活动剧情

Aim higher and higher!

活动ID:169

第 1 话:今日はついに

ニューヨーク州 路地
こはね・ミク:『————♪ ————♪』
杏・彰人・冬弥:『——————……♪』
こはね:(……うん。声がよく通る)
こはね:(ホテルの近くで歌えそうな場所、 大河さん達に教えてもらっておいてよかった)
こはね:(……いつもと違う環境だと、新鮮な気持ちで歌えるし)
こはね:(でも——)
こはね:(……まだ、足りない)
こはね:(もっと私達の歌を……響かせられるように——!)
こはね:♪——————————〜〜〜!!
彰人:じゃ、飲み物買いに行ってくる
杏:冬弥達の分も買ってくるから、ちょっと待っててね!
冬弥:ああ。ありがとう、ふたりとも
こはね:……ミクちゃん、練習に付きあってくれてありがとう
ミク:『全然。みんなと一緒に歌えて、楽しかったしね。 でも——』
ミク:『こはね、なんだか今日 すごく気合いが入ってたね』
こはね:え?
冬弥:俺も感じた。小豆沢の歌が力強いのはいつもだが…… 今日は、より一層気持ちがこもっていたな
こはね:気持ち……
こはね:……そうだね。 もっと頑張らなくちゃとは思ってるかも
こはね:この前の——セカイでのことがあってからは、特に
冬弥:……それは、あの黒い欠片が見せた夢のことか?
こはね:うん。4人がバラバラになっちゃったあの夢を見て、 改めて思ったんだ
こはね:みんなと歌える時間を、もっと大事にしたい。 この4人で世界を獲りたい、って
ミク:『……そっか。やっぱりあの欠片は、 みんなの糧になってるみたいだね』
こはね:うん!
こはね:でも……『世界を獲る』ってどういうことか、 まだ掴めてはないんだけどね
冬弥:とても大きな目標だからな。 明確にイメージするのは難しい
ミク:『そうだね。 でも、そう焦る必要もないんじゃない?』
こはね:え?
ミク:『みんなはまだ、新しい夢を抱き始めたばっかりでしょ?』
ミク:『きっとこれから、いろんな場所でいろんな経験を積むだろうし。 その中で掴んでいけばいいんじゃないかな』
ミク:『自分達にとって、 “世界を獲る”っていうのがどういうことか』
冬弥:……そうだな。まずはひとつずつ、 今の俺達にできることをやっていこう
こはね:……うん。 今日は大河さん達のイベントもあるし
こはね:もしかしたら、何か掴めるかもしれないよね!
冬弥:大河さん、か……
ミク:『冬弥、どうかした?』
冬弥:いや……謙さんには 修行で歌をみてもらうことはあったが——
冬弥:大河さんの歌を聴くのは、 あの時以来なんだなと思ってな
こはね:あ……
大河:♪————————————!!
こはね:…………そうだね
こはね:(あの時は、大河さんがすごく大きな壁に見えた)
こはね:(本当にこの先に行けるのか、 超えられるのかって、怖くなって。でも……)
こはね:…………なんだか、不思議だな
ミク:『え?』
こはね:あの時はこんな未来、想像してなかったから
こはね:大河さんの歌を聴いて、 本当にRAD WEEKENDを超えられるのか、不安になって
こはね:でも、必死で修行して、 すごく大きな壁をみんなで超えられた。それで——
こはね:私達は今、ここにいるんだよね
冬弥:……たしかに、振り返ってみると とても目まぐるしい、濃密な日々だったな
ミク:『……本当に、いろんなことがあったよね』
こはね:うん。……でも、あれから 新しい景色にたくさん出会えて、成長できたって思うんだ
こはね:だから——
こはね:今日のイベントでも、どんな景色が見られるのか すごく楽しみだな……!
冬弥:ああ。 存分に楽しもう。世界のステージを
ミク:『……そういえば、今日見るイベントってどんな感じなの? すごく大きいって聞いたけど』
冬弥:『SONIC NOTES』というイベントだな。 まだ歴史が浅いようで、俺達もあまり詳しくは知らないんだ
冬弥:だが、昨年から世界的なレーベルが 運営に加わったこともあって、 出演者の数や知名度は、相当なものになっているみたいだな
こはね:世界中から、いろんなアーティストが集まるんだよね。 どんなイベントになるんだろう……!
杏:——お待たせ〜! 水、買ってきたよ
こはね:あ、ふたりともおかえり!
彰人:悪い、待たせたな。 ……ほら、お前らの分
冬弥:ありがとう。 ふたりが休憩したら、練習を再開しよう
こはね:あ……それなら、 ちょっとだけ歌ってもいいかな?
こはね:さっき練習したところで、 試したいアレンジがあるんだ
彰人:おう。 んじゃ、オレ達は聴いてるか
こはね:うん! じゃあいくね——
こはね:♪————————
???:『は〜。アイス、買えてよかった〜♪』
???:『もう、こんな朝から冷たいもの食べて……。 あとから寒い〜!ってなっても知らないよ?』
???:『大丈夫、大丈夫! 早く帰って食べよ——』
こはねの声:♪……——————
???:『あれ……あそこで誰か歌ってる』
???:『本当だ。こんな時間に珍しいね』
こはね:♪——————〜〜……
???:『ねえねえ! あの子の歌、すっごくよくない? ちょっと話しかけてみたいな〜!』
???:『たしかに、声の伸びも気持ちいいし、 レベルも高いな……』
???:『ん〜、でも話しかけるのはダメ』
???:『お姉ちゃん、絶対一緒に歌おうとか言い出すでしょ。 そしたらアイス溶けちゃうじゃん』
???:『ええ!? そんなこと……は、あるかも……』
???:『でも、もう歌う気分になっちゃったよ〜! アタシ達も、あとでちょっと歌わない?』
???:『うーん……。じゃあ、帰ってアイス食べたら 久しぶりにあの場所でやろっか』
???:『やった〜! 急いで食べよーっと♪』

第 2 话:異国の出会い

数時間後
ホテル前
杏:ふたりとも、遅れてごめん! エレベーターで財布忘れたことに気づいてさ〜!
彰人:ったく、今から買い物行くってのに…… 財布がないと何もできねえぞ
冬弥:だが、出発前に気づけてよかった。 全員揃ったし、そろそろ出発するか
こはね:……楽しみだな、フリーマーケット。 ニューヨークで有名なやつなんだよね
杏:うん! SONIC NOTESと 開催期間が被っててラッキーだったよね! ちょうど、会場の近くだし
冬弥:イベントは夜からだから、ゆっくり回れそうだ
冬弥:ミクもあとで見にくると言っていたし、 楽しんでもらえるといいな
こはね:そうだね。 あ、この角を右に——
こはね:あれ?
こはね:あの人だかり……なんだろう?
杏:ん〜……音楽が聴こえるけど、誰か歌ってるのかな
彰人:けど、あんなに人が集まるなんて 一体どんなヤツが——
???・???:『♪————! ♪————————!』
こはね:(すごい…………)
こはね:(お腹の奥までまっすぐ届くみたいな、力強い声)
こはね:(それに——)
観客達:『——おい、いたぞ! あそこだ!』
観客達:『本当だ。まさか今日あいつらの—— illysの歌が聴けるなんてな……!』
???・???:『♪————————————!!』
こはね:illys……
冬弥:……どうやら、このあたりで有名なチームのようだな
杏:すっごい歌だね……! ねえねえ、もうちょっと近くで聴いていかない?
彰人:そこまで急ぐ必要もねえしな……
彰人:それに——オレも聴きてえ
???:♪——————……
???・???:『♪————————————』
こはね:(……! 今のユニゾン、すごく難しい入りなのに ぴったり揃った!)
観客達:『やっぱ息合ってるね! さすが、姉妹だな〜!』
観客達:『ばーか。姉妹ってだけで、あんな芸当できるわけねえだろ。 エレナもレベッカも……とんでもねえバケモンなんだよ』
彰人:……すげえな
冬弥:ああ。アメリカでも、 路上で歌うアーティストは数多く見てきた。 だが——
冬弥:これは、別格だ
エレナ:『はー! 歌った歌った〜! みんな、聴いてくれてありがとね!』
観客達:『おいおい。もう終わりなのか?』
観客達:『もっと聴かせてくれよ〜!』
エレナ:『あはは、ごめんね!』
エレナ:『このあと予定もあるし、 ちょっとだけってベッキーとも約束したから 今日はここまでかな〜!』
観客達:『そこをなんとか頼む……!』
エレナ:『うーん、どうしよっかなあ……』
こはね:(今、目が合って——)
エレナ:『……いいこと思いついちゃったかも! ねえねえ、ベッキー——』
こはね:(な、なんだろう……? ふたりとも、こっちを見てる気がするけど……)
レベッカ:『……あ、それはいいかも。 盛り上がって終われそうだし』
レベッカ:『でも、あの子がいいって言ったらだからね』
エレナ:『オッケー! じゃ、声かけてくるね!』
エレナ:『ねえ、キミ!』
こはね:『え、私のことですか……?』
エレナ:『そうそう! 朝、路上で歌ってた子だよね?』
エレナ:『——今から、アタシ達と一緒に歌わない?』
杏:……今、一緒に歌わない、って言った?
冬弥:ああ……
こはね:え、えっと……
エレナ:あ、急にごめんね! アタシ、エレナっていうんだ!
杏:え……日本語?
エレナ:キミの歌聴いた時、ビビッときちゃってさあ。 一緒に歌えたらな〜って思ってたんだよね!
エレナ:ベッキー……あ、えーっと、妹もキミと歌いたいみたいだし。 ね、どうかな?
こはね:あ……
こはね:(どうしようかな……)
観客達:『なんだ? あの子も一緒に歌うのか?』
観客達:『見たことない子だけどなあ……』
こはね:(わ、みんなこっち見てる……!)
こはね:(……ちょっとびっくりしたけど、でも——)
エレナ・レベッカ:『♪————! ♪————————!』
こはね:(ふたりの歌、すごく魅力的だったな。 すごく力強いのに、軽やかで楽しそうで)
こはね:(一緒に歌ったら、どんな感じなんだろう……)
こはね:……わかりました!
こはね:えっと……みんなごめんね。 ちょっとだけ待っててもらっていいかな
杏:オッケー! 楽しんできてよ!
エレナ:ふふ。それじゃ、いっちゃおう!
冬弥:行ってしまったな
彰人:ああ……。 どんな歌、歌うんだろうな
杏:がんばれ、こはねー!
レベッカ:オッケーしてくれてありがとう! 私はレベッカ。ベッキーでいいよ!
こはね:小豆沢こはねです。よろしくお願いします!
こはね:(ベッキーさんも、日本語すごく上手だな……)
レベッカ:コハネだね! 同じ歌——は、さすがに歌えないから……
レベッカ:このビートに合わせて、交互に歌うっていうのはどう?
こはね:はい、大丈夫です……!
エレナ:よし、それじゃ……最後まで楽しもうね♪
こはね:♪————————!
観客達:『おいおい……あの子、大人しそうなのに すげえ歌歌うじゃねえか……!』
観客達:『はは。こりゃ、illysのふたりが どう乗ってくるのか楽しみだ!』
エレナ・レベッカ:『♪————————! ♪————————!』
こはね:(……! やっぱり、すごい……)
こはね:(聴いてる時も思ったけど——)
こはね:(このふたりの歌、レベルがすごく高い……!)
エレナ・レベッカ:『♪——! ——! ——〜〜〜〜! ♪————〜〜! ——————!!』
こはね:(リズムの取り方も、緩急の付け方も。 すごく複雑なのに、軽く歌ってるみたい……)
こはね:(それだけ、洗練されてるってことなんだ……!)
こはね:(それに——)
エレナ・レベッカ:『♪————————! ♪————————!』
こはね:(ふたりとも、すっごく楽しそう……!)
こはね:(エレナさんも、ベッキーさんも。 本当に、歌うことが好きなんだな……)
こはね:(……でも、わかるな)
こはね:(私も、歌うのが大好きだもん——!)
こはね:♪————————〜〜〜!!
エレナ:『ん〜、いい歌! アタシ達も、まだまだいっちゃうよ〜!』
エレナ・レベッカ:『♪————————————〜〜〜!』
彰人:……っ! なんつー盛り上がりだよ……!
冬弥:だが、小豆沢も負けていない
杏:いけ、こはね〜〜〜!
エレナ・レベッカ:『♪————————! ♪————————!』
こはね:♪————————————————!
数分後
エレナ:は〜、楽しかった〜!
レベッカ:あんなに盛り上がったの、久しぶりだよね!
こはね:私も、夢中になっちゃいました……!
エレナ:あはは。それならよかった!
レベッカ:君達も、ごめんね。 突然チームメイト借りちゃって
冬弥:いや。気持ちのこもった、いい歌を聴かせてもらった
杏:すごくよかったよ! なんていうかこう、心がぐっと掴まれるっていうか、 揺さぶられるっていうか……
彰人:ああ、オレも歌いたかったくらいだ
エレナ:なになに!? めちゃくちゃ褒めてくれるじゃん! 嬉しいな〜♪
レベッカ:機会があれば、また歌おうよ。 私達、たまにこのあたりで歌ってるから
レベッカ:今度は、チームのみんなも一緒にさ
こはね:はい!
エレナ:それじゃ、今日はありがと! またね!
冬弥:……嵐のような人達だったな
彰人:ああ。だが、すげえ歌だった
彰人:特に姉のほうは、なんつーか…… 自由に歌ってるって感じで
杏:ベッキーのテクニックもすごかったよね! めちゃくちゃ難しそうなところも軽〜く歌ってたし、 私も乗せられちゃったな〜
杏:こはねも、楽しそうだったしね
こはね:うん! ふたりの気持ちが伝わってきて、 歌ってて楽しくなっちゃった
冬弥:そうか
こはね:(……また、新しい景色に出会えた気がする)
こはね:(ふたりとも、このあたりで歌ってるって言ってたし アメリカにいる間に、また会えたら嬉しいな……!)

第 3 话:ドタバタの再会

ニューヨーク州 路地
ミク:『——それで、こはねとその子達が 一緒に歌うことになったんだ?』
杏:うん! もう、すっごく熱くてさ。 オーディエンスもめちゃくちゃ盛り上がってたんだよね
ミク:『そうなんだ。私も聴いてみたかったな』
冬弥:たまにあのあたりで歌っていると言っていたから、 タイミングが合えば、また会えるかもしれない
こはね:その時は、ミクちゃんもこっそり呼ぶね。 本当に、素敵な歌だったから
ミク:『ふふ。楽しみにしてるよ』
彰人:——と、見えてきたな
彰人:あそこがフリーマーケットの会場みてえだ
こはね:わ、すごい……。 お店がたくさん……!
彰人:古着に食器、アンティークの小物に絵画…… 本当に、なんでも揃ってんだな
冬弥:いろいろあるが、どこから回ろうか?
杏:う〜ん、あっちの雑貨も気になるけど、 向こうの服屋さんも行ってみたいかも!
杏:あ、でも、あそこのアクセサリーも センス良さそうだし……ま、迷う……!
冬弥:……これは、時間がかかりそうだな
彰人:ったく。……小腹も空いたし、 そこでホットドッグ買ってくるから、それまでに決めてろよ
杏:はーい
ミク:『へえ、屋台のホットドッグか……。 どんな感じなのか、ちょっと気になるな』
彰人:んじゃ、一緒に行くか。 冬弥も食うか?
冬弥:ああ、頼む
彰人:わかった、ふたつだな
彰人:えーっと……『ホットドッグふたつで』
店員:『ひとつ4.95ドルで、9.9ドルだよ!』
彰人:9.9ドルか。財布はっと……
ミク:(……あれ?)
ミク:(なんだろう。 あの子供、すごい勢いでこっちに走ってきて——)
ミク:『……! 彰人、ぶつかる……!』
彰人:え?
彰人:うおっ…………!?
冬弥:大丈夫か、彰人!
彰人:ああ……。悪い、ミク。 スマホ落としちまっ——
ミク:『私のことはいいから! それより——』
ミク:『財布! 追いかけて!』
彰人:は?
ミク:『あの子、財布拾って走って行ったよ!』
彰人:え…………
杏:なになに!? 財布すられたの!?
彰人:くっそ、逃げた方向は——!
冬弥:待て、彰人! 武器を持ってる可能性もある。 むやみに追いかけるのは危険だ……!
少年:『やっぱ観光客はちょろいな〜! 人もいっぱいいるし、このまま逃げれば——』
???:『——こら! 見てたぞ!』
???:『その財布は、君のものじゃないよね』
こはね:……なんだろう、向こうが騒がしいね?
杏:もしかして、誰かが捕まえてくれたんじゃない!? 行ってみようよ!
彰人:あいつらは——!
杏:あの時の双子……!?
スレイド:『これに懲りたら、もう二度とスリなんてするんじゃないぞ!』
少年:『う、うるせえ!』
こはね:あ……あの子、行っちゃったね
冬弥:財布は無事だったようだな。 それにしても……
スレイド:——久しぶりだね、みんな! ほらアキト、財布!
彰人:お、おお……ありがとな
彰人:つーか、なんでお前らがここにいるんだよ!?
スレイド:ふらっと買い物に来たんだよ。 このあたりって、オレ達の地元みたいなもんだからさ
セドリック:そうしたら、たまたま彰人達を見かけてな
セドリック:声をかけようとしたら スリにあってるところを見たから、捕まえたんだ
杏:そうだったんだ……
彰人:おかげで助かったが…… まさか、こんな形で再会するとはな
スレイド:あはは、そうだね! でも、また会えて嬉しいよ
スレイド:もしかして……今日ここにいるってことは、 SONIC NOTESを見に来たのか?
杏:え、どうしてわかったの?
セドリック:大河さん達が出るからな。 それに、こんなに大きなイベントを 見逃すわけにもいかないだろう
セドリック:——世界を目指すのならな
彰人:日本で会った時も言ってたが…… お前達も、世界を目指してるんだな
杏:そういえば、凪さんのことも知ってる感じだったよね
杏:ふたりって、凪さん達とどういう関係なの?
スレイド:あ……そうか。 この前はバタバタしてて、ちゃんと説明できてなかったっけ
スレイド:そうだ! このあと、一緒にカフェでも行かない? どうせなら、ゆっくり話したいしさ!
セドリック:お前、また迷惑になるようなことを…… みんな、観光を楽しんでいるところだろう
杏:私達は全然いいよ! 今日はこことSONIC NOTES以外予定はないし…… いろいろ聞きたいことはあるしね
スレイド:じゃ、近くにオレ達がよく行くカフェがあるから そこで話そうか。コーヒーがめちゃくちゃ美味いんだ!
冬弥:コーヒーが……。 それは楽しみだな
セドリック:それじゃ、案内しよう。 俺達についてきてくれ
こはね:はい。お願いします!

第 4 话:同じ想いで

カフェ
冬弥:——うん、美味しい
冬弥:酸味と苦味のバランスが絶妙だ。 豆もそうだが、いれ方にもこだわりがありそうだ
こはね:トッピングのホイップも、 甘さ控えめですごく合うな……!
彰人:……ん、こっちのカフェオレも美味い
セドリック:……気に入ってもらえたみたいだな
スレイド:トーヤとコハネの豆は、セディがいつも飲んでるやつだよね! ふたりの口に合ったみたいで、よかったよ!
冬弥:そうなのか。セドリックとは好みが合いそうだな
冬弥:豆も購入できると言っていたし、 あとで教えてもらえるとありがたい
セドリック:ああ、任せてくれ
セドリック:——さて、ひととおり自己紹介も終わったし、 そろそろ本題に入ろうか
こはね:えっと……おふたりとRADderの皆さんとのこと、ですよね
セドリック:そうだな。 だが、どこから話したものか……
杏:私、最初から聞きたいな〜。 ふたりがどうやって凪さん達に出会ったのか、とか!
スレイド:出会いか。それで言うと、 今日オレ達が会ったのと似たようなものかも……
こはね:私達と……?
冬弥:もしや、財布をスられそうになって 謙さん達に助けてもらった、ということか?
スレイド:あー、いや。そうじゃなくて
スレイド:——オレ達が、タイガさんの財布をスろうとしたんだ
彰人:…………は?
セドリック:おいスレイド、いきなりそんな話……。 みんな戸惑っているだろう
スレイド:あ、ごめんごめん! そりゃあ、びっくりするよね……!
スレイド:一応弁解すると、未遂だよ。 だからって悪いことをしたのに変わりはないし、反省もしてる
こはね:で、でも、どうしてそんな……
スレイド:……実はオレ達、小さい頃家が貧しくてさ。 生活に困ってた時期があったんだ
スレイド:それで、お腹が空きすぎて、もうダメだーってなってた時に たまたま街でRADderを見かけて……
スレイド:観光客っぽくてお金も持ってそうだから、 ふたりでスリをしようとしたんだ
こはね:そんなことが……
セドリック:まあ、見事に失敗したんだがな
セドリック:一瞬で首根っこを掴まれて、ものすごい目で睨まれたよ
スレイド:あの時のタイガさん、 めちゃくちゃ怖かったな〜
杏:あ〜……なんか想像できるかも
スレイド:で、やべえボコボコにされる……!って覚悟してたら、 あっさり解放してくれたんだよね。 『二度としないなら見逃してやる』って
セドリック:今ならわかるが……俺達の身なりを見て、 いろいろ察してくれたんだろうな
冬弥:…………
セドリック:そこから、いろいろ聞かれたよ
セドリック:親はいるのか、普段はどんな生活をしてるのか、とかな
セドリック:最初は、どうしてそんなこと話さないといけないんだとか どうせ興味本位だろと思って、黙っていたんだが——
セドリック:3人の……特に、凪さんの目がすごく真剣でな。 この人達になら、話してもいいかと思ったんだ
セドリック:——あんな風に まっすぐに俺達のことを見る大人は、初めてだったから
冬弥:そうだったのか……
スレイド:うん。それで、オレ達の生活を知ったRADderは、 『歌を聴きに来い』って言ってくれたんだ
スレイド:自分達が出演するイベントに招待してやる、ってね
セドリック:大河さんは、『腹の足しにはならねえが、 人生の足しにはなるだろ』と言っていたな
こはね:ふふ、大河さんらしいな
スレイド:腹の足しにならないなら、意味ないじゃないか! って言い返したら、めちゃくちゃ怒られたよ
セドリック:俺達はあの頃、音楽なんて うるさいだけだと思ってたからな
セドリック:けど、いいから来いって、引っ張っていかれて……
セドリック:そこで聴いたあの人達の歌に—— 人生を変えられたんだ
スレイド:……大袈裟に聞こえるかもしれないけど、本当だよ
スレイド:それまで、街でいろんな音が鳴ってても 耳障りとしか思わなかった。でも、あの人達の歌は——
スレイド:…………すごかったんだ
スレイド:心が揺さぶられるって、 こういうことなんだと思ったよ
スレイド:音楽は、歌は。 こんなにも心が熱くなるものなんだって、初めて知った
スレイド:……あの瞬間、オレ達の人生は変わったんだ
こはね:(音楽が、自分の人生を変えた)
こはね:(それって——)
彰人:……そうか
彰人:お前らも、RADderの歌に火をつけられたんだな
スレイド:……ああ。 そこからはもう、一気に音楽漬けの毎日だよ!
スレイド:オレ達もあんな風に歌いたい!って、 がむしゃらに練習してさ
スレイド:RADderがこっちに来るたびに頼み込んで、 歌を教えてもらったりしたんだ!
スレイド:それで、ちょっとずつ地元のライブハウスに 呼ばれるようになったり、 音源の配信なんかもするようになったんだよね
セドリック:そうだな。それで—— 今では、なんとか音楽で食べていけるようになっている
セドリック:本当に、3人のおかげだ
冬弥:……それは、すごいな
杏:あ、そういえば……!
こはね:杏ちゃん、どうしたの?
杏:思い出したんだ。 昔『アメリカで修行つけてる双子がいる』って、 父さん達が言ってたこと
杏:あれって、スレイド達のことだったんだ……!
セドリック:俺達も、杏のことは聞いてたよ
セドリック:特に凪さんが、いろいろ話してくれてさ。 小さいのに、いい歌を歌うんだって
杏:あ……
杏:ふふ、そっか……!
スレイド:オレ達、勝手にアンのことライバル視してたよね!
スレイド:同い年くらいなのに、ナギさん達にここまで言わせるなんて どんなヤツだ! 負けないぞ!ってさ
セドリック:特にスレイドは、 『RADderに褒められるのはオレ達だけで十分!』 とムキになっていたな
杏:あはは、そんなこと言ってたんだ!
こはね:ふたりとも、 大河さん達とすごく仲が良かったんですね
セドリック:……ああ。3人との日々は、 俺達にとってかけがえのないものだ
スレイド:……そうだね
スレイド:だから、アンが言ってた『どんな関係か』って質問の答えとは 少しずれるかもしれないけど……
スレイド:RADderはオレ達にとって、 恩人で、憧れで——家族みたいなもんかな!
スレイド:あの人達は、歌を……生き方を。 それに、人のあたたかさを教えてくれたから
スレイド:だからこそ、オレ達は ナギさんの夢の先に行きたいと思ってる
スレイド:キミ達と、同じようにね!
彰人:あ……
スレイド:RAD BLASTで聴いたキミ達の歌は、本当にすごかった。 でも——
スレイド:ナギさんの夢の先に行くのは、オレ達だからね!
彰人:あれは、そういうことだったのか……
杏:なんていうか、点と点が繋がったって感じだね
こはね:うん……
こはね:でも、歌に出会った時のふたりの気持ちは、 ちょっとだけわかるな
こはね:周りの状況とか、経験してきたこととかは、 全然違うけど……
こはね:音楽に……歌に出会って 自分の人生が変わったっていうのは、私も同じだから
冬弥:……俺も、同じことを感じていた
冬弥:形は違っても、ここにいる全員 RADderの音楽が人生に影響を与えている。そして——
冬弥:それらが巡り巡って、 俺達を引き合わせてくれた
杏:もしかしたら、凪さんがつないでくれたのかもね!
セドリック:……そうかもしれないな
スレイド:ねえ、このあとイベントまでまだ時間もあるし、 よかったら一緒にフリーマーケット回らない?
杏:え?
スレイド:ほら、どうせ目的地は一緒なんだし……
スレイド:なんか話したら、ここでバイバイっていうのも 寂しいなって思ってさ
こはね:ふふ、そうですね
杏:じゃあ、これ飲み終わったら みんなでお店見に行こっか!

第 5 话:一緒にフリーマーケット!

フリーマーケット会場
こはね:わ……さっきより、お客さん増えてますね
セドリック:昼時も過ぎたし、 買い物をするにはいい時間だからな
セドリック:みんなは、どこか見たい店はあるか?
杏:ん〜、ありすぎて決められないんだよね。 全部気になるし……
冬弥:もし、ふたりのおすすめがあれば 紹介してもらえると助かる
スレイド:ホント? オレ、気になってる ヴィンテージの服屋があるんだよね。そことかどう?
彰人:ああ、いいな。オレも興味ある
スレイド:やった! 案内するよ!
彰人:そのスウェットに合わせるなら、 ジャケットはこっちの色味がいいんじゃねえか? インナーがシンプルな分、多少派手でもまとまりそうだ
スレイド:ホントだ、めちゃくちゃカッコイイ……! これ、買っちゃおうかな〜!
スレイド:よーし、次はオレの番ね! 絶対アキトに似合うコーデ選んでくるから、楽しみにしてて!
彰人:いや、オレは自分で選ぶ——って、 行っちまった……
セドリック:……どうした? もしかして、冬弥もラムジャイロを食べたいのか?
冬弥:いや、大丈夫だ。 さっきも大盛りのタコスやピザを食べていたから、 少し驚いただけで……
冬弥:……よければ、俺のもどうだ? さっきコーンドッグを食べたから、そこまで減っていないんだ
セドリック:そうか? ……ありがとう。じゃあ、もらうよ
こはね:すごい、ヴィンテージカメラがこんなにたくさん…… 見てるだけでわくわくしちゃいますね……!
セドリック:ああ。昔、凪さんにカメラを借りて 写真を撮ったのを思い出すな……
スレイド:懐かしい〜! セディ、よくオレのこと撮ってくれてたよね!
セドリック:お前が動き回るから、ブレた写真ばかりだったけどな
こはね:ふふっ……。 大切なものや人を写真に残せるのって、いいですよね
セドリック:……ああ、そうだな
数時間後
杏:本当にいろんなお店があるね〜。 オススメしてもらったところ、どこも最高だったよ!
セドリック:そうか。楽しんでもらえているようでよかった
冬弥:アンティークの食器が所狭しと並んでいる店に入るのは、 少し勇気がいったな……
こはね:割っちゃうかもって思うと、緊張するよね——
こはね:……あ
彰人:どうした?
こはね:えっと……レコードのお店があるなって、 ちょっと気になったんだ
セドリック:いろんなジャンルのレコードを取り扱ってるみたいだな。 気になるならのぞいていくか?
こはね:はい!
彰人:こういうのって、 ジャケット見るだけでも面白いよな
杏:わ、このジャケット、ポーズも表情もかっこいい〜! こう……かかってこい!って言ってるみたいじゃない?
セドリック:ああ、これはおそらく ニューヨークを舞台にしたアクション映画のオマージュだな
こはね:本当だ。 昔の映画のポスターで見たことあるかも……
スレイド:っていうかこれ…… なんかナギさんが好きそうなデザインじゃないか?
杏:あ、たしかに! 色の使い方とか、雰囲気とかめちゃくちゃ好きそう!
杏:で、父さんとおじさんはこっちの——
セドリック:……そういえば、謙さん達とも こんな風にレコードを選んだことがあったな
スレイド:あったあった! 買ってやるから好きなもの選べって言われて、 ジャケ買いしたんだよね!
こはね:そうなんですか?
スレイド:うん。『こういう直感も音楽センスのうちだぞ』とかなんとか 言われてさ!
スレイド:買ったレコードを 近くのリスニングカフェで聴かせてもらったんだけど……
スレイド:セディが選んだレコードから ラクゴってやつが流れてきた時は、みんなで大笑いしたよな
彰人:落語って……どういうことだ?
セドリック:ジャケットと中身が、 どこかで入れ替わっていたらしいんだ
セドリック:ジャケットはジャズだったから、 突然流れてきたおじさんの声に、みんな戸惑ってたよ
杏:あはは、何それめちゃくちゃ面白いじゃん!
セドリック:……そういえば、あのリスニングカフェも ここからそう遠くないな
スレイド:たしかに! みんながこっちにいる間に予定が合えば、 一緒に行ってもいいかもね
スレイド:それで、今日買ったやつ聴いたりさ!
彰人:んじゃ、気合い入れて選ばねえとな。 ……落語とか流れてこねえように
セドリック:はは、そうだな
数十分後
こはね:——結構、悩んじゃったな
杏:こはね、ずーっと行ったり来たりしてたもんね! いいの買えた?
こはね:うん。迷ったけど、最初にいいなって思ったのにしたんだ。 ジャケットが素敵だったし
こはね:カフェで聴くのが楽しみだな
彰人:んじゃ、そろそろイベント会場に向かうか?
セドリック:そうだな、かなり混むだろうし、 早めに到着するに越したことはない
杏:世界規模のイベントだもんね。 人もいっぱいいるんだろうな〜!
スレイド:出演者もすげえ人達ばっかりだし! めちゃくちゃワクワクするよな!
こはね:(……大河さん達が出るイベントか)
こはね:(世界中から人が集まるって、 うまく想像できないけど……)
こはね:(すっごく楽しみだな……!)

第 6 话:昂り

SONIC NOTES会場
こはね:わあ、すごい……!
彰人:ここが、SONIC NOTESの会場……
冬弥:まだ開演前だが、圧倒されるな。 この大きさには……
杏:でも、会場の大きさもそうだけど——
観客達:『楽しみだな〜! ひと組目のUPsetter、私めちゃくちゃファンなんだよね!』
観客達:『こんな豪華なラインナップも、そうそうねえよな』
杏:人の数もすごいね。 どんどん増えてきてる!
スレイド:会場自体の収容人数は、8万人を超えるらしいね!
セドリック:モニタに映し出されるサブ会場も合わせると…… 動員数は、10万人を超えるんじゃないか?
こはね:10万人……!
杏:な、なんか、多すぎて現実感ないね
冬弥:こうしてひとつの場所に これだけの人が集まっていると考えると……圧巻だな
こはね:(……聞き取れないけど、 英語以外の言葉もたくさん聞こえる)
こはね:……すごいな
こはね:大河さん達は、こんなにたくさんの人の前で——
こはね:世界中の人に向けて、歌うんだ……!
観客達:『——おい! お前ら、Embersじゃねえか!』
観客達:『なんだ、観客席にいるのか。出演者側じゃねえんだな?』
スレイド:『はは。声かけてきて、いきなり煽りか?』
セドリック:『今はまだ見る側だが…… 俺達だって、いつかあのステージに立つさ』
観客達:『言うじゃねえか。 楽しみにしてるぜ! オレはお前らの歌、まあまあ好きだしよ』
こはね:あの人達、スレイドさん達のファンみたいだね
杏:へえ……あのふたりって、 やっぱりこっちじゃ有名なんだ
彰人:まあ、あいつらの実力なら当然だろ
彰人:セドリックの歌はまだ聴いたことねえが…… スレイドと組んでるんなら、相当だろうしな
???:『——おーい!』
冬弥:ん? 今の声は……
レンの声:『ねえねえ、今って出ても大丈夫!?』
リンの声:『どんなステージなのか気になっちゃって!』
こはね:えっと……今はみんなスレイドさん達に注目してるし、 大丈夫だよ
リン:『おお〜、ここが会場なんだね!』
KAITO:『わあ……! もしかして、あれがメインステージ?』
ルカ:『すーーっごく大きいね! あんなに大きなステージ、初めて見たかも!』
MEIKO:『こんなところで歌うなんて…… 大河さん達、本当にすごいわね』
杏:あはは。みんな、会場に着いた時の私達と同じ反応してる
ミク:『……どんな歌が聴けるのか、楽しみだね』
こはね:あ……
こはね:うん、そうだね!
こはね:圧倒されてばっかりだったけど…… このイベントのために、アメリカに来たんだもん
こはね:いろんなことを吸収できるように しっかり目と耳に焼き付けなくちゃ!
冬弥:小豆沢の言う通りだな
冬弥:世界で活躍する人達のステージだ。 心して見よう
KAITO:『みんな、今日はお客さん側なのに 気合い入ってるなあ』
ミク:『このライブが、みんなにとって いい刺激になるといいね』
観客達:『——お、ひと組目か!?』
観客達:『最初のブロックは、バンド系だったか。 あいつらはたしか——』
冬弥:……! 始まった!
ミュージシャン:『————UPsetterだ。 お前ら、準備はいいか!?』
ミュージシャン:『SONIC NOTESの開演だ!』
ミュージシャン:『♪————————————』
こはね:(この歓声……まるで、地鳴りみたい……! 会場全体が震えてて——)
彰人:(……マジかよ。まだ1曲目の頭だぞ……)
冬弥:(だが……何よりもすごいのは——)
杏:(あの人達の歌……! 体が勝手に乗っちゃう!)
ミュージシャン:『————————————♪ ————————————♪』
こはね:(…………みんな、夢中だ)
こはね:(まだ始まったばかりなのに、こんなに——)
こはね:(……すごいな)
こはね:(どんなイベントになるんだろう——!)

第 7 话:『世界』

こはね:すごい……! ヘヴィメタルのステージって、初めて見たかも!
冬弥:あれが本物のデスボイスというやつか……。 体の中を、直接揺らされているようだった
彰人:すげえ激しいパフォーマンスだったな。 ……今ので、メタル系は終わりか?
セドリック:ああ。次からいよいよ、 ストリート系のチームが出てくるようだ
杏:あ、ちょうどステージに上がってきたみたいだよ!
観客達:『トップバッターはあいつらか! 最高に乗れる曲、期待してるぜ〜!』
こはね:わ……ステージに立っただけで、すごい歓声……!
スレイド:Ash Dustじゃないか! うわあ、楽しみだな……!
彰人:ああ。動画では見たことあるが——
ミュージシャン:『お前ら、声上げてけ!!』
ミュージシャン:『♪————————————〜〜〜』
彰人:(すげえパワー…… 動画で見るのとは大違いじゃねえか!)
彰人:(歌声が、直接心臓を掴んでくるみてえだ)
冬弥:(この力強さ……否応なしに響いてくる重低音……)
冬弥:——凄まじいな……!
スレイド:やっぱすごいな! この前のイベントから、またパワーアップしてるよ!
セドリック:さっきの新曲は、 今までとテイストから違っていたしな
ミュージシャン:『おい、まだまだいけるだろ!? 声聞かせてくれ!』
ミュージシャン:『♪——! ——! ——!!』
観客達:『♪——! ——! ——!!』
杏:わ、すっごい! 観客のコーラスとぶつかりあってる……!
セドリック:まるで、アーティストと観客の殴り合いだな
スレイド:あはは! これで興奮するなって方が無理だよね!
杏:うん! 私達も——!
スレイド・杏・セドリック:『♪——! ——! ——!!』
こはね:…………
ミュージシャン:『♪————————————! ♪————————————!』
こはね:(————すごい)
こはね:(ずっと、空気が震えてる)
こはね:(こんなに広いのに、音がまっすぐ届いてきて……)
こはね:(…………これが)
こはね:(これが、世界レベルのステージなんだ……!)
ミュージシャン:『いい声だったぜ!』
ミュージシャン:『盛り上がってくれて、ありがとな!』
スレイド:うっわあ……今のチームも、 めちゃくちゃ熱かったな……!
杏:私、思いっきり叫んじゃった!
彰人:やっぱ、とんでもねえイベントだな……!
ミュージシャン:『お前ら、体力は残ってるか? 次は——こいつらの登場だ!!』
杏:あ……父さん達だ……!!
こはね:(……! いよいよだ……)
こはね:(どんな歌を、歌うんだろう——!)
謙:『——RaveNだ! 待たせたな!』
大河:『お前ら、乗り遅れんなよ!!』
観客達:『RaveN? お前知ってるか?』
観客達:『いや、聞いたことねえな。 片方は見たことあるが……』
謙・大河:『♪——————————————————!!』
こはね:……っ!
観客達:『…………なんだよ、この歌』
観客達:『すげえなんてもんじゃねえぞ……!!』
冬弥:(ふたりが歌った瞬間、空気が変わった……)
冬弥:(たった、ワンフレーズで……!)
謙:♪——————————————!!
大河:♪————————————〜〜〜!
杏:(………………なに、これ)
杏:(RADderの時とも、ひとりで歌ってた時とも違う……!)
大河:『はっ、いい熱さじゃねえか。だが——』
大河:『まだまだだな。俺達は、 今日ここを世界一熱い場所にしにきた』
大河:『お前ら、最後までついてこい!! ぶっ倒れんじゃねえぞ!』
謙・大河:『♪————————————————————————!!』
彰人:(嘘だろ……まだ上があるってのかよ!?)
冬弥:(歌も、会場も……なんて熱だ……!)
杏:(知らない……こんなの、見たことない——!)
こはね:(…………すごい)
こはね:(すごい、すごい——熱い……!!)
こはね:(こんなに広い会場が、ひとつになって……)
こはね:(全員が……目の前の歌に、夢中になってて——!)
観客達:『なんて歌だよ……最高じゃねえか……!』
観客達:『はっ! またこいつらの歌が聴けるとはな……!』
観客達:『もっと聴かせてくれ〜〜〜〜!!!』
こはね:あ…………
ミク:『きっとこれから、いろんな場所でいろんな経験を積むだろうし。 その中で掴んでいけばいいんじゃないかな』
ミク:『自分達にとって、 “世界を獲る”っていうのがどういうことか』
こはね:(………………そっか)
こはね:(今まで……ずっと、ぼんやりしてた)
こはね:(『世界を獲る』って、どういうことなのか)
こはね:(でも——!)
こはね:(………………こういう、ことなんだ……)
こはね:(自分達の歌で、世界中の人を熱くさせて——)
こはね:(ドキドキさせることが、きっと……!!)
謙・大河:『♪——————————————!!』
彰人:(………………なんだ、これ)
彰人:(熱くてたまらねえ……!)
彰人:(体の中から、全部を揺さぶられてるみてえな……)
彰人:(ああ、くそっ。頭ん中がぐちゃぐちゃだ。 だが——)
彰人:————これが……『世界』なのか
彰人:…………っ
彰人:(これが、オレの……オレ達の!)
彰人:(目指す景色なのか————!)
エレナ:『ん〜〜!』
エレナ:『やっぱりあのふたりの歌は、熱いね……!』
レベッカ:『……そうだね』
終演後
彰人:…………すごかったな
セドリック:ああ……
杏:えっと……
杏:……とりあえず、挨拶行く? 父さん達、ステージの近くにいるってさ
冬弥:そうだな……。 招待してくれたお礼も、改めてしたい
セドリック:たしかステージ裏は、一度客席を出てから——
こはね:(………………すごい)
こはね:(まだ……響いてる。歌も、歓声も……)
こはね:(熱くて……ここにいる、全員が——)
こはね:(…………どんな、感じなんだろう)
こはね:(ステージから見たら……)
こはね:(————見たい、な)
こはね:(あの景色を、ステージで)
こはね:(それで……)
こはね:(あの熱さを、私達の歌で————!)
数分後
ステージ裏
大河:よう、お前ら。久々だな
大河:スレイドもセディも、元気そうじゃねえか
スレイド:うん、おかげさまでね!
謙:杏達とは、日本でも会ったんだって? 妙な縁もあるもんだ
杏:あはは、私達もびっくりだよ!
大河:まさか、お前らが一緒にイベント見てたとはな。 で、どうだった? 今日の祭りは
大河:——いい熱気だったろ
杏:うん! めっちゃくちゃ熱かった!
セドリック:どのアーティストもすごかったが、 ふたりは別格だったな
こはね:はい! みんな、ふたりの歌に夢中になって 心を掴まれてて——
こはね:こんな世界があるんだなって……!
大河:なんだよ。やけに素直じゃねえか
杏:そりゃあ、今日のは本当にすごかったし……!
大河:はっ、そうかよ
大河:だが称賛するには、ちっとばかし早えかもな
大河:俺達は——これより熱いステージをやる。 そう遠くないうちにな
彰人:な……あれ以上……!?
冬弥:あの、そう遠くないうちというのは……
謙:お前達も、名前くらいは聞いたことがあるだろう
謙:『Lasting ECHO Fes』—— アメリカで開催される、世界一でかい音楽フェスだ
大河:俺達はそれに出て、 俺達の音楽で、誰よりも会場を沸かせてやる
大河:——今日以上にな
こはね:…………!

第 8 话:見据える先は

こはね:世界一の、音楽イベント……
スレイド:Lasting ECHO Fesって…… タイガさん達、あれに出るの!?
杏:私も、名前は聞いたことある
杏:って言っても、 めちゃくちゃ大きいフェスってことくらいしか知らないけど……
謙:Lasting ECHO Fesは、 世界各国の音楽が集まる、音楽の祭典だ
謙:ロック、ジャズ、クラシック、ストリートから民族音楽まで 各ジャンルのトッププレイヤーが集まって…… その演奏は、三日三晩続く
冬弥:三日三晩……!?
大河:比喩じゃねえぞ。 本当に、3日間ぶっ通しだ
大河:んで、アーティストも客も、 空っぽになるまで音楽をやり尽くすんだ
こはね:そんなフェスが……
セドリック:ああ。SONIC NOTESの出演者も 知名度は相当なものだが……
セドリック:——Lasting ECHO Fesは、別格だ
彰人:……聞いたことあるな。 世界レベルのアーティストの中でも、 Lasting ECHO Fesに出られるのは、ほんのひと握りだって
大河:その通りだ
大河:スポンサーの数、アーティストの知名度、 そして観客の動員数……
大河:どれをとっても、Lasting ECHO Fesと 肩を並べるイベントなんて存在しねえ。つまり——
大河:そのフェスで歌うってことは、 世界のトッププレイヤーだって証明になる
彰人:世界の、トッププレイヤー…………
こはね:…………
こはね:(Lasting ECHO Fes……)
こはね:(今日以上に、大きな会場で)
こはね:(世界中から観客が来て——)
こはね:………………出てみたい、な
こはね:——今日、大河さん達のステージを見て思ったんです
こはね:私も、こんな風に歌いたい…… 観客の心を掴んで、熱くさせたいって
こはね:それに、きっと自分達の歌で世界中を熱狂させることが——
こはね:夢中にさせることが、 『世界を獲る』ってことなんだって……!
杏:私も、同じこと考えてた!
杏:世界一のイベントで 誰よりも会場を沸かして、観客を夢中にさせて……
杏:そしたら、『世界を獲った』って言えるんじゃないかな!
冬弥:……俺も、辿り着きたい場所がはっきりと見えた気がした
冬弥:ステージの上で—— 俺達の歌で、あの熱狂を作り出してみたい
彰人:——決まったな
彰人:あとはもう、全力で突っ走るだけだ
彰人:無謀だろうがなんだろうが——やるぞ。 オレ達で、世界を獲る!
セドリック:……やっぱり、目指す場所は同じみたいだな
こはね:え?
スレイド:オレ達だって、同じ気持ちだよ! あんなステージを見せられて、興奮しないわけないし!
セドリック:ああ。初めてRADderの歌を聴いた時の気持ちを 思い出した
セドリック:あの時と同じくらい…… いや、それ以上に——心が震えたよ
杏:ふたりとも……!
大河:お前ら、いい度胸だな。まあ——
大河:……やれるもんなら、やってみな
大河:だが、そうだな……。 その度胸を買って、ひとついいことを教えてやる
杏:いいこと?
大河:さっきも言ったが、Lasting ECHO Fesは 世界のトッププレイヤーしか出れねえフェスだ
大河:俺達だって、今回選ばれたのは運が良かっただけだからな
スレイド:そうなんだ……
大河:ま、選考基準はいろいろあるだろうが…… 当然、今のお前らが選ばれるわけがねえ
大河:だが——チャンスはある
冬弥:どういうことですか……?
謙:このフェスでは少し前から、 若手で勢いのあるアーティストのピックアップが始まってるんだ。 次の世代を育てようってことでな
謙:それで……各ジャンル1組、 選ばれた若手が前座としてパフォーマンスする機会を 与えられることになってる
謙:もちろん——Lasting ECHO Fesのステージでな
杏:じゃあ、そのジャンルの若手で一番になれば フェスに出られるってこと……?
彰人:けど、一番って……どうやって決めるんだ?
大河:ストリートミュージックの若手枠は、 とある大会の優勝者が手に入れられるって話だ
スレイド:とある大会……?
大河:——『RUSH BEATS』
大河:お前らみてえな若い連中が Lasting ECHO Fesの切符をかけて戦う、 トーナメント形式の大会だ
大河:開催地はアメリカだが、 ある程度の実力があれば、誰でも参加可能らしい
大河:お前達にとっちゃ、願ってもない機会だろ
こはね:…………っ!
大河:……俺達は、必ず世界を獲る。 Lasting ECHO Fesで、誰よりも会場を沸かしてな
大河:同じ土俵で戦いたきゃ——追いついてこい
大河:RUSH BEATSで勝ち上がって、 俺達の前に立ってみろ
大河:——できるもんならな
こはね:私達が、世界一大きなフェスに……!
スレイド:こんなチャンス、逃すわけないよな……!?
彰人:当然だろ……! あれ以上のステージに立てるかもしれねえんだ
杏:うん。それに——
杏:その景色がきっと、 凪さんの夢の先なんだって思う
杏:だから……絶対、行きたい!
セドリック:——となると、俺達はライバルになるというわけか
冬弥:たしかに、トーナメントということであれば、 いずれは争うことになるだろうな
冬弥:だが——
冬弥:出場権がかかっているのであれば、負けられない
スレイド:望むところだよ! オレ達だって、絶対負けないから!
彰人:はっ。その勝負、受けて立ってやるよ
大河:……ふ。若えな
謙:ああ。だが、いい熱さだ
こはね:それに、きっと自分達の歌で世界中を熱狂させることが——
こはね:夢中にさせることが、 『世界を獲る』ってことなんだって……!
謙:……なんだか、懐かしい気分だ
大河:ああ? 俺はむず痒くて仕方ねえよ。 鏡を突きつけられてるみてえだ
謙:はは。たしかに、くすぐったくはあるかもな
大河:——あいつらは、俺達と同じ場所に行こうとしてんのか
大河:ま、道を譲る気はさらさらねえ
大河:同じものを目指すってんなら、 俺達が先にたどり着くだけだ。——だろ?
謙:ああ、そうだな