活动剧情

夏祭り、鳴り響く音は

活动ID:29

第 1 话:挫折の記憶

数年前
審判:4対0で、シブヤダイヤモンズSCの勝ち!
小学生の彰人:あざっした!
小学生の彰人:おい、翔太。お前後半バテてただろ。 もう少しスタミナつけるトレーニングしろよ
翔太:ご、ごめん! もっと走りこみしてくるよ
小学生の彰人:ったく……
翔太:彰人くんは、最後のシュートすごかったね! さすがエース!
小学生の彰人:これくらい当然だろ。 つーか、点がとれねえエースなんてチームにいる意味ねえし
翔太:あはは、彰人くんらしいね
小学生の彰人:とにかく、やるからには優勝だろ。 次も絶対勝つぞ
翔太:うん! でも、次のチームって、いつも優勝争いしてる すごく強いところだよね……大丈夫かなぁ?
小学生の彰人:バカ、そんな弱気でどうすんだよ。 どんなチーム相手でも勝つって思わなきゃ勝てねえぞ!
翔太:ご、ごめん!
小学生の彰人:…………
小学生の彰人:……まあ、なんかあったらすぐパス回せよ。 オレが点入れてやるからさ
翔太:あ……
翔太:(彰人くん、ちょっと怖いけど……。 すごく頼りになるし、実は優しいんだよなぁ)
翔太:ありがとう、彰人くん……! 次の大会、絶対優勝しようね!
小学生の彰人:ああ、どんな強豪もオレが倒してやる!
大会前日
翔太:お疲れさまでした!
翔太:(よし、明日は大会だ。 ミスしないように頑張らなきゃ……!)
翔太:……ん、あれは……
翔太:彰人くん? もう練習終わってるのに……
小学生の彰人:はぁ、はぁ……
翔太:彰人くん、お疲れ!
小学生の彰人:あ? ああ、まだいたのかよ
翔太:彰人くんだってそうじゃないか。 練習、まだやってくの?
小学生の彰人:おう。明日当たるところはかなり実力あるからな
小学生の彰人:6年最後の試合だろ。 やれることは全部やりてえんだよ
翔太:……やっぱり彰人くんは、うちのエースだね! すごくカッコイイよ!
小学生の彰人:いちいち大げさなんだよ。 半端なマネはしたくねえだけだ
翔太:そっか……
翔太:ねえ、おれも一緒に練習していいかな?
小学生の彰人:はあ?
翔太:おれも、やれることはやっておきたいんだ!
小学生の彰人:……お前……
小学生の彰人:途中でバテんなよ
大会当日 準々決勝
小学生の彰人:よし、この試合で勝てば準決勝進出だな!
翔太:相手チームのメンバーは、有名なジュニアユースから スカウトされてるような子達ばっかりらしいけど……。 でも、ここまできたなら勝ちたいな!
小学生の彰人:当たり前だ。絶対に勝つぞ!
対戦チームの選手A:よし、だいぶ点とれたな。 このままいけばいけるぞ!
対戦チームの選手B:だからって気を緩めるなよ
小学生の彰人:くそっ、もう3点差かよ!
小学生の彰人:(さっきからディフェンスはがされて、 裏取られてばっかりだ……!)
小学生の彰人:(このままじゃ、ここで負ける……!)
チームメイト達:やっぱ優勝候補は違うな……
チームメイト達:実力差がありすぎるよね……。 このまま負けちゃうのかな
小学生の彰人:っ……!
小学生の彰人:おい、諦めていいのかよ! 今まで、優勝するって決めてやってきたんだろ!?
翔太:彰人くん……
小学生の彰人:次、オレにボールをつなげろ。 絶対点入れてやる
小学生の彰人:いいか、最後まで諦めんな! 走って、走って——食らいつけ!
翔太:よし、絶対に負けないぞ……! まずは1点……!
翔太:(だ、だけど……)
翔太:(うっ、ディフェンスが厚すぎて ボールをうまくつなげない……っ)
小学生の彰人:ハァ、ハァ……ッ!
翔太:(彰人くん、すごい……! 相手のマークをうまく外してる!)
小学生の彰人:…………ッ!
翔太:(おれが、このボールをつながなきゃ……っ)
小学生の彰人:——こっちだ!!
翔太:っ、彰人くん……!
小学生の彰人:よっし、1点取ったぞ!
翔太:や、やった……!
チームメイト:すげえ、あそこまでディフェンスされてんのに点取るなんて……!
小学生の彰人:おい、これで満足してんじゃねえだろうな
小学生の彰人:まだだ、オレらはこの試合で勝って、優勝するんだろ! このまま点取ってくぞ!!
チームメイト達:『おう!!』
対戦チームの選手達:……1点取られたか
対戦チームの選手達:さっきのやつ、結構いいセンスしてたな。 一瞬、動きについていけなかった
対戦チームの選手達:だけど——もう点は取らせねえ。 気を引き締めていくぞ!
審判:武蔵野イースト、ゴール!!
観客達:うお、また点入れやがった! これで3点差か!?
観客達:シブヤダイヤモンズ、ずいぶん離されちゃったね……。 残り時間も5分切ってるし、大丈夫かな……
小学生の彰人:くそ、マジかよ……!
翔太:すごい勢いが出てきたね……。 ボールにも触らせてもらえないや
小学生の彰人:まだ時間はある!! 最後まで諦めんな!
翔太:う、うん……っ
小学生の彰人:(クソ、クソッ……! 全然追いつけねえ……!!)
小学生の彰人:(優勝するためにやってきたのに……! ここで終わっていいわけねえのに!)
小学生の彰人:クソッ……!!
審判:5対1で、武蔵野イーストの勝利!
対戦チームの選手達:ありがとうございました!!
小学生の彰人:ありがとうございました……!
小学生の彰人:……ちくしょう、ボロ負けじゃねえか……!
小学生の彰人:なんで勝てねえんだよ!! ここまで必死で、本気でやってんのに……!
チームメイト達:——やっぱりおれ達じゃ勝てるわけないよな
小学生の彰人:なっ……!
小学生の彰人:お前ら……! そんな気持ちでやってるから、 勝てるもんも勝てなくなっちまうんだよ!
チームメイト達:いや、無理だって! だいたい武蔵野イーストのやつらって、 家族と離れて、専門の寮入ってサッカーやってるんだろ?
小学生の彰人:え……
チームメイト達:それこそ、学校終わったらずっと練習してるんだってね。 ボールに触ってない時間はないらしいし
チームメイト達:本気でプロになるために、朝から晩までサッカーしてんだもんな。 遊んでる時間なんて1分もないだろ、あいつら
小学生の彰人:…………!
小学生の彰人:(オレだって、半端な気持ちでやってたつもりはねえ。 ねえけど……)
小学生の彰人:(家出て、朝から晩まで、自由な時間も全部使って……。 そこまでしてサッカーするなんて、考えたこともなかった)
小学生の彰人:(本気でやってたつもりだったのに、オレは——)
チームメイト達:そんな覚悟決まってるやつらに、 おれ達が敵うわけないよな……
小学生の彰人:…………ッ!
住宅街
翔太:今回は残念だったね。 6年最後の公式試合だったから、勝ちたかったけど……。 でも強豪相手に1点取れたし……十分やれたほうじゃないかな
小学生の彰人:…………
翔太:ねえ、彰人くんは中学に上がってもサッカーやるよね? また同じチームに入ろうよ!
小学生の彰人:オレは——やめる
翔太:えっ!? な、なんで……!
小学生の彰人:今日、あいつらと戦って思った
小学生の彰人:オレは、あいつらと同じくらい、 本気でサッカーできてんのかって
小学生の彰人:それで……これから先、あいつら以上に 必死にやれんのかって考えたら——
小学生の彰人:…………わからなくなった
翔太:彰人くん……
小学生の彰人:……ダセえよな。 半端なマネはしたくねえって言ってたくせに
小学生の彰人:……こうやって悩んでる時点で、 本気になれてねえって証拠だ
小学生の彰人:だから……やめる
翔太:そんな——
翔太:おれは、彰人くんは誰よりも本気だったと思うよ! 今日の相手はたしかにすごかったけど、 でも、おれ達の中では一番——
小学生の彰人:ありがとな、翔太
小学生の彰人:けど、それじゃダメだ
小学生の彰人:それだけじゃ……オレが納得できねえ
翔太:彰人くん……
小学生の彰人:情けねえエースで悪かった。 ……じゃあな
翔太:ま、待って! やめないでよ、彰人くん……!
ライブハウス
彰人:♪ ————! ————!
冬弥:——♪ ——♪
彰人・冬弥:『♪ ————!』
???:まさか、こんなところで会えるなんて……!
???:彰人くん達なら、イベントを盛り上げてくれるかも——

第 2 话:夏祭りへの招待

ライブハウス
MC:……これは、判定の必要もなさそうだな。 優勝は、BAD DOGS! 最高の歌だったぜ!
観客達:お前ら、もう1回歌ってくれよ! こっちはまだまだ聴き足りねえぞ!
観客達:そうだそうだ!
MC:おーっと、こりゃ予想外の展開だな。 BAD DOGSのふたりはどうだ?
彰人:いいんじゃねえか。 オレもちょうど歌い足りねえなって思ってたところだ
冬弥:ああ、俺も問題ない。 時間の許す限り歌おう
MC:オーケー、 そんじゃBAD DOGS、もう1曲頼んだぜ!
神山通り
レン:『ふたりとも、今日のライブすごかったねー! 会場が歓声で揺れてたよー!』
彰人:たしかに盛り上がったが……こんなんで調子に乗ってられねえよ
冬弥:そうだな。 もう少し改善の余地はありそうだ
レン:『ええー、そうなの!? でも、ふたりだって 少しくらい遊んだっていいんじゃない? しばらく練習は休みなんでしょ?』
レン:『杏は家の用事でしばらくいないし、 こはねだって臨海学校に行ってるんだし、 ふたりだって少しは遊んでも……』
彰人:あいつらは自分の都合で練習休んでるわけじゃねえからな。 それに、こっち戻ってきたらすぐ練習に合流するっつってたし
冬弥:ああ。小豆沢達がいないからといって、 俺達が気を抜くわけにはいかないからな
レン:『すごいなあ……ふたりとも。 オレもがんばらないと』
???:あ、あの……! 君、東雲彰人くんだよね?
冬弥:レン、悪いが隠れてくれるか?
レン:『わかった!』
彰人:お前は——
???:覚えてるかな。 俺、小学校のサッカーチームで一緒だった林翔太だよ
彰人:あ……
小学生の彰人:情けねえエースで悪かった。 ……じゃあな
翔太:ま、待って! やめないでよ、彰人くん……!
冬弥:彰人?
彰人:……覚えてる。久しぶりだな
翔太:元気そうでよかった! 彰人くんがサッカーやめてから、全然話せてなかったから
彰人:……で、用件はなんだ?
翔太:あ……えっと、実はさっき、イベントで彰人くん達を見かけてさ。 ふたりの歌を聴いて、ちょっと頼みたいことがあって……
彰人:は? 頼みたいこと?
翔太:うん! ふたりに、夏祭りのライブイベントに出てほしいんだ
冬弥:夏祭りのライブイベント?
翔太:祭り自体は『シブヤ夏祭り』っていうんだ。 毎年アーティストを呼んでライブイベントをやってるんだけど……
彰人:ああ、あの祭りか。 毎回プロ部門とアマチュア部門にわけてライブやってるよな
翔太:そうそう、よく知ってるね! 俺、今年からその祭りの実行委員をやることになったんだ
彰人:お前が? なんでまた……
翔太:兄貴が実行委員やっててさ。 人手が足りないからって誘われたんだ。 それで、ライブイベントの担当になったんだけど……
翔太:アマチュア部門のほうでトリを務めるはずだったユニットが、 急遽出れなくなっちゃって……
彰人:その代わりを探して、さっきのイベントを見に来てたってことか
翔太:うん! まさか彰人くんが出てるとは思わなかったけど……。 でも、さっきの歌だってすごかったし、きっとふたりの歌を 聴いたら、お客さん達も喜んでくれると思う!
翔太:だからふたりに、ライブイベントに出てほしいんだ! お願いします……!
冬弥:なるほど……。 ちなみに、他にはどんなユニットが出るんだ?
翔太:あ、うん! これが出演するユニット一覧だよ
彰人:おう。……って、これどのユニットも ダンスを主軸にしてるヤツらじゃねえか
翔太:うん、今回のアマチュア部門は、 ダンスもできるユニットに出てもらってるんだ
冬弥:イベントを見てもらったならわかると思うが、 俺達は歌がメインで、ダンスは主軸にしていない
冬弥:申し訳ないが……、俺達は そのイベントのコンセプトに合わないんじゃないか?
彰人:だな。見にきてる客もそういうパフォーマンスを求めてるだろうし
翔太:そう思う気持ちはわかるよ……! でも、今回のトリだったユニットはダンスじゃなくて 歌をメインに活動しているところだったんだ
翔太:アマチュア部門の最後——つまり、トリが終わったら プロのアーティストのライブが始まるからね
翔太:最後は歌唱力のあるユニットのパフォーマンスで 締めたいって思ってるんだ!
冬弥:なるほど……
翔太:ど、どうかな? ふたりだったら、十分トリに相応しいと思うんだけど……
彰人:…………
冬弥:彰人、俺は参加してもいいと思っている
冬弥:声をかけてくれた意図も理解したし、 歌で評価してもらえたのは素直に嬉しい。 俺達の歌が求められているのなら、やりたい
冬弥:ちょうど夏祭りライブのあたりは イベントも入っていないからな
彰人:……まあ、そうだな
翔太:それじゃあ……!
彰人:けど、やっぱダンスユニットにまざる以上、 いつもよりダンスのパフォーマンスを組みこまねえとだろ
彰人:ライブイベントまでまだ余裕あるとはいえ、 そこまで練度上げられんのか?
翔太:え、でも大丈夫だよ! 彰人くん達は、普段と同じスタイルでやってもらえれば——
彰人:ダンスユニットが集まってるって 期待して見に来てる客がいんのに、 そんな半端なことできるかよ
冬弥:……そうだな、彰人の言うとおりだ
冬弥:だが、ダンス練習に充てる時間を増やせば、 いつも以上のパフォーマンスができるんじゃないか?
冬弥:その分、歌の練習はあまりできなくなるが—— たまには新しいことを取り入れてみるのも、 俺達の力になるかもしれない
彰人:…………
彰人:(たしかに、歌以外ってとこもそうだが……。 普段とは違う場所でやんのもいいかもしれねえな)
彰人:(それに——)
彰人:……わかった。そのイベント、出てやるよ
翔太:えっ、本当!? ありがとう、助かるよ……!
彰人:ま、オレ達にとってもメリットのある話だしな
彰人:だが、やるからには半端なマネはしねえ。 歌もダンスもこなして、トリを務めあげてやる
翔太:……やっぱり、彰人くんは頼もしいな。 あの時から全然変わってないや
翔太:ありがとう、俺もサポートできることがあれば なんでもやるから言ってね!
彰人:おう、とりあえず詳細決まったらあとで連絡しろよ
彰人:まさか、夏祭りのイベントに出ることになるとはな……
冬弥:ああ、楽しみだな
彰人:楽しみ? 冬弥、お前……
冬弥:いや、さっき言った気持ちは本当だ。 これからの糧にするために、イベントには全力を尽くす
冬弥:だが、夏祭りに行くのは初めてだからな。 どんな雰囲気なのか興味がある
彰人:…………はあ。ま、いいけどよ
レン:『ねえねえ、もう出てきてもいいー?』
冬弥:ああ、もう大丈夫だ
彰人:急に悪かったな、レン
レン:『ううん、いいよ! それより、ふたりとも夏祭りに行くんでしょ? いいなあー、オレも遊びに行っていい?』
彰人:かまわねえけど、遊びに行くわけじゃねえからな
レン:『わかってるって!』
レン:『でさ、さっき話を聞いちゃったんだけど、 これからダンス練習を強化するの?』
彰人:まあな
レン:『じゃあさ、オレも練習まぜてくれない? 新しいくつをもらったんだよね』
レン:『すっごく履き心地がいいから、 オレのダンスシューズにしようと思ってるんだ!』
彰人:ダンスシューズ?
レン:『うん、難しいステップとか踊る時は いいくつを履いたほうがいいんだって!』
レン:『ほら、これだよ!』
冬弥:なるほど、かっこいいな
レン:『でしょでしょ! 前に履いてたやつが古くなったって言ったら、 カイトがかっこいいのをくれてさ!』
彰人:そういうことか
冬弥:じゃあ、練習する時はセカイでやろう
彰人:それより……ダンスシューズか
彰人:あんま気にしたことなかったけど、 普段履いてるヤツとなんか違うのか?
冬弥:俺も以前調べたことがあるが、 バレエシューズのように くつ自体に何か特別な要素があるわけではないらしい
冬弥:だが、軽さや機能性で自分に合うくつを選定しておくと、 踊る時に、激しい動きや特殊なステップを 踏みやすくなるみたいだ
彰人:へえ……
冬弥:今までのくつでも支障はないと思うが、 パフォーマンスのレベルを上げるのであれば 持っていてもいいかもしれないな
彰人:そうだな……。 レンじゃねえけど、かっこいいくつだと それだけでテンション上がるしな
彰人:練習終わったら見に行ってみるか
レン:『やったー! ふたりとも、買ったら見せてよ? 楽しみに待ってるからね』
宮益坂
絵名:じゃ、ここで解散にしよっか
瑞希:絵名、打ち上げの企画してくれてありがとね。 おかげで楽しかったよー
絵名:楽しかったならいいけど。 次は瑞希が幹事してよね
瑞希:あはは、時間があったらね~
絵名:もう……
絵名:(やっぱり、なんか距離感じるなぁ……。 いつもだったら自分が打ち上げやるって言い出すくせに、 今回も私がやるって言うまで黙ってたし……)
絵名:(しばらく様子見するって決めたけど……)
まふゆ:じゃあ私、もう帰るね
絵名:あ……うん、またね
瑞希:ばいばーい!
奏:わたしも、駅のほうのCDショップに行きたいんだった。 まふゆ、途中まで一緒に——
まふゆ:…………
奏:どうしたの?
まふゆ:……通れない。 こっちの道、工事で通行止めだって
奏:……え?
絵名:うそ、この先の大通りまで通行止めなの? 私も帰りかた変えないと……
瑞希:じゃあ少し遠回りになるけど、向こうの公園のほうから帰ろうよ。 そこを突っ切れば、駅までまっすぐ行けるよ
絵名:暑いしめんどくさいけど、仕方ないか……
瑞希:どうせ、絵名も奏も運動不足でしょ? ちょうどいいじゃん
絵名:瑞希だってそこまで変わんないでしょ? 自分だけ健康ぶらないでよね
瑞希:はいはい。 それじゃ、行こっか!

第 3 话:お前も行くのかよ

神社の境内
瑞希:とうちゃーく! ここを通れば、駅までまっすぐ帰れるよ
絵名:こんな近道があったなんて、全然知らなかった……!
まふゆ:よくこの道知ってたね
瑞希:えへへ、前にこの辺りをフラフラ歩いてたら、 偶然見つけたんだよねー
奏:ありがとう、瑞希。 助かったよ
瑞希:どういたしまして!
奏:……ねえ、あれってなんだろう? なにか準備してるみたいだけど……
まふゆ:看板に、シブヤ夏祭りって書いてある
絵名:シブヤ夏祭りかー。 中学生の頃に一度行ったっけ
絵名:屋台もたくさん出るし、ライブイベントもあるから、 結構盛り上がってた記憶があるけど
瑞希:へえ、ライブイベントかー。 どんな人が来るんだろ?
絵名:スマホで調べたら出てくるんじゃない? ……ほら、あった
瑞希:どれどれ……あ、いろんな人が来るんだね!
瑞希:あーっ、ZEROstearも来るの!?
奏:ZEROstearって、あのアニソンシンガーの?
瑞希:そう! この人、今期の人気アニメの主題歌歌ってるんだよー
絵名:へえ、私は知らないけど……有名な人も来るんだ
瑞希:うんうん、名前知ってる人ばっかり! ……あ、でも、このA-GURIって人は知らないなー
奏:えっ、A-GURI……?
まふゆ:奏、知ってるの?
奏:うん……。まだあんまり有名じゃないけど、 動画サイトで人気が出始めてる
奏:あんまり人前で演奏するような 人じゃないと思ってたから、びっくりした……
絵名:ふうん、有名な人ばっかりじゃないんだね
まふゆ:……プロのステージ以外に、 アマチュア部門のステージもあるんだ
奏:そうだね。アマチュア部門はダンスユニットが多いけど、 歌のレベルが高いユニットも来るみたい
絵名:へえ、プロ部門もアマチュア部門も、 いろんなジャンルのミュージシャンが 呼ばれてるって感じなんだね
絵名:(思ったより、みんな興味がありそう……! これって、瑞希を誘うチャンスかも? それなら——)
絵名:ねえ、せっかくだし、このシブヤ夏祭りのライブイベント、 みんなで行ってみない?
奏:……え?
瑞希:うーん、ボクはいいかなあ。 暑そうだし?
瑞希:それに、前にこのお祭りみたいな野外ライブに 行ったことあるけど、結構体力使うんだよねー。 奏とか大変なんじゃないかな
まふゆ:熱中症で倒れそう
奏:う……そうだね……
絵名:でも、夕方からって書いてあるよ。 それならちょっと涼しくなってるだろうし、大丈夫でしょ
瑞希:んー、だけど……
奏:……冷たい飲み物、たくさん持ってくればなんとかなるかな……?
瑞希:えっ、行くの!?
奏:こういう屋外のライブイベントって行ったことないけど、 A-GURIの生歌は聴いてみたい。 こんな機会、あんまりないだろうし……
絵名:まふゆは行ける?
瑞希:いやー、さすがにまふゆは忙しいでしょ
まふゆ:予備校があるけど、この日は講義もはやく終わるし、 予習の量も少ないと思うから大丈夫だと思う
瑞希:えっ、そうなの!?
絵名:じゃあ決まりね。せっかくだし、瑞希も一緒に行こうよ。 好きなアーティストが来るんでしょ?
瑞希:……わかった。ボクも行こっかな。 夏祭りとか行くの久しぶりー♪
奏:途中で倒れないようにしないと……。 瑞希、野外ライブに持っていくと便利な物とか、 あとで教えてくれないかな
瑞希:はいはい、りょうかーい!
絵名:じゃあ、私もまたあとで詳細連絡するね
まふゆ:もし遅れそうなら、早めに連絡する
絵名:うん、お願い。 せっかくの夏祭りなんだし、みんなで楽しも!
東雲家 リビング
彰人:はあ……
彰人:(やっぱ、いつもより パフォーマンスのレベルが上がるとキツいな……)
彰人:(これでいつもどおり歌うには、 まだ練習が必要そうだ)
彰人:(……けど、今日買ったシューズはいい感じだな。 今まで履いてたのより軽く動ける気がする)
彰人:とりあえず、あとで振りだけ もう1回練習しとくか
母親:——今週末、お友達と夏祭りに行くの?
彰人:(……ん? 今週末……?)
絵名:うん! だから、週末は夕飯いらないから
母親:わかったわ。気をつけて行ってきてね
絵名:はーい
彰人:(……絵名のヤツ、帰ってきてたのか)
彰人:(つーか、夏祭りって、まさかシブヤ夏祭りのことか? 絵名も行くのかよ)
彰人:(冬弥とイベントに出てるの見られたら、 あとでいろいろめんどくさそうだな)
絵名:あれ、彰人、帰ってたんだ。遅かったね
彰人:まあな
絵名:ねえ、その手に持ってる袋って、最近できたショップのだよね。 なにか買ったの?
彰人:なんでもいいだろ。 なんでお前なんかに話さないと——
絵名:へえ、これってダンスシューズ? イベントで使うの? 見せて!
彰人:おい、勝手に覗いてんじゃねえよ
絵名:へえ。このデザイン、 彰人にはちょっとカッコよすぎるんじゃない?
彰人:うるせえな。別にいいだろ、なんでも。 つーか、早く返せよ
絵名:はいはい。 じゃ、練習頑張ってね
彰人:……おう
彰人:(夏祭りか……)
彰人:(あいつ、あの時言ったこと、覚えてんのかな)

第 4 话:昔日の言葉

東雲家 リビング
小学生の彰人:はあ、暇だな……
小学生の彰人:(なんにもやることねえな。 いつもオレ、何してたっけ)
小学生の彰人:(昼はサッカーして、帰ってからサッカーの試合見て、 夜はリフティングの練習して——)
小学生の彰人:(って、なんだ、毎日サッカーばっかりだったのか。 けど……)
チームメイト達:だいたい武蔵野イーストのやつらって、 家族と離れて、専門の寮入ってサッカーやってるんだろ?
チームメイト達:それこそ、学校終わったらずっと練習してるんだってね。 ボールに触ってない時間はないらしいし
チームメイト達:本気でプロになるために、朝から晩までサッカーしてんだもんな。 遊んでる時間なんて1分もないだろ、あいつら
小学生の彰人:(全然、足りなかった。 練習量も覚悟も、何もかも——)
小学生の彰人:…………
小学生の彰人:(……電話? 絵名から?)
小学生の彰人:もしもし
中学生の絵名:『彰人! 今どこにいる?』
小学生の彰人:どこって、家だけど……。 つーか、夏祭りに行ったんじゃねえのかよ
中学生の絵名:『うん、今お祭りの会場からかけてるよ。 彰人がいてくれてよかったー。ちょっと困ってたんだよね』
小学生の彰人:困ってるってなんだよ。 パシリなら絶対やらねえからな
中学生の絵名:『違うんだって! 実は、ちょっと、ケガしちゃって。 今から迎えに来てほしいの!』
小学生の彰人:……は? ケガ?
夏祭り会場
中学生の絵名:あ、彰人! こっちこっち!!
小学生の彰人:おい、ケガって大丈夫かよ! 言われたとおりくつは持ってきたけど、歩けんのか!?
中学生の絵名:うん! 履いてた下駄が合わなくて、足が痛くなっちゃったんだよね。 彰人が家にいてくれてよかったー
小学生の彰人:……はあ!? ケガって、足が痛くなった程度かよ!?
小学生の彰人:そんなくだらねえことで呼ぶなよな! ったく、急いで来てやったのに……
中学生の絵名:ちょっと、くだらないことって何!? 痛くて歩けないから、すっごく困ってたのは本当なの!
小学生の彰人:あー、うるせえな。ほら、くつ持ってきたからさっさとはけよ
中学生の絵名:グチグチうるさいのはそっちでしょ! ……まあ、持ってきてくれたのは助かったけど
中学生の絵名:——って、ちょっと。彰人が持ってきたの、運動靴じゃん! こんなの浴衣に合うわけないでしょ
小学生の彰人:はあ? そんなのどうでもいいだろ
中学生の絵名:どうでもよくないってば! 運動靴なんてダサくてはけるわけないじゃん!
小学生の彰人:歩きやすいくつ持ってこいって言ったのはお前だろ! 文句言うんじゃねえよ!
中学生の絵名:そうだけど……! だからって、運動靴持ってくることないでしょ! こんなのはいてるとこ、知りあいに見られたら最悪……
小学生の彰人:はあ!? なら、もう勝手にしろよ。 オレはひとりで帰るからな!
中学生の絵名:あ……ちょっと彰人!
小学生の彰人:(クソッ……なんで迎えに来てやったオレが、 あいつにキレられなきゃいけねえんだよ!)
翔太:……あれ、彰人くん? 来てたんだね!
小学生の彰人:お前……!
翔太:久しぶりだね! 大会終わってから、どうしてるのかなって思ってたんだ
翔太:……ねえ、彰人くん、本当にサッカーやめちゃうの? みんな、彰人くんに戻ってきてほしいって言ってるよ
小学生の彰人:…………
翔太:おれも一生懸命練習するからさ! だから、またみんなで——
小学生の彰人:言っただろ、そういうことじゃねえんだ。 オレはもうサッカーはやめたんだよ
小学生の彰人:じゃあな
翔太:あ……っ
小学生の彰人:——意味ねえんだよ
小学生の彰人:これ以上やったって、オレは……
中学生の絵名:あ、彰人
小学生の彰人:絵名……。 くつ、はき替えたのかよ
中学生の絵名:仕方なく、だからね! そうじゃないと帰れないもん。 はあ、でもやっぱダサいな……
小学生の彰人:お前のことなんて誰も見てねえよ
中学生の絵名:はあ!? そういう問題じゃないの!
中学生の絵名:それより、さっき話してたのって、 同じサッカーチームの子じゃないの?
小学生の彰人:絵名には関係ねえだろ
小学生の彰人:つーか、オレはもうサッカーやめたんだ。 同じチームでもなんでもねえよ
中学生の絵名:……ふうん?
中学生の絵名:けど、最近ずーっと暗い顔してるよね、あんた
小学生の彰人:してねえよ
中学生の絵名:してるってば。サッカーやめるのはあんたの勝手だけど、 そんなに暗い顔されると、こっちは嫌でも気になるでしょ
小学生の彰人:うるせえよ! 絵名に、オレの気持ちがわかるわけ——
中学生の絵名:わっ、なに!? 大きな音がする……?
小学生の彰人:これって……あ、多分ライブだな。 さっき、野外ステージのところに人がたくさん集まってたぞ
中学生の絵名:ライブって、夏フェスみたいな?
小学生の彰人:知らねえけど、多分そうじゃねえの? ……ま、別に興味ねえし、オレはもう帰る
中学生の絵名:ねえ、彰人! そのライブ、今から見に行ってみない?
小学生の彰人:なんでだよ。 つーか、お前、足が痛いんじゃ……
中学生の絵名:もう運動靴に履き替えたし、大丈夫だって! ほら、早く!
小学生の彰人:あ、おい……! 手引っ張んなよ!!
夏祭りライブステージ
ミュージシャン:♪——! ——!!
中学生の絵名:わあ、結構盛り上がってるね!
中学生の絵名:今歌ってる人、人気なのかな? すごい熱気……!
小学生の彰人:——そうだな
小学生の彰人:(ライブか……。 音楽には、今まで興味なかったけど)
小学生の彰人:(この感覚……なんか、嫌いじゃねえな)
ミュージシャン:♪——!!
小学生の彰人:(うわ、さっきより歓声が大きくなった……!!)
小学生の彰人:(すげえ、歓声で目の前が揺れてる……! あのミュージシャンひとりの歌で、こんなに盛り上がって——)
小学生の彰人:……すげえ……
中学生の絵名:じゃ、帰ろっか。 ライブ、すごかったねー
小学生の彰人:……ああ
小学生の彰人:(さっきの、マジですごかったな。 まだドキドキする……!)
観客A:いやー、今日のイベント、レベル高かったな!
観客B:ああ! でも、KEN達のほうがやべえだろ
観客A:あいつらは次元が違いすぎるからなあ。 そういや、KENが来年あたり イベント主催するって話聞いたか?
観客B:聞いた聞いた! すげえ楽しみだよなー!
小学生の彰人:(——KEN? さっきのヤツよりすげえのがいるのか……)
中学生の絵名:彰人? どうしたの、ぼーっとして。 もしかして、さっきのライブの熱気に当てられたとか?
小学生の彰人:ちげーよ!
中学生の絵名:ま、さっきの盛り上がりは本当にすごかったし、 気持ちはわかるけどね
小学生の彰人:だから、そういうんじゃねえって
中学生の絵名:……ねえ、彰人。 ああいうのやってみたら?
小学生の彰人:は?
中学生の絵名:なんか、久しぶりに楽しそうだったしさ。 時間あるなら、試しにああいう音楽、 やってみたらいいんじゃない?
小学生の彰人:試しに……? いや、本気でやれるかもわかんねえのに、 そんな簡単に始められねえよ
中学生の絵名:なにそれ。気軽に始めたっていいじゃん
小学生の彰人:いや……だって、やってみて やっぱやめるってなったらダセえだろ
中学生の絵名:あんたねえ……
中学生の絵名:もう、始めてもいないのに、なにゴチャゴチャ考えてんの?
小学生の彰人:……うるせえな! 何も知らねえくせに!
中学生の絵名:知らないって……何言ってんの。 私が彰人の気持ちなんて、わかるわけないじゃん
小学生の彰人:は……?
中学生の絵名:どうせ、あんたの気持ちがわかるって言ったって それはそれでムカつくって思うでしょ
小学生の彰人:まあ、そりゃそうだけど
中学生の絵名:ま、細かいことは置いておいて。 彰人って器用だからなんでもできるでしょ。 だったら、いろいろやってみたらいいじゃん
中学生の絵名:本気でやるかどうかは、 やってみてから決めたらいいんだし
小学生の彰人:(やってみてから、か……)
小学生の彰人:——まあ、気が向いたらな。 あとで考えとく
中学生の絵名:……そっか
中学生の絵名:じゃあ、帰ろっか。 あ、コンビニでチーズケーキでも買ってく? 家で食べようよ
小学生の彰人:……ん、わかった
小学生の彰人:(やってみてから決めたらいい、か)
小学生の彰人:(……とりあえず、曲だけでも聴いてみるか)
彰人:(あいつがああ言ったから、 オレはストリートに出会ったんだよな)
彰人:(音楽ってすげえなって思って、それから RAD WEEKENDに行って、本格的に歌を始めて……)
彰人:(冬弥と出会って、今じゃVivid BAD SQUADを組んで——)
彰人:(あの時、絵名を迎えに行ってなかったら、 オレは今頃何してたんだろうな)
彰人:(……ま、あいつはどうせ忘れてるだろうけど)

第 5 话:シブヤ夏祭り!

数日後
公園
彰人:♪——! ——!!
冬弥:♪—— ——!!
レン:『わあ、ふたりともすごくうまくなってる!』
彰人:……ま、毎日練習してるからな
冬弥:それに、派手に見えるようにしているが、 技自体はそこまで難しくない
冬弥:イベントまでの時間を考えて、 パフォーマンスの見せかたを工夫することにしたんだ
レン:『へえ、そうだったんだ! オレもがんばらないとなー』
彰人:この前、セカイで練習した時に見たけど レンもだいぶ踊れてたじゃねえか
レン:『えっ、ホント!?』
冬弥:ああ、かっこよく踊れていた
レン:『えへへ、よかった~! また3人で一緒に踊ろうよ!』
彰人:ああ、そうだな。 イベント本番前に、もう1回やっとくか
冬弥:レンがいてくれたほうが、 いろいろ気づけることもあるだろうしな
レン:『やった! 楽しみにしてるね!』
東雲家 リビング
彰人:ふあ、ねみ……
彰人:(……結局遅くまでやっちまったし、さすがに疲れたな)
彰人:(飯……は、今日はもういいや。 風呂入ってすぐ寝ちまうか)
絵名:彰人、帰ってたんだ
彰人:あー、そうだな
絵名:どうしたの? なんかぼんやりしてない?
彰人:なんでもねえよ
絵名:ふうん
絵名:……あ、そうだ。 お母さんがプリン買ってきたって
彰人:プリン?
絵名:いらないなら私が食べるけど
彰人:いらねえなんて言ってねえっつーの。 ……食う
絵名:はいはい。 疲れた時は甘いもの食べるのが一番だしねー
彰人:別に疲れてなんか……
絵名:ふあ、ねむ……。 じゃ私寝るから
絵名:あんたも早く休みなさいよ。 おやすみー
彰人:おう、おやすみ
彰人:……そんなに顔に出てたか、オレ
夏祭り当日
夏祭り会場
レン:『わあ、すごいすごい! 屋台がたくさん並んでるー!』
レン:『焼きそばとか、りんご飴とかがあるんだ。 どれもおいしそうだねー!』
彰人:おいレン、あんまり騒ぐなよ。 誰かに見つかったらめんどくせえからな
レン:『わかってるよー。 でもオレ、こういう夏祭りって初めてなんだよね!』
冬弥:俺もだ。 文化祭の時とはまた雰囲気が違って、おもしろいな
レン:『そうだ! せっかく来たんだし、みんなでお祭り見て回ろうよ!』
冬弥:ああ、いいな。楽しそうだ
彰人:ったく……。イベントの出番が終わってからな
冬弥:セカイのみんなにも、何かお土産を買っていこう
レン:『やった! オレも選ぶよ! ……あ、あのチョコバナナとかいいかも!』
彰人:わかったわかった、あとでつきあってやるから 今はとりあえず行くぞ
レン:『うん! 絶対ぜーったい、約束だからね!』
夏祭りライブステージ
彰人:(ここがステージだな。 絵名と見た時は、もっと大きいステージだと思ったが……)
彰人:(今は、小さく見えるな)
翔太:ふたりとも、今日は本当にありがとう! 今、他のユニットがリハーサル中だから、もう少し待っててね
翔太:貴重品は会場ゲート側のロッカーに入れておいてくれるかな。 他の大きな荷物は……あ、ごめん、 今、その段ボール箱しかあいてないみたいだ
彰人:別にかまわねえよ。じゃ、この箱使うぞ
翔太:うん! じゃあ今日はよろしくね!
冬弥:リハーサルの準備で、みんな忙しそうだな
彰人:まあな。じゃ、荷物はこの段ボール箱に入れて……と。 冬弥はどうする?
冬弥:俺はそんなに荷物がないから、ロッカーに全部入れようと思う。 はき替えたくつだけ、その箱の横にでも置かせてくれ
彰人:わかった
彰人:(……けど、人の出入りが多いな。 邪魔になるかもしれねえし、 ダンスシューズも一緒に入れておくか)
彰人:じゃ、とりあえず、この箱ふたつは閉じて 端のほうに寄せておくか
冬弥:ああ、機材の搬入もあるようだし、そのほうがいいかもな
レン:『わあ、ここが会場かー! 思ったより本格的なステージだね!』
彰人:あ、レン! 出てくる時はちゃんとまわり見ろよ
レン:『大丈夫、わかってるって!』
レン:『それにしても、アマチュア部門って聞いてたけど、 今リハーサルやってるユニット、歌もダンスも すっごく上手だね!』
冬弥:ああ、あのユニットは、巷でも有名だからな
レン:『そうなんだー! そんなイベントでトリをつとめるなんて、 ふたりともすごいなあ』
彰人:まあ、代役だけどな
彰人:けど、やるからには半端なパフォーマンスはしねえ。 オレ達が一番、会場をわかしてやる
冬弥:ああ、もちろんだ
レン:『応援してるね、ふたりとも!』
彰人:そんじゃ、リハーサルの順番がくるまで、 振りのチェックでもしとくか
???:あら? あそこにいるのって……
彰人:……え?
愛莉:やっぱり、彰人くんじゃない!
愛莉:こんなところで会うなんて、びっくりしたわ。 久しぶりね!
彰人:桃井さん? なんでここに……
愛莉:練習帰りにたまたま通りかかったから、 ちょっと寄ってみたのよ
愛莉:あ、そうそう。こっちは今一緒にアイドルやってる子で、 雫っていうの
雫:はじめまして、日野森雫よ。 愛莉ちゃんにはいつもお世話になってます
愛莉:いや、その挨拶どうなのよ
彰人:どうも、はじめまして。東雲彰人です。 日野森さんのことは姉から少し聞いてます。 一緒にピクニックに行って世話になったって
雫:あ、東雲っていうことは……。 絵名ちゃんの弟さんなの?
彰人:はい、まあ一応
雫:そうなのね! 絵名ちゃんから話を聞いてたから、 会えてとっても嬉しいわ!
彰人:あはは……。それはよかったです。 あ、そうだ。こっちはオレの相棒の冬弥です
彰人:冬弥、姉貴の友達の桃井さんと日野森さんだ
冬弥:はじめまして、青柳冬弥です
愛莉:よろしくね、冬弥くん!
彰人:今はこいつと組んで、イベントで歌ったりしてるんですよ
愛莉:え、そうなの!? ってことは……もしかして今日のイベントにも出るの?
彰人:はい、ちょっと知りあいに頼まれて
愛莉:へえ、すごいじゃない!
雫:素敵ね! ちょうど愛莉ちゃんと 見て行こうって話をしてたのよ
冬弥:そう言ってもらえて嬉しいです。 いいステージにできるように頑張ります
雫:ええ、楽しみにしてるわ!
愛莉:そういえば、絵名は一緒じゃないの?
彰人:ああ、あいつ……姉貴なら、祭りには来てるみたいです。 他の友達と一緒みたいですけど
愛莉:そう。 どこかで会えたらいいわね、雫
雫:ええ、お祭り会場にいたら、すれ違うかもしれないものね
翔太:彰人くん、冬弥くん! リハーサルの前にちょっと確認してもらいたいことが あるんだけど、ステージのほうに来てくれる?
彰人:おう、わかった
愛莉:話しこんじゃってごめんなさい。 それじゃ、イベントがんばって!
雫:また会いましょうね!
彰人:はい、ありがとうございました
冬弥:それじゃあ、ステージのほうに行くか
彰人:ああ
夏祭りの実行員A:おい、この端に寄せてある段ボール箱を運べばいいのか?
夏祭りの実行員B:ああ、本部テントまで頼む! 思ったより暗かったから、夜になる前に 電球の数増やすんだってさ
夏祭りの実行員A:わかった。よいしょっと……! あれ、延長コードが入ってるって聞いてたんだが、 思ってたより軽いな
彰人:よし、あとは本番を待つだけだな
レン:『ふたりが踊ってるところを見るの、楽しみだなー!』
冬弥:ああ、俺も早くステージに立ちたい
彰人:じゃ、さっさとダンスシューズに履き替えるか。 えっと、荷物を入れてた箱は——
彰人:……あれ
冬弥:どうした?
彰人:……嘘だろ、なくなってる
冬弥・レン:『え?』

第 6 话:諦めないから

夏祭り会場
瑞希:みんなそろったね! まふゆも早く来られてよかった
まふゆ:うん、自習室、今日は清掃業者の人が入るみたいで、 まだ途中だったんだけど追い出されたんだ
瑞希:へえ、でもラッキーじゃん♪
絵名:ねえ、ライブイベントまで、まだ時間あるし、 せっかくだから屋台でも見て回らない?
奏:屋台か……。こういうお祭りって全然行かないから、 何があるのかよくわからないけど……
瑞希:じゃあ、いろいろ見て回ろうよ! レッツゴー!
絵名:あ、ちょっと瑞希……! ひとりで行ったら、はぐれちゃうでしょ!
射的屋
絵名:えいっ……! あ、外れた……! もう、全然当たんない……!!
瑞希:あはは、絵名ってば下手くそ〜
絵名:しょうがないでしょ、射的なんて普段やらないんだから!
まふゆ:……ここかな
奏:すごい……!
絵名:え、もしかして、あの倒れてる景品って、 全部まふゆが撃ったの?
まふゆ:うん
瑞希:うわ、一番難易度高い景品まで当ててる! まふゆ、もしかしてこういうの得意なの?
まふゆ:ううん、射的は初めて。 でも狙って撃つだけだから、簡単だったよ
絵名:ちょっと、それって私への当てつけ?
まふゆ:別に、本当のことを言っただけだけど
絵名:はあ? あんたねえ……
奏:う……引き金を引くのも結構力がいるんだね……。 全然当たらないし、持ってるだけで重いし、疲れてきた……
絵名:奏、大丈夫?
奏:う、うん……。 腕が痛くなってきたから、少し休む
瑞希:ま、無理するのもよくないしね。 絵名も取れてないし大丈夫、大丈夫!
絵名:うるさいな……! そういう瑞希だって、全然景品落とせてないじゃない
瑞希:実は、さっきひとつ落としたんだよねー。 ほらこのキーホルダー!
奏:……これ、なんのキャラクター?
瑞希:シブヤのご当地キャラクターだよ。 シブニャーゴって言って、最近人気なんだ♪
まふゆ:これ、猫なんだ。可愛くないね
瑞希:むしろ、そこがいいんだって~! ちょっと小馬鹿にしたような目がいいっていうか!
瑞希:さっそくバッグにつけちゃおーっと♪
絵名:え、今つけるの? ていうかバッグのデザインと合ってなくない?
瑞希:そういうのはいいのいいの! みんなで夏祭りに来た記念ってことで♪
絵名:記念……
絵名:(——瑞希、そんなこと思ってくれるんだ)
瑞希:……これでよしっと。 見て見て、かわいいでしょ!
絵名:やっぱりバッグと合ってないってば。 でも……記念ってことなら、いいんじゃない?
瑞希:っていうか、みんなもう射的やんないの?
絵名:うん。全然当たんないし、もういい
奏:わたしも……
瑞希:りょーかい! じゃあ次何しよっか? お腹は?
奏:うーん、まだそんなにすいてないかな……
瑞希:じゃあヨーヨー釣りやろうよ!
絵名:えー、ライブの時邪魔にならない?
瑞希:そんなに何個もとらないから、大丈夫だって!
瑞希:ほら、行こうよ!
絵名:あ、ちょっと、急に走らないでってば!
雫:ねえ愛莉ちゃん、あのペンギンのお面、 みのりちゃんと遥ちゃんに買っていかない?
愛莉:いいわね! 丸くてフォルムがかわいいし、遥が喜びそう。 次の配信でも使えそうね
愛莉:……あら、なにか落ちてるわ
雫:キーホルダーみたいね。 ふふ、可愛い顔♪
愛莉:え、そう……? ちょっと感じ悪い目つきだけど…… 誰かが落としたのかしら?
瑞希:楽しかった~! ミク達とも、こうやって遊びたいなー
絵名:でも、セカイでお祭りって言っても何もないでしょ
瑞希:そうだけど……あ、屋台で使えそうな物を ボク達で準備したらいいんじゃない?
まふゆ:準備って、何を?
瑞希:ヨーヨーとか、射的とか! 射的は輪ゴムとかにしてさ
奏:……ミク、喜びそう
絵名:けど、さっきの射的はリベンジしたいかも。 馬鹿にされっぱなしは性に合わないし
瑞希:絵名、下手くそだったもんねー
絵名:は!?
瑞希:あははっ! じゃあさ、また機会があったらみんなで……
瑞希:…………
絵名:瑞希?
瑞希:あ、ううん、なんでもない!
瑞希:それより、もうすぐイベントが始まる時間だよ。 最初はアマチュア部門だけど、せっかくだし見に行こ!
絵名:う、うん……
絵名:(……瑞希、さっき言いかけたのってなんだったんだろう)
絵名:(ちょっとは楽しそうにしてるかなって思ってたけど…… やっぱり相変わらずって感じかな)
奏:……絵名、どうしたの? みんな先に行っちゃうよ
絵名:あ……ごめん。 今行く!
夏祭りライブステージ
まふゆ:……思ってたより、人がたくさんいるね
瑞希:そうだね。奏、大丈夫? 人酔いしない?
奏:い、今のところ……
絵名:あんまり前に行かなきゃ平気じゃない? ほら、あの木の辺りとか、そこまで人もいないし
まふゆ:ステージも見えるし、いいんじゃない?
瑞希:じゃ、あの辺りで聴こっか!
瑞希:あ、凍らせたペットボトルを持ってきたし、ちょうど飲み頃かも。 奏にちょっとあげるねー
瑞希:……あれ?
絵名:どうしたの?
瑞希:キーホルダーがない……!
奏:それって、さっき射的の景品で瑞希がもらってたやつだよね
まふゆ:さっきまでバッグについてたけど
瑞希:うん、そのはずなんだけど……。 どこかで落としたのかな……
絵名:え、そうなの? じゃあ今から探しに行こうよ
瑞希:あー……いや、いいよ。 もうすぐイベント始まるし……。 こんな人混みだし、探しても見つからないんじゃないかな
絵名:でも、瑞希、あれ気に入ってたじゃん。 今日の記念にするって
瑞希:そうなんだけどさ……。 残念だけど、諦めるよ
絵名:……っ!
絵名:よくないでしょ。 探してもいないのに諦めていいわけ?
瑞希:でも、もうイベント始まるし——
絵名:ごちゃごちゃうるさい! ほら、一緒に探しに行くよ!
瑞希:ちょ、絵名!?
絵名:まふゆと奏は、ここで待ってて。 プロ部門が始まる頃には帰ってくるから
まふゆ:わかった
奏:き、気をつけてね……
絵名:瑞希、あった?
瑞希:うーん、ない。 ねえ、どうせ見つからないし、もう戻ろうよ
絵名:でも……!
瑞希:さっそくバッグにつけちゃおーっと♪
絵名:え、今つけるの? ていうかバッグのデザインと合ってなくない?
瑞希:そういうのはいいのいいの! みんなで夏祭りに来た記念ってことで♪
絵名:…………っ!
絵名:やっぱり、もう少し探そう
瑞希:でも、ただの景品のキーホルダーだよ? そこまでしなくても……
絵名:私が納得いかないって言ってるの!
絵名:……そうだ。落とし物として届いてるかも! 瑞希、行ってみよ!
瑞希:あ、待ってよ絵名……!
瑞希:え、本当にあった……!
絵名:ほらね、だから言ったでしょ?
瑞希:あの、このキーホルダー、どんな人が届けてくれたんですか?
スタッフの女性:女の子ふたりですね。 野外ステージの近くで拾ったって言ってました
瑞希:そうだったんだ……。 ……絵名、本当にありがと
絵名:別にいいってば。私が探そうって言いだしたんだし。 それよりイベント始まるし、奏達のところに戻ろ?
瑞希:うん!
実行委員A:あれ? この箱、延長コードじゃなくて、別の荷物が入ってるぞ
実行委員B:本当だ。これってバッグと……くつか?
絵名:(え、あれって——)

第 7 话:今を作る言葉

夏祭りライブステージ
冬弥:彰人、そっちはどうだった?
彰人:いや、見つからねえ
レン:『まさか、荷物を入れた箱ごと消えちゃうなんて……。 どうしよう……』
冬弥:貴重品は無事だったとはいえ、ダンスシューズがないのは困ったな
彰人:……仕方ねえ。探すのは諦めて、ステージに戻るぞ。 ダンスは今はいてるくつでもなんとかなるしな
冬弥:だが……
レン:『……あ、イベントが始まったみたい。 これってオープニングの曲だよね?』
彰人:——そうだな。 おい、早く戻るぞ
冬弥:彰人……
翔太:彰人くん、冬弥くん、お疲れさま。 そろそろステージの袖のほうでスタンバイしててね!
彰人:ああ、わかった
冬弥:…………
レン:『でも、本当に彰人の荷物とダンスシューズは どこ行っちゃったんだろう……』
彰人:だから、もうその話はいいって。 見つからねえもんはしょうがないだろ
彰人:(……少し動揺しちまったが、 もう本番だし、冷静にならねえと)
彰人:……って、こんな時に電話? しかも絵名からかよ
彰人:もしもし? 今、ちょっと用事があって バタバタしてっから、またあとで——
絵名:『彰人、もしかして夏祭りの会場で ダンスシューズなくしたりした? ほら、このあいだ買ってた派手なデザインのやつ!』
彰人:……は?
絵名:『今、ちょうど本部に来てるんだけど、 彰人が使ってたのと同じダンスシューズを見つけたの』
絵名:『なんかわかんないけど、実行委員の人が 間違って持ってきちゃったとか言ってて。 もし彰人のだったら、と思って連絡したんだけど——』
彰人:絵名、それ、すぐ持って来てくれ! あと少しで本番なんだよ!
絵名:『本番? それって場所は?』
彰人:夏祭りの野外ステージだ!
絵名:『野外ステージ……ああ、あそこね。 すぐ行くから待ってて!』
彰人:ああ!
絵名:はい、これ! 見覚えのあるくつがあったから、びっくりしちゃった
彰人:本当に助かった! ありがとな、絵名
絵名:別にいいけど、今度チーズケーキおごってよね。 前に行った宮益坂にあるケーキ屋さんの、一番高いやつ!
彰人:ああ、わかったよ
瑞希:弟くんと冬弥くん、イベント出るんだねー! ボク、楽しみにしてるよ!
絵名:冬弥くんも頑張ってね!
冬弥:ありがとうございます
彰人:暁山もこんなことにつきあわせて悪かったな
瑞希:ぜーんぜん気にしてないよ。 それよりくつ、見つかってよかったね!
絵名:彰人、せっかく届けてあげたんだから、 中途半端なパフォーマンスしないでよね
彰人:当たり前だろ。 どんだけ練習したと思ってんだよ
絵名:最近、ヘトヘトになって帰ってきてたもんね。 帰ったら帰ったで、外で練習してるし
彰人:……知ってたのかよ
絵名:一緒に住んでるんだから気づかないわけないでしょ?
絵名:——でも、まさか彰人がこのステージで歌うとは思わなかったな。 あの時とは違って、いい顔になったじゃん
彰人:あの時と、って……。 お前もしかして、あの時のこと、覚えて——
中学生の絵名:……ねえ、彰人。 ああいうのやってみたら?
翔太:彰人くん、冬弥くん! そろそろ出番だよ!
彰人:ああ、わかった!
絵名:じゃ、私と瑞希は戻るね。 ちゃーんと見ててあげるから、失敗しないでよ
瑞希:ふたりとも、がんばってねー!
彰人:(……あいつ、ちゃんと覚えてたんだな)
冬弥:そろそろ行くか
レン:『オレも応援してるね! ふたりとも、ファイトー!』
彰人:おう、行ってくる!
瑞希:奏、まふゆ、おまたせー!
まふゆ:おかえり。 まだプロ部門始まってないよ
奏:瑞希、キーホルダー見つかった?
瑞希:うん、絵名のおかげでね
奏:そっか、よかった。 なかなか帰ってこないから、少し心配だった
絵名:ごめんね。 それ以外にも、ちょっといろいろあって
奏:いろいろって?
絵名:ううん、なんでもない
瑞希:ねえねえ、さっき知ったんだけど、 このあと、アマチュア部門のトリで絵名の弟くんが出るんだよー
まふゆ:絵名の?
絵名:うん。あいつの歌ってるとこ、 ちゃんと見るのは初めてなんだけどね
司会者:それでは、次はBAD DOGSのおふたりです!
瑞希:あ、ふたりとも出てきたよ!
彰人:♪——!!
絵名:(……すごい。 彰人達が歌い出した途端、急に空気が変わった)
冬弥:——!! ♪——!
彰人・冬弥:『♪——!!』
瑞希:すごいすごい! ダンスもカッコいいねー!
絵名:いつもは歌メインみたいだけどね。 ダンスも、今回は結構練習してたっぽいけど
瑞希:そうなんだ。 ……届けられてよかったね、絵名
絵名:うん、そうだね
彰人:(……いい空気だ)
彰人:(いつもとは違うステージだが、 すげえいい感じに動けるし、歌える)
彰人:(練習の成果が出てんな)
彰人:(——よし、次はオレのソロか。 冬弥のソロにつなげるために盛り上げねえと)
彰人:————!! ♪————……!
彰人:(——うまくいった! あとは、冬弥と振りを合わせて……!)
彰人・冬弥:『——! ————!!』
観客達:すごかったな、あいつら!!
観客達:ああ、いつもは歌一本って言ってたけど、 こんなパフォーマンスもできるんだな!
瑞希:わあ……すごかったねー!!
まふゆ:音が大きくてうるさいけど……歌は嫌いじゃない
奏:ダンスもすごいね。 あんなに動いてるのに、あれだけ歌えるんだ
絵名:(……やるじゃん、彰人)
司会者:以上、BAD DOGSのおふたりでした!
彰人:ハァ、ハァ……!
冬弥:無事に終わったな、彰人。 会場も盛り上がっていた
彰人:ああ、最後の合わせもうまくいったしな
冬弥:ダンスシューズのおかげでもあるな。 動きも軽いし、ステップに安定感が出る
冬弥:……見つかって、本当によかった
彰人:ああ! ったく、今日はどうなるかと——
彰人:(あ……)
彰人:…………

第 8 话:石畳を行きながら

夏祭り会場
瑞希:イベント、楽しかったねー! アマチュア部門って聞いてたけど、みんなレベル高かったし。 弟くん達もすごかったね!
絵名:まあね。あいつが歌ってるとこ初めてちゃんと見たけど……、 思ってたより悪くなかったかな
奏:わたしも楽しかった。 ……やっぱり、生音だと迫力がある
まふゆ:私は、音がうるさかったから耳鳴りがする……
瑞希:え、大丈夫!?
まふゆ:多分、そのうち治ると思うから
瑞希:そう? とりあえず帰ったらゆっくり休みなよー
まふゆ:うん……
奏:——みんな、今日はありがとう。 ひとりだったら来ないような場所だったし、勉強になった
絵名:よかった! 私も、みんなと遊べて楽しかったよ
瑞希:このあと、みんなはどうするー? ボクはもう少しだけお祭りまわろっかな
絵名:私も、もう少しだけいようかな
奏:わたしは帰ろうかな。 今日のライブで、インスピレーションわいたし、 忘れないうちに書き起こしておきたい
まふゆ:私も、そろそろ帰らないとお母さんが心配するから
瑞希:そっか~。 もう少し一緒に回りたかったけど、しょうがないかな。 じゃ、またナイトコードで!
絵名:またね、ふたりとも
絵名:瑞希、このあと行きたいところある?
瑞希:うーん、わたあめとか買いたいなー。 色がピンクのやつ売ってたんだよね!
彰人:……おい
絵名:あ、お疲れ。ライブいい感じだったじゃん。 歌とダンスも盛り上がっててよかったね
彰人:ああ。さっきは助かった
絵名:そっか。少しは役に立てたみたいでよかった
???:みんなー!
絵名:え、この声って……
愛莉:ここにいたのね。会えて嬉しいわ!
絵名:愛莉!?
雫:あら、瑞希ちゃんも来てたのね
瑞希:えっ、雫ちゃんもいたんだ!
絵名:ふたりとも来てたんだね。 今日、練習は休みだったの?
愛莉:練習帰りにたまたまとおりかかったのよ
愛莉:彰人くん達にも会って、 イベントに出るって教えてもらったから雫と見てたの!
雫:ええ。ふたりとも、 さっきのイベント、とっても素敵だったわ
彰人:ありがとうございます
絵名:うわ、キモ……
彰人:うるせえな
愛莉:ふふっ、ふたりとも相変わらずね
愛莉:ねえ、せっかく会ったんだし、 みんなで一緒にお祭りまわらない?
絵名:私はいいけど……みんなはどう?
雫:私は賛成よ。賑やかで嬉しいわ
冬弥:このあと、彰人ともうひとりの友人と 屋台をまわる予定があるんですが……。 少しだけなら大丈夫です
彰人:え?
彰人:おい冬弥、勝手に決めんなよ
冬弥:だが、せっかく誘ってもらったんだし、断るわけには……
絵名:瑞希は?
瑞希:ボクも大丈夫だよー
絵名:じゃ、行こっか。 ほら、彰人も行くよ
彰人:あ、おい……!
瑞希:はー、お腹すいちゃった。 なんか食べたいな~
雫:あ、瑞希ちゃん。 あそこにカルメ焼きがあるわ。美味しそうね
瑞希:あーいや、おいしそうなんだけどさ。 せっかくなら、ごはん系が食べたいっていうか……
愛莉:そうねえ、わたしもお腹すいちゃったわ。 焼きそばとか串焼きとか食べたいわね!
冬弥:レン、今なら出てきてもらって大丈夫だ。 リン達には何を買って行こうか?
レン:『はーい! あそこのりんご飴とかわたあめはどう?』
冬弥:じゃあ、それを買っていこう。 レンも何か気になるものがあったら言ってくれ
彰人:……で、なんでお前はオレの隣歩いてんだよ
絵名:好きで歩いてるわけじゃないってば。 私だって、愛莉達と話したいの!
絵名:でも、さすがにこの人混みの中を4人並んで歩いたら迷惑でしょ。 だから仕方なく彰人の隣に来たわけ!
彰人:はいはい、そうですかー
絵名:そういえば、ダンスシューズのこと、 ちゃんと本部に言いに行った?
彰人:ああ。まさか間違って持っていかれてるなんてな。 運ぶ前に中身くらい確認しろっつーの
絵名:延長コードが入った箱と間違えられたらしいね。 まあ、無事に戻ってきたしよかったけど
彰人:まあな
絵名:……そういえば、前は 彰人が私のくつを持って来てくれたんだっけ
彰人:——ああ、覚えてたのか。 忘れてんのかと思ってた
絵名:覚えてるってば。 あの時は下駄が合わなくて本当に大変だったなー
彰人:オレは絵名がワガママばっか言うから大変だったな
絵名:ちょっと、ちゃんとお礼は言ったでしょ!
彰人:そうだったか?
絵名:もう、忘れてるのはそっちじゃん。 あのあと、結局運動靴にはき替えて、 一緒にイベントも見たのだってちゃんと覚えてますー
彰人:ああ。 ……まさか、あの時見たのと 同じステージに立つなんて思ってもみなかったけどな
絵名:あの時の彰人、サッカーやめたばっかりで、 すっごい落ちこんでたよねー
彰人:うるせえ。 もう吹っ切れたし、今こうして音楽やってんだからいいだろ
絵名:まあね
絵名:でも、ちゃんと音楽続けてるのはすごいじゃん
彰人:それは——
彰人:……お前のおかげで、あいつらに出会えたからな
絵名:え、何か言った? ごめん、人が多くて聞こえなくて……
彰人:別に。なんでもねえよ
愛莉:ふたりともー! ごはん食べたらみんなで輪投げやらない?
瑞希:せっかくだし、チーム戦にしてみようよ!
彰人:いや、オレはこのあと用事があるからパス。 おい冬弥、そろそろ行く——
冬弥:彰人、輪投げの景品がおもしろいものばかりなんだ。 1回やってみないか
彰人:はっ?
彰人:おい、冬弥お前……。 レンとの約束忘れてねえだろうな?
冬弥:もちろんだ。一番いい景品をとって、 レンに渡す約束をしているからな
彰人:いや、そっちの約束じゃねえよ!
雫:絵名ちゃんと彰人くんを入れたら、 ちょうど3人ずつのチームになるわね
瑞希:じゃあさ、絵名チームと弟くんチームでわけて、 姉弟対決にしようよ!
彰人:暁山! お前もなに勝手に決めて——
瑞希:いいじゃんいいじゃん♪ せっかくみんなで来てるんだし楽しもうよ!
絵名:まあ、たまにはいいんじゃない? 負けたほうがパンケーキおごるってことで
彰人:はあ? やらねえっつってんだろ
絵名:あれ、彰人ってば、もしかして自信ないの?
彰人:そういうわけじゃねえよ
絵名:なら、早く行こうよ。 みんな待ってるでしょ
彰人:……ったく、しょうがねえな
彰人:(まあ……。 今日はあいつに助けられたし、少しくらいつきあってやるか)