活动剧情
新年言祝ぐ、祈りの舞
活动ID:191
第 1 话:鬼を祀る神社
年末
モアモアハウス 練習部屋
みのり:よいしょっと……!
みのり:——うん! みんなー! 床の雑巾がけ、終わったよ~!
斎藤:お疲れ様です、みのりちゃん
斎藤:わ……すごい! どこもかしこもピカピカですね!
みのり:えへへ、がんばりました!
遥:こっちも、リビングはひと通り片付いたよ
雫:私も、窓と鏡を拭き終わったわ。 愛莉ちゃんのほうはどうかしら?
愛莉:ふふ。玄関も、チリひとつないわよ!
斎藤:では、これでモアモアハウスの大掃除は終了ですね。 皆さん、今年もお疲れ様でした!
みのり:お疲れ様でした!
愛莉:最近はLUMINA FORUMのレッスンルームを 使うことが多かったけど…… やっぱり、ここにくると落ち着くわね
雫:ええ。年が明ける前に、ちゃんとお掃除できてよかったわ
斎藤:それにしても、あっという間の1年でしたね。 だいぶ濃かったといいますか……
雫:ふふ、本当ね
遥:けど、まだ終わってないよ。 LUMINAグランプリは、決勝ステージまで インターバルがあるけど——
遥:その分、MORE MORE JUMP!としての 活動に力を入れていかないと
愛莉:ええ! 特に直近のアレは、 ファンのみんなも楽しみにしてくれてるでしょうしね?
斎藤:あ、それって年明けのお正月配信のことですか?
遥:はい。LUMINAグランプリで、 いつもみたいに配信できてなかった分、 今回は特に気合いを入れようと思って
遥:だから、それぞれできるだけ たくさんの案を持ち寄ることにしたんです
遥:ミーティングは明日だけど…… みんな、準備は大丈夫そうかな?
雫:いくつかアイディアは用意できたわ。 でも、まだ思い浮かぶかもしれないから、 ギリギリまで考えてみるつもりなの
愛莉:わたしも同じくって感じね。みのりはどう?
みのり:わたしも何個か用意できたよ!
みのり:あと——面白いアイディアが浮かびそうな場所を 見つけたから、下見に行ってこようと思うんだ!
愛莉:下見……?
1時間後
センター街
冬弥:——すっかり俺の買い物に付き合わせてしまったな。 退屈じゃなかったか?
リン:『うん! お正月のショッピングモール、 いつもと雰囲気が違って面白かったな~』
リン:『あと、お正月遊びのおもちゃも いろいろ買えたし!』
冬弥:年の初めは、セカイでパーティーをすると言っていたからな
冬弥:みんなさえよければ、一緒にやってみよう
リン:『うん! 早くお正月にならないかな~』
リン:『あ、そういえば……今年はみんなで初詣に行ったりするの?』
冬弥:その予定だ
冬弥:世界を獲るという目標もあるからな。 チーム全員で、改めて気持ちをひとつにできればと思う
リン:『いいね! みんなでバシッとお参りしちゃお!』
???:——あれ? もしかして、青柳くん?
みのり:やっぱり青柳くんだ! こんにちは!
冬弥:花里……? 久しぶりだな
みのり:うん! 青柳くんはお買い物中?
冬弥:ああ、ちょうどさっき終わったところだ。花里は?
みのり:わたしは、神社に行くんだ!
冬弥:神社?
みのり:うん! お正月配信のアイディアを集めるために、 鬼を祀ってるっていう神社に行こうと思って!
冬弥:鬼を祀っている神社……それは珍しいな
冬弥:一般的に、鬼は忌むべきものとして扱われることが多いが……
みのり:そう! わたしもそう思ってたんだ!
みのり:でも、その神社で祀ってる鬼は、いい鬼なんだって
冬弥:というと……?
みのり:えっとね、その神社に伝わる言い伝えなんだけど——
みのり:昔、大きな災害があったときに、 鬼が助けてくれたおかげで、 その地域の人達はみんな無事だったんだって
冬弥:なるほど……。 そういう言い伝えがあるなら、鬼が祀られるのも納得だな
みのり:でしょでしょ? それに、お正月には毎年、 鬼に感謝するお祭りもやってるんだよ
冬弥:祭りまであるのか?
みのり:うん! 『鬼姫祭り』っていうんだけど——
みのり:屋台がいっぱい出たり、あとは~……あ! みんなでお神輿を担いだりするんだって!
冬弥:神輿……!
みのり:うん! だから見てくれる人も 楽しんでくれるんじゃないかなって!
みのり:あ、一般の人の顔が映っちゃうから、 お神輿の配信はできないかもだけど……って、あれ?
みのり:もしかして青柳くん、お神輿好きなの?
冬弥:ああ、いや……少し興味があるだけだ。 今まで、遠目にしか見たことがなかったからな
みのり:そうだったんだ! お神輿って、たくさんの人が一緒に担ぐんだよね
みのり:すっごく迫力があるけど……実際にやったら、 どんな感じなんだろう? やっぱり重たいのかな?
冬弥:そうだな。もし経験できるなら、やってみたいが……
冬弥:しかし、担ぎ手は誰でも参加できるんだろうか?
みのり:う~ん、どうなんだろう……
みのり:あ、それなら、青柳くんも一緒に行ってみる? 神社の人に話を聞けるかも!
冬弥:なるほど。 花里がよければ、同行させてもらおう
リン:『鬼の神社に、お神輿かあ……』
リン:『なんだか面白そうだし、わたしもついてっちゃお!』
みのり:えっと、こっちの角を曲がって——あ、あった!
みのり:じゃーん! ここが鬼を祀る神社、鬼姫神社だよ!
冬弥:ここが……。一見すると、普通の神社のようだが……
冬弥:この灯篭……鬼の顔が彫られているな
みのり:こっちにも、鬼の石像があるよ!
みのり:やっぱり鬼を祀ってるから、関係するものがいっぱいあるね
???:——こちらへの参拝は初めてですか?
神主:失礼しました。 私はこの神社で、神職をつとめさせていただいております
神主:もし何かご案内が必要なことがあれば、 いつでもお声がけくださいね
冬弥:はい、ありがとうございます
みのり:あ……! さっそくなんですけど、 いくつかお伺いしてよろしいでしょうかっ!?
神主:ええ、もちろん
みのり:ありがとうございます!
みのり:もしよければ、この神社のお祭りを配信で 取り上げたいなと思っているんですが——
冬弥:いろいろと話を聞かせてもらえて、助かったな
みのり:お神輿のことも聞けてよかったね! 一般の人も担げるって言ってたし
冬弥:ああ。なかなかない機会だし、参加してみたいと思う
みのり:そっか。がんばってね、青柳くん!
みのり:(……やっぱりこの神社、いいなあ)
みのり:(地元の人に大切にされてて、 お祭りも毎年盛り上がるみたいだし——)
みのり:(他にはない特別なお神輿もあるって言ってたから、 お正月配信でも、いつもとは違う色を出せそう!)
みのり:(……うん! ここでやるのはどうかって、 みんなに提案してみよう!)
みのり:あれ……?
女の子:…………
みのり:(……あの子……)
冬弥:花里? どうかしたのか?
みのり:あ、えっと……! あそこにいる、着物の女の子がちょっと気になって
みのり:じっとこっちを見てるけど、 もしかして何か困ってるのかなって……
冬弥:……たしかに、大人が傍にいる様子でもないな
冬弥:念のため、声をかけてみよう
みのり:うん!
みのり:えっと、こんにちは……!
女の子:……なに?
みのり:え!? あ、えっと、その……
冬弥:いきなり声をかけてすまない。 もし、何か困っていることがあれば——
女の子:わたし、迷子じゃないよ
みのり:そっか、それならよかった! こっちをじっと見てたから、何かあったのかなと思って……
女の子:……さっき、お祭りの話をしてたから
女の子:あなた達も、来るの?
みのり:え……? う、うん! 来たいなって思ってるよ!
みのり:あなたはここの神社のお祭り、よく来てるの?
女の子:わたしは、毎年来てるよ
冬弥:毎年……それはすごいな
みのり:ここのお祭りが大好きなんだね!
女の子:……うん
女の子:でも、最近……お祭りに来る子供が減ってるの。 みんな、鬼が怖いみたい
女の子:仕方ないとは思うけど……少しだけ、寂しい
みのり:あ……
みのり:(そっか……鬼の神社だから、小さい子は来づらいのかも……)
みのり:(大好きなお祭りなのに、 同い年くらいの子達がいないのは、寂しいよね……)
みのり:——それなら、わたしに任せて!
第 2 话:広がる協力の輪
翌日
モアモアハウス
みのり:——この鬼姫神社のお祭りを、 お正月配信で取り上げるのはどうかな!?
遥:鬼が祀られてる神社か……
雫:人間を助けてくれる鬼の神様なんて、素敵ね
愛莉:それに、境内もお神輿も普通の神社とは ちょっと違って、みんな興味を持ってくれそうね。 いいんじゃないかしら?
みのり:本当!?
遥:…………
遥:私も面白そうだと思うけど…… 少し、考えたほうがいいかもしれない
みのり:え?
遥:……LUMINAグランプリのおかげで、 私達のチャンネルへの注目度も上がってるでしょ?
遥:配信で特集することで、 お祭りに予想以上の人が詰めかけたら…… 神社や一般のお客さんに迷惑がかかるかもしれないなって
みのり:あ……
遥:それにさっきみのりは、神社にいた女の子のために—— 子供達がお祭りに来たくなるようにしたいって言ってたよね
遥:だったら、不特定多数の人が集まる配信より、 もっと他の方法がいいんじゃないかって思うんだ
愛莉:たしかにそうね……
みのり:うん……
遥:今回の配信は、他のアイディアを練るとして——
遥:それとは別に、その女の子に 希望を届けられないか考えようよ
雫:……ええ! 私も、何かできることがないか考えてみるわ
愛莉:そうね。また別の日に、作戦会議しましょ
みのり:みんな……! ありがとう~!
みのり:(わたしも、あの子のために 何ができるか考えなくちゃ!)
みのり:(まずは、子供達の『鬼が怖い』って気持ちを どうにかしなきゃだよね……!)
みのり:えっと……
carino/carina
司:——なるほど。 それで、このオレが呼ばれたというわけか
冬弥:はい。神社に子供達を呼ぶためには 鬼に対する恐怖心を取り除く必要があるのですが——
冬弥:それにはやはり、常日頃から人々を笑顔にするショーをしている 司先輩にお願いするのが一番だと思ったんです
司:ふむ、それには同感だな! 未来のスター・天馬司にふさわしい依頼だ!
みのり:司さん、よろしくお願いします……!
みのり:青柳くんも、ありがとう。 協力してくれて……!
冬弥:俺も、あの子の願いを聞いたからな。 これも何かの縁だ
司:それに、このオレもいるのだからな! 子供達も満面の笑顔になることだろう!
司:ちょうど獅子舞ロボに、 活躍の機会をやりたいと思っていたところだしな
冬弥:獅子舞ロボ……?
みのり:あ……! 前に、山の上で一緒にショーをしてた子ですか!?
司:その通り! 正月といえば獅子舞だからな
司:オレと獅子舞ロボで、 子供達が鬼に親しめるようなショーをやってみせよう
みのり:ありがとうございます! 子供達も、絶対喜んでくれると思いますっ!
司:礼には及ばん! 最近はあまり観客と近い距離でショーをやることも なかったからな
司:オレのほとばしるスター力で、 当日は観客達を釘付けにしてみせよう!
冬弥:それは楽しみですね……!
咲希:——はい! ご注文のコーヒーと、季節のフルーツパフェでーす♪
みのり:あ、咲希ちゃん!
司:おお、ありがとう咲希!
咲希:どういたしまして! みんな、なんの話してたの?
みのり:えっとね、子供達に鬼が怖くないって思ってもらえるために 何ができるかなあって考えてて…… 司さんにショーをしてもらおうってことになったんだ!
咲希:そうなんだ! お兄ちゃんなら適任だね♪
司:おう、任せておけ!
冬弥:しかし……当日は司先輩にショーをやってもらうとして、 もっとできることはないだろうか
みのり:えっ?
冬弥:ああ、いや……楽しいショーを見たいという気持ちで 来てくれる子達は多いと思う
冬弥:しかし、そもそも鬼が怖いと思う子達は ショーだけで来てくれる保証はないのではと思ったんだ
みのり:あっ、そっか……!
司:ふむ、たしかにな
咲希:だったら、絵本の読み聞かせとかはどうかな?
冬弥:読み聞かせ、ですか?
咲希:うん! 昔、ほなちゃんが読んでくれた絵本に、 鬼と人間の子供が仲良くなるお話があったんだ!
咲希:読み聞かせのコツなら、ほなちゃんとねねちゃんが 詳しいからいろいろ聞けそうだし!
みのり:そっか。絵本なら、子供達にもわかりやすく 鬼は怖くないって伝えられるかも……!
冬弥:そうですね……!
みのり:そういえばこの前、鬼姫神社に行ったとき—— 近くの公園に張り紙がしてあったんだ! 子供達向けに、レクリエーション大会をやるって
みのり:そこで絵本を読ませてもらえたら、 近所の子供達もいっぱい来てくれるんじゃないかな!?
司:なるほど……イベントの主催者に許可を取る必要があるだろうが、 それなら、たしかに可能性があるな
咲希:うんうん! ナイスアイディアだよ、みのりちゃん!
みのり:咲希ちゃんもありがとう! すっごくすっごく助かったよ!
みのり:それじゃあ、さっそく穂波ちゃん達に相談しよう!
穂波:読み聞かせのコツ……
みのり:うん! わたし達に教えてもらえないかな?
冬弥:子供達が楽しく集中して聞けるようにしたいんだ
穂波:わたしでよければ、喜んで
寧々:わたしも協力するよ。 ちょっと面白そうだし、それに——
穂波:あの……もしよかったら、読み聞かせに わたし達も参加させてもらえないかな?
みのり:えっ!?
寧々:絵本の内容も楽しそうだし——前に望月さんと、 また読み聞かせをやってみたいねって言ってたから
穂波:うん! もしふたりがよければだけど、 お手伝いさせてほしいな
みのり・冬弥:『よろしくお願いしますっ!』 『よろしくお願いします』
第 3 话:応援を力に
ストリートのセカイ
crase cafe
彰人:——神社の祭りに子供を集める、か
杏:冬弥ってば、そんな面白そうなことやってるんだ!
こはね:司さんのショーに、草薙さんと穂波ちゃん達の読み聞かせ……
こはね:いいなあ、すっごく楽しそう……!
リン:だよねだよね! これなら、子供達も絶対来たくなっちゃうよ!
冬弥:最初は、俺と花里のふたりだけだったんだが——
冬弥:想定よりたくさんの人に協力してもらえることになって、 かなり大掛かりになりそうだ
冬弥:だが……
冬弥:……事前に相談できず、すまない。 練習には、絶対に穴を開けないようにする
彰人:そこは心配してねえから気にすんな
KAITO:でも、冬弥くんも、そのみのりちゃんって子もすごいね
冬弥:え?
KAITO:寂しがってる女の子のためだっていっても…… そこまでいろんな企画をするなんて、 なかなかできることじゃないよ!
リン:うんうん! わたしもびっくりしちゃった!
リン:けど……同じくらい、ほっとしたかも
冬弥:ほっとした……?
リン:あの子の話を聞いたとき、ちょっと想像しちゃったんだ。 『大好きなイベントに、みんなが来てくれなかったら』って
リン:そしたら、わたしも胸がぎゅっとしちゃって…… なんとかできないかなあ、って思ってたの
リン:だから——ありがとう。 冬弥くん!
リン:大変かもしれないけど、わたしも応援してるからね!
冬弥:——ああ。それは心強いな
杏:じゃあ、私達も当日は応援しに行こっか!
こはね:そうだね。 お祭りも楽しそうだし、見てみたいな
KAITO:たしか、お神輿もあるんだっけ?
冬弥:はい。一般参加もできるということだったので、 俺も担いでみたいと思っています
杏:いいね! っていうか、一般参加できるなら私達もやらない? お神輿を担ぐなんてなかなかないし!
彰人:オレはやらねえぞ
杏:ええ~。ノリ悪いなあ
KAITO:彰人くん、絶対そういうの得意だと思うんだけどな
彰人:いや、どういうイメージですか
冬弥:俺はもともと興味があったから参加するが、 みんなは無理しないでくれ
冬弥:ただ……神輿は装飾も華やかだそうだから、 見るだけでも楽しめると思うぞ
彰人:ん。まあ、見るだけだったらな
こはね:ふふ。私は、みんなの写真をいっぱい撮るね!
杏:よろしくね、こはね!
杏:——あ、そうだ! せっかくなら、初詣もその神社に行っちゃう?
冬弥:いいかもしれないな。 これも、縁や巡りあわせだ
冬弥:それに、雰囲気のいい神社だったからな。 みんなにも紹介したい
彰人:じゃあ、今年はそこにするか
こはね:うん!
リン:——えへへ。なんだか、すっごくご利益ありそうだね!
冬弥:そうだな
モアモアハウス
みのり:それで、お祭りの前日に絵本の読み聞かせをやって—— 当日は、神社の境内でショーをやることになったんだ!
みのり:咲希ちゃんと志歩ちゃん、それにえむちゃんも 宣伝とか子供達の誘導をお手伝いしてくれることになって!
雫:まあ……! こんなに短期間で、そこまで決まったのね
愛莉:いいじゃない! 聞いてるだけでワクワクしてくるわ
雫:そうだわ。私達もそれぞれ、何ができそうか考えてきたの
雫:私は、来てくれた子達に お土産を用意しようと思うんだけど……
みのり:お土産?
雫:ええ。鬼のシルエットを刺繍した、 ハンカチなんかはどうかしら
遥:それなら、私は雫を手伝おうかな
遥:もともと、鬼に関係するプレゼントを 用意できないか考えてたから
みのり:わあ……! すっごく素敵だと思いますっ!
雫:そうだ。せっかくなら、朝比奈さんと瑞希ちゃんにも 声をかけてみようかしら
遥:そうだね。 もし協力してもらえたら、心強いな
愛莉:ふたりはお土産を担当するとして…… わたしは、どうせなら子供達の前で何かしたいと思ってたのよね
愛莉:でも、天馬くんがショーをやるなら、 そっちに合流させてもらおうかしら
愛莉:前に遊園地でショーをやったときも、 子供達が大喜びしてくれたもの
みのり:愛莉ちゃん……! ありがとう!
遥:ふふ、楽しいお祭りになりそうだね
雫:私も楽しみだわ
みのり:うんっ!
みのり:(みんなが手伝ってくれるんだし、わたしも頑張らなきゃ)
みのり:(あの子が、笑顔になれるように!)
第 4 话:準備は賑やかに
ミシンラウンジ
瑞希:——じゃじゃーん! どう? ピンクの鬼!
雫:ふふ、とってもかわいいわね
まふゆ:へえ。ツノの根元に、リボンがついてるんだ
遥:いいね。いろんな種類から選べた方が 子供達も楽しんでくれそうだし…… こういうバリエーションも、もっと増やしてみようか
瑞希:わーい、やったー♪
瑞希:それにしても、またこのメンバーで 刺繍やれるなんて嬉しいな~
まふゆ:うん。声をかけてくれてありがとう、ふたりとも
雫:私達のほうこそ、協力してもらえてすごく助かってるわ
遥:お祭りに来てくれた子全員に ハンカチを配るとなると、かなりの数になりそうだったしね
みのり:——皆さん、お疲れ様ですっ!
冬弥:差し入れを持ってきました。 よければ、どうぞ
瑞希:わっ、お菓子だ! おいしそ~
まふゆ:ありがとう。 後で、みんなでいただくね
みのり:もうこんなに出来てる……! どの鬼もすっごくかわいい~!
雫:ありがとう。シルエットで可愛さが伝わるように、 図案をみんなで考えたのよ
冬弥:刺繍の縫い目も美しいですね。 これがすべて手作業とは……
瑞希:冬弥くんも、やってみたらできそうだけどね。 前に衣装チームで、裁縫もやってたし!
冬弥:いや、さすがにここまで高度なことは難しそうだが……
雫:簡単なステッチばかりを使ってるから、 実はそんなに難しくないのよ。 よかったら、少しやってみない?
冬弥:そうなんですか? それなら……挑戦してみたいです
みのり:はいはい! わたしもやってみたいです!
雫:じゃあ、まずは好きな色の刺繍糸と ハンカチを選ぶところからね
冬弥:わかりました
リン:『……ふふ、冬弥くん楽しそう! 準備も順調みたいだね♪』
寧々:じゃあ、まずは花里さんから練習していこうか
みのり:はいっ!!
みのり:『ねえ、あなた、ふもとの村に住んでる子でしょ? 私と一緒に遊ぼうよ!』
穂波:わ……すごく感情がこもってるね。 鬼の女の子の、友達になりたい気持ちが伝わってきたよ
寧々:うん。でも、体の動きは抑えたほうがいいかな
寧々:あんまり派手に動くと、 読み聞かせじゃなくて劇になっちゃうから
みのり:うう~……気持ちを込めようとすると、 勝手に動いちゃって……気をつけます!
寧々:それじゃあ、次は青柳くんだね
冬弥:ああ、わかった。鬼を見つけた村人の役だな
冬弥:『おにがきたぞー』
穂波:ええっと……
穂波:も、もうちょっと気持ちを込めて読んでみるといいかも……?
冬弥:気持ちを込める……
冬弥:……難しいな。 自分なりに、状況をイメージして読んでいるつもりなんだが……
寧々:なるほど……。 ちょっとやり方を変えてみたほうがよさそうだね
寧々:じゃあ——身近な人が、こういう時に どんな風にしゃべるかを想像しながらやってみるのはどう?
冬弥:身近な人?
寧々:うん。お手本があると、 声のトーンとか抑揚も想像がつきやすいかなって
寧々:例えばだけど……司とか?
冬弥:なるほど、司先輩のように……
冬弥:——わかった。やってみよう
冬弥:『オニガ、キタゾオ!』
寧々:だいぶ良くなったけど…… 今度は、ちょっと力が入りすぎかな……
寧々:ごめん、わたしの例があんまりよくなかったかも
冬弥:いや、俺が司先輩になりきれなかったのが悪かったんだ。 もう一度やらせてくれ
冬弥:力を抜いて…………
冬弥:『鬼が……来たぞ……!』
リン:(冬弥くん、がんばれ~~!)
司:『おのれ、獅子舞め……! どこへ行った!?』
愛莉:『毎回、鬼の縄張りまで堂々と入り込んできて……! 今日という今日は許さないわ』
司:『ああ! 見つけ次第、さっさと追い出して——』
獅子舞ロボ:『ガブガブガブッ!』
愛莉:『ちょっと! 後ろから奇襲なんて卑怯よ!』
司:『しかし、ここで会ったが百年目! 今日こそは絶対に勝負をつけてやるぞ!』
類:——そこまで
類:いいね! ふたりとも、想像以上の出来だよ
司:ハッハッハッ、そうだろう……じゃない! さっきの獅子舞の奇襲は、打ち合わせと違うだろうが!
愛莉:あ、やっぱりそうよね? とっさにそのまま続けちゃったけど……
類:フフ、戦闘の迫力を追求したくてね。 ふたりにぶつからないように 獅子舞ロボの動きは計算しているから、安心してほしいな
類:それにしても、素晴らしいね。 特に桃井さんのアドリブは見ごたえがあるよ
愛莉:ありがと。バラエティなんかをやってると、 その辺りが鍛えられるのよね
司:ああ、あれにはオレも驚いたぞ! さすがだな、桃井愛莉!
愛莉:もう、だからなんでフルネームなのよ!
類:しかし……この出来を見るに、 もっと大胆な演出を加えてみてもいいかもしれないね
愛莉:大胆な演出?
類:そうだね、たとえば神社の池の中から ふたりが水しぶきと共に飛び出すとか——
司・愛莉:『できるわけあるか!』 『できるわけないでしょ!』
みのり:おおお~……司さんと愛莉ちゃん、息ぴったりだね
冬弥:ああ。どんなショーになるか、楽しみだな
第 5 话:最後の願い
神社
みのり:——それで、当日お祭りに来てくれた子達に、 刺繍入りのハンカチを配りたいなと思ってるんです
冬弥:もしご迷惑でなければ、どこか境内のスペースを お借りすることはできるでしょうか?
神主:なるほど……
神主:そういうことであれば、社務所のほうでお預かりして 神社の者から子供達に配らせていただく、 というのはどうでしょうか?
みのり:え……! で、でも……
冬弥:俺達は助かりますが……ご負担になりませんか?
神主:いえいえ。例年、甘酒などを配るために お祭りの当日は人を増やしていますから、そのついでです
神主:それに……子供達に喜んでもらえれば、 私達としても嬉しいですから。 是非、やらせてください
みのり:ありがとうございます!
みのり:絶対うまくいくように、頑張ります!
神主:どうぞよろしくお願いします。 では、私はこれで
みのり:神主さんも、協力してくれるって! よかったね~!
冬弥:ああ。みんなも頑張ってくれているし、 俺達も本番まで全力を尽くそう
みのり:うん! 子供達がいっぱい来てくれるといいな
みのり:そうしたら、きっとあの女の子も……あれ?
女の子:…………
みのり:——あの着物の子……あの子だ!
冬弥:本当だな。 せっかくだし、状況を知らせておこう
みのり:うん! おーい!
みのり:——それでね、いろんな人が協力してくれることになったんだ!
みのり:だから、今年は子供達もいっぱい来ると思うよ! あ……たぶんだけど!
女の子:……そこまでしてくれたんだ
冬弥:ああ。約束したからには、全力を尽くすつもりだ
女の子:そっか……
女の子:……子供達、たくさん来てくれそうだね。 ありがとう
みのり:(今、少し笑ってくれたけど、なんだか……)
みのり:もしかして、何か気になってることとか……ある?
女の子:え?
みのり:えっと、変なこと聞いちゃってたらごめんね! でも……
みのり:まだちょっと、寂しそうな感じがしたから……
女の子:……言っても無駄だよ。 これは、どうしようもないことだから
冬弥:どうしようもない……?
みのり:(……何か事情があるのかな?)
みのり:(でも、もしかしたら—— あんまり色々聞かれたくない話なのかも)
みのり:(……だけど……)
みのり:ここのお祭りが大好きなんだね!
女の子:……うん
みのり:……よかったら、聞かせてもらえないかな?
女の子:え?
みのり:(余計なお世話かもしれないけど——)
みのり:(大好きなお祭りなんだもん。 この子が、心から笑える日になってほしい……!)
女の子:…………
女の子:ここのお祭りでは——その昔、とある演舞をしてたの
冬弥:演舞?
女の子:そう。鬼の神に捧げるための舞で、すごく綺麗だったんだ
女の子:でも、いろいろあって一度途絶えて以来…… 行われなくなったの
女の子:それを……もう一回見てみたかったんだ
冬弥:神社で行われる演舞というと、 奉納舞のようなものだろうか?
女の子:そう。ただ、一度途絶えてからは どんどん忘れられていって…… 今はもう踊れる人もいないんだ
女の子:だから……どうしようもない
冬弥:…………
みのり:あ、あの……!
みのり:その演舞って——わたしにもできるかな!?
鬼姫祭り 前日
乃々木公園
咲希:絵本の読み聞かせ会、間もなくはじまりまーす!
えむ:かわいい鬼さんのわっくわくなお話だよ~!
志歩:……みんな、よかったら聞いていってね
子供達:絵本だって! 帰る前に聞いてく?
子供達:かわいい鬼さんって言ってたし…… 怖くないなら、聞いていこうかな
咲希:えへへ、それでは2名様、ご案内でーす♪
志歩:カフェのバイトじゃないんだから…… でも、思ったよりたくさん集まってくれてよかった
えむ:うんっ♪ 呼び込み作戦、大成功だね!
みのり:わあ……お客さんがいっぱいだね
冬弥:咲希さん達が、子供達に声かけをしてくれたおかげだな
寧々:すごい……。 みんなちゃんと、大人しく座ってくれてる
穂波:あはは……
みのり:よーし! お祭り当日にも来てもらえるように、 がんばるぞー!
冬弥:……リン? どうしたんだ?
リン:『冬弥くんの応援に来たんだ!』
リン:『いっぱい練習してたし、きっとうまくいくよ!』
リン:『わたしもこっそり聞いてるから、頑張ってね!』
冬弥:……ああ、ありがとう
鬼の女の子:『ねえ、あなた、ふもとの村に住んでる子でしょ? 私と一緒に遊ぼうよ!』
村の子供:『で、でも……あなた、鬼なんでしょ?』
村の子供:『村の大人達が言ってたの。 鬼は人をさらって食べちゃう、怖いモノだって……』
鬼の女の子:『ええ!? そんなことしないよ!』
村の子供:『でも……絶対、遊んじゃダメって言われるし……』
鬼の女の子:『うーん、どうしたら信じてもらえるのかなあ……。 あ、そうだ!』
村の女性:『……あら? いつの間にか、掃除が終わっているわ』
村の男性:『壊れていたはずの桶が、直っている…… しかし、一体誰が?』
鬼の女の子:『こうやって、村の人のお手伝いをしたら、 鬼は怖くないってわかってもらえるでしょ?』
村の子供:『うん……! お手伝い、わたしも一緒にやるよ』
鬼の女の子:『本当? ありがとう!』
村の子供:『それでね。お手伝いが終わったら…… お花のかんむり作ったり、追いかけっこして遊ばない?』
鬼の女の子:『……! うん、一緒に遊ぼう!』
子供達:この鬼さん、いい子なんだね
子供達:ね! みんなと仲良くなれるといいなあ
村の男性:『お前、その頭の角は……』
鬼の女の子:『あ……! 違うの! 私はただ……』
村の男性:『鬼が来たぞ……! みんな家に逃げ込んで、戸を閉めるんだ!』
村の子供:『——待って!』
村の女性:『ダメよ、早く逃げないと……』
村の子供:『ずっと、村のみんなのお手伝いをしてたのは、その子なの!』
村の子供:『それに——その子は、わたしのお友達なんだから!』
鬼の女の子:『あ……』
村の男性:『鬼が、我々の手伝いを……?』
ナレーター:『——勘違いがわかったあと、 村の人達は鬼の女の子に謝って、 いつでも村へ遊びにきてほしいと言いました』
ナレーター:『こうして、鬼の女の子と村の子供は、 ずっとずっと仲良しのお友達でいられることになったのです』
みのり:めでたし、めでたし!
子供達:たのしかった~!
子供達:わたしも、鬼さんと遊んでみたいな……!
穂波:じゃあ、みんなも鬼さんとお友達になってくれる?
子供達:『なりたーい!』
みのり:明日、この近くの神社でお祭りがあるんだ! 来てくれたら、鬼さんに会えるかもしれないよ!
冬弥:楽しい催しもあるから、よかったら来てみてくれ
リン:(……読み聞かせ、うまくいったみたい!)
リン:(これなら、明日のお祭りもいっぱい来てくれそうだね! 楽しみだな……!)
第 6 话:祭りの夜
鬼姫祭り 当日
リン:『わー! すごい、人がいっぱいだ!』
冬弥:そうだな。見たところ、かなり賑わっているようだ
冬弥:それに、何より——
子供A:見て見て! かわいいハンカチもらっちゃった!
子供B:オレももらった! 鬼さんがついたやつ!
冬弥:……子供達がたくさん来てくれて、本当によかった
リン:『冬弥くん達が、いっぱい頑張ったからだよ!』
冬弥:ありがとう。 本当にたくさんの人に協力してもらえたおかげだ
冬弥:それに、リンの応援にも励まされた
リン:『えへへ。ホントに応援だけだけどね~』
リン:『でも、まだ終わりじゃないんだよね! みのりちゃん、あの子のために演舞をやるって言ってたし!』
冬弥:ああ、俺もまだ見ていないが—— 短い期間で、かなり頑張って 練習していたようだから、楽しみだ
リン:『あの子も、喜んでくれるといいね!』
???:——あ、冬弥! 見つけた!
彰人:よう
こはね:お疲れ様、青柳くん
冬弥:みんな、来てくれたのか
彰人:ああ。軽くその辺まわってきたが、 かなりデカい祭りなんだな
冬弥:そうだな。俺も、実際に見て驚いた
杏:参道のほうは、屋台もいっぱい出てたしね~
杏:あ、そうだ! お神輿ってもう見られるの?
冬弥:いや。時間までは、神社内の特別な場所に保管されているそうだ
杏:そっかー、残念
こはね:ふふ、あとでいっぱい写真撮ろうね
こはね:……あ。そろそろ司さん達のショーの時間かな?
杏:そういえば、愛莉さんも出るって言ってたよね! 面白そうだし、早く行こ!
彰人:ま、せっかく来たしな
獅子舞:『ガブガブガブ!!』
青鬼:『ぬおっ!? あの獅子舞、あれほどの大岩を落としてくるとは……!?』
桃鬼:『やるわね……! 力も強いし、すばしっこくて さっきから全然捕まらないわ!』
獅子舞:『ガッガッガッガッ!』
青鬼:『ぬうう……! いつもいつも、 洒落にならんイタズラばかり……!』
青鬼:『——この神社は、オレ達鬼が代々守ってきたものだ!』
青鬼:『これ以上、好き勝手をするなら容赦はせんぞ!』
獅子舞:『ガブガブガブ!!』
桃鬼:『思いっきり受けて立つ、って感じね』
青鬼:『ああ! 桃鬼、連携してあいつを捕まえるぞ!』
桃鬼:『わかったわ! って……』
桃鬼:『ちょっとー! 連携するなら、動きを合わせなさいよ!』
子供達:鬼さん、がんばれー!
子供達:獅子舞、負けるなー!
杏:あはは! どっちも頑張れー!
青鬼:『っ、……ここは……?』
桃鬼:『青鬼! 目が覚めたのね!』
青鬼:『オレ達は……ああ、思い出してきたぞ』
青鬼:『嵐の中、獅子舞と戦っていて—— 風で谷底へ落ちそうになったウサギをとっさに……』
青鬼:『そうだ、あのウサギは無事か!?』
桃鬼:『ここにいるけど、あなたが庇ったおかげで 怪我ひとつしてないわ』
桃鬼:『でも……困ったわね。 この谷底から、上まで登るとなると……』
獅子舞:『ガブガブ!』
青鬼:『獅子舞!? なぜお前がここに……!』
獅子舞:『ガブガブ、ガブ!』
桃鬼:『え……? あなたの背中に乗せてくれるの?』
獅子舞:『ガブ!』
青鬼:『お前……わざわざ、オレ達を助けにきたのか。 普段から、あれだけ争っているのに……』
青鬼:『——お前、本当はいいヤツなんだな。 恩に着るぞ』
獅子舞:『……ガブ!』
青鬼:『おい、なぜ頭を噛む!? 照れ隠しか!?』
冬弥:(練習のときよりさらに面白くなっている。 さすが、司先輩と桃井さんだ)
冬弥:(あそこにいるのは、花里と——)
冬弥:すまない、少し離れる
冬弥:——花里?
みのり:あ、青柳くん!
女の子:……こんばんは
冬弥:こんばんは。やっぱり君だったんだな
冬弥:ふたりでショーを見ていたのか?
みのり:うん! さっき、そこで会ったんだ!
女の子:……お礼を言ってたの
女の子:こんなに子供達をいっぱい 連れてきてくれて、ありがとうって
女の子:……久しぶりだな。 この神社が、子供達の笑い声でいっぱいなのは
冬弥:……?
冬弥:(初めて会った時から思っていたが……)
冬弥:(随分と、大人びた言い回しをするな。 まるで自分が、子供ではないような——)
こはね:青柳くん、みのりちゃん!
彰人:なんだ、花里と話してたのか
みのり:あ、みんな!
杏:ショーも終わったし、みんなで屋台でも 見に行こうかって話してたんだ!
こはね:みのりちゃんも、もしよかったら一緒にどうかな?
みのり:えへへ……誘ってくれてありがとう!
みのり:でもわたし、この後はやることがあって!
こはね:やること……?
第 7 话:鬼の神様へ
神社の拝殿
神主:——これで予行は終了です。 お疲れ様でした
みのり:は、はい! ありがとうございました!
神主:こちらこそ。しかし、お祭りに子供達を集めただけでなく、 まさかあの演舞まで舞っていただけるとは
みのり:えへへ……。 昔はずっと、お祭りでやってたって聞いて!
神主:ええ、私も子供の頃に何度か見ました
神主:いろいろあって、ずっと前に廃れてしまったのですが…… よく舞の詳細までご存じでしたね
みのり:神社で会った女の子が、教えてくれたんです!
みのり:ここのお祭りが大好きで…… もう一度、演舞を見たいって言ってたので
神主:……女の子?
みのり:はい!
みのり:その演舞って——わたしにもできるかな!?
女の子:え……あなたが?
みのり:うん……! もうなくなっちゃったのなら、 再現するのは難しいかもしれないけど……
みのり:もしかしたら、あなたみたいに 演舞を覚えてる人がいるかもしれないでしょ?
みのり:それで、もう1回見たいって思ってくれてるなら—— わたしにできることで、力になりたいんだ!
女の子:…………どうして、そこまでしてくれるの?
みのり:え? どうして、って……
みのり:だって—— みんなに希望を届けるのが、アイドルだもん!
女の子:…………
女の子:……そっか
女の子:じゃあ、わたしが教えるよ。 たくさん見てきたから、覚えてるんだ
みのり:……! うん、ありがとう!
神主:……なるほど。そういう経緯が……
みのり:えへへ。来てくれたお客さんにも 喜んでもらえるようにがんばりますね!
巫女:そろそろお時間です!
みのり:わ、いけない! もう行かないと!
神主:ああ、そうですね。 ——どうか、よろしくお願いします
みのり:はい、それでは!
年配の男性:まさか今年は、演舞までやるとはなあ
年配の女性:またあの舞が見られるなんて……懐かしいねぇ
司:おお、話に聞いていた通り、ついに花里の演舞だな!
瑞希:みんな、早くー! みのりちゃんの舞、始まっちゃうよ!
絵名:もう、仕方ないでしょ。 これだけ人が多いんだから
愛莉:……すごい観客の数ね
遥:うん。それだけ期待されてるんだろうな
咲希:ひゃ~、なんだかアタシまでドキドキしてきちゃった……!
こはね:みのりちゃん……頑張って……!
女の子:…………
冬弥:花里なら、大丈夫だ。 きっと最高の舞を見せてくれる
女の子:……うん
冬弥:……始まるな
みのり:(周りが静かになって……心臓のドキドキが聞こえそう)
みのり:(でも、焦らないようにしなきゃ)
みのり:(教えてもらった通りに、 ひとつひとつの動きをゆっくり、丁寧に——)
みのり:(表情も、ドキドキがでないように……!)
愛莉:……驚いたわ。 みのりってば、あんな表情もできたのね
雫:ええ……優しくて、でも凛とした雰囲気もあって……
遥:……すごいな。舞も、本当に綺麗
年配の女性:まあ……本当に、あの頃に見た演舞だわ……
年配の男性:ああ、昔を思い出すなあ……
みのり:(——みんなの顔が見える)
みのり:(あのおばあちゃん、すごく嬉しそう……)
みのり:(そうだよね、あの女の子みたいに このお祭りが好きな人は、また見たいって思ってるはずだもん)
みのり:(……わたしの舞は、みんなが知ってる舞よりも 拙いとは思うけど……)
みのり:(みんなの想い——祈りを込めて、鬼の神様に届けよう)
リン:(わ……)
リン:(すごく、きれい……!)
みのり:(——神様、見てくれてますか?)
みのり:(今年も、ここに住んでる人達、 このお祭りに来てくれた人達、それにあの子が——)
みのり:(幸せに、笑顔になれるように——)
みのり:(新しい年も、みんなのことを見守っていてください)
女の子:…………
みのり:はあぁ……なんとか、踊りきれた~……!
神主:本当にお疲れ様でした
みのり:あ、ありがとうございます! ちょっと緊張しちゃいましたけど——
年配の男性:お嬢さん、すごい舞だったよ!
みのり:えっ?
年配の女性:本当に、昔に見たそのままで…… あんまり綺麗だから、泣きそうになっちゃったわ
年配の女性:いいものを見せてくれて、ありがとうねえ
みのり:あ……
みのり:——こちらこそ、ありがとうございます!
子供:お母さん! さっきのお姉さんの踊り、すごかったね!
母親:ふふ、そうねえ。 なんだか今年も、いい年になりそうな気がしちゃった
みのり:(……よかった)
みのり:(見にきてくれたお客さんも、 子供達も、みんな喜んでくれて——)
冬弥:お疲れ様、花里
みのり:青柳くん! それに……
女の子:…………
みのり:え、えっと、どうだったかな?
みのり:わたし、ちゃんと踊れてたかな……?
女の子:……うん。すごく、すごくよかった
女の子:ありがとう。 わたしの願いを、叶えてくれて
みのり:……どういたしまして!
リン:(……えへへ、よかった!)
リン:(ふたりとも、一生懸命頑張ってたもんね)
リン:(わたしも、すっごくすっごく嬉しいな……!)
咲希:あ! みのりちゃんととーやくん、見つけた!
みのり:あれ、みんな……?
瑞希:本番も終わったし、みんなで写真撮ろうよ!
瑞希:ちなみにカメラマンには、 こはねちゃんが立候補してくれました~!
こはね:えへへ……みんなすっごく頑張ってたから、 記念写真を残せたらいいなって
瑞希:ふたりとも、早く早く~!
冬弥:ああ、今行く
女の子:……それじゃあ、わたしはもう——
みのり:あ、待って! 一緒に写真、撮ろうよ!
女の子:え……?
女の子:でも、わたしは……
冬弥:俺からも頼む。 きっと、今日の思い出になると思うんだ
女の子:…………わかった
みのり:えへへ、やった! じゃあ、行こう!
第 8 话:新年は笑顔で
一歌:みのりの演舞、すごかったね。 凛としてたっていうか……
志歩:うん……。 ほんと、別人みたいだったな
志歩:いつものみのりを知ってるせいか、 余計にびっくりしたかも
咲希:子供達も、いーっぱい集まってくれてよかったね! やっぱり、ほなちゃん達の読み聞かせパワー!?
穂波:ふふ、咲希ちゃん達が たくさん呼び込みをしてくれたおかげだよ
奏:あ……また外れた。 輪投げって難しいんだね
瑞希:あと1回挑戦できるよ! 手前のぬいぐるみとか狙いやすそう!
絵名:こういうのは、大物狙いしないとつまんないでしょ。 あの奥のやつとかどう?
まふゆ:……入らない気がするけど
絵名:だから挑戦し甲斐があるんでしょ? 私は次、あれ狙おうっと
咲希:あ、かなでさん達だ!
奏:……天馬さん。こんばんは
咲希:えへへ、こんばんは! そのアウター、やっぱりかなでさんに似合いますね!
奏:うん……すごく暖かいし、最近よく着てるんだ
絵名:あー、また外れた! この距離で入れられる人なんているの!?
絵名・瑞希:『——入った!?』
一歌:朝比奈先輩、すごいですね……!
まふゆ:たまたまだよ
穂波:で、でも、すごく綺麗に入ったような……
志歩:何かコツとかあるんですか?
まふゆ:コツかどうかはわからないけど、 輪を少しだけ傾けた状態で投げると入りやすいかもね
一歌:そうなんですね……。 私、ちょっとやってみようかな
まふゆ:うん。 じゃあ、少しだけ教えるね
穂波:あ、わたしも一緒にいいですか?
瑞希:絵名も聞いておけば~?
絵名:私は聞かなくてもいけるから!
リン:『——でね、女の子もすごく嬉しそうに笑ってたんだ!』
杏:そっか! 喜んでもらえたみたいで、よかったね
こはね:写真を撮るときにいた子だよね? すぐにいなくなっちゃったけど……
冬弥:ああ。『そろそろ戻らないと』と言っていたから、 親御さんのところに戻ったんだと思う
彰人:そろそろいい時間だしな——お
案内役:『お神輿の担ぎ手をされる方は、 こちらへお並びください!』
杏:あ、やっとお神輿の時間だ!
冬弥:ああ、並びに行こう
彰人:張り切りすぎて怪我とかすんなよ。 オレらはその辺で適当に見て——
???:おお! もしや、お前達もお神輿に参加するのか!?
彰人:げっ……
冬弥:司先輩。先輩達も参加されるんですか?
司:ああ! せっかくの機会だからな!
えむ:あたしも! わっしょいわっしょ~い☆
杏:じゃあ、みんなで一緒に行こっか!
司:彰人も、そんな隅にいるとはぐれてしまうぞ?
彰人:いや、オレは行くなんて一言も……って、おい!
寧々:いってらっしゃい
こはね:みんな、頑張ってね。 写真、かっこよく撮るから!
みのり:わ~……! すっごくいい匂い!
雫:フランクフルト、たこ焼き、じゃがバター…… あ、あっちにはおでんもあるわ
みのり:ひゃ~、どれもおいしそう!
愛莉:屋台の食べ物って、なんでこんなに惹かれるのかしらね。 ……って、ん?
遥:すみません、お好み焼きを2つ。 焼き鳥はモモをタレと塩で2本ずつ
遥:あ、あと、このロングフライドポテトもお願いします
愛莉:どれだけ食べる気よ!?
遥:せっかくのお祭りだからね。 今日はチートデーにしたんだ
???:——おや? そこにいるのは……
みのり:神代さん、寧々ちゃん!
寧々:ふふ、さっきぶり
類:すごい量の食べ物を持った人がいると思ったら、 桐谷くんだったんだね
遥:はい。せっかくのお祭りなので、満喫しようと思って
寧々:本当にたくさん買ってるね…… でも4人なら、それくらい全然食べられちゃうか
遥:ううん。これはひとり分だよ
寧々:え…………
愛莉:……わかるわよ、その驚き
みのり:あの! ご飯がまだだったら、 一緒に屋台をまわりませんか?
みのり:みんなで買ったものを分けっこしたら、 いろんなものが食べれちゃいますし!
寧々:あ……それ、わたし達も助かるな
類:それじゃあ、どこから回ろうか。 向こうには甘いものがありそうだね
雫:鈴カステラとたい焼き……ふふ、美味しそうね。 行ってみましょうか
みのり:うん! わたしも食べたいな~! じゃあさっそく——
???:——みのりちゃん、ありがとう
みのり:…………え?
みのり:(今の声って——)
愛莉の声:みのりー! はぐれるわよー!
みのり:あ……はーい!
数日後
冬弥:今回は、本当にありがとうございました
みのり:いっぱい助けてもらって、すごく心強かったです!
神主:いやいや、むしろお礼を言うべきなのはこちらですよ
神主:あんなに子供達で賑わったのは久々なので、 きっと神様も喜んでいらっしゃると思います
神主:神社のためにここまでしてくれて…… 本当にありがたい限りです
みのり:いえ、そんな……!
みのり:神社にいた女の子を、 笑顔にしたいなと思ってやっただけなので……
神主:女の子……
神主:そういえば前に、演舞のことを 女の子に教えてもらったと言っていましたね
みのり:はい! この神社に初めて来た時に、境内で会ったんです
冬弥:初めは迷子かと思って声をかけたんですが—— どうやら、鬼姫祭りによく参加しているようで
冬弥:最近、祭りに来る子供達が少ないことや、 演舞が見られないことを残念がっていたんです
神主:ふむ。それは……
神主:もしかしたら、神様かもしれないですね
冬弥:え……?
神主:うちで祀られている鬼の神様——鬼姫様は、 幼い女の子の姿をしていると言われているんです
神主:ですから……長らく途絶えてしまった演舞を、 神様が惜しんでいたのかなと
みのり:あの女の子が、神様……
神主:ははは、もしかしたら……の話ですよ。 おふたりに素敵な出会いがあったようでなによりです
神主:これからもどうか、そういった縁を大切になさってくださいね
みのり:あの子……本当に神様、だったのかな……?
冬弥:……たしかに、幼い見た目のわりにかなり大人びていたな。 それに、自分が生まれるより前に行われていただろう 演舞についても詳しかったことを考えると——
冬弥:ありえない、とは言い切れないな
みのり:じゃ、じゃあやっぱり……!?
冬弥:わからないが……
冬弥:おかげで、得難い経験をさせてもらえた
冬弥:またいつか、会えたらいいな
みのり:うん、そうだね!
みのり:(本当に、あの子が神様だったかはわからないけど……)
みのり:(みんなと一緒に頑張って—— あの子に、笑顔になってもらえてよかったな)
みのり:(——なんだか今年も、いい年になりそう!)
みのり:よーし! 今年も、もっとも~っとがんばるぞ~!