活动剧情
スマイルオブドリーマー
活动ID:15
第 1 话:笑顔のかげで
フェニックスワンダーランド
ワンダーステージ
司:よし、本日の練習はここまでっ!
えむ:はーいっ♪ 今日の練習もパンパカランランだったねー♪
えむ:でも、もっと練習したいなぁ~。 ……そうだ! 明日の分の練習、今から始めちゃおうよ!
えむ:それで、明日はあさっての分の練習と しあさっての分の練習をするの! どうかな!?
寧々:それ、永遠に2日分の練習することになるでしょ……
ネネロボ:オーバーヒートシテシマイマス
えむ:ん~、それもそっか~
ネネロボ:ソウデス。ユックリ休ムノモ、大切ナコトデス
司:お前、ついにサラっと会話に入ってくるようになったな……
類:しかし、ショーコンテストも次回で最後だ。 今まで以上に力を入れて練習していきたいね
寧々:ま、それはたしかにね。 お客さんが喜んでくれるなら、それで十分だって思うけど——
寧々:それはそれとして、せっかくここまできたんなら、 フェニックスステージを抜いて1位になるしかないでしょ
司:そのとおり! そしてこのショーコンテストで、 我らワンダーランズ×ショウタイムの名を世に知らしめるぞ!
司:……そこで、だ。 明日は演目についてのディスカッションをしようと思う!
寧々:ディスカッション?
司:ああ、類とも話しあったんだが、今回の演目は、 広く意見を取り入れてみてはどうかと思ってな
類:そこで、カイトさん達も交えて ディスカッションをしてみようと思うんだ
えむ:うわ~楽しそうだねっ! いっぱいディスってカッションしようね~♪
寧々:……ちゃんと意味わかって言ってる?
着ぐるみ:——お嬢様
えむ:あれ? 着ぐるみさんどうしたの? まだお迎えの時間じゃないよー?
着ぐるみ:先ほど、お兄様達が早く帰られるとの連絡が入ったので、 お伝えしようと思いまして
えむ:えっ……お兄ちゃん達が?
司:なんだ? どうしたんだ?
えむ:あっ……今日ね、お兄ちゃん達が 早く帰って来るみたいなんだ!
寧々:……お兄ちゃん? えむ、お兄ちゃんがいるの?
えむ:うん……
えむ:お兄ちゃんがふたりと、 お姉ちゃんがひとりいるんだよ!
司:ということは……えむは4人きょうだいなのか
寧々:へえ、なんか意外。 わたしとか類みたいに、ひとりっ子だと思ってた
寧々:ちなみに、どんな感じなの?
えむ:えっとね、一番上のお兄ちゃんはズゴゴゴビシーってしてて、 二番目のお兄ちゃんはチクチクギューンってしてるの!
えむ:それでお姉ちゃんはポヨヨヨヨ~ンってしてるんだよー♪
司:ううむ……わかりそうでギリギリわからんな……
類:三者三様なんだねえ
類:今日は早く帰って来る、ということは、 いつもは遅いのかい?
えむ:うん。お姉ちゃんは大学生だから、 いつもおうちにいるんだけど……
えむ:お兄ちゃん達はここの経営をしてるから、 いつも会食とかパーティーとかで遅いんだよー
寧々:ここの経営って……もしかして、えむのお兄ちゃんが フェニックスワンダーランドの社長ってこと……?
えむ:……うん!
えむ:一番上のお兄ちゃんが社長さんで、 二番目のお兄ちゃんが専務さんなんだ
えむ:それで、お父さんは全部の会社が うまくいってるか見るお仕事してるの
寧々:ええ……それどこのドラマ……?
類:ふむ。鳳家の人間なら、それぐらいの役職に 就いているのは当然のことなのかな
司:ううむ……話を聞けば聞くほどとんでもない家だな……
司:まあいずれにせよ、普段あまり話せない家族が帰って来るなら、 えむも早く帰ったほうがいいだろう
司:あと片づけはオレ達がやるから、 今日は先に帰っていいぞ
えむ:本当!? ありがとう、司くーんっ!
司:うおっ! ええい! いちいち突撃しなければ礼もできんのかお前は!
えむ:えへへへへ~♪
着ぐるみ:…………
鳳家 リビング
えむ:ただいまままままま~っ!!
ひなた:おっ、おかえり、えむ! 今日も元気いっぱいだね
えむ:お姉ちゃんっ♪ ただいま~っ!
ひなた:すぐ夕飯だよ。 お兄ちゃん達ももうすぐ帰って……あ
???:——ただいま帰りました
ひなた:ちょうど帰って来たみたいだね。 おかえりなさい!
えむ:あ……
えむ:……お兄ちゃん達、おかえりなさいっ!
慶介:ああ。 久しぶりだな
晶介:おい、えむ。 こっちは疲れてんだから、そんな大声出すなよ
えむ:あ…………うん
???:——慶介、晶介。帰ったか
晶介:あ……は、はい。父さん……
慶介:はい。今戻りました
えむの父:顔を合わせて夕食をとるのは久しぶりだな。 今日はゆっくりするといい
慶介:はい
えむ:…………
えむ:…………
ひなた:……えむ、このマリネとっても美味しいよ! 料理長もオススメって言ってたし、食べてみなよ
えむ:……ほんとだ! えへへ、美味しいね~♪
ひなた:お母さんも一緒だったらよかったけど、 来週までボランティアでカンボジアだもんね
ひなた:でも、帰って来たらいっぱい話聞こうね
えむ:うんっ!
慶介:——ところで、父さん
慶介:来期の計画についてですが、 変わらず、新規アトラクション増設に向けて動いています
えむ:あ……
慶介:それから間もなく、以前お話していた——
えむの父:——その件は任せる
慶介:はい。ありがとうございます
えむ:……また、新しいアトラクション増やすの?
慶介:ああ。 今の方針では、集客に限界がきているからな
慶介:今回ショーコンテストを開いたことで一時的に集客率は上がったが これが長期的な集客に繋がるかといえば、厳しい
えむ:え……? ショーコンテスト……?
えむ:もしかして、ショーコンテスト、 お兄ちゃんがやろうって言ったの?
慶介:そうだ。集客率を上げる必要があるからな
慶介:うちには大小あわせて10のショーステージがある。 しかし、そのすべてが集客に直結しているわけではない
慶介:ショーユニットにはそれぞれ報酬を払っている。 その報酬に見合った働きをしてもらうためにも、 『コンテスト』というイベントで全体の集客を図ることにしたんだ
えむ:でも、おじいちゃんは『ショーは一番も二番も決めなくていい』 って言ってたのに……
晶介:そんなの気にしてられるか
晶介:今運営してるのは俺達だ。 昔じいさんが言ってたことなんて守ってたら、集客もできないだろ
えむ:だけど……お客さんを集めるなら、もっと他の方法もあるよ!
えむ:あのね、あたしも考えてみたんだけど、 子供向けのアトラクションで 大人も遊べる日を作ってみたらどうかな?
えむ:そしたら、昔うちに来てくれたお客さんが 子供の頃の気持ちになれて、いっぱい通いたくなるかも! あと、駅前でショーをやって宣伝もしたら——
晶介:そんな効果が低そうな施策に 時間と金かけてられるかよ
晶介:父さんのお情けでステージを 残してもらえたからって、あんまり調子に乗るなよ
えむ:でも……!
慶介:えむ。お前が何を言っても、今の方針を変更する予定はない
えむ:…………
ひなた:えむ……
えむの父:…………
えむの部屋
えむ:…………もう、戻らないのかな
えむ:……ううん! あたしがそんな風に思っちゃダメダメっ!
えむ:がんばればきっと、おじいちゃんの遊園地を守れるよね……!
第 2 话:突然の宣告
えむの部屋
えむ:ん~~~~……おはよーっ!!
えむ:おひさまサニサニ! 小鳥さんチュンチュン! 元気いっぱいわんだほい!
えむ:(昨日はちょっと悲しくなっちゃったけど、 もう大丈夫っ!)
えむ:(いっぱいショーをやって、いっぱいお客さんが集まれば、 無理に新しいアトラクション作らなくてもいいんだって、 お兄ちゃん達もわかってくれるはずっ!)
えむ:よーしっ! 今日も1日わんだほいっ!
鳳家 リビング
えむ:おはよ~~~っ!
えむ:あれ? みんないないのかなー。 リビングのほうは……
慶介:——いよいよ明日が視察日か
晶介:ようやく話が動き出したな。 ここまでこぎつけるのに、どれだけかかったか……
晶介:ここもやっとマシなテーマパークになる
慶介:そろそろ、次に取り壊すアトラクションも 決めておいたほうがいいだろう
慶介:さしあたってはトランポリンドームか。 稼働率の低い、幼児向けのアトラクションから取り壊して——
えむ:えっ……!?
一歌:そういえば、咲希はトランポリンドームが好きだったね
咲希:うんっ! 雲の上でジャンプしてる感じが とっても好きだったんだ~
司:ああ、小さい頃からそうだったな……。 ここに来たら毎回トランポリンドームに入るんだが、 2回、3回と入りたがって駄々をこねるんだ
えむ:ま……待ってーーーーー!!
晶介:う、うわ……えむ!?
えむ:また壊しちゃうの!?
えむ:お客さん集めるために新しいアトラクションがいるってことは わかるよ! でも……!
えむ:トランポリンドームが好きな子、いっぱいいるよ! なくなったらみんな悲しんじゃうよ!
晶介:……悲しんじゃう? あんな場所にそこまで愛着ある奴いるわけないだろ
えむ:いるもん! あたしの友達に、大好きな子が——
晶介:あーはいはい。そりゃ、少しぐらいはいるだろうな。 だとしても、どうせすぐ忘れるさ
晶介:明日の提携が決まれば、新しいアトラクションが じゃんじゃん増えるからな。 どうせそっちで遊ぶようになるだろ
えむ:提携ってなんのこと!? あたし、聞いてないよ!
晶介:なんでえむに話す必要があるんだよ
えむ:だって……!
慶介:……わかった。説明しよう
慶介:俺達は明日、ライリー・エンターテインメント社と、 キャラクターの使用許諾契約を結ぶ予定だ
慶介:知っているだろうが、ライリー・エンターテインメント社には 映画製作・配給の部門があり、多くのヒット映画と 人気キャラクターを生み出している
慶介:これからフェニックスワンダーランドは、 それらのキャラクターを中心に据えた展開をしていくことになる
えむ:……なんで!? うちにだってフェニーくんやポチ公くんがいるのに……!
晶介:あんな幼稚なキャラクター、 いつまでも使ってられるか
慶介:事実、ライリー・エンターテインメント社のキャラクターは 若年層に絶大な人気を誇っている
慶介:若年層に刺されば、評判はSNSで拡散されていく。 結果、多額の宣伝費を費やすよりも より効果的な集客が可能になる
えむ:宣伝ならあたしもショーで協力するよ!
慶介:これまでもアトラクションを改装したりと手は尽くしてきたが 決定的な集客率回復には繋がらなかった
慶介:だからこそ、テーマそのものから変えていく必要があると踏んだ。 そして、この方針にそぐわないアトラクションは、 順次解体していくことになる
えむ:で、でも……!
慶介:これは経営戦略上必要なことだ
慶介:安心しろ。ワンダーステージは、計画の中心部にない。 集客ができるうちは——
えむ:違うよ……そういうことじゃないよ、お兄ちゃん!
えむ:ここは、来てくれる人みーんなが笑顔になれる 場所じゃなきゃ……!
晶介:あのなぁ、いつまでじいさんみたいなこと言ってるつもりだ? そんな古臭いこと言ってるから客が集まらないんだろ!
えむ:……たしかに、古いかもしれないよ
えむ:うちは他のおっきなところに比べたらアトラクションも少ないし、 今のままじゃお客さんは集まらないかもしれない……!
えむ:でも、今までここに来てくれてたお客さんは、 トランポリンドームにもお化け屋敷にもいっぱい思い出があって、 大事に思ってて……!
えむ:あたしは、そんなお客さん達のことも大事にしたい!
えむ:それが、ここをもっといい遊園地にするために、 必要なことだって思うの!
慶介:——理想家だな
慶介:だが、理想だけで生きることはできない
えむ:でも……!
ひなた:どうしたの? 大きな声がしたけど……
えむの父:——朝から騒がしいぞ
えむ:お姉ちゃん……お父さん……!
えむ:お兄ちゃんが、他の会社と提携して、 今あるアトラクションを潰しちゃうって……
ひなた:え……!?
えむの父:……その話か
えむ:お客さんを集めるために、 新しいアトラクションが必要なのはわかるよ
えむ:でもあたし、今まで来てくれたお客さん達が がっかりしちゃうことは、しちゃダメだと思うの!
えむ:おじいちゃんはずっと……、 ここはみんなが笑ってられる場所にしたいって言ってたから——
えむの父:——えむ
えむの父:経営とは、そういうものだ
えむ:……!!
晶介:やっとわかったか? お前のワガママでどうにかなる話じゃないんだよ
ひなた:えむ……
えむ:(どうしよう……このままじゃ、 みんなの思い出の場所、全部なくなっちゃう……!)
えむ:(なんとかしたいけど……でも、でも……!)
ワンダーランドのセカイ
司:——よし! これで全部だ!
ミク:うわーっ☆ 本、たっくさんあるね~!
類:ああ。せっかく演目の内容を話しあうならと思って、 みんなが持っている戯曲をすべて集めてみたんだ
KAITO:決めるのが大変そうだけど、 こんなに読めるなんて楽しみだな
寧々:じゃあまずはこれから見て、 1本ずつ話しあってみる?
えむ:……うんっ!
えむ:…………
司:たしかに、たーしーかーにー、この本は悪くない! だが、ラストの展開が突飛過ぎるだろう!
類:おやおや、司くんほどの人物が、 このシーンの意味を読み解けないとはねえ
寧々:っていうか、最初のヤツのほうがいいんじゃない? わかりやすいし、展開もおもしろいし……
ネネロボ:ソウデス。ネネの言ウトオリデス
ミク:ミクは絶対これがいいと思うよ~☆ いーっぱい歌えるもんっ♪
MEIKO:あはは、みんなすっかり熱くなってるわね~!
KAITO:……おや? えむちゃんの姿が見当たらないような……
えむ:…………
レン:——えむちゃん?
えむ:わっ!! あっ、レンくん、リンちゃん……!
リン:えむちゃん、どうしたのっ? もしかして元気ない~?
えむ:う、ううん! えっと、お腹いっぱいで眠くなっちゃったんだー!
えむ:でももう元気だよ! ほらっ!
えむ:それじゃあ、そろそろステージに戻らなくっちゃ! バイバ~イ!
リン:あっ、行っちゃった!
レン:……なんだか元気なさそうだったけど、 ほんとに大丈夫なのかな?
司:ん? そういえば、えむはどこだ? こういう時は耳栓が必要なほどやかましいはずだが……?
MEIKO:あら? さっきまではいたと思うんだけど……。 えむちゃーん!
えむ:じゃじゃーんっ! ここだよーっ!
寧々:えむ、どこに行ってたの?
えむ:え、えっとー……お腹いっぱいでウトウトしちゃってたから ちょっとお昼寝してたの!
寧々:ええ……自由すぎない?
類:まあいいじゃないか。 えむくんも交えて、もう一度話を整理していこう
類:ところで、ふと思いついたんだけど……。 舞台一面にトランポリンを置いてみたら 面白そうじゃないかい?
司:おお! それはいいアイディアだな! 見た目からして派手だ!
司:それにきっとショーを見た子供は あのトランポリンドームで遊びたくなることだろう!
えむ:あ……
寧々:たしかにね。 ショーを見たあとにあそこに行ったら、 普通に遊ぶよりもっと楽しくなりそう
KAITO:うん。ショーの演出と今あるアトラクションとを 結びつけるのは、とてもいいアイディアだね
ミク:うんうんっ! もーっと楽しくなって、素敵な思い出作れちゃうね~♪
えむ:……やっぱり、壊しちゃうなんてダメだよ
えむ:もっとちゃんと話さなくっちゃ……!
第 3 话:たとえ“理想”だとしても
翌日
ワンダーランドのセカイ
司:さあ、今日こそバシっと決めるぞ!
KAITO:やあ、いらっしゃいみんな。 今日も次の演目についての話しあいだね?
司:ああ。結局昨日は揉めに揉めて、 決着がつかなかったからな……
ミク:あれ? えむちゃんは?
寧々:えむは今日、家の用事があるみたい
ミク:そっか~。残念だな~
MEIKO:私もえむちゃんに会いたかったけど……。 用事があるのなら仕方ないわね!
類:議論が行き詰まっているから、枠に囚われない えむくんの視点がもっとほしいところだったんだけどね
司:なあに、えむのヤツが大喜びするような 素晴らしいものを選べば問題ない!
司:それでは、ディスカッションスタートだ!
司:はぁ……はぁ……はぁ……
司:お前ら、頑固すぎるだろう……!
寧々:はぁ……そういうアンタだってバカのひとつ覚えみたいに 『これだ! これしかない!』しか言ってないでしょ……
類:いやあ、見事な平行線だねえ。 そうだ、ここはぬいぐるみくん達にも意見を聞いて 多数決をとるのはどうだい?
寧々:へぇ……? このあいだあの子達の遊び相手になってたのはそういうこと?
類:おやおや、心外だな。 僕はただぬいぐるみくん達と親睦を深めていただけだよ
司:搦め手など卑怯だぞ類! 正々堂々と戦え!
類:ああ、そんな……! 疑いの眼差しを向けられて、 僕の心は千々に引き裂かれてしまいそうだよ……!
寧々:絶対1ミリもこたえてないでしょ……
レン:あっ、みんなー! 来てたんだね!
司:おお、レン、リン!
リン:……あれ? 今日はえむちゃんいないの?
寧々:あ、えむなら今日は休みで……
レン:休み? えむちゃん、やっぱり何かあったの?
寧々:……やっぱり? それってどういうこと?
レン:昨日、えむちゃんがひとりで悲しそうにしてたから、 ちょっと気になってたんだ
リン:うん! いっつもニコニコしてるから、 昨日はびっくりしちゃったね!
寧々:えむが、悲しそう……?
司:おやつに持って来たたい焼きを落としたとか、 そういうことじゃないのか?
寧々:でもそれなら、 『えーん寧々ちゃ~ん!』って飛びついてきそう
寧々:……何かあったのかな?
類:そうしたら、明日の練習の時に話を聞こうか。 もし何か困っているようなら、僕達が力になればいい
司:ふむ……そうだな! 場合によっては、座長として力になってやろう!
ワンダーステージ
寧々:結構話してたから、ずいぶん暗くなっちゃった
ネネロボ:足下を、ライトアップシマス
寧々:ふふ。ありがとう、ネネロボ
類:暖かくなってきたとはいえ、 まだまだ日が落ちるのは早いね
司:そうだな。気を緩めず、体調管理に気をつけねば! 今日はまず帰ったら——
???:——ふざけるな!!
寧々:……何? 今の声
類:なかなか迫力のある怒声だったね
司:園内でケンカか? とにかく、行ってみるぞ!
フェニックスワンダーランド
晶介:視察直前にまでやって来て、 “やっぱり提携は考え直そう”だと?——
晶介:この提携が決まれば、 どれだけの資金が動くと思ってんだ!?
晶介:お前が考えたくだらない施策なんかとは 比べものにならないんだぞ!!
慶介:…………
えむ:やっぱりあたし——おじいちゃんとの約束を守りたいの……!
えむ:トランポリンドームにお客さんが集まらないなら、 みんなが来たくなるようにがんばるよ!
えむ:ワンダーステージのみんながね、 アトラクションに乗りたくなるようなショーを考えてくれてるの!
えむ:そうすれば遊びに来てくれる人も増えるし、 みんなも笑顔になれる。 おじいちゃんのフェニランを守れるし、集客もできるよ!
晶介:あのなぁ……
えむ:今あるアトラクションを壊さないまま お客さんを集める方法、他にもいっぱい考えてきたの! だから——
慶介:えむ。それは俺達の仕事だ。 お前が口を挟むことではない
慶介:そして——この提携が、俺達が導き出した最善の方法だ
えむ:で、でも……っ!
晶介:いい加減にしろ!!
晶介:何が“みんなの笑顔”だ!! そんなものにいつまでもこだわってるから、 どんどん客も寄りつかなくなってんだぞ!!
慶介:……ああ。結果がすべてだ。 理想に固執するのはもうやめろ
えむ:……っ!!
司:あれは……もしやえむか?
寧々:一緒にいるスーツの人達、誰……?
司:おい、えむ!
えむ:あ、みんな……!?
司:どうした? 何かトラブルか?
えむ:えっと、えっと……!
寧々:ア……アンタ達、誰? なんでえむに怒鳴ってんの?
晶介:誰も何も、家族だ! 誰だか知らないが、そっちこそ口を挟むな!
寧々:家族……?
類:ではあなたがたは——えむくんのお兄さん達ということですか?
類:えむくんとショーをする仲間として、 ぜひ知っておきたいのですが
慶介:ショー……? そうか。君達は、ワンダーステージのキャストか
晶介:あぁ……あのボロステージの
司:……何?
晶介:ったく、余計な真似を……。 お前らがいなければあのボロステージも潰せたってのに
晶介:そうすりゃえむだって、さっさと諦めて——
司:——その『ボロステージ』という発言、撤回してもらおう!
晶介:……は?
司:たしかにワンダーステージは古い。 いつ倒れるかと心配になるほど古い!
司:だがあのステージは我らワンダーランズ×ショウタイムの 礎となるメインステージ! 侮辱されたとあっては、座長として黙っておけん!!
えむ:司くん……
晶介:なんだと? 雇われキャストの分際で……
類:……司くん、そこまでにしておいたほうがいい
類:僕達は、雇用されている身だ。 ここで口論をするのは……
晶介:フン。そっちの奴はそこそこ賢いみたいだな
晶介:話が通じそうだから、一応忠告しておいてやる。 これ以上うちのバカな妹につきあってもロクなことにならないぞ
類:——と、言いますと?
晶介:そいつは現実を見ないで、 夢ばっかり見てるってことだ
晶介:……昔っからそうだ。空を飛ぼうとか、虹を捕まえに行こうとか、 夢みたいなことばっかり言い出して、周りを振り回して——。 結局酷い目にあうのはこっちだ
晶介:えむ。そんなに夢が見たけりゃ、ひとりで見てろ。 これ以上俺達を巻きこむな!
えむ:…………!
類:…………
寧々:ちょっと……!
類:——ああ
類:あなたは夢をお持ちではないんですね
晶介:……何?
類:夢がないとはお可哀想に。 それでは理想を持つこともかなわないですからね
類:……それとも、理想を追い求める過程で それを諦めてしまったのでしょうか?
慶介:…………
晶介:何わけのわからないことを言ってる?
類:すみません。ただ、夢想家が愚かという発言に 少し疑問を感じてしまいまして
類:夢を見続けることは、それはそれで過酷ですからね
晶介:…………
類:ご安心下さい。 妹さんはその点、実に優れた人物です
類:誰もが叶わないと手放した夢すら見続けることができる、 そんな人物です。ですから——
類:これ以上俺達の仲間を侮辱するのは、やめて頂きたい
晶介:な……っ!
えむ:る、類くん! あたしは大丈夫だよ! 大丈夫だから……!
慶介:……もういいだろう、晶介
慶介:これ以上時間を使っている暇はない。 もうすぐ先方が到着される時間だ
晶介:だけど兄貴……!
慶介:行くぞ
第 4 话:希望の行方
フェニックスワンダーランド
えむ:……みんな、お兄ちゃん達がごめんね……
寧々:えむが謝ることじゃないでしょ
類:ああ。 それにこちらこそ、えむくんのお兄さん達に 不躾な態度をとってしまって悪かったね
類:まあ——彼らには相応の態度だったと思っているけどね?
寧々:うん。わたしもそう思う
司:……一体、何があった
司:どうしてえむの兄達は、 あんなことを言ったんだ……!
えむ:それは…………
類:……よかったら、事情を聞かせてくれないかい?
寧々:うん
えむ:みんな……
えむ:(でも……)
類:しかし、ショーコンテストも次回で最後だ。 今まで以上に力を入れて練習していきたいね
寧々:ま、それはたしかにね。 お客さんが喜んでくれるなら、それで十分だって思うけど——
寧々:それはそれとして、せっかくここまできたんなら、 フェニックスステージを抜いて1位になるしかないでしょ
司:そのとおり! そしてこのショーコンテストで、 我らワンダーランズ×ショウタイムの名を世に知らしめるぞ!
えむ:…………
えむ:……えへへ、全然大変なことじゃないよ~!
えむ:ちょっとケンカしちゃったの! でも、大丈夫! ちゃーんと仲直りできるから!
司:どう見ても、そんな簡単な話ではなかっただろう!
類:そうだね。えむくんのお兄さん達は、ここの経営にも携わって いるんだろう? そのことで何か……
えむ:司くん、類くん……
えむ:(みんなに、言ってもいいのかな……)
えむ:(みんななら、受け止めてくれるかな……)
えむ:(だけど…………)
えむ:もー! だいじょーぶだよ~!
えむ:あたしが、ちょっとお兄ちゃん達のこと、 怒らせちゃっただけだから……
司:だが——!
えむ:ほんとのほんとに大丈夫だからっ!
寧々:えむ……
えむ:……あ! 明日も練習あるし、もう帰らなくっちゃ! それじゃあ、みんなばいばーい!
司:あ、おい! えむ!
寧々:あ……
えむの部屋
えむ:…………
えむ:(みんなに、心配かけちゃった……)
えむ:(みんなには、いっぱいショーして、 いっぱいキラキラ笑顔でいてほしいのに……)
司:あのな! お前は“みんな”を笑顔にしたいんだろ!?
司:それで、お前が泣きそうになって、どうすんだよ! えむだって、お前のじいさんが言ってた“みんな”だろ!?
えむ:…………だけど
えむ:こんなにおっきなこと話したら……困らせちゃうよ……
ひなたの声:えむ、入っていい?
えむ:あ……うん
ひなた:……視察の前にお兄ちゃん達に会いに行ったって、本当?
えむ:…………ごめんなさい
ひなた:……ううん。 気持ちはわかるよ
ひなた:変わっちゃうのは、やっぱり寂しいもんね
えむ:……っ
えむ:もう、無理なのかな……
えむ:おじいちゃんとの約束、守れないのかな……
ひなた:…………。 お父さんも、決めちゃったからね……
えむ:…………
ひなた:でも、おじいちゃんは悲しんでないと思うよ。 えむが、ワンダーステージを守ってくれたから
えむ:え?
ひなた:お客さんがあまり来なくなって、 そんなだからキャストも辞めていっちゃって……
ひなた:お父さんやお兄ちゃん達が、もう残しておいても 採算がとれないって言った時、私は、仕方ないなって思ったの。 寂しいけど……これが現実なんだって
ひなた:でも、えむは、ひとりでも頑張ってくれたでしょう?
ひなた:お客さんが来なくてもひとりでショーをしたり、 面接会場に行って、力を貸してくれそうな人を探したり……
えむ:……うん
ひなた:そうやってえむが友達とあそこを守ってくれて、 私、本当に嬉しかったの
ひなた:きっとおじいちゃんも、喜んでくれてると思うよ
えむ:おじいちゃん……
えむ:やっぱり、諦めたくないよ……
えむ:おじいちゃんとの約束も、家族みんなで遊んだ思い出も、 全部、全部あそこにあるから……!
えむ:こんな風に変わってほしくないよ……
ひなた:……うん。そうだね
ひなた:私も、あそこが好きだよ
ひなた:家族みんなで一緒に行った、 あの頃のフェニックスワンダーランドが——
えむ:お姉ちゃん……
えむ:(やっぱり、だめだよ。 おじいちゃんの遊園地を守らなきゃ)
えむ:(守らなきゃ、いけないのに)
えむ:(これ以上、あたしに……何ができるのかなあ)
第 5 话:話してほしい
翌日
神山高校 校門
司:待たせたな、寧々
寧々:ほんと、待たせすぎ。 校門来るまでどんだけ時間かかってんの? 股下10センチ?
司:し、仕方ないだろう! 担任に用事を頼まれたんだ! あとオレの足はすこぶる長い!!
寧々:はいはい……
類:えむくんのことが心配かい?
寧々:……わかってるならいちいち聞かないでよ
類:これは失礼
司:……なるほど、妙にイライラしていると思ったらそういうことか。 尚更、待たせて悪かったな
寧々:……急に謙虚になるとか、気持ち悪いんだけど
司:な、なんだとー!?
司:そっちこそ多少は謙虚になったらどうだ! あと、暴言を吐かずに対話をしろ! 対話を!
寧々:あーもーうるさい!
寧々:だってなんか……どうしたらいいのかわからなくて……!
類:そうだね。 えむくんは事情を話してくれないし——
類:かといって、無理に聞き出すというのも難しそうだ
寧々:いつもは、なんだってペラペラ話すくせに……
司:…………いや。 えむは、ああ見えて——
えむ:だってみんな、ショーを作るのに一生懸命だったでしょ?
えむ:おじいちゃんが言ってたの。ショーにはいろんな人が必要だけど、 みんなが思いっきりショーができるように考えてがんばる人が、 ひとりは絶対に必要なんだよ……って
司:……おおごとを抱えている時ほど、話そうとしない
司:だからきっと今回もそうなんだろうが……
類:あの調子じゃ、そう簡単には話してくれないだろうね
類:もう少し、方法を考えてみる必要がありそうだ
寧々:…………
ワンダーステージ
えむ:あっ、みんなー! 遅かったねー!
えむ:あたしもう準備バッチリだよー☆ 早くセカイに行こーっ!
類:ああ、そうだね
寧々:…………わたし、着替えてくる
フェニックスワンダーランド
寧々:……はぁ
ネネロボ:ネネ、大丈夫デスか?
寧々:……うん。 だけど……
えむ:ねーねちゃんっ!
寧々:わっ……! な、なに
えむ:あのね、あたし寧々ちゃんのこと、 もっと知りたいって思ったの!
寧々:え? わたしのこと?
えむ:うん! 寧々ちゃんは昔からショーやってるんだよね? どんなショーやってたの? どのショーが一番好き? それから……
寧々:ちょ、ちょっと、そんないろいろ聞かれても 答えられないってば
類:そうしたら、ここで休憩をはさもうか。 そのあいだに話をしたらどうだい
類:思い出話に花を咲かせるのも、 たまにはいいだろう?
寧々:……はぁ。 休憩のあいだだけだからね
えむ:やったぁ!
寧々:(あの時は、えむのおかげで、ヒントをもらえたんだよね。 だからわたしも——力になりたいのに)
寧々:(……人のことはあれこれ聞くくせに、 自分のことになると、なんで全然しゃべんなくなるわけ?)
寧々:(そりゃ、すごく重い悩みだったら、 わたしだって簡単には話せないけど……)
寧々:(でも……それなら余計、話してほしい)
寧々:はぁ……
寧々:……わたしだって、えむの力になりたい
寧々:えむが困ってるなら相談に乗りたい
寧々:でも、どうやって伝えたらいいのか、わからないよ……
ネネロボ:了解シマシタ
寧々:え?
ネネロボ:只今のメッセージを、エムに伝エマス
寧々:は? え?
寧々:ちょっ……待って!! どこ行くの!?
ネネロボ:只今のメッセージを、エムに伝エマス
寧々:メッセージって……類のヤツまた新しい機能つけたわけ!? ネネロボをプロンプターにでもする気!?
寧々:くっ……追いかけなくちゃ!
えむ:(やっぱり、みんなに心配かけちゃってるよね……)
えむ:(ほんとはみんなに話したいけど……でも……)
えむ:(やっぱりみんなには、 大好きなショーをがんばっててほしいな……)
えむ:……あれっ? 何かこっちに……ネネロボちゃん?
寧々:ハァ……ハァ……! ネネロボ、待って……!
寧々:と、止まっ……止ま……!!
寧々:ネネロボー!!!! ストーーーーップ!!!!
ネネロボ:——停止シマス
寧々:や、やった……! あっ!
えむ:む? そんなに急いでどうしたの? ネネロボちゃん
寧々:え、えむの目の前に……!!
ネネロボ:メッセージを再生シマス
寧々の声:『……わたしだって、えむの力になりたい』
寧々の声:『えむが困ってるなら、相談に乗りたい』
えむ:ほえっ?
寧々:……………………………………え……っと
寧々:……そういうことだから
寧々:なんか事情があって、 話せないのかもしれないけど……
寧々:話したくなったら……ちゃんと話してよね……
えむ:寧々ちゃん……
寧々:……じゃ!
えむ:…………
えむ:(……やっぱり……話したいな)
えむ:(寧々ちゃん達だったらきっと、 あたしの話を聞いてくれて、一緒に考えてくれて——)
えむ:(だけど…………)
第 6 话:涙のような笑顔より
ワンダーランドのセカイ
司:——ということがあったんだが、 どうすればいいのか、見当もつかなくてな……
司:一体どうすれば、えむは話してくれるのか……
KAITO:……なるほど。 そんなことがあったんだね
KAITO:司くん達が聞いても話さないっていうことは、 えむちゃんも、何か話せない理由があるんだろうね
類:どうやら家の問題であることは 間違いないようなんだけどね
MEIKO:そうだったの。かなり深刻みたいね……
ミク:それで、えむちゃんはどこにいるの? 一緒に来たんだよねっ?
寧々:途中まで一緒だったんだけど、『演目が決まらないなら、 実際にやってみて決めようよ』って言い出して、 ……今は小道具集めに行ってる
寧々:わたしも行くって言ったんだけど、大丈夫って言われて……。 やっぱり、避けられてるのかな……
えむ:ん~。戦うシーンは、この剣があればできるかな? あとは……
えむ:…………
えむ:……う~……わんだほいわんだほいっ!
えむ:(しょんぼりしちゃダメダメっ! あたしがしょんぼりしたら、みんなもっと心配しちゃうもん!)
えむ:(みんなに笑顔になってほしいなら、 あたしが笑顔にならなくっちゃ!)
えむ:(だから笑って……)
えむ:(笑ってたいのに……)
レン:あっ、えむちゃん!
えむ:……レンくん?
レン:よかったー! 今日は来てくれたんだねっ!
リン:えむちゃん、はっけーん♪ みんなこっちこっちー!
ぬいぐるみ達:『エムチャン! エムチャーン!』
えむ:わわわっ! リンちゃんに、ぬいぐるみさん達も? みんな、どうしたの?
レン:このあいだ、えむちゃんが元気なさそうだったから、 ずっと心配だったんだ
リン:大丈夫っ? 困ってることがあったら、リンになーんでも言ってね?
えむ:……えへへっ、大丈夫だよ!
えむ:ほらほらっ、こーんなに元気でしょ? 元気モリモリの森のくまさんだよ~♪
レン:……ねえ、えむちゃん
レン:もしかして、何か悩んでるの?
えむ:え? なんで……
レン:いつものえむちゃんの笑顔と、 ちょっと違うなって思って
リン:うんうん! リンにもそう見えるっ!
えむ:あ……
レン:——ねえ、えむちゃん。 悲しい時は、笑顔でなくたっていいんだよ!
えむ:え?
リン:うん! レンの言うとーりっ!
リン:リン達はね、みーんな困った時は、 困ったーって顔してるよっ♪
リン:そうするとね、みんなで助けよ~ってなるから!
レン:もし、えむちゃんが笑顔じゃなくなっちゃう時は、 ボク達みんながえむちゃんを助けるよ!
レン:だから、無理に笑わないで大丈夫っ!
ぬいぐるみ達:『ソウダヨ~!』
えむ:……助けに……
寧々の声:『……わたしだって、えむの力になりたい』
寧々の声:『えむが困ってるなら、相談に乗りたい』
寧々:……そういうことだから
寧々:なんか事情があって、 話せないのかもしれないけど……
寧々:話したくなったら……ちゃんと話してよね……
えむ:(……寧々ちゃんも、そういうことが言いたかったのかな)
えむ:(もしそうなら……。 やっぱり、話したほうがいいのかな……)
スクランブル交差点
司:うーむ……
司:結局どうすればいいのかわからんまま 1日が終わってしまった……
司:……えむのヤツめ。 何か困っているのなら、大人しく話せばいいものを
司:というか、未来のスターたるオレに頼らずして、 誰に頼るというのかッ!
司:あの時だって、あいつはギリギリになるまで何も——
司:……あの時?
司:そうか——その手があったか
翌日
フェニックスワンダーランド
えむ:…………うん
えむ:やっぱり、ちゃんとみんなに話そう……!
えむ:お兄ちゃんは、他に方法はないって言ってたけど、 みんなに相談に乗ってもらえば、きっと……!
えむ:きっと…………
晶介:えむ。そんなに夢が見たけりゃ、ひとりで見てろ。 これ以上俺達を巻きこむな!
えむ:だけど……
えむ:みんなには、ずっと、笑っててほしいな……
類の声:『心配しなくとも、えむくんがいれば、 みんなはいつでも笑っているよ』
えむ:うゃっ!? る、類くん?
えむ:あれ? でもどこにも……
えむ:わ! もしかして、ドローン?
類の声:『ああ、上から失礼。 えむくんを探すなら、こちらのほうが効率がいいと思ってね』
えむ:探す? あたしのことを探してたの?
類の声:『うん。ちょっと来てほしいところがあってね。 よければ、このドローンについて来てくれないかい?』
えむ:…………?
えむ:(こっちって、もしかして……)
えむ:(やっぱり、観覧車のほうだ……!)
司:やっと来たか! 待ちくたびれたぞ!
類:さあ、主役のお出ましだよ。 このあとの段取りは聞いていないけれど、 どうするんだい? 司くん
えむ:えっと……どうしてみんなここにいるの?
司:それはもちろん、この観覧車に乗るためだ!
えむ:ほえ?
類:ほう、それはいいね。楽しそうだ
寧々:アンタがどういうつもりかよくわかんないけど……
寧々:前遊んだ時は乗らなかったしね。 ……一緒に乗らない?
ネネロボ:乗リマショウ! 乗リマショウ!
えむ:あ……うん
司:よし! それでは一同、乗りこむぞ!!
えむ:…………?
第 7 话:守りたい場所
フェニックスワンダーランド
観覧車
えむ:…………
えむ:(司くん、なんで急に観覧車に乗ろうって言ったのかな……)
寧々:へえ、結構高くまで昇るんだ
類:そうだね。まだ半分程度だけれど、 十分園内が見渡せるね
えむ:(園内……)
えむ:…………あ
えむ:(おさかなコースターに、ビニールシートがかかってる……)
えむ:(……あそこも壊しちゃうのかな)
えむ:(乗るところがかわいいおさかなさんの形してて、 ちっちゃい子がいっぱい遊んでて……)
えむ:(みんな……楽しそうだったのに)
えむ:(あっちのメリーゴーランドも古いから、きっと……)
司:えむ
司:あそこを見てみろ
えむ:……?
えむ:あそこって……ワンダーステージ?
えむ:(あれ? ワンダーステージだけ、 なんだかちょっと違って見える……?)
えむ:(前はもっと、さみしい感じだったのに……)
えむ:(あ……そっか。 お客さんがいるから、さみしくないんだ)
えむ:(あ。もうちっちゃい子が入口の前で待ってる)
えむ:(あっちの子は制服だから、学校帰りの子かな)
えむ:(いっぱいキラキラな笑顔が見えて—— おじいちゃんがいた時みたい)
司:前とはまるで違うだろう
司:——潰れそうだったステージが、今では連日満員御礼の大盛況!
司:さらに、園内ショーコンテスト1位の座も目前!
司:そして何より! 日々数えきれないほどたくさんの笑顔を生み出している!
司:これぞまさに、オレ達ワンダーランズ×ショウタイムの 真の力といえよう!!
司:そして……そこから導き出せる事実がある
えむ:……事実?
司:そう! それはつまり——
司:オレ達に、できないことはないということだッ!!
類:おやおや、急に話が飛躍したねえ
寧々:ま、いつものことだけど
司:——いいか、えむ
司:何を悩んでるか知らんが、前ここで話したことを忘れるな
司:お前がみんなを笑顔にしたいように、 オレ達だって、お前を笑顔にしたい
司:それに、今回ここにいるのはオレとお前だけじゃない。 寧々と、類と、ネネロボもいる
司:だから、お前から笑顔を奪っているものを教えてくれ
司:そいつを、一緒になんとかしようじゃないか
えむ:…………!
類:司くんの言うとおりだよ。 僕達はえむくんに、いろいろなものをもらっているからね
類:たまには、僕達にもお返しをさせてほしいな
寧々:……うん
寧々:わたし達にも何かさせてよ、えむ
えむ:みんな……
えむ:(どうしよう、おじいちゃん……)
えむ:(あたし……泣いちゃいそうだよ)
えむ:(おじいちゃんとお別れしてから、 もう泣かないって決めてたのに——)
えむ:(みんなも、あたしのこと笑顔にしたいって 言ってくれてるのに——)
レン:無理に笑わないで大丈夫っ!
えむ:……っ!
えむ:みんな……ありがとう……っ
第 8 话:反撃ののろし
ワンダーステージ
えむ:——それで、あんなことになっちゃったの……
寧々:企業提携して、映画のキャラクターを使った テーマパークにする……か
寧々:今時よくあることだけど、 いらないアトラクションを全部壊しちゃうなんて……
類:しかも、契約日は間もなく……。 まさかそこまで差し迫っていたなんてね
えむ:ちゃんと話さなくって、ごめんなさい……
えむ:みんなショーコンテストで1位取ろうってはりきってるのに こんなこと言ったら、悩ませちゃうから……
えむ:それでみんなが笑顔じゃなくなっちゃったら、 すごく……イヤだなあって……
寧々:……バカだな、えむ。 そんな風になるわけないじゃん
司:そうだッ!! このオレの清々しい笑顔は、 ちょっとやそっとのことでは曇らんッ!!
寧々:ネネロボ、測って
ネネロボ:——95デシベル。犬の吠エ声レベルデス
司:なんだその機能は!?
寧々:ま、あいつもああ言ってるし、 わたし達のことは気にしなくていいよ
寧々:むしろ……えむの力になりたいから、 話してくれたほうが嬉しい
類:ああ、えむくんがいなければ、 今の僕達はいないんだ
類:ここはひとつ恩返しといこうじゃないか
司:そのとおり!! それでは早速、この状況を打破するための 作戦会議だ!
司:うーーーーむ、しかし、企業との提携か……
寧々:実際、わたし達にできることって何があるんだろ。 方針を変えさせないように、今のフェニランが好きな人から 署名を集めたり……とか?
類:しかし、彼らは行政機関ではないからね。 いくら声を集めたところで、受けつけられなければ無意味だ
類:経営が苦しいのも事実だろうし、今の状態を守った結果、 フェニックスワンダーランドがなくなってしまっては意味がない
司:フェニックスワンダーランドでありながら、 存続のために、何かを変える必要はある……ということか
類:それに、経営のことを考えると、えむくんのお兄さん達の アイディアはとても現実的なものだ
類:契約料がかかっても、知名度の高いキャラクターを据えれば 十分な集客が見こめるし、他のパークとの差別化もしやすい
類:それだけに、覆すにはそれなりの方法が必要になるだろうね
えむ:やっぱり……難しいよね……
司:いいや! 何も難しいことはない!
司:経営がどうの集客がどうのと言っているが、 客はみんな、“笑顔になりたい”という気持ちでここに来る!
司:ならば——万人に笑顔を届けるオレ達だからこそできることが、 必ずある!!
えむ:司くん……
寧々:ふふ、どうせ根拠はないんだろうけど、 アンタが言うとそんな気がしてくるかも
類:……僕達だからこそ、か
類:そういうことなら——話は難しくないかもしれないね
寧々:え?
えむ:ほんとっ!?
類:ああ。僕らがすべきことは、至ってシンプルさ
類:つまり——今以上のショーをするんだ
えむ:今以上のショー……?
類:フフ。まあ、まだ形にはなっていないけれど、 有効な策はある、というところかな?
司:まったく、お前はいちいちもったいぶりおって……
類:観客を焦らすのは演出の基本だからねえ
司:……まあいい。 お前がニヤついている時は、大抵いいショーができるからな!
類:いやあ、信頼してもらえているようで嬉しいよ
司・類:『ハーッハッハッハ!』 『フッフッフッフ!』
寧々:……はぁ。どうせまたロクでもないこと 考えてるんだろうけど……
寧々:ま、こういう時は頼りになるかもね
えむ:……うん!
えむ:(みんな、すごいなあ……!)
えむ:(あたしだけだと、どうすればいいのかわからなくって、 なんにもできなかったけど……)
えむ:(みんながいてくれたら、なんでもできちゃう気がする)
えむ:……えへへ
寧々:どうしたの?
えむ:えっと……ポカポカーってしてるんだ!
寧々:ポカポカ?
えむ:うん! みんなに話す前は胸がムギューってしてたけど、 みんなに話したらポカポカーってして……
えむ:う~ん、なんだか上手に言えないな~!
寧々:……ふふ。今のはわかったよ
えむ:ほんとっ?
寧々:うん。ほんと
司:よし! それでは全員ステージ上に集合ッ!
寧々:え? なんで?
司:無論、士気を高めるためだ!
司:ここから必要なのは我々の団結力! ならば今こそまさに鬨の声を上げる時!
えむ:ときのこえ?
類:つまり僕達でいう、わんだほいってことだよ
えむ:おお~! やりたーい! じゃあ、あたしやるね~!
司:何? 待てえむ! ここは座長であるこのオレが——
えむ:せーのっ!
えむ:みんながんばろ、わんだほーい!
寧々・類:『わんだほーい!』
ネネロボ:ワンダホーイ!
司:わ、わんだほーい!
司:……ってオイ! なんでお前が仕切るんだ!
寧々:別にやる気が出るんだったら誰が仕切ってもいいでしょ
類:うん。それにある種の団結力は高まったと思うよ
司:なんだある種のとは!!
ネネロボ:102デシベル。電車が通ル時の、ガード下レベルデス
司:勝手に測るなーっ!!
類:うんうん。よく検知できてるねえ
寧々:それで類。結局、策ってなんなの?
類:それはまだ教えられないなあ。 すぐに話しては面白くないだろう?
類:でもヒントを言うなら——、 『すべてがショーになる』というところかな?
類:次回に向けて、脚本も演出も詰めていかないとね。 みんなにも協力してもらうから、よろしく頼むよ
司:……ほほう。次回は何やら壮大なショーになりそうではないか!
司:では——これより、次回公演に向けて準備を進める!
司:ワンダーランズ×ショウタイムは、 力を合わせ、この危機を乗り越えるぞ!!
えむ:——うんっ!!