活动剧情
泡沫に抱かれて
活动ID:170
第 1 话:かつての夢と微睡み
朝比奈家での話し合いの数日前
幼い奏の声:ん…………
???:……で
???:——奏
幼い奏の声:おかあ、さん…………?
奏の母:奏、もしかしてお昼寝してたの?
奏の父:はは、今日は天気もいいし 気持ちいいからなあ
幼い奏:あ……
幼い奏:えへへ、おべんとう食べたら、ねむくなっちゃった!
奏の母:ふふ。奏、お弁当いっぱい食べてくれたものね
幼い奏:だって、とってもおいしかったんだもん!
幼い奏:ねえねえおとうさん、おとうさんの曲、聴きたいな!
奏の父:いいよ。じゃあ—— 『奏とお母さんのニコニコ日曜日』はどうかな
幼い奏:わーい!
奏:…………っ、あ……
奏:夢、か……
奏:(こんな夢見たの、久しぶりだな)
奏:(お父さんとお母さんがいて、みんな笑ってて……)
奏:………………作業の続き、やろう
奏:(まふゆのお母さんのことは、まだわからないけど——)
まふゆ:……私も、知りたい
まふゆ:……怖いけど、それでも……
まふゆ:私の思ってることが、本当なのか、どうか
奏:…………
奏:(まふゆも、前に進もうとしてる)
奏:(だからわたしも…… ちゃんと、まふゆを救えるような曲を作らなきゃ————)
奏:……あれ? ナイトコード、誰もログインしてない
奏:おかしいな、もう25時過ぎてるのに
誰もいないセカイ
湖
奏:みんな、ここにいたんだ
奏:…………?
奏:えっと……どうしたの?
絵名:あ、奏……!
リン:これ、見て
奏:え……?
奏:木が、黒くなってる……?
MEIKO:正確には、黒い欠片のようなものが付着しているようね
奏:黒い、欠片……
レン:……なんだか、木も元気ないみたいなんだ
ミク:葉っぱも、少ししおれてるみたい
奏:…………
奏:……どうして、こうなっちゃったんだろう
瑞希:ボク達もわかんないんだよね。 今来たら、もうこんな感じになってて
絵名:ていうか、これどうなっちゃうの? このまま枯れちゃうとか……
ルカ:どうかしら。このセカイに植物と呼べるものは それこそ、この木くらいしかないから…… はっきりとはわからないわね
ルカ:けれど、想いから生まれた木なら—— 想いで枯れることもあるかもしれないわ
まふゆ:…………
奏:……でも、まだ枯れたわけじゃないし 何か出来ることはあるんじゃないかな
奏:黒い欠片も、くっついてるだけなら 剥がせるかもしれないし
奏:ほら、このあたりとか……
奏:え……?
ミク:奏……!
???
第 2 话:日常
视频:播放视频
宵崎家 キッチン
奏:——よし、できた
奏:お父さーん。 朝ご飯、できたよ!
奏の父:ありがとう、奏。 今日も美味しそうだ
奏:えへへ、今日は玉子焼きが上手く焼けたんだ。 食べてみて
奏の父:この前は甘めだったけど、今日はだし巻きなのか。 奏はいろいろ作れてすごいな
奏:ちょっとだけ頑張ったんだ。 ねえ、お父さんどっちが好き?
奏の父:奏の作るものならなんでも好きだよ
奏:それじゃわかんないよ。 お父さんの好みのほうを作りたいから聞いてるのに……
奏:あ、お父さん……クマが出来てるよ。 もしかして、また徹夜してたの?
奏の父:ああ、キリのいいところまでと思っていたら 朝になってしまっていてね
奏:もう……。 体壊しても知らないよ?
奏:でも……お父さんの曲を待ってる人、たくさんいるもんね。 聴くと幸せな気持ちになれるって
奏の父:奏……
奏:わたしもいつか、お父さんみたいに 誰かを幸せにできる曲を作りたいな
奏の父:奏なら、きっと作れるよ
奏の父:そのためにも、勉強は頑張らないとね
奏:もう、わかってるよ。 いろんな知識を持ってると、作曲の幅が広がるんだもんね
奏:テスト勉強は、やっぱり嫌だなって思うけど……
奏の父:はは。それじゃあ、もし良い点を取れたら 何かご褒美をあげようか
奏:ご褒美?
奏の父:うん、奏が欲しいものをなんでも言っていいよ
奏:やった……! お父さん、約束だからね
奏:あ……もうこんな時間……。 じゃあ、行ってくるね
奏の父:うん、行ってらっしゃい。奏
宮益坂女子学園 2年A組
教師:——今読み上げた箇所では、 登場人物の心情を、言葉を巧みに使って表現しています
教師:それぞれの人物が、どんな心情なのか ノートに書き出してみてください
奏:(この表現……夢が叶わなくて悲しい感じがするけど、 二度と会えないと思ってた友達とまた会えて、 嬉しい気持ちの方が強いんだろうな)
奏:(いつも泣かない子が、思わず泣いちゃうくらいに……)
奏:(……そうだ)
奏:(この瞬間の、この子の気持ちを曲にしたら…………)
教師:……宵崎さん? 何を書いているのかしら?
奏:あっ……
奏:えっと、その、これは……
教師:ちゃんと授業に集中してくださいね
奏:はい……
奏:はあ……
クラスメイトA:奏~! なになに、また曲作りしてたの?
奏:あ、うん……。 いいメロディーが浮かんできて、つい……
クラスメイトA:あはは、相変わらずだね~!
クラスメイトB:この前も、同じようなことで注意されてなかったっけ?
奏:う、そうだったかも……。 集中しないと駄目だよね
クラスメイトA:でもでも、奏の曲っていいよね! 聴いてて前向きな気持ちになるっていうかさ
奏:え、本当?
クラスメイトA:本当だよ。私、登校前に絶対聴いてるもん。 憂鬱だな~って思ってても、元気出るから!
奏:……よかった
クラスメイトB:そういえば、宵崎さんの曲って 動画サイトで何万再生もされてるんだよね
クラスメイトA:そうそう! すごいよね~!
奏:そんなに有名ってわけじゃないと思うけど……
奏:……でも、たくさんの人が聴いてくれてるのは嬉しいな
クラスメイトB:ふふ、いつも言ってるもんね。 お父さんみたいに、たくさんの人を幸せにする曲を作りたいって
奏:うん。わたしの曲は、まだまだだと思うけど
クラスメイトA:そんなことないよ! 私はもう幸せになっちゃったし♪
奏:ふふ、ありがとう
午後
奏:うう、移動教室なのに忘れ物しちゃうなんて……
奏:(勉強も頑張らなきゃって思ったばっかりなのにな——)
奏・???:『わっ!』
まふゆ:あっ……
奏:ご、ごめんなさい! ちょっと考え事してて……
奏:あの、怪我してない……ですか?
まふゆ:うん、大丈夫だよ
まふゆ:えっと、宵崎さん……だよね?
奏:えっ? わたしのこと知ってるの?
まふゆ:ふふ、だって隣のクラスだもん
まふゆ:私は朝比奈まふゆ、よろしくね
奏:あ、う、うん……!
まふゆ:あ、次の授業始まっちゃうね。急がなきゃ
まふゆ:じゃあ、また今度
奏:う、うん。また……
奏:(朝比奈さん、か……)
奏:(みんなから噂はよく聞いてたけど…… わたしのこと、知ってもらえてるなんて思わなかった)
奏:……また、話せるかな
第 3 话:友達
数カ月後
宮益坂女子学園
奏:……はあ……
奏:(今日から3年生か……)
奏:(仲の良いふたりは一緒のクラスだったけど、 他は、あんまり話したことない人ばっかりだったな)
奏:(ちょっと緊張する……)
奏:(……でも、ずっとここに立ってもいられないし)
奏:まずはちゃんと、挨拶から……
奏:お、おはよう……
クラスメイトA:あ、奏! また一緒のクラスだね~!
クラスメイトB:今年もよろしくね
奏:あ……
奏:う、うん。よろしく……!
奏:……よかった。 やっぱりふたりがいると安心する
クラスメイトA:あはは、知らない人ばっかりだと気まずいよね~。 私もまた一緒のクラスで嬉しいよ!
クラスメイトC:——今年も同じクラスになれてよかった~! よろしくね、まふゆ!
奏:(まふゆ、って……)
まふゆ:こっちこそよろしくね。 ……宿題はちゃんと自分でやるんだよ?
クラスメイトC:わかってるって~!
奏:(朝比奈さん、同じクラスだったんだ……)
まふゆ:——宵崎さん、おはよう
まふゆ:宵崎さんも同じクラスなんて、びっくりしたな
奏:う、うん。わたしも……
奏:でも、ちょっと嬉しい。 朝比奈さんとは、もっと話してみたかったから
まふゆ:ふふ、私もだよ
まふゆ:これから、よろしくね
寝室
奏:ここは……もっと弾む感じにしたいな
奏:うん、良い感じ。 次の音は、透明感がある印象にして——
???:♪———— ♪————……
奏:……あれ、歌が……
奏:……気のせい、かな
奏:(でも、なんだか優しい音が聴こえた気がする)
奏:——さっきのイメージは……
奏の父の声:奏、今大丈夫かい?
奏:あ……うん!
奏の父:そろそろご飯にしようと思うんだけど、 何かリクエストはあるかな
奏:もうそんな時間……? ごめんなさい、準備するの忘れてた……
奏の父:いや、いいんだ。 今日は、仕事が早く終わったからね
奏の父:それに——
奏の父:……なんだか、いつもよりも楽しそうな音だからね。 作業を止めたくなかったんだ
奏:え? あ……
奏:そ、そんなに曲に出てたかな
奏の父:うん、音が弾んでいる感じがしたよ
奏の父:何かいいことでもあったのかい?
奏:……うん
奏:今日、クラス替えがあったんだけど…… 前から話してみたいなって思ってた子がいたんだ
奏:もしかしたら、友達になれるかも、って
奏の父:そうか……
奏の父:いい出会いがあったんだね
奏:うん……!
翌日
宮益坂女子学園 3年B組
クラスメイトA:奏! 昨日の夜、新曲アップしてたよね! すっごくよかったよ~!
クラスメイトB:今回の曲も、聴いててわくわくするっていうか 楽しい気持ちになったな
奏:ありがとう。 昨日、帰ってから勢いで作ったから 少し荒いかもって心配だったけど……
奏:気に入ってもらえてよかった
クラスメイトA:えっ! そんな早く作れるものなの!?
クラスメイトB:相変わらずすごいよね……。 短時間で、あんないい曲作れるなんて
奏:そ、そんなに大したことじゃないと思うけど……
まふゆ:ふふ、なんだか楽しそうだね
クラスメイトA:あ、朝比奈さんも聴いてみてよ! 奏の新曲、すっごくいいから!
まふゆ:へえ、宵崎さん曲を作ってるんだ
奏:あ……う、うん
クラスメイトA:奏、すごいんだよ! “K”って名前でネットに曲上げてるんだけど 今かなり人気なんだから!
まふゆ:そうなんだ……! 私も音楽は好きだから、気になるな
まふゆ:宵崎さん、聴かせてもらってもいい?
奏:うん……! えっと、この曲なんだけど……
まふゆ:ありがとう
奏:……?
まふゆ:——うん、すごくいい曲だね
まふゆ:私もなんだか、明るい気持ちになったな
奏:え……
クラスメイトA:でしょ~!? この曲もすっごくいいから、聴いてみて!
まふゆ:ふふ、どんな曲なんだろう。 楽しみだな
视频:播放视频
第 4 话:暗闇から、一歩
视频:播放视频
宮益坂
絵名:…………うわ、眩し……
絵名:はあ、なんか変な感じ……。 こんな昼間から外に出てるなんて
愛莉:そりゃあ、ずっと引きこもってたらそうなるでしょ
絵名:わかってるけど……
愛莉:はいはい。 今日もリハビリだと思って我慢なさい
愛莉:ほら、パンケーキ食べに行くわよ!
絵名:……うん
カフェ
店員:——ハートのフルーツパンケーキふたつですね。 少々お待ちください
愛莉:はい、お願いします
愛莉:ここのパンケーキ、すっごく美味しいのよ。 絵名も気に入ると思うわ
絵名:……そうなんだ
絵名:(アイドルの仕事で忙しいはずなのに…… 愛莉には頭が上がらないな)
絵名:(あの時、愛莉が連絡してくれてなかったら私は——)
絵名:————……駄目だ……
絵名:(どうして……?)
絵名:(途中までは描けてるかも、って思うのに だんだんなんか違うって思えてくる)
絵名:(やっぱり私、駄目なのかな…………)
絵名:(……もう、どれだけ描いても……)
絵名:……タグは……自撮りだけでいっか
絵名:……ふふ、こんなにたくさん……
絵名:こんなに……私のこと、褒めてくれる
絵名:(……私、このまま終わるのかな)
絵名:(何も描けないまま、誰にも認められないまま——)
絵名:(生きていかなきゃ、いけないのかな…………)
絵名:…………消えたいなあ……
数日後
絵名:(…………頭、ぼーっとする……)
絵名:(最近、寝るのとスマホいじるのしかしてないな)
絵名:(ずっと寝てると、お腹って全然減らないんだ……)
絵名:(肌とか荒れてそうだけど、もういいや。 自撮りするのも、めんどくさいし)
絵名:(全部……全部、どうでもいい……)
絵名:……?
絵名:……オススメの曲?
絵名:投稿者は……K……?
絵名:……こういう曲が流行ってるんだ
絵名:明るい曲で、幸せそうで……
絵名:希望があって——いいね
絵名:————え……
絵名:……愛莉?
愛莉:——絵名、どうしたの?
絵名:……あ、えっと……
絵名:——ごめんね、愛莉
愛莉:え?
絵名:忙しいはずなのに…… 私のために何回も会いに来てくれて
愛莉:……何言ってんの!
愛莉:親友が大変な時に駆けつけないで、何がアイドルよ
愛莉:わたしはわたしがそうしたいから、ここにいるの! だから……絵名は気にする必要ないのよ
絵名:愛莉……
絵名:……っ、ありがとう……
第 5 话:ずっとひとりで
1年後
絵名:(はあ……。 英語の長文、読解するのしんど……)
絵名:(単語は覚えてるんだけど、 文章で読むってなると難しいんだよね……)
絵名:(……1年の時、全日制に編入したばっかりの頃は もっとひどかったな)
絵名:(必死で勉強して、なんとかついていけるようになったけど——)
教師:——それでは、続きは次の授業で説明します。 みんな、予習復習をしておいてね
絵名:はーい……
絵名:あー、授業しんどかったぁ
友達:わかる~。 私、英語苦手だから眠くなっちゃった
絵名:ちゃんと勉強しなきゃ、次の小テスト厳しいんじゃない?
友達:そうなんだよねえ……。 でも全然頭に入ってこなくて
友達:見てよ、この真っ白なノート!
絵名:あはは……。 って、落書きばっかりじゃん
絵名:ここに描いてるのってシブニャーゴ?
友達:うん! シブニャーゴ好きなんだよね~。 イラストつけて解説させたら捗るかなって 思ったんだけどなあ
絵名:あ~そういうこと……
絵名:さっきの授業だったらこんな感じ? 旅行先でスケートする話だったから、 氷の上を滑ってる風にして——
友達:えっ!? 何!? 絵名めちゃくちゃ絵うまくない!?
絵名:へ?
友達:そんなささっと描けるものなの!? すっごく可愛いし……!
絵名:そ、そう? 適当に描いただけだけど……
友達:いやすごいし! ねえねえ、もっと描いてよ! こっちのページ空いてるから!!
絵名:いや、勉強しなさいよ
友達:みんな、ちょっと見て見て! これ絵名が描いたんだけど~!
クラスメイト:えっ、本当!? 絵名ってこんなイラスト上手かったんだ……!
絵名:もう、みんな大げさすぎ
絵名:(……これで授業は終わりか。 今日は予定ないし、ショッピングでも——)
クラスメイトA:ねえねえ絵名~! ちょっとお願いできる!?
絵名:え、な、なに?
クラスメイトA:私新聞部なんだけどさ〜! 今月は特別号だから ちょっと大きめのイラストがいるんだ
クラスメイトA:で、こないだの絵を見たら、 どうしても絵名に描いてほしくなって! ……ダメ?
絵名:……そういうことなら、しょうがないか
クラスメイトA:ありがとう~! すっごく助かる!
クラスメイトB:……あ、あの
絵名:え……?
クラスメイトB:東雲さん、うちの委員会のポスターも 描いてくれないかな……? どうしても今回はみんなの目を惹きたくて……!
クラスメイトB:東雲さんの絵なら、みんなも喜ぶし いつまででも待つから……!
絵名:なにそれ。まったく……
絵名:いいよ。じゃあ、どんなポスターにしたいのか 教えてくれる?
クラスメイトB:うん! あのね——
数日後
25時
絵名:……っと、これで全部完成!
絵名:ふう……。 思ったより、時間かかっちゃったな
絵名:こんな大きい絵描くなんて、久しぶりだし。 まさか絵の具まで引っ張り出すことになるなんて 思わなかったけど
絵名:まあ、でも——
クラスメイトA:こないだの絵を見たら、 どうしても絵名に描いてほしくなって! ……ダメ?
クラスメイトB:東雲さんの絵なら、みんなも喜ぶし いつまででも待つから……!
絵名:(あんなふうに言われてるんだから、期待には応えなきゃね)
絵名:——25時か、寝るにはちょっと早いかもな。 でも頼まれてた絵は全部描いちゃったし
絵名:あ、それなら——
絵名:(……今更、だよね)
絵名:(久しぶりに、ちゃんと絵を描きたいなんて)
絵名:(馬鹿みたい……ちょっと周りに褒められてるからって……)
???:『————……♪』
絵名:え……? 歌……?
絵名:なんだろ、今たしかに聴こえたような気がしたんだけどな……
絵名:よくわかんないけど……
絵名:(なんか、少しだけ……懐かしい感じがしたな)
絵名:——少しだけ
絵名:少しだけ、描こう
数カ月後
神山高校 3年A組
美術部の教師:——良かったですね、東雲さん
絵名:はい、ありがとうございます
友達:なになに? ……コンクールで受賞? すごいじゃん、絵名!
絵名:わっ! もう、びっくりしたじゃない
友達:これならずっと言ってる美大合格も楽勝ですな〜
絵名:それはまた別の話。 ……そんなに簡単じゃないから
友達:でもさあ、絵名って本当に絵ばっかり描いてるじゃん? 夜になると連絡ぱったり来なくなっちゃうし
友達:それって、家でもずっとひとりで描いてるの?
絵名:え? ああ、そうだけど……
友達:やっぱり! 絵名ってすごいな~
友達:ずっと絵描いてるのもそうだけど、 その間ひとりでいるんでしょ?
友達:私だったら、絶対寂しくなっちゃうし 誰かと話したくなっちゃうもん
絵名:あ……
絵名:あんまり考えたことなかったけど…… もう慣れちゃったのかも
友達:ええ〜!? それって絵名も本当は寂しいってこと!?
友達:いつでも連絡してよね! すぐに飛んでくから!
絵名:はいはい、ありがとね
友達:って、やば! もうこんな時間?
友達:私行かなきゃ! それじゃ、またね! ばいば〜い!
絵名:(ずっとひとりで……か)
絵名:(……確かに、何日も何日も絵を描いてると 絵を描く以外は、からっぽみたいになることはあるな)
絵名:(でも——)
絵名:絵を描くって、そういうものだし。 ……仕方ないよね
视频:播放视频
第 6 话:楽しい毎日
视频:播放视频
アパレルショップ Dolce
女性客:どの服も可愛いな……
女性客:あ、このスカート好きかも。 でも私には、ちょっと甘すぎるかな……
???:——それ、カワイイですよね~! 新作で入ってきたばっかりなんですよ!
女性客:そうなんですか? でも、ちょっと私には合わないかもな~って……
瑞希:え、そんなことないですよ! お客様の雰囲気にピッタリだと思います♪
女性客:うーん、でも……
瑞希:もう少し甘さ控えめのほうが、普段使いしやすければ…… こちらのブルー系はいかがでしょう?
瑞希:シルエットはさっきのと似てるんですけど、 色が爽やかなので、印象がだいぶ変わるかな~って!
女性客:本当だ。 こっちなら、私でも着れそう……!
瑞希:えへへ、よかった~! ちなみにこれ、レイヤードで着るとまたカワイイんですよ
瑞希:タートルネックとか、 あと襟付きブラウスとかを中にいれて……こんな感じ!
女性客:わ、素敵……!
女性客:あの、アクセサリーもいいのがあったらほしいなって思ってて…… オススメとかありませんか?
瑞希:そうですねえ……
瑞希:——それなら、お客様に合いそうなものがあるんです! ご案内させてもらいますね♪
女性客:はい、お願いします!
瑞希:えっと、これなんですけど——ほら!
女性客:わあ……! このイヤリング、可愛いですね……! 大きいリボンがアクセントになってて……
瑞希:ホント、すっごくお似合いですよ!
瑞希:今日着てるお洋服にも合ってますし、 このままつけて帰れるかも!
女性客:たしかに……! じゃあ、これ買っちゃおうかな……
瑞希:わ、ありがとうございます! それじゃあ、ご用意させていただきますね♪
瑞希:——ありがとうございました~!
店長:暁山さん、お疲れ様! さっきのお客様、あのイヤリングとっても似合ってたよ!
瑞希:えへへ……気に入ってもらえたみたいで、ボクも嬉しいです!
瑞希:……やっぱり、自分で作ったものが 誰かのカワイイになるって、すっごくいいなあ
店長:ふふ、暁山さんの作ってくれたアクセは 本当に評判がいいよね
店長:私も新作、楽しみにしてるよ
瑞希:はーい! ちょっと時間かかっちゃうかもですけど 頑張って作りますね~!
店長:うん、よろしくね。 ……あ、そろそろ時間だし上がっていいよ
瑞希:わかりました! お疲れ様でーす!
センター街
瑞希:——追加のレース、買えてよかった~! 帰ったらスカートの裾につけて——
瑞希:このお店のスカート、カワイイ! 新作かなあ?
瑞希:うーん、でもあっちのブラウスも——
絵名:……あ、このブラウスいいかも。 せっかくだし買っちゃおっかな
瑞希:(あのブラウスに目をつけるなんて、センスいいなあ)
瑞希:(着てる服もオシャレだし……ふふ、なんか話合いそうかも)
瑞希:ま、さすがにふたつは買えないし…… 今日はこっちのスカートだけにしよっかな
瑞希の部屋
瑞希:……よし、これでスカートの裾は縫えたかな。 次はギャザー作って、全体に付けていって……
瑞希:は~、まだまだ先は長いなあ! ちょっと休憩しよ……
瑞希:んー……あ、このアニメにしよっかな。 再生っと!
瑞希:ふふ、この回ホント面白かったよね~
瑞希:コメディ回だけど、最後はなんか意味深な伏線もあって SNSもかなり賑わってたっけ
瑞希:考察が盛り上がってたけど、今どんな感じになってるんだろ
瑞希:——そうそう! ラストの表情がオープニングに出てきた絵と重なるんだよね! 気付いた時、すっごく興奮したな~
瑞希:……って、あれ? オススメに流れてきた曲、なんだろ
瑞希:作った人は……Kって人なんだ。 ふーん……
瑞希:サムネも文字だけで、すっごいシンプルだけど……。 ちょっと聴いてみよっかな
瑞希:ふんふん、明るい曲だなー。 今流行ってるのかな?
瑞希:あっ! こっちの人の曲はどうだろ?
瑞希:わ、すっごいカワイイ曲!
瑞希:……あ! この曲でほのぼの系のファン動画とか 作ったらぴったりかも!
瑞希:なんかイメージ湧いてきたし、 コンテ作ってみようっと!
瑞希:よーし、できた~! これはめちゃくちゃカワイイ動画になりそう~!
瑞希:ていうか、もしかしてもう朝? 全然気づかなかった……
瑞希:(……学校行ってる時は、ここまで自由には過ごせなかったな)
瑞希:(やっぱり、次の日のこととか……いろいろ考えちゃってたし)
瑞希:(そう考えると、今は気が楽だな……)
瑞希:——ふふっ。ホント、学校辞めてよかった!
第 7 话:自分らしくいるために
数日後
ファミレス
瑞希:——今日のイベント、ほんっと楽しかったね~!
瑞希:どのブースの作品もカワイくって、 ずっとあの空間にいたいな~って思っちゃった!
女性A:わかります! ていうか、Amiaさんの作品ってお店でも売ってるんですよね。 さすがのクオリティです!
女性B:ね! 私もひとつお迎えさせてもらっちゃった♪
瑞希:あはは、ありがと~! こうやって、作ったのをみんなに着けてもらえるの すっごく嬉しいな
女性B:私も新作楽しみです! ちなみに、次に出るイベントってもう決めてるんですか?
瑞希:んー、まだかな。 ちょっと新作を出すまでに時間かかりそうなんだよね
瑞希:最近、服作りにハマっちゃってさ
女性A:え、洋服まで!? すごい!
瑞希:まだやってみた~って感じだから、全然だよ!
瑞希:ゼロからって想像以上に大変だね。 ワンピース作ってるんだけど、完成にはまだまだって感じ
女性A:え~! それ、私予約してもいいですか!?
女性B:ちょっと、さすがにズルくない!?
女性A:だってAmiaさんのワンピなんて、絶対可愛いし~!
瑞希:ありがと~! でも、流石に1作目はクオリティも低いと思うから まだ売り物にはならないんじゃないかなあ
瑞希:誰かに着てもらえるレベルになるのは、 もうちょっと時間かかっちゃいそう
女性A:そうなんですか~……
女性A:……あ、それなら一緒にやりません?
瑞希:えっ?
女性A:私、裁縫とか得意なんですよ。 実は洋服も作ったことあって!
女性A:Amiaさんと一緒なら、 きっと可愛いお洋服作れるんじゃないかなって!
瑞希:あー……
瑞希:……ごめん、今はひとりで作りたい時期なんだよねえ
瑞希:でも、もし機会があったらよろしくね♪
女性A:え~! 残念……
女性A:だけど、楽しみにしてますね。 Amiaさんの作る服!
瑞希:うん、ありがと!
スクランブル交差点
瑞希:はー、楽しかった~!
瑞希:(やっぱり、カワイイものについて いろいろ語れる相手がいるっていいなあ)
瑞希:(一緒にやらないかって言われた時は、 ちょっとびっくりしたけど……)
???:……瑞希?
瑞希:類……!
瑞希:久しぶりだね。 今、学校終わったの?
類:ああ、これから稽古に行くところだよ 僕は委員会の集まりがあったから 出るのが遅れたんだけどね
瑞希:へえ、そうなんだ。 稽古って今、何してるの?
類:森ノ宮歌劇団で勉強させてもらっているんだ。 かなりハードだけど、なかなか楽しいよ
瑞希:えっ、森ノ宮って……あの有名な!? すごいじゃん!
類:ちょっとした縁があってね。 みんなと一緒に、色々と学ばせてもらっているんだ
瑞希:そっかあ……
瑞希:類、本当に司先輩達と上手くやってるんだね
類:……そうだね、僕自身も驚いているよ
瑞希:……ふふ。みんなで頑張って、夢を叶えられるといいね!
類:ああ。そのための努力を、 一歩ずつ積み重ねていこうと思う
類:——瑞希は、やはりもう学校へ戻る気はないのかい?
瑞希:え……
瑞希:————うん!
瑞希:ボク、今がす~っごく楽しいから!
類:……そうか
類:なら……僕も、瑞希の選んだ道を応援するよ
瑞希:……ありがと!
瑞希:じゃ、ボクこっちだから。 稽古頑張ってね~♪
類:ああ、またね
瑞希:(……類、楽しそうだったな)
瑞希:(あの頃とは違って、本当の仲間を見つけられたんだ)
瑞希:…………あの場所に戻る、か
生徒達:——お、あの子今日学校来てるぞ! やっぱり、そのへんの女子よりも女子っぽいよな
生徒達:別にいいけどさ。 ヒソヒソ言われるのが気になるなら、普通の格好すればいいのにね
生徒達:あいつ、なんであんな服着てんの? 承認欲求強いとか?
生徒達:一緒にいると、こっちもそういう目で見られるから ちょっと嫌だよねー
瑞希:(……あのまま学校行ってるよりも、 今のほうがずっと楽だ)
瑞希:(好きなものを着て、好きなものを作って、 好きなものを見て——)
瑞希:(自分らしく、自由でいられる今のほうが…… ずっと楽しい)
女性A:……あ、それなら一緒にやりません?
女性A:私、裁縫とか得意なんですよ。 実は洋服も作ったことあって!
瑞希:…………
瑞希:誰かと深く関わるなんて……
瑞希:——めんどくさいだけだ
???:……——♪ ————♪
瑞希:え、歌……? どこから……
瑞希:……わかんないけど、なんだか優しい歌だったな
瑞希:よーし。帰ってワンピースの続き作ろうっと!
视频:播放视频
第 8 话:影を探して
视频:播放视频
宮益坂
クラスメイトA:ねえまふゆ、本当に大丈夫なの? 私達に付き合ってもらっちゃって
まふゆ:うん、もちろん。 今日は息抜きしようって思ってたし
クラスメイトB:そっか、よかった! じゃあ今日はいっぱい遊んじゃお!
まふゆ:ふふ、楽しみだな
クラスメイトB:まふゆとの貴重なプリシ、いただきました~!
まふゆ:すごく肌が綺麗に写るんだね。びっくりしちゃった
クラスメイトA:さっきのは美肌が売りのやつだからね。 私は向こうのやつが好きなんだ。 次はそっちで撮ってみない?
クラスメイトB:ねえねえ、このブラウス可愛くない!?
まふゆ:本当だ。すごく似合ってるよ
クラスメイトB:ありがと~! あ、こっちのスカート、まふゆ着てそう!
まふゆ:そうかな。でもたしかに似てるデザインの服は持ってるかも
まふゆ:……あ、そうだ。私も行ってみたいショップがあるんだけど、 ちょっと寄ってもいいかな
クラスメイトB:うん、行こ行こ!
アパレルショップ Dolce
クラスメイトB:へえ……! すっごく可愛いお店!
クラスメイトA:でも、意外だね。まふゆがこういうお店に興味あるなんて
まふゆ:帰り道に見かけて、少しだけ気になってたんだ
クラスメイトB:そうなんだ! 普段はあんまり着ない系統だけど、 こういう服って見るだけで楽しいよね
クラスメイトA:じゃあせっかくだし、色々見ていこうよ
まふゆ:うん
まふゆ:……あ……
瑞希:——いらっしゃいませ! 何かお探しのものはありますか?
まふゆ:あ、えっと……特にないんですけど
まふゆ:……どれも、可愛いですね
瑞希:そうですよね~! ボクもこのお店の服大好きなんです♪
瑞希:ていうかお姉さん、大人っぽいし あのワンピースが似合うかも……!?
瑞希:最近入ったばっかりのやつなんですけど、 見てみませんか?
瑞希:あ、全然見るだけでオッケーですよ! ボクが勝手に、似合いそうだな~って思ってるだけなので
まふゆ:……はい、じゃあちょっとだけ
瑞希:ホントですか!? ありがとうございます! じゃあご案内しますね~
カフェ
クラスメイトB:は~! 今日、ホントに遊んだねえ
まふゆ:うん、楽しかったな
クラスメイトA:まだ早いよ? このお店のパンケーキ食べなきゃ帰れないんだから
まふゆ:ハートのフルーツパンケーキ、有名だもんね。 それじゃ、いただきます
クラスメイトA・B:『いただきます』 『いただきまーす!』
まふゆ:ん……すっごく美味しい……
まふゆ:生クリームが甘すぎないから、 ぱくぱく食べられちゃうな
クラスメイトB:わかる~! これならおかわりもいけそう!
クラスメイトA:え、さすがに無理じゃない?
クラスメイトB:それくらいおいしいってこと! 季節ごとに味も変わるみたいだし、気になるな~
クラスメイトB:ねえ、まふゆが遊べる日にまた来ようよ!
まふゆ:ふふ、いいよ
クラスメイトA:次は、宵崎さんも来れるといいね。 今日は作曲があるからって駄目だったけど
まふゆ:あ……
クラスメイトB:宵崎さん、ネットですごく有名なんだっけ? 毎日曲作ってるのかなあ
クラスメイトA:……でも、暇な日があるかもしれないよね。 今度また誘ってみようよ
まふゆ:……うん、そうだね
朝比奈家 リビング
まふゆ:——ん、このビーフシチュー、とっても美味しい
まふゆの母:あら、本当? 実は今日、いつもと味付けを少し変えてみたの。 気に入ってくれて嬉しいわ
まふゆ:……うん、お母さんの料理はどれも美味しいよ
まふゆの母:まあ、ありがとう。まふゆ
まふゆの父:そういえばまふゆ、 志望校はもう決めたのか?
まふゆの父:たしか前に、医者を目指すから 医学部のある学校に進みたいと聞いた気がするが……
まふゆ:…………あ、えっと……
まふゆの母:あ、それなんだけど……ちょうどこの前、まふゆと話したの。 まふゆはね——
まふゆの母:お医者さんになりたいわけじゃないんですって
まふゆ:——え?
まふゆの母:誰かに寄り添えるようなお仕事がしたいみたいだから、 ゆっくり考えましょうって
まふゆの父:ああ、そうだったのか。 誰かに寄り添う、か……まふゆらしいな
まふゆの母:ふふっ、どんな道に進んでも きっとまふゆなら大丈夫ね
???:♪———— ♪————……
第 9 话:一緒に
数日後
体育館
校長:——朝比奈まふゆさん
校長:高等学校関東弓道選抜大会において、 3位という輝かしい成績を収めました。 その努力を称え、ここに賞します
まふゆ:ありがとうございます
クラスメイト達:3位だって、まふゆやっぱりすごいよね……!
クラスメイト達:この前は小論文で賞取ってたし、 成績もトップだし、本当なんでもできるって感じ!
奏:……すごいな……
宮益坂
まふゆ:——ごめんね。私が一緒に帰ろうって誘ったのに、待たせちゃって
奏:ううん。でも先生の用事、大丈夫だった?
まふゆ:うん。今度、学校案内の冊子を新しく刷り直すんだけど……
まふゆ:そこで、今日体育館で撮った写真を使っても 大丈夫かって確認だったんだ
奏:そうなんだ……
奏:……朝比奈さんって、やっぱりすごいよね
まふゆ:え?
奏:弓道部もそうだし、勉強も…… ちゃんと結果を出せてるから
奏:わたしは曲を作ることしかできないから。 本当にすごいな……
まふゆ:そんなことないよ。 宵崎さんの曲は——
まふゆ:……たくさんの人に、あたたかい気持ちを届けられてると思うし
奏:あたたかい、か……
奏:ありがとう。 朝比奈さんには、そんな風に聴こえるんだね
奏:でも……わたしの曲はまだまだなんだ。 全然、お父さんみたいには作れないし
まふゆ:そんなことないと思うけど……
まふゆ:……そうだ。宵崎さんは、曲作り以外で 何かやってみたいことはないの?
奏:やってみたいこと……
奏:……なんだろう……
まふゆ:なんでもいいよ。 興味があることとか
奏:うーん……
奏:あ、吹奏楽は少しだけ興味あるかも
まふゆ:吹奏楽?
奏:うん、合奏とか楽しそうだなって。 そういう機会があると、作れる曲の幅も広がりそうだし
奏:あとは……小論文とかは苦手だけど、 語彙力とか構成能力がつけば、 歌詞を書くのに役立つかも
奏:……あとは、絵を描いてみたいな
まふゆ:ふふっ、それも作曲に役立つから?
奏:うん、絵を見てインスピレーションを受けることがあるから。 自分で描いてみたら、ちょっと違う景色が見えるのかもって
まふゆ:そっか……
まふゆ:——じゃあ、全部やってみようよ
奏:えっ、全部……?
まふゆ:うん。宵崎さんが言うみたいに、 作曲に活かせるかもしれないし
奏:できるかな……。 わたし、あんまり器用じゃないから
まふゆ:それなら付き合うよ。 一緒に挑戦しよう
奏:朝比奈さん……
奏:——うん、やってみたい
奏:えっと……現代社会において、音楽は心を癒やし 幸福な気持ちを与えてくれるため……
まふゆ:……うん。最初の頃より、 すごくスムーズに書けるようになったね
奏:朝比奈さんのおかげで、ちょっと面白くなってきたんだ
奏:作曲と同じで、思いついたところから書いていいんだね。 書いてると、なんだかメロディーが浮かんできたりして——
奏:最近は、先に歌詞が浮かんできたりもするし いろんな作り方ができるようになってきたよ
まふゆ:そうなんだ……。 ふふ、じゃあ次の曲も楽しみにしてるね
奏:……どうしてだろう。なんだか、うまく描けてない気がする……
まふゆ:うーん……。 風景はちゃんと描けてるとは思うんだけど、 確かに少しだけ分かりづらいかもしれないね
奏:やっぱり、そうだよね。 本当は手前の木も入れたかったけど、うまく入らないし……
???:——それなら、一番描きたいものだけ描けばいいんじゃない?
奏:一番、描きたいもの……
絵名:そう、全部描こうとしちゃってるせいで 印象がふわっとしてる感じがするんだよね
絵名:宵崎さんだっけ。 この絵って、何を表現したいの?
奏:あ、えっと……。 大きい木の間から見えてる、湖のキラキラした感じを……
絵名:なるほどね。 じゃあ、水面の波描く時はもっと光を意識するといいよ。 例えば——
奏:わ……すごいね。 少し線を引いただけなのに、際立った感じがある
絵名:別に、これくらい基本だからね
奏:そっか……。 ありがとう、東雲さん
愛莉:ふふっ、絵名ってば楽しそうね
まふゆ:そうだね。……桃井さん、ありがとう。 東雲さんを紹介してもらっちゃって
愛莉:いいのよ。絵名も、こういう機会がなきゃ すぐ引きこもっちゃうんだから
愛莉:……こういう息抜きも、必要だと思うしね
まふゆ:そうなんだ……
音楽室
吹奏楽部部長:——それじゃあ、30分後に音出しを始めます! 今日は体験入部の子もいるので、ゆっくりやりましょう
生徒達:『はーい!』
まふゆ:ふふ。宵崎さん、なんだかそわそわしてるね
奏:あ……うん。ちょっと楽しみで。 ちゃんと音が出るのかは不安だけど
まふゆ:私も初めてだから、一緒に頑張ろう
奏:そうだね、頑張る……!
奏:……朝比奈さん、ありがとう
まふゆ:え?
奏:わたし、朝比奈さんが連れてきてくれなきゃ きっと……ここに来れなかったと思うから
まふゆ:——それなら今日は、思いっきり楽しもうね
奏:うん!
视频:播放视频
第 10 话:泡沫に響くメロディー
朝比奈家 リビング
まふゆの父:まふゆ、なんだか最近楽しそうだな
まふゆ:え、そうかな?
まふゆの父:ああ、表情が活き活きしているように見えるよ。 何かあったのか?
まふゆ:そうだね。最近、友達がみんな楽しそうで……
まふゆ:私も、嬉しいなって思ったんだ
まふゆの父:そうか……。 まふゆは友達思いだな
まふゆの母:ええ。優しい子に育ってくれて お母さんも嬉しいわ
25時
まふゆ:……みんな、楽しそうだったな
まふゆ:…………よかった
翌日
まふゆ:……え、私のために曲を?
奏:うん……
奏:朝比奈さん、わたしのために いろいろしてくれたでしょ?
奏:小論文を教えてくれたり、絵を描くのに付き合ってくれたり。 あと、吹奏楽部のこととか……
奏:だからわたしも……何か朝比奈さんに返したくて
まふゆ:そんな、気にしなくてもいいのに
奏:ううん、わたしがしたかったんだ。 本当に嬉しかったし、楽しかったから
奏:朝比奈さんがよかったら、受け取ってほしいな
まふゆ:そっか……ありがとう
まふゆ:聴いてみてもいいかな
奏:うん、もちろん!
まふゆ:……うん、すごく優しくていい曲だと思う
まふゆ:ありがとう、宵崎さん
奏:……えっと、ごめん
まふゆ:え?
奏:なんとなく、だけど…… 朝比奈さんの好みじゃなかったのかもって
奏:ごめんね。もう1回作ってくるよ。 朝比奈さんに、ちゃんといいなって思ってほしいから
まふゆ:あ……
奏:朝比奈さん……?
まふゆ:ううん、なんでもない。 ……本当にいい曲だと思ったよ
まふゆ:だから——
まふゆ:私のために、曲を作らなくてもいいんだよ
奏:え……
宵崎家 キッチン
奏:…………ただいま
奏の父:おかえり、奏
奏:あれ? お父さん、今日は打ち合わせで出かけるって 言ってなかった?
奏の父:はは、ちょうど今帰ってきたところだったんだ
奏:そうだったんだ。お疲れさま
奏の父:……何か、あったのかい?
奏:え……
奏の父:なんだか少し、元気がないように見えたから
奏:…………
奏:友達に曲を作っていったんだけど、 あんまり気に入ってもらえなかったみたいなんだ
奏:それで……また曲を、って思ったんだけど……
奏:……もう、作らなくてもいいって言われちゃって
奏:わたしの曲が響かなかったのは、しょうがないと思う。 お父さんみたいにみんなを幸せにする曲を作るのは、 まだ、わたしには難しいんだなって思うから
奏:でも、それだけじゃなくて……
奏:…………なんだか、苦しそうで……
奏の父:苦しそう? その子がかい?
奏:うん……
奏:仲良くなったのは最近だから そこまで、その子のことは知らないんだけど……
奏:でも……その顔を見て、なんだか…… このままにしたくないって思ったんだ
奏:その子には、笑っていてほしいって——
奏:……あれ? なんだろう。 前にもこういうこと、あったような……
奏の父:笑っていてほしい、か
奏の父:それが奏の願うことなら—— もうどうしたいのかは、決まっているんじゃないかな
奏:あ……
奏:ありがとう、お父さん
奏:わたし……また作ってみる
奏の父:ああ。奏なら——きっと出来るよ
奏:……この音じゃない
奏:もっと深くて、冷たくて……でも少しだけ光が差すような……
奏:(——どうして、あの時苦しそうに見えたのかはわからない)
奏:(もしかしたら、わたしの勘違いかもしれない)
奏:(だけど……)
奏:(……せめて、ほんの少しだけでも笑顔になってほしい)
奏:(わたしの、曲で————)
???:……————♪
奏:あれ? 今の……
???:この曲じゃ、あの子を迷路から救い出すことはできないでしょうね
奏:え……?
???:この曲は、聴いた人をどこに辿り着かせてくれるの?
奏:わたしの、曲は…………
???:奏の作る歌は、やっぱり優しいね
???:『K。きっと届くよ、この曲』
???:本当に——ずっと作り続けてくれるんだよね
奏:……そっか……
奏:そう、だった
奏:わたしは、ずっとそのために——曲を作ってたんだ
奏:…………この曲が、届くといいな
奏:みんなに——
絵名の部屋
絵名:……っ、違う。もっと暗くて、重くて、 抉られるような感じを出したいのに……!
絵名:これじゃ、全然……
絵名:——描き直さなきゃ
絵名:(これで何回目だろう? もう、覚えてない)
絵名:(でも……とにかく、描かなきゃ)
絵名:(描けなくても、描いて、描いて、描いて——!)
絵名:(————本当に、描けるの……?)
絵名:(もう、この絵がいいのかどうかもわかんない)
絵名:(ただ、描かなきゃってだけで……)
絵名:(誰か————)
メッセージ:『ねえ、Kさんの新曲聴いた?』
絵名:新曲……?
メッセージ:『聴いた聴いた! いつもとちょっと雰囲気違うよね。 なんか暗いっていうか』
メッセージ:『ね。私は前のほうが好きだなあ』
絵名:Kって……あの明るい曲作ってる人だよね
絵名:あんまり好みの感じじゃなかったけど……
絵名:……URL来た。 少しだけなら——
絵名:……今までと、全然違うじゃん
絵名:(胸の奥がぎゅっとなって、苦しくて、あったかくて——)
絵名:(なんだろう、この気持ち……)
絵名:(うまく言えないけど……この気持ちを、 今すぐ表現したい——!)
絵名:——ここは、もっと暗い色を塗り重ねて……
絵名:……違うな。それだとただ沈んだ感じになっちゃう
絵名:もっと光を入れて、影の部分が引き立つように——
絵名:————出来た……
絵名:(……Kって人の、おかげだな)
絵名:……そうだ、せっかく描けたんだし ファンアートで上げよっかな
絵名:(誰かに見てもらえるかは、わかんないけど……)
絵名:……よし、アップできた
絵名:(……でも、なんだろ。 何かが足りないような、胸に穴が空いてるみたいな感じ……)
絵名:(この気持ちって……)
絵名:え、DM? な、なんで……誰から?
【K】:『えななん、ありがとう。 ナイトコードで待ってる』
絵名:……ナイトコード……
絵名:あ、そっか。私——
絵名:——ありがとう、K
絵名:Kは、どこでも——私を見つけてくれるんだね
瑞希の部屋
瑞希:よーし、完成~!
瑞希:うんうん、すっごくカワイイ! これ、初めてとは思えないクオリティじゃない!?
瑞希:誰かに見てほしい……けど、杏はさすがに寝てるよねー。 SNSに上げとこっかな~
瑞希:……それにしても、やっぱゼロからひとりでってなると 結構時間かかっちゃうなあ
瑞希:まあ、趣味で作ってるやつだし。 全然いいんだけど——
瑞希:——次のはどんなデザインにしよっかな~。 ワンピースもいいけど、ちょっと方向性変えてアウターでも……
瑞希:……ん? トレンドの通知?
瑞希:この曲……前に聴いたKさんのか。 ちょっと息抜きに聴いてみよっかな
瑞希:さてさて、今回はどんな——
瑞希:この、曲……
???:『Amiaがわたしの世界を広げてくれたから、 わたしはあの曲を作れたんだと思う』
???:久しぶりに会えて……よかった
???:一緒にいようよ、瑞希
???:ニーゴのみんなも、待ってるよ
瑞希:そっか——
瑞希:そうだったよね
瑞希:みんなと一緒に作るのが—— ボクは、すごく好きだったんだ
瑞希:え、DM? 誰から……
瑞希:……K……
まふゆ:(……いつまで、続くんだろう……)
まふゆの父:誰かに寄り添う、か……まふゆらしいな
まふゆの母:ふふっ、どんな道に進んでも きっとまふゆなら大丈夫ね
まふゆ:(奏から、メッセージが来てる)
まふゆ:(昨日から学校に来てなかったけど…… やっぱり曲、作ってたんだ)
まふゆ:…………っ!
まふゆ:(この曲……)
まふゆ:(どうして——)
???:——まふゆ!
まふゆ:あ……
まふゆ:……奏……?
奏:……はあ、学校に通ってるだけあって ちょっと体力ついてるみたい
奏:走っても、いつもよりも辛くなかったよ
まふゆ:……だから、運動したほうがいいよって言ってる
奏:そうだね。身にしみた
奏:……ねえ、まふゆ。曲、聴いてくれた?
まふゆ:……うん
まふゆ:あたたかいって、思った
奏:……そっか。よかった
奏:——ごめんね。待たせちゃって
まふゆ:奏が悪いわけじゃないでしょ。 それに……
まふゆ:夢の中くらい、他のことをしててもいいのに
奏:うん、それも楽しかったよ
奏:でもやっぱり……まふゆに、曲を作りたかったんだ
まふゆ:……そう
まふゆ:私も……聴けて、よかった
奏:ナイトコードに集まろう。 絵名と瑞希にも声かけてるんだ
まふゆ:そうなんだ……
まふゆ:……わかった
25時
寝室
絵名:『……ていうか、これってどういうこと?』
絵名:『夢? にしては、現実的すぎるよね』
瑞希:『たしかにね。こういうのって、記憶が戻って 夢だ~!って気づいた時に起きるイメージだったんだけど』
まふゆ:『…………』
まふゆ:『……たぶん、そういうきっかけでは覚めないんだと思う』
奏:『え?』
まふゆ:『私は、途中で記憶が戻ったから』
絵名:『記憶が戻ったって……えっ?』
瑞希:『だったら言ってくれればよかったのに! それじゃ、まふゆが……』
まふゆ:『……みんな、楽しそうだったから』
まふゆ:『もう少しこのままでいてもいいんじゃないか、って思ったの』
奏:『まふゆ……』
まふゆ:『でも——』
まふゆ:『25時になっても、みんながいなくて……』
まふゆ:『それが……少し、嫌だった』
奏:『………ごめんね、まふゆ。ひとりにして』
絵名:『もう……! だったらなおさら言いなさいよ!』
瑞希:『まあまあ。けど、今まで集まれなかった分は、 ちゃーんと取り返したいよね』
瑞希:『今日は朝まで作業しちゃう?』
奏:『いいね、やりたいな』
絵名:『……私も。久々にニーゴの絵、描きたいし』
まふゆ:『……うん』
奏の父の声:——奏、まだ起きているのかい?
奏:あ……!
奏:(えっと、ミュートして——)
奏:お父さん、ごめんね。 今日は少し夜ふかしすることになりそう
奏の父:そうか……。 曲作りに熱中するのはいいけれど、ちゃんと休むんだよ
奏:うん、わかった
奏の父:——それじゃあ、お父さんは先に……
奏:あ、お、お父さん。えっと……
奏の父:ん? どうしたんだい?
奏:……あのね、テストの点が良かったら、って話してたけど……
奏:先にお願い、言っていいかな。 勉強、絶対に頑張るから……
奏:久しぶりに——お父さんの曲、聴きたいんだ
奏の父:——じゃあ、頑張る奏への応援歌だな。 ギターを持ってくるよ
奏:……ありがとう、お父さん
第 11 话:それぞれの想いを抱きしめて
???:……なで、奏……!
奏:……ん、お父さ……
???:奏……!
奏:……っ!
リン:よかった、起きた……
リン:奏、体は大丈夫?
奏:……うん……
奏:えっと、わたし……
レン:奏ちゃん、全然起きないから…… 大丈夫かなって、心配してたんだ
奏:そう、だったんだ
奏:……みんな、心配させちゃってごめん
まふゆ:……奏、大丈夫?
奏:うん、大丈夫
奏:……ちょっと、夢を見てたみたいなんだ
瑞希:ねえ、奏。眠ってる間に見た夢……覚えてる?
瑞希:さっき絵名達と話してたら、おんなじ夢を見てたみたいでさ
奏:同じ……?
絵名:そう。まふゆから聞いた話だと、 奏は宮女に通ってて——
絵名:私達は、奏の曲がきっかけで記憶が戻って…… みんなでナイトコードで集まった夢だったんだ
奏:あ……
奏:——うん、覚えてる
奏:わたしは、夢の中で——
ミク:ニーゴが、なかった夢……
瑞希:そうなんだよ! ボクも学校辞めちゃっててさ
絵名:私も……ずっとひとりで描いてて
絵名:妙に現実味があって、嫌な感じだったな
奏:そう、だったんだ……
まふゆ:……でも、どうしてあんな夢を見たんだろう
KAITO:——おそらく、あの黒い欠片のせいだろうな
まふゆ:欠片……?
KAITO:ああ、お前らが寝ていた時に、考えていたんだ
KAITO:あれは——このセカイにあった想いから生まれた 欠片だったんじゃないか、と
奏:想い……
MEIKO:ええ。苦しみや悲しみ、後悔や現実逃避—— そんな様々な想い
MEIKO:あとは叶うはずのない願い、とかもかしら
ルカ:——けれど、あの想いの欠片は複雑ね
ルカ:きっとお互いの想いが混ざり合って、 複雑な夢を見せていたんだと思うわ
奏:…………
奏:叶うはずのない、願い……
絵名:たしかに、そんな感じの夢だったな。 あんなふうにうまくいくはずないし
瑞希:だね。奏の曲のおかげで記憶が戻って、 ほんと良かったよ
まふゆ:……うん
まふゆ:でも……もう、あの夢はいいかな
奏:まふゆ……
瑞希:……ちょっと心配だよね。 また何かあったらって思うと……
ミク:それなら、多分大丈夫
ミク:だって、あれ——
まふゆ:え……
瑞希:木が、大きくなってる……!
まふゆ:……黒い欠片も、なくなってるね
ミク:この木は、いろいろな想いから生まれて、成長してる
ミク:あの黒い欠片も想いのひとつだから…… それを吸い込んで、成長したのかも
まふゆ:それじゃあ……
レン:た、多分……もう、大丈夫……
KAITO:まあ、もうこんなことが起こらないとは言い切れないがな
奏:——大丈夫
奏:また、こんなことが起こったら
奏:どんな世界でも、過去でも、未来でも——
奏:絶対にみんなを探しに行くよ
絵名:奏……
絵名:うん、奏なら……どこにいても見つけてくれるって信じてる
瑞希:ホント、そう思わせてくれる夢だったもんね
瑞希:……ボクも、信じてるよ。奏
まふゆ:……うん
奏:ありがとう
奏:——これからも、4人で作り続けよう。 わたし達の音楽を
视频:播放视频