活动剧情
マーメイドにあこがれて
活动ID:32
第 1 话:宣伝大使、始動!
フェニックスワンダーランド
ワンダーステージ
寧々:はぁ。久しぶりに映画部の活動があったから、 ちょっと遅くなっちゃったな……
寧々:みんなもう練習始めてるよね……ん?
司:う、うおおお!! これは跳ねすぎじゃないか~!?
えむ:わわわっ! すっご~い! あの服を着ると、こんなにジャンプできるんだね!
類:フフフ。このスター養成スーツは、改良を重ねた結果、 ステージの屋根くらいまではジャンプできる ようになったんだよ
司:ぬおお! これはどうやって止まればいいんだ!? どうにかしろ、類~っ!!
寧々:……はぁ。 全員通常運転って感じ
寧々:——みんな、おまたせ
えむ:あっ、寧々ちゃーん!
類:やあ、思ったより早かったね。 部活はもう終わったのかい?
寧々:うん。活動報告書作ってただけだから。 それよりあいつ……
司:どうやって止めるのか、早く教えろ~!!
寧々:……うるさいから、さっさと止めてくれる?
司:うっ……まだ世界が上下に揺れている……
寧々:それじゃ、司も地面に立ったことだし、 練習始めよっか
司:おい! もっとオレの心配をしろ!!
寧々:うるさ……。そこまで元気なら大丈夫でしょ。 早く練習を——
えむ:あっ、寧々ちゃん! 今日は練習の前にお話がありまーすっ!
寧々:話?
類:ああ、そうだね。 そろそろ約束の時間のはずだけど——
類:おっと、到着したようだね
寧々:え? 到着って一体誰が……
寧々:あっ! あれってえむの——
えむ:お兄ちゃ~ん! ようこそいらっしゃ~いっ♪
晶介:うおっ! おい、急に突撃するなって言ってるだろうが!
司:うむ……何やら親近感がわくな……
寧々:えむのお兄さん達が来たってことは…… 話ってもしかして、前に言ってた宣伝大使のこと?
慶介:ああ、そのとおりだ
慶介:改めて依頼させてもらおう。 君達にはこのフェニックスワンダーランドの宣伝大使として、 外部でプロモーション活動を行ってもらいたい
司:ああ! オレ達が見事に宣伝してみせようではないか! ドーンと大船に乗ったつもりでいてくれ!
類:ですがその前に、ひとついいですか? プロモーション活動が必要ということはわかりますが、 何故『宣伝大使』という形なんでしょうか?
類:当初は、SNSでの宣伝に重きを置く予定でしたよね。 それがなぜ外部で宣伝活動をする方向に変わったのか 理由が気になりまして
慶介:ああ、それはターゲットを変更したからだ
寧々:ターゲットを……?
晶介:幸い、お前らがあのショーをバズらせてくれたおかげで、 若年層にはかなりアピールできたからな
晶介:そこで今回のターゲットは、地方に住む層になった
晶介:うちはシブヤのど真ん中にあって立地がいい。 だから都市部の客はよく来てくれるんだが、 地方からは客があまり来ないんだ
慶介:これは、他のテーマパークと比べて有名なIPがないのが原因だ。 端的に言うと——地方から、うちにあえて『行こう』と思って もらえるようなフックがない
慶介:今回のライリー社との提携でいくらか解消は見込めるが—— 既存の有名IPに頼りきらない、という方針を打ちだすことにした 我々としては、やはりさらなるフックが必要だ
類:——なるほど。 SNSで話題になった僕らを“顔”にしようということですか
慶介:ああ。『あのショーを作ったのはワンダショという劇団の 高校生達らしい』という噂も流れて、 君達の知名度は上がっているからな
慶介:そして——先日の会議により、 最初に行ってもらう場所が決まった。 今日はその詳細を話そうと思う
司:おお! ついに未来のスターたるオレが 向かう地が決まったか!
えむ:やった~!! それでそれで? どこに行けばいいの、お兄ちゃん!
慶介:今回は、『フェニックスリゾートオーシャン』に 行ってもらいたい
寧々:えっ!? フェニックスリゾートオーシャンって、 あの、高級ホテルの……!?
類:なるほど。鳳グループ傘下のフェニックスホテルズ&リゾーツが 運営しているホテルなら、こちらとしても融通が利くので 助かります
寧々:な、なんか類詳しくない?
類:フフ。前のショーを考えている時に、鳳グループの 会社については調べていたからね
司:高級リゾートホテル——まさにスターにふさわしい場所だな!
寧々:でも、高級ホテルに来る人と、遊園地に来る人って、 客層あんまり合わない気がするんだけど……
慶介:それに関しては問題ない。 今回ターゲットにする主な層はホテルの宿泊客ではなく、 海に来ている観光客だ
司:む? どういうことだ?
慶介:フェニックスリゾートオーシャンに併設されている 浜辺のステージは、立ち入り自由な屋外のステージだ。 そのため多くの観光客が訪れる
慶介:君達には、フェニックスワンダーランドの主な層である 家族連れをメインに据えつつ、幅広い層を取りこめるような ショーを上演してほしい
司:なるほどな。 浜辺のステージか……どんな場所なのか楽しみだな!
類:そのステージなら、少しだけ知っているよ。 海や浜辺に直接つながっているんだ
類:普段とはまた違った演出ができそうだねえ……フフフ
えむ:そっか! 海でショーができるんだー! やった~!! ザッパ~ン!!
晶介:おい、はしゃぎすぎて目的を忘れるなよ。 お前らは宣伝に行くんだからな
司:わかっている! 必ずや最高のショーをしてみせるぞ!!
慶介:公演期間は3日間を予定している。 午前中と午後の1日2回、計6回の公演になる
慶介:次に、使える設備についてだが——
寧々:…………
寧々:(まさか、泊まりがけで3日間もショーを やることになるなんて……)
寧々:(宣伝大使っていっても、地域のお祭りとか、 そういう小さなイベントに日帰りで行くだけかと 思ってたのに)
寧々:(……ちゃんと宣伝できるかな。 ずっとここでショーをやってきたけど、 外でやるってなるといろいろ変わってくるし……)
類:おや? どうしたんだい寧々。 心配そうな顔をして
寧々:え、あ、別に……
類:何を心配しているかはわからないけれど—— きっと杞憂にすぎないさ
類:僕達は何百人もの観客を前に、フェニックスワンダーランド そのものを大きく変えるショーまでやり遂げたんだ
類:今更、外でショーをやるくらい、 どうってことないだろう?
寧々:…………!
寧々:……ま、それもそっか
寧々:(みんなであれだけのショーをやれたんだから、 場所が変わっても、きっとちゃんとできるよね)
慶介:演目については、先程も伝えたが 子供から大人まで楽しめる、 明るくライトな内容にしてもらいたい
慶介:その点を押さえてもらえれば、 あとは自由にしてもらって大丈夫だ
晶介:って言っても、あんまりおかしな内容にするんじゃないぞ。 お前達ならやりかねないからな……
類:おかしな内容……。 それは、『おかしなこと』の定義にもよりますね
晶介:もう既に怪しい予感しかしないな……
司:——うむ。浜辺のショーステージで、みんなが楽しめる 明るいショーをし、フェニックスワンダーランドを 宣伝するということだな。しかと承った!
司:オレ達ワンダーランズ×ショウタイムが、 見事、宣伝をやり遂げてみせよう!
えむ:うん! あたし達でい~っぱい盛り上げて、 お客さんをどど~んって連れてくるね、お兄ちゃん!
慶介:……そうか。期待しているぞ、えむ
司:さて、それでは早速演目を決めるとしよう! 各自、アイディアはあるか?
えむ:はーい! いつもと違って海があるから、 みんなでお魚さんになって、海を冒険するお話とかどうかな!?
司:海か……なら、海賊の話なども面白そうだな! 砂浜に宝を埋めて宝を探すのだ!
類:うん、海と砂浜が目の前にある状況を十分に活かせそうだね
類:寧々は、何か海でやってみたいことはないかい?
寧々:海か……。 海ならわたしは……
寧々:ちょっとベタなんだけど、 人魚姫……かな
司:人魚姫か。うむ、それも悪くないな
えむ:寧々ちゃん、人魚姫が好きなの?
寧々:うん。小さい頃に類と人魚姫のショーを見たんだけど、 その時人魚姫の役をやっていた俳優さんが すごく素敵な歌を歌ってて……それからずっと好きなんだ
寧々:その俳優さんがきっかけで、わたしはショーをやりたいって 思うようになったしね
寧々:(懐かしいな。あの頃のわたしは……)
幼い寧々:(うわあ……! すごいお客さん!)
幼い寧々:(人魚姫のおしばい、楽しみだなあ。 どんな感じなんだろう?)
幼い寧々:(あ、はじまる……!)
第 2 话:思い出の中の人魚姫
人魚姫:『——とても素敵な景色だわ。 ここには、美しいサンゴも、かわいい魚達もいる』
人魚姫:『でも……私はやっぱり、あの人に会いたい。 嵐の夜に出会った、あの人に——』
人魚姫:『あの人に会いに、陸に行く? でも……怖いわ』
幼い寧々:…………
幼い寧々:(……ずっと海でくらしてたら、 陸に上がるのはきっとこわいよね)
幼い寧々:(わたしも、新しいおうちにひっこしする時は、 とってもこわかったし……)
幼い寧々:(類がおともだちになってくれたけど、 学校でも、おともだちできるかな……)
幼い寧々:(新しい学校行くの、こわいな……)
人魚姫:『……ううん。怖がってばかりいちゃダメ』
幼い寧々:え?
人魚姫:『未知の世界へ飛びこむのはとても怖いけれど、 恐怖に負けてどこにも行けないのは、もっと嫌!』
人魚姫:『私は、陸に行くわ! あの人に会いに——!』
人魚姫:『♪————!』
幼い寧々:…………!
幼い寧々:(すごい、きれいな歌……。 それに……)
幼い寧々:(むねがジーンってする……!)
フェニックスワンダーランド
ワンダーステージ
寧々:その『人魚姫』の歌があったから、 わたしは、舞台の上で歌いたいって思うようになったんだ
類:フフ、懐かしいねえ。あの頃の寧々は 人魚姫ばかり演じていたものだよ
類:魚と話す練習だと言って川のメダカに話しかけた時は びっくりしたねえ
寧々:そ、それは言わなくていいでしょ……!
司:ハッハッハ! 子供らしくていいエピソードだな!
えむ:うんうんっ! ちっちゃい頃って お魚さんや動物さんとお話したいって思うよね~!
寧々:……うう
寧々:と、とにかく、わたしは人魚姫のショーを見てから 芝居をするようになったの
寧々:それから、人魚姫の役をしていた俳優さんの舞台も よく見に行くようになったんだ
司:そうだったんだな。 ちなみに、その俳優はなんという人なんだ?
寧々:風祭夕夏さんって言うの。 ミュージカルに出ることが多いけど、 昔はテレビにも出てたから、知ってるかも
司:ああ! その人ならば聞いたことがあるぞ! たしか今は、海外の劇団にいるとか……?
寧々:うん。今はアメリカに住んでて、 世界中のいろんな舞台に立ってるんだ
寧々:だから、日本の舞台にはあんまり立たないんだけど……
寧々:今年、久しぶりに日本に戻って公演をやるみたいで、 今から楽しみなんだ
類:ああ、たしかそうだったね。 ……そういえば、その公演の会場は、 鳳リゾート近くのホールじゃなかったかな?
寧々:あ、そうだね
えむ:えー!? じゃあ、寧々ちゃんの好きな俳優さん、 みんなで見に行けるかもしれないの!?
司:おお、そうなのか! 宣伝大使の公演と重ならない時間ならば、 見に行けるんじゃないか?
寧々:そうできたらいいんだけど……。 そっちの公演日はもうちょっと先だから、さすがに見れないかな
えむ:そっかー……残念~!
えむ:でもでもあたし、寧々ちゃんのお話聞いてたら、 人魚姫やりたくなってきたよー!
寧々:影響受けるの早すぎない?
司:いや、今回ばかりはオレもえむと同じ意見だ。 浜辺のステージにぴったりだしな!
類:そうだね。人魚と人間を結ぶ浜辺という場所で ショーをやるのは、とてもロマンがあると思うよ
えむ:それじゃ人魚姫に——あ!
司:な、なんだ?
えむ:でも、童話の人魚姫って最後悲しくなっちゃうんだよね。 泡になっちゃって……
司:うむ……たしかに、悲劇となると今回の宣伝に求められている 幅広い層に届けるショーとはズレてしまうな……
寧々:まあ、それはそうだよね……
類:——なら、人魚姫をオマージュした内容に するのはどうかな?
司:人魚姫をオマージュ?
類:ああ。人魚姫を下敷きとして、 新しい物語を作るんだ
類:有名な作品だから大きくアレンジをしてもわかりやすいし、 子供だけじゃなく、既に話を知っている大人も 楽しめると思うよ
寧々:あ、たしかに……
司:そうだな、いいアイディアだ! 人魚姫になぞらえたショーならば、途中から見に来た観客も とっつきやすいだろうしな
えむ:うん! あたしもやってみた~い!
類:フフ、ありがとう。 寧々はどうだい?
寧々:……別にそこまでして 人魚姫にしなくてもいいのに……
寧々:でも……ありがと。 わたしもやってみたいな
司:では決まりだな! 初の宣伝大使の演目は、人魚姫をオマージュしたものにしよう!
寧々:(……みんなで、人魚姫を……)
寧々:(ふふっ、今から楽しみだな)
ワンダーランドのセカイ
KAITO:人魚姫をオマージュするなら、 こういう展開もありかもしれないね。 例えば……
類:……ああ、たしかにそれは意表を突いた展開だね! 選択肢に加えさせてもらうよ、カイトさん
ミク:あっ、ミクが人魚姫だったら、 陸に上がってピチピチしたいなー! お魚さんだし!
寧々:お魚さんじゃなくて人魚だってば
司:台本ができたぞー! お前達との話しあいを元に、類と試行錯誤した自信作だ!
えむ:ふむむ……! ふわ~! 元気いーっぱいな人魚姫だね!
寧々:ふふっ。元々の人魚姫とは全然違うし、 賑やかすぎるけど……
寧々:わたし達には、こっちの人魚姫の話が ぴったりな気がする
類:フフ、それはよかった
司:それじゃあ気合いを入れて 練習していくぞー!
寧々・えむ・類:『おー!』
えむ:『こうして人魚達は、 みんなと仲良く暮らしたのでした!』
ネネロボ:『メデタシメデタシ!』
ミク:わ~~~!
リン:とっても楽しくってかわいくって ウキウキなショーだね~♪
寧々:ありがと、ミク、リン
司:ハッハッハ! またしてもこの未来のスターに ふさわしいショーができてしまったなぁ!
類:みんな、完璧なとおし稽古だったよ。 これなら浜辺を大いに盛り上げられるだろうね
えむ:海に来たお客さん、 いっぱい楽しんでくれるといいな~♪
MEIKO:それにしてもびっくりしたわ! 人魚姫からこんなお話を考えつくなんて!
レン:うんっ! こんなにワイワイして楽しい人魚姫、初めて見たよ!
KAITO:お客さん達もきっと喜んでくれると思うよ。 本番も頑張ってね!
寧々:ふふ、ありがとう。 みんなで考えてよかったな
リン:あ、あのね、ルカ! リン達も人魚のショーやろうよ☆ きっと楽しいと思うんだ~
ルカ:そうねえ。人魚は水の中をフワフワ~ってできるから、 とっても気持ちよさそうねえ
ルカ:水の中でゆらゆらしているのを想像するだけで ………………ぐー
MEIKO:あ、ちょっとルカー! おーきーなーさーい!!
ルカ:あら? おはよう、めーちゃん♪
ルカ:ところで……このショーは、 海でやるのよね?
類:ああ。海沿いのホテルに併設されている、 浜辺のステージで上演する予定なんだ
ルカ:白い浜辺……打ち寄せる波……。 それにキラキラした日差し……
ルカ:うふふ、とってものんびりできそうで素敵だわ~
KAITO:あはは、そうだね。 のんびりするにはもってこいの場所じゃないかな
ルカ:……ねえ、もし時間があったら、 わたしにも海を見せてもらえないかしら?
寧々:うん。もちろんいいよ
寧々:1日目と2日目は忙しいと思うけど、 最終日は夕方くらいには片づける予定だし、 それくらいの時間ならとれると思うから
ルカ:本当? 嬉しいわ~♪
MEIKO:よかったわね、ルカ!
MEIKO:そういえば……みんなは明日の準備、もうできてるの?
司:おっと、そうだな。 そろそろ帰って支度をせねば
えむ:うん! それじゃあ、また明日ね~!
寧々:うん、頑張ろうね
翌日
浜辺
寧々:わあ……綺麗……!
類:ああ、素晴らしい景色だ。 それに潮の匂いが心地いいね
えむ:うわ~~~~!! 海だ~~~~!! 海だ海だ海だ~!!
司:ええい、嬉しいのはわかるが落ち着け!
司:というかえむ。ずいぶんはしゃいでいるが、咲希達と一緒に 臨海学校で海に行ったばかりじゃなかったか?
えむ:うん! 臨海学校、キラキラルンルンで とーっても楽しかったよ!
えむ:でもみんなと来ると……えーっとキラキラワクワクで……。 わんだほいカーニバルなの!!
寧々:……ふふ、何それ
類:ああ、あちらに見えるのがステージだね。 うん。もらった平面図どおりだ
類:それじゃあ早速大道具を設置していこうか。 朝のリハーサルが済んだら、すぐ本番だからね。 テンポよくやっていこう
司:おうっ!
第 3 话:サマー・ショウタイム!
浜辺のステージ
観光客:あー、泳いだ! ん? あんなところに人が集まってるけど……なんだろう?
観光客:何かイベントでもやるのかな
ナレーション:これより、フェニックスワンダーランドの特別出張公演、 『人魚王子と人魚姫達の冒険』を上演いたします
観光客:へー……泳ぎ疲れたし、休憩がてら見てみる? つまらなかったら途中で抜ければいいし
観光客:それもそっか。 じゃ、行ってみよう!
人魚王子:『ふわぁ……。今日もいい天気だな。 波は穏やかだし、風も気持ちがいい』
人魚王子:『人魚の国の王子として、国に問題がないことは とても喜ばしいことだ。だが——』
人魚王子:『とてつもなくヒマだ!!』
人魚王子:『何か面白いことでも起きないものか。 宝が流れついてくるとか……』
下の人魚姫:『バシャバシャバシャバシャー! おにいさまーっ!』
人魚王子:『うわっ! なんだ……下の人魚姫か。 急にどうしたんだ?』
下の人魚姫:『ふっふっふ! あのね、陸からおもしろいものが流れついてきたのっ!』
人魚王子:『面白いもの……? これは——本か?』
人魚姫:『……ふぅ。今日もいい天気。 波は穏やかだし、風も気持ちがいいし』
人魚姫:『陸の人間はあくせく働いてるみたいだけど、 わたし達人魚はのんびりできるから最高だな……ん?』
人魚王子:『上の人魚姫ー!!』
下の人魚姫:『おねえさまーっ!』
人魚姫:『えっ!? ちょ、ちょっと! 急にサンゴ礁の部屋に入らないでっていったでしょ! わたしはダラダラ……のんびりするのに忙しいの!』
人魚王子:『そんなことよりこの本を見ろ!』
人魚姫:『何これ……“人魚姫”?』
人魚姫:『ええと……陸の人間に恋をして、 声と引き換えに足をもらって……泡になる?』
下の人魚姫:『これを読んでね、あたし達、思ったの! 陸に行ってみたいって!』
人魚姫:『……はあ? この本読んで、なんでそうなるわけ?』
人魚姫:『これ、頑張っても人間とわかりあうことなんてできないし、 最後はひどい目に遭うって教えてくれてる本でしょ』
人魚姫:『それに人間は、人魚をつかまえて、 高く売ろうとする……なんて言われてるし』
下の人魚姫:『でもそれは絵本だからだし……、 行ってみたら楽しいかもしれないよ!』
下の人魚姫:『ほら! こっちの人魚姫は、ダンスパーティーしたり、 おいしいものいーっぱい食べたりしてるし!』
人魚王子:『そうだ! オレ達が知らないだけで、 楽しいことが山のようにあるかもしれんぞ!』
人魚姫:『で、でも……陸に行こうって言っても、 わたし達の足は人間とは違うし……』
人魚王子:『それなら、はずれの海峡に不思議な薬を作っている人魚が いるという噂を聞いたから、そいつがどうにかできないか 聞いてみないか?』
人魚姫:『ええ? あんな誰もいないところに住んでる人魚、 絶対怪しいでしょ……』
人魚王子:『まあ、たまにはつきあえ! どうせいつも部屋に引きこもって 貝がらのゲーム三昧なんだろう?』
下の人魚姫:『一緒に行こう行こう~♪』
人魚姫:『ちょ、ちょっと! ふたりとも、私の話を聞いてってば~!!』
観光客:あははっ! 楽しそうなショーだね!
観光客:うん、もうちょっと見てみよっか!
タコの人魚:『いやあ、いらっしゃい! 僕の家に誰か来るなんて何十年ぶりかなあ?』
タコの人魚:『聞けば、人間の足がほしいんだってね? それじゃあこの薬をぐぐいっと飲むといいよ♪』
人魚王子:『むぐ……むぐ……! 思ったよりまずくはないな』
下の人魚姫:『あーっ! 尾びれがピカピカ光ってるよ!』
人魚姫:『え? 本当に人間の足が生えるの……!?』
人魚王子:『……うわ~!! 足は生えたが、鱗だらけじゃないか!』
人魚姫:『は、半魚人……?』
タコの人魚:『おや、こっちの薬じゃダメだったみたいだね。 それじゃあこっちの薬を……いや、こっちは体がタコみたいに ぐにゃぐにゃになる薬だったかな?』
タコの人魚:『あ、この薬もあげよう。 すごく大変なことになったら飲むといいよ。 普段はあんまりオススメしないけどねえ』
人魚王子:『お前の薬、本当に大丈夫なんだろうな!?』
人魚王子:『ついに人間の街に到着だー!』
下の人魚姫:『これが人間の街なんだね! おっきな建物がいーっぱいあるよ!』
人魚姫:『っていっても、この人間の足、 1時間に1回薬を飲まないと戻っちゃうから、気をつけてよ?』
人魚王子:『ああ、わかっているとも!』
人魚王子:『……む? なんだこれは? 食べ物か? 魚の形をしているが……中に何か黒いものが入っているな』
下の人魚姫:『もぐっ! ……おいしい~☆ あったかくて甘くて、食べたことない味だよ~!』
人魚姫:『ふたりとも、危ない場所に来てるってこと、 本当にわかってんの……?』
人魚姫:『……でも、ふたりとも楽しそうだし、 来てよかったかもね』
人魚姫:『あ、ここにあるゲームおもしろそう。 っていうか人間の街って、こんなにゲームがあるんだ……』
下の人魚姫の声:『きゃーっ!』
人魚王子の声:『うわーっ!』
人魚姫:『えっ? ふたりとも……捕まってる! どうして?』
人魚姫:『あ……! もしかして、薬を飲み忘れて 人魚に戻ったところを見られちゃった……!?』
人魚姫:『こ、怖そうな人間達に連れていかれちゃった……! どうしよう。助けだそうにも、あんな人達相手じゃ わたしまで捕まっちゃうかも……』
人魚姫:『——そうだ!』
人魚姫:『あのヘンな薬がまだあったはず! あいつは、本当に大変な時に使えって言ってたし……』
人魚姫:『怖いけど……ふたりが人間に売られる前に 助けに行かなくっちゃ!』
人魚姫:『……あれ? えっ?』
人魚姫:『わたし、どうなっちゃったのー!?』
人魚姫:『うう……。よくわからないけど、 これなら捕まったふたりを助けられるはず……!』
人魚姫:『え~い!! 発進!!』
観客達:うわっ! すっごい風! あそこの巨大扇風機みたいなヤツが起こしてるのかな?
子供達:わー! 本当に人魚姫ロボが飛んでるみたい!
人魚姫:『みんな、待ってて——!!』
司:本日はどうも、ありがとうございました!!
司:我々がショーを行っているフェニックスワンダーランドは、 いつでも皆さまをお待ちしております! ぜひお越しください!
寧々:ナ、ナイトチケットも販売中です!
類:夜よりスタートする、幻想的な光と魔法のショーも 是非お楽しみください
えむ:みんな、フェニックスワンダーランドに遊びにきてね~!
観光客:へー。あそこの遊園地、こういうショーもやってるんだね
観光客:昔はよく行ってたけど、最近行ってなかったし、 たまには行ってみよっかな
寧々:…………!
寧々:(よかった……! わたし達のショーで、フェニックスワンダーランドに 興味を持ってもらえたみたい……!)
類:フフ、第1回目の公演は、無事に成功したようだね
類:暑さがネックにならないよう、上演時間を短めにして、 風や水の演出を増やしたのも正解だったようだね
司:だな! それではこの調子で、 午後の公演も盛り上げるぞ!
えむ・類・寧々:『おー!』
浜辺
寧々:……ふぅ。 これで今日のあと片づけは終わりっと
寧々:ネネロボも、ホテルでちゃんと充電しないとね
寧々:(……宣伝大使として、 ちゃんと初日の公演を成功させられてよかった)
寧々:(わたしがあの日見た人魚姫とは 全然違って、賑やかな話だけど……)
寧々:(こうやって、みんなと一緒に お客さんを笑顔にできてて、嬉しいな)
寧々:さてと、ステージに戻らなくっちゃ ……ん?
???:……————♪
寧々:綺麗な歌声……。 なんだか、すごくジーンとする……
寧々:……え? この声……もしかして——
???:♪————
寧々:あっ……!!
???:ふふっ、やっぱり海はいいわね。 いつまでも歌っていられそう!
???:そうだ。水着持ってきてないけど、泳いじゃおうかな。 まだ暑いし、砂浜で乾かせば……
???:……ん? あなた、どうしたの? 私に用?
寧々:あ、あなたは——
人魚姫:『未知の世界へ飛びこむのはとても怖いけれど、 恐怖に負けてどこにも行けないのは、もっと嫌!』
人魚姫:『私は、陸に行くわ! あの人に会いに——!』
人魚姫:『♪————!』
寧々:風祭夕夏さん……!?
第 4 话:憧れの人
浜辺
寧々:(な……なんでこんなところに、風祭さんが!?)
寧々:(は、話してみたいけど……どうしよう! もし練習中だったりしたら、迷惑なんじゃ……!?)
寧々:(うう……緊張して変な汗かいてきた……!)
夕夏:ねえあなた、どうしたの? ずっとこっちを見てるみたいだけど
寧々:うぇっ!?
寧々:あっ……! えっと……あ、そ、その……!
夕夏:ふふっ、その服、とっても可愛いね。 人魚姫みたい
寧々:え? あ!
寧々:(片づけで急いでたから、衣装のままだった……!)
夕夏:そういえば、さっきあっちのステージで ショーをやってるみたいだったけど…… もしかして、それに出てた子?
寧々:あっ! は、はい!
寧々:わ、わたし、フェニックスワンダーランドっていう遊園地で キャストをしてるんですけど、 今日はそこの宣伝のためにショーに出てて……!
夕夏:へえ、遊園地のキャストなんて楽しそうだね!
寧々:あ、ありがとうございます……。 それより……
寧々:風祭さんはどうしてここに? 今度やる日本公演はまだ先のはずじゃ……
夕夏:え? あなた、私のこと知ってるの?
寧々:あ、は、はい! その……小さい頃からファンで……
夕夏:ええ? そうなの?
夕夏:——ふふっ。 こんなところでファンに会えるなんて嬉しいな
夕夏:私、今は日本公演のための練習をしてるんだ。 この辺りに泊まってね
寧々:そうだったんですね……!
寧々:あの……絶対見に行きます! 頑張ってください!
夕夏:ふふ、ありがとう。 あなたのためにも頑張るね
寧々:は、はい……!!
寧々:……こんな風に風祭さんと話せるなんて、 なんだか夢みたいです
寧々:その……わたし、風祭さんに憧れて、 ショーを始めるようになったので……
夕夏:私に憧れて?
寧々:はい! 風祭さんみたいに、 胸を打つ歌を歌えるような俳優になりたいって思って……!
寧々:特に、10年前にやった人魚姫の歌が大好きです!
夕夏:ああ、あの人魚姫ね! ふふっ、懐かしいな
夕夏:あれは、初めて主演をやらせてもらった舞台だったの。 オーディションで抜擢されたはいいけど、経験も浅かったから、 右も左もわからなくて、すごく苦労したんだ
夕夏:でも、あなたが見てくれてたんだね。 そっか……
寧々:はい! あんな歌が歌えるようになりたくて、 児童劇団にも入りました!
寧々:……うまくいかなくて、辞めようかとも思ったんですけど……
寧々:でも今は、フェニックスワンダーランドのステージで ショーをやってます!
夕夏:そうだったんだね。 ふふっ、なんだかここで会えたのも、偶然じゃないみたい!
夕夏:ねえ、そのショーって、いつまでやってるの?
寧々:え? あ……3日間の公演なので、あさってまでです。 午前11時と午後4時からやることになってます
夕夏:最終日なら見に行けそう!
寧々:え? それって……
夕夏:その公演って、チケットは必要なの? もしそうなら買わせてもらうけど
寧々:えっ! い、い、いりません! 元々無料ですし、風祭さんに買ってもらうなんて……!
夕夏:そう、じゃあ稽古のあとに直接行かせてもらおうかな。 えーと、あなたは……
寧々:く、草薙です! 草薙寧々っていいます
夕夏:ふふ。それじゃあ、楽しみにしてるね。寧々ちゃん
えむの声:ねーねーちゃーん! どーこー?
寧々:あっ……
夕夏:あら、あなたを呼んでるみたいね。 それじゃあ、私はこれで。明日の公演も頑張ってね
寧々:あ……は、はいっ!
えむ:あっ、いたいた~!! 寧々ちゃん、こっちの片づけ終わったからお手伝いに……
寧々:…………えむ
えむ:寧々ちゃん?
寧々:えむ……ど、どうしよう!? あさって、み、見に来るって……!! どうしよう!!
えむ:わわわっ!? ね、寧々ちゃん~! 落ち着いて~!?
司:例の俳優と会っただとぉ!?
類:まさか、そんな偶然が起きるなんてね
類:よかったね、寧々。 それで、何を話したんだい?
寧々:人魚姫の舞台の頃から憧れてるって話と、 あさってまで浜辺のステージでショーをしてるって話をしたの
寧々:そ、そしたら……
えむ:見に来るって言ってくれたんだよねーっ♪
司:本当か!?
寧々:うん……最後の公演なら見に来れるって……
司:おお! そうか! 憧れの俳優が見に来てくれるとは……またとない機会だ!
ネネロボ:寧々、ガンバリマショウ!!
司:ああ! オレ達のショーで、その俳優を最高の笑顔にするぞ!
えむ:おー!! 気合い満タンわんだほーい!!
司:じゃあ明日の公演に向けて、今日の振り返りをするか! いつもとは勝手が違うから、なかなか大変だったしな
類:そうだね。ラストシーンで風をおこすファンは もう少し強いほうが臨場感がでるから、調整しておこう
えむ:あたし、最後のダンスのシーンにも みんなでばっしゃーんってやりたいな~!
寧々:…………ふふ
寧々:(頼りになるな、3人とも)
寧々:(みんながこんなに背中を押してくれるんだから、 わたしも頑張らなくっちゃ)
寧々:(宣伝大使としてお客さんを呼ぶためにも、 風祭さんやお客さんに、笑顔になってもらうためにも——)
寧々:……頑張ろう!
第 5 话:波乱の最終公演
浜辺のステージ
司:ハッハッハ! 2日目の公演もバッチリだったな!
えむ:後ろのほうまでお客さんもいーっぱいだったし、 フェニックスワンダーランドの前売りチケットも たくさん買ってもらえたねっ♪
類:そうだね。この調子なら明日の最終公演も いい形で終わらせられそうだ
類:とはいえ……最後まで気は抜かないようにしたいね
寧々:うん。ネネロボの充電もちゃんと……あれ?
寧々:どこに行ったんだろ? さっきまでここにいたのに
えむ:あ、あそこにいるよ!
子供:やだやだ! まだ帰りたくない! ぼく、まだ海で遊びたいよ~!
父親:いつまでも駄々をこねるんじゃない。 置いてくぞ
子供:やだ~!!
ネネロボ:——コンニチワンダホイ!
子供:わっ! ……なにこれ、ロボット?
ネネロボ:海は、ワクワクドキドキのショーミタイに楽シイデスカラ、 帰ルノは、寂シイデスヨネ
ネネロボ:デスが、寂シイトイウコトは、次来ル時は、モットモット、 海に来ルノが楽シミにナルトイウコトデス
ネネロボ:海の代ワリに言イマショウ。 ——マタキテネ!
子供:……あははっ! 変なロボット!
父親:……次来るのが楽しみにか。 そうだな。また来年も来ような
子供:うん! バイバイ! ロボットさん!
ネネロボ:バイバーイ
寧々:ネネロボ……
類:フフ、僕達だけじゃなく、ネネロボも、 みんなを笑顔にしようと思ってるみたいだね
えむ:すごいすごーい☆ さすがネネロボちゃんだね!
司:相変わらずどういう仕組みなのかよくわからんな……。 AIの学習プログラムとやらで、ネネロボも、 我々の志を学んでいるということか?
寧々:そうかもね
寧々:明日は一緒に頑張ろうね、ネネロボ
ネネロボ:ハイ、頑張リマショウ!
最終日 午後
寧々:……うん、衣装よし! 小道具よし! ネネロボよし!
寧々:(今日は、風祭さんが見に来る日……!)
寧々:(すごく緊張するけど……)
寧々:(あの日、風祭さんにもらったドキドキワクワクした気持ちを、 ちょっとでも届けたい——!)
司:それでは今回最後の公演だ! 有終の美を飾るぞ!
類:ああ。最後までやり抜こう
えむ:それじゃあいくよ~! みんながんばろー……
司・えむ・寧々・類:『わんだほーい!!』
夕夏:(時間どおりに着けてよかった。 席は——前のほうは子供のためにあけてるみたいだから、 ここにしようかな)
夕夏:(……こういう屋外ステージを見ると、昔を思いだすな)
ナレーション:それではこれより、フェニックスワンダーランドの特別出張公演、 『人魚王子と人魚姫達の冒険』を上演いたします
夕夏:『人魚王子と人魚姫達の冒険』? ふふっ。なんだかおもしろそう!
人魚王子:『上の人魚姫ー!!』
下の人魚姫:『おねえさまーっ!』
人魚姫:『えっ!? ちょ、ちょっと! 急にサンゴ礁の部屋に入らないでっていったでしょ! わたしはダラダラ……のんびりするのに忙しいの!』
人魚王子:『そんなことよりこの本を見ろ!』
人魚姫:『何これ……“人魚姫”?』
夕夏:(人魚姫の本をきっかけに、人魚達が冒険を始める——。 ふふ、わかりやすくておもしろいお話だね)
人魚姫:『……うう。 こんな怪しい薬、本当に飲んで大丈夫なの……?』
人魚姫:『だけど——』
人魚姫:『陸は、ちょっとおもしろそうなんだよね』
人魚姫:『賑やかな町とか、パーティーとか、お城とか……。 段々気になってきたっていうか……』
人魚姫:『よく知らない場所に行くのは、ちょっと怖いけど』
人魚姫:『でも——ワクワクすることに挑戦してみたいな』
夕夏:(ワクワクすることに挑戦してみたい……か)
夕夏:(私もそうだったな。大きな舞台に立てるようになってからも、 もっともっとワクワクしたくて、海外に挑戦して——)
夕夏:(そのせいで、痛い目みることや泣くことも多かったけど、 でも、今でもあの選択は、間違いじゃないって感じる)
人魚王子:『ついに人間の街に到着だー!』
下の人魚姫:『これが人間の街なんだね! おっきな建物がいーっぱいあるよ!』
人魚姫:『っていっても、この人間の足、 1時間に1回薬を飲まないと戻っちゃうから、気をつけてよ?』
寧々:(うん、いい感じ!)
寧々:(ここでゲームにつられたわたしはいったんハケて、 人魚王子達とはぐれる)
寧々:(人魚王子達は、悪役になった類に捕まって、 その悲鳴を聞いたわたしが、薬を飲んでネネロボに——)
寧々:……あれ? ネネロボは?
寧々:ついさっきまでここにいたのに、どこに……!
子供の声:や、やめてよ! 蹴っちゃダメだよ! このロボットいいヤツなんだよ!
子供の声:強そうだし大丈夫だって! えい!
寧々:え? ステージの裏から……
ネネロボ:乱暴はダメデスヨ。 笑顔にナレマセン
子供B:なんかしゃべってる! おもしろーい! ロケットとか出ないかな?
子供C:このへんにドアみたいなのあるから叩いてみようぜ。 えいっ!
ネネロボ:ソコは大事ナ基盤が入ッテルノデ、 叩イテはダメデスヨ……ウウ……
寧々:あ……! こ、こらーっ!
子供BC:『あ、やべっ! 逃げろー!』
子供A:ご、ごめんなさい……!
寧々:謝らないで。あなたはいじめてなかったし……。 でも、何があったの?
子供A:その、ぼくが転んで泣いてたら、 このロボットが来て、助けてくれて……
子供A:そしたらどこかの子がヘンなロボットがいるって集まってきて、 おもしろがって叩いたりして……
子供A:止められなくってごめんなさい!
寧々:ううん、大丈夫だよ。 ネネロボを守ろうとしてくれてありがとう
寧々:(でも……どうしよう。 電源を入れても直らない……)
寧々:(ネネロボがいなきゃ、ショーの山場の 変身シーンができないのに……!)
類:——寧々? そんなところでどうしたんだい? もうすぐ出番だよ
寧々:類……! ネネロボが……!
類:……このくらいなら大丈夫だ。 接続が悪くなっているだけだから、数分あれば直せるよ
寧々:本当!? よかった……
類:ただ、ネネロボのシーンはもうすぐだ。 ネネロボを修理しているあいだ、時間を稼がなきゃならない
類:アドリブで間をつなごうにも、司くんとえむくんは 囚われている役だから限界があるし——
寧々:アドリブで……
寧々:(類はネネロボの修理で手一杯だし、 アドリブでつなげるとしたら、わたししかいない)
寧々:(でも、わたしにそんなことできるの? みんなみたいに即興は得意じゃないし……)
寧々:(……ううん! できるとか、できないとかじゃない!)
寧々:(見にきてくれてる人達を、がっかりさせたくない!)
寧々:(みんながわたし達のショーで笑顔になれるように、 やれるだけのことを全部やらなくっちゃ!)
寧々:——類。 わたし、やってみる
寧々:アドリブでつなぐから、 ネネロボのこと、お願い!
類:え?
寧々:ネネロボを直せるのは類しかいないし、 ふたりはまだステージの上にいるから、このこと知らないでしょ
寧々:だったら……わたしがやる!
類:……ああ。わかった。 任せたよ、寧々
寧々:うん!
第 6 话:つなぐ、勇気を
人魚王子:『うう……まさかオレ達が人間に捕まってしまうとは』
下の人魚姫:『うえ~ん! どうしよう!』
人魚王子:『なんとか脱出する方法を考えなくては……! そうだ、あっちの窓があるほうに這って行ってみよう!』
司:(……ん? ここで寧々のシーンに切り替わるはずだが、 出てこないぞ……?)
司:(まさか、何かトラブルか……!?)
人魚姫:『……はぁ、はぁ、はぁ』
人魚姫:『どうしよう、ふたりとも、捕まっちゃった……!!』
司:(おお、出て来たか! よし、オレ達は上手にハケて……)
えむ:あれれ? 類くん、ネネロボちゃんなんでここにいるの? 次のシーンの準備しないと……
類:それが、少し困ったことになってしまってね。 子供のいたずらで、ネネロボが作動しなくなってしまったんだ
司:何ぃ!?
司:ど、どうするんだ!? 最後のシーンはネネロボがいなければ……
類:寧々が修理のあいだ、シーンをつなぐと言ってくれた
類:僕は最速で終わるよう修理を進めるから、 ふたりとも、できる限り寧々のサポートをしてあげてほしい
えむ:うんっ! わかったっ!
えむ:で、でもでもどうしよう! あたし達の出番は寧々ちゃんのシーンのあとだから、 今出ていっちゃうと変だし……!
司:そうだな……ここからはすぐ、 寧々が薬を飲んで変身するシーンになる
司:何か手助けできればいいんだが、どうすれば……
人魚姫:『どうしよう……わたしじゃふたりを助けられない……』
寧々:(……本当なら、ここですぐに、 ふたりを助けるために薬を飲まなきゃいけない)
寧々:(でも、ネネロボが直るまで、 時間をかせがなくっちゃ——!)
人魚姫:『……ううん! 別にあんなふたり、どうなってもかまわない』
人魚姫:『わたしがあれだけ危ないって言ったのに、 人間に近づいたりするから……』
人魚姫:『……だけど』
人魚姫:『ふたりのおかげで、いろんなことを知れたな』
人魚姫:『人間も、そんなに悪いヤツばっかりじゃないし、 人間の作るご飯も美味しかったし……』
人魚姫:『ふたりがいてくれたから——』
子供達:おかーさん、人魚王子どうなっちゃうんだろう?
子供達:たすけてあげて~!
寧々:(少しだけど、なんとか時間を稼げてる)
寧々:(でも、こうやってグルグル考えてる演技だけじゃ、 お客さんもおかしいって気づいちゃう。どうすれば……)
夕夏:…………
寧々:(あ……! 風祭さん……!)
寧々:(……風祭さんだったら、 こんな時、どうするんだろう?)
寧々:(あの日、わたしが見た人魚姫だったら——)
人魚姫:『未知の世界へ飛びこむのはとても怖いけれど、 恐怖に負けてどこにも行けないのは、もっと嫌!』
人魚姫:『私は、陸に行くわ! あの人に会いに——!』
人魚姫:『♪————!』
寧々:(……そうだ!)
寧々:(わたしには、あの歌がある!)
人魚姫:『……人間に立ち向かうのは、怖い。 捕まって知らない場所に売られたり、 見世物にされたりしたらって思うと……泣きそうになる』
人魚姫:『でも——ふたりを見捨てるなんて、できない!』
人魚姫:『ちょっとだけでいいから勇気をださなくちゃ』
人魚姫:『ひとりで陸に向かった、人魚姫みたいに——!』
人魚姫:『♪————————……』
えむ:ええっ!? 寧々ちゃん、歌いだしたよ!
司:何!? 今回、歌うシーンはないはずだぞ!?
観客:わぁ……! とっても素敵な歌……!
類:(まさか即興で歌まで……!)
類:(しかし、メロディーや歌詞は違うけれど、この歌はまるで……)
夕夏:まるで、私が人魚姫で歌った——
類:——よし! 再起動できた!
類:さあ、ステージに立つ準備はいいかい?
ネネロボ:ハイ! バッチリデス!
類:えむくん! 寧々に合図を!
えむ:うんっ!
えむ:寧々ちゃん! ネネロボちゃん、動けるよ~!
寧々:……!!
人魚姫:『……うん。歌ったら、勇気がでた。 ふたりを助けに行こう!』
人魚姫:『——そうだ! あのヘンな薬がまだあったはず! これがあればもしかしたら……』
人魚姫:『お願い、みんなを助けたいの……!』
人魚姫:『助けられたら、あの本の人魚姫みたいに、 泡になってもいいから……!』
人魚姫:『……あれ? えっ? わたし、どうなっちゃったのー!?』
人魚姫:『よ、よくわからないけど、これならふたりを助けられるはず! え~い!! 発進!!』
夕夏:…………
寧々:……はぁ。 ドキドキしすぎて死ぬかと思った……
えむ:寧々ちゃ~~~ん!!!
寧々:ひゃっ!?
えむ:寧々ちゃん、とってもとってもわんだほいだったよー!! 寧々ちゃんの歌も、いつもよりもーっとわんだほい!!
寧々:ちょっとえむ、びっくりさせないでよね……。 寿命が縮むかと思ったんだけど
司:えむの言うとおり、ナイスアドリブだったぞ、寧々! あの歌も素晴らしかった!
類:ああ。 シーンが壊れる可能性もある中で、 本当に素晴らしいアドリブをしてくれたね
類:ありがとう、寧々。 寧々のおかげで、みんなが笑顔になれたよ
寧々:そ……そんなに褒められるほどじゃ……
類:いいや、誇ってほしいな。 役者として、観客のために素晴らしい働きをしたんだからね
えむ:うんっ! 寧々ちゃん、キラキラお星さまだったよ!
司:む。スターの座を渡すつもりはないが……。 しかし胸を張るがいい! お前こそ今日のMVPだ!
寧々:あ……
寧々:ありがとう、みんな
夕夏:——寧々ちゃん、お疲れさま。 今ちょっといい?
寧々:あ……風祭さん! わざわざステージ裏まで来てもらえるなんて……!
司:おお。類、あの人が例の俳優か?
類:ああ。そうだよ。 昔と変わらない、存在感のある人だな
寧々:お忙しい中、わざわざ来てくださってありがとうございます!
夕夏:ううん、こちらこそ素敵なショーを見せてくれてありがとう。 よかったら感想を言いたいなと思ったんだけど——
寧々:え! ほ、本当ですか!? あ……でもまだ片づけが……
えむ:ううん! こっちは大丈夫だよ寧々ちゃん! ゆっくりお話してきてっ♪
司:ああ! 行ってくるがいい!
類:片づけは僕達だけでもできるからね。 いってらっしゃい、寧々
寧々:あ……ありがとう
夕夏:急な申し出なのにありがとう
夕夏:それじゃあ……片づけの邪魔にならないように、 あっちの浜辺で話すのはどう?
寧々:は、はい! よろしくお願いします!
第 7 话:まだ知らない世界
浜辺
寧々:それであの……ど、どうでした?
夕夏:とってもおもしろいショーだった! 誘ってくれてありがとう、寧々ちゃん
寧々:あ、ありがとうございます!
夕夏:最初から最後まで、どのシーンも 生き生きしてて良かったけど……。 特に、最後寧々ちゃんが歌うところが良かったよ
夕夏:あの歌を聴いた瞬間、昔のことを思いだして、 すごく懐かしくなっちゃった
寧々:昔のこと?
夕夏:うん。……私ね、高校生の頃に初めてショーを見たんだけど、 その時、『これだ! こんなワクワクすることやらないなんて 考えられない!』って思ったの
夕夏:それで——高校を卒業してすぐに演劇をやろうと思って 上京したんだ
夕夏:でも……そう決めるまではすごく怖くて、悩んだんだ。 全然知らない世界に飛びこんでいかなくちゃいけないわけだから
夕夏:その時の、怖いけど…… でも飛びこんでいかなくちゃっていう想いを、 寧々ちゃんの歌が思いださせてくれたんだよ
寧々:え、えへへ……
寧々:それにしても……風祭さんも、怖いって思うんですね
寧々:いつも世界中飛び回って公演をしてるから、 怖いなんて、あんまり思わないのかなって思ってました
夕夏:ふふ、私、結構臆病なんだよ? 本番の前だって普通に緊張するし
夕夏:でも——もっと知らない世界に行って、 いろんなショーをしてみたいっていう気持ちのほうが 勝っちゃうの
寧々:……よかったら、その話、もっと聞かせてもらってもいいですか?
夕夏:え?
寧々:えっと、その、風祭さんは世界のいろんなところで ショーをやってるので、その時の話を聞いてみたいなって……!
寧々:あ、でも……忙しいと思いますし、 もしできたらでいいんですけど……!
夕夏:あはは! それくらいもちろんいいよ!
夕夏:『人魚姫』を成功させたあとは、 しばらく日本で頑張ってたんだ
夕夏:でも、だんだん『もっと大きな舞台にチャレンジしてみたい』って 思うようになって——アメリカに行ったの
夕夏:……あの頃は、本当に大変だったな。 毎日落ちこむことばっかりだったし
寧々:あ、アメリカでの公演なら、 いくつか映像で見たことあります
寧々:でも、どれもすごく堂々としてて、 大変そうには見えなかったですけど……
夕夏:ふふっ。それはそう見えただけだよ。 英語は勉強してたけど、やっぱり言葉がうまく通じないから、 メンバーとトラブルが起きて大変だったんだ
夕夏:今までの私のやりかたも、全然通用しなくって。 でも、こんなところで負けるかーって思ってさ
夕夏:ダンスも歌も人一倍練習して、アドリブにも食らいついて……。 そうしたら、みんな認めてくれたんだ
夕夏:育った環境が違うせいで、考えかたも感じかたも合わないことが いっぱいあって衝突しちゃったけど……
夕夏:だからこそ、わかりあえてショーができた時は、 ……すごく嬉しかったな
寧々:(……ふふっ。 風祭さん、目がキラキラしてる)
寧々:(きっと、すごくいいショーが できたんだろうな……)
夕夏:それからね——
寧々:へえ……! 海外って、そんなにショーが盛んなんですね!
夕夏:まず劇場の数が日本とは全然違うしね。 役者も個性豊かな人達が多いんだ
夕夏:インドに行った時は、勉強のためにインド舞踊を習ったんだけど、 本当にハードで体がバラバラになっちゃうかと思ったよ
夕夏:でも、できるようになるとすごく楽しいんだ
寧々:(すごいなぁ……ショーをしながら世界中を回るなんて、 まるで映画の中の話みたい)
寧々:(世界中でショーをやるなんて、 すっごく大変で、怖そうだけど——)
寧々:(……でも、想像するとワクワクする。 歌って、踊って、世界中の人を笑顔にして……)
寧々:(わたしも——そんな風に生きれたら、すごく楽しいだろうな)
寧々:(みんなと一緒に……)
夕夏:思い返すと、いろんな場所に行ったけど——
夕夏:背中を押してくれる人達がいなかったら、 ここまでは来られなかったかも
寧々:え?
夕夏:私がここまで来れたのは、 仲間がいてくれたからなんだよね
寧々:仲間?
夕夏:うん。 私ね、最初に入ったのは、すごく小さな劇団だったんだ
夕夏:メンバーは10人もいなかったな。 ろくに演技経験のない私を拾って育ててくれて……
夕夏:私がいつか世界中でショーをやりたいって言った時も、 みんな笑わないで真剣に聞いてくれたんだ
寧々:……すごくいい人達だったんですね
夕夏:うん
夕夏:だから……みんなと離れることになった時は、寂しかったな
寧々:え……?
寧々:……その劇団って、今はどうなってるんですか?
夕夏:劇団は今もあるよ。ただ、私がいた時のメンバーは抜けて、 新しい世代が中心になってるの。 私みたいに、外にやりたいことを見つけた人も多くてね
夕夏:——みんな、それぞれ自分の夢を追いかけて頑張ってる。 ……でも、ちょっと寂しくなる時もあるんだ
夕夏:みんなとショーをやる時間が、 すごく好きだったから
寧々:あ…………
寧々:(そっか……)
寧々:(わたしも、世界に飛び出してショーをやりたいっていう望みを 叶えようとしたら——)
寧々:(みんなと、離れ離れになるんだ……)
夕夏:でも、私は後悔してないよ
夕夏:みんなが背中を押してくれたおかげで夢を—— 心からワクワクすることを、正直に追いかけることができたから
寧々:…………
夕夏:出会いと別れの中で、 たくさんの素晴らしいショーが生まれていく
夕夏:悲しいこともあるけど、それだけじゃない。 悲しいことと同じだけ、楽しいことが生まれていくの
夕夏:だから——寧々ちゃんも、頑張ってね
寧々:……はい
寧々:今日は、ありがとうございました。 公演、頑張ってください
夕夏:うん。ありがとう
寧々:(世界中を飛び回って、たくさんの人を ショーで笑顔にする……)
寧々:(そんな生きかたができたら素敵だろうな)
寧々:(でも、そうするとみんなといつか——)
寧々:…………全然、想像できないな
???:『——大丈夫? 寧々ちゃん』
寧々:え、誰……!?
ルカ:『わたしよ~』
寧々:あ、ルカさん!
寧々:あ……そうだ。ルカさんに海を見せるって約束、 すっかり忘れちゃってた。ごめん……
ルカ:『ふふ、大丈夫よ~。 実はたまにこっそり出てきてのぞいていたの♪』
寧々:え? もう、見つかったら大変だよ
寧々:でも……今は人もあんまりいないし、 ちょっと浜辺を見てからみんなの所に戻ろっか
ルカ:『本当? ありがとう、寧々ちゃん!』
寧々:それじゃあ行こっか
寧々:…………
ルカ:『…………』
第 8 话:今は、できることを
浜辺
ルカ:『夜の海って、静かできれいね~。 星もあんなに輝いてるわ』
寧々:うん、そうだね。 すごく綺麗だね
寧々:…………
ルカ:『……あのね、寧々ちゃん』
ルカ:『実はわたし、寧々ちゃんと俳優さんのお話を ここでちょっぴり聞いていたの』
寧々:え?
ルカ:『ふたりともすごく楽しそうに話してたから、 つい気になっちゃって……。 立ち聞きしちゃってごめんなさい』
寧々:あ……ううん。それは大丈夫だよ
寧々:風祭さんの話、すごくおもしろかったしね。 いろんな場所に行って、いろんなショーをやって、 いろんな人に出会って——
寧々:そんな風にショーをしていけたら、 とっても楽しそうだよね
寧々:(だけど——)
夕夏:だから……みんなと離れることになった時は、寂しかったな
寧々:(だけど、もしその夢を叶えようとしたら——)
寧々:…………
ルカ:『ねえ、寧々ちゃん』
ルカ:『もしかしたら寧々ちゃんは、夢を叶えるために、 いつかみんなとお別れする日のことを考えてるのかしら?』
寧々:……っ!
寧々:それは……
寧々:……うん
寧々:風祭さんの話を聞いて、思ったんだ。 いつかは……そういう日が来るのかなって
ルカ:『……そう』
寧々:でも、うまく想像できないんだ。 みんなと別々の道に進んでる自分のこと
寧々:勝手に、これからもみんなとずっと一緒に ショーをやり続けていくような気がしてて——
寧々:だから……うまく飲みこめなくて
ルカ:『寧々ちゃん……』
寧々:でも、みんなにもそれぞれ夢があって、 その夢のために頑張ってるんだよね
寧々:だからいつかは、別の道に進むことになるんだよね……
ルカ:『……そうね。進みたい道が違うなら、 どこかで、お別れしなくちゃいけないものね』
寧々:……うん
ルカ:『あ……』
ルカ:『……ごめんなさい。 わたしには、寧々ちゃんがどうするのが一番いいのか わからないわ』
寧々:ううん。謝らないでいいよ。 急に変なこと言ったわたしが悪いんだし——
ルカ:『でもね、寧々ちゃん』
ルカ:『わたしは、寧々ちゃんが、寧々ちゃんにとって 一番いい答えをだしてほしいと思うの』
ルカ:『そのためになら、いくらでも力を貸すわ』
寧々:……ルカさん
寧々:ありがとう
寧々:(……ルカさんは優しいな)
寧々:(ひとりで悩まなくていいんだよって、教えてくれたんだね)
えむの声:ね~ね~ちゃ~ん!!!!
寧々:この声……きゃっ! えむ?
類:僕達もいるよ、寧々
ルカ:『あら~。みんなおそろいね~』
えむ:あっ、ルカお姉さん! こんばんはー!
寧々:どうしたの? みんなそろって。 片づけが終わったら、そのままホテルに戻るのかと思ってた
司:フッフッフ、寧々に朗報を伝えに来たのだ!
ネネロボ:ローホーデス!
寧々:朗報?
えむ:今回売る予定だったフェニックスワンダーランドの 前売りチケットが全部売れたんだって!
寧々:え? もう?
司:ああ! まあ、オレ達の力をもってすれば、当然の結果だな! ハーッハッハッハ!!
類:というわけで、初の宣伝大使の成功を祝して、 コレをやろうと思うんだ
寧々:コレって……花火?
ルカ:『あら~、楽しそうね~♪』
寧々:花火なんてどこで買ったの?
類:さっき、近くの売店で売っていたのをえむくんが見つけてね
司:明日の朝には帰ることになるからな。 花火をやるならば今しかあるまい!
えむ:わ~~い!! パチパチボーンだね!!
寧々:ちょっとえむ。 パチパチはいいけどボーンはやめてよね
類:うんうん。 危険なことはしないようにね
寧々:それ、類が言う? ……ま、いいけど
司:それでは、花火スタートだ!!
えむ:ルカお姉さん見て見て~! 花火の色が変わるよ~!
ネネロボ:ネネロボも、花火に負ケズ光リマス
ルカ:『あらあら、きれいね~』
司:うおっ、えむ! 近寄るな! こっちは風下だから……ごほっ、ごほっ……!
寧々:……ふふっ
類:ふたりとも元気だねえ
類:……寧々は、彼女とどんな話をしたんだい?
寧々:あ……えっと、本当にいろんな話したよ
寧々:海外公演の裏話とか、 大変な時どうやって頑張ってきたのかとか——
類:フフ。いい話をたくさん聞かせてもらったんだね
寧々:うん。 …………
類:ん? どうしたんだい?
寧々:……風祭さんと話して、少し考えてたの。 これから先の、未来のこと
類:未来の……
寧々:自分はどうしていきたいんだろうって考えてたら、 ちょっと悩んじゃって
類:……そうだったんだね
類:未来のこと——か。 なかなか難しい話だ
類:僕達には、それぞれ夢があるからね
寧々:……うん。 でもね、類
寧々:わたしは、わたしにとって一番いい答えをだせるように 考えていこうと思う
類:——フフ
類:今日のアドリブを見た時も思ったけれど、 寧々は本当に成長したね
寧々:何それ、親みたいなこと言って
類:フフ、素直にそう思ったんだよ
類:しかし、そうか。 寧々にとって一番いい答えを……か
類:もし悩んだ時は、僕も一緒に考えよう。 寧々が心から納得できるような答えがだせるようにね
寧々:……ふふっ。 ありがとう、類
類:……さて。 それじゃあ僕は、今日だせる一番いい答えをだそうかな
寧々:一番いい答え?
類:ああ。つまり——今この瞬間を、 全力で楽しむということさ!
寧々:……!
寧々:ふふっ。そうだね
えむ:寧々ちゃん類くん見て見て~! この花火、すっごく大きいよ!
司:おい! それは手持ち花火じゃないぞ! どう見ても置いて火をつけるタイプだろう
えむ:なるほど! やってみるねー! ……あれ? でも火がつかないよ~
類:それならネネロボの新機能を使おうじゃないか!
寧々:は? ネネロボに火を点けられる機能なんてついてるわけ?
類:ああ。『ネネロボ着火ファイヤー!』と言えば、 ネネロボの口から火炎放射が——
司:なんだその機能は! 即刻外せ!
類:あはは、冗談だよ。 さて、ポケットに入れていた予備のライターを使って……と
えむ:わ~っ☆ きれいだね~!
司:おお! この華やかさはスターにふさわしいな!
類:なるほど、司くんに花火を背負わせて……。 いや、司くんを花火として打ち出すのもいいね
司:聞き捨てならんセリフを吐くな!
寧々:……ふふっ
ルカ:『寧々ちゃん、楽しそうねえ』
寧々:——うん!
寧々:(この先、夢を追っていったら、 寂しくなることもあると思うけど……)
寧々:(今はみんなと一緒にいるこの時間を、 大事にしていきたいな——)