活动剧情

天馬さんちのひな祭り

活动ID:16

第 1 话:ボロボロなひな人形

天馬家 リビング
咲希:ふんふんふ~ん♪ ぼんぼりはここに置いてっと……
司:フフフ、この飾りつけのセンス! さすがはオレ!
司:咲希、こっちは終わりそうだが、 ひな壇のほうはどうだ?
咲希:うん! あともうちょっとだよ!
司:おお、見事な飾りつけだ! 風格がにじみ出ているな!
咲希:あはは、調べたとおりに並べてるだけだよ~
咲希:でも、うちのひな壇ってホントに大きいよね。 七段飾りだよって話すと、みんなにびっくりされるもん
司:ああ。咲希が生まれた嬉しさのあまり、 父さんがテンションで買ってしまったものだからなぁ……
咲希:お兄ちゃんのかぶと飾りもだけど、 お父さん、こういうのすぐ買っちゃうから、 お母さんも大変だよね~
咲希:でも、やっぱり大きなひな壇があると、 ひな祭り!って感じがするね♪
咲希:いっちゃん達とのひな祭りパーティー、楽しみだな~!
司:ああ。せっかく全員が集まるのだから、 必ずや素晴らしいパーティーにするぞ!
司:まずはオープニングから考えねばな!
咲希:オ、オープニング……?
司:そうだ!  何ごとも最初が肝心——つまり、オープニングが肝心!
司:出迎えから盛大にいこう! そうと決まれば脚本を考えるぞ、咲希!
咲希:ちょ、ちょっとお兄ちゃん! もっと普通で大丈夫だってば! いっちゃん達びっくりしちゃうよ
司:そ、そうか?
咲希:そうなの! それに、お兄ちゃんが一緒にいてくれるだけで十分楽しいもん!
司:……一緒にいるだけで楽しませてしまう……。 これぞスターのなせる技!
咲希:あははは……
咲希:あ、そうだ!  お兄ちゃん、一緒におひな様とお内裏様飾らない?
咲希:ホントは最初に飾るらしいんだけど、 お兄ちゃんと一緒に飾りたいから、とっておいたんだ♪
司:おお! もちろんいいぞ! 真の主役の登場だな!
咲希:うん! まずはお内裏様から飾ろうっと! お内裏様は、っと……
咲希:あ、あったあった! お内裏様、お内裏様♪
司:……やはりボロボロだな
咲希:ふふ、ボロボロでもいいのっ
咲希:お内裏様をここに置いて、っと……。 次はおひな様だね。はい、お兄ちゃんどうぞっ♪
司:…………
咲希:お兄ちゃん?
司:ハッ! あ、いや、なんでもないぞ! よし、これを飾ればいいんだな!
咲希:うんっ!
司:(こちらもボロボロだ……)
司:(最上段に飾るひな人形が、ふたつとも汚れてしまっている……。 これはあまりにも……)
司:…………
咲希:できたーっ! ひな祭りの飾りつけ、かんせーい!
司:……やはりすべて揃うと圧巻だな! この量を飾りつけるとは、さすが我が妹!
咲希:えへへっ♪ 久々の飾りつけだから張り切っちゃった! お兄ちゃん、手伝ってくれてありがとう!
咲希:早くパーティーの日にならないかなぁ。 いっちゃん達に早く見てほしいな!
司:(咲希が楽しそうで本当によかった)
司:(最近は体調を崩すことも少なく、元気に学校に通えている)
司:(今度開かれるひな祭りパーティーも 楽しい思い出になるといい)
司:(しかし、肝心のひな人形がボロボロでは……)
司:(今年のひな祭りは、家で過ごす久々のひな祭りだ。 咲希が心の底から楽しめる日にしてやりたい)
司:(そのためには……!)
司:待っていろ、咲希! 今年のひな祭りは最高の思い出にしてやるからな!

第 2 话:ムニャムニャ……グー?

ワンダーランドのセカイ
えむ:カイトお兄さん達、やっほー! 遊びに来たよー!
司:遊びではないぞ、これから練習を—— ってコラえむ! 走って行くんじゃなーい!
KAITO:ふふ、セカイへようこそ。 みんな今日も元気だね
リン:みんな、いらっしゃ~いっ☆
類:やあ。 今日も新しい演出を試そうと思うんだけど、いいかな?
レン:もっちろん! どんな演出か楽しみだな~
ミク:ウキウキワクワクだね~っ☆
寧々:今回もバカみたいに無茶するヤツだけどね……
司:よーし、では早速練習を始めるか! カイト、ステージを借りても——
KAITO:あ、今日はその前に、新しい団員を紹介させてほしいんだ。 いいかな?
えむ:えっ!? 新しい人、増えたの!? どんな子どんな子!?
ミク:えっとねー、すっごくのーんびりしてるんだよ~っ♪
寧々:のんびり……?
レン:ちょうど今メイコが呼びに行って…… あ、来た来た!
MEIKO:おまたせ~! みんな、連れて来たわよ~っ!
ルカ:ふわぁ……。 もう、めーちゃんったら……急に走ったらびっくりしちゃうわ
司:な……! ついに巡音ルカまで……!
ルカ:……あらー? あなた達は、もしかしてこのセカイの……
ルカ:……………………
えむ:はぇ?
ルカ:……グー
寧々:ね、寝てる……!?
類:立ったまま眠れるとは興味深いねえ。 まるでシマウマのようだ
MEIKO:あ! ちょっとルカ! 起きなさいっ! みんなが来てるのよーっ!
ルカ:グー……グー?
MEIKO:寝息で返事しないっ!
レン:あはは。ルカはいっつもこんな感じなんだよねぇ
類:フフフ。 また一層、セカイが賑やかになりそうだね
えむ:あ! ねえねえ! せっかくルカお姉さんが来てくれたんだし、 みんなで何かやろうよ!
レン:あ、それいいねっ!
リン:うんうん! リンもやりたいやりたーい♪
KAITO:僕も賛成だよ! でも、何をやろうかなあ……
MEIKO:せっかくだし、パーっとやりたいわよね!
ミク:うーーーん。パーっとパーっと……
ミク:あっ! パーっとパーティーするのはどうかな~っ☆
司:パーティーか……。 ならば、ひな祭りパーティーはどうだ?
司:うちの妹も今度友達とするんだが、 盛り上がること間違いなしだ!
ミク:ひな祭りパーティー!? とっても楽しそうだね~っ♪
レン:だけど、ひな祭りってどんなことするの?
寧々:えっと……。 ひな祭りは毎年3月3日にある、女の子のお祭りのことだよ
えむ:おひな様を飾ったり、ちらし寿司や甘酒を飲んだりして みんなでお祝いするの☆
レン:へえ、女の子のお祭りかあ。 今回の主役はルカだからピッタリだね!
ルカ:そうねえ……ムニャムニャ……
えむ:じゃあ、3月3日にパーティーしよ~っ!
司:おっと、悪いがオレは行けんぞ。 さっきも言ったが、その日は妹と一緒に パーティーをするからな!
えむ:え~~~!? 司くんが来れないのなら、別の日に……
司:いや、ひな祭りパーティーをするのなら ひな祭りにやる必要があるだろう。 オレのことは気にせず、みんなで楽しんでくれ!
えむ:ううう……寂しいよう……! でも、咲希ちゃんの大事なパーティーだもんね……
類:残念だけれど、仕方ないね
類:ああ、そうだ。えむくんのために、 押すと司くんの声が出るボタンを作っておくよ
えむ:ホント!? やったー! そしたら司くんがいなくても大丈夫だねっ☆
寧々:そんなの、ただの騒音発生装置でしょ……
司:お前らなぁ……!
えむ:えへへっ☆ ひな祭りパーティーだから、 ひな人形もいっぱい飾りたいね~♪
寧々:ひな人形か……
寧々:そういえば昔、ひな人形を壊しちゃって、 類に直してもらったっけ
類:ああ、そんなこともあったねえ
司:ほう。さすが類だな、ひな人形まで直せるとは
寧々:親にバレる前にって、こっそり直してもらったんだけど
寧々:夜中に突然光って、飛びながら歌いだして、 結局バレたんだよね
類:いやあ、つい興が乗ってしまってねえ
えむ:カッコイイ~! 飛べるようにしてもらえてよかったね! 寧々ちゃん!
寧々:いや、ひな人形を飛ばしてどうするわけ?
ミク:えむちゃんのおうちにもあるの? ひな人形!
えむ:うん! あたしとお姉ちゃんの分っ!
えむ:だからうちには、ひな壇ふたつあるんだよー♪
ミク:いいな~! みんな持ってるんだね~! ミク達もおひな様飾ってパーティーしたいっ☆
レン:賛成っ! ステージの上に並べようよっ!
リン:うんっ! よーし、キラキラでピカピカのおひな様達を 飾っちゃおーう♪
MEIKO:せっかくだからイルミネーションもつけましょう! ミラーボールなんてどうかしら!?
寧々:……なんか、ほっといたらすごいことになりそうなんだけど
類:フフ、こちらも賑やかなことになりそうだね
えむ:うんうん! すっごい楽しそう! あたし達も手伝うよ!
司:オレは妹のパーティーの準備もあるが……。 まあ、手伝うくらいならできそうだな
えむ:ルカお姉さん! 素敵なパーティーにしようねっ♪
ルカ:うふふ。ありがとう、えむちゃん
ルカ:かわいらしいひな人形がいっぱいあったら、 とっても素敵なパーティーになりそうねぇ
寧々:なんだかんだ言って、 ひな人形は欠かせないしね
司:あ……
KAITO:それじゃあ、みんなで ルカの歓迎会を兼ねて、ひな祭りパーティーの計画を立てよう!
リン:わ~い!
リン:ねえねえ、ルカはどんなパーティーに……
ルカ:すー……すー……
リン:あ! ルカ、また寝ちゃってる!?
ミク:でも、とっても気持ちよさそうに寝てるね~っ☆
司:(……ひな人形は欠かせない、か)
司:(……よし! やはりあの計画を実行するぞ!!)

第 3 话:苦い記憶

翌日
宮益坂
本屋の店員:ありがとうございました
冬弥:(欲しかった新刊が、無事に買えてよかった)
冬弥:(このあとは……やはり自主練をするか。 今日は彰人もバイトだしな)
冬弥:(ん? あそこにいるのは……?)
司:むむむ……。 違うな、これではダメだ……
司:よし、今度はあちらの店に行くぞ!
冬弥:司先輩?
司:ん? おお、冬弥じゃないか! こんな場所で会うとは、奇遇だな!
冬弥:欲しい新刊があって、本屋に行っていたんです。 司先輩も買い物ですか?
司:ああ、よくぞ聞いてくれた!
司:実は今度、咲希が友人達と共に ひな祭りパーティーを開くのだ!
冬弥:ひな祭りパーティー?
司:そうだ! 咲希は長く入院していて、 ひな祭りも病院で過ごしてきたが……今年は違う!
司:退院して初のひな祭りだ! 兄として必ずや、最高のパーティーにしてやらねばならん!
司:そしてオレは兄としての責務をまっとうするため、 買い出しに来ているというわけだ!
冬弥:咲希さんのために、わざわざ……。 ふふ、司先輩らしいですね
冬弥:もしよければ、荷物持ちを兼ねて おつきあいしましょうか?
司:おお、いいのか!?
冬弥:はい。パーティーの買い出しなら、 きっと荷物も多くなりますよね
司:ああ、ではよろしく頼む!
司:じゃあ、早速行きたい場所があるんだが——
百貨店
司:オレが来たかった場所——それがここだ!
冬弥:ここは……ひな人形の特集コーナー?
司:ああそうだ! さあ、理想のひな人形を探すぞ!
冬弥:え……今からひな人形を買うんですか? てっきり、パーティーグッズを買うのかと……
司:……今、我が家にあるひな人形がボロボロだから、 新しいものに替えようと思ってな
冬弥:ひな人形が、ボロボロ……ですか?
司:……ああ、オレのせいでな
冬弥:どういうことですか?
司:……あれはまだ、咲希が 都内の病院に入院していた頃のことだ——
幼い咲希:わあ! かわいいケーキ! 上におひな様とお内裏様がのってる~♪
幼い司:咲希、ほっぺにクリームついてるぞ。 ほら、拭いてやるからこっち向いて
幼い咲希:えへへ。ありがとう、お兄ちゃん♪
母親:だけど、本当にケーキだけでよかったの?
父親:病室にも飾れるおひな様、お父さんが 今からでも買って来るぞ!?
幼い咲希:ううんっ! おうちに大きなおひな様がいるから、大丈夫っ!
幼い司:(咲希……。笑ってるけど、さみしいに決まってるよな)
幼い司:(よし、ここはオレが……!)
幼い司:——オレは、おひなレンジャーのお内裏ブラックだ!!
幼い咲希:わっ!?
幼い司:咲希を悲しませる悪いヤツは、 お内裏ブラックがやっつけてやるぞ!
幼い咲希:ふふっ♪ ありがとう、お兄ちゃん!
幼い咲希:でも大丈夫だよ! わたし、ひとりで眠るのにも慣れたし 全然さみしくないもん♪
幼い司:……そっか……
父親:ああ、もうこんな時間か……。 それじゃあ、咲希。お父さん達はそろそろ帰るな
幼い咲希:うん!
幼い司:……さみしくなったら、いつでもオレを呼ぶんだぞ! すぐにかけつけるからな!
幼い咲希:ありがとう、お兄ちゃん! また明日ね!
母親:……咲希、今回は早く退院できそうでよかったわ
父親:そうだな、ケーキも残さず食べられたし、 だいぶ回復しているみたいだ
幼い司:……あ!
幼い司:病室にハンカチ忘れちゃった! ちょっと取って来るね!
幼い司:あ、咲希——
幼い咲希:——おうちで大きなおひな様、見たかったなぁ……
幼い司:あ……
幼い司:(やっぱり、咲希、おひな様を見たかったんだ……)
幼い司:……よし!
幼い司:よいしょ、っと……! ふぅ、なんとかおひな様とお内裏様をおろせた……
幼い司:(これで準備はできた! あとは、父さんと母さんが気づかないうちに……!)
幼い司:ハァ……ハァ……。 よし、あともう少しで病院だ!
幼い司:待ってろよ、咲希! 今お兄ちゃんが……うわぁっ!?
幼い司:いたた……! うう、思いっきり転んじゃった……!
幼い司:あ……! おひな様とお内裏様が……!!
幼い司:ど、どうしよう。土の中に落ちちゃった……
幼い司:こんな、泥だらけのおひな様じゃ……
幼い司:……っ!
幼い司:だめだ……! オレは、咲希のお兄ちゃんなんだから!
幼い司:——ちゃんと咲希を、笑顔にするんだ!
幼い司:ハァ、ハァ……。咲希!!
幼い咲希:あれ? お兄ちゃん? どうしたの、また忘れ物?
幼い司:ううん、違う! これを咲希に持って来たんだ!
幼い咲希:あ……! これ、うちのおひな様……
幼い咲希:でも、どうして……?
幼い司:その……どうしても、咲希に見せたくて……
幼い司:全部は持って来れなかったけど……。 でも、おひな様とお内裏様だけでも咲希に見せたかったんだ!
幼い咲希:お兄ちゃん……
幼い司:けど……ごめん。 来る途中で転んで、汚しちゃって……
幼い司:咲希の大事なひな人形なのに……
幼い咲希:……ううん! わたし、すっごく嬉しいよ!
幼い咲希:わたしのためにありがとう! お兄ちゃん!
幼い司:咲希……
幼い司:(……咲希が、笑ってくれた)
幼い司:(でも……)
幼い司:(……やっぱり、ひな人形が汚れちゃったから……)
冬弥:……そんなことがあったんですね
司:ああ。あの時の咲希の、悲しそうな笑顔が 今も忘れられなくてな……
司:そのあと、ひな人形を見に店へ行ったんだが 小学生の小遣いでは到底買える代物ではなかった
司:しかし、その時オレは決意したのだ! いつか咲希に、もっと綺麗なひな人形をプレゼントしようと!
冬弥:先輩……。咲希さんのために、そこまで……
冬弥:さすが司先輩です。 俺でよければ、ひな人形選びに協力させてください
司:ああ、ありがとう冬弥。 ぜひ、忌憚なき意見を聞かせてほしい!
冬弥:はい、もちろんです!
司:ではまず、これについてはどう思う!
冬弥:これは……『着物・髪・瞳、すべてが金! 黄金のひな人形』?
司:ああ! ひな壇というステージにふさわしい輝きだろう! このスター性あふれるひな人形ならば 咲希も喜ぶと思うのだが、どうだ?
冬弥:これは……そうですね……
冬弥:……見るからに高そうですし、 咲希さんに気をつかわせてしまうのではないでしょうか
司:そうか……それはあまりよくないな
司:ならば、こっちのひな人形はどうだ!?
冬弥:『ミラーボール付きラメ着物ひな人形』……!? 司先輩、光るひな人形ばかり見てはだめです。 もう少し普通のひな人形を……
司:なんだと? うーーーむこれはなかなか難しいな……!

第 4 话:いざサプライズ!?

住宅街
司:今日はつきあってくれて助かったぞ、冬弥。 お前も早く新刊を読みたかっただろうに……
冬弥:いえ、司先輩のお役に立てたならよかったです
穂波:……あれ? あそこにいるのって、もしかして司さん……?
咲希:あ、お兄ちゃんととーやくんだ! やっほー! おかえりなさーい!
司:おお、咲希に一歌達じゃないか。 うちに遊びに来ていたのか
一歌:こんにちは、司さん。 えっと、そちらの人は……
司:ああ、冬弥だ。 オレの後輩で、今日は買い物につきあってくれていたんだ
司:冬弥、咲希の幼馴染みの一歌、穂波、志歩だ!
冬弥:初めまして、青柳冬弥です
一歌:あ、えっと、よろしくお願いします
志歩:司さんの知りあいにしては、まともそう……
穂波:し、志歩ちゃん、シーだよ
咲希:それにしても、お兄ちゃん達すっごい荷物だね! 一体何買ってきたの?
司:ふっ、これはすべて、ひな祭りのパーティーグッズだ!
咲希:えっ、それ全部パーティーグッズなの!? すごいっ! ありがとうお兄ちゃん!
穂波:ふふっ。 やっぱり司さんは、すごくいいお兄さんだね
志歩:ま、そこはたしかにそうかもね
一歌:ひな祭りパーティー、楽しみだね。咲希
咲希:うんっ!
咲希:それじゃあ、今日はありがとう! とーやくん!
司:手伝ってくれて本当に助かった。感謝する! それでは、また学校でな!
冬弥:いえ、こちらこそ楽しかったです。 それじゃあ、俺はここで
冬弥:(……司先輩、ひな人形をとても真剣に選んでいたな。 咲希さんも、友人に囲まれて楽しそうだった)
冬弥:(ひな祭りパーティーか。楽しいものになるといいな)
ひな祭り当日 早朝
天馬家 リビング
司:フフフ、まだ咲希は寝ているようだな。 今のうちに、買ってきた新しいひな人形を飾ってしまおう!
司:まずは古いひな人形をどけて……
司:う、近くで見ると酷いな……。 髪がほつれてしまっているところもあるぞ……
司:だが、このひな人形も今日までか……。 そう考えると、若干名残惜しくもあるが——
司:ハッ! いかんいかん、感傷に浸ってしまった。 このひな人形については、またあとで考えるとするか
司:新しいひな人形を置いて、と……。 よし、これでいいだろう!
司:ハッハッハ! 咲希の驚く顔が楽しみだな!
司:さて、この古い人形はどうしたものか……。 捨てるのは忍びないが、もうボロボロだしな……
司:(しかし、どうして父さん達は この人形をそのままにしていたんだ? 一応、できる限りの汚れは拭き取っているようだが……)
咲希:あれ? お兄ちゃん、何してるの?
司:おわあっ!? さ、咲希ー!? なぜこんな朝早くに!!
咲希:今日はスッキリ目が覚めちゃって! お兄ちゃんこそ、こんな早くにどうしたの?
咲希:……あれ? お兄ちゃんが持ってるの、アタシのひな人形?
司:……フッ
司:ハーッハッハッハッ! サプライズの予定だったが、見つかってしまったなら仕方ない!
司:咲希、ひな壇の最上段を見るがいい!
咲希:ひな壇の……? ……え? あれって……
司:そうだ! 新しいひな人形だ! 冬弥に協力を仰ぎ、選びに選び抜いたお前のためのひな人形だ!
咲希:…………
司:どうだ、咲希! 嬉しいか!? 嬉しいだろうとも、それはもう声が出ないくらいに——
咲希:……どうして……?
咲希:どうしてアタシのおひな様、新しいのに替えちゃったの……?
司:……え?
司:ど、どうしてって……。 それは、お前が喜んでくれると思って——
咲希:全然嬉しくないっ!
司:な、何ぃー!?
咲希:アタシ、あのおひな様じゃなきゃ嫌なの! あのおひな様は、アタシにとって世界にひとつのおひな様なの!
司:な、なぜだ!? ボロボロなひな人形なんて嫌だろう!?
咲希:……お兄ちゃん、あの時のこと忘れちゃったの?
司:忘れなどするものか! しっかり胸に刻みこんでいる! だからこそ……
咲希:ううん! 忘れてる! 覚えてたらこんなことしないもん!
咲希:お兄ちゃん、前から忘れっぽいって思ってたけど、 まさかこの人形のことまで忘れちゃうなんて……
咲希:お兄ちゃんの……お兄ちゃんの……忘れんぼ!
司:な、何ぃー!? 言ったな!?
司:だいたい、こんなボロボロの人形のどこがいいんだ!? これじゃみんなにも笑われてしまうぞ!?
咲希:笑われたっていいよ! それに、いっちゃん達は絶対笑わないもんっ!
司:だが……!
咲希:もういい! お兄ちゃんなんて知らない! あの時のことちゃんと思い出せるまで絶交だよ!
司:だから、オレは忘れてなどいない! すべて覚えている!
咲希:忘れてるもん! お兄ちゃんが忘れてないって言うんなら、 もう一生仲直りしないからね!
司:な…………の、望むところだ!
司・咲希:『ふんっ!』 『ふーんだっ!』
司:オレは先に学校へ行くからな! いってきます!
咲希:勝手にどーぞ! いってらっしゃい!
司:——まったく、咲希のやつ……。 ボロボロな人形の、どこがいいんだ?
司:それに、『忘れてる』とは……? オレはまた何か忘れているのか……?
司:いや、そんなはずはないっ! あの日の悔しさを覚えているからこそ、オレは……!
司:(しかし……。 なんだ、このモヤモヤとした気持ちは……)
司:…………
司:……まったくわからん……

第 5 话:しょんぼりなふたり

昼休み
宮益坂女子学園 廊下
咲希:はぁ…………。 どうしよう…………
咲希:(今日のお昼は、いっちゃんが学級委員会でよかったな……。 こんな顔してたら、すごく心配かけちゃいそう……)
穂波:あ、咲希ちゃーん。今日のパーティーに、 ひな祭り用のアップルパイを……あれ?
咲希:あ……! ほ、ほなちゃん!
穂波:咲希ちゃん……何かあったの? ちょっと目が赤いよ?
咲希:え? そ、そんなことないよ!?
咲希:今日はひな祭りパーティーだし、 すっごく楽しみに……
咲希:楽しみに……
咲希:う……うえ~ん! ほなちゃ~ん!!
穂波:さ、咲希ちゃん!?
咲希:お兄ちゃんが……お兄ちゃんが~!!
穂波:そっか……。 それで司さんとケンカしちゃったんだね
咲希:うん……、アタシの大事なおひな様のこと 忘れちゃってて……悲しくて……
穂波:咲希ちゃんの大事な思い出だもんね……
穂波:でも——
穂波:司さん、本当に忘れちゃったのかな?
咲希:え……?
穂波:わたしは、そこまで司さんのことを 知ってるわけじゃないけど……
穂波:でも、咲希ちゃんとの大切な思い出を 忘れる人じゃないと思うの
穂波:だって、司さんは咲希ちゃんのこと、 本当に大事に思ってるでしょ?
咲希:それは……
咲希:…………
咲希:うわーーーーん! どうしよう、ほなちゃん! アタシ、お兄ちゃんにひどいこと言っちゃった~~~~!
穂波:わっ!
咲希:お兄ちゃんは、いつもアタシに笑顔をくれたのに……
咲希:入院して、どんなに寂しくても、 お兄ちゃんが励ましてくれたから大丈夫だったのに……
穂波:……咲希ちゃん……
咲希:ひな人形だって、アタシのために買ってきてくれたのに、 アタシはお兄ちゃんにひどいこと言っちゃって……!
咲希:うぅ……。 お兄ちゃん、今日ちゃんと帰って来てくれるかな……
咲希:ちゃんと仲直りして、 一緒にひな祭りパーティーしたいよ……
咲希:せっかく元気になって、うちでひな祭りができるのに……。 これじゃあ、入院してる時よりもさみしいよ……
穂波:きっと大丈夫だよ。 司さんのことだから、きっと帰って来てくれるよ
穂波:そうだ、メッセージを送ってみたらどうかな? 直接話すよりも、咲希ちゃんの気持ちを伝えやすいんじゃない?
咲希:……でも、お兄ちゃんがお弁当忘れてたから メッセージを送ったんだけど、それも既読にならなくて……
咲希:アタシからのメッセージを読みたくないくらい、 きっと怒ってるんだよ
咲希:だから、ごめんねって送っても、 きっと……読んでもらえないと思う
穂波:そんなこと……
穂波:(どうすればいいんだろう……。 司さんのことだから、帰って来てくれるとは思うけど……)
穂波:(もし帰って来なかったら、咲希ちゃんがひな祭りパーティーを 心から楽しめなくなっちゃう……)
穂波:わたしに、何かできることないかな……
昼休み
神山高校 廊下
冬弥:(……珍しいな)
冬弥:(司先輩へ送ったメッセージに、まだ既読がついていない)
冬弥:(ひな人形のプレゼントは どうだったのか、聞きたかったが……)
冬弥:(……それは後日でいいか。司先輩のことだ。 今もパーティーをどう盛り上げるか考えているんだろう)
冬弥:……ん?
司:はぁ…………。 なぜこんなことに…………
冬弥:司先輩?
司:ん? お、おお、冬弥!
司:昨日ぶりだな! 冬弥のおかげで助かったぞ!
冬弥:あ……お力になれていたなら、よかったです
冬弥:あの、朝方にメッセージを送ったんですが…… 読んでもらえましたか?
司:ん? メッセージ? オレのスマホなら、今朝からピクリとも……
司:ん!? な、ないだとっ!?
司:はっ! そうか、家に置き忘れてしまったのか……!
冬弥:なるほど、そういうわけだったんですね
司:メッセージを送ってくれていたのに、悪かったな……。 それで、どういった用件だったんだ?
冬弥:ああ、いえ。 別に大した用事ではなかったんですが……
冬弥:司先輩と選んだひな人形が咲希さんに喜んでもらえたかどうか、 少し気になったので
司:…………
冬弥:……? どうしたんですか?
司:……いや、実は咲希とケンカしてしまってな
冬弥:咲希さんと、ケンカ? 一体何があったんですか?
司:今朝、新しい人形と古い人形を交換したんだが、 咲希に、古いもののほうがいいと言われてしまってな……
司:あれこれ言いあううちにケンカになって、 そのまま登校してしまったんだ
冬弥:そうだったんですか……
司:ああ、そんな顔するな! お前はまったく悪くないからな!
司:せっかくつきあってもらったのに、すまなかった。 この礼はまた今度させてくれ!
司:それでは、オレは熟考がてらランチタイムに入る! 冬弥もしっかり食べて、午後に備えるんだぞ!
冬弥:あ……
冬弥:(司先輩……。咲希さんのひな祭りのために、 いろいろな準備をしていたのに……)
冬弥:……どうにかできないだろうか……

第 6 话:行くべき場所

放課後
神山高校 2年A組
クラスメイト:それじゃあな、司! また明日~
司:ああ、また明日会おう、友よ!
司:…………
司:……もう放課後になってしまった……
司:本来ならば、このまま真っ直ぐ帰って パーティーを盛り上げたいところだが……
咲希:もういい! お兄ちゃんなんて知らない! あの時のことちゃんと思い出せるまで絶交だよ!
司:ぐぅぅぅ……!
司:……咲希とケンカしたままの状態では、 パーティーを楽しく盛り上げるのは不可能に近い……
司:しかし、咲希のためにパーティーを盛り上げたい……! 今回のひな祭りを最高のものにしてやりたい!
司:だが……ケンカをしているオレが行ったら……
司:…………
司:オレは一体、何を忘れているんだ……?
神山高校 校門
司:校門まで来たが、どうしたものか……
司:……そういえば、今日はセカイでも ひな祭りパーティーをやると言っていたな
司:……行く当てが決まらないならば、 そちらの手伝いをしたほうがいいかもしれないな……
ワンダーランドのセカイ
司:えむ達は、まだ来ていないのか……
ミク:あれ、司くん?
司:おお、ミクか。 パーティーの準備を手伝いに来たぞ
ミク:わあ! ありがとう☆ とっても助かるよ~♪ あっちでルカが飾りつけしてるから、一緒に……
ミク:司くん、なんだか元気ないね? 大丈夫?
司:そっ、そんなことはないぞ! オレはいつでも順風満帆! 栄養満点!
司:ルカを手伝えばいいんだったな! 行ってくる!
ミク:あっ、司くん……!
司:ルカ! 飾りつけを手伝うぞ! ……ん?
ルカ:これはこっちに並べて……グー……
司:に、人形を並べながら寝ているだと……!?
ルカ:むにゃ……あらぁ? 司くんじゃない
ルカ:ちょうどよかったわぁ。 ひな人形を並べるのを、手伝ってくれる?
司:あ、ああ。承知した!
ルカ:うふふ、ありがとう。 それじゃあ、これはこっちに……
司:ああ、それは三人官女だから上から2段目に置くんだ。 その人形は島台を持っているから真ん中だな
ルカ:あらぁ、そうなのね。 ありがとう、司くん
司:フッフッフ、ひな人形でわからないことがあれば なんでも聞くといい!
ルカ:司くん、詳しいのね~
ルカ:じゃあ、このお人形はどこに置くのかしらー?
司:……それは……
司:それは、ひな飾りの主役で……一番上の段に……
司:…………
ルカ:司くん?
司:あ、ああ……すまない。 ちょっと考えごとをしてしまってな
ルカ:……ねぇ、司くん。 ひとつ聞きたいことがあるんだけど……
司:聞きたいこと……? なんだ?
ルカ:今日は、咲希ちゃんのパーティーがあるって 言ってなかったかしら
ルカ:咲希ちゃんのところへ行かなくてもいいの?
司:……行きたいが……。 オレがいると、咲希はパーティーを楽しめない……
ルカ:あら? どうしてなの?
司:実は今朝、咲希とケンカをしてしまって——
ルカ:そんなことがあったのねぇ……
司:ボロボロの人形なんて嫌だろうと思っていたのに、 なぜ咲希は……
司:はぁ……。このまま帰っては、また咲希を怒らせてしまうな……
ルカ:……そうかしら?
司:え?
ルカ:素敵なパーティーに大切な人がいないと、 とっても悲しいって、わたしは思うわ
司:それは……
ルカ:わたしなら、どんなに素敵なパーティーでも、 ミク達がいないと楽しめないと思うの
ルカ:でも、ミク達がいるなら、 ただ一緒に歌うだけでも、楽しい気持ちになるわ~♪
ルカ:だからきっと、咲希ちゃんのパーティーにも、 司くんが必要だと思うわ♪
司:ルカ……
司:…………
咲希:全然嬉しくないっ!
咲希:もういい! お兄ちゃんなんて知らない! あの時のことちゃんと思い出せるまで絶交だよ!
司:だが、やはり咲希は——
寧々:あ、やっぱりここにいた……!
司:ん? 寧々じゃないか。 どうしたんだ、そんなに急いで
寧々:望月さんが校門で待ってる。 何か急用みたいだから、早く行ってあげて
司:穂波が、急用……?
司:ま、まさか咲希の身に何かあったんじゃ……!?
司:すまん、ルカ! 飾りつけの途中だが……!
ルカ:いいのよぉ♪ 咲希ちゃんと、仲直りできるといいわね~♪
司:ああ! 相談に乗ってくれたこと、感謝する! さらばだ!!
寧々:ハァ……。ほんと、いちいちうるさいヤツ
寧々:……じゃあせっかく来たし、司の代わりに手伝おうかな。 ルカさん、どこを飾りつければ……
ルカ:グー……
寧々:ね、寝てる……
穂波:あ、司さん——
司:ほ、穂波ーーーーっ!!!! 咲希は、咲希は無事なのかーーーー!?!?
穂波:うっ、うるさ……あ、お、落ち着いてください……!
司:これが落ち着いていられるか!! 穂波がわざわざここまで来たということは 咲希に何かあったんだろう!?
穂波:あ、ええっと、たしかに咲希ちゃんのことなんですけど……
司:やはり!!!! 一体何があったんだ!?!?
穂波:えっと……今朝、司さんとケンカしたことで 咲希ちゃんがとても落ちこんでいるんです
司:何!? 咲希が落ちこんでいる……!?
司:咲希は……オレに怒っているんじゃないのか……?
穂波:咲希ちゃん、もう怒ってなんかないですよ。 司さんに酷いこと言っちゃったってしょげてました
穂波:それに今日のパーティーも、司さんが来なかったらどうしようって 不安に思ってるみたいなんです
司:咲希が不安になって……落ちこんで……
司:オレは……オレは咲希を笑顔にしたいと思っていたくせに、 一体何を……!
司:――いいや、後悔はあとだ! オレには行くべき場所がある!
穂波:あっ、司さん!? どこへ行くんですか!?
司:決まっている! 咲希のもとだ!
司:行くぞ、穂波ッ!  我が最愛の妹のもとへーッ!
穂波:えっ、あっ、ちょっ……! ま、待ってくださーい!

第 7 话:人形よりもボロボロな……

天馬家 リビング
咲希:ひっなまっつり♪ ひっなまっつり~♪
一歌:……咲希、ひなあられを入れるお皿ってある?
咲希:うんっ! えーっと、ひなあられに合いそうなのは……これかな!
一歌:ありがとう。 かわいいね、このお皿
咲希:えへへっ、アタシのお気に入りなんだ♪ 昔、お兄ちゃんが買ってきてくれて……
咲希:…………
一歌:……咲希……
咲希:あっ、ねぇねぇしほちゃん! そっちの準備は大丈夫?
志歩:ん。料理並べ終わったよ
咲希:わ~、すっごく美味しそう! ありがとう、しほちゃん!
志歩:まあ、咲希のお母さんが用意してくれた料理を ただ盛って並べただけだけどね。 これで準備は全部?
咲希:うん! ふたりともありがとう! あとはほなちゃんが来るのを待つだけだね!
一歌:うん。委員会って言ってたけど、早く終わるといいね
志歩:そうだね。 それにしても……料理もお菓子もすごい量
志歩:結構並べたけど、これで全部じゃないんでしょ?
咲希:あはは……。 お兄ちゃんが昨日、いろいろ買ってきたみたいで……
咲希:……今日のパーティーを盛り上げたいって 言ってくれてたから……
一歌:……咲希
一歌:……志歩、やっぱり咲希、司さんと何かあったよね
志歩:だろうね。ケンカでもしたのかな。 ……あんまり想像つかないけど
咲希:そうだ、ふたりとも見て! 天馬家のひな壇っ! 豪華七段組で超立派なのだ~!
一歌:……たしかにこれはすごいね。 人形の着物も綺麗だし
志歩:うん。でも、おひな様とお内裏様だけ 結構汚れてない?
志歩:着物もちょっと破れてるし……。 咲希が遊んでて破いたとか?
咲希:もー、アタシはそんなことしないってばー!
咲希:……このおひな様が汚れてるのは、 お兄ちゃんがアタシのことを想ってくれてたからなんだよ
一歌:司さんが……?
咲希:うん。 あのね、アタシが小さい頃の話なんだけど——
幼い咲希:(今年も、おひな様、おうちで見られなかったな……)
幼い咲希:(お父さんとお母さんが買ってきてくれたおひな様のケーキ、 すっごく美味しかったけど……)
幼い咲希:——おうちで大きなおひな様、見たかったなぁ……
幼い咲希:(……どうしよう、悲しくなってきちゃった)
幼い咲希:(……だめだめ。悲しい顔したり、わがまま言ったりしたら、 お父さん達が困っちゃうよね……)
幼い司:……咲希
幼い咲希:……! お、お兄ちゃんどうしたの? 忘れ物?
幼い司:あっ……うん、そう! ハンカチ忘れちゃって……
幼い咲希:ハンカチ? あ、これだね! はいっ!
幼い司:……ありがとう、咲希。 それじゃあ——またすぐ来るから!
幼い咲希:……? うん、またね……?
幼い咲希:(『またすぐ来る』って……。 また明日、来てくれるってことかな……?)
幼い咲希:(……もう夕方だ……)
幼い咲希:(ひな祭り、祝ってもらえて嬉しかったけど やっぱり、さみしいな……)
幼い司:ハァ、ハァ……。咲希!!
幼い咲希:あれ? お兄ちゃん? どうしたの、また忘れ物?
幼い司:ううん、違う! これを咲希に持って来たんだ!
幼い咲希:あ……! これ、うちのおひな様……
幼い咲希:でも、どうして……?
幼い司:その……どうしても、咲希に見せたくて……
幼い司:全部は持って来れなかったけど……。 でも、おひな様とお内裏様だけでも咲希に見せたかったんだ!
幼い咲希:お兄ちゃん……
幼い咲希:(もしかして、わたしがさみしくないようにって、 わざわざ……)
幼い司:けど……ごめん。 来る途中に転んで、汚しちゃって……
幼い司:咲希の大事なひな人形なのに……
幼い咲希:あ……
幼い咲希:(お兄ちゃん、 おひな様よりボロボロになっちゃってる……)
幼い咲希:(あっちこっち怪我してて、痛いはずなのに、 それでも持って来てくれたんだ……)
幼い咲希:(ひな人形も嬉しいけど、それよりも——)
幼い咲希:(お兄ちゃんが来てくれたことが、 すっごく、すっごく嬉しい……!)
幼い咲希:(どうしよう……。 嬉しくって、泣いちゃいそう……)
幼い咲希:(でも——)
幼い咲希:……ううん! わたし、すっごく嬉しいよ!
幼い咲希:わたしのためにありがとう! お兄ちゃん!
咲希:……って、いうことがあったんだ
咲希:それで、いっちゃん達にも このひな人形を見てもらいたいな~って思って、 パーティーを開いたんだよ
一歌:そうだったんだ……
志歩:いい話じゃん
咲希:えへへ、ありがとう!
咲希:お父さん達が新しいの買おうって言ってくれた時もあったけど、 このおひな様以外いらないってずっと言ってきたんだ
咲希:アタシにとっては、このおひな様が世界で一番大切なの。 お兄ちゃんとの、思い出のおひな様だから……
咲希:だから、新しいのなんていらないのに……
志歩:……ねえ咲希。司さんと何が——
咲希:あ、ほなちゃんかも! アタシ、出てくるね
咲希:は~い♪ どうぞ~! ……って、あれ!?
冬弥:……突然すみません
咲希:とーやくん!?
咲希:あ、もしかしてパーティーに来てくれたの? どうぞ、上がって上がって!
咲希:あ……お兄ちゃん、まだ帰ってないんだけど……
冬弥:いえ……俺は、咲希さんにお伝えしたいことがあって来ました
咲希:え? アタシに?
冬弥:はい。……差し出がましいことだとは 十分承知しているんですが——
冬弥:ひな人形のことでケンカをしたと、 司先輩からお聞きしました
咲希:あ……
冬弥:もしかしたら、何か咲希さんの意に沿わないことが あったのかもしれませんが……
冬弥:ただ、先輩は本当に一生懸命ひな人形を選んでいました
冬弥:何年も前から、咲希さんを喜ばせるために お金を貯めて準備していたとも話していました
咲希:え? そんなこと、お兄ちゃん、ひと言も……
冬弥:……結果的に咲希さんにとっては、 良くないものだったのかもしれないですが……
冬弥:司先輩の、咲希さんへの想いだけは わかってもらえると嬉しいです
咲希:とーやくん……
司:ああ。せっかく全員が集まるのだから、 必ずや素晴らしいパーティーにするぞ!
咲希:お兄ちゃんは……いつもアタシのために……
咲希:なのに……アタシは……
司:——うおおおおお!!! 咲希!! 咲希~~~~~!!
咲希:——って、お兄ちゃん!?

第 8 话:あの笑顔の真実

住宅街
司:ハァッ、ハァッ、ハァッ……!!
司:……咲希っ!
咲希:お兄ちゃん……
司:すまないっ!
咲希:ごめんなさいっ!
司・咲希:『え……っ?』
司:な、なんで咲希が謝るんだ!?
咲希:お兄ちゃんこそ……! 怒ってるんじゃなかったの!?
司:そんなはずないだろうっ!
司:悪いのはオレなのに、 なぜ、咲希を責めねばならんのだ!
司:穂波から聞いたぞ! 咲希がオレとのことで落ちこんでいると!
咲希:……え、ほなちゃんが?
司:ああ! お前を心配して、わざわざオレの高校まで来てくれたんだ
司:あと、メッセージのことは誤解だ! 実は今日、スマホを忘れてしまっていて、 咲希から連絡がきていたことも知らなかったんだ
咲希:えっ、そうなの?
咲希:お弁当も、スマホも忘れるなんて、 ホントにお兄ちゃんって忘れんぼだね
司:うぐっ……!
司:す、すまない。 オレのせいで、咲希を不安にさせてしまって……
司:……それに、咲希の気持ちも考えず、 勝手にひな人形を取り替えてしまったこともそうだ
司:オレの独りよがりな行動で 咲希を傷つけてしまった……
咲希:お兄ちゃん……
司:オレは、咲希に喜んでもらいたい。 あの時も……今だってそうだ
司:しかし…… オレの行動は、いつも咲希を悲しませてしまう
司:これでは……お兄ちゃん失格だな……
咲希:……っ! そんなことないよっ!
咲希:あのね、お兄ちゃん、 たしかに……アタシ悲しかったよ
咲希:お兄ちゃんが、あの日のこと忘れちゃったって思って
咲希:でもだからって、あんなひどいこと言っちゃダメだよね……。 ごめんね……
司:……すまない、その、あの日のことなんだが、 オレが何を忘れているのか教えてもらえないだろうか
司:オレが病院までひな人形を持っていこうとして、 転んで、人形を汚してしまって……
司:咲希がボロボロの人形を見て、 悲しんでいた記憶しかないんだ
司:オレに心配かけまいと、悲しいのに無理に笑って……
咲希:え? 無理に笑う……? アタシが?
咲希:あ……! そっか! そうだったんだね!
司:んん?
咲希:違うの、お兄ちゃん。 あの時アタシ、無理に笑ってたんじゃないよ
咲希:アタシ、お兄ちゃんが来てくれたのが嬉しくて……、 嬉しすぎて泣いちゃいそうだったんだ
咲希:でも、泣いたらお兄ちゃん心配しちゃうし、 お兄ちゃんといる時は笑顔でいたいって思ったから——
咲希:だから、ちょっとヘンな笑顔になっちゃったんだよ
司:……それじゃあ、あの時、 咲希は本当に喜んでくれていたのか?
咲希:うんっ! アタシ、ホントにホントに嬉しかったよ!
咲希:お兄ちゃんがボロボロになってまで アタシのためにひな人形を持ってきてくれたのが すっごく嬉しかったの
咲希:どんなに汚れてても、ボロボロでも、 あのひな人形は、アタシにとって すごく大事なものだったんだよ
司:咲希……
咲希:だから……新しい人形をお兄ちゃんが買ってきた時、 あのひな人形のことを忘れちゃってるのかなって 思って、悲しかったの
咲希:でも、そうじゃなかったんだね。 お兄ちゃん、ちゃんと覚えてくれてたんだ!
咲希:よかった……!
司:……ああ、もちろんだ。 咲希との思い出を忘れるわけないだろう!
司:だが……オレは大きな勘違いをしていたんだな。 すまない、咲希……
咲希:ううん、謝らないといけないのは、 アタシのほうだよ
司:え?
咲希:あの頃のアタシ、心配かけないようにって 我慢してばっかりだったもんね
咲希:本当のこと言えなくて、笑顔で嘘ついて……。 だから、お兄ちゃんが勘違いしても仕方ないよ
咲希:ごめんね。 アタシのせいで、苦しい思いさせちゃって
咲希:それから、ありがとう。 アタシのためにおひな様達を持ってきてくれて。 とってもとっても嬉しかったよ!
咲希:お兄ちゃんは、アタシの自慢の……大好きなお兄ちゃんだよ!
司:咲希……
司:咲希ィーーーーーーッ!!!!
咲希:わっ! お兄ちゃん声が大きいってば! またご近所さんがのぞきに来ちゃうよ!?
司:咲希~~!! オレにとっても咲希は、最高で最愛の妹だぞ~~~~!!
志歩:……そういうことか
一歌:咲希と司さん、仲直りできてよかったね。 ……あ
冬弥:……どうも、こんばんは
一歌:あ……こんばんは
穂波:ハァ……ハァ……。 つ、司さん、足速すぎ……です……
志歩:穂波? 走って来たの?
穂波:う、うん……。 司さん、すごいスピードで走って行っちゃったから……
穂波:でも……あの様子なら、 もう咲希ちゃんと司さん、仲直りできたみたいだね
一歌:お疲れさま、穂波。 いつもありがとう
穂波:ふふ。咲希ちゃんに笑顔が戻ってよかった
天馬家 リビング
冬弥:あの……本当に、俺もお邪魔してしまっていいんですか?
司:もちろんだ! お前にはいろいろと助けてもらったからな!
冬弥:いえ。大したことはしてないです
咲希:ほなちゃんも、ホントにありがとうっ! ほなちゃんがいなかったら、きっと仲直りできなかったよ!
穂波:わたしは、話をしに行っただけだけど……。 役に立てたならよかった
司:ようし! それでは早速パーティーといこうではないか!
司:司会進行は、無論このオレ! 天翔けるペガサスと書いて——
咲希:あ! その前にお兄ちゃん!
司:ぬあっ! な、なんだ?
咲希:お兄ちゃん、新しいひな人形持って来てくれる?
司:え? だが……
咲希:あのひな人形も、お兄ちゃんがアタシのために 買ってくれたものでしょ?
咲希:だったら、新しいひな人形も一緒に飾って パーティーしたいなって♪
司:……ああ、そうだな。 今日はふたつのひな飾りでお祝いしよう!
咲希:うんっ!
志歩:せっかくだし、ひな人形と一緒に写真撮ったら?
穂波:それじゃあ、最初は咲希ちゃんとだね。 咲希ちゃん、笑って~
司:素晴らしい笑顔だぞ、咲希!!
咲希:あははっ。もう、やりにくいよ~!
ワンダーランドのセカイ
えむ:うーーーん。 司くん、ちゃんと咲希ちゃんと仲直りできたかな~?
寧々:さあね。ま、望月さんしっかりしてそうだし、 大丈夫だとは思うけど……
ルカ:ふふふ。 ここに来ないってことは、きっと大丈夫よー
類:たしかに、そんな気がするね。 きっと司くんもパーティーを楽しんでいるんじゃないかな?
ミク:うん♪ きっとそうだよ☆
MEIKO:そうそう! 私達も、めいっぱい楽しみましょ☆
KAITO:さて、みんな 自分のグラスは持ったかい?
レン:うん!
リン:バッチリ持ってるよ♪
ミク:それじゃあ、ようこそルカー♪ お祝いのひな祭りパーティー、はっじまるよ~♪
えむ:カンパーイ☆
寧々・類:『乾杯!』
ルカ:うふふっ♪ カンパ~イ♪