活动剧情

荊棘の道は何処へ

活动ID:145

第 1 话:震える手

瑞希の部屋
まふゆのメッセージ:『ありがとう』
まふゆのメッセージ:『お父さんに、話せた』
瑞希:え……
まふゆのメッセージ:『私の気持ちをわかってもらえた』
瑞希:あ……
瑞希:(……まふゆは、話した)
瑞希:(自分のことを否定されたらって思うと、 すごく怖かったはずなのに)
瑞希:(ちゃんと自分の気持ちと、お父さんと向き合って——)
瑞希:(…………ボクも、進みたい)
瑞希:(……ずっと逃げて、逃げて—— そうやって、ここまで来ちゃったから)
瑞希:(絵名の言葉にも、甘えて……)
瑞希:(だけど——)
瑞希:(話したい……)
瑞希:(今度こそちゃんと、向き合って)
瑞希:——うん
瑞希:(話すなら……最初は、絵名に話さなきゃ)
瑞希:(ずっと、待っててくれてるから)
瑞希:(……まずは、今度いつ会えるか聞いて——)
???:——変なの
瑞希:……っ
瑞希:…………逃げたくない
瑞希:もう……逃げたくない……!
瑞希:あ…………
瑞希:(手が震えて……うまく打てない……)
瑞希:(……落ち着け。 ゆっくり打てば、大丈夫だから——)
瑞希:……よし
瑞希:(あとは……送るだけだ)
瑞希:(送れば、あとは——)
???:え……? あ……そうなんだね
瑞希:…………っ
???:あいつ、扱いに困るよな
???:あれってキャラ作りでしょ?
???:目立ちたいだけなんじゃない
瑞希:違う……ただ、ボクは……
???:ただの勘違いかもしれないでしょ
???:あー……なんか大変だね
???:若い時って、そう思い込む時期があるらしいね
瑞希:……………………
瑞希:(……絵名は……みんなは……)
瑞希:(拒絶したりは……しない……)
瑞希:(みんな優しくて……誰かの痛みが、わかるから……)
瑞希:(そう、思ってるのに————)
数日後
誰もいないセカイ
奏:……じゃあ、デモもこのまま進められそうだし、 そろそろ解散しようか
絵名:うん。 ……あー、今日肩こったし、ストレッチしてから寝よっと
まふゆ:……それがいいと思う。運動、してなさそうだし
絵名:ちょ……してるってば! たまに奏とウォーキングしてるって言ってるでしょ!?
まふゆ:……本当にたまに、だと思うけど
絵名:うっ……それはそうだけど……!
絵名:はぁ……最近ちょっと元気になってきたと思ったら すぐこれなんだから
瑞希:あはは! でもこのやりとり、いつもの味だな~って感じで ボクは好きだな♪
奏:——あ……味って言えばなんだけど……
奏:なんだか今日、お祭りの屋台みたいな匂いがしない……?
絵名:えっ
ミク:……本当だ。ちょっとしてるね
瑞希:んー……これ、ソースの匂いかな
瑞希:もしかして今日誰か、食べ物持ってきてる?
絵名:……え~っと……
絵名:それ多分、私かも……
リン:絵名?
絵名:——ほら、もうすぐ文化祭でしょ? うちのクラスでイカ焼きの出店するから、 最近何回か、家庭科室で焼く練習してるの
瑞希:え……
奏:文化祭……。 そっか、もうそんな時期なんだね
まふゆ:……絵名も参加するんだ
絵名:んー、まあ一応出ようかなって。 最近いろいろイベント出たけど、全部楽しかったし…… 瑞希のクラスでも、おもしろそうな出し物やるって聞いたから
ルカ:あら、そうなの?
瑞希:あ……う、うん! 教室使って、脱出ゲームをやるんだ!
瑞希:隠された謎をいくつも解いていくと、教室を脱出できる! ってやつだよ!
レン:わ……おもしろそうだね……
絵名:でしょ? で、前の文化祭もなんだかんだ楽しそうだったから、 今年は私も行こうかなって思ってるんだよね
瑞希:そっか……
瑞希:(……絵名……文化祭に来るんだ)
瑞希:(でも、そうしたら………………)
KAITO:…………?
KAITO:(なんだ? 今、様子が……)
MEIKO:…………
KAITO:(……メイコ……?)
絵名:——ま、でも、今はちょっと悩んでるんだけどね
瑞希:え?
絵名:今日やってみてわかったんだけど、 イカ焼きって思ってたより作るの大変なんだよね。匂いもつくし
絵名:それに今、絵画教室の方の課題も多いから、 出てる時間ちょっとなさそうで……
絵名:だからまあ、直前になったら行くか決めよっかなって感じ
瑞希:……そっか……
瑞希:……じゃあ、もし来るなら連絡ちょうだい! 絵名の作るイカ焼き、食べてみたいしさ!
絵名:はいはい
瑞希:(絵名、文化祭に来るかもしれないんだ)
瑞希:(……そうしたら、何かの拍子で、ボクのことも——)
瑞希:(…………今更、か)
瑞希:(そんな“もしかしたら”は、今までもずっとあったし——)
瑞希:(そうなったらそれでもいいって、 どこかでそう思って……ここまで来ちゃったんだから)
瑞希:(でも……でも今は……)
瑞希:(そんな風になったら……嫌だ……)
瑞希:(…………なら…………)
???:——変なの
瑞希:……………………
瑞希:(…………来るなら)
瑞希:(来るなら、話そう)
瑞希:(もし絵名が文化祭に来ることになったら…… それまでに、必ず)
瑞希:(…………来なかったら……?)
瑞希:(……ううん。来なくても、どこかで絶対、話すんだ)
瑞希:(絶対に、ボクから——)
MEIKO:…………

第 2 话:見守る者達

誰もいないセカイ
MEIKO:…………
MEIKO:(瑞希の、あの表情……)
瑞希:——メイコ、ありがとね
瑞希:ボクも、ちゃんとボク自身と向き合っていこうと思う
MEIKO:…………とうとう、その時が来たのかもしれないわね
???:——おい
MEIKO:……!
MEIKO:……何?
KAITO:瑞希について、聞きたいことがある
KAITO:今日あいつの様子が、いつもと違うように見えた。 知ってることがあるなら教えろ
MEIKO:……あなたがあの子を気にかけるなんて、珍しいわね
KAITO:——あいつの言葉には、まふゆを動かす力がある
KAITO:あいつは、まふゆが進むために必要な存在だ
MEIKO:…………そうね
MEIKO:…………詳しいことは、私にもわからないわ
MEIKO:けれど——あなたが来た時、少し話したように…… あの子はとても大きな想いを抱えている
MEIKO:……きっと今、あの子は、 その想いに本気で向き合おうとしているわ
MEIKO:逃げることを、やめて
KAITO:……なるほどな
KAITO:だが……俺の目には、あいつはまだ揺らいでいるように見えた
KAITO:あいつは、何を恐れ、何から逃げている?
MEIKO:それは…………
MEIKO:……私から言うべきことではないわ
KAITO:…………チッ
MEIKO:……! ——待って、カイト
MEIKO:……瑞希のところへ行くつもり?
KAITO:ああ
MEIKO:やめてちょうだい
MEIKO:瑞希は今、 薄い氷の上を歩くように進もうとしている
MEIKO:今のあの子にとって、あなたの言葉は強すぎる。 ……踏み荒らさないでちょうだい
KAITO:……このまま何もするなと?
MEIKO:…………
KAITO:それで問題が解決するならいい。 だが——傍観してるだけでは、何も変わらないだろ
MEIKO:——自分のやり方が常に正解だと思わないで
KAITO:なら、お前が今のあいつをどうにかできるのか?
MEIKO:……っ
MEIKO:……カイト……!
MEIKO:——待ちなさい!!
瑞希の部屋
瑞希:……………………
瑞希:(やっぱり……送れない……)
瑞希:(絶対に話すって…… そう、決めたのに——)
瑞希:…………怖い……
???:『——おい』
瑞希:え? ……あ!
瑞希:カイト……
瑞希:どうしたの? カイトがボクのところに来るなんて、珍しいね
KAITO:『——お前に話がある』
瑞希:話、って……?
KAITO:『お前は、一体何を——』
???:『——カイト!』
瑞希:え……!
MEIKO:『……いい加減にしなさい、カイト……!』
MEIKO:『あなたにそこまで立ち入る権利はないわ!』
瑞希:メ……メイコ……?
KAITO:『……お前が、そこまで介入するほどなのか』
KAITO:『——わかった。 だが、これだけは言わせろ』
KAITO:『瑞希。 お前、何かを迷ってるな?』
瑞希:……!
KAITO:『……何に迷っているか、俺には知る由もないがな』
KAITO:『だが——』
KAITO:『迷いが生まれているのは、 何かを選ぼうと——選びたいと、 誰でもないお前自身が思ったからだろ』
KAITO:『きっと……お前もわかってはいるんだろうけどな』
瑞希:…………
KAITO:『——進むか退くかは好きにしろ』
KAITO:『だが、今抱えてる苦悩の中からお前は…… お前自身を救うための道を、選び抜く必要がある』
KAITO:『ただ……生きるために』
瑞希:……カイト……
MEIKO:『…………』
MEIKO:『——瑞希』
MEIKO:『私にできることは、見ていることだけだわ』
MEIKO:『けれど、 あなたの苦悩を、私は見てきた』
MEIKO:『ずっと、そばで』
瑞希:……メイコ……
MEIKO:『……本当はこれからも、触れるべきじゃないと思ってる』
MEIKO:『瑞希の抱えるものはとても…… とても、脆く崩れやすいものだから』
瑞希:…………
MEIKO:『けれど——』
MEIKO:『見届けるわ。 それがどんな結末になろうとも』
MEIKO:『未来まで——最後まで。必ず』
瑞希:あ…………
瑞希:——うん
瑞希:……ありがとう。ふたりとも
瑞希:でも…………
瑞希:もう少しだけ……もう少しだけ、時間がほしいんだ……

第 3 话:友の願い

数日後
文化祭前日
瑞希:…………
生徒達:おーい! そっち、布かけられたか~?
生徒達:うん! バッチリだよ!
瑞希:(…………もう明日は文化祭、か)
瑞希:(結局……メッセージ送れないまま、ここまで来ちゃったな)
瑞希:(文化祭……)
瑞希:(絵名もずっと忙しそうだし、もしかしたら……)
生徒達:——じゃあ、こっちは入り口の飾り付けするから…… 暁山! 中のセッティングは謎作りチームに任せていいか?
瑞希:あ……うん!
瑞希:解いてもらう謎が書いてある紙とか小物はもう準備できてるから、 すぐできると思うよ!
生徒達:さすが! んじゃ、あとはよろしく頼む!
瑞希:はーい!
冬弥:暁山、いろいろと小道具を用意してくれてありがとう。 任せきりにしてしまって悪いな
瑞希:ううん! 謎のほうは冬弥くんが たくさんアイディア出してくれたし、 どうってことないよ!
瑞希:……むしろ忙しいほうが、ありがたいしね
冬弥:ん? 今、何か言ったか?
瑞希:あ……ううん! それより時間ないし、ちゃちゃっと終わらせちゃお!!
冬弥:ああ、そうだな。 俺達の作った謎を解いてもらえるのが楽しみだ
瑞希:えっと……置き忘れたものはなさそうだし、 これで大丈夫かな!
冬弥:確認も2回したし、問題ないだろう
瑞希:だね。じゃ、そろそろ帰ろっか!
冬弥:ああ。 俺はこのあと図書室に寄って帰ろうと思う
瑞希:そっか~。図書委員も大変だね
瑞希:それじゃ、バイバイ! また明日ね!
瑞希:明日……か
瑞希:(……どっちになったとしても、話そう)
瑞希:(絵名が来るなら、その前に——)
瑞希:……………………
???:——瑞希?
瑞希:え……
瑞希:類……
瑞希:……おつかれ! 類のクラスは準備終わったの? 劇やるんだよね?
類:……ああ。 先ほどリハーサルを終えてね
類:役者のみんなは明日に備えて帰ってもらって、 僕は後片づけさ
瑞希:そっかあ。 時間あったらボクも見に行っちゃおっかな〜♪
瑞希:——今年は文化祭で劇ができてよかったね、類
類:そうだね。 ……これも、クラスのみんなのおかげだよ
類:……瑞希の方は、どうだい?
瑞希:うち? うちのクラスはバッチリだよ!
瑞希:結構手の込んだ脱出ゲームになってるから、 類でも解くのはちょっと難しいかもね~。 よかったら遊びに——
瑞希:…………。 やっぱ、わかっちゃうか
類:長い付き合いだからね
類:……よかったら、中庭で話さないかい? 後片づけももうすぐ終わるしね
瑞希:……うん
中庭
類:秋だっていうのに、まだまだ暑いねえ
瑞希:うん……。 ホント、やんなっちゃうな
類:……フフ
瑞希:……? 何、急に笑って
類:なんだか昔のようだと思ってね。 よく放課後、暮れる日を見ながら ふたりで話していただろう?
瑞希:ああ……まあ、暇だったからね
類:そうだね
類:あの頃は——目の前を流れていく時間を、 どう埋めたらいいのかわからないまま、過ごしていたね
瑞希:…………
類:それで——
類:どうしたんだい、瑞希
瑞希:…………
類:もちろん、話したくないなら——
瑞希:——ううん
瑞希:……聞いてほしい、かな
瑞希:……全部話そうって思ってるんだ
瑞希:サークルのみんなに、ボクのこと
類:……!
類:……そうか
瑞希:うん……
瑞希:でも…………ダメなんだ
瑞希:頭では進もうと思ってても……なにも、できなくて
瑞希:——ずっと、怖いままで
類:………………
類:……何が、一番怖いんだい?
瑞希:……受け入れてもらえないかもって、怖さもある
瑞希:でも、一番は……
瑞希:…………変わることが、怖い
瑞希:話したら……みんなとの関係が、変わっちゃうかもしれない
瑞希:みんなといられる、大事な時間も——
瑞希:……………………変わってほしく……ない
瑞希:……頭では、わかってるんだ
瑞希:みんなはきっと……ボクを拒絶したりはしない
瑞希:全部……ボクが気にしすぎてるだけで…… すぐに、類達みたいに、 なんでもないことみたいに受け入れてくれるって、思う
瑞希:だけど——
瑞希:もしも、『受け入れなくちゃ』って——
瑞希:傷つけないようにしなきゃとか、 気をつけて話さなきゃとか……そう、思わせちゃったら——
瑞希:……そうなったって……ボクが思っちゃったら……
瑞希:ボクは…………きっと、耐えられない
類:……瑞希……
瑞希:……ワガママだよね、こんなの
類:…………そんなことはないよ
類:その関係が大事であればあるほど、 変わってしまうのは怖いものだ
類:…………とてもね
瑞希:…………
類:……もどかしいね
類:僕に、その恐怖を消すことはできない
瑞希:…………
類:ただ——
類:願っているよ
瑞希:え?
類:瑞希の心が、守られることを
類:——瑞希が、心から幸せを感じられるようになることを
類:友人として、願っている
瑞希:……………………類
瑞希:あ……
瑞希:……そろそろ、帰ろっか
類:……ああ
瑞希:——ありがとう、類
瑞希の部屋
瑞希:…………
KAITO:『——進むか退くかは好きにしろ』
KAITO:『だが、今抱えてる苦悩の中からお前は…… お前自身を救うための道を、選び抜く必要がある』
KAITO:『ただ……生きるために』
MEIKO:『見届けるわ。 それがどんな結末になろうとも』
MEIKO:『未来まで——最後まで。必ず』
類:願っているよ
類:瑞希の心が、守られることを
類:——瑞希が、心から幸せを感じられるようになることを
類:友人として、願っている
瑞希:(…………怖さは、ずっと消えない)
瑞希:(だけど——)
瑞希:(ナイトコードの通知……あ——)
絵名:『Amia、いる?』
瑞希:絵名から……
瑞希:——『やっほーえななん! まだ時間じゃないけど、どうしたの?』……っと
絵名:『連絡遅くなっちゃってごめん!』
絵名:『明日の文化祭のことなんだけど—— やっぱり行こうかなって思って』
瑞希:……!
絵名:『ホントはサボっちゃおっかなって思ったんだけど、 クラスでやる出店の調味料、間違えて持って帰ってきちゃってさ』
絵名:『ただ持ってくだけだとさすがにアレでしょ? 課題もちょうど終わったし、 ちゃんと参加しようって思うんだけど——』
絵名:『せっかくだし、Kと雪も呼んで一緒に回らない? ちょっと興味ありそうだったしさ』
瑞希:(…………そうか)
瑞希:(なら……)
瑞希:…………『わかった!』
瑞希:『それじゃあ、明日はみんなで一緒に回ろう』
瑞希:『それから……えななん。明日』——
瑞希:——『後夜祭の時に、話せないかな』
瑞希:……『話したいんだ』
瑞希:『今まで話せなかったことを——全部』
瑞希:…………
瑞希:(どうにか、伝えられた……)
瑞希:(でも——)
瑞希:『それじゃあ、明日はみんなで一緒に回ろう』
瑞希:(……最後まで、ボクは弱いな)
瑞希:(だけど……)
瑞希:(これが、ボク達が今のままでいられる、 最後の時間かもしれないから……)
瑞希:(だから——)

第 4 话:覚悟の文化祭

文化祭当日
神山高校 校門前
???:あ……瑞希
瑞希:……! あ——
瑞希:奏、まふゆ……! いらっしゃい!
奏:あ、えっと……お邪魔します
まふゆ:……なんだか、すごい人だね
瑞希:ウチは宮女と違って、チケットとかなくても入れるから 結構人が集まるんだよね!
瑞希:ボクのクラスも朝から大盛況だよ!
奏:そうなんだ
奏:……あ、そういえば瑞希は、 自分のクラスの手伝いしなくて大丈夫なの?
瑞希:うん! 朝一で受付やったから、あとは自由時間なんだ!
奏:そっか。よかった
まふゆ:……絵名は、まだクラスのほう手伝ってるのかな
瑞希:そう、かもね。 まだ連絡ないからわかんないけど
奏:なら、クラスのお店に直接行ったほうが早く会えるかな
瑞希:あー……たしかにそうだね。 じゃあ『そっち行くね』って連絡入れて——
絵名の声:————お待たせ
瑞希:……!
瑞希:(……まだ、今すぐ話すわけじゃない)
瑞希:(いつも通り、自然に——)
瑞希:……って……
瑞希:……ほ、本気のイカ焼き……?
奏:すごく……わかりやすいね……
絵名:……あ~もう! だから嫌だったのに、このTシャツ! クラス全員、悪ノリしてこんなデザインにして……
瑞希:あー……えーっと……
瑞希:ま、まあ、悪くないんじゃないかなーなんて……
絵名:ちょっと! そういう中途半端なのが一番ムカつくんだけど! いじるならちゃんといじりなさいよ!
瑞希:ええ!? 理不尽だよ~!!
奏:……でも、絵名、そのTシャツ似合ってるよ
絵名:え……!!
まふゆ:……動揺してる
瑞希:褒められて嬉しいけど、 このTシャツで褒められても……って顔だね~
絵名:そこ、代弁しなくていいから!
絵名:とにかく……全員集まったんだし、そろそろ回ろ! どこから行く?
瑞希:ん~、絵名のとこのイカ焼きからっていうのも 捨てがたいけど——
瑞希:まだお腹減る時間じゃないし、 気になるとこあったらどんどん入っていくって感じにしよっか!
奏:うん
瑞希:それじゃみんなで、レッツゴー!
瑞希:今日は——楽しもうね!
絵名:(……瑞希、いつもと違うみたい)
絵名:(きっと……昨日言ってた、あれのことがあるからだよね)
絵名:(気になるけど…… でも、ちゃんと待つって決めたし)
絵名:(——今は、一緒に楽しもう)
瑞希:(……やっぱり、一緒に学校を回るのは、怖いな)
瑞希:(でも——)
奏:えっと、ここでやってるのは——
まふゆ:『みんなで変身SHOW!』って書いてあるね
???:——あ、瑞希! それに宵崎さん達も!
瑞希:え……っ
杏:皆さん、2年A組にようこそ~!
瑞希:ああ、杏達か……!
奏:白石さん、久しぶりだね
彰人:結局来たのか……
絵名:いいでしょ別に。 私だってここの生徒なんだし
彰人:別に悪いとは言ってねえよ
瑞希:あはは、それで調子はどう? お客さん入ってる?
杏:うん! もう大繁盛だよ!
まふゆ:白石さん達のクラスは、どういうことをしてるの?
杏:色んな仮装をして写真が撮れる、フォトブースみたいな感じです! うちのクラスの衣装作るの好きな子が いろんな服作ってくれて
奏:へえ……。 本当だ、いろんな服が並んでるね
杏:ドレスもチャイナもメイドも宇宙人もあるんで、 なーんにでもなれちゃいますよ! よかったらぜひ着ていってください!
絵名:んー…… じゃあせっかくだし、着てみる?
まふゆ:絵名、ただ写真撮りたいだけじゃない?
絵名:違うってば! みんなで撮ったら、いい思い出になりそうでしょ?
瑞希:……思い出に……
瑞希:——そうだね。 それじゃあ、撮っちゃおっか!
杏:ってわけで草薙さ~ん! ご新規4名追加でーす!
瑞希:え? わ、わ~!! ちょっと杏、強引すぎだってばー!!
奏:文化祭の演劇って、久しぶりに見るな……
絵名:私も久しぶりだな。 ま、文化祭のって大体どこも内輪ウケ狙って滑ってるから 見ててもキツいだけなんだけど……
瑞希:その辺は大丈夫だよ! なんてったって類が演出してるから!
まふゆ:そうなんだ。神代さんが……
3年C組の生徒:——本日は『満月世界旅行』にご来場いただき、 まことにありがとうございます! 間もなく上演を開始します!
奏:あ……そろそろ始まるね。 どんな内容なんだろう
司:『それでは——月に向かって、しゅっぱあああつ!!!!』
司:『この満月世界旅行計画を、 なんとしても成功させるのだ!!』
3年C組の生徒達:『みんないくぞー! ドクターテンマを月まで飛ばすんだ!』
絵名:え?
3年C組の生徒達:『いっちにっの……さーん!!』
司:『うおおおおお!!!! 大気圏を突破し月へと到達するぞ~!!!!』
奏:きゃ、客席のほうに突っ込んで……!?
まふゆ:……顔が描かれた月に、頭から飛び込んだ……
奏:すごい……。まっすぐ突き刺さってる……
絵名:いやこれ、月に旅行っていうか、月破壊してない!?
まふゆ:でもこの展開……原作は尊重してる
絵名:そうなの!?
瑞希:……ふふ。 類と司先輩らしいなあ
奏:……びっくりしたな。 まさか最後、月の住民に地球が侵略されるなんて……
まふゆ:そうだね。人類の在り方について、少し考えた
絵名:そう? 私にはすごい投げっぱなしに見えたけど……
瑞希:あはは! まあ感想は人それぞれってことでいいんじゃない?
瑞希:……やっぱり、楽しいなあ
絵名:あ——ねえ瑞希。 そろそろ瑞希のクラスにいかない?
瑞希:え?
絵名:脱出ゲーム、楽しそうだから私もやってみたいんだよね
瑞希:あ……
瑞希:——う、うん!
瑞希:それじゃあ、一緒に行こう!

第 5 话:そばにいたから

神山高校
2年B組 教室前
瑞希:(……中に入っちゃえば大丈夫)
瑞希:(誰にも話しかけられることはない)
瑞希:(……だけど、受付の子は——)
まふゆ:『神山高校からの脱出』……ここ?
瑞希:あ……うん! ここだよ!
奏:なんだか、タイトルからそれらしくていいね
瑞希:えへへ、でしょでしょ~? それじゃあ早速、中に——
???:——暁山
瑞希:……!
瑞希:——冬弥くん! この時間、受付だっけ?
冬弥:いや、本当はもう少しあとだったんだが…… 代わってほしいと頼まれてな
瑞希:そっか……そうだったんだ
奏:こんにちは。 久しぶりだね
冬弥:はい、お久しぶりです。 ……今日は皆さんで来てくださったんですね
冬弥:俺も謎を考えたので、 楽しんでもらえたら嬉しいです
まふゆ:ふふ、楽しみにしてるね
絵名:……外から見た感じ、 教室が暗幕で覆われてるみたいだけど……、 これってどうなってるの?
冬弥:それは入ってからのお楽しみです。 あ……
冬弥:暁山、どうせならガイド役をやるか? 答えを知っているし、参加者をやるのは少し退屈だろう
瑞希:あ——うん!
瑞希:それじゃ、ボクが謎解きガイドをさせてもらっちゃおっかな♪ ——みんなを謎解きの世界にご案内だよ!
奏:結構暗いね……
絵名:脱出ゲームってこんな感じだったっけ?
まふゆ:よくわからないけど……
瑞希:——さあ、皆さま! 『神山高校からの脱出』へようこそ!
絵名:わ! いきなり何!?
まふゆ:もう始まってるんじゃない
瑞希:皆さんは文化祭の準備の途中、 謎の人物により教室に閉じ込められてしまいました!
瑞希:先生が見回りに来る15分後までに脱出しないと、 『いつまでいるんだ!』と怒られてしまうかもしれません……!
瑞希:——というわけで、犯人の残した謎を解いて、 ここから脱出しましょう!
絵名:……なんかちょっと理不尽な設定じゃない?
奏:閉じ込められちゃったのに、怒られるんだ……
瑞希:まあまあ! 細かいことはいいから、みんなで協力して謎を解いていこうっ!
奏:えっと……でも、謎ってどこにあるの?
まふゆ:……あれじゃない? 椅子の上に紙がある
絵名:ホントだ。なんて書いてあるの?
まふゆ:……『さびしらずのはこを見よ』……
絵名:『さびしらずのはこ』? 何それ
瑞希:ふっふっふ! 最初は冬弥くんが考えた謎だよ! わかるかな~?
瑞希:ちなみに、それが一番簡単だから、 解けないとこのあとキツいかもよ?
絵名:う……待って、今考えるから——
まふゆ:……多分、わかった
絵名:は!?
瑞希:うそ! 早くない!?
奏:それで……答えは?
まふゆ:『掃除用具のロッカーを見ろ』だと思う
絵名:え? なんで『さびしらずのはこ』が掃除ロッカーになるわけ?
まふゆ:錆を知らない……錆びにくいのは、ステンレスの特徴
奏:あ……なるほど
奏:掃除用具のロッカーはスチール製も多いけど ここのロッカーは、ステンレス製みたいだから……ってことかな
絵名:たしかに、他の教室のに比べて、妙にピカピカしてる……!
奏:じゃあロッカー、見てみるね。 ……あ
奏:あった。次の謎が書かれてる紙
瑞希:く~! もう解かれちゃったか~!
瑞希:でも、まだまだ謎はいっぱいあるからね! 時間切れにならないように、どんどん解いていってよ!
まふゆ:『△〇△が赤いもので、◆×◆が素敵な男性である時、 次のものは何か』——
瑞希:ふふっ、これはボクが考えたんだよ! わかるかな~?
絵名:△〇△が赤いもの……?
奏:……あ。 これならわかるかも
瑞希・絵名:『えっ?』
奏:瑞希、前にクイズ番組でこういう問題見たって話してたから。 えっと、この場合赤いものは——
瑞希:わー! もう、なんでそんなこと覚えてるのさ~!
絵名:『この国に住んでいる動物は 鳥、鹿、熊ですが、もう1匹は?』
まふゆ:……たぶん、あそこに飾ってある馬の絵を調べたらいいと思う
絵名:え、なんで!?
まふゆ:瑞希、地理も得意だって言ってたから
絵名:さっきの問題、地理と関係あるの?
奏:……本当だ。馬の絵の裏に、次の問題が書いてある
瑞希:あ~もう、これじゃ全部クリアされちゃうよ~!
絵名:ちょっと! だから地理となんの関係があるわけ!?
瑞希:——さあ、いよいよ次が最後の問題!
瑞希:最後はボクと冬弥くんとっておきの謎だよ! さあ、解けるかな!?
絵名:今度こそ……って、あと3分しかないんだけど!
奏:えっと……ここにクロスワードがあるけど…… これを解けばいいのかな?
瑞希:ふっふっふ、時間もないからヒントだよ! これまで集めたキーワードでクロスワードを解いてから、 答えを考えていくんだ!
瑞希:ただし、その答えを元に最後の謎を解いて、 鍵を見つける必要があるから急がないと——
絵名:もう! クロスワードなんてやってたら、 あっという間にゲームオーバーじゃない!
絵名:えーっと……。 あ!
絵名:ねえ、もしかしてこの辺に鍵があるんじゃない?
奏:え? なんでぬいぐるみが置いてあるところに……
絵名:本当は、こういう考え方はダメかもだけど…… 瑞希の性格から考えてみたの
絵名:瑞希は、宝箱の中とかわかりやすいところには隠さないでしょ? 絶対ひと捻り入れてくると思うんだ
絵名:でも、だからって机の下とか、カーテンの裏とか、 そういうところは違う気がするんだよね
まふゆ:……どうしてそう思うの?
絵名:だって地味だし、瑞希なら、見つけた時に もっと盛り上がりそうなところに置きそうじゃない? MV作る時も、山場の見栄えずっと気にしてるし
奏:あ、たしかに……
絵名:だから、すっごい勘だけど…… このズラッて並んでるぬいぐるみのどこかに 隠されてる気がするんだよね
まふゆ:……話してたら、あと2分切ったよ
奏:じゃあ手分けして探してみようか
瑞希:あ……
絵名:……あ! この中、何か硬いもの入ってる!
奏:え、本当?
絵名:うん! うしろにチャックあるから、開けられそう!
絵名:ふふっ、これで私も1問は…………って、あれ?
まふゆ:『ざんねん』……って書いてある
絵名:はぁっ!? 嘘!?
瑞希:はーいっ! ここで終了だよ~!
絵名:え~~~~!?
瑞希:いやー惜しかったね! かなりいいところまでいったんだけど!
絵名:ちょ……ねえ! 結局何が答えだったわけ?
瑞希:ぬいぐるみっていうのは合ってたんだけど—— 上見て、上!
奏:あ……。 暗くて気づかなかったけど、 天井にぬいぐるみが吊るされてる……!
瑞希:ちゃんと問題を解いたら、 『てんじょう』ってキーワードにたどりついて、 ぬいぐるみから鍵をもらえるって流れだったんだ
奏:そうだったんだ……
絵名:あーもう……! あとちょっとで解けたのに~!
まふゆ:ただのあてずっぽうだったけど
絵名:うるさい!
瑞希:あはは! みんな、お疲れさま~! 受付で参加賞もらってってね♪
瑞希:(でも——)
瑞希:(元々は、あそこが正解だったんだよね)
瑞希:(最初ボクは、机に置いてあるぬいぐるみに鍵を入れようって 思ってたけど——)
瑞希:(でも冬弥くんが最後に、 もうひと捻り入れてみるのはどうかって提案してくれて)
瑞希:(ホントにみんな、 ボクのこと、よくわかってくれてるな)
瑞希:(ボクが作業中に話してたこととか、 どんな風に考えてるかとか覚えててくれて)
瑞希:(一緒にいるといつも、自然と笑顔になれて)
瑞希:(みんなといる時間は、やっぱりボクにとって——)
瑞希:(……これからもずっと、ちゃんと、一緒にいたい)
瑞希:(だから——)

第 6 话:一緒に

校内放送:『 本日は、ご来場ありがとうございました。 神山高校文化祭は只今の時間を持ちまして——』
絵名:ふぅ……やっと着替えられた……
瑞希:絵名、Tシャツ似合ってたのに、もったいないな~
絵名:だからそれ、全っ然嬉しくないから
瑞希:(——ひとまず、何事もなく回れてよかったな)
奏:じゃあ……わたし達は、そろそろ帰らないとだね
奏:今日はありがとう。 すごく楽しかったよ
まふゆ:また、ナイトコードで
瑞希:うん! 来てくれてありがとう!
瑞希:——あと、さ
瑞希:今度また、会って話せないかな?
瑞希:……ふたりに、話したいことがあるんだ
奏:……? わたしは大丈夫だけど……
まふゆ:……私も
瑞希:——よかった。 それじゃあ、また連絡するね!
奏:……うん。わかった
瑞希:ありがとう! ——それじゃあふたりとも、またね!
瑞希:(…………もうすぐ、後夜祭だ)
瑞希:(この時間は、みんな校庭に行くから……。 話すならやっぱり、あの場所にしよう)
瑞希:(……ううん。あの場所がいい)
瑞希:(みんなと繋がれた気がした——)
瑞希:(絵名が『待ってる』って言ってくれた——あの場所が)
瑞希:——絵名
絵名:ん?
瑞希:……屋上に行かない?
瑞希:言えなかったこと……ちゃんと話したいんだ
絵名:——うん
絵名:行こっか
瑞希:(…………心臓が、痛い)
瑞希:(吐きそうだ…………)
瑞希:(だけど——)
瑞希:(もう……逃げない……!)
絵名:…………
絵名:……後夜祭になると、こんなに人いなくなるんだ
瑞希:あ……うん
瑞希:みんな校庭のほうに行っちゃうから、 校舎はガラガラになるんだよね
絵名:ふーん……
絵名:後夜祭には興味ないけど、 この静かな雰囲気は悪くないかもね
絵名:さっきまで賑やかだったのに、今は誰もいなくて……。 この感じ、良い絵になるかも
瑞希:……たしかに、 絵名が描いたらおもしろくなりそうだね
絵名:でしょ?
絵名:ていうか、そういうMV作ってみるのもいいかもね。 合いそうな曲が上がってきたらだけど
瑞希:……学校のイメージかあ
絵名:今まで作ったことないMVになりそうじゃない?
絵名:文化祭のあとのガラーンとした学校から始まって、 何が始まるんだろう?って感じにして……
絵名:そこから曲が始まって……なんかこう、展開してくの!
瑞希:なんかって……さすがに適当すぎじゃない?
絵名:もう、今は別にいいでしょ?
絵名:細かいことはいつもみたいに、一緒に考えればいいんだから
瑞希:(……優しいな、絵名は)
瑞希:(緊張しないようにって、大丈夫だからって…… なるべく、自然に接してくれてる)
瑞希:(……嬉しいな)
瑞希:(嬉しくて、あたたかくて…………)
瑞希:(だから…………怖い)
瑞希:……じゃあ、そのMV作る時は、 絵名のところのクラスTシャツも絵にしてもらっちゃおうかな〜
絵名:はあ? あんな匂いついたダサいTシャツ、 もう思い出したくもないんだけど
瑞希:そんなこと言って〜。 結局捨てられなくて大事に取っておくんでしょ?
絵名:だから、帰ったらすぐ捨てるってば!
瑞希:はいはい。 そういうことにしておくね
瑞希:(——大丈夫)
瑞希:(きっと、ちゃんと話せて、それで——)
???:あ——! 暁山さん!!
瑞希:え?
瑞希:あ、クラスの……どうしたの? そんなに急いで
クラスメイト:あの……! さっき急に教室の仕切り板が倒れてきて、 ひとりちょっとケガしちゃって……!
瑞希:え!?
クラスメイト:でも、保健室に行っても先生がいないの……! 暁山さん、一緒に探してもらえないかな……!?
瑞希:あ……
瑞希:——ごめん、絵名。 先に屋上行っててくれる? すぐ行くから
絵名:う、うん……。 ていうか、私も一緒に手伝おっか?
瑞希:ううん、ボクのクラスのことだし…… 絵名も昼の先生の顔知らないでしょ? ひとりで大丈夫だよ
絵名:……わかった。 じゃあ、上で待ってるから
瑞希:うん! ——すぐ戻るね!
クラスメイト:ごめんね、暁山さん……! ありがとう!
瑞希:大丈夫だよ。 それじゃ、行こう!
絵名:なんていうか……瑞希らしいな
屋上
絵名:わ……。 すごい夕焼け
絵名:そういえば前に来た時も、こんな感じだったっけ
絵名:…………
絵名:(……瑞希、今日ずっと緊張してたな)
絵名:(このあと、どんな話をされるのか わからないけど……)
絵名:(話すって決心してくれて……嬉しい)
絵名:(——ちゃんと、受け止めたいな)
絵名:あ、瑞希——
???:……お! ここなら誰もいないんじゃね?
???:ラッキー! 後夜祭ダルいし、ここでサボるか

第 7 话:キミの顔

男子生徒A:あー、マジで疲れたな~
男子生徒B:だな。 今日、打ち上げあるっぽいけど、行くか悩むわ
男子生徒C:わかる~。ちょっとダルいよな
絵名:(あれって……全日の生徒……?)
絵名:(……どうしよう。 人がいるなら、場所変えた方がいいかも——)
男子生徒A:そういや、さっき廊下走ってったのって、暁山だよな?
男子生徒B:あー、みたいだな
男子生徒C:やっぱあいつって、何もなきゃ普通に可愛いよな~
絵名:(瑞希の話、してる……?)
絵名:(……まあ……たしかに顔はいいよね、実際)
男子生徒B:……おい、そういうのやめろよ……
男子生徒C:いや、だってそうじゃね?
男子生徒A:——ん? あそこに誰か……
男子生徒A:……あ! 君、今日暁山と回ってた子じゃない?
絵名:……!
絵名:(やば、話しかけられちゃった)
絵名:あー……どうも。 まあ、一応、そうですけど……
男子生徒A:ほら、やっぱそうだ!
男子生徒B:おい、急に絡むなって。びっくりさせるだろ
男子生徒A:文化祭の時くらいいいだろ! ——ねえ君、あんま見たことない顔だけど、暁山とは仲いいの?
絵名:まあ……それなりに付き合いは長いけど
男子生徒A:へえ、そうなんだ! あ、じゃあ——
男子生徒A:君も男だったりする感じ?
絵名:……………………
絵名:…………は?
男子生徒B:おい、やめろって……!
男子生徒A:なんだよ、冗談だろ。 あはは、ごめんね——
絵名:——何それ
絵名:冗談って……全然笑えないんだけど
男子生徒A:……いや、だから悪かったって。 君は普通に女の子だって思って——
絵名:…………どういう意味?
男子生徒A:え……?
絵名:私は、普通に……って……
男子生徒C:……お、おい、もしかしてこの子、マジで知らな……
男子生徒B:……っ、だからやめろって言っただろ!!
男子生徒A:で……でも、長い付き合いって言うなら、 知ってるって思うだろ普通!?
男子生徒A:あいつだって別に隠してねえじゃん!!
絵名:え…………
絵名:(………………冗談じゃ、ない……?)
絵名:(え…………。え…………?)
絵名:(……じゃあ——)
絵名:(じゃあ——)
絵名:(話したい、ことって——)
男子生徒A:あ……!!
絵名:っ…………!?
瑞希:…………あ…………
瑞希:…………あ……あ…………
絵名:…………っ!!
絵名:待って——瑞希!!

第 8 话:ごめんね

瑞希:はっ……はっ……はっ……!
絵名:…………っ!!
絵名:待って……! 待ってってば!!
絵名:っ……、追いつけない……!
絵名:(……渡り廊下から行けば、 先回りできるかも……!)
絵名:(……でも、でも——)
絵名:(捕まえても……なんて言ったら……!!)
絵名:瑞希っ!
瑞希:……っ
絵名:あ…………
絵名:瑞希、私…………
絵名:私……っ……!
瑞希:…………ごめんね
瑞希:……もっと早く、話さなきゃいけなかったんだ
絵名:——っけど、瑞希は……!
瑞希:……びっくりしたよね……?
絵名:っ……
絵名:でも……それは……!
瑞希:わかってる……!
瑞希:さっき絵名は、ただ……ただびっくりしただけで……
瑞希:それ以外の気持ちは、全然ないんだって…… わかってる……
瑞希:本当は全部、 わかってるんだ……!
絵名:瑞希——
瑞希:でも……でも…………!
瑞希:——どうしてもダメなんだ……!!
絵名:……!
瑞希:……絵名は……っ。 絵名は、すごく、優しいから……!
瑞希:きっと、明日からも、 何もなかったみたいに話してくれる……!
瑞希:奏も……まふゆも……っ!
瑞希:きっと、『そうだったんだ』って言うだけで……! 当たり前みたいに、いつもみたいに、作業して……!!
瑞希:次の日も、次の日も次の日も、 みんなはずっと、変わらないって——
瑞希:そう……“思わせてくれる”んだって……!!
絵名:…………!
瑞希:それは、ただ…… ただのみんなの……優しさで……
瑞希:本当はあたたかくて……、 きっとすごく……いいもので……!
瑞希:でも……でも!!
瑞希:ボクはその優しさが みんなの中に生まれちゃうことが——
瑞希:——どうしようもなく……嫌なんだ……っ!!
絵名:……そんな……
絵名:そんな、こと……っ……
絵名:あ…………!
瑞希:………………………………ごめん
瑞希:ずっと話せなくて……ごめん
瑞希:向き合えなくて——————ごめん
絵名:瑞希……!
絵名:——瑞希!!
絵名:…………っ!!
絵名:私は…………
絵名:私は、なんで……!!