活动剧情
揺るがぬ想い、今言葉にして
活动ID:40
第 1 话:わたしができることを
ライブハウス
一歌:♪————! ♪————!
穂波:(すごい……! 一歌ちゃん、やっぱり前よりも上手になってる)
穂波:(声が前より響くようになってるし、 前よりも感情が乗ってて、叩いててすごく楽しい……!)
穂波:(ファンフェスタに出るために、 いつもとは違う歌の練習をしたって言ってたし、 それが関係してるのかな……?)
穂波:(咲希ちゃんと志歩ちゃんも、楽しそう。 ……よし、わたしも一緒に——!)
バックステージ
咲希:はあ、今日のライブも楽しかった~!
一歌:うん……! 歌っててすごく気持ちよかった
志歩:お客さんの反応も、前よりよくなったね。 乗ってくれる人が増えてきた
穂波:本当?
咲希:あ、アタシも見えてたよ! リズムに乗ってくれてる人を見たら、 アタシも楽しくなっちゃって、弾きながら踊っちゃった♪
志歩:ああ、あの間奏でステップ踏んでたやつね
一歌:咲希、踊ってたんだ。 見たかったな……ふふっ
志歩:……みんな緊張しなくなってきたね
志歩:咲希は音が滑らかになったし、 一歌は自信持って歌えるようになってる
志歩:穂波も、前は音が少し小さかったけど 今は自信を持って叩けるようになってきてる
志歩:みんな、少しずつだけどちゃんと成長してるよ
咲希:しほちゃん……!
一歌:よかった。志歩に褒められると、やっぱり自信がつくね
穂波:うん、嬉しいね……!
咲希:この調子で、もっともっとライブやったら プロになれるかな!?
志歩:さすがにそんなうまくはいかないけど、 練習してライブを重ねていけば実力はつくから 私達は私達のペースでやっていけばいいよ
一歌:そうだね。少しずつでもいいからうまくなれるように、 練習もライブも、もっと頑張ろう
咲希:おー!
一歌:じゃあ、片づけが終わったら帰ろうか
志歩:私、次のライブについて店長と話してくる。 シフトの話もするから少し時間かかるかもしれないし、 先に帰ってていいよ
咲希:はーい!
穂波:あ……志歩ちゃん!
志歩:ん、何?
穂波:いつもありがとう。 ライブの手配とか準備、任せちゃって
穂波:もし、何かわたしにも手伝えることがあったら言ってほしいな。 できることがあればなんでもやるから
志歩:……ありがとう
志歩:でも、別にそこまで手間じゃないから大丈夫。 何かあれば言うから、その時よろしく
志歩:じゃ、いってくる
穂波:あ……うん、いってらっしゃい
咲希:ねえねえ、ほなちゃん! これってどこにしまうんだっけ?
穂波:あ、それはね……
志歩:店長、お疲れさまです。 今日もありがとうございました
店長:ああ、日野森さん。 Leo/need、いい感じだね
志歩:ありがとうございます。来月もお願いします
店長:こちらこそ。Leo/need、だんだんうまくなってるから これからが楽しみだよ
志歩:はい、頑張ります
志歩:あの、それで——前も言ってた チケットノルマのことなんですけど……
店長:ああ、そのこと? 気にしなくても大丈夫だよ。 僕もオーナーも、Leo/needの音楽が好きなんだ
店長:だから、これからも参加したい時は、 遠慮せずにいつでも言ってね
志歩:……ありがとうございます。 そう言っていただけて嬉しいです
志歩:だけど、いつまでも甘えているわけにはいきませんから。 次のライブからは、他のバンドと同じように チケットノルマもやらせてください
店長:日野森さんが言うなら、わかった。 じゃあ次のライブ枠について相談しようか
志歩:はい、お願いします
宮益坂
穂波:みんな、今日もお疲れさま
咲希:ほなちゃんもお疲れさま! 明日から、また練習だね~
一歌:そうだね。 次の曲のことも考えないと
咲希:あっ、そうだ! アタシ、いいメロディー思いついたから 明日みんなに聴いてほしいの!
一歌:えっ、本当? 早く聴かせてもらいたいな
穂波:わたしも……! 咲希ちゃん、期待してるね
咲希:えへへっ♪ 気合い入れてまとめてきまーす!
穂波:ふふ、でも今日はライブで疲れてるだろうし、 ちゃんと休まなきゃだめだよ?
咲希:わかってるって! またしほちゃんに怒られちゃうもんね♪
スクランブル交差点
咲希:じゃあいっちゃん、ほなちゃん! また明日、学校でね!
穂波:うん、気をつけてね
一歌:バイバイ
穂波:(咲希ちゃんも、一歌ちゃんも頑張ってるな。 ライブだけじゃなくて、曲作りも……)
穂波:(志歩ちゃんには練習を見てもらうだけじゃなくて、 ライブ関係のこともやってもらっちゃってるし……、 わたしにも、何かできればいいんだけど)
穂波:…………
穂波:……まだ何ができるかわからないけど、考えてみよう。 わたしがみんなのためにできることを
第 2 话:スケジュール作りで見えるもの
翌日
教室のセカイ
一歌:————……♪
一歌:…………ふう
MEIKO:みんな、お疲れさま! なんだか今日、すごく気合い入ってるね
KAITO:……うん、音が弾んでた
ミク:何かあったの?
一歌:昨日のライブ、いつもより手応えがあったんだ。 私達、ちゃんとうまくなれてるんだなって思って
志歩:まあ、みんな毎日練習してるし、 ライブにも慣れてきたからね
咲希:しほちゃんが1日3回褒めてくれたら、 アタシもっともっとうまくなると思いまーす♪
志歩:はいはい
穂波:ふふっ、咲希ちゃんってば
一歌:でも、うまくなれてるって実感はあるけど、 まだ足りないところも多いから、もっと練習しないと
一歌:それで、次のライブでは少しでも お客さんの心に響くような演奏をしたいな
志歩:……うん、そうだね
咲希:うんうん! 2曲目のオリジナル曲も、 次のライブで演奏したいな~!
志歩:それって、初ライブのあとに 一歌が歌詞を書いてたやつ? まだメロを考えてる途中じゃなかったっけ
咲希:実はね~……じゃじゃーん!
咲希:昨日、ライブのあとに思いついちゃったから たくさん考えてきたんだー!
志歩:へえ……。咲希、やるじゃん
志歩:でも、1日でこんなに? もしかして、徹夜で仕上げてきた?
咲希:ちゃ、ちゃんと休んできたよ! ほなちゃんからも無理しちゃだめって言われてるし!
咲希:こんな曲もどうかな~?って考えてたら、 いつの間にかいっぱいできてたんだ!
穂波:すごいね、咲希ちゃん……!
咲希:えへへ、今の気持ちを書いてみたいって思って! 前のライブでいっちゃんが言ってたのと一緒かもね
一歌:咲希……
一歌:そっか、同じ気持ちで作ったメロなら、 きっとこの詞にも合うね
穂波:うん……! ねえ咲希ちゃん、聴かせてくれない?
咲希:もちろん! じゃあまず1つ目からいくね♪
咲希:……ど、どうかな?
一歌:私は1つ目が好きだな。 歌いやすくて、詞にも合ってると思う
穂波:うん、咲希ちゃんのワクワクしてる気持ちが 伝わってきたよね
志歩:いいんじゃない? ライブでやったら盛り上がりそうだし。 1つ目で進めようか
咲希:やった~!
ルカ:ふふ、よかったわね
ミク:2曲目もいいものができそうだね
咲希:うんっ! 次のライブで、お客さんに聴いてもらお~!
一歌:でも、次のライブまでに間にあうかな……?
志歩:そうだね……。 それぞれのパートを詰めながら譜面に起こして、 そのあと練習に移るから……
志歩:聴かせられるレベルにするためには、 かなり練習しないと厳しいかもね
咲希:そっかぁ……
一歌:でも、ライブで同じ曲ばかりやってたから、 次のタイミングで新曲を出したい気持ちはわかるな
穂波:…………
穂波:——ねえ、みんな、 次のライブまでのスケジュール、 わたしが立ててみてもいいかな
一歌:……え?
穂波:1曲目を完成させて、練習からライブまで どれくらい時間がかかったのかは覚えてるから、 だいたいのスケジュールならわかると思うの
咲希:本当!? ほなちゃんすごーい!
志歩:うん、助かる。 やってみてもらっていい?
穂波:うん! 少し待っててね
志歩:じゃあ、それまで休憩してようか
咲希:はーい!
咲希:じゃあリンちゃんとおしゃべりしよーっと♪ この前、オススメの曲教えてって言われたから——
咲希:って、あれ? リンちゃん?
一歌:そういえば、今日見てないね
咲希:どこかに行ってるのかな~?
MEIKO:ああ、リンなら新メンバーを案内してまわってるよ
志歩:新メンバー?
リン:みんな、ただいまー☆ あっ、いっちー達来てるじゃん!
咲希:リンちゃん、おかえりなさーい!
一歌:隣にいるのって、もしかして……
レン:君達が想いの持ち主か。 オレは鏡音レン、よろしくな!
穂波:えっ、レンくん……!?
レン:ああ、このあいだからミク達のバンドに 参加してるんだ。よろしく
リン:あたしよりも遅れて来たから、 ちょっとだけあたしの後輩だねー♪
レン:あのなぁ……。 リンの後輩とかありえないだろ
リン:いいじゃんいいじゃん! あたしもセンパイって呼ばれたいしー♪
MEIKO:その理論からいくと、カイトも リンの後輩になりそうだけどね?
ルカ:あ、たしかにそうね
KAITO:後輩……
リン:カイト兄はほら、カイト兄だから☆
レン:なんだよそれ……
穂波:ふふっ、楽しそうだね
一歌:またセカイが賑やかになったね
レン:そういえば一歌達、ライブやってるんだって?
一歌:うん、まだ出始めたばかりだけどね
咲希:次のライブは新曲も出したいねって話してたんだ!
リン:わ、いっちーが歌詞を書いてたやつだよね? もうできたんだ!
志歩:できたっていうか、これから仕上げるんだけどね
一歌:うん、次のライブで披露したいんだけど、 本当にできるのかどうか、穂波にスケジュールを 見てもらってるんだ
レン:へえ、スケジュールか……
レン:穂波、すごいじゃん。 しっかりしてるんだな
穂波:えっ……、そんなことないよ。 これくらいしか、みんなの力に なれそうなことはできないから
志歩:これくらいって……。 かなり助かるけどね
レン:そうそう。それに、 リンには絶対できないやつだしさ
リン:なんであたし!? も~! レンだってできないでしょー!
レン:あはは、怒るなって
穂波:ふふっ……
穂波:みんな、スケジュールだしてみたよ
咲希:ありがとう、ほなちゃーん!
志歩:どうだった?
穂波:えっとね……、今日からいつもの練習と並行して、 1日1時間詰めていければ、3日後くらいには完成できると思う
穂波:そのあとは、みんなで練習しながら調整かな。 前は2週間くらい時間が必要だったから、 今回もそのくらいとってるんだけど……
咲希:わ、すごい具体的になった!
一歌:今まで、なんとなくで進めてたけど……。 こうしてスケジュールが見えてくると 何をすればいいのかわかってくるね
咲希:うんうん! あとは、このスケジュールどおりにやれば——
一歌:あ……! でも私、金曜日は委員会があるんだった
志歩:私もバイトに出なきゃいけない日は 早めに帰らないといけないかな
穂波:それなら、ちょっと調整してみるよ。 みんなの予定、教えてくれる?
咲希:ありがとう、ほなちゃん! えっとね、今週なんだけど——
穂波:……よし、できた
咲希:うーん、ライブは来月って聞いてたし、 スケジュールを見た時は余裕あるかもって思ったけど……
一歌:みんなが練習できない日を外してみると、 結構ギリギリだね
志歩:……うん。 新曲をやらない前提だったら スケジュールは問題ないんだけどね
咲希:ど、どこか削れないかな? アタシ、個人練もがんばってやるし!
一歌:私も……!
穂波:ふたりとも気持ちはわかるけど、 ちゃんとできるスケジュールにしないと あとで困っちゃうよ?
志歩:……そうだね。 無理しても意味ないから、 今のスケジュールで考えるしかないよ
咲希:うう……。 じゃあ、やっぱり新曲は諦めるしかないのかなぁ
志歩:……でも、せっかくふたりが頑張って作ってるんだし、 早くお客さんに聴かせたいよね
穂波:志歩ちゃん……
志歩:できるだけやってみる?
咲希:ありがとう、しほちゃん! アタシ、すっごくすっごーくがんばるから!
志歩:無理は駄目だからね
志歩:…………
志歩:(みんな、すごくモチベ上がってる)
志歩:(次のライブまでに新曲も完成させたいし、 音楽をやる楽しさを、もっとみんなに知ってほしい)
志歩:(……でも……)
志歩:(……このスケジュールだと、 チケットノルマのために時間をさくよりも 練習に当ててもらったほうがよさそうだな)
志歩:…………私が、やるしかないか
第 3 话:秘かな決意
咲希の部屋
咲希:うーん……
一歌:一応、最後までメロはできたけど、 なんだか少し……違う感じがするな
咲希:みんなでライブやって、いっぱいがんばるぞー! って感じで盛り上がればいいな~と思って 作ったんだけどなぁ……
穂波:ちょっと明るすぎた、とか?
志歩:……構成にメリハリがないのかもしれないね
一歌:メリハリ?
志歩:うん、咲希が作ってきてくれたメロは、 全体的に明るくてキャッチーな作りになってる
志歩:でも、Aメロからサビまで全部そのノリだと 少し単調に感じるし、サビのインパクトも 薄れちゃう気がする
志歩:一番伝えたいサビのメロディーとメッセージを 印象的にするためには、もっとABで 起伏をつけたほうがいいと思うんだ
咲希:ふむふむ……
一歌:……じゃあ、また作り直しになっちゃうかな
志歩:うん……そうなるね
穂波:でも、方向性は見えてるんだし、 これからみんなで詰めていけば大丈夫だよね
穂波:今日は学校も休みだし、集中して進めていこう!
一歌:うん、そうだね。 今日のうちに仕上げられるように頑張ろう
咲希:よーし、やるぞ~!
一歌:——じゃあ、Aメロはこんな感じでどうかな
咲希:おおっ! それかっこいい!
志歩:うん、入りかたもいい感じ。 じゃあ、敢えてBメロは抑え気味にして、 コードも少しマイナーにしてみるとかは?
一歌:わかった。じゃあ、ここを直して……っと
一歌:ちょっとこれで歌ってみてもいいかな
咲希:うん、いっちゃんお願い!
一歌:♪————…… ♪————!
咲希:わあ……!
一歌:……——♪
一歌:こんな感じ、かな?
穂波:すごいね、さっきよりも良くなってる!
志歩:うん、サビの盛り上がりが引き立ちそう。 いいんじゃない?
一歌:よかった……!
穂波:この調子なら最後までいけそうだね。 みんな、大変だろうけど頑張ろう?
咲希・一歌:『うん!』
咲希:……できたー!! みんな、お疲れさま~!
志歩:これからパート譜作らなきゃいけないけどね
咲希:そうだけど、最後までメロができたから 今は嬉しい気持ちを共有したいの♪
穂波:ふふっ
一歌:でも、前より時間かかっちゃったね
穂波:うん……。1曲目は半日くらいで だいたい作っちゃってたもんね
穂波:今日もそのくらいでできるかなって 思ってたんだけど……
志歩:まあ、前は勢いで作れた感じはするよね
志歩:今回は、1曲目のメロと似そうなところもあったし そのあたりも見ながら作ってたから 時間がかかったんだと思う
咲希:う、たしかに……。 こんなメロディーがいいな~って口ずさんじゃうのは、 1曲目と似てるのが多かったかも……
志歩:好きなメロに寄っちゃうのは仕方ない。 誰だって万能じゃないんだし、無意識に 好みの音を選んじゃうことはよくあることだよ
志歩:……でも、せっかくふたりが想いをこめて作ってくれた曲だし、 ちゃんとこだわって作りたいよね
穂波:うん……!
穂波:ちょっと時間かかっちゃったけど、 今回の曲も、わたしはすごく好きだな
咲希:アタシもアタシもー! 早くみんなで合わせたいな~♪
一歌:じゃ、パート譜のほうも仕上げないとね
志歩:そうだね。 今からやったら……2日くらいはかかるかな
穂波:またスケジュール見直さなきゃね
咲希:うう、練習する期間も 結構ギリギリだったよね?
咲希:やっぱり、次のライブで新曲やるのは無理かな……
志歩:大丈夫、とは言えないけど……。 できる限りやってみよう
志歩:私も、私にできることは全部やるよ
一歌:ありがとう、志歩。 私もやれることを精一杯頑張るよ
一歌:あ……でも、もうこんな時間か。 そろそろ帰ったほうがいいかな
穂波:そういえば、すごくいい匂いがしてるね。 もうお夕飯の時間かな?
咲希:あっ、そうかも!
咲希:ねえねえ、みんなせっかくだし 食べていかない?
穂波:え? そんな、悪いよ
咲希:だいじょーぶだって! きっとお母さんもみんなの分、 用意してくれてると思うんだー!
咲希:アタシ、ちょっと聞いてくる!
志歩:あ、待って。咲希
志歩:……私はやっぱり帰る。 ちょっとバイト関係で確認したいことがあるから
咲希:え~!
咲希:うう、しほちゃんとも一緒に 夕ご飯食べたかったぁ
一歌:でも、バイトなら仕方ないね
咲希:うん……。 いっちゃんとほなちゃんは?
穂波:わたしは……どうしようかな
一歌:じゃあ、咲希のお母さんが大丈夫そうなら、 私も家に連絡して聞いてみようかな
穂波:わたしも
咲希:やったー! ふたりともありがとう♪
志歩:じゃ、私はそろそろ帰るね。 みんなお疲れさま
穂波:お疲れさま、志歩ちゃん
咲希:しほちゃん、今日もありがと! 玄関までお見送りするね!
穂波:ふふ、いってらっしゃい
咲希:いっちゃん、ほなちゃん! 夕ご飯、やっぱりふたりの分も作ってるって!
一歌:ありがとう、咲希。 おばさんのごはん、美味しいから楽しみだな
穂波:うん、おかずはなんだろう。 待たせたら悪いし、早く片づけて行こっか
穂波:……あれ? この楽譜、志歩ちゃんのだ
咲希:え、ホント!?
穂波:うん。……わたしの楽譜がないから、 もしかしたら間違えて持って帰っちゃったのかも
穂波:さっき帰ったばかりだし、 ちょっと追いかけてみるね
スクランブル交差点
穂波:はあ、はあ……っ
穂波:(メッセージは送ってみたけど……。 志歩ちゃん、まだこの辺りにいるかな?)
穂波:あ……!
志歩:……はい。なので、来月の……
志歩:——本当ですか? ありがとうございます。 はい、では次のバイトの日に——
志歩:ふう、よかった。 何枚かはさばけそう——
穂波:あの、志歩ちゃん?
志歩:……! びっくりした、穂波か
穂波:驚かせちゃってごめんね。 誰かと電話してたの?
志歩:うん、バイト先の人と。 それよりどうしたの?
穂波:あっ、うん……! 志歩ちゃん、わたしの楽譜を持って帰っちゃってないかな
志歩:え? 穂波の? ちょっと待って
志歩:……あ、本当だ
志歩:ごめん、わざわざ来てくれて
穂波:ううん、いいの。 じゃあ気をつけて帰ってね
志歩:うん、ありがとう。 また明日ね
穂波:(練習が終わってもバイトの話なんて、 本当に忙しそうだな……)
穂波:(わたしも、もっと練習頑張らなきゃ……!)
第 4 话:バンドのために
ライブハウス
志歩:店長、ドリンクカウンターの掃除終わったので モップかけたら上がります
店長:ああ、お疲れさま。 頼んだよ
志歩:はい
志歩:(いつも店に来てくれるベーシストの人に声をかけたら、 他の人にも聞いてくれるって言ってたし……。 もう少しさばけそう)
志歩:(あとは誰に声をかけようかな。 できれば私達の演奏を楽しんでくれそうな人がいいけど……)
店長:そういえば日野森さん、チケットのほうはどう? やっぱり初めてやるとなると大変でしょ
志歩:あ……そうですね。 今、メンバーの子達が忙しいので 私がやってるんですけど、思った以上に大変でした
店長:え? 日野森さんひとりで売ってるの?
志歩:はい。それがバンドにとって最善だと思うので
店長:そうか……
店長:でも、実際にやってみてわかったとは思うけど、 30枚すべてを売りきるのはすごく大変だと思うよ
志歩:……そうですね
志歩:でも、次のライブで新曲を出す話になっているから みんなには新曲作りと練習に集中してほしいんです
志歩:だから今回は、私が全部売りきるほうが、 バンドのためにも一番いいと思ってます
店長:日野森さんがそうしたいというのなら、 僕は止めないけど——
店長:ひとつだけ、覚えておいてほしいんだ
志歩:はい……?
店長:メンバーの中でひとりだけに負担がかかる形で 成り立ってるバンドは、あまり長続きしないよ
店長:今回は事情があるとはいえ、 こういうことが積み重なってくると 不和が生まれてくる
店長:それはきっと、音楽にも影響してくると思うんだ
志歩:…………
店長:僕は君達Leo/needの音楽が好きだし、 頑張ってる日野森さんを応援したいとも思ってる
店長:だから、お節介で言うけど—— 自分だけで抱えこまずに、仲間と協力することも 考えたほうがいいと思うな
志歩:……、わかりました
数日後
教室のセカイ
咲希:やった、できた~!
リン:お、もしかして2曲目、ついに完成!?
穂波:うん、最初の予定より遅れちゃったけど……。 でもその分、いい曲ができたんじゃないかな
MEIKO:やったね! みんなおめでとう!
一歌:ありがとう。 でも、まだ終わりじゃないから頑張るよ
志歩:うん、実際に練習していくうちに、 調整したほうがいいところは出てくると思うけど そこはやりながら詰めていけばいいから
咲希:はーい!
咲希:ねえねえ、1回合わせてみない? 早く演奏したいよ~!
志歩:そうだね。まずは各々鳴らしてみて、 そのあと合わせてみようか
一歌・咲希・穂波:『うん!』
スクランブル交差点
咲希:はー、なんだかまだドキドキしてるよ~!
穂波:咲希ちゃん、今日ずっとニコニコしてるね
一歌:ふふ、咲希の気持ちわかるな。 私も合わせてて楽しかったから
志歩:うん、そうだね
志歩:…………
志歩:あのさ……
一歌:——でも正直、実際に演奏してみると ちょっと気になるところはあったかな
咲希:あ、アタシも! まだうまく弾けないところあったから 次までに自主練がんばらなきゃな~
志歩:あ……
志歩:——じゃ、次はそのあたりを中心に見ながら 合わせてみようか
咲希:うん! しほちゃん先生、よろしくお願いしまーす!
一歌:私も、気になるところの改善案を出せるようにするよ
志歩:うん、よろしく
穂波:……?
穂波:……志歩ちゃん、さっき何か……
志歩:ああ、なんでもない。 大したことないから
志歩:じゃあ私はここで。またね
咲希:ばいばーい!
穂波:(志歩ちゃん……?)
穂波の部屋
穂波:……うん、このあたりは大丈夫そうかな
穂波:(あとは……サビ前のあたり。 合わせてみたら、咲希ちゃんの音と ぶつかっちゃってた気がしたんだよね)
穂波:(今回は賑やかな曲だし、シンセの音も多いから そのあたりはドラムを控えめにしたほうがいいのかな)
穂波:じゃあ、ここを修正して、と……
穂波:そういえば志歩ちゃん、今日どうしたんだろう。 何か言いたそうな感じだったけど……
穂波:……明日、スケジュールの相談と一緒に 聞いてみようかな
翌日
宮益坂女子学園 中庭
穂波:(志歩ちゃん、教室にも、食堂にもいなかったな。 メッセージを送っても既読がつかないし……。 どこでお昼食べてるんだろう)
穂波:(……あれ? あそこにいるの、志歩ちゃん?)
志歩:……はい。——はい。 そうですか、その日は用事が……
志歩:いえ、大丈夫です。 こちらこそ、ご無理を言ってすみません
志歩:はい、また機会があれば……
志歩:……また断られた……
志歩:どうしよう、まだチケットさばけてないのに……
穂波:……志歩ちゃん?
志歩:っ、穂波……!
穂波:あっ、驚かせちゃってごめんね。 誰かと電話してたの?
志歩:……うん、ちょっとね
志歩:それより、どうかしたの? 何か用?
穂波:あっ、うん……! あのね、来週の練習なんだけど、 どう進めていくのか確認したくて……
志歩:ああ、来週のね
志歩:まず、次の日曜日は新曲を合わせたい。 だからまだ不安な部分があったら、みんなには それまでに自主練をしておいてほしいかな
穂波:うん、わかった
穂波:……ねえ、志歩ちゃん?
志歩:何?
穂波:さっきの電話、本当に大丈夫? ちょっと困ってるように見えたけど……
志歩:……ああ、大丈夫
穂波:本当? もしも困ってることがあったら、 いつでも言ってね
志歩:あ……
志歩:…………
穂波:志歩ちゃん?
志歩:……ありがとう。 本当に何もないから、大丈夫
穂波:え? でも……
志歩:……もう休み時間終わるよ。 早く戻ろう
穂波:あ、志歩ちゃん!
穂波:…………
穂波:(志歩ちゃん……本当に、大丈夫なの……?)
第 5 话:綻び
教室のセカイ
一歌:————♪ ————♪
レン:一歌達の新曲、かっこいいじゃん
リン:うんうん! 前の曲も良かったけど、 今回の曲もすっごくいいよねー☆
ミク:演奏にも一歌達の想いがのってるね。 聴いてると、なんだか元気になるよ
ミク:私も負けてられないな
リン:えっ!? ミクぴょん、昨日も遅くまで残って練習してたのに 今日もまた練習するつもり!?
ルカ:あら、そうだったの? ミク
KAITO:……努力家だね
ミク:ちょ、ちょっとリン。 みんなの前で言わなくていいから
リン:え、なんで? だってあたし、めちゃくちゃ感動したもん! 努力家のミクぴょん、すっごくかっこいいよ♪
ミク:あ、ありがと
MEIKO:ふふ、さすがミクだね。 だけど、あの子達も相当努力家だよね
ルカ:ええ、それに——
ルカ:まだ、自分達の演奏に満足していないみたい
一歌:サビのところ、ちょっと安定しないな。 うまく歌える時は歌えるんだけど……
志歩:まとまりが悪いのはわかる。 音を減らすのも手のひとつだけど、 サビの爽快感がなくなるから、何か違う解決策を考えたい
咲希:うーん、じゃあもうちょっと調整しなきゃだね。 サビあたりのメロ、少し変えたほうがいいかな
一歌:そうだね、もう少し調整したいな……
志歩:気持ちはわかるけど、 そろそろ時間も時間だから、また明日にしよう
一歌:あ……そっか。 じゃあ咲希、帰ったらちょっとだけ時間もらえる?
一歌:家で今の部分を調整したいんだけど、場合によっては 詞も変えたほうがよさそうだから 一緒に話しながらやりたいんだ
咲希:うん、もちろん! じゃあ帰ったら連絡するね!
志歩:ふたりとも、無理はしないでよ
咲希:大丈夫だよ、しほちゃん! ていうかアタシが作ったメロでうまく進んでないんだもん。 次の練習前に、もう少し詰めておきたいの!
一歌:私も一緒にやる。 志歩に見てもらってるだけなのも悪いし
志歩:……そっか、わかった。 じゃあそれでお願い
志歩:穂波、一応スケジュール確認してみてくれる?
穂波:…………
志歩:……穂波?
咲希:ほなちゃん?
穂波:えっ? あ……ご、ごめんなさい。 ぼーっとしちゃって……!
志歩:……どうかしたの? なんだか今日、ずっとうわの空だけど
穂波:えっと……
一歌:もしかして悩みごと?
穂波:大丈夫だよ、なんでもないから
一歌:それならいいけど……
穂波:うん、心配させちゃってごめんね
穂波:…………
穂波:ねえ、志歩ちゃん。 練習のあと、ちょっとだけ話せないかな
志歩:私? いいけど
宮益坂
咲希:みんな、今日もお疲れさまー!
穂波:お疲れさま。 また明日ね
志歩:それで、どうしたの?
穂波:うん、えっとね……
穂波:この前、どこかに電話してたでしょう? あの時の志歩ちゃん、すごく悩んでるみたいだったから、 気になっちゃって……
志歩:あ、あれか……
穂波:知られたくないことだったらごめんね
穂波:でも、もし志歩ちゃんが何か困ってて、 わたしが力になれることだったら、 一緒に考えたいなって……
志歩:…………ありがとう
志歩:…………
穂波:志歩ちゃん……?
志歩:……今回は、新曲のほうに集中してほしかったし 言いたくなかったんだけど……
志歩:そのせいで練習に影響が出てるんだったら、 ちゃんと言わないとね
穂波:……うん、お願い
志歩:一歌達には黙っててほしいんだけど……
志歩:——実は、今回のライブから チケットノルマがあるんだ
穂波:チケット……?
志歩:ライブハウスに出させてもらうバンドって、本当は 自分達が出るライブのチケットを売って ライブに出させてもらうんだ
穂波:え……
志歩:今までは店長とオーナーの厚意で 免除してもらってたんだけどね
志歩:でも、それも次でもう3回目になる
志歩:ライブハウスの経営も楽じゃないし、 他のバンドはちゃんとこなしてることだから そこはちゃんとしたいって思ったんだ
穂波:そうだったんだ……。 ごめんなさい、わたし全然知らなくて
志歩:別に穂波が謝ることじゃない。 私が言ってなかっただけだし
穂波:あ、でも—— チケットノルマがあるってことは、もしかして……
志歩:いえ、大丈夫です。 こちらこそ、ご無理を言ってすみません
志歩:はい、また機会があれば……
志歩:……また断られた……
穂波:志歩ちゃん、ひとりでチケットを売ろうとしてたの?
志歩:……うん、まあね
穂波:だからあの時、困った顔をしてたんだ……
志歩:…………
穂波:ねえ、志歩ちゃん。 それで、チケットはどうなったの?
志歩:……まだ、残ってる
穂波:……やっぱり……
志歩:でも大丈夫。 ライブまでには売りきるから
穂波:でも……
穂波:ねえ、志歩ちゃん。 さっき、一歌ちゃん達には内緒だって言ってたけど…… みんなで手分けして売るのは駄目なの?
穂波:きっと手分けすれば、ひとりでやるよりも 楽に売れるんじゃないかな
志歩:……それは、できれば避けたい
志歩:まだ新曲も、完全には仕上がってないでしょ? 今日の様子だと、きっと一歌達も 数日は調整にかかりきりだと思うから
志歩:チケットノルマをこなすってなったら、 今までみたいに練習に打ちこめなくなるかもしれない。 そうすると、今のペースじゃ新曲を仕上げられなくなる
志歩:だから、みんなには新曲に集中してほしい。 チケットは私がなんとかするから
穂波:志歩ちゃん……
穂波:でもそれじゃあ、志歩ちゃんの負担が大きすぎるよ
穂波:スケジュールなら調整できると思うし、 みんなが時間取れないならわたしが一緒にやるよ。 だから——
志歩:穂波も練習しなきゃいけないでしょ。 ……私のことは気にしなくて大丈夫
穂波:大丈夫、って……
志歩:次は、前よりもいいライブにしたいんだ。 一歌と咲希が作ってくれた2曲目もすごくいい曲だし、 できるだけ完成度を上げて出したい
志歩:これは、Leo/needのために私がやりたいことだから。 このままやらせてほしい
穂波:でも、それだと志歩ちゃんが——
志歩:心配しなくていい。 私に任せて
志歩:じゃあ、今日はこれで
穂波:あ……!
穂波:……行っちゃった……
穂波:(たしかに、わたし達は新曲のために 志歩ちゃん以上に練習しなきゃいけないし、 ライブまでスケジュールにも余裕はない……)
穂波:(志歩ちゃんが言うように、 練習に集中したほうがいいのかもしれない)
穂波:(でも——)
穂波:本当に、それでいいのかな……
第 6 话:必要なケンカ
穂波の部屋
穂波:……どうしよう……
志歩:まだ新曲も、完全には仕上がってないでしょ? 今日の様子だと、きっと一歌達も 数日は調整にかかりきりだと思うから
志歩:チケットノルマをこなすってなったら、 今までみたいに練習に打ちこめなくなるかもしれない。 そうすると、今のペースじゃ新曲を仕上げられなくなる
志歩:だから、みんなには新曲に集中してほしい。 チケットは私がなんとかするから
穂波:(……志歩ちゃんの言うことは、正しい)
穂波:(一歌ちゃんと咲希ちゃんは頑張って新曲を仕上げてるし、 わたしも……もっと練習して、次のライブに 備えなきゃいけない)
穂波:(志歩ちゃんは音楽の経験も長いから、 新曲もすぐ弾けちゃうし……)
穂波:(チケットノルマを志歩ちゃんにお願いして、 わたし達は新曲に集中するほうがいい。 それは……正しいと思う)
穂波:(……でも……)
穂波:…………
穂波:(……やっぱり、少しでもいいから 志歩ちゃんの力になりたい)
穂波:(友達や知りあいにお願いしたら、 何枚かは売れるかもしれないし……)
穂波:(だけど、きっと志歩ちゃんは納得してくれないよね)
穂波:……どうしたらわかってもらえるかな
教室のセカイ
穂波:……はあ……
穂波:(モヤモヤしちゃって、ついセカイに来ちゃった。 少しドラムを叩かせてもらおうかな……)
???:——だから、そういう問題じゃないって言ってるだろ!
穂波:え……? あの声って……
レン:——リンはいつも勝手に動きすぎなんだって! 少しはこっちの話を聞いてくれてもいいだろ
リン:だってこんな演奏じゃ嫌なんだもん! こんなんじゃ、まだミクぴょんの前で見せらんない!
レン:だからって、無理して練習したら ミクやみんなが心配するだろ!
穂波:ふ、ふたりともどうしたの? ケンカなんてよくないよ、落ちついて——
MEIKO:大丈夫。これは、ふたりにとっても必要なケンカだから
穂波:え? で、でも……
MEIKO:実は、リンがミクのために、 最高の1曲を演奏したい、って張りきってたんだ
MEIKO:でも、練習しても練習しても、 リン自身が納得できてないみたいで……
MEIKO:それで最近、休みも取らずに練習するようになっちゃったから。 レンがそれに気づいて、怒ってるんだよね
穂波:リンちゃん。そんなことが……
レン:どこが納得いかないのか教えてくれたら オレだって一緒に考えるし、何かできるかもしれない
レン:だからひとりで頑張るのも程々にしろよ。 そんなんじゃまともな演奏できるわけないだろ?
リン:だって、だって……
リン:そんなこと、あたしだってわかってるもん! レンのバカー!!
レン:ちょ、な、泣くなよ……あ、おい!
レン:……はあ……
穂波:あ……
MEIKO:……そのうち、ふたりともお互いの言うことを理解して、 仲直りしてくれる、って思ってたんだけど……。 当てが外れちゃったな
穂波:本当に止めなくて大丈夫だったんですか?
MEIKO:まあ、あとでフォローは必要だね。 そのあたりは任せといて
レン:……はあ。リンとは一時休戦だな
穂波:レンくん、リンちゃんを追わなくてもいいの?
レン:オレもリンも、頭に血が上っちゃってるからさ。 お互い、少し時間を置いたほうがいいだろ
穂波:……そうなの?
レン:うん。……もう少ししたら、様子見に行ってくる
レン:それより、穂波はどうしたんだよ、こんな時間に。 なんかあったのか?
穂波:あ……
穂波:実は——
MEIKO:そうなんだ。 志歩が、チケットをひとりで……
穂波:……はい。志歩ちゃんの言っていることは正しいんです
穂波:一歌ちゃんも咲希ちゃんも、新曲作りで忙しいし、 わたしも完璧に演奏できるわけじゃないから ライブのために練習しなきゃいけない——
穂波:だから、志歩ちゃんがひとりでチケットを売るのは 今の状況では一番いい方法だって、わたしもわかるんです
穂波:わかるんですけど……
穂波:バンドのためとはいえ、それで志歩ちゃんが ひとりで苦しい思いをするのは、なんだか…… 嫌だなって思って……
MEIKO:なるほど。それで悩んでるんだ
穂波:はい……
穂波:本当は、わたしが手伝えたらいいんですけど、 志歩ちゃんが納得してくれるとは思えないし……
レン:…………
レン:でもさ、穂波の中では やりたいことがわかってるんだろ? 志歩の力になりたいって
レン:だったら、それをハッキリ伝えればいいんじゃないか?
穂波:わたしなりに伝えてはみたんだけど……。 これ以上、どうすればいいのかわからなくて
穂波:あの感じじゃ、……志歩ちゃんとケンカしちゃいそうだから
レン:ケンカしたっていいだろ
穂波:え……?
レン:オレだって、リンとケンカする時もあるけどさ、 伝えなきゃいけない時は、ちゃんと言葉にするようにしてるよ
レン:それに穂波達はプロを目指していくんだろ? これから一緒にやっていくなら、いいことも悪いことも ぶつけあっていったほうがいいと思うけどな
穂波:そう、なのかな……
MEIKO:私もレンに賛成かな。 モヤモヤを抱えたままだと、いい演奏もできないしね
MEIKO:それに、穂波達なら大丈夫。 向きあって話しあえば、きっとわかりあえるよ
穂波:メイコさん……
穂波:(バンドのことを考えてやってくれてたことだし、 実際にそれは本当に正しいことだから、と思ってたけど……)
穂波:(今、ちゃんと言って気持ちを伝えなきゃ、 わかってもらえないかもしれない)
穂波:(志歩ちゃんがひとりで苦しむのは嫌だから……、 わたしも、わたしができることで協力したい)
レン:穂波、大丈夫か?
穂波:……うん、大丈夫
穂波:…………
穂波:メイコさん、レンくん。 ふたりともありがとうございます
穂波:わたしの気持ち、ちゃんと志歩ちゃんに伝えてみます
レン:ああ、頑張れよ!
MEIKO:さて。残るは、レンとリンの仲直りだけど……
レン:わ、わかったよ
レン:そこにいるんだろ、リン。 ドアの陰に隠れてても、わかるぞ
リン:うっ……
リン:あの、レン。えっとね、その……
レン:……はあ
レン:悪かったよ。その……、強く言いすぎた
リン:……!
リン:……あ、あたしも、ついムキになっちゃって。 レンはあたしのこと、心配して言ってくれてたのに
レン:ん、わかってくれてありがとう
レン:じゃ、これからは一緒に練習するか。 ちゃんと休みながらな
リン:っ、うん! あたしもレンと一緒にやりたい!
MEIKO:どうやら、こっちはうまくまとまったみたいだね
MEIKO:(……穂波達も、自分達の納得できる答えを出せるといいね)
第 7 话:揺るがない想い
ライブハウス
志歩:…………
志歩:(チケット、だいぶ売れてきたけど…… このままだと数枚は残りそうだな)
志歩:(でも、みんなは新曲とライブの練習で 手一杯なはずだし……今回は私が頑張らないと)
志歩:(もし、さばききれなかったら——)
志歩:(いざとなったら、私がバイト代から出すしかないか……)
店長:メンバーの中でひとりだけに負担がかかる形で 成り立ってるバンドは、あまり長続きしないよ
穂波:でもそれじゃあ、志歩ちゃんの負担が大きすぎるよ
志歩:…………
志歩:ん、……穂波からメッセージ?
志歩:明日、練習前に話したいことがある、か……。 チケットの話かな
志歩:(穂波が心配してくれるのは嬉しいけど……、 今はきっと、これが一番いい方法だから)
翌日 放課後
宮益坂女子学園 廊下
穂波:はあ……
穂波:(緊張するな……。 志歩ちゃん、昔から一度決めたことは曲げないから)
穂波:(……本当にケンカしちゃうことになったら、どうしよう)
穂波:(……でも……)
レン:オレだって、リンとケンカする時もあるけどさ、 伝えなきゃいけない時は、ちゃんと言葉にするようにしてるよ
レン:それに穂波達はプロを目指していくんだろ? これから一緒にやっていくなら、いいことも悪いことも ぶつけあっていったほうがいいと思うけどな
MEIKO:穂波達なら大丈夫。 向きあって話しあえば、きっとわかりあえるよ
穂波:(わたしの想いを伝えて、 ちゃんとふたりとも納得できる方法を探さなきゃ……!)
志歩:穂波、遅れてごめん
穂波:ううん、わたしも今来たところだから大丈夫
志歩:そっか、よかった。 ……それで話って?
穂波:えっと、チケットノルマの話なんだけど
志歩:……やっぱり
志歩:(この前の話だけじゃ、納得してくれなかったか。 ……穂波は優しいから)
志歩:(あんまり強くは言いたくないけど——)
志歩:…………
志歩:——悪いけど、気持ちは変わらない。 今回は私が最後までやらせてもらう
穂波:でも……!
志歩:前も言ったけど、今のままじゃ新曲も仕上げられない。 もっと精度を上げないと、お客さんの前で 演奏させられないよ
志歩:新曲をやらない前提ならいいけど、 ……そうじゃないでしょ?
志歩:一歌も咲希も、次のライブで新曲をやるために動いてる。 それならお客さんに聴かせられるクオリティーに仕上げるために 全力を尽くしてもらうほうがいい
穂波:……志歩ちゃんの言うことは、すごくわかるよ
穂波:予定してたスケジュールよりもだいぶ遅れてるし……。 一歌ちゃん達も、新曲を作るのに忙しいもんね
穂波:だから一歌ちゃん達にチケットのことを黙っていたいのも、 志歩ちゃんがひとりでやったほうが効率がいいことも、わかるの
志歩:それなら——
穂波:でもね、志歩ちゃん。 わたしはやっぱり、志歩ちゃんがひとりで頑張るのは 嫌だなって思うの
穂波:わたしはチケットを売ったことはないけど……。 Leo/needのライブを見てもらうために、 いろんな人にお願いするんだよね?
穂波:それって、すごく大変だし…… 体力的にも精神的にも、つらいんじゃないかな
穂波:いくら志歩ちゃんが音楽経験者って言っても、 そのつらさはわたし達と変わらないと思うの
穂波:ううん、ひとりでやるほうが、 もっとつらいはずだよ
志歩:……私は大丈夫
穂波:うん、志歩ちゃんなら そう言うんじゃないかって思ってた
穂波:でも、無理しすぎてもし体を壊したら? みんな心配するし……ライブの時、お客さんに ベストな演奏を届けられなくなるかもしれないよ
志歩:……っ
志歩:……そうだね。そうならないように気をつける
穂波:志歩ちゃん……
穂波:ねえ、わたしが手伝うのはどうかな。 一歌ちゃん達は新曲作りで時間が取れないかもしれないけど、 わたしはまだ余裕はあるから
志歩:穂波だって練習があるでしょ? 次のライブまでに仕上げていかなきゃ
穂波:それは、そうだけど……
穂波:ねえ、志歩ちゃん。 チケットは売りきれそうなの?
志歩:……正直、厳しいとは思ってる
志歩:でも大丈夫。まだライブまでには時間もあるから。 当日までにはなんとか間にあわせる
穂波:間にあわせる、って……
志歩:もともと、チケットノルマをやるって決めたのは私だから。 売りきれなかったとしたら、私に責任がある
志歩:だから、少し無理があってもなんとかする。 ……穂波は練習に集中して
穂波:……っ!
穂波:(本当にそれでいいの……?)
穂波:(このまま誰にも言わないで、志歩ちゃんが ひとりで頑張ることが本当に正しいの?)
穂波:(わたしは……)
志歩:じゃあ私、行くから
穂波:……待って、志歩ちゃん!
穂波:志歩ちゃんがひとりで頑張るなんて、 やっぱり嫌だよ……!
志歩:……っ
穂波:志歩ちゃんが言ってることが正しいのはわかるよ。 バンドにとっては、それが一番なんだってことも……!
穂波:でも……!
穂波:わたしは、志歩ちゃんだけが 陰で苦しい思いをするのは、絶対に嫌なの!
穂波:これはきっと、わたしのワガママなんだけど……
穂波:志歩ちゃんにわかってほしいの。 わたし達も志歩ちゃんを大切に思ってるって
穂波:大切な友達だから……!
志歩:……穂波……
穂波:志歩ちゃんだって、咲希ちゃんや一歌ちゃんが 無理をしてたら心配になるでしょう?
穂波:わたしだって同じだよ
穂波:志歩ちゃんがひとりで抱えこもうとしているのを、 黙って見ているのは嫌なの……!
店長:メンバーの中でひとりだけに負担がかかる形で 成り立ってるバンドは、あまり長続きしないよ
店長:今回は事情があるとはいえ、 こういうことが積み重なってくると 不和が生まれてくる
店長:それはきっと、音楽にも影響してくると思うんだ
志歩:…………
志歩:(私が少し頑張れば、みんなは練習に集中できるし 新曲もちゃんと仕上がって、次のライブで演奏できる——)
志歩:(ひとりで何かをするのは慣れてるし、 3人のためにも、Leo/needのためにも 今はこうするほうがいいって思ってた)
志歩:(……でも……)
穂波:ねえ、志歩ちゃん。 わたし、絶対に手伝うから
志歩:え……
穂波:わたしは志歩ちゃんの力になりたいの。 黙って見てるだけなんてできないよ
志歩:……でも……
穂波:一歌ちゃん達が新曲作りを頑張ってくれてるから、 わたしも、わたしにできることをやりたいの
穂波:もちろん、ライブまでに ちゃんと演奏を仕上げられるようにするし、 新曲作りのほうも、一歌ちゃん達のサポートを頑張る
穂波:だから……一緒にやるからね
志歩:…………
志歩:…………わかった
穂波:え……
志歩:穂波がそこまで言うとは思わなかったな
穂波:志歩ちゃん……
志歩:ただし、一歌と咲希には言わないで
志歩:言ったら絶対に気にして、 やらなきゃいけないことができなくなるから
穂波:うん……わかった。言わないよ
志歩:……ありがとう
志歩:もうライブまで時間もないし、新曲を仕上げながら みんなでチケットノルマをやるのは正直難しいと思う
志歩:……だから……
志歩:今回だけ、私と一緒に——チケットノルマ、やってくれる?
穂波:——うん……!
第 8 话:わたしに支えさせて
その日の夜
穂波の部屋
穂波:……うん、ありがとう! じゃああとでチケット持っていくね
穂波:ううん、こちらこそ。 本番はいい演奏を聴かせられるように、頑張って練習するよ
穂波:……え? お友達にも聞いてくれる? ありがとう、嬉しい……!
穂波:うん、うん……じゃあ、またあとで
穂波:(よかった……! これで何枚かチケットがさばけそう)
穂波:(お父さんも知りあいに聞いてくれるって言ってたし、 志歩ちゃんの分と合わせて、なんとか間にあいそうだな)
穂波:ふふっ、これで志歩ちゃんも 少しは安心してくれるかな……
翌日 放課後
宮益坂女子学園 中庭
志歩:えっ、もう3枚さばけたの?
穂波:うん! 知りあいに連絡してみたの。 幼馴染みの子達とバンドで演奏するからって言ったら、 興味を持ってもらえて、喜んで買ってくれたよ
志歩:そっか……
穂波:えっと、あと12枚だよね。 まだちょっと多いけど……ふたりでやれば なんとか全部売りきれそうかな
志歩:うん、……ありがとう。穂波
穂波:ううん、わたしは少し声をかけただけだから
穂波:でも……最初は30枚あったんだっけ。 ひとりで15枚も売っちゃうなんて、志歩ちゃんはすごいな
志歩:まあ、私は音楽関係の知りあいが多いから。 興味持ってくれそうな人に片っぱしから連絡してただけ
穂波:家族とか、雫先輩には?
志歩:お姉ちゃんはアイドルのノリで応援に来そうだし……。 呼ぶのは最終手段にしたいな
穂波:あ、そっか。あはは……
志歩:ごめん、穂波。 一歌と咲希に黙ってやるなんて、穂波は嫌だよね
穂波:……うん、ちょっとだけ心苦しい気持ちはあるかな
穂波:でも志歩ちゃんがひとりで無理をするより、ずっといいよ
志歩:穂波……
志歩:ありがとう
穂波:ふふっ……。 じゃあ、今回のことはわたし達だけの秘密だね
穂波:次からはちゃんと、4人でやろうね?
志歩:そうだね、次はもっとうまく進められるようにしたいな
数日後
ライブハウス
志歩:——ようやく本番だね
咲希:うんっ! すっごく楽しみ~!
穂波:新曲、みんなで頑張って仕上げたもんね
一歌:そうだね、予想以上に難航しちゃったけど……。 ちゃんとライブまでに完成できてよかった
咲希:ほんとほんと、一生できないんじゃないかって 思っちゃった~!
志歩:それは言いすぎ
志歩:……でも、曲が仕上がったのはみんなのおかげだよ
志歩:一歌、咲希、お疲れさま。 ……穂波もありがとう
穂波:ううん、わたしは何も……。 志歩ちゃんも頑張ってくれてありがとう
志歩:それじゃ、いつものやる?
咲希:やろやろ! いっちゃん、お願い!
一歌:うん、わかった
一歌:……みんな、私達の大事な新曲を、 来てくれたお客さん達、みんなの心に響かせよう
一歌:——いくよ!
みんな:『おー!』
一歌:——♪ ——♪
志歩:(……うん、いい感じ。 こだわったABからのメリハリも表現されてるし、 一歌の声から感情がよく伝わってくる)
志歩:(サビ前は、咲希のシンセが光ってる。 穂波がドラムを減らしたおかげで、 音の綺麗さが際立った)
志歩:(ここから穂波が、フィルインで一気に盛り上げて——)
志歩:(——うん、決まった。 ドラムで盛り上げたところと、 一歌の高音が綺麗に重なったね)
観客達:今回の曲、結構いいね。 聴いてて気持ちいいっていうか、気分がアガる!
観客達:前よりもレベルが上がった気がするな
志歩:(……お客さんの反応も上々)
志歩:(ミスもないし、みんな堂々と演奏できてる。 ……たくさん練習したおかげだね)
志歩:——みんな、ありがとう
穂波:みんな、お疲れさま!
咲希:お疲れさまー! すっごく楽しかったね!
一歌:うん……! なんだかお客さんの反応も、いつもよりよかった気がする
志歩:気がする、じゃなくて 実際よかったよ
志歩:みんながギリギリまで粘ってくれたおかげで、 お客さんに最高の演奏を届けられたと思う。 本当に、お疲れさま
咲希:しほちゃん……!
咲希:じゃあ今日は、打ち上げ! ……の前に反省会しよっか!
一歌:あれ、いつもライブ後の反省会は嫌がるのに
咲希:だってだって、今日のライブはすっごくうまくできたし、 新曲の出来も良かったから、いつも以上に ドキドキしてるんだもん!
咲希:次、ライブでやる時はお客さんに もっといい演奏を聴いてもらいたいから 覚えてるうちに反省会したいんだ!
穂波:咲希ちゃん……
志歩:うん、じゃあやろうか
一歌:あ、その前に……次のライブの予定は?
志歩:ああ、まだ確認取ってないけど…… 早くて来月じゃないかな
咲希:そうなんだ! 楽しみだね~♪
一歌:またたくさん、練習しなきゃね
穂波:うん、でも……
志歩:——みんな、次のライブからは チケットノルマに挑戦しようと思うんだけど、いい?
穂波:……! 志歩ちゃん……
咲希:チケットノルマ?
志歩:うん、ライブに出るために私達が出る日のチケットを 周りの人に買ってもらうの
志歩:今までは店長達の厚意で見逃してもらってたけど、 プロのバンドとしてやるためには、 通らなきゃいけない道だから
一歌:そうなんだ……。知らなかった
穂波:あのね、みんな。練習との両立は難しいと思うけど、 できるところからで大丈夫だから——
咲希:うん、アタシやりたい!
穂波:あ……
一歌:私も。やったことないからちょっと不安だけど…… みんなと一緒ならできる気がする
穂波:みんな……
穂波:そうだね、みんなでやればきっと大丈夫だよ
穂波:次はチケットノルマの時間も計算して スケジュールを組んでいこう
一歌・咲希:『うん!』
穂波:チケットノルマの話、できてよかったね
志歩:まあ、かなり大変だったし。 もう無理してやりたくないからね
穂波:でも、志歩ちゃんのことだから いざとなったら無理しちゃうんだろうなぁ
志歩:なっ……、しないってば
穂波:ふふ、冗談だよ
穂波:でも、そうなったら—— またわたしに、支えさせてほしいな
志歩:穂波……