活动剧情

カーネーション・リコレクション

活动ID:26

第 1 话:まだ、響かない

奏の部屋
まふゆ:『…………』
奏:『どうかな、雪』
まふゆ:『…………』
まふゆ:『よくわからない』
絵名:『は? またそれ? 今回のデモはすごくいいじゃん』
瑞希:『ボクもいいと思ったけどな~。 でも、雪にはあんま刺さらなかったって感じかな』
絵名:『そうは言っても、もう4曲目でしょ。 具体的にどこがダメだったのかとか言えないの?』
まふゆ:『……わからない』
絵名:『あのねえ……。Kだって、 これだけの完成度で何曲も作ってくれてるんだから、 少しはわかろうとする努力くらいしなさいよ』
まふゆ:『…………』
奏:『大丈夫、また作り直すから』
奏:『いくら作っても、雪に響かないと意味がない。 雪に届くまで——何曲でも作るよ』
絵名:『K……』
瑞希:『まあ、そうだよね。 けど、Kだって最近寝てないんじゃないの? せめて少し休んだら?』
瑞希:『ほら、あんま寝ないと効率よくないって聞くじゃん?』
奏:『……そうだね、少し休む』
奏:『雪、明日の夜にはまたデモを出せるようにするから、 もう少し待ってて』
まふゆ:『……わかった』
まふゆ:『じゃあ、明日早いから落ちるね』
奏:『うん、おやすみ』
瑞希:『お疲れー!』
絵名:『ったく雪ってば、Kは雪のために頑張ってるってのに。 もう少しなんとかしようと思わないわけ?』
瑞希:『まーまー、雪なりにがんばってるとは思うし、 もうちょっと見守ってあげようよ』
絵名:『それはそうかもしれないけど……』
瑞希:『じゃ、ボクもそろそろ落ちよっかな。 みんなお疲れー!』
絵名:『あ、ちょっと……!』
絵名:『もう、Amiaってば』
奏:『…………』
絵名:『ねえ、K。あんまり無理しないでね』
絵名:『雪を救う曲が作れなきゃ意味ないってわかってるけど、 そんなに急いでも、いいものは作れないと思うし』
奏:『……ありがとう、えななん』
絵名:『うん……』
奏:また、駄目だった……
奏:(少しずつ、何かを感じてもらえる曲も増えてきたけど、 それだけじゃ……)
奏:(どうしたら、まふゆを救える曲を作れるんだろう)
奏:…………
奏:……駄目だ、考えてても前には進まない
奏:今はとにかく、作らなきゃ——
翌日
スクランブル交差点
まふゆの友達:じゃあね、まふゆ! また明日!
まふゆ:うん、また学校で
まふゆ:…………
奏:『どうかな、雪』
まふゆ:『…………』
まふゆ:『よくわからない』
まふゆ:(今までは、奏の曲を聴いてると、 胸が痛くなったり、少し気持ちが楽になったりした)
まふゆ:(今も……何かを感じる、のかもしれない。 胸の奥がモヤモヤするような気がするから……)
まふゆ:(でも……それが何かはわからない)
まふゆ:(このモヤモヤは、一体なんだろう……)
まふゆ:……わからない……
奏の部屋
奏:……できた
奏:(……うん。今回のデモは、良くできてる気がする)
奏:(この曲なら——)
奏:『——みんな、おまたせ。 新しいデモができたよ』
絵名:『お疲れさま、K。 もうできたんだね』
瑞希:『今回はどんな曲かな? 楽しみだな~』
まふゆ:『…………』
奏:『雪?』
まふゆ:『なんでもない。聴かせてくれる?』
奏:『うん。今、ナイトコードに……あ』
奏:『……ちょっと提案なんだけど、 今回のデモは、セカイで一緒に聴かない?』
まふゆ:『え?』
誰もいないセカイ
ミク:あ……。 みんな、いらっしゃ……
瑞希:ジャジャーン! ニーゴ戦隊ニゴレンジャー、ここに参上~!
ミク:……ニゴ、レンジャー?
絵名:は? 何それ
瑞希:うわ、反応冷たっ! 今朝戦隊ものの番組やってたから ミクにも見せてあげたかったんだよ~
絵名:あーはいはい。 ほんと、くだらないことが好きっていうかなんていうか……
絵名:(……でも、前よりはちょっと元気になってるのかな)
瑞希:にしても、奏がこういうこと言いだすなんて珍しいね。 みんなで曲聴くだけならナイトコードでもできるのに
奏:今回は、みんなの反応を直に見てみたいと思って
奏:(まふゆは、何かを感じていると、 強く反応してくれる時がある)
奏:(声に出ることもあれば、 この前桜を見た時みたいに、表情に出ることもあるし……)
奏:(その反応は、まふゆを救う曲を作るためのヒントになるから、 できるだけ見逃したくない)
奏:それじゃあ早速——
???:——あら、いらっしゃい
奏:え……
絵名:あなた、もしかして……巡音ルカ?
ルカ:ええ、そうよ。 つい最近このセカイに来たの
ルカ:あなた達のことはミク達から聞いているわ。 よろしくね
奏:え、あ……うん
絵名:メイコの次はルカか。 ここも賑やかになってきたじゃん
まふゆ:……なんで私を見るの?
絵名:もしかしたら、まふゆもちょっとは 変わってきてるのかなーって思ってね
まふゆ:…………
ルカ:それで、今日はみんなそろってどうしたの?
奏:あ……新しいデモ曲ができたから、一緒に聴こうと思って。 みんなにも、よければ聴いてほしいな
ルカ:ええ。ぜひ聴いてみたいわ
奏:ありがとう。それじゃあ再生するね
絵名:わあ、オシャレなイントロ……! こういうの好きだなあ
瑞希:うん、最初からバッチリ雰囲気があっていいね
奏:ありがとう
奏:(まふゆは、どうだろう。 何か感じてくれてるかな)
まふゆ:…………
奏:あ……
ミク:綺麗な曲だった
ルカ:……そうね、素敵な曲だわ
奏:……ううん、全然だよ
奏:みんな、聴いてくれてありがとう。 このデモは、もう少し直してみようと思う
絵名:え? 今のままでも十分いい曲だよ?
奏:……うん。 でも、もうちょっと調整したいんだ
奏:(この曲じゃまだ、まふゆに響かないから——)
ルカ:…………
ルカ:じゃあ——また作ったら、ぜひ聴かせてほしいわ
奏:……わかった
奏:(……このままじゃ駄目だ)
奏:(今は、まふゆの考えてることや感じてることを探って、 それを曲に落としこんでいってる)
奏:(……でも、最近はそういう風に曲を作っても まふゆに響かないことが多い)
奏:(もっと、まふゆの心に響くような曲を作らなきゃ ならないのに……)
奏:どうすれば——

第 2 话:ルカの言葉

奏の部屋
絵名:『K、大丈夫? ちゃんと寝てる?』
奏:『……うん、大丈夫』
奏:『だけど、まだ雪に響くような曲は作れてないから ……今度こそ、完成させないと』
瑞希:『そっかぁ……』
瑞希:『ボクはどの曲もイイ感じだと思ったけどなあ。 雪は何が足りないんだろ?』
絵名:『さあね。 雪のことなんてわかるわけないじゃない』
瑞希:『それじゃ話が終わっちゃうじゃーん!』
瑞希:『それに、Kだってこのままじゃ倒れちゃうよ。 なんでもいいから考えようよ~』
絵名:『なんでもいいって……』
絵名:『……うーん。でも、一番雪が反応してたのって マリオネットの曲?』
奏:『そうだね。あの時は、雪が感じた 言葉にできない想いを歌詞にしてもらったんだけど……』
瑞希:『言葉にできない想い、かぁ……』
絵名:『……もしかしたら、インスピレーションが足りないのかも』
瑞希:『インスピレーション?』
絵名:『うん。マリオネットの時って、言葉にできない何かを なんとか表現したくて歌詞にしたって感じでしょ?』
絵名:『だから、Kの曲からインスピレーションを得られれば、 雪だって何か感じられるんじゃない?』
奏:『何か……』
絵名:『うん、私も……ほら、あったでしょ?』
絵名:『もうどうでもいいやって思ってた時に、 Kが私のために曲を作ってくれて……それを聴いたら、 胸がぎゅっとなって、また描きたくなったんだ』
奏:『えななん……』
絵名:『Kの作る曲って、なんていうか……。 自分に寄り添ってくれてる感じがするんだよね』
絵名:『雪も、Kの曲を聴いてそういう気持ちになれれば また何か感じられると思うんだけど……』
瑞希:『なるほどねー』
奏:『……そっか』
奏:(前にセカイにいた雪のために作った曲も、 えななんに届けようとした曲も、とにかく必死で作った)
奏:(もしかしたらまた、あの時みたいな……、 無我夢中で作る気持ちが必要なのかもしれない)
奏:(でも……)
翌日 早朝
奏:……はぁ
奏:(新しいデモ、できた)
奏:(マリオネットの曲や、絵名に届けた曲のことを 思い出して作ってはみたけど……)
奏:(この曲が本当にまふゆに響くのかな)
奏:…………
奏:……わからなくなってきた
奏:(何か、ヒントが……せめて意見がほしい。 でもこんな朝早くじゃ、誰も……)
???:『——あら、どうしたの? 難しい顔をして』
奏:え? うわっ!
奏:……ルカ? どうして……
ルカ:『ふふ、曲作りが進んでいるかと思って』
ルカ:『調子はどう?』
奏:とりあえず、新しくできたけど……。 …………
奏:……ねえ、ルカ。 よかったら、聴いてもらえないかな
奏:今ちょうど、誰かの意見がほしいと思ってて
ルカ:『ええ、私でよければ、もちろんかまわないわ』
誰もいないセカイ
ルカ:いらっしゃい、奏
ルカ:じゃあ、早速聴かせてもらおうかしら
奏:……うん、お願い
ルカ:…………
奏:どうだった?
ルカ:とても素敵な曲だったわ。 でも——
ルカ:この曲じゃ、あの子を迷路から救い出すことはできないでしょうね
奏:……え……
ルカ:それに、あなたにも見えていないんじゃないかしら。 この曲の辿り着く場所が
奏:辿り着く場所……
ルカ:この曲は、聴いた人をどこに辿り着かせてくれるの?
ルカ:終着点がどこなのか、あなた自身が理解しなければ、 この曲を聴いたとしてもどこにも辿り着けない
ルカ:それどころか——永遠に暗闇の中をさまよい続けることになる
ルカ:私は、そう思うわ
奏:それって……
ルカ:私に言えることはここまでよ
ルカ:……あの子を、救い出してちょうだいね?
奏:…………
奏:……ありがとう、ルカ
奏:もう少し考えてみる
ルカ:ええ
???:——ルカ
ルカ:あら、そんなところにいたのね。メイコ
MEIKO:白々しいわね。ずっと気づいていたでしょう
ルカ:ふふ。それより、どうしてずっと見ていたの? あの子に協力してあげればよかったのに
MEIKO:私はそういう関わりかたはしないようにしているの
MEIKO:……さっきの言葉は、奏の曲を大きく変えるかもしれない。 下手をしたらもっと迷走する可能性もあるわ
MEIKO:だから、ああいう不安を煽るようなやりかたは やめたほうがいい
ルカ:そう? 私はそう思わないわ
ルカ:見守るのは大事だけれど——停滞しているなら、 今の在りかたを揺さぶって、壊すことも必要だわ
ルカ:私は、そのためにここにいる気がするの
MEIKO:壊す……
ルカ:ねえメイコ。あの子、次はどんな曲を持ってきてくれるかしら?
MEIKO:……はぁ
奏:何を願って……どこに辿り着きたいのか……
奏:……どういう意味なんだろう
奏:わっ! あ……アラーム? 一体なんの……
奏:……あ。そうだ。 今日、お父さんの病院に行く日だった
奏:早く支度しないと……あれ?
奏:また雨……。 最近ずっと天気が悪いな……
奏:……ううん。ぼんやりしてないで、早く行かなくちゃ

第 3 话:涙雨

スクランブル交差点
奏:(お父さん、今日は起きてるかな)
奏:(——起きてるとしたら、今日は“いつ”のお父さんだろう)
奏:(……ちゃんと話せるといいな)
奏の父の病室
奏:——こんにちは
看護師:あら、奏ちゃん。こんにちは
看護師:今日はいいタイミングだったわね。 お父さん、起きてるわよ
奏:え……本当ですか
看護師:ただ……今どのあたりのことを覚えてる状態なのかは、 まだわからないんだけど……
奏:……わかりました。 話してみようと思います
奏:おはよう。 あ、今はこんにちはか……
奏の父:え? ああ、こんにちは
奏:その……調子はどう?
奏の父:ええと……
奏の父:すみません、どなたでしょうか?
奏の父:あ……覚えていなくて申し訳ない。 どうも今仕事のストレスで記憶が混乱しているらしくて、 思い出せないんです
奏:…………そっか
奏の父:せっかく来てもらったのに、本当に申し訳ない。 どうも今は、家族のことぐらいしか覚えていないみたいで……
奏:……家族のこと?
奏の父:ええ。 実は今度、子供が生まれるんです
奏の父:このあいだ安定期に入って、 妻のお腹がどんどん大きくなっていって……
奏の父:だからもっと僕がサポートしたいんだけど こんなことになってしまって……本当にダメだな、僕は
奏:…………
奏:そんなことないよ
奏:……宵崎さんは、家族のことを大事に考えてる 優しい人だよ
奏の父:はは、ありがとう。 えっと、そういえば君の名前は……
奏:…………奏
奏の父:奏? 偶然ですね。 僕も子供に同じ名前をつけようと思っていたんです
奏の父:僕も妻も音楽が好きなので、 少しでも音楽に触れてくれたらと思って……
奏の父:って、僕のことばかり話してしまいましたね
奏:……ううん、わたしのことは気にしないで
奏:早く回復できるといいね。 ……家族のためにも
奏の父:そうですね。どうもありがとう
看護師:……今日は、ずいぶん昔に戻られてたみたいね
奏:……そうみたいです。 でも、元気そうな顔が見れてよかったです
奏:それじゃあ、着替えも渡せたので、 わたしはこれで
看護師:あ、奏ちゃん……!
奏:…………
奏:(……わたしに悲しむ資格なんてない)
奏:(お父さんをあんな風にしたのは、わたしなんだから)
奏:(悲しんでる時間があるなら、 もっと作らなくちゃいけない)
奏:(まふゆを——たくさんの人を救える曲を)
瑞希:(……あれ?)
瑞希:(あそこにいるのって……奏? もしかして、お父さんのお見舞いの帰りかな)
瑞希:(……まあ、ボクには関係ないか。 どうせ夜ナイトコードで話すし、別に今話しかけなくても……)
瑞希:……って、あれ? 傘さしてないじゃん!
瑞希:(あのままじゃ風邪ひいちゃうよ……。 ていうか、表情も暗いし……もしかして何かあった?)
瑞希:……っ
瑞希:ああ、もう……! おーい、奏ーっ!
奏:……瑞希? どうしてここに……
瑞希:ボクはバイトの帰りだよ。 っていうか、どうして傘持ってるのにさしてないの? 風邪ひいちゃうよ?
奏:…………ちょっと、考えごとしてて
瑞希:考えごと?
瑞希:(……やっぱり、何かあったのかな)
瑞希:(最近、曲作りで行き詰まってる感じだったし、 ……このまま放っておくのは……)
瑞希:(……でも……)
奏:……早く曲を作らなくちゃ
瑞希:え?
奏:このままじゃまふゆに響かない。 もっと……作らないと
奏:……ごめん、もう帰らなくちゃ
瑞希:んーーーちょっと待った!!
瑞希:実はさ、この近くにすっごくカワイイカフェがあるんだよね! 奏も一緒に行かない?
奏:でも、わたしは……
瑞希:ちょっとだけちょっとだけ! リフレッシュしたほうが、いい曲作れるって!
奏:それはそうかもしれないけど……
瑞希:じゃあ決定! レッツゴー!
奏:わ、ちょ、瑞希……!?

第 4 话:ヒントを探して

カフェ
店員:おまたせしました。 こちらチョコレートパフェとホットティーです
瑞希:ありがとうございまーす! あ、パフェはこっちで!
瑞希:いただきまーす! んん~おいしい~♪
奏:……温まるね
瑞希:傘もささないで歩いてたら、そりゃ体温下がるでしょ
奏:うん。でもおかげで、服ももう乾いてきた
瑞希:よかった! あ、奏もフードメニュー頼んだら? ボクが無理やり連れて来たんだし、おごるよ!
奏:ありがとう。でも、そんなにお腹減ってないから
瑞希:そっかー。 ま、食べたくなったらいつでも言ってね!
瑞希:ここ、いいカフェでしょ? メニューは全部おいしいし、内装も制服もカワイイから、 お気に入りなんだよね~♪
奏:うん……
瑞希:…………
瑞希:——デモの作り直し、大変?
奏:…………うん。あんまり進んでない
瑞希:そっか。 でも、そんなに焦らなくても——
奏:この前みんなに聴いてもらったデモは、 まふゆに全然響いてなかった
奏:だから新しいデモを完成させたの
奏:……でも、それも響かない気がしてる
瑞希:響かないって……そんなのまだわかんないじゃん! とりあえず1回聴いてもらったら?
奏:ううん。 自分でもこれじゃ足りないって感じる
奏:ルカにも言われたんだ。 『まふゆを迷路から救い出せない』って
瑞希:迷路……
奏:うまく言えないけど、ルカの言いたいことはなんとなくわかる。 わたし自身、ずっと迷いながら作ってるから
奏:このままじゃ、いつまで経っても……
瑞希:…………
瑞希:(奏、だいぶ参ってるみたいだな)
瑞希:(ボクは曲のこととかわかんないけど……)
瑞希:(奏のために、何かの力になれれば——)
瑞希:……よし!
瑞希:なーんかずいぶん難しいこと言うねー、ルカは。 “まふゆを迷路から救い出せない”かあ……
瑞希:あ! それじゃあさ、これから一緒に遊びに行かない?
奏:え? 今から……?
瑞希:そう! やっぱ迷ってるんなら、家に閉じこもって考えるより、 いろいろ行動してみたほうがいいと思うんだよね
瑞希:まふゆを迷路から救い出すためのヒントが どこかにあるかもしれないしさ!
奏:……そっか……
奏:(たしかにあの時は、瑞希が旅行を提案してくれたから、 新曲のアイディアを見つけられたんだった)
奏:(……もしかすると、何か新しい刺激があったほうが いいのかもれない)
奏:(それで、まふゆを救う曲が作れるのなら——)
奏:……わかった。 よければ連れて行ってほしい
瑞希:うん、まかせて!
瑞希:……といっても、どこか行くアテがあるわけじゃないんだけど
瑞希:……ん~、よし! じゃあまずはあそこからにしよっと! 行こう、奏!
奏:あ、うん……!
ドールショップ
奏:……ドールショップ?
瑞希:そうそう、まふゆが一番反応したのが 人形展だったじゃん?
瑞希:だから、もしかしたらヒントがあるのかも! って思ってさ
奏:あ……たしかにそうだね
奏:(でも……あれはわたしが引き出したものじゃない。 あの時と同じようなインパクトのある曲を 作らないと……)
奏:あ……
瑞希:どしたの?
奏:この音……オルゴール?
瑞希:あ、この人形じゃない?
瑞希:へー、ネジを回すとオルゴールの音が流れるんだ! カワイイ~!
奏:うん、本当だね。 ……いい曲
瑞希:…………
瑞希:そういえば、奏ってオルゴールっぽい音よく入れてるよね
瑞希:この前の曲にも入ってたから、 あー奏の曲だなーって思ったなあ
奏:あ……言われてみれば……。 たしかに、オルゴールの音は好きだな
奏:わたし、お父さんが作ったオルゴールの曲が好きで、 よく聴いてたんだ
奏:だから影響を受けてるのかもしれない
瑞希:へえ、そんなに素敵な曲なんだ。 どんな曲なの?
奏:とても優しい音色で……。 聴いてると、すごく——
奏:…………っ
瑞希:奏……
瑞希:(もしかして、あんまり答えたくないこと聞いちゃったかな)
瑞希:……よしっ、じゃあ次に行こっか!
奏:あ、うん。そうだね……
ショッピングモール
瑞希:ふぅ。結構いろいろ回ったね~。 大丈夫? 疲れてない?
奏:うん。平日だし、そんなに人もいないから。 でも、まふゆについてのヒントはまだ掴めてないな……
瑞希:まあ、そだねー……。 一番有力そうだったのは絵画展で見た風景画かな?
奏:ああ、うん。まふゆも桜を見て笑ってたしね
瑞希:絵名が描いた絵にも『いい絵だ』って言うこともあるし、 やっぱアートには何か感じるのかもしんないね
奏:うん、じゃあアート系に絞って探していけば——
奏:……あ……
瑞希:ん? どうしたの? ……あそこにある花屋さんがどうかした?
奏:カーネーション——
奏:(……お母さんの好きな花だ)

第 5 话:遠い記憶の花畑

ショッピングモール
瑞希:へえ、白いカーネーションだ。 カーネーションって赤のイメージがあったけど、 白もキレイだね!
瑞希:奏、カーネーションが好きなの?
奏:あ……。わたしがっていうか、わたしのお母さんが 好きだったんだ
奏:よく家に飾ってたの。 だから、お墓参りに行く時も、買うのはこの花なんだ
瑞希:……そっかあ
奏:あ、ごめん。こんな話して……
瑞希:ううん、気にしないでよ。 ボクが勝手にしんみりしちゃっただけだし
瑞希:でもやっぱ花はいいよね! 見てると落ちつくっていうか……
瑞希:あ、花畑とか行ってみたいな。 ラベンダーとかひまわりとか、キレイだろうな~
奏:花畑……
奏:そういえば昔、お父さん達に連れていってもらったな
瑞希:え? 花畑って……カーネーションの?
奏:うん。たしか、この辺りにあるんだ。 こんな街中にも花畑があるんだって、びっくりしたな
瑞希:へ~! たしかに意外だね~
奏:……楽しかったな。 天気もよくて、みんな笑ってて……
瑞希:ねえ奏。その花畑、一緒に探してみない?
奏:え?
瑞希:この辺りにあるんでしょ? 花畑がある場所なんてそんなに多くないし、 きっとすぐ見つかるよ!
奏:でも、外は雨だし……大変じゃない?
瑞希:大丈夫大丈夫! 今日はお気に入りのレインブーツ履いてるし、 たまには活躍させてあげなくっちゃね!
奏:……ありがとう、瑞希
瑞希:じゃあ……まずは宮益坂公園に行ってみよっか。 あそこは昔からあるし、結構広いし!
奏:うん。行ってみよう
乃々木公園
瑞希:うー……近くの公園片っ端から回ってるのに、 ぜんっぜん見つからないな~
奏:うん……
奏:もしかして、この辺りに花畑があったって わたしが思いこんでるのかもしれない
奏:ごめん。雨の中つきあわせて
瑞希:ボクは全然大丈夫だよ!
瑞希:だから、もうちょっと探してみない? もしかしたら駅の反対側とかにあるかもよ?
奏:ううん。本当にもういいよ。 一緒に探してくれてありがとう
瑞希:奏……
瑞希:……そっか。ごめんね、力になれなくって
瑞希:でも、またいつか一緒に——
瑞希:…………
瑞希:(いつかって、いつだろう)
瑞希:(ボクはその頃まで、 奏達と一緒にいるのかな——)
奏:……瑞希?
瑞希:あ……ううん。なんでもないよ。 ちょっと考えごとしちゃっただけ
瑞希:えーっと、このあと帰るんなら、奏は駅のほうに行くんだよね? だったらこの公園突っ切って行っちゃおっか
奏:うん
瑞希:にしても、この雨、ヤになっちゃうよね~。 最近ずーっと降ってるし
瑞希:ま、雨がやんだらいい曲も思い浮かぶかもね。 奏もそんなに悩みすぎないほうがいいよ
瑞希:何かあったら、また遊びに行こう!
奏:そうだね、その時はお願いしようかな
奏:でも、今日は瑞希のおかげで、いい気分転換ができた
瑞希:ホント? よかった~!
奏:——実は、今日、お見舞いに行ってたんだ
瑞希:お父さんの?
奏:うん
奏:お父さん、倒れてから何度も記憶が混乱することがあって……。 今日は、わたしが生まれる前の話をしてたの
奏:その顔が、すごく幸せそうで——
奏:そんなお父さんの笑顔をわたしが奪ったんだって思ったら、 すごく、苦しくなった
瑞希:奏……
奏:その時、思ったの。 わたしは早くまふゆを救える曲を作らなくちゃって
奏:それができないなら——ここにいちゃいけない、って
奏:……だけど、瑞希がいろいろな場所に連れていってくれたから、 気持ちが楽になったんだ
奏:だから、ありがとう瑞希
瑞希:……ううん
瑞希:(……奏)
瑞希:(奏は、きっとお父さんを傷つけた自分が許せなくて、 自分を罰するみたいに曲を作り続けてる)
瑞希:(……そんなのもうやめなよって、 奏はひとつも悪くないよって言いたいけど)
瑞希:(きっと奏は、誰に何を言われても、 曲を作ることをやめないんだろうなってわかる)
瑞希:(なら、せめて……)
瑞希:……ねえ、奏
奏:ん?
瑞希:奏は、まだ誰も救えてないみたいに言うけどさ
瑞希:少なくとも、昔のボクは救われたよ
奏:……え?
瑞希:ボクね、結構ちっちゃい頃から、 生きるのって大変でやだなーって思うことがあってさ
瑞希:で、中学くらいの時に、本当にもう消えたほうが 楽なんじゃないかなって思った時があったんだ
瑞希:でも、奏の曲を聴いて思ったんだ
瑞希:この曲作ってる人も、ボクとおんなじなんだなあって
瑞希:だからもうちょっと頑張ってみようって思えたんだよ
奏:瑞希……
奏:あ……
瑞希:あ! 雨、弱まったね。 もうすぐやみそうじゃない?
奏:うん。 周りの人も傘閉じ始めてるね
瑞希:やったー! 雨ってあんまり長いと気分も落ちこんじゃうしね~
瑞希:そういえば、この近くにボクのお気に入りスポットが あるんだよね。 雨もやんだし、ちょっと寄っていかない?
奏:瑞希の……
奏:行ってみたいな。 どんな場所なの?
瑞希:秘密! ……って言いたいところだけど、 隠すほどの場所じゃないから言っちゃおーっと
瑞希:この近くにある噴水広場なんだ。 そばに花壇もあってキレイなんだよ♪
瑞希:あ、ほら、もう見えてきたよ!
奏:あそこ? って……あれ?
奏:あの花壇、もしかして——

第 6 话:忘れていた幸せ

乃々木公園
奏:ここは——
幼い奏:ごちそうさまでしたー!
奏の父:ん? 奏、ほっぺたにご飯つぶがついているよ?
幼い奏:えっ? どこどこ~?
奏の父:こっちのほっぺただよ。 ほら、じっとして
幼い奏:ん~
奏の父:はい、とれたよ。 これで大丈夫
???:あら、本当に大丈夫かしら?
奏の父:え?
奏の母:ご飯つぶをつけてるのは、 奏だけじゃないわよ、お父さん?
幼い奏:あ! ほんとうだー! おとうさん、わたしとおそろいだね!
奏の父:え!? ど、どこに……!?
奏の母:こっちのほっぺたよ。 ほら、じっとして
奏の父:あ、うん
奏の母:はい、とれたわ。 お父さんったら、奏の真似をしたの?
幼い奏:おとうさん、まねっこー!
奏の父:あははは……
幼い奏:……あ! ちょうちょ!
奏の母:あ、転ばないように気をつけて、奏
幼い奏:おかあさん! ちょうちょ、お花にとまったよ!
奏の母:そうね。お花の蜜がちょうちょのご飯だから、 ちょうちょもここでお弁当を食べてるのかしら
幼い奏:お花がお弁当なの? おいしいのかな~?
奏の父:……あ、そうだ
幼い奏:これは、なんていうお花?
奏の母:カーネーションっていうお花。 お母さん、この花が大好きなの
幼い奏:かーねーちょん?
奏の母:ふふ、カーネーションよ。 ……あら?
幼い奏:おとうさん、ギターひいてる~!
奏の母:あ、奏! 急に走ったらだめよ!
奏の母:…………ふふっ
幼い奏:おとうさん、じょうず! パチパチパチー!
幼い奏:今のはなんていうおうたなの?
奏の父:え? うーん、今ぱっと思い浮かんで弾いただけだから、 曲名はないんだけど……
奏の父:でも、もしつけるなら……。 『奏とお母さんのニコニコ日曜日』、かな!
幼い奏:わたしとおかあさんのニコニコにちようび……?
幼い奏:あははっ! ヘンななまえ~!
奏の父:えっ!? そ、そうかな?
奏の母:奏、そんな風に言ったら、 お父さんがガッカリしちゃうでしょう?
幼い奏:あっ……! おとうさん、ごめんなさい……
奏の父:あはは、大丈夫だよ、奏
奏の父:僕は、僕の曲で奏とお母さんが笑ってくれれば、 それで十分さ
幼い奏:わたしがわらうと、おとうさんうれしいの?
奏の父:そうだよ。胸がぽかぽかしてあったかくなるんだ
幼い奏:そうなんだ~! じゃあわたし、いっぱいわらうね!
奏の母:ふふっ……。 ねえお父さん、もう1回弾いてもらってもいいかしら?
奏の父:ああ! それじゃあもう1回!
幼い奏:……おかあさん、とーってもニコニコ!
奏の母:あら、そう?
奏の母:……でも、そうね。 思わず笑顔になっちゃったわ
奏の母:お父さんの曲を聴くと——いつも幸せな気分になれるから
幼い奏:……うん! わたしも! おとうさんの曲、だーいすき!
奏:……ここだ
瑞希:え?
奏:ここが、お母さん達と一緒に来た花畑だ
瑞希:え!? でも、花畑っていうか、ちょっと大きめの 花壇ってくらいだけど……
瑞希:あ、そっか! 奏もすごく小さかったから、花畑だと思っちゃってたのか!
奏:多分、そうだと思う。 ……勘違いしててごめん
瑞希:ううん! それより見つかってよかったよ! たしかにこの花壇、カーネーションがいっぱい咲いてるもんね
奏:うん……懐かしいな……
奏:(あ……)
瑞希:えっ、奏? 大丈夫?
奏:……ごめん……
奏:(あの日のことを思い出すと、苦しくなる)
奏:(瑞希が探してくれたのに、せっかく見つけたのに……。 でも、思い出したらわたしは——)
瑞希:——でも、そっか。 ここが奏の、大切な思い出の場所なんだね
奏:え……
瑞希:ごめん、なんか……ちょっと嬉しいんだ。 奏っていつも、どこか自分を 押し殺してる感じがしてたから
瑞希:さっき、この花壇を見てた時、 なんだかすっごく幸せそうに見えたんだよね
瑞希:だから……よかったなって
奏:瑞希……
瑞希:あ、ごめんね! ボクみたいな他人が、 わかったようなこと言っちゃって……!
奏:……そんなことないよ
奏:瑞希が連れて来てくれなかったら、思い出せなかった
奏:小さい頃の思い出も、 どうしてこの場所が好きだったのかも
瑞希:奏……
瑞希:ねえ奏、よかったら教えてくれない? 昔、ここに来た時のこと!
奏:あ……うん
奏:ここには、お父さんとお母さんと一緒に ピクニックに来てたんだ
奏:お父さんは、ギターでよく曲を作って歌ってくれた
奏:シンプルな曲なんだけど、 すごく楽しくて、幸せで——
奏:お父さんの曲を聴くと、笑顔になれるんだ
瑞希:へえ……素敵だね
瑞希:奏がそんなに言うのなら、すっごくいい曲なんだろうな。 お父さんが作ったオルゴールがあるんだっけ? ボクも聴いてみたいな~
奏:あ……じゃあ、今度持ってくるよ
瑞希:え、いいの?
奏:うん、聴いてほしいな
瑞希:あ……
瑞希:…………うん、ありがと!
奏:(——昔のこと、こんなに話してるのいつぶりだろう)
奏:(ちっちゃい頃のことなんて、長いこと忘れて……)
奏:(……ううん。多分、自分で閉じこめてたんだ)
奏:(思い出すと幸せすぎて——苦しかったから)
奏:(だけど、思い出せてよかった)
奏:(これはわたしの——大切な思い出だから)
瑞希:にしても、ボクのお気に入りの場所が 奏の思い出の場所だったなんてね~
瑞希:えへへ、ちょっと嬉しいな!
奏:うん。わたしも
奏:ありがとう、瑞希
奏:きっとひとりで来てたら、 今みたいな気持ちでいられなかった気がする
奏:瑞希がいてくれたから、 昔の思い出を、素直に受け止められたんだと思う
瑞希:そんな、ボクは何も——
瑞希:——そっか
瑞希:どういたしまして、奏

第 7 话:迷路の先にあるもの

奏の部屋
奏:……ふぅ
奏:(今日は、瑞希のおかげでいろんなことを思い出せたな)
奏:(まだ、まふゆを救う曲がどんなものか、 イメージできてはいないけど)
奏:作ろう。どれだけ時間がかかっても
数時間後
奏:……違う。これじゃない
奏:前よりは近づいてる気がする。 でも、やっぱり何かが足りない
奏:もっと、心へ静かに響くような……
奏:あ……
奏:オルゴール……あった
奏:…………この感じだ
奏:(優しくて、温かくて、包まれてるみたいに感じる。 お父さんの曲には、全部これがある)
奏:(でも、わたしの曲には……ない)
奏:(何が違うんだろう。 お父さんは、どうやってこの感じを出してたんだろう)
奏:(お父さんは、あの時——)
奏の父:僕は、僕の曲で奏とお母さんが笑ってくれれば、 それで十分さ
奏:笑って……
奏:(……お父さんはわたし達に笑ってほしいと思いながら 曲を作ってた)
奏:(わたしは? まふゆにどうなってほしい?)
奏:(わたしは……まふゆに消えてほしくないと思う)
奏:(でも、それはわたしのエゴだ。 まふゆが消えると自分が傷つくから、そう思ってるだけ)
奏:(そうじゃなくて、 まふゆに“どうなってほしい”のか、もっと考えなくちゃ)
奏:(まふゆが望むように、 まふゆに“自分”を見つけてほしい……とも思う)
奏:(でも、“自分”を見つけたまふゆがどんな状態なのか わたしにはよくわからないから、うまくイメージできない)
奏:……はぁ
奏:わたし、まふゆのこと、全然ちゃんと考えられてない……
奏:これじゃ、いつまで経っても——
ルカ:この曲は、聴いた人をどこに辿り着かせてくれるの?
奏:どこに……
奏:まふゆに、どこに辿り着いてほしいか……
奏の母:お父さんの曲を聴くと——いつも幸せな気分になれるから
奏:あ……
奏:(あそこだ)
奏:(……うまく言えない。 言えないけど——)
奏:(いつか、たくさんのことを感じられるようになったまふゆに、 あの場所にいたお母さんみたいに——)
奏:……笑ってほしいんだ
奏:——できた
奏:……今までの曲と、全然違う曲
奏:(これを聴いたら、 まふゆはどんな顔をするんだろう)
奏:(ちょっと、緊張するかも……)
奏:……ううん
奏:聴いてもらおう。みんなに
奏:『——みんな、いる?』

第 8 话:ほほ笑み

誰もいないセカイ
ミク:あ……来るよ、奏
奏:ふたりとも、作業時間の前なのに来てくれてありがとう
瑞希:ううん! ちょうど先に始めよっかなって 思ってたところだったから、全然平気だよ
絵名:私もそんな感じ。 ……まふゆはもうちょっと遅れるんだっけ?
奏:うん。予備校の準備があるらしいから
リン:それで? 今日も曲聴くの?
奏:うん。リンにも聴いてほしい。 いいかな?
リン:別にいいよ
瑞希:……いいのできた?
奏:うん
奏:まふゆに響くかどうかは、 まだわからないけど……あ……
奏:まふゆ
まふゆ:……新しいデモができたって、本当?
奏:うん。 デモっていうか、ほとんど完成したものだけど
奏:——聴いてくれる?
まふゆ:うん、そのために来たから
絵名:ちょっと……また偉そうにしないでよね。 曲作ってもらってるんだから
まふゆ:偉そうにしたつもりはないけど
絵名:あんたの言いかたがそう聞こえるの!
まふゆ:そうなんだ
絵名:だーかーらー……
瑞希:まーまー! ほら、みんなで聴こうよ!
奏:それじゃあ、再生するよ
奏:(まふゆの反応は……)
奏:あ……
奏:(今回も駄目だった……)
まふゆ:……聴いたよ
絵名:聴いたよ、じゃなくって。 なんか他に言うことないわけ?
まふゆ:他に……
まふゆ:……うまく、言えないけど……
まふゆ:よかった、と思う
奏:え……
瑞希:まふゆ、笑って……!?
まふゆ:…………?
まふゆ:みんな、何をそんなに驚いてるの?
絵名:え、あんた気づいてないわけ?
瑞希:まふゆ、笑ってたんだよ! 奏の曲聴いて!
まふゆ:私が……?
絵名:なんで笑ったの? サビが良かったとか?
まふゆ:…………わからない。 わからないけど……
まふゆ:少し——あたたかかった
奏:まふゆ…………
ルカ:そういうことなのね
奏:え?
ルカ:——そこが、あなた達の辿り着きたい場所なのね
奏:……そっか
奏:こういうことなんだね、お父さん
奏の部屋
まふゆ:『それじゃ、落ちるね』
絵名:『じゃあ私も。おやすみ、ふたりとも』
瑞希:『はーい! えななんも雪もおやすみ~!』
瑞希:『ってもうこんな時間かー。 ボクももう少ししたら落ちようかな』
奏:『わかった』
奏:『……Amia、改めて、本当にありがとう』
奏:『Amiaがわたしの世界を広げてくれたから、 わたしはあの曲を作れたんだと思う』
瑞希:『世界を広げたって……あはは、Kは大げさだなあ』
瑞希:『……だけど、そっか』
瑞希:『ちょっとでも役に立てたならよかったよ』
瑞希の部屋
瑞希:(世界を広げてくれた……か)
瑞希:(……昔から、なんでも遠い世界のできごとみたいに 冷めた目で見ちゃうことばっかりだったけど)
瑞希:(奏の役に立ったなら、こんなボクのこれまでも、 そんなに無駄じゃなかったのかもね)
瑞希:(——それにしても、奏はすごいな)
瑞希:(お父さんのこともあるのに、 いろんなものを背負って、曲を作り続けてる)
瑞希:(自分と誰かを救うために、必死で生きてる)
瑞希:……諦める、なんて考えないんだろうなあ
瑞希:ボクも、諦めなかったら、変われるのかな
瑞希:——あーあ。 やっぱすごいな、奏は
瑞希:昔も今も、もうちょっと頑張ってみようって思えてるのは、 奏のおかげだな
瑞希:よーし、それじゃボクも少しは頑張ろっと。 まだ何ができるってわけじゃないけど……
瑞希:まずは——この曲にぴったりな、 最っ高のMVを作らなくちゃね!