活动剧情

昔日のRead-aloud

活动ID:158

第 1 话:週末の予定は

昼休み
宮益坂女子学園 中庭
穂波:ごちそうさまでした
咲希:ごちそうさまでしたー! ん~、お腹いっぱい!
一歌:そうだ。今週末の練習ってどうする?
志歩:そういえば、集合時間が決まってなかったね
咲希:スタジオの予約が2時からだから~……。 ちょっと早めに集まって、みんなでランチとか?
穂波:あ……
咲希:ほなちゃん?
穂波:えっと、ごめんね。 わたしはちょっと遅くなっちゃうかもしれなくて
穂波:その日、町内会の集まりがあるんだ
一歌:町内会……。 たまにお花見とか、季節のイベントを やってるけど、ああいう感じ?
咲希:あ! ハイキングとか、お祭りとかやってたりもするよね! いいな~楽しそう!
穂波:あはは……。今回は、イベントに参加するんじゃなくて お母さん達の代わりに話し合いに出るんだ
咲希:えっ!? ほなちゃんが?
志歩:……そういえば前に、 おばさん達の代わりに穂波が出席してたことがあったっけ
穂波:お店が忙しい時期と重なっちゃった時とか、 本当にたまにだけどね
咲希:お母さんとお父さんの代わりなんて、すごいなあ。 さすがほなちゃん!
一歌:話し合いって、どんなことをやるの?
穂波:今回は、絵本の読み聞かせ会について話す予定だよ
咲希:読み聞かせかあ……!
咲希:……えへへ。昔、アタシが入院してた時に ほなちゃんがお見舞いで いろいろ本を読んでくれたよね
咲希:あれ、すっごく嬉しかったなあ
穂波:ふふ。咲希ちゃんがキラキラした目で 聞いてくれるから、わたしも楽しかったよ
志歩:もしかして、穂波が読み聞かせやるの?
穂波:ううん、いつもやってくれてるベテランの人がいるんだ。 だからわたしは、裏方のお手伝いだと思う
一歌:なんていうか……穂波、楽しそうだね
穂波:え? そ、そうかな?
咲希:うん! にこにこにこ~ってしてたよ
穂波:……わたしも子供の頃、 読み聞かせ会に参加したことがあるんだ
穂波:それをきっかけに大好きになった絵本があったんだけど—— 今回の会で読まれるのが、その絵本なんだって
一歌:そうだったんだ
咲希:読み聞かせ会、すっごく楽しみになっちゃうね♪
穂波:うん!
穂波:(本当に、楽しみだな)
穂波:(いい読み聞かせ会になるように、 わたしもお手伝いしなくちゃ)
数日後
公民館
町内会会長:皆さん。本日もお忙しい中、 お集まりいただきありがとうございます
町内会会長:来月行われる絵本の読み聞かせ会ですが…… ひとつ、問題がありまして。 今日はそのご相談をしたいと思っています
穂波:えっ……?
穂波:(問題って、何があったんだろう……?)
町内会会長:実は、いつも読み手を担当してくれている遠藤さんが、 今回参加が難しく……
町内会会長:急遽、他の方に読み手をお願いしたいんです
町内会会長:まずは立候補を募りたいと思いますが、 どなたか引き受けていただける方はいますか?
穂波:…………
穂波:(読み聞かせ……)
穂波:(職業体験で幼稚園に行った時に、やったことはあるけど…… あの時とは規模も全然違うよね)
穂波:(……でも……)
穂波:……わたしも子供の頃、 読み聞かせ会に参加したことがあるんだ
穂波:それをきっかけに大好きになった絵本があったんだけど—— 今回の会で読まれるのが、その絵本なんだって
穂波:あ、あの……!
穂波:わたしでよければ——やってみたいです!

第 2 话:大好きな絵本

数日後
教室のセカイ
穂波:……ふう。 そろそろ少し休憩しようか
一歌:そうだね。 メイコが自主練に付き合ってくれたおかげで、 サビのところのリズムキープがだいぶうまくなった気がするな
MEIKO:ふふ、それならよかった
穂波:あ、そうだ。 おやつにアップルパイを持ってきたんですけど、 みんなで食べませんか?
MEIKO:いいね。 ちょうど甘いものが欲しい気分だったんだ
穂波:水筒に温かい紅茶もあるので、 よかったらどうぞ
一歌:ちょっとしたお茶会みたいだね
MEIKO:そういえば、咲希達から聞いたんだけど…… 穂波、絵本の読み聞かせをするんだって?
穂波:そうなんです。 町内会で定期的にやってるイベントがあって
一歌:穂波の好きな絵本を読むんだよね
穂波:うん! うまくできるかちょっと緊張するけど……楽しみだな
MEIKO:へえ、いいね! ちなみにその絵本って、どんな内容なの?
一歌:あ。それ、私も気になってたんだ
穂波:えっと、練習のためにカバンに入れてた気が……
穂波:あ、あった。これだよ
一歌:——『星を追いかけた犬?』
MEIKO:犬って、表紙に描かれてるこの子のこと?
穂波:はい。このワンちゃんは、優しい男の子と その家族と一緒に幸せに暮らしてたんですけど……
穂波:ある時、男の子が重い病気にかかってしまうんです
穂波:お医者さんにかかっても、 男の子の病気は治る見込みがなくて——
穂波:男の子を助けるために、ワンちゃんは 『願いを叶えてくれる星』を探して たった1匹で旅に出るんです
一歌:1匹だけで……
MEIKO:よっぽど、その男の子のことが心配だったんだね
穂波:はい。 ワンちゃんは旅の途中で、自分と同じように 何か願い事を持った人達に出会って……
穂波:困ってることを一緒に解決したり、 手助けをしながら進んでいくんです
穂波:……大好きな飼い主の男の子なら、 きっとそうするだろうなって思いながら
MEIKO:それで、最後はどうなるの?
穂波:どれだけ探しても、願いを叶えてくれる星は 見つかりません
穂波:でも、旅の途中でワンちゃんに助けられた人達の 恩返しや優しさが連鎖していって——
穂波:最後には、男の子の病気が治る薬が見つかるんです
一歌:よかった……。 ちゃんとハッピーエンドなんだね
MEIKO:ちょっとハラハラしちゃった
穂波:ふふ。 わたしも初めて読み聞かせ会で聞いた時は、そんな感じでした
穂波:ワンちゃんは、 もともとすごく勇気がある子ってわけじゃないんですけど……
穂波:それでも、大好きな男の子のために 旅に出ることを決めたり、出会った人を 助けるために頑張ったり
穂波:……わたし、そういう優しいところが大好きで。 お話を聞きながら、ずっと心の中で応援してたんです
MEIKO:その犬、なんだか穂波に似てるね
一歌:あ、それ、私も思った
MEIKO:だよね
穂波:えっ?
MEIKO:見た目とかじゃないよ? いつも誰かのために一生懸命なところが、 穂波に似てるなって
穂波:そ、そうでしょうか……?
一歌:私もそう思うな。 穂波って、誰かのためにってなると すごい力を出せるでしょ?
一歌:それって、誰かを助けたいとか 力になりたいって気持ちの強さだと思うんだよね
MEIKO:そうそう。 あと、優しいところもね
穂波:そんな風に考えたことはなかったけど…… でも、そう言ってもらえると嬉しいです
一歌:そういえば……この絵本って、もしかして穂波の?
穂波:うん。わたしがあんまり気に入ってるから、 お母さん達が買ってくれて
一歌:やっぱり。 裏表紙に、かわいいシールが貼ってあるから
穂波:あ……!
MEIKO:あ、本当だ。 星のシールがたくさん貼ってあるね
穂波:は、はい……。小さい頃に、わたしが……
穂波:子供の頃、お気に入りのものにはなんでも シールを貼っちゃう癖があったのと……。 ワンちゃんに、星をあげたいなって思ったみたいで……
一歌:そうだったんだ……
穂波:あはは、ちょっと恥ずかしいな……
一歌:恥ずかしがることないよ、穂波
穂波:えっ?
一歌:私はこのシール、すごくいいと思う
一歌:穂波がどれだけこの絵本が好きで、 大切に思ってたかが伝わってくるよ
一歌:きっと、星のシールをもらった犬も 嬉しかったんじゃないかな
穂波:えっと……ありがとう、一歌ちゃん
MEIKO:そうだ! 穂波の読み聞かせ、こっそり見に行ってもいい?
穂波:えっ?
MEIKO:それだけ特別な絵本を、 穂波がどんな風に読むのか気になっちゃって
MEIKO:あ、もちろん他の人には見つからないようにするからさ
穂波:わかりました。 練習中でも、本番でも、いつでも見にきてください
MEIKO:ありがとう! 楽しみにしてるよ
一歌:読み聞かせ会、うまくいくといいね
穂波:うん! 子供達に喜んでもらえるように、頑張るね

第 3 话:頼もしい助っ人

翌日
穂波の部屋
穂波:『——旅に出ることを決めた犬は、 ベッドで横たわる男の子に言いました』
穂波:『待っててね。 ぼくが絶対、願いを叶えてくれる星を見つけてくるから』
穂波:『病気が治ったら、また一緒に野原に行こう。 ぽかぽかのお日さまの下で、追いかけっこをしようよ』
穂波:『だから……待っててね』
穂波:(つっかえないで読めるようになったけど…… あんまり上手になってる気がしないな)
穂波:(もっと練習して、うまくならないと)
穂波:(それに——)
穂波:(読み聞かせ会に来てくれるのは、 小学校の低学年の子達が20人くらいだっけ)
穂波:(子供達の目線で、何か気を付けたほうがいいことって あったりするのかな?)
???:おじゃましまーす!
弟の声:あ、こら! ちゃんと手洗えよ
弟の友達の声:はいはーい! 洗面所どっち?
穂波:(あ、そっか。 今日は晴琉くんが友達を連れてくるって言ってたっけ)
穂波:——そうだ!
望月家 リビング
穂波:『めでたし、めでたし』
穂波:……こんな感じなんだけど、どうかな?
弟の友達:おもしろかった!
晴琉:うん、オレも悪くないと思う。 でも……
穂波:でも?
晴琉:うーん、まったりしすぎっていうか……。 読み聞かせにくるのって、低学年なんでしょ?
晴琉:けっこう長い話だし、 途中で飽きて遊ぶ子とかいそうだなーって
弟の友達:あー、たしかに! 集会でも1年生とか、全然じっとしてないもんな
穂波:な、なるほど……
穂波:(わたしは、このお話に引き込まれちゃったから 気にならなかったけど……たしかにそういう子もいるよね)
穂波:(それに、わたしは読み聞かせも初心者だし……)
晴琉:あと、絵本に興味ないけど 親に連れてこられて参加してる子もいたりするから
晴琉:かなり頑張らないと、 最後まで聞いてくれないと思う。 姉ちゃん、ほわほわしてるから子供になめられそうだし
穂波:うっ……
弟の友達:おまえ、お姉さんにきびしいなー。 反抗期か?
晴琉:なんでだよ。 ちゃんと言っておかないと、あとで困るのは姉ちゃんだろ
穂波:……うん。 いろいろアドバイスしてもらえて、本当に助かったよ
穂波:もっと工夫できるところがないか、考えてみるね。 ありがとう、ふたりとも
晴琉:……ん。どういたしまして
穂波:(やっぱり、もっともっと練習しないと)
穂波:(そういえば……わたしが読み聞かせに参加してた時は どんな感じだったっけ)
穂波:(絵本の登場人物達が、みんなすごくいきいきしてたな。 まるで自分も、物語の中に入り込んだみたいで——あ)
穂波:(そっか……。 もっと声の演技とかを入れたら、 子供達も退屈せずに聞けるのかも)
穂波:——うん。まずは、やり方を調べてみよう
数時間後
ショッピングモール
穂波:(『発声練習の基礎』、『売れっ子声優になるには』、 『現代の演技論』……いろいろあるな)
穂波:(声の演技の参考になる本があればと思ったけど……。 そもそも、どこから勉強すればいいんだろう?)
???:あれ……望月さん?
穂波:草薙さん……! こんにちは
寧々:あ……うん。 えっと、今って声かけて大丈夫だった?
穂波:え?
寧々:本棚の前で、何か悩んでるみたいだったから……。 ちょっと気になって
穂波:あ……。 ご、ごめんね。心配かけちゃって
穂波:実は今度、町内会で——
寧々:……なるほど。それで、声の演技に関する本を探してたんだ
穂波:うん。わたしは演技についてはほとんど経験がないし、 自己流でやるより、ちゃんと勉強してからがいいと思って
穂波:ただ、どこから勉強していいのかが そもそもわからないというか……
寧々:ああ……。 声の演技って言っても、だいぶ幅広いもんね
寧々:演技論とか、発声練習とか、 いろんな側面があるし……
穂波:草薙さん?
寧々:……わたしが持ってる演劇の本で、 何か参考になりそうなのがないか考えてるんだけど
寧々:けっこう専門的な内容が多いから、 逆に混乱させちゃうかもって気もして……
穂波:……ありがとう、草薙さん。 一緒に考えてくれて
寧々:えっ? あ……別にお礼を言われるほどじゃないよ
寧々:わたしのほうこそ、いつも望月さんに助けてもらってるし
穂波:わたしが……?
寧々:アロマキャンドルの作り方を教えてもらったり、 シブ学祭の時も協力してくれたから
寧々:……だから、わたしもできることがあったら お返ししたいんだ
穂波:草薙さん……
寧々:それに、演技のことなら、少しは力になれると思うし
穂波:それなら……
穂波:もしよければ、わたしに演技を教えてもらえないかな?
寧々:え……わたしでいいの?
穂波:うん。草薙さんの負担にならない範囲で アドバイスもらえたら、すごく助かるなって
寧々:……わかった。できる限り協力するよ
穂波:……! ありがとう、草薙さん

第 4 话:似た者同士

数日後
乃々木公園
穂波:『待っててね。 ぼくが絶対、願いを叶えてくれる星を見つけてくるから』
寧々:あ……。 今の感じ、すごくいいと思う
寧々:主人公の犬が、病気の男の子を 安心させようとしてる優しさが伝わってくるよ
穂波:本当? よかった……!
寧々:この犬、なんだか望月さんに似てるね。 声がぴったりハマってる感じがする
穂波:あ……それ、前にメイ—— 一歌ちゃん達にも言われたんだ。 主人公のワンちゃんに似てるねって
寧々:ふふ、そうだったんだ
穂波:実際にやってみて思ったけど…… 声で演技をするのって、やっぱりすごく難しいね
穂波:草薙さんに教えてもらわなかったら、 今頃ひとりでいろいろ悩んじゃってたと思う
寧々:わたしも、声の演技が専門ってわけじゃないから だいぶ手探りだけど……そう言ってもらえてよかった
穂波:ふふ、すごくわかりやすかったよ
穂波:まだ、わたしの実力が追いつかなくて 足りてないところもいっぱいあるけど——
穂波:子供達に喜んでもらえるように、 もっと頑張るよ
寧々:…………
寧々:……望月さんらしいね
穂波:え?
寧々:望月さんって、いつも 当たり前みたいに助けてくれたり 誰かのために動いてるから
穂波:たしかに、子供達に喜んでもらいたいっていうのが 一番だけど……
穂波:でも、『やってみたい』と思ったきっかけは少し違うんだ
寧々:そうなの?
穂波:うん。子供の頃、読み聞かせ会で 初めてこの絵本を読んでもらった時の感動が忘れられなくて
穂波:ワンちゃんが、男の子を助けるために 旅に出た時は、これからどうなるんだろうってハラハラしたり……
穂波:最後に男の子が助かった時は、 気づいたらぽろぽろ泣いちゃってたんだ
寧々:そっか。 望月さんにとっては、それだけ特別な絵本なんだね
穂波:うん。絵本って素敵だなって思えたし、 そこから他のいろいろな物語にも出会えたから
穂波:だから、あの時の気持ちを 今度はわたしが子供達に伝えられたら……って思うんだ
寧々:……わかる気がするな
寧々:わたしも、子供の頃に見た ショーにすごく感動して——
寧々:そこからショーが好きになって、 歌うこととか、演じることが好きになっていったから
穂波:そうだったんだ……!
寧々:最初はただ、主演の俳優さんみたいになりたい、 くらいの気持ちだったんだけどね
寧々:今は、あの時の感動を 自分が他の人に届けたい、って思ってる
穂波:素敵だね……
寧々:でも、それって望月さんも一緒でしょ? だから……
寧々:……なんだかわたし達、似た者同士かもしれないね
穂波:ふふっ、そうだね
寧々:……そうだ。 もしよければ、なんだけど
寧々:読み聞かせ会って、部外者が参加しちゃダメかな?
穂波:えっ? それって……
寧々:望月さんの話を聞いたら、 わたしも何かしてみたいって気持ちになっちゃって……
穂波:ありがとう! わたしも草薙さんが一緒に出てくれたら すごく心強いな
穂波:町内会の人にも聞いてみるけど、 きっと大丈夫だと思う
寧々:そっか。よかった……
穂波:ふたりでやるなら、役を分けて演じるのがいいかな?
寧々:あ。それなら、提案があるんだけど——
寧々:望月さんが、主役の犬をやるのがいいんじゃないかな
穂波:え……わたしが主役を?
寧々:うん。一番セリフが多いから、大変かもしれないけど……。 望月さんの優しい声が、イメージにぴったりだから
穂波:あ……
穂波:ありがとう。頑張ってみるね……!
寧々:うん、わたしも協力するよ
寧々:じゃあ、他の役も割り振ってみようか
穂波:わかった!
穂波:……草薙さん
寧々:うん?
穂波:共演者として、よろしくお願いします
寧々:……ふふ。こちらこそ

第 5 话:演出とリハーサル

数日後
ファミリーレストラン
類:——なるほど。 絵本の読み聞かせ会に、簡単な演出をつけたいと
穂波:はい。突然、こんなご相談をしてしまってすみません
穂波:草薙さんとも相談して、 声の演技以外にも、何かできることがあればと思ったんです
寧々:参加する子供の人数も多いし、 中にはあんまり絵本に興味のない子もいるだろうから……。 やれそうなことは全部やったほうがいいかなって
類:フフ。たしかに、それは手ごわそうだね
類:僕でよければ、喜んで協力させてもらうよ。 読み聞かせの演出なんて、滅多にやれる機会はないだろうしね
穂波:あ、ありがとうございます……!
寧々:……頼んでおいてなんだけど、類。 あくまで、『絵本の読み聞かせ』だから
寧々:大砲を使うとか、そういう派手なのはなしね
穂波:た、大砲……?
類:それは残念。 子供達の気を引くなら、小規模な雷を落とす、 なんて手もあるけれど——
穂波:そ、それはさすがに……!
寧々:類?
類:わかっているよ。 話の内容も穏やかなものだし、 それに合った演出を提案させてもらおう
類:さっきの話だと、観客はそれなりの人数のようだね。 絵本はスクリーンか何かに投影するのかい?
穂波:あ……そうなんです。 体育館のステージにスクリーンをおろして、そこに映す予定で
類:ふむ……ということは、 ある程度広い空間を使えるわけか
類:例えば……旅の途中、犬が雪原を歩くシーン。 あそこで会場にも雪を降らせてみる、なんてのはどうかな?
穂波:雪を……!?
類:ああ。そのための装置ならすでにあるから、 あとは微調整でいけると思うよ
寧々:いいかも。子供達も喜びそうだし
穂波:うん……! それに絵本の中の出来事を 本当に体験できたら、すごく楽しそう
類:じゃあ、演出プランに採用しよう
類:あとは……そうだね。 夜の森を歩くシーンでは、 虫やフクロウの声なんかを流すのもいいかもしれない
穂波:なるほど……。 たしかに、すごく雰囲気が出そうですね
類:ああ。それと、絵本のモチーフになっている 『星』を印象づけるなら——
穂波:(神代さん、すごいな……。 話してるうちに、どんどんアイディアが出てくる)
穂波:(それに、どの演出もすごく面白そう)
類:——僕から提案できるのは、この辺りかな
類:あとは、ふたりから何か希望があれば 聞かせてもらえるかい?
穂波:あ……はい!
穂波:えっと、できるかはわからないんですけど……。 ワンちゃんが子供達の傍にいるみたいな演出が できたらなって——
本番前日
公民館
穂波:みんな、今日はリハーサルに集まってくれてありがとう
咲希:わーい! ほなちゃんとねねちゃんの読み聞かせだ~!
一歌:どんな感じなのか楽しみだね
志歩:うん。草薙さんも参加するって聞いた時は びっくりしたけど
寧々:望月さんの話を聞いてたら、 わたしもやりたくなっちゃって……
穂波:じゃあ——さっそくだけど、 読み聞かせを始めさせてもらうね
穂波:……『めでたし、めでたし』
咲希:——ううう、男の子が助かってよかった~!!
志歩:……うん。 主人公の犬も、頑張ったね
一歌:そうだね……。 私も最後、ちょっと泣きそうだったな
寧々:……よかったね、望月さん。 練習の成果がちゃんと出てるよ
穂波:うん……!
MEIKO:『……ふふ。ついに明日が本番か』
MEIKO:『ふたりの演技もよかったし、子供達の反応が楽しみだな』
MEIKO:『頑張ってね、穂波!』

第 6 话:手ごわい子供達

本番当日
小学校 体育館
穂波:——皆さん、今日はよろしくお願いします!
穂波:読み聞かせは初心者ですが、 子供達に喜んでもらえるように精一杯やらせていただきます
寧々:よろしくお願いします
町内会会長:こちらこそ! 穂波ちゃんと草薙さんが読み手に立候補してくれて、 本当に助かりました
町内会役員A:今日はいろいろな演出があるんでしょう? 私達も楽しみにしてたのよ!
寧々:あ……
寧々:——はい! 頑張ります!
町内会役員A:ええ! それじゃあ、またあとでね
寧々:町内会と関係ないのに、 出しゃばりすぎなんじゃないかって心配してたけど……
寧々:みんな、想像以上に歓迎してくれてびっくりしちゃったな
穂波:ふふ。みんな、草薙さんに感謝してるんだよ
寧々:……そっか
穂波:準備から本番まで、あっという間だったね
寧々:うん。なんか、普段のステージよりも緊張してるかも
穂波:ふふ、わたしも
穂波:(いろいろな人達に協力してもらって、 できる限りのことはやってきたつもりだけど……)
穂波:(ちゃんと、みんなに喜んでもらえるかな?)
寧々:あ……もう少ししたら、子供達が集まってくる時間かな
穂波:本当だ。 最後に、演出の機材をもう一度確認しておこうか
寧々:じゃあ、わたしはステージ側を見てくるよ
穂波:うん、またあとでね
???:『いよいよだね、穂波』
穂波:メイコさん……!?
MEIKO:『ふふ、びっくりさせてごめん。 本番前にどうしても伝えたいことがあって』
穂波:伝えたいこと……ですか?
MEIKO:『うん。昨日のリハーサル、私もこっそり聞いてたんだ』
MEIKO:『ふたりの演技がすごくよくて、 すっかり夢中になっちゃった!』
穂波:……ありがとうございます
穂波:子供達に受け入れてもらえるかわからなくて、 少しだけ緊張してたんですけど……
穂波:メイコさんにそう言ってもらえると、 なんだか自信が持てそうな気がしてきました
MEIKO:『……ライブと一緒で、本番前はいろいろ想像が 膨らむよね』
MEIKO:『頑張ってきた分だけ、 うまくいくか不安になっちゃったりとか』
MEIKO:『けど、穂波達なら、きっと大丈夫。 子供達を楽しませるのと同じくらい、自分も楽しんできて』
穂波:——はい! ありがとうございます、メイコさん
穂波:スマホをステージの陰に置いておくので、 よければ本番も見ていってください
MEIKO:『ありがとう! 応援してるよ』
30分後
寧々:受付も終わったみたいだし、これで全員かな?
穂波:うん。そろそろ、始まりの挨拶があると思う
穂波:……頑張ろうね、草薙さん
寧々:……うん。練習の成果を出し切ろう
町内会会長:——それでは、時間になりましたので 本日の読み聞かせ会を始めさせていただきます
子供達:わ~! 今日はどんなお話かなあ
子供達:楽しみだね……!
町内会会長:絵本の読み手をつとめてくれるのは、 こちらのおふたりです
穂波:みんな、こんにちは。 今日はよろしくね
子供達:あれ? いつもの人じゃないのー?
穂波:そうなんだ、ごめんね。 でも、今日はみんなに楽しんでもらえるように いっぱい頑張るから
子供達:そっかあ……
寧々:えっと…… みんな、ステージの前に座ってもらえるかな?
子供達:オレいっちばーん!
子供達:あっ、ずるい! あたしも~!
町内会役員B:こらこら、ケンカしちゃダメよ。 みんなで仲良く座ってね
子供達:『はーい』
寧々:じゃあ、そっちの子達も——
子供達:タッチ! へへ、鬼交代~!
子供達:あー! 待ってよ~!
寧々:ま、待って! 走り回らないで、ステージの前に——
子供達:へへーん、捕まえてみろ~!
子供達:あはは、足おそ~い!
寧々:ぜ、全然捕まらない……!
寧々:ふぅ……。 やっと座ってくれた……って——
子供達:よいしょ、っと。 おーいみんな! こっちで遊ぼうぜ!
寧々:ステージに上がってる!?
穂波:ごめんね。 そこは絵本を読むのに使う場所だから、下りてきてくれるかな?
子供達:やだ!
寧々:や、やだって……
町内会役員A:困ったわねえ……。 普段はみんな、もう少しおとなしいんだけど
寧々:そうなんですか?
子供達:だって、いつもの人と違うじゃん! なんか弱っちそうだし
子供達:足も遅いもんな~
寧々:は?
穂波:く、草薙さん……!
寧々:………………大丈夫。 子供の言うことだし、気にしてない
寧々:ほら、みんな下りておいで~
子供達:『やだー!』
寧々:この……
町内会役員B:ほらみんな、ちゃんと言うことを聞きなさい!
町内会役員A:このあとのおやつ、あげないわよ?
子供達:うっ……しょうがねえな~
寧々:この調子で……大丈夫かな……
穂波:少し、不安になってきたね……

第 7 话:息を合わせて

数分後
穂波:みんな、座ってくれてありがとう。 それでは、読み聞かせ会を始めるね
寧々:タイトルは、『星を追いかけた犬』です。 このお話は——
子供達:ねえねえ! みんなでしりとりしようよ
子供達:えー! 指ずもうがいい!
穂波:あ……
寧々:……みんな、全然集中できてないね
穂波:うん……。 ステージに意識を向けてくれるといいんだけど……
穂波:ねえ、草薙さん……!
寧々:——うん、いいと思う。 やってみよう
町内会役員B:ほら、みんなー! お口にチャックは?
子供達:なあなあ、あのアニメ見た?
子供達:見た見た! すげーおもしろかったよな!!
穂波:あれれ? 今、何か聞こえなかったー?
子供達:え?
寧々:本当だ! 何か聞こえたよ
寧々:なんだろう? 犬の鳴き声みたいな……。 ねえ、みんなは聞こえない?
子供達:わんちゃんの声?
子供達:僕には聞こえなかったけど……
穂波:おかしいなあ。絶対に聞こえたと思うんだけど……
子供達:そんなの、ここにいるわけないじゃん!
寧々:どうかなあ。あ、ほらまた聞こえた!
寧々:ほら、よーく耳をすませてみて
子供達:んー?
穂波:(——よし。みんな、草薙さんのほうに注目してくれてる)
穂波:(このタイミングで、リモコンのスイッチを……!)
犬の声:『ワンワン!』
子供達:あっ、聞こえたー!
子供達:わんちゃーん! どこー?
犬の声:『ワン!』
子供達:あれ? 今度はあっちから聞こえたよ!
穂波:みんな、ワンちゃんは見つけられたかな?
子供達:ううん。 声はするのに、どこにもいない……
犬の声:『ワオーン!』
寧々:あれ、また声がした。 どこにいるんだろう……?
子供達:あっ! スクリーンのところ……!
寧々:え、どこどこ? うーん、見えないなあ……
子供達:おねーちゃん、後ろ!
子供達:後ろだってば!
寧々:後ろ?
子供達:そこそこー!
穂波:あ! ワンちゃんの尻尾が、スクリーンに映ってるね
寧々:わあ、本当だ! こんなところにいたんだね
穂波:もしかして…… 待ちきれなくて、絵本から出てきちゃったのかな?
寧々:そうかもね
寧々:ごめんね、ワンちゃん! もうすぐ出番だから、あと少しだけ待っててくれる?
犬の声:『ワン!』
子供達:あっ、わんちゃん帰っちゃった……
穂波:大丈夫だよ。 ワンちゃんは、これから読む絵本の中で 待っててくれてるから
子供達:えほん~?
穂波:うん。ふさふさした尻尾の、 とっても優しいワンちゃんが出てくるんだ
穂波:みんな、さっきのワンちゃんにまた会いたい?
子供達:『会いたーい!』
寧々:わかった。 それじゃあ絵本を読む間、みんな静かにできるかな?
子供達:『はーい!』
寧々:……なんとかなったね
穂波:うん。草薙さんの演技、すごかったよ
寧々:演技ってほどじゃないけど……。 望月さんこそ、よく思いついたね
寧々:演出用の録音と影絵で、子供達の注意を引くなんて
MEIKO:『……ライブと一緒で、本番前はいろいろ想像が 膨らむよね』
MEIKO:『頑張ってきた分だけ、 うまくいくか不安になっちゃったりとか』
MEIKO:『けど、穂波達なら、きっと大丈夫。 子供達を楽しませるのと同じくらい、自分も楽しんできて』
穂波:……わたし達なら、きっと大丈夫だって 言ってくれた人がいたおかげ、かな

第 8 话:最高のハッピーエンド

穂波:——『こうして犬は、星を探す旅に出ました』
穂波:『はじめにたどり着いたのは、寒い寒い雪の国です』
子供達:わっ、ほんとに雪が降ってきた……!
穂波:『犬が旅をする理由を聞いて、 ひねくれものな旅人は顔をしかめます』
寧々:『ふん。何が願いを叶えてくれる星だ』
寧々:『そんな、あるかどうかもわからないものを探し回って…… おまけに、行く先々で人助けまで!』
寧々:『そんなの自分が損をするだけだ。 ……いつか、後悔するぞ』
穂波:『心配してくれてありがとう。 でも、ぼくは大丈夫』
穂波:『ほら、こうしてあなたみたいな 優しい旅人さんにも出会えたし』
寧々:『ちっ、本当にまぬけな犬だな。 ……だが、ありがとうよ』
子供達:…………
穂波:『あの子は今ごろ、泣いてないかな……。 ううん、大丈夫だよね。 だってあの子には、パパとママがついてる』
穂波:『だからぼくは……。 はやく……はやく願いを叶えてくれる星を見つけなきゃ……』
穂波:『あっ……!』
寧々:『真っ暗な森で、 犬は足を滑らせて崖から落ちてしまいました』
寧々:『立ち上がろうとすると、けがをした足がずきずきと痛みます』
穂波:『いたたた……』
穂波:『どうしよう……ぼく、動けなくなっちゃった……』
子供達:わんちゃん……
子供達:犬、がんばれー!
寧々:『……探しても、探しても。 願いを叶えてくれる星はなかなか見つかりません』
寧々:『その様子を見た人々は、 なんとか犬の願いごとを叶えてあげられないかと みんなで知恵をしぼります』
寧々:『ひねくれものな旅人、力持ちの木こり、器用な村娘……』
寧々:『他にもたくさんの人が、犬にもらった優しさを返すために、 自分にできることを一生懸命探しました』
穂波:(みんながワンちゃんのために行動して…… 最後には、男の子の病気を治す薬が手に入る)
穂波:(願いを叶えてくれる星は、見つけられないけど——)
穂波:(ワンちゃんの優しい気持ちが、 みんなの心を動かして、つながっていって…… 奇跡みたいに、願い事を叶えてくれるんだよね)
穂波:(そして、最後に——)
寧々:『元気になった男の子は、 旅を終えた犬をぎゅっと抱きしめて言いました』
寧々:『願いを叶えてくれる星は、きっときみのことだったんだね』
穂波:『ううん。願いを叶えてくれたのは、みんなだよ』
穂波:『ぼくを助けてくれた、みんなの優しい気持ち……』
穂波:『だからきっと、みんなの心の中に、きらきらの星があるんだ』
穂波:……『めでたし、めでたし』
子供達:すっごくおもしろかった! ……あれ?
子供達:わー、なんか降ってきた!
子供達:きらきらのお星さまだ! わんちゃんがくれたのかな?
寧々:……星形の紙吹雪。 作るのは大変だったけど、やっぱり綺麗だね
穂波:うん……子供達が喜んでくれて、本当によかった
穂波:(小さい頃……わたしが絵本を読んでもらって 感動した時の、あの気持ちを——)
穂波:(ちゃんと、みんなにも伝えられたかな)
???:『みんなー!』
???:『素敵な読み聞かせをしてくれた、 穂波お姉さんと、寧々お姉さんに拍手!』
穂波:えっ?
穂波:(今の声って——)
MEIKO:『お疲れ様、穂波!』
MEIKO:『みんなに見つかる前に引っ込むけど、 またあとで感想、伝えさせてね!』
穂波:(メイコさん……最後まで見守ってくれてたんだ)
寧々:今の声、聞き覚えがある気がしたけど……。 町内会の人かな?
穂波:……そうかもしれないね
穂波:今日はありがとうございました
町内会会長:こちらこそ。 子供達からも大好評で、こんなに嬉しいことはないですね
町内会役員A:本当にすごかったわ! もう、私まで聞きながらうるっとしちゃって……
子供達:——あっ! おねーさん達、みーつけた!
穂波:あれ? みんな、どうしたの?
寧々:何か忘れ物?
子供達:ううん。 今日の絵本さ、すっごくおもしろかった!
子供達:お前もなかなかやるじゃん!
寧々:なっ……
寧々:…………ありがと
子供達:えっと、うまく言えないけど……。 胸のあたりがぎゅーってしたり、 ドキドキしたりして……
子供達:あたしも! わんちゃんがケガしたところで、 がんばれーって応援しちゃった!
子供達:あとねあとね、 最後に男の子がぎゅーっとしてくれるシーンが大好き!
子供達:オレも!
穂波:——うん! わたしも、そのシーンが大好きなんだ
子供達:ねえねえ、次はいつ来るの?
子供達:またあの話、聞きたい!
寧々:え? えっと……
町内会役員B:ほらほら。 おうちの人も待ってるから、もう帰らないと
子供達:『はーい』
子供達:おねーさん、またね!
穂波:…………
穂波:(……ちゃんと、届いたんだ)
寧々:よかったね、望月さん
穂波:うん……。 最初はちゃんとできるのか、 不安になったりもしたけど……
穂波:草薙さん。一緒にやってくれて、ありがとう
寧々:え……
穂波:草薙さんがいなかったら、 こんなに喜んでもらえなかったと思うから
寧々:別に、そんなことはないと思うけど……
寧々:……でも、わたしも……
寧々:望月さんと一緒にやるの、楽しかったな
穂波:本当?
寧々:うん。役者としても、すごく勉強になったし……
寧々:大変だったけど、またやりたいなって思ったくらい
穂波:……!
穂波:ふふ、わたしも……! なんだか嬉しいな
寧々:う、うん……
穂波:みんな、また聞きたいって言ってくれたし…… 機会があったら、また一緒にやらない?
寧々:ふふ、そうだね
寧々:次はあの子達に『前よりもっと面白かった』って 言わせたいな
穂波:ふふっ……そうだね