活动剧情
ほどけぬ明日に手を伸ばして
活动ID:177
第 1 话:嬉しいニュース
誰もいないセカイ
瑞希:……うんうんっ! 今回のデモも、す〜っごくいいね! こう、音が胸に刺さってくるっていうかさ
絵名:だね。でも、最後はちゃんと寄り添ってくれるみたいで…… 優しい感じがするな
奏:ありがとう
奏:……まふゆは、どうかな
まふゆ:……いいと、思う
奏:そっか……よかった。 じゃあ、この方向で詰めていくよ
瑞希:はーい! よろしく〜♪
瑞希:えへへ、MV作るの楽しみだな~
瑞希:ねえねえ、歌詞とイラストはどんな感じになりそう?
まふゆ:……書いてみないと、わからないけど
まふゆ:さっきのデモの感じだと、 孤独を抱えてるけど……最後には そばにあるぬくもりに気づくような感じになると思う
瑞希:ふむふむ。孤独、か……
絵名:……ちょっとイメージ湧いたかも。 薄暗い世界で、ずっと俯いて 苦しそうにしてる女の子がいるんだけど……
絵名:ラストあたりで顔を上げた時、 月が自分を照らしてたことに気づく——みたいな感じ
瑞希:おお、いいねいいね! 早く作りたくなってきちゃった!
奏:瑞希、すごくやる気だね
瑞希:奏の曲のおかげでね♪ ラフが来たら、すぐ絵コンテ作っちゃおっかな~
瑞希:——まふゆも、歌詞ができたら教えてね♪
まふゆ:わかった
絵名:じゃあ、戻って作業しよっか
瑞希:うん! またあとでね
瑞希の部屋
瑞希:——さーて、やりますか!
瑞希:ラフがあがってくるまで時間あるし、 使えそうな素材探しておこうっと
瑞希:(それにしても……)
瑞希:(まふゆ、ちょっと落ち着いたみたいでよかったな)
瑞希:(奏から、まふゆが家に戻ってきたって聞いた時は びっくりしたけど……)
瑞希:(……つらかっただろうな)
瑞希:(今度こそお母さんと、って思って帰ったのに うまくいかなくて……)
瑞希:(でも——)
瑞希:(少なくとも今は——ニーゴで作業してる時は、 ちょっとだけ力が抜けてる気がする)
瑞希:(ボクにできることは、そんなにないかもしれないけど……)
瑞希:(少しでも気がまぎれるように。 なるべく、いつも通りの雰囲気を作れたらいいな)
翌日
瑞希:ん……もうお昼…………?
瑞希:今日はバイト、夕方からだっけ……。 もうちょっと寝ても大丈夫そう——
瑞希の母の声:——瑞希、ちょっといい?
瑞希:お母さん? うん、大丈夫だよ
瑞希の母:あ、もしかして今起きた?
瑞希:えへへ。 なんなら、二度寝しようかなーって思ってたとこ
瑞希の母:もう……寝るのはいいけど、 お昼ご飯くらいちゃんと食べるようにね?
瑞希:はーい! っていうか、どうしたの? 何か用事?
瑞希の母:そうそう、瑞希が喜ぶニュースがあるんだ。 さっきお姉ちゃんから連絡があってね——
瑞希の母:今度、仕事で日本に帰ってくるんだって!
瑞希:え、お姉ちゃんが……!?
瑞希の母:お姉ちゃんのところのブランドが、 シブヤでポップアップストアをやることになったらしいよ
瑞希の母:それで、お客さんの反応を実際に見るためとかで 優希も接客するんだって
瑞希:そうなんだ……! 結構こっちにいれるのかな?
瑞希の母:うん。準備期間もあるし、しばらくは滞在できるみたい
瑞希:やった〜! 一緒に行きたいお店、いっぱいあるんだよね! 誘っちゃおーっと♪
瑞希の母:ふふ。優希も、瑞希の予定聞かなきゃって言ってたから あとで連絡があるんじゃないかな
瑞希の母:……っと、そろそろ仕事の時間だ。 お昼はキッチンにキーマカレーがあるから、温めて食べてね
瑞希:ありがとう! いってらっしゃい、お母さん
瑞希:お姉ちゃん、帰ってくるんだ……!
瑞希:しかも、シブヤでポップアップストアって…… これは絶対行かなくちゃね♪
瑞希:あ、そういえば……
瑞希:(この前、奏とまふゆは紹介できたけど…… 絵名はまだなんだよね)
瑞希:(あの時は、あんまり時間もなかったし……)
瑞希:(……ニーゴのみんなをちゃんと紹介する、いい機会かも)
瑞希:タイミングが合えば、みんなを誘ってみよっと!
第 2 话:進む背中
翌日 昼休み
神山高校
瑞希:ふあ…………
瑞希:(……なんか、学校来るの久しぶりな気がするな〜)
瑞希:(昼からでいいから来いって言われて来たけど……全然眠いや)
瑞希:(お姉ちゃんと回るお店、 遅くまで調べちゃったからなあ)
瑞希:——ん? あそこにいるのって……
冬弥:今日は、かなり蔵書点検が進んだな
寧々:うん。この調子でやれば、今月中に終われるかも
瑞希:草薙さんと……冬弥くんだ! おーい、ふたりとも〜!
寧々:あ……暁山さん
瑞希:やっほー。もしかして、委員会終わり?
寧々:うん。ちょうど当番が一緒だったんだ
冬弥:——久しぶりだな、暁山。 元気そうでよかった
瑞希:冬弥くんもね! アメリカから帰ってきたって聞いてたけど…… ホント、めちゃくちゃ久しぶりな気がするよ!
瑞希:ねえねえ、旅行はどうだった? たしか、音楽イベントを見に行ったんだよね?
冬弥:ああ。世界的なアーティスト達が集まったイベントで…… 本当に、圧倒された
冬弥:おかげで、これから目指す景色がはっきりと見えたんだ
寧々:目指す景色?
冬弥:俺達の夢は、歌で『世界を獲る』ことなんだが…… 今までは、具体的なイメージが伴っていなかった
冬弥:だが、凄まじいステージを前に、 何万という人々が熱狂する姿を 目の当たりにして……実感したんだ
冬弥:『世界を獲る』とは、こういうことなんだと
寧々:……すごいな
寧々:……わたしも、早く世界に行きたい。 今はまだ、実力が足りてないけど……
瑞希:え……けど、草薙さんもめちゃくちゃすごくない? 歌なんて、もうプロみたいに上手いしさ
寧々:ううん、まだ全然だよ。 最近はいろんな劇団回って修行もしてるけど、 足りないものに気づかされてばっかりだし
寧々:今いるアークランドも、本当にレベルが高くて…… 必死で食らいついてるって感じだから
瑞希:ア、アークランド……!? それって、あの東京アークランドだよね!?
冬弥:あそこのショーステージは、国内最高峰と聞くな。 草薙達は、そんなところで修行をしているのか
寧々:うん。えむのお兄さん達の紹介で、 ワークショップに参加させてもらってるんだ
瑞希:そうなんだ……!
瑞希:ワークショップかあ……全然想像つかないけど、 すごい人がいっぱいいそうだね
寧々:そうだね。講師も世界的に有名な人だし、 圧倒されることばっかりだけど……
寧々:——でも、全部吸収したいんだ。 この経験も、絶対、夢に繋がるって思うから
瑞希:(夢かぁ……)
冬弥:……そうか
冬弥:草薙も、夢のために進んでいるんだな。 目指す道は違うが、お互い頑張ろう
寧々:そうだね
瑞希:あはは、なんか眩しいなあ
寧々:眩しい?
瑞希:夢とかやりたいこととか、 はっきり決まっててすごいな〜って!
瑞希:それに夢のこと話してるときのふたりの顔、 すっごくキラキラしてたからさ♪
寧々:え……そ、そう……?
瑞希:うん! ——ふたりとも、頑張ってね。ボクも応援してるよ!
冬弥:ああ、ありがとう
寧々:あ、チャイム……
冬弥:もうそんな時間か。 そろそろ教室に戻ったほうがよさそうだな
冬弥:そうだ。暁山にもアメリカのお土産を買っているんだ。 あとで受け取ってもらえると嬉しい
瑞希:お土産!? やったー!
瑞希:ありがと、冬弥くん! めちゃくちゃ楽しみだよ♪
寧々:それじゃあふたりとも、またね
瑞希:うん、ばいばーい!
第 3 话:みんなみたいには
瑞希の部屋
瑞希の声:ただいま〜
瑞希:はあ……疲れた〜
瑞希:(ま、小テストもちゃんと受けたし これでしばらくは大丈夫かな)
瑞希:(放課後は、杏と弟くんにも久しぶりに会えたし…… 今日は顔出した甲斐があったかも)
瑞希:ん〜、晩ごはんまではまだ時間あるし ちょっと作業しようかな
瑞希:昨日、絵名があげてくれてたラフ確認して——
瑞希:って、あれ? 絵名、ログインしてるじゃん
瑞希:『やっほー。お疲れ、えななん! 作業してたんだね』
絵名:『あ……Amia、お疲れ。 絵画教室の課題終わって、ちょっと時間できたから ラフのパターン出してたとこ』
絵名:『Amiaは何してたの?』
瑞希:『ふっふっふ。 なんと今日は、学校行ってたんだ! 偉いでしょ♪』
絵名:『偉いって……どうせ、いつも通りお昼からでしょ』
瑞希:『あはは、バレてる〜』
瑞希:『そういえば、学校で弟くん達に会ったんだけどさ、 アメリカ行ってた分の補習が大変だってぼやいてたよ』
絵名:『まあ、そういう約束だったんだし、仕方ないでしょ』
絵名:『でも、帰ってきてからまた練習に力入ってるみたいだし…… いい刺激になったんじゃない?』
瑞希:『へえ……』
瑞希:(いい刺激に、かあ……)
瑞希:(それって——)
冬弥:だが、凄まじいステージを前に、 何万という人々が熱狂する姿を 目の当たりにして……実感したんだ
冬弥:『世界を獲る』とは、こういうことなんだと
寧々:——でも、全部吸収したいんだ。 この経験も、絶対、夢に繋がるって思うから
瑞希:(……弟くんも、ふたりみたいに 夢に向かって頑張ってるってことなんだろうな)
瑞希:『……みんな、すごいなあ』
絵名:『え?』
瑞希:『弟くん達もそうだけど みんな“これだ!”ってものに、一直線に走ってる感じがして』
瑞希:『ほら、えななんも! 美大に行くって決めて、 絵画教室とかめちゃくちゃ頑張ってるじゃん?』
絵名:『何、急に。 褒めても何も出ないけど』
瑞希:『いやいや、本当にそう思っただけだって!』
瑞希:『ボクは夢とか将来やりたいこととか、 あんまりないな~って感じだし』
絵名:『ふーん……そうなんだ』
絵名:『まあ、別にいいんじゃない? 特になくても』
瑞希:『え〜、ちょっと適当すぎない?』
絵名:『そんなんじゃないってば。 今やりたいことがわかんなくても、そのうち見つかるでしょ』
絵名:『Amiaだったら、やろうと思えば なんでもできると思うしね』
瑞希:『え?』
絵名:『器用だし、センスもいいし…… どんなことでも上手くできそうっていうか』
瑞希:『ふ~ん♪ えななん、ボクのことそんな風に思ってくれてるんだ?』
絵名:『うわ……なんかウザ。 さっきの、やっぱなし』
瑞希:『え〜!?』
絵名:『あ……そろそろ学校行かなきゃ。 また夜にね』
瑞希:『はーい! いってらっしゃい!』
絵名:『今やりたいことがわかんなくても、そのうち見つかるでしょ』
瑞希:…………
瑞希:そのうち見つかる、か……
瑞希:どうなんだろ。そもそも、夢とかそういうの 今まで考えたことなかったしなあ
瑞希:ずっと、今が楽しければそれでいいって思ってたし……
瑞希:(やりたいこと、か……)
瑞希:(好きなことだったら、いっぱいあるんだけどなあ)
瑞希:(アニメ見たり、服のアレンジしたり…… ニーゴで動画作るのだって好きだし)
瑞希:(それが絵名達みたいに “絶対にこれだ!”って思えるものかって言われると…… わかんないけど)
瑞希:(あ、でも……なんとなくだけど)
瑞希:(こうなれたらって思うものなら——)
瑞希:(ん〜。でもこれは みんなの言う夢とかとは、全然違うもんね)
瑞希:夢、か……
瑞希:……あんまり想像つかないや
第 4 话:夢のきっかけ
空港
瑞希:おーい、こっちこっち!
瑞希の姉:——瑞希! 迎えに来てくれてありがとう、助かるよ
瑞希:どういたしまして! いやー、やっぱり荷物多いね~。来てよかったよ
瑞希の姉:うっ……! これでも頑張って少なくしたんだよ?
瑞希:えー、ひとりでカバン4つも持って?
通行人A:——ねえ、あっちの人達すごくない?
通行人B:本当だ。 ああいう派手な色のシャツとか、私だったら着こなせないな〜
通行人A:でも、なんか憧れるよね。 ああいうのオシャレに着れちゃう人
瑞希:(あれって……!)
瑞希:もしかして、あそこにいるのがお姉ちゃんの職場の人達?
瑞希の姉:そうだよ。 みんなも瑞希に挨拶したいって言ってたから、あとで紹介するね
瑞希:本当? えへへ、楽しみだな……!
瑞希:(……みんな、すっごくオシャレで見惚れちゃうなあ)
瑞希:(服もアクセサリーも個性的で…… さすが、世界で活躍するデザイナーさん達って感じ!)
瑞希:(……でも、なんだろ。 キラキラして見えるのは、それだけじゃないような——)
???:——もしかして、あなたが瑞希さん!?
瑞希:えっ?
???:うわあ、やっぱり優希と雰囲気似てるね! 会えて嬉しいよ~!
瑞希:え、えーっと……?
瑞希の姉:ちょっと、里奈。 瑞希がびっくりしてるじゃん
里奈:ごめんごめん! 待ちきれなくてさあ
瑞希の姉:もう……。瑞希、紹介するね。 この子は、一緒にデザイナーやってる里奈
里奈:はじめまして! 優希がいつもあなたのこと 『すっごくカワイイんだ〜』って自慢するから、 ずっと会ってみたかったんだ
里奈:ファッションセンスもすっごくいいって聞いてたけど…… 話の通りって感じ!
里奈:その服、すっごく似合ってるね!
瑞希:えへへ、めちゃくちゃ嬉しいです! 今日は張り切って、お気に入りの服で来たので♪
瑞希:里奈さんの服、すごくカッコイイですね……! もしかして、自分でデザインされたんですか?
里奈:うん! うちのブランドの系統とはちょっと違うけど 自分が着るなら、こういうモード系のほうが好きでさ
里奈:やっぱり、自分が一番好きな服を着てたいからね!
瑞希の姉:うちのデザイナー達は、みんなそんな感じだよね。 好きな系統も、それぞれ違うし
瑞希:あ……
瑞希:(……そっか)
瑞希:(あの人達はみんな、自分の『好き』を大事にしてるんだ)
瑞希:(……だから、あんなにキラキラして見えるのかな)
瑞希:(なんか……すごく、カッコイイ!)
里奈:——あ。そういえば瑞希さん、聞いてる?
里奈:今回のポップアップストアでは、 優希のデザインした服も販売されるんだよ
瑞希:えっ!? お姉ちゃんの服も出るの?
瑞希:もう、なんで教えてくれなかったのさ〜!
瑞希の姉:あはは、瑞希をびっくりさせたくって。 予定が合えば見に来てよ!
瑞希:当たり前じゃん! 絶対行くよ!
瑞希:えへへ。 ますます楽しみになっちゃったな〜♪
数時間後
瑞希の部屋
瑞希の姉:は〜、やっと荷物の整理終わった〜
瑞希:お疲れさま。思ったより早かったね
瑞希の姉:瑞希が手伝ってくれたおかげだよ。 本当にありがとね
瑞希の姉:あ、そうだ。 瑞希に渡したいもの、いろいろあるんだ。えーっと……
瑞希の姉:はい、向こうのスナック菓子詰め合わせ! フルーツキャンディは、種類も多いし友達と食べてよ
瑞希の姉:あとは……このクッキー! 缶が可愛くて、つい買っちゃったんだよね。 瑞希が好きそうだなって
瑞希:本当だ! 宝石みたいなキラキラがいっぱいで、カワイイ……!
瑞希の姉:お父さん達には、こっちの置き物もあげようと思ってるんだ。 見てよこの猫。かわいくない?
瑞希:あはは、何この変なポーズ! 逆立ち?
瑞希:そういえばお父さん達、 お姉ちゃんが帰ってくるって聞いてすっごい喜んでたよ。 『優希の凱旋帰国だ〜』って!
瑞希の姉:えー、大袈裟だなあ
瑞希:でも、実際すごいじゃん! 自分のデザインした服が、お店に並ぶんでしょ?
瑞希の姉:それはそうだけど…… 私なんて、全然まだまだだよ。だって——
瑞希の姉:いずれは自分の店を持って、日本でも展開するのが夢だからね。 もっともっと、デザイナーとして成長していかなくちゃ!
瑞希:夢……
瑞希の姉:瑞希、どうかした?
瑞希:あ、ううん。大したことじゃないよ。 ただ——
瑞希:最近、みんなすごいなって思うことが多くてさ
瑞希の姉:すごい?
瑞希:うん。 ボクの周りの子達の話なんだけど——
瑞希:夢に向かって、いろんな場所で修行したり、 世界を獲る!って歌を練習してたり ……ずっと、まっすぐ絵と向き合ってたり
瑞希:お姉ちゃんも、ずっとそうだったなって。 叶えたい夢をちゃんと持って、頑張ってるでしょ?
瑞希:だから、すごいな~って思ってさ。 ボクはそういうの、全然ないから
瑞希の姉:……そっか
瑞希:……ねえ、お姉ちゃん
瑞希:お姉ちゃんは、なんでデザイナーになろうって決めたの?
瑞希の姉:え?
瑞希:ボクがきっかけで、自分の作った服で 誰かを喜ばせたいって思うようになったのは、 前に聞いたけど……
瑞希:どうして、それが夢になったの?
瑞希の姉:うーん、そうだな……
瑞希の姉:自分にとっての、一番幸せな瞬間がわかったから……かな
瑞希:幸せな瞬間?
瑞希の姉:うん。私の場合、最初からこれを夢にしようって はっきり思ったわけじゃないんだ。ただ……
瑞希の姉:自分の作った服が、誰かの背中を押したって感じた時 ——たまらない気持ちになったんだ
瑞希の姉:ああ、これは……すごく幸せなことだなって
瑞希の姉:……それが、理由かもしれないな
瑞希:……そっか
瑞希:——素敵な理由だね
瑞希:(お姉ちゃんの感じた幸せな瞬間がどんなものなのか、 ボクにはわからないけど……)
瑞希:(きっと——すごく、特別な瞬間だったんだろうな)
瑞希:(こうやって、絶対叶えたい夢になるくらい)
瑞希:…………
瑞希:本当に……
瑞希:みんな、すごいな
第 5 话:抱く憧れ
翌日
誰もいないセカイ 湖
瑞希:さーてと。 ミク達、どこにいるかな……
瑞希:(お姉ちゃんのお土産、喜んでくれたらいいな)
瑞希:(結構珍しいお菓子とかあるし こういうのだったら、 カイトとかも興味持ってくれるかも?)
瑞希:——そうだ! ポップアップストア、ミク達も誘っちゃおうかな
瑞希:お姉ちゃんがデザインした服、みんなにも見せたいし——
瑞希の姉:自分の作った服が、誰かの背中を押したって感じた時 ——たまらない気持ちになったんだ
瑞希の姉:ああ、これは……すごく幸せなことだなって
瑞希:…………
瑞希:(たまらない気持ち、か)
瑞希:(ボクだったら……)
???:——瑞希ちゃん?
瑞希:あ……レン、ここにいたんだね! ちょうどみんなのこと探してたんだ
レン:そうだったんだ……
レン:えっと……大丈夫?
瑞希:え?
レン:なんだか、ぼーっとしてたから……。 何か、あったのかなって
瑞希:あはは、心配してくれてありがと!
瑞希:でも、全然大したことじゃないよ。 ちょっと考え事してただけだからさ
レン:そうなの……?
瑞希:うん。……なんとなく、ボクってこれから どうするんだろうな~って考えててさ
レン:これから?
瑞希:ほら、夢とか将来とか、そういうやつ! たとえば……
瑞希:歌で世界を獲る!とか、 世界で活躍するミュージカル俳優になる!とか
レン:世界……なんだか、すごいね
レン:瑞希ちゃんにも、そういうのあるの?
瑞希:いや~。ボクは、 そこまではっきりした夢みたいなのはないんだよね
瑞希:なんとなーく、こうなれたら いいかもっていうのはあるんだけど……
レン:こうなれたら……
レン:えっと……瑞希ちゃんの話、聞いてもいい?
瑞希:え? あー……。 あんまり、うまくは言えないんだけど……
瑞希:何かを好きだ、とか こういう自分でいたい、みたいな?
瑞希:そういう……誰かの想いを、 守れる人になりたいなって。ちょっとだけ思うんだ
レン:誰かの想い……
瑞希:うん。 ……ちょっと考えてたんだ
瑞希:ボクはずっと、ボクのままでいたいって思ってて——
瑞希:でも、そうすると息苦しいなってことも ……今までたくさんあってさ
瑞希:なら、もう自分の気持ちとか全部、 捨てちゃったほうが楽なのかな?なんて思ったり
レン:瑞希ちゃん……
瑞希:でも……
瑞希:お姉ちゃんとか、ニーゴのみんなは そのままのボクでいいって、言ってくれたんだ
瑞希:だから、ちょっとずつ そうなのかなって思えるようになって、それで——
瑞希:ボクは今、ボクのままでいられてる
瑞希:それが……すごく嬉しいんだよね
レン:……そっか
レン:瑞希ちゃんは、 みんなに大事な想いを守ってもらったんだね
瑞希:……うん
瑞希:だから次は、ボクがそうなれたらいいなって思うんだ
瑞希:みんなみたいに、誰かの想いを守れるような—— そんな人になれたらって
レン:……素敵な想いだね
瑞希:えへへ、そうかな
瑞希:まあでも、具体的に こういうことがしたい!っていうのは、まだないんだけどね
レン:そっか……
レン:でも、きっと……できると思うな
レン:瑞希ちゃんが、なりたいものになれるように。 ぼくも応援してるね
瑞希:レン……
瑞希:……うん、ありがと
???:——あれ、瑞希とレン?
瑞希:お、絵名じゃん。息抜きにきたの?
絵名:そ。絵画教室の課題が一区切りついたし ちょっと休憩にね
絵名:っていうか、その袋なに? すごい大荷物だけど
瑞希:あ……そうだ! お土産のお裾分けに来たんだった!
レン:お土産……?
絵名:そういえば、お姉さんが帰ってくるって言ってたっけ
瑞希:うん、昨日の朝にね。 お菓子とかいっぱい買ってきてくれたんだ〜
瑞希:ミク達にはあとであげるとして…… フライングでちょっと食べちゃう? せっかく、絵名も来たしね
瑞希:フルーツキャンディに、クッキー……あとは、本場のマカロン! 他にもいっぱいあるよ
瑞希:レンは、どれが食べたい?
レン:え? えっと……
レン:じゃあ、この……棒のチョコがいいな
瑞希:おお、お目が高い!
瑞希:これ、お姉ちゃんおすすめのショコラトリーのやつなんだって。 ——はい、どーぞ!
レン:ありがとう……。 じゃあ、いただきます
レン:……甘くて、おいしいね
瑞希:ふふ、気に入ってくれたみたいでよかった! ボクもクッキー食べちゃおっと♪
絵名:じゃあ、私はマカロンもらおうかな
レン:えへへ……。 みんなで食べると、もっとおいしいね
絵名:瑞希のお姉さん、デザイナーなだけあってセンスいいよね。 包装もかわいいの多いし
絵名:そういえば…… お姉さんのブランドって、『Fleur Libre』ってとこだっけ?
瑞希:うん! なになに、興味ある感じ?
絵名:まあね。この前ちょっとSNS見たけど、 デザインとか結構攻めてておもしろかったし
レン:そうなんだ。どんな感じなのかな……
瑞希:お、気になるなら 今度のポップアップストア、レンも来る?
レン:いいの?
瑞希:とーぜん! もともと、みんなにも声かけるつもりだったしね
瑞希:絵名はもちろん行くでしょ?
絵名:んー、そうだね。 実物がどんな感じなのか気になるし、行こっかな
瑞希:よーし、決まり! 今日の夜、奏とまふゆにも聞いてみようっと♪
レン:……えへへ、楽しみだなあ
第 6 话:ニーゴをご紹介!
数日後
ショッピングモール
瑞希:えーっと……あのお店の先かな! みんなも早く早く〜!
絵名:もう、瑞希ってばはしゃぎすぎでしょ
瑞希:あはは! やっとお姉ちゃんに ニーゴ全員紹介できると思ったら、嬉しくてさあ
瑞希:それに、みんなでお店回るのも楽しみだし!
奏:どんな感じのお店なんだろうね
まふゆ:……あれじゃない? Fleur Libreって書いてる
絵名:へえ……こういう雰囲気なんだ。 ディスプレイも凝ってて、やっぱりオシャレだな
瑞希:うんうん、テンション上がっちゃうなあ……!
奏:あ……あそこにいるの、瑞希のお姉さんじゃないかな
瑞希:本当だ! ちょうど接客してるっぽいね
絵名:じゃあ、しばらくお店の中見ながら待ってる? いろいろ気になるやつあるし
瑞希:そうしよっか! みんなに似合いそうな服、探しちゃおーっと♪
奏:えっと、わたしは大丈夫かな……
瑞希:え~、そんなこと言わずに ちょっと付き合ってよ!
瑞希:ほら、こっちのブラウスとかまふゆに——
瑞希:あ……すみません、ぶつかっちゃって……!
女性客:ああいえ、大丈夫です——
瑞希:(……あれ?)
瑞希:(この人、なんだか——)
瑞希:あ……行っちゃった
絵名:もう、なにやってんの
瑞希:ごめんごめん。 ついテンション上がっちゃって……
瑞希:(……でも)
瑞希:(どうしたんだろう、あの人。 なんだか表情が暗かったけど……)
女性客:…………
女性客:——やっぱり、私がこんなの着てもな
瑞希:え……?
女性客:……帰ろ
瑞希:(今の——)
瑞希の姉:——瑞希、みんな! 待たせちゃってごめんね!
瑞希:あ……お姉ちゃん、お疲れさま!
瑞希の姉:今日は来てくれてありがとう
瑞希の姉:奏ちゃんとまふゆちゃんは、久しぶりだね。 この前会って以来かな
まふゆ:お久しぶりです
瑞希の姉:また会えてよかったよ。 前は、そんなに話せなかったもんね
瑞希の姉:そういえば……あの時のシュシュ、使ってくれてありがとね。 瑞希から、みんなでつけてる写真送られてきたよ
奏:いえ……こちらこそ。 わたし達にまで、ありがとうございました
瑞希の姉:ふふ。みんな、すごく似合ってたよ
瑞希の姉:今日は、サークルのみんなで来てくれてるんだよね。 じゃあ——
絵名:はじめまして。 イラスト担当の、東雲絵名です
瑞希の姉:やっぱり、あなたが絵名ちゃんだったんだね! やっと会えた!
絵名:へっ?
瑞希の姉:瑞希から、みんなの話はよく聞くからさ。 もうひとりはどんな子なんだろうって ずっと思ってたんだよね!
瑞希の姉:会えて嬉しいなあ……! 瑞希がいつもお世話になってます!
絵名:あ、えーっと……こ、こちらこそ……?
瑞希:ちょっとお姉ちゃん。 絵名、めちゃくちゃ戸惑ってるじゃん
瑞希の姉:あ、ごめんね。 いきなりグイグイいっちゃって
瑞希の姉:でも、本当に嬉しくてさ。 いろいろ、話は聞いてたから
瑞希の姉:……瑞希と仲良くしてくれて、ありがとね
絵名:いえ。私も瑞希には、いろいろ助けられてますし
瑞希:な、なんかこの感じ、めちゃくちゃ照れるんだけど……
瑞希の姉:あはは。授業参観っていうか……三者面談みたいな感じ?
瑞希の姉:でも……瑞希の大事な友達に会えて、すごく嬉しいな
里奈の声:優希ー! 話してるとこごめん、在庫確認お願いしてもいい?
瑞希の姉:あ、わかった! それじゃあみんな、ゆっくり見ていってね
奏:はい、ありがとうございます
絵名:……なんか、瑞希のお姉さんって感じだね
???:『——うん。明るくて……すごく、優しそうな人』
瑞希:え、今の声って……
瑞希:みんな、来てくれたんだ!
レン:『うん……。えっと、今、大丈夫だった……?』
瑞希:大丈夫だよ! 周りにお客さんもいないしね
レン:『そっか。よかった……』
レン:『……ここが、瑞希ちゃんのお姉さんのお店なんだね』
リン:『見たことない形の服、たくさんある』
瑞希:あはは、みんな興味津々だねえ
瑞希:よーし、それじゃあミク達も来てくれたことだし じっくり回っていこっか!
レン:『うん……!』
レン:『えっと、お姉さんが作った服も、ここにあるんだよね?』
リン:『そうなんだ……見てみたい』
絵名:たしかにね。あ、でも……
絵名:どの服かって、パッと見てわかるものなのかな。 他のデザイナーさんが作った服と、一緒に置いてあるだろうし
瑞希:うーん、そうだね。 お店も広いし、この中から探すってなるとちょっと大変かも
瑞希:あとでお姉ちゃんに聞いてみて——
瑞希:……あ
まふゆ:瑞希……?
瑞希:(このワンピース……)
絵名:わ……。それ、すごくオシャレじゃん
絵名:ちょっと攻めたデザインだけど、 優しい感じもあって……なんだか、着てみたくなるな
奏:もしかして、これがお姉さんの?
瑞希:……うん。たぶん、そうだと思う
瑞希:デザインはちょっと違うんだけど…… 昔、作ってくれたワンピースに似てる気がするんだ
レン:『そうなんだ……』
瑞希:……すごく、カワイイな
瑞希:ん?
女性客:………………
瑞希:あれ、あそこにいる人って……
女性客:——やっぱり、私がこんなの着てもな
瑞希:(さっきの人だ……!)
瑞希:(もしかして—— このワンピースを見てる……?)
第 7 话:眩しい景色
女性客:…………
リン:『あの人、どうしたんだろう』
レン:『瑞希ちゃんのお姉さんのワンピースが、 気になってるのかな……?』
瑞希:……そうだね。でも——
女性客:——やっぱり、私がこんなの着てもな
瑞希:……もしかしたら、それだけじゃないのかも
ミク:『え?』
瑞希:……あの、すみません!
女性客:え……?
瑞希:もしかして、あっちのワンピース気になってました? すみません、大人数で固まっちゃって
瑞希:すっごくカワイイねって話してたら、 つい盛り上がっちゃって…… ボク達はもう見終わったので、どうぞ!
女性客:あ……だ、大丈夫です!
女性客:私は、ここで見てるだけで十分なので……
瑞希:(この目……なんだか、似てる気がする)
瑞希:(昔のボクに————)
???:——よければこちら、ご試着だけでもしてみませんか?
瑞希:え……
瑞希:お姉ちゃん……
女性客:試着、ですか?
瑞希の姉:突然すみません。 もし、このワンピースに興味を持っていただけたのなら ぜひと思って
女性客:…………いやー。 私が着ても、きっと似合わないですし
瑞希の姉:そんなことないと思いますよ
女性客:うーん、そうですかね。 でも……
瑞希の姉:……これは、すごく個人的な話なんですけど
瑞希の姉:実はこのワンピース、私がデザインしたものなんです。 可愛いものが好きな人に届いたらいいなって思って
瑞希の姉:なので……もし可愛いって思ってもらえたのなら 試着していただくだけでも、とても嬉しいなと
瑞希:(やっぱりあれ……お姉ちゃんがデザインしたやつなんだ)
女性客:可愛いものが、好きな人に……
女性客:……そうなんだ
女性客:…………
女性客:……あの
女性客:一度、着てみてもいいですか……?
瑞希:……!
瑞希の姉:ありがとうございます。 では、試着室にご案内しますね
瑞希:——あのお客さん、試着してくれることになってよかったね
瑞希の姉:そうだね
瑞希の姉:……瑞希、さっきはありがとう
瑞希:え?
瑞希の姉:あのお客さん、前もお店に来てくれたことあるんだ。 でも、ずっと試着をためらってたみたいだったから
瑞希の姉:私達が声をかけたりすると、 逆にプレッシャーになっちゃいそうな感じもあって……
瑞希の姉:こういうきっかけでもないと、 話しかけられなかったと思う
瑞希:そうだったんだ……
瑞希の姉:うん。きっと、いろんな事情があるんだろうけど……
瑞希の姉:……気に入ってくれたらいいな
瑞希:あ……
女性客の声:あ、あの——
瑞希の姉:はい、どうされました?
女性客の声:えっと、その……。 とても可愛いし、特に問題はなかったんですけど……
瑞希の姉:……もしよければ、外の鏡で見てみませんか? 靴もご用意してるので
女性客の声:あ……わかりました
絵名:わ……かわいい……
瑞希の姉:大きな鏡の方にご案内しますね。こちらです
女性客:…………あ……
女性客:……可愛いな……
瑞希の姉:ふふ。とてもお似合いですよ
女性客:そうですかね……
瑞希の姉:ええ、デザインした身としても、 とても嬉しいです
女性客:…………
女性客:……あはは。 なんだか、不思議な気持ちです
瑞希の姉:不思議?
女性客:はい。見慣れなさ過ぎて、 似合ってるかどうかはよくわかんないんですけど
女性客:でも——ずっと、こういうのが着たかったんだなって
女性客:そう思ってた自分に、気づいたっていうか
瑞希の姉:……可愛い服が、お好きなんですか?
女性客:……そう、ですね。ずっと、憧れはありました
女性客:でも……小さい頃からずっと 可愛い系の物って、全然持ってなかったんです
女性客:そういうのが似合うとも思えなかったし…… 周りからのイメージも、 どっちかというとカッコいい子って感じで
女性客:それで……可愛いものが好きって、なかなか言い出せなくて
女性客:……一度だけ勇気を出して、着てみた時があるんです。 こういう、可愛いワンピース
女性客:そしたら友達に、『らしくないね』 『どうしちゃったの?』って言われちゃって
瑞希の姉:……それは、つらいですね
女性客:全然悪気はないって、わかってるんですけどね。 でも、なんか……それで心が折れちゃったっていうか
女性客:それからは……ずっと避けてました。 私なんかが着ても、って
瑞希:(……そっか)
瑞希:(あの目は、そういうことだったんだ)
瑞希:(好きな服を着るのを否定されて、 自分らしくいたいって気持ちに蓋をして……)
瑞希:(それでも——)
女性客:だけど——
女性客:このワンピースは、すごく可愛くて…… 着てみたら、どんな感じなんだろうって、 ずっと頭から離れませんでした
女性客:それで、何回もお店に来てしまって……
瑞希の姉:ありがとうございます。 今日も、お店に来てくださって
女性客:え……?
瑞希の姉:お客様が、そのワンピースを着たところを見られて。 私もすごく嬉しいです
瑞希の姉:——とても、素敵な笑顔が見られたので
女性客:あ……
瑞希の姉:……もし、お客様が『可愛い服を着たい』と思うのであれば
瑞希の姉:その想いを大事にしてほしいなって、私は思います
女性客:想いを……
女性客:…………そう、ですよね
女性客:やっぱり私は、可愛いものが好きで、着たい。 ……その気持ちに、嘘はつきたくないな
女性客:あの……ありがとうございます。 おかげで、大事にしたい気持ちに気づけました
女性客:私は可愛いものが……この服が、すごく好きなんだって
女性客:このワンピース——本当に、可愛いです……!
瑞希の姉:……よくお似合いですよ
瑞希:(…………ああ、そっか)
瑞希の姉:自分の作った服が、誰かの背中を押したって感じた時 ——たまらない気持ちになったんだ
瑞希の姉:ああ、これは……すごく幸せなことだなって
瑞希:(きっと——この瞬間のことなんだ)
絵名:……お姉さん、すごいね
瑞希:……うん
瑞希:本当に——眩しい、な
瑞希:(……ボクも)
瑞希:(ボクもいつか、こんな風にできたら——)
第 8 话:思い描く未来
夜
瑞希の部屋
瑞希:えっと…… 『今日はありがと。またナイトコードでね!』っと
瑞希:よし、送信完了♪ 絵名達、ポップアップストア 結構楽しんでくれてたみたいでよかった!
瑞希:それに——
女性客:あの……ありがとうございます。 おかげで、大事にしたい気持ちに気づけました
女性客:私は可愛いものが……この服が、すごく好きなんだって
女性客:このワンピース——本当に、可愛いです……!
瑞希:(……よかったな)
瑞希:(あの人が、自分の想いを守れて)
瑞希:……本当に、よかった
瑞希の姉の声:——瑞希、今ちょっといい?
瑞希:あ……うん、大丈夫だよ!
瑞希の姉:ごめんね、いきなり。 やっと完成したから、早く渡したくてさ
瑞希:完成?
瑞希の姉:うん。——はいこれ、プレゼント!
瑞希:え……これって、ワンピース?
瑞希の姉:そうそう。 本当は、会った時に渡したいと思ってたんだけど——
瑞希の姉:こっちに帰ってから最後の調整してたから、 渡すのが遅くなっちゃってね
瑞希:そうだったんだ……。 ありがとう、めちゃくちゃ嬉しいよ!
瑞希:……あれ? このワンピース、今日お店で見たのとちょっと似てるような……
瑞希の姉:ふふ、わかった? 実は、あのワンピースをベースに ちょっとアレンジしてみたんだ。 瑞希、こっちの方が好みかなって
瑞希:あ……
瑞希:うん、すっごくボク好み!
瑞希:——ねえ。これ、今着てもいい? やっぱり、お姉ちゃんに一番に見てもらいたいしさ!
瑞希の姉:もちろん! 私も、早く見たいな
瑞希:えへへ。じゃあ、ちょっと待っててね!
数分後
瑞希:すっ…………
瑞希:……っごくカワイイ〜!!
瑞希:サイドのリボン、アクセントになってていいなあ♪ 裾の細かいフリルも、めちゃくちゃカワイイ……!
瑞希:やっぱり、お姉ちゃんの作る服が世界一だね!
瑞希の姉:ありがと! 私にとっては、それを着た瑞希が世界一だけどね
瑞希:本当に、カワイイな……
瑞希:(……やっぱりお姉ちゃんの服って、 背中を押してくれる感じがする)
瑞希:(ボクのままでいていいんだよ、って)
瑞希:(……あのお客さんも、きっとそうだったんだろうな)
瑞希:……ねえ、お姉ちゃん
瑞希の姉:ん?
瑞希:本当に、ありがとう
瑞希:このワンピースもそうだけど、それだけじゃなくてさ
瑞希:この前、ちょっと話したと思うけど……
瑞希:ボク、夢とかそういうのが、よくわからなかったんだよね
瑞希の姉:……うん
瑞希:でも——
瑞希:お姉ちゃんのおかげで 今日、ちょっとだけわかった気がするんだ
瑞希の姉:そうなんだ……聞いてもいい?
瑞希:自分らしくいたいとか、何が好きとか…… そういう気持ちを守るのって、 すごく難しいことだなって思うんだ
瑞希:ボクも、あのお客さんもだし……同じように 苦しい気持ちを抱えてる人って、いっぱいいるんじゃないかなって
瑞希:だからボクは—— そういう人達の、力になりたい
瑞希:家族とか、サークルのみんなとか…… いろんな人が、ボクを支えてくれたみたいに
瑞希の姉:……すごく、瑞希らしいね
瑞希:えへへ、ありがと!
瑞希:まあ、ここまではなんとなーく考えてたんだけど…… 具体的なことは、全然想像つかなかったんだよね
瑞希:でも……今日、お姉ちゃんのお店に行って、思ったんだ
瑞希:——服には、そういう力があるんじゃないかって
瑞希:お姉ちゃんの服を着たお客さんが、すごく幸せそうだったから
瑞希:だからボクも、そんな服を作れたらって——。 そういう道もあるのかもしれないなって、思ったんだ
瑞希の姉:瑞希……
瑞希:……そんな風に、誰かの力になれたらって思えたのも 服ならそれができるのかもって思えたのも。 お姉ちゃん達のおかげなんだ
瑞希:だから——
瑞希:ずっと……本当に、ありがとう
瑞希の姉:……どういたしまして
瑞希の姉:瑞希が選ぶ未来を、私も応援してるよ
瑞希の姉:——頑張れ、瑞希!
瑞希:うん。……ありがとう!
瑞希:(……まだ、はっきり見えたわけじゃない)
瑞希:(それでも——)
瑞希:(ボクは、ボクのまま——)
瑞希:(みんながくれた今を大切にしながら、歩いていけたらいいな)