活动剧情

Legend still vivid

活动ID:49

第 1 话:未だ知らぬ伝説

宮益坂女子学園 1年A組
生徒:起立、礼!
生徒達:はー、やっとお昼休みだー
生徒達:お腹減ったー。一緒に食べよ!
こはね:……ふぅ。私もお弁当お弁当……っと
みのり:こはねちゃーん! お弁当一緒に食べようっ♪
こはね:あっ、みのりちゃん! 食べよう! ……あれ?
こはね:志歩ちゃん、今日は一歌ちゃん達と一緒じゃないの?
志歩:うん。今日はみんな委員会あったり、 いろいろ忙しいみたいだから
こはね:そうなんだね。 志歩ちゃんと一緒に食べるの久しぶりだから、嬉しいな
みのり:でしょでしょ? 今日はスペシャル教室ランチだよ!
志歩:ただ教室で食べるだけでしょ
みのり:志歩ちゃんがいるからスペシャルだよ! じゃあ机寄せて……っと
みのり:いただきまーす!
こはね・志歩:『いただきます』
こはね:あ、志歩ちゃんのハンバーグ美味しそうだね
みのり:本当だ! しかも冷凍じゃなくて手作り……!?
志歩:あー……まあね。 母さんがよく作ってくれるんだ
志歩:バンドもやってるし、バイトも忙しいだろうから、 たくさん食べなさいってさ
こはね:ふふっ、優しいお母さんだね
志歩:まあね
志歩:それよりふたりとも、 最近、練習のほうはどう?
みのり:え? 最近?
志歩:うん。どんな風に練習してるのかなって思って
志歩:ほら、ファンフェスタの時、みのり達がこはねのチームに 歌を習いに行ったって言ってたでしょ
志歩:一歌が、あの練習のおかげで見えてきたものがあったって 言ってたんだよね
志歩:だから、他に何かいい練習方法があったら 知りたいなって思って
みのり:いい練習方法かぁ……。 うーん、なんだろ?
こはね:あ。それなら——
こはね:私達は、みんなでイメージを合わせるようにしたら すごくいい感じになったよ
みのり:イメージを合わせる?
こはね:うん。新しい歌を歌う時に、 『森の静けさ』をイメージして歌ってみたらどうかって いう話になったんだけど
こはね:チームメイトのひとりが森に行ったことがなくて、 うまくイメージを合わせられなかったんだ
こはね:それで、みんなで森にキャンプに行って、 同じイメージを持てるようにしてみたの。 そしたら、うまく歌えるようになったんだよ
志歩:……なるほど。 たしかにいい方法かも
志歩:私達も前に、みんなで有名バンドのライブDVDを見たんだけど、 そのあとすごく合わせやすくなったんだよね
志歩:多分それも、みんなの頭の中のイメージが重なったから うまくいったんだと思う
みのり:わたし達も、ダンスの練習する時に ライブ映像を見てイメージを合わせたら すごく良くなったよ!
こはね:そうなんだ……!
みのり:えへへ、いつの間にか同じような練習してたなんて びっくりだね
志歩:きっと、やりたいことやなりたいものの イメージがぼんやりしたままじゃダメなんだよね
みのり:なりたいもの……。 それならわたしは、遥ちゃんみたいなアイドルだよ!
志歩:それはみのりだけのイメージでしょ。 そうじゃなくて、チーム全員でイメージを持ったほうが いいってこと
みのり:あっ、そっか! えへへ……
こはね:ふふっ
みのり:あ、そういえばこはねちゃん達は、 RAD WEEKENDっていうイベントを 超えようってがんばってるんだよね
みのり:じゃあそのイベントの動画とか、みんなで見てるの?
こはね:あ……
こはね:その……動画は、残ってないらしいんだ
志歩:そうなの?
こはね:うん。前に杏ちゃん達に聞いたんだけど——
杏:あー……。 実はそういうの、ひとつも残ってないんだよね
こはね:え? ひとつも?
彰人:ああ。 RAD WEEKENDは撮影禁止だったからな
こはね:そうだったんだ……。 残念だけど、それなら仕方ないね
杏:ま、禁止されてなくても残ってなさそうだけどね
こはね:え? どういうこと?
冬弥:俺も前に彰人に聞いたが……、 どうやら観客は撮影どころではなかったらしい
杏:もうめちゃくちゃ盛り上がってたからね。 みんな目の前のパフォーマンスに夢中っていうか、 録画なんてしてる余裕なかったって感じかな
彰人:スマホがあるし、大抵のもんは何かしら残ってるもんだが、 RAD WEEKENDはそうじゃねえ
彰人:そういうこともあって、 伝説の夜なんて言われてんだろうな
こはね:そっか……
こはね:(じゃあ、もうRAD WEEKENDは見れないんだ……)
みのり:え~! そうなんだ~!
志歩:残念だね
こはね:うん……。 でも、それぐらいすごかったんだろうな
みのり:うー! 見れないと思うと余計に見たくなっちゃうね!
こはね:そうだね……
こはね:(本当は私も、杏ちゃんや東雲くんが見た RAD WEEKENDを見てみたかったけど…… ないなら、仕方ないよね)
こはね:(でも——)

第 2 话:あの夜の足跡を辿って

シブヤの公園
こはね・杏:『♪————!』
彰人:よし、今日はこのあとそれぞれ予定もあるし、 こんなところだな
冬弥:そうだな。 小豆沢、大河さんとの練習の時間には間にあいそうか?
こはね:うん! あと10分後くらいに出れば大丈夫だよ
杏:じゃあ少し休憩してから行ったら? ずっと歌ってたし疲れたでしょ
こはね:ありがとう。そうしようかな
こはね:あ、そういえば……みんな、聞いてもいいかな
杏:ん? 何?
こはね:えっと、RAD WEEKENDのことなんだけど——
こはね:前に映像は残ってないって話してたけど……、 何かその時の様子がわかるようなものって、ないかな? ライブの時の写真とか……
彰人:写真? 会場の前はともかく、中は撮影禁止だからな。 さすがにねえだろ
杏:だねー。 でも急にどうしたの?
こはね:あ、えっと、実は今日みのりちゃん達と 練習の話をしてて——
冬弥:なるほど。 イメージを合わせるために、か
こはね:うん。そのためにRAD WEEKENDのことを もっと知ったほうがいいんじゃないかなって思って
冬弥:たしかにそれはできたほうがいいだろうな
冬弥:目標とするものをイメージするというのは、 成長するうえで、とても有効な方法だ
彰人:しっかし……オレ達が話せるようなことは大抵話したからな
杏:うん。出てたチームとか、セトリとか……。 あと参加したチームが出してたCDとかもほとんど貸したしね
杏:父さんやおじさんから聞いた話は結構話したし、 他に何か教えられるようなことあるかなぁ……
彰人:他のイベントなら、会場になったライブハウスに 行くって手もあるが——
彰人:RAD WEEKENDをやったライブハウスはもう閉まってて、 オーナーも引退してんだよな
杏:うん。『COL』っていうライブハウスなんだけど、 元々古いライブハウスだったから、 RAD WEEKENDを最後に閉店しちゃったんだよね
こはね:そうだったんだ……
冬弥:あとわかるかもしれないことは……、 当時の雰囲気だろうか
冬弥:他のイベントとはまるで違う熱狂があったということは 聞いたが——
冬弥:俺も小豆沢も、それがどんなものかまでは あまり想像ができていないように思う
こはね:う、うん! わかったら嬉しいな!
彰人:それは…………難しいな。 口じゃ説明できねえ
杏:そうだね。 説明しても伝わる気がしないっていうか……
杏:ほんと——すごすぎてさ
冬弥:……筆舌に尽くし難いということか
こはね:やっぱり、そうだよね……
こはね:(RAD WEEKENDのことをもっと知るには、 どうしたらいいんだろう?)
冬弥:ところで小豆沢、時間は大丈夫か? もうすぐ大河さんとの練習の時間だろう
こはね:あ……そうだった! 行ってくるね!
杏:いってらっしゃい! RAD WEEKENDのこと、一応お客さんに聞いておくね!
こはね:うん! ありがとう、杏ちゃん!
ビビッドストリート
こはね:えっと、約束だとこの辺りに……
大河:よう嬢ちゃん。 待たせたな
こはね:大河さん! 今日もよろしくお願いします!
大河:ああ、それじゃ始めるか
こはね:今日は何をするんですか?
大河:そうだな。 ——ここらの散歩でもするか
こはね:あ……はい
大河:どうした、気が進まないか?
こはね:あ、えっと、そういうわけじゃないんですけど……!
こはね:ただ、前も散歩したなって思って……
大河:ハハ、違いねえ。 だが、今日はただ歩くだけじゃねえぞ
大河:この街の景色や歩いてる連中をよく見て、 それをしっかり覚えていくんだ
こはね:景色を……
こはね:そういえば——前に言ってましたよね、大河さん
こはね:『俺達は、歌で景色を見せていく必要がある』って
大河:人間ってのは、目から得られる情報が だいたい8割を占めるって話がある
大河:実際、街の景色や人の表情や様子、距離や形、色、 とにかくいろんなことが目で見るだけでも入ってくる
大河:じゃあ、耳はどうだ? 聞くことによって、どういうことがわかる?
こはね:えっと……相手の伝えたい情報とか……?
大河:ああ、そうだ。 あとは話しかけてきた相手との距離や向きなんかもだな
大河:だがやはり——人間は耳よりも、 目から得られる情報のほうが圧倒的に多い。 耳からの情報だけじゃ、伝わらないもんがある
大河:しかし俺達は歌で勝負してる
大河:なら——歌で景色を見せなけりゃならん
こはね:歌で、景色を……?
大河:ああ。 場合によっちゃ、それ以上のもんもな
大河:……ま、とにかく。 ただいい歌を聴かせりゃいいってだけじゃねえ。 それは覚えておくといい
こはね:……はい!
こはね:——もしかして今日の散歩は、 あの時の話と何か関係があるんですか?
大河:その答えは自分で考えるといい。 ——嬢ちゃんには、まだまだ時間があるんだ
こはね:あ……! ま、待ってください!
こはね:(景色を覚える……景色を覚える……)
こはね:(あ、あそこ……楽器屋さんなんてあったんだ)
こはね:(この辺り、練習する公園の近くだから いつもとおってるけど、結構覚えてないな……)
ライブハウススタッフ:お、大河さんじゃないすか! どうしたんすか、こはねちゃんと一緒に
大河:散歩だ散歩。 嬢ちゃんにこの辺の案内がてらな
ライブハウススタッフ:そうなんすね。 時間あるなら、たまにはうちでも歌ってくださいよ! いつでも枠空けられますよ
大河:ま、たまにはいいかもな。 考えとく
ライブハウススタッフ:マジですか!? ありがとうございます!
こはね:(ふふ、やっぱり大河さんは人気者だな。 歩いてても、すぐにいろんな人に声をかけられるし——)
ミュージシャン:あれ? こはねちゃんじゃない?
こはね:え? あ……ソロでイベントに出てた時、よく一緒になった……!
こはね:(って、よそ見してたら、 大河さんに怒られちゃうかな……?)
こはね:(大河さんもまだ立ち話してるみたいだし、 ちょっとだけなら大丈夫かな)
ミュージシャン:こはねちゃん、こんなところで何やってるの……って、 一緒にいるのって大河さん?
ミュージシャン:もしかして、こはねちゃんが大河さんに見初められたってうわさ、 本当なの?
こはね:あ、いえ! ちょっと練習を見てもらってるだけです!
ミュージシャン:それでも十分すごいって! 大河さんは世界クラスのミュージシャンなんだから!
ミュージシャン:RAD WEEKENDの時の大河さんなんて、 本当にすごかったんだよ
こはね:お姉さんもRAD WEEKENDを見てたんですか?
ミュージシャン:うん、もちろん!
こはね:そうなんですね。……いいなぁ
ミュージシャン:ん? どうしたの?
こはね:あ……その、私も見たかったなって思って
こはね:いろんな人がRAD WEEKENDはすごいイベントだったって 教えてくれるんですけど、 私は実際に見ることはできないから……
ミュージシャン:そうだね……。 もう謙さんも引退しちゃったし……
ミュージシャン:あ、でも動画はあるかもしれないよ。 たしかRAD WEEKENDを撮影してた人がいたはずだから
こはね:……え?
こはね:RAD WEEKENDって、撮影禁止だったんじゃないですか?
ミュージシャン:うん、でもうしろのほうで撮ってる人がいたの。 暗かったから誰だったか覚えてないけど、 関係者が記録用に撮ってたのかもね
こはね:……!
こはね:あ、ありがとうございます! 私——その動画がどこかにないか探してみます!
ミュージシャン:うん、そうしてみなよ。 大河さんなら知ってるかもしれないしね
こはね:はい!
大河:よう、待たせたな嬢ちゃん。 ……ん? どうした?
こはね:あの——
こはね:RAD WEEKENDの動画って、 どこかにあるんでしょうか!?

第 3 话:いざなわれ、導かれるように

ビビッドストリート
大河:RAD WEEKENDの動画ね……
大河:残念だが、それはねえ。 俺が直々に撮影禁止だって言ったからな
こはね:え……!
こはね:スタッフさんとかにも撮ってもらったり しなかったんですか?
大河:ああ。他のイベントはいくつか撮ってもらっちゃいたが、 RAD WEEKENDだけは撮ってない
大河:あれは——
大河:……RAD WEEKENDは、 あの日のためだけのものだからな
こはね:そう、ですか……
こはね:(じゃあさっきのお姉さんは、勘違いしてたのかな……?)
こはね:(せっかくRAD WEEKENDの手がかりを 掴めたと思ったのに……)
大河:…………
大河:そんなにRAD WEEKENDのことを知りたいのか?
こはね:え? あ……はい!
こはね:杏ちゃんや東雲くんはRAD WEEKENDを 見たんですけど……
こはね:私と青柳くんはふたりの話からしか 知らなくて……ぼんやり想像するしかできないんです
こはね:それじゃ、RAD WEEKENDを超えるイメージを持つのも 難しいんじゃないかなって思って
大河:なるほどな
こはね:あ、ステージで歌ってた大河さんに その時のことを詳しく教えてもらえたら、 もう少しイメージがわくようになるかな……?
大河:教える、か……。しかしそれだけで伝わるかね。 俺はそこまで話もうまくねえしな
大河:それに、少しばかり話しただけで雰囲気がわかるなら、 もう嬢ちゃんも掴めてるんじゃないのか?
こはね:あ……
こはね:……たしかにそうですね。 すみません、大河さん
こはね:だけど——何か方法を見つけたいんです
こはね:RAD WEEKENDを超えるために、 ちょっとでもいいからRAD WEEKENDに近づきたいんです
こはね:だから、なんでもいいから教えてもらえないでしょうか? ステージから何が見えたとか、歌っていた時の 感覚とか——
こはね:知りたいんです!
大河:(これは——)
大河:…………。 この場合は、百聞は一見に如かず、だな
こはね:え?
大河:映像は難しいが、 会場くらいなら見せてやれるかもしれねえ
こはね:え? 会場って……。 RAD WEEKENDをやったライブハウスってことですか?
大河:おう
こはね:で、でも、もうその時のライブハウスは閉まってて、 オーナーさんも引退したって——
大河:あのばあさん——オーナーはまだピンピンしてるからな。 叩き起こせば出てくるだろ。 あとで連絡しといてやる
こはね:……!
こはね:(やった……!)
こはね:(まさか、RAD WEEKENDの会場に 入れるかもしれないなんて……!!)
大河:RAD WEEKENDに関しちゃ、それでいいな。 今日の練習に戻るぞ
こはね:あ、はいっ!!
数日後
crase cafe
レン:えーっ!?
杏:大河おじさんが、RAD WEEKENDの会場を 見せてくれるって!?
こはね:うんっ! オーナーさんに連絡がついたから 私達みんなで行こうって!
冬弥:わざわざオーナーにまで話をとおしてもらえるとは。 ありがたいな
彰人:ああ。にしても…… まさか、またあそこに行けるとはな
MEIKO:ふふっ、嬉しそうね、彰人くん
彰人:ま、なんつーか……思い出の場所ですから
彰人:あそこでRAD WEEKENDやってなきゃ、 今のオレはいなかったですし
ミク:原体験をした場所ってことだね
レン:——なあなあなあ! オレもその場所、見に行っていい!?
こはね:え?
レン:伝説のイベントがあったところ、オレも見てみたいんだ! 邪魔はしないから、お願い!
MEIKO:もうレンってば……。 みんな、迷惑だったらそう言ってね
ミク:——私も見てみたいな
MEIKO:ミク?
ミク:だってそこは、最初に杏と彰人の想いが生まれた場所——、 このセカイを作るほどの想いが生まれた場所なんでしょ?
ミク:気になるのは当然じゃない?
MEIKO:それはそうだけど……
杏:じゃあ、現地についたらレンくんとミクを呼んで、 おじさんに見つからないようにこっそり覗いてもらおっか
こはね:うん、そうだね!
冬弥:ポケットにスマホを入れていれば、 顔を出してもらうことはできそうだ
彰人:つっても見つからないように気をつけろよ
ミク:もちろん。 ありがとう、みんな
レン:やったー!!
こはね:それじゃ、会場に着いたら呼ぶから、 待っててね!
ミク:うん。楽しみに待ってるよ
WEEKEND GARAGE
杏の父:——よし、準備できたな
杏:父さん、プレート、オープンにしておいたよ!
杏の父:おう。ありがとな、杏。 いつも助かる
杏:どういたしまして! あ、来週の土曜なんだけど、昼は手伝えないから。 先に言っとくね!
杏の父:ああ、わかった。練習でもあるのか?
杏:ううん。COL——RAD WEEKENDの会場を みんなで見に行くんだよ
杏の父:何? あそこはもう閉まってるだろう
杏:うん。そうなんだけど、大河おじさんが オーナーにかけあってくれて、見られるようになったんだ!
杏:こはねと冬弥は会場も見たことなかったから、 本当によかったよ
杏の父:大河が……?
杏:びっくりだよね。 おじさんがわざわざそこまでしてくれるなんて
杏:……っていうか、オーナーさん引っ張り出して、 本当に大丈夫なのかな? たしか結構年だったよね?
杏の父:ああ。たしか今年で80だ
杏:は、80!? どうしよう、わざわざ呼び出すなんて悪いことしたかな……
杏の父:ハハ、まああのオーナーなら大丈夫だろうよ
杏の父:しかし……そうか。 あいつがそこまで……
杏:父さん? どうかした?
杏の父:いや、少し考えごとをしていただけだ。 杏は気にせず行ってこい
杏:うん……
杏:あ、お客さんだ! いらっしゃーい!
杏の父:…………
杏の父:(COLに連れて行くのか)
杏の父:(世界一を目指すこと以外、眼中にないと言っていた大河が そこまで肩入れするとはな)
杏の父:(やはり——)
???:ねえ、ふたりとも
???:いつかこの場所から、 世界一のアーティストが生まれたら——
杏の父:(やはり大河は、 あいつの言葉に応えたいと思っているのか)
杏の父:(……俺の一存で渡すことはできないと思っていたが)
杏の父:(ついに、“これ”を渡す時が来たのかもしれないな——)

第 4 话:伝説が生まれた場所

土曜日
ビビッドストリート
こはね:あ、みんな、おはよう!
杏:おはよ、こはね!
冬弥:おはよう。早かったな
こはね:あれ? 集合って11時ちょうどだよね? 30分前なのに全員そろってる……?
杏:そうなんだ! 実は楽しみで早起きしちゃったんだよね。 彰人達もそうみたい!
彰人:おい。オレ達まで遠足当日のガキにすんじゃねえよ
冬弥:実際それとそう遠くないように思うが
彰人:……うるせえな。 もう一生入れねえって思ってた場所に行けんだから、 しょうがねえだろ
こはね:ふふっ
こはね:(みんないつもよりソワソワしてる。 やっぱり楽しみなんだね)
こはね:(……私も、楽しみだな)
こはね:(杏ちゃんや東雲くんが見て、 絶対に超えたいって思ったRAD WEEKENDに ちょっとだけでも近づけるんだ——!)
大河:よう。お前らずいぶん早いな。 約束の時間まではまだあるだろ
こはね:あっ、大河さん!
杏:そりゃ早くも来るよ! またCOLに入れる日がくるなんて 思わなかったんだから!
冬弥:今日は機会を下さってありがとうございます
冬弥:俺達だけではここに辿り着くことはできなかったので、 とても助かります
大河:……フ。そりゃよかった。 俺が見せてやれるのはこれくらいだがな
大河:さて、オーナーは現地で待ってる。 待たせたらどやされるからそろそろ行くぞ
こはね:はいっ!
大河:着いたぞ。 COLはこのビルの地下1階だ
杏:わ……懐かしいなぁ……。 ここの階段に、他のお客さんと一緒に並んでたんだよね。 とおりの端まで、すごい行列ができてたっけ
彰人:ああ。あれから3年になるのか……
大河:ま、こうやって見ると、 どこにでもあるありふれたハコだな
???:——おやおや、ありふれたハコとはまったく失礼だね
大河:おう、ばあさん。 思ったとおり元気そうだな
オーナー:ばあさんじゃなくオーナーだよ。 30年以上言い続けてるってのに、まだ覚えないとはね……
こはね:……ねえ杏ちゃん、あのおばあさんがオーナーさんなの?
杏:うん。おばあちゃんは、ライブハウスをいくつも経営してた、 やり手のオーナーだったんだよ
杏:父さんやおじさんも、私達くらいの年の頃から お世話になってたんだって
こはね:そうなんだ……! かっこいいおばあさんだね
杏:でしょ? おばあちゃん、久しぶり!
オーナー:ん? ああ、杏かい。 昔も悪くなかったが、いい顔つきになってきたね
杏:へっへー! でしょでしょ?
オーナー:それで——そっちが私のハコを見たいっていった子かい?
こはね:あ……こ、こんにちは! 杏ちゃんとチームを組んでる、小豆沢こはねです!
こはね:あ、あの、もうずいぶん前にお店を閉めたのに、 お願いをしてしまってすみません……!
オーナー:構わないさ。 元より、ここの手入れには定期的に来ていたからね
杏:え? そうだったの?
オーナー:いつかはここも誰かに譲ることになるだろうからね。 それに——
オーナー:ここに来ると、あの晩のことが はっきり思い出せる気がするからね
大河:…………
冬弥:あの晩……RAD WEEKENDのことか?
彰人:だろうな。 COLはRAD WEEKENDを最後に閉店してんだ
彰人:多分、店の最後を飾るにふさわしいイベントだと 思ったんだろうな
こはね:(……オーナーさんにとっても、 RAD WEEKENDはすごく思い入れのある イベントなんだな)
オーナー:それじゃ、開けるよ
こはね:はいっ!
こはね:(——RAD WEEKENDの会場、 ちゃんと目に焼き付けなくっちゃ……!)
ライブハウス『COL』
こはね:わ……真っ暗!
冬弥:外がまぶしかったせいもあって、目が慣れないな
彰人:お前ら、転んでケガするんじゃねえぞ
杏:そうだね。 みんな足下気をつけて
オーナー:今予備灯をつけるから待ってな
オーナー:——つけるよ
こはね:わぁ……!
冬弥:ここがRAD WEEKENDが開かれた……
杏:でも、なんだか昔見た時より小さく感じる気がする
彰人:まだガキだったからだろ。 身長も低かっただろうしな
杏:あはは、あの時から成長したってことかぁ
杏:……そっか。ステージ、こんなに近かったんだ……
こはね:(杏ちゃんも東雲くんも、まぶしそうな顔……)
こはね:(ここが……)
レン:『うわー! ここが、RAD WEEKENDの会場なんだね!!』
こはね:ひゃっ……!? レ、レンくん!?
大河:ん? どうかしたか?
こはね:あっ、な、なんでもないです!
ミク:『レン、静かに』
レン:『そ、そうだった……!』
杏:こはね、どうしたの……って、あ
ミク:『ふふ、来ちゃった。 待てなくってごめんね』
彰人:おい、急に出てきたら見つかるだろ。 呼ぶまで待ってろって
レン:『えへへ、ごめんごめん……。 今から気をつけるよ』
ミク:『ちゃんと隠れてるから、みんなと一緒に見学させてよ』
冬弥:まあ、小豆沢のポケットから見ている分には そこまで目立たないかもしれないな
こはね:うん。じゃあミクちゃんとレンくんにも 見えるように回っていくね
レン:『うん! ありがと、こはね!』

第 5 话:かつての景色を焼きつけて

ライブハウス『COL』
大河:どうだ? ハコを見た感想は
こはね:あ、えっと……
こはね:ビビッドストリートの人がみんな知ってるくらいだから、 もっとホールみたいな大きいところなのかなって 思ってたんですけど……
こはね:予想以上にステージと距離が近いライブハウスだったから、 ちょっと意外でした
冬弥:たしかに、そうだな。 ライブハウスにしても、もう少し大規模なのかと思っていた
冬弥:大河さん達ならもっと大きなライブハウスでやっていそうだと 思ったのですが——なぜここで?
大河:——ここがよかったからな
こはね:え?
大河:ま、昔からよく使ってた場所だから ここでやりたかったってだけだ
こはね:昔から……。 そうなんですね
杏:あ、そういえばおばあちゃん。 バックステージってどんな感じなの?
杏:結構出演者がいたから、そんなにたくさん入れるのかなって 不思議だったんだよね
オーナー:見るかい? こっちだよ
杏:やった! ありがとうございまーす!
杏の声:……うわ! 思ったより狭い!
彰人の声:ここにあれだけのメンツがいたのかよ……
大河の声:すし詰め状態で大変だったな。 ハッハッハ
オーナーの声:まったく、あれは暑苦しい画だったねえ
冬弥:狭いようだから、俺達は彰人達が出たあとで 見せてもらうとするか
こはね:ふふ、そうだね
冬弥:しかし……このステージで、 謙さんや大河さんが歌っていたのか
こはね:うん。ここで……
こはね:(ここを、杏ちゃんや東雲くんが 見上げてたんだよね)
こはね:(どんな風だったんだろう。 私が杏ちゃんの歌を聴いた時より、 もっともっとすごい歌がここで……)
こはね:(——ううん)
こはね:(見上げてるだけじゃダメ。 私達はRAD WEEKENDを超えるんだから)
こはね:……あの、オーナーさん。 ステージに立たせてもらえませんか?
冬弥:小豆沢?
こはね:私……このステージからの景色を 見てみたいなって思うんです
こはね:杏ちゃんのお父さんや大河さんが見ていたのは、 ステージの上からの景色だから——
オーナー:……なるほどねえ
大河:いいんじゃねえか?
大河:RAD WEEKENDをイメージしに来たんだろ? なら立つべきは観客席じゃなく——あっちだ
こはね:…………!
大河:ばあさん、こいつらステージに上げていいだろ?
オーナー:……フン。ま、好きにしな
杏:え……いいの!? ありがとう! おばあちゃん!
彰人:……妙な気分だな。 見上げてたステージに立つってのは
冬弥:失礼します
杏:よいしょっと!
杏:——ほら、こはねも!
こはね:……うん!
こはね:(——これが)
こはね:(これが、杏ちゃんのお父さんや 大河さん達が見てた景色なんだ……!)
杏:私が聴いてたのは、客席のあの辺だったんだ。 中央の前のほうかな
こはね:そうなんだ……
冬弥:彰人はどの辺りで聴いていたんだ?
彰人:杏よりも下手側だな。あの辺りだ
彰人:あの時は初めてイベントに来たから、 待ってるあいだは居心地悪かったが——
彰人:始まってみたら、そんなことどうでもよくなったな
こはね:…………
ミク:『こはね』
こはね:え? ミクちゃん、どうしたの?
ミク:『ねえ、歌ってみたら?』
こはね:え、でも……
ミク:『こはねは、ここで歌ってみたくない?』
ミク:『ここは、みんなのセカイの、 始まりの場所なんだよ』
こはね:あ——
こはね:(……RAD WEEKENDを超えたいっていう夢は、 杏ちゃんにもらったものだけど)
こはね:(でも今は、たしかに私の夢なんだ)
こはね:(なら——)
こはね:♪————……
こはね:♪————
こはね:♪————!!
杏:あ……
杏:(こはね、歌いながらイメージしてるんだ)
杏:(ここにどんな空気があったのか。 ここで父さん達が、どんな風に歌ってたのか)
杏:(なら——)
杏:♪————!!
こはね・杏:『♪————』
彰人・冬弥:『♪————』
全員:『♪————————!!』
大河:……どうだ、ばあさん。 あいつらの歌は
オーナー:フン。 下手な歌だったら叩き出してやろうかと思ったが……
オーナー:もうちょっと、聴いててやろうかね

第 6 话:残されていた記録

WEEKEND GARAGE
杏:たっだいまー!
彰人:こんにちは、謙さん
杏の父:……おう。帰ったか
杏:うん! あれ、今日お客さんいないような……? どうしたの?
杏の父:今さっき、イベント終わりの団体が帰っていったからな。 この雰囲気なら、バータイムまでは客もこないだろう
大河:なんだ? 80のばあさんが動き回ってるっていうのに、 お前はもう休むのか
杏の父:ん? ああ、お前もいたのか
大河:おう、引率役ってやつだな
杏の父:ハハ、そりゃご苦労さん。 オーナーは元気だったか?
大河:おう。つうか、あのばあさんが元気じゃねえ姿は 想像しにくいだろ……
杏の父:ハハッ、違いないな
大河:ま、連れて行った甲斐はあった。 何か掴んだようだしな
こはね:大河さん、本当にありがとうございました
こはね:おかげでRAD WEEKENDのことが ちょっとイメージできるようになってきました
大河:そうかい。 そりゃ何よりだ
杏の父:(大河のこの目は、見たことがある)
杏の父:(この目は——)
???:——大河、謙! 行こう!
大河:そう焦るなよ。 ステージは逃げやしねえんだからよ
???:だって、早く歌いたいんだもん。 だから、ほら!
大河:……ったく、しょうがねえヤツだな
杏の父:…………
杏の父:(……そうか)
杏の父:(やはり大河は、嬢ちゃんとあいつを——)
杏の父:(COLを見せようと思ったのも、 きっとそういうことなんだろう)
杏の父:(意識してるかどうかはわからねえが、 大河がそう動くなら——)
杏の父:(俺が動くべき時も、今なんだろう)
杏の父:杏、看板をクローズにしてくれ
杏:え? いいけどなんで?
杏の父:——ちょっとばかり、お前達に見せたいものがあってな
こはね:見せたいもの?
杏の父:ああ。これだ
彰人:これは、DVD……ですか?
大河:DVD……?
冬弥:よければ、見せてもらってもいいですか?
杏の父:おう。ほらよ
杏:表に何か書いてある……『RAD WEEKEND』……?
杏:……えっ!? もしかしてこれ……!
杏の父:ああ。 RAD WEEKENDのライブ映像だ
大河:なっ……!
こはね:えっ!? で、でも——
杏:父さん、映像はないって前から言ってたのに……!
杏の父:預かっていたのを忘れてただけだ
大河:——預かっていた? おい謙、どういうことだ?
大河:俺達は撮影禁止にしたはずだ。 ばあさんだってそれは徹底しただろう
杏の父:これを撮ったのは、そのばあさんだ
大河:何……?
杏の父:ともかく、こいつの中には、 RAD WEEKENDの一部始終が入ってる
杏の父:——見るか?
こはね:は……はいっ! 見たいです!!
杏:ライブスペースのほうにスクリーンと プロジェクターがあるから、用意してくるよ!
こはね:あ、じゃあ私も……!
冬弥:なら、俺達がスクリーンを下ろそう。 そのあいだにプロジェクターの用意を頼む
杏:オッケー! みんな行こう!
大河:——おい、謙
大河:ばあさんがこれを撮った理由はなんだ。 オーナーとして、ルールは守るはずだろう
杏の父:ばあさんは、凪に頼まれて撮ったと言っていた
大河:……凪に?
こはね:すみません、DVDプレイヤーってどこに……あ
杏の父:凪が、『いつか必ず役に立つだろうから、 こっそり撮っておいてくれ』って言ったらしい
杏の父:……あのあとすぐにお前が去って、 映像があることを言う機会もなかったがな
大河:凪が……
こはね:(凪さんって、たしか——)
杏:あ、おじさんの妹さんなんだ。古瀧凪さん
杏:昔は、おじさんと父さんと凪さんの 3人でチームを組んでたんだよ
こはね:(大河さんの妹さんが、このDVDを……?)
こはね:あ、あの……!
こはね:あ、ありがとうございます!
こはね:私、RAD WEEKENDをもっと知りたいって 思ってたので、えっと……
こはね:凪さんにも、ありがとうございますって 伝えてもらえたら嬉しいです!
大河:……そうだな。 今度会ったら、伝えておこう
彰人:おい、プレイヤーあったか?
こはね:そうだった……! あの、借りてもいいですか?
杏の父:おう、もちろんだ。 ……これを使うといい
こはね:ありがとうございます!
店内ライブスペース
冬弥:白石、スクリーンの用意ができたぞ
杏:……よし! これでいつでも流せるね
杏:それじゃみんな——準備はいい!?
こはね:——うんっ!

第 7 话:"RAD WEEKEND"

3年前
RAD WEEKEND 当日
中学生の杏:うわっ、すごい人……!
中学生の杏:キャパ300くらいだって言ってたけど、 本当に全員入るのかな?
男性:しかし、KEN達がイベント主催するなんてな
女性:ね。しかもここの現役アーティスト、 全員集めたっていうんだから驚きだよね!
中学生の杏:(ふふっ、さすが父さん達だね。 開場前からみんなソワソワしてる)
中学生の杏:(それに、父さん達も、 いつもよりすごく気合い入ってたみたいだし——)
中学生の杏:(今日は楽しみだな!)
女性:あ! 開場したよ!
中学生の杏:(列が動き始めた——)
ライブハウス『COL』
中学生の杏:(ざっと見た感じ、お客さんの9割は 知ってる人達みたいだけど——)
中学生の杏:(もしかして、ビビッドストリートの人全員 集まっちゃってるんじゃない?)
中学生の杏:……ん?
中学生の杏:(——あ、袖から父さん達が見える! バックステージに入るところかな)
中学生の杏:(……あれ? どうしたんだろう)
中学生の杏:(父さん達、いつもイベント前は明るい雰囲気なのに、 なんだか今日はピリっとしてるっていうか……)
中学生の杏:(それに、凪さんがいない……?)
中学生の杏:(わ! 急に照明が——)
中学生の杏:(この曲は——)
中学生の杏:凪さん……!!
観客達:Nagiだ!!
観客達:Nagiーっ!!
観客達:ん? 今日は頭っからNagiのソロか!?
観客達:いつもはKENと大河と3人——『RADder』で 歌ってるのに、なんで今日はソロなんだ?
中学生の杏:(あ、たしかに……なんでだろう?)
中学生の杏:(イベントやる時は、いつも3人なのに——)
凪:………………
観客達:……なんか、様子がおかしいな
観客達:どうしたんだ?
中学生の杏:凪さん……?
中学生の彰人:(……ここが会場か)
中学生の彰人:(結構、常連が多いみたいだな。 アウェイ感あるっつーか……なんか居心地悪いな)
凪:♪————————っ!!
中学生の杏:…………っ!?
中学生の杏:な……凪さん……?
中学生の彰人:(な、なんだ……!?)
中学生の彰人:(あの人が歌い出しただけで、空気が——!)
凪:♪————————!! ♪————————!!
凪:——みんな
凪:今日私はここで、私の全部を出し切る
凪:だから——みんなも全力でついてきて!!
凪:♪————————っ!!
凪:♪——!! ——!!
中学生の杏:か……っこいい……!
中学生の杏:凪さん、いつもすごいけど、 今日はなんか……全然違う……!!
観客達:いいぞNagi! 最高!
観客達:Nagiさーん!!
凪:♪————! ♪————っ!!
凪:うん、いいねえ! みんな、最高!
凪:——あのね、実は私、 今日を人生で一番特別な日にしたいんだ
凪:私達は今までもずっと、 私達の持てる精一杯の力で歌ってきた。けど——
凪:今日は、特別。 最高なんて言葉じゃ足りないくらいの日にしたい
凪:一生みんなの心に残り続ける——そんなイベントにしたいの
中学生の杏:凪さん……
凪:だからみんな、今日はいっちばんいい顔見せて!
凪:一緒に——伝説を作るよ!!
凪:さあ、次は『RUST』! 飛ばしちゃって!
RUST:♪——! ——! ——!!
中学生の杏:(……普段のRUSTもパワーのあるパフォーマンスだけど 今日は声の伸びが全然違う! まるで別のチームみたい……!)
中学生の杏:(でも、なんで? どうしてみんな、こんなに——)
凪:さあ、次は『GLaP day』! みんな声、枯れてないよね!?
中学生の杏:(すごい……すごいすごいすごい……!!)
中学生の杏:(対戦イベントじゃないのに、 どのチームも自分達の歌で、戦ってるみたいな——)
中学生の杏:(ずっとトリが続くみたいで、 心臓が爆発しそう……!)
凪:さあラストを飾るのは、もちろん私達——
凪:RADder!!
中学生の杏:父さん! おじさん! 凪さん!
観客達:よっしゃー!! やっぱトリはRADderだよな!!
観客達:……しかし、大丈夫かね。 KENと大河が解散レベルの喧嘩したって聞いたけど
観客達:あの顔見る限り、ただの噂でもなさそうだな……
凪:——ふたりとも、顔。 眉間にシワ寄りまくりだよ
凪:ねえ、今日は、思いっきり楽しもうよ
凪:それで——忘れられない日にしよう
謙:……ああ。そうだな
大河:…………
大河:——いくぞ
凪:うんっ!!
凪:————
中学生の杏:父さーん! おじさーん! 凪さーん!
凪:♪————————!!
大河・謙:『♪————————!!』 『♪——!! ——!!』
中学生の彰人:……っ!?
全員:『♪————————!!』
凪:♪————————っ!!
中学生の杏:(すごい……!!)
中学生の彰人:(歌が——津波みたいに押し寄せてくる)
中学生の杏:(頭が真っ白になるくらい、 歌が響き渡って——)
中学生の彰人:(こんな世界が、あったのか——)
謙:……はぁ……はぁ……
大河:…………っ
凪:……はぁ……
大河:これが——俺達の歌だ!
凪:——みんなー!! ありがとう!! 最っ高の気分だよ!!
謙:ふっ……
凪:……ふふっ。 スッキリしたね、ふたりとも
謙:……どっちかっていや、精根尽き果てたって気分だな
大河:まだ軽口叩く余裕あるんじゃねえか
謙:そりゃ、ぶっ倒れるわけにはいかねえからな
凪:……ふふっ。 やっぱり私達って最高のチームだね!
凪:……ねえ、謙、大河。 私——
凪:————

第 8 话:壁は、はるか高く

凪:『みんな、今日はありがとう——!』
WEEKEND GARAGE
店内ライブスペース
こはね:…………
こはね:(…………これが)
こはね:(これが、RAD WEEKENDだったんだ)
こはね:(……なんて言えばいいんだろう)
こはね:(私のドキドキの音が、掻き消えちゃうくらい——ううん)
こはね:(世界中をドキドキさせられちゃうくらい、 すごいイベントだった)
こはね:(ああいうのを——“熱狂”っていうのかな)
杏:…………はぁ、悔しいなぁ
杏:頭の中に残ってる思い出より、 ずっとドキドキさせてくれるなんてさ
彰人:……だな。 頭の中で美化してるんじゃねえかって思った時もあったが……
彰人:あれは現実だったんだな
冬弥:……彰人達が言っていたことが、 ようやくわかった
冬弥:映像で見てなお、この迫力か……
レン:『す……すごい……!』
レン:『RAD WEEKENDって こんなにすごいイベントだったんだ……!』
ミク:『……うん』
ミク:(……そうか。 これが、RAD WEEKENDなんだ)
ミク:(こはね達はこれを——)
杏の父:どうだ、嬢ちゃん。 RAD WEEKENDは
杏の父:——これを、超えられると思うか?
こはね:……!
こはね:これを…………
こはね:…………超えられるかは、わからないです
こはね:思ってたより、ずっとすごくて……、 本当にあったことなのかも信じられないくらいで……
こはね:すごく……怖いくらいで……
大河:…………
こはね:でも——
こはね:前より、ドキドキが大きくなってるんです
こはね:前よりもっと、RAD WEEKENDを超えたいっていう 気持ちが大きくなってるんです。 だから……
こはね:絶対……超えます!
杏の父:……そうか
杏:さーっすがこはね!! 私の相棒!!
杏:——私の感じたドキドキ、 こはねも、感じてくれたんだね!
こはね:うんっ!
冬弥:……きっと、あそこまで辿り着くには、 相当の壁を超える必要があるだろう
冬弥:だが、どんな壁であろうと超えよう
彰人:——おう
彰人:あの熱狂を超えるぞ!
こはね:青柳くん、東雲くん……
こはね:……うん!
こはね:(私達は——超えるんだ。 RAD WEEKENDを!!)
ストリートのセカイ
crase cafe
レン:たっだいま~!!
ミク:——ただいま、メイコ
MEIKO:おかえりなさい、ふたりとも。 ずいぶん長く見ていたのね
MEIKO:それでどうだったの? RAD WEEKENDの会場は
ミク:……いいところだったよ。 大事にされてきた場所なんだなって思った
レン:でもねでもね! 今日はそれだけじゃなくて—— RAD WEEKENDを見たんだよ!!
MEIKO:え? それ、どういうこと?
ミク:——映像が見つかってさ。 それをこっそり見せてもらったの
MEIKO:……! すごいじゃない!
MEIKO:それで、どうだったの?
レン:どう……なんて言えばいいんだろうな。 とにかくすっごくってさ!
レン:全員、真剣勝負だったっていうか。 これが人生最後のライブなんだってくらい 本気の感じがしてたっていうか……
レン:う~~~ん、うまく言えないなぁ……
MEIKO:ふふ、少しは伝わるわよ。 みんなが言うように、言葉じゃ伝えられないくらい すごいイベントだったのね
ミク:…………
MEIKO:……ミク?
ミク:たしかに……すごいイベントだった
ミク:でも——
ミク:ただすごいだけのイベントじゃないのかもしれない
MEIKO:……どういうこと?
ミク:……なんとなくそう思っただけ
ミク:(きっとRAD WEEKENDにも、 たくさんの想いがある)
ミク:(あれを超えるにはきっと—— その想いすら超える必要がある。そんな気がする)
ミク:(……一体あれには、どんな想いがあったんだろう?)
シブヤの公園
こはね:(イメージ……。 景色をイメージしてみる)
こはね:(実際に見たライブハウスの広さ……。 映像で見た、いっぱいのお客さん……)
こはね:(それから——)
凪:♪————————っ!!
こはね:(あのイメージで……!)
こはね:♪————————!!
こはね:……はぁ……はぁ……! ど、どうかな?
冬弥:大河さんとの練習の成果を見てほしいということだったが……、 正直、驚いた。これほど変わるものなんだな
冬弥:あの映像を見た時のイメージが脳裏をよぎった
こはね:ほ、本当?
こはね:やっぱり、会場の景色と映像で見たことを イメージしながら歌ったからかな?
冬弥:景色? 景色とはどういうことだ?
こはね:あ、えっと、大河さんとの練習で——
杏:——そっか。そんな練習してたんだ
杏:ふふっ……。 本当、負けてられないな
彰人:ああ。そうだな
彰人:んじゃ、やるとするか!
杏:うん!! ——こーはねっ!!
こはね:ひゃっ!? ど、どうしたの杏ちゃん?
杏:私達にも、おじさんとの練習のこと 教えてもらおうと思って! いい?
こはね:あ、うん!
こはね:大河さんと練習しててわかったんだけどね——