活动剧情

白熱!神高応援団!

活动ID:58

第 1 话:名物・応援合戦!

神山高校 2年B組
先生:——というわけで、うちのクラスからは 彼らが体育祭の応援団員に選ばれました
類のクラスメイトA:えっと……推薦ありがとうございます! 青組を盛り上げられるよう、頑張ります!
類のクラスメイトB:精一杯やりますので、 みんなも一緒に応援してくださいね!
先生:今回の応援合戦のテーマは『三国志』とのことです。 準備など大変だと思いますが 楽しみにしていますよ
類:(……応援団か。 そういえば、もう体育祭の時期だったね)
類:(うちの学校の応援合戦は 名物行事とも言われているらしいけれど……、 一体、どんなものなのかな)
男子生徒達:なあ、お前のクラス応援団決まった!?
男子生徒達:ああ。ってか、もう集まってるみたいだし、 ほとんどのクラスが決まってるんじゃねえか? 今回の赤組は気合い入ってるってウワサが……
類:(校内も体育祭——というより、応援団の話で持ち切りだね。 それほどに期待されているということか)
類:(応援団の人達にとっては なかなかプレッシャーだと思うけれど……)
類:(そんなに面白いのなら、 僕も、いち観客として楽しみだな)
杏:あっ、いたいた! 神代先輩!
類:ふたりとも、どうしたんだい?
杏:実は、ちょっと相談したいことがありまして……
瑞希:類のクラスって 体育祭で青組だったよね?
類:ああ、そうだけど
瑞希:だよね! 実は、ボク達のクラスも青組なんだよ
類:へえ。 それじゃあ僕達は共に剣を掲げる戦友となるわけか
瑞希:そゆこと! 一緒にがんばろ~!
瑞希:……ってことで、そんな大切な戦友に どストレートなお願いがあるんだけどさ
瑞希:青組の応援合戦、手伝ってくれないかな?
類:え?
杏:実は私達、クラスで応援団になったんです!
類:応援団に……
類:(白石くんはともかく、瑞希が?)
杏:だから、応援合戦のことを考えないといけないんですけど うちの応援合戦って、なんていうか…… 結構フリースタイルらしいんですよね
類:そうらしいね。 聞いたところによると——
類:前回は『サバンナ』がテーマで 動物の格好をして情熱的なダンスを踊ったりしたとか
瑞希:そうそう! 力入れてるだけあって、かなり本格的みたいなんだよね~
瑞希:ボク達もアイディアを出すことはできるけど……。 勝ちたいなら、誰も真似できないような演出を 考えなきゃいけないでしょ?
瑞希:それで、類のことを思い出したんだ!
杏:前にやった結婚式の演出もすごく良かったし、 神代先輩にならヘルプをお願いできるんじゃないかなと 思ったんです
杏:……それに、 うちの団長も、先輩にぜひ来てほしいって言ってて
類:応援団の団長が?
杏:そうなんです。だから…… 応援合戦の演出、頼まれてくれませんか!?
瑞希:類がこういうのに あんまり乗り気じゃないのは知ってるんだけどさ……
瑞希:ボクからも……お願い!
類:……事情はわかったよ
類:でも、僕のクラスの応援団員はもう決まってしまったからね。 協力していいものか……
杏:あ、それに関しては大丈夫みたいです! 前回も団員のお母さんにダンス講師がいて その人が中心になって演出の指導してたらしくて
瑞希:応援合戦に直接参加しなければ、 サポートを団員以外の人がやっても平気なんだって
類:なるほど……それなら問題なさそうだね
類:(話を聞く限り、神高の応援合戦は独特で 『観客を魅せる』という意味ではショーに似ている。 その演出を任されるのは光栄だし、何より面白そうだ)
類:(使える舞台の広さや環境、 役者ではない団員達とのコミュニケーション……。 いろいろと、いつもとは違う技術が要求されそうだけど——)
瑞希:んーその顔は…… 興味はあるけど、悩んでるって感じ? フェニランのショーもあって忙しいもんね~
瑞希:じゃあ、もし時間ができたら 応援団の集まりに顔出してくれたら嬉しいな!
杏:だね。団長の話とか聞いたら どんなことやるのかイメージもつくかもしれないし
杏:神代先輩がヘルプに入ってくれたら きっといい応援ができると思うので、よかったら来てください! 集まり自体は毎日やってるので!
類:……うん、わかった
類:それなら、一度お邪魔させてもらおうかな
瑞希:ホント?
類:ああ、今日なら少し時間があるからね。 みんなが集まっている場所まで、案内をお願いできるかい?
杏:わかりました! じゃあ放課後、教室で待っててくれたら、 瑞希と迎えに行きます!
瑞希:ありがとね、類!
類:(しかし……)
類:(瑞希がここまで学校行事に乗り気なのは珍しい。 ……何か事情でもあるのかな?)
放課後
空き教室
瑞希:とうちゃ~く! ここがボク達青組応援団の集会所だよ!
類:へえ、空き教室を使ってるのか
類:(各クラスから募られた団員達も もう集まっているみたいだけれど……)
青組団員達:えっ……神代先輩? 変人ワンツーのひとりの……?
青組団員達:もしかして団長達が言ってた 強力な助っ人って神代のことか……?
類:(瑞希達、演出家にアテがあることは 既に話していたようだね)
類:(とはいえ、僕を連れてくるのは想定外だったようだけど ……まあ、校内での評判を考えれば当然か)
瑞希:えーっと……。 とりあえず類には、見学ってことで来てもらいました!
杏:神代先輩のこと知らない人……はそんなにいないと思うけど ちょうどみんな集まってるみたいだし、 自己紹介タイムに入りましょうか!
???:それなら、まずは私から話させてほしい
類:あなたは……
青組団長:3年の青組応援団団長だ。 普通に『団長』と呼んでくれ
類:……2年の神代類です。 よろしくお願いします、団長
青組団長:ああ、もちろん知っているぞ、神代くん。 キミが演出を引き受けてくれるなら百人力だ
青組団長:では、さっそく打ち合わせに入りたいのだが——
瑞希:待って待って団長! まだ類がやってくれるって決まったわけじゃないから!
杏:そうそう! さっき言ったとおり、まずは見学って感じで!
青組団長:そ、そうだったな……。 すまない、つい焦ってしまった
類:……すみません。 応援合戦に演出をつけたことはないので、 新しい分野に興味はあるのですが
類:まずはどんなものを作ろうとしているのか 教えていただきたいと思いまして
青組団長:……なるほど。 たしかに、作るものがわからないまま 協力などできるはずもないか
青組団長:だが、パフォーマンスの詳細を伝える前に 耳に入れておいてほしいことがある
類:……というのは?
青組団長:私がこの体育祭にかける熱い想いだ!

第 2 话:体育祭にかける想い

神山高校 空き教室
類:体育祭にかける熱い想い……ですか
青組団長:ああ。私は、応援が人に与える力を信じている。 その想いを胸に、1年の頃から毎回体育祭で応援団をやってきた
青組団長:高校生活のすべてを応援団に捧げてきた自負がある。 だが……あろうことか、前回は我が宿敵を相手に惨敗した
青組団員達:競技では青組が勝ってたのに、 応援合戦の得票数で赤組が1位を取って 逆転優勝したっていう、アレですね
瑞希:あー、団長からも聞いたけど、 今日うちのクラスで先生も話してたよね!
杏:あれは衝撃だったって言ってたね。 みんな直前まで、絶対青組が勝つって思ってたらしいから
青組団長:……私はまさに、その時の青組だったのだ。 あの時のことを思い出すと、情けなさで胸が苦しくなる
青組団長:だが、後悔ばかりはしていられない。 あれから今回の体育祭に向け、時間をかけて敗因を考えた
青組団長:そして、気づいたのだ。 前回の私は1年の時に得た勝利の喜びが忘れられず、 宿敵に勝つことばかりに、とらわれていたと
類:…………
青組団長:応援が人に与える力……。 その力を受けるべき人達のことを 私はいつの間にか置き去りにしていた
青組団長:それでは、負けるのも当然だ。 だから……私はリベンジを兼ねて 最後の応援合戦に挑もうと思っている
青組団長:みんなを最高に熱くさせる応援合戦をして優勝し、 人生で一番楽しい体育祭だったと、 青組の一員でよかったと、感じてもらうために!
類:(みんなを、最高に熱くさせる……)
類:……なるほど。 それは、わかる気がしますね
青組団長:やはりか!?
青組団長:嬉しいぞ! 神代くんなら、同意してくれると思っていたのだ!
類:……僕なら?
類:そういえば、白石くんからも 団長の推薦があったことは聞きましたが……。 なぜ、僕を?
瑞希:あー、実は団長、前から類のこと知ってたらしいんだよね
青組団長:実は、応援合戦の演出をひとりで考えていた頃……。 慣れないことに、すごく行き詰まっていてな
青組団長:そんな時、たまたまキミ達のショーを見たんだ
類:僕達の?
青組団長:ああ。息をもつかせぬ展開に 観客を惹きこむ役者達の立ち振る舞い……。 見ているだけで心があたたかくなる感覚……
青組団長:このショーの演出家ならば、 私が応援合戦で表現したいものを 具現化してくれるのではないかと閃いたんだ!
類:……なるほど。 だから僕に声をかけてくれたのですね
瑞希:そうそう! ボクが類と知り合いだって言った時も、 めちゃめちゃテンションあがってたしね
杏:まあ、たしかに縁はあったのかも?
杏:……あとは神代先輩が引き受けてくれるかどうかですけど
類:そうだね……
類:そこまで言ってくれるのはありがたいですし、 僕としても興味はあるのですが——
青組団長:もちろん、神代くんが忙しいことは知っている。 だが結論を出す前に、肝心の演出についても話させてほしい。 前回の体育祭から長い時間をかけて演出の構想を練っていてな
青組団長:キミも、どんなものを作ろうとしているのか 知りたいと言っていただろう? ならば、これを見てくれ
類:これは……
類:この辞書ほどの厚さの紙、すべてが演出案ですか?
青組団長:いや、まだまとめきれていなくてな。 同じくらいの厚さの案が、あと2、3束ある
類:これと同等のものが、まだそんなに?
瑞希:あはは、いきなりこんな分厚い紙 押し付けられたらびっくりするよね。 ボクも最初、おんなじ反応したよ
瑞希:でも、それ見せられたら、なんていうか…… ちょっと印象変わっちゃったんだよね
類:どういうことだい?
瑞希:実はさ、応援団員に選ばれたのってくじ引きだったんだよね。 だから最初は正直、そんなに興味なかったんだけど……
青組団長:——という想いで、応援合戦に挑みたいと思っている。 みんな、力を貸してくれ!
青組団員達:『おーっ!』
瑞希:(杏と一緒なのはよかったけど……。 やっぱり、こういう『みんなで』って雰囲気 ちょっと苦手だな)
瑞希:(まあ、決まっちゃったことはしょうがないけどさ)
青組団長:応援合戦の流れは、今説明したとおりだ。 それを踏まえて、私の考えた演出案を見てほしい。 ひとりで考えたものだから、みんなの忌憚なき意見を聞かせてくれ
瑞希:(演出案……って、この辞書並みの厚さの紙全部!?)
瑞希:(と、とりあえず読んでみようかな)
瑞希:(えーと、なになに……、 青組全員のハチマキを集めて一つの輪を作る……。 なるほど。たしかにありそうな演出だね)
瑞希:(でも『却下』ってなってる。 テーマと合ってない、か……それはあるかも)
瑞希:(こっちのページには、 体育祭で使う備品のサイズが書いてある。 朝礼台や旗立てるやつのポールの高さまで……)
瑞希:(もしかしてこれ、団長が自分で調べて書いたのかな? ポールの高さとか、わざわざ登って測って……?)
瑞希:(他の演出案も……。 これだけの分厚さならメモ的に殴り書いてるものとかも あるんじゃないかって思ったけど、全然そんなことない)
瑞希:(武器を振り回しながら火の中に飛びこむとか……。 たしかに、実際にやるのは難しいかもしれないけど もしできたら、すっごく盛り上がりそうだし)
瑞希:(でも、これも 『火の使用は学校側の許可が下りないので却下』ってなってる)
瑞希:(……もったいないな。 これ、ボクだったら映像で……)
青組団長:どうだ? なにか気になるところはあったか?
杏:あの、いいですか?
杏:この兵隊達の立ち回りのところなんですけど。 もしかしたら、ダンスのステップを取り入れれば もっとかっこよくできるんじゃないかなって……
青組団長:ほう。 どういうやつだ?
杏:あーっと……私もこの前、イベントで見ただけなので 詳しく話せないんですけど……今日の夜調べておきます! きっとこの演出にあうと思うので!
瑞希:杏……
瑞希:(杏も、応援団がんばろうって思ってるんだ)
瑞希:(……まあ、そうだよね)
青組団長:おお、それはありがたい! では、明日の集まりで検討しよう。 ……で、暁山くんはどうだ?
瑞希:えっ? あ、えっと、ボクは……
瑞希:そ、そうだな~……。 この、火を使う演出のところ。 ボツ案になってるけど、もったいないと思っちゃったかも
瑞希:たしかに火は難しいかもしれないけど……。 それなら、映像で見せればいいんじゃないかなって。 そのほうが変化もつけられるし!
青組団長:……ほう
瑞希:……な~んて! 団長が考えてダメだと思ったなら 違う方法でやったほうがいいよねー……
青組団長:良さそうじゃないか! 暁山くんの案の方向で、もう一度考えてみよう
瑞希:へっ?
青組団長:この演出は私が考えていたものの中でも 特に気に入っていたものだったんだ。 だから諦めるのは惜しかったのだが……
青組団長:たしかに、映像なら実現できるかもしれない! 感謝するぞ、暁山くん!
瑞希:で、でも……ボクのは思いつきだよ? そんな簡単に採用していいの?
青組団長:いいもなにも、忌憚なき意見が欲しいと言ったのは私だ。 暁山くんも白石くんも、それに応えた上、提案までくれた
青組団長:そしてその方法のほうが いいものを作れるかもしれないと私も思ったんだ。 ならば、検討しない理由がない
瑞希:(いいものを……作れる……)
瑞希:(方向性はちょっと違うけど、 ボク達が音楽作るのと、似てるとこあるのかも)
瑞希:(ボクも、動画のレベル上げるために 表現の勉強したいなーって思ってたし)
瑞希:(それなら——)
瑞希:……って感じで、 協力してあげてもいいかなって思っちゃったんだよね~
類:……なるほど。 瑞希を積極的にさせたのは、この膨大な演出案だったんだね
類:でも……うん。 わかる気がするよ
類:(正直、個々の完成度は高いとはいえない。 統一性もないし、まとめられなかったと 言っていたのもうなずける)
類:(けれど……ひとつのテーマでこれほどの案を出すのは、 プロの演出家でさえ、なかなかできることじゃない)
類:(きっと、この熱量を生んでいるのは……)
青組団長:みんなを最高に熱くさせる応援合戦をして優勝し、 人生で一番楽しい体育祭だったと、 青組の一員でよかったと、感じてもらうために!
類:——『応援が人に与える力』か
類:(最初に話を聞いた時にも思ったけれど、それは僕の夢…… 『ショーでみんなに笑顔を与えたい』という想いにも似ている。 それなら……)
類:やる意味は、あるだろうね
杏:それって、もしかして……!
類:この話、お受けします
類:団長のご希望どおり、 みんなに力を与えられる演出をつけられるよう 尽力しましょう
青組団長:か、神代くん……!
瑞希:やった~! これで最高の応援合戦になること間違いなしだよ!
杏:よかったですね、団長!
青組団長:ああ、神代くんに話をしてくれた 暁山くんと白石くんのおかげでもある! 本当にありがとう!
類:さて、そうと決まれば さっそく明日から準備に入りましょう
類:それと——瑞希には、本番に向けて 頼みたいことがあるんだけど、いいかな?
瑞希:えっ、ボクに?

第 3 话:応援合戦に向けて

ワンダーランドのセカイ
類:……というわけで 応援合戦の演出をすることになったんだ
ミク:わあ、すっごく楽しそう~! 『応援合戦』って響きだけで、 なんだか元気モリモリになるよねっ☆
寧々:でも、まさか司だけじゃなく類まで応援団になるなんてね
類:え? 司くんも応援団になったのかい?
えむ:そういえば、メッセージきてたね! 『赤組応援団の副団長を任されたため、 その打ち合わせで今日はセカイに行けん』って!
リン:そっかぁ、だから今日司くんいなかったんだ~!
レン:じゃあ、類くんも司くんも これから忙しくなっちゃうのかな?
類:僕は応援団に入ったわけじゃなくて あくまでヘルプという形だけど……。 関わりかたは団員とあまり変わらないから、そうかもしれないね
類:しかし、司くんまで応援団になっていたというのは初耳だったよ。 僕達は青組だし、敵同士ということだね
えむ:それって、応援合戦で司くんと類くんの 真剣勝負が見れるってこと!?
えむ:いいなぁ、あたしも応援しに行きたいなぁ……!
レン:じゃあ、一緒に応援しようよ!
えむ:そうしたいんだけど、 その日は新体操部のヘルプで 大事な大会に行かなきゃいけないんだぁ……
KAITO:それは残念だね……
ミク:えむちゃんって新体操部だったの!? かっこいい~っ☆
えむ:他にもいろんな部活いってるんだよ! それで、誰かが困ったな~ってなってる時は助けにいくの!
えむ:だから、神高の体育祭行けないのは悲しいけど……。 みんなはあたしの分まで、3人を応援してあげてね!
MEIKO:ええ、任せてちょうだい!
寧々:え、みんなも見に来るの?
ミク:もっちろん! えむちゃんの体育祭も応援したし、 寧々ちゃん達のことも張り切って応援しちゃうよっ☆
ルカ:そういえば、司くんが赤組、類くんが青組で…… 寧々ちゃんは何組なのかしら?
寧々:わたしは緑組だよ
類:へえ、そうだったのか。 ずいぶん、綺麗にわかれたものだね
寧々:そうだね。 本当に『三国志』みたい
レン:『三国志』?
類:ああ、言っていなかったね。 うちの学校の応援合戦にはテーマが決められているんだ。 それが今回は『三国志』なんだよ
KAITO:そうだったんだ。 なかなか難しそうな題材だね
ミク:あ、前にみんなに持ってきてもらった本の中にあったよね! でも、難しくて最後まで読めなかったなぁ……
リン:どんなお話なの?
類:簡単に言うと、3つの国の覇権を争って それぞれの立役者が奮闘をする話なんだけど……
類:応援合戦では内容を知らない人でもちゃんと楽しめるように 作中で登場する有名な武将…… 劉備をイメージに展開させようと思っているよ
KAITO:なるほど、劉備か……
ミク:りゅうび? ルカ、知ってる?
ルカ:りゅうび……
ルカ:もちろん、知ってるわ♪ カッパさんが好きな緑の食べ物よ~
ルカ:夏は川の冷たい水で冷やしてから食べるのが とってもおいしいんですって
KAITO:うーん…… それは、きゅうりじゃないかな?
ミク:あはは、ルカってば~☆ それ、響きが似てるだけだよっ
ルカ:あら……違ったのね。 じゃあ、りゅうびってなにかしら?
類:戦乱の世で人々に慕われながら国を築き上げた人だよ。 でも、あくまでテーマに留めようと思っているから 詳しくなくても大丈夫だよ
類:それより、今悩んでいるのは構成の整理かな。 ベースの案は無数にあるから、それを可能な限り盛りこみつつ 精査していきたいんだけど……うまく嚙み合わなくてね
MEIKO:団長さんがほぼ1年かけて考えた、想いの詰まった案だものね。 たしかに、まとめるのは難しそうだけど…… なにかいいヒントはないかしら?
ルカ:きゅうり……カッパさん……水の中……
ルカ:ふふ、とっても気持ちよさそうに泳いで…… みんなで楽しそうねえ……すぅ……♪
類:水の中で泳ぐ、か……。 火に飛びこむ演出は入れる予定だけど……
類:そういえば、僕達は青組だし、 青をモチーフにしたものを 演出に入れこんでもいいかもしれないね
類:となると、劉備のイメージと合うのは……
KAITO:類くんの、すぐにアイディアを思いつく頭の回転の早いところは 三国志の孔明みたいだ
ミク:類くんすごーい!
ミク:……でも、こうめいって誰だっけ?
MEIKO:ミクはもう一度、三国志を読んだらどうかしら
類:——うん、なかなかいいアイディアが浮かんだよ。 今日帰ったら、さっそく案をまとめてみよう
寧々:え、もうまとめるところまでいってるの?
えむ:さっすが類くん!
えむ:あたしも、体育祭の日は 遠くからギューンと応援パワーを送るよ!
えむ:がんばれがんばれ、る~いくんっ! がんばれがんばれ、つ~かさくんっ! がんばれがんばれ、ね~ねちゃんっ!
寧々:もう……。 まだ体育祭じゃないんだから、気が早いでしょ
KAITO:でも、えむちゃんの応援は元気が出るね
類:フフ、そうだね。 もしかしたら僕達の中で、一番応援団に向いてるんじゃないかな
類:僕も、えむくんのように みんなに力を与えられるよう、頑張らなくてはね
翌日
神山高校 校庭
類:……では、みんなの動きを見ながら 構成の細かいところを詰めさせてもらいますね
類:ストーリーとしては 悪政で疲弊しきった国に劉備が現れて、 貧民達や兵に立ち上がる活力を与える展開を想定しています
杏:貧民や兵の役は私達がやるんだよね
青組団長:……ふむ。 武将モチーフならば、テーマが決まる前から考えていた 武器を振り回しながら校庭を走る動きも使えるな
類:ええ、主役の劉備である団長の立ち回りは非常に重要です。 細かいところまで詰めたいところですが……、 まずは好きに動いてみましょうか
類:団長。 大胆な動きで、みんなを鼓舞してあげてください
瑞希:団長ー、元気づけてー!
青組団長:任せろ。武器を使った立ち回りは 絶対に取り入れたかった動きのひとつだから ずっと特訓を続けてきている
青組団長:うおおおおおおお!!!
瑞希:おおっ、さすが! なかなかサマになってるね!
類:団員のみんなにも、それぞれに相応しい役があるから、 動きを確認しながらやってみようか
青組団員達:……へえ。 なんかおもしろそうだな
青組団員達:こういうの初めてだから不安だったけど ちょっと、楽しみかも……
杏:私達はどんな役になるのかな? 楽しみだね、瑞希!
瑞希:そうだね。 しっかし、1日でここまで構成をまとめちゃうなんて……
瑞希:さっすが類! 天才演出家~!
類:まだ調整段階だけどね
類:(とはいえ、イメージは固まってきたかな。 ただ、なにかもうひと要素あれば、もっと……)
???:今回も性懲りもなく応援団に立候補したようだな
類:え……?
赤組団長:はじめましてだな、青組の諸君。 我らが赤組応援団だ、よろしく頼む
類:おや、司くん
司:一昨日ぶりだな、類! まさかこのような形で顔を合わせることになろうとは!
杏:ていうか、彰人も応援団やってたんだ! もしかして立候補とか?
彰人:……オレが好き好んで立候補するわけねえだろ
彰人:司センパイに、しつこ…… いや、熱心に頼まれて仕方なく……
司:ああ、最初は難色を示されたが、 我が赤組応援団のあのパートには彰人の協力が欠かせないと 頼みこんだら快諾してくれたのだ!
彰人:快諾はしてねえっての……
司:しかし…… 青組応援団に演出のヘルプが入ったことは聞いていたが まさか類のことだったとは
類:そうだね。 僕も昨日、司くんが応援団に入ったと聞いて驚いたよ
類:(それに、団長のこの感じを見ると……)
青組団長:……やはり、今年もお前と争うことになるのか
赤組団長:当然だ。 『勝負あるところに応援(われ)あり』。 ……それが我らのモットーだろう?
瑞希:……もしかして
瑞希:この人が、団長の言ってた『宿敵』なの!?

第 4 话:引っかかり

神山高校 校庭
青組団長:暁山くんの言うとおり…… 彼が、前回の体育祭で私に辛酸をなめさせた宿敵だ
赤組団長:こいつとは腐れ縁でな。 幼稚園の頃から、応援団として互いの組の応援に勤しんできた
瑞希:幼稚園から!?
赤組団長:ああ。あの頃から今に至るまで抜きつ抜かれつを繰り返し—— 高校では1勝1敗の戦績。 そして、今回が決着の年というわけだ
青組団長:……必ず勝つ
赤組団長:ハッ、前回惨敗した貴様にできるかな? こちらは精鋭をそろえているぞ
司:団長の言うとおりだ! 敵の演出に類がついていたことは想定外だったが……、 赤組には、未来のスターたるこの天馬司がいる!
司:スターの歩む道を照らすのは勝利の輝きのみ! 当日は正々堂々、勝負といこうではないか!!
彰人:……部活中の生徒もいるし、 ちょっと声抑えたほうがいいんじゃないすか?
司:む、そうだな。 すまない、少し熱くなってしまった
青組団長:……お前がいかなる時も万全の準備をして 挑んでくることは知っている。 ましてや、今回は互いにとって最も大切な最後の体育祭——
青組団長:おそらく全力の策を考えていることだろう。 だが、それでも…… 共に歩むことを誓った頼もしい仲間ならば私にもついている!
類:……!
青組団長:こちらも手を抜くつもりはない。 決戦で会おう!
赤組団長:フッ、退屈だけはさせてくれるなよ。 ……行くぞ、諸君
司:また会おう!
瑞希:……行っちゃった
類:赤組の応援団もなかなか賑やかだね
瑞希:賑やかっていうか、何しに来たのかわかんないっていうか……
杏:ていうか、彰人も応援団だったとはねー
杏:どんな応援するのか楽しみだけど 絶対負けないし!
瑞希:うんうん! 団長の宿敵がどんな人なのかもわかったし…… 応援合戦の練習、がんばってこー!
青組団長:——よし、練習するぞ! 神代くん、引き続き演出は任せたからな!
類:……ええ、尽力します
類:(赤組のおかげで、 思いがけずみんなの結束が強まったな)
類:(——全力で、いいものにしていこう)
数日後
類:……うん。 今日はここまでにしましょうか
瑞希:ねえ、最後の通し すっごくいい感じじゃなかった!?
杏:わかる! 今までより、みんなの息がピッタリ合ってた気がするよね!
青組団長:劉備の立ち振る舞いも、 神代くんの指導のおかげで板についてきている。 ……本当にありがとう
類:お礼を言うのはまだ早いですよ
類:(とはいえ、連日の練習のかいあって みんなの立ち振る舞いがだいぶイメージと重なってきた)
類:(体育祭まであと数日……、 このままいけば問題ないレベルだ)
類:(でも、冒頭の劉備と彼が率いる兵が複数登場するシーン……。 まだ改良の余地がある気がする)
類:(……国の行く末を担う武将の登場だ。 最も目立つ場所……できれば高所がいい)
類:(けれど、そんな足場はない。ならば——)
類:(……そうか、校舎を使えたら……。 だが、そこから校庭に移動するとなると……)
類:……そうだ!
杏:神代先輩? どうかしましたか?
類:ああ、いいことを思いついたんだ。 校舎の上からみんなが一斉に——
類:——いや
類:やっぱり、もう少し考えることにするよ
瑞希:類……?
類:今日はみんな、想像以上のものを披露してくれた。 この調子で、明日以降の練習も頑張っていこう
青組団員達:おおっ……! 演出家のお墨付きがあるなら安心だな!
青組団長:よし、それじゃ今日は解散だ。 各自風邪などひかないよう 風呂に入って温かくして寝るように!
杏:おー! 本番まで頑張りましょうね!
瑞希:…………
類の部屋
類:……よし。 これで次のショーで使う装置は完成だ
類:(この改造ポップアップ台で 勢いよくみんなを持ち上げたら、とても盛り上がるだろうね。 客席の反応が楽しみだ)
類:(最近は応援団にかかりきりで、 作業があまり進まなかったけど——)
類:——応援団、か
類:(さっき思いついたアイディア……あれを取り入れれば、 応援合戦の質が格段に上がることは間違いない)
類:(今のままでも決して悪くはないけれど、 みんなと目指してきた最高の応援合戦にするには 欠かせない要素になるはずだ)
類:(……僕も、みんなと同じように できうる限り最上の演出をつけたいと思っている)
類:(その気持ちは、最初も今も変わらない。 ……はずなのに)
類:なぜ、言いだせないんだろう
類:(このまま本番を迎えて、たとえ勝つことができたとしても。 みんなが心から笑顔を咲かせていたとしても……)
類:(僕は、僕が満足する応援合戦ができなかったことを この先もずっと、後悔するはずだ)
類:そういえば——
ワンダーランドのセカイ
ルカ:あら~。 それで類くんは、カイトくんに会いに来たの~?
類:うん。前にも、カイトさんにヒントをもらったことがあってね。 何かいいアドバイスをもらえるかと思ったんだ
リン:そうだったんだ! でも、今カイトどこかに行っちゃってるみたいなの
レン:ごめんね、類くん!
類:気にしないで。 突然来たんだから仕方ないよ
ルカ:うーん……。言いたいと思っているのに 言えないことがあるなんて……、 難しいわねえ……
ルカ:……だけど、類くんはそのお話、 わたし達にはしてくれたのね
類:それは——
類:ここにいるみんなとえむくん達は、ショーをする仲間だからね
リン:そっかぁ!
リン:……あれ? でも、応援合戦をやるみんなも、おんなじ仲間じゃないの?
類:……それは、たしかにそうだ
ルカ:あ……もしかして
レン:ルカ、なにか思いついたの?
リン:なになにっ!?
ルカ:類くんは、わたし達やえむちゃん達にしか お話できない魔法にかかっちゃってるのかしら?
類:え?
リン:魔法?
ルカ:そう。 それなら、魔法を解く方法を探さなくちゃ
ルカ:まずは……。 魔法使いさんを見つけるところから始めるのがいいかしら?
リン:そんなことしてたら、体育祭終わっちゃうよ~!
レン:それに、魔法使いの居場所なんて全然わかんないよ~!
ルカ:うーん、そうよねえ。 夢の中みたいに、すぐ会えるわけじゃないものねえ……
ルカ:ごめんなさい、カイトくんみたいに力になれなくて……
類:……いや。 話を聞いてくれただけで、ありがたいよ
類:(でも、やっぱり、何か引っかかる。 どうして僕は——)
ルカ:でもね、類くん。 わたし、なんだか少し嬉しいの
類:……嬉しい?
ルカ:ええ。類くんがみんなに言えないお話を聞かせてもらえて。 それってなんだか、特別な感じがするでしょう?
ルカ:類くんに、信頼されている気がして
類:信頼……
類:(そうか、僕は……)
男の子A:こんなのおもしろそうってだけでやれないよ!
男の子B:そうだよ! 類くん、おかしいよ!
類:(僕はまた——怖がってたんだ。 無意識のうちに、みんなに拒まれることを)
類:少しは克服したつもりだったけれど……、 染みついたものはなかなか落とせないね
類:ありがとう、ルカさん。 やっぱり明日、みんなに話してみるよ
ルカ:少しでも類くんの力になれたのなら嬉しいわ。 ふあ、なんだか安心して……
ルカ:……すぅ……♪
リン:わわっ、そんなところで寝ちゃダメだって~!

第 5 话:背中を押されて

翌日
神山高校
類:(さてと……)
類:(体育祭まで、もう日がない。 今日、例の演出のことをみんなに話さなければ)
類:…………
類:(……フフ。 ちゃんと言おうと決めたはずなのに、 どこか言うことを先延ばしにする理由を探している)
類:(まさか、自分がここまで臆病だとは思わなかったよ。 ……本当に、染みついたものは厄介だね)
瑞希:さーてと! いよいよ体育祭まであと少し! 今日も応援合戦の練習がんばるぞー……って
瑞希:類?  ドアの前でぼーっと立って……どうしたんだろ?
類:ああ、いいことを思いついたんだ。 校舎の上からみんなが一斉に——
類:——いや
類:やっぱり、もう少し考えることにするよ
瑞希:(そういえば、昨日もなんか変だったよね。 何か言おうとして、やめちゃったような……)
瑞希:(もしかして……)
瑞希:やっほー、類。 何してんの、ドアの前で
類:え……瑞希?
瑞希:らしくない顔してるじゃん。 ……もしかして、昨日言おうとしてたことと関係ある?
類:——さすがに鋭いね
瑞希:そこそこつきあい長いからね~。 で、何かあったの?
類:……言いたいことがあるんだけど、 どうしても勇気が出なくてね
類:僕が僕のやりたいことを話したら、 またみんな、あちら側に行ってしまうんじゃないかと
類:……そう、思ってしまって
瑞希:そっか
瑞希:——類は、もう大丈夫だよ
類:え?
瑞希:文化祭の時、思ったんだ。 類はもう屋上だけじゃなくて、あっち側にも——
瑞希:……みんなのところにも、行けるってさ
類:瑞希……
瑞希:だから、難しいこと考えずに話してみたら?
瑞希:どんなアイディアがでてくるのか期待してるよ、 天才演出家さん♪
類:…………
類:……ありがとう
空き教室
杏:よーし! もうみんな頭から最後まで通せるようになったし、 あとはクオリティをあげるための練習ですね!
青組団員達:立ち上がってターンするところ、まだ不安だから もうちょっとそこを練習してみよっかな
青組団員達:俺も、団長と剣を交えるところの立ち回りが……
類:みんな、少しいいでしょうか
青組団長:おお、来たな、神代くん。 どうした?
類:はい、実は——
類:——大きく、演出を変更したいところがあります
杏:えっ!?
類:……ということで 冒頭の部分に今話した演出を取り入れたいと思っています
類:現状の冒頭の演出は、青い炎がモチーフで 静かに揺らめく火がやがて燃え盛るように……。 『静』から『動』にゆったりと移行する流れを重視していました
類:ただ、これでは『静』の時間が長いため、 観客の飽きを助長してしまう懸念がありました
類:ですが、今話した案を採用すれば 冒頭に強烈なインパクトを与えることで、観客の視線を 最後まで応援合戦の世界に引きつけることができるんです
青組団員達:か、神代の話はわかった。 でも、その演出だと練習にかかる時間は……
類:完璧に仕上げるには、 当日にギリギリ間に合うかどうか……というところでしょう
青組団員達:そんな……。 本番までもう日がないのに……?
青組団員達:それに、その演出……本当にできるの?
類:もちろん、安全には万全の配慮をすることが大前提です。 絶対に誰にも怪我はさせないと約束します
青組団員達:……神代の提案が実現できたら すごいものになるってのはわかる。 その衝撃吸収命綱を使えば、安全性も確保できるとは思うし
青組団員達:でも……正直、そこまでする必要があるのかどうか
青組団員達:そうですね。危険なことは避けるべきかと。 もう体育祭まで日がありませんし、 問題がなければ現状の構成のままでも——
瑞希:…………
瑞希:ちょっと待っ……
青組団長:待て
類:え……?
瑞希:団長……
青組団長:神代くん。キミのアイディアなら、 今のものよりもより熱い応援合戦ができる確信があるんだな?
類:——もちろんです
青組団長:この件を任された演出家として…… 本番にも、ギリギリであろうと必ず間に合わせ、 最高のパフォーマンスを発揮させる算段もあるのだな?
類:はい
類:……それには、みんなの協力が不可欠ですが
青組団長:わかった。 それならば、やらない理由はない。 ……そうだろう?
類:……!
青組団員達:で、ですが……
杏:……そうですよね
杏:私達は、今回の応援合戦を 最高のものにするって気持ちでやってきたんだし
杏:神代先輩の案でもっといいものができるなら、 私も挑戦したいです!
類:白石くん……
青組団員達:たしかにちょっと勇気のいる演出だけど、 この案なら絶対に観客を盛り上げられる気がするな
青組団員達:今までの演出も、悪くなかったしね。 それがこれ以上なんて…… もっとすごいことになるんじゃない?
青組団員達:本当に、歴史に刻まれる応援合戦ができるかもしれない……
青組団員達:やりましょう、みんな! 本番まで、全力で!
類:…………
瑞希:よーし! そうと決まったら、さっそく練習だね!
青組団長:ああ、本番まで時間がない。 ……ほら、なにを呆けているんだ神代くん。 キミがいなければ成立しないんだぞ!
類:あ……
類:はい!
瑞希:(……最初は、どうなることかと思ったけど)
瑞希:(よかったね、類)
体育祭当日
校門
絵名:うわっ、人多っ……
絵名:(宿題のプリント忘れたから取りに来たけど、 体育祭って今日だったっけ。すっかり忘れてた……)
絵名:(この感じだと、教室も観覧席とかに使われてそう。 よりによってこんな日に忘れ物なんて、ホント最悪……。 早くプリントだけ取って帰ろう)
瑞希:あれ、絵名?
絵名:あ、瑞希
瑞希:どうしたの? 夜間は体育祭ないんじゃなかったっけ
瑞希:あっ、わかった! 弟くんのこと見に来たんだ。 せっかくの応援団だもんね!
絵名:いや、別にそういうわけじゃないし。 ていうか、応援団?
瑞希:あれ、聞いてないの? 弟くん、赤組の応援団なんだよ。 かくいうボクも、青組の応援団なんだけどねー
絵名:瑞希も?
瑞希:まあね。 ちょっといろいろあって——って
瑞希:準備があるからそろそろ行かなきゃ! またね~
絵名:あっ、ちょっと……!
絵名:瑞希と彰人が応援団、か……
絵名:なんかちょっと楽しそうじゃん。 せっかくだし、見ていこっかな
校庭
杏:あ、いたいた瑞希! どこ行ってたの?
瑞希:ごめんごめん。 絵名にばったり会っちゃって
杏:絵名さん? ああ、彰人の応援に来たのかな
実況:まもなく、1年生による借り物競争です。 出場者は、校庭に集まってください
杏:——って、あれ? 瑞希って借り物競争出るんじゃなかったっけ?
瑞希:やばっ、そうだった! 行かなきゃ!
杏:応援してるから、頑張ってね!
瑞希:うん! ありがと、杏!
瑞希:(いよいよ体育祭本番…… 応援合戦もだけど、競技もがんばんなきゃ!)

第 6 话:体育祭開幕!

神山高校 校庭
実況:さあ、始まりました神山高校体育祭! 最初の競技から早速の熱い展開! 1位を争い、赤組と青組の激戦が繰り広げられています!
絵名:(へえ、1年生の借り物競争か……)
杏:頑張れ、瑞希~っ!
司:いけっ、負けるな彰人!
絵名:えっ、瑞希と彰人!?
冬弥:さすがは彰人、とても速いな。 そのままゴールすれば1位は確実だ
冬弥のクラスメイト:いや、赤組を応援してどうするんだよ!
瑞希:はあっ……はあっ……
瑞希:(弟くん、足速すぎ……! 全然距離が縮まらないよ!)
彰人:……ふう、ここまでは1位か
実況:おーっと、ここで赤組の東雲さんが一番に紙をゲットです! さて、何が書いてあるのか!?
彰人:(ま、あとは書いてあるやつ借りて走りゃ勝てるだろ——って)
彰人:ゲッ!! なんだよこれ!
類:おや? なんだか東雲くんの様子が変だね
杏:大チャンス!
杏:瑞希、今のうちに追い越しちゃえ~!
司:どうしたんだ彰人!? なぜ固まっている!?
彰人:(『とんでもなく大声の人』……。 これは……いや、だが……)
司:彰人、何が書いてあったんだー!? オレにできることなら力になるぞ!!
絵名:うわ、あの人声でっか。 こんなに距離あるのに、マイクなしで聞き取れるし
絵名:てか彰人、どうしたんだろ。 なんか悩んでるみたいだけど……
瑞希:はあ……はあ…… ちょっと遅れたけど、追いついた……!
瑞希:(弟くん、もしかして難しいお題に当たったのかな?)
瑞希:ボクのは簡単なのだといいな~……っと
瑞希:おっ!
瑞希:これは……勝ったかも!
瑞希:誰か~! リボンモチーフのアクセサリー持ってる人~っ!
絵名:リボン……?
絵名:あっ! 今日してきたブレスレット……!
類:ふむ。 あのお題なら、すぐ見つかりそうだね
杏:近くに持ってる人いますかね~?
絵名:瑞希~っ、瑞希、こっち!
絵名:今日私がしてきたやつ、 たぶん条件にあうと思うから、持って行って!
瑞希:ホント!? ナイスだよ、絵名!
絵名:はい! ほら、早くしないと彰人に抜かれるよ
瑞希:うん、ありがとね!
瑞希:ってことで……
瑞希:お先に、弟くん!
彰人:チッ……! 絵名のヤツ、余計なことしやがって……!
瑞希:ふっふっふ。 赤組には絶対負けられないからね!
彰人:クソッ、もうなりふり構ってられねえ……
彰人:司センパイ! ちょっといいすか?
司:おお! やっとオレの力を借りる気になったか!
司:それで、オレは何をすればいい!?
彰人:乗ってください!
司:む?
瑞希:(よし、ゴールまでもうすぐ! このままいけば、1位で……)
彰人の声:させるかよ!
瑞希:えっ!? 結構差をつけたはずなのに、もうここまで——って
瑞希:ええっ、なにそれっ!?
実況:東雲さんが天馬さんを背負って爆走~! とんでもないスピードです!
司:ハーッハッハ! どんどんみんなを引き離していくな!
彰人:わかったんで、ちょっと黙っててもらっていいすか……!
瑞希:(おんぶしながら、ここまでの速さが出せるなんて……)
瑞希:(でも……ボクだって負けらんないよ!!)
実況:おおっと!? ここで暁山さんがスピードアップ! 東雲さん、追いつくことができるか!?
彰人:やるじゃねえか……!
瑞希:ふふーん。 追いついてみなよ!
司:まずい、彰人
彰人:は? なんすか?
司:風圧で目が乾燥してきた
彰人:…………
実況:なんと~! ここで東雲さんがまた追い上げてきた! 速すぎる~!
瑞希:なっ……!? うそでしょ、そんな——
瑞希:わあああっ!?
杏:瑞希っ!?
実況:おっとここでまさかのハプニング! 東雲さんに気をとられた暁山さんが転倒~っ!
瑞希:うっ……。 でも、諦めないっ!
実況:暁山さん、立ち上がりましたが その横を東雲さんが通過! 1位を奪取です!
実況:そして今! 会場の歓声を受け止めながら……
実況:ゴールイン!!!
彰人:よっし!
瑞希:あ~!
実況:ここで暁山さんが二着でゴールイン! 健闘を見せてくれました!
瑞希:はあ……はあ……
彰人:おい、大丈夫か?
瑞希:く……
瑞希:悔し~~~っ! 次があったら絶対負けないからね!
杏:惜しいー! 瑞希、頑張ったよ~!
類:大きな怪我はしていないようで、安心したよ
類:……しかし、東雲くんはとんでもない脚力だね
杏:サッカー部の助っ人とかやってますしね。 あと、私達との練習で体力もついてるし
類:なるほど。では同じチームの青柳くんも なかなか期待できそうだね
類:そういえば、次の玉入れで白石くんと当たるんじゃないかい?
杏:そうですけど……。 私だっていつも練習で鍛えてるし、負けませんから!
類:それは心強いね。 ふたりがどんな勝負をするのか楽しみだな
実況:さて、毎年様々なドラマが繰り広げられている 学年合同の玉入れですが、 現在、緑組が苦戦を強いられています!
杏:それっ!
冬弥:…………
杏:よしっ、また入った!
冬弥:やるな、白石。 野球選手並みの綺麗なフォームだ
杏:ふふ、でしょ~?
杏:……っていうか、さっきから見てるだけだけどいいの? このままじゃ冬弥達の緑組、最下位になっちゃうよ?
冬弥:そうだな。今の点差だと、 もっと効率的に動く必要がありそうだ
冬弥:——緑組のみんな、聞いてくれ
冬弥:おそらく玉入れでは、 身長が高いほうが有利になると思う
冬弥:俺は素早く動くのはあまり得意ではないが、 玉を入れる役だったら、きっと貢献できるはずだ
冬弥:だからみんな、玉を俺のところへ集めてほしい
冬弥のクラスメイト:別にいいけど……。 青柳、お前玉入れって初めてじゃなかったか?
冬弥:それに関しては問題ない。 白石が投げるフォームを見て、 確実に玉を入れるイメージができた
杏:なっ……! さっきぼーっとしてたのって、そういうことだったの!?
寧々:なるほどね……。 たしかに、わたしが投げるよりも効率いいかも
寧々:わかった、待ってて
冬弥のクラスメイト:俺も集めてくる!
冬弥:ああ、ありがとう
類:(……ふむ。 前半戦は妙にぼんやりしていると思っていたけれど…… やはり青柳くん、どうやら爪を隠していたようだね)
類:(となると……)
寧々:はい、これ。 玉、集めてきたよ
冬弥:助かる。 これくらいあれば十分だ
冬弥:——いくぞ
杏:(どうしよ~! 今の冬弥が本気になったらきっと……!)
冬弥:それっ!
類:…………?
杏:……あれ?
冬弥:む、おかしい。 少し軸がぶれていたようだ
冬弥:だが、次は必ず——!
寧々:……えっと
冬弥:いや、次こそ——
類:(……なるほど)
杏:と、冬弥……
杏:(全っ然入ってない……!)
冬弥:……む
冬弥:すまない、玉が足りなくなった。 もう一度集めてきてくれないだろうか?
寧々:いいけど……。 これ、わたし達が投げたほうが早くない……?
実況:皆さま、競技お疲れさまでした。 いよいよ中間結果の発表です
実況:そのあとは、神高名物の応援合戦となります。 観覧席の皆さまには投票券をお配りしますので ご確認お願いします
類:(もう中間発表か。あっという間だったな)
類:(この結果次第で みんなが応援合戦に臨む気持ちも変わってきそうだ。 さて、どう出るか……)
ミク:『うわ~、そろそろ応援合戦かあ! 楽しみルンルンだねっ☆』
類:ミクくん……来ていたんだね
KAITO:『こら、いきなり出たら驚かせちゃうよ』
ミク:『ごめ~ん! 類くんががんばってた応援合戦、待ちきれなくて~!』
ルカ:『すう……♪ すう……♪』
MEIKO:『ちょっとルカ! 起きなさいっ!』
類:フフ、ありがとう。 期待に沿えるものを見せられるよう、努力するよ
類:でも、その前にまずは 中間結果の確認をしないとね
ミク:『そうだね! 類くん達の青組は何位かな~?』
実況:えー…… ただいま、集計が終わりました
実況:中間結果は——

第 7 话:中間発表

神山高校 校庭
実況:中間結果は……
実況:赤組が大きくリード、 次いで緑組、最後に青組となっています
司:ハーッハッハ、計画どおりだ! このまま応援合戦でも勝ち抜くぞ!
彰人:まあ、当然だな
冬弥:2位か…… もう少し玉入れで貢献できればよかったのだが
寧々:もう少しっていうか、 わたし達は何ひとつ貢献できなかった気がするけど
瑞希:えーっ、最下位!? みんな結構がんばってたのにな~
杏:でも、後半戦も応援合戦もあるし、まだまだここからだよ! 気持ち切り替えていかなくちゃ!
ミク:『わっ、類くんの青組ピンチだ~!』
類:残念だけど、そのようだね。 でも……
類:そのほうが面白いかもしれない
KAITO:『ふふ、類くんらしい顔だね。 ますます応援合戦が楽しみになってきたよ』
赤組団長:——いよいよだな
赤組団長:ついに決着だ。 前回同様、圧倒的なパフォーマンスで勝利を収め お前との差を見せつけてやろう
青組団長:……ああ、お互い頑張ろう
赤組団長:……なんだ、妙に静かじゃないか。 勝負の前から負けを悟ったか?
青組団長:いや…… これは嵐の前の静けさのようなものだ
青組団長:今は……私の想いを信じてくれた仲間達と共に 最大限のものを出し切って 青組のみんなを活気づけたい。それだけだ
類:団長……
赤組団長:……ハッ、ずいぶんと大口をたたくものだな。 勝利に執着のない応援に、なんの意味がある?
赤組団長:そんなものに負けるわけにはいかない。 俺達が生半可な覚悟でここに立っているわけではないこと—— 存分に見せてやる。……ではな!
杏:……行っちゃった
瑞希:いっつも言いたいことだけ言っていなくなるよね~
瑞希:でもでも、さっきの団長の言葉! ボク、ちょっと感動しちゃったよ!
杏:うんうん、『私の想いを信じてくれた仲間達と共に……』って かっこよかったですよ!
青組団長:そ、そうか? なんだか照れるな……
瑞希:でも、あれだけいいこと言っちゃったら 本当に最高の応援合戦をしなくちゃだよね
類:……ああ、そうだね
類:(とはいえ、今回はふたりにとって最後の体育祭…… 赤組の団長がこの応援合戦にかける想いも こちらに引けをとらないはずだ)
類:(それに……)
類:(司くん達が手を抜くはずがない。 ……きっと、想像以上のものを披露してくるだろう)
類:ひとまずは、いち観客として 彼らのパフォーマンスを楽しませてもらおうかな
実況:おまたせいたしました。 これより、神山高校体育祭応援合戦を開催いたします
実況:今回の応援合戦のテーマは『三国志』です。 まずは暫定1位の赤組の応援です
実況:赤組応援団の皆さん、よろしくお願いします
絵名:へえ……。 応援合戦、最初は彰人の組からなんだ
絵名:(それにしても……。 最近ぐったりして帰ってきてると思ってたら、 応援団やってたなんて)
絵名:どんなパフォーマンスするんだろ
瑞希:……あ、太鼓の音が聞こえてきた。 このリズムって、三三七拍子だよね?
類:(意外にも、掴みは王道だね。 でも、このあとどう出るか……)
司:赤組のためにーーーっ!!!
瑞希:うわ、声でかっ!
冬弥:校庭中……いや、校外まで届くような掛け声だ。 さすがは司先輩、俺も気が引き締まるな
寧々:自分が何組か忘れてない?
類:(……司くんの大声を活かした三三七拍子か。 適材適所なのは間違いないけど、特に変わった印象は……)
類:……あれは
絵名:彰人? すっごく大きな旗を持ってるけど……
彰人:行くぞ!
寧々:足速っ……! すごい勢い……!
冬弥:赤い旗が風に煽られて、綺麗だな。 まるで戦場を駆ける馬のようだ
類:(なるほど、東雲くんの役は『赤兎馬』か。 一日で千里を駆けるという駿馬……)
杏:……あれ? 太鼓の音が止まった?
ミク:『応援の声も聞こえなくなったけど…… どうしたんだろう?』
司:…………
彰人:…………
杏:えっ、なんで誰も動かないの?
冬弥:もしかして、これで終わりなのか?
寧々:……違う。 なにか聞こえる……
彰人:♪————
類:(……!  赤いハチマキを手に掲げて、東雲くんが歌いだした)
生徒達:すごい、力強い声……
生徒達:でも、なんか勇気づけられるような……
司:最初は難色を示されたが、 我が赤組応援団のあのパートには彰人の協力が欠かせないと 頼みこんだら快諾してくれたのだ!
類:(たしかに、これは彼にしかできない大役だ)
赤組生徒達:♪————
類:(彼の声につられるように、もうひとり…… またひとり……)
赤組生徒達:♪————
生徒達:ねえ、あの子って応援団だったっけ?
生徒達:いや、違うはずだぞ。 なんなら、今歌い出したあいつも……
冬弥:これは……
瑞希:赤組全員が歌ってる!? それに……
瑞希:いつの間にか、青組と緑組の観覧席が ぐるっと赤組の人達に囲まれてる……!
類:(青組と緑組をそれぞれ敵国に見立てて 攻めこむ様子を表しているのか)
類:当日の席配置まで考慮して練られた、面白い演出だね
赤組生徒達:♪————! ♪————!
ミク:『みんなの歌う声が、どんどん大きくなってるね~!』
KAITO:『こうして囲まれると不安な気持ちになってくるね。 でも、赤組のみんなを見ていると……』
司・彰人:『♪————!!』
KAITO:『歌が大きくなるたびに 一体感が高まっているような気がするよ』
類:(手に掲げている赤いハチマキは、小さな炎。 ひとつひとつは心もとない灯だけど、 集まることによって業火になる……)
類:(派手さはないけど、表現したいことが伝わるし 何より赤組のみんなの士気をこれ以上ないほど高めている)
絵名:すごい……
絵名:これは、名物って言われてるだけあるかも
類:だけど……僕達も負けるわけにはいかない
実況:赤組応援団の皆さん、ありがとうございました。 続いては、緑組の応援合戦です。 緑組応援団の皆さん、準備をよろしくお願いします
瑞希:す……すごかった~!
瑞希:特に歌の力! ああやって大勢に囲まれて知らない歌を歌われると なんか弱気になっちゃうなぁ
杏:たしかに……。 ていうか、天馬先輩の大声、歌でも活きてたよね。 力強くて頼りになるって感じがしたな
類:東雲くんも見事だったね。 校庭を駆け回ったあと、瞬時に息を整えて歌に参加したのには 正直舌を巻いたよ
瑞希:このあとにやる緑組、すごいプレッシャーだろうなぁ
青組団長:……たしかに、今の赤組の応援はすごかった。 まさしく、赤組のみんなの心をわき立たせる『応援』だった
青組団長:だが、その点では 私達の応援も負けているとは思わない。 ……そうだろう?
類:……ええ、もちろんです
類:僕がギリギリで相談した演出の練習にも、 皆さんは今日までしっかりとついてきてくれました
類:おかげで、これ以上ない仕上がりになったと思います。 なので、あとは……
類:想いのすべてを、このあとの本番にぶつけるだけです
類:現在、青組は中間結果で最下位—— もしかしたら、この結果に やる気を失ってしまっている人もいるかもしれません
類:だからこそ——僕達の応援は 青組のみんなにとって大切なものになる
類:……最後の調整をしましょう。 本番で、すべてを出し切るために……
類:みんなに、応援で力を与えるために
団員達:『おーーっ!』

第 8 话:みんなを信じて

神山高校 校庭
実況:緑組応援団の皆さん、ありがとうございました。 最後は、青組の応援です。 青組応援団の皆さん、よろしくお願いします
類:さて、いよいよだね
類:(みんな、ちゃんと持ち場についている。 あとは、練習の成果を出すだけ——)
類:(僕が追加でみんなに提案した、最後の演出……)
類:(この、劉備率いる兵士達の登場シーンが 最初にして究極の山場だ)
冬弥:曲がかかり始めたな
寧々:なんか、悲しい曲……
司:団員達がうなだれているようだが……、 やる気を失った人達を表現しているのか?
彰人:スタンバイしてる団員の数も少ない気がしますね
彰人:(残りはどこにいるんだ? それらしいヤツはどこにも見当たらねえが)
青組団長:青組のためにーーーっ!!
生徒達:えっ? なに……屋上!?
生徒達:青組の応援団長だ! 団員達も教室の窓から……? なんであんなところに……
司:——まさか
生徒達:わあっ!
彰人:な——
冬弥:団員達が…… 屋上や校舎の窓から飛び降りてきた……!?
杏・瑞希:(よしっ!)
司:バンジーで登場とは、なんて無茶苦茶な……! だが、ものすごく類らしい演出だ
彰人:なんつー導入だよ……
類:(……想定どおり、観客の掴みは上々)
類:(このあとは……)
生徒達:わあっ、すごい! プロジェクションマッピングだ!
彰人:校舎に投影するなんて…… ずいぶん派手にやってくれるじゃねえか
絵名:(このエフェクトの使いかた……もしかして瑞希? でも、いつも作ってるのとは全然違う)
絵名:(なんだろ……青い炎? 冷たく見えるけど、なんかちょっとあったかい)
絵名:瑞希、こんなのも作れたんだ……
瑞希:うんうん、みんなの反応いい感じ!
瑞希:火の表現が難しくて、 何回も素材変えたりして作りなおしたけど……。 類と一緒にいろいろ練ってみたかいがあったな~
杏:(団長も瑞希の映像も大成功だね! このあとのパートは、私達貧民役が引っ張っていかなきゃ)
杏:(団長の手に引かれながら起き上がって、ターン!)
冬弥:なるほど、ひとりの武将が、 やる気を失った人々に力を与えていっているのか
寧々:(台詞のない難しいパフォーマンスなのに 見てるだけで、ちゃんと話がわかる)
寧々:(こんな動き、できるんだ……。 演技の初心者も多いはずなのに……)
青組団長:ふっ! はあっ!
生徒達:あれって殺陣っていうんだっけ? すごい迫力!
生徒達:みんな演技力あるな~って思ったけど、 特に団長の動きがすごいよね!
赤組団長:あいつ、あんな動きを、どこで……。 これも演出家の力なのか……!?
司:…………いや、違う
司:たしかに類のサポートもあったとは思いますが、 体育祭までの短い期間で習得するのは難しいはず……
司:おそらく彼はずいぶん前から…… そういった立ち回りの練習をしていたんじゃないでしょうか
赤組団長:…………
彰人:(映像と音楽の使いかたも悪くねえな。 戦いのシーンや、貧しい村のシーン…… それぞれ演出の展開とあってる)
彰人:(結婚式の演出の時も、うまくまとめたとは思ったが…… あれとはまた別物だな。 この引き出しの多さ、ただの演出家とは思えねえ)
類:(次で最後のシーンだ。 最大になった兵力で敵の本陣に攻めこむ)
類:(傷ついた仲間に手を差し伸べながら 誰ひとり欠けない覚悟で戦場を駆け抜ける——!)
類:(うん、ふたりともいい立ち回りだ。 次は劉備の武器で一度に複数人の敵をなぎ倒すシーン。 ここは何度も失敗していたポイントだったけれど……)
青組団長:……よしっ……
類:(いいぞ、完璧だ! 次は、ターンの遠心力で衣装を翻して——)
寧々:……類
寧々:なんだか、すごく楽しそう
瑞希:(……次の動きでフィナーレだね)
杏:(みんなで、息を合わせて……)
杏・瑞希:(——武器を、かかげる!)
青組団長:………… 決まった……
生徒達:……すごい。 最後のシーン、1枚の絵画みたいだったよね
生徒達:うん、ちょっと感動しちゃった
冬弥:……思わず、見入ってしまった
司:類…… やってくれたな!
青組生徒達:すごいぞ、青組応援団!
青組生徒達:みんな一生懸命で、元気をもらえたよ!
青組生徒達:今、最下位だけど…… 最後まで諦めずに頑張ろう!
赤組団長:……なるほど
赤組団長:これが、あいつの集大成か
実況:ただいまをもちまして 神山高校体育祭を終了いたします
瑞希:はあ……
瑞希:最終結果、負けちゃったね!
杏:うん。 でも、充分やり切ったよ!
青組団長:白石くんの言うとおりだ。 たしかに、体育祭で優勝することはできなかったが……
青組団長:応援合戦の結果は1位だった。 しかも、歴代の記録を塗り替える得票数だったらしい
青組団長:私達の想いが届いたのだ。 これも、今日まで頑張ってくれたみんなと…… 何より、神代くんのおかげだ
類:団長……
青組団長:今日の応援合戦は、間違いなく 伝説と呼ぶにふさわしいものになった
青組団長:……高校最後の戦いに、 最高の思い出を与えてくれてありがとう
類:……いえ。 僕がしたことは、ほんの一部で——
瑞希:もう、類ってば 謙遜する必要なんてないって!
青組団員達:ああ、そうだよ。神代がいなかったら、 今日の応援合戦はここまでのものにはならなかった
青組団員達:間違いなく今回のMVPです! ありがとうございます、先輩!
瑞希:……ほら。みんなそう思ってるってさ
類:……そうか
類:ありがとう
青組団長:ああ……本当にすがすがしい気分だ。 高校最後の応援合戦をこんな気持ちで終えられるとは! この余韻に浸りつつ……
青組団長:次は、大学での応援合戦に向けて頑張らねばな!
杏:……へ?
瑞希:ええっ!? これで最後じゃないの!?
青組団長:当然だろう。 『勝負あるところに応援(われ)あり』。 ……我が宿敵も次のステージに向けて備えてくるはずだ
青組団長:次は優秀な演出家に力を貸してもらえないのが不安だが…… 今回の体育祭で得られたものを糧に精進しようと思う
類:フフ、応援していますよ
杏:な、なんていうか……、 大学でも、頑張ってください
絵名:瑞希、楽しそうじゃん
絵名:……ま、見に来てよかったかもね
青組団長:……よし! それじゃ、合戦の勝利を祝して みんなで打ち上げに行こうではないか!
瑞希:えっ?
杏:おーっ、いいですね! たくさん動いたし、みんなでいっぱい 美味しいもの食べに行きましょー!
青組団長:ふむ、ラーメンでも肉でも、なんでもいいぞ。 今日は私がおごろう
杏:やったー! せっかくだし、いっぱい食べちゃお!
類:そうだね……
瑞希:(打ち上げ、か……)
瑞希:あー、ボクはちょっといいかなー
杏:え?
瑞希:ほら、片づけとかしなきゃじゃん? 全員いなくなると大変だし
類:……瑞希が来なければ、団長もがっかりすると思うよ
瑞希:え、なんで……
類:瑞希の担当したプロジェクションマッピング—— あれは団長が形にしたいと望んでいた、 火の中に飛びこむ演出を可能にしたものだ
類:映像を作ってくれたことや、 そういう方法があると教えてくれたことに とても感謝していたよ
類:その言葉を直接伝える機会を奪ってしまうのは…… 少し残酷ではないかい?
瑞希:それは……
瑞希:っていうか、団長に言われなくても 今、類から聞いちゃったじゃん
類:ああ、本当だね。 これは団長に申し訳ないことをしたな
類:でも……
類:僕個人としても、 瑞希が来てくれなければ困るよ
瑞希:え……?
類:あの時、瑞希が背中を押してくれなければ 応援合戦を成功に導けていなかったかもしれないからね
瑞希:あの時……
瑞希:どんなアイディアがでてくるのか期待してるよ、 天才演出家さん♪
瑞希:……そういえば、そんなこともあったね
瑞希:——じゃあ、ちゃちゃっと片づけして 焼肉おごってもらいに行こっか!
青組団長:なんだ、暁山くんは焼肉がいいのか
杏:私も賛成! 想像したらお腹減ってきちゃった!
青組団長:では、店に行く前に少し片づけよう。 私は向こうを手伝ってくるから、暁山くん達はここを頼む
杏:あ、そっち大きな備品多いし、私も行きます! ……あとでね、瑞希!
瑞希:うん
瑞希:……ありがとね、類
類:ん? なにかお礼を言われるようなことをしたかな
類:でも——
類:悪くない体育祭だったね