活动剧情
Show your shine
活动ID:155
第 1 话:新しい服を求めて
宵崎家 玄関前
配達員:——それじゃあ、失礼します!
奏:ありがとうございました
奏:……よいしょ、っと
奏:ふう……。 服を買うのなんて、いつぶりだろう
奏:(中学の頃に買ってもらった上着、結構使いやすかったんだけど いつの間にか、ポケットに穴が開いちゃってたんだよね……)
奏:一応、ネットで評判のいいものを選んだけど…… どうかな
奏:…………あれ?
奏:…………思ったより、暖かくないな……
奏:……失敗したかも……
奏:(……どうしよう。最近かなり寒いし、 早めに新しいのが欲しいんだけど)
奏:(届くのが遅くなりそうだし、 ……また失敗するのは嫌だな)
奏:…………仕方ない。お店で買おう
奏:明日はお見舞いの日だし…… 帰りにショッピングモールに寄ってみようかな
翌日
センター街
奏:うう、寒い……
奏:(早く上着を買って帰ろう)
奏:(ちょっと人が多いけど、この通りから行けば ショッピングモールまで近いはず——)
新人美容師:あの、すみません! そこのお姉さん!
奏:…………?
新人美容師:お姉さん、ちょっとお時間ありますか!?
奏:もしかして、わたし……ですか?
新人美容師:そうです! お姉さん、カットモデルに興味ありませんか?
奏:カットモデル……
新人美容師:はい! 私、近くのお店で美容師をしてるんです!
新人美容師:お姉さんの髪、すっごくキレイなので 見かけた瞬間にビビッときちゃって!
奏:……えっと、わたしは……
新人美容師:あ、カットモデルなので、お代はいただきません! ご希望なら、トリートメントも一緒に受けられますし——
奏:(す、すごく熱心に誘ってくれてるけど……どうしよう)
奏:(美容院に寄ってからだと、 買い物に行く体力が残ってるかどうか……)
???:かなでさーん!
奏:えっ?
咲希:ごめんなさい、遅くなっちゃって…… お待たせしました!
奏:天馬さん……?
新人美容師:あっ、お友達と待ち合わせだったんですね……! すみません、邪魔しちゃって
咲希:いえ! 全然、気にしないでください!
新人美容師:これ、お店の名刺です。 もし興味があれば、今度ぜひのぞいてみてください!
咲希:ありがとうございます♪ それじゃあ行きましょっか!
奏:え? あ、う、うん……
咲希:えっと……さっきはごめんなさい!
奏:え……?
咲希:かなでさ——宵崎さんが、なんだか困ってるみたいに見えて。 とっさに声をかけちゃったんですけど……
咲希:もしかして、勝手なことしちゃったかな~って……
奏:あ……
奏:(そっか……。 それで待ち合わせのふりをして、助けてくれたんだ)
奏:……ううん。 声をかけてもらって助かったよ、ありがとう
咲希:ほんとですか? よかった~!
咲希:そういえば、かなでさんは—— あっ、またやっちゃった!
咲希:ごめんなさい、いっちゃんがいつも名前で呼んでるから つられちゃって……
奏:別に気にしないで。 天馬さんの好きに呼んでもらって大丈夫だよ
咲希:ホントですか!? ありがとうございます!
咲希:じゃあ、えっと……! かなでさんは、これからどこか行くんですか?
奏:うん。ショッピングモールに行こうと思って
咲希:え、そうなんですか? 実はアタシもなんです!
咲希:最近寒くなってきたし、 新しいマフラーを見に行こうかなって
奏:たしかに、すごく寒いよね……
奏:わたしも上着を買おうと思ってるんだ。 今使ってるのに、穴が開いちゃって……
咲希:新しい上着かあ……! いいですね!
奏:え?
咲希:服を選ぶのって、なんだかワクワクしませんか?
咲希:どんな雰囲気にしようかな、とか 持ってる服とどう組み合わせようかな~とか…… いろいろ考えるの楽しくって!
奏:考えるのが、楽しい……
奏:……なんだかいいね。 わたしは、服にあんまりこだわりがなくて
奏:手入れがしやすくて、動きやすいと嬉しい…… みたいな希望はあるんだけど……
奏:誰かがおすすめを選んでくれるなら、 それをそのまま着たいくらい
咲希:そうなんですか……
咲希:……あの。 かなでさんがよければ、なんですけど——
咲希:上着選び、アタシもついていっていいですか!?
奏:え……?
第 2 话:いざ、ショッピングへ
ショッピングモール
咲希:かなでさん! ここのお店、いろんな種類のアウターがありますよ!
奏:本当だ……すごいね。 こんなにあると、どれがいいのか……
咲希:ジャンルごとにまとまってるみたいです。 ここはベーシックなコートのコーナーで、 向こうはカジュアルなジャケットで——
咲希:あっ! このボアフリース、モコモコでかわいい!!
奏:(ついていっていいか、って言われた時は わたしの買い物につきあって楽しいのかなって思ったけど……)
咲希:——しかもこれ、リバーシブルだ! どっちの色もかわいいなあ
奏:(……心配する必要なかったかな)
咲希:……って、アタシが楽しんでちゃダメですよね。 かなでさんのアウターを探しにきたんですから!
咲希:こんなのがいいな~とか、イメージってあったりしますか?
奏:えっと、とにかく暖かいことと…… できれば、重くないものがいいな
奏:あと……あんまり手入れする必要のない 扱いやすい素材とか、シンプルなデザインだと嬉しいかも
咲希:なるほど~。 着心地とか、お手入れのしやすさが大事ってことですね!
咲希:だったら、こういうところより アウトドア系のお店のほうがいいのかも……
奏:アウトドア?
咲希:はい! 最近はアウトドア系のブランドでも、 普段使いできるかわいい服がいっぱいあるので!
奏:そうなんだ。じゃあ、そっちも見てみようかな
奏:えっと……案内してもらっていいかな
咲希:はーいっ♪ こっちです!
咲希:ここのお店なんですけど、どうですか?
奏:あ……たしかにシンプルで、 使いやすそうなものが多いね
咲希:えへへ、ですよね? あとは暖かくて、軽そうな素材だとー……
咲希:あ、このダウンジャケットとかどうですか? ふかふかだけど重くないし、あったかそうですよ!
奏:本当だね。これなら着てても、疲れなさそう
咲希:あと、こっちのロングコートも使いやすいと思います!
咲希:襟のところを立てたら、 冷たい風が入ってこないし…… ほらこれ、洗濯機で洗えちゃうらしいですよ!
奏:すごい、クリーニングに出さなくてもいいんだ……
咲希:すごいですよね~!
咲希:そうだ、もし気になったのがあったら 店員さんにお願いして試着してみませんか?
奏:うん。そうしてみる。 えっと、すみません——
店員:ありがとうございましたー!
奏:ふう……
咲希:いいアウターが見つかってよかったですね!
奏:ありがとう、天馬さん。 わたしひとりだったら、もっと時間がかかってたと思うし…… 途中で疲れて、適当に済ませちゃってたかも
咲希:えへへ♪ かなでさんが、ぽかぽかな冬を過ごせそうで よかったです♪
奏:うん、本当に助かったよ。 それで……よかったら、何かお礼をさせてほしいんだけど……
咲希:えっ、そんなのいいですよ! アタシがやりたくてやっただけなので!
咲希:アタシもいろいろ回ったおかげで、 かわいいマフラーに出会えましたから♪
奏:でも……
咲希:それに、かなでさんのおかげで 今日はすっごく楽しかったです!
奏:え?
咲希:かなでさん、なんでも似合うから いろいろ試着してるところを見れただけで 大満足っていうか!
咲希:だから、本当に気にしないでください!
奏:……そっか、わかった
咲希:はい! あ、でも……
咲希:もしよかったら、なんですけど——
咲希:かなでさんと、もっとお話してみたいなー、なんて
奏:わたしと……?
咲希:はい! いっちゃんとか、ほなちゃんから よくかなでさんの話を聞いてたので
咲希:いつか、ゆっくりお話してみたいな~って思ってたんです!
奏:わたしと話しておもしろいかは、わからないけど。 それでもよければ……
咲希:ほんとですか?
咲希:あ、でもこのあとバイトがあって……! またちゃんと誘ってもいいですか!?
奏:うん
咲希:ありがとうございます! じゃあ、連絡先を交換しないとですね
奏:えっと……交換って、 どこからやればいいんだっけ……
咲希:ここをタップして、このマークのところから—— あ、それです!
奏:あった、友達を追加……
咲希:できました! えへへ、ありがとうございます!
咲希:じゃあ、また連絡しますね! 今度は一緒にカフェとか行きましょー!
奏:うん。バイト、頑張ってね
奏:(……天馬さんのおかげで、本当に助かったな)
奏:(わたしと話すことが、お礼になるのかわからないけど……)
奏:……少し、楽しみだな
奏の部屋
瑞希:『——よいしょ、っと。お待たせ~』
奏:『あ……おかえり、Amia』
絵名:『何してたの?』
瑞希:『ひざ掛け取ってきたんだ~。 ついでに、あったかい飲み物も♪』
絵名:『あー、夜に作業してると必要かも。 最近、特に冷えるし……』
まふゆ:『そうなんだ』
絵名:『え、寒いでしょ? 暖房付けてないと 手がかじかんで線がブレちゃうし!』
瑞希:『あー、絵を描く人にとっては結構大変かもね。 ていうか、寒いっていえば——』
瑞希:『K、前に言ってた新しいアウターは買えた?』
奏:『あ……うん。ちゃんと買えたよ』
奏:『実は今日、ショッピングモールに行く途中で——』
瑞希:『へえ~! 咲希ちゃんに選んでもらったんだ!』
奏:『うん。わたしの希望を聞いて、いろいろ探してくれて…… おかげでいいものが買えたよ』
絵名:『っていうか、Kがわざわざ外に 服を買いに行ったっていうのがまずびっくりなんだけど……!』
絵名:『それにしても、アウトドア系のブランドかあ。 たしかに、意外とKと相性がよさそう』
瑞希:『デザインもけっこうカワイイのあるみたいだしね♪ 掘り出しものがあるかもだし、 今度ボクものぞいてみよっかな』
奏:(ん? スマホにメッセージがきてる……? 誰からだろう)
奏:『あ……』
咲希からのメッセージ:『今日はありがとうございました! かなでさんと一緒にお買い物できて、 すっごく楽しかったです♪』
咲希からのメッセージ:『もしよければ、今度いっちゃんも一緒に お茶でもどうですか?』
奏:(天馬さんからだ……。 さっそく誘ってくれたんだな)
まふゆ:『……K、どうかした?』
奏:『あ……天馬さんからメッセージがきてたんだ』
奏:『今度、星乃さんと3人でお茶しないかって』
瑞希:『お、いいじゃんいいじゃん♪ 咲希ちゃんいい子だし、きっと仲良くなれるよ!』
絵名:『わざわざ一歌ちゃんも誘ってる辺り、 気遣いができる子っぽいしね』
奏:『気遣い……?』
まふゆ:『……共通の知り合いがいたほうが、 Kが話しやすいからじゃない?』
奏:『あ……なるほど』
奏:『じゃあ、忘れないうちに返信しておこうかな』
瑞希:『お、なんて返すの?』
奏:『…………よろしくお願いします、とか?』
絵名:『さすがに、もう少し軽めでもいいんじゃない?』
奏:『軽め……』
奏:『わかった、……とかかな』
まふゆ:『……いいんじゃない』
奏:『……送れた』
奏:(……どんな話ができるか、楽しみだな)
第 3 话:予想外なお願い
数日後
カフェ
咲希:……コホン。 皆さま、本日はお集まりいただき ありがとうございまーす!
奏:えっと……どういたしまして?
一歌:これがいつもの咲希のテンションなので、 奏さんもいつも通りで大丈夫ですよ
奏:そうなんだ。ありがとう
咲希:えへへ♪ 今日は3人でこうやって会えて嬉しいです!
咲希:アタシも、かなでさんと 作曲の話とかしたいな~って思ってたんです!
奏:作曲……そういえば、シブ学祭の時にも 聴かせてもらったよね
奏:いい曲だったよ
咲希:わあ、ありがとうございます! ミュージカルの曲作るの初めてだったので、 アドバイスしてもらえて、とっても助かっちゃいました!
一歌:奏さんだからこその視点というか…… 私達だと気づかない箇所も指摘してもらえて、 すごく勉強になりました
奏:……そっか。少しでも役に立てたなら、よかった
咲希:えへへ♪ アタシも、改めてお礼が言えてよかったです!
咲希:それで、作曲のことなんですけど——!
咲希:——なるほど、映画とかマンガから 作曲のインスピレーションをもらったりもするんですね!
奏:うん。あとは、美術作品とかも
奏:その作品全体の雰囲気だったり、 どうしてこの表現を選んだのかとか…… そこから感じる想いを、音にしてみたいって思うんだ
咲希:な、なるほど~!
咲希:アタシも映画とか美術作品とか、 もっといろいろ触れてみようって思います!
一歌:私もやってみようかな
一歌:あ……
奏:どうしたの?
一歌:あ、すみません。そういえば最近、 美術の授業でおもしろい課題が出たのを思い出したんです
咲希:あ! あの自由研究みたいなの?
奏:自由研究?
咲希:はい! 『かがやき』っていうテーマで、 作品を作る課題なんですけど——
咲希:テーマが表現できれば、 絵でも彫刻でも映像でも なんでもオッケーなんです!
奏:へえ……。それって、曲でもいいの?
一歌:美術の授業なので、曲だけじゃ駄目みたいなんです。 ストーリーをつけて動画にしたり、音が鳴る絵本みたいなものを 作るみたいな感じだったら大丈夫なんですけど
奏:そうなんだ……。 難しそうだけど、楽しそうだね
奏:ふたりは、どんな作品を作るか決めてるの?
一歌:私は、ミクの絵を描いてみようかなって思ってます。 せっかくだし、普段はしないことをやってみたくて
奏:ミクの絵か。星乃さんらしいね
咲希:アタシは、ファッションコーデとヘアメイクに 挑戦しようかなって思ってます!
奏:ファッションコーデと、ヘアメイク……?
咲希:はい! 美術の先生が、卒業生の作品を見せてくれたんですけど——
咲希:友達に、テーマに合った服を着てもらって 髪のセットとかメイクもしたりして…… それで写真を撮った作品があったんです
一歌:私も見せてもらったけど、すごく綺麗だったね。 本物のモデルさんみたいに決まってて……
咲希:そうそう! ああいうの、やってみたいな~って!
奏:(……そういえば……)
奏:……天馬さんは、おしゃれに詳しいんだね
咲希:そんな詳しいってほどじゃないですよ! でも、ファッションとかメイク動画を見るのとか好きなので
咲希:せっかくの機会だし、 挑戦してみたいなって思ったんです!
一歌:ふふ。咲希、美術の授業が終わったあとから すっごく張り切ってたよね
一歌:そういえば、モデルはもう決まったの?
咲希:う……それが、まだ……
奏:天馬さんが自分でやったら駄目なの?
咲希:ダメじゃないんですけど、 できれば他の人にお願いしたいなって
咲希:なんていうか、表現したいイメージみたいなのは ふわふわ~っとあるんです
咲希:それが、アタシ自身には合わないな~って
咲希:だからあとは、ぴったりくる モデルさん、を………………
一歌:咲希、どうしたの?
咲希:……気づいちゃったかも……
咲希:あの、かなでさん……!
奏:うん?
咲希:あの……もし、ホントにもし、よければなんですけど……!
咲希:アタシの、課題のモデルになってもらえませんか!?
奏:え……
咲希:なんていうか、あんまりうまく言えないんですけど…… アタシが表現したい『かがやき』に、ぴったりなんです!
奏:でも、モデルってやったことないし…… 天馬さんの表現したいもの、ちゃんと表現できるか——
咲希:大丈夫です! アタシ、かなでさんなら…… 絶対、絶対にぴったりだって思うんです!
奏:…………
咲希:あっ、ごめんなさい……! 急に言われても困っちゃいますよね……
奏:(モデル、か……)
奏:(わたしに、そういうのができるとは思えないけど……)
奏:(でも、天馬さんにはいろいろ助けてもらったし、 もしこれが、お礼になるのなら——)
奏:……わかった。 わたしでよければ……引き受けるよ
一歌:奏さん……
咲希:ほ、ホントにいいんですか!?
奏:うん、うまくできるかはわからないけど……
奏:がんばるよ
咲希:ありがとうございます、かなでさん!
咲希:アタシ……! かなでさんのいっちばん素敵な 『かがやき』を表現してみせますっ!!
奏:う、うん。 お手柔らかに……
咲希:えへへ、よかったあ
咲希:衣装を選んだりとか、ヘアメイクの練習をしたりで 準備に時間がかかっちゃうと思うんですけど……
咲希:予定を組んだら、かなでさんに連絡しますね!
奏:わかった
奏:えっと……わたしが準備しておくことって、あるかな
咲希:いえ! かなでさんは何もしなくて大丈夫です! 服とかもアタシが用意しておくので!
奏:そっか、よかった
一歌:奏さんがモデル、か……
一歌:……あの、私も見に行っていいですか? ちょっと気になっちゃって
奏:わたしは大丈夫だよ。天馬さんがよければ
咲希:はーい、大丈夫! 予定が決まったら、いっちゃんにも連絡するね!
一歌:ありがとう。 ちょっと楽しみだな
咲希:アタシも~!
奏:(わたしが、モデル……)
奏:(…………本当に大丈夫かな……?)
第 4 话:おしゃれは楽しく
数日後
咲希の部屋
奏:えっと……お邪魔します
一歌:お邪魔します
咲希:はーい! かなでさん、いっちゃん、ようこそ~♪
咲希:すみません、かなでさん。 わざわざ来てもらっちゃって
咲希:今日はめいっぱい、かなでさんの『かがやき』を 表現してみせますね!
奏:うん、よろしく
奏:(……あんまり人の家に お邪魔することってないから、ちょっと緊張するな)
奏:(それにしても……)
咲希:かなでさん?
奏:あ……ごめん。 綺麗に片付いてて、すごいなって思って……
咲希:えっ、そうですか?
奏:うん。わたしの部屋は、物が多くて…… ときどき崩れてきたりもするから
咲希:えっ。ケガとか大丈夫ですか!?
奏:うん。 楽譜とか、段ボールとか……そんなに重くないものだから
奏:曲のインスピレーションがわいたら すぐに作業したくて、つい色々後回しにしちゃうんだ
一歌:作曲してると、他のことが手につかないって気持ち ちょっとわかります
咲希:あはは。アタシも時間がない時、 クローゼットにぎゅーって詰め込んじゃって あとから雪崩みたいになったりするなあ
咲希:あ……! ふたりとも、遠慮しないで座ってくださいね!
咲希:お菓子とか飲み物もあるので、好きなのをどうぞ!
奏:わ……すごいね。 ちょっとしたパーティーみたい……
一歌:……ん? この雑誌の山って——
咲希:ふっふっふ、アタシが集めたファッション雑誌だよ!
咲希:この前、カフェに行ったあと かなでさんの写真を撮らせてもらったの、覚えてますか?
奏:あ……うん。 たしか、準備に使うって言ってた気がするけど……
咲希:そうなんです! アタシも前に動画で見たやり方なんですけど——
咲希:プリントした顔写真をこうやって 雑誌のモデルさんの顔にあててみると~……
一歌:あ、すごい。 着せ替えみたいだね
咲希:こうすると、 実際に服を着た時のイメージがつきやすくなるんだって!
奏:なるほど……
一歌:おもしろいね。私も今度やってみようかな……?
咲希:うんうん! 試着するより気軽だし、いろいろ試せて楽しいよ!
咲希:こんな感じで、いろいろコーディネートのパターンを 考えてみたんですけど……
奏:あ……このページ、付箋が貼ってあるね
咲希:えへへ、これは候補その1です!
咲希:全体的にモノトーンでまとめて、 アクセサリーを目立たせてる感じがかっこいいなって
一歌:へえ……たしかにかっこいいね。 ちょっとロックバンドっぽい
奏:……わたしに着こなせるかな?
咲希:絶対似合いますよ! あとは、こういうガーリーな感じのとか!
一歌:可愛いね。ふわふわしてて、お人形みたい
奏:うん。瑞希が好きそう
咲希:えへへ、アタシも思いました♪ こんな感じで、帽子にブローチをつけたりするのも かわいいですよね
咲希:あ、あとは思い切ってスポーティに振り切ったりとか——
咲希:こんな感じで、 何パターンかのコーデで写真を撮れたらなって思ってます!
奏:うん。わかった
一歌:おしゃれのことはよくわからないけど…… どれも、奏さんに似合いそうだね
咲希:うん! 髪型とかメイクも、 服装に合わせて考えてるんだ♪
咲希:あ、そうだ。 かなでさん、ちょっとだけヘアアレンジしてみてもいいですか?
奏:わたしはいいけど……ジャージのままでいいの?
咲希:はい! かなでさんの髪質とかを知りたいなって!
咲希:えっと、ブラシとヘアピンと…… あ、オイルもあったほうがいいかな?
一歌:……ふふ。咲希、張り切ってますね
奏:うん……
奏:(課題を頑張りたいから、っていうのもあるんだろうけど……)
奏:(おしゃれをするのが、本当に好きなんだろうな)
咲希:——お待たせしました!
咲希:まずは、髪を梳かしていきますね
奏:えっと……よろしくお願いします
咲希:かなでさんの髪、サラサラできれいですね
咲希:これだけ長いと、お手入れとか大変じゃないですか?
奏:あんまり手入れは……してないかも。 伸ばしてるのも、そのほうが楽だからだし
咲希:えー! それでこんなにサラサラなんですか……!?
咲希:すごいなあ……。 アタシ、昔からくせっ毛だから まっすぐな髪ってあこがれがあるんです
一歌:私は咲希の髪、好きだけどな。 ふわっとしてて、柔らかいし
奏:うん。天馬さんの雰囲気に、合ってると思う
咲希:えへへ、ありがとうございます♪
咲希:アタシがヘアアレンジを雑誌とかで勉強し始めたのって、 このくせっ毛をどうにかしたーい!って 思ったのがきっかけなんですよ
咲希:髪型とか、洋服のコーデがピシッと決まると それだけで今日はいい1日になりそうだなって 思えるんです!
奏:(いい1日になりそう、か……)
奏:(そんな風に考えたことは、なかったな)
咲希:全体は自然な感じでおろして、 ハーフアップにしますね!
咲希:ねじねじとお団子だったら、どっちがいいですか?
奏:えっと………………お任せで
第 5 话:力になりたい
数日後
宮益坂
奏:(すごい人だな……)
奏:(こんなに寒いのに、 みんな外に出てるなんてすごいな——)
咲希:かなでさん?
奏:あ……ううん。なんでもない
奏:えっと、今日はどこへ行くんだっけ?
咲希:最近できたメイクアップルームです!
咲希:撮影の本番までに、メイクもいろいろ試してみたくて—— あ、ここですよ!
メイクアップルーム
奏:……なんだか、キラキラしてるね……
咲希:すごいですよね~! いろんなコスメの試供品が、 1時間ワンコインで使えちゃうんです♪
奏:へえ……そんな場所があるんだ。 全然知らなかったな
奏:………………
咲希:どうかしましたか?
奏:あ……こんな感じで、 音楽の機材も試せる場所があったらいいなと思って
咲希:たしかに! 店員さんに言えば触らせてくれたりしますけど、 あんまり長くは使えないですもんね
奏:うん。 わたしが知らないだけで、もうあるのかもしれないけど……
咲希:アタシも気になってきちゃいました! あとで、一緒に調べてみましょう!
さらに数日後
咲希:『——それで、みずきちゃんとしずく先輩からも 服を貸してもらえることになったんです!』
奏:『そうだったんだ。 たしかに、あのふたりはいろいろ持ってそうだね』
咲希:『はい! アタシが持ってないようなテイストの 服とかもあったので、すっごく助かりました!』
咲希:『おかげで一通りコーディネートの方向も 決まったところで~……』
咲希:『なんと! 特別ゲストの登場でーす!』
奏:『特別ゲスト?』
咲希:『はい! 同じ学校の友達なんですけど、 課題のことをメッセージで話したら 協力してもらえることになったんです』
咲希:『と、いうわけで……アメリカにいるこはねちゃーん!』
こはねの声:『は、はーい……!』
こはね:『えっと……ちゃんと映ってるかな?』
咲希:『うん、バッチリだよ!』
こはね:『えへへ、よかった』
こはね:『こんにちは、宵崎さん。 あ……今の時間だと、日本では こんばんはかもしれないんですけど……』
奏:『えっと……こんにちは。 たしか、絵名の弟さんと同じチームで活動してる——』
こはね:『はい。小豆沢こはねといいます』
咲希:『こはねちゃんは、写真を撮るのがすっごく上手なんです!』
咲希:『だから今日は、凄腕カメラマンのこはねちゃんから、 写真撮影のアドバイスをもらおうと思って!』
奏:『そうなんだ……。 えっと、よろしくお願いします、小豆沢さん』
こはね:『そ、そんな風に言ってもらえるような 腕前じゃないんですけど……』
こはね:『でも、私にわかる範囲でよければ、精一杯答えますね』
咲希:『ありがとう、こはねちゃん! それじゃあ、さっそくなんだけど——』
咲希:『ポートレート写真を撮る時のコツって 何かあるかなあ?』
こはね:『ポートレート写真……』
こはね:『それなら、まずはモデルの人の魅力を一番活かせる構図とか、 撮影場所を考えてみるといいと思うな』
咲希:『ふむふむ。 かなでさんを一番活かせるような……』
こはね:『あと、今回は表現したいテーマが 決まってるみたいだから…… そことの掛け算ができるといいかも』
奏:『掛け算?』
こはね:『はい。前に、バレンタインがテーマの フォトコンテストに参加したことがあるんですけど——』
咲希:『——うん! こはねちゃんのおかげで、撮影のコツがわかった気がする!』
奏:『モデル側が意識したほうがいいことも 教えてもらえて、助かったよ』
こはね:『そう言ってもらえてよかったです』
こはね:『ふたりとも頑張ってください。 課題、応援してますね!』
数日後
カフェ
咲希:撮影、お疲れさまでしたー!
奏:天馬さんもお疲れさま。 ……いろいろ撮ったけど、使えそうなのはあった?
咲希:はい! 本当にどのコーデもすてきだったので、 どれにしようか迷っちゃうくらいです
奏:そっか……
咲希:プリントしてきたので、かなでさんも一緒に 見てもらっていいですか?
咲希:『この写真は使ってほしくない!』とか、 そういうのがあったら教えてほしいなーって
奏:うん、わかった
奏:(……写真を撮られるのは慣れてないし、 もっと顔が引きつったりしてるかなって思ったけど——)
奏:(よかった。思ったより、自然な感じになってる)
奏:(小豆沢さんのアドバイスと…… 撮影の時、天馬さんがいろいろ声をかけて リラックスさせてくれたおかげかも)
奏:……うん。 全部見たけど、わたしが気になるところはないかな
奏:あとは、天馬さんの自由に——
奏:……天馬さん?
咲希:え……あっ、すみません! 何か気になるところとか、ありましたか!?
奏:ううん。わたしのほうは問題なかったけど……
奏:ごめん、あんまりよくなかったかな
咲希:あ、違うんです! かなでさんは全然悪くなくって!
咲希:でも……
咲希:えっと……変なことを聞いちゃうかもしれないんですけど
咲希:何か足りないな、とか。 そういう感じ、ないですか……?
奏:足りない?
咲希:はい……
奏:(わたしの目から見て、そういう感じはしないけど——)
奏:……何か、納得できないところがあったりする?
咲希:え……
奏:あ……その、間違ってたらごめん
奏:ただ、なんとなく……天馬さんの中で、 何か引っかかってることがあるのかなって
咲希:…………
咲希:引っかかってる……っていうほどじゃないんですけど——
咲希:……ただ……
咲希:課題のテーマの『かがやき』を、 ちゃんと表現しきれてるのかな?って……
奏:表現しきれてるか……
咲希:はい……
咲希:たとえばこの写真は、 かなでさんのミステリアスな感じを出したいなって 思ってコーデを組んだんです
咲希:こっちは、シブ学祭の時に 作曲について相談に乗ってくれた優しさをイメージしてて……
咲希:全部、アタシが思うかなでさんの『かがやき』なのに…… どうして、こんな風に感じるのかわからなくて
奏:なるほど……
奏:(天馬さんの中には、ちゃんと表現したいものがある。 それでも何かが足りないって感じるなら——)
奏:……やっぱり、わたしがモデルとして実力不足だからかも……
咲希:違います!
咲希:かなでさんは本当に、 どの写真もかっこよくて、かわいくて、 すっごくすっごくすっごーく最高でした!!
奏:あ……ありがとう……
咲希:いえ……!
奏:(表現したいものはあるはずなのに、 表現しきれてない感覚、か……)
奏:(……どうしてだろう? わたしにも、少しわかる気がする)
奏:(あ……)
奏:(そうだ、作曲してる時……。 わたしもそういう気持ちになることがある)
奏:(表現したいこととか、伝えたいことがあるはずなのに。 それがうまく掴み切れなくて……)
奏:(ずっと手探りで進んでも、 どれも正解じゃないように思えて……)
奏:(今の天馬さんも、同じなのかもしれない)
奏:(それなら、わたしにできることは……)
奏:……わかった
咲希:えっ?
奏:多分、だけど…… 天馬さんが『表現しきれてない』って感じるなら、 その感覚は正しいんだと思う
奏:わたしも……曲を作ってる時に、同じように感じることがあるから
咲希:かなでさん……
奏:天馬さんが表現したいものがちゃんと掴めて、 納得いく写真が撮れるまで——わたしでよければ、つきあうよ
咲希:えっ……!? ほ、本当ですか!?
奏:うん。課題の提出まで、まだ時間はあるみたいだし
奏:一度引き受けたことだから…… 最後まで、力になりたいんだ
咲希:かなでさん……ありがとうございます
咲希:もう少しだけ、アタシに力を貸してください!
奏:うん。 ……頑張ろう、天馬さん
第 6 话:視点を変えれば
数日後
奏の部屋
絵名:『——よし! キリがいいから、今日はここまでにしとこっかな』
瑞希:『あ、ボクもそろそろ落ちようかな。 明日は久しぶりにバイトだし』
奏:『うん。みんな、お疲れさま』
瑞希:『お疲れ~♪』
まふゆ:……奏は、まだ作業するの?
奏:うん、もう少し進めておきたいところがあるから
まふゆ:……わかった。おやすみ
奏:おやすみ、まふゆ
奏:ふぅ……
奏:あ……メッセージ?
奏:(……メールマガジンか。てっきり……)
奏:(あれから、連絡がないけど……)
奏:——天馬さん、大丈夫かな
咲希:アタシが感じた、かなでさんの『かがやき』を、 もう一度ちゃんと考えてみます!
咲希:そうしたら、表現できる方法も見えてくるかもしれないので!
奏:(答えが見つからなくて、悩んでるのかもしれない)
奏:(最後まで力になるって言ったけど、 結局わたしは、何もできてないし……)
奏:……駄目だな。全然、作業に集中できてない
奏:気分転換に……セカイに行ってみようかな
誰もいないセカイ
湖
奏:……あれ?
奏:(湖の近くに、誰かいる……)
奏:……リン?
リン:……奏、来てたんだ
奏:うん。少し、気分転換しようと思って
リン:ちょうどよかった
奏:え?
リン:…………
リン:……ブローチ、曲がってない?
リン:湖で見ようと思ったけど、よく見えなかったから
奏:えっと……ちゃんとつけられてると思うよ
リン:そう。なら、いい
奏:綺麗なブローチだね
リン:瑞希が持ってきた。 お店で見つけて、似合いそうだからって
リン:……今日は、気が向いたからつけてる
奏:そっか。きっと、瑞希も喜ぶよ
リン:……ん
リン:奏も、こういうのつけたりするの?
奏:え?
リン:モデルをしてるって、瑞希達が言ってたから
リン:こういうのをつけて、写真を撮ったりするの?
奏:うん。ブローチとか、ネックレスとか いろいろつけてもらったな
奏:…………
リン:どうかしたの?
奏:あ……ううん。 何かあったってほどじゃないんだけど……
奏:ちょっと、うまくいってなくて
リン:……そうなの?
奏:うん。この前、撮影をしてきたんだけど——
奏:——天馬さんは、わたしに『かがやき』を 感じてくれてるらしいんだ
奏:けど、それを作品にうまく表現しきれてなくて…… 困ってるみたいで
リン:『かがやき』……
奏:うん。もう一度、自分でもよく考えてみるって 言ってた
奏:……そういう、表現したいものが掴み切れなくて 作品に落とし込めない感覚は、わたしもわかるから
奏:だから、何か力になれたらって思うんだけど…… どうすればいいか、思いつかなくて
リン:そうなんだ
奏:うん。……こういう時、リンならどうする?
リン:……いきなり言われても、わからない
奏:あ……そうだよね、ごめん
リン:どうしたらいいのかは、わたしにもわからないけど……
リン:なんだか、いつもと逆だね
奏:逆……?
リン:うん。奏はいつも、誰かに届くものが作れないとか、 表現したいものがわからないって思ったら……
リン:その相手のことを、知ろうとするでしょ?
奏:あ……
奏:……そうだね。 まふゆを救う曲を作りたいと思った時——
奏:まふゆが今、何を考えてるか…… どんな気持ちなのかを知りたいと思った
奏:そのせいで、踏み込みすぎちゃったこともあったけど……
奏:まふゆの中にあるものを知ったおかげで、 表現したいものを掴めて……それを曲に込められた気がする
リン:……知らないなら、知ればいいと思う
リン:それで変わることも、いっぱいあるんじゃない?
奏:リン……
奏:——そっか。たしかに、いつもと逆なのかも
奏:それなら……
奏:(天馬さんの悩みが、それで解決するかはわからない)
奏:(でも……少しでも、解決のヒントになるなら——)
奏:ありがとう、リン
奏:おかげでどうすればいいのか、わかった気がする
リン:そっか
リン:……いい写真撮れたら、今度見てみたい
奏:わかった。 完成したら、見せに来るね
リン:……待ってる
第 7 话:もっと話を
翌日
ファミリーレストラン
奏:来てくれてありがとう、天馬さん。 ごめんね、急に呼び出して
咲希:いえ! 全然大丈夫です!
咲希:えっと……今日したい話って、 アタシの課題のことですよね
咲希:すみません! 実はまだ、どうしたらいいか思いついてなくって……!
奏:ううん、大丈夫だよ。 そんなに簡単にわかることじゃないと思うし
奏:ただ……天馬さんが悩んでることで、 ひとつ試してみたいことがあるんだ
咲希:試してみたいこと……ですか?
奏:うん。うまくいくかはわからないけど……
奏:天馬さんに、わたしのことを知ってもらおうと思って
咲希:かなでさんのことを?
奏:天馬さんは、わたしの『かがやき』を 表現しようとしてくれてるけど……
奏:ちゃんと話すようになったのは最近で、 お互いのことをまだあんまり知らないから——
奏:それでうまくいかないんじゃないか、って思ったんだ
咲希:あ……!
奏:もちろん、知ってどうにかなることじゃないかもしれないけど
奏:まずは、試してみるのはどうかなって
咲希:……たしかに……
咲希:かなでさんの『かがやき』がなんなのか、 掴み切れなかったのは、アタシがちゃんと かなでさんのことをわかってなかったからかも……
咲希:わかりました! かなでさんのこと、もっと教えてください!
奏:うん。ただ、自分だと何から 話していいのかわからなくて……
奏:天馬さんが気になることを、質問してもらってもいいかな?
咲希:わかりました! あっ、言いたくないなってことは、 無理に答えなくて大丈夫ですからね!
奏:うん、大丈夫
咲希:えーっと、まずは…… かなでさんの、好きな食べ物はなんですか?
奏:……カップ麺とか、缶詰めとかかな
奏:作る手間がかからないから、 その分、曲を作る時間にあてられるし
咲希:へえ、そうなんですね……! カップ麺、アタシもむしょーに食べたくなる時あります!
咲希:じゃあじゃあ、好きな味とかはありますか?
奏:一番よく食べるのはしょうゆとか塩味だけど…… わりと、どれも好きかな
咲希:ふむふむ、なるほど……。 あっ、麺はかため派ですか? やわらかめ派ですか?
奏:え……どっちなんだろう。考えたことがなかった
奏:作り方の通りに、感覚で3分計って食べてるから。 かたさは特にこだわりがないかも……
咲希:感覚で……って、タイマーとか使わないで 何分経ったかわかっちゃうってことですか?
奏:あ、うん。あんまり長い時間は無理だけど……
咲希:す、すっご~い! いいなあ、アタシもそういう特技ほしいです!
奏:特技……なのかな
咲希:立派な特技ですよ! じゃあ、次は…… 得意な科目と、苦手な科目を教えてください!
奏:得意な科目は……音楽、かな。 苦手なのは体育
咲希:なるほど~。 あれ? でも……
咲希:たしかかなでさんって、 通信制の学校に通ってるんですよね? 体育の授業もあるんですか?
奏:うん、必修だから単位をとらないといけなくて……
咲希:ひゃー、そうなんですね……! 知らなかったです!
奏:ただ、全部オンラインで済ませられるし…… 課題さえやれば、あとはずっと曲を作ってられるから。 通信制の学校にしてよかったと思ってるよ
咲希:ずっと、曲を……
咲希:もしかして、家にいる時はいつも曲を作ってるんですか?
奏:うん、だいたいは
咲希:そうなんですね……
咲希:……もしかしたら……
奏:え?
咲希:あの、もうひとつ聞きたいんですけど——
咲希:かなでさんにとって、音楽ってどういう存在ですか?
奏:……作り続けないといけないもの、かな
奏:……わたしは、誰かを救う曲を作らないといけないんだ
奏:苦しんでる人とか、悲しい想いをしてる人—— そんな人達をひとりでも救えるような曲を、 作り続けなくちゃいけなくて
奏:……うまく言えなくてごめん。 でも、わたしにとっての音楽は、そういうものだと思う
咲希:誰かを救う曲……
咲希:あの——今、かなでさん達の曲を聴いてみてもいいですか?
奏:え? うん、いいけど……
咲希:ありがとうございます! 前にいっちゃんが見せてくれた動画は、えっと——
奏:わたしのスマホでよければ、 すぐ出てくるけど……聴く?
咲希:あ、ありがとうございます!
咲希:…………
奏:(……天馬さん、すごく真剣に聴いてるな……)
咲希:(……今の音、すごい)
咲希:(すごく深くて、暗いところから響いてくるみたいで…… アタシ達が作る曲とは、やっぱり全然違う)
咲希:(きれいで、少し怖くて……でも、すごく優しい感じもして)
咲希:(かなでさんが、こんな曲を作れるのは——)
奏:……わたしは、誰かを救う曲を作らないといけないんだ
奏:天馬さん……?
咲希:……かなでさん
咲希:——わかった気がします。 アタシが表現したい、かなでさんの『かがやき』!
第 8 话:たどり着いた答え
咲希の部屋
咲希:服はこれとこれで…… アクセサリーは……これ!
奏:(すごい。全然迷わないで選んでる……)
奏:(ということは……)
奏:(……本当に表現したいものを、見つけられたんだな)
咲希:お待たせしました! 準備できたので、これに着替えてもらってもいいですか?
奏:うん、わかった
奏:……こんな感じで大丈夫かな?
咲希:はい! このままヘアメイクもやっちゃうので、 ここに座ってもらっていいですか?
奏:わかった
咲希:髪の毛を全体的に、アイロンでふんわり巻いていきますね
咲希:基本は透明感があって、凛としたイメージなんですけど…… やわらかくて優しい雰囲気もある!みたいな
奏:……髪型も、もう頭の中でできてるんだ
咲希:はい! これも全部、かなでさんのおかげです
咲希:かなでさんのことを知っていったら、 イメージがどんどんわいてきて——
咲希:えへへ、今、すっごくワクワクしてます!
奏:そっか……よかった
咲希:そうだ! かなでさん、もしよかったらなんですけど……
咲希:ヘアメイクが終わるまで、 目を閉じててもらえませんか?
奏:え?
咲希:えへへ、メイク台の前でやってると、 どうしても鏡が目に入っちゃうと思うので……
咲希:全部できてから、せーの、で 見てもらったほうが楽しいんじゃないかなって!
奏:……わかった。 じゃあ、終わったら教えて
咲希:ありがとうございます♪ 終わったら、声をかけますね!
咲希:あとは、淡い色のリップを塗って……っと
咲希:——よし、できました! あ、でもまだ目は開けないでくださいね
奏:うん……
咲希:アタシが手をつないでるので、 そのまま立って……こっちです
咲希:はい、目を開けていいですよ!
奏:………………
咲希:……どうですか?
奏:えっと……
奏:自分でこんなこと言うのは、変かもしれないけど……
奏:……すごく、綺麗だと思う
奏:わたしには、おしゃれのことはよくわからないけど……
奏:今までとは、何かが違うことはわかるよ
咲希:……かなでさんと話してて、わかったんです
咲希:アタシが表現したいかなでさんの『かがやき』は—— きっと、かなでさんの作る曲と同じなんだって
奏:曲と……?
咲希:はい。 かなでさんの曲は、つらい思いをしてたり、 苦しんでる人に寄り添ってくれて……
咲希:誰かを救いたい、幸せにしたい、って…… そんな優しい想いでできてるんだなあって
奏:…………
咲希:あ! アタシがそう感じただけで、 全然間違ってるかもしれないんですけど……!
咲希:でもアタシは、そういうかなでさんの優しさが 素敵だな、まぶしいな~って思ってて……
咲希:だからこれが、アタシが思う かなでさんの『かがやき』なんです!
奏:(……そっか)
奏:(これが、天馬さんが表現したかったもの……)
奏:…………なんだか、嬉しいな
奏:わたしの曲は——天馬さんに、こんな風に届いたんだね
咲希:あの……かなでさん! さっきの顔、もう1回してもらえますか!?
奏:え——
咲希:すごくいい表情だったので、写真撮らせてください!
奏:え、えっと……さっきって、どんな顔してた……?
咲希:にっこりで、ふわわ~って感じです!
数日後
奏の部屋
奏:……ふう。少し、休憩しようかな
奏:(そういえば……)
奏:(あれから連絡がないけど、課題は大丈夫だったのかな)
奏:ん? メッセージ……
奏:あ……
咲希のメッセージ:『かなでさん、こんにちは! 連絡が遅くなっちゃってごめんなさい』
咲希のメッセージ:『この前は、本当にありがとうございました!』
咲希のメッセージ:『かなでさんのおかげで、最高の1枚が撮れて、 美術の先生にもいっぱい褒めてもらいました』
咲希のメッセージ:『でも、一番嬉しかったのは、 ちゃんと自分の表現したいものを出し切れたことと……』
咲希のメッセージ:『かなでさんに、“きれいだ”って言ってもらえたことです!』
咲希のメッセージ:『ホントにホントに、ありがとうございました! 写真のデータも送るので、よかったら見てみてください♪』
奏:写真のデータ……
奏:(……改めて見ても、やっぱりわたしじゃないみたいだな)
奏:(けど——)
奏:『天馬さんの力になれて、よかったよ』……っと
奏:わ……もう返信がきた
咲希のメッセージ:『よかったらまた時々、コーディネートさせてください!』
奏:…………
奏:『時々なら』