活动剧情
想いをのせて!Dream Stage
活动ID:144
第 1 话:シブ学祭
神山高校 2年A組
先生:え~……。 今日話すことはだいたい話したからあとは……え~
先生:なんだったかなあ。 もうひとつあった気がするんだけど……
生徒達:もう、先生ってばしっかり~!
寧々:(うちのクラスのHR、相変わらずゆるい空気だな)
寧々:(ま、この感じも慣れてきたし、 楽しいからいいけどね)
寧々:(……時間的に、あともうちょっとしたら終わりそうだな)
寧々:(——今日はこのあと みんなとの練習がないからフリーだけど……)
寧々:(やっぱり、歌の自主練してから帰ろう)
寧々:(次に修行に行くのは、あの有名な『森ノ宮歌劇団』だし)
寧々:(絶対に、成長するチャンスになるから…… しっかり準備していきたい)
寧々:(……森ノ宮は伝統があって、稽古も厳しいって聞くし 不安はあるけど……)
寧々:(でも、今はなんでも前向きに頑張らなくっちゃ)
先生:——ああ、思い出した思い出した! あの話を忘れてたよ
寧々:ん……?
先生:え~、実は今度区のほうで、 学生主体の新しいイベントをやることになりました
杏:新しいイベント……? それってどんなイベントなんですか?
先生:正式名称は、 『シブヤ区高等学校合同文化祭』って言ってね
先生:まあ、簡単に言うと、 『シブヤ区の高校生みんなで文化祭をやってみよう』 っていうイベントだよ
彰人:シブヤ区の……すげえ規模になりそうだな
先生:まだ詳細は決まってないんだけど、 他校の生徒同士が協力して、ステージでパフォーマンスしたり、 ブースで作品や研究の展示をするみたいだね
杏:へえ……! なんだか楽しそう!
生徒達:パフォーマンスってなんだろ? ダンスとかかな~?
先生:どうやらその辺りの内容も、 生徒で自由に決めていいらしいよ
寧々:へえ……
寧々:(なんか、『なんでもありの大きな文化祭』って感じだな。 ちょっとおもしろそう)
先生:それで、ここからが重要なんだけど——
先生:各学校から、実行委員を数人ずつ募集しているみたいでね
彰人:実行委員?
先生:うん。区の生徒の交流が目的だから、 運営も生徒が主体でやるんだって
先生:だから、興味がある人はぜひ申し込んでみてね。 僕の方からも、何人か声をかけさせてもらうよ
先生:それじゃあ、今日のHRは以上です。 皆さん、さようなら
生徒達:楽しそうだね、シブヤ区高等…… 長いから『シブ学祭』って呼ぼ!
生徒達:私ちょっと出てみたいかも~!
生徒達:じゃあ実行委員、立候補してみたら?
生徒達:え。それはちょっと自信がないっていうか……。 私は参加するほうがいいな~
寧々:(『シブ学祭』か……たしかに、楽しそうなイベントだよね)
寧々:(やる時期も、森ノ宮に修行に行く前みたいだから タイミングが合ったら見に行ってみるのもいいかも)
先生:——草薙さん、ちょっといいかな?
寧々:え……? はい、大丈夫です
先生:さっき話した実行委員の話なんだけどね
先生:よければ草薙さん、やってみないかい?
寧々:……えっ!?
寧々:わ、わたし、ですか? どうして……
先生:ほら、草薙さんは芸術祭の時、 監督としてみんなを上手にまとめてたでしょ?
先生:だから、こういうのも向いているんじゃないかって、 先生達の中で名前が挙がったんだ
寧々:あ……なるほど……
寧々:(実行委員……か。 ちょっと興味はあるけど、普段の練習もあるし……)
寧々:(他の学校と合同でやるってことは、 知らない人達と協力してやっていかなくちゃいけないんだよね)
寧々:(今のわたしに、できるかっていうと……)
先生:……もちろん無理にとは言わないよ。 急なことだしね
先生:でも、もし少しでも興味があるなら、 前向きに検討してみてほしいな
寧々:あ……
寧々:(前向きに……)
寧々:(でも、今はなんでも前向きに頑張らなくっちゃ)
寧々:(——さっき、あんな風に考えたばっかりだったのに、 また後ろ向きに考えちゃってたな)
寧々:(……これも芸術祭の時みたいに、 いろんな人と作品を作っていくための いい経験になるかもしれない)
寧々:(なら——)
寧々:——わかりました。やらせてください
先生:本当かい?
寧々:はい。ちょっと不安もありますけど…… ショーを作る勉強にもなると思うので、やってみます!
先生:ありがとう、他の先生にも伝えておくよ。 何かあれば手助けするから、遠慮なく相談してね
寧々:はい、よろしくお願いします!
寧々:——ふう……
寧々:(……よし!)
寧々:(引き受けたからには、 いいイベントになるように、頑張らなくっちゃ……!)
第 2 话:いちから作るステージ
1週間後
寧々:(……このビルが、シブ学祭のミーティング会場か)
寧々:(知らない人の中に飛び込むって思うとやっぱり緊張するけど…… でも……頑張らなくちゃ!)
寧々:し、失礼しま——
実行委員達:え、うそ! 私も吹部だよ! 楽器は何してるの?
実行委員達:へえ~、学校の近くにそんな店あるんだ!
実行委員達:あはは、その先生おもしろいね~
寧々:(す、すごい……。 50人くらいいるし、もうグループみたいなのができてる)
寧々:(えっと……誰か、知ってる人は……)
寧々:(……そんなに都合よくいるわけないか)
寧々:(でも、これからはこの人達と一緒にやっていくんだし、 わたしも自分から……)
実行委員達:あれ? また新しい子が来たみたい
実行委員達:あ、ホントだ~
寧々:え……
寧々:(あの人達、わたしを見てる……?)
寧々:あ、あの……、はじめまして。 神山高校2年の、草薙寧々です
寧々:よ、よろしくお願いします……!
実行委員達:うん! こっちこそよろしくね!
実行委員達:私の隣空いてるから、よかったら座って
寧々:あ……はい。ありがとうございます
実行委員達:ふふ、同学年だしタメ口で大丈夫だよ! 今日からよろしく!
寧々:(よかった……いい人達みたい)
実行委員長:——はい! 皆さん、注目してください
寧々:……!
実行委員長:少し早いですが、全員そろったようなので、 第1回ミーティングを始めます
実行委員長:私は宮益坂女子学園、生徒会長の椎名です。 今年は宮女が代表校なので、代表を務めさせていただきます。 どうぞ、よろしくお願いします
実行委員長:——まずは、実行委員の仕事内容を説明しますね
寧々:(……なるほど)
寧々:(シブ学祭のメインは、ステージパフォーマンスと展示全般)
寧々:(だから実行委員はまず、 どっちを担当したいか選べばいいんだ)
寧々:(……それならわたしは、ステージ係がいいな。 いろんな出し物を手伝うのは、いい経験になりそうだし)
実行委員長:——では、担当を選んで分かれてください。 その後、それぞれ話し合いをしていきましょう
寧々:(えっと、ステージ係はこっち……だよね)
ステージ係長:——ステージ係を希望する人はこれで全員ですね。 それじゃ、早速話し合いを始めましょうか
寧々:……はい!
ステージ係長:まず——合同文化祭のステージは2種類あります
ステージ係長:ひとつは、『部活動ステージ』です。 吹奏楽部、合唱部、映画部など、 各校の有志が集まってやるステージですね
ステージ係長:部活動ステージでは、私達は主にサポート役をやります。 必要な備品を用意したり、練習場所を手配したりとかですね
寧々:なるほど……
ステージ係長:そして、もうひとつのステージは—— 『実行委員企画ステージ』です
寧々:『実行委員企画ステージ』……?
ステージ係長:これは実行委員のメンバーが企画し、 参加者を募って作るステージです
ステージ係長:簡単に言うと……『部活に入ってなくても出られる、 実行委員主催のステージ!』って感じですね
ステージ係長:なので、部活動ステージはサポートがメインだと言いましたが、 こちらのステージは企画から運営まで、 全て私達が行うことになります
寧々:へぇ……そういうのもあるんだ
寧々:(なんだか、思ってたよりいろんなことができそう)
ステージ係長:というわけで、早速話し合いを進めたいんですが……
ステージ係長:『部活動ステージ』は、各学校の顧問の先生に 参加調査を行っている段階で、 まだ話し合いができる状態ではないんですよね
ステージ係長:なので今日は、『実行委員企画ステージ』の内容を ざっくり決められればと思います
ステージ係長:何か、アイディアがある人はいませんか?
寧々:あ……
寧々:えっと……ステージの内容は、何をやってもいいんでしょうか?
ステージ係長:はい。 ただ、『たくさんの人が参加できるステージ』 にしたいので、専門的な内容は避けたいですね
実行委員達:そっか~。 じゃあバンドとかオーケストラみたいのは難しいかもね。 楽器できないとだし
寧々:あ……たしかにそうだね。 参加しづらくなっちゃう
実行委員達:それじゃあ、合唱はどうですか?
実行委員達:うーん。でも、部活動ステージの方に 合唱部が出るかもしれないよね? 内容被っちゃわないかな
実行委員達:あ、そっか! 結構難しいなあ
寧々:…………
寧々:(たくさんの人が参加できて、楽しめるもの……か)
寧々:(みんな得意なことは違うだろうし、 そういう全然バラバラな人達が 集まってできることっていえば——)
寧々:……あ!!
寧々:あ、あの——ひとつ、アイディアがあります!
翌日
ワンダーランドのセカイ
司:——なるほど! それで、『ミュージカル』をやることになったというわけか!
KAITO:たしかに、ミュージカルなら、 演技だけじゃなくて、歌、ダンス、美術…… いろいろな要素を取り入れられるね
寧々:うん。演劇部の方は会話劇をやるところが多いみたいだから、 部活動ステージとも被らなそうだったし
えむ:えへへ、いろんな学校の人とショーできるなんて、 と~っても楽しそうだね~!
ミク:それに、寧々ちゃんがそのミュージカルを作る リーダーに選ばれたんだよね!? すごいな~☆
寧々:あ……まあ、 『リーダーはある程度勝手をわかってる人がいい』ってことで、 選ばれただけだけどね
MEIKO:だとしても、大役に就いたことには変わりないじゃない!
レン:ボク達にも手伝えることがあったら、なんでも言ってね!
司:ああ、オレ達も協力するぞ!
寧々:ありがとう。でも、司達だって参加してくれるんでしょ? 自分の準備で忙しいんじゃない?
類:たしかに、司くんとえむくんは役者、 僕は演出家として参加することが決まっているけれど。 他にもいろいろと、手伝えることがあるだろうからね
えむ:うん! 演技だけじゃなくて、 裏方のお仕事とかもいっぱい任せて!
寧々:……ありがとう、みんな
寧々:実際、脚本を作ったり人を集めたり、 やることが多くて練習と両立できるか不安だったから。 すごく助かる
リン:えっ! 脚本も寧々ちゃんが考えるの?
寧々:うん。芸術祭の時、映画の脚本を書いてみて 勉強になることもあったから、今回もやってみようと思って
寧々:あ……でも、実行委員の人達と方向性は決めたんだけど、 具体的な内容で迷ってて…… さっそくなんだけど、相談してもいいかな?
司:ああ、もちろんだ!
えむ:みんながワックワクわんだほいになれるお話にしようねっ☆
類:それで、どういった方向性なんだい?
寧々:えっと……たくさんの人が参加できるように、 いろんなジャンルの歌や音楽を取り入れる話にしたいんだ
ルカ:あら~、ひとつの舞台で、 いろんな歌に出会えるなんて、とってもすてきね~
司:ふむ……ならば、 いろんなジャンルの音楽家が登場する、というのはどうだ?
KAITO:うん。それならいろんなジャンルの音楽が出ても 不自然じゃないし 役者に合わせて柔軟に台本を調整できそうだね
えむ:じゃあじゃあ、 『主人公が音楽家のみんなとお友達になって、 音楽が好きになる!』っていうのはどうかな!?
寧々:あ……それ、すごくおもしろそう! じゃあ——
第 3 话:集う仲間たち
数日後
スクランブル交差点
寧々:(よかった……。 みんなのおかげで、脚本は固まりそう)
寧々:(でも——やることはまだまだ山積みだな)
寧々:(とにかく、まずは人を集めないと。 役者に、曲を作る人に、演奏する人に…… 美術や衣装の係も必要だよね)
???:——草薙さん?
寧々:えっ……
寧々:も、桃井さん!?
愛莉:やっぱり! こんなところで会うなんて偶然ね!
愛莉:ていうか、急に声かけちゃってごめんなさい。 信号変わってるのに立ったままだったから、気になっちゃって
寧々:えっ? あ、本当だ……
寧々:すみません、ちょっといろいろ考えて、ボーっとしちゃってて
愛莉:いろいろって……もしかして、何か悩みごとでもあるの?
寧々:あ、悩みというか……。 今ちょっと、考えないといけないことがたくさんあって
寧々:それで、どうやったら解決できるかなって考えてたら、つい……
愛莉:——なら、よければ話を聞かせてくれない?
寧々:えっ?
愛莉:ほら、そういう時ってひとりで考えてると、 結構行き詰まっちゃうじゃない?
愛莉:人に話すと頭の中が整理されることもあるし、 草薙さんさえよかったら、つきあわせてちょうだい!
寧々:桃井さん……
寧々:ありがとうございます。 じゃあ、えっと——
愛莉:……なるほどね。 それで、ステージに参加してくれる人を探してると
寧々:はい。実行委員の人と協力してポスターは出してるんですけど、 なかなか集まらなくて……
愛莉:たしかに、ミュージカルってちょっとハードルが高い イメージがあるものね……
愛莉:でも、直接声をかけたら 興味を持ってくれる人はいるんじゃないかしら?
愛莉:わたしも、そういう子達に心当たりがあるしね!
寧々:ほ、本当ですか……!?
寧々:あの……よければその人達、紹介してもらってもいいでしょうか!
愛莉:ええ! 音楽やってる友達とか、 文化系の部活に入ってる子に、声をかけてみるわね!
寧々:……! よろしくお願いします!
愛莉:じゃあ、とりあえず連絡先交換しましょうか! OKをもらえたら、わたしが草薙さんの連絡先を 教えるって感じにして——
寧々:あ…………
愛莉:ん? どうかしたの?
寧々:あ、いえ、その……。 これは本当に、もしよかったらなんですけど——
寧々:桃井さんも、役者として出ていただくことって、 できないでしょうか……?
愛莉:え、わたし?
寧々:その……以前お正月に山で一緒にショーをやった時、 桃井さん、すごく楽しそうに踊っていて。 アドリブもバッチリだったので……
寧々:あ、アイドルの活動で忙しいでしょうし、 本当によかったらで大丈夫なんですけど……!
愛莉:——それじゃあせっかくだし、 参加させてもらっちゃおうかしら!
寧々:え? い、いいんですか?
愛莉:ええ。遥達やマネージャーにも確認してみるけど、 スケジュールは問題ないはずよ。 今、少し余裕があるのよ
愛莉:それに——
愛莉:さっき教えてくれたミュージカルの内容、 とってもすてきだって思ってたから
愛莉:『女の子が、友達になった音楽家達の歌に背中を押されて、 自分の夢に一歩踏み出す』——
愛莉:わたしも、自分の歌で希望を届けたいって思ってるから、 なんだか共感しちゃったわ!
寧々:……!
寧々:……仲間と一緒に考えた話なので、 そう言ってもらえて嬉しいです
愛莉:あ、でも本格的な演技の経験はないから いろいろ教えてちょうだいね?
寧々:はい!
愛莉:それじゃあマネージャー達の確認が取れたら、 また連絡するわね! じゃあね!
寧々:(よかった……桃井さんが手伝ってくれることになって)
寧々:(でも——桃井さんに頼ってばっかりじゃダメだし、 わたしも人を集めていかなくちゃ)
寧々:(えっと……とりあえず、 わたしもクラスの人達にも声をかけてみようかな)
寧々:(あと、誘えそうな人は——)
翌日
神山高校 2年A組
寧々:——それで、白石さんと東雲くんに、 役者をお願いしたいと思ってるんだけど……どうかな?
杏:それって昇降口のポスターのやつだよね? やるやる! ていうか、むしろやらせて!
杏:他の高校の人と歌うのって楽しそうだし、 ちょっと出てみたいって思ってたんだよね!
彰人:あー……。 歌えるヤツってことで声かけてくれたのはありがてえが……
彰人:さすがに、ミュージカルは範囲外だな
杏:あーたしかに。 彰人が『オレは~♪』とか歌ってるのって想像つかないな~
彰人:うるせえな
彰人:ってわけで、悪いがオレはパスだ。 ま、他に何か手伝えることがあれば言えよ。 力仕事とか、人手が必要な時もあるだろ
寧々:あ……それなら、当日の搬入とかお願いしてもいいかな? まだ人が足りてなくて……
彰人:おう、構わねえぞ。 いい筋トレになりそうだしな
寧々:ありがとう、ふたりとも
寧々:(衣装と美術もクラスの子が手伝ってくれることになったし、 あとは……)
寧々:——ねえ、作曲できる人って知り合いにいたりしない?
彰人:作曲?
寧々:うん。 オリジナルの脚本だから、 できれば曲も作りたいなって思ってて
杏:あ、それなら、冬弥に頼んでみたら? 作曲も編曲もうまいから!
彰人:だな。曲作りなら、あいつも興味持つんじゃねえか?
寧々:そうなんだ……
寧々:教えてくれてありがとう。 あとで、声かけてみるね
冬弥:なるほど、ミュージカルの作曲か……
冬弥:——わかった。 俺でよければ手伝おう
寧々:ほ、本当?
冬弥:ミュージカルの曲を作るのは初めてだが…… 作曲の幅も広がりそうだし、いい経験になりそうだからな
寧々:よかった……ありがとう、青柳く——
瑞希:ふっふっふ~。 話は聞かせてもらったよ?
寧々:わっ!? あ、暁山さん?
瑞希:ねえねえ、そのミュージカルって、衣装も自分達で作るの?
寧々:う、うん。そのつもりだけど……
瑞希:じゃあ、よかったらボクにも手伝わせてくれない!?
寧々:え……すごく助かるけど、いいの?
瑞希:うんっ! 舞台衣装って、レースとかフリル盛り放題だから絶対楽しいし!
寧々:そっか……じゃあ、お願いさせてもらおうかな
瑞希:イェーイ! 冬弥くん、やることは違うけど一緒にがんばろうね!
冬弥:ああ。よろしく頼む
寧々:(……まさか、みんなこんなに協力してくれるなんて……)
寧々:(思い切って声をかけてみてよかったな)
寧々:(でも……まだまだここからだよね)
寧々:(手を貸してくれるみんなのためにも、 もっと、頑張ろう——!)
第 4 话:力を合わせて
数日後
区民会館 会議室
寧々:えっと……衣装チームの作業内容は以上になります
寧々:長くなりましたが、これで、 役者、作曲、演奏、美術、照明、衣装、 各仕事内容の説明は終了です
寧々:……何か質問がある人はいますか?
寧々:えっと……大丈夫そうなので、 ステージの企画説明会を終わろうと思います
寧々:今日は、来てくれてありがとうございました。 みんなで協力して、素敵なステージにしましょう
実行委員達:お疲れさま、リーダー!
寧々:うん。き、緊張した……
寧々:(でも……)
衣装チームの生徒達:台本、おもしろそうだったね! 衣装考えるの楽しみだな~!
美術チームの生徒達:大道具のデザイン、どんなのにしようか?
寧々:(ちゃんと人が集まって…… こうやって説明会までできて、よかったな)
???:——草薙さん
寧々:あ……星乃さん! それに、Leo/needのみんなも
寧々:急に誘っちゃってごめんね。 それから、参加してくれて本当にありがとう
一歌:こちらこそ、声をかけてくれて嬉しかったよ。 素敵なミュージカルになるように、精一杯頑張るね
咲希:うんうん! あいり先輩にも声かけてもらっちゃったし、 がんばらなくっちゃ!
穂波:ふふ、そうだね。 今回はみんなやることが違うから、ちょっと緊張するけど……
寧々:あ、そっか
寧々:今回は、星乃さんが役者で、天馬さんが作曲で、 望月さんが美術、日野森さんが演奏……だよね
志歩:穂波が美術やるのはちょっと意外だったけどね
穂波:えむちゃんに誘ってもらったんだ。 ドラムは他の学校に希望の子がいたし……
一歌:ふふ、みんな頑張ろうね。 私も演技、頑張るよ
寧々:ありがとう……。 プロになって忙しい時なのにごめんね
咲希:全然大丈夫だよ! ちゃーんと事務所の人達にもオッケーもらったし♪
穂波:うん。『学校行事の一環なら問題ない』って言ってくれたから、 心配しないでね
???:——あら?
愛莉:賑やかだと思ったら、 見慣れた顔がそろってるじゃない!
咲希:あっ、あいり先輩!
雫:しぃちゃん、朝ごはんぶりね~♪
志歩:げっ。お姉ちゃん……
一歌:雫先輩も、企画に参加するんですね
雫:ええ。愛莉ちゃんに誘ってもらったの
雫:遥ちゃんとみのりちゃんも参加したがってたんだけど…… ちょうど準備期間中にふたりはお仕事があってね
雫:だから、ふたりの分まで力になれるように頑張るわ
穂波:はい、よろしくお願いします。 雫先輩は何のチームに入られるんですか?
雫:私は、瑞希ちゃん達と一緒に衣装を作る予定よ
雫:ふふ。しぃちゃんにも可愛い衣装を作るから、期待していてね!
志歩:いや、演奏するメンバーは 可愛い衣装じゃなくていいでしょ……
えむ:みんな~!!
寧々:あ、えむ。 それに、東雲さんも
寧々:えっと……東雲さん、今回はご協力ありがとうございます
絵名:うん、よろしくね
愛莉:ふふっ、まさか絵名も来るとは思わなかったわ
絵名:まあ、えむちゃんに誘われちゃったら なかなか断れないよね
えむ:えへへっ! みんなでキラキラ~な舞台背景、作っちゃいましょうねっ♪ がんばろわんだほーい!
寧々:——皆さん
寧々:改めて、今回は力を貸してくれて、 本当にありがとうございます
寧々:いいステージになるように、頑張るので…… これから、よろしくお願いします!
一歌:草薙さん……
一歌:うん! 一緒に、頑張ろうね
寧々:(役者の演技に、作曲に、演奏に、美術に衣装に——。 見ていかなくちゃいけないものは多いけど)
寧々:(みんなと力を合わせて、 絶対いいものにしよう……!)
第 5 话:歌への想い
数日後
レッスン室
寧々:——では、これから演技の練習を始めたいと思います
寧々:あ、その前に…… このステージ兼、役者チームのリーダーの草薙寧々です。 改めて、よろしくお願いします
杏:よろしくね! ふふっ、楽しみだな~♪
一歌:演技って、全然したことがないから、 ちょっと不安だけど……
愛莉:大丈夫よ! ここはみんなで力を合わせて、 がんばっていきましょう!
寧々:それじゃあ、まず今日やることの流れですが——
寧々:まず台本の内容をおさらいしてから、配役を決めます。 その後は時間があれば、 軽く読み合わせまでできれば……っていう感じです
寧々:配役と演技指導は、わたしが所属している劇団の 演出家と役者が手伝ってくれるので……えっと、挨拶よろしく
えむ:はーいっ! 鳳えむです! みんなが笑顔になれるショーができるように がんばるので、よろしくお願いします!
類:神山高校3年の神代類です。 皆さん、よろしくお願いします
司:同じく、神山高校3年、天馬司だ! 天翔けるペガサスと書き——
寧々:時間ないから、それスキップしていい?
司:ぬうっ! 人の自己紹介を雑に扱うとは……! ……いやしかし、限られた時間は有効活用せねばな……
司:ともかく、共に素晴らしいショーを作るため、 頑張ろうではないか! よろしく頼む!
寧々:——じゃあ改めて、台本の内容を説明していきますね
寧々:タイトルは、『メロディー・オブ・ドリーム』。 ——このお話の主人公は、とある町の屋敷に住む令嬢・ルルです
寧々:箱入り娘であるルルは、世間知らずで引っ込み思案ですが、 ある日、窓から聴こえてくる歌に惹かれて、 町へと飛び出していきます
寧々:そこでルルは、町中で歌を歌っていた音楽家に出会って ——音楽のすばらしさに目覚めていきます
一歌:音楽の……
寧々:音楽家に歌を教わったルルは、 執事の目を盗んで町へ出ては、 歌を聴いたり歌ったりするようになり——
寧々:そうする中で、他の音楽家達とも友達になります。 そして、『自分も音楽家になって たくさんの人を笑顔にしたい』と夢見るようになります
杏:へえ、熱い展開じゃん!
寧々:と、そこまではいいんですが——
司:ある日、こっそり家を抜け出していたことが、 執事にバレてしまい……
寧々:ルルは、もとの生活に戻ることになります
杏:えっ!? そんな~
愛莉:ベタだけど、続きが気になる展開ね……
寧々:けれど——
寧々:そんな彼女のために、 音楽家達が屋敷の前で集まり、歌います。 ——それぞれの、ルルに伝えたい想いを込めて
寧々:そしてその歌に背中を押されたルルは、 勇気を出して自分の夢を屋敷の人達に明かし……
寧々:音楽家になるべく、新しい道を進みだす—— という終わり方になります
一歌:素敵なお話だね
類:——では、話の筋も確認できたところで、 早速配役を決めていこうか
杏:はーい!
類:配役は本来、本人の演技力や資質から考えることが多いね
類:ただ……今回は未経験者がほとんどだし、 演技力から適切な役を判断するのは少し難しい
類:そこで——今回は、 『自分に近い役』をやってもらおうと思っているんだ
杏:自分に近い役……?
類:ああ。性格や考え方が似ているほうが、 演じやすくなるからね
類:というわけで、これから皆さんには、自己紹介も兼ねて、 ひとりずつ『歌に対する想い』を語ってもらえればと思います
一歌:歌に対する想い……ですか?
寧々:うん。今回のお話は、 『歌』で誰かを元気にしたり、背中を押したり、 勇気を出したりするお話だから
寧々:歌への想いを元に考えたほうが 決めやすいんじゃないかなって
愛莉:なるほどね……
類:では、こちら側から順番にいこうか。 星乃くん。急で申し訳ないけど、発表してもらえるかい?
一歌:あ……は、はいっ!
一歌:えっと……宮益坂女子学園2年の、星乃一歌です
一歌:私は今、バンドのボーカルをしていて……。 ……演奏と、自分の歌で、たくさんの人の心に 想いを届けたいと思っています
一歌:それで、私の歌がきっかけになって、 誰かと誰かが出会ったり、深くつながったりするような——
一歌:そんな歌を歌いたいです。 ……私の、憧れの人みたいに
寧々:(……まっすぐで、星乃さんらしいな)
杏:じゃあ次は私の番だね!
杏:神高2年の白石杏です! 私は——歌で、世界を獲りたいって思ってます!
司:世界……! それはいい目標だな!
杏:ってわけで——相棒や仲間とぶつかりあって てっぺんまで登り詰めてみせる!
杏:それが今の、歌に対する想いだよ!
愛莉:ふふっ! 杏ちゃんらしいわね!
愛莉:わたしは、たくさんの人に希望を届けられるような スーパーアイドルを目指してるの!
愛莉:そのために、ダンスも、トークも、 いつも自己ベストを更新していくつもりよ!
愛莉:それに歌も——希望を届けたいっていうわたし達の気持ちを 届けてくれるものだから、大事にしたいわね!
類:……フフ
類:揺るぎのない、まっすぐな想いを持っているんですね
えむ:愛莉ちゃんセンパイ、キラキラしてるね!
寧々:(……ジャンルはそれぞれ違うけど、 みんな情熱を持って歌と向き合ってる)
寧々:(このメンバーなら、いいステージになりそうだな)
類:では次は……そこの君、お願いできるかな?
役者担当の生徒達:はい! 私は——
類:——うん。これで全員聞き終わったかな
類:では……最後に、寧々。 君の想いを教えてくれないかい?
寧々:え、わたしも?
類:ああ。寧々も役者として出演するだろう?
寧々:それはそうだけど……。 わたしは残った役をやるつもりだから、話さなくても……
杏:そうなの? でもせっかくだし、 草薙さんがどういう気持ちで歌ってるのかも聞きたいなー!
愛莉:ええ。それに、残りなんて言わないで、 草薙さんにも自分に合った役をやってほしいわ
類:——だそうだよ?
寧々:そ、そういうことなら
寧々:……えっと……
寧々:……わたしは、いつか世界で歌えるような、 ミュージカル俳優になりたいです
寧々:そして——わたしの歌でたくさんの人を笑顔にしたい。 そう思っています
役者担当の生徒達:世界で歌える俳優……かっこいいね!
役者担当の生徒達:それって、ブロードウェイで歌うみたいな?
寧々:あっ……い、今のわたしには 大きすぎる夢なんですけど……!
杏:え? そうかな~?
寧々:えっ……
杏:草薙さん本当に歌上手だし、 全然大きすぎる夢なんかじゃないって!
一歌:うん
一歌:すごく草薙さんらしくて、素敵な夢だと思ったよ
寧々:あ……
寧々:……ありがとう
寧々:大きい夢だけど……でも、 いつか絶対叶えたいなって思ってます
類:——では、話してもらった内容をもとに、配役を決めていこうか
類:まずは、ショーの要。 主人公の役から決めようと思うのだけど……
杏:はいはい! 私、草薙さんがいいと思うな~
寧々:…………え!?
杏:さっきの話聞いてて、 イメージぴったりだなって思って!
愛莉:たしかに、夢に向かって 勇気を出してがんばってるところとか、似てる感じがしたわよね
役者担当の生徒達:私も、いいと思う! やっぱり経験者が引っ張っていってくれると安心だし!
役者担当の生徒達:俺も賛成です!
寧々:え、えっと……
類:——そうだね。 僕もさっきの自己紹介の中で、 寧々が一番イメージに合うと思ったよ
類:けれど……実行委員の仕事もあるだろうから、 主演も担うのは負担が大きい
類:だから、やるかどうかは寧々に任せるよ。 他にも、何人か候補はいるしね
寧々:…………
寧々:(……たしかに、両立は大変そうだし、責任も大きい)
寧々:(でも……)
寧々:……わかりました
杏:本当っ!?
寧々:うん。みんながそう言ってくれるなら、 期待に応えたいし……
寧々:(……わたしもさっき、友達に背中を押されて、 勇気を出すところとか、ちょっと似てるなって思ったから)
寧々:……頼もしいみんなもいるし、精一杯頑張ります
類:それじゃあ、主人公は寧々で決まりだね
類:このまま、他の役も決めていこう。 まず、主人公が初めに出会う音楽家について——
数時間後
司:——皆、初めての者も多いというのに、 いい発声ができていたぞ! 次回からもこの調子で頑張っていこう!
役者担当の生徒達:『はいっ!』
寧々:じゃあ、そろそろ時間だから…… これで今日の練習会を終わります。 ありがとうございました
全員:『ありがとうございました!』
杏:つっかれた~! やっぱり演技って難しいなー
愛莉:そう? 杏ちゃん、ハマり役だと思ったけど
一歌:『歌への情熱を思い出させる音楽家』ですもんね
杏:それを言うなら、愛莉さんと一歌ちゃんもぴったりですって! 『勇気を与える音楽家』と、 『音楽の楽しさを伝える音楽家』!
愛莉:ふふ。わたし達全員、音楽家の役をもらうなんてね。 責任重大だけど、がんばりましょう!
愛莉:役としても、仲間としても、草薙さんの力になれるようにね?
寧々:あ……
寧々:……はい。よろしくお願いします!
第 6 话:想いを曲に
レッスンスタジオ
実行委員:——というわけで、 皆さんに作ってほしい曲は、今の8曲です
咲希:わぁ~、本当にいろんなジャンルの曲が出てくるんだね!
実行委員:はい。それぞれの『音楽家』のイメージに合った曲にしたくて……
冬弥:なるほど……。 『音楽家』がそれぞれ違った音楽性を持つからこそ、 作る曲もガラリと変えたい、ということか
寧々:そうなんだ
寧々:だから——星乃さんの役にはバンドテイスト、 桃井さんの役にはポップス風、 白石さんの役にはストリート系の曲を作ってほしいって思ってるの
一歌:いろんなジャンルを作るのは難しそうだけど…… でもその分、やりがいがありそうだね
一歌:いい曲だって思ってもらえるように、頑張ろう
咲希:おーっ!
寧々:……でも、星乃さん、本当によかったの? 役者をやってもらうのに、作曲まで手伝ってもらっちゃって……
一歌:うん。曲数的に、咲希達だけじゃ大変だし。 自分が歌う曲は、できれば自分で作りたいなって思ってたから
寧々:そっか……。 じゃあ、改めてよろしくね
実行委員:困ったことがあったら、 私が作曲チームの進行担当なので いつでも相談してくださいね
一歌:はい、よろしくお願いします
冬弥:——では、早速担当する曲を決めて、 作曲に取り掛かるとしよう
咲希:はいはーいっ! アタシ、あいり先輩の役の曲、作りたいなっ!
咲希:さっき聞いた時から、こういうメロどうかな?って イメージ湧いちゃってるんだよね~!
冬弥:咲希さんらしいですね
冬弥:——では、白石が歌うストリート系の曲は俺が作ります
数時間後
寧々:(……作曲って言っても、みんなやり方が違うんだ)
寧々:(星乃さんと天馬さんは楽器で、 青柳くんはパソコンのソフト使ってる)
寧々:(それに、コードから考えたり、メロディーから考えたり…… 工程も違ってて、見てるのちょっと楽しいな)
冬弥:——すみません
冬弥:試しにサビのフレーズを作ってみたんですが、 聴いてもらってもいいでしょうか
実行委員:え……もうできたんですか?
冬弥:はい。まだラフですが。 イメージが合っているか確認してもらおうかと
寧々:わかった。聴いてみるね
咲希:あ、アタシも聴きたーい! とーやくんの作った曲、どんな感じになったの?
一歌:私も、一緒に聴かせてもらっていい?
冬弥:ええ。忌憚のない意見をもらえたらありがたいです。 ……では、再生します
寧々:あ……
咲希:す……すごーいっ!
一歌:うん。内気な主人公の性格とか、 屋敷の中で退屈している様子が伝わってきて すごくいいと思う……!
冬弥:そうですか……よかったです
寧々:わたしも、いいと思った。 主人公がこの曲を歌っている姿も浮かんできたし
寧々:でも……
寧々:……うまく言葉にできないんだけど、 ちょっとだけ引っかかるかも……
冬弥:引っかかる?
寧々:なんだろう、何かが足りない気がするっていうか……
冬弥:……となると、この曲で表現しきれていないものが あるのかもしれないな
冬弥:草薙。主人公のルルについて、 もっと教えてもらってもいいだろうか
寧々:え?
冬弥:この曲を歌っている時のルルの気持ちをもっと理解できれば、 足りないものがわかるかもしれない
寧々:わ、わかった。えっと……
寧々:さっき星乃さんも言ってたけど、 ルルは箱入り娘なのもあって、 すごく引っ込み思案な性格なんだ
寧々:だから、外の世界への憧れはあるんだけど、 不安のほうが勝っちゃって、なかなか踏み出せなくて……
寧々:退屈だなって思いながらも、 屋敷の中で代わり映えしない日々を送ってるの
冬弥:……外の世界への憧れ……か
冬弥:——では、こんな風に調整したらどうだろうか
咲希:あ……すっごく雰囲気変わったね!
寧々:うん……! すごいな。 ぐっとイメージに近づいた
冬弥:そうか、よかった
冬弥:さっきの音では『外の世界への憧れ』という視点が 抜けていたと思ってな
冬弥:新しいことを経験することへの好奇心や、期待…… そういった感情も込められるようにしてみた
寧々:そうだったんだ……
咲希:とーやくん、すごいね! ルルちゃんの気持ちをパパっと曲に反映させちゃうなんて!
一歌:うん……! 実際、調整した方の曲は、 何か新しいものとの出会いを待ってるみたいな……、 そんな気持ちが伝わってくるし
冬弥:ありがとうございます。 ……では、この方向性で進めていこうと思う
実行委員:はい、よろしくお願いします!
咲希:——よーし! アタシ達もとーやくんに負けないように、 ねねちゃんがビビっとくる曲作っちゃおう!
一歌:そうだね。 草薙さん、私達も役のことを もう少し教えてもらっていいかな?
寧々:うん! えっと、それじゃ桃井さんのやる役の方から説明すると——
レン:わぁ……! すっごくいい曲だね!
冬弥:本当か?
KAITO:うんっ! 特に、サビに向かって 少しずつリズミカルになっていくところがかっこいいよ!
MEIKO:主人公の『何かが変わってほしい』っていう気持ちが、 しっかり伝わってくるわね
こはね:ふふっ、青柳くんの曲を杏ちゃん達が歌うところ、 早く見たいなあ……!
彰人:あいつも今、相当はりきって自主練してるみたいだから、 期待していいんじゃねえか?
冬弥:そのようだな。 ——俺も、いい曲になるように全力を尽くそう
奏:——うん、いい曲だね。 星乃さんらしいな
奏:さっき教えてくれた登場人物の気持ちも この曲から感じ取れるよ
一歌:本当ですか……!? よかったです!
一歌:それにしても、まさか、 こんなところでおふたりに会うとは思ってませんでした
咲希:ね! ホントにすーっごい偶然ですよね!
まふゆ:ふふ、私達、このファミレスにはよく集まっているから
一歌:そうだったんですね。 ……なんだか、休憩中のところすみません
奏:ううん。大丈夫だよ。 わたしも誰かが作った曲を聴くのは好きだし、 力になれるなら嬉しいから
一歌:あ……それじゃあ、なんですけど……
一歌:もし、もうちょっとブラッシュアップするなら、 おふたりはどうしますか?
奏:うーん、そうだな……。 今のままでも十分だと思うけど……
奏:強いて言うなら、もう少しメロディーラインが 立つようにするかな
まふゆ:たしかに。ミュージカルなら、 歌詞もしっかり聞きとれたほうがいいもんね
一歌:なるほど……それなら、 サビ前あたりから、もう少し手を入れた方がいいかも……
咲希:わ……! あのっ、アタシの曲も聴いてください!
まふゆ:ふふ、うん
第 7 话:イメージを形にして
レッスンスタジオ
志歩:——ストップ
志歩:ドラムの——中西さん、リズムがちょっと走ってる。 一定のテンポをキープして
中西:すみません!
志歩:サックスの菅原さんは、逆に遅れてるから気をつけて
菅原:わかりました
志歩:じゃあもう1回、頭から
演奏チームの生徒達:『はい!』
ミク:『志歩、頑張ってるね』
ルカ:『ええ。いつもと違ってサックスやトランペットも加えたバンドで 演奏するって聞いていたけれど……』
ルカ:『さすが志歩ね。 ちゃんと対応できているわ』
志歩:(……うん。リズム隊のペースはだんだんそろってきた。 管楽器との息も合ってきてる)
志歩:(でも……)
志歩:——ストップ
中西:あっ……すみません。 また走っちゃってましたか?
志歩:ううん、リズムはさっきよりよくなってた
志歩:ただ……まだ、まとまりきってない
演奏チームの生徒達:え? そうだった?
志歩:うん。多分、音の形——余韻のつけかたが そろってないせいだと思う
志歩:跳ねるのか、伸ばすのか、止めるのか。 人によってバラバラだから、誰かに合わせたいんだけど……
志歩:(……余韻のつけかたで、曲の印象はだいぶ変わる。 この曲の場合は、誰に——)
実行委員:——失礼します。 進捗状況の確認に来ました
寧々:わたしは、そのつき添いで……
志歩:あ……草薙さん達、お疲れさま
寧々:うん。えっと……日野森さん達のバンドチームは、順調そう?
志歩:うん、想定してたよりいいペースできてる。 ただ、ちょっと曲の表現の仕方について迷ってて
志歩:今は、主人公が家を抜け出して町で遊ぶシーンの曲を やってるんだけど…… ここって、何を一番表現したいのか教えてもらっていい?
寧々:何を……か
寧々:そこは、主人公がいろんな音楽家に出会って、 歌のことがもっと好きになるシーンだから。 胸がときめいて、ドキドキする感じを表現してくれたら嬉しいな
志歩:ドキドキする感じか……
志歩:じゃあ、跳ねる感じのほうがいいかな。 菅原さんの吹き方にそろえて、 余韻は少し残しつつ、音は短めにしてみよう
演奏チームの生徒達:『はい!』
志歩:いったん前奏だけ返すよ。 1、2、3——
寧々:わ……!
寧々:(音が綺麗に跳ねて—— ドキドキする気持ちが伝わってくる……!)
志歩:……うん。かなりよくなった
志歩:でも……もっと粒をそろえられる
志歩:トランペットは、周りより少し音が短い。 ギターは逆に音が長いから、もう少し速く指を浮かせて——
演奏チームの生徒達:た、たしかにそうかもしれないけど、 そこまでこだわらなくても……
志歩:あ……
志歩:ごめん……やるからには、妥協したくないんだ
志歩:この曲は、作曲チームが心を込めて作ってくれた曲だから。 私も大切に演奏したい
志歩:それに……このメンバーで演奏を届けられるのは、 本番の一度きり。 悔いは残したくないんだ
志歩:だから、みんなも協力してくれたら嬉しい
演奏チームの生徒達:日野森さん……
演奏チームの生徒達:……たしかにそうだね。 せっかくの機会だし……もうちょっと頑張ってみようか
志歩:——ありがとう、みんな
ミク:『本番、いい演奏が聴けそうだね』
ルカ:『ええ。とっても楽しみだわ』
宮益坂女子学園 体育館
絵名:えっと、絵の具にハケ、水、パレット……うん。 必要な道具は全部そろってるね
絵名:それじゃあ、始めようか。 この下描きの線を元に色を塗っていってね
美術チームの生徒達:はいっ!
えむ・穂波:『はーいっ☆』 『はい!』
リン:『あ……絵名、いた』
レン:『わ……大きい板に絵を描くって言ってたけど、 本当に大きいね』
リン:『……あの板が、今から町になるんだ』
レン:『すごいね……』
えむ:ここの道は、黄色の絵具でススイスイ~♪
絵名:(ふふ。えむちゃん、相変わらず大胆な子だな)
絵名:(穂波ちゃんは……)
穂波:…………
穂波:はみ出さないように、慎重に……
絵名:(……やっぱり、ちょっと緊張してるみたい)
絵名:——穂波ちゃん
穂波:ひゃっ! あ、絵名さん……
絵名:もっと肩の力を抜いて大丈夫だよ。 失敗しても、あとから修正できるから
穂波:は、はい……ありがとうございます
穂波:……でも、絵名さんが描いてくださった素敵な線画を、 台無しにするわけにはいきませんから
穂波:ちゃんと綺麗に塗りたくて
絵名:穂波ちゃん……
絵名:(その気持ちは嬉しいけど……ん~)
寧々:——お疲れさまです、東雲さん。 えむと望月さんも
えむ:あっ! 寧々ちゃんだ~!
絵名:お疲れさま。どうしたの?
寧々:えっと……ちょっと時間が空いたので、 何か困ってる人がいないか見回りをしてるんです
寧々:わ……すごい。綺麗な町……。 これ、東雲さんが描いたんですか?
絵名:うん。 気に入ってもらえたみたいでよかった
寧々:はい……イメージにぴったりで、本当にすごいです
寧々:いろんな音楽家が、気ままに歌や演奏を楽しむ町っていう感じが すごくよく出ていて—— 自由でワクワクする雰囲気がありますね
絵名:自由でワクワクか……
絵名:……そういうイメージなら、 もっと違うアプローチをしてみてもいいかも
穂波:え?
絵名:空は青じゃなくてカラフルに塗ってみるとか。 あとはこんな風に——
絵名:空いてるところに、 音符とか五線譜を描いてみるのはどう?
えむ:わぁ……!
寧々:いいと思います……! 楽しげな町のイメージに合ってるし
えむ:じゃあ、あたしもっ! ま~るかいてニッコニコーの8分音符さんだよっ♪
穂波:ふふ。音符に顔がついてて、すごく可愛いね
絵名:——ねえ。 よかったら、穂波ちゃんも描かない?
穂波:えっ? わたしもですか?
絵名:うん。自由な雰囲気にするなら、 穂波ちゃんの絵はすごく映えると思うから
絵名:それに——
絵名:せっかく久しぶりに、 このメンバーで集まって描けるんだもん。 一緒に楽しみたいなって思って
えむ:うんうんっ! あたしも、穂波ちゃんと一緒にお絵描きしたいなっ☆
穂波:……はい! うまくできるかはわからないけど、やってみます
穂波:じゃあ……わたしはこのあたりに ト音記号を描いてみようかな。えっと——
えむ:……わぁ! 元気なワンちゃんみたいなト音記号だね~!
絵名:なるほど、そうなるなら……。 この辺に効果線を入れてみてもいいかも——
神山高校 教室
立花:日野森さん、暁山さん。 主人公のワンピース、仮縫い終わったんだけどどう思う~?
瑞希:えっ、見せて見せて!
瑞希:うっわ~! このフリルすっごいカワイイ! レースもアクセントになってて、超いい感じじゃん!
雫:ええ。とっても素敵だと思うわ。 落ち着いた色味だから上品さもあって、草薙さんに似合いそうね
立花:本当? よかった~! 監督、こういうお嬢様っぽい服、絶対似合うから 気合い入れてデザインしちゃいました~!
雫:監督……?
瑞希:あ! そういえば、A組で映画撮った時、 草薙さんが監督だったんだっけ?
立花:うん! あの時も衣装チームだったんだけど、 監督の衣装作れなかったから、今回作れて嬉しいんだ~
雫:ふふ、それなら私も、気合いを入れて 草薙さんの衣装を作らなくっちゃね
雫:ねえ、立花さん。草薙さんがつけるリボンに 刺繍をしようと思うんだけど、 あとでデザインの相談をしてもいいかしら?
寧々:失礼します
実行委員:あ、草薙さん! 衣装チームの進捗は順調だよ!
寧々:そっか。よかった
瑞希:お! 草薙さん、いらっしゃーい!
寧々:あ、暁山さ——
立花:ナイスタイミング~! ちょうどワンピースの仮縫い終わったから、試着してよ~
寧々:えっ、い、今から?
立花:うん。サイズとか着心地とか確認したいから。 あと、早く監督が着てるところ見たいし!
雫:そうね。実際に着ているところを見たほうが、 刺繍のイメージもわくかもしれないわ
立花:ってことだから。 早く隣の教室行こ行こ♪
寧々:わっ、ちょ、引っ張らないで……!
瑞希:あはは、いってらっしゃ~い!
神高の生徒:あっ、私も背広の仮縫い終わったから、 誰かに試着してほしいな
神高の生徒:役者の背丈的に……暁山さん、お願いしてもいい?
瑞希:えっ? うん、わかっ——
神高の生徒:あ……でも、 暁山さんってこういうのあんまり着たくないんだっけ?
瑞希:(あ……)
瑞希:……ううん、別に! カワイイのが特に好きってだけで、カッコイイのも好きだから。 わざわざありがとね!
神高の生徒:そっか、よかった……!
瑞希:——こっちも、主人公のワンピースに負けないくらい いい衣装に仕上げちゃおう!
神高の生徒:うん!
第 8 话:絶対に成功させたいから
レッスン室
愛莉:『——うふふ、こんにちは、かわいいお嬢さん!』
愛莉:『わたしは踊り子をしながら ここで音楽家として歌も歌っているの! よかったら、聴いていってちょうだい!』
寧々:『え、えっと……』
杏:『私の歌も聴いてって! 絶対損はさせないよ?』
寧々:『じゃ、じゃあ、少しだけ……』
愛莉:『♪————————っ』
杏:『♪————~~~~~!』
寧々:『わ……すごい……!』
寧々:『ふたりとも全然違うタイプの歌なのに、 まっすぐで、力強くて、揺さぶられるみたい……!』
寧々:『音楽って、こんなに自由で、楽しいんだ……!』
一歌:『——ねえ、私達も歌わない?』
一歌:『この前教えた歌、ルルと一緒に歌いたいな』
寧々:『……うんっ!』
寧々・一歌:『♪——————!』
愛莉:——ふう。どうだったかしら?
寧々:すごくよかったです! 演技も、最初の頃よりすごく自然になっていますし
杏:やったー! 4人で自主練してきた甲斐があったね!
一歌:うん!
寧々:……でも……
一歌:え?
寧々:あ、その……。 今も、かなりいいと思うんだけど——
寧々:歌にも演技を取り入れられると、もっと良くなるかもって思って
愛莉:歌にも演技を?
寧々:はい。これはミュージカルだから、 歌詞もセリフになってますよね?
寧々:だからもっと語り掛けるように—— ひとつひとつの言葉に、想いを込めて歌うとよさそうだなって
杏:なるほど……
一歌:語り掛けるように、想いを込めて、か……
一歌:たしかに、『セリフ』だってことを あんまり意識できてなかったかも
愛莉:そうね。うまく歌うことに気をとられちゃってたけど、 ミュージカルって、歌も『演技』のうちなのよね
愛莉:それじゃあ、ちょっと休憩を挟んだら、 草薙さんのアドバイスを意識してもう1回やってみましょうか
杏:はい!
???:——コンコン、失礼しまーす!
愛莉:あら? 今の声は——
みのり:こんにちはっ! 差し入れを持って参りました~!
寧々:あ……! 花里さん、桐谷さん!
杏:こはねもいる~!
こはね:えへへ。みのりちゃん達が行くって言ってたから、 一緒に応援に来たんだ
こはね:ちょうど、パンフレットにのせる写真も撮りたかったから
寧々:そっか……小豆沢さん、制作過程の写真を撮るの、 手伝ってくれてたもんね
みのり:はいっ! 差し入れの飲み物だよ!
杏:わ、ありがとう! 暑かったし歌ったあとだから、すっごく助かるよ!
遥:お腹すいてるかもって思って軽食も作ってきたから、 よかったら食べて
杏:え、ホントに!? おにぎりと……えっ、漬物まで!?
遥:うん。塩分補給も大事だと思って。 はい、どうぞ
一歌:いただきます。 あ……このキュウリの浅漬け、すごく美味しい……!
寧々:本当だ……。 おにぎりも、ひと口サイズで食べやすいね
寧々:みんな、いろいろ考えてくれてありがとう
みのり:……あっ、そうだ! 愛莉ちゃん、一緒にちょっとこっち来て!
愛莉:え?
遥:私達以外にも、応援団がいるんだ
愛莉:あ……もしかして……
ミク:『愛莉ちゃん! 練習は順調?』
愛莉:ミク、カイトさん……!
KAITO:『ふふ。愛莉ちゃんがミュージカルの 練習をしてるって聞いて、応援に来たよ!』
ミク:『演技もあって大変だと思うけど、 新しい挑戦、頑張ってね!』
愛莉:ええ!
愛莉:でも……ちょうど休憩時間だったから、 演技してるところ見せられなかったわね
愛莉:せっかく来てくれたんだし、 よかったらこのまま練習見ていかない?
KAITO:『え……いいのかい?』
愛莉:もちろんよ。 むしろ、気になることがあったら教えてくれたら嬉しいわ
KAITO:『わかった。じゃあ、少しお邪魔させてもらおうかな』
ミク:『愛莉ちゃん達の力になれるように、がんばるね!』
本番前日
ワンダーランドのセカイ
寧々:『♪——————!』
寧々:(……うん、いい感じ)
寧々:(でも、ここはルルがいろんな音楽に出会った 感動を歌に込めるシーンなんだから……)
寧々:(もっと感情を乗せて、伸びのある声で——)
ルカ:寧々ちゃん、お疲れさま~♪
MEIKO:こんな時間まで練習なんて、精が出るわね!
寧々:あ……メイコさん、ルカさん
MEIKO:でも明日は本番なんでしょ? あんまり無理しちゃダメよ
寧々:わかってはいるんだけど…… できることは最後までやっておきたくて
寧々:明日のステージ、絶対に成功させたいから
ルカ:ふふ。寧々ちゃん、やる気満々ね
寧々:うん。だって……
寧々:……みんなが頑張ってくれたおかげで、 今、本当にいい舞台に仕上がりそうなんだ
寧々:演出とか脚本を手伝ってくれた司達もだけど……
寧々:青柳くん達は、登場人物の想いを すごく丁寧に曲に落とし込んでくれて……
寧々:日野森さん達は、真剣に曲と向き合って、 最高の演奏をしようとしてくれてる
寧々:それに……
寧々:東雲さん達は、わたしのイメージを汲み取って 想像以上の絵を描いてくれたし
寧々:他のチームのみんなも、ショーをよくするためにいろいろ考えて、 ベストを尽くしてくれた
MEIKO:……たくさんの人が、力を貸してくれたのね
寧々:うん。もちろん、役者のみんなも
寧々:初めてのミュージカルで大変なところもあったはずなのに、 一生懸命練習してくれて……
寧々:みんなのそういう姿を見てたら、 わたしももっと頑張んなきゃって思ったし……
寧々:いつの間にか——みんなと作るこのミュージカルが、 すごく大切で、大好きになってたんだ
ルカ:寧々ちゃん……
寧々:……だから、明日はこのショーを 最高の形でお客さんに届けたい
寧々:そのためにわたしにできることは、全部したいの
MEIKO:本当に、強くなったわね
ルカ:ええ。と~ってもかっこいいわ~
寧々:え……そう、かな?
寧々:と、とにかく……明日、みんなも見にきてね
MEIKO:ええ、もちろん!
ルカ:寧々ちゃん達のショー、楽しみにしてるわね
第 9 话:たくさんの想いと共に
シブ学祭 当日
バックステージ
寧々:……お客さん、思った以上に集まってるな
司:ああ。 さすが、シブヤ区のイベントなだけはある
一歌:……なんだか、ライブとは違う緊張感があるな
杏:あ、それわかる! イベントとかは聴いてくれる人も結構声出してくれるけど、 舞台だとしーんとしてて、全然雰囲気違うよね
役者チームの生徒達:……ちょっと、緊張してきたな……
役者チームの生徒達:もし台詞がとんじゃったらどうしよう……
寧々:あ……
演奏チームの生徒達:音楽も入りがズレたらすごい目立つから、怖いな……。 役者のみんなに迷惑かけちゃいそうだし……
役者チームの生徒達:深呼吸しないと……はぁ……
寧々:(みんな、表情が硬くなってる)
寧々:(……そうだよね。 人によっては、初めての舞台だし)
寧々:(こういう時、なんて声をかけたら——)
愛莉:——大丈夫よ!!
役者チームの生徒達:え?
愛莉:これまで練習したことに自信を持って、いつもどおりにやれば、 絶対にいい舞台になるわ!
愛莉:積み重ねた努力は、必ずみんなの力になってる! それを信じて!
司:うむ、桃井愛莉の言うとおりだ! 皆、着実に成長しているぞ
司:ずっと練習を見てきたオレが保証する! ここにいるのは、最高の役者ばかりだ!
杏:天馬先輩……
杏:じゃああと必要なのは、心配や不安じゃなくて、 『絶対に成功させてみせる!』っていう気持ちだけですね!
一歌:……私も、そう思う
一歌:自信を持って、舞台に込めた私達の想いをお客さんに届けよう!
えむ:うんっ! お客さんみーんな笑顔にしちゃおう☆
寧々:(……みんな……)
寧々:——うん
寧々:わたし達は、ひとりで舞台に立つわけじゃない
寧々:役者、演奏者、作曲者——それだけじゃない
寧々:この舞台に関わってくれた、 たくさんの人達が近くにいる
寧々:みんなが味方で、仲間なんだ。 だから——きっと大丈夫
役者チームの生徒達:草薙さん……
演奏チームの生徒達:……うん!
寧々:——みんなで一緒に、最高のステージにしよう!
全員:『ええ!』 『うん!』
客席
アナウンス:——まもなく、実行委員企画ステージ、 ミュージカル『メロディー・オブ・ドリーム』を開演いたします
こはね:……! もうすぐ始まるんだ……。 ど、ドキドキしてきちゃった……
冬弥:そうだな…………
彰人:いや、なんでお前らが緊張してんだよ……
瑞希:絵名達が描いた背景って、どこで出てくるの?
絵名:主人公が町にでかけるところ。 自信作だから期待しててよ
奏:瑞希も衣装を作ったんだよね?
瑞希:うんっ! こっちも自信作だから、楽しみにしててほしいな♪
みのり:あ……暗くなってきた!
遥:——みんな、頑張れ
令嬢:『はぁ……退屈だわ』
令嬢:『お裁縫も、お人形遊びも、読書も、 ぜんぶ飽きちゃった』
令嬢:『……外の世界は怖いものが多いって聞くし、 出ていく勇気はないけれど……』
令嬢:『……でも——』
令嬢:『♪————……』
冬弥:(……主人公の外の世界に対する恐怖と期待が、 両方感じられる)
冬弥:(——そうか。こんな風に想いを乗せてくれたんだな)
名もなき音楽家:『♪————』
音楽好きの町娘:『♪————』
音楽好きの町娘:『……えへへっ♪ 素敵な歌だから、 一緒に歌いたくなっちゃった!』
名もなき音楽家:『ふふ、あなたの歌も素敵だったよ』
名もなき音楽家:『もしかしてあなたも、この歌が好きなの?』
令嬢:『あ……う、ううん。 初めて聴いたわ』
令嬢:『……でも、音楽家さんが歌ってるのを聴いて、 とてもいいなって思って……』
名もなき音楽家:『じゃあ、一緒に歌わない? 私が教えるから』
令嬢:『! う、うん……!』
志歩:(みんな、いくよ——)
名もなき音楽家:『ほら、こっちだよ!』
令嬢:『そ、そっちに一体何が——わっ……』
令嬢:『すごい……この広場、いろんな人が歌ってる……!!』
奏:なんだか、楽しそうな町だね
まふゆ:……うん……
踊り子の音楽家:『——うふふ、こんにちは、かわいいお嬢さん!』
踊り子の音楽家:『わたしは踊り子をしながら ここで音楽家として歌も歌っているの! よかったら、聴いていってちょうだい!』
路上の音楽家:『私の歌も聴いてって! 絶対損はさせないよ?』
踊り子の音楽家:『♪————————っ』
路上の音楽家:『♪————~~~~~!』
類:(——うん、ここまでは順調だね)
類:(みんな緊張することなく、自然に役を演じられているし——)
類:(演奏も素晴らしいね。 自由な街や、浮き立つ主人公の心情を見事に表現できている)
類:(——けれど、本番はこれからだ)
類:(ルルが街で出会った人々と友達になり、 自身も音楽家を目指すようになった矢先。 屋敷を抜け出していたことが執事に知られてしまう)
類:(心配をかけたことを反省した彼女は、 再び退屈な毎日に戻ることを決める)
類:(さて——ここからが正念場だよ。寧々)
令嬢:『……退屈だわ。 昔より、ずっと……』
令嬢:『まるで、色のない世界を生きてるみたい』
令嬢:『だって……知ってしまったんだもの。 音楽の素晴らしさも、歌を届ける喜びも』
令嬢:『けれど——』
???:『——あの子に会わせて!』
令嬢:『……!』
令嬢:『この声……。 屋敷の外から聞こえたけど、もしかして……』
令嬢:『門の前に、みんなが……!』
教育係:『お嬢様はもう屋敷を出ることはありません。 どうぞお引き取りくださいませ』
踊り子の音楽家:『……それって、あの子が言ったの?』
教育係:『はい。もう、あなたがたに会うつもりはないと』
路上の音楽家:『そんな……』
名もなき音楽家:『♪————』
令嬢:『え……』
令嬢:『この歌……初めて会った時の……』
名もなき音楽家:『——ねえ! 聞こえてる!? また一緒に歌おうよ……!』
名もなき音楽家:『♪————』
令嬢:『…………っ』
路上の音楽家:『♪————~~~!』
路上の音楽家:『あんたの夢、本当にこれで終わりにしていいの?』
路上の音楽家:『あたしには、そうは思えない!』
音楽好きの町娘:『ルルちゃんの歌、私ももっと聴きたいよ!』
令嬢:『……でも……』
踊り子の音楽家:『大丈夫! 勇気を出して』
踊り子の音楽家:『夢を追うのは簡単なことじゃない! 自分の意思を貫くことも——』
踊り子の音楽家:『でもあなたには、わたし達がついてるわ!』
踊り子の音楽家:『♪————————!』
咲希:(わぁ…………!)
咲希:(アタシが作った曲、 こんなに心を込めて歌ってくれて……!)
咲希:(あいり先輩、ありがとうございますっ……!!)
令嬢:『みんな……』
令嬢:『……ありがとう。 歌と出会った時の感動と、情熱を思い出させてくれて。 前に進む勇気をくれて』
令嬢:『だからわたし——』
令嬢:『応えたい!』
令嬢:『♪————』
寧々:(……ありがとう、みんな)
寧々:(みんなの想いが乗ったこのステージを…… わたしの歌で、最高の形に——!)
令嬢:『♪————~~~』
一歌:(草薙さん……)
みのり:すごい……
遥:…………うん
名もなき音楽家:『ねえ、今の歌……!』
音楽好きの町娘:『わあ……!』
路上の音楽家:『うん、ルルだ!』
教育係:『なっ……! 今の素晴らしい歌を、お嬢様が……?』
令嬢:『——みんな!』
踊り子の音楽家:『ルル!』
令嬢:『わたし、歌が大好き!』
令嬢:『わたしの歌で、たくさんの人を…… 世界中の人を、笑顔にしたい』
令嬢:『それが、わたしの夢。 だから……!』
踊り子の音楽家:『ええ、一緒に歌いましょう!』
踊り子の音楽家:『これからも——みんなで、一緒に!』
令嬢:『うん!』
第 10 话:みんなで作ったステージ
数時間後
シブ学祭 ステージ
アナウンス:『以上をもちまして、 シブヤ区高等学校合同文化祭の全日程を終了します。 ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました』
寧々:ふぅ……
寧々:(今日は運営もやって、舞台にも立って、 本当に忙しかったけど——)
寧々:(最後までしっかりやれて、よかったな)
寧々:(あとは、お客さんが帰ったあと 搬出とステージの掃除をして……)
えむ:寧々ちゃん、お疲れさま~!
寧々:あ……みんな
寧々:みんなも、ステージ本当にお疲れさま
寧々:ごめんね。終わったあとバタバタしちゃって、 ちゃんと挨拶できなくて……
杏:そんなの全然気にしないでよ! 実行委員の仕事で忙しかったんだし!
杏:……それにしても、 本番ほんっとうに楽しかったなー!
一歌:うん。始まる前はちょっと緊張してたけど、 ステージに立ったらあっという間だった
えむ:あたしも! すっごくすっごーく楽しかったよ!
愛莉:それに——本当に最後の草薙さんの歌が素敵だったわ! 思わず聴き惚れちゃったくらいよ!
寧々:あ……。 ありがとうございます……
志歩:——本当に、最後の歌よかったよ。 お疲れさま、草薙さん
寧々:あ……日野森さん!
咲希:えへへ、アタシ達もいるよー!
寧々:みんな……
寧々:——改めて、本当にありがとうございました
寧々:今日のステージは、わたしだけじゃ、 絶対にできなかったです
寧々:演技に、演奏に、作曲に、美術に、衣装に…… 皆さんが力を貸してくれたおかげです。 本当に……ありがとうございました
志歩:……たしかに、今日のステージは、 草薙さんひとりじゃできなかったと思うけど——
志歩:でも、草薙さんが私達を引っ張っていってくれなきゃ、 こんないいステージにはならなかったと思うよ
寧々:あ……
愛莉:今日のことだけじゃないわ。最初から草薙さんが率先して動いて、 わたし達やショーと真剣に向き合ってくれたから、 ここまでできたんだと思うわ
絵名:だね。作品にぴったりの背景になったのは、 草薙さんがちょくちょく様子を見に来て、 感想とかアドバイスくれたおかげだもん
冬弥:作曲も、物語についていろいろと教えてもらえて助かった
冬弥:それに、本番では曲に込めた想いを、 最大限表現してくれたしな
寧々:あ……
愛莉:本当にありがとう、草薙さん。 この企画に参加できて、よかったわ!
寧々:…………っ
寧々:こちらこそ、たくさん力を貸してくれて、 一緒に最高のステージを作ってくれて、 ありがとうございました……!
寧々:(……本当に、やってよかったな)
寧々:(……最初は、なんでも積極的に挑戦しなきゃって思って 飛び込んだことだったけど……)
寧々:(思った以上に、いろんな人と一緒に頑張れて—— すごくいい経験になったな)
寧々:(——たくさんの人と関わって、作品を完成させて。 みんなで一緒にお客さんを笑顔にする)
寧々:(そういうショーが作れて……本当によかった)
寧々:(森ノ宮歌劇団に修行に行くのは、 やっぱり緊張するけど——)
寧々:(でも、今日のことを胸に、頑張ろう)
寧々:(積極的に向かっていけばきっと、 すごくいいショーを作れる。そう……信じて)
司:よーし! それでは、みんなで搬出を手伝うのはどうだ!?
冬弥:それはいいですね。 彰人も手伝っているようなので、俺もやらせてください
志歩:じゃあ、私達もやろうか
一歌・咲希:『うん!』
絵名:わ、私はちょっと力仕事は……
愛莉:絵名~? せっかくだし、ここまできたら一緒にやっちゃいましょ!
絵名:う……わ、わかったってば!
寧々:ふふ……
寧々:——それじゃあ皆さん、最後まで、よろしくお願いします!