活动剧情
STRAY BAD DOG
活动ID:21
第 1 话:感じる成長
小さめのライブハウス
彰人:♪————っ!
MC:Vivid BAD SQUAD、圧倒的なパフォーマンスだ!!
観客A:……すげえな。前見た時もやるなと思ったけど、 もっと腕上げてないか?
観客B:ああ、しかもまだまだ伸びしろはありそうだし……。 このまま育てば、かなりのチームになりそうだな
彰人:(——よし、いい調子だ。 会場も今日イチわいてる)
彰人:(それに……)
こはね・冬弥:『——♪ ——♪』
彰人:(最近、こいつらもすげえ速度で成長していってやがる。 ……油断したらこっちが呑まれそうだ)
彰人:(…………)
彰人:(——どうにも懐かしいな、この感じは。 初めて冬弥の歌を聴いた時みたいだ)
彰人:(——オレも負けてられねえな)
彰人:——♪ ——♪
???:…………
バックステージ
彰人:……よし。 今までの中じゃ一番の出来だったな
冬弥:ああ。観客との一体感もあった
杏:ほんと最っ高~! この瞬間のために生きてるって感じ!
こはね:うん……! すっごくドキドキしたね!
彰人:だからって、この程度で満足して浮かれんなよ
彰人:オレ達はRAD WEEKENDを超えんだ。 こんくらい、軽くやれて当然だろ
杏:わかってるって! 次のイベントの練習も、頑張ろうね!
翌日
シブヤの公園
彰人:♪————
彰人:……よし、こんなところか
冬弥:……ん? 早いな、彰人。 こんな朝早くから声出しをしていたのか
彰人:喉温めるのに時間がかかるからな。 次のイベントも近いし、フルで練習する日は 2時間前に来ることにした
冬弥:そうか。ずいぶん張りきっているな
彰人:なんだよ今更。 それ言うなら、冬弥も前より自主練増えただろ
冬弥:たしかにそうだな。 ただそれは、張りきっているというよりは 自然とそうなったという感じだ
彰人:ならオレも似たようなもんだ。 ようやくチームの実力がだせるようになってきたしな
冬弥:そうか……
彰人:(……ま、それだけじゃねえけどな)
彰人:(冬弥は親父のことにふんぎりつけてから、 ますます歌えるようになってきてる)
彰人:(杏も、組んだ当初はノリで突っ走ってミスることもあったが、 チームで歌うコツを掴んでからは、それもなくなってきた)
彰人:(それに、こはねの成長速度は半端ねえ。 どこまで歌えるようになんのか未知数だ)
彰人:…………
彰人:(……チームとしてもまとまってきて、いい波がきてるんだ。 オレも気を引き締めていかねえとな)
杏:あれっ? ふたりともずいぶん早いじゃん!
こはね:おはよう! 東雲くん、青柳くん
彰人:おう。 お前達も早く来たんだな
杏:うん、早めに声出ししとこうと思ってさ。 っていうか約束の1時間前にいるって、何時に起きたわけ?
彰人:あー……6時ちょっと前だな
杏:ええ~早すぎない? おじいちゃん?
彰人:なら、同じ時間に来てるお前らもばあさんだろ
杏:ちょっとー! 女子高生ですけどー!?
こはね:あはは……
彰人:ま、なんにせよ全員揃ったんだ。 練習するぞお前ら
杏:あ、ちょっと待った! さすがにこんな朝早くから4人で歌うと近所迷惑でしょ
杏:だからさ、あっちでやらない?
ストリートのセカイ
杏:到着! って、あれ? 何か聞こえない?
???:本当にごめんっ! ボクが悪かった! このとおり!
こはね:……男の人の声?
???:バカバカー! 絶っ対許さないからな!
???:そーだよ! レンが大事にとっておいたおやつだったのにー!
冬弥:こっちの声はリンとレンか……? メイコさんのカフェのほうで、言い争いをしているようだな
杏:よくわかんないけど、とりあえず行ってみよう!
彰人:なんかまた、しょうもねえケンカの臭いがするな……
crase cafe
杏:メイコさん! ミク! 何かあったんですか?
MEIKO:あら、杏ちゃん。 いらっしゃい
ミク:何かあったっていうか……見てのとおりかな
リン:ひどいよカイト! レンのとっておきのアイス食べちゃうなんて!
レン:昨日からずーっと楽しみにしてたんだからな!
こはね:カイト……って、あのカイトさん!?
MEIKO:ええ。今までどこにいたか知らないけど、 ちょっと前にフラーっと現れたの
ミク:ま、いつもフラフラしてるし、いつか来るとは思ってたけどね
彰人:いや、適当すぎるだろ……
レン:っていうか、どうしてオレのアイス食べちゃったのさー!
KAITO:ええと……さっきメイコのカフェの前を歩いてたんだ。 そうしたら、急にお腹がグーグー鳴り出して——
KAITO:せっかくだし、メイコのお店で 何か食べさせてもらおうかなーと思ったんだけど、 準備中だったのか、メイコがいなくてね
KAITO:それでお店の冷蔵庫を見てみたら、アイスがあったんだ
KAITO:いつもはリンもレンも自分のアイスに名前を書いてるから、 これはきっとボクのためにメイコが 用意してくれたんだって思いこんじゃって——
MEIKO:そもそも勝手に冷蔵庫を開けるのはやめてほしいんだけど?
KAITO:ううっ……
レン:たしかに名前を書き忘れたのはオレだけど……。 もー、食べる前に聞いてよー!
KAITO:本当にごめん! 代わりに……そうだ! レンが前気にしてたサンプラーの使いかたを教えるよ!
レン:え!? 本当!?
レン:うーん……。 ちゃーんと最後まで教えてくれるなら 許してあげなくもないかな……
KAITO:本当かい? よかった~!
こはね:サンプラー……?
ミク:音を取りこんで、好きに組みあわせたりできる機械の ことだよ。DJブースで見たことあるんじゃないかな
彰人:もしかしてあいつ、DJなのか?
MEIKO:ええ。盛り上げるのが上手だし、 あれで結構うまいのよ。 最近はレンのお師匠さんみたいになってるの
冬弥:そうなのか。 ぜひ聴いてみたいものだな
KAITO:……ん? もしかして、そこにいるのは……
MEIKO:カイト、紹介するわ。 このセカイの想いの持ち主達よ
KAITO:ああ、そうなんだね! 初めまして! ボクはカイトだよ
KAITO:いや~恥ずかしいところを見られちゃったなあ。 アッハッハッ!
こはね:え、えと、よろしくお願いします……!
冬弥:初めまして。よろしくお願いします
レン:みんな来てたんだ! ねえねえ、せっかくだし一緒にDJやらない? 今からカイトが教えてくれるんだ!
彰人:あー……わりいけど、今日は歌いに来たからまた今度な
レン:ちぇー! じゃあ、また今度ね! ……ほら、カイトやるよー! 用意できた?
KAITO:うん。早速やろうか! それじゃあこんな感じで……
彰人:……なんだこの音?
こはね:なんだか不思議な音だね。 ピョーンとか、プワワーとか……
KAITO:あ、そうだ! こんな音も使えるんじゃないかな? おもしろいだろ?
彰人:(サンプラーの使いかた教えるって言ってたが……、 遊んでばっかじゃねえか)
彰人:(メイコさんはあれで結構やるっつってたけど、 正直、ヘラヘラしてるっつーか……)
彰人:(いや、今はそんなこと考えてる場合じゃなかったな)
彰人:おい、そろそろ練習するぞ。 これじゃ早く来た意味がねえ
彰人:みっちり練習して、次のイベントもわかせるぞ!
こはね・杏:『うん!』
第 2 话:謎の実力者
ライブハウス
ライブハウス前
杏:ん~! 今日もバッチリ盛り上がったね! 練習した分がちゃんとでてるって感じ!
彰人:ああ、朝練やった甲斐は十分あったな
こはね:うん! 練習したところ、ちゃんと成功したもんね。 嬉しいなあ
こはね:……あ! 私、楽屋にスマホ忘れちゃった! ごめんね、ちょっと取りに行ってくるね
杏:ほんと? じゃあ私も一緒に探しに行くよ。 ふたりはここで待ってて!
冬弥:ああ、わかった
観客A:——今日のイベントはヤバかったな! 特にVivid BAD SQUADはかなりレベル高くなかったか?
観客B:だな! この前の“あいつ”といい勝負なんじゃないか?
彰人:(……あいつ?)
観客B:たしかに、あいつもすごかったよな! 俺、フロアがあんなにわいたの初めて見たわ
観客A:そういやあいつ、そのうちRAD WEEKENDを超える イベントをやるっつってたが……
観客B:RAD WEEKENDって……あの伝説のイベントをか? 名前しか知らねえけど、みんな無理だって言ってるだろ
彰人:(RAD WEEKENDを……?)
彰人:……あの、すみません。ちょっといいですか
観客A:ん? わっ! あんた、Vivid BAD SQUADの……!
彰人:——その、“あいつ”って、誰のことですか?
WEEKEND GARAGE
彰人:遠野新……か
冬弥:最近、この辺りのイベントに出てくるようになったらしいな。 かなり歌えるようだ
冬弥:それに、本人もRAD WEEKENDを超えるイベントをやると 公言しているらしい
杏:遠野、新……
彰人:……RAD WEEKENDを超える、か。 ここらでオレ達の他にも、そう言ってるヤツがいるとはな
彰人:上等だ。 どんな歌歌うか、聴いてやろうじゃねえか
こはね:し、東雲くん、顔が怖いよ……!
冬弥:気にするな小豆沢。 彰人はよくああいう顔をしているだろう
こはね:そ、そうかな……?
杏:——あ! 思い出した!
杏:その新って人のこと、 昔、父さんが話してた気がする
彰人:謙さんが?
杏:うん。中学の時だったから、3年くらい前かな……。 父さーん!
杏の父:ん? 注文か?
杏:じゃなくって。父さん、 昔、遠野新って人の話してなかったっけ?
杏の父:遠野新……ああ、新のことか
杏:あ! やっぱ知ってるの!?
杏の父:おう。3年前、海外で修行すると言って出て行ったんだが、 帰って来ていたんだな
こはね:海外で……。 だからみんな聞いたことなかったのかな
杏:ねえねえ、その新って人、どんな人なの?
杏の父:気のいいヤツだな。 最初会った時はまだ中学生だったが、 頭も回るし、客を盛り上げるセンスも頭ひとつふたつ抜けてた
杏の父:それに、お前達みたいに RAD WEEKENDを超えてやるって息巻いていたな
こはね:やっぱりRAD WEEKENDを……
杏の父:そんなんだから可愛がる連中も多かったし、 あいつの相棒も——
彰人:相棒? そいつ、相棒がいるんですか?
杏の父:……ああ。 昔はな
杏の父:だが……そうか、戻って来たのか。 しかもそんなに腕を上げてるとはな
杏の父:今どんな歌を歌うのか、 オレも聴いてみたいもんだ
彰人:…………そっすか
冬弥:謙さんから見ても、実力のある人なんですね
杏:なーんかますます気になってきちゃった! その人、次どこのイベントに出るんだろ?
こはね:うーん……SNSとかやってないかな?
こはね:……あ! その人のアカウントはないみたいだけど、 ファンの人が『来週新が出るイベントに行く』って言ってるよ! この近くのライブハウスでやるみたい
杏:ほんと? じゃあ来週みんなで見に行こうよ!
彰人:……ああ、そうだな。 お前らも予定あけとけよ
彰人:(遠野新……か)
彰人:そんじゃ謙さん、ごちそうさまでした
冬弥:白石、小豆沢、また明日会おう
こはね:うん。またね、青柳くん、東雲くん
杏:じゃーね!
ビビッドストリート
彰人:なあ、冬弥
冬弥:ん? なんだ?
彰人:帰る前に、1曲合わせてかねえか
彰人:今日のイベントはいい出来だったからな。 感覚忘れねえうちに確認しときてえ
冬弥:ああ、そうだな
彰人:んじゃ歌いに行くぞ。 場所はいつものところで……
彰人:……ん? あんなところに人だかりができてんな。 どこかでイベントやってたのか?
冬弥:みたいだな。 客が妙に盛り上がってるみたいだが……
観客達:驚いたな! まさか、新が飛び入りで参加するなんて思わなかったわ!
観客達:けど、今日出たヤツらも可哀想だよな。 最後に新に歌われたら、全部持ってかれるだろ
彰人:……新?
観客達:あ! 出て来たぞ!
彰人:あいつが……
???:お疲れ~……って、うわ! すっごい人だね。これって誰待ち?
観客A:おいおい、そんなの新に決まってるだろ?
観客B:ねえ、今度知りあいのハコでイベントやるんだけど 一緒にやらない? 出る人も、この辺じゃ有名人ばっかだよ
新:え、本当? じゃあせっかくだし、出させてもらっちゃおうかな
冬弥:あそこにいるのが遠野か……。 歳は、俺達より少し上くらいだろうか
冬弥:謙さんの言うとおり、気のよさそうな人物だな
彰人:ああ、そうだな……
彰人:(けど、本当にRAD WEEKENDを 超えようと思ってんのか? そこまで気合い入ってるようには……)
彰人:(……いや、見た目でああだこうだ考えても意味ねえ)
彰人:(話は、あいつの歌を聴いてからだ)
彰人:——行くぞ、冬弥
冬弥:え?
彰人:来週まで待つ必要がねえんなら、 願ったり叶ったりだ
彰人:あいつがどんなヤツなのか、 オレ達の目で見てやろうじゃねえか
冬弥:あ……彰人!
第 3 话:衝突
ビビッドストリート ライブハウス前
観客A:なあ、このあと予定ある? 音楽仲間が集まる飯屋があるんだけど、一緒に行かねえ?
新:あ~ごめん! ライブのあとはチョコパフェって決めててさ。 これだけは外せないんだよね~
新:悪いけど俺はこれで……ん?
彰人:——こんばんは
彰人:突然すみません。 遠野新さんですよね?
彰人:オレ、よくこの辺りで歌ってる者なんですけど、 最近よく遠野さんの噂を聞いて気になってて
彰人:よければ、少しお話させてもらってもいいですか?
観客達:あれって、もしかして彰人か……?
観客達:あ、本当だ!
新:ん? 君、どっかで見たことあるような……
彰人:東雲彰人です。 Vivid BAD SQUADってチーム組んで歌ってます
新:ああ! Vivid BAD SQUADか! 前、イベントで聴かせてもらったことあるよ
彰人:本当ですか? ありがとうございます
冬弥:彰人……!
新:あ、そっちの君も、たしか一緒に歌ってたよね。 初めまして、遠野新だよ
冬弥:あ……初めまして。 青柳冬弥です
彰人:同じチームの、オレの相棒です
新:相棒……
新:そっか。 いいねー、相棒
冬弥:(……なんだ? 今、一瞬雰囲気が変わったような……)
彰人:あの、ひとつ遠野さんに聞きたいんですけど、いいですか?
新:うん、答えられることなら全然いいよ
彰人:じゃあ——RAD WEEKENDを超えようと思ってるってのは 本当ですか?
新:…………!
新:……うん、本当だよ。 ああ、でも……その言いかたはちょっと正確じゃないかな
新:超えようと思ってるっていうか——絶対に超えるから
彰人:……遠野さんは、RAD WEEKENDを実際に見たんですか?
新:うん、見たよ! 親友が音楽好きで、無理やり連れてかれてさ
新:で、そいつがテンション上がっちゃって、イベントの帰りに、 『俺達で一緒にRAD WEEKENDを超えよう!』って 言いだしたんだ
新:だからRAD WEEKENDを超えるっていうのは、 俺の夢っていうより……そいつの夢って感じかな
冬弥:……? 今は、ひとりでイベントに出ていると聞いたんですが
新:ああ、うん。 いろいろあってね
新:今は、俺ひとりで超えようと思ってるよ
彰人:……あのRAD WEEKENDをひとりで……ですか?
彰人:それ、本気で言ってるんですか
彰人:実際に見たんならわかるはずです。 あれは、ひとりでそう簡単に超えられるようなものじゃない
新:ああ、それはもちろんわかってるよ
新:でも——俺のほうが、君達より可能性あると思うけどね?
彰人:え?
冬弥:それは……
新:君達も狙ってるんでしょ? RAD WEEKEND超え
彰人:……知ってたんですか
新:うん。こっちに戻ってきてすぐ、噂で聞いたからね
新:Vivid BAD SQUADってチームが RAD WEEKEND超えを狙ってるって
冬弥:そうだったんですか……
新:だけど——正直、期待外れだったな
新:謙さんが目をかけてるほどのチームだって聞いたから、 結構期待してたんだけどね
彰人:は? ……どういう意味だ、そりゃ
新:うわ、急に怖い顔になったね。 ごめんごめん
新:でも、発言を撤回する気はないよ。 実際、RAD WEEKENDを超えるには、 君達は実力不足だしね
新:まあ、もっと時間かけていけばいい線までいけると思うけど。 その時には、俺が先に超えてるだろうし
彰人:……おい
彰人:どんだけ歌えるか知らねえけど、 あんまり舐めんじゃねえぞ
新:別に舐めてるわけじゃないよ。 思ったままの感想を言ってるだけだって
彰人:なんだと……!?
新:……納得していないみたいだから、 もう少しわかりやすく教えてあげようか
新:青柳くん、だったっけ。 君、耳がいいんだね。どの音もすごく正確だ。 ただ、せっかくの才能を活かしきれていない感じがあるね
新:それに、杏って子はいいね。さすが謙さんの娘さんだと思ったよ。 まあ……まだ粗いところが目立つけど
新:あとひとりは……名前忘れちゃったな。 歌についてはちょっとおもしろいところもある子だったけど—— パフォーマンスがまだまだ素人だよね
新:俺だったら、あの子とは組まないな
冬弥:……っ
彰人:てめえ……!
新:それと、最後に何より——
彰人:——言いたい放題言ってくれるじゃねえか
彰人:そこまで言うなら、お前はそれ以上なんだろうな
新:ああ。そりゃ当然ね
彰人:じゃあ、試してやろうじゃねえか。 お前とオレ達、どっちが上か
冬弥:え……?
彰人:ここにいる連中を、オレ達がお前より盛り上げられたら さっきの発言は撤回しろ
観客達:……なあ、これってもしかして、 新とVivid BAD SQUADがやりあうのか?
観客達:マジかよ! おもしろそうだな!
新:——あはは、勝負ってことか。 いいよ。みんなも期待してくれてるみたいだし
新:ねえ、そこの君。 ちょっと機材借りてきてくれない?
観客A:おう!
冬弥:な……
彰人:歌えるだろ、冬弥。 喉は十分開いてんだ
冬弥:本当に勝負するつもりなのか? そんなことをしたところで……
彰人:じゃあ、このままのこのこ帰れってのか?
彰人:お前達のことをああまで言われて、黙って帰れるかよ
彰人:冬弥がやらなくても、オレはやる
冬弥:……なら、俺も歌う
冬弥:俺は彰人の相棒だからな
彰人:じゃあ、ルールはシンプルにいくぞ。 歌う曲はなんでもいい。ここにいる連中をわかしたほうが勝ちだ
新:うん、いいよ。それでやろう。 歌う順番はどうする?
彰人:オレ達が先だ。 お前が歌うより前に決着つけてやるよ
新:あはは、いい気合いだね。 けど、RAD WEEKENDを超えたいなら、 そんくらいじゃないとね
彰人:当たり前だ。 こっちはそのために歌い続けてんだ
彰人:——そこらのヤツとは、覚悟が違えんだよ
新:……覚悟、ね
観客達:おーい、セッティングできたぞ! どっちが先だ?
彰人:オレ達だ
彰人:言っとくが——手加減しねえからな
新:うん。全力できていいよ
彰人・冬弥:『♪ ————!』
観客達:すっげ……! 相変わらず攻めるな!
観客達:久しぶりにBAD DOGSのパフォーマンスを見たけど、 やっぱすげえな!
新:……たしかに、悪くはないね
新:でも、やっぱり足りないな
彰人・冬弥:『♪ ————ッ!』
冬弥:……はぁ……はぁ
彰人:どうだ。 勝てる自信、まだ残ってるかよ
新:うん、もちろん
新:それじゃあ、聴いてもらおうかな。 俺の歌
第 4 话:そんなの、当たり前
ビビッドストリート
彰人:(見せてもらおうじゃねえか、遠野。 お前がどれだけ歌えるか)
新:んー……よし! ライブハウスもいいけど、ずっと外で歌ってたし、 やっぱ路上で歌うほうがしっくりくるなあ
新:それじゃあ、思う存分聴かせてあげるよ
冬弥:(今、空気が……!)
新:♪————————!
彰人:な…………!
観客達:す……すっげえ
観客達:ていうか、さっきのイベントとまるで違うぞ!?
観客達:あいつ、こんな歌いかたまでできるのかよ……
冬弥:(なんだ、この歌声は……! 技術的にも凄まじいが……それだけじゃない)
冬弥:(どうして、ここまで突き刺さる……!?)
新:♪————! ————!
彰人:…………
彰人:(……知ってる。 いや、感じたことがある)
彰人:(この感覚は——)
彰人:…………クソ……っ
観客達:新ー!! 最高!!
観客達:もう1曲歌ってくれないかな?
新:……ふぅ
新:それで、勝敗は?
彰人:……オレに聞くのかよ
新:あはは、ちょっと意地悪だったね。 でも、君達の歌も悪くなかったよ
彰人:っ……!
新:にしても、まさか本当に乗ってくるとは思わなかったな
新:仲間のためもあるだろうけど—— それだけ、RAD WEEKENDに思い入れがあるのかな?
彰人:そんなの……あるに決まってんだろ……
彰人:オレはあれを見て、自分がどう生きたいかわかった
彰人:半端な気持ちで、何したいのかわからないまま ぼんやり生きてることが死ぬほどダセえって気づいた
彰人:オレに命まで燃やして生きろって思わせてくれたのが、 RAD WEEKENDだ
彰人:オレは——あの夜を超えることに 人生賭けるって決めてんだよ
新:……人生を賭ける、か
新:そんなの、当たり前じゃない?
彰人:……何?
新:俺は、夢のために人生を賭けるのなんて当然だと思うよ
新:っていうか、賭けられないなら、 それは本気じゃないでしょ?
彰人:……っ
新:……ま、これは相棒の受け売りなんだけどね
冬弥:……あの、遠野さん
冬弥:遠野さんの“相棒”は、どうされたんですか?
新:…………。 遠くの街にいるよ
彰人:……遠くの街? なんで一緒に歌わねえんだ。 そいつもRAD WEEKENDを超えたいんじゃねえのか
新:もう歌えないんだよね、事故で
彰人:事故……?
新:よくある交通事故だよ。 交差点に突っこんできた車にはねられてさ
新:一命はとりとめたけど、体のいろんなところに麻痺が残ってね。 歌い続けるのが難しくなったんだ
冬弥:そんな……
新:……RAD WEEKENDを超えるぞってあいつが言いだして、 ノリで一緒に練習して、イベントに出て、歌って——
新:だんだん、こいつと一緒に夢を叶えられたら最高だろうなあ、 なんて柄にもなく思うようになったんだけどね—— その矢先だった
彰人:…………
新:まあ、いろいろあったけどさ
新:俺は決めたんだ。 歌えなくなったあいつの分まで、 RAD WEEKENDを超えるって
彰人:…………
彰人:(相棒が、歌えなくなった……)
彰人:(それでもこいつはひとりで、これだけの歌を——)
冬弥:……どうしてそんなことまで、俺達に話してくれたんですか?
新:んー……なんでだろうね
新:あいつみたいに、RAD WEEKEND超えを 目指してるからかな?
新:実力はまだまだだけど、 本気でやろうって思ってるみたいだしね
彰人:…………
新:……せっかくだから、 ひとつアドバイスしておこうかな
冬弥:アドバイス?
新:本気でRAD WEEKENDを超えたいなら、 もっと力をつけたほうがいいと思うよ
彰人:……お前に言われなくてもわかってんだよ、そんなこと
新:ああ、じゃあ言いかたを変えようかな
新:さっき、君の仲間について いろいろ感想を言わせてもらったけどさ
新:東雲くん、君が一番おもしろくないんだよね
彰人:——は?
新:たしかに君達は歌のレベルも高いし、 パフォーマンスの勢いもある。いいチームだと思う
新:だけど、RAD WEEKENDに出ていたミュージシャンは ひとりひとりが天才的なプレイヤーだった。 君も見ていたのなら知ってるだろ?
彰人:それは……
新:チームでのパフォーマンス力を高めるのはいいことだよ。 だけど、俺はそれ以上に個々人の実力が必要だと思ってる
新:それで言うと、君はどうかな
新:君の仲間は、荒削りではあるけれど光るものがある。 このまま努力を重ねれば、一流と呼ばれるような プレイヤーになれるかもしれない
新:——だけどその時、彼らと同じステージに君が立っている姿を 俺は想像できないんだよね
彰人:な……っ
新:君もそのことは、なんとなくわかってるんじゃない?
彰人:……オレは……
冬弥:……待ってください!
冬弥:RAD WEEKENDを超えるには まだ実力不足だということは理解しています。 しかし、それは彰人だけじゃない。俺も——
彰人:冬弥
彰人:……いい
冬弥:だが、彰人……
新:……じゃあ俺はこれで。 お互い、頑張ろうね
冬弥:……彰人
彰人:クソ……
彰人:クソッ!!
第 5 话:向けられた背中
ビビッドストリート
彰人:…………
冬弥:すまなかった、彰人
彰人:……なんでお前が謝るんだよ
冬弥:俺が力不足だったからだ。もっと歌えていれば、 あんなことは言われなかったはずだ
彰人:…………んなわけあるか
彰人:力が足りなかったのは、オレだ
冬弥:そんなことはない。 彰人は——
彰人:そんなことあんだよ。 ……それはオレが一番よくわかってる
冬弥:彰人……
冬弥:……それでも、このまま座りこんでいるわけにはいかない
冬弥:立ってくれ、彰人
冬弥:敗北を糧にして進む。 それが俺達のやりかただろう
彰人:…………っ
彰人:……はぁ
彰人:そうだな。冬弥の言うとおりだ
彰人:負けても負けても食らいついてきたから、 オレ達はここまでこれた
冬弥:ああ、だろう?
彰人:たく、またお前に励まされてんな
彰人:明日からの練習メニューも考えねえとな。 杏とこはねにも連絡して……
彰人:(——だが)
彰人:(本当に、それだけでいいのか?)
新:たしかに君達は歌のレベルも高いし、 パフォーマンスの勢いもある。いいチームだと思う
新:だけど、RAD WEEKENDに出ていたミュージシャンは ひとりひとりが天才的なプレイヤーだった。 君も見ていたのなら知ってるだろ?
新:君の仲間は、荒削りではあるけれど光るものがある。 このまま努力を重ねれば、一流と呼ばれるような プレイヤーになれるかもしれない
新:だけどその時、彼らと同じステージに君が立っている姿を 俺は想像できないんだよね
彰人:…………
冬弥:……ん? どうしたんだ? 彰人
彰人:……なんでもねえよ。少し考えごとしてただけだ
彰人:帰るぞ、明日も練習だ
スクランブル交差点
冬弥:じゃあ、彰人。また明日
彰人:おう
彰人:——おもしろくねえ、か
2年前
彰人:♪ ————! ♪ ————!
冬弥:——♪ ——♪
彰人:……ありがとうございました!
観客達:BAD DOGS、だったか? 勢いはあるがそれだけだな……
観客達:片方は新人にしてはセンスいいし、まあまあ歌えてたから 余計にもったいないっつーか
観客達:——つまんねえ歌だな
彰人:…………ッ
彰人:♪ ————! ♪ ————!!
冬弥:……彰人、そろそろ今日は帰ろう。 もう日が沈んできた
彰人:——ああ、そうだな。 こんな時間まで悪かった。 朝からつきあわせてたから疲れただろ
冬弥:問題ない。この前のイベントは至らないところがあったからな。 ……次はもっとわかせてみせる
彰人:冬弥……
彰人:——ああ、だな。 オレ達はこんなもんじゃねえってとこ、見せてやるぞ
彰人:♪ ————!
彰人:♪ ————!
彰人:……クソ! こんなんじゃ全然だろ……!
彰人:(……冬弥と比べて才能がないなんてこと、 オレが一番よくわかってんだよ)
彰人:(だから、もっと練習しねえと——)
彰人:(あいつの相棒として、肩を並べて歌えるように。 一緒にRAD WEEKENDを超えるために——!)
彰人:♪ ————!
彰人:(……あの時だってそうだ。 オレはそうやって力をつけてきた)
彰人:……やっぱり、このまま止まってられねえ
翌日
WEEKEND GARAGE
杏:ひとりでイベントに出たい?
冬弥:彰人……
彰人:ああ。チームでやるのとは別にな
彰人:チーム練の時間は今までと同じでいい。 んで、ソロでイベントある時だけ抜ける
彰人:こはねもやってるし、オレがやっても問題ないだろ
冬弥:たしかに、そうだが……
杏:まあ、私は別にいいけど。 ソロで出るのもいい経験になるしね
杏:でも、チーム練の時間減らさないなら、 ソロの練習いつやるの?
彰人:チーム練のあとだ。 それと、バイトのシフト削って夜やる
こはね:えっ? それって、すごく大変なんじゃ……
彰人:この程度のどこが大変なんだよ。 こんぐらいはやって当然だろ
こはね:そ、そうかもしれないけど……
冬弥:……彰人。 ソロの練習をするなら、俺もつきあう
冬弥:やはり聴く人間がいたほうが——
彰人:……いや、これはオレひとりでやる
冬弥:昨日言われたことを気にしているのか?
彰人:別に、あいつに言われたからだけじゃねえよ。 オレが、そういう練習も必要だと思っただけだ
冬弥:だが……
杏:ちょっとちょっと、よくわかんないけど空気悪くない?
こはね:う、うん……。 ふたりとも、何かあったの?
冬弥:それは……
彰人:……昨日の夜、例の遠野ってヤツに会った
彰人:で——勝負して、負けた
杏:え!? 何それ、どういうこと!?
彰人:どういうも何も、そのままの意味だ
彰人:オレ達はあいつに手も足も出なかった。 それに……
こはね:それに……?
彰人:……とにかく、今のままじゃオレが納得できねえ
彰人:オレはもっと力をつける必要がある。 だから……ひとりでやらせてくれ
彰人:お前らに迷惑はかけねえ
冬弥:彰人……
杏:……はぁ。 そんじゃ、納得できるまでやってきたら? 私は反対しないよ
彰人:ああ、助かる
彰人:じゃあ、今日は先行くぞ
こはね:あ……。 杏ちゃん、よかったの?
杏:んー、いいか悪いかはわかんないけど、 どーせ、ダメって言ったところで聞かないでしょ
冬弥:……ああ、その判断は間違っていないと思う。 ああいう時の彰人が考えを変えることはまずない
冬弥:だが……大丈夫だろうか
杏:……ま、しばらく様子見てみよっか。 負けてムシャクシャしてるのかもしんないけど、 少ししたら落ち着くかもしれないしね
冬弥:……そうだな
バックステージ
ミュージシャン:よっし! 喉の調子も完璧だな
ミュージシャン:最近あいつらばっか人気になってっけど、 オレも負けてられねえからな。……ん?
ミュージシャン:あ、彰人!?
彰人:……ああ、お前か
ミュージシャン:な、なんでいるんだ!? 今日の出演者にVivid BAD SQUADは いなかったはず……
彰人:今日は飛び入りでオレだけ出るんだよ。 いろいろあってな
彰人:つーかお前、杏達からお前が平謝りしてきたってのは聞いたが、 オレ達のところには謝りに来てねえよな?
ミュージシャン:うっ、そ、それは……!
ミュージシャン:その……半端な音楽やってるうちは あわせる顔がねえなって思って……
彰人:……はぁ。 もう二度とすんなよ
彰人:まあいい。 今はそれより、やらなきゃなんねえことがあるからな
ミュージシャン:……?
彰人:(——ひとりでやるのは久しぶりだな)
彰人:(冬弥と歌い始めてからはずっとふたりだったし、 そのあとはあいつらと組んで歌ってきたからな)
彰人:(RAD WEEKENDを超えるために、ずっと——)
彰人:——止まる気はねえ
彰人:オレはあいつらと、上り詰めてやる
2週間後
シブヤの公園
彰人:♪ ————! ————!
杏:オッケー! 今日はここまでにしとこっか
彰人:じゃ、オレはもう行くぞ。 夜からイベントだからな
冬弥:今日もイベントに出るのか? この前も出ていた気がするが……
彰人:場数踏むのが、一番経験値稼げるだろ
彰人:……っ
杏:ちょっと大丈夫? 今思いっきりフラついたでしょ
こはね:東雲くん、最近すごく疲れてるみたいに見えるけど、 本当に平気なの?
彰人:……こんぐらい、なんてことねえよ
こはね:あ……
杏:ねえ、彰人のヤツ、かなり無茶してない? ほとんど休んでないみたいに見えるんだけど
冬弥:……すまない、ふたりとも。 先に行く
こはね:あ、青柳くん!?
杏:ちょっと、どこ行くの!? ……あーもう、追いかけよう、こはね!
こはね:う、うん!
第 6 话:相棒としてできること
ビビッドストリート
冬弥:……待ってくれ! 彰人!
彰人:なんだよ冬弥。そんなに慌てて
冬弥:少し、話をさせてくれないか
彰人:……話? なんだ
冬弥:今の彰人は、どう見てもオーバーワークだ
冬弥:RAD WEEKENDを超えるために、 もっと力をつけたいという気持ちはわかる
冬弥:だが、この調子では体を壊す。 そうなっては元も子も——
彰人:それくらいのリスクはわかってやってる
冬弥:だが……!
彰人:普通に努力してどうにかなんのなら、 オレだってそうしてる
彰人:だが今のままじゃ、オレはRAD WEEKENDを 超えられねえ。あれを超えるためには無茶だろうがなんだろうが、 やれるだけのことをやらなきゃなんねえだろ
冬弥:……やはり、あの晩のことを気にしているのか
冬弥:彰人、遠野さんはああ言っていたが——、 俺は彰人が実力不足だとは思っていない
彰人:…………
冬弥:……納得していない顔だな
冬弥:じゃあ仮に、今の彰人の実力では、 RAD WEEKENDを超えることができないとしよう
冬弥:だとしても、それは彰人だけじゃない。 俺達全員がそうだろう
冬弥:遠野さんが言うような一流のプレイヤーには、まだ程遠い。 だからこそ、全員が今以上の力をつける必要がある。違うか
冬弥:……ひとりで無茶をするな
冬弥:俺が壁にぶつかっている時に、彰人は言ってくれただろう。 『オレにも少しは頼れ』と
冬弥:俺も、同じ気持ちだ。 俺達は——チームだろ
彰人:…………冬弥
彰人:(冬弥と組んで——こいつと相棒としてやっていくために、 必死で練習してきた)
彰人:(ようやく肩を並べられるようになって、 杏やこはねと組んで歌うようになって——少しずつ あの夜に近づけるようになったんじゃねえかって思ってた)
彰人:(だが——)
新:君の仲間は、荒削りではあるけれど光るものがある。 このまま努力を重ねれば、一流と呼ばれるような プレイヤーになれるかもしれない
新:だけどその時、彼らと同じステージに君が立っている姿を 俺は想像できないんだよね
彰人:…………ッ
彰人:(あいつが言うことも——わかる)
彰人:(冬弥達とRAD WEEKENDを超えるためには、 オレ自身がこいつらの何倍も努力しなきゃならねえ)
彰人:(今はただ、冬弥と出会った頃みてえに がむしゃらにやるしか——)
こはね:あ、杏ちゃん! あそこにいるよ!
彰人:…………もうすぐイベントの時間だ。 悪いが、話はまた今度な
冬弥:彰人……!
WEEKEND GARAGE
杏:本当にどうしちゃったんだろ、彰人
こはね:このあいだからずっと疲れた顔してるし、休んでって言っても 聞いてもらえないし……心配だな
冬弥:…………
こはね:あ、そうだ! 杏ちゃんのお父さんから話してもらったら……!
杏:実は、もう1回話してもらったんだよね
杏:でも、それもダメだったんだ。 アドバイスありがとうございます、って答えたみたいだけど、 結局あんな感じでさ
冬弥:謙さんから言ってもらってもそうなのか……。 一体どうしたら……
杏:せめて、なんでああいう風になっちゃってるかだけでもわかれば、 少しはやりようがあるんだけどなあ……
こはね:あ、それなら……。 あっちで相談してみるのはどうかな
ストリートのセカイ
杏:よしっ、到着! それじゃ早速話を……って、この曲……
こはね:すっごくオシャレな曲……!
KAITO:——はい! こんな感じだよ
リン:すっごーい! カイトなのにカッコイイ!
KAITO:ええっ? 『カイトなのに』は酷いな~
MEIKO:こらこら、せっかくカイトがリン達のために サンプリングしたのに、そんな風に言っちゃダメでしょ?
冬弥:今の曲は、カイトさんが……?
MEIKO:あら、いらっしゃい。 気がつかなくてごめんなさい
こはね:あ、いえ! 全然大丈夫です! 素敵な曲だったから、私達も聴き入っちゃいましたし……
KAITO:本当かい? いや~、そう言ってもらえると嬉しいな~
ミク:……そういえば、今日は3人なんだね。 彰人は?
冬弥:それなんだが……。 少し、相談に乗ってもらえないだろうか
crase cafe
MEIKO:……彰人くん、しばらく来てないと思ったら、 そんなことがあったのね
ミク:ストイックに頑張るのはいいことだけど……。 どうしてそこまで、ひとりで頑張ろうとするんだろ
レン:負けたのが悔しかったのかなぁ?
こはね:……東雲くんは、いつもみんなのことをよく見てるし、 負けたからってあんなに無茶なことをするかっていうと……
冬弥:……そうだな。 もしかすると、彰人は俺達が考えている以上に 深く考えて、悩んでいるのかもしれない
KAITO:うーん。 一体、何に悩んでるんだろうね
冬弥:さっき話をした時は、 何か、焦っているようにも見えたんですが……
こはね:焦る……?
こはね:…………あ
杏:どうしたの? こはね
こはね:……もしかしたらなんだけど、 東雲くんがひとりで頑張ってるのは、青柳くんが……
冬弥:……俺が?
こはね:えっと……青柳くん、お父さんのことを乗り越えてから、 どんどん歌がうまくなってるでしょ?
こはね:それを隣で見てるから、 自分も早く成長しなくちゃって、焦っちゃってるのかも……
杏:どうしてそう思うの?
こはね:……私も、ちょっとわかるんだ
こはね:やっぱり、隣に立つからには、 ちゃんと力になりたいから
冬弥:……そうだったのか
冬弥:俺としては、父さんのことを吹っ切って、 ようやく隣に立てたと思ったんだがな……
ミク:……気にしてるのは、冬弥だけじゃないかもしれないけどね
ミク:みんな、出会った頃よりずっと成長してるから
こはね:そうかなぁ……
杏:ありがと、ミク!
冬弥:…………
冬弥:仲間と共に進むためにも、もっと成長したいという 彰人の気持ちはわかる
冬弥:わかるが——
冬弥:……もっと頼ってほしいと思うのは、 わがままなんだろうか
KAITO:うーん。 ボクはそう思わないけどなあ
杏:え?
KAITO:だって、チームで頑張るってそういうものだろう?
KAITO:つらい時は励ましあって、調子のいい時はお互いに引き上げて…… そうやって頼ったり頼られたりしながら、 少しずつ前に進んでいくんだ
KAITO:もちろん、頼ってばっかりじゃダメだっていうのも、 正しいけどね?
KAITO:でもチームとして夢を追うんなら、今みたいな時は、 ちゃーんと頼らせてあげたほうがいいんじゃないかな
冬弥:……ちゃんと頼らせる、ですか
彰人:頑張ったな、冬弥
冬弥:……そうですね
冬弥:同じチームのメンバーとして……相棒として。 俺は、彰人を支えようと思います
冬弥:そして——一緒に成長していこうと思います
杏:……うん、決まったね。 相談に乗ってくれてありがとう、カイトさん
杏:——それじゃあ行こう! ふたりとも!
杏:さて、戻って来たことだし、 サクっと彰人に連絡とって……と
ミュージシャン:おい! 冬弥いるか!?
冬弥:あ……
杏:あ! あんた前に会った——
杏:え~っと……誰だっけ?
洸太郎:三田洸太郎だ! ……って、今はそんな場合じゃないんだ!
洸太郎:今日、彰人と同じイベントに出る予定なんだけど、 様子がちょっとおかしいんだよ
冬弥:彰人が? どうしたんだ?
洸太郎:今日あいつが出る対戦イベントに、 飛び入りで遠野新ってヤツが出演することになったんだ。 で、それを知った瞬間に、彰人がすげえ顔になって……
洸太郎:それに、なんつーか……。 うまく言えねえけど、昔の彰人みたいに見えたんだ
冬弥:昔の……? どういうことだ?
洸太郎:お前達がBAD DOGSを組んだ当初の……。 いや、やっぱそれは——
冬弥:何か知っているのなら教えてくれ、頼む
洸太郎:わ、わかったよ
洸太郎:あの頃、お前ら結構苦労してただろ。 先輩ミュージシャンにこき下ろされたり、 客にイチャモンつけられたり
冬弥:……ああ、あったな
杏:BAD DOGSにもそんな時期があったんだ
冬弥:ああ。だがその度に、俺達は練習を重ねて食らいついてきた。 特に、あの頃の彰人は本当にすごかった。 練習中も常に覇気があって——
冬弥:この場所で歌い続けるために、いつかあの夜を超えるためにと ひたすら努力する彰人に引っ張られるように、 俺も必死で練習していたんだ
杏:あー、なんか想像できるかも
こはね:東雲くん、すごい努力家だもんね
冬弥:だが、それがどうかしたのか?
洸太郎:……まあ、冬弥から見るとそんな感じなんだろうけどよ。 アレは、努力って言葉で終わらせていいレベルじゃ なかったんだよ
洸太郎:冬弥との練習時間以外も、ずっとやってたからな。 喉が枯れても、それこそ、朝も昼も夜もなくって感じでさ
冬弥:え……?
洸太郎:理由は聞けなかったんだが、多分……。 お前に追いつくために必死だったんじゃねえかな
冬弥:……俺に?
洸太郎:ああ、クラシックやってたってだけあって、 当時から音楽のセンスも実力もあったからな。 知らねえだろうが、すげえヤツがきたって騒がれてたんだぜ
洸太郎:その反面、彰人は一部のヤツらに、 相棒の実力だけでイキがってるって陰で言われてたりな
杏:なにそれ! ひどくない!?
冬弥:…………
彰人:力が足りなかったのは、オレだ
冬弥:そんなことはない。 彰人は——
彰人:そんなことあんだよ。 ……それはオレが一番よくわかってる
冬弥:……彰人……
冬弥:三田、教えてくれてありがとう。 彰人は今どこにいる?
洸太郎:ブ……『BROWN』ってライブハウスだ!
冬弥:あそこか……!
杏:あ、冬弥……! 私達も行こう、こはね!
こはね:うん!
第 7 话:リベンジ
小さめのライブハウス
彰人:…………久しぶりだな
新:ああ、東雲くん。 久しぶり!
新:東雲くんも出るんだね。 あれ、青柳くんはいないの?
彰人:今日はオレだけだ
彰人:……だからって、簡単に勝てると思うなよ
新:……すごい気迫だね。 よっぽど練習してきたのかな
新:東雲くんは怒るかもしれないけど、ちょっと嬉しいな。 やっぱり、そういう風にぶつかってこられると気合いが入るしね
彰人:チッ……。 そう言ってられるのも、今のうちだからな
新:あはは、じゃあ期待してるよ。 今日はいいイベントにしよう!
MC:——次のチームは『crash gag』だ!!
彰人:…………
彰人:(謙さんの言うとおり、あいつの実力は、 ここらの連中より頭ふたつは抜けてる)
彰人:(だが、オレだって死にもの狂いでやってきた)
彰人:(あの日のフザけた台詞は、今日覆えさせてやる……!)
MC:次は、今最高に熱いチームVivid BAD SQUADから、 彰人が登場だ!!
観客達:……なんか、いつもと雰囲気違わねえ? 妙なオーラがあるっつーか、力入ってるっつーか……
観客達:ああ、新に負けたからだろ。 今日はリベンジなんじゃねえの?
観客達:彰人はすげえけど、新が相手じゃな……
彰人:(オレは——誰が相手でも立ち止まる気はねえ)
彰人:(オレはオレ自身を超えて、 RAD WEEKENDを超えてやる——!)
彰人:♪ ————!
新:…………!
彰人:♪ ————! ————!
彰人:(あの日からずっと、追いかけてきた)
彰人:(ロクに歌の経験もないオレに、周りの連中は全員、 RAD WEEKENDを超えるなんて無理だって笑った)
彰人:(それでもオレはここまできた。 どんなに惨めに負けても食らいついてきた)
彰人:(だから今度も——壁にぶつかったまま 立ち止まるわけにはいかねえ!)
観客達:……すっげえ!! 彰人、こんな風に歌えたのか!?
観客達:いや、こんなにパワーはなかっただろ! 何したらこんなに変わるんだ?
観客達:あ~お前らうるせえ! 聴こえねえだろ!
彰人:♪ ————! ————!
新:……そっか
新:なら、こっちも本気でいかなきゃね
彰人:……はぁっ、はぁっ、はぁっ
MC:——彰人、最高のパフォーマンスだ! 果たしてこの熱気を超えられるか!?
MC:次は——期待のニューフェイス、新だ!!
新:いい歌を聴かせてもらったよ。 正直、1ヶ月もかからないで ここまで仕上げてくるなんて思わなかったな
新:でもそれだけじゃ——俺には勝てない
彰人:な……
新:♪ ————————!
彰人:…………っ!?
観客達:……………………
観客達:な、なんだ、これ…………
観客達:これ……こんな小さなハコで聴いていいレベルじゃねえだろ……
彰人:……んだよ……
彰人:前は、手加減してたっていうのか……?
観客達:あいつ、すげえな! こんだけ盛り上げられんなら、 本当にRAD WEEKENDも超えられるかもしれねえな!
彰人:(あれだけやって、オレは、近づくどころか——)
彰人:…………っ!
MC:——新、圧巻のパフォーマンスだ!! 今日のナンバーワンは決まったか!?
観客達:決まったも何も、今いるメンツで これ以上歌えるヤツいねーだろ
観客達:だよな
彰人:(……どうすりゃいい)
彰人:(あれだけやって、追いつくどころか、 余計に引き離されて——)
彰人:(オレは……もうこれ以上、上にいけないのか……?)
彰人:…………ッ
???:彰人!
彰人:な……!?
???:あれ? イベント、もう終わっちゃった?
???:まだやってるなら飛び入り参加したいんだけど、いいよね?
MC:なんと、ここにきてVivid BAD SQUADが 揃って登場だ!!
彰人:お前ら、どうして……!
杏:ねえ彰人、まだいけるよね?
彰人:……? どういう意味だ?
杏:そのままの意味だってば! 私達でもう1曲やろうよ
杏:彰人ひとりじゃなくて、Vivid BAD SQUADでね!
こはね:うん! 4人で歌おう、東雲くん!
こはね:私達は——みんなでRAD WEEKENDを 超えるんだから!
彰人:お前ら、急に何を……!
冬弥:——彰人
冬弥:……今だけでなく、昔も彰人は 俺の知らないところで努力し続けていたんだな
彰人:……! ……冬弥、お前……!
冬弥:夢に向かって突き進む彰人の熱意は尊敬する。 自分自身を成長させたいという気持ちも、よくわかる
冬弥:だが、それなら余計にひとりで突き進むな
彰人:…………
冬弥:俺は、彰人がいなければ、 ここまで成長することはできなかった
冬弥:あの日ビビッドストリートで出会った時もそうだ。 彰人が俺を引き上げてくれた
冬弥:今度は——俺の番だ
冬弥:彰人が壁にぶつかると感じたら、それを超えられるまで、 練習も、ライブも、とことん一緒にやろう
冬弥:それでも彰人が下を向きそうな時は——俺が引き上げる。 お前が歌い続けられるように支える
冬弥:彰人、お前なしで RAD WEEKENDを超えることなんて絶対にできないんだ
冬弥:だから、お前が壁にぶつかった時は……もっと頼ってくれ!
彰人:……っ
杏:……っていうか、彰人はずっと私達を支えてくれてたでしょ? 私がこはねとすれちがった時だって、 ちゃんと何が問題なのか教えてくれたしさ
こはね:うん! 私、東雲くんのおかげでうまくなれてるよ
彰人:オレは……
彰人:(……オレは、こいつらみたいな才能はないのかもしれねえ)
彰人:(RAD WEEKENDを超えたいなら、 オレ自身、もっともっと上にいく必要があるが……。 今のオレじゃ、そこに辿り着けるかは正直わからねえ)
彰人:(だが……)
彰人:(……そうだよな。才能がないとか、追いつけねえとか そんなこと、ぐだぐだ考えてるヒマはねえよな)
彰人:(こいつらとRAD WEEKENDを超えるためには……。 何度でも、立ち上がらなきゃならねえだろ、オレは!!)
新:今度はVivid BAD SQUADとしてやるの? いいね、おもしろそう
彰人:……遠野。 今のオレじゃ、お前の実力には到底及ばねえ
彰人:ただな……それでも、RAD WEEKENDを超えるのはオレ達だ!
新:……!!
第 8 话:チームの意味
小さめのライブハウス
杏:♪ ————!!
観客達:うお……! すげえパワーボーカルだな!
観客達:ああ。それに、ひとりひとりじゃ新のパンチには足りねえけど、 全員揃うと——
こはね:♪ ————!
冬弥:♪ ——! ——!
彰人:(……不思議なもんだな)
彰人:(さっきあいつの歌を聴いて、 これ以上どうすりゃいいのかわからなくなったってのに)
こはね・杏:『♪ ————!』
冬弥:♪ ————!
彰人:(……はっ)
彰人:(こいつらとなら、RAD WEEKENDを超えられるって、 そう、思っちまうんだよな)
彰人:♪ ————————っ!
新:…………!
新:そうか……。 なるほどね
彰人:……っはぁ、はぁ、はぁ……!
杏:——Vivid BAD SQUADでした! みんな、これからもよろしくっ!
彰人:…………すげー歓声だな
杏:ちょっとは目が覚めた?
彰人:あ?
杏:ひとりで突っ走るのもいいけど、忘れないでよね。 私達、4人でRAD WEEKENDを超えるんでしょ
杏:これはあんただけの夢じゃないの
彰人:お前ら……
彰人:……悪い。 迷惑かけたな
新:……ねえ、MC。 この勝負、決着つけなくていいんじゃない?
MC:えっ?
新:引き分けで持ち越し、ってことにしといてよ。 そのほうが次回の勝負で盛り上がるし、お客さんも集まるでしょ
MC:あ、ちょっと、勝手にマイクを……!
新:ってわけで、今日の勝負は引き分け! いい歌だったよ、Vivid BAD SQUAD
観客達:ええ!? そんな終わりかたありかよ!
観客達:でもたしかに、どっちも良かったよね。 正直決められないなあ
杏:あはは、なかなかカッコイイことしてくれるじゃん!
杏:改めて、初めまして! あなたが新だよね?
杏:私はVivid BAD SQUADの杏! こっちは相棒のこはね!
こはね:は、初めまして……!
新:ああ、初めまして。 君は謙さんの娘さんだよね。 ……その子はこはねちゃんって言うんだ
新:——覚えたよ。 いい歌だった
杏:そっちもいい歌聴かせてくれてありがとね! ワクワクしちゃった!
新:君達のおかげでイベントが盛り上がったよ。 またやろう
新:それじゃ、また次のイベントで——
彰人:待てよ
新:ん? 何?
彰人:今日、オレは負けた。 完敗だ
彰人:それだけははっきりさせておかねえと、気持ち悪いからな
新:へえ——
彰人:だが——オレは、もっと上にいく。こいつらとな。 覚悟してろよ
新:……うん。楽しみにしてるよ
新:それじゃあね、東雲くん
新:(……いいチームだね)
新:(あいつがここにいたら、俺も——)
新:……なんて、考えてもしょうがないか
杏:あの新って人、結構いい人だったね。 歌うまいし、優しそうだし!
彰人:能天気だな、お前は……。 あいつはオレ達のライバルになるんだぞ
杏:もちろん、それはわかってるってば!
洸太郎:お、お前ら~……!
彰人:ん? お前、いたのか?
洸太郎:ずっといたっての! ったく、オレがこのイベントのこと教えたってのに……
洸太郎:でも、やっぱりお前ら最高だったな! 彰人も、4人で歌ってる時のほうがいい顔してたしな
彰人:……そうか
彰人:こいつら呼んでくれて、ありがとな
杏:さーて、それじゃ、気合い入れ直そっか!
杏:RAD WEEKEND超えるなら、 ちゃんと4人でやらなくっちゃね!
こはね:うん!
冬弥:ああ
彰人:……ひとついいか?
冬弥:ん? なんだ、彰人
彰人:オレは、4人でRAD WEEKENDを超えるためには、 オレ自身が一線級にならなきゃならねえって思って、焦りすぎた
彰人:そのことは……本当に悪かった
彰人:だが、RAD WEEKENDを超えるためには オレ自身が力をつける必要があるって考えは変わらねえ
彰人:だからこれからは、そのためにも……お前らを頼らせてもらうぞ
冬弥:……ああ!
彰人:——さて、こっからの練習はもっとハードになるぞ。 お前ら、覚悟はできてるな?
杏:あったり前じゃん! そっちこそ、ヘバんないでよね!
こはね:う、うん! 一緒に頑張ろう、東雲くん!
冬弥:ああ。 俺達ならやれる
彰人:……はっ
彰人:そんじゃ——いくぞ、お前ら!