活动剧情

Unfading wishing

活动ID:153

第 1 话:いつも通りの大晦日

大晦日
crase cafe
杏:それじゃあ——今年もお疲れさま! かんぱーい!
全員:『乾杯』 『かんぱーい!』
MEIKO:軽くだけど料理も用意してるから、 いっぱい食べてね
彰人:ローストビーフにグラタン、巻き寿司にだし巻き卵……。 軽くってわりには、ずいぶん豪華ですね
ミク:みんながこっちで打ち上げするって聞いてたから、 仕込みも張り切ったんだ
レン:オレ達も手伝ったんだよ! ほら、こっちのサラダの盛り付けとか!
KAITO:デザートには、アイスも用意してるよ。 ラムレーズンとモカがあるから、好きなほうを選んでね!
杏:やった! じゃあ私は、ラムレーズンにしよーっと!
冬弥:では、俺はモカにしよう
杏:……ていうか、もうラムレーズンの口になってきちゃった! 先に食べてもいいかな!?
彰人:おいおい、気が早えな……
こはね:ふふっ……。 でも練習のあとだし、私もお腹ぺこぺこだな
ルカ:大晦日にも練習なんて、相変わらずみんなすごいよねー。 これまで以上に燃えてるって感じ!
彰人:燃えてる……か
彰人:……そうっすね。 ま、立ち止まってる暇なんて無いんで
MEIKO:みんないい顔ね。 でも、無理は禁物よ? たまには息抜きもするようにね
杏:それに関しては問題なしです! ね、こはね!
こはね:はい。明日は練習が休みなので、 杏ちゃんとふたりで、 フェニランのお正月公演を見に行くんです!
リン:お正月公演!? なにそれ、おもしろそう~!
こはね:えへへ、今回はお正月限定の鏡餅フェニーくんが出てくるから、 私もすっごく楽しみなんだ!
冬弥:そうか、それはまた正月らしいな
杏:ふふーん、でしょでしょ!
杏:あ、そういえば、みんなはお正月どんな風に過ごすの?
レン:ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました!
レン:オレ達の正月は——やっぱり羽根つきだよ! な、リン!
リン:うん! 前はミクとメイコに負けちゃったから、 今度こそリベンジするんだ!
リン:あ、もちろん、ルカとカイトにも負けないからね!
ルカ:あはは、望むところだよ!
ミク:こっちも、挑戦はいつでも受け付けてるから
彰人:ったく、羽根つきにこんだけ本気になってるヤツらも珍しいな
冬弥:しかし……近年、羽根つきは 競技としても注目されているという話を聞いたことがある
冬弥:たしか、スポーツ羽根つきだったか
彰人:へえ……今軽く調べてみたが、 スポーツってだけあって迫力もあるな
彰人:競技の感じは、バドミントンとちょっと似てんのか
MEIKO:普通の羽子板より、ラリーも続きやすそうね。 対戦も白熱しそうだわ
レン:ラケットのデザインもかっこいい~! オレ、こっちもやってみたいな!
冬弥:そうか。興味があるなら、 明日の初詣のあと、スポーツ用品店を見てこよう
レン:え、ホント?
冬弥:ああ。ちょうど明日は、 彰人とショッピングモールの近くに行く予定だったからな
彰人:だな。羽子板見るくらいなら、 そんな時間もかからねえだろ
杏:へえ~ショッピングモールの方に行くんだ。 初売り見に行くとか?
冬弥:いや、カフェに行こうと思っている。 彰人が、正月限定のパンケーキを食べたいらしくてな
彰人:おい、冬弥。 そんなことまで言わなくていいだろ
KAITO:あはは! 彰人くんは、お正月もパンケーキなんだねえ
ミク:でも、そのおかげでスポーツ羽根つきができそうだね
レン:うん! ありがとう彰人、冬弥!
リン:えへへ、みんなでやるの楽しみだなー!
数時間後
東雲家 リビング
彰人:……ふぁ……。 ……まだ眠いな……
彰人:(……今朝の練習で気合い入れすぎたせいか、 うっかり寝落ちしちまった)
彰人:(ん? この匂い……)
母親:あ……彰人、起きた? 今、年越しそばができたところよ
彰人:ああ、出汁の匂いすんなと思ったら やっぱそばか
母親:ちょうど準備もできたし、絵名を呼びに行ってくれる? 部屋にいると思うから
彰人:へいへい
絵名の部屋
絵名:……いまいちだな……。 影の付け方がうまくいってないのかも……
彰人の声:——絵名。そばができたから下りてこいってよ
彰人の声:……これは描いてんな。 ——開けるぞ?
彰人:おい、年越しそば——
絵名:わ!? ちょっと彰人! 何勝手に開けてんの!?
彰人:ノックに気づかなかったのはそっちだろ。 年越しそばができたから、呼びにきてやったんだよ
絵名:そばって……え、もうそんな時間!?
彰人:んじゃ、伝えたからな。 そばが伸びねえうちに下りてこいよ
絵名:はいはい。もう、やっと乗ってきたのに——
絵名:……あ。 ねえ、彰人
彰人:なんだよ
絵名:そういえばアメリカ行くのって、そろそろなんだっけ?
彰人:ん? ああ、そうだな
絵名:ふーん……
絵名:あんたの目標って、これから世界を……って感じなんだよね
絵名:ってことは、海外に行く機会も増えるの?
彰人:……まあ、そうなる可能性はあるな
彰人:つっても、今回は知り合いのイベントを見に行くだけだが
絵名:そっか……
彰人:……なんだよ? なんかあんのか?
絵名:……ううん、なんでもない
絵名:ま、集中力も切れたし とりあえず、おそば食べて休憩しようかな
彰人:休憩って……まだ続けんのかよ。 お前、明日は桃井さんと出かけるって言ってただろ? 遅くまでやって寝坊してもしらねえぞ
絵名:ほどほどで切り上げるつもりだし、大丈夫だってば
絵名:明日は久しぶりに愛莉と1日遊べるから、 気合いも入ってるし。絶対寝坊なんてしないんだから
彰人:普段から人を目覚ましがわりにしてるヤツが言っても、 説得力ねえんだよ
絵名:あーもううるさい! っていうか、おそば伸びちゃうからそこどいて!
彰人:いや、引き止めたのはどっちだよ……
絵名の声:お母さーん! おそば用の七味、ちゃんとあるー?

第 2 话:お正月配信に向けて!

ステージのセカイ
愛莉:——みんな、お疲れさま! 年内最後の配信も、無事に終わってよかったわね
みのり:『大晦日だよ!モアモアスペシャル配信!』大成功だったね~!
みのり:わたし、また手打ちそば作ってみたいな! すっごく美味しかったし……!
遥:それにしても、今回は特に視聴者が多かったな。 これも、雫が出演したCMの反響かもね
雫:ふふ。もしそうなら、すごく嬉しいわ
愛莉:この調子で、明日からの新しい1年も、 もっともっとがんばっていきたいわね!
雫:ええ、そうね!
KAITO:みんな、もう次の年に向けてやる気満々だね
レン:今はちょっと大変な状況だけど—— みんななら、きっと乗り越えられるよね
愛莉:——さて、それじゃあ気持ちを切り替えて、 来年の配信準備をしましょ!
遥:元日は休みだけど、2日にはお正月配信があるし…… もう備えておかないとね
愛莉:ええ。そこで提案なんだけど…… お正月配信、少しコーナーを増やすのはどうかしら?
雫:いいと思うわ! みんなに、たくさん楽しんでほしいものね
みのり:でも……どんなコーナーを増やすのがいいんだろ?
遥:今から準備するってなると、 あんまり凝ったことはできなさそうだけど……
MEIKO:ちなみに、2日にやる配信は、 どんなコーナーを用意してるの?
遥:えっと……私達が手作りしたおみくじを引いたり、 ファンのリクエストしたおせちを作って一緒に食べたり、 新年にちなんだものをやる予定だよ
ミク:わあ! お正月っぽくて楽しそうだね!
愛莉:やっぱり、こういう配信は季節感が大事だものね
リン:じゃあ……やっぱり新しく考えるコーナーも、 お正月にちなんだものがいいのかなあ?
KAITO:お正月にちなんだものか……
KAITO:それなら、お正月遊び配信の第2弾をやるのはどうかな?
雫:お正月遊び配信?
KAITO:うん、前にやった時に好評だったって聞いたから。 新しいファンが見てくれるかもしれないこの時期に、 もう一度やるのもいいんじゃないかって思ったんだ
遥:実際、前回の反応はよかったけど…… たしか『同じようなことをやるのもどうかな』ってなって、 流れたんだよね
愛莉:ええ。 でも——
愛莉:悪くない気がするわ! 前回と遊びの内容を変えたら、みんな楽しめると思うし
遥:たしかに、それもそうだね
KAITO:よーし、じゃあ追加の企画は 『お正月遊び第2弾』ってことで決定だね!
雫:それじゃあ次は、 どんな遊びをするのか決めていきましょうか
愛莉:お正月遊びって、いろいろあるものね。 配信でやって、おもしろくなりそうなやつってなると……
みのり:えっと、カルタと福笑いは前にやったから、あとは……。 あ、餅つきとかどうかな? みんなでぺったんぺったーんって!
愛莉:餅つき……は、遊びかどうかって言われたら、 ちょっと違う気がするわね
遥:それに、臼や杵を準備するのにも時間がかかりそうだし 今からじゃ、ちょっと間に合わないかも
みのり:そっかあ……この前はできなかったし、 いい案かも!って思ったんだけど……
みのり:あ……それなら、実写版の福笑いはどうかな?
雫:実写版の福笑い?
みのり:うん! SNSで見てたんだけど、 みんなの写真を撮って、それを切り取って福笑いをするんだ!
リン:え~! それ、すっごくおもしろそう!
遥:うん、それなら前の企画と差別化もできるし、 新しい面白さも出せるかもね
愛莉:じゃあ、実写版福笑いは決定ね。他には——
みのり:——うーん、 福笑いはよかったけど……
雫:結局他は、これ!っていうのが思い浮かばないわね
KAITO:そうだね……。 コマ回しも凧揚げもいいけど、 あと一歩おもしろい要素がほしいっていうか……
遥:せめてあとひとつくらいはあった方がいいよね。 できれば対戦形式とかで、みんなが勝敗を予想しながら 楽しめるようにもできたらって思うし……
愛莉:そうねえ……。 とはいえ、あんまり時間もないし……
愛莉:——よし! こうなったら、わたしが明日探してみるわ!
みのり:え? 探すって?
愛莉:ちょうど明日、絵名と初売りに行く予定なのよ。 だからその時に、おもちゃ屋さんとかに いいものが置いてないか見てくるわね
KAITO:そうか……。 たしかにおもちゃ屋さんなら、思いがけないものがあるかも——
KAITO:ねえ、愛莉ちゃん。 もしよかったら、僕もついて行っていいかな?
愛莉:え?
KAITO:実際にお店に行ったら、 いいアイディアが浮かぶかもしれないしさ
KAITO:みんなを一番輝かせることができる遊びを、 僕も探してみたいんだ!
愛莉:ええ、もちろんいいわよ! 友達も一緒だから、あまり話したりはできないと思うけど…… それでもいいかしら?
KAITO:大丈夫だよ! タイミングを見て、ポケットからのぞいてるね!
愛莉:わかったわ。 それじゃあ、明日ね!
愛莉:お正月の配信に向けて、準備がんばりましょ!
みのり:はーい!

第 3 话:まさかの遭遇

元日
センター街
彰人:ふう……。 初詣、すげえ人だったな
冬弥:ああ。さすが名の知れた神社なだけあったな
冬弥:だが、ふたりともおみくじで大吉を引けたのは良かった。 幸先のいいスタートだ
彰人:ま、そうだな。 運はいいに越したこたねえ
彰人:しっかし……ここも神社に負けず劣らずの人の多さだな。 この感じだと、カフェも結構並んでるかもしれねえぞ
冬弥:彰人の目当ての正月限定パンケーキは 数量限定だと言っていたしな……早めに行ったほうがいい
冬弥:ここは、ショッピングモールのスポーツ用品店に寄る前に、 カフェに行くとしよう
彰人:なんでお前が前のめりなんだよ
彰人:けど、実際店並ぶのに時間使いたくねえしな。 すぐ向かうとするか
冬弥:そういえば、少し気になっていたんだが……
彰人:ん?
冬弥:正月限定のパンケーキとは、どういうものなんだろうか? いろいろ考えてみたんだが、正月と洋菓子が どう結びつくのか、想像がつかなくてな……
彰人:ああ。鏡餅をイメージした、和風テイストのやつらしいぞ
彰人:たしか……3段のパンケーキを ホワイトチョコでコーティングして、 みかんがトッピングされてるんだとよ
冬弥:ホワイトチョコで……!? なかなか独創的だな……
彰人:妙なデザインだが、去年食べた人の感想見たら なかなか美味いらしいぞ
彰人:……お、見えてきた。あの店だ——
彰人:……って、やっぱめちゃくちゃ並んでんな
冬弥:予想はしていたが……やはり、とても人気なんだな
冬弥:まあ、多少は問題ない。 このあとはショッピングモールに行く以外に用はないし、 時間はたくさんある。ゆっくり待とう
彰人:……悪いな。んじゃ、とりあえずこの最後尾に——
???:——え、彰人?
彰人:え?
彰人:げ……なんでお前がここにいんだよ
絵名:それはこっちのセリフなんだけど。 なんであんたが、ここにいるわけ?
愛莉:もう絵名、新年からケンカ腰にならないの
愛莉:彰人くん、冬弥くん。あけましておめでとう! ふたりもこのカフェに来るなんてびっくりしたわ! お茶しに来たの?
冬弥:あけましておめでとうございます、桃井さん。 少し気になるメニューがあったので、それを食べに来ました
絵名:気になるメニューって…… もしかして、ここの期間限定パンケーキ食べにきたとか?
彰人:……まさか、お前もかよ
絵名:そうだけど……なんで後から来たくせに偉そうなわけ?
彰人:後も先もねえだろこんなもん
愛莉:ほらほら! だからケンカしないの!
愛莉:ま、こうやって会ったのも何かの縁だし、 みんなでゆっくり待つとしましょうか
愛莉:そうだ。さっき絵名とも話してたんだけど、 ふたりはお正月、どんな風に過ごす予定なの?
彰人:正月ですか? まあ、いつもどおり歌の練習する予定ですけど……
冬弥:ただ、明日に限って言えば 知り合いとスポーツ羽根つきをする予定です
絵名:スポーツ羽根つき?
冬弥:はい。羽根つきの、より競技性が増したもので—— ……この画像のように、大きめの羽子板と羽根を使って、 打ち合うんです
愛莉:へえ……! かわいいし、おもしろそうね!
愛莉:……っていうか、もしかしたらこれ、 配信に使えるかも……?
彰人:配信?
愛莉:ええ! 明日のお正月配信で、お正月らしい遊びをするコーナーを やろうと思ってるんだけど——
愛莉:配信映えするいいネタがなくって。 このあと、絵名に付き合ってもらって ショッピングモールでネタを探す予定だったのよ
彰人:それなら、このあと一緒に買いに行きますか? ちょうどオレ達も、カフェのあと ショッピングモールに行くつもりでしたし
愛莉:本当? 彰人くん達がいいんだったら、 一緒に行ってもらえると心強いわ
愛莉:絵名は、それでもいい?
絵名:彰人がいるのはちょっと、って感じだけど……。 まあ、そういうことなら仕方ないかな
彰人:おい、聞こえてんぞ
愛莉:ふふ、ありがとう絵名。助かるわ
愛莉:それに彰人くん達もね! いいネタがもらえて助かったわ!
愛莉:配信用に調べてたんだけど、 お正月って、本当にいろんな遊びがあるのよね~。 だから絞るのも大変で
彰人:まあ、そうっすね。 凧とか、けん玉とか……
愛莉:うちは小さい頃、姉妹でカルタして遊んでたわ。 お姉ちゃんが鬼みたいに強くて、いっつも泣かされてたけどね
絵名:お正月か……。 うちはよく、人生すごろくとかしてたっけ
彰人:ああ……。 毎回でけえ賭けに負けて、 借金まみれになるヤツがいた気がすんな
絵名:何それ、私のこと?
絵名:それで言ったら、彰人なんて なんのおもしろみもない人生ばっかだったじゃん。 全然冒険しないでさ
彰人:堅実なんだよオレは。 借金まみれでゴールするよりマシだろうが
冬弥:なるほど……そうやって家族で遊ぶのは、 とても楽しそうですね
冬弥:俺の家ではあまりそういったことをしなかったので、 少し新鮮です
愛莉:あら、そうなのね。 ご家族の方が忙しかったりしたの?
冬弥:ええ。父は、正月はコンサートで日本を離れることが多くて。 家族で聴きに行くことも多かったんです
愛莉:コンサート……
絵名:冬弥くんの家って、本当に音楽一家だよね……
店員:——お待たせしました。3名様、ご案内いたします
彰人:っと……話し込んでるうちに、 列がかなり進んでんな。そろそろって感じか
愛莉:ふふ。おしゃべりが楽しくて、 時間があっという間に過ぎちゃったわね
店員:——次のお客様、少しよろしいでしょうか? ひとつお願いがありまして……
絵名:私達に、ですか?
店員:はい。大変申し訳ないのですが——

第 4 话:思い起こすはあの日の

カフェ
愛莉:まさか、店内が混雑してるからって 相席することになるとは思わなかったわね
絵名:もう……なんで新年早々、 彰人とパンケーキ食べなきゃいけないわけ?
彰人:嫌なら帰っていいんだぞ。 お前が注文した分はオレが食うしな
絵名:は? 帰るわけないでしょ。 私だって楽しみにしてたんだから
店員:——お待たせしました。 限定パンケーキ3つと、ホットサンドのドリンクセットです
冬弥:ありがとうございます。ホットサンドは俺です。 パンケーキは、こちらの3人にお願いします
絵名:わ、すっごく美味しそう……!
絵名:トッピングも凝ってるし、 色もいいから写真映えしそう〜!
愛莉:パンケーキの間には、白餡が挟まってるらしいわね。 楽しみだわ!
冬弥:なるほど……これが鏡餅モチーフのパンケーキ……
絵名:ふふっ。まずは写真、と……
彰人:ここまできて写真かよ……
彰人:……っと。 そんなことより、せっかくだし出来立てを食わねえとな
彰人:いただきます
彰人:(……うまいな)
彰人:(ホワイトチョコでコーティングされてるから 結構甘いのかと思ったが…… フルーツの酸味でちょうどいい感じに調整されてる)
彰人:(これなら、いくらでも食えそうだ)
冬弥:……気に入ったみたいだな
彰人:ん? ああ……まあな
愛莉:絵名、写真は撮れた?
絵名:バッチリ! ほら見て、いい感じじゃない?
愛莉:あら、さすがね! 実物もおいしそうだけど、もっとおいしそうに見えるわ!
愛莉:自撮りもそうだけど、本当に写真撮るのうまいわよね……。 今度、わたしの写真も撮ってほしいくらいだわ
絵名:任せて! 愛莉のことなら、 誰よりもかわいく撮る自信あるんだから!
愛莉:ふふ。それじゃあ、期待しておくわ!
彰人:(……このふたり、やっぱり仲良いよな)
彰人:(なんつーか……不思議なもんだな。 絵名にこんないい友達がいるってのは)
彰人:(……オレが知る限り、桃井さんは昔からずっと 絵名のことを気にかけてくれてた)
彰人:(こうやって遊びに行ったりするだけじゃねえ。 相談乗ったり、気晴らしに付き合ったりしてくれて——)
彰人:(……あの時だってそうだったな)
数年前
中学生の彰人:——おい。いつまで引きこもってんだよ
中学生の彰人:……進路のことは、親父ともう1回ちゃんと話せばいいだろ。 いい加減メシくらい——
中学生の絵名:——うるさい! あんたには関係ないでしょ!
中学生の彰人:関係ないってお前、母さんがどんだけ心配して……!
中学生の絵名:うるさいって言ってんの! 早くどっか行ってよ!!
中学生の彰人:…………
ビビッドストリート
中学生の彰人:…………はぁ
中学生の彰人:ったく……付き合ってられるかよ……
中学生の彰人:(親父に進路のこと口出されて イラついてんのはわかるが——)
中学生の彰人:(いつまでも、ああやって拗ねてりゃいいわけじゃねえだろ)
中学生の彰人:(……最近じゃ、画材まで廊下にほっぽりだしてやがるし、 物まで投げて、誰の話も聞きゃしねえ)
中学生の彰人:(…………もう、下手に首突っ込むのはやめるか)
中学生の彰人:(どうせ、何言ったってあいつには——)
???:——あ……彰人くん!!
中学生の彰人:え?
中学生の彰人:……桃井さん? どうしてこんなところに……
中学生の愛莉:あ、えっと……実はちょっと彰人くんに話したいことがあって…… それで探してたの
中学生の愛莉:前に絵名から、彰人くんはよくこの辺りにいるって聞いてたから。 急にごめんなさい
中学生の彰人:そうだったんですか……
中学生の彰人:それで、用っていうのは……?
中学生の愛莉:ええ。その……
中学生の愛莉:…………絵名は、元気?
中学生の彰人:え?
中学生の愛莉:最近、絵名の様子が変なの
中学生の愛莉:ちゃんと話をしたいけど、仕事であんまり時間が取れないし、 ……事情を聞いても、答えてくれなくて
中学生の愛莉:それで、彰人くんなら何か知ってるんじゃないかって思ったの
中学生の愛莉:本当は、絵名が話してくれるまで待つべきなんでしょうけど…… ちょっと心配で……
中学生の彰人:……そう、だったんですか
中学生の愛莉:ねえ、絵名は大丈夫?
中学生の彰人:…………
中学生の彰人:なんつーか……親といろいろあって、 それで荒れてるって感じですね……
中学生の愛莉:親……
中学生の愛莉:もしかして……進路のことでお父さんと揉めてるの?
中学生の愛莉:進路調査票が配られたあとから、様子がおかしかったから…… そうなのかしらって思ってて
中学生の彰人:…………
中学生の愛莉:……ごめんなさい。 立ち入りすぎたわね
中学生の愛莉:……ねえ、彰人くん
中学生の愛莉:ひとつだけ——お願いを聞いてくれないかしら
中学生の彰人:お願い?
中学生の愛莉:ええ。……すごく勝手なお願いだし、 こんなこと言うのは変って、わかってるわ
中学生の愛莉:でも……
中学生の愛莉:——絵名のこと、見ていてほしくて
中学生の愛莉:絵名、わたしには何も言ってくれないの
中学生の愛莉:お父さんと何かあったんでしょって聞いても、 『なんでもない』って……
中学生の愛莉:『愛莉は夢を叶えたんだからアイドルを頑張って』って……
中学生の彰人:…………
中学生の愛莉:絵名のおかげで夢に近づけたのに。 何も返せない……そばにも、いてあげられない
中学生の愛莉:そんなわたしが、こんなことを言うのは おかしいってわかってるけど……
中学生の愛莉:でも、他に頼れる人がいないの。 わたしも……きっと、絵名も……
中学生の愛莉:だから……絵名のこと、見ていてあげてほしいの
中学生の彰人:…………
中学生の彰人:…………桃井さんは、 どうしてあいつに構うんですか?
中学生の愛莉:え?
中学生の彰人:桃井さんは、現役のアイドルとして活躍してる……すごい人です
中学生の彰人:そんな人が、なんであんな勝手なヤツに……
中学生の愛莉:絵名は、わたしの親友で——恩人だから
中学生の彰人:恩人?
中学生の愛莉:ええ
中学生の愛莉:さっきも少し言ったけれど…… わたし、絵名のおかげで夢に近づけたのよ
中学生の愛莉:——前に、出演したバラエティ番組のことで クラスメイトにからかわれたことがあったんだけど……
中学生の愛莉:その時に助けてくれたのが、絵名だったの
中学生の愛莉:まあ、からかわれたって言っても、 そこまで酷いこと言われたわけじゃないんだけどね?
中学生の愛莉:それでも……助けてくれる子がいるんだって思えて…… すごく嬉しかったの
中学生の愛莉:それに今だって—— 自分も大変な状況なのに、 わたしに『アイドル頑張って』って、声をかけてくれて
中学生の愛莉:……それが、わたしの支えになってるの
中学生の愛莉:そんな風に、絵名には助けられてばっかりだから。 わたしも、絵名が苦しんでるなら、 放っておくことなんてできないわ
中学生の彰人:あいつが、そんなことを……
中学生の彰人:(恩人、か……)
中学生の彰人:(……桃井さんの言うことは、なんとなくわかる。 それに……)
中学生の彰人:(この人は、こんなにもあいつのことを考えてくれてる)
中学生の彰人:(それなら——)
中学生の彰人:(……オレももう少し、あいつにつき合ってやるか)
彰人:(……今の絵名は、あの時と比べてずいぶん変わった)
彰人:(まあ、それは多分、暁山とか サークルの連中と活動してんのが大きいとは思うが……)
彰人:(桃井さんの存在も、デカかっただろうな)
彰人:(あのあともずっと、 桃井さんは連絡をとり続けてくれてたみてえだし……)
彰人:(思えば……あれ以来ゆっくり話す機会もあんまなかったし、 礼を言えてなかったかもしれねえ)
彰人:(……どこかで、ちゃんと伝えねえとな)

第 5 话:親友として

ショッピングモール
おもちゃ売り場
愛莉:……というわけで、 このスポーツ羽根つきっていうのを買ってみたのよ
愛莉:それで今は、他のお正月遊びも見てみようってことで おもちゃ屋さんに来てるの
KAITO:『——うん、いいと思う! これなら配信映えする新しさもあるし、 チームを作って対決する図も作りやすいしね』
KAITO:『あ、羽子板をやるなら、落書きの罰ゲームが あるといいかもしれないよ』
KAITO:『墨が気になる人もいるかもしれないし、 肌に悪くないシールを貼るとか』
愛莉:あ……たしかにそうね! ミスするごとにシールがペタペタ貼られたら可愛いし、 ちょっと探して——
絵名:——何ぶつぶつ言ってるの?
愛莉:あ、えーっと……!
愛莉:は、配信のネタをスマホに吹き込んでたのよ! 忘れないようにね!
絵名:へえ、そんなことまでしてるんだ……。 さすが愛莉だね
愛莉:ま、まあね! ……ともかく、これでスポーツ羽根つきは無事に確保できたわ!
彰人:案外在庫が少なかったから、買えてラッキーでしたね
冬弥:ああ。俺達も無事に買えてよかった。 …………
絵名:……? 冬弥くん、どうしたの?
冬弥:あ……。その、実はあまりおもちゃ屋というものに 入ったことがなくて……
冬弥:目新しいものばかりで面白いなと思ったんです。 見たことはあっても、遊んだことのないおもちゃがたくさんあって
冬弥:……ん?
彰人:どうした?
冬弥:いや……あそこに、 正月遊びの試遊コーナーがあると思ってな
愛莉:試遊コーナー?
冬弥:このフロアに置いてあるおもちゃを、いくつか試せるようです
絵名:へえ……そんなのもあるんだ
愛莉:ねえ、おもしろそうだし ちょっとのぞいていかない?
絵名:え?
愛莉:配信の参考にもなりそうだし、ちょっと体験したいなって思って! ほら、コマ回しとか、けん玉とか、 普段はなかなかやらないじゃない?
冬弥:けん玉、ですか……!
彰人:あー……やってみるか?
絵名:まあ、このあと特に用事もないし、 ちょっと見るくらいならいいんじゃない?
愛莉:決まりね! それじゃあ、試遊コーナーで遊んじゃいましょうか!
冬弥:ふっ……む…………!
冬弥:く……難しいな。 一番大きい皿にも、なかなか乗せられない……
彰人:ま、最初はそんなもんだろ
冬弥:だが、彰人は一番小さい皿にまで軽々乗せているだろう。 何かコツがあるのか?
彰人:あー、コツってほど大したもんじゃねえが……。 腕だけで乗せようとするんじゃなくて、 こう、膝のクッションを使ってだな——
愛莉:こっちにあるのはコマみたいね。 ふふっ、おばあちゃんの家でよくやったわ
愛莉:たしか、こうやって紐を巻いて……
愛莉:よっ、と……! あら、いい感じに回ったわ!
絵名:へえ、案外簡単そうじゃん。 これくらいなら、私にもできるかも
絵名:えっと、ここに引っ掛けて巻いて……ほっ
絵名:……って、全然回んないじゃん! なんで!?
絵名:よいしょ……っと!
愛莉:さっきよりも上手くなってるじゃない! 安定して回ってるわ
絵名:ふふ。まあ、愛莉に教えてもらったし これぐらいはね
愛莉:じゃあわたしは、その隣に回しちゃおうかしら。 ほっ……と!
絵名:愛莉、本当にコマ回すのうまいよね……
愛莉:小さい頃、妹と一緒にやってたからね。 柄とかも自分たちで描いたりしたものよ!
絵名:ふーん……。 …………あ
愛莉:あら? 絵名、なにしてるの?
絵名:ちょっとこのコマ、スケッチしようと思って
愛莉:スケッチ?
絵名:うん、すごく綺麗に回ってるし。 こういう動いてるもの描ける機会ってあんまりないから
絵名:まあ、スケッチっていっても メモ帳にささっと描くくらいだけど
愛莉:へえ……
愛莉:ふふっ……。 中学の頃より上手くなってるんじゃない?
絵名:当然でしょ。 あれから結構経ってるんだし
絵名:それに……美大目指してるなら、これくらい描けないとね
愛莉:……じゃあ、描けたらまた見せてちょうだい。 わたしも配信のネタになりそうなもの見てくるわ
絵名:ん、わかった。あとでまた合流しよっか
愛莉:ええ!
愛莉:(……いろいろあったみたいだけど——)
愛莉:(よかったわ。 絵名がまた、まっすぐ絵と向き合ってて)
KAITOの声:『——愛莉ちゃん』
愛莉:あ……
愛莉:カイトさん、さっきはごめんなさい! 急に戻ってもらっちゃって
KAITO:『全然大丈夫! 気にしないで』
KAITO:『……さっき話してたのが、愛莉ちゃんの友達?』
愛莉:ええ。中学からの親友よ。 一緒に回ってるのがその子の弟と、その友達ね
KAITO:『そうなんだ! お正月からとってもにぎやかでいいなあ』
KAITO:『それに——愛莉ちゃん、なんだかすごくいい顔をしてるね』
愛莉:え? あ……
愛莉:——そうね。 わたし今、嬉しいんだと思うわ
KAITO:『嬉しい?』
愛莉:ええ。 ——親友が、まっすぐ夢に向かってることが
愛莉:……絵名はね、絵が好きで、描き続けたいって思ってるのに、 描くのがすごく苦しそうな時期があったの
愛莉:でも、今はそれを乗り越えて、 ちゃんとまっすぐ進んでいて——
愛莉:そんな絵名を見られて、すごく嬉しいの
KAITO:『そっか……。 愛莉ちゃんの友達は、すごく努力家なんだね』
愛莉:ええ! とってもね!
愛莉:それに、弟の彰人くんもすごい努力家なのよ。 夢のために、今度チームのみんなとアメリカに行くらしいし
KAITO:『へえ……! 夢のために海外にまで行くなんて、その子もすごいんだね』
愛莉:ふふ、そうなのよ!
愛莉:それに、彰人くんはね——絵名を支えてくれた人でもあるの
KAITO:『支えてくれた人……?』
愛莉:ええ。絵名がずっと苦しんでいた時期に、 支えてくれたのが彰人くんなの
愛莉:わたしが、『絵名のことを見ていてあげてほしい』って お願いしたから——
愛莉:彰人くんは、その言葉を きっと……律儀に守り続けてくれたんだと思う
愛莉:だから、すごく感謝してるのよ。 あの時、絵名のそばにいてくれたこと
KAITO:『そっか……。 そんなことがあったんだね……』
愛莉:ええ……
愛莉:……今更だけど、彰人くんに 申し訳ない気持ちになってきちゃったわ
愛莉:あの時の言葉は、 彰人くんに負担をかけていたかもしれないから……
KAITO:『負担……?』
愛莉:だって、すごくわがままでしょう?
愛莉:絵名をひとりにはしたくないけど、 わたしにはできないからお願いしたい、なんて
KAITO:『あ……』
愛莉:どこかでちゃんと、ごめんなさいも、ありがとうも 伝えないといけないんだけど……
KAITO:『……それなら、今日伝えたらいいんじゃないかな』
愛莉:え?
KAITO:『せっかくこうして一緒に行動できてるんだし、 今日なら伝える機会もあるかもしれないよ』
愛莉:……そうね。カイトさんの言うとおりだわ
愛莉:いい機会だし…… 時間があれば、彰人くんと話してみるわ!
KAITO:『うん。頑張ってね、愛莉ちゃん!』

第 6 话:お互いに感謝を

ショッピングモール
愛莉:思ったより、がっつり遊んじゃったわね……
彰人:気づいたら長居しちゃいましたね
冬弥:けれど、いろんな遊びができて とても楽しかったです
絵名:たしかにね。 なんだかんだ楽しかったな
彰人:ま、お互い目当ての物も買えたし、 そろそろ——
絵名:あ……! ちょっと待って!
愛莉:ん? どうしたの?
絵名:あのクレーンゲームの景品になってるぬいぐるみ、 もしかして、『たいだなカバ』じゃない!?
愛莉:『たいだなカバ』?
絵名:今SNSでバズってるキャラ! あの全くやる気がなさそうな表情が シュールなんだけど……なんかいいんだよね
愛莉:ああ……そういえば、話題になってた気がするわね。 ファンの中にも、好きだっていう人がいたし
彰人:あれが人気なのか……?
絵名:そうなんだってば! 人気すぎて、ゲーセンでは品切ればっかりなんだから
絵名:ねえ、ちょっとやってもいい? すぐ終わるから!
彰人:本当にすぐ終わんのか? 全然取れねえって、ギャーギャー騒ぐ気しかしねえが
絵名:大丈夫! だってこっちには冬弥くんがいるし!
彰人:おい……冬弥をアテにすんな
絵名:操作は自分でするから! 冬弥くん、どこに引っ掛ければいいとか、教えてくれる?
冬弥:はい。俺でよければ力になります
絵名:ほら、冬弥くんもこう言ってるし
愛莉:こうなったら、付き合うしかなさそうね
彰人:ったく……仕方ねえな
彰人:長くなりそうだし、オレは飲み物買ってくるぞ。 冬弥もいるか?
冬弥:ああ。ありがとう。 コーヒーにしてもらえるとありがたい
絵名:じゃあ、私はココアでよろしく
彰人:ちゃっかりお前もかよ……。 桃井さんは、どうしますか?
愛莉:そうね、わたしは——
愛莉:彰人くんと一緒に行くわ。 ひとりだと、持ってくるの大変でしょうし
彰人:え、別にオレだけでも——
愛莉:いいからいいから! ほら、行きましょ!
彰人:あ……はい
絵名:それじゃふたりとも、よろしくね!
数分後
彰人:——まさか、ココアだけ見つからないなんてな……
彰人:すみません、桃井さん。 あいつのわがままにつき合わせちゃって
愛莉:いいのよ。 わたしも、ココアが飲みたい気分だったし、 上の階に行ってみましょ
彰人:ありがとうございます。 ……こっちにはあるといいんですけど……
愛莉:…………
KAITO:『……それなら、今日伝えたらいいんじゃないかな』
KAITO:『せっかくこうして一緒に行動できてるんだし、 今日なら伝える機会もあるかもしれないよ』
愛莉:——ねえ、彰人くん
彰人:なんですか?
愛莉:あのね、実はわたし…… 彰人くんに言いたかったことがあるの
彰人:言いたかったこと?
愛莉:ええ。その……
愛莉:中学の頃、ビビッドストリートで会った時のこと、 覚えてる?
彰人:……はい。よく覚えてます
愛莉:それじゃあ……あの時わたしがお願いしたことも?
彰人:そりゃあ、覚えてますよ
愛莉:そう……
愛莉:——彰人くん
愛莉:あの時から今まで、本当にありがとう。 それと……ごめんなさい
彰人:……! 桃井さん……頭上げてください
彰人:……いや、ていうかマジで頭下げる必要ないですよ。 なんで……
愛莉:『ありがとう』は、 彰人くんが絵名の支えになってくれたことへのお礼よ
愛莉:あの子が、今ああやって また絵と向き合って前に進んでるのは、 絵名自身のがんばりがあるからだけど——
愛莉:それでも、彰人くんやサークルの人がそばにいてくれたことは きっと、絵名にとって支えになってたと思うから
愛莉:だから……ありがとう。 わたしの親友を、支えてくれて
愛莉:それから、『ごめんなさい』は…………
愛莉:あの時のわたしの言葉が、 彰人くんの負担になってたんじゃないかって思ってて
彰人:え?
愛莉:あの時はつい、家族の彰人くんならって思って、 勝手なお願いをしちゃったから
愛莉:……本当にごめんなさい。 押し付けるような真似をしちゃって
彰人:……桃井さんの言葉は、負担じゃなかったです
愛莉:……本当に?
彰人:本当です
彰人:オレはあの日、 桃井さんと会って話をしたから——
彰人:桃井さんの言葉があったから、 荒れてるあいつに付き合ってやろうって思えました
彰人:だからむしろ、桃井さんには感謝してるんです
彰人:それに……桃井さんがいつも、 画面の向こうから支え続けてくれたから あいつも折れないでいられたんじゃないかって思うので
彰人:本当に——ありがとうございます
愛莉:……そう
愛莉:わたしは……ふたりの支えになれていたのね
彰人:はい。それは、オレが保証します
彰人:けど……まさか、桃井さんが オレと同じようなことを思ってたなんて思いませんでした
愛莉:え?
彰人:オレもあの時のこと、 桃井さんにちゃんと礼を言いたかったんです
彰人:だから……その機会をくれて、ありがとうございました
愛莉:ふふ。そうだったのね
愛莉:……まったく、絵名は幸せ者ね! こんなにいい弟がいるなんて!
彰人:ホントですね。 親友にも恵まれてますし
彰人:あの……桃井さん
愛莉:ん?
彰人:これからも頑張ってください
彰人:……オレは、アイドルのことはよくわからないですけど……
彰人:桃井さんの姿は、 きっと、絵名みたいなヤツの力になると思うんで
愛莉:——ええ!
愛莉:ふふ。こんな風に応援してもらえるなんて、 新年から、ますますがんばれちゃいそうだわ!
愛莉:そういえば——彰人くん達は、これから世界を狙うのよね?
彰人:え、なんで知ってるんですか?
愛莉:絵名から聞いたのよ。 今度歌のためにアメリカに行くって
愛莉:海外で活躍するアーティストなんて、楽しみね。 今のうちにサインもらっておこうかしら?
彰人:気が早いっすよ。 今度のは、ちょっと知り合いのイベント見に行くだけですし
愛莉:でも、いいじゃない。 『世界』なんて大きな夢、とってもかっこいいわ!
愛莉:夢を追いかけるには、大変なこともあるでしょうけど—— 彰人くん達ならきっと叶えられる……
愛莉:だから——がんばってね。 わたしも、全力で応援してるわ!
彰人:はい。ありがとうございます
KAITO:(——よかった)
KAITO:(ちゃんと気持ちを伝えられたみたいだね)

第 7 话:元日の締めくくりは

数十分後
愛莉:よかったわね、絵名。 ちゃんと目当てのぬいぐるみがとれて
絵名:ホントにね! 冬弥くん、ありがと!
絵名:冬弥くんの言うとおりのところ狙ったら、本当に取れるんだもん。 びっくりしちゃった
冬弥:力になれてよかったです。 絵名さんも、どんどん上達していて驚きました
絵名:本当? もしかしたら、冬弥くんのおかげでうまくなったのかも
絵名:次は私ひとりでも取れちゃうかもね
彰人:何回もやって、やっとひとつ取れただけだっつーのに、 よくそこまで威張れるな……
愛莉:ま、こういうところも絵名らしいわよね
愛莉:あ——そうだ。みんな、このあと予定ある?
冬弥:予定ですか?
愛莉:ええ。もし時間があるなら、 さっき買ったスポーツ羽根つきを一緒にできないかなって思って
冬弥:なるほど……
冬弥:いいですね。 普通の羽子板とどんな風に違うのか、俺も気になります
彰人:オレも大丈夫ですよ
愛莉:ありがとう、みんな。 それじゃあ、近くの公園に行きましょうか!
数分後
乃々木公園
彰人:んじゃ——ペアはオレと桃井さん、冬弥と絵名で決まりだな
絵名:よろしくね、冬弥くん。 彰人達なんてコテンパンにしよ!
愛莉:言ってくれるじゃない。 こっちだって、全力でいくわよ!
彰人:じゃあ、ルールは……とりあえず5点先取でいいか?
冬弥:ああ、問題ない
絵名:あ、ねえねえ。 ただ勝負するだけっていうのもアレだし……何か賭けない?
愛莉:何かって、例えば?
絵名:そうだな……。 負けたほうは、チーズケーキ奢りとか!
彰人:お前……自分が食いてえだけじゃねえか
愛莉:まあでも、何か賭けるものがあったほうが燃えるっていうのは わかるわね!
冬弥:俺はどちらもでもかまわないぞ、彰人
彰人:……はあ、わかったよ。乗ればいいんだろ、乗れば。 その代わり、マジで手加減しねえからな
愛莉:それじゃ、始めましょうか
絵名:よーし。絶対勝って、チーズケーキ奢ってもらうんだから
愛莉:わたし達だって負けないわ。 勝つわよ、彰人くん!
彰人:はい!
冬弥:絵名さん、ここは俺が……!
愛莉:彰人くん、そっちにいったわ!
彰人:任せてください! よっ、と!
絵名:これは私が……えいっ!
絵名:あっ、変なとこ行っちゃったけど——
彰人:くっ……こんな軌道読めるかよ!
絵名:ギリセーフっぽい! よかった~!
冬弥:よし、彰人の体勢が崩れた! これなら次の一打は——
愛莉:ナーイス彰人くん! うまいことおびきだしたわね!
絵名:え、なんで愛莉があんなに前に!? さっきまで後ろにいたのに……!
愛莉:食らいなさい! ハッピィィィィィ————スマァァァァァァァッシュ!!
彰人:っし、ナイスです桃井さん!
絵名:あ~! 今のは絶対1点取ったって思ったのに!
冬弥:まさか、俺が打ち上げることを予想されていたとは……!
彰人:お互い体勢崩してたから、チャンスが来ると思ってな。 桃井さんにも狙いが伝わってよかったです
愛莉:ふふっ、彰人くんもナイス演技だったわよ!
絵名:もう……! なんかすごい悔しいんだけど……!
絵名:っていうか——彰人と愛莉は なんでそんなに息ぴったりなわけ?
数時間後
彰人の部屋
彰人:……ふう
彰人:(まさか今日、桃井さん達と一緒に 羽根つきすることになるとは……)
彰人:(なんつーか、不思議な正月だったな)
絵名の声:——彰人。ちょっといい?
彰人:ああ、いいぞ
彰人:なんか用か?
絵名:別に、用ってほどでもないけど……はいこれ
彰人:……? なんだこれ……箱?
絵名:いいから開けなさいよ
彰人:レザーの……パスポートケースか?
絵名:
絵名:今日、愛莉につき合ってもらって買ったの。 私からの餞別
彰人:餞別って……。 別に、一生帰ってこねえわけでもねえってのに
絵名:あのねえ……素直にお礼とか言えないわけ? 必要になるかなって思って、せっかく選んであげたのに
彰人:いや、別に頼んでねえよ……
彰人:……けど、まあ——
彰人:ありがとな。使わせてもらう
絵名:ん。素直でよろしい
絵名:——ま、頑張りなさいよ。 あんたはあんたで
彰人:おう。……ありがとな
彰人:(まさか、あいつがこんなもん買ってくるとはな)
彰人:(……餞別、か)
彰人:(鉢合わせた時は、騒がしい正月になっちまったと思ったが……)
彰人:(なんだかんだ、いい1年のスタートだったかもしれねえな)

第 8 话:エールを胸に

翌日
ステージのセカイ
リン:わあ~!
ミク:カイトくん、すごい!
KAITO:よっ……ほっ……
リン:カイトくん、お手玉すっごく上手だね!
みのり:うん! なんだか手品みたいだよ〜!
KAITO:ありがとう! 愛莉ちゃん達が遊んでいるのを見てたから、 遊び方のイメージがわきやすかったのかもしれないな
ルカ:ふふ。けん玉に、おはじきにお手玉…… 愛莉ちゃんが買ってきてくれたおもちゃ、どれもおもしろいわね
ミク:うん! たくさん用意してくれて、ありがとう
愛莉:ふふ、どれもちゃーんと試した上で買ったから、 おもしろさは保証するわよ!
愛莉:この本命のスポーツ羽根つきも、ちゃんと4人で遊んでみたの。 とっても盛り上がったわ!
遥:4人? 昨日って、絵名さんとふたりで買い物に行ったんじゃ……?
愛莉:ああ、実は途中で彰人くん達と偶然会ってね。 一緒に回ってたのよ
雫:まあ、すごい偶然ね
雫:それに、お正月からきょうだいで一緒にお買い物なんて…… 彰人くんと絵名ちゃん、とっても仲良しね! 羨ましいわ
みのり:え……彰人くん?
みのり:それってもしかして……東雲くんのこと……!?
遥:え?
愛莉:ええ、そうだけど……
みのり:え、絵名ちゃんと東雲くんって、 きょうだいだったんだ……!!
雫:あら? もしかしてふたりとも、知らなかったの?
愛莉:勝手に、もう知ってるって思ってたわね……
遥:うん。それぞれ会ったことはあるけど、 きょうだいだっていうのは知らなかったな
遥:でも、言われてみれば どことなく雰囲気が似てるかも……
愛莉:まあ、たしかに似てるところはあるわね。 ふたりとも負けず嫌いだし
愛莉:昨日もスポーツ羽根つきで勝負した時、すごいやる気だったもの。 お互い、相手には絶対負けたくないって感じで
雫:ふふ、本当に仲良しなのね
遥:それは仲良し、なのかな……?
愛莉:でも、ケンカするほど仲がいいっていうし、 案外間違ってないんじゃないかしら?
愛莉:——さて、とにもかくにも、 スポーツ羽根つきを配信前に試してみましょ!
愛莉:新年もたくさんの希望を届けるために—— 全力でがんばるわよ!!
みのり・遥・雫:『おー!』
ストリートのセカイ
レン:くっそー! また負けた~!
リン:もー、2点しか取れなかったよ! 悔しい〜!
KAITO:あはは。レンがスマッシュを打ってきた時は ちょっとひやっとしたけどね~
ルカ:ふっふっふ。 こんなんじゃ、ミクとメイコのペアには勝てないんじゃなーい?
リン:むむむむむ~!
レン:次こそ負けないからな! もう1回勝負だ!
ミク:……白熱してるね
冬弥:ああ。楽しんでくれているようで何よりだ
冬弥:昨日試した時も、とても楽しかったからな。 こうして、みんなで共有できて嬉しい
MEIKO:そういえば、昨日は彰人くんのお姉さん達と一緒に 遊んだのよね
杏:なんていうか、一緒に羽子板なんて仲良いよね〜
彰人:別に仲良くねえよ。 たまたまそういう流れになっただけだ
彰人:ただまあ……昨日桃井さんと話せたのは、 よかったかもな
こはね:愛莉先輩と?
彰人:ああ。あの人、絵名と中学の頃から友達やってくれてんだよ。 それでオレも何回か話したことがあってな
杏:へえ~、そうなんだ! 愛莉さん、友達の弟にまで声かけてくれるなんて優しいなあ
こはね:昨日はどんな話をしたの?
彰人:絵名が世話になってるからな。 その礼を伝えただけだ
こはね:お礼……。 ふふ。なんだか東雲くんらしいね
杏:わかる! 彰人ってほんと、そういうとこ律儀だよね!
彰人:はあ? 身内が世話になってんなら、礼するのは当然だろ
杏:そういうとこそういうとこ! なんていうかこう……武士道!って感じ?
彰人:ったく……勝手に言ってろ
彰人:(……まあ、言いたかったことを言えたのはよかったけどな)
彰人:(それに——)
彰人:(……オレ達の夢を、近くで応援してくれる人もいるって 改めてわかったしな)
彰人:(それに応えるためにも、 これからも——前に進み続けねえと)