
愛莉:本格的に、って…… 遥が揃えるとなると、本当にジムができちゃいそうね……
みのり:で、でも……わたし、ついていくよ!!
みのり:もっともっともーっと、遥ちゃんみたいに かっこいいダンスを踊れるようになりたいもん!
雫:私もよ!
遥:みんな……
遥:ふふっ、ありがとう。 それじゃあ、次はトレーニングの企画を考えようか
遥:ちゃんとみんなのパフォーマンスも磨けるようなものにするから 期待しててね
みのり:はいっ!
みのり:あ、で、でもお手柔らかに……
愛莉:さっきのやる気はどこに行ったのよ、アンタは
遥:(ドルラバの特訓のあたりから、 みんな一層やる気が出てるな)
遥:(私もみんなに負けないくらい、頑張っていかないと)
翌日
遥:(——次の配信、どうしようかな)
遥:(昨日のコメントを見る限り、ダンスが上手く出来ない子が 多かったから、まずは筋トレにしたほうがいいよね)
遥:(それなら、初心者の子でも出来そうなトレーニングを 一緒にやってみる配信とか、かな……)
遥:(でも……運動に苦手意識がある子は トレーニングの配信を見るのも嫌だって思っちゃいそう)
遥:(あと、他にできることは——)
コメント:『私も、運動苦手だけど……遥ちゃんみたいになりたいなあ』
遥:…………
遥:私みたいになりたい、か……
遥:(もし、そう思ってくれてるのなら、 難易度が高いトレーニングをやってみせるのもありなのかも)
遥:(難しいけど、楽しそうなものなら—— 挑戦してみようって思ってくれるかな)
遥:(でも、どんなトレーニングをやればいいんだろう)
???:——けど、こればっかりは難しいんじゃないですか?
???:う~む……
遥:……え……?
遥:(また、ふたりに会うなんて……偶然だな。 何か真剣に話してるみたいだけど……)
遥:——おはようございます。 今日も早いんですね
彰人:ああ、桐谷さん。 おはようございます
司:おはよう! 今日もランニングか、精が出るな!
遥:ふふ、おふたりこそ。 それよりどうかされたんですか?
遥:何か、真剣に話されていたみたいですけど……
司:ああ、見られていたか……。 実は少し、悩んでいることがあってな
司:——今度、乃々木公園に 新しい施設ができることは知っているか?
遥:あ……少し聞いたことがあります。 たしか、アスレチックエリアと 屋内トレーニング施設ですよね
彰人:トレーニングルームは、最新の機器が備わってて シャワールームや無償のコインロッカーもあるらしいっすね
遥:なるほど、そうなんですね。 たしかに魅力的ですけど……それがどうかしたんですか?
司:ああ、実はその施設なんだが、再来週の日曜日に オープン記念のイベントを開催するのだ!
司:その名も——『SHINOBI-BATTLE』!
遥:『SHINOBI-BATTLE』……?
彰人:一般参加型のアスレチックレースらしいです
彰人:3人一組のチームで障害物が設置されたコースに挑んで、 ゴールまでのタイムを競うっていう
遥:へぇ……。 そんなイベントが開催されるんですね
司:ああ。コース内容も新設のアスレチックエリアを 活かした興味深いものになっているんだ
司:どれも筋力を使わないとクリアできないだろうものばかりで 難易度が高く設定されているようだな
司:だが、その分挑戦しがいがあるということで 各地の筋力自慢が集まる予定らしい
遥:なるほど、アスレチック……
遥:難易度は高そうですけど、なんだか楽しそうですね。 ……配信映えもしそう
司:そうだろう! 実は各地のアスレチックがある施設や 公園で行われているイベントなんだが、 競技が見応えあるということで、見物客が大勢集まるらしい
司:毎回、このイベントで優勝することに情熱を燃やし 鍛錬を続けている強者もいるらしいぞ
彰人:すごいっすね……
司:だろう? そういう選手には根強いファンも多いらしく、 ちびっこの中には『あの選手のようになりたい!』と 思う者もいるらしい!
彰人:たしかに、あれ見てスポーツ始めたってヤツも 見たことあるな
遥:あ……
司:何より注目すべきは、優勝賞品だ!
司:優勝者にはなんと—— アスレチックエリアとトレーニングルームの 年間プレミアムパスポートが贈られる!
遥:え……? 年間プレミアムパスポート?
司:ああ! これがあれば 個室のプレミアムトレーニングルームも使い放題だ!
司:このパスポートはひとり持っていれば4人まで入場が可能という、 まさに、夢のようなパスポートなのだ!!
遥:4人まで……
遥:(そのパスポートがあれば、愛莉達と一緒に トレーニングルームを使えるんだ)
愛莉:わたし達も、パフォーマンス向上のために トレーニングをがんばりたいし
みのり:もっともっともーっと、遥ちゃんみたいに かっこいいダンスを踊れるようになりたいもん!
遥:それは……絶対に欲しいですね
司:そうだろう! まさにオレ達もそう考えていたんだが——
司:……一緒に参加してくれるメンバーが見つからなくてな……
遥:……え?
遥:そうなんですか? てっきり、鳳さん達が参加するのかと……
司:えむ達はその日、用事があるらしいのだ
司:他にクラスメイトや友人達にも声をかけたんだが……。 断られてしまってな
彰人:まあ、結構ガチめのアスレチックみたいですからね。 『優勝目指して』ってなると、 気軽に協力するとは言えないんじゃないですか
遥:そうですね……。普段から体を鍛えてて、 アスレチックもクリアできる人間というと そう簡単には——
司:……はっ!
司:そうだ!! ここにいるではないか!
彰人:それ、もしかして……
遥:私達のこと、ですか?
司:ああ、その通りだ!
司:彰人、桐谷! オレと共に参加しないか!?
彰人:なんでオレ達が……
司:彰人もさっき、 『施設があればトレーニングの幅が広がりそうだ』と 興味を示していただろう?
彰人:それはそうっすけど……
司:そして桐谷も、日々ストイックに 体を鍛えることを望むタイプと見た! ならばこの3人で決まりだろう!
遥:……私は……
司:はっ、す、すまない! この3人なら優勝を狙えると思ってしまったが…… 無理にとは言わん
司:だが……よければ、考えてくれると嬉しい
彰人:まあ、アイドルって立場上、 いろいろ考えなきゃなんねえもんもあるだろうしな
遥:(……たしかに、優勝賞品でもらえるパスポートは魅力的だ。 この施設はみのり達みんなで使えたらいいなって 思ってた場所だし)
遥:(でも……アイドルとして活動してる以上、 出場することにリスクもある)
遥:(ファンのみんなは、私がみんなの知らない人達と組むことを 悲しむかもしれないし)
遥:(でも……)
コメント:『私も、運動苦手だけど……遥ちゃんみたいになりたいなあ』
司:そういう選手には根強いファンも多いらしく、 ちびっこの中には『あの選手のようになりたい!』と 思う者もいるらしい!
彰人:たしかに、あれ見てスポーツ始めたってヤツも 見たことあるな
遥:(……このイベントをやりきれば、 ファンのみんなに、希望を届けられるかもしれない)
遥:…………
遥:——ちょっと、考えさせてもらえませんか? 他のメンバーにも相談したいので
司:ああ、無論だ! 申し込みの締め切りまでにはまだ余裕があるし、 ゆっくり考えて答えを出してほしい
遥:ありがとうございます
遥:では、考えがまとまったら こちらから連絡しますね
司:わかった、待っているぞ!

第 3 话:迷いと覚悟

モアモアハウス 練習部屋
雫:——『SHINOBI-BATTLE』……?
愛莉:あ、聞いたことあるわそれ! 今度、乃々木公園でやるイベントでしょ?
遥:うん。優勝チームにはトレーニングルームの 年間パスポートが贈られるんだって
みのり:ええっ!? じゃあ1年間もトレーニングルームを使えちゃうの!?
雫:すごいわねえ……
愛莉:それで、そのイベントに出たいって?
遥:……うん……
遥:最新施設をみんなで使えるチャンスだし、 それに——
遥:私が出ることで、もしかしたら…… 運動に苦手意識がある子達に 希望を届けられるかもしれない
遥:『あんな風に動けるようになってみたい!』って 思ってくれて、トレーニングを前向きに 頑張れるようになるかもしれない……って
愛莉:……なるほどね
雫:たしかに、この前の配信でもダンスが上手く出来ないって声や 運動苦手だって声があったものね
愛莉:ええ。……でも、リスクはあるわよね
遥:うん。一般のお客さんもたくさん見にくるイベントだから 私が出ることで騒ぎになるかもしれないし
遥:ファンの中には、知らない人達とチームを組むことを 気にする人もいるかもしれない
みのり:うう、難しいね……
愛莉:……そうね……
遥:……でも——
遥:私は、やっぱり参加したいんだ
遥:少しでも、ファンの子達の力になれる可能性があるのなら、 やってみたい
愛莉:遥……
みのり:——わたしは、賛成だよ!
遥:え……
みのり:あのね、わたし……ちょっと思うんだ
みのり:目の前のことを一生懸命がんばろう!って思っても、 失敗しちゃったり、うまくいかなくて落ち込んじゃったり……
みのり:できないから、諦めようって思っちゃう人もいるかもしれない
みのり:でも……そんな時、憧れの人が目の前ですっごく頑張ってたら もうちょっとわたしも頑張ってみようかなって 思えるかもしれないって
みのり:あ! えっと……わたしは、そうだったんだけど……
遥:みのり……
みのり:たしかに、遥ちゃんが自分の知らない人達と一緒に 何かをしてるのは、ちょっとだけ妬いちゃうけど……
みのり:でもでも、遥ちゃんのがんばってるところを見るのは すっごく好きだし……応援したいって思うんだ!
雫:……そうね。遥ちゃんが真摯に頑張っていれば、 ファンのみんなは応援してくれると思うわ
雫:そうだわ。その子達のために、一緒にトレーニングする配信を してみたらどうかしら?
雫:それで、本番で立派に頑張る遥ちゃんを見たら、 きっと大きな希望をもらえると思うの
愛莉:ええ、そういう企画をやってみてもいいと思うわ
愛莉:ファンのみんなには、事前に説明をしておかないとね。 次の配信でできるように準備しましょ
遥:みんな……
愛莉:挑戦してきなさい、遥! それで、なんとしてでも優勝してくるのよ!
愛莉:優勝して、たくさんの人に希望を届けてきなさい!
遥:……ありがとう……
遥:私——挑戦してくるよ
数日後
司:——よし、全員集まったな!
司:桐谷、彰人。協力感謝する。 特に桐谷は難しい立場だろうに、つきあわせてすまない
遥:いえ、大丈夫です
遥:(あれから、ファンのみんなに説明して—— 大会に出る意図は理解してもらえた)
遥:(応援してくれるみんなのためにも、 このイベント、ちゃんとやりきらなきゃ)
彰人:……つーか、本当にあの桐谷遥と チームを組むことになるとはな……
遥:これからよろしくお願いします
遥:というか、普通に接してもらって大丈夫ですよ。 お互い遠慮はないほうが良いと思うので
遥:——やるからには、優勝目指して頑張りましょう
司:ああ、当然だ。 よろしく頼む!
司:——よし、それでは最初にルールをおさらいしよう!
司:『SHINOBI-BATTLE』にはステージが3つ存在する。 メンバーがそれぞれ担当のステージを攻略して、 合計タイムを競うわけだな
彰人:ま、全員が自分の担当ステージを 最速でクリアすりゃいいってことっすよね
司:そうだ! そして各々が担当するステージは、 事前に決めておいたとおりだ
司:まず、第1ステージの『蜘蛛歩き』と『丸太渡り』は—— このオレ、天馬司だ!
司:蜘蛛歩きは左右に1枚ずつ壁が設置され、 足が地面につかないように渡っていく競技だな
彰人:蜘蛛のように両手両足を広げて 壁にくっつけて移動することになるから、 腕も脚も相当の筋力が必要なんすよね
司:ああ。それに、丸太渡りも侮れん。 横たわった丸太にまたがって対岸を目指す競技で、 綱渡りの丸太版、といったところだが……
司:手足を滑らせると落下する可能性も大いにある
遥:……なるほど……
遥:天馬さんは、ショーのために体を鍛えていますし、 こういう筋力が必要そうな種目は向いていそうですね
司:ああ、第1ステージはオレに任せてくれ!
司:——だが、彰人が担当する 第2ステージの『苗木跳び』と『水蜘蛛』も相当だぞ
司:まず、『苗木跳び』は苗木に見立てた跳び箱を跳ぶ競技だな。 これも高さが8段以上あるという話だ
彰人:普通の跳び箱とは高さが全然違うしな。 跳べないことはねえが、かなりのジャンプ力が必要になりそうだ
司:それに加えて……『水蜘蛛』だ
遥:『水蜘蛛』という器具をつけて、 棒を使いながら水上を歩く競技ですよね
司:ああ。浮き輪の中心に足を乗せる場所があって、 それを水平に動かしながらゴールを目指すんだが——
司:これは重心をどう動かすかがポイントになってくる。 棒が支えとして使えるとはいえ、 片方に体重をかけすぎると沈んでしまう
彰人:最初に確認した時も思いましたけど……。 普段あんま使わない筋肉を使うことになりそうっすね
遥:たしかに、ちょっと大変そうですね……
遥:でも、東雲くんは毎日ランニングや 筋トレをやるのが日課なんですよね
遥:それなら体幹も鍛えられていると思いますし、 練習すれば十分いけると思います
彰人:そうだな……。 まあ、やってみるか
司:そして、最後の第3ステージが桐谷の挑戦する 『壁登り』と『鉄棒跳び』だな
司:壁にある突起を伝って頂上を目指す競技と、 宙に吊るされたポールからポールに飛び移る競技だが……。 事前に話していたとおり、最難関の競技だな
司:落下や突き指の可能性もある。 怪我には十分に注意してくれ
遥:はい。 ありがとうございます
遥:でも、やるからには全力を尽くします。 確実に優勝を目指していきましょう
司:ああ、頼りにしているぞ!
司:競技のおさらいは以上だが……。 それぞれ違う筋肉が必要になりそうだな
彰人:競技に合わせて 効率のいいトレーニングをしていきたいとこっすね。 本番まであんま時間ないですし
司:ふむ、そうだな……。 ではまず筋トレメニューを考えるところからか……
遥:あの、それなんですけど——
遥:実は、おふたりに見てほしいものがあるんです
彰人:見てほしいもの?
遥:はい。このノートに、本番までにやる トレーニングをまとめてきました
遥:優勝できるように、本気で考えてきたので よければこのトレーニング方法を試してくれませんか?
司:おお! それはありがたい!
司:それで、いったいどんな内容が——
彰人・司:『はぁ!?』 『なっ……!』

第 4 话:完璧なトレーニングメニュー

乃々木公園
司:待て、桐谷……。 トレーニングって、これ全部やるのか!?
司:分刻みでトレーニングスケジュールが書いてあるし、 どのメニューも最低100回と書いてあるが……!
彰人:……しかも、司センパイとオレで 書いてあるメニュー違いますね
司:何ぃッ!?
彰人:オレは朝5キロランニング、 スクワット100回とプランク20秒を3セット。 そのあと登校……
司:たしかに、オレのものとは違うな。 オレは腕立て伏せ、ランニング、片足立ちと書いてある
司:放課後はランニングで帰宅、 その後8キロのランニング、 帰宅後シングルレッグブリッジ、指腕立て伏せ……
司:更にこのあとに筋トレでV字腹筋、腕立て伏せ、背筋……。 バランスの訓練として片足立ち、プランク、 エアプレーン、ゆりかご……
司:この鍛錬に必要な所要時間、 最適な睡眠時間、就寝と起床時間まで……
彰人:この前、1日のスケジュールを詳細に教えろって 言ってきたのはこのためだったのか……
遥:ふたりとも、普段のショーや歌の練習で忙しいみたいだから、 できるだけ隙間時間にトレーニングができる方法を考えました
遥:あ、そうだ。効率よくトレーニングするために、 筋トレの時はこちらの重りをつけてください。 お貸ししますので
彰人:重り!?
遥:あと、当日までの食事メニューも全て書いてあります。 作りかたや、このメニューにどんな意図があるかも 記載したので、確認してください
司:そこまでするのか!?
遥:はい。せっかくトレーニングをするなら、 一番効果が高い方法で行いたいですから
司:たしかに食事も身体を作るのに必要ではあるが……。 しかし、タンパク質や脂質の量をここまで計算してあるとは……
彰人:なんつーか、アスリート並みだな……
遥:このくらいしないと、優勝はできないと思って
司:ふむ……まあ、一理あるな。 あのステージを勝ち抜くには、 相当の体力や筋力が必要そうだからな
司:ハードではあるが、 三日月組の修行で鍛えた今ならば、無理な内容ではない
司:——やってやろうではないか!
彰人:実際、かなりよくできた練習メニューみたいだし、 これをこなしたら相当力もつきそうだしな……
司:ああ。しかし見事なメニューだな これは桐谷がひとりで考えたのか?
遥:あ……。 それは、少し協力してくれた人がいて……
セカイのトレーニングルーム
遥:——はい。 これが『SHINOBI-BATTLE』の公式サイトだよ
MEIKO:……丸太渡り、水蜘蛛、鉄棒跳び……。 なるほど、どのコースもすっごく楽しそうね!
MEIKO:これは、どんなトレーニングにするか 考えがいがありそうだわ
遥:ふふ、その気持ちはわかるな。 やったことない競技がたくさんあるから どう攻略しようかなって考えると楽しいよね
遥:でも、今から優勝を目指すためのメニューって考えると ちょっと大変だなって思ってたから…… メイコが手伝ってくれて助かったよ
MEIKO:気にしないで! わたしがやりたいって言ったことだもの♪
遥:ありがとう。 でも、メイコは本当にトレーニングメニューを 考えるのが好きだよね
MEIKO:ええ!
MEIKO:目標に向かって、何が足りないか考えて、 何をやるべきか考えて計画を立てる。 そして、ひとつずつ課題をクリアしていく……
MEIKO:それって夢に1歩ずつ近づいている感じがして、 とっても素敵じゃない?
遥:うん。 わかる気がする
遥:それで全部クリアした時に、もっと成長するために また目標や課題を考えちゃうんだよね
MEIKO:ふふっ、遥ちゃんらしいわね
MEIKO:さあ、さっそくトレーニングメニューを考えましょうか!
MEIKO:まず、丸太渡りの子には体幹と腹筋が必要だから……
MEIKO:——そうだわ! 両方同時に鍛えられるL字懸垂はどうかしら?
遥:たしかに、効率はいいかもしれないけど……。 さすがに少しきつい気がする
遥:それより、片手で倒立して その姿勢をキープするのとかどうかな
MEIKO:たしかに……ってそれも十分キツいわよ!
遥:え、そうかな……。 じゃあ——
遥:その人のおかげで、皆さんに合ったトレーニングを 考えることができたんです
遥:人によって体格や強い部分、弱い部分が異なるので、 実際にやりながら調整させてください
司:なるほどな……。 そこまで考え抜かれたトレーニング方法ならば、 やはりやり遂げねばなるまい!
彰人:かなり過密だけどな……
彰人:まあ、やるって決めたことだしな。 ……全力でいくぞ
遥:——はい!
遥:では、さっそくトレーニングを始めましょう!
司:オレの最初のメニューは逆手懸垂100回か
遥:はい。『丸太渡り』や『蜘蛛歩き』には 脚力と腹筋、そして腕の筋肉が必要ですから
遥:普段のトレーニングから考えると、 天馬さんは、かなり脚力と腹筋が 鍛えられているかと思います
遥:ですので、最初は 腕の筋肉を鍛える方向でメニューを組みました
司:なるほどな。 たしかに、オレにぴったりのトレーニングだ!
司:では、さっそく始めるか
遥:はい。では、手のひらが自分側へ向くように 鉄棒を握ってください
司:——よし! そして体を持ち上げ……止まる!
遥:いいですね。ではそのまま続けてみてください
司:任せろ! ——ふっ! はっ! ほっ!
遥:うん、流石ですね。 余裕がありそうです
司:はーっはっは! このくらいなら、100回くらい軽々こなせそうだな!
遥:では、負荷を上げるためにこれを着てお願いします
司:ん? これは、ただのベスト——ではない!? お、重っ……!?
遥:10キロの重りが入っていますから
司:なっ!? 10キロ!? さすがにそれはやりすぎなんじゃないか!?
遥:本来であれば、3、4キロでも負荷はかかるんですけど ——今回は特別です
遥:本番は、どんなアクシデントが起こるかわかりませんからね
司:たしかにな……。 そういうことなら任せておけ!
司:うおおおいちっ! ぬあああにっ! はぁ、はぁ……! べ、ベストを着ただけでこんなにキツくなるとは……!
司:だが、負けん! やって……やってみせるぞおおお!
彰人:98、99、100……ふぅ
遥:——お疲れさまです。 ジャンピングスクワット、やってみてどうでしたか?
彰人:ああ……。想像以上に脚にくるな、これ。 特にふくらはぎがかなりきついっつーか……
遥:なら、狙い通りの効果が出てるみたいですね。 『苗木跳び』には跳躍力が必要なので
遥:ふくらはぎが重いのは、筋肉が成長している証拠です
遥:でも……見た感じ、まだ余裕がありそうだな。 もう少し負荷を上げてみましょうか
彰人:は? 負荷をあげる?
遥:はい。次はこのリストバンドをつけて 100回やってみてください
遥:少し重くなりますけど、東雲くんならいけるかと
彰人:…………。 ……正気か?
遥:……98、99、100——。 ふう、1セット目はこんな感じかな
コメント:『遥ちゃんすごい……』 『片手で腕立て伏せだけでもすごいのに』 『両手でも出来ないよ~!』
遥:まだ慣れない人は、自分のペースで大丈夫だよ
遥:今日からやるよって人は、 10回を3セットやるところから始めて、 少しずつ回数を伸ばしていこう
遥:まだ物足りないって人は、そうだな……
遥:今度は背中に重りを乗せてやってみようか。 まず私がやってみるから、見ててね
コメント:『お、重り!?』 『それで動けるものなんだ……』 『あのSHINOBIに出るんだもんな……』
コメント:『私もやってみよう』 『10回でいいのなら、できるかも』 『続けたら遥ちゃんみたいになれるのかな?』
数週間後
遥:——よし。 本番のコースを想定しての練習も、問題なさそうですね
遥:今日の練習はここまでにしましょうか
司:む? もうやめるのか? オレとしてはまだまだいけるのだが……
遥:いえ。 ——もう、明日は本番ですから
彰人:ま、本番前は体休めたほうがいいだろうしな
遥:うん。疲れを残すといけないし、 今日は軽くストレッチをして終わりましょう
司:ああ、そうだな!
司:それにしても……。 この短期間で、だいぶ筋肉がついたな
彰人:そっすね。 今なら、いいタイムが出せる気がします
司:ああ。 そう思えるのも、桐谷の指導があったからだな
司:桐谷の己にも他人にも厳しいストイックさのおかげで、 オレ達はここまで成長できた
彰人:正直、あのメニューを渡された時は驚きましたけど……
彰人:でも、勝つために全力で考えられたメニューだった。 ありがとな
遥:東雲くん、天馬さん……
遥:ふふ、ありがとうございます おふたりが全力で取り組んでくれて嬉しかったです
遥:——でも、トレーニングはあくまで本番のための準備ですから
遥:明日は、一番いい結果を出していきましょう!
司・彰人:『ああ!』

第 5 话:開幕!

SHINOBI-BATTLE 当日
乃々木公園
司:なるほど。 これが、SHINOBIステージか……!
彰人:実際見ると、どのステージも結構でけえな
遥:画面で見てたイメージとは少し印象が違うね。 ……でも、あの特訓を乗り越えてきたんだから大丈夫
司:ああ、その通りだ! それに——
大学生選手達:よーし! チームワーク大事にして頑張るよ~!
一般人選手達:みんな、今日は絶対勝つぞ!
ベテラン選手達:俺達にはSHINOBIしかない—— 最速でクリアだ!
会場アナウンス:『選手達が続々と集まってきます! さあ、本日のSHINOBI-BATTLE、 優勝はいったい誰の手に!?』
司:他のチームもやる気十分のようだ。 オレ達も気合いを入れて臨まねば
彰人:参加チームは全部で10組っつー話でしたけど……。 社会人や大学生のチームが多いっすね
司:ああ。予想はしていたが、全員体格がいいな。 ……これは厳しい戦いになりそうだ
遥:……そうですね。 でも、最後から2番目の出番だったのは よかったかもしれません
彰人:ああ。9番目なら 他のチームの様子を見て、攻略を練れるからな
司:うむ。出番の前も、気を抜かずに よく観察して自分達のターンに活かそうではないか!
遥:はい!
遥:(……ついに、本番だ)
遥:(さっき、最初の挨拶のために配信に出た時も みんな応援してくれてた)
遥:(あとは……しっかり結果を出すだけ)
コメント:『私も、運動苦手だけど……遥ちゃんみたいになりたいなあ』
みのり:でも……そんな時、憧れの人が目の前ですっごく頑張ってたら もうちょっとわたしもがんばってみようかなって 思えるかもしれないって
遥:(……頑張ろう。 ファンのみんなに希望を届けられるように)
???:——あっ、いたいた!
遥:……え? この声って……
杏:遥ー!
遥:杏!?
彰人:何しに来たんだよ
杏:親友の応援に決まってるでしょ!
杏:——さっき、みのりちゃん達に会ったんだけどさ。 コメントもすっごく盛り上がっててさ。 みんな応援してくれてるみたい
遥:あ……
杏:——頑張ってよ、遥! みんな遥のこと応援してるんだからさ
遥:……うん
遥:応援してくれるみんなに応えるためにも ——全力で挑むよ
アナウンス:『ご来場の皆様に、お知らせいたします。 間もなく、SHINOBI-BATTLEの開始時間となります』
アナウンス:『選手の皆さまは、ご準備を——』
杏:やば、そろそろ観客席に戻らないとだ。 じゃあ——
遥:あ、杏!
杏:え?
遥:来てくれてありがとう。 最後まで、見ててね
杏:当たり前でしょ? 遥のかっこいいとこ、期待してるからね
実況アナウンス:『それでは、皆さま! お待たせいたしました!』
実況アナウンス:『SHINOBI-BATTLE、 第1グループからスタートです!』
観客達:いいレース期待してるぞー! 頑張れよー!
第1グループの選手:よしっ! いくぞおっ!
遥:(——第1ステージは『丸太渡り』。 バランス感覚と重心の移動が大事になってくる)
遥:(今の人、スピードはあるけど……。 上半身がぐらついてて、バランスがうまく取れてない。 でも……)
司:……少し危ないが、渡り切ったか
遥:思ったよりも、丸太はぐらつかなさそうですね。 ある程度トラブルがあっても、 体勢を立て直せば進めそうです
遥:次は『蜘蛛歩き』だけど——
実況アナウンス:『あーっと! 第1走者、残念ながらここで落ちてしまったー!』
彰人:力がもたなかったみたいだな。 壁に張り付いた時点で精一杯、って感じだった
遥:うん。手足で体重を支えながら登らなきゃいけないから 相当筋力が必要になると思う
遥:(『丸太渡り』もそうだけど……。 『蜘蛛歩き』もかなり手強そうだな)
遥:(でも、あの量のランニングと、重り付きの懸垂を乗り越えた 天馬さんならできるはず……!)
実況アナウンス:『おおっと! 第2グループ、蜘蛛歩きを無事クリアしました!』
司:次は彰人が挑戦する第2ステージか……
遥:(東雲くんのステージはまず、『苗木跳び』から。 ここは池に落ちるタイプじゃないから、 タイムオーバーか自己申告で失格になる)
遥:(多分、ここは跳躍力さえあれば問題ないから……。 懸念は『水蜘蛛』かな)
遥:(『水蜘蛛』も『丸太渡り』と同じように体幹が重要になる。 それに加えて、難易度をあげるのは、水の上独特の不安定さ)
遥:(——でも、東雲くんはもともとバランス感覚は悪くない。 それにこの1週間、かなりの練習をして、 体幹の強さに一層磨きがかかった)
遥:(大丈夫、きっとクリアできる——!)
実況アナウンス:『第8グループ、最終ステージをクリアしました! 本日2組目のクリアとなります!』
実況アナウンス:『気になるタイムは……なんと、2分ジャスト! 現在トップです!』
司:2分か……。 かなりのスピードだな
遥:そうですね。優勝するのなら、 ひとりあたり40秒を切るタイムでクリアしないと……
遥:……厳しい戦いになりそうですね
彰人:けどまあ、やるしかねえだろ
司:ああ。オレも彰人も、 必ず最速で桐谷にバトンを渡す
司:だから、桐谷もオレ達を信じて 待っていてくれ!
遥:天馬さん、東雲くん……
遥:——はい、よろしくお願いします!
スタッフ:第9グループ、準備お願いします!
彰人・遥・司:『はい!』
実況アナウンス:『それでは、第1ステージから。 よーい……スタート!』
杏:天馬先輩、頑張れ~!
遥:(第1ステージは、最終走者の待機所から少し遠いな……。 大きなモニターがあるから状況はわかるけど……)
遥:(天馬さんの様子は……)
司:うおおおおおっ!
観客達:うおっ、あの兄ちゃんすげえな! すごいスピードで渡ってくぞ!
観客達:ああ、バランスもいいし……。 ステージ最短クリアもあるんじゃねえか!?
遥:(うん、滑り出しはよさそう)
遥:(蜘蛛歩きはどうしても時間がかかるし、 この調子でタイムを短くして——)
司:よし、あと少し——ぬあっ!?
遥:あっ……!
遥:(天馬さん、足を滑らせて……!)
彰人:司センパイ!
実況アナウンス:『おおっと、順調に進んでいた第1走者、 足を滑らせて丸太の上から転落してしまいました! 残念ですが、失格——』
司の声:——いや! 落ちてない! 落ちてないぞー!!
遥:……! 丸太の下にしがみついて……
実況アナウンス:『おっと! 池に落ちてないのでセーフ! 続行です!』
彰人:落ちてはねえが……逆さに掴まっちまってるぞ。 あれ、動けんのか?
司の声:なんのこれしき!! ここからリカバリーできるよう、地獄のような特訓を重ねたのだ!
司:うおおおおおおおおっ!!
観客達:すげえ! 丸太にぶら下がったまま、進み始めたぞ!
観客達:すごい腕力ね! このままいけちゃうんじゃない!?
遥:——よし!
彰人:いけ、司センパイ!
実況アナウンス:『おおっ、ものすごい勢いで丸太を進んでいきます! あっという間に——クリア!』
遥:やった……!
杏:先輩、いい感じ!!
実況アナウンス:『続いて、“蜘蛛歩き”に挑戦です! かなりの筋力やバネが必要な競技ですが、果たして——!?』
司:両手と両足を壁につけて……。 ——蜘蛛歩きに、いざゆかん!
司:うおおおおおっ! サルと戦い、三日月組で鍛えぬいたオレの姿を見ろ!
実況アナウンス:『——な、なんと! 第1走者、両手両足を使い、 凄まじいスピードで進んでいきます!』
実況アナウンス:『先ほどのタイムロスを巻き返す快進撃だー!!』
遥:すごい……
遥:(さすがに40秒を切るのは難しいけど……。 でも、ミスがあったとは思えないほどの好タイム!)
遥:(これなら——)
司:はぁっ、はぁ……! ——行け! 彰人!
彰人:ああ!

第 6 话:まるで、SHINOBI

実況アナウンス:『さあ、第9グループは第2走者にバトンが渡りました!』
彰人:(優勝を目指すには、最低でも40秒を切る必要がある)
彰人:(『水蜘蛛』は時間がかかることを考えると……。 この苗木跳びで、ロスを減らさないといけねえ)
彰人:(だったら——)
実況アナウンス:『さあ、第2走者の前に“苗木跳び”が現れました! 伸びる若木のように高い跳び箱を 越えていく必要がありますが——』
彰人:(ここで最速のタイムを出すためには—— 絶対に、1回で決める!)
彰人:(このまま勢いをつけて……。 3、2、1——)
彰人:(——ここだ!)
彰人:——ふっ!
実況アナウンス:『華麗に跳んだー! 見事、一発でクリアしました!』
遥:(うん……! ジャンピングスクワットで鍛えた跳躍力が活きてる!)
司:いいぞー! 彰人ー!
杏:その調子ー!
実況アナウンス:『さあ、お次は“水蜘蛛”です! 走者の前に立ちふさがるのは幅8メートル、 長さ15メートルの水路!』
実況アナウンス:『この水面を、水蜘蛛をはいて渡るステージですが…… 補助として使えるのは木の棒のみ! 期待の第2走者、何秒でクリアできるでしょうか!?』
彰人:(水蜘蛛の装着は……。 鼻緒が少し緩いが、ここも手こずらずにいけたな)
彰人:(ここを最速でクリアするために、リスクを取るべきか―― いや、こういう時こそ、焦らずに足を進ませるんだ……!)
遥:(『水蜘蛛』のステージは 待機所の近くだからよく見えるな)
遥:(ここも東雲くんなら……。 ……うん、安定したスピードで進んでる。 落ち着いているから、その分動きにロスがない)
彰人:(——よし、あと2メートルくらいか。この調子で……)
彰人:——っ!?
実況アナウンス:『おっと、第2走者、動きを止めました! ここに来てトラブルでしょうか?』
遥:(東雲くん、どうしたんだろう。 左足のほうを見てるけど、浸水してる様子はないし……)
遥:……! もしかして……!
遥:(やっぱり……! 鼻緒が切れてる!)
遥:(だとしたら、まずいな。 これじゃあ、進むどころかその場で立ってるのも 難しいかもしれない)
遥:(使えるのは木の棒と右足だけ。 この状況から、ゴールに向かうにはどうしたら……)
遥:(——そうだ!)
遥:東雲くん!
彰人:桐谷?
遥:片方の水蜘蛛をオールがわりにして! 水蜘蛛で水面を後ろに押し出すように漕いでいくの!
遥:(バランスは不安定になるし、 木の棒と片足だけで体を支えることにはなるけど…… 東雲くんならきっとできるはず……!)
彰人:いや、無茶苦茶言うな……
彰人:——けど、他に策はねえか……
司:おお! 動き出した!
観客達:わあっ! あの兄ちゃん、片足で進んでる!
観客達:でも、沈まないぞ……? 棒でバランスを取りながら、 片方の水蜘蛛もオールのようにうまく使ってるんだ!
観客達:まるで忍者だな!
杏:彰人、やるじゃん!
彰人:(少しでも気を抜いたら右足が沈みそうだ……。 体重移動を意識しながら、姿勢が崩れねえように—— 今はそれを続けるしかねえ!)
彰人:(対岸まで、あともう少し……! このまま、進めば……!)
実況アナウンス:『——ゴール! 第2走者、ハプニングを乗り越えて対岸に到着しました!』
実況アナウンス:『水蜘蛛を脱ぎ捨て、今、最終走者の元へ走ります!』
彰人:——桐谷! あとは、任せた!
彰人:このまま、突っ走れ!
実況アナウンス:『第9グループ、最終走者に夢を託しました! 第2走者から受け取った勢いのまま走り出します!』
遥:(天馬さんも東雲くんもアクシデントがあったのに、 タイムはそこまで悪くない。 私次第で、優勝も夢じゃない——ううん)
遥:(絶対に、優勝するんだ。 ここまで頑張ってくれた、天馬さんと東雲くんのためにも!)
実況アナウンス:『さあ、最終走者が今、“壁登り”の前にたどり着きました!』
遥:(5メートルの壁……。 ボルダリングに近いけど、 足や手をかける場所も重要になってくる)
遥:(できる限りまっすぐ、最速で頂上に到達できる道は……)
遥:(——あそこだ!)
観客達:な、なんて速さだ……!
観客達:速さもそうだが、コース取りに迷いがないな! あそこまでまっすぐいけるのはすごいよ!
観客達:というか、あれって……。 桐谷遥だよね!? なんでこんなところにいるの!?
杏:あはは……。 やっぱり遥、話題になってるなぁ……
彰人の声:——まあ、元国民的アイドルが壁登りしてたらな……
杏:え……?
杏:あっ! ふたりともお疲れさま! 遥、順調に進んでるよ!
彰人:みたいだな。 スピードも、今までのチームの中じゃ一番なんじゃねえか
司:ああ。 もしかしたら、本当に優勝もあり得るかもしれん
遥:はあ、はあ……
遥:(『壁登り』は無事に終えられた。 多分、タイムもそこまでかかってないはず)
遥:(あとは——)
実況アナウンス:『最終走者、今、最後の難関に到達いたしました! 果たして、ここを何秒でクリアできるのか! それとも、失格となってしまうのか!』
実況アナウンス:『最後に走者を試すのは——“鉄棒跳び”です!』

第 7 话:後悔のないように

乃々木公園
愛莉:やるわね、遥……! あの高さの壁を一瞬で登るなんて……
みのり:わたしだったら、どこ登ろうかな~って迷っちゃうのに……! やっぱり遥ちゃんはすごいなあ
雫:私もよ。とっさの判断力も、流石だわ
愛莉:なんか、ちょっとズレてる気もしないでもないけど…… でも、ここからが本番よ!
コメント:『どうなるんだ……』 『遥ちゃん、頑張れ!』 『見てるよ~!』
愛莉:——みんな、応援してくれてるわよ、遥! きっちり決めてきなさい!
実況アナウンス:『さあ、これから最終走者が挑戦するのは “鉄棒跳び”です!』
実況アナウンス:『ポールにぶら下がった状態で体を振り子のように動かし、 ポイントからポイントへと飛び移るこの競技! 下には池が広がり、挑戦者の恐怖を煽ります!』
実況アナウンス:『ポールがあるポイントは3箇所。 最終走者は最難関のこのエリアを クリアできるのでしょうか!?』
遥:(ポールの間隔はだいたい1.5メートル。 それより近くても、遠く跳んでも落ちる。 正確な位置に跳ぶことを意識しないと)
遥:(腹筋と背筋を使って、体を揺らして反動をつけて跳ぶ。 まずは——1回目!)
観客達:お、いい跳び方だな!
観客達:遥ちゃん、こんなこともできちゃうんだ!
遥:(……よし!)
遥:(……跳ぶ感覚も掴めた。 ペースも、今のところは悪くない)
遥:(このままいけば、最速でいけるかも……! 次も、勢いをつけて——!)
彰人:……! 急に風が……!?
遥:っ、あ……!
遥:(風に押されて、跳び出せなかった……)
実況アナウンス:『最終走者、まさかの強風によるハプニング!』
実況アナウンス:『落下は免れましたが、 完全に2個目のポイントで止まってしまいました!』
遥:(……勢いで跳ぼうと思ってたけど、 計画が狂っちゃったな……)
遥:(でも、まだ大丈夫——!)
遥:(体を揺らして、勢いをつけて……)
遥:(……ここだ!)
実況アナウンス:『——最終走者、2回目も無事にクリアです!』
司:いいぞ、桐谷!
杏:よ、よかった……! あと1本だよ、頑張れ~!
遥:(……よし、この勢いのまま……!)
遥:……っ、また……!?
遥:(今、跳んだら、風で軌道がぶれる……! せめて風が弱まってくれないと……)
実況アナウンス:『おおーっと、また動きが止まってしまった! ここに来て動きを阻む強風……これは厳しいか!?』
遥:…………っ
杏:遥……
遥:(……今なら、跳べそう。でも……)
遥:(——どうしよう)
遥:(最後はバーから手を離して対岸に移るだけだけど、 2メートル以上跳ばないといけない)
遥:(今まで以上の反動をつけて跳ばないと、 向こう側には渡れない)
観客達:遥ちゃん、大丈夫かな……? あそこから跳べるの……?
遥:(……腕も結構疲れがきてる)
遥:(この状態で、2メートル以上跳べるような大きな反動をつけて ジャンプするのは、厳しい)
遥:(でも……)
杏:——いけ、遥! 勢いつけて、跳んじゃえ!
遥:杏……?
杏:遥、ここで諦めたら絶対後悔するでしょ? だったら勢いつけて跳んじゃえ!
杏:彰人達も応援して! 遥はみんなの応援があれば、絶対成功させるから!
司:頑張れ、桐谷!
彰人:反動つけていけ! お前ならそのくらいの距離、どうってことねえだろ!
遥:みんな……
遥:(——そうだ。ここで勝つために、 3人でトレーニングしてきたんだ)
遥:(それに——)
観客達:いけーっ! 跳べる、跳べるぞー!
観客達:頑張って、遥ちゃーん! 応援してるよー!
遥:(みんな、クリアできるって信じてくれてる)
遥:(ここで跳んで——希望を届けるんだ!)
遥:(まずは……跳ぶために勢いをつける!)
遥:(腹筋と背筋を使って、体を勢いよく振って……)
遥:(——今だ!)
観客達:あっ……! 跳んだわ!
観客達:お姉ちゃん、いっけー!
遥:(——お願い、届いて!)
杏:遥……!
彰人:ちゃ——着地した……!
司:うおおおおっ! 桐谷ーーーー!
杏:さっすが遥! やるじゃん!
観客達:やった……! 遥ちゃん、かっこいー!!
遥:はぁ、はぁ……! ——よしっ……!
遥:(あとは、ゴールのボタンを押せば……!)
実況アナウンス:『奇跡のジャンプを見せた最終走者! 最後の力を振り絞ってゴールへ向かいます!』
彰人:走れ、桐谷!
司・杏:『いっけー!』
実況アナウンス:『そして今、ボタンを押して——』
遥:はぁっ、は……。 ——っ!
実況アナウンス:『ゴーーーーール!』
実況アナウンス:『多くの困難を乗り越えゴールした第9グループ! 気になるタイムは——』

第 8 话:ストイックは永遠に

乃々木公園
遥:——配信を見てくれてるみんな、 今日は応援してくれてありがとう!
遥:優勝は逃しちゃったけど…… チームとして、無事に完走できてよかったと思う
遥:でも、今回上手く対応できなかったところは、 トレーニングを重ねて、できるようになろうと思ってるよ
遥:みんなも、乃々木公園に来た時にはぜひやってみてね
コメント:『お疲れさま!すごかったよ!』 『私も遥ちゃんとチーム組みたいな……』 『またトレーニング動画見たい!』
愛莉:それじゃあ、最後まで見てくれてありがと! また次の配信で会いましょう!
雫・みのり:『さよなら!』 『ばいばーい!』
遥:——改めてみんな、今日はお疲れさまでした!
司:ああ! 全力を尽くした、いいイベントだった!
遥:そうですね……
遥:……すみません。 私があそこでミスをしていなければ……
杏:遥……
司:いや、桐谷のせいではない! むしろ、あの状況からよくゴールした!
彰人:オレ達も途中タイムロスしたしな。 お互い様ってヤツだろ
司:それに、脱落者も多い中でゴールまで進めたのは あのトレーニングの日々があったからだ
司:改めて礼を言う。 オレ達をここまで導いてくれたこと、感謝する
遥:いえ、私のほうこそありがとうございました。 とてもいい経験になりました
遥:……今回のイベントで、諦めない大切さを改めて知りました。 ありがとうございます
彰人:ああ
司:……しかし、まさかゴールしたグループ全員に 特別賞がもらえるとはな
彰人:この特別券でトレーニングエリアが 1回無料で使えるんだったか
みのり:えっ、そうなの!?
愛莉:最新のトレーニング機器を体験できるわけね。 いいじゃない!
雫:ふふ、いいものがもらえたわね。 ありがとう、遥ちゃん!
遥:うん。MORE MORE JUMP!のみんなで 都合がいい日に——
女の子:——あの、遥ちゃん!
遥:え? 私?
女の子:はい! えっと、私…… 遥ちゃんに、伝えたいことがあって……
遥:うん、どうしたの?
女の子:あっ、あのね……。 今日の遥ちゃん、すっごくかっこよかったよ!
女の子:私、体育が苦手だったけど、 遥ちゃんみたいになれるように頑張ろうって 思えたんだ
女の子:だから……ありがとう、遥ちゃん! 次の『みんなでモアモアダンス!』も、 一緒にがんばるね!
遥:……あ
遥:もしかして——このあいだのダンス配信で 運動が苦手ってコメントをくれた子……?
女の子:……! 覚えててくれたの!?
遥:ふふ、当たり前だよ。 いつも応援してくれてありがとう
遥:これからも、みんなの力になれるような配信をしていくから
遥:一緒に、頑張っていこうね
女の子:……! うんっ!
女の子:それじゃあ、バイバイ!
杏:さて、と……。 みんな、たくさん動いたし、お腹すいたんじゃない?
杏:パーッと焼肉でも食べにいこうよ! このあいだ、美味しい焼肉屋さん教えてもらったんだ!
司:焼肉か……。 魅力的ではあるな
愛莉:遥達のお疲れさま会ってとこかしら。 じゃあ、その焼肉屋さんに——
遥:ごめん、私は遠慮するよ
雫:えっ、どうして?
遥:だって——
遥:まだ夕方のランニングが終わってないから
杏:……え?
杏:ちょ、ちょっと待って! 大会終わったばかりなのに、今日も走るの!?
遥:うん。疲れてる時って 自分を追い込むチャンスだと思うし
みのり:さ、さすが遥ちゃん……。 すっごくストイック……!
杏:いや、ストイックすぎるでしょ! 彰人と天馬先輩も、何か言って——
彰人:んじゃ、オレも走るか。 少し物足りねえって思ってたところだ
司:ああ! 夕方のランニングはもう習慣になっているしな!
司:お互い、トレーニングに励もうではないか!
杏:えっ、ちょっ——
遥:はい。 機会があれば、また一緒に
彰人:おう
杏:えっ!? 嘘でしょ、本当に走るの!?
雫:みんな、最後の最後まで全力なのね……
愛莉:見習うべきところはあるんでしょうけど、 ちょっとやりすぎな気もするわね
杏:も~……遥ってば……
杏:——待って、遥! 私も一緒に行く!
遥:えっ?
杏:さっきの遥達見てたら、 私もちょっと走りたくなったっていうか……そんな感じ!
みのり:わわっ! わたしも一緒に行きます!
遥:いいの? これから4キロ走るけど
杏:4……!?
杏:い、いやそれくらいいけるし!
みのり:わ、わたしも大丈夫……! いけます!
遥:ふふっ、わかった。 それじゃあ——ついてきて!