活动剧情

囚われのマリオネット

活动ID:2

第 1 话:感じていること

深夜1時
奏の部屋
奏:……できた。新曲のデモ
奏:うん。よく調整できてる。 ……だけど
まふゆ:もう疲れたの!! 探しても、探しても、探しても探しても探しても!!!
まふゆ:見つからなくって……っ、 また探して、違うって、絶望して…………
まふゆ:――もう、これ以上……どうしようもないじゃない……っ
奏:わたしが作り続ける
まふゆ:……え?
奏:この曲で雪を本当に救えなかったとしても、 救えるまで作り続ける
奏:雪が自分を見つけられるまで――ずっと作る
奏:本当にこの曲で……雪を救えるの?
奏:――もう25時か
瑞希:『やっほっほー♪ みんな元気~? 今日も曲作りがんばろーっ!』
絵名:『Amiaうるさい……』
瑞希:『もー、えななんてばテンション低いな~?』
瑞希:『今日から新曲作るんだし、もっとアゲてこうよ!』
絵名:『無理。こっちは仕上げで徹夜したダメージが まだ残ってんの』
絵名:『っていうか、Amiaだって一緒に徹夜してたじゃん。 なんでそんな元気なわけ? 体力バカ?』
瑞希:『体力バカ!? こんなカワイイ子相手にホンっト失礼だな、えななんは~!』
瑞希:『まーでも、今時のカワイイは体力も必要だし? ほめ言葉として受けとっておくね~♪』
絵名:『はいはい……』
奏:『……雪は?』
絵名:『あれ? そういえば声しないかも』
瑞希:『ん~? ログインはしてるみたいだけど……』
奏:『……雪。いたら返事して』
まふゆ:『――いるよ』
奏:『そっか。よかった』
絵名:『ったく、いるんならさっさと返事してよね』
まふゆ:『次からそうする』
絵名:『あんたねぇ……』
瑞希:『まーまー! それより早く新曲に入ろうよ! デモ早く聴きたいな~♪』
奏:『わかった、今送る』
絵名:『……すごくいいね! さすがK!』
瑞希:『うん。聴いてるだけでいろいろイメージ浮かんできたよ! サビのところとか、エフェクトでいっぱい遊びたいな~♪』
奏:『そっか。よかった』
奏:『……雪は、どうだった?』
まふゆ:『どうって?』
奏:『あ……この曲、どういうふうに感じた?』
まふゆ:『どう……。 奏の曲だって思ったよ』
絵名:『いやそうじゃなくて、いいとか悪いとか、好きとか嫌いとか、 ちょっとくらい思うことあるでしょ』
まふゆ:『……嫌いじゃないと思う』
瑞希:『じゃあ、好きなんじゃない?』
まふゆ:『……それも違う、かな』
絵名:『は?』
まふゆ:『好きなら、そういうふうに感じるはずでしょう?』
まふゆ:『そういう感覚はなかったの』
奏:『そう……』
絵名:『……あのさ雪、そういう言い方、 Kに失礼だって思わないわけ?』
まふゆ:『どう感じたかって聞かれたから、素直に答えただけだけど……』
絵名:『あのね……!』
瑞希:『あ~! まーまー落ち着いて落ち着いて~!』
奏:『大丈夫だよ、えななん。 ありがとう』
奏:『雪もありがとう。 率直に言ってくれて』
まふゆ:『……うん』
まふゆ:『それじゃあ、私は先に寝るね。おやすみ』
奏:『おやすみ』
瑞希:『じゃーね、雪!』
絵名:『……はぁ、やっといなくなった』
絵名:『あれの相手してるとホント疲れるんだけど』
瑞希:『わ~、落ちたとたんに陰口スタートとか、 えななんコワ~い! 陰険自撮り女~!』
絵名:『なに、陰険自撮り女って……』
瑞希:『語呂よくってカワイくない?』
絵名:『いや、どう考えても妖怪でしょそれ』
絵名:『……っていうか、私だって、雪がああなのは しょうがないってわかってるってば』
瑞希:『あ、そうなんだ。意外』
絵名:『わかってても、どういう態度でいればいいのか 全然わかんないの』
絵名:『セカイで話した時は、雪のこと、ムカつくけど なんとなくわかるような気がしたんだけど……』
絵名:『今の雪は、なんかロボットみたいじゃない? 話しても全然響かないっていうか』
絵名:『ふたりは、雪が何考えてて、 こっちの言うことをどう感じてるのかとか、わかる?』
奏:『それは……』
瑞希:『んー……それでも前よりは、素を見せてくれてるとは 思うけどね』
絵名:『それはそうだけど……』
奏:(……えななんの言う通りだ。 雪のこと、まだよくわからない)
奏:(だから雪の感じてることを、 もっと知らなきゃいけない気がする)
奏:(そうじゃないと作れない。 ――雪を救う曲は)

第 2 话:手渡されたチケット

奏の部屋
奏:…………
奏:雪を救う曲、か……
奏:わたしが作り続ける
奏:(あの時はただ必死で、ああ言い切ったけど……)
奏:(どんな曲なのかは、まだわからない)
奏:(……それでも、作るしかない)
奏:そうじゃなきゃ、わたしは、ここにいる意味がないから
奏:誰が……あ、そうか
奏:今日は望月さんが掃除に来る日か
宵崎家 キッチン
奏:いらっしゃい、望月さん
穂波:お邪魔します。 今日はお掃除でしたよね
奏:うん。今日は台所をお願い。あとお風呂
穂波:じゃあ早速始めますね
穂波:あ、そうだ。今日、フレーバーティーを持ってきたんです。 よかったら、あとで宵崎さんも飲みませんか?
奏:……ありがとう。じゃあ、お願い
穂波:それじゃあ、お掃除が終わって、 お茶を淹れたら、声をかけますね
奏:うん
奏:ベースのブラッシュアップはこんなところかな
奏:……そろそろ望月さんの仕事が終わる時間だ
奏:(おばあちゃんが、ひとりで暮らすならせめて 家事代行サービスを使いなさいって言った時は驚いたけど……)
奏:(頼んでみて正解だったな。 部屋が汚くなると作業効率が落ちるし)
奏:(それにご飯も美味しくて……)
穂波の声:宵崎さーん。お掃除終わりましたー。 お茶、いかがですか?
奏:……今行く
奏:いい匂い
穂波:ですよね! 白桃のフレーバーティーなんですよ。 どうぞ
奏:いただきます
奏:……美味しい
穂波:本当ですか? よかった!
穂波:……それに、ちょっと安心しました
奏:え?
穂波:宵崎さん、今日少し元気がなさそうだったので。 笑った顔が見られてよかったです
奏:…………
奏:……いつも思うけど、望月さんはすごいね
奏:こんなに家事ができて、 わたしのことも気にかけてくれて
穂波:え?
穂波:そんな、わたしは単に家事が好きなだけです
穂波:でも、母の知り合いに勧めてもらって、このアルバイトを 始めたのはよかったなって思ってます
穂波:お手伝いができるのって、とっても楽しくって
奏:そうなんだ
穂波:なんて言うか、困ってる人に喜んでもらえると嬉しいんです。 そのせいでお節介やいてしまう時もあるんですけど……
奏:…………
奏:……もしよかったら、少し聞いてもらってもいい?
穂波:え? はい。なんですか?
奏:助けたい人がいるの
奏:でもどう助ければいいのかわからない時、 望月さんならどうする?
穂波:わたしなら……
穂波:まず、その人の話をもっと聞きます。 どう助けてほしいかは、人によって違いますし
奏:その子自身も、どうしてもらいたいのか わからなかったら?
穂波:…………
穂波:……なら、もっとたくさん話して、 相手のことを深く知るほうがいいような気がしました
穂波:その人が何を感じて、何に悩んでいるのかがわかれば、 少しは力になれるかもしれませんし
穂波:それに……周りに迷惑をかけたくなくて、 ひとりで悩みを抱え込んでしまう人もいるので
穂波:そういう人にとって、誰かに寄り添ってもらえることって、 ――すごく、嬉しいことなんじゃないかなって思うんです
奏:相手のことを深く知る……か
穂波:あ……でも、そうやって他人に探られるのが 嫌だって人もいますよね
穂波:うーん……。 すみません。あんまりいいアドバイスができなくて
奏:……ううん。ありがとう、望月さん。ためになったよ。 もっとたくさん知ってみようと思う
穂波:はい! その人のこと、助けてあげられるといいですね
奏:うん。ありがとう。 じゃあまた来週――
穂波:あ、そういえば……
穂波:宵崎さん、人形って興味ありますか?
奏:人形?
穂波:はい。 この近くで、人形展をやるみたいなんです
穂波:知り合いから招待券を貰ったんです。 わたしはその週、予定があって行けないんですけど……
穂波:会場の美術館が、いつも宵崎さんがお見舞いに行かれている 病院の近くにあるんです
穂波:だから、帰りがけに寄れるかと思って
穂波:それに前、絵画を見て曲作りのアイディアをもらってるって話を されてたので、人形も参考になるんじゃないかと……
穂波:あ、もちろん、もし興味があったらですけど……!
奏:……ううん。せっかくだし、もらうね
穂波:よかった。 それじゃあ、失礼します
奏:うん。またね
奏:……人形展か

第 3 话:もっと知りたくて

瑞希の部屋
瑞希:『そんじゃ、今日もバリバリがんばろー!』
絵名:『はいはい。そうだK、ラフのパターンいくつか出したから 見てもらえない?』
奏:『わかった。 ……雪は進捗どう?』
まふゆ:『私も何パターンか書いたから、見てほしい』
奏:『じゃあ、ふたりともちょっと待ってて』
奏:(えななんのイラストは……。 うん、いい)
奏:(曲をえななんなりに解釈して、絵に落とし込んでくれてる)
奏:(雪の歌詞は……)
奏:(いつも通り。言葉選びのセンスがいい)
奏:(……でも今は、前と違って見える)
奏:(OWNの時に書いていた吐き出すような歌詞は たしかに想いがこもってるってわかった。でも……)
奏:(今、この歌詞だとわからない)
奏:(会話するよりはずっと近く感じる。 けど、雪の心が……見えそうで見えない)
奏:(もっと雪の心に近づきたいのに……)
絵名:『あー、肩こってきちゃった。 ねえ、そろそろ休憩にしない?』
瑞希:『そだねー。Kと雪もいい?』
奏:『いいよ』
まふゆ:『うん』
瑞希:『ありがと! 実は、ボクも最近肩こりやすいんだよねー。 なんでだろ?』
絵名:『Amiaは単なる運動不足なんじゃない? 体育の授業とか絶対出てないでしょ?』
瑞希:『学校行った時は出てるよ! ……っていっても、そもそも学校にあんま行ってないけどねー』
瑞希:『でも、Kよりは運動してるから!』
絵名:『それ、あんまり自慢になんないでしょ……』
瑞希:『でもたしかに、あんま外行ってないなぁ。 今ハマってるブランドは全部ネットで買えちゃうし、 映画もアニメも家で見ちゃってるし……』
瑞希:『なんかおもしろいことあったら 外行くんだけどなー』
奏:『あ、それなら……人形展のチケットいらない?』
絵名:『人形展?』
奏:『うん。知り合いからもらったんだけど、 わたしは行かないと思うから……』
瑞希:『人形展かぁ。 ってことは、アンティークドールとかある感じ?』
奏:『そうみたい』
瑞希:『それなら行ってみたいかも! アンティークっぽいドレスとか、 一回作ってみたかったんだよね~!』
奏:『そういえば、チケットに載ってる人形の服が Amiaっぽいかも』
奏:『でも他にもいろんな人形が見られるみたい。 からくり人形とか、マリオネットとか……』
瑞希:『それ絶対おもしろいヤツじゃーん! そうだ、せっかくだしみんなで行こうよ!』
奏:『え、みんなで?』
絵名:『なんで? っていうか、さすがに4人分もチケットないでしょ』
奏:『うん、もらったのは2枚だけだし……あ。 1枚でふたりまで入れるみたい』
瑞希:『じゃあバッチリじゃーん♪ これは、みんなで行きなさいって神サマが言ってるんだよ!』
絵名:『だからなんでわざわざ4人で行かなきゃならないわけ。 別に人形なんて興味ないし』
瑞希:『えー。せっかくKと遊びに行ける 珍し~いチャンスなのに?』
絵名:『それはたしかにそうだけど……』
瑞希:『それに、イラストのアイディアも思いつくかもよ?』
瑞希:『やっぱ、いいもの作るには 芸術的なインプットが大事じゃーん?』
絵名:『……まあ、それもそっか。 人形ってあんまり見たことないし』
瑞希:『でしょー? ね、雪も行こうよ!』
まふゆ:『……私も?』
瑞希:『作詞のヒントになるかもしれないし、 あと……意外と楽しいって思えるかもよ!』
奏:『あ……』
穂波:……なら、もっとたくさん話して、 相手のことを深く知るほうがいいような気がしました
奏:『…………』
奏:『雪も一緒に行ってみない?』
まふゆ:『……どっちでもいい』
瑞希:『じゃあ、みんなで行こーっ! いつ行く? 平日は雪達学校あるし……次の土曜はどうかな?』
まふゆ:『土曜は昼まで予備校があるの。 それに、5時までには家に帰らないと』
瑞希:『それなら、昼から5時の間なら行けるんじゃない?』
まふゆ:『……その時間でいいなら』
瑞希:『オッケー! じゃあ土曜のお昼に集合だね♪』
絵名:『土曜の昼ね、了解』
奏:『…………』
奏:(これが、もっと雪のことを知るきっかけになったら――)
土曜日
朝比奈家リビング
まふゆ:それじゃあ、予備校行ってくるね、お母さん
まふゆ:今日はそのあとちょっと寄るところがあるから、 帰るのは5時くらいになると思うよ
まふゆの母:そうなの? どこに寄るの?
まふゆ:美術館だよ。 知り合いがチケットもらったから、一緒にって
まふゆの母:それはいいわね! どんな展示なの?
まふゆ:人形展って聞いたよ
まふゆの母:人形?
まふゆ:うん。アンティークとか、いろんな種類の人形が見られるみたい
まふゆの母:……それは素敵ね。 でもせっかく時間を使うなら、人形より絵画を見たほうが いいんじゃないかしら。教養も感性も深まるわよ
まふゆの母:そういえば今ちょうど、フェルメールやモネの作品が見られる 絵画展がやっているらしいわ。 お母さんすごく好きなの
まふゆ:――そうなんだ。 じゃあ、絵は今度一緒に見に行こう?
まふゆの母:ええ、そうね。 今日はせっかくお友達に誘ってもらったんだものね
まふゆの母:気をつけて行ってらっしゃい。予備校も頑張ってね
まふゆ:うん。行ってきます
まふゆ:…………感性、ね
まふゆ:別に何を見ても変わらないのに。 どうせ何も感じないんだから
奏:『この曲、どういうふうに感じた?』
まふゆ:そんなの――わからない

第 4 话:籠の中のマリオネット

スクランブル交差点
奏:ちょっと早く着きすぎちゃったかな
まふゆ:…………
奏:あ。雪……じゃなかった。 まふゆ。こっちだよ
まふゆ:ひとりだけ?
奏:うん。絵名と瑞希はまだ来てないみたい
まふゆ:そう
奏:…………
まふゆ:…………
奏:えっと……
瑞希:お待たせ~! 奏もまふゆも早いね!
絵名:ちょっと瑞希、急に走らないでよね
奏:ふたりで来たの?
瑞希:ううん、そこで偶然ばったり会ったんだ。 絵名が寝過ごさないなんてびっくりしちゃったよー
絵名:人を遅刻魔みたいに言わないでくれる?
瑞希:ま、何はともあれ、みんなで人形展にレッツゴー!!
人形展会場
絵名:へぇ。もっと小さい会場かなって思ってたけど、 かなり広いじゃん
奏:うん、驚いた。 すごく立派だね
瑞希:っていうか……人形カワイイ~! 見て見て! これなんてケモ耳ついてるよ!
瑞希:うわ、このサイズでパフスリーブ作れるとか神!? っていうか、このドレスのデザイン奏に似合いそう~!
奏:わたしに……?
絵名:あーもー、瑞希うるさい。 黙って見れないの?
瑞希:はいはーい! りょうかーい!
絵名:ったく……
奏:……でも、すごいな。どの人形も、世界があるね
まふゆ:世界……?
奏:うん。 みんなそれぞれ、生きてる世界まで見えてくるみたい
まふゆ:……そう
奏:あ……
絵名:どうしたの? 奏
奏:今ちょっとだけ、まふゆの表情が変わったような気がして
絵名:そう? いつもと変わらない気がするけど
絵名:それよりほら、ふたりとも早く行こうよ
まふゆ:……そうだね
奏:(今、どうしてあんな顔をしてたんだろう)
奏:(……まふゆが何を感じて、何を考えてるのか、 もっとわかったらいいのに)
奏:どうすればいいんだろう……
絵名:なんでこの人形、こんなに生きてるように見えるんだろ……。 血色感?
瑞希:んー、目にもなんか工夫してるっぽいんだよね。 光が入った時のキラキラ感が……
絵名:あ、あっちにも同じ人の作品あるみたい
瑞希:行こ行こ! あ、ショップもあるんだね! あとで見てみよーっと♪
奏:……まふゆは、気になったものある?
まふゆ:別に、ない
奏:そっか
まふゆ:お手洗いに行ってくる
奏:あ……うん
まふゆ:……?
まふゆ:(こんなところにも人形が飾られてる)
まふゆ:(でもこの人形、他の人形とちょっと違うような……)
まふゆ:(……あ。糸で吊られてるんだ)
まふゆ:(じゃあ、マリオネット?)
まふゆ:(……なんだろう。 この人形なんだか――)
???:本当にいい子ね
まふゆ:…………っ!
奏:まふゆ、遅いな。どうしたんだろう
奏:お手洗いはあっちだっけ……あれ?
まふゆ:ハァ……ハァ……
奏:まふゆ……!?

第 5 话:同族嫌悪

人形展会場
奏:まふゆ、顔が真っ白……! どうしたの? 気分が悪いの?
まふゆ:人形、が……
奏:人形?
奏:人形って、ここにあるマリオネットのこと? これがどうかしたの?
まふゆ:気持ち悪い……
奏:え?
絵名:あ、いたいた! ……って、ちょっとどうしたの!?
瑞希:まふゆ大丈夫!? 具合悪いの?
まふゆ:ハァ……ハァ……
まふゆ:…………ハァ。もう大丈夫
瑞希:落ち着いたみたいだね、よかった~
絵名:びっくりするじゃん。 驚かせないでよね
奏:もしかしてまふゆ……あの人形に、何か感じたの?
絵名:え? 人形?
奏:どうしてあの人形を、『気持ち悪い』って思ったの?
まふゆ:それは……
まふゆ:……わからない
まふゆ:ただ、気持ち悪くて……
瑞希:ねぇ奏、よくわかんないけど、まふゆ体調悪そうだし、 その話はまた今度にしようよ
奏:(でも、もう少しでわかりそうなのに。 まふゆが心を強く動かされるものがなんなのか)
奏:……わかった。ごめん
瑞希:今日は帰って休んだほうがいいかもね。 駅まで送っていこうか?
まふゆ:……平気。ひとりで帰れるから
奏:あ……
奏の部屋
奏:はぁ……
奏:(結局、何もわからなかった。 まふゆは、何か強く感じてるみたいだったのに)
奏:(あの人形に……何を感じたの?)
奏:(……わからない。今のわたしには……)
奏:……あ。そうか
奏:わたしにわからないなら……
誰もいないセカイ
奏:…………
奏:いつ来ても静かな場所……
奏:今日はどこにいるかな。 すぐに見つかるといいんだけど
奏:
ミク:……奏?
奏:ミク! よかった。すぐ見つかって
ミク:いらっしゃい。 今日は、ひとりで来たんだね
奏:うん。 あれ? ミク、それって……
奏:あやとりしてるの?
ミク:うん。楽しいよ
ミク:瑞希が教えてくれたの。 ひとりでここにいたら、退屈だろうって
奏:そうなんだ
ミク:それで、今日はどうしたの?
奏:……うん。 ミクに聞きたいことがあるの
ミク:……まふゆが感じていること?
奏:うん。それがわかれば、 まふゆを救う曲を作る手がかりになるかもしれない
奏:そう思って、いろいろ話したりしたんだけど、 まだよくわからなくて
奏:あの時、まふゆのそばにいたミクなら、 何かわかるかもしれないって思ったの
ミク:そう……
ミク:でも、わたしにも、今のまふゆが何を感じてるのかは わからない
ミク:このセカイはまふゆの想いでできてるけど、 今のまふゆが何を感じてるかは……
奏:……そう。 そう、だよね
ミク:でも、奏と一緒に考えることは、できるよ
奏:ミク……
奏:ありがとう
奏:今日、みんなで行った人形展では わかりそうだって思ったんだけどな
ミク:人形展?
奏:そう。それで、まふゆがある人形を見た時に、 すごく嫌そうな顔をしてたんだ
奏:だから何か感じてるんじゃないかって思ったんだけど……
ミク:……それってどんな人形だったの?
奏:ドレスを着た、綺麗な人形だったよ。 金色の鳥籠みたいな台座があって……あ
奏:マリオネットだったみたい
ミク:マリオネット……
奏:……どうしたの? ミク
ミク:似てたのかも
奏:え?
ミク:その子――まふゆと似てたのかも
奏:どういうこと?
ミク:……なんとなく、そう思っただけ

第 6 话:夢見る人形

まふゆ:(…………あれ?)
まふゆ:(ここは――どこ?)
まふゆ:(どうして真っ暗なの? たしか部屋で作業してたはずなのに……)
まふゆ:(体が動かない……? 声も出ないし、目も開かな――)
まふゆ:(え?)
まふゆ:(ここって、今日行った人形展の会場? どうしてこんなところに……)
瑞希:うわ、見てよ絵名! これすごくない?
絵名:へー、よくできてるね。 なんだか本当に生きてるみたい
まふゆ:(……瑞希と、絵名? どういうこと?)
まふゆ:(なんでふたりとも、私に向かって話しかけてくるの?)
絵名:あ、この人形、糸がついてる。 マリオネットなのかな
瑞希:おもしろそー! 動かしてみたいな~。 大きくて大変そうだけど
絵名:ちょっと瑞希。高そうだし触らないほうがいいってば
瑞希:あっ、あっちの人形もカワイイ~♪
絵名:ちょっと、走らないでって言ったでしょ!
まふゆ:(……もしかして、私、人形になったの?)
まふゆ:(体が動かないのは、そういうことなの? でも、そんなことあるわけ……)
まふゆ:(……ああ、でも)
まふゆ:(別にいいか。人形になっても)
まふゆ:(何もしなくていいし、何も考えなくていい)
まふゆ:(自分なんてもの探さなくても、 言われるまま動いていればいい)
まふゆ:(……それで、みんな喜んでくれるんでしょう?)
奏:まふゆ
まふゆ:え?
奏:まふゆは、今何か感じてるはずだよ。 それを教えて
まふゆ:…………どうして?
まふゆ:そんなこと知ってどうするの?
まふゆ:私は感じられない。 何度も言ってるじゃない
まふゆ:それに、私が何か感じたって、そんなの誰も――
奏:そんなことない
奏:教えてよ、まふゆ
まふゆ:……っ!
まふゆ:あれ……?
まふゆ:今の……夢、なの?
奏:『雪? 大丈夫?』
まふゆ:『K?』
奏:『うん。もう寝たのかと思ったけど、起きてたんだね』
まふゆ:そっか。私、ナイトコードに入ったのに眠っちゃって……
まふゆ:あんな夢……
奏:『夢? どんな夢を見たの?』
まふゆ:『……人形になった夢』
まふゆ:『今日行った人形展の、あの気持ち悪い人形になってたの。 手も足も動かなかった』
まふゆ:『でも、そしたらKが私の前にやって来て……』
奏:『……わたしも、雪の夢に出て来たの?』
まふゆ:『…………少しだけ、ね』
奏:『それで? わたしはどうしたの?』
まふゆ:『……覚えてない。何か話しかけられたような気は したんだけど』
奏:『……そう。 その夢を見て、どう感じた?』
まふゆ:『またそれ?』
奏:『……ごめん。でも、知りたくて』
奏:『雪が何を見て、どう感じるのかわかれば、 雪を救う曲にもっと近づけるって思ったから』
まふゆ:『……そんなこと言われても無理だよ』
まふゆ:『自分でもわからないんだから』
奏:『でも……!』
まふゆ:『わからないの。毎日生きてるはずなのに 楽しいことも嬉しいことも感じられない』
まふゆ:『全部、他人事みたい』
まふゆ:『でも何かが決定的に足りてないことだけわかって……』
まふゆ:『こんなの、言葉になんてできない』
奏:『……あ』
奏:(会話するよりはずっと近く感じる)
奏:(雪が、自分の感じてることを言葉にしたくても、 できないっていうなら――)
奏:『歌詞なら、どう?』
まふゆ:『え?』
奏:『もちろん歌詞だって言葉だけど。 でも、違うものだとわたしは思う』
奏:『説明なんていらない。 理解なんてちゃんとしなくたっていい』
奏:『ただ、今感じてることを、歌詞にしてほしいの』

第 7 话:嫌なのも、痛いのも

まふゆの部屋
まふゆ:『私が今感じてることを、歌詞に?』
奏:『そう。やってほしい』
奏:『そうしたら、OWNの時みたいに、 雪にもっと近づけるかもしれない』
まふゆ:『……無理。できない』
奏:『どうして? OWNの時は……』
まふゆ:『あれはただ、心の中からわいてくるグチャグチャしたものが 勝手に出て来ただけ』
まふゆ:『この感じを、自分で歌詞になんて……』
奏:『雪……』
奏:(雪本人もわからないなら、 どうしたらいいんだろう)
奏:(でも、そういえばミクは……)
ミク:その子――まふゆと、似てたのかも
奏:(……あ、そうか)
奏:(ミクの言う通り、雪が、あのマリオネットと自分を 似てるって思ってるんだったら……!)
奏:『なら、あのマリオネットのことなら?』
まふゆ:『え?』
奏:『雪は人形展で、あのマリオネットを 気持ち悪いって感じてたよね』
奏:『それで、その夜にマリオネットになった夢を見た』
奏:『雪は――あのマリオネットと自分を 重ねてたんじゃない?』
まふゆ:『…………!』
奏:『ねえ、雪。あのマリオネットを見た時のことを 思い出して歌詞にしてみて』
まふゆ:『そんなこと……』
奏:『雪の感じてることがわかれば、 雪を救う曲の、手掛かりがつかめるかもしれない』
奏:『……お願い』
まふゆ:『…………』
まふゆ:『どんなものができるか、わからないけど』
奏:『……うん!』
まふゆ:あの人形のこと……
まふゆ:私が、あれを気持ち悪いって感じたのは――
まふゆ:……わからない
まふゆ:なんでわからないの。 どうしてこんな気持ちになるの
まふゆ:これじゃまた、前と同じみたいに――
まふゆ:……でも、もしかしたら
誰もいないセカイ
まふゆ:ミク
ミク:まふゆ。いらっしゃい
まふゆ:……うん
ミク:ちょっと前に、奏も来てたよ
まふゆ:奏が?
ミク:うん。まふゆの感じてること、知りたいって
まふゆ:私の感じてること……
まふゆ:そんなの知ってもどうにもならないのに
まふゆ:こんな、不快で、痛くて、何の役にも立たないもの、 いらないのに
ミク:いらなくないんじゃないかな
まふゆ:え?
ミク:嫌なのも、痛いのも、全部まふゆが感じてる大事なこと。 全部まふゆ
ミク:だからいるんじゃないかな
まふゆ:……全部、私……
まふゆ:……あれ? こんなところに、人形?
まふゆ:これもマリオネットなんだ。 でも、糸がついてない……?
まふゆ:ミク、これは――
ミク:この子は、ずっとまふゆのセカイにいたよ
ミク:まふゆが気づいてなかっただけ
まふゆ:……?
ミク:できた。 見てまふゆ、はしご
まふゆ:……ミク、あやとりなんてできたんだね
ミク:うん。瑞希に教えてもらったの。 楽しいよ
ミク:マリオネットについてた糸を切って、 あやとりの糸にしたんだよ
まふゆ:…………
ミク:糸って、とっても不思議だね
ミク:何かを結びつけたり、刺繍したり。 ――人形を操っちゃうこともできる
ミク:でも……こうやっていろんな形にもなれる
まふゆ:……マリオネットから糸を外しちゃったら、 もうマリオネットじゃないじゃない
まふゆ:……でも
まふゆ:この子はもう、自由なんだね
翌日 深夜2時
瑞希の部屋
瑞希:『んー……1時間たつけど、雪こないねー。 やっぱ体調戻ってないのかな?』
瑞希:『……また前みたいにいなくなってないといいんだけど』
絵名:『私はいないほうが気が楽だけどね』
瑞希:『そんなこと言って、ホントは心配なんじゃないの~? えななんって、古き良きツンデレの趣があるし』
絵名:『はぁ!?』
瑞希:『ねーねー、Kは雪から何か聞いてないの?』
奏:『……ごめん、言い忘れてた。 雪には、人形を見て感じたことを書いてもらってる』
絵名・瑞希:『人形?』
瑞希:『ああ、そういうことだったんだ』
瑞希:『マリオネットを見て“気持ち悪い”って思った、 その時の感覚を歌詞にしてもらおう……ってことだよね?』
奏:『そう』
絵名:『それはわかったけど……』
絵名:『ミクが言ってたっていう、 まふゆがマリオネットと自分を似てるって思ってるって話が よくわかんないんだけど。一体どういうことなの?』
瑞希:『んー。ボクは、似てるって思った気持ち、 ちょっとわかるな』
まふゆの母:教えてもらえないとできない子より、 競える子と一緒にいたほうがいいでしょう? そういう子と一緒にいると、自分も勉強になるもの
まふゆの母:自分の時間を大切にしなさいね
まふゆ:……うん。そうだね
瑞希:『…………』
瑞希:『……雪は、雪のお母さんの言うことすごくよく 聞いてるみたいだったから』
瑞希:『ほら、マリオネットって操り人形じゃん』
瑞希:『だから、自分と一緒で“操られてる”って 思ったのかもしれないね』
絵名:『……やっぱりバカみたい』
絵名:『操られるのが嫌なら嫌だって言えばいいのに』
瑞希:『……うん、そうだね』
まふゆ:『……遅くなった』
まふゆ:『歌詞、書けたから見て。K』

第 8 话:わからない、けど

瑞希の部屋
瑞希:『これ……。本当に、雪が書いたの?』
まふゆ:『どういう意味?』
瑞希:『いや、だってこれいつもと全然違うじゃん! OWNの時とも違ってて……なんか、すごく生き生きしてる!』
瑞希:『知らない雪に会えたって感じ!』
絵名:『……まぁ、たしかに今までとはかなり違うけど』
絵名:こんなのも書けるとかムカつく……
奏:『ねえ、雪。 これに曲をつけていい?』
まふゆ:『でも……新曲は?』
奏:『今はこの歌詞に曲をつけたい』
瑞希:『ボクもボクも! MVつけたらおもしろそう~! えななんもそう思わない?』
絵名:『まーね』
瑞希:『わ、えななんが素直! 意外!』
絵名:『どうせ嫌がったら“やっぱりツンデレ”って言うつもり だったんでしょ』
瑞希:『ええ~? そんなことないって~!』
奏:『この歌詞にぴったりの曲を作るよ、雪』
まふゆ:『……うん』
1週間後
奏:『――どうだった?』
絵名:『すごい……! あの歌詞から、こんな曲ができるなんて思わなかった』
瑞希:『ダークでポップで最高にカワイイ~!! さっすがK!』
奏:『ありがとう。 雪は――どうだった?』
まふゆ:『私は……』
まふゆ:『よくわからない』
まふゆ:『けど少し……胸が痛くて……』
まふゆ:『痛いけど……前セカイに行った時の痛みより、ずっといい』
まふゆ:『――こんな曲になるんだね、私の歌詞』
奏:『ねえ、雪は前、嬉しいことも楽しいことも 感じられない、わからないって言ったけど、 わたしは、そんなことないと思う』
奏:『多分雪は、感じられないって思い込んでるだけ。 そんな気がする』
奏:『だってこんな歌詞を書けるんだから』
まふゆ:『…………!』
瑞希:『もしかしたら、雪はもっといろいろ出したほうが いいのかもね!』
まふゆ:『出す?』
瑞希:『感じたことをさ、いろんな形で出してみるんだよ。 今回みたいに歌詞にしたり……えななんみたいに絵に してもいいかも』
瑞希:『ま、言葉にしてくれると一番伝わりやすいけど、 言葉にできないこともあるしねー』
瑞希:『だから、何かちょっとでも感じたら素直に吐き出す! そうしてみたらどう?』
瑞希:『――せめてボク達と一緒にいる時ぐらいは、さ』
絵名:『無言でいられるよりはそっちのほうがマシかもね』
瑞希:『えななん言いかた~』
奏:『……そうやって雪のことがわかれば、 雪を救う曲にも近づける』
奏:『それに、雪の探してる本当の自分も見つけられるかもしれない』
まふゆ:『感じたことを、素直に……』
まふゆ:『…………。 できるかはわからないけど、やってみる』
奏:『うん』
まふゆ:感じられる……か
まふゆ:私も感じられる
まふゆ:それなら……見つけられるのかな
翌日
まふゆ:『このイラスト、色が汚いね』
絵名:『き、汚い!?』
まふゆ:『うん』
絵名:『あのね! この色はドロッドロした感情を表現したいから あえてこういう色にしてるの!』
まふゆ:『そうなんだ。よくわからなかった』
まふゆ:『……ここ、線が歪んでて気になる』
絵名:『それもあえて!』
まふゆ:『そうなんだ。よくわからなかった』
絵名:『あんたね……!』
まふゆ:『この人の表情はすごく綺麗。 曲にも合ってると思う』
絵名:『え? あ、まあ、そこは 一番こだわったポイントだし?』
まふゆ:『でも、全体のバランスは変』
絵名:『……っ!』
瑞希:『まあまあ、えななん落ち着いて~』
絵名:『なんなの!? 雪のヤツ、いちいちケチつけてくるんだけど!!』
まふゆ:『感じたことを言ってるだけだけど』
絵名:『この……っ!』
瑞希:『あ~。まーまーまーまー』
絵名:『まーまーじゃない!』
絵名:『Amia達がなんでも素直に言えって甘やかしたせいで こんなことになってるんだから、責任持って面倒見てよね!』
瑞希:『う~ん。まあ、これってリハビリみたいなものだからさ~』
まふゆ:『このMV、サビのエフェクトが目に痛い』
瑞希:『うわ、これ実際自分が言われるとグサっとくるヤツだ』
絵名:『ふん、やっとわかった?』
奏:『……ふふ。 ねえ、雪』
まふゆ:『何?』
奏:『わたし、今楽しいよ。雪は?』
まふゆ:『私は――』
まふゆ:『……同じ気持ちかもしれない。 まだ、ちゃんとわからないけど』