活动剧情
Awakening Beat
活动ID:28
第 1 话:4人で一緒に
ライブハウス
MC:勝者は——Vivid BAD SQUADだ!
観客達:よーし! いいぞ、Vivid BAD SQUAD!
観客達:あいつらの歌、レベルアップしてるっつーか……。 新と戦ってからメチャクチャ勢いづいてるな
こはね:今日もすごいチームが多かったからドキドキしたけど、 勝ててよかったね
杏:うん! やったね、こはね!
彰人:つっても、課題はまだまだある。 このあとすぐ反省会するぞ
冬弥:そうだな。 俺も気になった点がいくつかある
杏:それじゃ、うちの店に行こっか!
こはね:うん!
WEEKEND GARAGE
杏:ただいまー!
こはね:こんにちは!
杏の父:おう、帰ったか。 その調子なら、今日のイベントも盛り上げられたみたいだな
杏:うん、バッチリ! 出演者のレベルも高かったから、いい勉強になったしね
杏の父:そいつは何よりだ。 オーダーはいつものでいいか?
彰人:はい。ありがとうございます
冬弥:それじゃあ、早速反省会を始めるとしよう。 まず1曲目だが——
冬弥:……あとは、3曲目のラストだな。 観客の歓声が入るとテンポが早くなりがちだ
杏:あーたしかにそれはあるな。 みんなが盛り上がってくれると、つい走っちゃうんだよね……
彰人:完成度上げるためにも、 最後まできっちり刻んで締めねえとな
こはね:私も後半、走っちゃうことが多いから もっと練習してくるね!
こはね:——あ、それなら、今度ソロで出るイベントで歌う歌と一緒に 練習してみようかな
こはね:あっちの歌も走っちゃうことが多いし……
杏:あ、そのことなんだけど、ちょっといい?
こはね:え? なあに?
杏:こはねさ、今はステージ度胸つけるために、 ひとりでイベント出てるでしょ?
こはね:うん。すごくいい経験になってるよ。 おかげで前みたいに慌てちゃうことも 少なくなってきたし
冬弥:たしかに小豆沢は、観客の反応にもアドリブにも 動じなくなってきたな。 かなり対応力がついていると思う
杏:だよね! 私もそう思うんだ。 だから——
杏:ひとりでイベントに出るのはもうやめて、 その時間もチーム練習とかチームでイベントに出る 時間にしていかない?
こはね:え?
彰人:ま、そうだな。目的のステージ度胸は十分ついたんだ。 こっからは、4人で練度上げていくのに集中したほうがいい
杏:でしょ?
こはね:あ、うん……。 …………
杏:ん? どうしたの?
こはね:えっと……ちょっとだけ心配で……
冬弥:心配?
こはね:うん。私、ステージには慣れてきたけど、 歌はまだまだみんなに追いついてないから、 ひとりでイベントに出るのやめちゃって大丈夫かなって……
杏:もー、こはねは謙虚だなあ
こはね:え?
杏:こはねはよく、『まだ私達に追いついてない』って言うけどさ。 もう十分私達と並んでるよ
杏:だから、安心して!
こはね:あ……。 ありがとう、杏ちゃん
彰人:…………。 ま、こいつの場合はこれが正解だな
冬弥:ああ、そうだな
こはね:——じゃあ、これからは、 4人で練習する時間を増やしていくね
杏:うん! 4人で頑張っていこっ!
こはね:あ、でも、来週のイベントは出てもいいかな? もう出るって約束しちゃったから……
杏:もちろん! あ……そうだ、それなら私達も見に行っていい?
こはね:え?
杏:こはねのステージ、1回見てみたいんだよね。 ほら、どんな感じで歌ってるのか気になるじゃん?
こはね:そんな、恥ずかしいよ……
杏:いいじゃん、いいじゃん! こはねのかっこいいとこ、見せてよ
杏:ってことで、みんなで応援しに行こ!
彰人:みんなで、って……。 オレも行くのかよ
杏:当たり前でしょ。 頑張ってたこはねの集大成を見とかなきゃ
冬弥:俺も賛成だ。 歌うだけではなく、見て学ぶことも必要じゃないか?
彰人:……はあ、わかったよ
彰人:おい、こはね。半端な歌、歌うんじゃねえぞ
こはね:う……。わ、わかった!
こはね:ちょっと恥ずかしいけど……。 みんなにも盛り上がってもらえるように、頑張るね!
こはねの部屋
こはね:♪ ————!
こはね:あっ! ここ、またクセつけて歌っちゃった
こはね:もう1回やろう! 集中して……
こはね:♪ ————!
こはね:……うん。今のはいい感じかも
こはね:(これなら、来週ひとりで出るイベントも大丈夫そう)
こはね:(杏ちゃんにも、杏ちゃん達と同じくらい 歌の実力がついてるって言ってもらえたし、 ……きっと、しっかりできるよね)
こはね:(……ふふ、嬉しいな。 あんなにすごいみんなと 同じくらい歌えてるって言ってもらえて——)
こはね:……でも……
こはね:(……本当に私、みんなと同じくらい歌えてるのかな)
こはね:(前よりは上手になってるって思うけど、 みんなみたいに歌えてるかっていうと……)
こはね:(……ううん。不安になってちゃ駄目だよね)
こはね:(そんな時間があるなら、もっと練習しなくっちゃ……!)
第 2 话:謎の男
イベント当日
小さめのライブハウス
こはね:(今日もお客さん多いなあ……)
こはね:(前よりは慣れてきたけど、 本番前は、やっぱりドキドキしちゃうな)
スタッフA:あ、こはねちゃーん! 今日も出るんだよね、楽しみにしてるよ!
こはね:あ、スタッフさん。 今日もよろしくお願いします
スタッフB:ちょっと聞いたんだけどさ、 こはねちゃん、ソロでイベント出るの今日が最後って本当?
こはね:あ、はい。そのつもりです
スタッフA:え? そうなの?
こはね:はい。チームでイベントに出たり、練習したりする時間を もっと増やしたいなって思って
スタッフA:そっかあ……。そうだよねー。 こはねちゃん達はRAD WEEKENDを超えたいんだもんね
スタッフB:こはねちゃんが、ソロでもぐんぐんうまくなっていくのを見るの 楽しみだったんだけど、そういうことなら仕方ないね
こはね:あ……すみません
スタッフB:ううん、気にしないで! これからはこはねちゃんと Vivid BAD SQUADを応援するからさ!
こはね:……! ありがとうございます!
こはね:あ……! そろそろ時間なので、いってきます!
スタッフA:うん。頑張ってきてね!
スタッフA:……本当、こはねちゃんは謙虚だね。 あんなに歌えてチヤホヤされると大抵の子は天狗になっちゃうのに こはねちゃんは全然調子に乗らないし
スタッフB:だね。 ほんとに、どうしてあんなに謙虚なんだろうね?
杏:よし、到着っ! ちょうど始まるところだね
冬弥:小豆沢の出番はもう少しあとのようだな。 俺達はこの辺りで聴くとするか
MC:一番手は『FLASH』だ! さあ、どんな歌を聴かせてくれるんだ?
ミュージシャン:♪ ————!!
こはね:(始まった……!)
こはね:(やっぱりビビッドストリートの人達って、 歌もパフォーマンスもすごく上手だな)
こはね:(私も、負けないように頑張らなくっちゃ——!)
杏:あ、こはねだ! 頑張れ! こはねー!
MC:さあ次は今大注目の新星! Vivid BAD SQUADよりソロで参戦した——こはねだ!
観客:お! こはねちゃんだ!
観客:あの子、どんどんうまくなっていくから、 見てて飽きないよね
彰人:こはねのヤツ、かなり注目されてるみたいだな
冬弥:ああ。 小豆沢の実力からしてみれば、当然だろうな
謎の男:……Vivid BAD SQUAD……
謎の男:ってことは、あの嬢ちゃんは杏の——
こはね:♪ ————!!
冬弥:……いい入りだ。 落ち着いて滑りだせた
彰人:だな。ひとりでもビビらないで全力だせてるじゃねえか
杏:こはね、最高~っ!!
こはね:♪ ————!!
こはね:はぁ……はぁ……。 ありがとうございました!
こはね:え、えと、私はこれからVivid BAD SQUADとしての 活動を増やしていくので、 ひとりで歌うことはなくなるんですけど……!
こはね:RAD WEEKENDを超えるためにチームで頑張っていくので、 これからもよろしくお願いしますっ!
謎の男:……なるほど。 これが、あの野郎の選んだ道か
謎の男:だが——まだ足りねえな
こはね:……ふぅ。ちゃんと盛り上げられてよかった!
こはね:杏ちゃん達も来てくれてたし、 結果発表の前に、客席のほうに顔を出してみようかな
こはね:えっと杏ちゃん達は……。 ——ひゃっ!?
こはね:ご、ごめんなさい! ぶつかってしまって……
こはね:(わ……! お、大きい男の人……!)
謎の男:ああ、俺が道を塞いじまったみたいだな。 悪かった
こはね:あ、いえ! 私もちゃんと前を見てなくてすみません
謎の男:ん? 嬢ちゃん、さっき歌ってた——
こはね:あ、はい。今日のイベントの出演者の、小豆沢こはねです
謎の男:——そうかそうか! あれはなかなかいい歌だった!
謎の男:嬢ちゃんほど歌えるヤツは、 ここらでもそういないんじゃないか?
こはね:え? いえ、そんなことは……!
謎の男:だが——惜しい
こはね:……え?
謎の男:嬢ちゃん、RAD WEEKENDを超える気なんだろ?
こはね:あ、は、はい!!
謎の男:——なら、まだ足りないな。 もっと視野を広げることだ
こはね:え……
謎の男:じゃあな、嬢ちゃん。 頑張れよ
こはね:あの……ま、待ってください!
謎の男:ん? なんだ?
こはね:た、足りないって、何が足りないんですか?
こはね:あ、えっと……そういうのって、人に聞かないで 自分で探していくものだとは思うんですけど……
こはね:でも私、もっと力をつけたくて……!
謎の男:……そうだな。 嬢ちゃんに足りないものは——
謎の男:自分を見る目、だな
こはね:え?
謎の男:嬢ちゃんはいい歌を歌うが—— まだ、自分と向きあえてないんじゃねえか?
謎の男:……上を目指そうとするのは、いい志だがな
謎の男:嬢ちゃんが自分とまっすぐ向きあえるようになったら、 もっと化けるだろうよ
謎の男:そんなところだ。 じゃあな。頑張れよ、嬢ちゃん
こはね:あっ……!
杏:こはねー! お疲れさま! すっごくいい歌だったよ!
こはね:杏ちゃん……
冬弥:……ん? どうした、元気がないようだが
彰人:何ヘコんでんだ? 今日のイベントは、お前の勝ちで確定だろ
こはね:あ、その……。 ちょっとわからないことがあって……
こはね:……聞いてもらっても、いいかな?
第 3 话:自分と向きあうということ
シブヤの公園
彰人:ったく、何かと思ったら、 客にダメ出しされただけかよ
彰人:そんなのよくあることだろ。 いちいち気にすんな
こはね:そうなんだけど……
冬弥:それで、その人にはどんなことを言われたんだ?
こはね:自分を見る目が足りてない、って……
杏:自分を見る目? それってどういう意味?
こはね:えっと……
杏:自分と向きあえてない、か……。 なるほどね
彰人:まあ、そいつの言ってる意味はわかるな
こはね:え……?
杏:多分だけど……。 こはねは、自分に自信が持ててないんじゃないかな
こはね:自信が……
冬弥:ああ。小豆沢は十分な実力を持っているにも関わらず、 それを自覚できていない
冬弥:そのことを言ったんじゃないだろうか
こはね:あ……
こはね:そう……だね。 私、みんなみたいに堂々としてないし……
彰人:だが、自信が持てないのが 悪いってことはねえ
こはね:え?
彰人:最初オレは、『自信を持ててない』ってのは こはねの大きな弱点だと思ってたが——
彰人:でも今は、そこはむしろ長所だと思う
冬弥:ああ、そうだな。 小豆沢は自信が持てていなくとも、そのせいで歌が揺れたり、 声が思いきり出せていないというわけでもない
冬弥:むしろ小豆沢の、現状に満足せず己を磨こうとする姿勢は、 いいものだと思う
杏:うん、そうだよね
杏:こはねはちゃーんと歌えてるし、 お客さんだって十分わかせられてるから、 そんなに気にしなくても大丈夫だよ
こはね:ありがとう、みんな……
こはね:だけど……どうしてだろう
こはね:あの人が言ってたこと、 間違ってないような気がして……
彰人:なんだ? その客、音楽関係者かなんかだったのか?
こはね:はっきりとはわからないんだけど……。 RAD WEEKENDのことはよく知ってるみたいだったの
杏:そっか……
杏:あ、その人って、どんな見た目だった? この辺りによく来る人っぽかったら、探してみようよ!
杏:もっと詳しく話を聞けるかもしれないし、 こはねの不安も、ちょっとは解消できるかも!
こはね:あ、そっか……! ありがとう、杏ちゃん!
彰人:で、どんなヤツだったんだ?
こはね:えっと——大柄で、ちょっと怖そうな雰囲気だけど、 声が低くてかっこよくって……
こはね:あ、杏ちゃんのお父さんにちょっと似てたかも!
杏:うちの父さんに?
こはね:うん。なんとなくそう思っただけなんだけど
杏:(うちの父さんに似てる人といえば、 ひとり心当たりがあるけど——)
杏:……でも、ここにいるはずないしなぁ
こはね:どうしたの?
杏:あ、ううん。なんでもないよ
杏:じゃあ街のみんなに、こはねが言ってたような人見かけてないか、 聞いてみるよ!
こはね:ありがとう、杏ちゃん! すっごく助かるよ
杏:どういたしまして!
杏:(それにしても……)
杏:(こはねはこんなに歌えるのに、 どうしてまだ自信が持てないんだろ?)
彰人:——よし。 今日の練習はここまでだな
彰人:もうすぐバイトだから、オレは先に帰るぞ
杏:うん、お疲れ! そういえば冬弥も、このあと何かやることあるんだっけ?
冬弥:ああ。図書委員で頼まれた入荷希望書籍の リストアップをする予定だ
こはね:そうなんだ。 ちょっと大変そうだけど、楽しそうだね
冬弥:ああ、やりがいがあるぞ。 小豆沢と白石は、このあとどうするつもりだ?
こはね:私は……もうちょっと練習しようと思う
冬弥:そうか、無理はするなよ
こはね:ありがとう。杏ちゃんは?
杏:……んー、私ももうちょっと練習していこうかな。 一緒にやろ、こはね!
こはね:うん!
彰人:じゃあな。 明日の練習遅れんなよ
杏:わかってるって! じゃあね!
こはね・杏:『♪ ————!』
こはね:……ふぅ。 ちょっとだけ疲れてきちゃったかも……
杏:こはねはイベントに出たあとだしね。 ちょっと休憩しよっか
こはね:うん。じゃあ、WEEKEND GARAGEに行く?
杏:それもいいけど——
杏:ちょっと、あっちのほうで話さない?
第 4 话:自信の持ちかた
crase cafe
杏:こんにちは~!
MEIKO:あら、杏ちゃん、こはねちゃん、いらっしゃい
こはね:あれ? 今日はミクちゃん達はいないんですね
MEIKO:ええ。ミクはフラっと外に行って、 レンとリンはカイトと遊びに行ってるのよ。 そういうわけでいつもより静かだから、のんびりしていってね
杏:あははっ。はーい! じゃ、お言葉に甘えてのんびりさせてもらおっか、こはね
こはね:うん!
MEIKO:注文はいつものでいいかしら?
杏:はい!
MEIKO:オーケー。 じゃあ少し待っててね
杏:ありがとうございます!
杏:そういえば、さっき最後まで感想言えなかったけど……。 今日のイベントほんと良かったよ
杏:こはねが歌い出す前からみんな盛り上がっててさ。 もう、お客さんのハートがっちり掴んでるって感じだった!
こはね:本当?
杏:もちろん! 歌が始まったら、『待ってましたー!』って 感じで会場がわいてたし!
こはね:そうだったんだ。よかったあ
杏:もうね、私も相棒として鼻が高いっていうか?
杏:やっぱりこはねは、私の自慢の相棒だなーって思いました!
こはね:えへへ……照れちゃうな……
杏:——本当に、そうなんだよ?
こはね:え?
杏:こはねは私の自慢の相棒!
杏:でもそれだけじゃなくって——、 彰人も冬弥も、ビビッドストリートのみんなも、 こはねのことすごいってわかってる
杏:その証拠に今日だって、みーんな盛り上がってたでしょ?
杏:誰かにあれこれ言われて、 悩んじゃう気持ちもわかるけどさ
杏:こはねは、もっと自信持っていいんだよ!
こはね:…………うん
こはね:そうだね、杏ちゃんの言うとおりだと思う。 励ましてくれてありがとう
こはね:……あのね杏ちゃん、ひとつ聞いてもいい?
杏:うん! 何?
こはね:自信って——どうやって持てばいいのかな?
杏:……え?
こはね:いっぱい練習しても、『これで大丈夫』って思えなくて……
杏:自信の持ちかたか……
杏:……あんまり考えたことなかったな。 頑張ってたら、自然につくものなのかなって思ってた
杏:うーん……自信って、どうやったらつくんだろうね?
MEIKO:あら、ずいぶん難しい顔してるわね、ふたりとも
こはね:あ、メイコさん
MEIKO:はい、ご注文のカフェオレふたつよ
MEIKO:それと——他にもご注文はあるかしら?
MEIKO:自信の持ちかた……ね
MEIKO:こはねちゃんは、今まで自信を持って 何かをやったことってないの?
こはね:ええと……何かあったかな……
こはね:テストの前も、ちゃんとやりきれたか心配になって、 何度も見返しちゃうし
こはね:パール伯爵のお世話は不安にならないでやれるけど、 自信を持ってやってるかっていうと、ちょっと違うような……
こはね:あ、フェニックスワンダーランドの案内なら——!
こはね:……でもそれも、自信があるっていうより、 好きだから案内したいだけなのかも
杏:じゃあ——小さい頃は? 子供の頃なら自信持ってやってたこと、 1個くらいあるんじゃない?
こはね:小さい頃……
こはね:……もっとないかも。 昔のほうが、なんにも挑戦できてなかったし
こはね:——小学生の頃、友達に、 木登りして遊ぼうって言われたことがあるの
杏:木登り?
こはね:うん。 それで、みんなはどんどん登っていったんだけど……
こはね:私は、登れなかったの。 落っこちちゃったらどうしよう、 登れても下りれなくなったらどうしようって考えちゃって
こはね:みんなはどんどん登っていけるのに、 私は怖くって、木の下に立ってるしかできなくて……
MEIKO:…………
こはね:そういうことがいっぱいあったんだ。 かけっこも、近所の犬を触るのも、 私だけうまくできなかったの
こはね:周りの友達は、『こはねちゃんはできなくても大丈夫だよ』って 言ってくれたんだけど……
こはね:……私、どこかで『みんなみたいにうまくできない』って 思っちゃってるのかな
こはね:みんなのことを、ずっと、 木の下から見上げてるのが私なんだ——って
杏:——そんなことない!
杏:私はこはねのこと、全部はまだわかってないけど……。 でも、こはねの歌はすごいって思ってるよ
杏:だからうまくできない、なんて思わなくていいんだよ
こはね:ありがとう、杏ちゃん
こはね:でもみんなはすごく歌がうまいし、かっこいいから……
こはね:だから私も、みんなみたいにかっこよく 歌えるようになりたいんだ
MEIKO:こはねちゃんは、人のいいところを よく見ているタイプなのね
こはね:え?
MEIKO:そうやって人のいいところをよく見て、 目標にしていくのは素敵なことだと思うわ
MEIKO:でも——たまにはもっと自分に 目を向けてもいいんじゃないかしら?
MEIKO:こはねちゃん自身のいいところにね
こはね:あ……
こはね:それが、自分を見るってことなのかな……
杏:そうだよ、こはね。 こはねは私達みたいに歌えないって言うけどさ
杏:私達だって、こはねみたいには歌えないんだよ
こはね:杏ちゃん……
こはね:ありがとう、杏ちゃん
こはね:まだ、自信を持つってどういう感じなのか、 わからないけど……
こはね:私、自信を持てるように頑張ってみるね!
杏:……うん!
第 5 话:踏み出す勇気
こはねの部屋
こはね:(自信を持つ……)
こはね:(やってみるって言ったけど—— やっぱり、具体的にどうすればいいのかはわからないな)
こはね:(えっと……検索してみようかな。 自信を持つ方法、っと……)
こはね:『自分はできる』と念じてみる?
こはね:そ、そんなことで自信がつくのかな……
こはね:……ううん! なんでもやってみなくちゃ!
こはね:私はできる。 できるできるできる……!
こはね:やっぱり、これだけじゃ無理だよね……
WEEKEND GARAGE
杏:うーーーーーん
杏の父:どうした杏、テーブルの上に突っ伏して
杏:だって全然アイディアが出てこないんだもん!
杏の父:アイディア?
杏:こはねに自信持ってもらいたいなーって思ってさ
杏:でもどうすればいいんだろ? 自信の持ちかたなんて習ったことないし
杏:私も、自信があるなんて思ったことないけど……
杏:でも、ステージで歌う時は 『私が一番会場をわかせてやる!』って 気持ちになるんだよね
杏の父:はは、たしかにお前は昔からそういうやつだったな
杏:父さんだって、ステージに立ってた時、 同じようなこと言ってたじゃん!
杏:……って、もしかしてそれが こはねの言う“自信がある”ってことなのかな?
杏の父:さあな
杏の父:彰人と冬弥には相談してみたのか? 同じチームのメンバーだろう?
杏:あ、たしかに……! ちょっと電話してみよっと!
杏:あ、彰人? ちょっと相談なんだけど——
翌日
こはね:こんにちは
杏:こはね、いらっしゃい! 座って座ってー
彰人:おう、来たか。 そんじゃ、ミーティング始めるぞ
こはね:うん! 今日はなんの話を……
こはね:あ。そのフライヤーって、新しいイベントの?
杏:うん、ちょうどこれの話してたんだ! こはねも見てみてよ
こはね:え、これって……『STAY GOLD』!?
こはね:またあのイベントがあるの?
冬弥:ああ。STAY GOLDは定期的に 開催されているイベントだからな。 また時期がやってきたというわけだ
こはね:またSTAY GOLDが……
こはね:(あ、あれ……なんで……? 練習みたいにうまくいかない……)
こはね:(そっか、こんなに盛り上がると 歓声でみんなの声が聴こえにくくなって……!)
こはね:(どうしよう! このままじゃ……!)
MC:今回の優勝者は——EVER!
MC:最高にエネルギッシュな歌と パフォーマンスだったぜ!
杏・こはね:『…………』
こはね:(……あの時のイベント……)
彰人:今回は、前に優勝したEVERも出る予定だ
彰人:EVERの歌はレベルが高いが、 今のオレ達なら、連中にだって勝てるはずだ
冬弥:それに、今の俺達の実力を測ることができる。 出場するだけでも十分有益だ
杏:あと、彰人達とも話してたんだけど——、 これはチャンスかもしれないって思ってさ
こはね:チャンス?
彰人:オレ達は一度、このイベントでやらかしただろ。 あれのせいで評判も下がったしな
こはね:……うん
彰人:——けど、そのイベントで優勝できたら、 お前もちゃんと自信持てるようになるんじゃねえか
こはね:あ……!
冬弥:俺もそう思う。 やはり成功体験が自信につながるからな
彰人:無理に自信つける必要はねえと思うが——。 お前が気にしてんなら、やってみる価値はあるだろ
杏:だから出てみようって思ったんだけど、どうかな?
こはね:みんな……
こはね:(みんな、私が自信を持てるようにって 考えてくれてるんだ)
こはね:(なら——私が怖がってちゃダメだよね)
こはね:(今度は見上げるだけじゃなくて……。 みんなと一緒に、木の上に登りたい!)
こはね:……うん!
こはね:私、STAY GOLDに出たい!
彰人:よし、じゃあ決まりだな。 申し込みはオレのほうでしておく
冬弥:ああ。任せた、彰人
こはね:(今ならきっと、大丈夫……! あれだけたくさん練習したんだから!)
こはね:(……今度こそ、みんなで勝たなきゃ!)
ストリートのセカイ
杏:と、いうわけで——
杏:STAY GOLDに向けて、みんなでスペシャル特訓しよーう!
リン:いぇーいっ!!
レン:特訓だーっ!!
冬弥:白石、特訓とは特別訓練の略称だ。 スペシャル特訓と言ってしまうと、 特別特別訓練ということに——
杏:あー冬弥! そういうのいいから! 特訓っていうのはこれからすごい練習するぞ!って 気分を上げてくのが大事なんだし!
冬弥:……それはたしかに一理あるな
彰人:そうかあ? まあ……
こはね:絶対勝とう……!
彰人:ガッチガチになってるヤツよりは マシかもしれねえな
冬弥:小豆沢、気合いを入れるのはいいが肩の力は抜いたほうがいい。 余計な力が入る
こはね:あっ、う、うん!
ミク:じゃあ今日は、杏達の歌を聴いて 感想を言えばいいんだね?
杏:うん! いつも聴いてもらってるけど、 今日は特に厳しく言ってもらえると嬉しいな!
ミク:ふふ、任せて
KAITO:いやー楽しみだなあ! 審査員ってワクワクするよね、メイコ!
MEIKO:カイトはなんでも満点つけちゃいそうだけどね
杏:それじゃ、早速やろう! 準備はいい?
こはね:——うん!
第 6 话:リベンジ・マッチを前に
ストリートのセカイ
こはね:♪ ————!
ミク:こはね。 今のソロパート、ラストで音が下がってる
こはね:あ……!
ミク:こはねの声はよくとおるから、小さなミスも目立つよ。 針の穴に糸をとおすくらいの気持ちで集中して
こはね:うん! ありがとう、ミクちゃん!
こはね:♪ ————!
1週間後
こはね:はぁ……はぁ……
冬弥:大丈夫か、小豆沢。 息がきれるなら少し休んだほうが……
こはね:ううん、大丈夫だよ青柳くん。 もう1回あわせよう!
こはね:喉もまだ大丈夫だし、 本当に苦しくなったらちゃんと言うから
彰人:……よし。 そんじゃもう1回だ。頭からいくぞ!
杏:うん! やろう、こはね!
こはね:うんっ!!
こはね:(今度こそ——今度こそ勝たなくちゃ)
こはね:(ただみんなを見上げて追いかけるだけじゃなくて、 実力も、気持ちも、ちゃんとみんなと肩を並べて、 前に進んでいきたいから——)
こはね:(だから勝って……自信を持ちたい!!)
こはね・杏:『♪ ————!』
リン:あ! 今のところぴったりだったよ! ふたりの声がひとつになってた!
レン:うん! 音がきれいにくっついて、 フワーって広がってくみたいだった!
こはね:ほ、本当?
KAITO:ああ! ドキっとするくらい良かったよ!
MEIKO:そうね。今までにない一体感があったわ
ミク:——うん。 一瞬だけど、最高の音だったよ
こはね・杏:『…………!』
彰人:じゃ、同じところもう一度いくぞ! まぐれでできただけじゃ意味ないからな
冬弥:ああ。気を緩めず、ものにしていこう
こはね・杏:『うん!』
イベント当日
『STAY GOLD』会場
こはね:……ふぅ。 もうすぐ本番だね
杏:うん。朝から声出ししたし、準備はバッチリだね
冬弥:……しかし、やはりSTAY GOLDは他のイベントと違うな。 真剣な熱気がある
観客達:お、あれってVivid BAD SQUADか?
彰人:ん?
観客達:まさかまた来るとはな。 前回酷かったから、もうここには出ないと思ってたな
観客達:でも、最近は調子でてきたって聞いたぞ。 あの新を相手に引き分けたっていうし……
観客達:新と? さすがにそれほどじゃなかっただろ。 ……お! EVERが来たぞ!
観客達:やっぱEVERは安定感あるよな。 今回もあいつらが勝つだろ
彰人:……なかなかいい雰囲気だな。 冷めてるほうがわかし甲斐がある
杏:だね! 私達の歌で、思いっきり熱くさせちゃおう!
冬弥:ああ、そうだな
こはね:…………
こはね:(……前はここで私が失敗して、 お客さん達を白けさせちゃったんだよね)
こはね:(もし今回もそんなことになったら……)
観客達:——そういえば、素人っぽい子もいたよな
こはね:っ!
観客達:ああ、いたいた。あれは酷かったな……。 今回はちゃんとまともな歌、歌えんのか?
こはね:…………
こはね:(どうしよう……)
こはね:(こんな気持ちじゃ、また——)
杏:…………
杏:ねえ、こはね
こはね:あ……。どうしたの? 杏ちゃん
杏:ちょっとさ、私につきあってくれない?
こはね:え? つきあう?
杏:本番前に、外で綺麗な空気吸いたいなーって思ってさ 彰人、冬弥、私達ちょっと抜けていい? すぐ戻るから
彰人:始まる前にはちゃんと戻れよ
杏:了解! じゃあこはね、行こう!
こはね:あ、待って杏ちゃん……!
第 7 话:私を信じて
ライブハウス前
こはね:急にどうしたの、杏ちゃん? いつもは開場してからは外に行かないのに……
杏:実は……私、こはねに言いたいことがあるの
こはね:い、言いたいことって……?
杏:こはね——いつもより緊張してるでしょ!
こはね:えっ? あっ、そ、その……!
こはね:……うん
こはね:あんなに練習したんだし、ちゃんと自分を信じて 歌おうって思ってるけど、やっぱり……
杏:だよね。やっぱりそうだと思った。 1回ミスっちゃったイベントだもんね
こはね:……ごめんね、杏ちゃん
こはね:私、前失敗した時、杏ちゃんに頼ってもらえる相棒になるって 言ったのに……
こはね:こんなに頼りなくて……自信も持てなくて……
杏:……うりゃーっ!
こはね:ひゃっ!
杏:わ~! こはねのほっぺ、スベスベのもちもち!
こはね:あ、杏ひゃん、なんでほっへひっふぁうの~!
杏:ふふっ、ごめんごめん! じゃあ今度はこはねの番ね。 はい、どうぞ。引っ張って!
こはね:え? なんで?
杏:ほら、あの時ミスっちゃったのは、私も一緒でしょ?
杏:こはねのこと守らなくちゃって勝手に焦って、 周りが見えなくなって——ダメにしちゃった
杏:だからさ、実は私も緊張してるんだよね
こはね:え……杏ちゃんも緊張するの?
杏:んー、普段は全然しないんだけどね。 今日は気合い入りすぎちゃってるっていうか
杏:だからほら、ちょっとほっぺ引っ張ってくれる? もう表情筋がガチガチになっちゃってさー
こはね:あ……う、うん。 えっと、こんな感じ?
杏:そーそー! こはへ、うまいよ!
こはね:……あははっ! 杏ちゃん、変な顔!
杏:やっと笑ってくれた
こはね:あ……
杏:——私、思うんだ。 こはねの歌は本当にすごいって
杏:こはねの歌を聴くと、ドキドキして、テンションが上がって、 もう今すぐ歌いたい!って気分になるの
杏:その気持ちはね、絶対、絶対に本当
こはね:…………
杏:だから、こはねがまだどうしても不安になっちゃうならさ
杏:今こう言ってる、私のことを信じてよ
こはね:え?
杏:——『小豆沢こはねの歌が本当に好きって言ってる、 白石杏を信じよう!』ってね
杏:自分を信じるのは難しいかもしれないけど、 こはねはいつだって、私のこと、信じてくれてるでしょ?
杏:こはねが信じてくれてる白石杏は、 何があっても、こはねの歌を信じてるから
こはね:杏ちゃん……
杏:……あはは、ちょっとかっこつけすぎたかな?
こはね:……ううん! 全然そんなことない!
こはね:私——杏ちゃんのことなら信じられるよ!
杏:……うんっ! その調子!
冬弥:白石、小豆沢。 そろそろスタンバイだ
彰人:——ちゃんと用意できてんのか?
杏:こはね、どう?
こはね:——大丈夫! 用意できてるよ!
杏:よしっ! それじゃ、行こっか!
ライブハウス店長:——まさかあんたが戻って来るなんてな。 そのうえ、俺の店にまで顔見せてくれるとは思わなかったよ
謎の男:あの夜、一緒に歌ったんだ。 戻ってきたら顔出すくらいは当然だろ?
ライブハウス店長:ハハ、嬉しいこと言ってくれるね。 ——ああそうだ、まだ時間あるなら、 うちのイベントを見ていかないか?
謎の男:イベント? ああ、STAY GOLDをやってるのか。懐かしいな
ライブハウス店長:おう、EVERの連中もいるぞ。 それに最近は結構気合いの入った若い連中が多いんだ。 あのチームとかな
MC:——続いては、リベンジなるか! Vivid BAD SQUADの登場だ!
謎の男:あれは——
こはね:——大丈夫。落ち着いて
こはね:(みんなと、まだ肩を並べて歌えてるのかわからない。 まだ、自分に自信も持ててない、と思う)
こはね:(でも……)
こはね:(杏ちゃんが、好きだって言ってくれた。 私のことを信じてるって言ってくれた——)
こはね:(だから、きっと……歌える!)
こはね:(今までの中で、一番——!)
杏:よーし! それじゃパーッと盛り上げよっか!
彰人:おう、今日イチわかせてやるぞ!
冬弥:ああ。準備は十分すぎるほどできている。 いくぞ
こはね:——うんっ!!
杏:(オッケー! 出だしバッチリ! みんなしっかり息あってるよ!)
冬弥:(今の一発でオーディエンスを掴めたな。 ここからは彰人と白石のターンか)
彰人:(ギアはゆっくり上げてくぞ。 溜めて溜めて、サビで思いっきりわかせてやる)
こはね:(あと少しだけ我慢して————今っ!)
こはね・杏:『♪ ————! ————!』
彰人・冬弥:『♪ ————! ————!』
杏:(こはね、ナイス! ハモり完璧!)
冬弥:(次は——小豆沢のソロだ)
彰人:(よし! このままぶちかませ!)
杏:(こはね、いけるよ!)
こはね:(大丈夫……!)
こはね:(私は————歌える!!)
こはね:♪ ————————っ!!
杏:…………っ!?
第 8 话:みんなの隣で
謎の男:あの歌声は——
こはね:————! ——————!!
観客達:すげえ……! あの子、あんな歌えたのか!?
観客達:この前とは全然違うぞ!?
こはね:(もっと……!)
こはね:(もっと、もっといける——!!)
こはね:————! ————~~~!!
彰人:……っ!
冬弥:(一瞬で、空気が——)
杏:(今の——こはねが?)
杏:(いつものこはねじゃないみたい。 もしかして、覚悟が決まったから……?)
杏:(それだけで、こんなに変わるの……?)
こはね:——! ————!
杏:……これが、こはねの……
彰人:(……杏、呑まれるな! 次はお前だぞ!)
杏:(あ——う、うん!)
杏:♪ ————! ————!
全員:『♪ ————————!』
こはね:はぁ……はぁ……
こはね:あれ……? もう、終わったの……?
こはね:あ……なんだか、足が震えてきちゃった……
杏:こは…………っ……
杏:(…………あ、あれ……?)
杏:(こはね、すごいねって—— あんなすごい歌、歌えたんだって言いたいのに……)
杏:(どうして? うまく言葉が出てこない——)
冬弥:(これが……小豆沢の本当の実力なのか)
冬弥:(正直、隣で聴いていたのに、いまだに信じられない。 あんな歌、小豆沢は今まで一度も……)
彰人:(……オレ達は、勘違いしていたのかもしれねえな)
彰人:(オレ達が思う以上に、こはねの力は——)
こはね:え、っと……みんな、どうしたの?
杏:あ……えっと、私も終わったって思ったら安心しちゃって。 力が抜けちゃったんだよ
こはね:あ……そうだったんだ
こはね:よかった……
こはね:気づいたら終わっちゃってたし、 みんな黙ってるから……。 私、何かしちゃったのかって思っちゃった
MCの声:——奇跡を見せたVivid BAD SQUAD! さあここで前回の優勝チームEVERは、 どんな歌を聴かせてくれるんだ!?
こはね:あ、もうすぐEVERの人達が歌うみたいだね
冬弥:……そうだな。 彰人、客席に行くか
彰人:……お、おう
こはね:行こう、杏ちゃん!
杏:…………うん
EVERリーダー:♪ ————! ————!
観客達:さすがEVERだな。 相変わらず聴かせてくれる
観客達:……にしても、さっきのVivid BAD SQUADは すごかったよな
観客達:だね! 私、あの子の声聴いたとたん鳥肌立っちゃったもん!
観客達:あの子、一体何者なんだ?
謎の男:——“空気”が残ったままだな
謎の男:客が全員、もうステージにいない連中のことを 考えてやがる
ライブハウス店長:実力がついてきたとはいえ、全部持っていかれるとはな……。 EVERも場の空気を変える力はかなりのものなんだが
ライブハウス店長:……にしても、たしかにあの子はすごかったな。 俺も一瞬ゾクっとしたぞ
ライブハウス店長:あいつらはRAD WEEKENDを超えるのが目標だと 聞いてたが——こりゃ、超えられちまうかもしれないな?
謎の男:ああ。可能性は十分あるだろうな
謎の男:だが——今の力を自分のものにするには、 まだ時間が必要そうだ
WEEKEND GARAGE
杏:——というわけで、STAY GOLD優勝に、カンパーイ!
こはね:乾杯!
杏:今日は最高だったね! みんな盛り上がってくれたし!
杏:あ、今日はお祝いにうちの父さんのスペシャルカレーだよ! すっごく美味しいからたくさん食べてね♪
こはね:うんっ! じゃあ、いただきます
冬弥:いただきます
彰人:いただきます、謙さん
杏の父:おう。今日は祝勝会だろ? おかわりもあるから、たくさん食え
杏:ありがと、父さん! ……んー! おいしいー!
こはね:あ、杏ちゃん。そんなに勢いよく食べると、 喉につまっちゃうんじゃない?
杏:え? あ、そうかな? えへへ……
冬弥:それにしても、今日の小豆沢はすごかったな
彰人:ああ、お前があんな歌を歌うとはな
こはね:自分でも、あんまり覚えてないんだけど……。 ちゃんと歌えてたならよかった
杏:…………
こはね:杏ちゃん?
杏:ううん、なんでもない!
杏:ねえねえ、こはね! カレーも美味しいけど、 こっちのマッシュポテトも美味しいから食べてみて!
こはね:……ん、本当だ。 これ、とっても美味しいね、杏ちゃん!
杏:でしょー!? 私も大好きなんだよね!
杏:あ、父さん、カレーおかわりー!
杏の父:悪いが、おかわりはセルフサービスだ。 こっちは掃除をしてるんでな
杏:えー、父さんのケチー
こはね:あ、私もおかわりしたいから、一緒に行かない?
杏:本当? じゃあカウンターに行こっか!
杏:うん。ご飯はこれくらいかな。 ルーはじゃがいもたっぷり入れて……っと
こはね:……杏ちゃん、ありがとう
杏:え?
こはね:私、今日、ちゃんと胸を張って歌えたの
こはね:杏ちゃんが信じてくれるって言ってくれたから、 私は大丈夫って思えたの
こはね:だから——本当にありがとう!
杏:こはね……
杏:(……なんでだろう)
杏:(さっきのイベント、こはねがいつも以上に すごく歌えるようになって、嬉しかった)
杏:(今まで一緒に歌ってきて……一番ドキドキした)
杏:(でも……どうして……)
杏:(胸の奥が——ざわざわする)
こはね:杏ちゃん……?
杏:あ……っ! ごめん、なんでもない!
杏:——こはね。 こはねが胸を張って歌えたのは、こはね自身が頑張ったからだよ
杏:よく頑張ったね、こはね!
こはね:杏ちゃん……
杏:(この気持ちが何かはわかんない。 わかんないけど……)
杏:(こはねが喜んでる顔を見るのは、すっごく嬉しい。 それは、絶対に……絶対に間違いない。 間違いないはず、だから——)
こはね:私、これからも頑張るね! 絶対、一緒にRAD WEEKENDを超えようね!
杏:うん! もちろんだよ!
杏:そのためにも——いっぱい食べて、いっぱい体力つけなきゃね! カレー、こはねも大盛りにしてあげる!
こはね:えっ? そ、そんなには食べられないよ~!
杏:あはは、冗談冗談! はい、こはねの分。 それじゃあ戻ろっか
こはね:うん!
彰人:……?