活动剧情

ハッピー・ラブリー・エブリデイ!

活动ID:31

第 1 话:ライブ出演依頼!?

宮益坂女子学園 屋上
愛莉:ええっ!?
愛莉:ライブ出演の依頼が来たですって!?
みのり:わ、わたし達に、ライブの依頼!?
遥:うん。さっきメールボックスを見てたら、 依頼のメールが来てたんだ
みのり:メールボックス……?
遥:ほら、MORE MORE JUMP!として 活動をしようって決めた時、 専用のメールアドレスを作ったでしょ?
遥:そのアドレスに、オファーが届いてたんだよ
みのり:専用のメールアドレス……
みのり:あっ!
遥:それと、仕事の依頼を受けるのにも窓口は必要だね
愛莉:そうね。連絡を取りたいのに どこに連絡すればいいのかわからないなんて、 それこそ学校に問い合わせがくる可能性が高くなるわ
愛莉:専用のスマホとかちゃんと用意しておきたいけど、 ひとまず、メールアドレスで代用しましょ
みのり:おー! いかにも芸能活動してますって感じだね!
雫:ふふ。そのスマホに連絡がいっぱいくるように 頑張らないとね
みのり:あのアドレスのことだね!
愛莉:アンタ、アドレスのこと忘れてたの?
みのり:わ、忘れてたわけじゃないよ! まさか、もう依頼がくるなんて思わなくて……!
雫:ふふ、みのりちゃんがびっくりするのもわかるわ
雫:まだ活動を始めてそんなに経っていないし、 こんなに早い段階で依頼がくるなんて 私も思わなかったもの
遥:うん、私も驚いたよ
遥:早川さんとのコラボ配信が いいきっかけになったのかもね。 あれでずいぶんチャンネルの登録者数も増えたし
愛莉:そうね、あのコラボ配信は すごく効果があったと思うわ!
愛莉:でもそれだけじゃなくて、 新しい企画をどんどんやっていったのも 良かったんじゃない?
雫:みのりちゃんと遥ちゃんが作ってくれる企画、 いつもみんなが喜んでくれるものね
遥:ふふ、みのりはファン目線で企画を考えてくれるから 頼もしいよね
みのり:えへへ……。最初は、わたしが見たい企画を 提案してただけなんだけど……。 でも、喜んでもらえてるなら嬉しいなぁ
愛莉:日頃の積み重ねがこうやって結果につながったんだから、 ドーンと自信持ちなさい、みのり!
雫:それで——その依頼って、どんな内容なの?
遥:依頼してくれたのは、郊外の小学校の生徒達で——、 ちょっと早い卒業式のイベントを私達と一緒にやりたいんだって
みのり:卒業式? こんな時期に?
遥:うん。実はその学校、 廃校になっちゃうみたいなんだ
愛莉:廃校?
遥:そう。全校生徒が30人いかないくらいに減っちゃったから、 周囲の学校に統廃合されることになって、 生徒もバラバラになっちゃうみたいなの
遥:本当は3月に卒業式の予定だったらしいんだけど、 校舎の老朽化とかもあって——
遥:夏休み明けに校舎とお別れすることになるから、 廃校になる最後の日に、『学校からの卒業式』をするみたい
遥:そこで、生徒のひとりが、MORE MORE JUMP!を 呼びたいって言ってくれたみたいなの
雫:じゃあ……小学校最後の思い出作りとして、 学校でライブをしてほしいってことなのね
みのり:そっか……廃校になっちゃうんだ……
みのり:今まで通ってた学校が無くなっちゃうなんて、 すごく寂しいだろうな……
雫:そうね。お友達とも会えなくなるでしょうし……
みのり:かわいそうだね……。 みんなと離れ離れなんて……
愛莉:——よし! やるわよっ!
みのり:ひゃっ!
愛莉:そんな大事な日にわたし達を呼んでくれるなんて、 とっても光栄なことだわ!
愛莉:学校はなくなっちゃうけど、みんなが笑顔でお別れして、 新しい学校での生活もがんばろうって思えるように——
愛莉:アイドルとしてわたし達ができることを、 精一杯やりましょ!
雫:愛莉ちゃん……
遥:そうだね。私も賛成。 みんながいいなら、MORE MORE JUMP!として オファーを受けたいな
みのり:うん、わたしもやりたい!
雫:ええ、私もよ! 今から楽しみだわ
遥:わかった。それじゃあ、返事をしておくね
遥:……あ、それと。 今回のライブは配信してもいいって、 依頼してくれた学校が言ってくれてるんだよね
みのり:え、いいの?
遥:うん。子供達の思い出にもなるし、 私達の活動の手助けになればってことみたい
愛莉:そうだったの……。 わたし達のことまで考えてくれて、ありがたいわね
雫:助けてもらえる分、私達のライブで、 いっぱい希望を届けましょう!
みのり:お~!
みのり:あ……ねえねえ! せっかくだからライブ以外にも何かやらない?
愛莉:ライブ以外?
みのり:うん! 小学生の子達が相手だし、 みんなで一緒に遊んだりしたら おもしろいんじゃないかなって!
遥:……たしかに、イベントとして考えて、 もっといろいろな企画をやってみてもいいかもね
遥:学校側と相談しないといけないけど、 まずは提案してみようか
雫:そうね! 子供達と一緒に何かやるのは、 とっても楽しそうだわ
雫:でも、どんなことをすればいいのかしら? 私、子供達相手のイベントをあんまりやったことがないから、 どういった内容がいいのかよくわからなくて……
遥:私も、子供向けのイベントに出た経験はあんまりないな
愛莉:そうねえ、子供向けのイベントなら いくつか出たことあるけど——
みのり:あ、はい! 思いつきました!
愛莉:お、みのり早いわね!
みのり:卒業しちゃうなら、みんなやっぱり、 友達との思い出を残したいって思ってると思うの
みのり:だから、一緒に卒業アルバムを作るとかどうでしょう!
遥:卒業アルバムか……面白そうだね
遥:あ、でも、学校のほうでも卒業アルバムは作るって 書いてあったな
雫:そうなのね。もし私達でも作るなら、 学校のアルバムとはちょっと違うものにしたいけど……
愛莉:あとは、予算もあるわね。 製本すると結構かかるもの
みのり:そっかぁ……。 うー、そういうところまで考えてなかった……
愛莉:いいのよみのり。いろいろ言っちゃったけど、 今はアイディアを出していく時なんだから
遥:そうだね。すぐに『できないかも』って考えだすと、 自由に考えられなくなっちゃうし
愛莉:まずは思いついたことをどんどん言っていきましょ!
みのり・雫:『うんっ!』
遥:——うん、いい意見だと思う。 じゃあ、そろそろ企画をまとめて……
みのり:あっ、もう下校時間!?
雫:本当だわ。 ずいぶん話しこんじゃったわね
愛莉:アイディアもかなり集まったし、 今日はそろそろ帰りましょうか
遥:そうだね。 ……本当は時間もそんなにないし、 内容まで練りきりたかったけど、もう遅いしね
みのり:やっぱりイベントを考えるのって大変なんだねえ……
愛莉:そうね……
愛莉:(でも、みんなが考えてくれたアイディアは悪くないし、 あとひと捻りできれば、形になりそうだわ)
愛莉:(あとは……)
愛莉:(そうだ! 昔、番組でやってたような構成にして、 みんなのアイディアを組みこめばいけるかもしれないわね)
愛莉:ねえ、これ、わたしがまとめてきてもいいかしら
みのり:えっ?
遥:いいけど、大丈夫なの? 愛莉もいろいろ忙しいんじゃ……
愛莉:大丈夫よ! ちょっとできそうなイメージがわいてきたの! きっとうまくまとめてみせるわ
雫:……そうね! 愛莉ちゃんならきっと、大丈夫ね
遥:じゃあ、お願いしてもいい?
愛莉:もちろん! 明日にはきっちり仕上げてみせるから、 期待してなさいよ!
みのり:うん! ありがとう、愛莉ちゃん!

第 2 话:子供達のために!

愛莉の部屋
愛莉:……ふぅ。 かなりいい感じにまとまってきたわ
愛莉:やっぱり、この方向性は正解ね! みのり達が出してくれたアイディアも、 ピシッとはまった気がするし
愛莉:子供向けのバラエティ番組に出てたかいがあったわね。 『おはステ』は特に、いろいろ勉強させてもらったわ
愛莉:…………
愛莉:こうやって経験が生きるなら、 あの時のことも——きっと無駄じゃなかったのよね
愛莉:……よし! 気合い入れて、がんばるわよ!! ラブリー愛莉ー!!
翌日
宮益坂女子学園 屋上
愛莉:……というわけで、 今回の企画をまとめたから、資料配るわよ!
みのり:はーい!
みのり:わ……すっごく見やすい!
遥:ひと晩で仕上げたの? 資料のレイアウトまで、こんなにしっかり……
雫:ふふ、愛莉ちゃんはなんでもできちゃうのよね
愛莉:ちょっと雫、わたしばっか見てないで、 資料のほうを見なさいよ
愛莉:というわけで——今回のイベントですることは、 大きくわけて3つ!
愛莉:ひとつは、みのりが挙げてくれた 『みんなで卒業アルバムを作ろう!』よ
みのり:やった~! 採用してもらえた~!
雫:よかったわね、みのりちゃん
愛莉:はいはーい、ちゃんと内容も聞きなさいよー
愛莉:で、企画の内容だけど、子供達に1枚ずつ 学校で撮った思い出の写真を送ってもらって、 それをアルバムにするの
愛莉:最後にわたし達との集合写真も撮って、それも入れましょ!
雫:楽しそうね♪
遥:うん、いいと思う。 予算はどうする予定なの? 製本すると、結構お金かかっちゃうよね
愛莉:これは向こうとも要相談だけど、 デジタルアルバムにしようと思うわ。 データだけならそこまでお金もかからないから
遥:なるほど……。 たしかに、それなら予算もそこまでかからなそうだね
雫:あ、もし予算が大丈夫なら、なんだけど……。 1冊だけ製本して、校長先生にあげるっていうのはどうかしら?
雫:卒業証書は校長先生から生徒に渡すでしょう? その逆で、生徒から校長先生に渡すの
愛莉:雫、ナイスアイディア! すっごくいいじゃない
みのり:うんうん! 生徒からアルバムもらったら、校長先生も嬉しいよね! わたしだったら、感動して泣いちゃいそう……!
愛莉:じゃ、それも相談してみましょ!
愛莉:それで、ふたつ目は……『モモジャンと遊ぼう!』よ
愛莉:みのりチーム、遥チーム……って感じで4チームにわかれて、 みんなでゲームして遊ぶの
みのり:わあ、楽しそう!
遥:ゲームの内容は……資料に書いてあるね。 鬼ごっこに、〇×クイズ……
愛莉:時間も限られてるから、ゲーム自体はシンプルに 誰でも知ってるものにして、ルールを少し変えようと思うの
雫:あ……鬼ごっこは、6年生をつかまえたほうが得点が高いのね。 これならみんなで遊んでも、小さい子達ばっかり狙われないわね
みのり:〇×クイズも、学校のことをよく知ってると 点がとれるようになってるんだ!
愛莉:そう、自分達も知らなかった学校のことを たくさん知れるとおもしろいでしょ?
遥:なるほど。勉強が得意な子はクイズで、 運動が得意な子は追いかけっこで活躍できるようにしてるんだね
愛莉:ええ。体育祭の時、遥達が『みんなが楽しい体育祭を』って 言ってたのをヒントにしたのよ。 全員にとって楽しい思い出になってほしいからね
愛莉:で——最後は『ライブで盛り上がろう!』よ。 子供達も一緒に盛り上がれる、楽しいライブにしましょ!
遥:うん、すごくいい企画だと思う。 イベントもライブも、みんなきっと楽しんでくれるよ
みのり:さすがです! 愛莉ちゃん先輩! 1日でこんなにまとめちゃうなんて……!
愛莉:え? なんで急に敬語?
雫:それはもちろん、愛莉ちゃんがとってもすごいからじゃないかしら
愛莉:そこまで言うほどじゃないでしょ。 元はみんなで出したアイディアなんだし……
遥:ううん。そんなことないよ。 子供達のことをよく考えて、すごく工夫してある
遥:ファンのことを何より大切にする愛莉だから、 ここまで仕上げられたんだと思うよ
愛莉:そ……そうかしら?
みのり:そうだよ! わたしも見習わなくっちゃ!
愛莉:みんな大げさね……
愛莉:あ、そうだわ。せっかくだし、ミク達にも この資料を見てもらいたいんだけど、どうかしら
遥:そうだね。今のままでもいいと思うけど、 もっと企画がよくなるアイディアをもらえるかもしれないし
雫:じゃあ、みんなで行きましょう
みのり:はーい!!
ステージのセカイ
愛莉:到着っと。 ええと、今はライブやってないみたいね。 ミク達はどこかしら?
???:だから、ここはステージの真ん中から、 ふたりでピョーンって飛び出したほうがかわいいよ!
???:それも悪くないけど、せっかくふたりでライブをするなら、 それぞれ両脇にある花道から登場して、 走って合流するほうがいいんじゃない?
雫:あら? 男の子の声……?
みのり:あ、この声ってもしかして……!?
遥:あっちのほうから聞こえてきたね。 行ってみよう
レン:僕とリンで、客席に手を振りながら走って、センターで合流。 そこでポーズするんだ
レン:僕達がセンターで出会うシーンを見せたほうが特別感があるし、 みんなも喜んでくれるんじゃないかな?
リン:むむむ……言われてみるとたしかに……!
みのり:あっ! やっぱりレンくんだー!! リンちゃんもこんにちは!
リン:あ! みのりちゃーん! いらっしゃーい!
レン:みのりちゃん……? じゃあ、キミ達がこのセカイの想いの持ち主なんだね。 話はリン達から聞いてるよ
レン:改めて——はじめまして、鏡音レンだよ。 これからよろしくね、みんな
みのり:わわ、すごいアイドルオーラ……!
雫:本当、笑顔がとってもキラキラしてるわね。 白いお馬さんに乗ってる王子様みたいだわ
遥:馬……に乗ってるかどうかはわからないけど、 きっと普段から、アイドルとしていろいろ心掛けてるんだろうね
みのり:普段から……すごいなぁ……!
愛莉:よろしくね、レン! ところで、今は何をしていたの?
レン:ああ、ライブの内容を考えてたんだよ。 リンと一緒にライブをやろうと思って
遥:一緒に、ライブを?
雫:ふたりのライブが見られるなんて、 とっても楽しそうね
リン:まだセトリとか、動きかたは考え中なんだけどね。 わたしもいっぱいアイディア出さなくっちゃ!
みのり:あ、アイディアが必要なら、 わたし達も手伝うよ!
遥:そうだね。 私達でよければ、いつでもアイディアを出すよ
レン:本当? みんなが手伝ってくれるならとっても助かるな
愛莉:まかせて! 遥はライブ演出や振り付け全般に詳しいし、 雫はポージングや見栄えをよくするセンスがすごくいいし……
愛莉:みのりはファンが喜ぶことをたくさん考えてくれるから、 きっといいアイディアが集まると思うわ!
リン:みんなちゃーんと、それぞれ得意なことがあるんだよね♪
レン:そうなんだね。 あ……それじゃあ、愛莉ちゃんの得意なことは?
愛莉:え?
愛莉:わたしの得意なこと……そうね。 他の人と比べてできることって意味なら……
愛莉:——やっぱり、MCかしら? トークでお客さんを笑顔にするのは得意だわ
遥:たしかに、愛莉は場を仕切るのもうまいし、 雰囲気をよくするのも上手だよね
レン:そっか。じゃあMCのことで迷ったら、 愛莉ちゃんを頼らせてもらおうかな
愛莉:ええ! 任せて!
みのり:でも愛莉ちゃんはそれだけじゃなくって、 イベントを考えるのもとってもうまくって——って、あ!
みのり:小学校のイベントの相談しに来たの、 すっかり忘れちゃってた!
遥:あ、そうだね。 ふたりのライブの話が終わったら 切り出そうかなって思ってたんだけど……
レン:イベントの相談?
愛莉:ええ、小学校でイベントをすることになったの。 それで、その企画をまとめたから、 みんなの意見を聞かせてほしいと思って来たの
雫:でも、レンくん達もライブをするのなら、 今は忙しいかしら?
レン:ううん。大丈夫だよ。 僕達のライブも、みんなのイベントも、 力を合わせたほうがきっといいものになるしね
リン:うん! わたしもアイディア出すよっ♪
リン:それで、小学校のイベントって、どんなイベントなの?
愛莉:じゃあ、早速説明するわね! 依頼をしてくれたのは、今度廃校になる小学校で——
愛莉:は~! すっかり話しこんじゃったわね!
雫:でも、リンちゃんとレンくんに たくさん意見をもらえてよかったわね
みのり:うん、相談してよかった!
遥:じゃあ、さっきリン達がくれた意見を 愛莉が作ってくれた資料に取りこんでまとめたら、 早速小学校にメールして——
遥:……あ。小学校から新しいメールが来てる
みのり:え、本当?
遥:うん。依頼を引き受けたから、 お礼のメールを送ってくれたみたい
遥:あ……子供達からのメッセージも 一緒に送ってくれてるよ
愛莉:子供達から? どんなメッセージが来てるの?
遥:『モモジャンのみんなと早く会いたいです』 『しずくちゃんが来てくれるの、とっても楽しみです』……。 ふふっ、喜んでもらえて嬉しいね
みのり:わ……わたし宛てのメッセージもある?
遥:みのり宛ては、えっと……
みのり:……やっぱりまだないかな?
遥:あ、あったよ。 『待ってるね、みのりちゃん!』だって
みのり:や、やった~! 嬉しい~!
遥:あとは……ざっと見ると、愛莉宛てのメッセージが多いみたいだね
愛莉:え、わたし宛て? 見せてもらってもいいかしら?
遥:うん。はい、どうぞ
メール:『あいりちゃんへ!』
愛莉:(ふふっ。わざわざメッセージをくれるなんて、 本当に嬉しいわね)
愛莉:(どんなことを書いてくれてるのかしら)
愛莉:あ……

第 3 话:拭いきれない過去

宮益坂女子学園 屋上
メール:『あいりちゃんへ!』
メール:『わたしは、夜の7時にやっていた “世界ワッハッハTV”が大好きでした!』
メール:『特に、あいりちゃんがやっていた、 バラエティアイドル仮面・ハッピーエブリデイが大好きです!』
メール:『強い人と戦ったり、落とし穴に落ちて泥んこになったりする とってもおもしろいハッピーエブリデイに会えるのが、 今から楽しみです! ワクワクして待ってます!』
愛莉:(あ……)
雫:あら? 愛莉ちゃん、どうかした?
愛莉:えっ? な、なんで?
雫:今、なんだか難しい顔をしてたみたいだから
遥:え、大丈夫?
愛莉:あ、えっと……別にどうもしないわよ? メッセージ読むのに夢中になっちゃってただけ!
愛莉:やっぱりファンの声を見ると 元気が出るわよねー。みのりもそう思わない?
みのり:うん! 明日もがんばろう!って思えるよね!
愛莉:ってわけで、この応援メッセージをアイドルパワーに変換して、 がんばるわよ~!!
遥:……?
遥:(愛莉、なんだか無理してるみたい)
遥:(もしかして、メッセージに何か書いてあったのかな。 愛莉宛てのものは……)
遥:あ……
遥:……ねえ、雫。 ちょっとこっちに来てくれる?
雫:あら? なあに、遥ちゃん
遥:愛莉のことで、少しお願いしたいことがあるの
雫:愛莉ちゃんのことで?
遥:うん。このメッセージなんだけど——
練習後
宮益坂
愛莉:は~。今日の練習もいい汗かいたわね! 企画を練るのも楽しいけど、 やっぱり体を動かすとスッキリするわ!
雫:うん、そうだね
雫:……ねえ、愛莉ちゃん。 ちょっといいかな?
愛莉:ん? 何よ、改まって
雫:さっきね、遥ちゃんと一緒に、 子供達から来たメッセージをもう一度読んでいたの
雫:そうしたらその中に、愛莉ちゃんがバラエティ番組に 出ていた頃のことがたくさん書いてあって……
愛莉:あ……
雫:……愛莉ちゃん、さっきメッセージを読んで、 ちょっと難しい顔してたでしょう?
雫:もしかして、昔のことを いろいろ思いだしていたんじゃないかなって——
愛莉:……もう気にしてないわよ
愛莉:あの時は大変だったし、悩むことも多かったけど、 あれはあれでいい経験になったしね!
愛莉:ともかく今度のイベントは、 子供達のためにがんばるわ
愛莉:それじゃあ、また明日ね!
雫:あ、愛莉ちゃん……
雫:…………
雫:——あ、遥ちゃん。 ええ……ちょうど今、話してみたんだけど、 愛莉ちゃんは大丈夫って……
雫:……でも……
雫:本当に、大丈夫なのかしら……
愛莉の部屋
愛莉:…………はぁ
愛莉:バラエティアイドル仮面・ハッピーエブリデイか……。 懐かしいわね……
愛莉:(元々は、バラエティ番組『世界ワッハッハTV』の、 アイドル達が運動会をするっていう企画に 呼ばれただけだったんだけど——)
愛莉:(借り物競走でわたしが変な仮面を借りてかぶったら、 それが視聴者にやたらとウケちゃったのよね)
愛莉:(それから毎回、なぜかその仮面つけて、 バラエティアイドル仮面・ハッピーエブリデイとして 出ることになっちゃって)
愛莉:(プールの上の浮島を走ったり、 現役の女子プロレスラーと戦うことになったり……)
愛莉:(思えばあの番組だと、桃井愛莉って名乗る回数より、 ハッピーエブリデイって名乗る回数のほうが多かったわね)
愛莉:そりゃ、小さい子はハッピーエブリデイで 覚えるわよねえ……
愛莉:…………
愛莉:(……雫に言ったとおり、あの頃のことが嫌なわけじゃないわ。 むしろ、がんばった分評価されて、素直に嬉しかった)
愛莉:(ただ、あの時のことを思いだすと……)
愛莉:(『あの時のわたしは何を届けられてたのかしら』——って、 そう、思っちゃうのよね)
3年前
商業施設ステージ
愛莉:ついに今日は、QTのファーストシングル リリースイベントね……!!
愛莉:ふふっ、お客さんもちょっとずつ集まってるみたい。 よーし、このスーパーアイドル桃井愛莉ちゃんが、 思いっきり盛り上げて——あら?
QTメンバーA:どうしよう……。 私、すごく緊張してきちゃった……
QTメンバーB:私も……お母さんも見に来てくれるのに、 ミスしちゃったらどうしよう……
愛莉:あ……
愛莉:ねえふたりとも。ちょっと助けてくれない? わたし、今日、すごく大事なことを忘れてて……
QTメンバーA:えっ? 何? 大事なことって
愛莉:ちょっと言いづらいんだけど……。 両手を『つ』みたいな形にして、 親指同士を合わせてもらえない?
QTメンバーB:え? 手を? こ、こう?
愛莉:そう! そのまま胸の前に持ってきて!
QTメンバーA:胸の前に……。ん? これって……
愛莉:——桃井ポーズよ!!
QTメンバーA・B:『……………………』
QTメンバーA:ぷっ、あははは! 愛莉ってば急に何やらせるの~?
QTメンバーB:もう、何かと思ったよー! 急に自分のポーズやらせるとか……
愛莉:アンタ達が暗い顔してるから、 桃井パワーを分けてあげようと思ったのよ!
愛莉:……今回のイベントは、事務所の先輩達もいない。 わたし達だけでやる初のイベントだから、 緊張するのは仕方ないわ。でもね——
愛莉:そんなに緊張したままで、 見に来てくれた人達を笑顔にできるかしら?
QTメンバーA・B:『…………!』
愛莉:わたしは、全力で歌って踊ってしゃべって、 できることぜ~んぶやって、 今日ここに集まってくれたみんなに最高の時間を届けたいの!
愛莉:それでみんなに、よーし明日もがんばるぞー!って、 希望を持ってもらえるような——
愛莉:そんな、スーパーアイドルになりたいの!
愛莉:……ふたりだって、そうでしょ? だったら、こんなところで緊張してられないわよっ!
QTメンバーA:……うん、愛莉の言うとおりかも
QTメンバーB:全力でやらなくっちゃね! ありがとう、愛莉!
愛莉:その調子よ! それじゃあ今日のイベント、盛り上げていくわよー!!
愛莉達:皆さん、こんにちはー!! わたし達、QTです!!
観客達:誰々? アイドル?
観客達:知らないけど、暇だし見ていこっか
愛莉:(まあ、予想してたとおりの反応ね。 まだ知名度もないから当然だけど……)
愛莉:(でも、ここで怯んでるわけにはいかないわ! 空気をあっためないと——!)
愛莉:今日はわたし達のこと、絶対覚えて帰ってもらうので、 皆さん覚悟しててくださいね~!
愛莉:(よしっ、いい感じ!)
QTメンバーA:それじゃ、早速メンバー紹介いってみよう! まずは~、愛莉!!
愛莉:はーいっ!
愛莉:ラブリー☆ フェアリー☆ 桃井~……愛莉~!! みんなのハートをわしづかみ! 桃井愛莉ですっ♪
愛莉:……ん? 今客席から、『ちょっと古くない?』って 聞こえたような気がするわねー?
愛莉:そんなことないわよ! 桃井愛莉は、いつでもフレッシュピーチ!
愛莉:今日はみんなに桃井ポーズを覚えてほしいわ! こうやって手を『つ』の形にして……
QTメンバーB:はーい、時間切れでーす! じゃ、次私ね
愛莉:えっ!? これって時間制限あったの!? 初めて聞いたんだけど!
観客達:なんだあの子、面白いな
観客達:うん、もっとトーク聞きたい!
男性:……へえ
男性:若いのになかなか芸があるな。 ——QTの桃井愛莉か
数日後
マネージャー:愛莉!  バラエティ番組のオファーがきたわ! しかも、ゴールデン!
愛莉:えええっ!? ほ、本当!?
マネージャー:たまたまライブを見た局のお偉いさんが気に入ってくれたのよ。 トークがうまくておもしろい子がいるって
愛莉:……! ついにわたしにツキが回ってきたわね! 精一杯がんばらなくっちゃ!!
QTメンバーA:ええ!? 愛莉、ゴールデンのオファーきたの!? すごい! おめでとう~!
QTメンバーB:愛莉ならきっと活躍できるよ。 頑張ってきて!
愛莉:……みんな、ありがとう! QTのことを知ってもらうためにも、精一杯がんばるわ!

第 4 话:届けられてたのかな

番組のスタジオ
スタッフ:桃井愛莉さん、入られましたー!
愛莉:おはようございます! 今日はよろしくお願いします!
愛莉:(わかってはいたけど、有名な人がいっぱいね……!)
愛莉:(司会の芸人さんも超有名だし、 無名のアイドルがいるなんて、場違い感がすごいわね)
愛莉:(でも、気持ちで負ける気はないわ。台本もしっかり覚えたし、 わたしは、自分の仕事をしっかりやるだけよ!)
司会:というわけで始まりました、『ぶっちゃけトーキング』! 今日のゲストは——素人の桃井愛莉ちゃんです!
愛莉:はーい! 素人の桃井——って誰が素人よっ!
愛莉:わたしはアイドルですっ! アイドルグループQTの、桃井愛莉っ!
司会:あれ? 台本には素人さんって書いてあったんだけどな~
愛莉:ちょっと誰よ台本作ったの! 出て来なさい!  わたしのどのへんが素人なのか、詳しく説明しなさーい!
タレント:あっはっは! 元気のいい子だね!
愛莉:(……び、びっくりしたわ。 最初から台本にないアドリブがくるなんて)
愛莉:(でも、ちゃんとツッコミできたし、掴みはいい感じよね。 ここからは会話の流れに乗って、テンポよくいくわよ!)
数日後
マネージャー:愛莉、見て! またバラエティ番組のオファーがきたわ
愛莉:え? 朝の『おはステ』と『世界ワッハッハTV』……!? どっちもすごい有名番組じゃない!
愛莉:ワッハッハTVのほうは、アイドル運動会企画なのね。 やるのは借り物競走と、大玉転がし……
マネージャー:こんなに注目されるなんて大チャンスね! QTの名前を売るためにも、頑張ってちょうだい
愛莉:(……そうよね。 これをきっかけに、みんながQTを知ってくれたら、 ドームツアーだってできちゃうかも……!)
愛莉:ええ、わかったわ。 わたしに任せて!
3ヵ月後
ロケ現場
愛莉:——みんな、待たせたわね! バラエティアイドル仮面、ハッピーエブリデイよ!
先輩アイドル:わっ! 出た、ハッピーエブリデイだ! ……どこからどう見ても桃井愛莉ちゃんだけど……
愛莉:ハッピー、エブリデイ、よ!
先輩アイドル:うーん、まあ、本人が言い張るならそうなのかなあ
芸人:アイドルもいろんなのがいるな~。 っていうかこれ、アイドルの仕事なのかな?
愛莉:(あ……)
愛莉:——舐めないでちょうだい! お茶の間に笑いを届けるのも立派なアイドルの仕事よ!
芸人:それ、どっちかっていうとオレらの仕事じゃない?
愛莉:もう、うるさいわね! ハッピーアイドルパンチするわよ~!
先輩アイドル:あはは、アイドルがパンチしちゃ駄目だってば
スタッフ:これより、機材チェックのため休憩です!
愛莉:はぁ……あとちょっとでおしまいね
愛莉:(QTのみんなは、今日ミニライブをやってるのよね。 わたしも出たかったけど——)
愛莉:……今はこっちの仕事をがんばらなくっちゃ!
通行人Aの声:ん? なんかこの辺収録やってるね。 ……あ! あそこにいるの、ハッピーエブリデイじゃない?
愛莉:ん……?
通行人Aの声:今ヒマかな? 握手してもらおっかなー!
通行人Bの声:え? ハッピーエブリデイのこと、そんなに好きだったっけ?
通行人Aの声:うーん、まあそこそこ? でも芸能人と握手した、って自慢はできるでしょ♪
通行人Aの声:にしてもあの子、よくあそこまで体張れるよねー。 私だったら絶対無理だよー。恥ずかしくて死んじゃう!
愛莉:あ…………
通行人Bの声:ちょっと……そんなに大きな声で言ったら聞こえちゃうよ
通行人Aの声:え? これくらいなら大丈夫でしょ。 ハッピーエブリデイってみんなにいっつもいじられてるし
通行人Aの声:むしろいじられるのが仕事なんだから、 いじってあげないと可哀想じゃない?
通行人Bの声:うーん……そう言われてみたらそうなのかな……?
通行人Aの声:あ! あっちに芸人いるじゃん! サインもらいに行こうよー!
通行人Bの声:あ、もう! 待ってってば!
愛莉:…………
愛莉:……ううん。 これくらいなんてことないわ
愛莉:わたしは、歌って踊ってしゃべって、 みんなに希望をあげる、そんなスーパーアイドルになるの。 これはそのための大事な一歩よ!
愛莉:だから、これぐらい——
QTメンバーA:ねえ愛莉、大丈夫? 最近すごく疲れてるみたいだけど
QTメンバーB:レギュラーの本数すごいもんね。 朝ロケもあるし、ちゃんと寝てる?
愛莉:……あはは、これくらいは大丈夫よ。 わたし、体力は人一倍あるから!
QTメンバーA:それならいいんだけど……
スタッフ:QT握手会は間もなくスタートいたします! 皆さん、もう少々お待ちくださーい!
愛莉:あ、そろそろ握手会が始まるわね! 笑顔笑顔っと♪
愛莉:(ふふっ、今日は久しぶりにQTのファンに会えるわ!)
愛莉:(いろいろあって悩んじゃったけど……。 やっぱり、これがあるからがんばれるのよね!)
スタッフ:それでは、握手会スタートです。 おひとりずつ列に並んでください
ファンA:愛莉ちゃん、お疲れさま!
愛莉:あ! あなた、前の握手会も来てくれてた、 えーっと……早苗ちゃんよね? 来てくれてありがとう!
ファンA:覚えててくれたんだ! ありがとう~! すっごく嬉しいよ!
ファンA:愛莉ちゃん、最近いっぱいテレビに出てるね! 番組のバンジージャンプ10連発、お腹抱えて笑っちゃったよ! それからコント番組にも……
スタッフ:すみません、時間です!
ファンA:えっと、がんばってね! 応援してるねー!
愛莉:ええ、ありがとう! また会いに来てね!
ファンB:愛莉ちゃん、ハッピーエブリデイ大人気だね! うちのクラスの男子もよくモノマネしてるよ!
ファンC:あの芸人とは普段から仲いいの?
ファンD:あの番組でやった一発芸、最高だったよ! ねえ、ここでもう1回やってくれない!?
愛莉:——来てくれてありがとう!
愛莉:……ええと、スタッフさん。 次の人に入る前に、ちょっと水分とってもいい?
スタッフ:はい、わかりました!
愛莉:……はあ……
愛莉:(……みんな、前はライブの話をしてくれたのに、 今日は番組の話ばっかりね……)
愛莉:(わたしがライブに出られてないから、仕方ないんだけど……)
ファンA:ゆうゆう、久しぶり!
愛莉:あ……
ファンA:このあいだのミニライブ、すっごく良かったよ! 新曲のソロパートも感動しちゃった!
愛莉:(隣の列にいる子、最初にわたしと握手した子だわ)
ファンA:——あのね、私、ゆうゆうのライブ見てると、 明日も頑張ろうって思えるんだ。本当にいつもありがとう!
QTメンバーA:こちらこそ! いつもありがとう!
愛莉:(明日もがんばろうって思える——)
愛莉:わたしは、全力で歌って踊ってしゃべって、 できることぜ~んぶやって、 今日ここに集まってくれたみんなに最高の時間を届けたいの!
愛莉:それでみんなに、よーし明日もがんばるぞー!って、 希望を持ってもらえるような——
愛莉:そんな、スーパーアイドルになりたいの!
愛莉:(……今のわたしは、どうなのかしら)
愛莉:(今のわたしは、みんなに希望を届けられてるのかしら——)
愛莉:……ううん
愛莉:(みんなに笑顔になってもらうのも、アイドルの務めだもの)
愛莉:(思い描いていた姿と違っても、 それでも、これからがんばっていけば、きっと——!)
愛莉の部屋
愛莉:ん……
愛莉:(あ、ゲーム用の小道具を作ってたら、 寝ちゃってたみたい)
愛莉:(……懐かしい夢を見たわね)
愛莉:(あれからしばらくして、 事務所でマネージャーの話を聞いちゃって——)
マネージャー:……はい。そうですね。 やはり愛莉はバラエティタレントとして売り出していきましょう
マネージャー:正直、アイドルとしては十人並みですし。 これからそちらの仕事は減らして……
愛莉:…………
愛莉:……思い出しても、仕方ないわよね
愛莉:今は、今のわたしがファンのためにできることを、 精一杯やらなくっちゃ
愛莉:(——そう、わかってはいるんだけどね)

第 5 话:想いを届けるために

宮益坂女子学園 屋上
遥:——うん! これで振りはバッチリだね
みのり:ふぁ~! ちゃんとできてよかった……!
雫:子供達と一緒に踊れるような シンプルな振り付けですごくいいわね。 ありがとう、遥ちゃん
愛莉:ライブの準備もできたし、ゲームの小道具もそろったし……。 あとは配信でのイベント告知ね!
愛莉:今までやったことない配信になるから、 きっとみんな喜んでくれるわね!
遥:うん、頑張ろう
遥:じゃあ、今日はそろそろ解散しようか。 だいぶ暗くなってきたしね
みのり:はーい!
雫:あ、そうだわ。 今日の帰り、みんなでカフェに寄らない? きっと、疲れが取れてリフレッシュできると思うの
みのり:それなら、わたしがバイトしてるカフェに行こうよ! 期間限定のデザートメニューが出たんだ!
遥:いいね、賛成
雫:ええ、行きましょう! 愛莉ちゃんはどうかしら?
愛莉:あー……わたしは今日はやめておくわ。 ちょっと用があるから
愛莉:みんなは楽しんできて! じゃあね!
雫:あ、愛莉ちゃん……!
みのり:愛莉ちゃん、どうしたんだろう? 用事があるなんて、さっきは言ってなかったのに……
遥:……やっぱり愛莉、あのメッセージのこと、 気にしてるみたいだね
雫:ええ……
みのり:えっ? ふたりとも、どうしたの? メッセージって、なんのこと?
雫:前に子供達のメッセージを読んだでしょう? あの時から、愛莉ちゃん、元気がなかったの
遥:えっと……はい。このメッセージだよ
みのり:……『あいりちゃんがやっていた、 バラエティアイドル仮面・ハッピーエブリデイが大好きです!』
みのり:『強い人と戦ったり、落とし穴に落ちて泥んこになったりする とってもおもしろいハッピーエブリデイに会えるのが、 今から楽しみです! ワクワクして待ってます!』
みのり:なつかしいね、ハッピーエブリデイ! バラエティ番組で、愛莉ちゃんがやってたキャラクターだ!
みのり:でも、どうしてこのメッセージがそんなに気になって……あっ
愛莉:QTにいた頃、わたしに来ていたのは バラエティの仕事ばっかりだったわ
愛莉:“バラエティの桃井愛莉”は、強気で、遠慮がなくて、 何を言われても勢いよくツッコんでいくお笑い要員で……
愛莉:そんな風にしていたら、当たり前なんだけど、 世間からも『そういう子』ってイメージがついたのよね
愛莉:だから、歩いてると酷いこと言われたりもしたのよ。 『愛莉ならツッコむか、笑い飛ばすかしてくれるだろう』 って思われてね
みのり:そうだったんだ……
愛莉:イメージって、本当にすごい力を持ってるわよね
愛莉:……ま、わたしの場合一番しんどかったのは、ファンも事務所も “バラエティの桃井愛莉”を求めたってことなんだけどね
愛莉:“アイドルの桃井愛莉”なんて、 誰も求めてないって言われてるみたいで…… やっぱり、キツかったわ
みのり:…………
遥:愛莉は昔のことは何も言わないし、 もう吹っ切ったのかなって思ってたけど——。 思いだすと、やっぱりつらいんじゃないかなって思うの
遥:バラエティで活躍していた頃の愛莉は、 自分は『アイドル』として求められてないんじゃないかって ずっと苦しんでいたはずだから
みのり:そうだよね……。 そんなに簡単に、吹っ切れるものじゃないよね……
雫:『アイドル』として求められてないかもっていう話も そうなんだけど……
雫:……昔ね、愛莉ちゃん、事務所を変える時に話してたの
雫:『今のわたしは、アイドルとして、 何も届けられてない気がする』って
雫:そんなことないって伝えたんだけど、 でも、愛莉ちゃんはそう思えなかったみたいで……
遥:……そっか
遥:——実は私、昔、愛莉と共演したことがあるの
みのり:え? 本当?
遥:うん。歌番組の中の1コーナーで。 愛莉はVTRでちょっと出てくるだけだったから、 共演とは思ってないかもしれないけど……
雫:聞かせて、遥ちゃん
遥:うん。愛莉は、30秒くらいのコーナーで 他のアイドルの子達の新曲の紹介をしていたの
遥:アイドルをよく知らない人にもわかるように説明しながら、 ちゃんと笑いどころも作って、上手にまとめてた
遥:その時、愛莉のことはあまりよく知らなかったけど……
遥:すごく真面目に、アイドルを頑張ってる子なんだなって思った
雫:そうね……。愛莉ちゃんは、昔から アイドルに対する熱意がすごかったわ
雫:誰よりも真剣に、アイドルを愛していて—— 自分も、そんなアイドルになろうって頑張ってた
遥:うん……
遥:それなのに、愛莉の情熱が届いてないのは悲しいよね
みのり:……愛莉ちゃん……
雫:私達に、何かできないかしら
遥:そうだね。何か、愛莉のためにできることは——
遥:……あ……
雫:どうしたの? 遥ちゃん
遥:……ねえ、ふたりとも。こんなのはどうかな?
愛莉の部屋
愛莉:う~……
愛莉:今日のわたし、ダメダメね……。 あんな風に急いで帰ったら、みんなも心配するじゃない
愛莉:イベントも1週間後なんだから、 しっかりしなくちゃいけないのに……
???:『愛莉ちゃん!』
愛莉:えっ? だ、誰? どこから声が……
レン:『僕だよ、愛莉ちゃん』
愛莉:レン!? どうしたの、急に
レン:『実は、今度やるライブのMCの内容で 少し悩んでるんだ』
レン:『愛莉ちゃんは、MCが得意だって言ってたでしょ? だから愛莉ちゃんの意見を聞かせてほしいなって』
愛莉:あ……
レン:『でも、愛莉ちゃん達ももうすぐイベントがあるし、 もし忙しかったら大丈夫だよ!』
愛莉:……ううん。大丈夫よ。 ちょうど余計なこと考えてたところだったしね
レン:『え?』
愛莉:なんでもないわ! 行きましょ、レン!
ステージのセカイ
リン:あっ! 愛莉ちゃーん! 来てくれてありがとう!
愛莉:ライブのMCで困ってるんですって? わたしでよければ、いくらでも力になるわよ
愛莉:それで……一体どこに悩んでるの?
リン:あのね、レンってばMCの時に カッコつけたことばっかり言うの!
愛莉:え? そうなの?
レン:かっこつけてるつもりはないんだけどな
レン:リンがコミカルなMCばっかりするから、 もっと落ち着いた話をしたいって思ったんだ
レン:僕達はアイドルなんだから、普段の姿を見せながら かっこよく盛り上げられるMCのほうが……
リン:でも、わたし達アイドルなんだし、 みんなで楽しくなれるほうがいいよ!
愛莉:あ~、ふたりとも落ち着いて!
愛莉:ふたりの意見はどっちも間違ってないわ。 だからバランスよくね!
愛莉:ライブで歌う曲との相性もあるし、 どのタイミングにどういうタイプのMCを入れるのがベストか、 一緒に考えていきましょ!
レン:うん! ありがとう、愛莉ちゃん!

第 6 话:アイドルとして

ステージのセカイ
愛莉:——よし! 今話した内容をまとめると、こんなところかしら
レン:……最初はシンプルに僕達の自己紹介をして、 それから少しずつ、ライブの裏話とか、 日常のおもしろい話やミニゲームを入れていくんだね
レン:それで最後はしっかり、感謝の気持ちを伝える——。 うん! これなら盛り上がりそうだね
リン:3つ目のMC、とってもおもしろいね! わたしとレンの早口言葉勝負なんて、 全然思いつかなかった~!
リン:さすが愛莉ちゃんだね! どうしたらこんなこと思いつくの?
愛莉:まあ、昔から鍛えてきたからね
リン:……愛莉ちゃん? どうしたの?
愛莉:あ……えっと、なんでもないわ。 ちょっといろいろ思い出しちゃっただけだから
リン:いろいろって? もし悩んでることあるなら、わたし、話聞くよっ!
レン:うん。僕も助けてもらったんだし、 愛莉ちゃんが困ってるなら相談に乗りたいな
愛莉:……ありがと、ふたりとも
愛莉:じゃあせっかくだし、 ちょっとだけ聞いてもらおうかしら
愛莉:……っていうわけで、ちょっと落ちこんでたの
リン:そうだったんだ……
愛莉:昔のことをいつまでもウジウジ考えてても仕方ないって 頭ではわかってるんだけどね
レン:……愛莉ちゃんは、バラエティ番組に出てた頃の自分は、 あんまり好きじゃないの?
愛莉:え?
愛莉:好きじゃないっていうか……。 何をしてるのか、よくわからなくなっちゃったのよね
愛莉:わたしね、最初はただ、 画面の中でキラキラしているアイドルが好きで、 自分もそんなアイドルになりたいって思ってただけだったの
愛莉:でも、たくさんのアイドルを見ていくうちに、 『ファンのみんなにキラキラした気持ちをあげられる』のが、 アイドルの一番いいところだって思うようになって——
愛莉:それで、『みんなに希望を届けたい』って思うようになったの
愛莉:……なんだけど、バラエティに出てる頃は、 それができてないような気がして……
リン:なんで? バラエティアイドルだって立派なアイドルだと思うけど……
愛莉:ええ、それはそのとおりだわ。 そうなんだけど——
ファンA:——あのね、私、ゆうゆうのライブ見てると、 明日も頑張ろうって思えるんだ。本当にいつもありがとう!
愛莉:(あの時のわたしは、あんな風に言ってもらうことは——)
リン:愛莉ちゃん……
レン:…………
レン:——届けられてたんじゃないかな
愛莉:え……?
レン:僕は、バラエティアイドルの愛莉ちゃんも、 ちゃんと希望を届けられてたと思うよ
愛莉:……どうして、そう思うの?
レン:さっき僕達のMCにアドバイスしてくれた 愛莉ちゃんを見て、そう思ったんだ
レン:愛莉ちゃん、自分のライブでもないのに、 ファンのみんながどうやったら喜んでくれるかって 一生懸命考えてくれたでしょ?
レン:だからバラエティに出てた時も、おんなじように 見てくれる人のために一生懸命だったんだろうなって
レン:きっとどんな形でも、『ファンのために頑張りたい』っていう 愛莉ちゃんの気持ちを感じ取ってくれてた人は、 絶対にいたと思うんだ
レン:『僕のために愛莉ちゃんが頑張ってくれてるから、 僕も明日頑張ろう!』って思えたはずだよ
愛莉:……そう、かしら
レン:もちろん、みんながみんな、 そう思ってはないかもしれないけど……
レン:でも、昔の愛莉ちゃんに希望をもらった人は、 絶対にいたと思うよ
愛莉:レン……
リン:——レン、すごい!
レン:えっ?
リン:わたしもおんなじこと思ってたけど、 どう言ったらいいんだろう~って悩んじゃってたから……。 ちゃんと伝えてくれてありがとう!
レン:……ふふっ。どういたしまして、リン
愛莉:わたしも、ありがとう。レン なんだか気持ちが軽くなったわ
愛莉:今度のイベント、がんばるわね!
レン:うん! 頑張って、愛莉ちゃん!
数日後
宮益坂女子学園 屋上
遥:それじゃあ、そろそろイベントの告知配信を始めようか
愛莉:ええ!
遥:でもその前に——ひとつ聞いてもいい? 愛莉
愛莉:え? なに?
遥:愛莉は、今の自分をたくさんの人に見てほしいって思う?
遥:MORE MORE JUMP!の桃井愛莉として、 歌って踊ってしゃべって——全力でアイドルをしてる姿を、 たくさんの人に見てほしいって感じる?
愛莉:え……? それってどういう——
遥:教えて。 率直な気持ちを知りたいの
愛莉:もちろん、思ってるわ!
愛莉:アイドルは、誰かに見てもらってはじめて、 その人に希望を届けられるんだもの!
遥:——わかった。ありがとう
遥:それじゃあ、配信を始めよう。 みのり、お願いできる?
みのり:うん! じゃあ、ボタンを押して——っと
遥:今日も私達の配信を見に来てくれてありがとう! 実は——今日は、いつもと違う発表があるんだよ
コメント:『え? なになに?』 『発表ワクワク』
遥:その内容とは? ふふっ、これは3人から話してもらうね
みのり:うんっ! まかせて!
みのり:わたし達、なんと! 小学校の卒業式イベントに出させてもらうことになりました~!
雫:もうすぐ廃校になってしまう小学校から、 『最後の思い出作りに、子供達の前でライブをやってほしい』って 依頼が届いたの
コメント:『小学校でライブ!?』 『廃校は悲しいけど、ちょっと羨ましい』 『うちの学校にもモモジャン来てほしい!』
愛莉:当日はライブだけじゃなくて、 子供達といろんなゲームをやるつもりよ
愛莉:わたし達が別々のチームになって戦ったり、 いつもとは一味違う配信になると思うから、 みんな絶対に見てよね!
コメント:『絶対見ます!』 『楽しみ~! 今から待機!』
遥:それから——もうひとつ、特別ライブがあるの
愛莉:えっ、遥? 特別ライブって……
遥:4人でやるライブとは別に——、 愛莉のソロライブをやろうと思ってるの
愛莉:……!
遥:依頼を引き受けたあと、 子供達からたくさんメッセージがきたんだけど……。 愛莉宛てのメッセージが一番多かったんだ
遥:だから、きっと愛莉がソロで歌ったら、 子供達も喜んでくれると思うんだ
コメント:『愛莉のソロライブ、見たーい!』 『愛莉ちゃんの歌声元気出て大好き!』
愛莉:遥……
愛莉:(さっきあんなこと聞いたのって、このため……?)
愛莉:——そうね。みんなに期待されてるのなら、 応えないわけにはいかないわ!
愛莉:みんな、楽しみにしててちょうだいっ! わたしのソロライブ、全っ力でお届けするわよ~!
遥:というわけで、次はスペシャルな配信になるから、 みんな、お楽しみにね!
愛莉:——で、遥。 どうしてわたしのソロライブをするっていう話になったわけ?
遥:さっき言ったとおりだよ。 愛莉宛てに、たくさん子供達のメッセージが届いてたから
愛莉:でもそれは、わたしっていうより——
遥:もし『ハッピーエブリデイ』が好きなだけなら、 子供達は愛莉だけに依頼を出すと思う
遥:でも、私達4人に依頼したってことは——、みんな、 バラエティアイドルのハッピーエブリデイだけじゃなくて、 アイドルの『桃井愛莉』を期待してるんじゃないかな
愛莉:……雫が話したの?
雫:ううん。遥ちゃんが先に気づいてくれたの。 愛莉ちゃんの様子がおかしいって
みのり:あ……あの!!
みのり:わたし、バラエティでしか愛莉ちゃんを知らない子にも、 アイドルとして歌って踊る愛莉ちゃんを もっと見てもらいたいって思ったんだ!
みのり:え、えと、どっちかの愛莉ちゃんしか知らないのって、 もったいないし……!
愛莉:みのり……
雫:私もみのりちゃんと同じ気持ちよ
雫:ハッピーエブリデイの—— バラエティアイドルの愛莉ちゃんが好きな子達に、 もっと知ってほしいの
雫:愛莉ちゃんは——どんな形でも、 みんなに希望を届けられるのよって
愛莉:……はぁ
愛莉:にしたって、相談もなしに いきなりライブ告知するのはやめなさいよね
遥:ごめん、愛莉
愛莉:ま——みんなにやるって言ったからには、 責任もってやらなくちゃね
みのり:愛莉ちゃん……!
愛莉:今日から本番まで、全力で駆け抜けるわよっ!
みのり・遥:『うん!』
雫:あ、それでね、愛莉ちゃん。 ひとつ相談なんだけど……
雫:ソロをやるんだったら——あの曲を、歌うのはどうかしら?

第 7 话:ハッピーエブリデイ登場!

卒業式イベント 当日
体育館
みのり:わ~! あそこにいる子、1年生かな? ちっちゃくてかわいい……!
愛莉:みのり、あんまりステージ袖から顔出すと、 子供達に気づかれるわよ
みのり:あっ、そうだね! そーっと戻って……
遥:みんな、ただいま。 動画配信用の撮影は先生達にお願いできたから、 心配しなくて大丈夫だよ
みのり:わあ、よかった~!
雫:ありがとう、遥ちゃん!
遥:——じゃあみんな、用意はいい?
雫:ええ。最初にみんなでいくつかゲーム。 それから私達4人でライブをして、 最後に愛莉ちゃんのライブよね
みのり:うん! 流れはバッチリだよ!
遥:それじゃあ——いこう!!
愛莉:ええ! みんなの最高の日にするわよ!!
みのり・遥・雫:『おーっ!』
教師:今日はみんなのために、ある人達が来てくれました! ……みんなもメッセージを送ったから、もうわかってるわよね?
子供達:『はーい!!』
教師:それじゃあ拍手で迎えましょう! MORE MORE JUMP!の皆さんです!
子供達:わあ! 本物だー!
女の子:ハッピーエブリデイもいる~! すごーい!
Tシャツの男の子:ハッピーエブリデイは別にすごくないだろ。 テレビでもバカみたいなことばっかしてたじゃん
内気そうな女の子:そ、そんなことないよ……
遥:みんな、こんにちはー! 私達、MORE MORE JUMP!です!
みのり:こんな大事な日にわたし達を呼んでくれて、 本当にありがとう!
雫:今日は一緒に、たくさん楽しい思い出を作りましょうね
愛莉:それじゃあ早速——みんなで楽しくゲームしましょっ!
愛莉:まずは、チーム対抗の鬼ごっこよ! 最初はみのりのチームと、遥のチームが対戦ね
愛莉:鬼はひとりだけだけど、どーしても捕まえられなかったら、 鬼役を同じチームの人にお願いして渡すこともできるわ
雫:それから、1年生の子を捕まえると1点、6年生なら6点 っていう風に、高学年の子を捕まえるとたくさん点が入るのよ
みのり:そして、リーダーのわたしか遥ちゃんを捕まえると、 なんと10点入ります!
子供達:すごーい!
遥:足が速い子は高得点のチャンスがあるけど、 私達も簡単に捕まったりしないからね?
みのり:みんな、一緒にがんばろーう!
愛莉:じゃあみんな、始めるわよ! よーい……スタート!
みのり:み、みんな足が速いー! どうしようー!
女の子:みのりちゃん、捕まえたーっ!
みのり:ひゃっ! 捕まっちゃったぁ~
雫:これで遥ちゃんチームに10点ね
遥:みんな、この調子で頑張ろうね!
子供達:『はーい!』
愛莉:はい、結果発表! みのりチーム対遥チームの対戦結果は……
愛莉:33対65で、遥チームの勝ちよ!
遥チームの子供達:やったー! 遥ちゃんありがとうー!
遥:ふふ、みんなが頑張って走ったからだよ。 ナイスファイト!
みのり:ううう……みんなごめんね……
男の子:ドンマイドンマイ。 みのりはがんばったって!
女の子:そうだよ! みのりちゃんお疲れさま!
みのり:み、みんなが優しい……! ありがとう~!
遥:それじゃあ次は、愛莉チームと雫チームだね
雫:みんな、頑張りましょうね!
愛莉:わたし達も負けてられないわよ! 力を合わせて勝ちましょう!
子供達:『はーい!!』
愛莉:って、なんでわたしばっかり追いかけられるのよ~!
子供達:ハッピーエブリデイを捕まえろ~!
見ている女の子:いいなー! 私もあいりちゃんと鬼ごっこしたい!
見ている男の子:ワッハッハTVの運動会スペシャル、 すっごいおもしろかったよね!
みのり:わあ……! 愛莉ちゃん、大人気だね
遥:本当だね。 子供に人気だってことはわかってたけど、 こんなにすごいなんて
愛莉:はぁ……はぁ……! もう、こんなにわたしを追いかけてくる子が多いなんて!
愛莉:(……やっぱりこの子達みんな、 あの時のわたしのこと、テレビで見てたのよね)
愛莉:(あの時のわたしを見て、好きになってくれたんだったら——!)
愛莉:……ふっふっふ! わたしは、それくらいじゃ捕まらないわよ! それどころかまだまだ余裕っ!
愛莉:見なさい! ——ハッピー反復横跳び~!!
みのり:あーっ! 生のハッピー反復横跳びだ!
遥:ハッピー反復横跳び……? よく知らないんだけど、これは……?
みのり:ハッピーエブリデイの得意技なの! 自分のアイドル体力をアピールしたり、 アイドルの敵を挑発する時にやるんだよ!
遥:敵を、挑発……?
雫:また見られるなんて思わなかったわ……!
愛莉:まだまだ速くなるわよ~! これでも捕まえられるかしら!?
愛莉:……あ! 足がもつれて……きゃわーっ!
女の子:ハッピーエブリデイ、捕まえたー! やったー!
愛莉:あいたたた……まさか自滅しちゃうとはね……
雫:愛莉ちゃん! 大丈夫?
愛莉:……う~ん、ちょっと無理そう。 ねえ雫、立つの手伝ってもらえないかしら?
雫:ええ、もちろんよ! ……あら?
愛莉:——はい、タッチ! うちのチームにプラス10点ね♪
雫:あ、愛莉ちゃんってば……もう~! 私も負けないからね!
愛莉:さあみんな! 次は逃げる番よー! ハッピーエブリデイについてきなさーい!
子供達:『はーいっ!』
みのり:じゃあ、最後の問題です! ででん!
みのり:『校長先生の名前は、中野陽子さんです』。 さあ、マルかな? バツかな~?
雫:……みんなマルね? それじゃあ結果は——
愛莉:マルよ! みんな大正解ね、おめでとう!
子供達:やった~!!
遥:——これでゲームは全部終わりだね
みのり:はぁ……いっぱい走り回ってもうヘトヘトだけど……。 最後のライブ、がんばらなくっちゃ!
雫:愛莉ちゃんは、大丈夫? 4人で歌ったあと、ソロ曲もあるけど……
愛莉:ええ、もちろん大丈夫よ! わたし、体力は人一倍あるからね!
愛莉:それに——あの曲を歌えるんだもの。 フルパワーで歌わなくっちゃね!
遥:さあ、みんなも一緒にやろう! せーの……
みのり:モアモア、ジャーンプ!!
子供達:『ジャーンプ!!』
女の子:いっぱいジャンプ楽しいー!
男の子:僕、今すっごく高く飛べたよー!
遥:みんなー! 残念だけど、もうすぐライブは終わりだよ! 最後の曲を聴く準備はできた?
男の子:えー! もう終わっちゃうの~?
雫:終わっちゃうのは、私達も寂しいわ。 でも——最後は、みんなの大好きな愛莉ちゃんが いっぱい歌ってくれるわ!
女の子:ハッピーエブリデイのライブ?
Tシャツの男の子:ハッピーエブリデイがひとりで歌うの? じゃあ、なんかヘンな曲なんじゃない?
みのり:もうすぐ準備ができるから、 ちょっと待っててね!
遥:——愛莉、用意はいい?
愛莉:ええ、いつでも大丈夫よ!
愛莉:昔も、今も、全部ひっくるめて、 最高の桃井愛莉を見せてあげるわっ!

第 8 话:“アイドル”の桃井愛莉

体育館
愛莉:みんなー! 今日はわたし達を呼んでくれてありがとう!
愛莉:この学校とお別れしても、みんなが学校の思い出を胸に 明日もがんばれるように……! 想いをこめて歌うわ!
愛莉:みんなも一緒に、盛り上がりましょーう!!
愛莉:♪ ~~~~! ~~~~!
男の子:わ……!
女の子:かわいいー! ウキウキする歌だね!
Tシャツの男の子:……ふーん
Tシャツの男の子:ハッピーエブリデイって、ちゃんとアイドルじゃん
愛莉:みんなも一緒に! 手を上にあげて振るわよ~!
雫:……ふふ
遥:——いい曲だね。 QTで愛莉が歌うはずだったソロ曲
みのり:雫ちゃんが曲の許可までもらいに行くって言った時は すっごくびっくりしたけど……本当にいい曲だね! 愛莉ちゃんにぴったり!
雫:レコーディングの途中で事務所がタレント転向を言いだしたから、 お蔵入りになっちゃってたんだけど……
雫:でもこの曲は、愛莉ちゃんがつらい時も、 QTのことを思って頑張って…… そうやってもらったソロ曲だったから
雫:きっと、一度は歌いたかったと思うの
遥:——頑張れ、愛莉
愛莉:♪ ~~~~! ~~~~!
愛莉:(……わたし、わかってるつもりで、 全然わかってなかったのね)
愛莉:(バラエティアイドルだって、立派なアイドルだって 思ってるつもりだったけど)
愛莉:(どこかで、アイドルはステージに立って、歌って、踊ってこそ、 希望を届けられるアイドルだって思ってたみたい……)
愛莉:(でも実際はそうじゃない。 笑われたって、ステージに立てなくたって)
愛莉:(アイドルは——希望を届けられる!)
愛莉:♪ ~~~~! ~~~~!
遥:それじゃあみんな、カメラマンさんのほうを向いてね。 ——お願いします!
カメラマン:はーい、笑って笑って……チーズ!
子供達:モモジャンからも卒業アルバムもらえるんだよね!
子供達:早くほしいな~!
愛莉:……ふぅ。 これで今日やることは全部終わったわね
愛莉:あとは子供達とバイバイして、 動画を撮ってくれた先生がたへお礼に……
内気そうな女の子:あ、あの……
愛莉:あら、どうしたの?
内気そうな女の子:え、えっと……その……!!
内気そうな女の子:わ、わたし、ハッピーエブリデイのファンなんです! 先生にお願いしてメッセージも送ったんですけど……
愛莉:え?
愛莉:もしかして、あのメールの……?
内気そうな女の子:きょ、今日は来てくれてありがとう! ハッピーエブリデイ!
内気そうな女の子:……わたし、お父さんもお母さんも遅くまで働いてるから、 夜はおうちにひとりぼっちなの
内気そうな女の子:でも、テレビでハッピーエブリデイを見ると、 さみしいのも大丈夫だったんだ
内気そうな女の子:元気がでない時も、ハッピーエブリデイのこと考えたら、 いっぱい元気がでたの!
愛莉:あ…………!
愛莉:……そう。 そうなのね
愛莉:——フッフッフ! バラエティアイドル仮面は、がんばるみんなの味方!
愛莉:また苦しくなった時は、いつでもわたしを見にきて! 絶対、明日も元気にがんばろう!って気持ちをあげちゃうわ!
内気そうな女の子:うんっ! ありがとう、ハッピーエブリデイ!
内気そうな女の子:あ……あとね
愛莉:ん? なあに?
内気そうな女の子:アイドルの愛莉ちゃんも、とっても素敵だったよ!
愛莉:あ、ありが……
愛莉:あ……!
内気そうな女の子:愛莉ちゃん、大丈夫!? どこかぶつけちゃった?
愛莉:あ、ううん! 大丈夫よ! どこもぶつけてないわ!
愛莉:全然痛くなくって、それどころか……
愛莉:——すっごく嬉しいの!
愛莉:だから本当に——ありがとう!
イベント後
宮益坂
愛莉:は~! 今日は楽しかったわね~!
遥:うん。配信も盛り上がってたみたいでよかった
みのり:そうだ! 次の配信は、今回のイベントの裏話もしようよ!
雫:それはいいわね。 動画には入りきらなかった子供達とのお話をたくさんしたいわ
みのり:最後の愛莉ちゃんと、愛莉ちゃんのファンの子の話も、 みんなに聞いてもらいたいな~!
愛莉:ちょ……! さすがにそれはいいわよ!
愛莉:……でも……
愛莉:レン達が言ってくれたとおりだったわ
愛莉:ちゃんと届けられていたのね。 ——あの時のわたしも
雫:私も、ハッピーエブリデイの愛莉ちゃんが大好きだわ
雫:だって、私にいっぱい希望をくれたもの!
愛莉:……ふふ。ありがと、雫!
愛莉:よーし! これからも、じゃんじゃん希望を届けるわよ~!!
遥:希望をじゃんじゃんって、 ちょっと変な感じだけど……
遥:でも——愛莉が元気になって、よかった
みのり:うんうん! それに、初めてイベントの企画をやったけど すっごく楽しかった!
みのり:またこんなイベントをやりたいなあ……!
愛莉:みのり、そこは『やりたい』じゃなくて、 『絶対やってみせる』よ!
愛莉:わたし達で、ファンのためにやりたいことを、 いーっぱいやっていきましょう!
みのり:——うんっ!
愛莉:それじゃあ、明日からはもーっとがんばるわよ~っ!
みのり・遥・雫:『おーっ!』