活动剧情
MOREMOREMakingXmas
活动ID:43
第 1 话:リアルイベントをやろう!
遥の部屋
みのり:みんなっ、今日も見にきてくれてありがとう!
雫:今日も一緒に楽しみましょうね
コメント:『こんにちは~』 『これが楽しみでがんばれてます!』 『今日はどんなコーナーがあるのかな』
遥:実は今日は、みんなも知ってるあの人が スペシャルゲストで来てくれてるんだよ
コメント:『みんなも知ってるあの人?』 『誰だろ?』
みのり:ふっふっふ。なんとその人は! そーのーひーとーはー……!
愛莉:じゃじゃーん! 『ななみんチャンネル』の ななみんさんでーす!
みのり:ああっ! 愛莉ちゃん、それはわたしのセリフだよ~!
愛莉:アンタはためすぎなのよ!
ななみん:というわけで——モモジャンチャンネルを見てるみんな! こんにちは! ななみんだよ~♪
コメント:『わ、ななみんだ~!』 『これは神!!!!』 『コラボ配信第3弾だ!』
遥:知ってる人も多いと思うけど、このあいだ私達、 ななみんさんのチャンネルにお邪魔させてもらったんだ
愛莉:で、その時に、次の配信はわたし達のほうに ぜひななみんさんをご招待したいな、って話してたわけ
雫:ななみんさん、このあいだはありがとう! 遊びに来てくれて本当に嬉しいわ
ななみん:こちらこそ、呼んでくれてありがとう! 今日はみんなといっぱいおしゃべりするぞ~♪
みのり:するぞ~!
愛莉:それじゃあ、ななみんさんと一緒にお届けする今日の企画、 いってみましょうか!
みのり:はーいっ! それじゃ、始めます!
みのり:まずは——『ななみんとモモジャンの、 パクパク♪好きな駄菓子語っちゃおう』のコーナーだよ!
遥・雫・愛莉・ななみん:『いえーい!!』
みのり:はーっ、おいしかった! ななみんさんのおすすめしてくれた『もちまめくん』、 とっても懐かしかったな~!
ななみん:よかったー! 実は私、もちまめくんのヘビーユーザーなんだよね♪ いつかCMとか出てみたいんだ~!
愛莉:ああ、あの大豆のかぶりものしてるCMね~。 昔よく見た気がするわ
遥:それにしても、いろんな駄菓子があったね。 こんなに駄菓子を食べたの久しぶりだな
愛莉:そうねえ。小学校の遠足を思い出したわ
ななみん:あはは、そうだね! あっ、小学校っていえば——
ななみん:前にみんな、小学校でリアルイベントの配信してたよね!
遥:うん。卒業式のイベントのことだよね。 配信、見ててくれたんだ
ななみん:うん! もう最高だったよ~! 見たあと友達と『あのバラエティアイドル仮面が復活した!』って すっごく盛り上がっちゃった!
コメント:『ピクシェアのトレンドにもあがってたよねw』 『ハッピーエブリデイはやっぱりおもしろい!』
愛莉:ふふっ、当然! 桃井愛莉もハッピーエブリデイも、最強のアイドルだもの!
みのり:うんうん! 愛莉ちゃんのソロライブ、 感動してちょっと泣いちゃったよ~!
雫:ええ、とっても感動したわよね! あのハッピー反復横跳びも久しぶりに見られて……!
愛莉:アンタの感動ポイント、そこなの?
コメント:『でもあれは羨ましかったな』 『私もモモジャンのリアルイベント行きたいよ~!!』
みのり:あ……!
みのり:ねえねえみんな、このコメント見て! わたし達のリアルイベントに来たいって!
愛莉:あら、本当?
コメント:『リアイベやるなら絶対行きたい!』 『握手会とかしてほしいなー』 『ライブ生で見たいよ~!』
雫:まあ……みんなありがとう!
コメント:『遥ちゃん達に会いたいな』 『やるなら地方だけど行く』 『早くイベントしてほしい~!』
みのり:えへへ、嬉しいなぁ
遥:…………
遥:——そうだね。 私も、みんなと会えるようなイベントをやりたいな
愛莉:そうね。応援してくれてるみんなの顔を見たいもの!
雫:イベントをやるなら、握手会も、ミニライブも やってみたいわね
みのり:握手会、ミニライブ……!
コメント:『やったー! いつやるの?』 『早く会いたいよ~!!』
遥:会場とか日程とか、いろいろ考えなくちゃいけないことが あるから今すぐには決められないけど……
遥:でも、少しずつ進めていこうと思うよ。 みんな、待っててね
ななみん:やったー! リアイベやるなら、私も握手しに行っちゃおーっと♪
遥:ななみんさんは、いつでも私達と握手できるでしょ?
ななみん:はっ! そうだった! う~ん、やっぱりここはみんなに譲ってあげなくちゃか~
コメント:『早く握手したいよー!』 『決まったらすぐ教えて!』
コメント:『でも事務所入ってないとイベントやるの大変そうだけど、 どうなんだろう?』 『たしかに。会場とか自分達で探すの?』
コメント:『何か力になれることがあったら言ってね!』 『がんばれモモジャン!』
遥:ふふっ。ありがとう、みんな
愛莉:そうと決まったら、気合い入れて考えていくわよ~!
雫:ええ! 素敵なイベントを作りましょうね!
みのり:うんっ!
みのり:(よーし! ファンのみんなにいっぱい希望を届けられるような、 そんなイベントを作るぞ~!!)
遥:みんな、今日も配信お疲れさま
雫:ななみんさんが盛り上げてくれたおかげで、 見てるみんなもすごく喜んでくれたわ。 今日は本当にありがとう
ななみん:ううん! こちらこそ、すっごく楽しかった! また一緒にコラボ配信やろうね~!
ななみん:あ、でもイベントのこと考えなきゃだよね? しばらくは忙しいかな
愛莉:ええ、みんなも期待してくれてることだし、 ちゃんと考えないといけないわね
遥:そうだね。 ——イベントをやるからには、会場とか、スタッフさんとか、 少しずつ決めていかないと
遥:見てくれてる人の数も考えると、大きめの会場がいいんだけど、 そうするといろいろ手配が必要だから……
みのり:結構大変そうだね……!
ななみん:…………
ななみん:ねえねえ、みんな! もしよければなんだけど……
ななみん:私も少し手伝おうか?
みのり:えっ?
ななみん:ちゃんとした会場借りたり、スタッフさん集めたりすると、 結構お金かかるでしょ?
ななみん:そのあたり融通してくれそうなところがないか、 私の事務所に聞いてみるよ!
遥:それはすごく助かるけど……いいの?
ななみん:もちろん! 私もモモジャンの力になりたいもん!
愛莉:ありがとう! そこが結構ネックになりそうだと思ってたからすごく嬉しいわ!
遥:うん、とっても助かるよ。 早川さんさえよければ、お願いしてもいいかな
ななみん:オッケー! じゃ、マネージャーとのミーティングの時に それとなく聞いてみるね
みのり:ありがとうございます、ななみんさん!
みのりの部屋
みのり:……はぁ……
みのり:(会場やスタッフさんが決まったら、 ついにわたし達のイベントができるんだよね……!)
みのり:(ファンのみんなとゲームしたり、握手しておしゃべりしたり、 これぞアイドル!って感じのイベントがついに——)
みのり:うわわ~!! そんなの嬉しくって、爆発しちゃいそうだよ~!!
みのり:……って、浮かれてちゃダメダメ! 会場だってまだ決まってないんだから!
みのり:まずはイベントをやるために必要なことを ちゃんと考えていかなくっちゃ!
みのり:会場やスタッフさんの他に必要なものってなんだろう? えーっと……わたしが今まで行ったイベントだと……
みのり:やっぱりASRUNのイベントだよね! 握手会もファンミも、いっぱい行ったな~!
みのり:どれもすっごく凝ってて、12月のイベントなんて 人工雪が降ってきたんだよね! 4月は桜のペンライトがいっぱい売ってて、それから——
みのり:あ……
みのり:(でもあの時のファンミは 中止になっちゃったんだよね……)
みのり:(強風で、野外ステージの鉄骨が倒れそうになっちゃったから、 安全のために……って)
みのり:(そういうアクシデントが起きたりもするし、 イベントを成功させるのって大変なんだろうな)
みのり:(それに、小学校の時は周りに たくさん先生達がいたからサポートしてもらえたけど、 今回手伝ってくれる人はいないし……)
みのり:……大変だからこそ、がんばらなきゃだよね!
みのり:ファンのみんなに思いっきり喜んでもらえるような——、 そんなイベントを作るぞー!!
みのり:……会場が借りられたらどんなイベントにしていこうかな? ええと、握手会はしたいし、ミニライブもしたいから——
第 2 话:イベントに必要なもの
数日後
宮益坂女子学園 屋上
みのり:会場、ここなんてどうかな? 新しくてピカピカだし、駅からも近いよ!
遥:そうだね。 ただここも、予算オーバーにはなるかな……
愛莉:あら? ふたりとも早いわね
みのり:あっ! おはよう~! 今日も朝練がんばろうね!
愛莉:みのり、なんだかずいぶんはりきってるみたいじゃない
雫:本当ね。 心なしか表情も、キリっとしてる気がするわ
みのり:うん! イベントのためにいろいろ考えてたら やる気がどんどん出てきちゃって!
愛莉:ふふ、いいじゃない! イベントが決まったら、いつものアイディア出し、頼んだわよ!
雫:それで、今は何を話していたの?
遥:会場の候補をいくつか探してたんだ。 早川さんにお願いはしたけど頼りきりは申し訳ないし、 この辺りにある会場のことも知りたかったから
遥:ただ、まだいいところは見つかってないけどね
雫:そうだったのね。 実は私達も昨日、いいスタッフ派遣会社がないか探していたのよ
遥:雫達も? それで、どこかいいところあった?
愛莉:んー、候補はいくつかね。 ただこの時期ってこともあって、金額がねぇ……
雫:クリスマスや年末年始はいろんなところでイベントを やっているから、スタッフさんも割高になるのよね……
みのり:うーん。お金かぁ。 みんなでMORE MORE JUMP!として活動しようって 決めた時に、いろいろ話しあったよね
雫:ええ。その時は、 『活動費は、みんなで同じだけ、出せる額を出そう』 っていう形にしたのよね
雫:でも……イベントをやるってなると やっぱりそれだけじゃ心もとないわよね
遥:そうだね。会場を借りたり、スタッフさんを手配したりするのも 結構お金がかかるし……
みのり:あ! それならわたしのバイト代を ここでどどーんと……!!
愛莉:ほーう? どどーんといけるわけ?
みのり:う……。ちょちょーんとなら……あはは
遥:……今の活動費じゃ難しいなら、 私が多く出すっていう手段もあるけど……
愛莉:ダメよ、決めたでしょ? みんなで同じだけ出すって
愛莉:前も言ったけど、負担に偏りを作るのはよくないと思うわ。 お互い、いろいろ気をつかっちゃうもの
遥:……うん。そうだね。 ありがとう、愛莉
愛莉:でもそうなると、やっぱり会場やスタッフさんについては、 ななみんさんの連絡を待つしかなさそうね
遥:そうだね。たしか早川さん、昨日事務所に用事があって、 立ち寄るついでに聞いてくれるって言ってたから——
遥:……あ。噂をすれば
遥:もしもし。桐谷です
ななみん:『もしもし、遥ちゃん? 連絡遅くなってごめんね! 今大丈夫?』
遥:うん、全然大丈夫だよ。 それで……どうだった?
ななみん:『えっとね……』
遥:…………本当? ありがとう! すごく助かるよ
みのり:……!
ななみん:『ただ……』
遥:あ……
遥:……そっか。そこは仕方ないね。 ちょっと考えてみるよ
遥:ううん、ありがとう。すごく助かったよ。 ——うん。それじゃ、また
愛莉:なんて言ってたの?
遥:会場、いいところを見つけられたって
みのり:え!? 本当!?
遥:うん。事務所でたまに使ってる500人規模のホールを、 格安で借りられそうだって教えてくれたの
遥:しかも——クリスマスの日に
愛莉:ええ!? クリスマスに!?
雫:クリスマスの日って、どこもイベントをやるから、 ホールもうまりがちなんじゃ……
遥:もともと早川さんの事務所の人がイベントをやるために とってたらしいんだけど、トラブルでキャンセルに なったんだって
遥:ただ直前にキャンセルすると会場側からの印象も良くないから、 他に使いたそうな人を探してたみたい
みのり:そうだったんだ……!
みのり:ということは……、 みんなでクリスマスイベントができちゃうってこと!?
愛莉:コラコラ! 妄想するのはまだ早いわよ
雫:……そういえば遥ちゃん、電話の最後のほう、 ちょっと悩んでるみたいだったけど何かあったの?
遥:あ……うん。会場はなんとか予算内で借りれそうだし、 早川さんにおさえてもらえれば大丈夫なんだけど……
遥:スタッフさんの確保は難しいみたいなの
みのり:スタッフさんの?
遥:さっき話したとおり、 この時期はいろんなところでイベントをやってるから、 手があいてるスタッフさんも少ないんだ
遥:早川さんの事務所の人にお願いするのも難しいし、 派遣会社も高額になってるから……どうしようかなって
愛莉:イベント会場には、照明や音響を操作してくれるスタッフさんが いることが多いんだけど……ファンミーティングは、 それ以外にも結構人手がいるものねえ
雫:受付とか、列を整理してくれる人とか、 たくさんの人が関わってくれているものね
遥:うん。ファンのみんなが期待してくれてることもあるし 握手会以外にもいろいろやりたいから——、 それなりに人手が必要なんだ
みのり:そっか……そうだよね。 スタッフさんがいないと、イベントはできないよね……
みのり:じゃあ——スタッフさんをやってくれそうな人を 探してみるよ!
愛莉:探すって、どうやって?
みのり:ええっと……友達に手伝ってもらえないか聞いてみる!
雫:あら、それはいいわね! 私もお友達に聞いてみようかしら
愛莉:なるほど……。たしかにそれはいいかもね。 わたしも、茶道部で手伝ってくれそうな子がいないか 聞いてみるわ
遥:……友達か。 クリスマスの日に手伝いを頼むのは、 少し悪い気もするけど……
遥:でも、まずは話をしてみようか。 予定があいてる子もいるかもしれないし
みのり:うん! よーし、早速こはねちゃん達に聞いてみるぞ~!
放課後
みのり:ぜ、全滅でした……!!
みのり:みんなクリスマスだから、もう友達と予定があったり、 ライブイベントがあったりで行けないって感じで……
愛莉:あー……やっぱりみのりもそうだったのね
みのり:え? わたしも、って?
雫:私達もそうだったの。 部活のお友達にも聞いてみたんだけど、 家族と過ごす予定があるからって
遥:私も。クラスの友達は、クリスマスパーティーを やるから難しいって
愛莉:時期が時期だからしょうがないところはあるわよね……
みのり:そっかぁ……
遥:こうなったらやっぱり、活動費を多めに出して 派遣会社にお願いするしかないかな……
愛莉:そうね、今からもう1回、いいところがないか探してみるわ
愛莉:……あ!
雫:あら? どうしたの、愛莉ちゃん
愛莉:MORE MORE JUMP!の メールボックスにメールがきてるんだけど……
みのり:え? メール?
第 3 话:ファンからのメール
宮益坂女子学園 屋上
愛莉:——『MORE MORE JUMP!の皆さん、はじめまして! いつも皆さんの配信を楽しく拝見しています。 斎藤彩香と申します』
愛莉:『まず、突然のメールになってしまいすみません』
愛莉:『今日は、前回の配信でリアルイベントについて話されていたのを 聞き、もしかすると自分が力になれるのではないかと思い、 メールを送らせていただきました』
みのり:……力になれる?
愛莉:『私は現在、大学に通いながら 制作スタッフのアルバイトをしています』
愛莉:『日々たくさんのアイドルグループやアーティストのかたの イベントスタッフとして働いているのですが——』
愛莉:『その中で何度か、事務所に所属せずフリーで活動しているかたと イベントをやったことがあります』
愛莉:『そのかたは専属のマネージャーやスタッフがいないため、 各種手配をすべておひとりですることになり、 とても大変そうでした』
愛莉:『リアルイベントをやろうとするのであれば、 機材や人員の手配も必要になります』
愛莉:『そうなるとフリーで活動をされている皆さんだけで イベントをやりきるのは、かなり大変なのではないだろうか と感じています』
愛莉:『そこで、もしも大変な状況でしたら、会場の手配や スタッフ集めなどで、イベント作りに 協力させていただけないでしょうか?』
愛莉:『もちろん、ボランティアという形で大丈夫です。 また、私の知り合いにもMORE MORE JUMP!の ファンがたくさんいるので、その子達も誘えるかと思います』
遥:……!
愛莉:これ……わたし達のイベントに協力したい、ってことよね?
みのり:う、うん! そうだと思う!
遥:でも……本当に信じて大丈夫なのかな。 誰かがファンをかたって、いたずらメールを 送ってる可能性もあるから、慎重に考えたいけど……
愛莉:そうねえ、もう少し読んでみましょうか
愛莉:『もちろんイベントに関して、特にお困りでないようであれば、 このメールは気にせずスルーしていただいて大丈夫です』
愛莉:『ただ、もしお困りのことがありましたら、 いつでも声をかけていただければと思います。 その際は、本当の本当に頑張らせていただきます!』
愛莉:『長くなってしまいましたが、 イベント開催、とても楽しみです! 斎藤彩香』
愛莉:『追伸 私が主催しているモモジャンファンクラブの友達と、 イベントの企画について考えてみました。 もしよければ参考にしていただけると嬉しいです』
みのり:モモジャンファンクラブ!? わたし達のファンクラブがあったんだ……!
雫:ふふ、嬉しいわね
遥:私も知らなかった、びっくりだね。 愛莉、内容はそれだけ?
愛莉:えーっと……。あ、まだ続きがあるわ
愛莉:『追伸の追伸。余談になりますが、 MORE MORE JUMP!の配信では、 みんなで具材を持ち寄ってお鍋を作った回が一番好きです
愛莉:『野菜からスタートして、まさかマシュマロにいきつくとは……。 試しに焼いてみたのですがとっても美味しかったです。 またいつか、皆さんのお鍋パーティーを見たいです!』
雫:ふふっ。 あの配信を見てくれてたのね
愛莉:この様子だと、ファンじゃないってわけでもなさそうね
雫:そうね
みのり:……すごい! すごいよっ!
みのり:まさか、このタイミングで 手伝いたいって言ってくれるメールがくるなんて!
遥:……そうだね……
遥:……愛莉、添付されてるファイルを 見せてもらってもいい?
愛莉:ええ。これよ
遥:…………
遥:(——この企画書、良くできてる)
遥:(ターゲットもコンセプトもしっかり考えられてるし、 こっちの予算を考えて、見積もりを何パターンか出してる。 それに、会場のレイアウト例まで……)
遥:(アルバイトで制作スタッフをしているって書いてあったけど、 もう制作会社で働いていてもおかしくないくらい)
遥:(それに——私達のことをよく見てくれてることもわかる。 みんなの良さが引き立つような演出まで考えてて……)
遥:(これなら、きっと、 ファンに満足してもらえるいいイベントが作れる)
遥:(しかもボランティアで協力してくれるなんて、 願ってもない——)
遥:(……でも……)
みのり:こんな人が連絡くれて、本当によかったね! これでイベントも——
遥:…………
みのり:……遥ちゃん?
遥:本当に——それでいいのかな
みのり:へっ?
遥:私達は、ファンに希望を届けたいって思ってる
遥:それなのに、 “ファンにイベントを手伝ってもらう”っていうのは……、 何か、違うんじゃないかな
みのり:え? ど、どういうこと? 何が違うの?
遥:私、思うの。 ステージの裏側は、すごく“現実”だって
みのり:現実……?
遥:うん。 キラキラしたステージを——夢みたいな世界を作り上げるために、 たくさんのスタッフが汗を流してる
遥:スタッフの仕事は、本当に大変だよ。 大きな機材の搬入に、何時間もかかる設営。 1000人近くの人を数人で先導したりもする
遥:……もしこのメールの人に参加してもらうことになったら、 この人にも、“仕事”として誰かを 楽しませてもらうことになるでしょう?
遥:つまりそれは——私達のファンを、 そういう現実と向きあわせるっていうことでもある
みのり:で、でも、この人は普段からアルバイトで イベントを作ってるみたいだし……
遥:……だとしても、甘えていいわけじゃない
遥:私は、できることならこの人にも ファンとしてイベントを楽しんでほしいの
愛莉:……そうね。遥の言いたいことはよくわかるわ
愛莉:ステージから希望を届けていこうって言ってるのに、 その相手を、ステージの裏側に呼んで手伝わせるのは、 何か違う気がするわよね
雫:……ファンとして応援してくれている人達なら、 キラキラしたものを見続けてほしい……っていうことよね
遥:うん。それに、仕事相手として接していくことで、この人が ファンとして純粋に応援できなくなる可能性だってある
みのり:ファンとして……
みのり:(……でも、この人は……)
愛莉:だけど……実際この申し出はすごく魅力的よね。 経験者が、しかもボランティアで手伝ってくれるなんて
遥:……うん、それもわかる
遥:リアルイベントを楽しみにしてくれているファンのためを 考えるなら……お願いするほうがいいのかもしれない
遥:だけど、そのために裏側を見せるのは……
遥:……もう少し考えてみてもいいかな。 他の選択肢がとれないか、ちゃんと考えたいの
みのり:……うん。そうだね。 わたしも、もっとちゃんと考えてみる……
愛莉:ひとまずこの人には、協力を申し出てくれたことへの お礼のメールを出すわ。 その上で、少し考えさせてほしい、って伝えておくわね
愛莉:それから、全員のためにはどうするのが一番いいのか、 みんなで考えましょ
雫:そうね。クリスマスまでは時間がないから、 早く考えないといけないけれど……。 一番いい形でやれるように考えていきましょうね
みのり:……うん!
みのりの部屋
みのり:はぁ……どうしたらいいんだろう……
みのり:(ステージの裏側を見せたくないっていう 遥ちゃんの気持ちは、たしかにわかるんだよね……)
みのり:(ファンとして応援してくれる人に スタッフさんのお仕事をお願いしたら、 その人達はイベントを楽しめないし……)
みのり:(……でも……)
野外ステージ
みのり:(えへへっ♪ 今日はASRUNの握手会だ~!)
みのり:(遥ちゃんに会えるの、楽しみだなぁ。 いつもと違って野外だから、青空を背負った 可憐な遥ちゃんも見れちゃうし……!)
みのり:わわわっ! す、すごい風……!
みのり:台風でも近づいてるのかな? ……あ! 握手券、ちゃんとカバンにしまっておかなくちゃ!
ファン達:……ねえねえ。スタッフの人達、 なんだかさっきからバタバタしてない?
ファン達:うん、列整備の人も足りてないみたいだし……。 何かあったのかな
みのり:(……? そういえば、 なんだかスタッフさん達の出入りが激しいような……?)
ファン達:ねえ、もう開場時間とっくに過ぎてるよね。 全然列動かないんだけど
みのり:(……大丈夫、だよね? 少し遅れてるだけだよね)
アナウンス:『ご来場のお客様にご案内いたします』
アナウンス:『本日、強風の影響により、握手会を行う予定の 野外会場の一部で、トラブルが発生いたしました』
みのり:えっ……!
アナウンス:『現状事故にはなっておりませんが、 強風が続く場合、大きな事故につながる可能性がございます』
アナウンス:『大変申し訳ありませんが、お客様の安全を鑑み、 本日の握手会イベントを中止とさせていただきます』
みのり:えぇ~! 握手会、中止になっちゃうの!?
ファン達:楽しみにしてたのに……!
みのり:あっ! ASRUNのみんなが出てきた……!
みのり:(だ、大丈夫かな遥ちゃん……。 せっかくのイベントが中止になっちゃって、 落ちこんでるんじゃ……)
遥:『——みんな、今日は私達のために来てくれて、 本当にありがとう』
遥:『……せっかくこうやって来てもらったのに、 顔を見せることしかできなくて……本当にごめんなさい』
遥:『きっとみんなも、忙しい中時間をあけてくれたり、 何日も楽しみにしてくれてたはずなのに……』
みのり:は、遥ちゃん達は悪くないよ! 風が強いならしょうがないもん!
みのり:今日が無理でも、また何度だって来るよ! 遥ちゃんの笑顔が見たいからっ!
ファン達:そうだよ! みんなの顔が見られただけで嬉しいよ!
遥:『……ありがとう、みんな』
遥:『今日は中止になっちゃったけど、 絶対にまたみんなと会える日が来るって、信じてる』
遥:『だからまた——会いに来てね!』
みのり:……うんっ! 絶対会いに行きまーすっ!
ファン達:ASRUN最高ー!
みのり:(うう……中止になっちゃったのは残念だけど……)
みのり:(やっぱり、遥ちゃんはすごいなぁ! ファンのみんなはすごくガッカリしてたのに、 遥ちゃんがしゃべったら笑顔になっちゃって——)
みのり:あ……!
みのり:(……そう、だよね)
みのり:(遥ちゃんが一番、ガッカリしてるよね……。 握手会ができなくなっちゃったんだもん)
みのり:(……遥ちゃんが、ASRUNのファンみんなが 笑顔になれるように、わたしも何かできたらいいのに……)
アナウンス:『ご来場いただいた皆さまには、多大なご迷惑を おかけしますことをお詫び申し上げます。 なお、次回握手会につきましては……』
みのり:(……あの時の遥ちゃんの表情、今も覚えてる)
みのり:(ファンのみんなが楽しみにしてるのに イベントができなくて……すごく悲しそうだった)
みのり:(……ファンのために裏側を見せたくないっていう 遥ちゃんの気持ちはわかる)
みのり:(でもファンは——大好きなアイドルがイベントをやれなくて 困ってるほうが、つらいんじゃないかな)
みのり:(……わたしはあの時、そういう気持ちだったもん)
みのり:(メールをくれたファンの人もそう思ったから、 協力したいって言ってくれたんじゃないかな——)
第 4 话:アイドルでマネージャー?
遥の部屋
遥:(どうすれば、ファンに喜んでもらえるイベントを 作れるんだろう……)
遥:(……早川さんには悪いけど、いっそ違う会場にする? 小さめの会場にすれば、スタッフがいなくても私達だけで イベントを回せるかもしれない)
遥:(でも、小さな会場もオフシーズンになるまで埋まってるから、 最悪半年以上待つことになるかもしれない)
遥:(そうなると、せっかく楽しみにしてくれてるファンを、 かなり待たせることになる……それは避けたい)
遥:(……愛莉と話しあって、予算を上げる? それとも——)
遥:……はぁ
遥:(……どの選択が正しいのか、わからない。 ファンに喜んでもらうためには、一体……)
遥:(——この企画書、良くできてる)
遥:(ファンの子——斎藤さんが送ってくれた企画書、 本当によくできてたな)
遥:(早川さんが見つけてくれた会場でやれば、 ファンのみんなも喜んでくれそう)
遥:(だけど……あの人も、私達のイベントを 楽しみにしてくれているファンだから——)
遥:——もう一度。 視野を広くして、柔軟に考えていかなきゃ
遥:フリーでやっていこうって言ってくれた時の 愛莉達みたいに、もっと柔らかく……
遥:……そうだ。たしか愛莉はあの時、 リンに相談したって言ってたっけ
遥:私も、向こうでみんなに相談してみようかな
ステージのセカイ
遥:あれ。ここ、ステージの舞台袖だ。 ミク達はどこに……
遥:——ライブの前奏? それに照明も……
ミク:やっほー! みんな、こんにちはーっ♪
レン:今日は僕達の合同ライブだよ。 みんなにとって最高の、忘れられないライブにするからね!
MEIKO:それじゃあ、さっそく1曲目いくわよ~! ミュージック、スタート!
遥:これは……ミク達の合同ライブ?
ルカ・リン:『——♪ ——♪』
遥:(……すごいな。 5人のフォーメーションと照明の演出がぴったり合ってる)
遥:(それにしても……。 いつも以上にステージの演出が凝ってるような……)
???:——よし! やっぱりあそこの照明は、 黄色を強めにして正解だったね!
遥:……? この声は……
遥:え……カイトさん!?
KAITO:ん? ああ、こんにちは!
KAITO:君はたしか、遥ちゃんだよね? ミクちゃんやレンくんから、話は聞いてるよ
KAITO:はじめまして、僕はカイト。 少し前にここに来て、 ミクちゃん達のライブの手伝いをしているんだ
遥:ライブの手伝い……?
遥:じゃあひょっとして、このライブもカイトさんが……?
KAITO:うん、少しだけ手伝わせてもらってるよ。 今は演出をサポートしてるけど、このライブは 企画もやらせてもらったんだ
遥:じゃあカイトさんは、アイドルというよりは、 プロデューサーとかに近い感じ……なんですか?
KAITO:ふふっ、半分正解かな! 僕はアイドル兼マネージャー兼…… まあ、いろいろやってるんだ
KAITO:ステージに立つのも、裏方として働くことも、 どっちも好きだから両方やろうって思ってね
遥:なるほど……。 両立するのは、すごく大変そうだけど——
KAITO:あっ……!
KAITO:今のリンちゃんとレンくんのターン、決まったね! うーん最高!
KAITO:ターン練習、ふたりとも頑張ってたから。 こうして成功してるところを見ると、嬉しいなぁ……
遥:ふふっ
遥:(カイトさん、ステージの上のみんなを 子供みたいにキラキラした目で見てる)
遥:(きっと、本当に好きなんだろうな。 みんなが輝けるようにサポートをすることが)
遥:(カイトさんみたいなスタッフが、 私達のイベントにもいてくれたら すごくありがたいけど——)
愛莉:『もちろんイベントに関して、特にお困りでないようであれば、 このメールは気にせずスルーしていただいて大丈夫です』
愛莉:『ただ、もしお困りのことがありましたら、 いつでも声をかけていただければと思います。 その際は、本当の本当に頑張らせていただきます!』
遥:……だけど……
KAITO:……遥ちゃん、もしかして何か悩んでる?
遥:え、どうして……
KAITO:ふふ、僕はマネージャーでもあるからね。 アイドルの気持ちがわかっちゃうんだよ! ……ほんのちょっとだけどね?
遥:……ふふっ。 さすがですね
遥:……実は今、イベントの方針のことで、 少し行き詰まってることがあるんです——
KAITO:ファンにステージの裏側を見せてもいいのか……。 うーん、難しい問題だね
KAITO:でも、僕も遥ちゃんが心配してる気持ち、 わかる気がするな
遥:カイトさんも?
KAITO:うん、もちろん
KAITO:ステージの上はすごく輝いていて、 見てくれるお客さんも、みんな笑顔になってくれる 素敵な場所だけど……
KAITO:その裏側まで輝いているわけじゃない。 つらくて、大変なことがたくさんある
KAITO:遥ちゃんもそれを知っているから、 ファンの子達に見てほしくないんだよね?
遥:……はい
遥:……みのりの言うこともわかるんです。 私達の力だけじゃ、イベントはできない。 それだと、ファンのみんなを悲しませてしまうから
遥:——でも、私達はアイドルとして ファンにちゃんと希望を届けたい
遥:もしステージの裏側を見たことで、 私達のファンが思いきり楽しめなくなったら、私は……
KAITO:…………
KAITO:……これは、あくまで僕の考えだけど
KAITO:アイドルには、客席で見てくれるファンだけじゃなくて、 ステージに関わる人、みんなに 希望を届けられる力があると思うんだ
遥:ステージに関わる人、みんなに……?
KAITO:うん! 設営や音響のスタッフの気持ちになってごらんよ。 彼らからしてみたら、自分がゼロから考えて作ったステージの上で 大好きなアイドルが最高に輝いてくれるんだよ
KAITO:それって、すごく嬉しいことじゃない? そんな風にアイドルを輝かせることができた僕自身も、 すごい!って思えるしね
遥:自分自身も…………
KAITO:うん。そのファンが遥ちゃん達を手伝いたいって 言ってくれたのは、きっとそのことを 経験していたからだと思うんだ
KAITO:イベントが成功して、アイドル達の笑顔が見れたら、 裏側で頑張ったみんなの特別な思い出になる
KAITO:そんなイベントができたら、 みんな最高の気分になれるんじゃないかな
遥:……!
遥:みんなが、最高の気分になれる……
遥:(……ファンの子が、そこまで考えて 私達のイベントを作り上げたいと思ってくれているなら…… すごく嬉しい)
遥:(けど、もしそうだとしても……)
遥:(そんなファンの気持ちに甘えてしまって、 本当にいいの……?)
KAITO:……まだ、答えを出すのは難しそうだね
KAITO:大丈夫。どんなに悩んでもいいから、 最後は、自分の気持ちを信じるのが一番なんじゃないかな
KAITO:遥ちゃんが考えて出した答えなら、 きっとうまくいくと思うよ
遥:……ありがとうございます。カイトさん
ミク:♪————!
遥:……ふふっ
遥:本当に、素敵なステージだな
翌日
宮益坂女子学園 屋上
遥:おはよう、みんな。 今日も朝練頑張ろうね
愛莉:おはよう、遥! これであとはみのりだけね
雫:……あら? 遥ちゃん、もしかして少し寝不足じゃない?
遥:あ……。バレちゃったか。 いろいろ考えごとしてて
愛莉:スタッフのことでしょ? わたしも何か手がないか考えてみたんだけど、 なかなか難しいわよね
愛莉:中学の時の友達も、どうしても時期的に難しいみたいだったわ
雫:しぃちゃんにも声をかけてみたんだけど、 その日はみんなとパーティーをするみたいだから誘えなくて……
みのり:——お、おはようございますっ!!
遥:あ……おはよう、みのり。 一番最後に来るなんて、珍しいね
みのり:あ、えっと、実はみんなに話したいことがありまして……、 それでどう話そうかなって考えてたら、 寝坊しちゃったりなんかして……
愛莉:なんか妙にかしこまってるわね
雫:話したいことって?
みのり:あ、あの! ええと……その……
みのり:やっぱり——今度のイベントは、 ファンの人に手伝ってもらわない?
遥:……!
第 5 话:踏み出す一歩
宮益坂女子学園 屋上
みのり:わたし——昨日いっぱい考えたんだ。 ファンにステージの裏側を見せるのは 良くないことなのかなって
みのり:いっぱい、いっぱい考えて…… それで思ったの
みのり:……たしかに、わたしもファンだった頃は キラキラした遥ちゃんしか見てなかったし……。 ステージの上ってすてきだなってことばっかり思ってた
みのり:もしその時にステージの裏側を見てたら、 『アイドルも大変なんだな』『お仕事だもんね』って 気持ちになって、純粋に楽しめなかったかもしれない
みのり:だから、ファンにイベントの裏側を見せたくないっていう 遥ちゃん達の気持ちもわかるの
遥:……うん
みのり:けど——わたし、思うんだ!
みのり:ファンは、ただアイドルのキラキラしてる姿を 見たいだけじゃないって
雫:どういうこと?
みのり:えっとね、ファンはいつだって、 大好きなアイドルが一番輝けるように、 全力で応援したいって思ってるはずなの!
みのり:あ、わたしがそうだからってことなんだけど……!
遥:……みのり……
みのり:……あのね、遥ちゃん。 昔、強風のせいでASRUNのイベントが 中止になっちゃったことがあったでしょ?
遥:……え?
みのり:その時の遥ちゃん、ステージ裏に帰って行く時に、 すごく悲しそうな顔をしてて……
みのり:その時わたし、思ったんだ
みのり:遥ちゃんが——ASRUNのみんなが笑顔になれるように、 わたしも何かできたらいいのに……って
遥:……あの時、みのりもあそこにいたんだ
みのり:うん!
みのり:……わたしは、この前の小学校のイベントが初めてで、 イベントの裏側がどんなに大変なのか、 みんなと違ってわかってないと思う
みのり:でも……メールをくれた人は、 あの時のわたしと同じ気持ちなんじゃないかって思うの
みのり:きっと裏側を見ても……ううん、裏側を見たらもっともっと わたし達を応援したいって思ってくれる! だから……!
遥:…………
遥:……みのりの言いたいことはわかった
みのり:じゃあ……!
遥:でもそれは、“みのりはそう思う”っていうだけだよね
遥:ファンはそれぞれ違う考えかたを持ってる。 もし裏側を見たファンが純粋に応援できなくなったら、 その時はどうするの?
みのり:そ、それは……
みのり:……ッ、がんばる!!
遥:……え?
みのり:もしそうなっちゃったら、また純粋に応援してもらえるように、 いっぱい、いっぱいがんばる!!
みのり:配信でいっぱい呼び掛けて、ファンサもして……! キラキラしたところを見せて……! アイドルとして、いろんな形で、ちゃんと希望を届ける!
みのり:そうしたら、もし現実を見ちゃっても、 胸のキラキラは消えないと思うの!
愛莉:いろんな形ってことは……、 まぁノープランなのね
みのり:うっ!
雫:ふふっ。みのりちゃんらしいわね
みのり:ご、ごめんなさい……! 今は他に、何も思いついてなくて……!
みのり:でも、スタッフをやってくれる子達のためにも精一杯がんばる! だから、みんなで一緒にイベントを作ってみようよ!
みのり:きっとファンのみんなにとっても、 特別な思い出になると思うから——!
遥:…………!
KAITO:イベントが成功して、アイドル達の笑顔が見れたら、 裏側で頑張ったみんなの特別な思い出になる
KAITO:そんなイベントができたら、 みんな最高の気分になれるんじゃないかな
遥:(私は……不安になりすぎたのかな)
遥:(“この選択”のせいで、私達を応援してくれるファンが、 希望を持てなくなったらどうしようって)
遥:(でもみのりは……)
遥:(私達のファンを信じてる)
遥:(現実を見せられたくらいじゃがっかりしない。 私達の笑顔のために、現実と向き合ってくれる人達だって)
遥:——そうだね
遥:それなら、前向きに考えてみよう
みのり:……! ほ、ほんとに……!?
遥:うん。 愛莉と雫の意見も聞いて決めよう
みのり:え、えっと……どう、かな?
愛莉:……遥が言うように、ファンの考えかたはみんな違うわ。 だけど——みのりの気持ちもわかる
愛莉:わたし達の背中を押したいと思ってくれてる ファンがいるなら……わたしも、その気持ちに応えたい
雫:私も……どっちがいいのか悩んでいたんだけど
雫:みのりちゃんの言うように、このイベントをとおして ファンのみんながもっと、私達を 好きになってくれるかもしれないなら——
雫:その可能性に、かけてみたいって思うの
遥:……わかった。 それじゃあ、メールをくれた斎藤さんに打診をしてみよう
みのり:……! うんっ! みんな、ありがとう!!
翌日
愛莉:みんな! 協力をお願いしたら、もうメールが返ってきたわ!
みのり:もう!? 早いね!
雫:それだけ私達のイベントに前向きでいてくれるのね。 頼もしいわ
愛莉:それで、『よければビデオ通話でミーティングをしませんか』 って言ってくれたの
愛莉:みんながよければ、今日やっちゃうのはどうかしら
遥:たしかに……ずっとメールでやりとりするより、 話したほうがよさそうだね
みのり:ファ、ファンの人とビデオ通話……! ちょっと緊張するね!
愛莉:なに言ってんの。イベントに協力してもらうなら、 毎日顔あわせることになるのよ
愛莉:『それじゃあお願いします』と
愛莉:……あ、もうつなげてくれてるみたいよ
みのり:はわわ……! 展開が早い……!
斎藤:『あ……こんにちは! はじめまして。斎藤彩香です!』
みのり:あ、こ、こんにちは!
遥:はじめまして、斎藤さん。 桐谷遥です
遥:今回はイベントの協力を申し出てくださって、 本当にありがとうございます
斎藤:『いえいえいえ! こちらこそ急な連絡で、 怪しいメールに見えちゃうかなと思ってたんですけど……。 お返事くださってありがとうございます!』
斎藤:『……うう~!! こうして本物とお話できるなんて……!! すみません、ちょっとお水を……ゴホッゴホッ!』
雫:あらあら、大丈夫ですか?
愛莉:なんかどっかで見たような光景ね……
みのり:アイドルと話すってなると、緊張するよね! すっごくわかるな~
斎藤:『すみません、お待たせしました! もう大丈夫です!』
遥:じゃあ早速ですけど、 いろいろ相談をさせてもらってもいいですか?
斎藤:『はいっ!』
斎藤:『なるほど。会場は——シブヤ奥山ビル地下ホールですか。 キャパは500人で……やりたいことは、 握手会と、トークと、ミニライブと……』
斎藤:『そうなると……もうちょっと人手が必要かもしれませんね』
みのり:え?
斎藤:『今は私の友達のモモジャンファンの子が6人いて、 受付が2人、誘導を4人、現場指揮を私が担当しようかと 思っていたんですけど……』
斎藤:『キャパ500となると、誘導の人数はもう少し欲しいですし、 握手会やトラブル対応とかも考えると——』
斎藤:『できれば、あと10人……いや、15人は欲しいです』
遥:……なるほど
愛莉:……集めたいのはやまやまなんだけど、 時期もあって、全然集まらないのよね……
雫:……残念だけど、入れるお客さんの人数を減らすのはどう? それなら今の人数でもできるんじゃない?
遥:うん……。 その手もあるけど……
遥:——ファンのみんなに聞いてみるのはどうかな
みのり:え?
遥:早川さんとの配信の時、あったよね。 力になれることがあったら言ってね、っていうコメント
みのり:あ……!
コメント:『何か力になれることがあったら言ってね!』 『がんばれモモジャン!』
遥:ファンに手伝ってもらうことを決めた今なら——、 こっちから呼びかけてお願いするっていう選択もできる
遥:もちろん、斎藤さんみたいに経験者じゃない人を呼ぶと 戸惑わせるかもしれないし、リスクもあると思う。 だけど——
遥:ファンはきっと、私達を応援したいって 思ってくれてるから、力を貸してくれるはず。 ……でしょ? みのり
みのり:(たしかに、もし他にも斎藤さんやわたしと 同じように考えてくれるファンがいたら……!)
みのり:——うん! やろう! みんなに呼び掛けてみよう!
遥:決まりだね。それじゃあ、イベントの企画内容が整い次第、 スタッフ募集配信の準備をしよう
雫:ええ。 私達の気持ち、精いっぱいファンのみんなに伝えましょう!
みのり:うん!
第 6 话:一緒につくろう!
数日後
宮益坂女子学園 屋上
遥:それじゃあ、配信始めるよ
みのり:みんな~! 今日もわたし達の配信を見にきてくれてありがとう!
愛莉:今日は『特別緊急配信』っていうことで、 ひとつ、特別なお知らせをさせてちょうだい!
コメント:『特別なお知らせ? なになに?』 『ついにイベント決まったの!?』
雫:ええ、そうなの。 ついにみんなに会えるリアルイベントをやれそうなのよ
コメント:『おおおおおおお!! ついに!?』 『絶対行きたい!!』 『やったー!!』
遥:ふふ、喜んでもらえて嬉しいな
愛莉:日時は来月の第4土曜日、16時から。 場所はシブヤ奥山ビルの地下1階ホールよ!
雫:直前の告知になっちゃってごめんなさい。 でも、ちょうどクリスマスに会場がとれたのよ
みのり:配信も、クリスマス当日にやる予定なんだ!
コメント:『クリスマスイベントだー!』 『クリスマスに雫様と会えるなんて』 『愛莉! 会いに行くぞ!』
愛莉:ふふっ。どんなイベントになるのか 楽しみにしててね!
遥:——それで、実は今日はみんなに お願いしたいことがあるんだ
コメント:『お願い? なになに?』 『なんでも聞くよ! 言って~!』
みのり:……実はね、会場と日時は決まったんだけど、 イベント当日に手伝ってくれるスタッフさんが足りてないの
みのり:今のままだと、イベントでできることが少なくなったり、 来てくれる人の数を減らさなきゃいけなくなっちゃうんだ
みのり:だけどわたし達は、できるだけたくさんの人達——、 応援してくれるみんなに来てほしいの!
みのり:だから……!
みのり:もしこの中に、スタッフとして参加しても いいっていう人がいたら、協力してもらいたいんだ!
コメント:『え!? 私達!?』 『モモジャンのイベントスタッフを募集してるってこと?』
遥:……きっとみんなは、スタッフとしてじゃなくて、 ファンとしてイベントを楽しみたいよね
遥:それなのに、こんなことを頼むのは すごく申し訳ないと思う
遥:でも……どうしたらいいんだろうって思った時に、 ある人が、私達がイベントをできるようにって 協力を申し出てくれたの
雫:ええ。それからみんなでいろいろ考えて——思ったの
雫:もし、同じように考えてくれる人がいるなら、 私達のイベントを手伝ってもらいたいって
愛莉:もちろん、イベントを客席で楽しめるわけじゃないし、 できるお礼も大したものじゃないわ
愛莉:でも、もしそれでもいいって言ってくれる人がいるなら……、 お願い! 助けてほしいの!
みのり:……っ、お願いしますっ!
みのり:わたしは——みんなと一緒に、今日のイベント最高だったね! また来たいなって言ってもらえるようなイベントを作れたら とってもすてきだなって思うんだ
みのり:わたしは昔、画面の向こうや、ステージの上を見ながら、 何回もそう思ったから——
みのり:だからお願いします。力を貸してください!!
コメント:『私、手伝いたいな』
遥:あ……
コメント:『私、演劇やってたから照明少しできるよ!』 『スタッフ参加希望、どこに申し込めばいい?』
コメント:『地方住みだから配信しか見れないけど、手伝いたいな~!』 『現地に行ける人うらやましい!』
みのり:みんな……!
雫:みんな、ありがとう。 すごく嬉しいわ!
愛莉:スタッフの参加申し込みフォームは、 あとでこの動画の概要欄に公開させてもらうわね! よかったら、見ておいてくれると嬉しいわ!
遥:みんな……
遥:……ありがとう
みのり:本当にありがとう! みんなで作れば、きっと、と~ってもすてきな イベントができると思うよ!
みのり:——ううん! できると思うとか、そんなんじゃなくて……。 絶対に、いいイベントにしようっ!
翌日
遥:よし……セッティング終わった。 ビデオ会議、始めるよ
みのり:うん!
遥:それじゃあ皆さん、イベントまで時間がなくてすみませんが、 よろしくお願いします
遥:一緒に、いいイベントを作りましょう!
ファン達:『はい! よろしくお願いします!』
みのり:わぁ……急な呼びかけだったのに 20人も集まってくれるなんて……!
愛莉:ふふ、みのりの言うとおり、 こういう形で応援したいって思ってくれてる人達は たくさんいたのね
雫:あ、ねえ愛莉ちゃん。 ビデオ会議の音量がちょっと小さいから、上げてもいいかな?
愛莉:あ~! それはわたしが上げるから! アンタはさわらないことっ!
雫:ええ?
斎藤:『それじゃあ早速イベントの内容を伝えて、 それぞれの分担を決めていきましょうか!』
遥:はい、よろしくおねがいします。 まず今回のイベントの内容だけど——
愛莉:クリスマスイベントらしく、ステージも クリスマスっぽく飾りたいわね!
ファンA:『あ、それなら受付もクリスマスらしく飾りつけましょうか? 私、ミニツリーが好きでたくさん集めてるんです!』
雫:あら、素敵ねえ。 私もおうちにある飾りを持ってこようかしら
ファンB:『あの、会場の備品って全部使ってもいいんですか? それ次第でどれくらい飾りつけできるかも 変わってきそうだなって思って……』
斎藤:『リストにある物は全部使えますよ! 私物も、ある程度なら持ちこめますし』
ファンB:『ありがとうございます。 じゃあ、ステージの背景にいろいろ吊れるから……』
遥:あ、それはいいアイディアだね。 吊りものがあるとすごく華やかになるし
みのり:…………えへへっ
みのり:(ファンのみんなのおかげで、 いいイベントが作れそうで——すっごく嬉しいな……!)
イベント当日
シブヤ奥山ビル 地下1階ホール
みのり:わあ……!
みのり:ここが、わたし達のイベント会場……! ホームページで見た写真より、ずっと立派だね!
雫:ええ、思った以上だわ
遥:じゃあ、改めてスケジュールを確認するね
遥:——私達とスタッフさん達は午前中に会場設営。 午後一でリハーサル。 それから15時半に開場、16時に開演かな
愛莉:オッケーよ! みのり、声出しはここに来る前にやっておいたでしょうね?
みのり:ひゃ、ひゃい!
雫:ふふ、大丈夫よみのりちゃん。 いつもどおりにいきましょう?
みのり:あ……うん! ありがとう、雫ちゃん!
???:——おはようございます! 皆さん、おそろいですねっ!
遥:あ……斎藤さん。おはようございます
雫:おはようございます。 なんだか変な気分ですね。ビデオ会議では何度も 顔をあわせてるのに、実際に会うのは初めてなんて——
斎藤:……あああ~!! 女神っ!!
みのり:め、女神!?
斎藤:あ、すみません! 私昔からずっと雫様……雫ちゃん推しで、 こんな近くで雫さ……雫ちゃんが私に声をかけてくれるとは 思わなくて……!!
愛莉:……やっぱりアンタって、ちょっとおもしろいファンつくわよね
雫:ふふ、熱心に応援してくれてありがとう。 斎藤さん、今日はよろしくお願いしますね
斎藤:は、はいぃ……!!
斎藤:ふぅ……失礼しました。 今日は公私混同はせずに、しっかり責任者を務めさせて もらおうと思います!
遥:ありがとうございます。 そしたら他のスタッフさん達にも挨拶に行こうか。 斎藤さん、今日は全員で26人ですよね?
斎藤:あ、午後にもうひとり合流してくれるみたいです! 申し込みフォームに届いていました
斎藤:午前中に予定があるから悩んでたけど、 やっぱり午後からでもスタッフ参加させてほしいって
みのり:そうなんだ! そこまでして参加したいって思ってくれるなんて、嬉しいなぁ!
雫:ええ。私達も期待に応えられるよう、頑張りましょう
愛莉:じゃあ、挨拶に行きましょうか!
みのり:うんっ!
みのり:(いよいよ始まるんだ。 MORE MORE JUMP!のイベントが……)
みのり:よーし。イベントの準備、がんばるぞ~!
遥:みんな、今日はよろしくね。 一緒に頑張ろう!
ファン達:『はいっ!』
斎藤:それじゃあ会場設営から始めます! 皆さんが思っているよりも設営は大変だと思うので、 力を合わせて頑張りましょうね
斎藤:では打ち合わせどおり、ステージと受付で わかれてやっていきましょう!
ファン達:『はい! よろしくお願いします!』
第 7 话:届けたい声
シブヤ奥山ビル 地下1階ホール
ステージ
斎藤:ゆっくり運んで……はい、そこでストップ! ここからステージにのせますよ!
みのり:こ、このクリスマスツリーが入った箱、重い……!
ステージスタッフA:うう、腕が……!
ステージスタッフB:持ちあげられないよ~!
愛莉:支えるから、がんばって一緒に持ちあげましょ! いくわよ、いち、にの——さんっ!
斎藤:はい! バッチリです! それじゃあ照明が届いて設置できたら ステージの上で組み立てて——
斎藤:……あ! ちょうど業者から照明が届いたみたいです! 受け取りに行きましょう
みのり:は、はいっ! あ……ところで、どうしてここのステージにも照明があるのに、 他から照明を借りてくるの?
愛莉:本当に最低限の照明しかついてないからよ。 ライブをやるなら、サスペンションライトとかスポットライトを もっと増やさないと見栄えがしないわ
みのり:そうなんだ……! ……わ! あっちに照明がいっぱい!
斎藤:照明機材は落下させたら大ケガしちゃうので、 気をつけてくださいね! 重い人は無理しないでひとつずつ運んでください
みのり:わぁ……スポットライトって近くで見ると、 バズーカみたいに大きいんだね……
愛莉:ほらみのり! ボーっとしてないで運ぶわよ!
みのり:あ、う、うんっ! せーのっ!
受付
遥:長机はこっちに運ぼう。 ふたつあわせて置いていこうね
受付スタッフ:遥ちゃん! 雫ちゃん! ど、どうしよう……
受付スタッフ:表にイベントのポスターを貼ってたんだけど、 会場の人に、このテープじゃ貼っちゃダメだって 言われちゃって……
雫:あ……もしかして、普通のセロハンテープで 貼ろうとしたのかしら?
遥:それだと跡が残っちゃうから、指定のテープで 貼る必要があるんだよね。たしか規約に書いてあったけど……
受付スタッフ:そ、そうだったんだ……! ごめんなさい、もうたくさん貼っちゃって……
遥:ううん、大丈夫だよ。 初めてだし、慣れてないだろうから
遥:雫、私はこの子と一緒にポスターを貼り直してくる。 残りの受付の設営、お願いしてもいい?
雫:ええ、わかったわ! 研究生時代には設営もやっていたから、任せてちょうだい
遥:ありがとう、じゃあ行ってくるね
会場入り口
遥:——うん! これでポスターはばっちりだね
受付スタッフ:ありがとう、遥ちゃん!
遥:どういたしまして。 それじゃあ時間もないし、急いで戻ろうか
遥:(やっぱり、タイムスケジュールどおりには進んでないか……)
遥:(普通のイベントと違って物販がない分 余裕があるかと思ったけど、 やっぱり慣れていない子が多いから、手間取ってるみたい)
遥:ただいま、雫。 こっちはどう?
雫:大丈夫よ。少し手間取っちゃったけど……。 みんなが頑張ってくれたから素敵な受付になったわ
ステージスタッフ:遥ちゃん、雫ちゃん! そろそろライブのリハーサル始めないと、 スケジュールが……
雫:あら、もうそんな時間?
遥:行こう、雫。 音響と照明のスタッフさんとも、ちゃんと合わせていこう
みのり:ううう……、照明とっても重かったぁ……! 取りつけもこんなに難しいなんて……
愛莉:これくらいでへばってんじゃないわよ? このあとすぐにリハなんだから
愛莉:……あ、雫と遥が来たわ。 それじゃ、リハ始めるわよ!
みのり:は、はいっ!
みのり・遥・雫・愛莉:『モアモア、ジャーンプ!』
みのり:『皆さん、こんにちは! MORE MORE JUMP!の、花里みのりで……』
みのり:あ、あれ? 音が消えちゃった……?
斎藤:ストップ! 進行1回止めてください!
音響スタッフ:あ、ご、ごめんなさい! フェードアウトするところかと勘違いしちゃって……!
斎藤:大丈夫ですよ! 落ち着いてやっていきましょう!
音響スタッフ:でも……リハーサルなのに、 ちゃんとできないなんて……
照明スタッフ:私も、照明の切り替えタイミング間違えて、 すみません……
雫:気にしないで大丈夫よ。 むしろ、前日にしっかりリハーサルがやれるように できなくてごめんなさい
愛莉:そうね……。 急遽あいた会場を借りたから、 当日リハになっちゃって、申し訳ないわ
遥:うん。みんなが悪いわけじゃないよ。 切り替えて、頭から段取りを確認しながらやってみようか
スタッフ達:はい……
みのり:(あ……。 なんだかみんな……元気が……)
みのり:(やっとライブリハが終わったけど——)
誘導スタッフ:このまま待機列伸ばすと公道に出ちゃいそうだから、 列をわけないと——
音響スタッフ:さ、さっきのところ、もう1回確認していいですか?
みのり:(スタッフのみんな、すごく不安そうだな……)
雫:……ねえ、愛莉ちゃん。 みんな少し疲れてるみたいだから…… 少し休憩を挟むのはどうかな?
愛莉:そうね。 みんな朝からずっと動きっぱなしだものね
愛莉:みんなー! 遅くなってごめんなさい。 今から1時間、お昼休憩にするから、 ご飯や休憩に行ってきてちょうだい!
遥:……よくないムードになってるね
愛莉:どうしても不安になっちゃうわよね
雫:……一度お互いに落ち着いて、話しあうのはどうかしら? 一緒に焦ってしまうといいことはないもの
みのり:…………うん
遥:みのりも疲れたでしょ。 ここで待ってて、飲み物買ってくるから
愛莉:そうね。わたし達も持ってきた分がなくなっちゃったから、 上の自販機で買ってくるわ
みのり:(……どうすればいいんだろう。 何か、わたしにできることは……)
スタッフA:……イベントの準備ってこんなに大変なんだね……
みのり:(あ……! 設営をしてくれてる子達だ!)
スタッフB:そうだね。遥ちゃん達が困ってるって聞いて、 思わず立候補したけど……
スタッフB:なんか……全然力になれてないよね……。 むしろ、足を引っ張っちゃってるっていうか……
みのり:あ……!
スタッフA:……ちょっとお手洗い行ってくる。 お昼あけたらまた忙しくなりそうだしね
スタッフB:うん……じゃあ私も
みのり:…………
みのり:(……ふたりとも、泣きそうだった……)
みのり:(せっかく手伝いに来てくれた子達に、 あんな顔させちゃうなんて……)
遥:スタッフの仕事は、本当に大変だよ。 大きな機材の搬入に、何時間もかかる設営。 1000人近くの人を数人で先導したりもする
遥:つまりそれは——私達のファンを、 そういう現実と向きあわせるっていうことでもある
みのり:(遥ちゃんが言ってたのは、こういうことだったんだ……)
みのり:…………
???:遅れてごめんなさい! 午前中の部活が長引いちゃって……
みのり:え?
???:……あ! みのりちゃん!
みのり:あなたは——
みのりのファン:わあ、みのりちゃんですよね!? すごい、まさか会えるなんて……!
みのりのファン:私、みのりちゃんのファンなんです! よかったら握手してもらえませんか……?
みのり:前に、わたしと握手してくれた子ですよね!?
みのりのファン:は、はい! みのりちゃんに覚えてもらってて、すっごく嬉しいです!
唯奈:ええと、私、内山唯奈です! 今日はよろしくお願いします!
みのり:唯奈ちゃんっていうんですね! よろしくお願いします! でも、今日はよろしくって……?
唯奈:あ、飛び入りになっちゃったんですけど、 スタッフとして参加させてもらおうと思って
みのり:え? そ、そうだったんですか!?
唯奈:はい! 午前中に部活があったんですけど、 午後から時間が取れたので、急いで来ちゃいました!
みのり:……! わざわざありがとう! 忙しいのに来てくれたなんて……
みのり:で、でも大丈夫ですか!? スタッフさんの仕事って、 きっと想像してるより大変だから……!
唯奈:そんなに大変なんですか?
みのり:……はい。今も考えてた進行どおりにいってなくて、 バタバタしちゃってて……
唯奈:……だとしても、頑張ります!
みのり:え?
唯奈:私、前の配信ライブでみのりちゃんが応援してくれたおかげで、 部活をもっと頑張ろうって思えたんです。 それで、この前の試合で初めてみんなに貢献できて……
唯奈:だから、今度は私がみのりちゃんの力になりたい。 頑張るみのりちゃんを応援したいって思ったんです!
唯奈:だからちょっとくらい大変でも、全然大丈夫です! それより、みのりちゃんの力になれることのほうが嬉しいから!
みのり:唯奈ちゃん……!
みのり:(……そうだった……)
みのり:(みんな、苦しい気持ちになっても、 わたし達を応援したいって思ってくれてるんだ……)
みのり:(なら……わたしは……!)
みのり:唯奈ちゃん、今日は来てくれてほんとにありがとう! わたし——ちょっと行ってくるから、 ホールで待っててください!
唯奈:え!? 行ってくるって、どこに……。 みのりちゃん!?
遥:——それで、お昼ごはんが済んだら、 一度みんなをホールに集めようと思うんだ
遥:みんなすごく不安になってるから、声をかけて できるだけリラックスしてもらおうと思う
雫:そうね。それがいいと思うわ。 あとは音響と照明の流れを、もう一度確認してもらうのも いいかもしれないわね
愛莉:それじゃあ、お昼の時間のあいだに、 スタッフの子達に声をかけて——あら?
愛莉:スタッフの子達が、みんなホールに集まってるわ。 一体何があったのかしら?
雫:あら? ステージ上でマイクを持っているの、 みのりちゃんじゃない?
遥:え……!?
みのり:(——わたしは、今日のイベントで、 絶対みんなに希望を届ける。 参加してくれたスタッフの子達、みんなにも)
みのり:(だから——!)
みのり:『みんな! 今日は、わたし達のイベントのために 集まってくれて、本当にありがとう!』
みのり:『みんなと一緒にイベントを作れて、 本当に嬉しいよ!』
みのり:『でも、今……段取りどおりにいかなかったり、 思ったより大変なことが多かったりして、 不安な気持ちになってる子もいると思うの』
みのり:『……不安にさせちゃって、ごめんなさい』
みのり:『特にわたしは、遥ちゃんや愛莉ちゃんや雫ちゃんみたいに イベントの経験がないから、みんなを安心させられなくて……』
みのり:『でも——だからって、もうダメだ~なんて言わないよ!』
みのり:『きっとわたし達なら、みんなが笑顔になれるような すっごくすてきなイベントを作れるって信じてるから!』
みのり:『——みんなは、今日の日のために、 わざわざここに集まってくれた』
みのり:『それだけでわたしは、いーっぱいパワーをもらえたの!』
みのり:『みんながそのパワーをくれる限り、 わたし達は、もっともっともーっと! 最後まで全力で突き進むよっ!』
唯奈:みのりちゃん……
みのり:『大変なことはまだまだあるけど、 わたし達なら乗り越えられる! 一緒に乗り越えていこう!』
みのり:『MORE MORE JUMP!はどんな高い壁だって、 絶対乗り越えてみせるよ!』
スタッフ達:……たしかに私、できないことが多すぎて、 不安になっちゃってたかも……
スタッフ達:うん……。 作業に追われて、焦っちゃってたっていうか……
スタッフ達:……本番まで、あとちょっとだもんね。 最後まで、頑張らなくちゃ!
愛莉:……どうやら、みのりに先を越されちゃったみたいね
雫:ええ。みのりちゃんは、いつでも私達の 背中を押してくれるわね
遥:——先輩として、私も負けてられないな
遥:さあ、私達も最後までやりきろう!
第 8 话:初めての握手会
開場時間
シブヤ奥山ビル ホール
案内係スタッフA:本日はご来場いただき、ありがとうございます! 前から順番にお詰めくださーい!
遥:お客さん達、いい感じに入ってきてるね
雫:ええ。スタッフの子達も、思いっきり盛り上げようって 頑張ってくれてるわね!
愛莉:みのり、今日の流れは大丈夫?
みのり:うん! 最初に、クリスマスのエピソードを話すトークショー! 次にミニライブ! 最後に握手会と撮影会、だよね!
愛莉:うんうん、緊張で頭真っ白になってるんじゃないかって 思ったけど、大丈夫そうじゃない! ファンフェスタで歌ったからかしら?
雫:ふふ、頼もしいわね。 みんなで精一杯、盛り上げていきましょう!
みのり:うんっ!
みのり・遥・雫・愛莉:『モアモアっ、ジャ~ンプ!』
みのり:み、みんな~! メリークリスマス! MORE MORE JUMP!ですっ!
遥:今日は来てくれて、本当にありがとう!
ファン達:MORE MORE JUMP!、最高ーっ!!
ファン達:みんなかわいい~!!
みのり:わわわ……すごい……! こんなにいっぱいの人達が来てくれるなんて……!!
みのり:そ、それじゃ最初のプログラムいきますっ! 『モモジャンの、クリスマスエピソードトーク!』
遥・雫・愛莉:『いえーい!!』
照明スタッフA:2曲目終わったら、一度カットアウトだよ! 次に合図があったら、サスペンションライトを入れて!
照明スタッフB:了解です!
遥:(……うん。タイミング、完璧だね)
愛莉:(ナイス! 練習した甲斐があったわね!)
みのり・雫:『♪————!』
みのり:(ファンのみんなが、キラキラした笑顔で、 一生懸命応援してくれて——)
みのり:(まるで夢みたい……! でも、これは夢じゃなくって——)
みのり:(わたし達がみんなで、作り上げた景色なんだ——!!)
みのり:えっと……次は握手会だよね
愛莉:ええ、だけど——
みのり:うわあ……! すごい人……!
遥:ファンの子達、どう並んだらいいか困ってるみたいだね
愛莉:案内役のスタッフの子達も、数がギリギリだから 整列に苦労してるみたいね。 これは手を貸したほうがいいかしら……
みのり:う、うん……
唯奈:みなさーん!! 一列に並んでくださーい!!!
ファン達:わっ! すごい声!
ファン達:誰? どこどこ?
唯奈:みのりちゃん待機列、最後尾はこちらです! 慌てず、ポールに沿って並んでください!!
唯奈:時間はたっぷりあります! 皆さん全員、MORE MORE JUMP!との時間は取れます! 焦らないで順番にお願いしまーす!!
ファン達:あっ、オレンジ色のプラカード! あれがみのりちゃんの待機列なんだね
ファン達:ってことは、遥ちゃんの待機列は青色だね。 ——あ、向こうのホール入口近くのブースがそうみたい!
誘導スタッフ達:あの子、誘導のスタッフじゃないのに手伝ってくれてる……。 私達も、頑張らなきゃ!
雫:見て。ファンのみんなが……
みのり:すごい。スタッフさん達ががんばってくれてるおかげで、 列がどんどんできてく……!
遥:みのり、感動するのはあと。 今のうちに、早く握手会ブースに行こう
みのり:うん!
遥のファン:は、遥ちゃん……! また会えて嬉しいです!! アイドル復帰したって聞いて、すっごく嬉しくて……!
遥:ありがとう。——あ。ひょっとしてあなた、 2年前のドーム公演でも来てくれた子かな
遥のファン:え!? お、覚えててくれたの!?
遥:もちろん。たしか沖縄に住んでるって言ってたよね。 あの時もらったポストカード、 今もリビングに飾ってあるよ
遥:……今日はクリスマスだから、私からも プレゼントを用意したんだ。 気に入ってくれると嬉しいな
遥のファン:……遥ちゃん……一生推します……!
愛莉のファン:愛莉ちゃん! このあいだの小学校でのイベントの動画、 すっごく面白かったよ!
愛莉:見てくれてたの? ありがとう!
愛莉のファン:うん! あのね、私、QTにいた頃の愛莉ちゃんも、 テレビでバラエティに出演してた愛莉ちゃんも 大好きだったから……
愛莉のファン:動画で大好きなハッピーエブリデイをもう一度見られて、 本当に嬉しかった!
愛莉:……ふっふっふ。嬉しいことを言ってくれるじゃない
愛莉のファン:あっ! その仮面は……!
愛莉:ハッピーエブリデイよ! 応援ありがとう。 これからもよろしくね!
雫:今日はありがとう。 ライブ、楽しんでくれたかしら?
雫のファン:はい! それに、まさか雫様と また握手できる日が来るなんて……。感激です!
雫のファン:あの……私、雫様がチアデにいた頃は、 お美しくて完璧な雫様のことが好きだったんです
雫のファン:でも、MORE MORE JUMP!として活動を始められてから、 毎日、新しい雫様を見ることができて……
雫のファン:今の雫様のほうが、私は好きです。 MORE MORE JUMP!のおかげで、 本当の雫様を知れて、本当によかったです!
雫:……! ありがとう。嬉しいわ
みのり:(うわあ……! 3人ともブースに、 たくさんファンが並んでる。すごい……!)
唯奈:みのりちゃん! ファンの子が来てますよ!
みのり:へあっ!? ご、ごめんなさい! ……へ? ファン?
唯奈:もちろん! みのりちゃんのファン、 もう何人も並んでるんですから! お願いします!
みのり:……わたしの、ファン……!
みのり:(……そっか。今のわたしは、 みんなに希望を届けるアイドルなんだ)
みのり:(まだ実感がないけど……。 昔のわたしが憧れてたみたいなアイドルに、 ちゃんとなれてるのかな)
みのり:(ううん。なれてるか、じゃない。 絶対に、なるんだ!)
みのり:——こんにちは! 今日は来てくれて、本当にありがとう!!
遥:(ふふ。みのり、楽しそう)
遥:(……今回のイベント。 開催することができて、本当によかった)
館内放送:『これにて、MORE MORE JUMP!の クリスマスファンイベントのプログラムは すべて終了いたしました』
館内放送:『お帰りの際は、お忘れ物のないようにご注意ください』
ファン達:楽しかった~! 生のMORE MORE JUMP!最高だったね!
ファン達:ね~。ファンがイベント手伝ってるって聞いたから 実はちょっと心配してたんだけど……。 全然良かった!
ファン達:うん。絶対また来たい! 今度は私、スタッフ参加してみよっかな!
愛莉:……ふぅ。無事、イベント終了したわね。 みんな、お疲れさま!
スタッフ達:『お疲れさまです!!』
みのり:みんな、今日は一緒にイベントを作ってくれて、 本当にありがとう!
遥:みんながいてくれたから、 イベントを成功させることができたよ。 大変なこともあったけど、すごく感謝してる
雫:あのね、実はスタッフのみんなにお礼を用意したの。 ささやかなものになってしまって申し訳ないんだけど、 よかったら受け取ってもらえるかしら
スタッフA:これって……ハンカチ? しかも私達のイニシャルが刺繍で入ってる!
雫:みんなで話しあってね、特別な思い出が残るようにって あいた時間で手作りをしてみたの
愛莉:雫はそういうの得意だからね! それと、わたし達特製のお菓子もプレゼントよ!
みのり:みんなでがんばって作ったから、 もらってくれると嬉しいな!
スタッフ達:やったー! 嬉しい!
斎藤:——実は、私達からもMORE MORE JUMP!の皆さんに 渡したいものがあるんです
遥:渡したいもの?
斎藤:はい! みんないくよ? せーのっ
斎藤・唯奈・スタッフ達:『みのりちゃん、遥ちゃん、愛莉ちゃん、雫ちゃん。 初めてのイベント成功、おめでとう!』
みのり:……わぁっ!
雫:すごいわ。大きな花束……!
スタッフA:あの……実は私、最初は 『モモジャンを近くで見れる』って思って、 軽い気持ちで申し込んでたんです
スタッフB:私も。でもイベントの裏側が、こんなに大変だなんて思わなくて、 ちゃんと仕事ができるか不安だったんですけど……
スタッフB:でも、みのりちゃん達の頑張りを見て 最後まで頑張れました!
斎藤:大好きなMORE MORE JUMP!の力になれて—— 希望を届けるお手伝いができて、本当に嬉しいです!!
唯奈:やっぱりみのりちゃん達は、 私達に希望をくれる最高のアイドルです! 今日のことは、絶対に忘れません
みのり:みんな……
みのり:わ、わたしも忘れないよ……っ! 本当にありがとうっ!
遥:…………
KAITO:イベントが成功して、アイドル達の笑顔が見れたら、 裏側で頑張ったみんなの特別な思い出になる
みのり:——わたし、思うんだ!
みのり:ファンは、ただアイドルのキラキラしてる姿を 見たいだけじゃないって
みのり:ファンはいつだって、 大好きなアイドルが一番輝けるように、 全力で応援したいって思ってるはずなの!
遥:(……ありがとう、カイトさん。みのり)
遥:(ふたりがいなかったらきっと私は、 この感動を知らないままだった)
遥:——このイベントを作ることができて、本当によかった。 ありがとう、みんな
宮益坂
みのり:今日のイベント、すっごく盛り上がってよかったね!
愛莉:ええ。それに、こんなに大きな花束をもらえて、 すっごく嬉しいわ!
愛莉:最初はどうなるかと思ったけど……。 こうしてファンの子達と一緒にイベントを作り上げるのは、 わたし達に合ってるのかもしれないわね
遥:ふふ、そうだね
みのり:——ねえ、みんな!
みのり:わたし、またやりたいな! ファンのみんなと笑顔になれる、そんなイベント!
愛莉:そうね。ファンのみんなに頼りきりにならないように、 次からはもうちょっと考えなきゃいけないけど……。 わたしも賛成よ!
雫:それなら、曲のレパートリーも、 もっと増やしていきたいわね
遥:いいね。じゃあ、明日集まったら さっそく次のイベントの話をしようか
みのり:うんっ!
みのり:(遥ちゃんに憧れて、いろいろ大変だったけど みんなと一緒にアイドルになって……)
みのり:(こうしてファンのみんなの力を借りて、 すてきなイベントができて——本当に嬉しい!)
みのり:(アイドルって、ファンのみんなに 希望を届ける存在だと思ってたけど……)
みのり:(こうやってファンのみんなからも 希望をもらえることがあるんだね)
みのり:(それなら、わたしはもっともっともーっとたくさん! もらった以上の大きな希望を、みんなにお返ししたいな)
みのり:(……そのためにも、アイドルとして成長しなくちゃ!)
みのり:よーし…… 明日からも、もっともーっとがんばるぞ~!!
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