活动剧情

Colors of Pure Sense

活动ID:184

第 1 话:コンクール

絵画教室
雪平:——それでは、本日の実技指導コースはこれで終わります。 皆さん、お疲れ様でした
絵名:ふう……
絵名:(疲れた……)
絵名:(受験用の実技コースが始まったのはいいけど、 やっぱりレベル高いな……)
絵名:(いつもの講義もそうだし、 先生が個別で教えてくれるのも勉強になる。 すっごく頭使うけど……)
生徒達:ねえ、もう志望校決めた?
生徒達:うん、東美にしたよ。 レベル高いし、いろんなこと学べそうだしね
生徒達:わかる! 倍率めちゃくちゃ高くて厳しそうだけど、 やっぱり目指すなら東美だよね
絵名:(あの子、昨日の講評で先生に褒められてた—— 東美目指すんだ)
絵名:(たしかに、あんなすごい絵を描けるのなら 狙えるかもな)
絵名:…………
絵名:東美、か……
二葉:やっぱり、東美目指す人が多いみたいだね
絵名:あ……うん。 たしか、二葉も東美だよね
二葉:うん。 やっぱり、一番行きたいのは東美だなって思って
二葉:毎年すごくレベルが高いし、頑張らないとな
絵名:そっか……
絵名:(設備も整ってるし、講師も有名な人が多い—— 私も、画家を目指すなら東美の環境で学びたい)
絵名:(だけど——)
二葉:絵名ちゃんは、もう決まったの?
絵名:私は……
絵名:…………まだ、考え中。 ちょっと悩んでて
二葉:そうなんだ……
二葉:もし相談に乗れそうなことがあったら教えてね。 私、オープンキャンパスも行ってるから、 学校の雰囲気とかも少しならわかるし
絵名:あ……
絵名:ありがと、助かるよ
二葉:うん! 私も、絵名ちゃんと一緒に受験頑張りたいもん
絵名:(……東美、か)
絵名:(さっきの子達も、二葉も……実力があるし 東美も狙えるだろうな)
絵名:…………
絵名:(東美は、日本で一番受かるのが難しい)
絵名:(全国から実力のある人が集まってて、 5浪や6浪して入る人もいるくらいの学校だ)
絵名:(今の私の実力じゃ到底……無謀だってわかる)
絵名:(でも……)
絵名:(……今は、雪平先生の講義に集中して、 実力をつけよう)
絵名:(それで——志望校に 東美って書けるくらいにならなくちゃ……!)
翌日
雪平:——おはようございます。 皆さん、揃っているようですので早速始めましょう
雪平:今日から、実技試験の対策として コンクールを行っていきます
絵名:コンクール……
二葉:描いた絵にランクをつけられるんだよね。 毎年、受験生の人つらそうだなって思ってたな
雪平:作品はA+からC−までで評価を行い 評価順に教室へ並べさせてもらいますので、 そのつもりでいてください
絵名:…………っ
絵名:(順位をつけられるってことは、 他の人と比べられるんだ……)
絵名:(でも……っ)
絵名:(そもそも、いい評価をもらえなきゃ 美大に合格なんてできない)
絵名:(——東美なんて、夢のまた夢だ)
絵名:(必死にやろう。 私に出せる力を、全部注ぎ込もう……!)
雪平:では、本日の課題です
雪平:課題テーマは『記憶』 また、モチーフとして——
雪平:これを描いてください
絵名:……りんご?
雪平:このふたつを連想できれば、どんなものでも構いません
雪平:では、始めてください
絵名:……っ!
絵名:(りんごと、記憶……)
絵名:(このふたつを結びつけて描かなきゃいけない、けど……)
絵名:(記憶、か……)
絵名:(私の、りんごにまつわる記憶——)
絵名:(そういえば子供の頃、りんご狩りに行ったことがあったっけ)
絵名:(それに、穂波ちゃんから美味しいアップルパイのお店を 教えてもらったりしたな……)
絵名:(どっちも、今回絵にするには弱い気がする)
絵名:(私よりも独創的な発想をする人もいるだろうし、 できるだけ印象に残る、いい絵を描かないと——)
絵名:(……難しいな)
絵名:(りんごだけなら、よく描くモチーフなのに……)
絵名:(……そういえば、りんごは昔からたくさん描いてたな デッサンのために何枚も……)
絵名:(毎日1枚デッサンを描いてるし、 ちょうど昨日も——)
絵名:(——これなら、私でも戦えるかも)
翌日
雪平:——皆さん、おはようございます。 コンクールの結果が出ましたので、 確認しておいてください
絵名:(緊張、するな……)
絵名:(……成績順に並べられて 評価の付箋が貼ってあるんだよね)
絵名:(……今の私が出せる力は、全部出せた。……多分)
絵名:(B−かCくらいは……きっと……)
絵名:(……C−……)
絵名:(最低評価……しかも—— この中で、最下位……)
生徒達:わ……あの絵、うま……
生徒達:一瞬、写真かと思った……
絵名:え……
絵名:…………!
絵名:(りんごの芯だけ……? 背景は、この教室なのに りんごだけ食べ終わってる描写になってる……)
絵名:(芯のところに蜜があって—— そこに歯型がついてるから、食べられる限界まで 食べたんだなってことがわかる……)
絵名:(そっか……。 この人は『りんごを食べた記憶』を表現したんだ)
絵名:(……私だったら、同じテーマでも ここまで描写できないだろうな)
絵名:……どうして、こんな絵を想像で描けるんだろう
二葉:すごいよね……。 私も、真似できないな……
絵名:二葉……
絵名:(そうだ。二葉の絵は——)
絵名:紙のりんごを食べる絵……?
二葉:えへへ。りんごを食べた絵を描こうと思ったんだけど、 本当は食べてないから、嘘の記憶ってことにしたんだ
絵名:あ……
絵名:(そっか……。 そういう表現でもいいんだ)
絵名:二葉、相変わらずすごいな……
二葉:え、全然そんなことないよ! 同じ想像で描いた絵でも、芯のりんごの絵より描写も甘いし……
二葉:絵名ちゃんは、りんごのデッサンをしてる絵? すごく真剣に向き合ってるのが伝わってきて、いいなって思ったよ
絵名:……ありがと
絵名:(私の絵は——最下位になって当然だ)
絵名:(さっきの絵も、二葉の絵もそうだし——)
絵名:(……他のみんなの絵も、すごい)
絵名:(発想力も、描写力も、全然レベルが違う……)
絵名:(……やっぱり、東美を目指すには全然足りない)
絵名:(なら、やらなきゃ……!)
絵名:(このレベルまで追いついて、もっと良い評価を取らなきゃ)
雪平:…………
雪平:——コンクールはこれから定期的に開催していきます。 自分自身を知るためにも、 都度、全力で挑むように
雪平:それでは、通常課題をお渡しします。 各々仕上げて、次回提出してください
絵名:(……課題は『目印』か)
絵名:(……どう描くか、まだ全然イメージできないけど——)
絵名:(次のコンクールのためにも力をつけなくちゃ。 まずは、この課題を完璧に仕上げて——)
雪平:——東雲さん
雪平:こちらへ来てもらえますか? 話があります
絵名:えっ? は、はい……!
絵名:えっと……話って、なんですか?
雪平:今回のコンクールの絵について いくつか質問をしたいと思いまして
絵名:あ……はい
雪平:東雲さんは、どうして あの作品を描こうと思ったのですか?
絵名:え……
絵名:それは……りんごのデッサンをしている私を、 描きたいと思って
雪平:他に意図はなかったんですか?
絵名:……いろいろ考えたんですけど、 私が、今回のコンクールで戦えそうな表現が あの絵だと思ったんです
雪平:戦えそうな表現とは?
絵名:……他の人達は、私よりもいろんな面が優れてるので。 りんごのデッサンはこれまで練習してたから これなら上手く描けそうだなと……
雪平:…………なるほど
雪平:——東雲さんには、また違った課題が必要そうですね
絵名:え……?
雪平:東雲さん、今回出された課題『目印』を——
雪平:失敗作として提出してください

第 2 话:失敗作

絵名の部屋
絵名:どうしよう……
絵名:失敗作、か——
絵名:失敗作を作れ、って……どういうことですか?
雪平:そのままの意味です。 今日出された課題を、失敗作として提出してください
雪平:ただし、『目印』というテーマを活かすこと。 それ以外でどう制作するかは問いません
絵名:え、っと……
雪平:では、お待ちしています
絵名:(雪平先生は、ああ言ってたけど…… どうして失敗作なんだろう)
絵名:(どうせ作るのなら、ちゃんと 自分が良いって思うものを作りたいのに)
絵名:(……でも、雪平先生が言うことだから きっと意味はあるんだろうし、とにかく今はやってみよう)
絵名:えっと……失敗作、っていうと……
絵名:(普通に考えれば、うまく描けなくてボツになったとか 描けたと思ったけど評価されなかったもの……って感じだよね)
絵名:(じゃあ、私にとっての失敗作ってなんだろ。 うまく描けなくてボツになった絵はたくさんあるけど…… 提出する前提だから、そういうのは論外だろうし)
絵名:(先生からよく言われるのは、描写力が甘いとか、 発想力が足りないってこと……)
絵名:(実際、パースが狂ってることは今でもあるし 発想力も他のみんなより全然足りてない)
絵名:(じゃあ、その部分を強調した絵にすればいいのかな)
絵名:(んー……でも、狙って発想力が足りない絵にするのは 難しいっていうか、出来なそうだし……)
絵名:——よし、今回はいつもより甘めに描写してみよう
絵名:モチーフは……
翌日
絵画教室
雪平:——なるほど。 この教室の看板を描かれたんですね
絵名:はい。私が絵を描こう、もっと勉強しようって思えた 『目印』だなと思って
雪平:では、この絵は何が失敗なんでしょうか
絵名:はい。普段は、背景とメインモチーフに差が出るように 陰影をつけて描いているんですけど、 今回はあえて平坦になるように描いてます
絵名:えっと、描写力の甘さを表現したくて
雪平:……なるほど。 わかりました
雪平:それでは、この作品の正解はなんでしょうか
絵名:え? それは——
絵名:メインのモチーフ——看板と、背景に 描き込み量の差をつけることです
雪平:本当ですか?
絵名:え……
雪平:本当に、それがこの作品—— 東雲さんの『目印』の正解なんでしょうか
絵名:(描き込み量の差を出して、 それがこの絵の正解になるのかっていうと……)
絵名:(……違う気がする)
絵名:(それはただ、“しっかり描写できてる”ってだけで——)
絵名:(私にとっての『目印』を、 この絵に落とし込めてるわけじゃない)
雪平:東雲さんも理解しているように、 この作品は、そもそもテーマを表現することを放棄しています
雪平:少なくとも私には、 “失敗をさせやすいモチーフを選んだ”ようにしか 見えませんでした
絵名:…………っ
雪平:失敗作とはいっても、作品を制作することには変わりません
雪平:テーマを活かした上でモチーフを選び、 東雲さんの作品として提出する心積もりでいてください
絵名:……はい……

第 3 话:迷う心

宮益坂
絵名:……はあ……
絵名:(駄目だった……)
絵名:(……失敗って、どうすればいいんだろ)
絵名:(ちゃんと『目印』ってテーマを活かして、 失敗作を描く…………)
絵名:(言ってることはわかるんだけど…… それって、かなり難しくない?)
雪平:失敗作とはいっても、作品を制作することには変わりません
雪平:テーマを活かした上でモチーフを選び、 東雲さんの作品として提出する心積もりでいてください
絵名:……私の作品として、か……
絵名:(それって、『失敗』の意味も ちゃんと考えろってことなのかな)
絵名:(でも、今回みたいに“描写を甘くする” とかの失敗じゃ駄目だし……)
絵名:(……わかんなくなってきたな)
絵名:(私にとっての『失敗』って、なんなんだろ……)
二葉:——あ、絵名ちゃん!
絵名:え? あ……二葉!
二葉:もしかして、教室に行ってたの?
絵名:う、うん。課題が早めに終わったから 見てもらおうと思って
二葉:そうなんだ! 実は私もなんだ
絵名:え、二葉も? どんなの描いたの?
二葉:私はね……これだよ
絵名:あ……
絵名:(これ……私と同じ、絵画教室の看板のモチーフだ)
絵名:(だけど、看板の周りには何もない。 看板が置かれてる後ろに、長い道があるだけで)
絵名:(それに……よく見たらこの看板、 現実のよりもかなり古く見える。文字は読めるけど、 ところどころ錆びて剥げかかってるし)
絵名:ねえ、二葉。これって……
二葉:あ……うん! 私にとっての目印ってなんだろうって考えたんだけど……
二葉:きっと、夢を叶えるために必要な場所で—— 通り過ぎてくものなのかもって思ったんだ
絵名:通り過ぎてく……?
二葉:うん。……小学生の頃、この絵画教室に通って 『ずっと絵を描いていたい』『画家になりたい』って 考えるようになったなって思い出したんだ
二葉:だから最初は、この教室を『目印』に しようと思ったんだ。でも——
二葉:きっと、その『目印』って これから進んでいくと変わっていくんだろうなって感じたの
二葉:今は、東美を目指すための目印だけど、 きっと東美に合格したら、また違う目印ができると思う
二葉:そうやって、夢に向かって進むたびに いろんな目印ができていくんだろうなって
二葉:それで、きっと—— “一番最初に生まれた目印”として、 この教室の看板を覚えてるんだろうな、って思ったの
二葉:だから、教室の看板と その先の『目印』に続く道を描いたんだ
絵名:そう、なんだ……
二葉:えへへ。説明すると、ちょっと恥ずかしいな
二葉:ねえ、絵名ちゃんはどんな絵を描いたの?
絵名:え? 私は……全然、大したことないよ
絵名:それより、早く持っていったほうがいいんじゃない? 今日は早く閉めるって言ってたし
二葉:あ……そっか。 絵名ちゃんの絵も見たいけど、急がなきゃだね
二葉:じゃあ、また今度!
絵名:うん、またね
絵名:……二葉の絵、すごかったな
絵名:(……同じモチーフなのに、あんな発想できなかった)
絵名:(これじゃ、表現することを放棄してるって 言われるのも当然だ)
絵名:……本当に、失敗作描いてる暇なんてあるのかな
絵名:(コンクールで良い評価を取るためには、 もっともっと……1枚でも多く描かなきゃいけないのに)
絵名:(失敗だ、ってわかってるものを描くなんて……)
絵名:あれ、通知……? なんだろ
絵名:……なんだ、ただのオススメ通知か……
絵名:(最近、どうでもいい投稿ばっかり流れてくるな……。 オススメ機能、ちゃんと仕事してるの?)
絵名:(……ていうかこの自撮り、今日出た新作コスメ使ってるじゃん。 結構伸びてるみたいだけど——)
絵名:(これくらいだったら、私のほうがもっと盛れそう。 いいねだって倍くらい稼げそうだし)
絵名:そうだ。帰ったら私も——
絵名:(……そんなことしてる場合じゃないでしょ。 課題やらなきゃいけないのに……!)
絵名:(はあ。帰ったらもう1回、モチーフから練り直して——)
絵名:わっ……!?
奏:あ……すみません。ちょっとよそ見してて—— って、絵名?
絵名:わ、奏……! 偶然だね、今日はどうしたの?
奏:お父さんのお見舞いに行ってたんだ。 絵名は?
絵名:私は……絵画教室に行って、帰るところ
奏:そうなんだ……
奏:……元気がなさそうだね。 大丈夫?
絵名:あー……うん。ちょっとね
奏:……もしよかったら、少し話していかない?
絵名:え?
奏:わたし、もう予定が終わったから時間あるし。 絵名が良ければだけど
絵名:あ……
絵名:……じゃあ、学校もあるし少しだけ
絵名:ありがとう、奏
奏:うん、じゃあ行こうか

第 4 话:何気ないヒント

カフェ
奏:……そっか。絵の課題で悩んでたんだ
絵名:うん……
絵名:先生のことだから、何か考えがあって 失敗作を作れって言ってるんだと思う
絵名:でも……周りのみんなは その間も受験に向けて、いい絵をどんどん描いてる
絵名:それなのに、私だけ失敗だってわかってる絵を描いてて……
絵名:正直、どうしても焦るっていうか……
奏:…………
絵名:良い評価を取るためにも、 もっともっとたくさん描いて みんな以上に進まなきゃいけないのに——
奏:そっか……
奏:わたしも、曲を作ってると 思うようにいかない時があるから、ちょっとわかるな
奏:早く作らなきゃいけないのにって思って、焦るんだよね
奏:でも——
奏:……ちょっと面白そうだな、その課題
絵名:えっ?
奏:たしかに、失敗でしか見えないものがあるなって思ったんだ
奏:わたしはうまくいかなかった時、 どうしてこの音じゃ駄目なのか、 どの表現ならいいのかって考えるんだけど——
奏:そうやって正解を探してると、 何が正しいのかわからなくなってくるんだよね
奏:そういう時に、そのやり方は役立ちそうだなって
絵名:役立ちそう……?
絵名:……ねえ、それってどういう——
???:『——奏』
絵名:え……
奏:ミク、カイト……
ミク:『絵名も一緒にいたんだ』
絵名:うん、ちょっとね
奏:ふたりとも、どうしたの?
奏:あ……もしかして、まふゆに何か——
KAITO:『お前……』
KAITO:『今日、ちゃんと寝たか?』
奏:え……
奏:……あ……
絵名:どういうこと? 奏、寝てないの?
奏:あ、えっと……仮眠はしたんだけど……
絵名:何時間?
奏:2時間……
絵名:え、2時間しか寝てないってこと!?
奏:う……
ミク:『まふゆが、心配してた。 朝まで作業してたから、寝てないかもしれないって』
絵名:それで、ミク達が見に来てくれたんだ。 ありがとね
ミク:『うん』
KAITO:『……こいつが倒れたら面倒だからな』
奏:でも、ちゃんと仮眠もしてるし大丈夫だよ。 今日はこのまま——
絵名・KAITO:『いや、駄目でしょ』 『駄目だ』
奏:うう……っ
絵名:じゃあ、今日は帰ろっか。 奏にも寝てもらわなきゃだし
奏:ごめん……
絵名:いいって。私も、そろそろ帰って着替えなきゃだし
絵名:帰ったら課題もやらないとな……。 そもそも、失敗ってなんだ?ってところから 考えないと……
KAITO:『失敗?』
絵名:ああ、うん。 絵の課題で、失敗作を作れって言われてるんだよね
絵名:でも、それがあんまり掴めてなくてさ。 ただ単に失敗すればいいってわけじゃないし……
絵名:そもそも、私にとっての失敗ってなんだろうって
KAITO:『——そんなこともわからないのか?』
KAITO:『お前なら、誰よりもわかっていると思っていたが』
絵名:……え?
KAITO:『——お前が一番嫌なことはなんだ?』
KAITO:『それが、お前にとっての失敗だろ』
絵名:私が、嫌なこと……?

第 5 话:私が嫌なこと

絵名の部屋
絵名:私の、嫌なこと……
絵名:(『失敗』って、描写力とか発想力とか…… 技術的なことばっかり考えてた)
絵名:(でも、そうじゃなくて—— 『嫌』なこと、か……)
絵名:全然、良い絵にならない……
絵名:違う……こんなんじゃない……。 違う、違う……!
まふゆ:『言いたいことがあるのに、うまく言えない—— みたいな感じがする』
まふゆ:——『絵名が言いたいことは、これで全部なの?』
絵名:『私が、言いたいこと……』
絵名:(伝えたいことを表現できないこと—— 表現しきれないことが、一番嫌……!)
絵名:……そっか
絵名:私にとっての失敗は、それなんだ
絵名:(……なんだ。たしかに、考えてみればシンプルだったかも)
絵名:じゃあ、失敗作を描くためには、 伝えたいことを表現できないものを作ればいいってことだけど——
絵名:……そもそも、ずっとそれができてないんだし、 狙って作るのは難しいよね……
絵名:(……結局、同じところで躓いちゃうな)
絵名:——ううん、考えてても何も始まんないよね
絵名:私にとっての失敗はわかったし、 1回頭をクリアにして描いてみよう
絵名:(……私にとっての『目印』——)
絵名:(それって、何なんだろう)
絵名:(この前は『絵を描く場所』って意味で 教室の看板を選んだけど……)
絵名:(……同じモチーフを選んだ二葉の絵は、 私よりずっと考えられてた)
絵名:(私も——伝えたい想いを込めるために ちゃんと『目印』を考えなきゃ)
絵名:でも……それって、何なんだろ
2時間後
絵名:目印……私にとっての、目印……
絵名:……だめだ、全然出てこない
絵名:考えすぎて、頭ぼうっとしてきたな……
絵名:冷蔵庫にケーキがあったっけ。 ちょっと糖分補給しようっと
絵名:ついでに、食べてるところ撮れば映えそうだし
絵名:スマホ————
絵名:ああもう、また……!
絵名:もう、こんなことしてる場合じゃないのに……
絵名:あ……通知? 誰だろ……
まふゆのメッセージ:『歌詞できたよ。 えななん、これでラフできる?』
瑞希のメッセージ:『課題で忙しいって言ってたけど、 こっち進められるかな?』
瑞希のメッセージ:『忙しいなら無理しなくてもいいからねー!』
まふゆのメッセージ:『Kもまだ調整してるみたいだし、そんなに急いでないよ』
絵名:歌詞出来たんだ……って、もしかして私のラフ待ち!?
絵名:そっか。最近、課題優先してたから…… 早くラフ描かなきゃ
絵名:はあ、やることいっぱいだな
絵名:でも……ちょっと肩の力が抜けた気がする
絵名:(……なんでだろ。 ニーゴのみんなと一緒にいると、 いつも気持ちが落ち着くんだよね)
絵名:(ひとりで描いてると、悩んだり迷ったりして 気持ちがぐちゃぐちゃになっちゃうのに)
絵名:——『ありがと。課題が落ち着いたらすぐに描いて送るね』っと
瑞希のメッセージ:『おっけー! 楽しみにしてるね!』
奏のメッセージ:『ありがとう、えななん。 待ってる』
絵名:(……きっと、こうやって みんなが待っててくれるからだろうな)
絵名:(みんなだったら、どんな私でも受け止めてくれる—— いつでも帰ってこれるって思うから)
絵名:(だから私も、迷わないでいられるんだ)
絵名:あ……
絵名:そっか、これが私の——
絵名:——うん、これにしよう
絵名:(私にとっての『目印』は……ナイトコードの画面)
絵名:(私が悩んだり迷ったりして、不安定になった時—— いつでも帰ってこれる場所としての『目印』だから)
絵名:(……絵的には、暗い部屋に置かれたパソコンに 画面だけが浮かび上がってる感じにして、 ナイトコードの存在感を強調しよう)
絵名:じゃあ——これを失敗作にしなくちゃ
絵名:意味が伝わらないように描く……。 難しいな
絵名:……あ、じゃあこうするのはどうかな。 置いてあるのがパソコンだってわからないくらい真っ暗にして、 画面だけ思いっきり光を強くしてみるとか
絵名:……うん、これだったらパソコンだってわかんないし そもそもナイトコードの画面も見えないから 意味も伝わらないかも
絵名:あれ? でも……
絵名:やっぱり……
絵名:(ちょっと画面の光を落としたら、全体が真っ暗なおかげで 不安定な気持ちをナイトコードが照らしてくれてるように見える)
絵名:(これ……私が想像してた絵よりもいいかも)
絵名:(暗闇の中で、迷わないように照らしてくれる 『目印』っていうのが、ちゃんと表現できてる気がする)
絵名:……これじゃ失敗作って言えないよね。 うーん……
絵名:それじゃあ、次は構図から変えてみようかな。 えっと……新しい紙を用意して、っと
絵名:(……視認性を悪くするために パソコンの数を増やしてみたけど……)
絵名:(これ、パソコンの数を4台にすれば—— ニーゴみんなが『目印』みたいになるかも)
絵名:(こうやってパソコンの形とか色を変えて…… ひとりひとり違うけど、違うから、一緒にいられる)
絵名:(誰かが苦しい時は、誰かが心を繋げる—— そうやってみんながみんなの居場所、『目印』になる)
絵名:(……そういう風に受け取れるし、 私が伝えたい『目印』が強調される気がする)
絵名:……これも、失敗ってわけじゃないな
絵名:うーん、じゃあ次は……そうだ! いっそパソコンを崩しちゃうのもいいかも
絵名:そうすればさすがに、私が伝えたいことも 伝わらなくなっちゃうだろうし
絵名:よし、壊れて崩れちゃったパソコンを描いて…… 基板とか部品描くのちょっと大変だけど、しょうがないか
絵名:えっと……
絵名:んー……
絵名:(崩れたパソコンに、ナイトコードが映ってる…… って絵にしてみたけど)
絵名:(これ……パソコンが私だとしたら、 メンタルが崩れちゃった自分を支えてくれるニーゴって 感じるかも)
絵名:…………不思議だな
絵名:(失敗作を作ろうとしてるのに、 見方を変えたり、ちょっと手を入れれば全然失敗作じゃなくなる)
絵名:(それだけじゃない。 もともと私が描こうとしてたやつよりも、 よくなってる気がする——)
絵名:なんでだろ……
奏:たしかに、失敗でしか見えないものがあるなって思ったんだ
奏:わたしはうまくいかなかった時、 どうしてこの音じゃ駄目なのか、 どの表現ならいいのかって考えるんだけど——
奏:そうやって正解を探してると、 何が正しいのかわからなくなってくるんだよね
奏:そういう時に、そのやり方は役立ちそうだなって
絵名:あ……
絵名:奏が言ってたことって、こういうことなのかな
絵名:失敗でしか見えないもの、か……

第 6 话:自分の武器

絵画教室
雪平:——失敗作を作れなかった、ですか
絵名:……はい、何枚か描いてみたんですけど、 どれも全然、失敗にならなくて
雪平:なるほど
雪平:『失敗作を作る』という課題を出された以上、 基本的にはやりきることが必須になってきます
雪平:美大を目指すのであれば、それは忘れないように
絵名:……はい
雪平:——ですが、東雲さんの気付きは 今回の課題において必要なものでした
絵名:え……?
雪平:東雲さんは、以前『コンクールで戦える絵を描かなければ』と 言っていましたね
絵名:あ……は、はい
絵名:私には、他のみんなみたいな実力はないですから。 自分が持ってる武器で戦わなきゃって
雪平:その考えで描くことは否定しませんし、 間違っているとも思いません
雪平:東美に受かるためには、綺麗事ではなく 周囲を圧倒するような実力、そして魅力が必要ですから
雪平:ただ——その考えが、あなたの絵が持っている魅力を 鈍らせていると感じます
絵名:え?
雪平:東雲さんは、自分の武器はなんだと思いますか?
絵名:えっ、と……構図、ですか?
雪平:世界観です
雪平:東雲さんが“本当に描きたいもの”を描いている時は、 魅力的な世界が絵の中に広がっています
雪平:ただ、それは『勝たなければ』『失敗したくない』という想いに 縛られるとあっという間に萎んでしまう
雪平:そして、そう思えば思うほど、 正解を求め、失敗を過度に恐れるようになり 無難な作品へ行き着くようになっていきます
絵名:あ……
雪平:今回、失敗作を制作してもらったのは、 その想いを取り払うためです
雪平:失敗しなければいけないという姿勢で取り組めば 自ずと、普段は避ける実験的な表現をせざるを得ませんから
絵名:……たしかに私も、わざと失敗するように いつもはしない描き方をしてたかも……
雪平:絵の技術には、明確な理論があります
雪平:技術的に優れた絵も、そうではない絵も すべては理論で説明がつくということです
絵名:……はい
雪平:しかし、その一方で——
雪平:絵としての正解は、理論だけでは説明できません
雪平:技術的には非の打ち所がないような絵でも、 何らかの魅力がなければ誰の目にもとまりません
雪平:逆に、どんなに技術的には未熟でも、 誰かの心を惹きつける魅力を持っていれば それはその人にとってかけがえのないものとなります
雪平:つまり——
雪平:東雲さんは、己の世界観を貫き通す方が、武器になる
絵名:…………!
絵名:世界観を、貫き通す——
絵名:(それって、私が思ったまま描けってことだよね……)
絵名:(でも、それでいいのかな。私は——)
雪平:——これが、東雲さんの大切な目印なんですね
絵名:——はい!
数日後
雪平:——おはようございます。 以前からお伝えしていた通り、 今日は2回目のコンクールとなります
雪平:油彩で、テーマは『手』です。 ——それでは、始めてください
絵名:(『手』、か——)
絵名:(シンプルな課題だな……。 でも、だからこそ色々アプローチできる気がする)
雪平:東雲さんは、己の世界観を貫き通す方が、武器になる
絵名:(……私の武器を使って、表現するんだ)
絵名:(私にとっての『手』ってなんだろう——)
絵名:(絵を描く、自分の手……?)
絵名:(あとは——みんなとの繋がり。 私にとって、大事なものだ)
絵名:(それに……)
絵名:……あ……
絵名:(二葉、もう描き始めてる。早いな……)
絵名:(……やっぱり上手いな。 まだ素描なのに、なんだかキラキラして見える)
絵名:(でも、なんだろう。 この感覚、どこかで……)
絵名:(ああ、そっか……。 前も、見たことあるんだ)
絵名:(絵を描くのが楽しくてしょうがなかった、あの頃に——)
十数年前
キャンプ場
母親:……あら、絵名。今度は何を描いてるの?
幼い絵名:ちょうちょ! そこのお花に止まって——あ、お母さんだめ! 近づいたらにげてっちゃう!
幼い絵名:あ~! ほら、だから言ったのに~!
母親:もう、そんなに怒らなくてもいいじゃない
母親:でも……きれいに描けてるわね。 羽の青と黒の部分もちゃんとわかるし
幼い絵名:えへへ、でしょ? だってこのちょうちょは、そこがとくちょうだし!
幼い絵名:それくらい、ちゃーんと表現できなくちゃね
母親:ふふ、さすが絵名ね
母親:この絵、お父さんに見せてあげたら? きっと褒めてくれるわよ
幼い絵名:えっ、ホント!?
母親:ええ、とっても上手だもの
幼い絵名:うんっ、お父さんに見せてくる!!
幼い絵名:えっと、お父さんは…… あっちの山をかいてるって言ってたっけ
幼い絵名:あ……!
幼い絵名:お父さん、見て見て! あのね、さっき——!

第 7 话:私にとっての手

幼い絵名:(…………すごいなあ)
幼い絵名:(お父さんの絵、なんだかキラキラしてて……)
幼い絵名:(私が見てるのと、 おんなじ世界じゃないみたい……)
幼い絵名:(……どうして、こんな絵がかけるんだろ)
幼い絵名:あ……
父親:……どうした?
幼い絵名:あのね、なんで今赤くぬったの? この葉っぱ、赤いところないのに……
父親:…………そうだな
父親:……その方がいいと思ったんだ
幼い絵名:お父さんには、そう見えてるの?
父親:そうじゃない
父親:いや——違わないのかもしれないな
幼い絵名:……? よくわかんない
父親:目に見える色は違うかもしれないが—— こう描きたいと思ったんだ
幼い絵名:かきたい……
幼い絵名:それでいいの? ぜんぜんちがう色なのに
父親:ああ、絵は自由だ。 自分だけの世界だからな
父親:だから——自分の好きなように描けばいい
幼い絵名:…………
幼い絵名:(自分だけの、世界——)
幼い絵名:(じゃあ、この絵はお父さんの世界なのかな)
幼い絵名:(すっごくきれいで、ふしぎ……)
幼い絵名:(次は、どんな色にぬるのかな。 あの枝に止まってる鳥はどんな風になるんだろ……!)
絵名:(——あの頃、絵を描くお父さんの手が なんだか魔法みたいに見えたっけ)
絵名:(あの頃の手を……)
絵名:(その手を、ずっと見てたから——)
絵名:(私は、画家に憧れたんだ)
絵名:(あの時見た手は、すごく大きくて…… キラキラ輝いてたな)
絵名:(でも……そのまま描くとちょっと違うかも。 大きなキャンバスに——世界を創っていく 魔法みたいなイメージだから……)
絵名:(…………あの時の私には、どう見えてたかな)
絵名:(あの手を——どう表現するだろう)
絵名:(……キャンバスいっぱいに大きくて……)
絵名:(ああ、ちょっとブレちゃったな)
絵名:(……でもいいか。そっちの方が私らしいし)
絵名:(キラキラした色は—— 太陽の光と、あの時お父さんが描いてた木の色を乗せて 緑じゃなくて……赤が走って――)
絵名:(ん……色が混ざっちゃった)
絵名:(でも——この方が魔法っぽい感じが出ていいかも)
絵名:(……絵は自由なんだしね)
絵名:(——私の好きなように描こう)
絵名:(そうだ。あえて色が混ざる感じで、たくさん塗り重ねて……)
絵名:(……うん、もっとたくさん塗ろう。 いろんな色で、キラキラになるように——)
絵名:(————楽しい)
絵名:(楽しいな……)
絵名:(もっと、描きたい)
絵名:(……完成してほしくないな)
絵名:(このまま、ずっと、一生……描いてたい)
絵名:(もっと————)
ミク:『……絵名、楽しそうだね』
KAITO:『——ああ』
KAITO:『……あいつなりの答えは出たみたいだな』
ミク:『……どんな絵になるか、楽しみだね』
雪平:——時間です。 筆を置いてください
絵名:…………っ
雪平:皆さん、お疲れ様でした。 作品を前へ持ってきてください
絵名:…………終わった……
絵名:…………
絵名:…………楽しかったな……

第 8 话:決意のために

翌日
絵名:——おはようございます
二葉:あ……絵名ちゃん、おはよう!
二葉:コンクールの結果が出たみたいだよ。 まだ私も見てないんだけど……
絵名:そうなんだ……
絵名:——じゃあ、一緒に見に行かない? みんながどんな絵を描いたのか気になるし
二葉:……うん、行こう! こっちだよ
絵名:(——大丈夫)
絵名:(今回の絵は……出せたと思う)
絵名:(私にとっての手、私の見た世界を)
絵名:(だから、きっと…………)
絵名:……あ……
絵名:(C評価……)
絵名:そっか……
絵名:…………そっか
雪平:……夏野さん、東雲さんを見ませんでしたか?
二葉:え、絵名ちゃんですか? えっと……
二葉:あれ? いないですね。 さっきまでいたんですけど……
雪平:…………
雪平:——東雲さん
絵名:あ……
絵名:え、先生。どうして……
雪平:面談の時間だったので、探していました
絵名:あ、そっか……
絵名:あはは、すみません。 ちょっと外の空気を吸いたいなって思って
雪平:何を考えていたんですか?
絵名:えっと……
絵名:……コンクールのことを、ちょっと考えていて
雪平:ああ、あの絵ですね
絵名:はい
絵名:……私、すごく楽しかったんです
絵名:今まで、絵を描くのは しんどいことも多かったんですけど
絵名:今回は本当に、本当に楽しくて——
絵名:先生のおかげで全力を出せたし、 納得のいく絵を描けたなって思うんです
絵名:だから、すっごく満足してて……!
雪平:そうですか
絵名:はい! でも……
絵名:でも……あれが、私の全部だったから
絵名:それでも、Bにも届かないのなら—— やっぱり無理なのかもなって
雪平:無理、とは?
絵名:……私……
絵名:————東美に、行きたいって思ってたんです
絵名:日本一の場所で、絵を学びたいって……思ってて
絵名:でも……っ
絵名:でも、東美を目指してる人達は、 私よりも、ずっといい絵が描けて——
絵名:だから、コンクールで結果を出せるくらいにならなきゃって 思ってたんですけど
絵名:全力を出しても、C評価で
絵名:やっぱり……
絵名:…………っ
絵名:……っでも、……でも……!
絵名:それでも、東美に行きたいんです……!
絵名:無理だって思うけど、 私なんかが目指してもって、思うけど……っ
絵名:諦めたく、ないんです……っ!
雪平:……たしかに、東美を目指すには実力が足りませんね
雪平:ですが——
雪平:あの絵には、間違いなく あなたの世界が描かれていた
絵名:……!
雪平:絵の技術はすべて理論で説明できるとお話ししましたね。 また、理論では測れない絵の魅力というものがあることも
雪平:評価点は、理論に基づいてしかつけようがありません。 ですが、どれだけ人の心に届く絵なのかは、また別の評価です
雪平:そして東美の受験では、 理論以外の評価もまた大事になります。すなわち——
雪平:東雲さんが自身の武器をさらに磨いていけるなら、 東美に合格する可能性はゼロではない——
雪平:私は、そう思います
絵名:え……
雪平:もちろん、今の東雲さんには足りないものが多すぎる。 現時点のC評価は、そのことを示しています
雪平:それでも、東雲さんが進みたいのならば——
雪平:私は、辿り着くために必要なものを伝えていきます
絵名:先生……
雪平:さて……どうしますか?
絵名:よろしく、お願いします……!
絵名の部屋
絵名:(東美に行きたいって思ってたけど、 ずっと踏ん切りがつかなかった)
絵名:(今はまだ、実力がないからって 自分に言い訳して)
絵名:(でも——決めた)
絵名:(私は、東美を目指す)
絵名:(きっと、たくさん挫折する。 実力がないことが、もっと嫌になる)
絵名:(でも……今より本気で、絵と向き合いたいから)
絵名:(だから——)
絵名:あ……
SNSコメント:『えななん、最近更新ないな』 『この間の写真めっちゃ可愛かった!』
絵名:(……苦しくなると、自撮りに逃げちゃう癖。 やっぱり、なかなか変えられないな)
絵名:(今回だって、何度もそうなりかけたし……)
絵名:(でも……)
絵名:(今まで以上に本気でやるんだから——)
絵名:(もう、終わりにしなきゃ)
絵名:(もう……)
絵名:…………………………はぁ
絵名:……なくなっちゃった
絵名:なんか、こうやってみると一瞬だな
絵名:(でも……よかった)
絵名:(…………もうこれで、逃げなくてすむんだ)
絵名:——今まで、ありがとね
絵名:さてと、そろそろ時間だし…… ニーゴの作業しよっかな
絵名:『みんな、もういる?』
瑞希:『えななんえななんえななん!!!』
絵名:『ちょ、うるさ! 何、落ち着いてよ』
瑞希:『ねえ、アカウント乗っ取られてない!? 消えてるよ!?』
絵名:『え、もう気付いたの? 早くない?』
瑞希:『えっ!? どういうこと!?』
まふゆ:『アカウントって自撮りの方? 絵のやつは残ってるけど』
奏:『あれ、本当だ。消えてるね』
奏:『何かあったの?』
絵名:『あー……うん。 そんなに大したことじゃないんだけど』
絵名:『実は、東美を目指すことにしたんだ。 だからね——』