活动剧情

Unnamed Harmony

活动ID:27

第 1 话:プロを目指して

放課後
宮益坂女子学園
咲希:よおーし! 今日も練習、がんばるぞーっ♪
咲希:みんなっ、早くセカイに行こー!
志歩:ちょっと咲希、声が大きい。 周りに聞こえるでしょ
志歩:あと、さっきも言ったけど、 今日はまだ周りに人が多いから あっちに行くのはもう少ししてからね
一歌:咲希、あのライブ以来、本当に張りきってるね
穂波:前座だったけど、みんなで演奏した初ライブだもんね。 後半は、お客さんもすごく盛り上がってくれたし……
咲希:ホントに、すっごく楽しかったよね! またあんなライブやりたいな~
穂波:ふふっ。でも、無理しちゃだめだよ?
咲希:もちろん、ちゃーんと気をつけてるよ! みんなともっとたくさん練習したいから♪
咲希:みんなでプロになる!って決めたからかなあ。 今は遊んだり休んだりするより、 練習でシンセ触ってる時が一番楽しいんだ!
一歌:へえ……咲希がこんなこと言うなんて。 ちょっと意外だな
志歩:ね。正直、一番最初に 『もう休みたい』『もっと遊びたい』って言いだすと思ってた
咲希:え~っ! そんなこと言わないよ!
咲希:そりゃ、ちょっと疲れたな~とか、 遊びたいな~って思う時はあるけど……
咲希:でも、がんばってうまくなったら、 いつかみんなと一緒にプロになれるんだ!って思うと すっごくワクワクするんだ!
穂波:ふふっ。咲希ちゃんらしいね
志歩:じゃあ、せっかくやる気でてるみたいだし、 基礎練のレベル上げようかな
咲希:え~! 今より難しくなるの!?
志歩:何か文句でもある? もっと練習して、早く上達したいんでしょ?
咲希:ううっ、それはそうだけど~……
志歩:……ま、安心しなよ。 咲希が上達してる分、それに合ったレベルにするだけだから
咲希:えっと……それって、アタシがうまくなってるってこと? やったー! しほちゃん大好きーっ!
志歩:ちょ、ちょっと咲希……くっつかないで。 動きづらい
咲希:え~! だってだって、 しほちゃんが褒めてくれて嬉しいんだもーん♪
志歩:はぁ……まったく……
穂波:……あ、そうだ!
穂波:志歩ちゃん、お昼休みの時、 今日の練習の前に話をしたいって言ってたよね?
志歩:ああ、うん
一歌:話って、なんの話?
志歩:そうだね……。 人がいなくなるまで、まだ時間があるし……今話そうか
咲希:なになに? 気になる~!
志歩:これからのLeo/needの活動方針について、 みんなと具体的に話しておきたくて
一歌:活動方針……
咲希:おおーっ! っていうことは、 『Leo/needのみんなでプロになろう大作戦』の 記念すべき第1回目のミーティングだねっ♪
穂波:咲希ちゃん、いつの間にそんな名前つけてたの?
咲希:もちろん、今だよ! それでそれで? 活動方針って?
志歩:えっと……ちょっと長くなりそうだから、 どっかの空き教室で話そうか
宮益坂女子学園 教室
志歩:まず、これから私達がプロになるために 何が必要なのか、話していこうと思う
志歩:まずは、プロになる方法についてなんだけど。 ルートがいくつかあって——
咲希:あ、あれがあるよね! オーディション!
咲希:1位になったらメジャーデビュー! っていう番組見たことあるよ♪
志歩:うん、オーディションを受けるのもひとつのルート
志歩:あとは、ライブハウスで腕を磨いて、 動員数を増やしていくっていう方法もある
穂波:そっか。活動して人気がでていけば、 事務所とかにもスカウトしてもらえるんだよね
志歩:そういうこと。 正しくは事務所じゃなくて、レコード会社だけどね
一歌:オーディションを受けるか、 ライブハウスで有名になっていくか……
志歩:大きくはそんな感じだけど、他にも方法はあるから、 そこまで縛られる必要はないかな
志歩:最近は動画サイトに曲をアップして、 そこから人気に火がつくパターンも多いしね
咲希:ふむふむ……。 さすがしほちゃん、詳しいね!
志歩:ただ——どのルートを進むにしても、 私達の演奏技術は、まだプロになれるレベルに達してない
志歩:だからまずは、自分達の技術を磨くこと。 経験を積んでいくことが大事になってくる
穂波:経験を積んでいく……。 やっぱりライブに出るのが大事ってことかな?
志歩:うん。そう
志歩:このあいだのライブでわかったと思うけど、 練習だけできても、本当にうまくなったとは言えない
志歩:たくさんの人の前で演奏して、聴いてもらって……。 自分達の演奏で、みんながどんな反応をしてくれるかを見て、 初めて気づけることも多いと思う
一歌:……そうだね。あの時初めて、 大きな会場のちゃんとしたステージに立ったけど……、 最初は怖くて声が出なかったな
一歌:でも、志歩に想いを伝えなきゃって必死になってたら、 不思議と歌えるようになったんだっけ
咲希:アタシも! 絶対しほちゃんと一緒にやるんだ!って思ったら、 緊張する気持ちも吹き飛んじゃった
穂波:そうだね。 あの時は、ちゃんと勇気を出して演奏できた気がするな
志歩:……そっか
志歩:本当は、お客さんの反応をちゃんと見て演奏して、 って言いたいところだけど。 ……ありがとね
志歩:ライブで経験を何回も重ねていくと、 それだけでいい演奏ができるようになっていくと思う
志歩:技術的にもだけど、 気持ちの部分も鍛えられていくからね
一歌:うん……。うまくなって、またたくさんの人に 演奏を聴いてもらいたいな
穂波:わたしも……!
咲希:緊張するけど、楽しかったし……。 成長できるならもっとたくさん出たいな
志歩:うん。だから、今はまず ライブに出ることだけを考えたい
咲希:ライブかあ……! うう~、テンション上がるね~!
穂波:ふふっ、今から楽しみだね
穂波:でも、ライブに出るにはどうすればいいのかな? 会場選びとかもしないといけないよね?
志歩:それなら、心配いらない
志歩:バイト先の店長とオーナーに相談したら、 うちのライブイベントに出てもいいって言ってもらえたから
咲希:わ~っ! さすがしほちゃん♪ ありがとう!
志歩:時期は1ヶ月後くらいって話してる。 ……ちょっと急だけど、大丈夫?
一歌:1ヶ月後か……うん、私は大丈夫。 演奏する曲は何にしよう?
穂波:このあいだSTANDOUTのライブで演奏した曲はどうかな? あれなら、みんなうまく合わせられるんじゃない?
志歩:うん、私もそう考えてた。 でも、次に出るライブは持ち時間が15分くらいあるから、 あと2曲くらいは仕上げておきたいかな
咲希:わー、3曲もできるんだ!
穂波:じゃあ、他の2曲も何にするか決めないとだね
志歩:そうだね……今まで練習してきた曲と、 やってみたい曲をいくつか持ち寄って、 案を出しながら考えようか
一歌:うん。ミクが歌ってる曲で 何曲か歌いたいなと思ってた曲があるから、探しておくよ
一歌:でも……いつかはLeo/needのオリジナル曲も、 ライブで演奏してみたいな
咲希:オリジナル曲……
志歩:でも、プロとしてデビューを目指すなら、 Leo/needとしてのオリジナル曲が必要だからね。 そこも考えていかないと
咲希:あ、しほちゃんも言ってたよね。 オリジナル曲が必要だって!
咲希:アタシも作りたいな~!
穂波:そうだね。自分達の曲でライブができたら、 すごく楽しそう
咲希:うんうん! 前もいっちゃんの歌詞にあわせて 簡単な曲を作ってみたけど……。 ライブで演奏するなら、もっとちゃんと作りたいな!
志歩:ま、いつかね
一歌:いつか、でいいの?
志歩:ライブで歌えるレベルの曲を作るのは かなり難しいからね
志歩:作るなら、やりかたを考えなきゃ
咲希:え? でも、しほちゃんがいるなら大丈夫じゃない? バンド歴だって長いし……
志歩:無理。私はできてアレンジくらい
咲希:え~っ! そうなの!?
志歩:昔、曲を作ろうと思ってた時期もあるけど……。 やっぱり、難しかった
志歩:どうしても、イメージするような曲にならなくて
穂波:そうなんだ……。 志歩ちゃんでも難しいっていうことは、 本当に大変なんだね
志歩:でも、プロを目指すからには、 ちゃんとバンドで曲を作りたいとは思ってるよ
志歩:だから、演奏の練習しながら、 少しずつ挑戦してみてもいいかもね
咲希:練習しながらかぁ……。 あっ、それなら……
志歩:……?
咲希:次の練習から、みんなでフレーズを ひとつずつ考えて持ち寄るのはどうかな?
志歩:フレーズを、って……。 短いメロディーとかコードを考えてくる、ってこと?
咲希:そう! いきなり曲を作るのは難しいかもしれないけど、 フレーズをひとつ考えるならできるかもって!
穂波:おもしろそうだけど……。 ちゃんと作れるかな
一歌:そういうの、やったことないしね。 でも……
一歌:私も、挑戦してみたいな
咲希:うん、やろうよ! やってみたら、意外とできちゃうかもしれないし♪
志歩:……そうだね。 できそうなところから始めてみるのはいいと思う
志歩:じゃあ、明日からその流れでいこう
咲希:やったーっ! みんな、がんばろうね!
一歌:ふふ。咲希ったら、嬉しそう
穂波:あ、そろそろ周りの人も少なくなってきたし、 ミクちゃん達のところに行かない?
志歩:そうだね。活動方針のことも話したいし
咲希:うん! それじゃいこいこーっ♪
咲希:(ライブに、オリジナル曲かあ……。 えへへ、すっごくワクワクしてきた!)
咲希:(よ~し、がんばるぞ~!)

第 2 话:新しい音色

教室のセカイ
ミク:あ、みんな来たんだね。 いらっしゃい
咲希:ミクちゃん、ルカさんこんにちはーっ♪
ルカ:今日はいつも以上に元気ね、咲希
MEIKO:何かいいことでもあったの?
志歩:ここに来る前に、プロになるためには 具体的に何をすればいいのか話してたんです
志歩:それで、まずは経験を積むために 私のバイト先でライブをやろうってことになって
ミク:へえ、ライブ? いいね、楽しそう!
咲希:でしょでしょ~! ついにアタシ達Leo/needが、世界に羽ばたくんだよ! もう、今からドキドキしちゃって!
一歌:世界って……咲希、大げさ
穂波:でも、世界に行くんだって考えると、 今以上に頑張ろうって気持ちになれるかもね
志歩:ま、その分練習は多くなるけどね?
咲希:もー、わかってるよ~! それでも、がんばるって決めたから大丈夫っ♪
咲希:だから、ミクちゃん達もビシバシ鍛えてほしいんだ。 これからもよろしくね!
ミク:ふふっ、いいよ。 みんなで一緒に、たくさん練習しようね
ルカ:そうね。これからもみんなのことを サポートできたら嬉しいわ
MEIKO:うん! 迷うことがあったら、いつでも言って。 私達が力になるよ
穂波:ありがとうございます!
志歩:じゃあ、そろそろ練習始めようか
咲希:おっけー! それじゃ今日もがんばろー……
リン:やばば~っ! みんなもう来てるっ!?
リン:うわー、カンペキ出遅れちゃったじゃん! めーこ姉、いるなら呼んでよ~っ!
MEIKO:あはは、ごめんごめん。 リン、気持ちよさそうに寝てたから
一歌:えっ……リン!?
リン:あ、キミ達が想いの持ち主だよね? はっじめまして~!
リン:あたし、鏡音リンだよ♪ これからミクぴょん達と一緒に バンドやることになったんだ!
リン:みんな、よろしくね☆
志歩:ミクぴょん……
ミク:うう……
ルカ:可愛いあだ名よね
リン:でっしょでしょ~! 名前で呼ぶより、 こっちのが仲良しっぽいし、かわいいよねっ♪
リン:そんなわけで、キミ達のこともあだ名で呼ばせてね♪ サッキー、いっちー、ほなっち、しほぴょん!
一歌:う、うん。よろしく——
一歌:……って……
志歩:……しほぴょん……
穂波:ふ、ふふっ。志歩ちゃんも、 ぴょんがつくんだね……ふふふっ……
志歩:穂波……
ミク:よかった。志歩も私の仲間——
志歩:悪いけど、別の呼びかたにして
リン:えーっ、どうして!? かわいいのに!
志歩:可愛くない。 それに咲希が真似する
咲希:アタシはしほぴょん、かわいいと思うけどな~
リン:あたしもあたしもーっ♪
志歩:……リン、お願いだから別のにして
リン:えー、やっぱダメかぁ~
リン:んー……じゃあ、しほっちとかは? ねねっ! どう? どうかな!?
志歩:それなら……まだマシかな
リン:やった~! よろしくね、しほっち♪
MEIKO:あははっ、仲間が増えなくて残念だったね。 ミクぴょん
ミク:うう……
咲希:リンちゃんが来てくれたから、 これからもっと楽しくなるね♪
一歌:うん、そうだね
穂波:そういえば……メイコさんが来てくれた時は、 『わたし達の想いが一歩先に進んだから』って言ってたよね
穂波:リンちゃんも、同じ理由でセカイに呼ばれたのかな?
リン:あたしがセカイに来た理由?
リン:んー、よくわかんないな~。 なんか気がついたらここにいたんだよね
ミク:多分、みんなが『プロになる』っていう想いを見つけられて、 新しい壁を乗り越える必要ができたから……じゃないかな
リン:あっ、それかも~! あたしもミクぴょんやルカ姉達みたいに、 いっちー達の力になりたいもん!
ルカ:一歌達は今度ライブをやるらしいから、 お手伝いには、ちょうどいいタイミングかもしれないわね
リン:えっ、みんなライブやるの!?
一歌:あ、うん。さっき決まったばかりなんだけどね
リン:すごいすごーい! もうどんな曲をやるか、決まってるの?
穂波:それはまだ……かな
リン:えーっ、そうなのー?
志歩:……曲は決まってないけど、やりたいことは決まってるよ
志歩:4人で、聴いてくれた人の心に響くような演奏をしたい。 その想いは、みんな同じ
咲希:しほちゃん……!
リン:いいね~っ! みんなの友情! キズナ! あたし、じーんってきちゃった!
リン:困ったことがあったら、なんでも言って! みんながハッピーなライブができるように、 あたしもがんばってお手伝いするから♪
穂波:ありがとう、リンちゃん
一歌:それじゃ、さっそく練習しようか
咲希:はーいっ! 今日もがんばるぞ~!
咲希:はー、疲れた~
一歌:でも、プロになるためには これくらいで音を上げてちゃ駄目だよね
一歌:志歩、さっきの歌の感想聞かせてくれる?
志歩:そうだね、声はよく出てた。 サビのピッチのズレが直ったら、もっと良くなると思うよ
一歌:そっか……。 わかった。ありがとう
穂波:志歩ちゃん、わたしもお願い
咲希:あっ、アタシも!
志歩:穂波はすごく安定して叩けるようになってきてるけど、 Bメロのリムショットが弱くなってる。 リズムはしっかり取れてるから、もう少し自信を持って叩いて
穂波:あ……たしかにそこ、ちょっと自信なかったかも。 ありがとう、志歩ちゃん
志歩:咲希は——
志歩:リズムの変化に指がついていってない。 あのあたり、焦って音が走ることも多いから、 繰り返し指を動かす練習をしたほうがいいよ
咲希:うう……。あそこ、ちょっと苦手なんだよね……
咲希:いっぱい自主練したんだけど、まだダメだったかぁ
志歩:シンセのソロで始まるところは前よりも良くなってるから、 あの感じを崩さないようにって考えるといいかもね
咲希:うん! ええっと、メモメモ……。 ソロの感じを崩さないように……っと
志歩:でも、全員前よりもずいぶんうまくなってきてると思う。 この調子で、ライブ本番まで仕上げていこう
咲希:…………
咲希:(……はぁ、まだ全然練習が足りてないなぁ)
咲希:(入院してるあいだはピアノにもしばらく触れてなかったし、 みんなの足を引っ張っちゃってるかも……)
咲希:(……ううん! 落ちこんでるヒマがあるなら、もっと練習しなくっちゃ……!)

第 3 话:アタシにできること

数日後
レッスンスタジオ
志歩:それじゃ、今日の練習はここまでにしようか
穂波:みんな、お疲れさま
咲希:お疲れさま~! はぁ、あつーい!
一歌:ふふ。今日の咲希は、一段と気合い入ってたね
穂波:うん。咲希ちゃんが張りきってるから、 わたしも楽しく叩けたよ
咲希:えへへ、みんなと演奏するの楽しいんだもん♪
咲希:(……でも、今日の合わせも何カ所か、 みんなより遅れちゃってたなぁ……)
咲希:(やっぱり、もっと練習がんばらないと……!)
志歩:……ねえ、咲希。 ひょっとしてこのあいだの練習のあとも自主練してた?
咲希:え? うん。自主練してたよ
咲希:みんなと一緒に練習できない日も、 なるべくシンセに触るようにしてるんだ。でも、なんで?
志歩:ちょっと疲れてるみたいに見えたから。 体のほうは大丈夫なの?
咲希:うん! ちゃーんと気をつけてるよ♪ 練習する分、バイトの日も少し減らしてるしね
穂波:それならいいけど、無理はしちゃだめだよ? 何かあったらいつでも言ってね
咲希:はーいっ♪ ありがとう、ほなちゃん!
一歌:それで今日は、このあと オリジナル曲のフレーズを発表するんだよね?
志歩:……うん。一応、思いついたフレーズを いくつか持ってきた。みんなは?
一歌:私はふたつ。ちょっと難しかったな……
咲希:はいはーい! アタシもアタシも! 3つ持ってきたよ!
穂波:みんなすごいね……! わたしはひとつしか作れなかったな
志歩:初めてなら、ひとつできれば上出来じゃないかな
咲希:せっかくだし、ミクちゃん達にも聴いてもらいたかったけど……
一歌:うん……。 でも作ったもの聴いてもらうのってちょっと緊張しちゃうから、 スタジオ練習の日でよかったかも
志歩:じゃあ順番に発表していこうか 最初だし、私から弾くよ
穂波:……これで、全員分聴き終わったよね。 えっと……どう思う?
咲希:アタシは、いっちゃんのふたつ目のやつが好きだな~! 途中で短調になるのがかっこいい!
穂波:うん、わたしもかっこいいと思う
一歌:本当? ありがとう
一歌:……でも、実はあんまりしっくりきてないんだ。 どうしてかはわからないけど……
志歩:……ひょっとしたら、要素を詰めこみすぎてるのかも。 やりたいことがたくさんあって、 どれにしようか、選びきれてないような感じ?
一歌:あ、それはあるかも。 参考にいろんな曲聴いてたから、 あれもこれもってなっちゃってた気がする……
穂波:そうだったんだ……
志歩:全体の雰囲気は良かったと思うけどね
一歌:うん……。でも、やっぱり私達が演奏するのなら もっといい曲があるような気がする
咲希:じゃあ、別のフレーズにする?
穂波:別の……。 なら、わたしは志歩ちゃんのひとつ目のフレーズが良かったな
志歩:あれは……。私の好きなアーティストの曲の 影響をすごく受けてるから
志歩:一歌と同じで、Leo/needで やりたい曲なのかなっていうと……
穂波:そっか……
一歌:こうして実際に作って聴いてみると、難しいね
一歌:作ってる時はいいかもって思うんだけど、 みんなで聴いてみると、なんか違うなって思うし
穂波:うん……。どれが正解なのかわからないから、 みんなの作ったものを聴くのも難しいね
咲希:う~ん。考えすぎて、頭がこんがらがってきちゃった……
志歩:多分、私達の中でまだ『こんな曲を演奏したい』っていう イメージが固まりきってないんだと思う
一歌:私達が、演奏したい曲……
穂波:やっぱり難しいね……。曲をゼロから作るのって
一歌:そうだね。 本当に作れるようになるのかな……
咲希:——きっと作れるよ!
咲希:みんなで一緒に考えれば、大丈夫! 最初からうまくできる人はいないって、誰かが言ってたし!
志歩:それ、誰が言ってたの?
咲希:え? それはー……忘れちゃった
穂波:ふふっ……咲希ちゃんってば
志歩:いいこと言うじゃん、って言おうと思ったのに
一歌:でも、咲希らしいね
咲希:えへへ……
志歩:でも、そうだね。 もともと今すぐ作らなきゃいけないものってわけじゃないし
志歩:咲希の言うとおり、すぐにはうまくできないと思うから。 ……根気強く続けていこう
志歩:いつか、私達の曲を作るために
穂波:うん!
スクランブル交差点
咲希:それじゃ、また明日ね~!
咲希:うーん……
咲希:アタシ達のオリジナル曲かあ。 一体どんなのがいいんだろうな~
咲希:(あ、そういえば……)
咲希:あ、そうだ。いっちゃん。 練習中に思いついたメロディーがあるんだけど、聴いてくれない?
一歌:咲希が考えたの? 聴いてみたいな
咲希:ホント? じゃあ聴いててね!
咲希:……こんな感じなんだけど
一歌:へぇ。すごくいいメロディーだね
咲希:ホント? よかった! 昔いっちゃん、歌詞書いてた時あったでしょ? だからアタシもたまにメロディー考えてるんだ!
咲希:(バンドを組んだ最初の頃、 1回だけメロディーを作ってみたことがあったけど……。 その時は、いっちゃんが褒めてくれたんだよね)
咲希:(あの時のフレーズはいい感じだったなあ。 みんなで演奏もできて、嬉しかったし……)
咲希:(……あ。もしかしたらアタシ、 作曲でならみんなの力になれるかも……!?)
咲希:(そうだよ! 演奏ではまだみんなの力になれないから、 オリジナル曲のほうで役に立てばいいんだ!)
咲希:んん~! でも、やっぱりどんな曲を作ればいいんだろ? 悩むよ~
咲希:なんかヒントでもあればいいんだけど……
咲希:あれ? この曲、もしかして……
咲希:やっぱり! このあいだ、STANDOUTがライブでやってた曲だ!
咲希:……すごい。あんなに大きなモニターで……。 曲も、映像もかっこいい……!
咲希:……アタシにも、あんな曲が作れたら……
咲希:あ、そうだ!
音楽ショップ
咲希:(あっ! あったあったー! このCD買っちゃおーっと♪)
志歩:……咲希? 咲希も来てたんだ
咲希:あっ! しほちゃん! しほちゃんも買い物?
志歩:うん。好きなバンドが新曲を出してたから、 そのCDを買いに……
志歩:咲希も買い物? STANDOUTのCDだよね、それ
咲希:うん! えへへ、ちょっと作曲の参考に……
咲希:あっ、ねえねえ! しほちゃんの好きなバンドで、おすすめのアルバムってある?
志歩:え? ……そうだな
志歩:……これとかどうかな。 去年出たベストアルバムなんだけど、 デビュー曲から最新作まで入ってるからいろいろ聴けていいよ
志歩:特に、この3曲目は思い入れがあるんだよね
咲希:そうなの?
志歩:うん、いろいろ悩んでた時期があったんだけど。 その時に何回も聴いて、元気をもらったんだ
咲希:そうだったんだ……!
咲希:じゃあ、これも買っちゃおっと! しほちゃんがそこまで推す曲、聴いてみたいもん♪
志歩:それも作曲の参考にするの? ……ずいぶん熱心だね
咲希:えへへ、せっかくだからいろんな曲を聴いて 勉強しないとなーって!
咲希:……って、もうこんな時間!? バイトに遅刻しちゃう!
咲希:ごめんね、しほちゃん! また明日学校でねー!
志歩:あ、ちょっ……!
志歩:……やっぱり、また頑張りすぎてるんじゃ……
咲希の部屋
咲希:えへへ、とりあえずCD2枚買ってきちゃった。 あとは動画サイトとかでチェックしよ♪
咲希:まずは、STANDOUTの曲から聴いてみようっと!
咲希:やっぱりSTANDOUTの曲って、 勢いがあってかっこいいなぁ……
咲希:ライブでやっても盛り上がりそうだし、 アタシもそういう曲作りたいかも!
咲希:じゃあ、このフレーズは勢いがある感じにして……
咲希:——っと。 よし、とりあえずフレーズひとつできた
咲希:この調子でいろんな曲聴いて、どんどん作っていこーっ!
咲希:ふー。これで6つかあ
咲希:いろんな曲を聴いてると、 どんどんアイディアが出てくるな~
咲希:あと他にいい曲といえば……
咲希:あ! そういえばお兄ちゃん達のショーで聴いた曲、 すっごくいいメロディーだったなあ
咲希:ああいう感じの音楽はバンド向きじゃないかもだけど、 何かの参考になるかも……。よしっ!
咲希の声:お兄ちゃーん! このあいだのショーでお兄ちゃん達が 使ってた曲なんだけどー……

第 4 话:まだ、辿り着けなくて

翌日
教室のセカイ
志歩:今日の練習はここまでにしよう。 みんな、お疲れさま
咲希:ひゃ~っ! もうだめ! 指がつりそうだよ~!
一歌:あはは。咲希のパート、ハードだったもんね
志歩:咲希。腱鞘炎にならないよう、 ちゃんとアイシングしときなよ
咲希:はっ、忘れてた! ありがとう、しほちゃん!
一歌:そっか……。私もやっておこう。 ライブ前にケガでもしたら、大変だしね
咲希:うう~、でももっとたくさん練習しなきゃなのにな~。 冷やしながらだと、指練もできないよ~
志歩:……焦る気持ちはわかるけど、 休む時はちゃんと休むこと。いい?
咲希:う……うん!
咲希:(だけど……。 やっぱりアタシ、まだ下手だし。 これ以上みんなから遅れたくないな……)
咲希:(……あっ、そうだ! みんなの役に立つっていえば……!)
咲希:そういえば、オリジナル曲のことなんだけど——
一歌:あ……ごめん。 実は私、まだ新しいフレーズ作れてないんだ
穂波:わたしも……。 あのあと、帰ってから考えてみたんだけど、 いいのが浮かばなくて……
志歩:……私はひとつできたんだけど、 やっぱりよく聴いてるバンドに似ちゃったな……
一歌:咲希は? 何かいいフレーズ浮かんだ?
咲希:ふっふっふ……
咲希:じゃじゃーん! 見て! たくさん作ってきちゃった!
穂波:……! たくさんって、咲希ちゃん、このルーズリーフの量……
志歩:1、2、3……。 10個も作ってきたの?
咲希:えへへっ。昨日いいアイディアがいっぱい浮かんだから、 全部書いてきたんだ!
穂波:すごいね、咲希ちゃん。 こんなにたくさん……!
一歌:本当。一晩でこんなに作れるなんて……
咲希:ふふん、もっと褒めてくれていいんだよ~♪
志歩:……うん、すごい
志歩:さっそく聴いてみたい。 咲希、弾いてみてくれない?
咲希:うん! 今から演奏するね!
咲希:……と、これが最後かな。 ねえみんな、どうだった?
志歩:…………
穂波:わたしは……どれもおしゃれだし、 素敵なフレーズだって思ったけど……
一歌:……そうだね。 今っぽい感じもして、人気が出そうな感じがする
一歌:でも……
咲希:……でも?
志歩:私も、うまく言えないけど……
志歩:この曲を私達がライブで演奏してる姿が、 あまり想像できないかも
咲希:ライブで演奏してる姿……
穂波:……不思議だね。 音楽番組とかで流れててもおかしくないくらい、 ちゃんとしたメロディーなのに
一歌:うん、すごくかっこいいんだけど……
咲希:うーーーーん! だめかー! 難しいな~!
穂波:ご、ごめんね咲希ちゃん! 全然作れてないのに、偉そうなこと言っちゃって……
志歩:フレーズ自体は良かったと思う。 どれも、ちゃんと考えられて作ってあるのがわかるし
咲希:でも、みんなに納得してもらえなきゃ、 アタシ達の曲って感じにはならないし……うう~……
志歩:……咲希……
志歩:そんなに焦らなくてもいいよ。 オリジナル曲は、今すぐ作らなきゃいけないわけじゃないって 昨日言ったでしょ?
咲希:うん、そうなんだけど……
一歌:でも、咲希が張りきる気持ちもわかるな
一歌:私達の最初のオリジナル曲だし、 やっぱり一番いいものを作りたいもんね
穂波:……うん、そうだね。 頑張ってくれてありがとう、咲希ちゃん
志歩:……じゃあ、次は咲希が作ってくれたフレーズをもとに、 どうしたら私達らしい曲を作れるのか考えてみようか
一歌:そうだね。みんなでいったん持ち帰って考えてみよう
咲希:……うん! アタシも、みんなにビビっとくる曲作れるようにがんばるね!
咲希:(ちょっとだけだけど、 みんなの役に立ててよかった……!)
咲希:(…………でも)
咲希:(……昨日あんなにがんばったのになあ……)
志歩:…………
その日の夜
咲希の部屋
咲希:ふーっ。 ……どうしたらいいんだろ
咲希:……昨日はメロディー中心に考えていったから、 今度はコードから作ってみようかな……
咲希:うん、そうしよ! そうしたらオリジナリティが出るかも!
咲希:よーし、がんばるぞー!
咲希:う~~ん……
咲希:あれから何曲か作ってみたけど、 どれも音がちぐはぐに聴こえちゃう……
咲希:全然うまくいかないなぁ……。 どうやったらもっといい曲になるんだろ?
咲希:結構それっぽいのにはなるんだけど、 ピンってくるかっていうと……
咲希:……作曲なら役に立てるかもしれないって 思ったのになぁ……
志歩:多分、私達の中でまだ『こんな曲を演奏したい』っていう イメージが固まりきってないんだと思う
一歌:私達が、演奏したい曲……
咲希:…………
咲希:……そういえば。 アタシはどんな曲を演奏したいんだろ?
咲希:みんなと一緒にプロになるってことは決めたけど……
咲希:アタシがどんな音楽をやりたいのか、 あんまり考えてなかったような気がするな
咲希:……はあ……
咲希:なんだか、 あんまりうまくいかないな……

第 5 话:今は見守ろう

翌日
宮益坂女子学園 1年C組
咲希:…………むにゃむにゃ。 CとEの……コードが……
志歩のクラスメイト:は~、視聴覚室と教室の往復ってかったるいよね~。 1か所で終わらせてほしいっていうか~
先生:こら! 他のクラスは授業中だぞ。 廊下で騒がないように!
志歩:(……あれ? 咲希……。 机に突っ伏して、寝てる……?)
志歩:(……珍しいな、授業中に咲希が寝てるなんて。 いつもなら、先生の話も楽しそうに聞いてるのに)
志歩:…………
志歩:……じゃあ、次は咲希が作ってくれたフレーズをもとに、 どうしたら私達らしい曲を作れるのか考えてみようか
一歌:そうだね。みんなでいったん持ち帰って考えてみよう
咲希:……うん! アタシも、みんなにビビっとくる曲作れるようにがんばるね!
志歩:(咲希、やっぱり……)
放課後
咲希:よーし、今日もがんばるぞ~! いっちゃん、行こう!
一歌:あ、ごめん。さっき委員会のことで先生に呼ばれて……。 みんなと先に行っててくれる?
咲希:うん、わかった! じゃあアタシ、先に行ってるね!
咲希:ねえ、しほちゃん! いっちゃん、委員会でちょっと遅れるらしいから アタシ達は先に——
志歩:咲希。その前に、ちょっといい?
咲希:え、なになに? どうしたの?
志歩:オリジナル曲のことなんだけど——
咲希:あ、それなら今日もちゃ~んと作ってきたよ!
咲希:まだ、アタシ達にしっくりくる曲がどんななのかわかんないから、 とりあえず作りかたを変えてみたんだ
咲希:でも、そうしたら今度は音が うまくつながらなくなっちゃって……。 やっぱり作曲って、難しいんだねえ……
志歩:……咲希
志歩:曲、頑張って作ってくれてありがとう
志歩:でも——そんなに焦らなくていいよ
咲希:え?
穂波:……あ、咲希ちゃんと志歩ちゃん。 待っててくれたのかな
穂波:でもなんだか……様子がちょっと違うような……?
志歩:咲希が頑張ってくれるのは、私も嬉しい
志歩:でも、オリジナル曲は、どうしても 今すぐ作らなきゃいけないってわけじゃない
咲希:だけど……
志歩:それに、最初から急に思いどおりのものが できるわけじゃないし……
志歩:あんまり頑張りすぎると体も壊すし、 いいものも作れなくなる
志歩:だから焦らないで、もっとゆっくりやらない?
咲希:しほちゃん……
咲希:……そうだね。 アタシ、志歩ちゃんの言うとおり、また焦っちゃってたのかも
咲希:プロになるなら、やっぱりオリジナル曲がなくっちゃ!って 思いすぎちゃってて……
志歩:そっか。それなら……
咲希:でもね、ただ焦ってるだけじゃないんだよ
咲希:アタシ、今、自分のできることに挑戦したいの
志歩:挑戦?
咲希:いっちゃんはストリートライブやって、 歌もギターも、すっごく上手になったでしょ?
咲希:ほなちゃんは、怖いことにも自分から立ち向かっていって……。 どんどん自信を持って演奏できるようになってる
咲希:じゃあアタシは……何ができるんだろうって思ったの
志歩:咲希ができることなんてたくさんあるでしょ。 いつも励ましてくれる咲希がいるから、 私達は前を向けてるんだし……
咲希:えへへ、ありがとうしほちゃん
咲希:でも、嬉しいけど……。 やっぱり、音楽のことでも力になりたい。 自分ができることを増やしていきたいの
咲希:だから、もうちょっとだけがんばらせて! 体のことは、ちゃーんと気をつけるから!
志歩:……咲希……
穂波:…………
一歌:あれ? 穂波、廊下でぼんやりしてどうしたの?
穂波:あっ! 一歌ちゃん!
咲希:あれ? ほなちゃん、いっちゃん! いっちゃん、もう委員会の用事終わったの?
一歌:うん。みんな先に行ってなかったんだね。 先生の話もすぐ終わったから、もう練習行けるよ
志歩:…………
一歌:……志歩? どうかしたの? なんか難しい顔してるけど……
志歩:……ううん。なんでもない。 練習に行こう
穂波:あ………………
宮益坂
一歌:今日も練習、お疲れさま
咲希:お疲れさま! それじゃあ、また明日ね!
穂波:うん、気をつけてね
志歩:じゃあ、また
穂波:あっ……
志歩:…………
穂波:志歩ちゃん!
志歩:……! 穂波?
穂波:よかったあ、追いついて。 一緒に帰ろうと思ったのに、どんどん先に行っちゃうから……
志歩:一緒に?
穂波:うん。志歩ちゃん、これからアルバイトでしょ? よかったら、一緒に途中まで行かない?
志歩:……うん、いいよ
スクランブル交差点
穂波:ライブまであともう少しだけど、 志歩ちゃんから見て、演奏の仕上がりはどう?
志歩:……完璧とは言えないけど、ライブで 聴かせられるくらいにはなってきてると思う。 練習量増やした分、みんな良くなってるから
穂波:そっか……。よかった
穂波:志歩ちゃん、ありがとう。 いつも演奏を見てくれて
志歩:……大したことはしてないでしょ
穂波:そんなことないよ。ほら、このあいだの練習で、 わたしのリムショットの弱さを指摘してくれたでしょ?
穂波:志歩ちゃんに言われるまで全然気づけなかったから、 教えてもらえてとっても助かったよ
志歩:私は、思ったことをそのまま言っただけ
志歩:……穂波はもともと、リズムの取りかたは正確なのに、 どうしても控えめに叩く癖がついてたから
穂波:ちょっとは自信を持って演奏できるようになったかなって 思ってたけど、やっぱりまだまだだね
穂波:——でも、志歩ちゃんがしっかりアドバイスしてくれるおかげで どんどんうまくなれるから、もっと頑張ろうって 気持ちになれるんだよ
穂波:いつもありがとう、志歩ちゃん
志歩:だから、別に大したことはしてないから……
穂波:でも、きっと一歌ちゃんも咲希ちゃんも、 志歩ちゃんのおかげで頑張れてると思うから
志歩:あ…………
穂波:ただ……最近の咲希ちゃんはちょっと心配、だよね。 すごく頑張ってるから
志歩:咲希は…………
志歩:……咲希は、私が無茶させてる
穂波:え……
志歩:オリジナル曲も、ライブの練習も—— プロになるために必要なことだって思って、一生懸命にやってる
志歩:……私の夢が、咲希に無茶させちゃってるんだ……
穂波:…………
穂波:……ううん、それは違うよ志歩ちゃん
志歩:え?
穂波:咲希ちゃんは、ただプロになるために 無茶してるわけじゃないと思う
志歩:え……
穂波:わたし達ね、前に志歩ちゃんが 『プロを目指したいから一緒にはいられない』って話をしたあと、 セカイですごく話しあったんだ
穂波:本当にプロになる覚悟ができるのかな、とか、 音楽とちゃんと向きあえるのかな、とか……
穂波:それで、最後はそれぞれ自分で考えて——、 志歩ちゃんと一緒に、同じ道を進もう、って決めたの
穂波:咲希ちゃんもそう。 自分で『一緒にプロになる』って決めたんだよ
志歩:…………
穂波:だから今は、咲希ちゃんのことを信じて見守らない?
穂波:今はちょっと、無茶しちゃってるかもしれないけど……。 きっと咲希ちゃんは、志歩ちゃんの言うことを ちゃんとわかってくれてるよ
志歩:……穂波……
志歩:……そうだね、ありがとう

第 6 话:きらきら光る道しるべ

休日
教室のセカイ
咲希:♪—————
咲希:……はぁ。これもダメだな……
咲希:やっぱり、音楽のことでも力になりたい。 自分ができることを増やしていきたいの
咲希:だから、もうちょっとだけがんばらせて! 体のことは、ちゃーんと気をつけるから!
咲希:(しほちゃんに、あんなこと言っちゃったけど……。 やっぱり今のアタシには難しいのかな……)
リン:やっほー♪
咲希:リンちゃん!
リン:サッキーは自主練? めちゃめちゃがんばっててえらいじゃーん♪
咲希:あ……うん! ちょっとやりたいことがあって
リン:あっ! ひょっとしてそれ、Leo/needの オリジナル曲ってやつ!?
咲希:うん。そうなんだけど……
咲希:……ちょっと行き詰まっちゃって、 今日はもう、帰ろうかなって思ってたところなんだ
リン:え? そうなんだ?
咲希:うん…………
リン:……ねえサッキー! 帰る前にさ、あたしの演奏聴いてくれないっ!?
咲希:えっ、リンちゃんが演奏してくれるの?
咲希:もちろんいいけど、えーっと……楽器は?
リン:もちろん、サッキーと同じシンセで決まりでしょ! じゃ、いっくよー☆
咲希:う、うん!
リン:……♪——
咲希:……あれ。リンちゃん、歌も歌ってる……?
咲希:(もしかして、即興なのかな……?)
リン:♪————— ♪——……
咲希:……ふふっ
咲希:(メロディーはしっちゃかめっちゃかだし、 突然転調するし、コード進行もばらばらなのに)
咲希:(なのに、なんでだろう)
咲希:(聴いてて楽しいな。 すっごくワクワクする……!)
リン:——えへへっ。どうだった? サッキー!
咲希:すっごく良かったよ、リンちゃん! とーっても楽しかった!
リン:ホント!? やったー! サッキーにそう言ってもらえて、嬉しいな♪
咲希:ねえリンちゃん。 今の曲、リンちゃんが作ったの?
リン:えっ? あたし、曲なんか作ってないよ?
咲希:えっ? じゃあ今の曲って……?
リン:あははっ。今のはただ、歌いたいな~って音に合わせて 弾いてみただけだよ!
咲希:歌いたい、音……?
咲希:じゃ……じゃあさ! 何を思いながら歌ってたのか、教えてくれない?
リン:んー? そうだな……。 べつになーんにも考えてなかったかな♪
咲希:えぇっ!?
リン:ただ、なんだかサッキーが落ちこんでたような気がしたから……
リン:サッキーに笑ってほしいなーって思って歌ったんだ
咲希:アタシに、笑ってほしい……?
リン:あたしは、難しいことはわかんないけど、 自分の気持ちが乗ってないと、演奏しても歌っても、 音がキラキラ~ってしないんだよね
咲希:……自分の気持ち……
咲希:(……あ。そうか……)
咲希:(あんなにめちゃくちゃな曲でもすごくワクワクしたのは、 あの曲に、リンちゃんの想いがこめられてたからなんだ)
咲希:(でも、アタシは……)
咲希:(みんなの役に立てるように、 Leo/needっぽい曲を作りたいなってばっかりで……。 曲にどんな想いをこめるか、まで考えられてなかったかも)
咲希:(……アタシが、本当に曲にこめたい想い)
咲希:(それって、なんなんだろう……?)
リン:サッキー、大丈夫?
咲希:……うん! リンちゃん、ありがとう
咲希:まだどんな曲を作ればいいのかはわかんないけど……。 でも、なんとなく答えが見えてきた気がする!
リン:ほんと!? よかったー!
リン:サッキー、がんばって! サッキーなら絶対、めっちゃイイ曲作れるよっ♪
咲希:うんっ!!

第 7 话:そして、掴んだもの

咲希の部屋
咲希:…………
咲希:(……アタシが曲にこめたい想い。 それって、なんだろう?)
咲希:(……うーん。 改めて考えだすと難しいなぁ……)
咲希:(プロのバンドってすごいな。 演奏がうまいだけじゃなくて、自分達らしい曲まで作れて……)
咲希:(きっとSTANDOUTも、 そういうバンドだからプロになれたんだよね)
咲希:(だからライブでも、お客さん達がすごく盛り上がってて——)
咲希:(でも、アタシ達も……)
咲希:(……あの時、みんなで一緒に 大きなステージに立って、初ライブしたんだよね)
咲希:(なんだか、今思いだすと夢みたい。 急にライブやることになったから、 最初は不安でドキドキしっぱなしだったな)
咲希:(でも……みんなでしほちゃんに想いを伝えなきゃって、 必死だった)
咲希:(ここでがんばって、みんなとずっと一緒にいたい。 一緒にバンドやりたい!って、がむしゃらに演奏して……)
咲希:(そしたら……ライブが、本当にうまくいったんだよね)
咲希:(だから、強い気持ちがあれば、 きっとうまくいくって思ってたけど……)
咲希:(そう思って始めた作曲も……まだちゃんとできてない)
咲希:こんなアタシが曲にこめたい想いって、なんなんだろ……
翌日 昼休み
宮益坂女子学園 1年C組
志歩:——咲希、今大丈夫?
咲希:あ、しほちゃん! 珍しいね~。 うちのクラスまで来るなんて!
志歩:ちょっと、話がしたくて。 ……一歌は委員会?
咲希:うん。最近やること多いみたい
咲希:えっと、話って……やっぱりオリジナル曲のこと?
志歩:それもあるけど……
志歩:……立ち話もなんだし。お昼一緒に食べない? 屋上、あいてるみたいだから
咲希:……うん! アタシもしほちゃんと食べたい! いこいこ!
宮益坂女子学園 屋上
咲希:ごちそうさまー! はー、お腹いっぱい!
志歩:天気もいいし、食べたら眠くなってきた
咲希:あははっ、いいね。 お昼寝しちゃおっか
志歩:それもいいけど、今寝たらほんと起きれなくなりそう
咲希:たしかに!
咲希:あ~、ここにほなちゃんがいてくれたら、 チャイムが鳴る前に起こしてくれるのにー!
志歩:穂波を当てにしすぎ
志歩:……って思ったけど、気持ちはわかるかも
咲希:でしょでしょ?
咲希:……ねえ、志歩ちゃん
咲希:志歩ちゃんは、誰かの心に響く演奏をしたいって 言ってたよね?
咲希:それって、どんな想いを伝えたいとか、 そういうのあったりするの?
志歩:え……
志歩:想い……そうだな
志歩:これまで演奏してきたのは、私が作ったわけじゃないから 私の気持ちが直接入ってるわけじゃないけど……
志歩:——私は、曲にこめられた想いを なるべく正確に伝えたいと思って演奏してる
咲希:……うん
志歩:どんな曲にも、作り手の想いがこめられてる。 私にできるのは、こめられた気持ちを強く引きだして、 聴いてくれる人に伝えることだって……思ってた
咲希:想いを……強く、引きだす……
志歩:でも、今はそれだけじゃないんだ
咲希:えっ?
志歩:今の私には、Leo/needのみんながいる。 ……私と同じ夢を見たいって言ってくれたみんなが
志歩:だから今は、そんな私達だから伝えられる何かを 演奏で誰かに届けられたら、って思ってる
志歩:——具体的にどうすればいいのかは、 まだわからないけどね
咲希:……アタシ達にだから伝えられる何か、か……
咲希:うーん……それって、なんだろうね
志歩:私もずっと考えてるよ。 まだ見つかんないけどね
志歩:でも……なんだかんだで、咲希が一番最初に見つけそう
咲希:えっ? アタシが? そうかな……
志歩:うん。だって咲希は、いつもまっすぐだから
志歩:咲希は、自分のやりたいことをちゃんと見つけて、 そのために頑張れてるでしょ? 私達はずっと、そんな咲希に助けられてきた
志歩:だからきっと、私達の伝えたい想いは 咲希が一番最初に見つけられる気がする
咲希:……しほちゃん……
咲希:(しほちゃんがそう言ってくれるのは嬉しい、けど)
咲希:(本当に……アタシ、見つけられるのかな?)
咲希:(プロを目指していくのに、このままだと みんなの足を引っ張っちゃうかもって不安で……)
咲希:(そんなアタシが、何を——)
志歩:咲希ができることなんてたくさんあるでしょ。 いつも励ましてくれる咲希がいるから、 私達は前を向けてるんだし……
志歩:特に、この3曲目は思い入れがあるんだよね
咲希:そうなの?
志歩:うん、いろいろ悩んでた時期があったんだけど。 その時に何回も聴いて、元気をもらったんだ
咲希:……あ……
志歩:……咲希? どうし……
咲希:わ……わかったーーーー!!
志歩:えっ?
咲希:ありがとう! ありがとう、しほちゃん! アタシ、自分の伝えたい想い、わかったよー!
志歩:あっ……
志歩:……やっといつもの咲希に戻った
教室のセカイ
咲希:リンちゃーーーーん!
リン:わっ! サッキー、どしたの? 練習の時間にはまだ早いんじゃない?
咲希:リンちゃん、アタシわかっちゃった! アタシ達の曲にこめたい気持ち、見つけられたの!
リン:えっ、ホント!?
咲希:うん!
咲希:あのね、アタシ最近ずっと『みんなと一緒にプロになるんだ』って ことばっかり考えてたの
咲希:でも、演奏もなかなかうまくならないし、役に立てるかもって 思った作曲もできないし……ちょっと落ちこんでたんだ
リン:サッキー……
咲希:でもね、しほちゃんが言ってくれたの!
咲希:アタシは自分のやりたいことに、いつもまっすぐで、 みんな、そんなアタシに助けてもらえてたって
咲希:だから、伝えたい想いを一番最初に見つけるのは アタシだって言ってくれたの
咲希:その時ね、アタシ思ったの
咲希:アタシ——Leo/needのみんなのために、曲を作りたいって
咲希:プロになるなら、お客さんの心に響くように作ることが 大事なのかもしれないけど、でも……
咲希:プロを目指してく中で、みんなが不安になっちゃう時でも、 聴けばまたがんばろうって思えるような……。 そんな曲を、最初に作りたいの!
リン:……えへへっ♪
リン:それ、すっごくいいよ! 今のサッキーの想い、心にグッときちゃった!
咲希:リンちゃん……!
リン:あたしもその曲早く聴きたいっ! だからサッキーの曲作り、協力するよ!
咲希:本当に? ありがとう、リンちゃん!
咲希:それじゃ、さっそくシンセ出すね!
咲希:……あ! ここはこんな曲にするといいんじゃない? フンフフ~ン……♪
リン:なるほど~! あ、それならそのあと こんな感じのメロディーを入れると楽しいかもっ!
咲希:あっ、そうか! じゃあこっちは……
ルカ:……ふふ。 咲希、すっかり迷いが晴れたみたいでよかったわ
ミク:うん。リンも咲希の手伝いができて、 すごく楽しそう
MEIKO:よかった。 また一歩、先に進めたみたいだね

第 8 话:伝えたい想い

放課後
教室のセカイ
ミク:みんな、いらっしゃい
穂波:おじゃまします
一歌:よし、今日も練習頑張ろうか
志歩:うん。じゃあさっそく——
咲希:あ、あのね、みんな……!
咲希:今日は練習の前に、アタシが作った曲を聴いてほしいの!
一歌:曲って……オリジナル曲のこと?
咲希:うん……!
咲希:今まで作った中では、一番いいかなって思うんだけど……
志歩:……そっか
リン:あたしも手伝ったんだよ~! キラキラ~ってしてて、すっごくいい曲だった♪
穂波:リンちゃんも……?
ミク:うん。私達もびっくりしちゃった
MEIKO:すっごく張りきってたね、リン
咲希:でも、リンちゃんのおかげでいい曲ができたんだ!
志歩:わかった。じゃあ、聴かせてくれる?
咲希:うん! みんな、聴いててね!
咲希:——♪ —————♪
一歌:あ……
穂波:…………!
志歩:……咲希……!
咲希:——♪ —————♪ ——————♪
咲希:(ずっと、見つかってなかった。 アタシがこのバンドで何ができるのか)
咲希:(演奏も、作曲もうまくできなくて……。 みんなの役に立てないのが、悲しかった)
咲希:(——でも……)
志歩:咲希は、自分のやりたいことをちゃんと見つけて、 そのために頑張れてるでしょ? 私達はずっと、そんな咲希に助けられてきた
志歩:だからきっと、私達の伝えたい想いは 咲希が一番最初に見つけられる気がする
咲希:(——ようやく、見つけた。 これが……この曲で伝えたいアタシの想い)
咲希:(アタシは、この曲でみんなを——!)
一歌:(咲希の気持ちが、メロディーから伝わってくる)
一歌:(いいな……。 このメロディーに、詞をつけてみたい……!)
穂波:(咲希ちゃん……)
志歩:…………
咲希:————♪ ———♪
咲希:……はぁ
咲希:こ、こんな感じなんだけど……どうかな?
一歌:……すごい……!
一歌:すごいよ、咲希! なんだかすごくジーンときて……胸が、ギュっとした
咲希:ほ……本当!?
穂波:わたしも……! 感動しちゃった!
穂波:うまく言えないけど……。 咲希ちゃんの前向きな気持ちが、伝わってくる気がした
ミク:うん。すごく、咲希の想いが詰まってるって感じたよ
ルカ:そうね。聴いていると、 咲希が励ましてくれているように感じたわ
MEIKO:志歩は? どうだった?
志歩:…………
志歩:……正直、まだ詰めは甘いと思います。 なんとなくで作ってるフレーズはあるし、 コード進行がしっくりこない部分もある
咲希:うっ……
一歌:し、志歩……
志歩:——でも
志歩:私達が演奏する曲は、 これしかないって思った
咲希:……っ!
志歩:咲希、ありがとう。 私達の曲を作ってくれて
咲希:しほちゃん……!
一歌:……あ、ねえ。 もう1回弾いてもらってもいい? ギター、ちょっと合わせてみたい
咲希:うん、もちろん! はい、これ今の曲の楽譜!
一歌:ありがとう
一歌:……私、ここのフレーズは こういう風に弾きたいな
一歌:———♪ ————♪
一歌:……えっと、どうかな?
咲希:わあ……!  ギターの音が入ると、本格的に曲って感じがする!
穂波:あっ……じゃあ、わたしからも提案いいかな?
穂波:この部分はあえてドラムを叩かなくていいかなって思ったの。 みんなの音を、じっくり聴いてもらいたいから
穂波:それで、ここで咲希ちゃんのシンセが終わったあとに、 少しずつリズムを刻んでくのはどうかな?
志歩:じゃあ、私はいつもよりポジションを動かしたベースラインに してみようかな
志歩:一歌が高音で歌うなら、ギターは控えめにしたほうがいい。 その分、ベースの低音で引っ張っていきたい
一歌:……いいね。 志歩が引っ張ってくれるんだ
咲希:(……すごい、すごい……!)
咲希:(みんなの意見で、どんどん曲ができてく……!)
志歩:言っておくけど、 大変なのはここからだからね
志歩:コードやリズムの甘い部分を直したら、 全員分の伴奏を作らなきゃいけない。 そのあとは、歌詞もいるんだよ
穂波:歌詞……そっか。 それも話しあわないとね
一歌:わ……
一歌:私に、考えさせてくれない?
穂波:一歌ちゃん……?
一歌:さっき、咲希の演奏と歌を聴いて思ったんだ。 この曲に歌詞をつけたら、どんな歌になるんだろうって
一歌:私も挑戦してみたい。 この曲に合う、私達の言葉を考えてみたい
一歌:……ど、どう、かな? みんな……
穂波:……わたしはいいと思う! 前にこっそり見せてもらった歌詞、とっても素敵だったから
志歩:私も賛成。 ……どう? 咲希
咲希:もちろん、大賛成だよっ!
咲希:前にアタシのメロディーに歌詞をつけてくれたみたいに、 今回もまた、いっちゃんにお願いしたいですっ!
一歌:ありがとう、咲希。 私、頑張るね
ミク:頑張って、一歌。応援してるよ
リン:あたしもあたしも~! フレー! フレー! いっちーサッキーほなっちしほぴょん!
志歩:……リン、しほぴょんは止めてって言ったでしょ
リン:あ、そうだった! ごめんごめん~!
咲希:(……嬉しいな)
咲希:(アタシの想いがちゃんと曲になって、 それがみんなに伝わって、少しずつ曲になっていって——)
咲希:(それって、こんなに嬉しいことなんだね……!)
咲希:よーしっ! これからも曲作り、がんばるぞ~!