活动剧情
Bout for Beside You
活动ID:37
第 1 话:ヘンな感じ
ストリートのセカイ
杏:到着ー! ふぅ、ランチの手伝い、結構長引いちゃったな
杏:彰人と冬弥も今日は遅れてくるって言ってたし、 こはねがヒマしてないといいけど……
杏:ま、きっと今頃ミク達と練習してるよね。 こはね、あのイベントからすごく調子いいし——
こはね:————! ————~~~!!
杏:…………
杏:本当に、すごい歌だったな
こはね:————! ————~~~!!
杏:あ、この声……
こはね:————! ————~~~!!
レン:わぁ……!
こはね:……ふぅ。 えっと、どうだったかな?
レン:すごいよこはね! 前もいい歌だったけど、もーっと良くなってるよ!
リン:うんうん! こはねちゃんが、スーパーこはねちゃんになったって感じ!
ミク:うん。あとでメイコ達にも聴かせてあげてよ。 きっとびっくりするんじゃないかな
こはね:えへへ……ありがとう、みんな
杏:——さっすが私の相棒! 今日も最高だね!
こはね:きゃっ! 杏ちゃん!
こはね:もう、びっくりしちゃったよ。 お店のお手伝いはもう終わったの?
杏:うん! お客さんも落ち着いたから、抜けていいって言われたんだ
杏:ん? 冬弥と彰人もちょうど来たみたいだよ。ほらあっち
冬弥:待たせたな、ふたりとも
彰人:さっきこはねの声が聴こえてきたが……。 レン達に歌聴かせてたのか?
こはね:うん。この前のライブの話をしたら、 聴かせてほしいって言われて
リン:すっごくいい歌だったよ、こはねちゃん! 歌ってるあいだ、ずーっとキラキラしてた!
リン:杏ちゃん、いいなー! わたしもこはねちゃんと組んで歌いたくなっちゃった!
レン:えっ!?
杏:あはは! 気持ちはわかるけど、リンちゃんでもダメだよ? こはねは私の相棒!
こはね:わ! 杏ちゃん苦しいよ~!
リン:え~! ズルいよ~! わたしもこはねちゃんと歌う~!
レン:……オレだってあれくらい歌えるけどな
リン:えー? どうしたのレン。 急にこはねちゃんに張りあっちゃって
レン:は、張りあってなんてないって!
杏:あはは! ふたりとも仲良しだなぁ
冬弥:彰人、どうかしたか?
彰人:あ……いや、なんでもねえよ。 そろそろ練習始めるぞ
ミク:…………?
こはね:♪ ————————っ!!
冬弥:声がよく出ているな。 この前のイベント以来、どんどんいい歌を 歌えるようになっているんじゃないか
冬弥:油断していると、あっという間に追い越されてしまいそうだな
こはね:えへへ、ありがとう、青柳くん! でも、RAD WEEKENDを超えたいなら、 もっと頑張らなくっちゃだよね!
杏:…………?
杏:(……なんだろう。 胸のあたりがモヤモヤする……)
こはね:————! ————~~~!!
杏:(今の——こはねが?)
彰人:おい! ボーっとすんな! 声出しからいくぞ
杏:あ、う、うん!
こはね:杏ちゃん? どうしたの?
冬弥:体調でも悪いのか?
杏:ううん! ちょーっとぼんやりしちゃっただけだから
こはね:そうなの? ならいいけど……
杏:(……なんか、最近ヘンな感じがするな)
杏:(2回目の『STAY GOLD』で優勝したあの時から、 こんな感じが増えてる気がする)
杏:(こはねが自信持って歌えるようになったんだし、 何も悪いことは起きてないんだけど……)
彰人:…………
シブヤの公園
杏:ん~! いっぱい歌ったね! スッキリしたー!
冬弥:今日はそろそろ解散とするか
こはね:うん。そうだね
杏:(やっぱり、みんなで歌うとスッキリするな。 モヤモヤも吹き飛んじゃう!)
杏:(こはねもすごく調子良さそうだし。 この調子で頑張ろう!)
彰人:…………
彰人:おい、このあと少し話いいか?
杏:え? 話? 別にいいけど、どうしたの?
???:お~い!!
こはね:あれ? この声……
洸太郎:はぁ、はぁ……! やっぱここで練習してたか……!
洸太郎:お前ら!! 大変だぞ!!
冬弥:大変って……何かあったのか?
洸太郎:ああ、前にお前らと引き分けた、 遠野新のことなんだが……
彰人:遠野? あいつがどうした?
洸太郎:あいつ、今やってる対戦イベントで突然、 観客席にいたオッサンに勝負を申し込んだんだ
洸太郎:そしたら——そのオッサンに、遠野が負けそうなんだよ!!
彰人:……何!?
ライブハウス
新:ハァ……ハァ……
新:そろそろ、風穴開けられると思ったんだけどな……
謎の男:ハッハッハ! 言うようになったじゃねえか!
謎の男:だが——こんなもんじゃ引っかき傷もつかねえぞ?
杏:うわ……すごい歓声! ハコの外まで聴こえてたから相当だとは思ったけど、 本当にすごいことになってるじゃん!
洸太郎:あそこにいるオッサンがわかせたんだ。 ありゃただもんじゃねえぞ
杏:オッサンって——
杏:あれって……まさか……!!
彰人:——嘘だろ!?
冬弥:どうしたんだ? 白石、彰人。 あの人を知ってるのか?
こはね:あれ? あの人……
謎の男:……そうだな。 嬢ちゃんに足りないものは——
謎の男:自分を見る目、だな
こはね:あの時アドバイスしてくれたおじさん……!?
謎の男:じゃあ、次の曲いくか? お前にその気があればだけどな
新:……もちろん、ありますよ
新:RAD WEEKENDを超えるなら、 あなたを避けてはとおれないですから
謎の男:ハッハ! その心意気は大したもんだ!
謎の男:それじゃあその心意気に応えて、 もう一度やってやろうじゃねえか
謎の男:ルールはさっきと変わらず、俺とお前で交互に歌う。 で、客をわかせたほうが勝ちだ。いいな?
洸太郎:くるぞ……!
こはね:くる? くるって何が……
彰人:こはね! 冬弥! 今から聴く歌、よく聴いておけ!
冬弥:彰人?
杏:——意識しなくても、 耳に残ることになると思うけどね
こはね:それって……
謎の男:♪ ————————!!
こはね:…………!?
第 2 话:謎の男の正体
ライブハウス
謎の男:♪ ————! ————! ♪ ————————!!
こはね:………………っ
こはね:(すごい……!)
こはね:(聴いてるだけなのに、 体が、どんどん熱くなって……!!)
新:……っ
新:♪ ————!!
彰人:(……! あいつが、まったく歯が立たないだと……!)
彰人:クソ……デカすぎるだろ、この壁は……
冬弥:…………あ
冬弥:(……指が痺れている? 聴いているあいだ、手を握りしめてしまっていたのか)
冬弥:(それほどまでに圧倒されていたとは——)
新:…………はぁ、はぁ
謎の男:だいぶ腕を上げたな、新
新:……それ、結構傷つきますよ
謎の男:ん? そうか? 悪い悪い
謎の男:俺の中じゃ、まだお前らは—— ……いや、お前は、歌い始めたばかりのヒヨッコだからな
新:……もうあの頃とは、違いますから
謎の男:……そうか
謎の男:——新。 RAD WEEKENDを超える気なら、これだけは忘れるな
新:……え?
謎の男:————————
謎の男:この意味がわかったら——また歌おうや
新:…………
こはね:あのおじさん、あんなにすごい歌 歌える人だったんだ……
杏:え? もしかしてこはね、あの人のこと知ってるの?
こはね:あ、うん。前に『自分が見えてない』っていう アドバイスをくれたのが、あのおじさんなの
彰人:な……! マジかよ……!
冬弥:白石、彰人、あの人は何者なんだ?
杏:あの人は——古瀧大河さん
杏:父さんの元相棒で、RAD WEEKENDをやった——ううん、 伝説の夜を作ったひとりだよ
こはね:え……ええ~っ!?
観客達:まさかあの人が帰ってたなんて……!
観客達:あのオッサン、何者なんだ!?
観客達:お前、知らないのか!? RAD WEEKENDの——
大河:さて、あれこれ騒がれる前にとっとと退散するか
???:大河おじさーん!
大河:おじさん? 俺のことをそう呼ぶ奴っていやあ……
杏:おじさん! ひさしぶり!
大河:おう! やっぱり杏か!
杏:うん! すっごく久しぶりだね、おじさん!
大河:ハッハッハ! ずいぶんデカくなったな!
杏:そりゃもう高校生だもん。 大きくもなるって
杏:っていうか、まさか帰ってきてるなんて思わなかったよ! 店に来てくれたらよかったのに
大河:ああ、まあ馴染みのライブハウスに顔出したり、 野暮用があってな
杏:じゃあさ、これから一緒に店に行かない? 父さんも喜ぶと思うよ
杏:それに、私のチームも紹介したいし!
大河:ああ、Vivid BAD SQUADだろ? お前達の歌はもう聴かせてもらったぞ
杏:え? イベント来てたの?
大河:おう。なかなか頑張ってるみたいじゃねえか
大河:他のメンバーも、かなりの腕前みたいだしな
彰人:……あ、ありがとうございます
冬弥:そう言っていただけて嬉しいです
こはね:あ、あの……!!
大河:ん? ああ——嬢ちゃんか
こはね:えっと……あの時は、ありがとうございました!
こはね:おかげで、見えなかったものが、 ちょっと見えるようになりました
大河:ハハ、俺は大したこと言っちゃいないがな!
大河:だが——前のライブ。あれは良かった
杏:あ……
こはね:あ、ありがとうございます……!!
大河:それじゃあ行くか、杏。 謙の野郎にうまいコーヒーをいれてもらわねえとな
杏:あ……うん!
ビビッドストリート
彰人:……なあ、杏
杏:ん? 何?
彰人:オレは大河さんのことはステージの上に立ってるところしか 知らねえが……
彰人:謙さんと大河さんは、派手なケンカして別れたって 噂があるだろ
杏:え? ああ……言われてみれば、そんな噂あったね!
彰人:RAD WEEKENDのあと、 すぐに大河さんがいなくなったのも そのせいだって聞いたことがあるが……実際どうなんだ?
杏:噂は噂じゃない? たまーにケンカする時はあったけど、 父さんとおじさんは昔からの親友だし……
杏:(でも……たしかにおじさん、 あのあとすぐに海外に行っちゃったんだよね)
杏:(もしかして、本当に父さんと……?)
大河:そんじゃあ久々に——あの野郎に挨拶するか
杏:あ……!
WEEKEND GARAGE
杏の父:いらっしゃい。好きな席に——
杏の父:…………!
大河:——よう
杏の父:……よう、か。 気安いな
杏の父:よくこの店に顔を出せたもんだ
杏:と、父さん……!?
冬弥:……どういうことだ?
彰人:まさか、噂は本当に……
杏の父・大河:『ハッハッハッハッハ!!』
大河:いや~いいな!! こういう映画みたいな再会やりたかったんだよなあ!!
杏の父:昔っから言ってたからな。 つきあってやったぞ
大河:さすが相棒、俺のことよくわかってるじゃねえか!
こはね:……ふふっ。 とっても仲良しみたいだね
冬弥:ああ、そのようだな
彰人:……ったく、焦ったぞ
杏:そっか……。よかった!
杏:それじゃ、みんなも座って! おじさんのこと紹介したいから
杏:いいよね? おじさん
大河:おう。杏の頼みなら、謙の頼みよりも 聞き甲斐があるってもんだ
杏の父:久々だってのに、とんだ言い草だな
杏:よーし! それじゃ、まずはみんなを紹介していこっかな!
第 3 话:思わぬ誘い
WEEKEND GARAGE
杏:——私達の紹介はこんなところかな
杏:それじゃあ、次はみんなに おじさんのこと紹介しよっか!
杏:彰人はRAD WEEKEND見てたから おじさんのこと知ってると思うけど、 こはねと冬弥は初めてだしね
大河:そうか。 ようし杏、全力で褒めちぎっていいぞ!
杏の父:飲んでもいないくせに、酔っ払いみたいな台詞吐きやがる
こはね:ふふっ
杏:さっきも言ったとおり、おじさんは、 RAD WEEKENDをやったひとりなんだ
杏:っていうか……『RAD WEEKENDを作った人』だね。 おじさん達が呼び掛けたのが始まりだったから
冬弥:そうだったのか……
大河:ま、いろいろあってな。 ここらにいる腕に覚えのある連中を集めて イベントをやろうと思ったんだ
杏:それでそのあとはアメリカに行って、 今は向こうで活動してるんだよ
冬弥:アメリカで?
彰人:冬弥。前に『WALKER』ってアーティストの曲、 聴かせたことあるだろ
彰人:あれが大河さんだ
冬弥:……! あの……!?
こはね:WALKER?
冬弥:ああ。世界的なアーティストだ。 MVの再生数もかなりのもので……
こはね:そうなの? えっと……ご、5億回再生!?
大河:おう。なかなかのもんだろ。 ま、世界一にはほど遠いがな
こはね:す、すごい……!
冬弥:そんな方が、どうしてあそこで歌っていたんですか?
大河:ライブハウスのオーナーに顔見せに行ってたんだが、 そこで新のヤツに見つかってな
大河:サングラスもしてたし、 昔とは見てくれも変わってるが—— それでも気づくなんざ、大したもんだ
大河:ま、それで勝負しろって言われたから、 歌ったってわけだ
杏:あははっ、おじさんってば変わらないね~! 売られたケンカは全部買うって感じ、懐かしいな
杏:そういう時は大抵、凪さんが止めに入ってたけど——
杏:そういえば、凪さんはどうしてるの? おじさんと一緒にアメリカに行ったんだよね
こはね:凪さん?
杏:あ、おじさんの妹さんなんだ。古瀧凪さん
杏:昔は、おじさんと父さんと凪さんの 3人でチームを組んでたんだよ
彰人:ああ、RAD WEEKENDにも3人で出てたな。 すげえ歌声だったから、よく覚えてる
杏:そうなんだよね! 凪さんの歌ってすっごく突き刺さるんだ!
杏:でさ、凪さんは元気にしてるの?
大河:……ああ。あいつなら、変わりねえよ
大河:今もどこかのストリートで歌ってるさ
杏の父:…………
こはね:……?
大河:——で? そっちのほうはどうなんだ?
杏:え?
大河:RAD WEEKENDを超えるって気持ちは、 今も持ってるのか?
杏:……!
冬弥:…………
彰人:(——空気が変わったな)
彰人:(……ピリつくのも無理はねえ。 ついさっき、あんだけの歌を聴かされたんだ)
彰人:(あれを超えるって即答できるのは、 よっぽどのバカか、もしくは——)
杏:うん! 当然だよ!
杏:私達は——RAD WEEKENDを超えるよ!
彰人:(ま、こいつ並みにタフなヤツぐらいだろうな)
大河:………………
大河:ハッハッハ!! 杏も相変わらずだな!!
杏:あははっ! そうでしょ?
大河:じゃあ——そっちの嬢ちゃんはどうだ?
こはね:えっ?
杏:……!
大河:前に言ってただろう。 RAD WEEKENDを超えるってな
大河:今はどうなんだ?
こはね:あ、えっと……!
こはね:さっき大河さんの歌を聴いて、こんなすごい人達が 集まってたのがRAD WEEKENDだったんだってわかって、 正直、圧倒されちゃったんですけど……
こはね:でも——気持ちは変わらないです
こはね:私達は、RAD WEEKENDを超えようと思います!
大河:——そうか
杏:……そういえばおじさん、 前にこはねと会ってたんだよね
杏:こはねにアドバイスくれたのがおじさんだったって聞いて びっくりしちゃったよ
大河:ああ、ちょっとばかし嬢ちゃんの歌が 気になってな
杏:……そっか! ま、こはねの歌はすごいもんね! おじさんが気になるのも当然かも?
こはね:あの……あの時はありがとうございました! 大河さんのおかげで、前のイベントでは、 自分のことをちょっと見れるようになりました
大河:(あの時の嬢ちゃんは——)
こはね:————! ————~~~!!
大河:…………
杏:おじさん?
大河:嬢ちゃん、もっと力をつけたいと言ってたな。 その気持ちも、変わってないか?
こはね:あ……はい! もっと歌えるようになりたいです!
大河:そうか。 じゃあ——俺と一緒にやるのはどうだ
こはね:えっ? 一緒にやるって、何をですか?
大河:そりゃ、歌に決まってるだろ
杏の父:…………
杏:そ……それってどういうこと? おじさんがこはねと歌うって……
大河:落ち着け杏。 何も嬢ちゃんを取ろうってわけじゃねえよ
大河:ま、簡単に言えば修行をつけてやろうって話だ
杏:修行?
大河:歌のレベルだけで言えば、嬢ちゃんはようやっと 杏達に追いついたってところだろうが——
大河:鍛えたら、この嬢ちゃんの歌がどうなるのか、 ちょっとばかり興味がわいた
杏:……!
杏:(……おじさん、どんな人に頼まれても、 誰かに歌を教えることなんてしなかったのに……)
こはね:え、えっと……その……
こはね:すみません。 ついこのあいだ、ひとりで練習するのはやめて、 チームで練習していく時間を増やそうって話をしたばかりで……
大河:そうか。ま、その気になったら言いな。 俺はしばらくこっちにいる予定だからな
大河:じゃ、俺はそろそろ行くとするか
杏の父:なんだ、もう行くのか?
大河:言っただろ? 野暮用があるんだよ
杏の父:相変わらずせわしないな、お前は
大河:そこらじゅうで人気者なもんでな。 じゃあな謙、ごちそうさん
こはね:あ……行っちゃった
彰人:……修行、か
彰人:こはねにだけ持ち掛けたのは、 多分、前のイベントを見たからだろうな
冬弥:そうだな。あの時の小豆沢の歌は すばらしかったからな
杏:…………
彰人:しかし、まさかこはねが大河さんに目をかけられるなんてな……
こはね:あ……そ、その……
彰人:ビクビクすんな。お前はあの時の歌で、大河さんに 磨くだけの価値があるって思わせたんだ。胸張れ
こはね:……! うん! ありがとう、東雲くん
冬弥:……小豆沢、本当に大河さんの誘いを断るつもりか?
こはね:え?
冬弥:4人で練習をする時間は、もちろん大切だ。 だが、あれほどの一流プレイヤーと 練習をするような機会はそうそうない
彰人:——そうだな
彰人:大河さんはしばらくいるっつってたけど、 いつまでここにいるかもわからねえ。 一度だけでも見てもらったほうがいいんじゃねえか
こはね:そ、そっか……。 でも、次のイベントも近いし……
こはね:——ねえ、杏ちゃん
杏:え?
こはね:杏ちゃんはどう思う? 私が、大河さんに歌を見てもらうこと……
杏:それは……
杏:(……なんだろう、この感じ。 モヤモヤが、どんどん大きくなってる……)
杏:(一体どうして——)
第 4 话:強まるモヤモヤ
WEEKEND GARAGE
杏:…………
杏:——行ってきなよ、こはね!
こはね:え?
杏:おじさんが誰かに歌を教えてくれることなんて、 めったにないんだよ?
杏:昔、私が教えてって言った時も、 杏にはまだ早い、とか言って教えてくれなかったしね~
杏:こんなチャンスまた来るとは限らないんだし、 行ってきなよ!
杏:で、いいアドバイスもらったら、 私達にも教えてほしいな♪
こはね:杏ちゃん……
彰人:だな。これでこはねに力がつけば、 オレ達全員の底上げにもつながる
冬弥:RAD WEEKENDの中心人物に習うことで、 あのイベントに、更に近づくことができるかもしれないな
こはね:たしかに、そうだよね……。 ……うん
こはね:私、行ってくる!
こはね:それで大河さんに、いっぱい新しいこと習ってくるね!
杏:……うん! 頑張って、こはね!
彰人:…………
その晩
客:それじゃ、また来るね杏ちゃん
杏:うん! ありがとう!
杏:——表の灯り消してっと……。 父さん、プレートもクローズにしといたよ
杏の父:おう。助かる
杏:さて、それじゃちゃちゃっと掃除しなくちゃね。 椅子上げて……と
杏:…………
こはね:♪ ————!!
大河:鍛えたら、この嬢ちゃんの歌がどうなるのか、 ちょっとばかり興味がわいた
こはね:大河さんに、いっぱい新しいこと習ってくるね!
杏:…………
杏:(……また、モヤモヤしてる)
杏:(ううん……むしろ前より強くなってるような……)
杏の父:どうした?
杏:えっ、な、何?
杏の父:妙に冴えない顔をしてるだろう。 何かあったか?
杏:冴えない顔? 別にそんなこと……
杏:……あるかも
杏の父:だろう?
杏:……なんかよくわかんないんだけど、 最近すごくモヤモヤするんだよね
杏:うまく説明できないんだけど、 嫌な予感がするっていうか、 よくない気配がするっていうか……
杏の父:……モヤモヤか。 どんな時にだ?
杏:えっと——
こはね:♪ ————————っ!!
杏:……こはねのこと考えてる時
杏:前のイベントで、こはね、本当にすごい歌を歌ったの。 見てたら絶対、父さんも驚いたと思うんだ
杏:それで、こはねが自分に自信を持てるようになったから、 私、すごく嬉しかったんだけど……
杏:なんだか、それからモヤモヤすることが増えたんだよね
杏の父:……ふむ
杏:それから今日、おじさんがこはねに、 一緒に練習しないかって言った時も——
杏:あ!
杏の父:ん? どうした大声出して
杏:もしかして私、悔しいのかな!?
杏:前のイベントからみーんなこはねの歌ばっかり褒めてるし、 おじさんだって、私には歌教えてくれなかったくせに、 こはねには一緒に歌おうーなんて言うし!
杏:だから、こはねばっかり……ズルい、って…………
杏:…………
杏の父:……そう思うのか?
杏:……うーん。 言っておいてなんだけど、ピンとこないかも
杏:私、結構負けず嫌いだけど、そう感じるなら悩んでないで 絶対勝ってやる!って思うほうだし
杏:それに私、みんながこはねの歌をすごいって思ってくれるの、 嬉しいんだよね
杏:こはねの歌は——本当にドキドキする、最高の歌だから
杏の父:……そうか
杏の父:杏は、嬢ちゃんの歌に心底惚れこんでるってわけだな
杏:うん!!
杏の父:——オレもそうだったな
杏:え?
杏の父:最初に大河の歌を聴いた時は、 心底惚れこんだもんだ
杏:そうなの? 初耳なんだけど!
杏の父:言う機会もなかったからな
杏の父:だからあいつと組むことになった時は、 内心穏やかじゃなかったもんだ
杏:え……どうして?
杏の父:あいつは化け物みたいに歌えるからな。 いつか置いていかれるんじゃないかと思ってたんだろう
杏:へー! 父さん、そういう風に思ってた時あったんだ! なんか意外!
杏:父さんって、だいたいどんなことでもできちゃうし、 いっつも余裕そうな顔してるから、 そういう悩みってあんまりないと思ってたな~
杏の父:——まあ、そうだな。 大河と出会って組まなかったら、 そこまで悩むこともなかったかもしれないな
杏の父:もしかしたら——お前もそうなんじゃないか?
杏:え?
杏の父:嬢ちゃんに対して、そう思ってるんじゃないか?
杏:……私が、『いつかこはねに置いていかれるかも』って 思ってるってこと?
杏の父:ああ
杏:……どうだろう。 たしかにこはねは今、すごく伸びてるけど……
杏:こはねに…………置いていかれる?
杏の父:……ま、今は自分と向きあってみることだな
杏の父:厨房の片づけはオレがやるから、 もう帰っていいぞ
杏:あ……うん
杏:置いていかれる……
杏:あ、彰人?
杏:グループのほうじゃなくて、 私に直接送ってくるなんて珍しいな。えっと……
彰人:『明日、練習前に話がある。 できるだけ早く来い』
杏:あ、そういえば……
彰人:おい、このあと少し話いいか?
杏:話って……なんだろう?
第 5 话:路地裏の会話
翌日
ストリートのセカイ
杏:……よっと!
杏:公園じゃなくてわざわざこっちに集合だなんて、 どうしたんだろ、彰人
彰人:おう、来たか
杏:あ、もう来てたんだ! ずいぶん早いね
杏:それで何? 話って
彰人:——お前のことだ
杏:え? 私のこと?
彰人:お前最近、調子悪いだろ。 急に考えこんだり、暗い顔になったりな
杏:あ……
杏:バレちゃってたんだ。 私がモヤモヤしてたの
彰人:ま、そこまでモロに顔に出てたわけじゃあねえけどな。 冬弥とこはねも多分気づいてねえし
杏:そっか。よかった。 変に気をつかわせちゃったら悪いもんね
杏:実はさ、最近こはねのこと考えてる時に モヤモヤすることが多くってさ
彰人:……そうか
彰人:それは——あいつが前のイベントから、 一気に伸びてきてるからか?
杏:……多分そう、なのかな
彰人:…………
彰人:ま、お前がどうかは知らないが——、 オレは最近あいつの歌を聴くと、立ち止まれねえって感じる
彰人:こはねの歌がここからどうなるのか、きっと誰にもわからねえ。 マジで未知数だ。 そのうえ、大河さんまであいつに興味持ってるってなっちゃな
彰人:オレですらそうなんだ。 相棒のお前は——尚更なんじゃねえかって思っただけだ
彰人:置いていかれるかもしれねえって。 ……前のオレみたいにな
杏:あ……
杏:そっか。だから気にしてくれたんだね。 ありがと、彰人
彰人:で、どうなんだよ
杏:……実はさ、父さんにも言われたんだ
杏:『こはねに置いていかれる』って思ってるんじゃないかって
杏:そういう気持ちは……ないって言ったら嘘になると思う
杏:でも、それだけじゃないような気がするんだ。 まだ何か、気づけてないっていうか……
彰人:気づけてない……?
???:よーし! 練習がんばるぞー! 今日こそちゃんと聴いててよ!
???:はいはい
杏:わ! 今の声って……
彰人:レンとミクか?
レン:あれ? 彰人と杏じゃん! 今日はふたりで来たの? 珍しいな~
杏:あ……うん。 ちょっとふたりでいろいろ相談しててさ
ミク:相談…………
杏:レンくんとミクこそ、どうしたの? 練習って言ってたけど
レン:あ、えっと、それは……
ミク:前にリンが、『こはねと組んで歌いたくなっちゃった』って 言ってたでしょ? それでレンに火がついちゃったんだ
レン:ちょ、ちょっとミク!
杏:え? それってつまり……
彰人:リンに、こはねとじゃなくて、 自分と歌いたいって思わせてやる……ってことか?
レン:う、う……!
レン:そうだよ! だって悔しいじゃん! リンの相棒はオレなのに!
杏:……あはは! レンくん、そんなに気にしてたんだね!
レン:そりゃ気にするってば! 杏だって、こはねに同じこと言われたら気にしちゃうでしょ?
杏:え?
レン:だからー! こはねに、『杏とじゃなくて他の人と歌いたい』って 言われたら嫌でしょ?
レン:自分が相棒じゃないって思われてるみたいでさ
杏:それは——
杏:あ……
ミク:杏……?
レン:ん? 杏、どうしたの? なんだか顔色悪いみたいだけど……
ミク:——ごめん、レン。 練習見るのはまた明日でもいい?
ミク:ちょっと、杏達と話したいことができたの
杏:え……
レン:えー! 今日は見てくれるって言ってたじゃん!
ミク:明日はちゃんと見る。 それと、今度メイコのカフェで好きなもの頼んでいいから
レン:え、ホント!?
レン:……ま、まあ、それならいっか。 でも、明日は絶対だよ!
ミク:うん。約束するよ。 じゃあ明日ね、レン
レン:うん。じゃあね、ふたりとも!
杏:……ミク?
ミク:実はずっと気になってたんだ。 最近、杏の様子がちょっと変だったから
ミク:本当に微妙に違うくらいだったから、 確信は持ててなかったんだけどね
ミク:それで——どうしたの?
杏:…………。 もしかすると、私——
杏:『いつかこはねに相棒だって思われなくなるかもしれない』 って——
杏:そう思ってるのかもしれない……
第 6 话:モヤモヤしていた理由
ストリートのセカイ
彰人:こはねに、相棒だと思われなくなるかもしれない……?
杏:……うん
杏:こはねはどんな時も私のこと相棒だって思ってくれるって、 頭では理解してるんだけど……
杏:でも、なんでか……そんな気持ちが、どこかにある気がするんだ
杏:こはねの歌がどんどん良くなって、成長していくのを見るたびに、 その想いが大きくなってるような気がするの
杏:……どうしてなんだろう?
ミク:…………
ミク:——ねえ、杏。 ひとつ、聞いてもいい?
杏:……何? ミク
ミク:杏は、こはねにとってどんな存在でいたいの?
杏:え? 何、急に
ミク:いいから。教えて
杏:それは……もちろん、こはねの最高の相棒でいたいって思ってるよ
ミク:それはどうして?
杏:どうして、って……
杏:あの日、こはねの歌を聴いて——
こはね:…………——♪
杏:!!
杏:すごく——ドキドキしたんだ
杏:それに、こはねも私の歌を聴いて、 すごくドキドキしたって言ってくれた
杏:それが、すごい嬉しくて。その時、思ったの!
杏:私の相棒は、この子しかいない……って
彰人:…………
杏:……こはねは、私の初めての、大切な相棒なんだ
杏:だから誰より大切にしたいし、 私も、こはねが誇れるような……尊敬できるような、そんな——
杏:…………あ
ミク:……きっと、そういうことなんじゃないかな
ミク:杏は、『こはねに尊敬されるような相棒でいたい』から、 これからもずっと、自分の歌でこはねを ドキドキさせ続けたいって思ってる
ミク:でも——
彰人:——こはねが伸びだしたせいで、いつかそうできない時が くるかもしれないと思った……ってことか?
杏:それは……
杏:(…………あ、あれ……?)
杏:(こはね、すごいねって—— あんなすごい歌、歌えたんだって言いたいのに……)
杏:(どうして? うまく言葉が出てこない——)
杏:……っ
杏:たしかに……そんな気がする
杏:あの時、こはねの歌を聴いて、 嬉しいって思うより先に、不安になったのは——
杏:いつかこはねが、今よりもっとすごくなって、 私の歌が届かなくなったら、って…… そう、思っちゃったから……だと、思う
杏:……嫌だな、この気持ち
杏:こはねは私と夢を叶えようって心に決めて 一緒にいてくれてるのに
杏:こんなことに不安になるなんて、まるで……
彰人:——不安になるのは、仕方ねえんじゃねえか
杏:え?
彰人:お前……こはねに会うまで、ずっとひとりだっただろ
彰人:謙さん、こんちは
杏の父:よう、彰人。冬弥
杏の父:聞いたぞ。初めてイベントに出たんだって?
彰人:はい、でもまだまだですよ。 やっと一歩踏み出せたって感じです
冬弥:もっと練習をする必要があると感じました。 お互いの声がまだ、そろいきっていなかったので
杏の父:その調子なら、次も期待できそうだな。 じゃ、ゆっくりしてけよ
彰人:はい、ありがとうございます
杏:あ!
杏:彰人、いらっしゃい! 今日も来てくれたんだね。すっかり常連さんじゃん
彰人:ああ、白石さん。お邪魔してるよ
冬弥:彰人、こちらの人は……?
彰人:謙さんの娘さんだよ。 白石杏さん
冬弥:謙さんの……そうか。 なら挨拶をしなければな
杏:あれ? 隣に座ってるのってもしかして……
彰人:オレの相棒だよ。 この前から、ふたりでチーム組むようになったんだ
杏:え、そうなんだ! おめでとう!
冬弥:はじめまして、青柳冬弥です。 よろしくお願いします
杏:私は白石杏! よろしくね! あ、全然タメ口でいいからね?
杏:……そっか。彰人、相棒見つけたんだね。 父さん達みたいにチーム組みたいって言ってたもんね
彰人:うん。冬弥のおかげで、 ようやく一歩前進できたよ
杏:ふふ、よかったね! そっか、相棒か……
杏:いいなぁ……
冬弥:え?
杏:あ、お客さん! 人増えてきたし、そろそろ私も手伝わないとね
杏:じゃあふたりとも、 あとはゆっくりしていってね!
冬弥:あ……わかった
冬弥:彰人、もしかして彼女も歌を歌っているのか?
彰人:……ああ。同年代じゃあいつに勝てるヤツはいねえよ。 プロのミュージシャンにも一目置かれてる
冬弥:そうなのか……。 いつか歌を聴いてみたいものだ
冬弥:彼女、チームは組んでいないのか?
彰人:ああ。……探してはいるらしいし、 声をかけてくる人間もいるらしいんだが……
彰人:(お互いに認め合えるような相手と組めるなんてことは、 そうないもんだからな)
彰人:(それも……あいつぐらいになると、余計にな)
客:杏ちゃん、いい相棒は見つかった?
杏:んー……。まだなんだ。 なかなか見つからなくて
杏:でもいつか見つかったら、 私、一生その子と一緒に歌ってる気がする!
杏:いっぱい練習して、ステージに立って、 たまにはケンカしたりもして——
杏:それで、父さん達を超える最高のイベントをやるんだ!
ミク:……そっか
ミク:杏にとってこはねは、 やっと見つけた相棒なんだね
彰人:だから……多少は仕方ねえんじゃねえのか。 こはねがいなくなる可能性があるのが怖いって思うのは
彰人:オレに言わせりゃ、こはねに限ってそれは絶対ねえだろって思うが ——まあ、そういう話でもないんだろ
杏:……うん
杏:私、どうしたらいいんだろう……。 こんな気持ちを抱えたまま——
彰人:——やるしかねえだろ
杏:……えっ?
彰人:少なくとも今のお前は、 こはねと相棒で居続けたいって思ってんだろ?
杏:……うん
彰人:なら伸び続けるあいつと一緒に、上がっていけよ。 お前の歌を磨いて、磨きまくって、対等で居続ければいい
杏:彰人……
彰人:……そろそろ時間だな
彰人:遅れるとあいつらが気にするから、行かねえとな
杏:……そうだね。行かなくちゃ
ミク:杏
杏:……何? ミク
ミク:——頑張って
杏:…………うん
シブヤの公園
こはね:杏ちゃん! 東雲くん! 先に来てたんだね
杏:あー……うん。 ちょっと早く起きちゃったから
冬弥:待たせたようですまない。 すぐ声出しをしよう
彰人:気にすんな。 オレ達も声出しはまだだから、一緒にやるぞ
こはね:うん。 あ、それでね——
こはね:明日の朝、大河さんと一緒に練習することになったんだ!
杏:あ……
こはね:あのあと、ビビッドストリートの人に話を聞いて、 大河さんを見つけられたから、連絡先も交換できたんだよ
杏:……そっか!
杏:ファイトだよ、こはね! もしおじさんがふざけてヘンな練習させようとしたら 私に言うように! ちゃーんととっちめてあげるから!
こはね:ふふっ。じゃあその時はお願いね、杏ちゃん!
冬弥:……ん? 彰人、どうした。難しい顔をして
彰人:ああ……いや、次の曲のこと考えてただけだ
彰人:それじゃ声出しやるぞ。 ……いけるか?
杏:……うん! やろう!
第 7 话:ただ前に進むために
翌日
WEEKEND GARAGE
杏:…………
杏:(自分の気持ちはわかった。けど……)
杏:(今度は、逆に苦しくなっちゃったな……)
杏:あ……おはよう、父さん
杏の父:おう。おはようさん。 休みの日だってのに、いつもより早いな
杏:うん……。 なんか早く目が覚めちゃって
杏の父:……そうか。 なら、フレンチトーストでも食べるか?
杏:え? いいの? いつも朝ごはんは家で食べろって言うのに
杏の父:ああ、たまにはいいだろ
杏:……やった! じゃあ砂糖多めでよろしく!
杏:(……父さん、私が悩んでるから、 心配してくれてるんだろうな)
杏:(——ううん、父さんだけじゃない)
杏:(彰人もミクも、私のことを心配してくれてる)
杏:(みんなが助けてくれたから、 ちゃんとこのモヤモヤの正体もわかったんだ)
彰人:——やるしかねえだろ
杏:(私は——)
杏:メッセージ……こはねから?
こはね:『今から大河さんと練習してくるね! 緊張するけど、頑張るね!』
杏:こはね……
杏:父さん。 私、朝ごはん食べたら、今日は1日歌いに行ってくる
杏:だから……今日は店の手伝いできない。 ごめんなさい
杏の父:——そうか。 親としては、あんまり遅くなるなよと言いたいところだが……
杏の父:やるなら、納得できるまで歌ってこい
杏:——うん!
ビビッドストリート
杏:……よし! 声出し終わり!
杏:(ビビッドストリートで歌うの、久しぶりだな)
杏:(最初はこはねに度胸つけてもらうために路上でやってたけど、 彰人や冬弥と組んでからは公園でやるようになったしね)
杏:(……やろう)
杏:(ずっと、こはねの相棒で居続けるためにも——)
杏:♪ ————!!
杏:(うん。いい感じ。 高音もよく出せてる)
通行人A:あれ? 杏ちゃん、ひとりでどうしたの?
杏:あ! こんにちは! 今日はここでソロ練習しようかなって思って!
通行人B:へーそうなんだ! 杏ちゃんのソロ、聴けるの久しぶりで嬉しいな
杏:本当? 今日はいっぱい歌おうと思うから、 時間が許すまで聴いていってよ
通行人B:やったー! 杏ちゃん最高!
杏:じゃあいくね!
杏:♪ ————! ————!
通行人A:やっぱりかっこいい~!
通行人B:Vivid BAD SQUADの杏ちゃんもいいけど、 ソロの杏ちゃんもいいよね
杏:♪ ————!!
杏:(あ……今のところはダメだ。 溜めが足りないから、サビにパンチが出てない)
杏:(よし、次のサビで盛り返して——)
杏:♪ ……————!!
通行人A・B:わぁ……!
通行人達:お、なんだ?
通行人達:杏ちゃんがソロで歌ってるみたいだぞ
杏:(うん、今のは完璧! でも……これじゃいつもとそんなに変わらない)
杏:(もっともっと、上に——!)
杏:(……なんだか変な感じだな)
杏:(昔はここで歌う時って、 楽しくて、ワクワクして、悩むことなんてひとつもなかった)
杏:(でも今は——こんなに悩みながら歌ってる)
杏:(だけどこれは……ひとりで歌ってたら 絶対に感じられなかった気持ちだ)
杏:(みんながいて、こはねがいてくれたから見つけられた、 私の気持ち)
杏:(だからちゃんと受け止めて——歌につなげていきたい!)
杏:はぁ……はぁ……はぁ……
杏:みんな、聴いてくれてありがとう! 今度はチームでイベント出るから、見に来てね!
通行人A:杏ちゃん、最高ー! また歌ってね!
通行人B:やっぱ杏ちゃんの歌っていいよな。 エッジ効いてるっていうか!
杏:…………ふふ。よかった
杏:(こうやって、少しずつでも前に——)
杏:(……そういえばここ、 ストリートでこはねと最初に歌った場所だ)
杏:(歌いやすいし、人が集まっても通行人の邪魔にならないから、 いい場所なんだよね)
杏:(懐かしいな。 昨日のことみたいに——)
こはね:……え!? ここで歌うの!?
杏:………………
???:杏ちゃん?
杏:……!
第 8 话:これからも隣で
ストリートのセカイ
レン:う~……疲れた……
ミク:また明日もやるんでしょ? それなら、今日はこれくらいで終わりにしようか
レン:うん……もうバテバテ……
ミク:お疲れ。 頑張った甲斐あって、すごく良くなった
レン:え! ホント!?
ミク:うん。これならリンも、一緒に歌いたくなるんじゃない?
レン:そっか……! よーし、この調子でがんばるぞー!
レン:それじゃ、メイコのカフェに戻ろっか。 あ~、喉かわいた~
ミク:……レン、ちょっと先に行っててくれる?
レン:え? いいけど、どこ行くの?
ミク:ちょっとね。 気になることがあるんだ
ビビッドストリート
杏:こはね……どうしてここに?
杏:今日はおじさんと練習してたんじゃないの?
こはね:うん、そうだよ! 朝から大河さんと一緒にいたんだけど……
こはね:でも今日は、歌の練習じゃなかったの
杏:え?
こはね:まずは歌うより、この街を見てみろって言われて……。 大河さんとこの辺りを見てまわってたんだ
杏:この街を……?
こはね:うん。どういう意味があるのかはよくわからなかったんだけど、 でもすごく楽しかったよ!
こはね:ふふっ。ビビッドストリートで迷った時のことを 思い出しちゃった
こはね:最初はすごく怖かったけど、杏ちゃんのおかげで、 本当はそんなことないってわかって……嬉しかったな
杏:……そっか
こはね:それで帰ろうと思ったら、杏ちゃんの歌が聴こえてきたんだよ
こはね:やっぱり、杏ちゃんの歌ってとってもかっこいいね! すっごくドキドキしたよ!
杏:…………!
杏:……ふふっ。でしょ?
こはね:私ももっと練習して、杏ちゃんみたいに かっこよくてドキドキする歌を歌えるようになりたいなぁ
杏:え~? こはねはもう十分かっこいいでしょ! 私がドキっとしちゃうくらいなんだからさ!
こはね:そ、そうかな……? えへへ、杏ちゃんに言われると照れちゃうな
杏:そうだよ。こはねはすごくかっこよくて、 まぶしいくらいで——
杏:……ねえ、こはね
杏:もし。 もし、なんだけどさ
杏:私がいつか、遠くに行っちゃったらどうする?
こはね:えっ?
杏:RAD WEEKENDを超えられて——
杏:それよりもっと先。それこそ、大河おじさんみたいに 世界だって狙えるくらい、高い、遠いところに、 私が行ったら
こはね:……杏ちゃん、どこか行っちゃうの……?
杏:い、行かない行かない! もし! もしもの話だから、ね!
こはね:うーん……? ……そっか。 杏ちゃんが、世界に……
こはね:私は——それでも一緒に歌っていたいな
こはね:杏ちゃんがどんな風になっても、どんなところに行っても、 私、杏ちゃんと歌いたいってずっと思ってる気がするの
こはね:あ……ちゃんと杏ちゃんの隣に立てるくらい 頑張らなくちゃいけないから、すごく大変だと思うけど……!
こはね:でも……ずっと隣で歌っていたいから
こはね:私、頑張るよ
杏:……こはね
杏:——ありがとう。こはね!
こはね:ど、どういたしまして……? ……杏ちゃん、大丈夫?
杏:全っ然大丈夫! ごめんね、変なこと聞いちゃって!
こはね:そう……? ふふ、それならよかった
杏:ねえ、こはね。 今から1曲、ここで歌わない?
こはね:え?
杏:私達の最初の練習、ここでしたでしょ
杏:だから、一緒に歌いたくなったんだ
こはね:あ、そうだったね……! ふふ、あの時は急に杏ちゃんが歌いだしたからびっくりしたな
こはね:じゃあ、一緒に歌おう、杏ちゃん!
杏:うん。歌おう、こはね
こはね・杏:『♪ ————!』
杏:(……ふたりきりだから、こはねの歌がよく聴こえる)
杏:(こはねの歌を聴くと、いつもドキドキして、 何か新しいことが始まりそうな気がしてくる)
杏:(この歌が——本当に、大好き)
杏:(前を向こう)
杏:(またどこかで、気持ちが揺れる時がくるかもしれない。 だけど、それでも)
杏:(今は——やるしかないんだ!)
こはね:♪ ————————
こはね・杏:『♪ ————!』
ミク:『…………まだ少し、苦しそうな音』
ミク:『だけど、向きあうって決めたんだね』
ミク:『——頑張れ、杏』
こはね・杏:『♪ ————!』