活动剧情

Rekindle the flame

活动ID:146

第 1 话:新たな日常

WEEKEND GARAGE
常連客A:おーおー。 営業再開してから、いつ来ても賑わってるな
常連客B:ああ。 あのイベントの日からしばらく経つってのに、すげえもんだ
常連客B:ま、ここはあの『RAD BLAST』をやったヤツらの拠点—— いわば聖地だからな。人が集まるのも当然か
常連客A:それに——ここには、伝説のメンバーのひとりもいるしな?
???:——お。 今、オレの話しました?
洸太郎:ってわけで、いつものブレンドっす! 濃いめにしときましたよ!
常連客A:お、いい香りじゃねえか。 コーヒーいれるの、また上手くなったんじゃねえか?
洸太郎:そりゃあ、謙さんから託されたからには、 この店の評判を落とすわけにはいきませんからね!
常連客B:託されたねえ……。 まさか、お前がこの店の店長代理を任されるとは 俺達も思ってなかったぜ
洸太郎:ははっ。店長代理っつっても形だけですけどね!
洸太郎:店の売り上げとか食品の管理とかは 他の人達にお願いしてますし……、 ほとんどバイトみたいなもんですよ
常連客A:それでもすげえじゃねえか。 よっ、託された男!
洸太郎:へへ……。 まあ、オレも声かけられた時はびっくりしましたね
洸太郎:自分の活動もしながらやれるようなバイトを探してるって言ったら 『それならうちで働かねえか』なんて言われて
洸太郎:でも……嬉しかったっす
洸太郎:謙さんが、 『お前らに憧れて走り出すヤツらのためにもこの店は残したい』 『任せるならお前みたいなヤツがいい』って言ってくれて
洸太郎:それでオレも、やりてえって思ったんです。 ……まあ、酒とかはまだ扱えないんで、 謙さんの時と同じ営業時間ってわけにはいかないっすけど
常連客B:ほう……謙と、そんな話をしてたんだな
常連客A:謙がまた大河と組んで活動するって聞いた時は、 もうこの店も畳んじまうのかって残念だったが……
常連客A:こうしてまた、この店のコーヒーが飲めるようになって嬉しいぜ
常連客B:ああ。これからも頑張ってくれよ! 店長代理!
洸太郎:はい!
こはね:こんにちは!
洸太郎:——おお、お前らか! そこの空いてる席に座ってくれ!
ビビッドストリートの若者達:ね、ねえ。あれって……!
ビビッドストリートの若者達:Vivid BAD SQUADの小豆沢さんと、青柳さん……だよね!? ここで待っててよかったあ……!
洸太郎:注文は、いつものブレンドとカフェオレでいいか?
冬弥:ああ。ありがとう。 ……それにしても、今日も繁盛しているな
洸太郎:おう! ま、オレのうま〜いコーヒーのおかげでな
ビビッドストリートの若者達:——あ、あの!
こはね:え?
ビビッドストリートの若者達:あの……Vivid BAD SQUADの小豆沢さん達……ですよね!?
こはね:あ……はい、そうです
ビビッドストリートの若者達:突然すみません。 えっと……わ、私達、RAD BLASTで皆さんに憧れて、 歌うようになって、それで……
ビビッドストリートの若者達:——よければ握手してもらってもいいですか!?
こはね:はい、私でよければ……!
ビビッドストリートの若者達:あ、ありがとうございます……!
ビビッドストリートの若者達:まだまだ、全然下手くそですけど…… 皆さんみたいに熱い歌が歌えるように、 チームでがんばりたいって思ってます……!
こはね:あ……
こはね:そう言ってもらえて、すごく嬉しいです!
こはね:私も、仲間に支えられてずっと歌ってきたので…… チームで頑張りたいって気持ち、すごくわかります
こはね:えっと……よければ今度、おふたりの歌も聴かせてください。 お互い、頑張りましょう!
ビビッドストリートの若者達:は、はい……!
洸太郎:おいおい! あの子達、オレと話した時はあんな感じじゃなかったぞ!?
常連客B:ははっ、お前のコーヒー目当てじゃなかったみたいだな!
常連客A:それにしても、嬢ちゃん達はすっかり有名人って貫禄だな。 お前もオーラ出せるように、頑張れよ!
洸太郎:くう~! ったく、今に見てろよ! すぐに動画の再生数も、こいつらを追い越して——
洸太郎:……ってそういや冬弥。 お前、昨日も新曲あげてたな! あの曲、めちゃくちゃよかったぜ!
冬弥:そうか……気に入ってもらえてよかった。 新しい音を取り込んでみたのが、良かったのかもしれないな
常連客B:俺も聴いたぜ! 最近のなかじゃ、一番好みだったぞ!
常連客A:しっかし、最近は100万再生超える曲も増えたし、 新曲投稿のペースも速いし…… すげえ勢いだな、Vivid BAD SQUAD!
冬弥:ありがとうございます。 ……ですが、まだまだ、ここで満足しているわけにはいきません
冬弥:俺達が目指すのは——世界ですから
常連客B:世界……か。 とんでもない夢だが、 お前らが言うとできそうな気がしちまうからすげえな!
常連客A:はは! だな! それで、世界を目指すあとのふたりは、今どうしてんだ?
冬弥:今頃、頑張ってくれていると思います。 ——とても頭を悩ませながら
英会話教室
英会話の先生:——それじゃあ、今日のレッスンも元気な挨拶から始めましょう! How are you?
彰人:……I'm good
杏:えっと……Pretty good!
英会話の先生:OK! 挨拶はスムーズに返せるようになってますね! それじゃあ、どんどんいきましょう!
英会話の先生:What did you do on your day off?
杏:わ、わっとでぃじゅーまでは聞き取れたけど……後半何!?
彰人:……オンユアなんちゃらっつってた気がするが……
杏:も、もう1回お願いします!
英会話の先生:OK. What did you do on your day off?
杏:…………えーっと……
杏:……な、なんて?
数十分後
英会話の先生:それじゃ、今日のレッスンはここまで! 次の授業までに、英作文の課題もやってきてくださいね
彰人・杏:『あ……ありがとうございました……』
杏:はあ……。 頭、重い……
彰人:ああ……。 普段使ってねえ部分を、フル回転させてるって感じだな……
杏:うん……。 歌ならいい感じに発音できるんだけど、 会話ってなると余計に……
杏:っていうかなんかもう、 心が通じ合えば言葉なんていらなくない!?
彰人:まあ、その気持ちはわからなくもねえが……
彰人:冬弥達のクラス見ただろ。 あれくらい話せなきゃ、海外じゃロクに活動もできねえぞ……
杏:うっ……それは、たしかに……
杏:……でも、そうだよね! 世界を獲るなら、やるしかないよね……!
杏:頑張ろう、彰人!
彰人:……おう!
数十分後
洸太郎:まさか、お前らの英会話教室通いが ここまでちゃんと続いてるとはなあ。 途中で逃げ出すもんだと思ってたのによ!
彰人:んなことするかよ
冬弥:世界を目指すからには、 海外での活動は視野に入れておくべきだからな。 ここで逃げ出されては困る
洸太郎:海外での活動ねえ……。 なんつーか、オレにはあんま想像がつかねえが……
洸太郎:実際、これからどうやって活動していくかって話は 決まってんのか?
彰人:完全に固まりきったわけじゃねえが、 だいたいの方向性は決まってる
杏:一応理想としては、海外のおっきなレーベルと組めるといいなって 考えてるんだ! 大河おじさん達と同じ感じだね!
冬弥:最近は、動画から火がついて……というルートもあるが、 それは運も大きいからな。 知ってもらうチャンスを、着実に増やしていきたい
彰人:だが……そもそも今のオレ達はそういう話ができる状態じゃねえ
彰人:知名度も、実力も、まだまだ世界クラスとは言えねえからな。 だからまずは、足元から固めてくって段階だ
洸太郎:ほ~。なるほどなあ!
洸太郎:……あ、もしかして最近アップされる曲に 英語の字幕とか説明文ついてんのも、そういうことか?
こはね:はい。やっぱり、私達のことを世界の人に知ってもらうためには、 ネットに曲をアップするのが一番いいって話に なったんですけど……
こはね:曲をそのままアップするだけじゃなくて、 ちゃんと曲のことも伝えないとって思って。 歌詞の英訳とかを、みんなで手分けしてやってるんです
冬弥:そうやって足元が固まったら、 少しずつ海外のイベントにも出るつもりだ。 目星も今つけている
洸太郎:おお……! さっすが、いろいろ考えてんだな!
杏:そりゃあ、軽い気持ちで言ってないからね。 『世界を獲る』って!
こはね:うん! ……すごく大きな目標だけど、 少しずつ近づいていきたいな!
こはね:——みんな、頑張ろうね!
彰人・冬弥・杏:『ああ!』 『うん!』

第 2 话:変化とともに

数日後 早朝
シブヤの公園
彰人:——よし。全員、声出し終わったな
冬弥:ああ。問題ない
彰人:んじゃ、始めるか。 今日は……前やったあの練習の続きやるか
杏:お、いいねいいね! あれ、楽しいし気合いも入るから好きなんだよね〜
こはね:うん! じゃあ組み合わせは——
???:『——あっ! もしかして、もう練習始まっちゃってる!?』
彰人:ん?
冬弥:リン、レン。 それに、ミクとルカさんまで……
レン:『みんなおはよう! 練習見学しに来たよ!』
こはね:見学?
ルカ:『最近みんな、いろいろ工夫して練習してるでしょ? 見ててすっごくおもしろいから、 覗きに行こうって話になったんだ!』
彰人:おもしろいって……。 ま、観客がいる分にはいいですけど
杏:あはは、私は大歓迎だよ! オーディエンスがいると、やっぱり気合い入るし?
レン:『へへっ、ありがと! それで、今日はどんな練習やるの?』
彰人:この前もやってた、2対2で戦うやつだ。 組み合わせは前と変えるがな
リン:『やったー! あれ、ペアが変わると歌が違って聴こえて楽しいよね~!』
彰人:んじゃ、この前の続きだから…… 今日は、オレとこはねがペアだな
こはね:うん! よろしくね、東雲くん
冬弥:ミク達も、何か気になることがあったら いつでも言ってくれ
ミク:『うん、まかせて』
彰人:じゃ、始めるか。 ……先攻は、そっちからでいいぞ
杏:よーし……思いっきりいくよ、冬弥!
杏・冬弥:『♪————————っ!!』
レン:『わあ……!』
ルカ:『ふたりとも、歌い出しからバッチリだね! 声も気持ちよく重なってる~♪』
ミク:『うん、うまくバランスが取れてるね。 杏の勢いと冬弥の安定感がしっかりハマって…… お互いがお互いの良さを引き出してるって感じ』
杏・冬弥:『♪————————!! ♪————————!!』
彰人:(……いい勢いだな。 ふたりの息も、よく合ってる)
こはね:——いこう、東雲くん
彰人:……ああ
彰人・こはね:『♪————————!』
数十分後
彰人:……ふう。ここらで1回休憩するか
杏:うん、そうしよっか! ひととおり歌ったしね!
こはね:ふふ。 やっぱりこの練習、やりごたえがあって楽しいな
冬弥:そうだな。 ——組む相手に合わせて臨機応変な対応が求められるし、 互いの強みを引き出すいい練習になる
杏:対戦形式だから、本番みたいな緊張感もあるしね
彰人:だな
彰人:……RAD BLASTまでは 謙さんに練習を見てもらってたが、今はそうもいかねえ
彰人:今のオレ達に合う練習方法を考えながら、 もっと力をつけていくぞ
こはね:うん!
ルカ:『ふふ。みんなのこと見てたら、 なんだか私も歌いたくなってきちゃったなー』
レン:『っていうかその練習、オレ達ともやってよ! 今度セカイに来た時とかにさ』
杏:お、いいねえ。 でも、そう簡単には勝たせないよ?
リン:『え〜、それはこっちのセリフだよ!』
彰人:……っと。 悪い、オレだ
彰人:——明日のイベントの最終確認が来てんな。 あとでお前らにも送っとくぞ
ミク:『あ、そういえば明日は、イベントに出るんだっけ』
ルカ:『へえ、そうなんだ! みんながイベントに出るのって、すっごく久しぶりじゃない?』
こはね:そうですね。 RAD BLASTのあとは、全然出てないから……
杏:最近は英会話やったり、歌詞つけて曲アップしたり、 自主練ばっかりしてたもんね
杏:そう考えると、お客さんの前でやるのホント久しぶりだな! すっごく楽しみ!
冬弥:ああ。だが……同じくらい、気を引き締めなくては
彰人:今回はゲスト出演ってことになってるしな
レン:『え、ゲスト!? それって、出てほしいって頼まれたってこと?』
ミク:『うん。しかも、前に修行で行った すごくレベルの高いライブハウスかららしいよ』
リン:『えー! そんなところから 呼ばれちゃうなんて、みんなすごーい!』
彰人:まあ実際、連絡来た時は驚いたな。 RAD BLASTの噂を聞いて、声をかけてくれたみてえだが
冬弥:ならば、中途半端な歌を歌うわけにはいかないな
こはね:うん! みんなの期待を裏切らないように、頑張ろうね!
レン:『めちゃくちゃ盛り上げちゃってよ! オレ達も応援してるからさ』
杏:まっかせといて! 全員わかせてやるんだから!
リン:『……あれ? 彰人くんどうかした? 何か考えごと?』
彰人:あ……
彰人:なんでもねえよ。 返信の文面考えてただけだ
彰人:——とにかく、明日は観客にも出演者にも かなり期待されてるだろうからな
彰人:セトリもパフォーマンスも、 もう少し念入りに確認しとくか
こはね:うん、そうだね!
冬弥:…………

第 3 话:気になる噂

翌日
ライブハウス
こはね・杏・彰人・冬弥:『♪————————!!』
観客達:すげえ……これがVivid BAD SQUADか……!
観客達:さすが、あの伝説を超えた連中だな……!
観客達:ああ! 前にこのハコで見た時とは、迫力が全然違え!
こはね・杏:『♪————————!!』
杏:(うん! 掴みからバッチリだね! お客さんの反応もいい感じ!)
冬弥:(だが、油断はできない。 この勢いに乗っていくぞ!)
こはね:(うん! もっと熱くしていこう!)
彰人:…………
彰人:(……そうだ。 もっと……!)
彰人:♪————————!!
終演後
バックステージ
杏:お疲れさまでしたー!
ミュージシャン達:おー、お疲れ! 今日はありがとな!
ミュージシャン達:おいおい、見違えたぞお前ら! さすが、とんでもねえイベントをやっただけあるな!
冬弥:ありがとうございます。 期待に応えられたようでよかったです
ミュージシャン達:ははっ、なんか堂々としてるっつーか、 落ち着いたもんだなあ
ミュージシャン達:だな。初めてここに来た時は、 全員緊張で顔ガチガチだったのによ!
杏:ちょっとちょっと、そんな緊張してなかったでしょ〜
ミュージシャン達:ま、それは冗談としても、 実際あの時からの成長はすげえよな
ミュージシャン達:ああ。 こりゃ、俺達も負けてらんねえな
彰人:(…………今日のパフォーマンスは、悪くなかった)
彰人:(客も盛り上がったし、 共演者からも評価してもらってる)
彰人:(だが——)
ミュージシャン達:しっかし、今日はすげえ盛り上がったな!
ミュージシャン達:こんなに盛り上がったのは、あいつらが来た時以来じゃねえか?
こはね:え?
ミュージシャン達:あー、たしかにな。 そう考えると、あいつらとVivid BAD SQUADの勝負も 見てみたかったな! すげえ熱くなりそうだ!
彰人:あいつら……?
杏:ねえ、それって誰のこと?
ミュージシャン達:ああ、お前らは知らねえか
ミュージシャン達:実はこの前、 うちのイベントに謎の双子の兄弟が来てよ
冬弥:双子の兄弟?
ミュージシャン達:ああ。 しかも外国人っぽくてな、ここらじゃ見かけねえヤツらだ
彰人:謎の双子で、外国人……。 なんつーか、情報多くねえか?
ミュージシャン達:はは、たしかにな。 まあそれで、最初は何だあいつらって思う程度だったんだが——
ミュージシャン達:その歌がもう、すげえのなんのって!
ミュージシャン達:お前らにも——それこそRAD BLASTの熱さにも 負けてねえんじゃねえか!?
彰人:……!
ミュージシャン達:——そういやその双子、 他のハコのイベントにも出てるみたいだな
ミュージシャン達:え? そうなのか?
ミュージシャン達:ああ。『Rodin』でのイベントにも出てたって 連れが言ってた。 そこでも圧勝だとさ
ミュージシャン達:オレは『notte』にいたって聞いたぜ! 話したくてオーナーが声かけようとした時には、 もう控室にもいなかったんだとよ
こはね:……あ……
ミュージシャン達:ん、どうした?
杏:Rodinにnotte、それにここ。 それって……
杏:私達が修行で行ったことあるハコばっかりじゃない?
冬弥:たしかにそうだな。 全て行ったことがある
ミュージシャン達:へえ……お前ら、レベルの高いハコばっか回ってたんだな
ミュージシャン達:しっかし、不思議な偶然もあるもんだな。 その双子、お前らと縁のある場所ばっかり回ってるなんてよ
彰人:そうっすね……
ミュージシャン達:……案外、偶然じゃねえかもな
彰人:え?
ミュージシャン達:もしかしたらその双子は、この前のお前らのイベントを見て、 火がついた連中かもしれねえ
ミュージシャン達:お前らのあとに続け——ってな
杏:たしかに……! ふふっ、それってなんか熱いね!
杏:っていうか、そんなにすごい歌歌うなら、 1回聴いてみたいな! 次はビビッドストリートに来てくれたらいいのに~
彰人:んな都合よく来るわけねえだろ
こはね:あはは、そうだね……。でも——
こはね:もし本当に、RAD BLASTを見て自分も、って 思ってくれた人達だったら、私は嬉しいな
冬弥:……そうだな
冬弥:俺達がRAD WEEKENDを見て火をつけられたように—— 俺達が、誰かに火をつけたということだからな
彰人:…………
彰人:(……火、か……)

第 4 话:あの時の炎を

スクランブル交差点
杏:は〜、イベント楽しかった〜!
こはね:そうだね。 久しぶりにお客さんの前で歌えて、すごく楽しかったな
杏:だよねだよね! やっぱり練習メニューに イベント出演も取り入れていった方がいいかも!?
彰人:浮かれんのはいいが…… お前、明日の英会話の課題、ちゃんとやったか?
杏:あ! やっば、忘れてた……! 帰ったらすぐやらなきゃ~……
冬弥:今日はこのあと練習もないことだし、 しっかりやっておくといい
杏:うう……はーい……
彰人:んじゃ、今日はこれで解散だな
こはね:うん、また明日ね!
彰人:……ちなみに、オレは課題終わってるからな
冬弥:そうなのか?
彰人:今日はイベントだってわかってたしな。 早めに手つけてたんだよ
冬弥:そうか、それは素晴らしい心がけだ。 相棒として鼻が高い
彰人:んだよそれ
冬弥:………………彰人
彰人:ん?
冬弥:……調子は、戻りそうか?
彰人:え……
彰人:…………やっぱ、気づいてたか
冬弥:ああ。 わずかだが……歌に出ている
彰人:そうか。 ……ま、そうだよな
彰人:——RAD BLASTが終わってから、 どうにも、歌に力が乗り切らねえ
彰人:……足りねえんだ。 あの時みてえな、あの……
冬弥:…………
彰人:……歌に出てるってことは、 あいつらにもバレてるだろうな
冬弥:ああ、おそらく
彰人:……そうか
彰人:(それでも、何も言ってこねえってことは……)
彰人:……なら、なおさら早く元の調子に戻さねえとな
冬弥:彰人……
彰人:大丈夫だ、そんな顔すんな。 ……変にひとりで突っ走るようなマネはしねえよ
冬弥:……そうか
冬弥:それなら、俺達は——待つとしよう
彰人:おう
彰人の部屋
冬弥:わずかだが……歌に出ている
彰人:(歌に出てる、か……)
彰人:(……『世界を獲る』って目標に嘘はねえ。 そのためにできることも、全力でやってるつもりだ)
彰人:(だが、やっぱり——)
彰人:(あの時みてえな…… 何かに突き動かされるような感じがあるかっつうと——)
彰人:……燃え尽きちまったのか……?
彰人:(……いや、理由はなんだって構わねえ)
彰人:(とにかく、なんとかしねえとな。 今のオレじゃ……あいつらの足を引っ張るだけだ)
彰人:(……だが、どうすればいい?)
彰人:(あの時の、 燃えてるみてえな感覚を取り戻すためには……)
彰人:はあ……
彰人:部屋で考え込んでたって、なんにもならねえ
彰人:……気分転換にあっち行ってみるか

第 5 话:熱は、きっと

ストリートのセカイ
crase cafe
MEIKO:——はい、ウィンナーコーヒーのおかわりよ
KAITO:ありがとう! ……ん〜、いい香りだなあ! やっぱりメイコのコーヒーは世界一だね!
MEIKO:はいはい。 おだてても、今日はアイスのサービスないわよ
KAITO:えっ!? あ、あはは、ただの本心なのになあ〜
彰人:——ちわっす
KAITO:あ、彰人くん! いらっしゃい!
MEIKO:あら、今日はひとりなのね。 イベントに出るって聞いてたから、 来るならみんなで来るかと思ってたわ
彰人:ああ、まあ……。 夕方には解散したんで、ちょっと自主練しに来たって感じです
KAITO:へえ! イベントのあとまで練習か! そういう熱心なところ、本当に彰人くんらしいなあ〜
KAITO:——最近はセカイの壁が壊れたり、広場の木が成長したり、 いろんな変化があったけど……
KAITO:きっとこれも、彰人くん達の熱~い想いが、 セカイにドドーンと反映されたからだろうね! これからどうなるか、楽しみだなあ!
彰人:……熱い……
MEIKO:彰人くん?
彰人:あ、いや……
KAITO:もしかして……何かあった?
彰人:…………。 特別何かあったってわけじゃないんですけど……
KAITO:そういうことならボクが話聞くよ!?
彰人:いや、だから……
KAITO:まあもちろん、無理にとは言わないけど、 話せばスッキリすることもあると思うんだよね。 っていうか今までもそうだったでしょ?
KAITO:というわけで、頼れるカイトお兄さんに、 ぜひ話してほしいな!
彰人:……そっすね。 んじゃ、ちょっとだけ聞いてもらってもいいですか
KAITO:もっちろん!
KAITO:……なるほど。 熱くなりきれない、か……
彰人:……頭ではわかってるんです。 次の目標のために走り続けなきゃなんねえって
彰人:でも……どうしても、心がついてこねえ感じがして……
MEIKO:彰人くん……
MEIKO:——そんなに焦らなくてもいいんじゃないかしら?
彰人:え?
MEIKO:ほら、今まで彰人くんは、 大きな夢を……それこそ全力で追いかけてきたでしょう?
MEIKO:もしかしたら今は、 心のエネルギーをチャージする必要があるのかもしれないわ
彰人:……たしかに、そうかもしれませんけど……
MEIKO:それに……前と同じ気持ちで 夢を追いかけるのが難しいのは当然だって、私は思うの
KAITO:え、なんで?
MEIKO:だって『RAD WEEKENDを超える』っていう夢は、 彰人くんがRAD WEEKENDを自分の目で見て、 胸を打たれて、始まった夢でしょう?
MEIKO:でも、今の——『世界を獲る』っていう夢は、 まだ思い描いている途中の夢
MEIKO:最初の火のつき方が違うんだもの。 同じ気持ちで追いかけられないのは仕方ないんじゃないかしら
彰人:…………
彰人:(……メイコさんの言うことは、わかる)
彰人:(だが……だからって 今みてえな中途半端な状態でいるのは……)
KAITO:んー……メイコの言うとおりだとしたら……
KAITO:RAD WEEKENDを見た時みたいに 『心が熱くなるもの』に出会ったら、 彰人くんはもっと燃えられるのかもしれないね
彰人:……心が、熱くなるもの……
彰人:(……だが、あれくらいすげえもんに そう簡単に出会えるかっつーと……)
KAITO:……案外、すぐに見つかるんじゃないかな?
彰人:え?
KAITO:まあ、ボクもあんまり詳しくは知らないけど……
KAITO:——彰人くん達の世界ってさ、とっても広いんでしょ?
KAITO:彰人くんが『RAD WEEKENDを超える』っていう大きな夢を 見つけられたのは、偶然あのイベントに出会ったからだよね
KAITO:だったら、また彰人くんの心を燃やすものにも、 偶然出会えるんじゃないかって思うんだ
KAITO:世界は広いから——ボク達が知らないものとか、 想像できないような『偶然』も、きっとたくさんある
KAITO:だから、世界に向かってまっすぐ進んで行けば、 いつか彰人くんが熱くなれるものも、見つかるんじゃないかなあ
彰人:…………
彰人:(世界は広い……か……)
彰人:……まあ、一理あるかもしれないっすね
彰人:カイトさんにしては珍しく
KAITO:ええ~!? 珍しくってひどいなあ。 ボクはいつだって、 落ち着いて的確なアドバイスをしてるつもりなのに……
MEIKO:そう言われるのは、普段の行いのせいでしょ
KAITO:ええ、メイコまで!?
彰人:(偶然出会う……か)
彰人:(もちろん、そう思ったところで、 今の状態がどうにかなるわけじゃねえ。 だが……)
彰人:(それでも無闇に焦って空回るよりはいいかもしれねえ)
彰人:(……ともかく、今はただ前に進むとするか)
彰人:(今まで、そうしてきたみたいに)

第 6 话:心揺さぶられる歌

翌日 早朝
彰人:はっ……はっ……
KAITO:彰人くんが『RAD WEEKENDを超える』っていう大きな夢を 見つけられたのは、偶然あのイベントに出会ったからだよね
KAITO:だったら、また彰人くんの心を燃やすものにも、 偶然出会えるんじゃないかって思うんだ
彰人:(世界……)
彰人:(正直、オレ達が目指す世界がどんなものなのか まだうまく想像はできねえ)
彰人:(だが、進んだ先に また熱くなれるもんがあるかもしれねえ。 なら——)
???:♪————……
彰人:ん……?
???:♪————————
彰人:誰か、歌ってる……?
彰人:(……オレ達がいつも歌ってる公園のほうか)
彰人:(だが……冬弥達の声じゃねえな)
彰人:(それに、この歌声——)
彰人:あ……
彰人:(あれは……誰だ? 見かけねえ顔だが——)
???:♪————————!
彰人:…………っ!
彰人:(なんだ、この歌は……! 涼しい顔で歌ってるくせに——)
???:♪——————————~~~っ!!
彰人:(胸の真ん中に、まっすぐ突き刺さってくるみてえな……!)
???:『ん〜! やっぱり、朝から歌うって最高だな!』
???:『だからって、こんな早朝に……。 近所の迷惑にならない程度にするんだぞ』
彰人:(……英語だから、何話してるかはわかんねえが…… 歌の話か?)
???:『ごめんって! ビビッドストリートを歩いてたら、無性に歌いたくなって——』
???:『って……ええ!?』
彰人:(な、なんだ? こっち見て固まったぞ……)
???:ね、ねえキミ!
彰人:……!? 日本語も使えんのか……うめえな
???:——Vivid BAD SQUADのメンバーじゃないか!?
彰人:…………は?
???:やっぱりそうだ! RAD BLASTのステージに立ってた子だよね!
???:うわあ、嬉しいなあ。まさか今日会えるなんて……! 最後にここに来てよかったよ! 今日あっちに帰る予定だったからさ!
???:あ、そうだ。よかったら握手してくれない?
彰人:お……おう……
???:おい……いきなり失礼だろ、名乗りもしないで
???:あ、ごめんごめん! ついテンション上がっちゃってさあ
???:まったく……。 いきなりすまなかった
セドリック:改めて、俺はセドリック。こっちは弟のスレイドだ
スレイド:弟っていっても、双子だからあんまり関係ないんだけどね! えーっと……べんぎじょう弟!ってヤツ!
スレイド:それで、キミはなんて名前なの!?
彰人:…………Vivid BAD SQUADの、東雲彰人……
スレイド:アキトか! よろしく、アキト!
彰人:(こいつら……よそで歌ってる連中か? だが、それにしちゃあレベルが——)
セドリック:俺達は、RAD BLASTを見にアメリカから来たんだ
彰人:……アメリカから?
彰人:(なんでアメリカからわざわざ……。 大河さんの関係者か……?)
スレイド:すっごく遠くて、飛行機で14時間くらいかかっちゃったけど…… でも、見に来てホントに良かったよ!
スレイド:めっちゃくちゃ熱いイベントだったよね! 観客とパフォーマーの一体感がすごくて、 会場全体がすごい熱気で……!
スレイド:——特に、キミ達Vivid BAD SQUADの歌は最高だった! もう、心が震えたよ……!
セドリック:ああ。誰かの歌を聴いてあんな感覚になるのは、 久しぶりだったな
彰人:……そうか
スレイド:で、あの歌を聴いたら、オレ達も歌いたくなってさ
スレイド:日本を観光するついでに、キミ達が出たことあるっていう ライブハウスのイベントに、参加させてもらったりしたんだ!
スレイド:どこもオーディエンスがたくさん盛り上がってくれて 楽しかったよ! な、セディ!
セドリック:そうだな
彰人:……! それって——
ミュージシャン達:実はこの前、 うちのイベントに謎の双子の兄弟が来てよ
杏:私達が修行で行ったことあるハコばっかりじゃない?
彰人:……あれは、お前らのことだったのか……
スレイド:え、あれって?
彰人:……噂で聞いたんだ
彰人:いろんなイベントで、 とんでもねえ歌を歌って姿を消しちまう、謎の双子がいるってな
スレイド:え!? オレ達、噂になってたの!?
セドリック:そんなことになっていたとは……
スレイド:『つーかなんか、かっこいいな!? 歌ってすぐに姿を消す、謎の双子……! ヒーローみたいだ!』
セドリック:『いや、大分不審だろうそれは……。 時間がなかったとはいえ、 ちゃんと挨拶をしておけばよかったな……』
セドリック:『というかお前、興奮しすぎて英語で話してるぞ』
スレイド:『あ、そうだった!』
彰人:(……本当に、なんなんだこいつら)
彰人:(そもそも、何でオレ達が行ったことのある ライブハウスを知ってんだ……?)
スレイド:……あのさ、アキト。 ひとつ、頼みがあるんだ
スレイド:——オレと、勝負してくれないか
彰人:……は?
セドリック:おい、スレイド。困らせるようなことをするな。 こんな朝っぱらから、しかも初対面で……
セドリック:それに、そろそろ移動しないと 帰りの飛行機に間に合わないぞ
スレイド:うん、わかってる。 急なお願いだってことも、時間がないってことも
スレイド:でも……戦ってみたいんだ
スレイド:RAD BLASTですごい熱い歌を聴いて—— いつかキミ達と勝負してみたいって思ってたから!
スレイド:今日会えるなんて、もう運命だしさ! 最後の土産として……頼むよ!
彰人:…………
スレイド:♪————————!
彰人:……わかった。その勝負、受ける
スレイド:本当!? ありがとう!
セドリック:本当にいいのか? 断ってくれていいんだぞ
彰人:別に構わねえよ。 ひとりで声出しするよりは、いい練習になりそうだしな
彰人:(それに、こいつの歌は——)
スレイド:よーっし。それじゃ、さっそく準備しようよ! アキトはウォーミングアップもあるだろうし!
スレイド:あ……言っておくけど、手加減なしの真剣勝負だからね!
彰人:——ああ

第 7 话:この衝動に

数分後
シブヤの公園
スレイド:——よし。準備はいい?
彰人:……ああ。いつでもいける
スレイド:♪————————!
彰人:(こいつの歌を聴いた時——何か感じるものがあった)
彰人:(……もしかしたらこれが、 カイトさんの言ってた『偶然』のひとつかもしれねえ)
彰人:(それなら——)
スレイド:それじゃ、先攻はアキトからな!
彰人:——おう
杏:——ふう
杏:やっぱ朝のランニングはいいね~! 眠かった頭もスッキリって感じ!
こはね:うん。ウォーミングアップにもなるから、 着いたらすぐ声出しできるのもいいよね
杏:うんうん! 今は練習ももっとしたいし、うまく時間使ってこう!
杏:世界に行くために……1分1秒だって ムダにできないしね!
杏:……彰人もきっと、そう思ってるだろうし!
こはね:——うん
杏:……あれ?
杏:公園のほうから、何か聴こえない?
こはね:あ、本当だ……誰か歌ってるのかな?
杏:もしかして、冬弥達がもう練習始めてるとか……? 行ってみよ!
こはね:東雲くんと……誰だろう? あの人達……
冬弥:小豆沢、白石!
杏:あ、冬弥! 何これ、どういう状況?
冬弥:俺も、詳しくはわからないんだ。 いつも通りの時間に来たら、すでに始まっていて——
彰人:♪————————!
セドリック・スレイド:『…………』
彰人:(……振り絞れ……!)
彰人:(今のオレの全力を、出し切れ——!)
彰人:♪————————!
セドリック:…………
スレイド:…………待ってくれ
彰人:……っ!
スレイド:……悪い、歌の途中で止めちゃって。 でも……
スレイド:……どうしたんだよ、その歌
彰人:どうした、って…………
スレイド:もしかして、朝だから調子出ないとかか? それとも、具合が悪いとか……
スレイド:あ、ウォーミングアップが足りなかったかもしれないな。 オレも急かしちゃったし!
セドリック:……スレイド
スレイド:えっと……
スレイド:……それが、今のキミの本気なわけがないよな……?
彰人:…………
スレイド:……なんで
スレイド:なんで、何も言わないんだよ
スレイド:手加減なしって言ったじゃないか。ちゃんと歌ってくれよ。 あのイベントで歌ってたキミの歌は、 そんなんじゃなかっただろ……?
彰人:…………っ
スレイド:なんだよ……
スレイド:キミの覚悟って、そんなもんなのかよ
彰人:覚悟……?
スレイド:世界を獲るんだろ? ……そんな歌じゃ、到底無理だ
彰人:お前、なんでそんなこと知って——
スレイド:もういい
スレイド:——世界を獲るのは、オレ達だ!
スレイド:♪————————!
冬弥:(……! なんだ、この歌は)
こはね:(すごくまっすぐで……何より——)
彰人:…………っ
彰人:(さっきのは、まだ本気じゃなかったのか……!)
スレイド:♪————————! ♪————————!
彰人:………………すげえ
彰人:(なんだ、この感じ……!)
彰人:(……腹ん中から揺さぶられるみてえな、この感覚は……!)
スレイド:♪————————っ!
彰人:(…………負けてられるかよ)
彰人:(——このままじゃ、終われねえ!!)
彰人:♪————————————————!
スレイド:——っ!
彰人:(歌え、今は……! この衝動のままに——!)
彰人:♪————————! ♪————————!
スレイド:あ……!
セドリック:これは……すごいな
彰人:はあっ……はっ…………
彰人:(……なんか、久しぶりに必死に歌ったって感じがすんな)
スレイド:——アキト!
彰人:うおっ! いきなりなん——
スレイド:なんだよ! めっちゃくちゃいい歌歌うじゃん!!
スレイド:ありがとな! ほんっとに最高だったよ!
彰人:お、おう……
セドリック:……さっきは、急にこいつが感情的になって、本当に悪かった
彰人:それは、別に気にしてねえよ。 おかげでオレも、目が覚めたみてえなとこはあるしな
セドリック:……そうか。よかった
彰人:あ……それより、 今言ってた『世界を獲る』ってのは——
セドリック:——そこの君達も。 悪かった。練習の邪魔をしてしまって
彰人:え……
彰人:いたのか、お前ら
冬弥:ああ。途中からだがな
スレイド:え……Vivid BAD SQUAD勢揃いじゃないか! 全然気づかなかった……!
スレイド:うわー。オレ、みんなと話したいことたくさんあるんだよ! えっと、どこから話すかな……!
セドリック:さすがにこれ以上は無理だ、スレイド。 本当に飛行機に乗り遅れるぞ
スレイド:う……! わ、わかってるって!
スレイド:はあ……それじゃ、行こうかセディ。 アキトも、無理なお願い聞いてくれて、ありがとね!
彰人:なんだ、もう行くのか
セドリック:申し訳ないが、時間が迫っていてな
セドリック:だが……俺達は同じ場所を目指しているんだ。 きっと、すぐにまた会えるよ
杏:同じ場所って……
スレイド:そうそう! これだけは言っておかなきゃ!
スレイド:RAD BLASTで聴いたキミ達の歌は、本当にすごかった。 でも——
スレイド:ナギさんの夢の先に行くのは、オレ達だからね!
こはね:え?
スレイド:それじゃあ——アメリカで、待ってるよ!
スレイド:またね!
杏:あの人、今凪さんって……
こはね:うん。……聞き間違いじゃなかった、よね
冬弥:ああ……
彰人:……結局、わかんねえことだらけだったな
彰人:(だが……)
彰人:(……世界には、 あんなヤツらがゴロゴロいるかもしれねえのか……)
彰人:(あんな風に、とんでもねえ歌を歌うヤツらが……!)
彰人:……ん? なんだよ、冬弥。じっと見て
冬弥:いや——
冬弥:いつもの彰人だと思ってな
彰人:——おう

第 8 话:灯った炎は

数時間後
WEEKEND GARAGE
洸太郎:——で、その双子の弟とバトったってわけか!
洸太郎:お前……朝からヘビーなことしてんなあ
彰人:うるせえな
こはね:でも、不思議な人達だったよね。 凪さんのことも知ってるみたいだったし……
洸太郎:え、凪さんのことをか?
冬弥:ああ。去り際に言っていたんだ。 凪さんの夢の先に行くのは自分達だ、と……
洸太郎:なんだよそれ……! もしかして、謙さん達の知り合いなのか?
彰人:さあな。だが……
彰人:『凪さんの夢の先に行く』って言い切るだけの実力はあった
杏:……うん。 あの人の歌、まだ耳に残ってるもん
杏:世界を獲る——それだけの覚悟があるって歌だった
冬弥:……そうだな
彰人:あ、そういや……
彰人:昨日のハコで聞いた、双子の話って覚えてるか?
こはね:えっと、すごくレベルの高いライブハウスを 回ってるっていう……?
冬弥:! 彰人、まさか……
彰人:ああ。その双子ってのが、あいつららしい
彰人:オレ達が修行で行ったハコに、わざわざ出向いてたんだと
杏:そうだったんだ……! たしかに、すごい実力だとは思ったけど……
杏:え、ちょっと待って……なんであの双子が 私達が行ったライブハウスなんて知ってるの?
杏:っていうか、そもそも なんでそんなことしてるわけ!?
彰人:んなもん、オレにわかるわけねえだろ
冬弥:ますます謎は深まるばかりだな……
こはね:うん……。 今わかってるのは、 あのふたりがアメリカに住んでるってことくらい、だね……
スレイド:それじゃあ——アメリカで、待ってるよ!
彰人:アメリカ、か……
こはね:あ、メッセージ? 誰からだろう……
こはね:——え?
杏:どうしたの、こはね
こはね:大河さんからだ……!
杏:え、大河おじさん? 連絡してくるなんて珍しー! なんてなんて?
こはね:えっと……え?
こはね:『今度のイベント、招待席が余ってるから 興味があるなら来るか』って……
杏:イベントって……大河おじさん、今海外じゃ……
こはね:うん。だから……
こはね:——アメリカに、来ないかって
杏:ア……アメリカ……!?
洸太郎:アメリカって……あのアメリカだよな!?
こはね:うん。大河さん達、 今度ニューヨークでイベントをするみたい
こはね:えっと……へ、返信どうしよっか。 お母さん達にも話さないとだし、 自分達だけで行っていいのかどうかも——
彰人:——行く
杏:……え?
彰人:アメリカだろ。 ——オレは行く
冬弥:彰人……
洸太郎:ほ、本気か!? アメリカだぞ? 遠いぞ?
彰人:んなことわかってるっての。 ただ、オレは……
彰人:——世界を、見てみてえ
洸太郎:世界を……
彰人:ああ
彰人:…………今日聴いたあいつの歌は、すごかった
彰人:テクニックも、純粋なスキルも。 とんでもねえレベルで……
彰人:——何より、熱かった
彰人:……お前らも気づいてただろうが、 オレはRAD BLASTが終わってから、 どこか熱くなりきれてなかった
彰人:『RAD WEEKENDを超える』……。 それ以上に熱くなれるものなんてないんじゃねえのかって、 どっかで思っちまってたんだろうな。……情けねえ
冬弥:だが、それは——
彰人:いいんだよ。事実だからな
彰人:……だが、あいつの歌を聴いて、世界は広いと思ったんだ。 あんな歌を歌うヤツらがゴロゴロいるのかって思えて……
彰人:それで——知りてえと思った
彰人:……世界に出れば、もっと広い世界を見れば、 『RAD WEEKENDを超える』っつー夢と同じくらい…… いや、それ以上に熱くなれるものがあるのかもしれねえって
彰人:だから……オレは、世界を見に行く
冬弥:……そうだな
冬弥:世界は広い。 俺達の知らないことが、見たことのない景色が、 きっとまだまだたくさんある
杏:——うん! じゃあ、大河おじさんのイベントと一緒に、 世界を見に行っちゃおうか!
こはね:そうだね。私も——行きたいな!
彰人:お前ら……
冬弥:行こう、彰人。 もっと広い……新しい世界に。4人で
彰人:——ああ!
彰人:(……この先のことは、まだ何もわからねえ)
彰人:(アメリカに行って、何かが変わるわけでもないかもしれねえ)
彰人:(だが、それでも——)
彰人:(オレは進むだけだ。どこまででも)
彰人:(その先に、 オレを突き動かすものがあるかもしれねえなら……)
彰人:(——行ってやる。世界の果てにだってな!)