活动剧情

Knock the Future!!

活动ID:34

第 1 话:曲に合った歌詞を

教室のセカイ
志歩:——よし、曲はこんな感じかな
咲希:やった~! みんなの分の譜面作り、終わったね!
ミク:みんな、お疲れさま
一歌:ありがとう、ミク!
一歌:なんだか、伴奏ごとのパート譜ができると、 ちゃんと曲ができたんだって実感するよ
MEIKO:早くみんなの演奏、聴いてみたくなるね
咲希:アタシも早く弾きたいな~! Leo/needの初めてのオリジナル曲♪
穂波:うん、わたしも……!
一歌:私達の曲なんだって思ったら、 この譜面もすごく大切なものに思えてくるな
一歌:咲希、志歩、ありがとう
志歩:曲を作った咲希はともかく、私は何もしてないけど
穂波:そんなことないよ
穂波:咲希ちゃんが作ってくれたメロディーを どんな風に譜面に起こせばいいのか、 わたしにはわからなかったから
一歌:うん、志歩がいなかったら 私も迷走してたと思う
咲希:しほちゃん、ありがと~!
志歩:……どういたしまして
志歩:じゃ、明日からはこの曲の練習も始めていこうか
志歩:まずは仮歌で詰めて、 一歌の作ってくれる詞ができたら 歌も合わせてバランス見ていこう
咲希:はーい!
リン:むう~
穂波:リンちゃん、どうしたの?
リン:ちょっとねー。 もう、まだ出てこないつもりなのかな~?
穂波:……?
ルカ:気にしなくていいわよ。 こっちの話だから
穂波:そうですか……?
志歩:それより、一歌の詞も楽しみだね
咲希:うんうんっ! どんな詞になるんだろ~♪
翌日
宮益坂女子学園 1年C組
一歌:うーん……
一歌:……サビを盛り上げるのなら、 最初はもう少し悩んでるニュアンスが 入ってもいいのかも
一歌:…………
一歌:私達のための曲……?
咲希:うんっ!
咲希:ホントはしほちゃんが言うように、 お客さんの心に響くような曲を作ったほうが いいんだろうなって思ったんだけど……
咲希:でも、この曲を作っていくうちにわかったの!
咲希:プロを目指すのって、すっごくすっごーく 大変なことなのかもって!
穂波:曲作り、大変だったもんね
志歩:だから、そんなに簡単じゃないよって言ったじゃん
咲希:そうなんだけど~!
咲希:でもね、アタシそれで思ったんだ!
咲希:曲を作るのも大変だったけど、 プロを目指すんだったら、他にも、 もっともーっと大変なことがあるのかもって!
咲希:だから不安になっちゃうような時でも、 この曲を聴いて、みんながもっとがんばろうって 思えるようになればいいな~って
咲希:それが……アタシが伝えたい想い!
志歩:そうだったんだ……
穂波:ふふ、咲希ちゃん、ありがとう
一歌:うん……! 素敵な曲だと思う
咲希:えへへ♪ ちゃんと曲にできてよかった~!
一歌:(この曲にこめた咲希の想い……。 私も、ちゃんと詞に落としこみたい)
一歌:……どんなに道に迷っても、キミとなら……
一歌:ちょ、ちょっとストレートすぎるかな。 咲希の想いを表現するっていうより、 私の気持ちも入っちゃってる気がするし……
一歌:やっぱり、ちょっとだけ言い回しを変えたほうが 曲に合う気がする……!
一歌:英語を入れてオシャレにして—— あ、韻を踏んでみたらどうかな
一歌:メロディーに乗せた時、かっこよく聴こえるかも
咲希:いっちゃん、おはよーっ!
一歌:わっ! さ、咲希……
咲希:あれ? 何書いてるの?
一歌:えっと、あの曲の歌詞。 まだ途中なんだけど……
咲希:えっ、ホント!? 見せて見せて~♪
一歌:あ、ちょっと、咲希!
咲希:えーっと、 『迷い続けるsadness キミと笑えばhappiness』……
咲希:わ、いっちゃんって感じがする! なんだかかっこいい~!
一歌:ま、まだ途中だから駄目だってば!
咲希:いいじゃんいいじゃん♪ いっちゃんの歌詞、アタシもっと読みたーい!
遥:ふたりとも、朝からすごくにぎやかだね。 どうしたの?
咲希:はるかちゃん、おはよー!
一歌:咲希がノートを返してくれなくって……
遥:ノート?
咲希:うん! アタシが作った曲に、 いっちゃんが詞をつけてくれてるんだ~!
遥:へえ……天馬さん達、曲を作ってるんだ
咲希:アタシ達がっていうか、Leo/needのみんなで、だけどね♪
遥:すごいね。それで、星乃さんが詞を書いてるの?
一歌:う、うん。まだ完成してないから 見られるのは恥ずかしいんだけど、咲希が……
咲希:え~! だって早く見たいんだもーん♪
遥:……ふふっ。星乃さんの気持ちはちょっとわかるな
遥:私も、歌やダンスが未完成のまま 人に見られるのはちょっと抵抗があるし。 できれば、自分が納得してから見せたいよね
咲希:え? はるかちゃんもそうなの?
遥:うん。まあ、これは私の場合はってだけで、 中には抵抗のない人もいると思うけど……
遥:星乃さんには、星乃さんの見せてもいいって 思うタイミングがあるんだよね? だったら、それまで待ってあげたらいいんじゃないかな
遥:だから、意地悪せずにノートは返してあげること
咲希:は、はぁーい
咲希:いっちゃん、意地悪してごめんなさい! 歌詞、楽しみにしてるね!
一歌:咲希……
一歌:うん、ふたりともありがとう。 いい詞が書けるように頑張るね

第 2 话:スペシャルなニュース

放課後
宮益坂女子学園 1年C組
一歌:……はあ……
一歌:今日の練習までには、って思ってたんだけど……。 結局、いい詞は書けなかったな
一歌:ライブも近いし、そろそろ完成させなきゃ 練習もできないのに——
一歌:(どうしてだろう。 何度書いても、納得できるものにならない……)
一歌:(咲希の曲を聴いた時は、 書きたいものがすぐ浮かんだんだけど——)
一歌:(この想いを、どんな言葉にすればいいんだろう……)
咲希:いっちゃーん! そろそろ練習に行こ!
一歌:あ……うん!
教室のセカイ
リン:あ、いっちー達だ! しほぴょんも元気そうだねーっ♪
志歩:……リン、私の反応見て楽しんでない?
リン:え~、そんなことないけどー
一歌:ミク、また練習につきあってもらっていいかな
ミク:もちろん。 次のライブの練習?
一歌:うん、それと……
ミク:……?
穂波:オリジナル曲の練習もするんだよね
MEIKO:ああ! この前、曲が完成したんだよね
咲希:はい♪ 早くみんなであわせたいな~って思ってたんです!
志歩:そうだね。 みんなで作ったからメロは覚えてるだろうけど、 ライブのために今から練習しておきたいかな
志歩:一歌、歌詞はできてる?
一歌:あ、えっと……
咲希:いっちゃん、どうしたの?
一歌:ごめん、実はまだ詰めきれてなくて
志歩:あ、そうだったんだ
志歩:……急かしてごめん。焦らなくていいから
一歌:ううん、待たせちゃってるのは私だから。 早く仕上げられるように頑張るよ
志歩:じゃ、練習始めようか。 まずはライブでやるミクの曲から——
リン:あ、はいはーい! その前に、ちょっといいかなっ!?
一歌:え、どうしたの?
リン:実は、みんながびっくりする とってもスペシャルなニュースがありまーす!
咲希:スペシャル!? なになに!?
リン:それはねそれはねー! とびっきりクールでかっこいい新メンバーが——
???:…………リン、もういいから
一歌:えっ……?
一歌:カイト……!?
KAITO:……どうも……
穂波:スペシャルなニュースって、なんだろうと思ったけど……
咲希:すっごくびっくりしちゃった! まさかカイトさんがいるなんて!
志歩:たしかにスペシャルだったかもね
KAITO:…………
KAITO:……盛り上げすぎだよ、リン
リン:え~? だってカイト兄、 いつまで経っても出てきてくれないんだもん!
リン:昨日だって、いつ教室に入ってくるのかな~? めちゃ焦らしてくるな~!?って思ったのに、 結局最後まで来なかったし!
リン:いっちー達が帰った頃に、 のそのそーって入ってくるんだもん! 今日も来ないかもって思ったんだよ~?
KAITO:……それは……
ルカ:これに関してはリンを責められないわね。 私も、もうそろそろ呼びにいこうかと思っていたし
ミク:そうだね。私もカイトが悪いと思う
KAITO:う…………
穂波:あの……もしかして、お忙しいんですか? でしたら、無理しなくてもわたし達は別に——
MEIKO:あー、そういうわけじゃないから大丈夫。 なんか照れちゃってるだけ
志歩:照れ……?
ルカ:ふふ、カイトはシャイなのよね
KAITO:…………
ミク:でも、演奏の腕は抜群にいいんだ。 なんていうか、音で語るってタイプかな
リン:うんうん☆ 演奏してる時は存在感すごいんだよね!
リン:あたしもカイト兄にいろいろ教わってるんだー!
一歌:そうなんだ……
一歌:あの、もしよければ私達の練習も見てくれないかな
咲希・穂波:『よろしくお願いします!』
KAITO:…………わかった
リン:それじゃ、挨拶代わりに1曲やっちゃう!?
ミク:え、今から?
咲希:はいはい! アタシ、聴きたいでーす! カイトさんの演奏も気になるし!
穂波:音で語るってやつだよね。 わたしも聴いてみたいな
志歩:うん、興味ある
一歌:私も……! ミク、カイト、お願いできるかな
ミク:どうする? カイト
KAITO:……いいよ。やろう
ミク:じゃ、いくよ!
ミク:————♪ ————♪
穂波:わあ……
志歩:…………っ!
一歌:(さっきと、全然雰囲気が違う——!)
咲希:(すごい力強い音……! なんだか、引きこまれちゃいそう……)
志歩:(でも、ひとりで走ってるわけじゃない。 みんなの音を邪魔してないのに、この存在感——)
志歩:(それに……)
穂波:(なんだろう、音が生きてるっていうか……。 わたし達に何かを伝えようとしてるみたい)
穂波:(この音は——)
一歌:(これが、音で語るってこと……?)
MEIKO:やっぱりいいね、カイトの演奏。 今のはどういう想いで弾いたの?
KAITO:…………
KAITO:……新しい扉を開けようとしてる、みんなに向けて
一歌:新しい、扉……?
KAITO:…………うん
咲希:もしかしてアタシ達、応援してもらってたのかな!?
穂波:たしかに、力強くて背中を押してもらえるような気がしたね
志歩:うん。ミク達との息もすごく合ってたし、 私達も、あんな演奏をしてみたいって思った
一歌:……そうだね!
一歌:聴かせてくれてありがとう、カイト!
一歌:(みんなと新しい扉を開くために……。 私達の曲を書きあげなきゃ)
KAITO:…………

第 3 话:表現の仕方

教室のセカイ
志歩:——うん、オリジナル曲もいい感じだね
咲希:すっごく気持ちよかった~!
穂波:うん、ドキドキしちゃった……!
一歌:ミク達の演奏に比べたらまだまだだけど……。 結構良かったよね
志歩:うん。やっぱり自分達で作ったこともあって、 みんな、上達が早いね
咲希:何回も作り直したもんね~。 大変だったけど、こだわってよかったって感じるよ!
穂波:ふふ、細かいところまで見て アドバイスしてくれた志歩ちゃんのおかげだね
志歩:咲希が頑張って作ってくれた曲だし、 私もいい曲に仕上げたかったからね
咲希:しほちゃん……!
志歩:まあ、この調子ならライブまでに 仕上げられるんじゃない?
志歩:あとは……
一歌:ご、ごめん。歌……だよね。 早く歌詞を書き上げられるようにするよ
志歩:……まだ時間はあるから大丈夫
穂波:一歌ちゃん、結構悩んでるの?
一歌:うん。ちょっと……
咲希:もしかして、アタシの曲だと歌詞作りづらかった? イメージわかなかったなら、ごめんね……!
一歌:違う、そうじゃないんだ
一歌:咲希がこの曲にこめた『みんなが不安になる時でも、 聴けばまた頑張ろうって思えるような曲』って メッセージは、すごく共感できる
一歌:私も、そんな詞を書きたいって思ってるよ
一歌:……だけど……
ミク:ねえ、一歌。 歌詞はどれくらいできてるの?
一歌:えっと……。 形だけなら書き上がってるけど、 まだ納得できるものにはなってなくて
ミク:じゃあ、一度みんなに見せてみたらどう?
一歌:えっ、でも……
MEIKO:そうだね。 ひとりで悩むよりも、みんなで悩んで案を出したほうが いいものが作れるかもしれないよ
咲希:うんうん! アタシも曲を作ってた時、 みんなにたくさんアドバイスしてもらったし!
咲希:アタシは、歌詞のことはわかんないし、 いいアドバイスできないかもしれないけど……。 でも、いっちゃんの力になりたい!
一歌:咲希……
穂波:一歌ちゃん、もしよければわたしも見たいな
志歩:私も
一歌:……うん、わかった
一歌:えっと、これなんだけど——
志歩:『迷い続けるsadness キミと歩み続けるhappiness いつかは虹がボクらの前に』……
咲希:あ、この前書いてた歌詞だ!
ミク:へえ……一歌、こんな詞を書くんだ
穂波:ふふ、オシャレな歌詞だね
志歩:……でも、何が言いたいのかわからないかも。 ニュアンスはなんとなく掴めるんだけど
一歌:そっか……。 やっぱりそうだよね
一歌:私も、なんだか違う気がするんだ。 この歌詞じゃ、咲希が曲にこめた想いを うまく表現できてない気がする……
志歩:表現、か……
ミク:……あれ、前のページにも何か書いてあるよ?
咲希:ホントだ! なになに?
一歌:あっ、そっちはだめ——!
咲希:『どんなに道に迷っても キミとなら乗り越えられるよ 一緒に笑おう、これからも』——
穂波:わ……、すごく素敵……!
ミク:うん、一歌の優しい気持ちが伝わってくるね
咲希:アタシも好きだな、この詞!
一歌:だ、駄目だよ。そっちは……!
志歩:どうして駄目なの?
一歌:だって、ありきたりすぎるし……。 それにLeo/needみんなの曲なのに、 私の主観が入ってるような気がして……
志歩:…………? それの何が駄目なの?
志歩:詞を作ってるのは一歌なんだから、 一歌の気持ちをこめていいんじゃない?
一歌:そう、かもしれないけど……
咲希:うーん。アタシはこっちのほうが好きなんだけどなー
穂波:わたしも。でも、一歌ちゃんが納得してないのなら、 もっといい表現方法があるのかもしれないよね
志歩:……そうかもね
一歌:……みんな、ごめん。 もっと考えてみるよ
翌日
宮益坂女子学園 中庭
穂波:…………
志歩:——あれ、穂波?
志歩:(すごく真剣な顔でスマホ見てるけど……。 何見てるんだろ?)
志歩:ねえ、穂波
穂波:ひゃっ! あ、志歩ちゃん……!
志歩:……驚かせてごめん。 何見てるのか気になって
穂波:あ、これ……? STANDOUTの曲、聴いてたんだ
志歩:STANDOUTの? なんで?
穂波:昨日、一歌ちゃんが作詞で悩んでたでしょ?
穂波:あの時、アドバイスしたいなって思っても、 作詞のこと全然わかんなくて……。 結局、何も言えなかったから
穂波:だから、少しでも勉強して、 一歌ちゃんの力になりたいなって思って
志歩:……そうだったんだ
穂波:うん。でも、やっぱり難しいな……
穂波:わたしは、一歌ちゃんが最初に見せてくれたオシャレな歌詞より ふたつめのストレートな歌詞のほうがいいって思ったの
穂波:だから、歌詞はストレートなほうがいいかなと思ったけど……
穂波:でもSTANDOUTの歌詞は、オシャレな言い回しなのに すごく気持ちが伝わってくる気がするの
穂波:同じような表現でも、全然印象が違うんだよね。 どうしてなんだろうって考えてたんだけど、 ……まだよくわかんなくて
志歩:……音楽に正解はないからね
志歩:ストレートな表現も、凝った言い回しも、 どっちも正しいと思う
志歩:問題は……、一歌がちゃんと自分の伝えたいことを 表現できてるか、だと思うんだけど
志歩:——私も作詞の経験はないし、 いいアドバイスはしてあげられそうにないな
志歩:……悔しいな
志歩:咲希の時もそうだったけど……。 曲作りっていう、バンドにとって大事な場面で 私は何もできてない
穂波:志歩ちゃん……
穂波:わたし達にできること、何かないのかな……

第 4 话:思わぬアドバイス

翌日
ライブハウス
店長:なるほどね。 作詞のやりかたか……
志歩:はい。いろんなバンドを見ている店長なら 何かいい方法を知ってるんじゃないかと思って
店長:そうだねえ。日野森さん達の言うように、 作詞の方法はバンドごとに違うから 正解はないと思うよ
店長:だから、その子が納得できるまで 作ってもらうのが一番いいんじゃないかな
店長:まあ、僕も実際に詞を書いたことはないから あんまり偉そうなことは言えないんだけどね
志歩:そうですか……
穂波:……やっぱり、わたし達にできることはないのかな
イオリ:店長、次のライブなんだけど——
志歩:あ……
イオリ:あれ、日野森さん? 今日バイトだったんだ
イオリ:一緒にいる子は……
穂波:あ、Leo/needのドラムをしている、望月です。 お久しぶりです
イオリ:ああ、望月さん。よろしくね
イオリ:それにしても、みんな真面目な顔してどうしたの? 何かあった?
志歩:そういうわけじゃないんですけど
店長:……そうだ、日野森さん。 イオリちゃんに聞いてみたらどう?
志歩:……え?
店長:イオリちゃんはSTANDOUTで詞を書いてるし、 何か参考になるかもしれないよ
イオリ:ごめん。話が見えないんだけど、なんの話?
穂波:あ……ごめんなさい! 実はわたし達、オリジナル曲を作っているんですけど、 作詞をしている子が、うまく書けないって悩んでて……
穂波:なんとか力になりたいと思って、 いろんな曲を聴いたり、作詞の仕方を調べてみたんですが、 ……やっぱり、いいアドバイスできそうもなくて
イオリ:なるほどね。作詞か……
穂波:あの……! もし、よければなんですけど…… 作詞について何かアドバイスをもらえませんか?
穂波:イオリさんなら、わたし達には見えないもの……。 わからないことが、わかるんじゃないかと思って……
イオリ:…………
イオリ:そうだね。私も力になってあげたいけど——
イオリ:その子が何に悩んでいて、 どうしてうまく書けないと思ってるのかがわからないと、 アドバイスするのは難しそうだな
イオリ:それに、こういうのは他人がどうこう言っても、 結局は本人が納得するものを仕上げないと意味がないしね
穂波:……やっぱり、そうですよね……
志歩:…………
イオリ:でも、その子はすごいね
志歩:え……?
イオリ:ほら、詞って結局、自分のさじ加減でしょ?
イオリ:だから綺麗な言葉だけを並べて、 ハイ終わりってことにもできるんだけど……
イオリ:話を聞いてるとその子はそうじゃない。 バンドのために、その子自身のために、 一番いい言葉を探して、書こうとしてる
イオリ:そういう、音楽とまっすぐ向きあう姿勢、私は好きだよ
穂波:イオリさん……
イオリ:とりあえず、バンド仲間として、 その子が考えてきた言葉とまっすぐ 向きあってあげればいいんじゃないかな
志歩:そっか……
穂波:わたし達にできることがないかって ずっと探してたけど……
穂波:一歌ちゃんを信じて待つっていうこと、 ちゃんとできてなかったのかもしれないね
志歩:……咲希の時と同じだったね
イオリ:詞を書いてるのって、“一歌ちゃん”って子なんだ。 もしかしてボーカルの子?
穂波:あ、はい……!
イオリ:そっか。その子は今も詞を書いてるの?
志歩:多分……。 あ、でも今は、路上ライブをやってる時間かも
イオリ:路上ライブ? へえ、そんなことやってるんだ
志歩:はい。歌の練習をしたいって言って、 いつの間にかひとりで始めてたんです
イオリ:……ふうん、そっか。 努力家なんだね
イオリ:教えてくれてありがとう。 いい曲ができるといいね
穂波:はい……! 相談に乗ってくれてありがとうございました!

第 5 话:飾る言葉、飾らない言葉

センター街
一歌:♪————! ♪————……!
一歌:あ、ありがとうございました……!
一歌:(はあ……、なんだか調子出ないな……)
一歌:(いつもより声が出てない気がする。 そのせいか、足を止めて聴いてくれる人も少ないし)
一歌:(やっぱり、悩みながら歌うのはよくないな)
一歌:……でも……
一歌:えっ……
一歌:い、イオリさん……!?
イオリ:久しぶり、一歌ちゃんだよね。 こんなところで歌ってたんだ
一歌:あ、はい……。 聴いてくれてたんですね。 ありがとうございます……
イオリ:うん。ちょっと通りかかったからね
イオリ:……でも、残念だな
一歌:え……?
イオリ:さっきの歌には、この前聴いた時みたいなパワーがなかった
イオリ:STANDOUTのライブで聴いた時の一歌ちゃんは、 自分の歌と演奏で想いを伝えようっていう 意志の強さが感じとれた
イオリ:でも、今の一歌ちゃんは……そうだな。 何を伝えればいいのか迷っていて、 頭がぼんやりしたまま歌ってる感じ……かな?
一歌:……あ……
イオリ:……やっぱり、そうか
イオリ:ねえ、このあと時間ある? ちょっと話そうよ
一歌:えっ……?
カフェ
店員:いらっしゃいませ。ご注文は?
イオリ:何がいいかな。おすすめは?
店員:よろしければ、水出しのアイスコーヒーはいかがでしょうか? フルーティーな香りを楽しめますよ
イオリ:そう。じゃ、その水出しアイスコーヒーひとつ
店員:はい、かしこまりました。 ……そちらのお客様はお決まりですか?
一歌:あ、じゃあ同じもので……
店員:水出しアイスコーヒーふたつですね。 それでは少々お待ちくださいませ
イオリ:ふふ、なんだか変な感じだね。 ふたりでカフェにいるなんて
一歌:そうですね、ちょっと緊張しちゃうな……
イオリ:肩の力抜きなよ。 そんなんじゃ、ゆっくり話せないでしょ?
イオリ:……それで、何かあったの? もし悩みごとがあるのなら聞くけど
一歌:あ……
一歌:ありがとうございます。 実は——
一歌:——それで、仲間が作ってくれた曲に合うような歌詞が うまく書けなくて……
イオリ:なるほどね
イオリ:難しいよね。本当に伝えたいと思うものほど、 言葉にできなかったりするから
一歌:……え……
一歌:イオリさんでも、そんな風に思ったりするんですか?
イオリ:もちろん。 今は自分なりの表現方法が身についたけど、 特に、詞を書き始めた頃は大変だったな
イオリ:どう言葉で表現すれば想いが伝わるのかわからなくて、 いろいろなアーティストの曲を聴いたり、 詞を見て書きかたを真似してみたり……
イオリ:いろいろ試してみたけど、 結局『自分にはこのやりかたしかない』って 形に行き着いてからは、もう迷わなくなった
一歌:自分には、このやりかたしかない……
一歌:あの……イオリさんは、 いつもどんな風に詞を書いてるんですか?
一歌:私はまだ『自分のやりかた』が見つからなくて……。 どう作ればいいのか、迷ってるんです
イオリ:そうだな……
イオリ:これはあくまで私のやりかたなんだけど、 聴いてくれる人に、どうやったら想いが伝わるのかを 一番に考えて書いてるかな
イオリ:あえてそこをぼかす表現をする人もいるけど、 私は言葉で、曲で、しっかり伝えたいって思ってる
一歌:……イオリさんは自分の言葉で、 自分の伝えたいことを伝えられるんですね
一歌:かっこいいな……
イオリ:…………?
一歌:STANDOUTの曲、何度も聴きました。 どれもすごく曲調に合っていて、フレーズも韻を踏んでたり、 ちょっと変わった言い回しのかっこいいものが多くて……
一歌:私も、あんな風にかっこいい言い回しで 想いを歌詞に落としこめたらって思うんですけど、 なかなかうまくできなくて
イオリ:……ねえ、ひとつ聞いていい?
イオリ:さっき、私の書いた詞みたいなものを 書きたいって言ってくれてたけど……、 それってどうして?
一歌:え、どうしてって……
一歌:オシャレでかっこよくて、 耳にも残るし、何度も聴きたくなるから……?
イオリ:……なるほど
イオリ:一歌ちゃんが、納得できる歌詞が書けない原因はそこかもね
一歌:え……?
イオリ:一歌ちゃんはさ。 詞を書く時は、凝った言い回しだったり 韻を踏むことなんかが大事だって思ってるんじゃない?
イオリ:少なくとも私は、そういうものが 歌詞にとって一番大事だとは思ってないよ
一歌:そう、なんですか?
イオリ:うん。私は歌詞で凝った言い回しを使うことが多いけど、 それは、そのほうが伝えたい想いを 印象深く残せると思ってるから
イオリ:伝えたい想いをちゃんと伝えるために、 あえてその表現が必要だなって思った時に、そうしているだけ。 ごまかしや、ファッションのためじゃない
一歌:……伝えたい、想い……
イオリ:だからもし、飾らない言葉のほうが より強く想いを伝えられる曲なら、私はそっちを選ぶ
イオリ:凝った言い回しやフレーズのせいで、 聴いてくれる人に想いが伝わらなくなったら もったいないからね
一歌:…………
志歩:……でも、何が言いたいのかわからないかも。 ニュアンスはなんとなく掴めるんだけど
一歌:そっか……。 やっぱりそうだよね
一歌:私も、なんだか違う気がするんだ。 この歌詞じゃ、咲希が曲にこめた想いを うまく表現できてない気がする……
一歌:……私も、自分にはストレートな詞のほうが 合ってるかもしれないって思ってるんです
一歌:でも、それじゃ駄目な気がして……
イオリ:どうして?
一歌:私が書いた言葉はありきたりで、平凡で……。 そんな表現じゃ、仲間が曲にこめてくれた想いを ちゃんと伝えられない気がするし
イオリ:そう? 私はそんなことないと思うけど
一歌:え……?
イオリ:STANDOUTの前座で歌った時のこと、覚えてる?
イオリ:“誰かの心に響くような演奏がしたい”って 日野森さんに伝えたまっすぐな言葉が 彼女の心に響いたでしょ?
イオリ:そうして演奏でも、ちゃんとやりきってくれた。 一歌ちゃんの想いを伝えきってくれた
イオリ:あの時の演奏は、日野森さんだけじゃなくて 聴いてた私達もグッときたんだ
イオリ:だから……それをストレートに出したら、 誰かの心に響くようなものになるんじゃないかな
一歌:あ……
イオリ:一歌ちゃん、自信を持ちなよ。 君には想いを届けられる力があると思う
イオリ:君らしい言葉で、みんなに伝えればいいんだよ
一歌:イオリさん……
一歌:はい、ありがとうございます!

第 6 话:恥ずかしがらずに

一歌の部屋
一歌:私らしい言葉で伝えればいい——
一歌:…………
一歌:(今まで、なんとなくかっこよく聞こえるように、 韻を踏んだり、凝ったフレーズにしたり いろいろ工夫してみたけど……)
イオリ:一歌ちゃんはさ。 詞を書く時は、凝った言い回しだったり 韻を踏むことなんかが大事だって思ってるんじゃない?
イオリ:少なくとも私は、そういうものが 歌詞にとって一番大事だとは思ってないよ
一歌:そう、なんですか?
イオリ:うん。私は歌詞で凝った言い回しを使うことが多いけど、 それは、そのほうが伝えたい想いを 印象深く残せると思ってるから
イオリ:伝えたい想いをちゃんと伝えるために、 あえてその表現が必要だなって思った時に、そうしているだけ。 ごまかしや、ファッションのためじゃない
一歌:(それって結局、自分の言葉に 自信がなかったからなのかも)
一歌:(……でも、今度はごまかさない)
一歌:(まっすぐな私の想いを、 詞に乗せてみよう——)
一歌:…………
一歌:……できた……
一歌:(咲希が曲にこめてくれた想い。 私が曲を聴いて、伝えたいって思った気持ち——)
一歌:(ちゃんと落としこめた、と思う)
一歌:…………でも、読み返してみると やっぱりちょっと恥ずかしいな
一歌:ひとりよがりな詞に見えるかもしれないし……
一歌:……あ、そうだ
一歌:ミクだったら、何かアドバイスしてくれるかも——!
教室のセカイ
一歌:えっと……
一歌:あ、カイト! ミク達はいる?
KAITO:……視聴覚室。 このあいだ、咲希が置いていった アクション映画……見てる
一歌:そっか。 じゃあ、邪魔しちゃ悪いかな
一歌:カイトは、ここで何してるの?
KAITO:……演奏する前の、イメージトレーニング
一歌:あ……そうなんだ。 じゃあ、またあとで来ようかな
KAITO:……いいの?
一歌:えっ?
KAITO:……何か、話があったんじゃないかと思って
一歌:あ……
一歌:——うん。実は、歌詞ができたから 見てほしくて……!
一歌:これなんだけど……
KAITO:……うん……
一歌:…………、 どう、かな……?
KAITO:…………
KAITO:うん、いいと思う
一歌:ほ、本当……?
KAITO:みんなを大切に想う気持ちを、 歌詞から感じた
KAITO:……曲に乗せれば、 もっと強く想いが伝わってくる
KAITO:…………と、思う
一歌:そっか、よかった……!
一歌:あ、でも……恥ずかしい感じになっちゃってたり、 つまらない歌詞になってないかな……?
KAITO:大丈夫
KAITO:恥ずかしいとも、つまらないとも思う必要ない。 ……これは、大事な一歌の想いだ
一歌:恥ずかしいなんて、思う必要ない……
一歌:(そっか、私……そう思ってたんだ)
一歌:(今までずっと、自分のやりたいことがわからなくて。 なんとなくで生きてきた)
一歌:(だから、こんな私が想う言葉を書いたって、 誰にも響かないんじゃないかって——そう思ってた)
一歌:(でも……)
穂波:わ……、すごく素敵……!
ミク:うん、一歌の優しい気持ちが伝わってくるね
咲希:アタシも好きだな、この詞!
イオリ:“誰かの心に響くような演奏がしたい”って 日野森さんに伝えたまっすぐな言葉が 彼女の心に響いたでしょ?
イオリ:そうして演奏でも、ちゃんとやりきってくれた。 一歌ちゃんの想いを伝えきってくれた
イオリ:あの時の演奏は、日野森さんだけじゃなくて 聴いてた私達もグッときたんだ
一歌:(誰にも響かないんじゃないかって、 想いを閉じこめたままじゃ——誰にも届かないんだよね)
一歌:(この曲を聴いてくれる人に、 Leo/needみんなの想いを伝えるためにも……)
一歌:自分の気持ちを、伝えたい想いを、 誰よりも信じなきゃ——
翌日
志歩:あれ、一歌。先に来てたんだ
穂波:もしかして、歌詞ができたの?
一歌:うん……! 見てほしいんだけど、いいかな
咲希:わーっ、楽しみ! 見せて見せて~♪
一歌:どう、かな。 今度はちゃんと書けたと思うんだけど
咲希:いっちゃん……
一歌:う、うん……
咲希:……アタシ、これまでの いっちゃんの歌詞の中で、これが一番好き!
咲希:すごい、すごいよいっちゃん! アタシが伝えたかったこと、 全部いっちゃんが言ってくれたような気がする!
一歌:本当?
志歩:うん。まっすぐで…… 一歌の気持ちが、ちゃんと詞で表現されてる
穂波:本当に、すごくいいと思う
穂波:わたし達のことを歌ってくれてるんだなって思うと、 嬉しいけど……ちょっと照れちゃうな
一歌:……志歩、穂波……
穂波:ねえ、一歌ちゃんの歌詞もできたし、 演奏してみない?
穂波:この歌詞が乗った曲、聴いてみたいな
志歩:いいね。一歌、ギターのチューニングは済んでる?
一歌:うん! もちろん
咲希:やったー! アタシもシンセ用意してくるっ!
一歌:(……そっか、これでよかったんだ)
一歌:早く、歌いたいな
一歌:私達の曲を——お客さんの前で……!

第 7 话:始まりの一歩

ライブ当日
バックステージ
咲希:わわっ、お客さん入ってきてる~!
穂波:本当だ……。 6、7……10人くらい?
一歌:結構少ないね。もう少し多いかと思ってた
志歩:まあ、ライブが始まる前だしね
志歩:中盤からは実力のあるバンドが出るから もっとお客さんは増えるけど
穂波:そうなんだ……。 じゃあわたし達が演奏する時も、お客さんは少ないのかな
志歩:まあ、そうなるね
一歌:そっか……ちょっと安心したけど、 やっぱり緊張するな
咲希:うん! すっごくドキドキしてきた~!
志歩:落ち着いて。STANDOUTのライブでは、 もっとたくさんのお客さんの前で演奏したでしょ
一歌:あの時は必死だったから……
一歌:それに、今回は初めてオリジナル曲をやるし……大丈夫かな
咲希:……だっ、大丈夫だよ、いっちゃん!
穂波:うん、そうだよ
穂波:みんなで作って、一生懸命練習した曲だもん。 きっとお客さんも聴いてくれると思う
一歌:穂波……
志歩:手が震えてるけどね
穂波:あ……
志歩:そんなに気負わなくても大丈夫
志歩:初めてのライブだし、ここに来てるお客さんは 私達の演奏を全然期待してないと思う
一歌:そ、そうだよね……
志歩:でも、だからこそ自由に演奏できる。 自分が思うまま、好きなように想いを伝えるといいよ
志歩:今日まで練習してきた私達なら、きっとできる。 お客さんは少ないけど、来てくれる人全員に、 私達の想いを聴いてもらおう
穂波:……志歩ちゃん……
咲希:うんうん、アタシもがんばるっ!
咲希:みんなも安心してね! もし何かあっても、アタシがお客さんを盛り上げちゃうから!
志歩:言うようになったね、咲希
咲希:えへへっ♪
咲希:あ、そうだ! ねえねえみんな、円陣組もーよ!
穂波:円陣?
咲希:うん! 今からやるぞ~って感じで、 気合いが入るでしょ?
志歩:いいんじゃない? 本番前にやってるバンドも多いし
一歌:そうなんだ……。 じゃあ、やってみようか
咲希:わーいっ♪ じゃあみんな、ピースして!
志歩:ピース?
咲希:うんっ! そうすると……
咲希:ほら! 星みたいな形になるでしょ? アタシ達っぽくていいかな~って♪
穂波:ふふっ、咲希ちゃんらしいね
咲希:えへへ♪ じゃあ、いっちゃん! 掛け声よろしくっ♪
一歌:え、私……?
一歌:じゃあ、そうだな……
一歌:みんな、精一杯演奏しよう。 今日来てくれたお客さんに、 私達の想いを伝えられるように——!
一歌:頑張ろう!
みんな:『おー!』
観客達:さっきのバンド、結構良かったね
観客達:次に出るのは……Leo/need? どんなバンドなんだろ
観客達:あれ、もしかしてSTANDOUTの前座やってたバンドかな。 見たことあるかも
観客達:え、本当? じゃあ期待していいのかな……
一歌:——こんにちは、Leo/needです! 今日は、皆さんの前で演奏できてすごく嬉しいです
一歌:最初に、私達の大好きな 初音ミクのカバー曲を歌います
一歌:聴いてください!
観客達:あっ、この曲知ってる~!
観客達:ベースの音かっこいい!
観客達:やっぱりSTANDOUTの前座で聴いた曲だ。 前よりもうまくなってる気がする!
一歌:(……よかった。お客さんが笑顔になってくれてる)
志歩:(このまま2曲、みんなが知ってる曲を演奏して空気を温める。 ……まずはうまくいきそうだね)
咲希:(よーっし! いっぱい盛り上げちゃうぞ~!)
店長:日野森さん、すごく楽しそうだなぁ。 あんな顔で演奏するところ、初めて見たよ
???:——ねえ、当日券まだあるよね?
店長:はい、大丈夫ですよ。 目当てのバンドは——って、あれ?
イオリ:もちろん、Leo/need
一歌:ふう……
一歌:聴いてくれてありがとうございます! ミクの曲は、私達4人をつないでくれた特別な曲で…… 皆さんに聴いてもらえて、とても嬉しいです
一歌:最後に歌わせてもらうのは、私達のオリジナル曲です
観客達:オリジナル曲? あの子達が作ったってこと?
観客達:えー、もっとミクの曲やってほしかった~
一歌:あ……
一歌:………………
一歌:——私達は、ここで演奏できるようになるまで いろんな遠回りをしてきました
一歌:不安だったり、もうやめてしまおうって考えたり……。 でも、Leo/needのみんながいたから、 ここまでくることができました
一歌:まだ未熟かもしれませんが、これから演奏するのは そんな私達が今出せるすべてをつぎこんだ1曲です
一歌:どうか——聴いてください!
咲希:(——始まる。アタシ達の曲が……!)
観客達:イントロは……あんまりパッとしないな。 ベースはすごくうまいけど
観客達:なんか歌詞も普通だよね。ありきたりっていうか……
一歌:(……さっきと違う、空気が冷めてきてる……)
志歩:(——正直、これはしょうがない。 今日来てるお客さんは、後半のバンド目当てだし)
志歩:(ミクの曲と違って初めて聴く曲……。 それもまったく無名の、新人の曲なんだから、 興味がないのは当たり前)
志歩:(でも——)
穂波:(みんなの想いがこもった曲なんだもの。 諦めちゃだめ、最後まで伝えなきゃ!)
咲希:(Leo/needが歌うならこの曲だって、 志歩ちゃんも言ってくれてたもん!)
咲希:(大丈夫、自信を持って——!)
一歌:(伝えるんだ。私達の、全部を!)
観客達:へえ……思ったより悪くないな
観客達:ちょっと粗いけど、一生懸命でまっすぐな感じがするね
店長:……うん、いいね。日野森さん達のバンド
イオリ:初ライブにしては上出来じゃないかな
一歌:♪————…………
一歌:……っ!
一歌:私達の、初めての曲を……
一歌:最後まで聴いてくれて、 本当に、ありがとうございました!

第 8 话:開かれた扉

スクランブル交差点
咲希:はーっ、ライブ楽しかったねーっ! まだドキドキがおさまんないよ~
穂波:ふふ、咲希ちゃんったら。 さっきからずっとそんな感じだね
咲希:だってホントに楽しかったんだもん! みんなで一緒にライブできて、ホントによかった~♪
一歌:うん。それに……すごく、楽しかった
咲希:ねえねえ、今度はいつやる!? 早く次のライブもやりたいよ~!
志歩:ちょっと、咲希。気が早すぎ。 まずは今日のライブの反省会から
咲希:え~、いいじゃん! 今日くらいはこの気持ちに浸らせてよ~
志歩:だめ。鉄は熱いうちに打て、っていうでしょ
咲希:そんな~! しほちゃんのオニ! アクマ! 極悪スパルタ教師~!
志歩:嫌なら練習しなくてもいいよ
咲希:……はっ! う、ウソウソ! じょーだんです! お願いしますっ、しほちゃん先生~!
穂波:ふふっ。咲希ちゃん、一緒に頑張ろう? 次のライブのためにも、ね
咲希:うん、そうだね! えへへ、次のライブか~
一歌:……でも、やっぱり反応が良くなかったような気がする。 お客さんも少なかったし
志歩:……初めてだったらこんなものだよ
志歩:無名のバンドのオリ曲なんて、興味持つほうが珍しいと思う
咲希:でもでも、ちゃんと聴いてくれた人もいたよね! 演奏が終わったあと、『良かったよ』って 言ってくれた人もいたし!
穂波:ふふ、そうだね!
志歩:うん。私達の曲は、ちゃんと届いてる。 まだ聴いてくれる人は少ないかもしれないけど
志歩:地道にやっていけば、少しずつ聴いてくれる人も増えてくる。 だから今は精一杯頑張っていこう
咲希:そうだね! 今日はアタシ達Leo/needの第一歩、ってことで!
一歌:(……大成功、とまではいかなかったけど)
一歌:(でも……ちゃんと私達の想いを、 演奏で伝えられてよかった)
一歌:(なんだか、この気持ち……)
一歌:…………
咲希:いっちゃん、どうしたの?
一歌:あ……
一歌:えっと、なんていうか……。 今のこの気持ちを、詞に書いてみたいなって
志歩:え……
穂波:一歌ちゃんの次の歌詞? いいね、読んでみたい!
咲希:アタシもアタシも! 今の気持ちを、ってことは…… すっごくハッピーな曲になりそう♪
一歌:まだ書いてないから、どうなるかわからないけど
一歌:でも……
一歌:(こうやって自分の素直な気持ちを詞にしたいと思えるのは、 みんなと一緒に進んでいけるからだよね)
一歌:(私だけの——Leo/needでしかできない経験を、 みんなと一緒にしているから)
一歌:(だから、書きたいって思える。 自信を持って……今の私の言葉で)
咲希:いっちゃん?
一歌:ううん、なんでもない
一歌:私達だからできる音楽を、やっていきたいな
志歩:……うん、そうだね
穂波:じゃあ、反省会が終わったあとは 2曲目の話しあいをしよっか
咲希:さんせーい! いっちゃんの歌詞につける曲を、みんなで考えよ!
志歩:次は私も、何かいい案を出せるようにするよ
志歩:一歌、いい詞を期待してるからね
一歌:……うん!
教室のセカイ
ミク:——♪ ——♪
リン:ふー! 今日もイイ感じだねっ☆
リン:ていうかカイト兄、なんだか今日の演奏 いつもと違くない?
KAITO:…………そう?
リン:うん、なんてゆーか…… ちょっと嬉しそうな感じがする!
MEIKO:あ、私も感じた。いつもより音が弾んでるっていうか
ルカ:何かあったの?
KAITO:…………うん、まあね
KAITO:みんなが、新しい扉を開いた気がしたから
ミク:そっか。じゃあ私達も頑張らないと
ルカ:ふふ、みんなに追い抜かれないようにしなくちゃね?
ミク:……! そうだね、先輩として頑張らなくっちゃ
ミク:みんな、もう1曲やろう!
KAITO:——うん