活动剧情
ふたり、月うさぎ
活动ID:33
第 1 话:新しい季節の企画
宮益坂女子学園 中庭
弓道部部員A:はーっ、今日の練習も疲れたー
まふゆ:みんな、お疲れさま。 今日の練習も大変だったね
雫:お疲れさま。 朝比奈さんの射形、綺麗で見とれちゃったわ
まふゆ:ふふ、そうかな。ありがとう
弓道部部員B:わかる! でも、日野森さんもすごいよね。 全然疲れてるように見えないもん
まふゆ:たしかに日野森さん、結構矢数かけてたよね? 疲れてない?
雫:ええ、大丈夫よ。 少し疲れはあるけど、 もっとやっていたい気持ちのほうが強いの
雫:アイドル活動で参加できない時もあるし、 ちゃんと部活に出られる日は、人一倍頑張らないと
まふゆ:ふふ、努力家だよね。素敵だな
弓道部部員A:アイドル活動も忙しいと思うのにさすがだよね。 私も、日野森さんに負けないように頑張らなきゃ!
まふゆ:うん、私も負けてられないな
まふゆ:でも、今日はみんな、ゆっくり体を休めてね。 次の部活の時にまた頑張ろう
弓道部部員A:そうだね! じゃあ、私はこれで
弓道部部員B:お疲れさま!
雫:(今日も、しっかり集中できてよかったわ)
雫:(このあとは……次の配信の企画を考えなきゃ)
雫:次の企画、何がいいかしら……
雫:(いつもみんなが素敵な企画を出してくれるけど、 今回は私も、何かいい案を出したいわ!)
雫:(でも、そうねえ……)
雫:(……あ、そうだわ! ピカピカお掃除選手権や 利きうどんクイズなんてどうかしら!)
雫:(ピカピカお掃除選手権をやれば、 お部屋も綺麗になるし……)
雫:(利きうどんクイズなら、 いろんな種類のおうどんを食べられるし……! とっても素敵だわ……!)
雫:(でも、他にもっといい案があるような気もするわね……)
雫:うーん……
まふゆ:日野森さん、どうしたの? 何か悩みごと?
雫:あ……朝比奈さん。 ごめんなさい、なんでもないのよ
まふゆ:そう? ならいいけど……
まふゆ:もし、何か悩んでいることがあるなら いつでも相談してくれると嬉しいな
雫:朝比奈さん……。 ありがとう、とっても心強いわ
雫:実は、ちょっとアイドル活動のことで どうしようか考えていたの
まふゆ:アイドル活動……
まふゆ:…………
雫:朝比奈さん……?
まふゆ:あ……ごめんね。 そういう相談は受けたことなかったから、 ちょっとびっくりしちゃって
まふゆ:ええと……アイドルのことはあまり詳しくないから、 うまくアドバイスできるかわからないけど……。 もしよければ、聞かせてほしいな
まふゆ:話すだけでも、気が楽になるかもしれないしね
雫:そうね……。 じゃあ、話を聞いてもらおうかしら
雫:実はね……
まふゆ:……そっか。 生配信の企画で悩んでたんだ
雫:ええ。みんなが考えてくれる企画はとってもおもしろいの。 だから私も、今回は何か提案したくて……
まふゆ:ふふ、日野森さんはメンバー想いなんだね
まふゆ:できれば私も力になりたいけど……。 うーん、配信の企画か……
まふゆ:あ、そうだ。 季節をテーマにした企画はどうかな
雫:季節?
まふゆ:うん。もうすぐ秋だし、 食欲の秋にちなんでスイーツ紹介とか、 読書の秋で、みんなが好きな本を紹介するとか……
まふゆ:あとは、お月見とかかな?
雫:お月見……
雫:(そういえば、小さい頃は しぃちゃんと一緒にお月見をしていたのよね。 大きくなってからは、あんまりしなくなっちゃったけど……)
雫:(ふふ、懐かしいわ)
まふゆ:うーん、私に思いつくのはそれくらいかな。 あまり役に立てなくてごめんね
雫:ううん。すごく参考になったわ。 たしかに、季節をテーマにするのはいい案ね!
雫:みんなでいっぱい食べる配信もいいし、 お気に入りの本を紹介するのも素敵だと思うわ
雫:(でも、お月見は——)
雫:(できれば、しぃちゃんと一緒に……)
雫:ふふっ、どれも楽しい企画になりそうだわ。 朝比奈さんのおかげね、ありがとう
まふゆ:大したことはしてないよ。 でも、日野森さんの力になれたならよかった
まふゆ:あ……もうこんな時間。 私、予備校があるから先に行くね
まふゆ:配信、楽しみにしてる
雫:ええ、ありがとう! 気をつけてね
雫:(朝比奈さんに相談してよかったわ。 たくさんアイディアをもらえたし……)
雫:(帰ったら朝比奈さんからもらったアイディアをまとめて、 企画を考えなきゃね)
雫:(でも、その前に……)
雫:少しだけ、あの頃の写真を探してみようかしら
第 2 话:幼い頃の思い出を
雫の部屋
雫:ええと、あの頃のお月見の写真は…… このアルバムに入っているかしら?
雫:まあ、しぃちゃんが赤ちゃんの頃の写真だわ。 とっても可愛い……!
雫:こっちはひな祭りをした時の写真ね。 まんまるのひなあられが可愛いって、 ずっと食べずに飾っていたのよね
雫:そういえば、この頃はおそろいの服を着ていたわね。 髪型も一緒にしたりして……
雫:うふふ、『お姉ちゃんと一緒がいい』って 言ってくれるしぃちゃんが、本当に可愛くて——
志歩の声:お姉ちゃん、そろそろ夕飯
雫:あら、しぃちゃん! わざわざ呼びに来てくれたの?
志歩:何度も呼んでるのに全然来ないからでしょ。 ……って、何見てるの?
雫:うふふ、小さい頃のアルバムよ
雫:実は今日、部活が終わったあとに 朝比奈さんに相談に乗ってもらっていたの
志歩:朝比奈さん……? ああ、あの目立つ弓道部の人か
雫:ええ、とっても頼りになる人なのよ
雫:それでね。朝比奈さんと話しているうちに、 小さい頃、しぃちゃんと一緒にした お月見のことを思いだしたの
志歩:お月見……
雫:ええ、あの時の写真が見たくて探していたんだけど、 どの写真のしぃちゃんも可愛くて……!
志歩:はいはい
志歩:……念のために聞くけど、 その写真、誰かに見せるつもりじゃないよね?
雫:ええと、今のところは考えていないけれど……
雫:そうだわ! せっかくだし、 朝比奈さんに写真を見てもらって しぃちゃんのことを知ってもらうのはどうかしら!
志歩:絶対にやめて。 朝比奈先輩だって、いきなり私の話をされても困るでしょ
雫:そうかしら? でも、しぃちゃんこんなに可愛いのに……。 ほらこの時なんて、お口にソースをつけて——
志歩:その写真、誰かに見せたら もうお姉ちゃんと口利かないから
雫:ええ!? そんな……
雫:……でも、懐かしいわ。 小さい頃はいつも一緒に遊んでいたわよね
志歩:……そうだったっけ
雫:ええ、たとえば……そうね。 小さい頃、おばあちゃんと公園で お母さんを待っていた時の話なんだけど——
数年前
祖母:あら、志歩ちゃんは何を作っているのかしら?
幼い志歩:……砂のお山
幼い雫:大きいお山ね。 しぃちゃん、すごいわ♪
幼い志歩:おねえちゃん、そっちから手を入れて
幼い雫:こうかしら?
幼い志歩:うん。そしたら、こうやって砂をどけて、と……
幼い志歩:——できた!
幼い雫:わあ、すごーい! お山のなかから、しぃちゃんのお顔が見えるわ
幼い志歩:おねえちゃんの顔もみえるよ
幼い雫:ふふ、すてきなお山さんね。 しぃちゃんが作ったから、お名前はしぃちゃん山かしら
幼い志歩:……そのなまえはやだ
幼い雫:ええっ、とってもすてきなお名前なのに……
祖母:ふふ、志歩ちゃんは恥ずかしいのよね
幼い志歩:……うん。 つけるなら、おねえちゃんのなまえにして
幼い雫:私の名前でいいの? ふふ、ありがとう!
幼い雫:しぃちゃんはすごいわね。 おねえちゃんの知らない遊びを いっぱい知ってるもの
幼い雫:ねえ、しぃちゃん。 お母さんがお仕事から帰ってくるまで、 もっとおねえちゃんにいろんな遊びを教えて?
幼い志歩:うん、いいよ
幼い志歩:じゃあつぎは、砂でおだんごを作って——
幼い雫:わあ、いっぱいお団子さんできたわね
祖母:まあ、本当。志歩ちゃんも雫ちゃんも上手ねえ。 本物と間違えちゃいそうだわ
幼い志歩:……それはないと思うけど……
幼い雫:ねえ、しぃちゃん。次は何をして遊ぶ?
幼い志歩:んと、じゃあ……
???:志歩ちゃん、雫ちゃん!
幼い志歩:——……あ!
母親:遅くなっちゃってごめんなさいね。 琴のお仕事が長引いちゃって……
幼い志歩・雫:『お母さん……!』
母親:ふたりとも、寂しくなかった?
幼い雫:大丈夫。しぃちゃんとおばあちゃんと3人で 一緒に遊んでいたもの
幼い雫:ね、しぃちゃん!
幼い志歩:うん……!
母親:ふふ、ふたりとも本当に仲がいいのね
母親:おばあちゃんも、見ていてくれてありがとう
祖母:いいのよ。私も一緒になって遊んじゃったわ♪
幼い雫:あのね、お母さん。 おばあちゃんの作ったお団子、とっても上手だったのよ
幼い志歩:おねえちゃんも、じょうずだった
幼い雫:ありがとう♪ でも、しぃちゃんは私よりも もっともーっと上手だったわ
母親:うふふ、じゃあ今日は 志歩ちゃんと雫ちゃんに 夕飯のお手伝いをしてもらおうかしら
幼い雫:やりたーい!
母親:それじゃあ、急いで家に帰りましょうか。 今日の夕飯はハンバーグよ
幼い志歩:ハンバーグ……!
幼い雫:一緒においしいハンバーグ作りましょうね、しぃちゃん
幼い志歩:うん……!
雫:あのあと、ふたりでハンバーグをこねこねしたのよね。 いつもより、とっても美味しく感じられたわ……
志歩:……そんなことあったっけ
雫:ええ。あの頃のしぃちゃんは お姉ちゃん、お姉ちゃんって可愛くって……
雫:あ、ほら! お月見の写真があったわ。 懐かしいわねえ、しぃちゃんが幼稚園で初めて お月見のイベントをやった時の写真で——
志歩:わかったから。 ……もう、小さい頃の話はいいでしょ?
雫:もちろん、今のしぃちゃんだって 可愛いと思ってるわ!
志歩:そういう話をしてるんじゃないんだけど。 ていうか、そろそろ行かないと——
母親の声:志歩ちゃん、雫ちゃん、ごはんよー
志歩:……ほら、母さんが呼んでる。 私、先に行くから
雫:あ、待って! しぃちゃん
志歩:今度は何? 写真ならもう十分——
雫:ねえ、今年は久しぶりに、 一緒にお月見をしない?
志歩:……え?
雫:小さい頃は家族で一緒にしていたけれど、 最近は全然していなかったでしょう?
雫:だから久しぶりに、子供の頃みたくお月見したいなぁって。 ……どうかしら?
志歩:…………
志歩:……ごめん、今は練習に集中したいの
雫:しぃちゃん……
志歩:もうすぐ、Leo/needの初ライブがあるから。 一緒にプロになるって言ってくれたみんなとのライブに 全力を尽くしたいんだ
志歩:……だから、ごめん
雫:ううん、いいのよ。 残念だけど、しぃちゃんの夢だものね
雫:頑張って、しぃちゃん。 応援してるわ
志歩:……ありがと
雫:しぃちゃん、毎日頑張ってるものね……
雫:(このあいだまで、ちょっと悩んだりしていたけど……。 夢に向かって努力しているしぃちゃんは、 今までよりもずっと楽しそうだわ)
雫:(大変なこともたくさんあるはずなのに、 しっかりと前を向いて——)
雫:……ふふ、私も頑張らないとね
第 3 话:秋をテーマに
翌日
ステージのセカイ
みのり:ミクちゃん、こんにちは!
ミク:あっ、みのりちゃん! それにみんなも来てくれたんだね♪
遥:うん、次の企画の相談をしたくて。 ちょっと時間もらってもいいかな?
リン:もっちろーん♪ どんな企画なのか楽しみだね!
愛莉:ふふ、ありがと! いつも相談に乗ってもらえて助かるわ
MEIKO:それじゃ、さっそく企画会議をしましょうか♪
雫・みのり:『おー!』
遥:それで、次の企画なんだけど……
雫:あ……私、ちょっと考えてきたの。 聞いてもらえるかしら
みのり:わあ、雫ちゃんの企画楽しみ!
愛莉:ええ、聞かせてちょうだい!
雫:ありがとう! じゃあ、説明するわね
遥:なるほど。秋をお題にした企画か……
雫:ええ。読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋にちなんで、 たくさん食べる企画やおすすめの本を紹介したりするのは どうかしら?
リン:わー! とってもおもしろそうだね!
みのり:うんうん、わたしもいいと思うな~! 秋だったら焼き芋とか、モンブランとか、 パンプキンパイとかも……!
愛莉:完全に食べることしか考えてないわね
ミク:ふふっ。おいしいものは、 食べるのも、食べてるところを見るのも楽しいよね!
遥:さすがにたくさんは食べられないけど……。 おすすめのスイーツをひとつずつ買ってきて、 食べ比べするのは面白そうだね
ルカ:ええ、選ぶスイーツにも個性がでて楽しそうだわ♪
MEIKO:そうね。買うのもいいけど、作ってみるのも楽しそう♪
愛莉:みのりの『砂糖と塩を間違えたプリン』と、 雫の『プリンだと思ったら茶碗蒸し』だったオチは 今回ようやく見られるのかしら?
雫:もう、愛莉ちゃん!
みのり:間違えないで作れるもん!
愛莉:あはは、冗談よ冗談!
リン:いいな、いいな~! わたしもみんなとやりたーい
ミク:うん♪ 話を聞いてるだけでも楽しそうだよね
ルカ:ええ、そうね♪
ルカ:お菓子作りもいいし、スポーツの秋として 頑張って運動してるみんなを見るのもいいわね
雫:運動っていうと……あ! ピカピカお掃除選手権とか!
雫:誰が一番、綺麗にお部屋をお掃除できるかを競うの! お部屋もピカピカになって気持ちいいし、 汗もかいて健康的になれるわ♪
愛莉:悪くないけど……。 見せかたに気をつけないと、地味になっちゃいそうね
遥:そうだね。でも、食べ過ぎたあとにいいかも
MEIKO:あ、タイムアタック要素を入れれば、 白熱するんじゃないかしら!
雫:たしかにおもしろそうね♪
みのり:わたし、いっぱい動くのは自信あるよ!
ミク:ふふ、楽しい企画ができそうだね
愛莉:うーん……。 だけど、どうせならもうちょっと 秋っぽい企画がいいわよね
雫:秋っぽい……
愛莉:ええ、ひとつひとつの企画はおもしろいんだけど、 秋になぞらえた企画かっていわれると 普段と代わり映えしないっていうか
ルカ:そうねえ……
リン:わたしはおもしろいと思うんだけどな~
ミク:でも、もう少し秋っぽさがほしいっていうのもわかるかも
みんな:『うーん……』
MEIKO:……あ、そうだわ! 秋っぽいといえば、お月見なんてどうかしら♪
MEIKO:もうすぐ十五夜だし、ファンのみんなと お月見を楽しむのもいいんじゃない?
遥:お月見か……
愛莉:たしかに、あんまり考えてなかったわね
みのり:わたしは、秋といえばって感じでいいと思うな!
雫:(お月見……)
幼い雫:ねえ。そのうさぎさん、どうやって作ったの?
雫:——ええ、私もいいと思うわ。 配信でファンのみんなとお月見を楽しめたら、 とっても素敵じゃないかしら
ルカ:ファンのみんなと……。 同じ月を眺めながら配信するってことかしら
みのり:ロマンチックな配信になりそう~!
愛莉:でも、具体的に何をするの? ただ月を眺めるだけってわけにはいかないでしょ?
雫:そうねえ、たとえば……
雫:みんなでお月見団子を作って飾って食べたり、 うさぎさんのお面を作って、みんなで うさぎさんになったりするのはどうかしら
リン:わあ、うさぎさんのお面! わたしも作ってみたいな~!
みのり:わたしもお団子って作ったことないし、やってみたいな! すっごく楽しそう!
雫:ふふ。お団子もうさぎさんも、作るみんなの個性が出て、 見ていてとっても楽しいんじゃないかって思うの
愛莉:なんだか、いつもの配信と違った感じになりそうだし おもしろいんじゃない?
遥:うん、いいんじゃないかな
遥:ただ、もうちょっと企画を詰めておきたいかな。 どんなコーナーをやるのか、 当日何を用意すればいいのか、とか
雫:あ……! だったら、私にやらせてもらえないかしら
みのり:いいの? 雫ちゃん
雫:ええ! いいアイディアが浮かんできそうな気がするの。 ぜひやらせてほしいわ
愛莉:そこまで言うなら、完璧な企画期待してるわよ?
雫:もちろん。任せて!
第 4 话:あの頃のお月見
教室のセカイ
一歌:♪————! ——!
一歌:……ふぅ
咲希:ねえねえ、今のすっごく良くなかった!?
穂波:うん、わたしも思った……! 今までで一番、音がまとまってる感じがして……
志歩:そうだね。今の演奏が一番いいと思う
志歩:いくつか気になる箇所はあるけど、 この調子ならライブまでに直せそうだね
咲希:や、やったー! ルカさん、しほちゃんに褒めてもらえたよー!
ルカ:ふふ、よかったわね。 みんな、一生懸命練習していたものね
MEIKO:オリジナル曲も作ってるんだよね? そっちの調子はどう?
志歩:曲のほうは、細かい部分の調整中です。 あともう少しで完成できそうってところですね
リン:そうなんだ! 完成が楽しみだね~♪
ミク:歌詞は一歌が作ってるんだよね? どこまで進んでるの?
一歌:えっと……まだ納得できるものはできてなくて。 みんなに見せられるには、もう少し時間がかかるかも
ミク:そっか。でも、焦らなくても大丈夫だよ。 悩んだ分だけ、きっといい歌詞ができるはずだから
リン:そーそー! それにこういうのは、なんかある日突然ポンッて 思いついたりするかもだしね♪
志歩:それは適当すぎない?
一歌:ふふっ……。 ミク、リン、ありがとう
志歩:(合わせ練習も、オリジナル曲作りも順調に進んでる)
志歩:(……この4人でライブができるんだ)
志歩:それじゃあ、今の感覚を忘れないうちに 最後にもう1回、通しでやろう
穂波:うん。それじゃあカウントするね。 ワン、ツー、スリー、フォー——
咲希:ふーっ! 今日の練習もお疲れさま!
穂波:うん、お疲れさま。 最後の合わせもよかったね
一歌:そうだね、安定感があったっていうか、 馴染む感じがあったっていうか……。 うまく言えないけど、そんな感じがした
志歩:まだ詰めないといけないところはあるけどね。 でも、だいぶ良くなってきてる
志歩:この調子でライブまで練習していこう
咲希:おーっ!
MEIKO:でも、あまり無理はしすぎないようにね
ルカ:ええ、そうね。 たまには息抜きをするのも大切よ
一歌:息抜き、か……
咲希:あっ、それじゃあ十五夜の日に みんなでお月見パーティーしようよ!
志歩:えっ……
穂波:わあ、いいね! 最近お月さまが綺麗だし……!
一歌:でも、お月見って何するんだっけ。 お団子を飾って食べるくらいしか思いつかないけど……
穂波:あ、たしかに……。 お花見やひな祭りの時は、料理とかお弁当のイメージがあるけど、 お月見の料理って何かあったかな?
リン:なんでも食べちゃえばいいじゃん☆ こういうのは雰囲気が大事なんだから、 ノリでやっちゃえばよし!
咲希:そうそう! 好きなもの持ち寄って、みんなで食べようよ!
ルカ:ふふっ、いいわね
志歩:…………
雫:ねえ、今年は久しぶりに、 一緒にお月見をしない?
志歩:……え?
雫:小さい頃は家族で一緒にしていたけれど、 最近は全然していなかったでしょう?
雫:だから久しぶりに、子供の頃みたくお月見したいなぁって。 ……どうかしら?
一歌:それじゃあ、十五夜の日は練習のあとに お月見パーティーをしようか。 志歩、どうかな?
志歩:…………
穂波:……志歩ちゃん? どうしたの?
志歩:あ、ごめん。 ちょっと、考えごとしてて……
咲希:考えごと?
志歩:……別に、大したことじゃないんだけど、 昨日、お姉ちゃんから一緒にお月見しようって誘われたんだ
一歌:え、そうだったんだ
志歩:うん。けど練習に集中したいって言って、断ったんだ
志歩:まあ、この歳になって家族でお月見するのも 子供っぽいかなと思ってたからいいんだけど
咲希:…………
咲希:ね、しほちゃん! しずく先輩とお月見したほうがいいよ!
志歩:え……
穂波:……うん、そうだね
穂波:雫先輩には、いろいろ気にかけてもらってるし。 たまには一緒にすごすのもいいんじゃないかな
咲希:うんうん! しずく先輩、しほちゃんのこと大好きなのに、 いつもアタシ達がひとりじめしちゃってるもんね
志歩:別に、そんなこと気にしなくても……
一歌:でも、私も咲希に賛成かな。 雫先輩、きっと喜ぶと思うよ
咲希:あっ、そうだ! しずく先輩も呼んで、 みんなでお月見パーティーするのはどう!?
志歩:それは絶対に嫌
穂波:あ、あはは……
咲希:そっかぁ……。 じゃ、今年はみんな家族で お月見パーティーするっていうのはどう?
穂波:そうだね。雫先輩も、志歩ちゃんと 一緒にすごしたいと思うし
一歌:私も賛成。 その日は早めに練習を切り上げて 家でゆっくりすごそうか
咲希:うん! アタシもお兄ちゃんと一緒に お月見パーティーしよっかな~
穂波:わたしも。お月見のお団子、手作りしちゃおうかな
志歩:…………
宮益坂
咲希:それじゃあ、しほちゃん! また明日ね!
穂波:気をつけて帰ってね
志歩:ん、バイバイ
志歩:……それにしても、お月見か
志歩:(小さい頃は、お姉ちゃんと一緒によくやったっけ)
志歩:…………
志歩:(その中でも、一番最初に思いだすのは…… 幼稚園で初めてお月見会をやった時かな)
志歩:(あの時はたしか——)
体育館
幼稚園の先生:はーい、それじゃあみんないるかなー? 今日はお月見会なので、みんなでうさぎさんになったり、 お団子を作ったりして遊びましょう!
幼い志歩:はーい
幼い志歩:(お月見会って、なにするんだろうって思ってたけど……。 うさぎさんになって、おだんごを作るんだ!)
幼い志歩:(たのしそう……!)
幼い志歩:(おだんごってどうやって作るんだろ? 泥だんごと一緒の作りかたなのかなぁ?)
幼い志歩:ねえ、おねえちゃんも一緒に……
幼い雫:ふふ、お団子作るの楽しみね。 早く作りたいなぁ
雫の友達:わたしも! ねえ雫ちゃん、 一緒にお団子作ろうよ!
幼い雫:ええ、いいわよ
幼い志歩:あ……
幼い志歩:(おねえちゃん、おともだちと一緒に作るのかな)
幼い志歩:…………
幼い志歩:(じゃあ、わたしは……)
第 5 话:うさぎのお団子
体育館
幼稚園の先生:それじゃ、みんなでお団子を作りましょう! かわいくておいしいお団子、作れるかな?
雫の友達:わあ、雫ちゃんのお団子きれいだね!
幼い雫:ふふ、ありがとう。 みんなのお団子もきれいよ
幼い志歩:(……おねえちゃん、たのしそう)
幼い志歩:(わたしも、おねえちゃんと作りたいけど……)
幼い志歩:(……おねえちゃん、いつもわたしと一緒だし、 きっとおともだちと一緒にあそびたいよね)
幼い志歩:…………
幼い志歩:…………ひとりでも作れるし、だいじょうぶ
幼い志歩:えっと、この粉をつけて……っと
幼い志歩:(おだんご、まるめるのむずかしいな。でも……)
幼い志歩:まんまるのおだんご、かわいい……
幼い志歩:(そうだ。もっときれいなまんまるにして、 耳をつけて、うさぎのおだんごにしよっと)
幼い志歩:——耳を作って、と。 ふふっ、かわいい……
園児A:あ、志歩ちゃん! それおだんごじゃないよ~
幼い志歩:え……
園児B:そうだよ。教えてあげるから、 一緒におだんご作ろー!
幼い志歩:…………いい。 ひとりで作る
園児A:えー、でも先生のおだんごとちがうよ~?
幼い志歩:わたしはこのおだんごを作りたいから、いい
園児B:へんなのー
幼い志歩:…………
幼い志歩:(……みんなと一緒にやるとたのしくない)
幼い志歩:(だったら、ひとりで——)
???:……しぃちゃん!
幼い志歩:あ……
幼い雫:しぃちゃんのお団子、うさぎさん? とってもかわいいわね
幼い志歩:…………うん
幼い雫:ねえ、おねえちゃんにも うさぎさんの作りかた、教えてくれないかしら
幼い志歩:…………いい
幼い雫:え?
幼い志歩:おねえちゃん、おともだちと一緒にやって。 わたしはひとりでだいじょうぶだから
幼い雫:しぃちゃん……
幼い志歩:…………
幼い雫:あのね、しぃちゃん
幼い雫:私、みんなと作るのも楽しいけど、 しぃちゃんと一緒に作りたいなぁって
幼い志歩:……でも……
幼い雫:それにね、こんなにかわいいうさぎさんのおだんご、 しぃちゃんにしか作れないもの
幼い雫:おねえちゃんも一緒に、作ってみたいの
幼い雫:だからおねがい。 うさぎさんの作りかた、教えてくれないかしら?
幼い志歩:………………
幼い志歩:…………いいよ
幼い雫:ありがとう、しぃちゃん!
幼い雫:ねえ。そのうさぎさん、どうやって作ったの?
幼い志歩:えと、これはね……
幼稚園の先生:これでお月見会は終わりですよ~! みんな、かわいいうさぎさんのお面と お団子は作れたかな?
幼い志歩・雫:『はーい!』
幼稚園の先生:今日作ったものは持ち帰って、 ママとパパに見せてあげてくださいね!
幼い志歩:あ……
幼い志歩:(おだんご、持ってかえっていいんだ……!)
幼い雫:ふふ、しぃちゃんの作ったおだんごかわいいから、 お母さん達、きっとほめてくれるわね
幼い雫:はやく見てもらいたいね
幼い志歩:うん……!
シブヤの公園
祖母:お母さん、遅いわねえ……。 お仕事が長引いているのかしら
幼い雫:いつもならそろそろ帰ってくるのにねえ
祖母:そうねえ……。 あら、電話だわ。ちょっと待っててね
幼い雫:うん……
祖母:——あら、そうなの? まあまあ、大変ねえ……
幼い志歩:……!
祖母:わかったわ。 夕飯は私のほうで準備しておくから大丈夫よ。 気をつけて帰ってきてちょうだいね
幼い志歩:……おかあさん、帰ってくる?
祖母:ごめんなさいね。 お母さん、帰ってくるのが遅くなっちゃうみたいなの
幼い志歩:え……
祖母:今日はお父さんも遅いから、 うさぎさんのお面とお団子は明日、見てもらいましょ?
幼い志歩:…………
幼い志歩:(おねえちゃんと一緒に作ったおだんご……。 すぐ見てもらいたかったな)
幼い志歩:(でも……)
幼い雫:しぃちゃん……
幼い志歩:……だいじょうぶ。 おねえちゃん、帰ろう?
幼い志歩:(おねえちゃんだって、さみしいはずだし……。 わたしだけがワガママ言っちゃだめだよね)
幼い雫:…………
幼い志歩:——え……?
幼い雫:がまんしなくていいのよ、しぃちゃん
幼い雫:さみしい時は、さみしいって言っていいの
幼い志歩:……でも……
幼い志歩:おねえちゃんだって、さみしいのに
幼い雫:あのね、おねえちゃんは、 しぃちゃんがいてくれればさみしくないのよ
幼い雫:だから、しぃちゃん。 今日はお母さんのかわりに、 おねえちゃんに、いっぱい甘えて?
幼い雫:しぃちゃんが甘えてくれると、 おねえちゃん、とってもうれしいの
幼い志歩:おねえちゃん……
幼い志歩:……うん……っ
志歩:(あのあと、3人で夕飯を食べて……。 帰ってきた母さん達に、お団子を見せたんだっけ)
志歩:(母さんが帰ってくるまで、お姉ちゃんが一緒だったから…… 不思議と寂しくなかったんだよね)
志歩:(……そういえば、お姉ちゃんが今みたいに くっついてくるようになったのって あの頃からだった気がする)
志歩:…………
志歩:……お月見、久しぶりにお姉ちゃんとやるのもいいかな
第 6 话:プロとしての姿勢
雫の部屋
志歩:お姉ちゃん、ちょっといい?
雫:あら、しぃちゃん! いらっしゃい、どうしたの?
志歩:ん、実はちょっと話したいことがあって……って、ちょっと。 話してる最中にくっつこうとしないでよ
雫:あ、ごめんなさい! しぃちゃんが話しかけてくれるのが嬉しくて、つい……
志歩:もう……
志歩:まあ、話っていっても大した用じゃないんだけど
志歩:実は……って、あれ?
志歩:お姉ちゃん、手に持ってるのって何? 『お月見企画』……?
雫:あ、これはね。 次の生配信の企画をまとめたものなの
志歩:あ……アイドルの
雫:ええ! 次の企画、私がまとめることになったのよ。 よかったら見てみる?
志歩:え……いいの?
雫:もちろん、どうぞ
志歩:ありがとう
志歩:へえ……すごいな
志歩:企画の内容と、どんな準備がいるのか……。 それに当日の流れまで決めてるんだ
雫:ええ、決めておかないと 本番中、次に何をすればいいのか わかんなくなっちゃったりするから
雫:あ、愛莉ちゃん達は全然大丈夫なのよ? 私がおろおろしちゃうだけで……
志歩:まあ、想像できるよ
雫:や、やっぱりそうかしら……
志歩:……でも、すごいね。 これ、全部お姉ちゃんが考えたの?
雫:ええ、いつもはメンバーの子に 企画を考えてもらってばかりだから……
雫:みんなみたいにうまくできるかわからないけれど、 配信を見にきてくれているファンの子達のために 私ができることを頑張りたいの
志歩:ファンのために……
ミオ:プロになったら、“好き”だけじゃ通用しなくなるって、 イオリちゃんに言われたんです
ミオ:どんな時も音楽と、聴いてくれるファンを優先しなきゃいけない。 自分達の作る音楽に、責任を持たなきゃいけないって
志歩:……そうですね
志歩:……私が思う“責任”は、ステージの上で 常にベストな音楽を届けていくことだと思う
志歩:その時落ちこんでいても、体調が悪くても、 ライブに来てくれたお客さんには関係ないから
志歩:…………
志歩:(お姉ちゃんも、夢に向かって頑張ってるんだ。 私と同じように——)
志歩:(……いや、違う)
志歩:(お姉ちゃんは夢を追ってるわけじゃない。 プロのアイドルとして、責任を果たしてる)
志歩:(支えてくれる人がいるのを理解するのも、 観客に最高のパフォーマンスを届けるのも、 全部……プロとしての姿勢)
志歩:……すごいな、お姉ちゃんは
雫:え、すごいって……何が?
志歩:ううん、なんでもない
志歩:お姉ちゃん、頑張ってるなって思っただけ
雫:え……
志歩:な、なに?
雫:し、しぃちゃんにそう言ってもらえるなんて……!
志歩:ちょ、大げさだって。 ていうか、すぐくっつかないで
雫:だって、すごく嬉しいんだもの!
雫:大好きなしぃちゃんに応援してもらえたなら、 私、どれだけでも頑張れるわ!
志歩:もう、わかったってば……。 ほんと大げさすぎ
志歩:(……でも……)
志歩:(……小さい頃の私は、 お姉ちゃんのこれに、いつも支えてもらってたんだよね)
志歩:(…………もしかしたら、小さい頃だけじゃなくて——)
志歩:…………
雫:そういえば……。 しぃちゃん、何か用事があったんじゃないの?
志歩:……あ……
志歩:(一緒にお月見しよう、と思ったけど——)
志歩:(アイドルとして頑張ってるお姉ちゃんを 邪魔したくないな……)
志歩:——ごめん、なんでもなかった
雫:そう……?
志歩:それよりお姉ちゃん、企画まとめなくていいの?
雫:あっ、そうね。ずっとこうしていたいけど…… みんなのためにも、企画をまとめないといけないわね
志歩:うん。 ……ねぇ、お姉ちゃん
雫:なぁに?
志歩:企画作り、頑張って
雫:しぃちゃん……
雫:……ええ、ありがとう!
雫:ふふ、しぃちゃんに応援してもらったんだから、 もっともっと頑張らないとね
第 7 话:月夜の下で
十五夜当日
教室のセカイ
志歩:それじゃあ、今日の練習はここまでにしようか
ミク:みんな、お疲れさま。 今日はお月見だっけ?
咲希:そうなの! お兄ちゃんとお団子食べる約束してるんだ♪
咲希:お母さんがいろいろお料理作ってくれるって言ってたし、 すっごく楽しみ!
穂波:咲希ちゃんちのお母さん、料理上手だもんね。 ひな祭りの時の料理もすごく凝ってたし
咲希:えへへ~♪
MEIKO:穂波も料理うまかったよね。 今日は何か作るの?
穂波:あ、はい……! わたしは、お月見にちなんだ料理とお団子を作る予定です
一歌:へえ……みんな結構しっかりやるんだね。 私も、もうちょっとちゃんとしたお月見しようかな……
リン:あれ? いっちーは何か作ったりしないの?
一歌:うん。お団子を買って 家でのんびりするくらいしか考えてなかった
ルカ:あら、それもいいすごしかただと思うわ。 自分なりに月を楽しむっていうのも、いいんじゃないかしら?
咲希:うんうん! いっちゃんらしくて、すっごくいいと思うな~
志歩:…………
一歌:……志歩? どうかした?
志歩:……ううん、なんでもない
志歩:…………
ルカ:あら? 志歩、まだ残っていたの?
ミク:お姉さんとお月見するって言ってなかったっけ
志歩:……うん。まあ、ちょっと、ね
ミク:どうしたの? 何かあった?
志歩:別にそういうわけじゃないよ
志歩:ただ……ちょっと、お姉ちゃんのことを考えてたんだ
ミク:志歩のお姉さん?
志歩:……前、ちょっと話したことがあるかもしれないけど、 私のお姉ちゃんって少し天然なところがあるんだ
ミク:うん、聞いたことあるよ。 すぐに迷子になっちゃうんだっけ
志歩:うん。それに機械音痴だし、いつもぼんやりしてるし……。 正直、私より子供っぽいと思ってたんだ
志歩:でも昨日、お姉ちゃんの頑張ってる姿を見て…… そうじゃないって気づいた
志歩:子供の頃、お姉ちゃんはいつも私のことを気にかけてくれたんだ
志歩:悩んだり、寂しいって思うより前に、 お姉ちゃんが声をかけてくれてて……
志歩:多分、私が気づかないうちに、 甘やかしてくれてたんだと思う
志歩:そんなことに今まで気づかなかった私のほうが、 ……なんだか子供っぽいなって思って
ミク:ふふ、志歩はお姉さんのことが大好きなんだね
志歩:大好きっていうかはわからないけど……。 でも、すごいとは思ってるかな
ミク:そうなの?
志歩:うん。……お姉ちゃんはアイドルなんだけど、 プロの世界で頑張ってるんだ
志歩:苦しいこともたくさんあったはずなのに、 私の前では、いつも笑顔で……
志歩:ファンのみんなに希望を届けるために どうすればいいのかって、今も一生懸命考えてる
志歩:そんなお姉ちゃんを見てると…… 敵わないな、って思う
ルカ:……素敵な人なのね
志歩:昨日、考えたんだ。 お姉ちゃんが私にくっついてくるのって、 もしかして甘やかそうとしてるんじゃないかって
志歩:……高校生にもなって恥ずかしいし、 さすがに人前ではやめてほしいけど
志歩:でも……アレもお姉ちゃんなりに 私のためを想ってやってたのかもって思ったら、 なんていうか——
志歩:私はお姉ちゃんのために、 何もしてこなかったなって感じて
ルカ:志歩……
ミク:…………
ミク:私は、そんなことないって思うけど
志歩:……え?
ミク:志歩だって、今まで苦しい時があっても 頑張って乗り越えてきたでしょ?
ミク:志歩が頑張ってるお姉さんを見てすごいと思ったように、 お姉さんも、そんな頑張ってる志歩を見て 励まされてたんじゃないかな?
志歩:……どうしてそう思うの?
ミク:うーん、普段の志歩を見てて、なんとなく?
志歩:何それ。適当すぎ
志歩:でも……そっか。 ありがと、ミク
宮益坂
志歩:ふう……
志歩:お姉ちゃんが、私を見て励まされてた、か……
志歩:本当にそんなこと、あるのかわかんないけど
志歩:(……そうだったらいいな)
志歩:——あ、そういえば今日って、 お姉ちゃんが生配信するんだっけ
志歩:お月見の配信って言ってたな
志歩:(……今まで、お姉ちゃん達の配信って あんまり見たことなかったけど……)
志歩:…………ちょっと見てみようかな
第 8 话:もらえたもの、あげられたもの
雫の部屋
雫:MORE MORE JUMP!のー!
みんな:『お月見配信ー!』
みのり:今日は十五夜! お知らせしてあったとおり、みんなでお団子を作ったり、 うさぎのお面を作ったりするよ!
遥:みんな、準備はしてきた? いつもどおり質問やコメントにも答えていくから、 わからないところはどんどんコメントしてね
愛莉:そ・し・て~! 今日の進行は雫よ。ハプニングもあるかもしれないけど、 温かく見守ってちょうだいね!
コメント:『雫ちゃんの司会楽しみ』 『雫ちゃん、頑張れー!』
雫:みんな、ありがとう。 期待に応えられるように頑張るわ
雫:それじゃあ、さっそくお月見のお団子を作っていくわね。 まず、用意するのはお米と、もち米……
みのり:おー! って、え? お米? お団子って、お米から作るんだっけ?
遥:いや、団子粉から作るはずだけど……。 雫、そのレシピ見せてもらってもいい?
雫:あら? 違っていたかしら? レシピにはあんこやきな粉もいるって 書いてあるんだけど……
愛莉:ふむふむ、たしかに——って、これおはぎのレシピじゃない! お月見団子のレシピはないの!?
雫:あら? ちゃんと用意してたはずだったのに……
みのり:あっ、スマホで検索したら出てきたよ! このレシピで作ろうよ!
愛莉:ていうか、材料は大丈夫なの? 違うの買ってきてるんじゃ……
遥:それなら大丈夫。もしも足りなかったらって思って、 私のほうでも予備を準備してたから
雫:あ……ありがとう、遥ちゃん……!
コメント:『いつもの雫ちゃんだw』 『おはぎも作ってほしい』 『遥ちゃんさすが~!』
遥:ふふ、おはぎも美味しいよね。 また別の配信で作ってみようか
みのり:さんせーい! 楽しみだね!
愛莉:そうね……。 じゃ、雫。気を取り直して進めてちょうだい
雫:はーい。じゃあ、お月見団子を作っていくわね。 まず、団子粉と水を混ぜて——
遥:あとはお団子を冷水にさらして、冷めるのを待つだけだね。 お団子作りのコーナーはいったん休憩かな
雫:それじゃあ、そのあいだに 次のコーナーへいきましょうか
雫:みのりちゃん、いい?
みのり:うんっ! せーの!
みのり・雫:『みんなで作ってなりきり! うさぎさん!』
みんな:『いえーい!』
みのり:お月見といえばうさぎ! このコーナーでは、みんなでうさぎのお面を作って、 そのお面でうさぎになりきっちゃうよ!
遥:私達と一緒に、みんなもお面を作ってみてね
愛莉:作ってるあいだも、 コメントや感想をじゃんじゃん送ってちょうだい。 お月見の思い出話とかもしてくれたら嬉しいわ
雫:じゃあ、作っていきましょうか
みのり:はーい!
コメント:『どんなうさぎができるのかな』 『私も一緒に作るよ!』 『お月見かー。最近意識したことなかったなー』
コメント:『たしかに花見はやるけどお月見はあんまりしないかも』 『お団子をスーパーで見かけるくらいだったかな』
コメント:『モモジャンのお月見の思い出とか聞きたいなー』
遥:私達の思い出話、か……
みのり:うーん、みんな何かある?
雫:私は……
愛莉:雫、思い出深い話があるんじゃない?
雫:えっ? えっと、たしかにあるけど、 おもしろいかどうかは……
コメント:『聞きたい!』 『雫ちゃんのお月見の思い出教えて!』
遥:みんなも気になってるみたいだよ、雫
雫:みんな……。 それじゃあ、少しだけ話すわね
雫:私ね、ひとつ下の妹がいて、 小さい頃はよく一緒にお月見をしていたの
雫:幼稚園でのお月見会では お団子やうさぎさんのお面を一緒に作ったりして
雫:幼稚園を卒園してからも、 十五夜は家族で一緒にお月見をしていたのよ。 ふふ、お月見は毎年の楽しみになっていたわね
遥:仲がいい姉妹なんだね
みのり:雫ちゃんは、妹さんのことが大好きだもんね!
雫:ふふ、そうね。 しぃちゃんっていうんだけど、 可愛いくて、真面目で……とっても大好きなの
雫:私の両親は共働きで忙しくて、 両親とすごせる時間が少なかったんだけど……。 しぃちゃんと一緒にいる時は、全然寂しくなかったのよ
コメント:『仲良さそう』 『妹さん、雫ちゃんそっくりのイメージ』
雫:ふふっ、みんなにも見てほしいくらい可愛いの。 でも、可愛いだけじゃなくて、とっても芯が強い子なのよ
雫:バンドでプロになりたいって小さい頃から言ってて、 今は大切なお友達と一緒に、夢に向かって頑張ってるの
雫:いろいろ大変なことや悩むこともあったけれど、 それを乗り越えて今も努力し続けてるのよ
愛莉:ふふ、がんばり屋な妹さんなのね
雫:ええ! 本当にそうなの! 私も……夢に向かって頑張ってるしぃちゃんを見て、 何度も支えられたわ
雫:でも……ときどきでいいから、甘えてほしいなって思うの
みのり:甘えて……?
雫:ええ。いつだってみんなのことを想って 我慢して頑張っちゃう子だから
雫:せめて私の前だけでは、 遠慮しないで甘えてくれたらいいなって
遥:……雫らしいね
コメント:『いいお姉ちゃんって感じ』 『私も雫様に甘えたい……』
雫:ふふ、ありがとう
雫:私ね、昔……苦しいなって思った時、 しぃちゃんが頑張ってる姿を見て、すごく勇気づけられたの
雫:それで——『私も頑張らなきゃ』って思えたのよ
雫:だから、もし今度しぃちゃんが苦しんでいる時があったら、 その時は私が力になってあげたいの
雫:私は今まで、しぃちゃんにたくさんのものをもらったから
宮益坂
志歩:……お姉ちゃん、小さい頃のことまで 配信でしゃべるなんて……
志歩:……でも……
志歩:私に勇気づけられてたなんて—— そんなこと、思ってたんだ
志歩:(私は支えられてばかりで、 お姉ちゃんに何もできてないと思ってた)
志歩:(でも——)
ミク:志歩だって、今まで苦しい時があっても 頑張って乗り越えてきたでしょ?
ミク:志歩が頑張ってるお姉さんを見てすごいと思ったように、 お姉さんも、そんな頑張ってる志歩を見て 励まされてたんじゃないかな?
志歩:(少しでも、お姉ちゃんの支えになれてたなら……いいな)
雫の声:『——それじゃあ、今日の配信はここまでよ。 みんな、また見てちょうだいね!』
志歩:……あ、終わった
志歩:……帰ったら、お姉ちゃんに声かけてみようかな
志歩:お姉ちゃん、いる? ……って、わっ
雫:あら、しぃちゃん! おかえりなさい! 今、配信で作ったお団子を食べようと思ってたところなの
志歩:そうだったんだ。 あのさ、お姉ちゃん。今日——
愛莉の声:雫ー? どうしたの? 誰か来たの?
志歩:あ……
みのり:志歩ちゃん!
志歩:みのり。それに——
志歩:……すみません、みんないたんですね
志歩:えっと……お姉ちゃん。 またあとでにする
遥:あ……そんな、気にしないで。 もう配信は終わってるから
雫:そうよ、しぃちゃん。 一緒に食べましょう?
志歩:いや、いいよ。悪いし……。 お姉ちゃん、みんなと食べなよ
雫:ええっ、みんなとも食べたいけれど、 しぃちゃんとだって食べたいわ
雫:ほら、このお団子見て?
志歩:え、これ……。 うさぎの形のお団子……?
雫:ええ、配信で作ったお団子よ。 昔しぃちゃんに教わったうさぎさんを作ってみたの。 うまくできているかしら
志歩:お姉ちゃん……
志歩:——わかった。今日だけだからね
雫:しぃちゃん……!
雫:それじゃあ、みんな。 紹介するわ、妹のしぃちゃんよ
雫:しぃちゃん、紹介するわ。 MORE MORE JUMP!のみんなよ。 名前は——
志歩:桃井先輩、桐谷さん、……あとみのりでしょ。 みのりはクラスメイトだし、桐谷さんは 臨海学校で同じ班だったから話したことある
志歩:改めて……日野森志歩です。 姉がお世話になってます
愛莉:ふふっ、こちらこそよろしくね。 それにしても、しっかりしてる子ねー。 妹のセリフじゃないでしょ、これ
雫:そうなの、しっかりした子なのよ!
愛莉:いや、姉よりしっかりしてるって言われて 誇らしげになるのはどうなのよ……
遥:ふふ、私からも改めてよろしく。 これから、もっと仲良くなれると嬉しいな
志歩:うん、……こちらこそよろしく
みのり:志歩ちゃん、遥ちゃんのことでわからないことがあったら なんでも聞いてね!
みのり:遥ちゃんも! 志歩ちゃんのことでわからないことがあったら わかるところは答えるよ!
志歩:ふーん、私のことはなんでもじゃないんだ
みのり:うぅっ、だって志歩ちゃんのことは 雫ちゃんのほうが詳しいから……!
雫:ええ、しぃちゃんのことでわからないことがあったら なんでも聞いてちょうだい!
志歩:いや、直接聞いてくれたらいいから
遥:ふふっ……
雫:(しぃちゃんと、みんなと一緒にお月見できるなんて…… とっても嬉しいわ)
志歩:お姉ちゃん、どうしたの?
雫:うふふ、綺麗な十五夜だなって思っていたのよ。 月にいるうさぎさんも、きっと私達を見て ニコニコしてくれているんじゃないかしら
志歩:うさぎさんって……
志歩:…………まあ、そうかもね
志歩:ねえ、お姉ちゃん
雫:なぁに? しぃちゃん
志歩:……私も、お姉ちゃんにたくさんもらってるから
雫:え……
雫:…………ありがとう、しぃちゃん