活动剧情
お悩み聞かせて!わくわくピクニック
活动ID:22
第 1 话:新しい出会い
絵名の部屋
絵名:『……どう、Amia? 昨日言われたとこ、ちゃんと調整できてるかな?』
瑞希:『うん、いい感じじゃん! あとでKに見てもらおうよ。 雪は部活でこられないみたいだから、夜に送っておこっか』
絵名:『うん、そうだね』
絵名:(瑞希、いつもどおりだよね……。 やっぱり私の気にしすぎってこと? でも——)
絵名:『……ねえ、Amia。 ちょっと聞いてもいい?』
瑞希:『んー、なに?』
絵名:『このあいだのミステリーツアーのことなんだけどさ……』
瑞希:『あー、楽しかったね! えななん帰りの電車で爆睡してて、おもしろかったな~♪』
絵名:『あれは疲れてたからだってば! いつもあんな風に寝てるわけじゃ……って、 私が聞きたいのはそういうことじゃなくて』
絵名:『……みんなで桜を見たあと、何かあった? Amia、あのあとから、いつもと少し違うっていうか……』
瑞希:『え、そうかな? 別にいつもどおりだと思うけど』
絵名:『でも……』
奏:『ふたりとも、遅れてごめん。 ずっと作業してたんだけど、ログインし忘れてた』
瑞希:『あ、K! お疲れー。今、MVのイラスト差し替えしたとこを 見てもらおうって話してたんだよ。ね、えななん』
絵名:『あ……う、うん。今から送るね』
絵名:はあ……
絵名:(結局はぐらかされて、何も聞けなかった……。 瑞希はいつもどおり、なんて言ってたけど——)
絵名:(あの顔が、いつもどおりなわけないでしょ)
絵名:(前までは曲が完成したら、みんなで打ち上げに行こうって 言いだしてたのに、最近はすぐに落ちちゃうし)
絵名:(……もしかして、私達に言いづらいことでもあるのかな。 でも、瑞希って隠しごととかする タイプじゃなさそうだけど……)
絵名:(それとなく聞いても答えてくれないし……、 どうしたらいいわけ?)
絵名:あーもう、イライラする!!
絵名:(あれ、電話? ……愛莉から?)
絵名:『もしもし。 どうしたの、愛莉』
愛莉:『急にごめんね。週末のレッスンがなくなったから、 よければ絵名と遊びたいなって思ったんだけど、 どうかしら?』
愛莉:『実は、絵名に紹介したい子もいるのよ。 今一緒にアイドルやってる、日野森雫って子なんだけど——』
絵名:『え!? 日野森雫って、よく愛莉が話してる……? このあいだも一緒に配信出てたよね』
愛莉:『そうそう! 今日雫に絵名のこと話したら、 ぜひ会ってみたいって言ってるのよ』
絵名:『へえ……! あー、でもごめん。 嬉しいけど、今はちょっと気分が乗らなくて』
愛莉:『え、何かあったの? ずいぶん元気がないじゃない。 ……またお父さんと喧嘩?』
絵名:『そうじゃないんだけど……ちょっとモヤモヤすることがあって』
愛莉:『そうなの? 一体何が……。 ……まあ、そういう日もあるわよね』
愛莉:『でも、あんまり引きこもってると、太っちゃうわよー? たまには外に出て気分転換するのもいいかもしれないわよ』
絵名:『う……っ!』
愛莉:『もちろん、無理にとは言わないわよ。 絵名の気が向いた時に会えるなら、わたしはそれでいいから』
絵名:『…………やっぱり行こっかな』
絵名:『愛莉の言うとおり、最近外出てなかったし、 いつまでもモヤモヤしててもしょうがないもんね』
愛莉:『ふふ、決まりね!』
絵名:『念のため言っておくけど、太ってはいないから!』
愛莉:『はいはい、もちろんわかってるわよ。 じゃあ、集合時間とかはまたあとで連絡するわね』
絵名:『わかった。じゃあまたね』
絵名:……愛莉、ちょうどいい時に誘ってくれたな。 よーし、週末は思いっきり買い物しちゃおっと!
週末
シブヤ駅前
愛莉:絵名ー! こっちよー! 朝早いから心配だったけど、時間どおりに来られたじゃない
絵名:ふふん、昨日ちゃーんと彰人に『明日早いから』って言って 起こさせたからね!
愛莉:アンタ、また彰人くんを目覚ましにして……。 彰人くんが不憫でしょうがないわよ
絵名:ところで、日野森さんはまだ来てないの?
愛莉:そうなのよ。寝坊ならいいんだけどね。 雫、よく迷子になるから心配で……
絵名:迷子? 小さい子じゃないんだし、さすがにそれは——
雫:ふたりとも、遅れてごめんなさい……!
愛莉:雫! 心配してたのよ。どうしたの?
雫:実は、乗ってたバスが渋滞で遅れちゃって。 連絡しようと思ったんだけど、 スマホの画面がグルグル回って、文字が打てなかったの
絵名:グ……グルグル?
雫:あ……! あなたが東雲さん?
雫:はじめまして、日野森雫よ。 愛莉ちゃんから話を聞いて、ずっと会いたいと思っていたの
絵名:う、うん。私は東雲絵名。 こっちこそよろしく、日野森さん
絵名:(うわあ、ほんとに美人……。雑誌にのってるまんまじゃん。 あれ、でも……)
絵名:もしかして、すっぴん……?
雫:え? ええ。でも愛莉ちゃんからアドバイスをもらったから、 ちゃんと日焼け止めとリップは塗ってるわ
絵名:えっ! それだけ!? が、顔面力どうなってんの……!?
愛莉:まあ、そういう反応になるわよねえ……
雫:ふたりとも、どうしたの? 私の顔に何かついてるかしら?
絵名:あ、ううん! なんでもない!
絵名:(愛莉から、ちょっと天然とは聞いてたし、 前少し見た配信でもそんな感じしたけど……)
絵名:(もしかして日野森さんって、私の想像以上に、天然?)
愛莉:ま、雫も来たことだし、 ショッピングでも行きましょっか!
カフェ
愛莉:ああ、楽しかったー! 絵名のおかげでかわいい服が買えたわ、ありがと♪
雫:私も東雲さんにコスメのアドバイスもらえて助かったわ。 あんまり詳しくないから、自分に似合う色を探すのが難しくって
絵名:別に、そんな大したことしてないってば
絵名:私も、欲しかった物が全部買えたし。 あとで写真撮ろーっと♪
愛莉:よかった。少しは元気になったみたいね
絵名:うん、おかげさまでね
雫:あら、東雲さん、体調でも悪かったの?
絵名:あ……そうじゃないんだけど、 最近、ちょっとモヤモヤすることがあって。 家で考えこんでたら、気分まで落ちてきちゃってたんだよね
雫:そうだったのね……
雫:……ねえ東雲さん、 よければ話を聞かせてもらってもいいかしら?
雫:今日は東雲さんのおかげで楽しかったし、 私も何か力になれたら嬉しいわ
絵名:え? でも、せっかく遊びに来たのに そういう話するのは悪いっていうか……
愛莉:あら、そのへんは気にしなくていいわよ。 今日はわたし達がつきあってもらったんだしね
愛莉:悩んでる時は、誰かに話すだけでもスッキリするものよ♪
絵名:……ま、それもそうかもね
絵名:えっと、私のことじゃないんだけどね。 実は——
愛莉:……なるほど。 その暁山さんって子の様子が変わったから、気になってるのね
絵名:うん。普通に話してる分には何も変わったことはないんだけどね。 話してても、いつもどおり明るいし……
絵名:でも、ちょっと前までは遊ぼうって誘ってくれたのに、 最近はそういうのも減ってるし。 嫌われてるわけじゃないけど、ちょっと避けられてるみたいな……
雫:そうだったの……。それは心配ね
絵名:うん……。 何かあったの?って聞いてみたんだけど、 はぐらかされちゃって……
絵名:……もう、思いだしたら、またムカついてきた!
絵名:……瑞希は私の悩みとかよく聞いてくれるから もし悩んでるなら、今度は私が瑞希の話を聞けたらって、 思ったのに……
愛莉:いちおー聞くけど、絵名がその子に失礼なこと 言ったわけじゃないわよね? アンタならあり得るもの
絵名:何それ、そんなこと言うわけないでしょ
雫:……だとしたら、東雲さんのことを気づかって、 悩みを話さないようにしてるのかもしれないわ
愛莉:まあ、それが一番ありそうよね。 近いからこそ、言えないことって意外とあるもの
絵名:近いから言えないって……。 じゃあ結局、私には何もできないってこと?
雫:東雲さん……
雫:(せっかく話してくれたんだから、 何か力になれたらいいのだけど……)
雫:(たしかに私も、悩んでいる時は心配をかけたくなくて、 みんなに話そうと思えなかったし……。 あ、でも——)
雫:もしかしたら、身近な東雲さんには打ち明けられないことも、 少し距離が遠い人になら、話せるんじゃないかしら
絵名:少し距離が遠い人?
雫:私と愛莉ちゃんよ
雫:暁山さんを誘って、4人で一緒に どこかへ出かけてみるのはどうかしら? そのほうが暁山さんも悩みを話しやすいかもしれないわ
絵名:気持ちは嬉しいけど……そんなにうまくいくかな?
愛莉:そうねえ、それだけで解決するかはわからないけど……。 でも、ヒントくらいはつかめるかもしれないわ。 それに、暁山さんの気分転換にもなるんじゃない?
絵名:そうかもしれないけど……。 ……ま、やってみないとわからないか
絵名:でも、どこに誘うの? ショッピングは前もふたりで行ったし……
愛莉:あ、これなんてどう? さっきチラシをもらったのよ
絵名:——『日帰り高原ハイキング』?
翌日
神山高校
瑞希:(……はあ、今日の補講長すぎ。 昼休み、あと少ししかないじゃん)
瑞希:(お昼、教室で食べよっかなあ。 でも、みんな騒いでるだろうし……屋上とか……?)
類:……瑞希?
瑞希:わっ、類!?
類:驚かせて悪かったね。 浮かない顔をしていたものだから、つい声をかけてしまったよ
瑞希:……あはは、バレちゃったか〜。 実は買おうと思ってたメロンパンが売り切れててさ。 ホント、ツイてないよね
類:そうかい。それならいいけれど……
寧々:あ、類。 ちょっと話が……
瑞希:あ、ほら、呼ばれてるよ! じゃあまたね、類
類:あ、瑞希——
寧々:……ごめん、暁山さんと話してるところだった?
類:……ああ、うん。少しね。 それよりどうしたんだい?
寧々:ちょっとショーの練習のことで相談したくて。 いい?
類:ああ、もちろんだよ
類:…………
第 2 话:ピクニックに行こう!
瑞希の部屋
瑞希:(はあ、思ったより帰るの遅くなっちゃったなー。 まだ昨日のMVの修正作業、終わってないのに……)
瑞希:(……あれ? 絵名から電話?)
瑞希:もしもしー? どうしたの?
絵名:『えっと、ちょっと瑞希に聞きたいことがあって』
絵名:『来週の土曜日なんだけど、 もしあいてたらピクニックに行かない?』
瑞希:『ピクニック? 出不精の絵名が外に行きたがるなんて珍しいね~。 なんでまた?』
絵名:『誘われたから、たまにはそういうのもいいかなって』
絵名:『ほら、前にアイドルやってる友達がいるって話したでしょ。 あの子が誘ってくれたの』
瑞希:『あ、桃井愛莉ちゃんだよね! 絵名すごいよねー、アイドルの知りあいがいるなんて』
絵名:『別に、たまたま中学が一緒で仲良くなっただけだって。 あとは、愛莉と一緒に活動してる日野森雫って子も 一緒に行く予定』
瑞希:『えっ!? 日野森雫って、あの日野森雫!?』
瑞希:『あ……そういえば、前にまふゆも同じ学校だって言ってたっけ。 世間って狭いねー』
絵名:『このあいだ私も会ってみたけど、のんびりしたいい子だったよ。 さすがにまふゆの話はしなかったけど……』
絵名:『ふたりとも瑞希の話したら会いたがってたし、 よかったら一緒に行かない?』
瑞希:『ホント!? ボクも会ってみたい——』
瑞希:(自分のことが話せないなら、本当の友達になんてなれないのに)
瑞希:『…………あー。 ごめん絵名。ボク、やっぱやめておくよ』
瑞希:『来週あたり、バイトのシフトが入りそうなんだよね~』
絵名:『……“入りそう”ってことは、 まだシフト入れたわけじゃないんでしょ?』
瑞希:『それはそうなんだけど……。 ほら、初対面のボクがいたら、みんな話しづらいだろうし』
絵名:『ふたりともアイドルなんだから、 初対面の相手と話すのなんて慣れてるってば』
絵名:『それに、インプットが大事っていつも言ってるのは瑞希じゃん。 綺麗な景色見たら、新しいMVのアイディアが思いつくかもよ』
瑞希:『あー、たしかに言ってたような……。 っていうか今日の絵名、ずいぶん強引じゃない? 何かあったのー?』
絵名:『ちょっと、話そらさないでよね。 私はそっちがピクニックに来られるかって聞いてるの』
瑞希:『うーん……』
瑞希:(なんか、今日の絵名は妙に強引だな。 ……変にかわすと余計にあれこれ聞かれそうだし——)
瑞希:『……わかった。 そこまで言ってもらえるなら、ボクも行こっかな』
絵名:『……! そうこなくっちゃね!』
絵名:『ピクニックには、バスツアーで行こうって話になってるの。 申しこみの手続きとか必要だから、詳細はメッセージで送るね』
瑞希:『りょうかーい。楽しみにしてるね!』
絵名:『うん。じゃあ、また連絡する』
瑞希:『はーい、よろしくー!!』
瑞希:(ピクニックか。 日野森さんと桃井さんにも会えるし、楽しみだけど……)
瑞希:…………
ステージのセカイ
ルカ:雫ちゃん、すごく上達したわね。 さっきのターン、とっても綺麗だったわ
雫:よかった! レッスンにつきあってくれたルカちゃんのおかげね。 ——あ、この足音は……
愛莉:ふたりとも、お疲れさま!
雫:愛莉ちゃん!
ルカ:いらっしゃい、愛莉ちゃん。雫ちゃんから 部活があるって聞いてたから、今日は来ないのかと思ってたわ
愛莉:予定より早く終わったのよ。 間にあってよかったわ
愛莉:ところで雫、さっき絵名から連絡があったの。 暁山さん、来てくれるって!
雫:本当? よかったわ。 お出かけで、暁山さんの気分が 少しでも晴れたらいいんだけど……
愛莉:そうね。 絵名があれだけ人のことを気にかけるのも珍しいし、 わたしも力になりたいわ
ルカ:あら、みんなでどこかに出かけるの?
雫:ええ。今度の土曜日に、愛莉ちゃんと、そのお友達ふたりと一緒に 高原にピクニックに行くの
ルカ:高原にピクニック……素敵ね! きっと綺麗な景色が見られるんでしょうね
雫:ええ。ずっと前に教育番組のロケで山に行ったことはあるけど、 それ以来そういう場所には行っていないから、楽しみだわ
愛莉:ああ、あの番組ね。 うまい具合に編集されてたけど、いちいち手つきが危なっかしくて 見ててハラハラしたもんだわ……
雫:だって、ロープワークも火起こしも、とっても難しくて……。 でもすごく楽しかったわ
雫:……なんて話がそれちゃったけど、 ともかく、当日はみんなで楽しみましょうね!
ルカ:ふふっ、きっと素敵なピクニックになるわね♪
雫:あ……そうだわ! よければルカちゃんも一緒に行かない?
愛莉:たしかに、わたしか雫のスマホに来てもらえば、 一緒に行けるものね!
ルカ:あら、私が行ってもいいの?
雫:ええ、もちろん! 当日、散策時間を長めにとる予定だから、 その時に一緒に景色を見ましょう
ルカ:ふたりとも、ありがとう。 そう言ってもらえるなら、私もお邪魔しちゃおうかしら
雫:嬉しいわ。 ルカちゃんと一緒なら、ピクニックがもっと楽しくなるわね
愛莉:それじゃわたしも気合い入れて、 久しぶりに愛莉スペシャル弁当を作るわよー!
ピクニック当日
シブヤ駅前
瑞希:うわー! 本物だー! 本物の桃井愛莉ちゃんと日野森雫ちゃんだー!
雫:ふふ、今日はよろしくね、暁山さん
愛莉:急に誘ったのに来てくれてありがとう! 今日はよろしくね
瑞希:こちらこそ、よろしくお願いしまーす! えへへ、今日、お気に入りの服着て来てよかったー♪
瑞希:ねえ絵名、本物だよ? テレビとか雑誌で見た本物だよ!? ふたりともすっごくカワイイー!
絵名:ちょっと瑞希、もうわかったってば。 あと、声が大きい!
愛莉:ふふ、人がたくさんいて賑やかだし、これぐらいなら大丈夫よ。 来た甲斐があったわね、雫
雫:ええ! 東雲さんの大切なお友達に こんなに喜んでもらえるなんて、私も嬉しいわ
愛莉:そうだわ。苗字で呼ぶとちょっとよそよそしいから、 暁山さんのこと、瑞希って呼んでもいいかしら?
雫:私も、瑞希ちゃんって呼びたいわ。 私達のことも、気軽に呼んでもらって構わないから
瑞希:えっ、いいの? じゃあそうしちゃおっかなー♪ じゃあ改めて、今日はよろしくね、愛莉ちゃん、雫ちゃん
雫:あの、東雲さんも……
絵名:……私? ああ、そういえば、苗字で呼んでたっけ。 私のほうもよろしくね、雫
雫:ええ! 楽しいピクニックにしましょうね、絵名ちゃん
瑞希:絵名、誘ってくれてホントにありがとね~!
絵名:はいはい、どういたしまして
絵名:愛莉、もうバス来てるはずだよね? そろそろ乗っちゃおっか
愛莉:そうね。少し早いけど行きましょうか
雫:……ねえ、愛莉ちゃん。 瑞希ちゃん、思ってたよりも元気そうじゃない?
愛莉:そうね。明るくていい子そうだし、 絵名が言うほど悩んでる様子もなさそうだけど……
瑞希:そうだ、ボクお菓子持ってきたんだよねー! バスの中でみんなで食べようよ!
絵名:別にいいけど、浮かれてこぼさないでよ?
瑞希:はーい!!
愛莉・雫:『うーん……?』
寧々:……遅い
寧々:(類が『駅で待ってて』っていうから先に来たけど、 これなら家に行って一緒に来たほうがよかったな)
寧々:(……あ。向こうに停まってる観光バス、 わたし達と行き先が同じみたい)
寧々:(特急に乗ろうって思ってたけど、 バスのほうが乗り換えもないし、楽だったかもな……)
寧々:(……って、楽しちゃダメダメ。 だって今回は——)
類:やあ、寧々。待たせたね
寧々:あ、類。さすがに遅すぎ……って何? その大荷物
類:もちろん、いろいろ準備してきたんだよ!
類:寧々がせっかく 『ショーのためにもっと体力をつけたい』っていう 前向きな提案をしてくれたからね
類:にしても、驚いたな。積極的に運動したがらない寧々が こんなことを言いだすなんて
寧々:だ、だって……
寧々:類、今、フェニックスワンダーランドの経営方針が 変わっちゃうのをなんとかするために、 新しいショーを考えてるでしょ?
寧々:そのショーのために、わたしもできることしたいなって思ったの
寧々:あと、えむも司も体力あるし、 わたしだけいつもバテバテなの、嫌だし……
類:フフ、そうだね。 今できることは、すべてやっていきたいしね
類:——それじゃあ、早速高原トレーニングに行こうじゃないか!!
寧々:早速って、自分が遅れておいて……。 っていうか、なんで高原トレーニングなわけ?
類:ただランニングをするより楽しく運動できるだろう? 景色もいいし、空気も美味しいし——
類:何より、周りを気にせず新しい演出を試せるしね!
寧々:……あ!
寧々:まさかその荷物の中身って、 ワンダーステージで試せないような危ない装置……!? だから高原に行こうなんて言いだしたんじゃ……
類:——おっと、もうこんな時間だ! このままだと電車に乗り遅れてしまうよ、寧々!
寧々:あ、ちょっと……! わたしは司じゃないんだから、 変な装置は使わないからね!!
第 3 话:彩りに隠された本音
高原
瑞希:うわー! すごいね! 頂上じゃないのに、遠くの山まで見えるよ!
絵名:うん、本当に綺麗……!
絵名:あ、そうだ。写真何枚か撮っておこっと。 絵の参考になりそうだし
瑞希:あれ~、絵名ってばマジメじゃん。 まずは自撮り!って言うかと思ったのにー
絵名:あのねえ……。 いつも自撮りのこと考えてるわけじゃないから!
愛莉:ねえ、お腹もすいてきたし、景色でも見ながら休憩しない? わたしお弁当作ってきたの
瑞希:やったー! 食べる食べるー!
雫:ふふ、愛莉ちゃんのお弁当、とっても美味しいのよね。 楽しみだわ
絵名:わ……! 手のこんだお弁当!
愛莉:昨日の夜から仕込みをして、 みんなの好きなものを入れてきたのよ
瑞希:おいしそう〜! いっただきまーす♪ あ、フライドポテトがある!
愛莉:絵名から、瑞希の好物だって聞いたから作ってみたの。 揚げたてを出せないから、じゃがいもを細めに切って、 カリカリした感じにしてみたわ!
雫:あ、こっちの揚げ物ってもしかして……
愛莉:湯葉の巻き揚げよ。雫がリクエストしてくれたから、 一緒に作ってきたの。中にはささみを入れてみたわ
雫:はむっ……。 とっても美味しい……! さすが、愛莉ちゃんね!
愛莉:あと、絵名にはチーズケーキね。 今日は少しだけレモンを多めに入れてみたのよ
絵名:やった! 愛莉の作ったチーズケーキ、 売ってるやつみたいに凝ってるんだよね
瑞希:ん~! どれもすっごくおいしいよ!
瑞希:すごいなあ、愛莉ちゃん。アイドル活動も学校もあるんでしょ? それなのに、お弁当まで作ってきてくれるなんて!
愛莉:お弁当は作り慣れてるだけよ。 それにアイドル活動のほうは、 いつもグループのメンバーに助けられてばかりだしね
瑞希:たしか、愛莉ちゃんと雫ちゃんが組んでるのって、 MORE MORE JUMP!ってグループだよね
愛莉:ええ。今は配信をメインに活動してるのよ
絵名:そういえば、前に配信見たよ。 雫達がダンスの練習してる動画
雫:見てくれたのね、ありがとう! でも、何回もやり直ししていたから、 見ててそんなに楽しくなかったんじゃないかしら……?
絵名:たしかに、最初のほうはわりと失敗してたけど……。 でも、ちょっと励まされたかな
雫:え?
絵名:雫、何回失敗しても諦めなかったし、 最後はばっちり踊れてたでしょ?
絵名:あれ見てたら、私ももうちょっと頑張ろうって 思えたっていうか……
雫:絵名ちゃん……。 そう言ってもらえて嬉しいわ
愛莉:よかったわね、雫! きっと絵名みたいに思ってくれてる人はたくさんいると思うわ
雫:うん! ふふ、“希望を届けるアイドル”に近づけてるみたいで嬉しいな
瑞希:希望を届けるアイドル……か
絵名:どうしたの?
瑞希:あ、なんかすごいなーって思って。 希望を届ける、なんてなかなかできないっていうか……、 どうやったらいいかもわかんないし
愛莉:でも、ふたりも聴いてくれる人達のために曲を作ってるんでしょ? それって、希望を届けることと似てるんじゃないかしら?
瑞希:……そうかな。 そうだったらいいな
絵名:……瑞希?
雫:どうかしたの、瑞希ちゃん?
瑞希:ううん! なんでもない! それより、愛莉ちゃん、 このフライドポテトもっと食べてもいい?
愛莉:ええ、もちろんよ。気に入ってもらえて嬉しいわ
瑞希:わーい、ありがとー!
絵名:(瑞希、今——)
絵名:…………
瑞希:ごちそうさまー!
瑞希:ふう、お腹いっぱい! 愛莉ちゃん、ありがとね
愛莉:どういたしまして。 残さず食べてもらえて、作ってきた甲斐があったわ
愛莉:じゃあ、そろそろ出発して——
雫:あら? 向こう、人が集まってるわね。 何かしら?
スタッフ:グリーンアドベンチャーの受付はこちらです。 参加されるかたはこちらに記入用紙をお渡しください
雫:グリーンアドベンチャー?
愛莉:ああ、散策しながら植物の名前とか 川の名前を答えていくゲームみたいなものよ
絵名:へえ。愛莉、詳しいじゃない
愛莉:バスを降りる時、ガイドさんに教えてもらったのよ。 受付したら誰でも参加できるみたいよ。わたし達もやってみる?
瑞希:あ、ボクやりたーい!
絵名:えー、あっちのほう、虫が多そうなんだけど……
雫:……じゃあ、瑞希ちゃんと愛莉ちゃんふたりで行ってきたら? 私は絵名ちゃんとこの辺りを散策してるから
愛莉:わかったわ!
絵名:え、でも瑞希のことは……
雫:愛莉ちゃんなら瑞希ちゃんの悩みを 聞きだしてくれるかもしれないわ。 せっかくだし、ここは任せてみるのはどうかしら?
絵名:雫……
愛莉:よーし、全問正解目指してがんばりましょうね、瑞希!
瑞希:そうだね! じゃあ愛莉ちゃん、一緒に受付してこよー!
寧々:わぁ……!
寧々:緑がすごく綺麗……! オープンワールド型のRPGみたい!
類:フフ、寧々らしい感想だねえ
類:さて、ストレッチもしたことだし、 ジョギングから始めようか
類:あちらのほうに、山道を走るトレイルランニング用の ルートがあるから、行って走ってみよう
寧々:え? それだけ? なんか普通すぎて意外……
類:ああ——もちろん、これを着て走るんだよ
寧々:は!? 何その鎖かたびらみたいな服! ……重い!
類:負荷をかけるためのウェイトジャケットだよ。 安全のためにいろいろつけていったら思ったより 重くなってしまったけどね
類:あとは怪我をしないように膝用のサポーターと、 帽子に取りつけられる簡易ヘルメットと……
寧々:わっ、ちょっ、これ全部……!?
類:よし、完璧だ!
寧々:な、なんか全身ゴテゴテして……ロボみたいになってない?
類:それじゃあ早速走ってみようじゃないか! さあ、寧々! 一緒に頑張ろう!
寧々:うぐぐ……お、重い~!
第 4 话:友達想い
高原
愛莉:えっと……まずは1問目のパネルを探して、 木の名前を答えるみたいね
愛莉:マップだと、この辺りにパネルがあるはずなんだけど……
瑞希:あ、この木の根元にあるヤツじゃない?
愛莉:本当だわ。ヒントが2つ書いてあるわね
愛莉:『ヒント1、神社に植えられることが多い。 ヒント2、アオスジアゲハの幼虫がこの木の葉をエサにする』
瑞希:あ、それってクスノキじゃない?
愛莉:えっ、もうわかったの?
瑞希:前に図鑑とかクイズ番組で見た記憶があるんだ。 答えって、パネルの裏に書いてあるんだよね。見てみようよ!
愛莉:ええ。正解は……『クスノキ』って書いてあるわ!
愛莉:すごい! 瑞希って植物に詳しいのね!
瑞希:そんなことないよ。 たまたま覚えてただけだって
瑞希:それより、絵名は大丈夫かなあ。 あの辺りだって虫はいそうだし、雫ちゃんとふたりの時に 大騒ぎしてないかちょっと心配だよ
愛莉:そこは大丈夫じゃないかしら? ああ見えて、絵名はしっかりしてるし
瑞希:あー、たしかにね。絵名ってなんだかんだ言いながら、 みんなの面倒見てくれるから、ボクも助かってるよ
愛莉:(あ、瑞希が自分のことを話してくれてる……)
愛莉:(これって、もしかしてチャンスなんじゃない? うまくいけば、瑞希の悩んでることを さりげなく聞きだせるかも……!)
愛莉:ねえ、そのサークルって曲を作るために集まってるのよね。 作業とか話しあいとか、結構大変なんじゃない?
瑞希:そんなことないよー。 ま、ボク含めて変わり者が多いけど、 みんないい子だし楽しくやってるよ!
愛莉:そう……。それならよかったわ!
愛莉:(うーん……。 やっぱり、そう簡単に話してくれるわけないわよね……)
愛莉:……それにしても、瑞希が絵名の友達に なってくれて、安心したわ
瑞希:え? どうして?
愛莉:ほら、絵名って結構気難しいところあるでしょ? 言いかたもストレートだから、誤解されやすいっていうか……
瑞希:あはは、それわかるなあ。 絵名はなんでもズバズバ言うよね
瑞希:この前も、ふたりでミシンラウンジっていう 手芸ができるカフェみたいなところに行ったんだけど……
瑞希:絵名ってば、ボクが描いたアレンジ画に 『これじゃ全然可愛くならない!』とか言ってくるんだよー!
愛莉:ふふ、絵名ったら相変わらずね
瑞希:ホント、失礼しちゃうよー!
瑞希:でも、一緒にどうしたら良くなるか考えてくれてさ。 そういうところが、絵名のいいところだって思ってるんだよね
愛莉:……ふふ、わかるわ。 わたしも、絵名のそういうところに助けられたから
瑞希:え? 助けられたって……絵名が愛莉ちゃんを?
愛莉:ええ、そうよ
愛莉:わたし、本格的にアイドル活動をする前は普通の公立中学に 通ってたんだけど、そこで絵名と同じクラスになったの
愛莉:最初は話す仲でもなかったんだけどね。 ある日、出演したバラエティ番組のネタで クラスメイトにからかわれて……
愛莉:いじめってほどじゃないんだけど、 陰で何度も笑われるから困ってたら、絵名が怒ってくれたのよ
愛莉:『そんなことして楽しいわけ?』って
瑞希:うわー、その言いかた、今と全然変わってない!
愛莉:でしょ? あとで絵名にお礼を言ったら 『私が気に入らなかったから、言ってやっただけ』って返されて
愛莉:……でも、わたし、嬉しかったのよね。 困ってる時に、すぐ助けてくれる子がいるんだってわかって
愛莉:おかげで笑われることもなくなったし、 それがきっかけで、絵名とも仲良くなれたの
瑞希:そっか。 ……そういえばボクも、心当たりあるなあ
瑞希:え、えななん!? どうしてここに……!
絵名:そいつに……雪に、一言言いに来たの
瑞希:なんだかんだ言いながら、苦しんでる子がいたら、 真っ先に駆けつけてくれる子だよね、絵名って
愛莉:そうそう! いざという時、すごく頼りになるのよ。 だから——
愛莉:瑞希も困った時は、絵名を頼るといいんじゃないかしら。 あの子はきっと、瑞希を助けてくれるから
瑞希:あ……それって——
絵名:『それに、インプットが大事っていつも言ってるのは瑞希じゃん。 綺麗な景色見たら、新しいMVのアイディアが思いつくかもよ』
絵名:『ちょっと、話そらさないでよね。 私はそっちがピクニックに来られるかって聞いてるの』
瑞希:(……そっか。 だから、絵名は強引にピクニックに誘ったんだね)
瑞希:(相変わらず素直じゃないなあ、絵名は)
瑞希:(でも……そっか。 ボクのこと、そんなに心配してくれてたんだ)
山道
寧々:はぁ……はぁ……はぁ……
類:うん、いいね寧々! フィジカルデータもバッチリとれたよ!
寧々:も、もう無理……脱ぐ……休憩する……
類:そうだね。じゃあ休憩にしよう
類:そうしたらそのあいだに、 僕は新しい装置をいろいろ試していこうかな
類:さて、どれから試そうかな……フフフフ
寧々:(ていうか類も荷物背負って走ってたくせに、 なんで息ひとつ切らしてないわけ……?)
類:ああっ!
寧々:えっ? な、何?
類:『スター養成スーツ』を忘れてしまった……! くっ……せっかくロープは持ってきたのに……
寧々:スター養成スーツ……? 何それ
類:パワードスーツの一種でね、走ったり跳んだり重い物を 運んだりする動きをアシストしてくれるんだ
類:つまり! 着れば、上演時間いっぱい走り回ることも、 上手から下手へ1回のジャンプで移動することも、 大道具を持ち上げたりすることも可能なんだ!
類:調整することができたら、司くんに、このロープで アーアアーと舞台の端から端まで飛び移ってもらおうと 思っていたんだけど……残念だなあ……
寧々:類、あいつのこと雑技団のメンバーか なんかだと思ってない……?
第 5 话:不穏なわかれ道
高原
雫:(本当に、今日は晴れてよかったわ。 緑も綺麗だし、絶好のピクニック日和ね)
雫:(そうだわ、絵名ちゃんもあっちを向いてるし、 今ならルカちゃんにも景色を見せられそうね。 えっと、ルカちゃんに来てもらうには、まず——)
雫:(あ、あれ? 教えてもらったのに、 スマホの画面が動かないわ。どうしましょう……)
絵名:雫、どうかした?
雫:あ、えっと……なんでもないわ。 ところで、瑞希ちゃん達、 グリーンアドベンチャーを楽しめてるかしら
絵名:あのふたり、結構仲良くなれそうだったし、 それは大丈夫じゃないかな
絵名:……肝心の瑞希の悩みは全然聞けてないけどね
雫:そうねえ。お弁当を食べてる時は、 ちょっと落ちこんでるみたいだったから、 聞けそうだと思ったんだけど……
絵名:あ、雫も思った? やっぱりあの時、瑞希変だったよね
絵名:ピクニックも楽しんでるみたいだし、 いつもどおりなんだけど……。 ときどき、やっぱり変っていうか……
絵名:なんであんな顔するんだろう……。 あーもう、このままじゃなんの進展もないまま 帰りの時間になっちゃう……!
雫:絵名ちゃん、焦る気持ちはわかるけど そんなに急ぐ必要はないと思うわ
雫:ピクニックが終わるまで、まだ時間はあるし、 私もできるかぎり協力するわ
雫:それに、愛莉ちゃんも、みんなで楽しくできたら それはそれでって言ってたもの。 悩むより、まず楽しみましょう!
絵名:うん、そうだね……
雫:絵名ちゃん……そうだわ。 だいぶ歩いたし、そろそろ休憩にしない?
絵名:うん、そうしよっか。ちょうどあっちに休憩所もあるし……。 私、喉かわいたから、ちょっと飲み物買ってくるね
雫:わかったわ。 じゃあ、私はここで待ってるわね
雫:(ああは言ってみたけど、きっと、絵名ちゃんも心配なはずよね)
雫:(愛莉ちゃんが瑞希ちゃんから 何か聞けているといいんだけど……)
登山客A:ねえねえ、君、もしかして日野森雫ちゃん?
雫:え?
登山客B:やっぱそうだ! すげー美人がいるなって思ってたんだよ
登山客A:まさかこんなとこで会えるなんて! ねえ、一緒に写真撮ってよ。友達に自慢したいんだよね
雫:えっと、ごめんなさい。活動が軌道に乗るまでは ファンのかたとの写真は遠慮しようとみんなで決めていて……
絵名:雫、おまたせ……って、どうしたの?
雫:あ、絵名ちゃん……!
絵名:あの、この子に何か用ですか?
登山客A:君、誰? もしかして、君もアイドルなの?
登山客B:あ、じゃあ俺達と一緒に写真撮らない?
絵名:はあ?
雫:ごめんなさい。さっきも言ったように、 一緒には撮れないんです
登山客A:そんなこと言わないでさ、お願いします!
絵名:……ちょっと、あんた達、もういいでしょ。 雫だってプライベートでここに来てるんだから
登山客B:えーでも……。 ファンがこれだけお願いしてるんだから、写真くらい——
絵名:写真くらいって何? だいたい、ファンだったら、 なんでも言っていいわけじゃないから!
雫:絵名ちゃん……
雫:(どうしよう……。このままだと、絵名ちゃんにも この人達にも嫌な思いをさせちゃう。 だったら——)
雫:あ、あの! 写真を撮ることはできないですけど、 サインなら今書けます! ふたりのお名前も書いて……どうかしら?
絵名:雫! こんな人達にサインなんてすることないってば
雫:ありがとう、絵名ちゃん。 でも、大丈夫よ
登山客B:え、サインもらえるの?
雫:はい、ちょうど遥ちゃんからもらった ペンギンのメモ帳があるので……はい、どうぞ
登山客B:やったー! ありがとう、雫ちゃん!
登山客A:サイン、大事にするね! 俺、友達に自慢しよっと
雫:ありがとうございます! 今はMORE MORE JUMP!って グループにいるので、応援よろしくお願いしますね
絵名:…………
雫:——絵名ちゃん、さっきは本当にありがとう。 助かったわ
絵名:お礼なんていいよ。 結局あの場は雫がうまくおさめたんだから
絵名:……むしろ、余計なお節介したかなって思ってたとこ
絵名:私、昔からこんな感じなんだよね。 すぐカッときて突っ走っちゃうっていうか……
絵名:——瑞希のことだって、同じかもしれない
絵名:力になれたらって思ったけど、 やっぱり何もしないほうがいいのかな。 余計な詮索したら、迷惑かもしれないし……
雫:……私は、さっき絵名ちゃんが助けてくれて、 とっても嬉しかったわ
雫:絵名ちゃんがはっきり言ってくれなかったら、 きっと私、ずーっとおどおどしたままだったもの
絵名:雫……
雫:きっと、瑞希ちゃんのことも大丈夫よ。 今日ふたりを見ていて思ったもの
雫:絵名ちゃんの気持ちは、瑞希ちゃんにとって、 迷惑なんかじゃないって
絵名:……そう、かな?
瑞希の声:あ、いたいた! おーい、ふたりともー!
雫:あ、瑞希ちゃん! 愛莉ちゃん!
愛莉:おまたせ。 絵名、いい写真は撮れた?
絵名:そこそこね。 そっちはどうだった?
愛莉:瑞希のおかげで、ほとんど正解だったのよ! でも、すぐに答えがわかっちゃうから、 わたしの出番がなくて残念だったわ
瑞希:絵名も参加すればよかったのに。 すごく楽しかったよ!
雫:……ねえ、愛莉ちゃん。 瑞希ちゃん、何か話してくれた?
愛莉:ううん。悩みがあるなら、絵名に相談したらっていうのは それとなく伝えたんだけど……
瑞希:よーし、それじゃあそろそろ出発しよっか
愛莉:そうね。のんびり歩きながら、バスまで戻りましょうか
愛莉:……あら? 絵名の頭の上、何か飛んでるわよ
絵名:え?
絵名:ハチ!? いやあああ!! 来ないでー!!
愛莉:ちょっと絵名、暴れすぎ! そんなんじゃ、逆に刺されるわよ
絵名:だって怖いんだってば!! ちょ、逃げてもついて来るんだけど!!
瑞希:あー、はいはい。静かにねー
山道
雫:……あら、道が二手にわかれてるわ。 どっちに進めばいいのかしら?
愛莉:マップには、初級者ルートをとおれば山の周りを 一周できるって書いてあるわ。 最後に景色を見ながらバスまで戻りましょうか
雫:そうね。初級者ルートは……看板の文字が消えかけてて 読みにくいわね。えーっと……左、かしら?
絵名:もう、早く進んでってばー! 他にもいて刺されたらどうするの!?
愛莉:わかった、わかったから! 背中を押さないでちょうだい!
寧々:はぁ……いろいろあったけど、 結構いい体力作りになったかも
寧々:ありがとう、類
類:どういたしまして
類:じゃあ、最後にクールダウンがてら、 山の周りのルートを軽くハイキングして終わりにしようか
寧々:うん。……あれ? ハイキングルートが 二手にわかれてるけど、どっちに進めばいいのかな
類:ふむ、上級者ルートと初級者ルートがあるようだね。 並走してるから、どちらに進んでも着く場所は同じみたいだ
寧々:なら、初級者ルートにしよ。 この看板に書いてあるとおりに行けば……って
寧々:この看板、文字が消えかけてる。 どっちが初級者ルートなの?
類:右じゃないかい? 左はよく見ると上級者ルートって書いてあるよ
寧々:本当だ。紛らわしい……
類:案内によると、 上級者ルートは急斜面が多いところをとおるらしい。 慣れてない人が登るのは少し大変なんじゃないかな
寧々:それって、他の人が間違えたらまずいんじゃない?
類:そうだね。あとで下の管理事務所に看板のことを伝えておこう。 じゃあ寧々、先に進もうか
寧々:うん
第 6 话:助けたい理由
山道
愛莉:……ねえ、なんだかおかしくない? さっきから、ちょっとずつ道が険しくなってる気がするわ
瑞希:やっぱり? ボクも変だなって思ってたんだよね。 全然駐車場にも着かないし……
雫:おかしいわね。 看板のとおりに初級者ルートを進んだはずなんだけど……
絵名:面倒だけど、来た道戻る?
瑞希:そうだね。 じゃあ、さっき曲がったところを……あれ?
瑞希:ボク達、どっちから来たんだっけ?
絵名:え、右でしょ?
愛莉:そうだったかしら? 左から来た気がするわ
絵名・愛莉:『…………』
瑞希:どうしよう。何度も曲がったから、 最後に来たのがどの道だったか、忘れちゃった……!!
雫:私達、もしかして遭難——
絵名:や、やめてよ! それに、そんなに高い山じゃないんだし、 すぐに道だって見つかるはずでしょ?
絵名:……そうだ、スマホで確認すればいいんじゃない? いくら山道っていっても、今いる場所くらいはわかるはずでしょ
瑞希:たしかに! あはは、焦って気づかなかったよー
絵名:……あれ?
愛莉:どうしたのよ、絵名
絵名:電波が入らない……
雫:えっ、どうしましょう……!? そういう時って、スマホを振ったらいいのかしら?
瑞希:いや、それじゃ入らないって!
絵名:……あ、でも少し繋がりそう。 こっちのほうに歩いていけば、電波も——
瑞希:あっ、絵名! そっちに行ったら——
絵名:……え? 嘘、落ちる……!!
愛莉:絵名!!
絵名:愛莉……!!
愛莉:……よかった! ギリギリ手を掴めたわね
絵名:あ、ありがとう。 まさか、突然斜面が急になるなんて……
愛莉:山は危険がつきものね。 ほら、今引っ張り上げるから、もう少しこっちに——
絵名:待って愛莉! 足下の石がグラグラして……!
愛莉:えっ!?
絵名:きゃああああああああっ!
寧々:ふぅ……もう少しで目的地かな
類:そうだ、寧々。ラムネを持ってきたんだ。 よかったら食べないかい?
寧々:あ、ありがと。 ひとつもらうね
???:きゃああああああああっ!
寧々:……ん? 今、悲鳴みたいなの聞こえなかった?
類:そうかい? まあ、この辺は 野生動物も多いだろうからねえ
類:……ところで、寧々。もうすぐ雨がきそうだ。 どこか雨宿りできる場所を探しておいたほうが いいかもしれないよ
寧々:あ、本当だ。黒い雲のかたまりが近づいてきてる
寧々:……なんだか嫌な感じ
愛莉:いったたた……
絵名:愛莉! 大丈夫!?
愛莉:ええ。少し膝を擦りむいたけど、大したことないわ
愛莉:それより、絵名は? ケガはない?
絵名:私も平気。服は泥だらけになっちゃったけどね。 ほんっと最悪……!! これ、洗濯して落ちるかな
愛莉:ふふ、これだけ泥だらけになるなんて、 バラエティ番組に出た時以来だわ
絵名:もう、何のん気なこと言ってんのよ!!
瑞希の声:おーい、ふたりとも!!
雫の声:ケガはない!?
絵名:私達は大丈夫! ちょっと滑り落ちただけだから!
絵名:こうなったら、這いつくばってでも登ってやるんだから! 愛莉、行こう!
愛莉:そうね! さっさと登って、泥を落としましょう!
愛莉:雫、瑞希!! 今からわたし達で登ってみるわ! 近くまで行ったら、引っ張り上げてほしいの!!
雫の声:わかったわ!
瑞希:ボク達のほうは、いつでもオーケーだよ!
愛莉:よーし、今こそバラエティ番組で鍛えた脚力、 見せてやろうじゃない!!
愛莉:この岩を足掛かりにすれば、どうにか上まで……きゃっ!?
絵名:愛莉!?
愛莉:……だめね、苔に足をとられて滑っちゃうわ
愛莉:でも、こんなところで諦めたら、アイドル失格だもの!! 絶対登り切ってやるわ!
愛莉:せーのっ……! モアモアジャーンプ!!!!
瑞希の声:すごい!! これなら一気に上まで——
愛莉:ひゃーっ!?
雫の声:愛莉ちゃん!!
絵名:大丈夫!? ケガは?
愛莉:平気よ……。 でもまさか全然登れないなんて……アイドルとして情けないわ!
絵名:……いや、これはアイドルの仕事関係ないでしょ
雫:登るのは難しいみたいね……。 もう少し身を乗り出せば届きそうだし、 私達ふたりでなら、引っ張り上げられるかしら?
瑞希:頑張ればできると思うけど……でも、絵名達が足を滑らせて、 雫ちゃんまで落ちたら大変だよ
雫:じゃあ、どうしたら……
瑞希:…………
瑞希:雫ちゃん、ボク、電波が入るところまで行って、 助けを呼んで来るよ!
雫:えっ!?
瑞希:絵名! 愛莉ちゃん! ちょっと時間かかるかもだけど、待っててね!!
絵名の声:瑞希……!?
愛莉の声:道はどうするのよ!! 瑞希だけで行って迷ったら……
瑞希:大丈夫! すぐ誰か呼んで戻って来るから、安心して!
絵名の声:でも……っ
瑞希:雫ちゃんは、ここで待っててくれないかな? もしボクが助けを呼びに行ってるあいだに、 絵名達に何かあったら大変だからさ
雫:……わかったわ。 よろしくね、瑞希ちゃん!
瑞希:うん! 行ってくる!
瑞希:(……っ、急がなくちゃ……!)
瑞希:(あれ、雨? さっきまで晴れてたのに……!)
瑞希:(どうしよう、どんどん強くなってくる……。 早く助けを呼ばないと、絵名達が……)
瑞希:(電波は……あ、もう少しで繋がりそう。 早く絵名達を助けないと……!!)
瑞希:わっ!?
瑞希:いったた……
瑞希:(あーあ、この服、気に入ってたのになあ……。 最悪……)
瑞希:(ホント、何してんだろ、ボク。 こんな泥まみれで……)
瑞希:(これからも一緒にいるなら、 ボクは……伝えるのかな)
瑞希:(来年も一緒にいたいのに、ボクは、 『どうせまた無駄になる』って、どこかで思ってるんだ)
瑞希:そんなの、わかってるよ。 だけど、ボクは……
絵名:『……みんなで桜を見たあと、何かあった? Amia、あのあとから、いつもと少し違うっていうか……』
愛莉:瑞希も困った時は、絵名を頼るといいんじゃないかしら。 あの子はきっと、瑞希を助けてくれるから
瑞希:(今は、走らないと……!)
瑞希:(服なんて、また買えばいい。来年がどうとか、 一緒にいられるかとか、そんなのだって、今はどうでもいい!)
瑞希:(ボクは、みんなを助けたいんだ)
瑞希:(絵名を、愛莉ちゃん達を助けたい……!)
???:思っていたより早く降り出したねえ
???:うん。早めに気づいてくれてありがと。 おかげで雨宿りできた
瑞希:(人の、声……? あれって休憩所かな? よかった……!)
瑞希:すみませーん!!
???:え?
瑞希:助けてほしいんです!! 友達が斜面の下に落ちて——
瑞希:……え?
第 7 话:思いがけない援軍
山道
雫:くしゅんっ!! 雨で体が冷えてきたわ……
雫:絵名ちゃんと愛莉ちゃんも、このままだと風邪を引いちゃうわ。 瑞希ちゃんのことも心配だし……
雫:ううん、弱気になっちゃだめ……! 雨がもっと強くなる前に、ふたりを助けないと……! 何か、私にできることを探して——
???:『あら? もしかして、今って 結構まずい状況かしら?』
雫:え、この声って、もしかして……
ルカ:『雫ちゃん、なんだか大変なことになってるわね……!』
雫:ルカちゃん……!
雫:そ、そうなの! 愛莉ちゃん達が斜面の下に落ちてしまって……!
雫:今、瑞希ちゃんが助けを呼びに行ってくれてるんだけど、 私は何もできてなくて……。 雨も降ってきてるし、早く助けたいんだけど……
ルカ:『大丈夫よ、雫ちゃん。 一緒に愛莉ちゃん達を助ける方法を考えましょう』
雫:ルカちゃん……。ありがとう……!
ルカ:『下に落ちたって言っていたけど、ふたりは動けるの?』
雫:平気だって言っていたけど……。 膝を擦りむいていたみたいだし、心配だわ
ルカ:『そう……。早く助けなきゃね』
雫:ええ。本当は私が引っ張り上げられたらよかったんだけど、 ここからだと手が届かなくて。 せめて、ロープか何かがあれば……
ルカ:『ロープの代わりになるようなものは?』
雫:ええと、リュックにはレジャーシートとタオルと、 あと、着替えが入ってるんだけど……
雫:でも、これだとロープ代わりにするにしても 長さが足りないのよね……
雫:……あ、そうだわ。 長さが足りないなら、全部を結べば……!
ルカ:『それはいいアイディアね。 結びかたはわかるかしら?』
雫:ええ、前に教育番組のロケに行った話をしたでしょう? あの時にやったことがあるの。 でも、少し難しくて……できるかしら?
ルカ:『大丈夫よ、 雫ちゃんなら、きっとできるはずだわ!』
雫:……ありがとう、ルカちゃん! 私、やってみるわ!
愛莉:……雨が強くなってきたわ。 これだけ斜面が濡れちゃうと、足を掛けるのは ちょっと難しそうね……
絵名:どうしよう、このままじゃ夜になっちゃう……! このまま上に登れなかったら、私達……
愛莉:不安がっててもしょうがないわ。 それより、今何ができるか考えましょ!
絵名:そんなこと言われても無理だってば! もう、できることは全部やったじゃない!
絵名:あ……
絵名:ごめん、愛莉。 私が足を滑らせたせいで、巻きこんじゃったのに……
愛莉:……何しおらしくなってんの! いいから、絵のこと思い出しなさい!
絵名:え? 絵のことって……?
愛莉:中学の時、お父さんにいろいろ言われたって、 絵名はずっと描くことを諦めなかったじゃない!
愛莉:美術科のある高校に落ちても、誰にも認められなくても、 今もずーっと諦めないで描いてるじゃない!
愛莉:苦しいことばっかりでも、絶対に諦めない! それが絵名でしょ!
絵名:愛莉……
愛莉:ほら、しゃんとしなさい! 瑞希を信じて待ちましょ!
瑞希:大丈夫! すぐ誰か呼んで戻って来るから、安心して!
絵名:……信じて、か。 そうだね。瑞希なら、きっと——
瑞希の声:ふたりともー!!
絵名:この声、瑞希……?
瑞希:お待たせ!! 助けを呼んで来たよ!!
雫:瑞希ちゃん!
ルカ:『よかったわ、なんとかなりそうね♪』
雫:ええ……! あ、そうだ。ルカちゃんが見つからないようにしないと……
ルカ:『そのほうがいいわね。でも、愛莉ちゃん達が助かるまで、 私も雫ちゃんと一緒にいるから、安心してね』
雫:ええ、ありがとう、ルカちゃん!
瑞希:ふたりともー! こっちこっち!
類:瑞希の友達が落ちた場所は、ここかい?
寧々:わ、かなり急な斜面……
類:僕の手持ちのロープもあるけど、 これだと長さが少し足りないかもしれないね
雫:あの、よかったらこれを使ってください……!
瑞希:これって……。 もしかして、雫ちゃんが作ってくれたの?
雫:ええ。持って来てもらったロープとつなぎ合わせれば、 なんとか使えると思うわ
瑞希:ありがとう、雫ちゃん!
類:結び目もしっかりしてる。 これなら使えるね
寧々:あ、じゃあロープの先をこっちにくくりつけて——
類:ああ、全員で引っ張り上げよう!
絵名:た、助かった……。もうだめかと思った……!
愛莉:雨が降ってきた時は、さすがに不安になったけど、 よくがんばったわね、絵名!
絵名:そういう愛莉もね。瑞希と雫達が いなかったらって思うと、ぞっとする
雫:愛莉ちゃん! 絵名ちゃん! 無事でよかった……!
瑞希:ボクも、ほっとしたら力が抜けてきちゃったよ……
愛莉:ありがとね、ふたりとも。 本当に、いくらお礼を言っても足りないくらいだわ
瑞希:あはは、いいっていいって
絵名:えっと……あなた達もありがとね。 おかげで助かったよ
寧々:あ、いえ。 全員無事でよかったです
類:ふたりとも、しっかり歩けそうだね。 僕が先導するから、一旦、休憩所まで戻ろうか
瑞希:うん……!
ルカ:『もう大丈夫そうね。 雫ちゃん、私はそろそろ戻るわ』
雫:ルカちゃん、本当に手伝ってくれてありがとう。 あと、ごめんなさい。景色を見せるって約束したのに……
ルカ:『そんなの、別の機会でいいわよ。 それじゃあ、またね♪』
雫:ええ、またセカイで!
絵名:ん? 雫、今何か言った?
雫:あ……なんでもないわ、独り言よ
愛莉:あとでツアーに参加してる人達にも謝らないとね。 きっと、心配かけちゃっただろうし……
絵名:そうだね。なんて謝ろう……
瑞希:でも、何はともあれ本当によかったよー。 帰ったらゆっくり休もうね
絵名:……ねえ、瑞希
瑞希:どうしたの?
絵名:その服、気に入ってたやつでしょ。 なのに泥だらけになってて……。私のせいで、ごめん
瑞希:ああ、これ? たしかに気に入ってたけど、 服なんてまた買えばいいよ。それに——
瑞希:絵名達が無事だったんだから、ボクはそれで十分だよ
絵名:瑞希……
瑞希:そんなことより、ふたりともケガは本当に大丈夫?
絵名:私は大丈夫だけど……
愛莉:わたしだって平気よ! こんなの、ケガってほどじゃないわ!
絵名:愛莉ってば……。 帰ったら、ちゃんと病院行ってよ?
雫:そうね。あとになって痛む、なんてこともあるだろうから
愛莉:はいはい、わかったわよ
絵名:(瑞希のあんな笑顔、久しぶりに見たかも)
絵名:(……私、やっぱり瑞希の力になりたい)
絵名:(瑞希が私に話したくないって思ってても、 やっぱり、あんな顔見ちゃったら、放っておけないよ)
絵名:(だって瑞希は、私の——)
第 8 话:いつかきっと、話してほしい
瑞希の部屋
類:『今日は災難だったね、瑞希』
瑞希:『まあねー。でもみんな無事だったからよかったよ。 類、ホントにありがとね』
類:『僕達は少し手伝っただけだよ』
類:『それにしても、瑞希もあんな顔するんだねえ』
瑞希:『あんな顔って?』
類:『今まで見たことがないくらいの必死な顔で 助けを呼びに来ただろう?』
瑞希:『えー、そうだった? ていうか、必死な顔とか絶対カワイくないじゃん。 忘れて忘れてー』
類:『ふふ、それは難しいお願いだねえ』
類:『……今日一緒にいたのが、 前に言ってた、“仲間”になれそうな子なのかい?』
瑞希:『……さあ、どうだろうね』
瑞希:『はぁ。今日は疲れちゃったし、ボクもう寝るよ。 またね、類』
類:『……ああ』
類:『それじゃあまた、学校で。瑞希』
瑞希:『……うん』
瑞希:…………
瑞希:(絵名を、愛莉ちゃん達を助けたい……!)
瑞希:必死な顔、か
瑞希:……あれ? 絵名からメッセージきてる
絵名:『今日はありがと。今から愛莉と雫と グループ通話しようって話してるんだけど、瑞希もどう?』
瑞希:(グループ通話か……。たまにはいいかもね。 愛莉ちゃんも雫ちゃんも、話してると本当に楽しくて……)
瑞希:(…………でも、やっぱり、ボクは——)
絵名の部屋
絵名:『瑞希から返事きたよ。今日は疲れたからもう寝るって』
愛莉:『そっか。わたしと絵名のために一生懸命 走ってくれたんだものね』
絵名:『うん……。 雫も、今日は本当にありがとね』
雫:『ううん、瑞希ちゃんが頑張っていたから、私も頑張れたのよ』
愛莉:『ツアーの人達も優しかったわね。 大丈夫かってすごく心配してくれて……』
絵名:『ほんとにね。みんないい人達でよかった』
雫:『それにしても、助けてくれた人達が 瑞希ちゃんのお友達だったって聞いた時は驚いたわ』
絵名:『だね。学科は違うけど、私と同じ神山高校に 通ってるみたいだから、今度改めてお礼言っておくよ』
愛莉:『ええ、お願い!』
愛莉:『でも……ごめんね、絵名。 結局、瑞希のこと力になれなくて』
雫:『そうね。悩みを聞くどころじゃなくなってしまったし……』
絵名:『もう、ふたりとも謝らないでよ。 こっちはすごく感謝してるんだから』
瑞希:絵名達が無事だったんだから、ボクはそれで十分だよ
絵名:『……今日の瑞希、久しぶりに笑ってた気がして。 ずっと楽しそうだったし、やっぱり誘ってよかったなって』
愛莉:『そう。だったらよかったわ』
絵名:『私ね、今日出かけてみて、 やっぱりちゃんと、瑞希の悩みを知りたいって思ったんだ』
絵名:『瑞希が言いたがらないから、 ずっと私も踏みこんでいいのかわからなかったけど……』
絵名:『でも、やっぱりそれじゃ、 何も変わらないって実感したから』
絵名:『今日、瑞希が私を助けてくれたみたいに、 私も、瑞希が困ってるなら助けたいの』
愛莉:『絵名……』
絵名:『あの調子じゃ、そう簡単に話してくれないと思うけどね。 でも……やっぱり私、ちゃんと瑞希のこと知りたいから』
絵名:『向こうが観念するまで、何度だってしつこく 聞いてやるんだから』
愛莉:『ふふ、すっかりいつもの絵名に戻ったわね』
絵名:『何よ。諦めないのが私のいいところって 言ったのは、愛莉じゃない』
愛莉:『ええ、そうだったわね! 今の絵名、かっこいいわよ』
雫:『また何か困ったことがあったら言ってね、絵名ちゃん。 できるかぎり、私もお手伝いするわ』
愛莉:『ねえ、みんなの予定があうなら、 また一緒に出かけるのもいいんじゃない?』
雫:『それはいいわね! 絵名ちゃんと瑞希ちゃんがいてくれたら、 もっと楽しくなりそうだわ!』
愛莉:『瑞希、とってもいい子だったものね。 絵名とのことを抜きにしても、また一緒に遊びたいわ』
絵名:『ふたりとも……』
絵名:『じゃあ、今度は4人でショッピングしない? 瑞希、お気に入りの服、汚れちゃってたから 新しいの買いたいと思うんだよね』
雫:『いいわね。瑞希ちゃん可愛いから、選び甲斐がありそうだわ。 レッスンの日程が決まったら、また連絡するわね』
絵名:『うん、ありがとう、雫』
愛莉:『ふわあ……眠くなってきちゃった。 そろそろ、わたしも寝ようかしら』
雫:『あ、もうこんな時間だったのね。 私も休むことにするわ』
愛莉:『それじゃふたりとも、今日は本当にお疲れさま。 またね!』
絵名:『うん、またね』
瑞希:絵名達が無事だったんだから、ボクはそれで十分だよ
絵名:(……瑞希、また、ああいう風に たくさん笑ってくれるといいな)
絵名:(私がやろうとしてることは、お節介かもしれないけど……)
絵名:(やっぱり見てないフリは、できないよ)
絵名:(だって瑞希は——)
絵名:(私の、大事な友達だから)