活动剧情
君と歌う、桜舞う世界で
活动ID:18
第 1 话:うまくなりたくて
シブヤの公園
一歌:草薙さん、今日もよろしくお願いします
寧々:あ、うん。よろしく、星乃さん
寧々:じゃあ……今日も声出しからやろっか
一歌:うん。それじゃあ——
一歌:————! ————……
一歌:……なんだろ。うまく言えないけど こうじゃない気がする……
寧々:えっと……力が入りすぎちゃってるかも
寧々:喉が締まらないように、 もっとお腹を使ったほうがいいと思う
一歌:お腹を使って……それじゃあ……
一歌:————♪ ————♪
寧々:あ、うん。そんな感じ。 さっきよりもいい声になってる
一歌:そっか、この感じか……
一歌:ありがとう、草薙さん。 おかげでコツが掴めた気がするよ
一歌:……でも、やっぱり何か足りない気がする
一歌:本気で歌ってるのに、どうしてだろう
寧々:…………
寧々:星乃さんに足りないのは、多分、自信なんじゃないかな
一歌:自信……?
寧々:うん。 初めて星乃さんの歌を聴いた時、 なんとなく、迷いながら歌ってるように聴こえた
寧々:それに今も、どこか自分の歌を信じきれなくて、 不安に思いながら歌ってるような感じがする
一歌:自分の歌を信じきれなくて……。 たしかに、そうかも……
寧々:……うん。わたしも同じだったから、わかるんだ
一歌:え、同じって……?
寧々:昔、舞台の本番で失敗しちゃって……。 それから、ずっと自分に自信が持てなかったんだ
寧々:その時は、歌っても歌っても、何かが足りないって思ってた。 多分、今の星乃さんと同じ感覚だと思う
一歌:そうだったんだ……
一歌:ねえ、草薙さんはどうやってそれを克服したか、聞いてもいい?
寧々:わたしは——
寧々:歌を楽しむ気持ちを思い出して、克服できたよ
一歌:歌を楽しむ気持ち……
寧々:うん。ちゃんと自信を取り戻せたのかって言われると、 わからないけど……
寧々:でも、自分の歌に『何か足りない』って 思うことはなくなったかな
一歌:そうなんだ……
寧々:でも、あんまり難しく考えすぎなくていいんじゃないかな。 考えすぎると、逆に歌えなくなるから
寧々:それより、星乃さんが『歌ってて楽しい』って 思える瞬間を見つけていくほうがいいような気がする
一歌:……うん。わかった。 ありがとう、草薙さん
寧々:じゃあ、もう1回頭からやってみる?
一歌:うん、お願いします!
レッスンスタジオ
穂波:それじゃあ、いくよ。 ワン、ツー、スリー、フォー……
一歌:————♪ ————♪
一歌:……ふぅ
咲希:いっちゃーん! 今日の歌、すっごくいいねー!
一歌:えっ、そうかな……
穂波:うん、ドラムを叩いてても感じたよ。 声が跳ねてるっていうか……うまく言えないんだけど 演奏しててすごく気持ちよかった
一歌:ありがとう。草薙さんのおかげかな
穂波:そういえば、教えてもらってるって言ってたね
一歌:うん、このあいだも遅くまでつきあってもらってたんだ
咲希:そうだったんだ~。 いっちゃんの努力が、歌につながったんだね!
咲希:ね、しほちゃん!
志歩:うん、そうだね。 私も演奏してて、気持ちよかった
一歌:……! ありがとう……!
一歌:(こう言ってもらえると嬉しいな。 勇気を出して、草薙さんに頼んでよかった)
一歌:(でも……)
志歩:私も、あの人達みたいに 誰かの心を動かせる演奏をしたい
志歩:だから、もっとうまくなって…… プロになって、いろいろな人に 聴いてもらいたいって思ってる
志歩:私の演奏で誰かの心を揺さぶれたら……って
一歌:(……私はまだ、そこまでの歌を歌えてない)
一歌:(もっとうまくなって、志歩と一緒に—— みんなと一緒に、いい演奏をしたい)
一歌:(でも……)
一歌:(これ以上うまくなるには、どうしたらいいんだろう……)
第 2 话:ひとりぼっちの路上
翌日
教室のセカイ
一歌:それじゃあ、私はもうちょっと残ってミクと練習していくね
ミク:みんな、お疲れさま
咲希:うん! いっちゃん、ミクちゃん、お疲れさまー!
穂波:一歌ちゃん、あまり無理はしないようにね
志歩:じゃあ、また学校で
一歌:うん、バイバイ
一歌:ごめんね、ミク。つきあわせちゃって
ミク:ううん。気にしなくていいよ。 何か話したいことがあるんでしょ?
一歌:……うん
ミク:どうしたの? 話してみてよ
一歌:…………
一歌:……ねぇ、ミク。 自信って、どうやったらつくのかな
ミク:自信?
一歌:うん。 最近、歌を教えてもらってるおかげで、 自分でもわかるくらいうまくなれたんだ
ミク:そうだね、私も前より上達してると思うよ
一歌:ありがとう。 でも……まだ何かが足りない感覚があるんだ
一歌:自信が足りないからじゃないか、って言われたんだけど、 どうやって自信をつければいいのかわからなくて……
一歌:だから……ミクに教えてほしいの
一歌:今の私には、とにかく練習するって方法しか思いつかなくて
ミク:そうだね……。 一歌は、練習は十分頑張ってると思うよ
ミク:それでも何かが足りないと思うなら、 人前で歌ってみるのもいいかもね
一歌:人前で……?
ミク:うん
ミク:たくさん練習して、これで大丈夫!って思っても、 本番になったら緊張でできなくなっちゃうこともあるし
ミク:だから、人前で歌えるようになったら 自然と自信もついてくるんじゃないかな
一歌:……そういえば、練習以外で誰かに歌を 聴いてもらったことってなかったな
一歌:でも、人前で歌うっていうと……どこだろう。 文化祭はかなり先だし——
ミク:それなら、路上ライブはどうかな?
一歌:えっ?
ミク:知らない人の前で歌いきれたら、 自信がつきそうじゃない?
一歌:たしかに、センター街とかで歌ってる人を見るけど……
一歌:……でも、私にできるかな……
ミク:一歌なら、きっとできるよ
一歌:ミク……
一歌:……うん。 ちょっと緊張するけど、やってみるよ
一歌:ありがとう、ミク。 相談に乗ってくれて
ミク:ふふ、どういたしまして。 応援してるよ
翌日
センター街
一歌:……この辺りでいいかな
一歌:いつも誰か歌ってる人がいるけど…… 今日は、誰もいないな
一歌:(どうしよう、緊張してきた……)
一歌:(でも、大丈夫……。 いつも練習してるし、草薙さんにも教えてもらったし)
一歌:(ミクにも応援してもらったから)
一歌:(よし、自信を持って……)
一歌:…………
一歌:♪……、…………
一歌:……え?
一歌:(あ、あれ……。 おかしいな、もう1回、深呼吸して——)
一歌:♪——……
一歌:♪……
一歌:(声が、出ない……!)
一歌:(いつもなら、もっと声が出るのに……。 どうして——)
女子高生:えー、その話マジー? 超ウケるんだけどー
男子学生:アハハ、それでさー、先生がマジで怒ってさー
一歌:……!
一歌:(そっか、ここで歌ったらこの人達に歌を聴かれるんだ)
一歌:(……変な目で見られたらどうしよう。笑われたら……)
一歌:♪…………
一歌:(どうしよう、ギターを弾くのも怖くなってきた……。 でも——)
一歌:♪……
一歌:(うまくならなきゃ、歌い続けなきゃ……)
一歌:(でも……)
一歌:♪…………
女性A:ねえ、この前ランチ食べたお店覚えてる?
女性B:覚えてる覚えてる! あそこのランチ美味しかったねー。 また食べに行こうよ!
一歌:♪…………
男性:いや~、すみません折り返してもらっちゃって! あ、はい! その件の電話です!
男性:あ、本当ですか! ありがとうございます! これからもよろしくお願いいたします!
一歌:♪……
一歌:(笑われるどころか……誰も聴いてくれない……)
一歌:(……誰も聴いてないのに、歌っても……)
一歌:…………
一歌:……今日はもう、やめよう
第 3 话:私達の夢
スクランブル交差点
一歌:……はぁ
一歌:(結局、1曲も歌いきれなかった)
一歌:(ああいう場所で堂々と歌える人って、すごいな)
一歌:(……志歩はああいう風に、 知らない人の前で演奏したことが、たくさんあるんだよね)
一歌:(草薙さんとの練習でうまくなれたと思ってたけど……。 志歩から見れば、私なんて本当にまだまだなんだろうな……)
一歌:(もっとうまくならないといけないけど、このままじゃ……)
一歌:……あれ?
???:————♪ ——♪
一歌:これ……ミクの歌だ
一歌:かわいくて、綺麗な声……。 一体、どんな人が歌ってるんだろう……
こはね:——♪ ————♪
一歌:えっ……? あそこにいるのってもしかして……小豆沢さん?
一歌:(小豆沢さんってたしか、志歩と同じクラスの……。 大人しそうな子のイメージがあったけど……)
こはね:————♪ ——♪
一歌:(……知らない人がたくさんとおってる中で、堂々と歌ってる)
一歌:(自分の歌に自信を持って、まっすぐ歌ってるのがわかる)
一歌:(それに——)
通行人A:あの子、めちゃくちゃ歌うまいな
通行人B:最近よくこの辺りで歌ってるよね。 イベントとかも出てるらしいよ
通行人A:へー、今度見てみようかな
一歌:(とおりがかった人が、足を止めて小豆沢さんの歌を聴いてる。 小豆沢さんの歌が、みんなの心を掴んでるんだ)
一歌:……すごいな
こはね:……ふぅ
こはね:えっと、皆さん! 聴いてくれてありがとうございました!
通行人A:いい歌だったよ! またここで歌ってね!
こはね:はい! それじゃあ、今日はここで——
一歌:あ……あの、小豆沢さん!
こはね:えっ? あっ、えっと、星乃さん……? 志歩ちゃんのお友達の……
一歌:うん、いきなり声かけちゃってごめん
一歌:小豆沢さん……すごく歌うまいね。 びっくりしたよ
こはね:ありがとう。 えへへ、なんだかちょっと恥ずかしいな
一歌:そんなことないよ。 すごく堂々としてたし……いつもここで歌ってるの?
こはね:うん、でもまだ始めたばっかりだから いつもってほどじゃないかも
一歌:えっ、そうなの?
こはね:うん。いつもはグループで歌ってるんだけど、 そのなかでも私が一番経験が少なくて……
こはね:他の子は、何年も音楽やってたり ずっとイベントに参加したりしてて、 歌やパフォーマンスがうまいんだ
こはね:その友達に早く追いつきたいから、 今はひとりでイベントに参加したり、ここで歌ったりしてるの
一歌:へえ……
一歌:……すごいね、小豆沢さん。 ひとりでそんなに頑張れるなんて
こはね:えへへ……。 叶えたい夢があるから
一歌:夢?
こはね:うん。 今歌ってる友達と一緒に、いつか大きなイベントをやりたいの
こはね:見てる人みんなが……ううん、そこにいる人みんなが ドキドキするような、そんなイベントを開きたい
こはね:今はまだ、みんなに追いつくのが精一杯だけど……。 でも、いつか絶対に叶えたいんだ!
一歌:そうなんだ……
こはね:そういえば、 星乃さんも、志歩ちゃんと一緒にバンドやってるんだよね?
一歌:うん、私はまだまだだけど……。 志歩は小学生の頃からベースやってるから、すごくうまいんだ
一歌:音楽にすごく真剣で、プロになるのが夢だって言ってた
こはね:プロ……。すごいね。 星乃さんもプロを目指してるの?
一歌:ううん、私はプロになんてなれないよ。 すごい人がいっぱいいるしね
一歌:でも……志歩の夢の力になりたいんだ
こはね:志歩ちゃんの?
一歌:うん。私がプロになるのは無理でも、 志歩が目指す場所に近い演奏ができたら、って思ってる
一歌:いつも教えてもらうばっかりで、 志歩の練習時間を削っちゃってるし……
一歌:だから、もっとうまくなって、 志歩が思う存分、演奏できるようにしたいんだ
こはね:そうなんだ……! 星乃さんの夢も、すごく素敵だと思うな
一歌:夢っていうほど、大したものじゃないよ。 でも、叶えられたらいいなって思う
一歌:……だけど……
こはね:……どうしたの? 星乃さん、何かあったの?
一歌:実は、もっとうまくなるためには 自信をつけないといけないと思って、 初めて路上ライブをしてみたんだけど……
一歌:でも、全然歌えなかった
こはね:あ……
一歌:私の歌が変だったらどうしようって思ったら怖くて、 声が出なくて……
一歌:結局、1曲も歌えずにやめちゃったんだ
こはね:そうだったんだ……
こはね:じゃあ——私と一緒だね
一歌:えっ?
こはね:私、最初は緊張して失敗したり、機材トラブルがあったりして、 全然うまく歌えなかったんだ
こはね:でもね、その時、一緒に歌ってる子が言ってくれたんだ。 『こはねのことを信じて歌う』って
こはね:だから、その子の気持ちに応えられるように、 早く追いつくために練習してるんだ
こはね:きっと志歩ちゃんも、星乃さんのことを信じてるから、 教えてくれるんじゃないかな
一歌:あ……
志歩:謝るくらいなら、練習しよう
志歩:……私も、みんなとうまくなりたいから
一歌:……そうだ。 志歩、『みんなとうまくなりたいから』って言ってた
一歌:志歩の力になりたいなら、 ここで挫けてちゃダメだよね
一歌:ありがとう、小豆沢さん。 またやってみるよ
こはね:えへへ、どういたしまして。 力になれたなら嬉しいな
第 4 话:初めての拍手
翌日
センター街
一歌:よいしょ、っと……
一歌:(……もう一度、挑戦してみよう)
一歌:(……やっぱり、たくさん人がいる。 この中で歌うのは、緊張するな……)
一歌:♪…………
一歌:(やっぱり声が出ない……。 また、今日も1曲も歌えずに終わるのかな)
一歌:(志歩の望むレベルに届かないまま——)
こはね:だから、その子の気持ちに応えられるように、 早く追いつくために練習してるんだ
こはね:志歩ちゃんも、信じてくれてるから教えてくれるんじゃないかな
一歌:……!
一歌:(このままじゃだめだ。 こんな声じゃ、聴いてもらえない……!)
一歌:(今まで教えてくれた志歩のためにも、 もっともっとうまくなりたい!)
一歌:(だから——!)
一歌:♪————! ————!!
一歌:(私の歌を、聴いてもらわなくちゃ!)
通行人A:おっ、なんだなんだ? ストリートライブか?
通行人B:おおっ、すげえ! 歌うまいな、あの子!
一歌:……!
一歌:(私を、見てくれてる……。 私の歌を、演奏を、聴いてくれてるんだ)
一歌:(どうしよう、手が震えてきた……)
一歌:(けど——!)
一歌:♪————! ————! ————!!
一歌:(聴いてくれる人のために歌いたい!)
一歌:(立ち止まってくれた人に、私の歌を届けたい!)
一歌:♪————!! ————!!
一歌:(Cメロからラストサビは——全力で盛り上げる!)
一歌:(アウトロに入っても、集中を切らさない……!)
一歌:♪——……
一歌:はぁ、はぁ……
一歌:歌いきれた……
一歌:(……足も、手も、震えてる。 心臓が頭の中にあるみたいにドキドキいってて、うるさい)
一歌:(けど……楽しかった)
一歌:(聴いてくれる人のために思いっきり歌うって、 ……こんなに楽しいんだ)
一歌:あ……
一歌:み、皆さん、聴いてくれて、ありがとうございました!
通行人達:いい歌聴かせてもらったよ! こっちこそありがとうな!
通行人達:すごいいい歌だったよ! また聴かせてね!
一歌:あ……はい!
一歌:……よかった
一歌:また、ここで歌いたいな……
数日後
教室のセカイ
一歌:それじゃあ、みんなであわせてみようか。 穂波、カウントお願い
穂波:うん。 ワン、ツー、スリー、フォー……
一歌:…………
一歌:♪————!! ——!!
穂波・咲希:『……!』
志歩:え……
一歌:♪——!! ——!!
一歌:♪——……
咲希:す……すごーーーーいっ!
咲希:今日のいっちゃんの歌、すごいよ! 前からすごかったけど、もっとすごくなってる!
穂波:うん! まっすぐにとおってて、綺麗で……。 聴き惚れちゃいそうだった
志歩:短期間でここまで上達するなんて、すごいじゃん
一歌:えへへ……。ありがとう
ミク:ふふ、特訓の成果が出たみたいだね、一歌
一歌:うん。 ミクのおかげだよ、ありがとう
志歩:特訓?
咲希:もしかして、ミクちゃんと一緒に練習してたとか? どんなことしてたの!?
ミク:どうする、一歌? 教える?
一歌:ふふ、ミクに任せるよ
ミク:それじゃあ、内緒だね
咲希:えーっ! いっちゃんがアタシに隠しごとするなんて……っ!
志歩:咲希、大げさ
穂波:でも、一歌ちゃんはどんどん上達するね。 わたしも、もっとうまくなれるように練習頑張らなきゃ
一歌:ありがとう、穂波
ミク:……頑張った甲斐があったね
志歩:うん、でも本当に良かったよ。 このままライブしても通用しそうだと思った
一歌:……!
一歌:ありがとう。志歩にそう言ってもらえると ……すごく嬉しい
志歩:そう?
一歌:うん、志歩の望むレベルに辿り着くのが、 今の私の夢だから
一歌:志歩が思いっきり演奏ができるように、 私……頑張るよ
志歩:一歌……
志歩:……うん、ありがとう
第 5 话:取り戻せたもの
センター街
一歌:♪————! ——!
女子高生A:あそこで歌ってる子、歌うまくない?
女子高生B:最近、よくこの辺で歌ってるよね。 どこかのバンドの子かな?
女子高生A:時間あるし、ちょっと聴いてこうよ
一歌:♪——! ————!
一歌:(あ、あの子達立ち止まってくれた)
一歌:(聴いてくれてるのかな、それなら……!)
一歌:♪——! ————! ————!!
一歌:(楽しんでもらえるように……精一杯歌おう!)
子ども:わあっ、あのお姉ちゃんすごーい!
男性:おっ、路上ライブか。いいな
一歌:♪————!! ——!!
一歌:……ふぅ
一歌:聴いてくれて、ありがとうございました!
一歌:(最初の頃より、たくさんの人に聴いてもらえるようになったな)
一歌:(それに……私の歌を聴いてくれた人が、 『いい歌だ』って言ってくれる)
一歌:(それが一番嬉しくて——楽しい)
一歌:(もっと練習して、たくさんの人に 喜んでもらえるようになりたいな)
一歌:それじゃあ、今日はこれで——
通行人達:あれ、これで終わり?
一歌:はい、今日はここまでにしようかと思ってて……
通行人達:ねえ、もうちょっとだけ歌ってくれない? 今日、途中からしか聴けなかったんだよね
一歌:えっ?
通行人達:あ、私も聴きたい! もう1曲だけお願い!
一歌:——わかりました。 それじゃあ、もう1曲だけ……
一歌:♪————
宮益坂
一歌:今日も、たくさんの人に聴いてもらえたな……
一歌:少しは、私の歌が届いてる、って思っていいのかな
一歌:まだ誰かの心を揺さぶるってレベルじゃないけど……。 でも……私の歌が、誰かの心に残ってくれたら嬉しいな
一歌:……あれ?
一歌:桜が咲いてる……。 すごい、満開だ
一歌:……綺麗……
一歌:ちょっとだけ、寄って行こうかな
乃々木公園
一歌:風が気持ちいい……
一歌:昔は、よくみんなでここにピクニックに来たな
一歌:ビニールシート敷いて、咲希のお母さんが作ってくれた おやつを食べて……。 そういえばあの頃だっけ。穂波がアップルパイ好きになったの
一歌:あ、4つ葉のクローバーを探すのに夢中になってたら 公園の外に出ちゃって、 逆にみんなに探されたこともあったな
一歌:……ふふ、公園でいろんなことしたな
一歌:『ミクの曲をバンドでやろう』って決めてからは、 ここでミクの曲聴いたり——
一歌:……ミクの……
一歌:……あの時のミクの歌が、私達を繋いでくれたんだよね
一歌:(咲希が入院して、学校に来なくなって、 志歩とも、穂波とも話せなくなって……)
一歌:(また4人で一緒にいたいって思ってたけど、 あの頃の私は何もできなかった)
一歌:(大切だけど、どうしたらいいのかわからなくて、 穂波や志歩の背中を見ることしかできなかった)
一歌:(そんな時に——セカイでミクと会った)
一歌:(あの時ミクが『演奏を聴きたい』って言ってくれなかったら、 きっと今もバラバラのままだったんだろうな)
一歌:(それに……本当の想いに気づかせてくれたのも、ミクだった)
一歌:(私の想いを聞いてくれて、一緒に考えようって 言ってくれて……)
一歌:(そのおかげで、穂波に気持ちを伝えられて、 また4人ですごせるようになった)
一歌:……全部、ミクのおかげだな
一歌:——ありがとう、ミク
一歌:……——♪
一歌:(やっぱり、つい歌っちゃうのもミクの歌なんだよね)
一歌:(小さい頃からミクの歌がずっと好きだったけど……。 今は、ただ好きなだけじゃない)
一歌:(ミクの歌は、私の思い出の傍らにある大切な歌)
一歌:(これからも、たくさんの思い出が生まれるんだろうな。 そして、きっとその傍らにはミクの歌がある)
一歌:——……♪
一歌:……ミク
一歌:……この想いを、ミクに伝えたいな
第 6 话:先輩と後輩と
教室のセカイ
ミク:♪——……
ミク:ふーっ
MEIKO:へえ。だいぶ上達したね、ミク
ミク:うん。まあ、練習したからね
MEIKO:もしかして、一歌との『秘密の特訓』の成果?
ミク:えっ、なんでその話知ってるの?
MEIKO:あはは、咲希が話してたからね。 一歌がみんなに内緒でミクと秘密の特訓してるらしい、って
ルカ:あら、一歌の歌いかたが変わったと思ったら、 そういうことだったのね
ルカ:一歌の歌、前よりも力強くて、凛とした歌声になったわ
MEIKO:普通は、短期間であんなにガラっとは変わらないよね。 ねえミク、どんな特訓したの?
ミク:別に、私は何もしてないよ。 相談に乗っただけ
ミク:一歌自身が答えを見つけて、 自分の力で乗り越えたんだよ
ルカ:そうなのね。 ……ふふ。ミク、本当に一歌達の先輩らしくなってきたわね
ミク:え? ほ、本当!?
ルカ:本当よ。最初の頃は、先輩らしくなる練習をしてたけれど……
MEIKO:えっ、ミクそんなことしてたの?
ミク:ちょ……ルカ! それはもう言わないでってば!
ルカ:ふふ、ごめんなさい
ルカ:……でも、本当に先輩らしくなったわ。 一歌と出会った時とは比べ物にならないくらい
ミク:そ、そうかな……
ミク:…………
MEIKO:あ、ごめんねミク。 ちょっとからかいすぎちゃったね
ミク:あ、ううん。そうじゃないよ。 ただ、実感がわかなくて……
ミク:『先輩』って、ルカやメイコみたいな人のことを 言うんだと思ってたから
MEIKO:私達?
ミク:うん、だってルカは優しくてしっかりしてるし、 メイコは頼りがいがあるし……
ミク:私は、ふたりみたいな先輩になれてるのかな? って……考えたりしてたんだ
ルカ:ミク、誰かみたいになんて思わなくていいのよ
ミク:え……?
ルカ:だって、『先輩』にはいろんな形があるもの
ルカ:誰かにとってはメイコが、また別の誰かにとっては私が、 そしてきっと、一歌にとってはミクが理想の先輩なんだと思うわ
ルカ:先輩らしさに正解なんてないの。 ミクはミクらしく、先輩になっていけばいいのよ
MEIKO:うん、そうだね。 誰かのために一生懸命悩んで、解決する方法を考える……
MEIKO:それだって、『先輩』の形のひとつなんじゃないかな
ミク:ルカ、メイコ……
ルカ:先輩らしくなったわね、ミク
MEIKO:これからも頑張ってね、先輩
ミク:……うん。ありがとう、ふたりとも
MEIKO:——あ。ミク、どうやら後輩が来たみたいだよ
ミク:え?
一歌:あ、えっと、ミク……話し中だったかな
ルカ:ふふ、ミクに用事があるみたいね
MEIKO:それじゃあ、私達は席を外しましょうか
一歌:話し中だったら、また終わったらで——
ルカ:いいえ、今終わったところよ
MEIKO:そうそう。 私達は楽器の調整があるから、少し外すね
ミク:(ふたりとも、気をつかってくれたんだ)
ミク:(……やっぱり、まだまだふたりには敵わないな)
一歌:えっと……
ミク:いらっしゃい、一歌。 今日はひとり?
一歌:うん。 ミクに話したいことがあって……
ミク:私に?
一歌:うん。 このあいだは相談に乗ってくれてありがとう
ミク:ふふ、どういたしまして。 その様子だと、うまくいってるみたいだね
一歌:ミクのおかげでね。 ……だから、練習の成果を見てほしい
ミク:うん、いいよ。 それじゃあ、演奏する準備して——
一歌:あ、ミク。 今日はこっちの世界に来てほしいんだけど……いいかな
ミク:そっちの世界? 別にいいけど……
一歌:ありがとう
一歌:ミクに見てもらいたいものがあるんだ
第 7 话:ふたりで見る桜
乃々木公園
ミク:『あ……桜だ……!』
一歌:ストリートライブの帰りに、咲いてるの気づいたんだ。 ミクに見せたくって
ミク:『ふふ、ありがとう。 なんだかこの桜、今まで見た桜よりも綺麗に見えるよ』
一歌:うん、私も
一歌:……ミクと、一緒に見てるからかな
ミク:『え? 私と?』
一歌:うん。 大事な人と見る景色って、 ひとりで見るよりずっと綺麗で特別に見えるんだ
一歌:桜も、星空も、教室も……。 大切な人と見れば、大切な思い出になるんだと思う
一歌:ミクは私にとって大切な存在だから、 きっと今日の桜が綺麗に見えるんだよ
ミク:『一歌……』
一歌:……このあいだ、この桜を見てミクの歌を歌ってたら、 ミクに会いたくなったんだ
一歌:なんていうか……ミクと出会ってから、 いろんなことがあったなあって思って
ミク:『ふふ、そうだね。 初めて会った時と今じゃ、いろんなものが変わったし』
一歌:……うん。あの時は、また4人で バンドができるなんて思ってなかった
一歌:バンドどころか……もう4人で一緒にいることも できないだろうなって思ってた
一歌:私は、ミクのおかげでみんなと一緒にいられて、 ここまで歩いてこれたんだよ
ミク:『そっか……』
一歌:……今日は歌と一緒に、この気持ちを ミクに伝えたいなって思って呼んだの
一歌:その……ミクの前でミクの歌を歌うのは恥ずかしいけど……
ミク:『ふふっ、大丈夫だよ。 聴かせて。今の一歌の歌』
一歌:♪————
ミク:(……綺麗な歌声)
ミク:(一歌と出会ってから……か)
ミク:(初めて出会った時、一歌は悲しそうな顔をしてたな)
ミク:(4人で一緒にいたいって想いを持ってるのに、 一歩を踏み出せずにいた)
ミク:(でも、初めて4人でセカイで演奏した時……)
ミク:(あの時の演奏は、音もテンポもバラバラだった)
ミク:(けど、大事なものを思い出しているような音で……。 みんな、心の中にある想いは同じなんだってわかった)
ミク:(セッションのあとはケンカみたいになっちゃったけど……。 でも、そこで終わりじゃなかった)
咲希:なんとアタシ達、バンドを始めたの!
ミク:(最初は一歌と咲希だけだったんだよね)
ミク:(でも、あの時セカイに来た一歌の顔は、 ちょっと変わってた)
ミク:(『できない』って諦めてる顔じゃなくて、 『できることをしよう』っていう真剣な顔)
ミク:(それで、次にセカイに来た時には——)
咲希:ミクちゃん! ルカさん! お邪魔します! アタシ達しほちゃんとバンドを組むために、 この曲マスターしたいんです!
一歌:きゅ、急にごめん。志歩とバンドできるかもしれなくて……! だから、もっと練習を見てもらいたいの。 いいかな……?
ミク:(ふたりとも、志歩と一緒に演奏したいって強く想って、 一生懸命練習してたな)
ミク:(その想いが届いて、志歩とも一緒にいられるようになった)
ミク:(そして——)
一歌:みんな大好きで——大切な友達なの
ミク:うん
一歌:だから……
一歌:……私、4人で、一緒にバンドしたい。 別に、絶対にバンドじゃなくてもいいのかもしれないけど……
ミク:(一歌は、本当の想いを見つけた)
ミク:(穂波も、一歌の言葉で本当の想いを見つけて、歌が生まれた)
ミク:(すれ違っていた時間はあったけど、 今4人は、バンドとしてまとまりかけてる)
ミク:(それに、一歌は……)
一歌:♪————
ミク:(今、新しい一歩を踏み出してる)
ミク:(私は、一緒に歌うことしかできないけど……)
ミク:(でも、それが一歌達の助けになるなら、 これからも一緒に歌って、一緒に悩んでいきたいな)
一歌:……ふぅ
ミク:『すごく良かったよ、一歌。 特訓の成果が出てるみたい』
ミク:『この歌なら、きっとみんなの心に届くんじゃないかな』
一歌:……ありがとう、ミク
一歌:ミクにそう言ってもらえると、 一番自信がつくような気がする
一歌:あのね、ミク。 今日ミクをここに呼んだのは もうひとつ伝えたいことがあって——
???:あれ……一歌ちゃん?
第 8 话:出会う、桜の季節に
乃々木公園
一歌:えっ? 花里さんに、小豆沢さん……?
一歌:ご、ごめんミク! ちょっと隠れてもらっていい?
ミク:『あ、うん……!』
一歌:どうしたの? ふたりとも、どこかからの帰り?
こはね:うん。みのりちゃんと買い物に出かけてたんだ
こはね:それで、すごく綺麗な歌声が聴こえたから、 誰が歌ってるんだろうね、って見に来たんだけど……
みのり:もしかして、さっきミクちゃんの歌を歌ってたのって 一歌ちゃん!?
一歌:う、うん。ここで歌ってたのは私だけだけど……
みのり:すごーい! 一歌ちゃん、歌上手なんだね!
一歌:そ、そうかな……。ありがとう
みのり:あ! ねえ、一歌ちゃん! わたしも一緒に歌ってもいいかな?
一歌:えっ、一緒に……?
みのり:うん! 一歌ちゃんの歌を聴いたら、 歌いたくなっちゃったんだ!
こはね:あ、私も……! よかったら、一緒に歌いたいな
一歌:花里さん、小豆沢さん……
一歌:うん、いいよ。 それじゃあ、一緒に歌おう!
宮益坂
奏:(病院に着替えも届け終わったし、 あとは帰るだけ)
奏:(お父さんとは話せなかったけど……)
奏:(帰ったら今日は新曲のラフを完成させないと。 それが終わったら——)
司:ハァ、ハァ、ハァ……!
司:オレとしたことが、集合時間を間違えてしまうとは……! 未来のスターとしてあるまじき失態!
司:——おおっと!
奏:わっ
司:ふぅ、危うく出会い頭にぶつかるところだった……。 驚かせてしまい申し訳ない!
奏:あ、いえ……大丈夫です
司:それは何より! ……はっ、こうしてはおれん。 早くショーの準備に行かなくては!
司:それでは、失礼!!
奏:あ……
奏:なんか、やけに声の大きい人だったな……。 あれ?
???:♪————
奏:これ……ミクの歌?
奏:(あ。あっちの公園で、誰かが歌ってるんだ)
奏:(何人かで歌ってるみたい)
奏:(……ただのユニゾンだけど、 それぞれの声が調和してて……)
???:♪————! ——!
奏:…………
奏:いい歌だな……
みのり:こはねちゃん、一歌ちゃん! わたし、もう1曲歌いたいんだけど、いいかな?
一歌:うん、いいよ。私も、もうちょっと歌いたいと思ってたし。 小豆沢さんは?
こはね:もちろん! みんなで歌うと楽しいしね
一歌:ふふ、そうだね。 花里さん、何か歌いたい曲ある?
みのり:ええと……
みのり:あ、その前に! 一歌ちゃん!
一歌:えっ、どうしたの?
みのり:わたしのことは、みのりって呼んでください!
一歌:え?
みのり:その、ずっと言うタイミングなくしちゃってたんだけど、 今日一緒に歌えたし……もっと仲良くなれたらなって思って!
一歌:えっと……みのりちゃん?
みのり:あ、咲希ちゃん達みたいに呼び捨てにしてもらって大丈夫だよ!
一歌:え……いいの?
みのり:うん、もちろん!
こはね:あ……それなら私も、 こはねって呼んでもらえたら嬉しいな
一歌:う、うん……! わかった
一歌:じゃあ……みのりと、こはねだね。 改めて、これからよろしく
こはね:うん、よろしくね!
みのり:えへへ、なんだか もっともっと仲良くなれたみたいで嬉しいな~!
みのり:あっ、そうだ! 次は最近話題になったミクちゃんの歌、歌わない?
一歌:ああ、あれだね。いいよ
こはね:最近話題の……ああ、あの曲だね!
一歌:それじゃあ、いくよ。 せーの——
一歌・みのり・こはね:『♪————』
一歌:(……楽しいな)
一歌:(練習も、路上ライブも楽しいけど、 みんなと歌うのは、それとは全然違う楽しさがある気がする)
一歌:(歌って、こんなにいろんな楽しさを持ってるんだ)
一歌:(もっと歌っていたいな……)
一歌:(——あ)
一歌:(あの人……もしかして、私達の歌を聴いてくれてるのかな)
一歌:(それなら、もっと頑張って歌わないと)
一歌:——! ————!
奏:…………
一歌:(あ……ちょっと笑ってくれたけど、行っちゃった)
一歌:(……まだまだってことかな。 もっと練習して、うまくならないと)
一歌:(またいつか、あの人にも聴いてもらえるように——)
みのり:今日はありがとう、一歌ちゃん!
こはね:それじゃあ、また明日、学校で会おうね!
一歌:うん、またね
ミク:『いい時間をすごせたみたいだね、一歌』
一歌:……うん
一歌:あのね、ミク。 みのりとこはねとは、 ミクの歌のおかげで繋がれたんだよ
ミク:『私の歌で?』
一歌:うん。 みのりはミクの歌が好きでよく話してて、 こはねは路上ライブでミクの歌を歌ってて出会えたんだ
一歌:……ミクの歌ってすごいね。 私達を繋ぎとめてくれただけじゃなくて、 新しい出会いもくれた
一歌:きっとこれからも、ミクのおかげで いろんな人と繋がっていけると思う
一歌:だから……ありがとう。 これからもよろしくね、ミク
ミク:『ふふ、私は何もしてないよ』
ミク:『一歌が自分の想いに気づいて、受け止めてあげたから。 だから一歌はここまでこられたんだよ』
一歌:ミク……
ミク:『これからも、一歌の想いを大切にしてね』
一歌:私の、想い——
一歌:……そうだね。 これからも、みんなと一緒にいられるように——
一歌:……桜、綺麗だね
ミク:『——うん』