活动剧情
絶体絶命!?アイランドパニック!
活动ID:62
第 1 话:見慣れぬ海岸で
???
寧々:(うっ……頭痛い……。風邪でも引いたかな)
寧々:(体も重……っていうか、服が重い? 雨でずぶ濡れになった時みたいな……)
寧々:(それに、さっきから聞こえるこれって……波の音……?)
寧々:(どうして? わたし、今どこに——)
寧々:え……えっ?
寧々:ほ、本当に……
寧々:どこなの~~!?!?
えむの声:うーん…… おひさまサニサニ……
寧々:えむ! 大丈夫?
えむ:あ、寧々ちゃん、おはよ~。 小鳥さんがいつもよりチュンチュンしてるね……って
えむ:わあっ、海だ~っ! おひさまの光がキラキラして、すっごくきれいだね!
えむ:……でも、なんでこんなところにいるんだっけ?
寧々:わ、わたしもちょっと、わかんないんだけど……
司:ふたりとも、ここにいたのか!
えむ:類くん、司くん!
類:姿が見えなかったから心配していたけれど、 元気なようで安心したよ
司:スマホもなくしてしまって、連絡が取れなかったからな
ネネロボ:ミンナが無事でヨカッタデス
寧々:あ……! ネネロボも大丈夫だったんだ。よかった……
類:少し海水に浸かっているみたいだから、 あまり無理はさせられないけどね
司:しかし、まさかこんなことになるとはな。 クルーザーも座礁しているようだったし……
寧々:クルーザー……?
寧々:あ……そういえば……!
慶介:さて、次の宣伝公演についての詳細が決まった
えむ:やった~! 次はどこかな~♪
司:ハッハッハ、アメリカまで行ったオレ達は、 地球の裏側でも銀河の果てでも驚かないぞ!
寧々:いや、さすがにそれは驚くでしょ
晶介:……へえ。 それじゃさくっと発表するが
晶介:今回の公演先は——無人島だ
司:はっ?
えむ:む……無人島っ!?!?
晶介:ああ。それも『魔の無人島』と呼ばれるいわくつきの場所でな。 どうも奇妙な生き物がウヨウヨいるらしい
晶介:その上、周辺には 魔の四角地帯なんて呼ばれる海域があるらしく、 辿り着くまでに難破する船も多いとかなんとか……
類:奇妙な生き物に、魔の四角地帯……。 フフフ、それは興味深いですね
寧々:っていうか、そんなところでショーできるわけ?
司:そもそも、客はそんな危険な場所にどうやって行くんだ!?
晶介:それはだな——
慶介:晶介、冗談はそこまでだ
えむ:えっ?
晶介:はは、引っかかったな。 最近驚かなくなってきたから刺激をやろうと思ったんだ
類:ということは……無人島ではないんですね
寧々:なんでちょっと残念そうなの
司:じゃあ、本当の場所はどこなんだ?
慶介:沖縄にあるホールだ。 建物自体は古くて席数も少ないが、 地元の人々から広く親しまれている
慶介:地方での公演は新たな客層の獲得や話題性を狙えるから 積極的にやるべきだという話は以前からあった。 とはいえ、場所の選定に難航していたんだが……
慶介:先日、条件に一致するホールを持つオーナーから 音楽堂の公演を見て感動したから、 是非うちでもやってほしいと連絡があったんだ
寧々:わたし達の公演を見て……
司:そうか……
司:なんとも、ありがたい話だな
晶介:それから、もうひとつ朗報だ
晶介:現地までの送迎は、数年ぶりに新調した俺の自慢のクルーザーで 俺自らやってやる
司:な……なんだと!? そんな豪華な旅ができるのか!?
晶介:そうだ。 ありがたく思え
えむ:やった~! お兄ちゃんのクルーザー久しぶりだ! 昔、1回乗せてもらったことあるよね!
えむ:そのあとは、乗せて~って頼んでも、 ずっとやだって言われてたけど……
晶介:お前が海に手突っこもうとして落ちそうになったり、 走ってる船のヘリに立とうとするからだろ
慶介:だが今回は宣伝大使を頑張っているから、 そのご褒美に、ということだな
晶介:は? いや、そういうわけじゃ——
えむ:えーっ、そうだったんだ! ありがとう、お兄ちゃん!
晶介:あー……。 まあ、そういうことにしといてやるよ
えむ:久しぶりのクルーザー、何しよ~!? あっ、お魚とか釣るのはどうかなっ? みんなでどれだけ釣れるか競争しよーよ!
司:釣りか。たしかに楽しそうだな。 その場で焼いて食べるのも……
司:って、駄目だ駄目だ! これは遊びじゃない! オレ達は南の彼方まで笑顔を届ける使命を負っているんだからな!
司:今回も最高の公演をして観客を圧倒し、 さらに輝こうではないか!
寧々:(さらに輝く……か)
寧々:(今回、わたし達を呼んでくれた人は 音楽堂の公演を見て声をかけてくれたって言ってたけど……。 それはきっと、司のおかげだろうな)
寧々:(いつも勢いのある感じの役が多いけど、 あの時は繊細な役をやってちょっと成長できてた気がするし)
寧々:(いつも見てるわたしもびっくりしたくらいだから、 お客さんも驚いただろうな)
司:む、どうしたんだ、寧々? オレの顔になにかついてるか?
寧々:……別に、なんでもない
寧々:(……わたしも次の公演、頑張らなきゃ)
寧々:(風祭さんみたいなミュージカル俳優になるために……!)
慶介:では、話は以上だ。 当日の集合場所は晶介から連絡する。 君達も公演の内容がまとまったら連絡をくれ
類:わかりました。 ……さて、どんな演目にしようかな?
えむ:さっそくみんなで考えようよ! 沖縄だから、フルーツがいっぱい出てくるショーにするとか!
司:それだけだと何が何やらわからんが……。 よし、いったん作戦会議だ! 総員、ステージ裏に集合!
えむ:おーっ!
寧々:……そうだ、思い出した……
寧々:みんなでクルーザーに乗ってたら、 どんどん雨も風も強くなって……
寧々:気がついたらここに……
???:『司く~ん!? どこ~っ!?』
司:この声は……ミクか?
えむ:あっ、あそこ! 砂浜に突き刺さってるの、司くんのスマホじゃない?
司:なんだと!? なくしたと思っていたが……
類:ミクくんの声もあそこから聞こえるね。 とりあえず、拾いに行こう
ミク:『わ~、みんな一緒だったんだね! よかった~っ!』
KAITO:『司くんのスマホにはつながるのに姿が見えないし、 他のみんなのスマホはそもそもつながらなくて変だって ミクが心配していてね』
KAITO:『何か大変なことがあったんじゃないかって 見に来たんだよ』
類:そうか……。僕のスマホは、 水没して使い物にならなくなっていたからかな
えむ:あたしのも、電源つかなくなってた!
寧々:わたしのも……
司:オレのは奇跡的に無事だったのか……
レン:『どういうこと? なんでみんな、スマホが使えなくなっちゃってるの?』
類:どうやらクルーザーに乗って公演に向かう途中で、 嵐に遭って遭難したみたいでね
ミク・レン:『ええーっ!?』
寧々:っ……
KAITO:『こんな場所だと電気もとおってないだろうし、 司くんのスマホも、いつ充電が切れるかわからないな……』
ミク:『え~っ、急にみんなと お話できなくなっちゃうかもしれないってこと!?』
KAITO:『心配だけど、仕方ないよ。 僕達はできる限りサポートしよう』
MEIKO:『ねえ、そういえば—— みんなが乗ってたクルーザーって、えむちゃんのお兄さんが 操縦するって話してたわよね?』
MEIKO:『今、そのお兄さんはどこにいるの?』
類:そういえば……
司:言われてみれば、姿が見えないが
寧々:——まさか
えむ:しょ……
えむ:晶介お兄ちゃ~~んっ!!
寧々:えむ!
えむ:うう……どうしよう……。 もし見つからなかったら……
司:この辺りには見当たらないようだな……
類:一度、座礁しているクルーザーのほうに 戻ったほうがいいかもしれないね。 晶介さんは運転席にいたはずだし
寧々:たしかに、その辺ならもしかしたら……って
寧々:ひゃっ!? 何、これ……!
リン:『寧々ちゃん、何か見つけたのっ?』
寧々:何かっていうか…… ものすごく大きな海藻の塊が……
ミク:『海藻っ?』
ルカ:『あら…… これはたしかに、大きな海藻さんねえ』
寧々:でも……なんか変じゃない? 形がちょっと……人間っぽいっていうか
類:そうだね。僕の想像どおりなら、 これはまさに、たくさんの海藻が絡まった人だよ
リン:『えっ!?』
えむ:あ~っ、ホントだ! よく見たらちょっとだけ手が出てる……って
えむ:このなが~い生命線は……晶介お兄ちゃん!
司:なんだとっ!?
晶介の声:お、お前達……早く、海藻を…… 口の中が、海の味に……
寧々:ちょ、ちょっと…… 早くなんとかしたほうがいいんじゃない!?
司:ああ! みんなで海藻をかきわけるぞ!!
晶介:……死ぬかと思った
ネネロボ:脈拍、瞳孔、正常。 骨折も、虫歯もアリマセン。 毎日ヨク磨カレタ、健康的な歯デスネ
えむ:よかった~!
晶介:お前達も無事だったようで何よりだ
晶介:しっかし、めんどくせえことになったな。 よりにもよって、こんな人気のない島に漂着するなんて
寧々:でも、クルーザーは無事みたいだし…… 今はもう晴れてるから、このまま島を脱出できるんじゃない?
類:いや、そのことだけれど…… さっき少しエンジンを見たら、 壊れてしまっているようだったよ
晶介:なんだと!?
晶介:お、俺の…… 3年前に予約してようやく新調したクルーザーが……
類:……つまり、僕達がこの島から出る手段は 現状ないということになるね
寧々:う、嘘でしょ……それって……
えむ:……なるほどっ!
えむ:ワクワク無人島サバイバル、開始ってことだねっ!
司:そ……
司の声:そんな馬鹿な~~!?
第 2 话:無人島サバイバル!
海辺
寧々:無人島でサバイバルって……嘘でしょ……
類:テレビ番組や本の中では よく目にするシチュエーションだけれど…… まさか体験できるとはね
司:お前……さては楽しんでいるな?
類:未知なる体験というものは、いつでも心躍るものだろう?
類:ただ…… 今回はそう悠長にかまえていられないけどね
ネネロボ:ハイ。 コノママデハ、公演の時間に間ニ合イマセン
類:予定では今日現場入りしてリハーサル、 明日の昼から本番ってスケジュールだったね
えむ:じゃあじゃあ、それまでにここから出れば大丈夫だよね!?
晶介:出られれば、な
晶介:スマホの電波も通じないここじゃ、 俺達が遭難している事実を誰も知るよしがない
晶介:加えてクルーザーのエンジンも壊れてるとなりゃ、 現状打つ手なしだ
寧々:そんな……
ネネロボ:ワタシも通信機能を使オウトシマシタが、 海水の影響か一部機能にエラーが出テシマイ、 ウマクイキマセンデシタ
ネネロボ:オ役に立テズ、申シ訳アリマセン
えむ:ネネロボちゃんが謝る必要ないよ!
司:ああ、そのとおりだ。 連絡を取ろうとしてくれただけでありがたい!
寧々:で、でも、どうしよう……。 このまま誰とも連絡が取れなかったら……
寧々:わたし達、ずっとここに置き去りにされて…… そのまま帰れなくなって……
晶介:そこまで悲観する必要もないだろ
司:どういうことだ?
晶介:今日俺達が現地入りすることは、 公演のスタッフはもちろん、宿の人間も知ってる
晶介:予定の時間に来ない上に連絡がつかないとわかれば、 トラブルを察して早い段階で救助をよこすはずだ
司:た、たしかに……!
晶介:ただ、その救助が公演の時間に間に合うという保証はない
寧々:あ……
類:……そうだね
えむ:やっぱり、明日やるのは無理なのかな? 楽しみにしてくれてるお客さんもいるはずなのに……
晶介:予定どおりとはいかなくても、必ず公演はできるようにする
えむ:お兄ちゃん……
晶介:こんな状況になっちまってなんだが、 俺にはお前達を現地まで送り届ける義務がある。 同時に、そこで公演をまっとうしてもらう責任もな
晶介:だからまずは、救助が来るまで生きのびることを考えろ
晶介:俺は船に積んでる無線で、外と連絡を取れないか見てくる。 お前達は、この辺を回って島の状況を簡単に調べてくれ。 ただし、あんまり遠くに行くんじゃねえぞ
晶介:あと、もし船がとおるのを見かけたら、すぐ教えろよ。 ここから抜け出すには一番手っ取り早いからな
えむ:……行っちゃった
司:というか、無線なら類も見れるんじゃないのか?
類:見ることはできるだろうけれど、 晶介さんがやってくれるというのなら 衣食住を確保するのが先だろうと思ってね
司:そうか。公演のことを考えると焦る気持ちはあるが……。 今は晶介さんの言葉を信じよう
司:たとえ本来の時間に間に合わなかったとしても、 必ずできるようにすると言ってくれたんだ
司:彼の言うとおり、 生きのびるためにできることを考えようではないか!
類:そうだね。 みんなで力を合わせて乗りきろう
えむ:うん! 一緒にがんばろー!
寧々:(……そうするしか、ないよね……)
寧々:(でも、救助が来てくれるとして、どれくらいかかるんだろう)
寧々:(飲み水とかも、どうやって確保したらいいかわからないし……。 本当にこの場所で生きていけるのかな……)
MEIKO:『——いよいよサバイバルって感じになってきたわね!』
司:うおっ!?
寧々:び、びっくりした……
MEIKO:『あら、驚かせちゃった? お兄さんがいなくなったから、 出てきてもいいかなと思ったんだけど』
寧々:せ、せめて一声かけてからにしてよ……
MEIKO:『あははっ、ごめんなさいね!』
レン:『でも、みんなすごいなー。 無人島って、ホントに誰もいない場所なんでしょ?』
レン:『そんなところに置いていかれちゃったら、 ボクならみんなみたいに前向きになれないかも……』
リン:『そうかなぁ? リンは無人島楽しそうって思うけどな~☆』
レン:『ボク達は安全な場所にいるから そう思えるかもしれないけど……』
レン:『あっ、そうだ! もし危なくなったらセカイにくればいいんじゃない?』
レン:『こっちなら助けがくるまで安心して過ごせるし!』
類:それは僕も一度考えたのだけれど……。 晶介さんを置いていくわけにはいかないからね
レン:『あ、そっか……。 じゃあ、やっぱりそこで過ごすしかないのかあ……』
寧々:…………。 本当に、ここで……
MEIKO:『まあ、不安になる気持ちはわかるけどね。 無人島なんて、何があるのか 想像すればするほど怖いのは当然だし』
MEIKO:『でも……この経験もきっと、 みんなにとってかけがえのないものになるはずだわ!』
寧々:かけがえのないものに……?
MEIKO:『ええ! だって普通に生活してたら こんなスリルを味わうことなんてないでしょ?』
MEIKO:『だから、今のこの状況は、そういうものを直に体験できる 貴重な機会になるんじゃないかと思うの!』
リン:『あ、リンもそう思う! 知らない場所での大冒険って絶対楽しいもん♪』
レン:『たしかに、いい体験はできるかもね! こういうところに来ることって、あんまりないと思うし!』
寧々:でも……楽しいことばっかりでもないでしょ
寧々:食べられるものを探すのも簡単じゃないし……
レン:『そういえば、こういう時って 海の水を飲んじゃいけないんだっけ?』
類:ああ、塩分が含まれてるからね。 逆に喉が渇いてしまうんだよ
リン:『へー、知らなかった!』
レン:『ってことは、水もどっかで探さなきゃいけないんだ! やること多すぎて、考えるだけで大変だよ~』
MEIKO:『そうね。でも、それでいいんじゃない?』
寧々:えっ?
MEIKO:『大変かもしれないけど、 みんなで一生懸命考えて行動した経験なら、 全部これからのみんなのためになるんだから』
寧々:わたし達のために……?
MEIKO:『そうそう! いずれにせよ、 ここでしょんぼり助けを待ってても 何もいいことないんじゃない?』
MEIKO:『だったら、まずはこの状況を楽しんじゃおうって 気持ちでいたらどうかしら?』
司:——ふむ、メイコはいいことを言ったな! たしかに、いかなる状況でも笑顔で楽しむ余裕があるのが 未来のスターというものだ!
えむ:うんうん! あたしも、みんなが楽しいのが一番いいと思うよっ!
寧々:この状況を、楽しむ……
寧々:(正直まだ、みんなみたいには考えられないけど……)
寧々:(ここで落ちこんでてもしょうがないっていうのは、 そのとおりだと思う)
寧々:(……不安はあるけど、 わたしも、もうちょっと前向きにならなきゃいけないよね)
類:さてと。 それじゃあメイコさんの助言どおり、 この状況を楽しみつつ、やれることを探そうか
えむ:何する何するっ!? さっきお水の話してたし、ヤシの実探してジュースにする!?
寧々:ヤシの実は、たしかに水分補給になりそうだけど……。 みんなの分集まるかはわからないし、 湧き水とかないか探したほうがいいんじゃない?
類:そうだね……
類:こういう状況ならまずは拠点の確保をするべきだけど、 雨風をしのげそうな洞窟は 僕と司くんで歩いている時に見つけたし
類:となると、最優先にすべきはやっぱり飲料水かな。 あとは——
類:……おや
ミク:『あははっ! 今のかわいいお腹の音、えむちゃん?』
えむ:えへへ……。 朝ごはんはいっぱい食べたはずなんだけど、 なんかお腹減っちゃったみたい!
司:時間的にも、もう昼過ぎだしな
ネネロボ:食料の調達もシタホウがヨサソウデスネ
司:そうだな! こういうところで食料というと…… やはり、魚を獲って食べるのが定石か?
ルカ:『お魚……。とっても楽しそうねえ』
リン:『でも、どうやって獲るの~?』
えむ:そういえば、釣り竿も流されちゃったみたいだったよ!
類:じゃあ、水も確保しなくてはならないし、 森に入って水源と食料の両方を探してみるのはどうかな
えむ:お~っ、森いいね~! 食べられるものがいっぱいありそうだよ~!
司:森……。 虫が多そうだが……そんなことも言ってられんな
類:じゃあ、そのプランでいこうか。 一応、水源が見つからなかった時のために 水を集める装置は作っておこう
レン:『えっ、そんなの作れるの!?』
類:地面から蒸発する水を集める方法なんだけれど、 穴を掘って、石で固定したシートを被せるだけだからね
司:なるほど、意外と手軽にできるんだな
類:それと、ネネロボはこの辺りで 拠点作りに必要そうなものを集めておいてくれるかな? それが終わったら、晶介さんの手助けをしてほしい
寧々:えっ……ネネロボは一緒に行かないってこと?
類:さっき、一部機能にエラーが出ていると言っていただろう? 森の中で無理に稼働させて、影響がでないか心配なんだ
えむ:そっかあ……。 ネネロボちゃんとも一緒に行きたかったけど、しょうがないね
寧々:ネネロボ、ひとりで大丈夫?
ネネロボ:オ任セクダサイ
ネネロボ:皆サンが森に入ッタコトは、晶介サンに報告シテオキマス。 気をツケテ、行ッテラッシャイマセ
リン:『わあっ、いよいよ森に入るんだね! 楽しそ~っ♪』
KAITO:『みんなが森で食材を採っているあいだ、 周りに危険がないかは僕達が見ていることにするよ。 でも、何が起こるかわからないし、気をつけてね』
寧々:(無人島で森に入るなんて……って思ってたけど、 ミク達もいて賑やかだから、想像してたより怖くないかも)
寧々:(でも、カイトさんの言うとおり 危険はいっぱいあると思うし、気をつけなくちゃ)
第 3 话:未開の森へ
無人島の森
寧々:(入る前は、みんながいるから大丈夫って思ってたけど……)
寧々:(森っていうよりジャングルって感じ……。 こんな場所で食料を探すなんて、本当に——)
寧々:ひっ……!
えむ:おーっ、鳥さんがバタバタしてったよ!
リン:『あんな大きな鳥、初めて見た~! なんだか無人島って感じするねっ♪』
司:ハハハ、猛獣じゃなくてよかったな!
寧々:…………
司:……というか、普通に入ってきてしまったが、 実際、危険な動物とかいるんだろうか?
寧々:えっ!?
類:トラやライオンはいないと思うけれど、 ヘビには気をつけたほうがいいかもしれないね
類:積極的に人を襲うことはないと言われているけれど、 万一噛まれたら大変だから
えむ:じゃあ、ヘビさん見つけたらビューンってダッシュだね!
寧々:そんな簡単に、どうにかなるものなの……?
類:……しかし、やはり人の手が入っていないだけあるね。 草木が生い茂っていて、進むのがなかなか大変だ
MEIKO:『あらすごい! 冒険って感じでワクワクするわね♪』
えむ:ねえねえ、このツタおもしろくない!? これに乗って木から木にア~アア~♪ってできるかなっ?
司:さすがにその細すぎるツタで えむの体重を支えるのは無理ではないか?
KAITO:『ぶらさがるには、もっと強度が必要だね……』
寧々:……みんな、よくこんな薄暗い場所で そんな楽しそうにしてられるよね……。 茂みから何が出てくるかわからないのに
えむ:えーっ、だからおもしろいんだよ!?
類:ああ、そのとおりだ。 予定調和を超えた未知の体験! ワクワクするじゃないか!
ミク:『ミクも見てるだけでドキドキしてきちゃうよ~っ☆』
寧々:……その感覚は一生わからないと思う
司:しかし、自然の恵みとはよく言ったものだな。 意外に食べれそうなものがたくさんあるぞ!
司:見ろ、このキノコを! 立派な形をしているし、うまそうじゃないか?
ルカ:『まあ……すごいわ~。 真っ白で、とってもかわいいキノコねえ』
寧々:でもキノコは毒が怖いし、 あんまり手を出さないほうがいいんじゃない?
司:フッフッフ、甘く見てもらっては困るな。 そんなことはオレも知っている
司:毒キノコは派手な色で人目を引くらしい。 でも、こいつは慎ましやかで美しい……
司:つまり、きっと食べられるはずだ!
寧々:どういう理屈……?
類:たしかに、そのキノコは食用のシロツルタケのように見えるね
リン:『類くん、わかるのっ!?』
レン:『おおっ、司くん、当たってる! すご~い!』
司:ハッハッハ。 やはりオレの目に狂いは——
類:けれど、それとほとんど同じ見た目の 『殺しの天使』という異名を持つ 猛毒のドクツルタケというキノコもあるんだ
司:え
類:そのキノコがどちらのキノコなのか 判別するのは難しいけれど……
類:2分の1に賭けて食べてみるのも なかなかスリリングかもしれないね
リン:『それって、もし毒キノコに当たったら……』
司:よーしっ、キノコはやめだ! 他の食材を探すぞー!
寧々:まったく……
寧々:あれ? そういえば、えむは? さっきまで一緒にいたよね?
類:綺麗な木の実を見つけたと言っていたのは聞いたけれど、 姿が見えないね
寧々:え……大丈夫なの? こんなところでひとりになって、もしはぐれたら大変じゃない?
寧々:晶介さんも遠くに行くなって言ってたし、 もし何かあったら……
司:そ、それもそうだな。 早く呼び戻して——
えむ:みんな~っ!
司:うおっ!?
司:と、突然茂みから顔を出すな! 驚くだろう!
寧々:そんな葉っぱまみれになってどこ行ってたの?
えむ:えへへ、あっちのほうにおいしそうな木の実が落ちててね、 しゃがんで拾ってたら草のトンネルを見つけたの!
寧々:草のトンネルって?
えむ:類くんの背くらいある草が、ぶわ~って生えてたんだけど、 1か所だけ誰かがとおったみたいに隙間があるとこがあったんだ!
類:……誰かがとおったみたいに……
えむ:で、なんだろーと思って入ってったら、 キイチゴとか小さい果物っぽい実とか いっぱいあったから採ってきたの!
司:おおっ! やるじゃないか、えむ!
司:よし、お前を木の実調査隊隊長に任命しよう。 引き続き任務に当たるように!
えむ:はいっ、了解ですっ、ボス!
レン:『えむちゃんのおかげで、 もう結構食べられそうなもの集まったんじゃないかな!?』
類:そうだね。 こっちでもみんなが食べられそうな山菜は摘んでおいたから
えむ:ホントだ、バケツいっぱいだね! これでどんなごはんが作れるかな~?
司:というか、 どう見ても食べ物じゃないものまで入っているようだが、 これらは一体……?
類:ああ、山菜を採るついでに 何かに使えないかと思って拾っておいたんだ
類:この丈夫そうなツタも、 ショーでジャングルの表現をすることがあったら 小道具として使えそうだと思ってね
司:妙な場所をゴソゴソしていると思ったら、 そんなものまで調達していたのか
寧々:まさか持って帰るつもり……?
MEIKO:『あははっ! 自由なえむちゃんも、演出のことを考えている類くんも 楽しそうでいいわね!』
KAITO:『たしかに食料はバケツいっぱいあるけど……。 この量だと、まだ食事としては足りないんじゃないかな? えむちゃんのお兄さんを入れると5人分必要だよね』
リン:『たしかに山菜や木の実だけじゃ、お腹いっぱいにならないかも? リンだったらお腹すいちゃいそう~』
司:主食が必要というのはわかるが……。 ここで調達するとなると、なかなか難しいのではないか?
類:そうだね。 白米に含まれる糖質のようなエネルギー源が欲しいけれど、 この場所で代わりになりそうなものは——
類:……おや?
寧々:どうしたの、類?
類:いや、話の途中で申し訳ないのだけれど、 そこの茂みを何かがとおったような気がしてね
司:そうか? オレは気づかなかったが
類:一瞬だったから、見間違えかも——
えむ:あ~~~~っ!!!
レン:『わあっ!?』
リン:『なになにっ、どうしたのえむちゃん!』
えむ:見つけちゃったよ、 ごはんやパンの代わりになりそうなもの!
えむ:上見て、上っ!
寧々:上……?
寧々:あ……! あの木になってるのって、もしかしてバナナ?
司:おお、本当だ! バナナはおやつには入らないが、主食にはなるんじゃないか!?
類:たしかに、腹持ちは良さそうだね
司:食事の主役に決定だな! さすがは木の実調査隊隊長、今回もお手柄だぞ!
えむ:わーい、やったやった~♪
寧々:バナナは木の実じゃないと思うけど……
MEIKO:『でも、食べられそうな房は結構高いところになっているわね。 採れるかしら?』
ミク:『あれくらいの高さなら、 ジャンプすればいけるんじゃないかなっ?』
寧々:えっ? あの高さで……?
司:あれはかなり厳しいと思うが……何事も挑戦だな!
司:よーし、ここはこの未来のスターに任せろ! 類の演出で鍛えられた足腰を見せてやろう!
寧々:あっ、ちょっと……
えむ:待ってよ司くーん!
ルカ:『すー……すー……。 がんばって、司くん……』
司:くっ! ふっ! よっ! とおっ!!
司:ぐあーーーっ、駄目だ!! どうあがいても届かん!
ミク:『ごめーん! 近くで見たら思ったより高かったのかも!』
寧々:やっぱり……。 この高さじゃ、どう考えても無理でしょ
えむ:じゃあ、あたしもやってみる! いっくよー!
えむ:てやーっ!
司:おおっ、さすがえむ! 見事な三段ジャンプだ!
寧々:でも……
えむ:う~っ、ダメだあ……。 タッチはできたから、あとちょっとなのに!
類:かなりしっかりなっているから、 触るだけでは落とせなさそうだ
KAITO:『たしかに、あの感じだと、 房の部分をしっかり千切り取る必要がありそうだね』
リン:『うーん…… せっかく見つけたのに、採れないのかなあ?』
レン:『あ、それなら誰かを持ち上げるのはどう? 肩車とかしたら届くんじゃないかな?』
司:たしかに! オレと類の肩車でいけるか?
類:いや、それでもまだ届かないだろうね。 4人いるなら、下の土台を僕と司くんで固めて……
類:その上に寧々を乗せて、 寧々がえむくんを肩車すれば、なんとかなるかもしれない
寧々:えっ!?
えむ:あーっ、知ってる! 組体操のサボテンってやつだよね! あたしの高校の体育祭でもやってて楽しそうだった!
寧々:ま……待って! サボテンって普通ふたりか3人でやるものでしょ? 肩車なんてしないし……
類:組体操のように支えなしでやるのは この足場だと危険があるけれど、 木に手をつけばそこまで無理もなくできると思うよ
類:下に草を積んでおけば、クッション代わりにもなるだろうしね
寧々:で、でも、類達の上に立った状態でえむを肩車なんて……。 落としちゃいそうだし、怖すぎるよ
えむ:じゃあ、あたしが真ん中やって寧々ちゃん肩車してもいいよ? 寧々ちゃんのこと、ギューって支えてあげる!
寧々:えっ……
寧々:そ、それはそれで難しそうっていうか……
リン:『だいじょーぶ! 寧々ちゃんなら、きっとできるよ!』
MEIKO:『ショーでいうと主役って感じよね!』
ミク:『うんうん、クリスマスツリーならお星さまの位置だよっ! がんばれ、寧々ちゃん~☆』
寧々:(う……できる気がしないけど、 わたしがやらなきゃバナナが採れない……)
寧々:(や、やるしかないの……!?)
第 4 话:届かないバナナ
無人島の森
寧々:(結局、わたしが一番上をやることになっちゃったけど……)
寧々:(し、下は見ないようにしよう……!)
えむ:寧々ちゃん、いけそう?
寧々:う、うん。今のとこ……。 でも、立つ時はゆっくりお願い……
司:任せておけ。 それじゃ、持ち上げるぞ
えむ:うん! せーのっ……
寧々:っ……!
ルカ:『まあ……すごいわ~。 大きなサボテンが育ったわねえ』
リン:『高い高ーい!』
えむ:大丈夫、寧々ちゃん!?
寧々:う、うん。 木を支えにしてるから、そこまでグラグラしてなくて 思ったよりは怖くないかも……
寧々:(でも、バナナを採るためには、まだ少し届かない……。 わたしが、少し腰を浮かせればいけると思うけど……)
寧々:(でも……もしバランスが崩れたら……)
司:……すまん。ちょっといいか?
えむ:どうしたの、司くん
司:緊急事態なんだが……
司:くしゃみが出そうだ
寧々:はっ……!?
類:それはまずいね。 司くんのくしゃみは派手だから、出したら最後 このフォーメーションは確実に崩壊するよ
寧々:ちょ、ちょっと我慢してよ! お願いだから!
レン:『ど、どうにか気をまぎらわせられないかな!?』
ミク:『えっとえっと……そうだ! ミクに続いて早口言葉を言ってみよ~!』
ミク:『なまむぎなまごめなまたまご! もひとつおまけにゆでたまご! ……はい、ご一緒に~!』
ルカ:『なまむぎ……なまもめ……あら~?』
司:なまむぎなまあああっ……、 ……うぐぐっ……!!
ミク:『や、やっぱりダメかな~っ!?』
KAITO:『むしろ逆効果みたいだね……』
寧々:うっ…… も、もう少し我慢して!
寧々:(は、早く採らなくちゃ)
寧々:(わたしがちゃんとやらなくちゃ……! 怖がってたら、ダメ……!)
司:……寧々、焦らなくていいぞ。 大丈夫だ、オレはまだ耐えられる……
司:耐えっ……はっ……、 耐えてみせっ……る!!
寧々:わっ……!
類:……限界が近そうだね
えむ:も、もし司くんのくしゃみで崩れても、 あたし、絶対寧々ちゃんのこと受け止めるよ!
類:ああ……僕もだよ。 それに、万が一落ちても草のクッションが 受け止めてくれるから大丈夫だ
類:だから、安心して採ってきてほしい
寧々:みんな……
寧々:(司だけじゃない。 えむの肩もすごく震えてるし、類だって一番下でキツいはず……。 なのに、わたしを怖がらせないように気をつかってくれてるんだ)
寧々:(……勇気を出さなきゃ)
寧々:(類や司は山菜を採ってくれたし、 えむだって木の実を採ってきてくれた。 それなのに、まだわたしだけ何もできてない)
寧々:(わたしも、みんなの役に立ちたい——!)
寧々:……みんな、もう少し頑張って
類:おっと——
えむ:わ、寧々ちゃん……立ってる!?
寧々:こ、腰を浮かしてるだけ……。 ほんの少しだけ、右に動ける……?
類:ああ。 少し揺れるよ
寧々:っ……!
司:どうだ、いけるか!?
寧々:……うん。 きっと、これで……っ
寧々:採れた——!
えむ:やったー!!
司:ぶえええええっくし!
えむ:あははっ☆ 司くん、すっごいくしゃみ!
司:はあ……スッキリした。 心配かけてすまなかったな
寧々:……本当に、どうなることかと思ったんだけど
類:みんな、お疲れさま
類:……よく考えたら、一度フォーメーションを解いて 司くんがくしゃみをしたあとに 落ち着いて採ればよかったかもしれないな
ミク:『たしかに~!』
寧々:それ、もっと早く言ってよ……。 ……まあ、結果的に採れたからいいけど
えむ:デパートに売っててもおかしくないくらい 立派なバナナだね~!
寧々:ちょっと青すぎる気もするけどね
類:まあ、食べられないことはないんじゃないかな
MEIKO:『ちょうど5本ついてるから、ひとり1本ずつわけられそうね!』
司:やるじゃないか寧々! これでオレ達の空腹は避けられるぞ!
えむ:うんうんっ、 これでみんなお腹いっぱいになれるよね!
寧々:みんなが最後まで耐えてくれたおかげだよ
寧々:……よかった
類:さて、主食も無事手に入れられたことだし、 そろそろ晶介さんとネネロボの元へ戻ろうか
えむ:うんっ! きっとお兄ちゃんもお腹ペコペコで背中とくっついて——
寧々:い、今の音……何?
MEIKO:『な、何というか……』
KAITO:『もう、そこに……』
えむ:ほえ?
???:ウキキキーーーッ!!!
寧々:ひゃあっ!?
えむ:寧々ちゃんっ!?
司:なんだ、今の影は!? 寧々を襲ったように見えたが……大丈夫か!?
寧々:わ、わたしは大丈夫だけど、 ば、バナナが、その……
寧々:猿の集団に……
猿達:ウキキキキ……
リン・レン:『猿っ!?』
類:ああ、なるほど
類:……おや?
寧々:どうしたの、類?
類:いや、話の途中で申し訳ないのだけれど、 そこの茂みを何かがとおったような気がしてね
類:あれは、この猿達だったのかもしれないね
司:冷静に言ってる場合か!
猿達:ウキーッ、ウキキ……
えむ:あっ! お猿さん達が逃げたよっ!
司:……あいつら、こちらを見て尻を叩いていなかったか? いたよな!?
類:確実に煽られているね
レン:『このままじゃ、寧々ちゃんがせっかくとったバナナが お猿さん達に食べられちゃうかもしれないよ!?』
リン:『ど、どうするの~!?』
寧々:どうするって言っても……。 盗られたものは、もう仕方ないんじゃ——
司:こうしてはおけん! 今すぐ追いかけるぞ!
寧々:えっ!?
司:オレ達の大切なバナナを奪ったことを後悔させてやろう!
えむ:わーい、お猿さんと鬼ごっこだ~っ♪
類:……さて。 僕達も行くしかなさそうだね
寧々:う、嘘でしょ……!?
寧々:はあっ、はあっ、はあっ……
猿達:ウキキ♪ ウキキ♪
司:くっ……言葉はわからないはずなのに、 『捕まえられるもんなら捕まえてみな!』と 言われているような気がする……!
司:ここまでコケにされて引くわけにはいかん!
寧々:っ……ねえ、本当に取り戻すつもりなの? 相手は野生の猿なんだし、怪我でもしたら……
司:大丈夫だ。 猿ごときに負けるオレではないからな!
寧々:何も大丈夫じゃないんだけど!
類:まあ、盗られたものがものだからね。 山菜や木の実ならともかく、 主食にしようとしていたものだし
えむ:お猿さんもお腹すいてるなら、 わけてあげたいなって思うけど……
えむ:あれはみんなでがんばって採ったやつだもん。 簡単にあげられないよね!
寧々:それは……わかるけど……!
類:とはいえ、ただあの猿を追いかけるだけで バナナを取り返せるとも思えないね
寧々:……! そうでしょ、なら——
類:そう、だから……
類:ひとつ、秘策があるんだ
寧々・司・えむ:『えっ?』
第 5 话:猿、捕獲作戦!
無人島の森
猿達:ウキキキキキ……
司:ふう…… なかなか手こずらされたが、ようやく追い詰めたぞ……
寧々:…………
司:観念しろ! 今捕まえてやる……
司:そらっ! ほらっ! てーいっ!
猿達:ウキキッ! ウキッ! ウキーーッ♪
えむ:司くん、全然捕まえられてないよっ!
司:わ、わかっている!
司:クッ、ちょこまかと……。 しかも、心なしかオレを馬鹿にしているような……
類:まあ、たしかに少し舐められている感じはするねえ
司:くそっ、ここまで走ってきて体力も削られてるというのに……!
司:——ええい、もういい、やむを得ん! バナナは諦めるぞ!
えむ:えーっ!? ここまで追いかけてきたのにっ!?
司:仕方がないだろう。 寧々の言うとおり、野生の猿のタフさに 都会っ子のオレ達が敵うわけなかったんだ
司:なにより……すべてを失うわけではない。 オレ達にはまだ、バケツいっぱいの 木の実や山菜があるのだからな!
猿達:ウキッ!?
司:いいか、寧々。 そのバケツだけは奪われないようにちゃんと守っておけよ。 オレ達の生命線なのだからな!
寧々:うっ……。 わ、わかってる……
司:それじゃあ、戻るぞ! 晶介さんが腹をすかせて待ってるからな!
寧々:そ、そうだね。わたしも——
えむ:……寧々ちゃん?
類:ひとつ、秘策があるんだ
寧々:えっ?
類:どうやら、あの猿達はなかなか賢そうだ。 僕達の行動や言動を理解しているように見える
類:だからこそ…… 僕達の得意分野で戦うことができるんじゃないかと思ってね
リン:『みんなの得意分野……って』
レン:『もしかして、演技のこと?』
類:そのとおり、ひと芝居打つのさ。 ……作戦はこうだよ
類:猿達を追い詰めたら、一度バナナを諦めたように見せる。 『バナナがなくてもこれがあるから大丈夫だ』と、 バケツいっぱいに採った食材を見せつけてね
類:そうしたら、きっとあの猿達はバナナだけじゃなくて このバケツも奪おうとしてくるはずだ。 そこで飛び掛かってくる隙を狙って——
類:網を投げて、猿達を捕獲する
MEIKO:『なるほどね。 でも、その網はどうやって用意するの?』
類:さっき拾っておいたツルと、 海岸で拾っておいた千切れた漁業用の網を組み合わせて、 捕獲ネットのようなものを作ろうと思う
類:それを投げて猿達の上にかぶせられれば、 作戦は成功ということさ
司:なるほど、完璧な作戦だな! それで、配役はどうする?
類:猿を扇動する役は司くんが適任だと思うよ。 そして、バケツを持って猿を引きつける大役は——
類:寧々にお願いしたいと思う
えむ:おーっ、寧々ちゃん今回も主役だ~!
寧々:ど……どうしてわたしなの!?
類:さっき猿達は寧々からバナナを奪ったからね。 今回も寧々が持っていたら、 また奪えると思って寄ってくるはずだよ
類:そして網を投げるのは、僕とえむくんの役目だ。 寧々は猿達に食料がたっぷり入ったバケツをチラつかせながら、 うまく僕達の近くに寄ってきてほしい
えむ:それでお猿さん達も寄ってきたところで、 あたし達がバーン!って網を投げて捕まえればいいんだね!
寧々:さ、作戦はわかるけど、野生の猿を引きつけるなんて……
MEIKO:『寧々ちゃん、きっと大丈夫よ』
寧々:えっ……
MEIKO:『たしかに、すごく怖いと思うわ。 小さなお猿さんとはいえ、野生の動物に立ち向かうなんて、 普通の生活じゃありえないし』
MEIKO:『でも、私は寧々ちゃんが もっと怖いことに立ち向かえる人だって知ってるもの!』
寧々:怖いこと……?
寧々:あ……。 もしかして、さっきのバナナを採った時……?
MEIKO:『ええ、それもあるわね!』
MEIKO:『でも、もっと身近にもあるはずよ。 寧々ちゃんだけじゃない——司くん達や私も、 何度も経験してるものが』
寧々:え? それって……
寧々:もしかして……ショーのこと?
MEIKO:『大正解♪ 舞台に立つ前っていつもちょっと怖いわよね。 うまくできるのか、お客さんがどんな反応してくれるのか』
MEIKO:『でも、寧々ちゃんは 何度だってそれを乗り越えてきたじゃない!』
KAITO:『……そうだね』
KAITO:『ステージから離れていた寧々ちゃんが もう一度ステージに立った時も、 とても勇気が必要だったんじゃないかな』
寧々:カイトさん……
ルカ:『ネネロボちゃんが動かなくなっちゃった時も、 とてもきれいな歌をアドリブで歌って……すごかったわねえ』
寧々:そ、それはそうだけど……
寧々:舞台に立つ時の怖さと、 猿に向かってく怖さってちょっと違う気がする
寧々:(……でも。たしかに、あの本番前の独特の緊張感とか、 セリフ飛んだらどうしようとか、 歌の音程がズレたら失敗しちゃうかもとか)
寧々:(そういう怖さに比べたら、今は……!)
MEIKO:『……ふふっ』
MEIKO:『それに、寧々ちゃんは大丈夫よ。だって……』
MEIKO:『今まで怖いと思ったこと、全部…… どうして乗り越えられたのか、思い出してみて!』
寧々:(……そうだ、しっかりしなきゃ)
寧々:(わたしならやれるはず。だって——)
寧々:(みんながいるから。 だから今回も、きっと大丈夫……!)
えむ:寧々ちゃん……!
寧々:っ……!
寧々:(こっちにきて……!)
第 6 话:思いがけない贈り物
無人島の森
猿達:ウキ……
猿達:ウキキーッ!!
寧々:っ……!
司:よし、かかったぞ!
類:うん、想定どおりのいいポジションだ。 これなら成功は間違いないだろうね
えむ:よーし、いくよ類くん! せ~のっ!
えむ:どうどうっ!? 捕まえたっ!?
司:やったか!?
猿達:ウキ……
猿達:ウキーーッ! ウキキキキーッ!!
寧々:あ……
類:すべての猿を捕まえるのは難しいと思っていたけれど、 1匹も逃がしていないみたいだね。大成功だ
ミク:『すごーいっ! 司くんの演技、ミクも騙されちゃいそうだったよ!』
KAITO:『類くんとえむちゃんの網を投げるタイミングも、 息がぴったりだったね』
寧々:……うん。 みんなすごかった
ルカ:『でも、寧々ちゃんもすごかったわ~』
MEIKO:『ホント! 猿に飛び掛かられるの見てたら、ドキドキしちゃった!』
寧々:あ……
寧々:ありがと……
寧々:(……できた。 わたしには無理だと思ってたのに……)
寧々:(……よかった……)
類:さて、ひとまず盗られていたバナナは無事戻ってきた。 あとは、この捕まえた猿達をどうするかだけど……
猿達:ウキッ!?
えむ:はいはーい! 木の実調査隊隊長のあたしから提案がありますっ!
えむ:たしかにこの猿くん達は、 あたし達の大切なバナナを盗って逃げちゃった猿くん達です!
えむ:でも、きっとお腹が減っちゃって しょうがなくやったんだと思うんです。なので…… あたしが採ってきた木の実をわけてあげてもいいでしょうか!
司:……そうだな。 こいつも捕まって懲りただろうし、 そもそもオレ達が縄張りに侵入した可能性も高い
類:そういえば、えむくんが言っていた『草のトンネル』は、 この猿達のとおり道だったのかもしれないね
えむ:あっ、たしかに!
猿達:ウキィ……ウキキ……
寧々:じゃあわたし達も悪いし、もう放してあげようよ。 多分、すごく怖がってると思う
寧々:……はい。これで網は取ったし、もう自由だよ。 あと、これはえむから木の実のプレゼント
寧々:バナナはあげられないけど…… これでちょっとでもお腹いっぱいになればいいね
えむ:寧々ちゃん……
猿達:ウキ…… ウキキーッ!
レン:『あっ、逃げた!』
司:せっかく食料をわけてやったのに、恩知らずなヤツらめ。 まあ、野生動物だし仕方ないが……
類:いや。どうやら、違うようだよ
司:む?
猿達:ウキーッ、ウキキーッ!
レン:『ええっ! 戻ってきた、けど……』
リン:『わあ☆ すごいいっぱいフルーツ持ってるよ~!』
ルカ:『まあ……。 お猿さん達からのプレゼントみたいね』
猿達:ウキ、ウキキッ!
寧々:こ、こんなにたくさん…… どうしたらいいの?
類:フフッ、どうやら気に入られたようだね
司:せっかくの好意だ、もらっておけ
寧々:う……そ、それじゃ……
寧々:ありがと……
猿達:ウキキ~!!
KAITO:『でも、これだけ食料があったのに、 みんなのバナナを盗っていったということは……』
類:単に、僕達を遊び相手として見ていただけのようだね
リン:『そうだったんだぁ。 じゃあ、これはきっと追いかけっこのお礼だね!』
寧々:お礼……
えむ:えへへ、すっごく嬉しいよ! ありがとー、お猿さん達♪
猿達:ウキーーッ!
司:しかし…… 食料を採るのにずいぶん時間をかけてしまったな
類:そうだね。もう日が落ちてきているし、 そろそろ森を出たほうがよさそうだな
えむ:うん! お兄ちゃん、お腹すきすぎて倒れちゃってるかもしれないし!
司:せっかくわかりあえたというのに もう別れを告げるのは名残惜しいが、仕方ない
司:さらばだ、森の友よ! いつかまた会おう!
えむ:ばいばーいっ!
猿達:ウキ、ウキキ!
寧々:(……無人島で猿と触れあうことになるなんて思わなかったな。 最初は野生の猿なんて本当に怖いって思ってたけど)
寧々:(ちょっと……可愛かったかも)
浜辺
ネネロボ:皆サン、オカエリナサイ
えむ:ただいまー、ネネロボちゃんっ!
類:何か変わったことはなかったかい?
ネネロボ:特にアリマセンデシタ。 拠点に必要な物資も確保デキマシタし、 ツイデに貝や小サイ蟹も集メテオキマシタ
えむ:貝やカニさんをっ!? すごーい!
司:豪華な夕飯になりそうだな!
寧々:そういえば、最初はえむのお腹が減ってたから 森に入ったんだったよね。 もうだいぶ時間経っちゃったけど……
えむ:そういえば! いろいろあったからおなかすいてたの忘れてたよ~
司:猿と鬼ごっこすることになるとは 思わなかったしな……
類:でも、食料や水を確保するという目的は果たせたし、 ひとまず夕食の準備をしつつ、見つけた洞窟で 一晩過ごすキャンプの用意もしたほうがいいかもしれないね
類:これ以上暗くなると作業もしにくくなるだろうし、 必要なものが出てきても 再度森に入るのはさすがに危険だ
司:たしかに、夜の森は怖いな。 晶介さんにも声をかけて一緒に準備を——
司:……と思ったが、姿が見えないな?
ネネロボ:晶介サンは、ズット船の中にイマス。 ワタシも手伝オウとシタノデスガ…… オ前は食料を集メテオケと断ラレテシマイマシタ
寧々:わたし達が森に入ってから ずっと無線と向き合ってるってこと?
類:やっぱり壊れていたようだね。 それで頑張って修理をしようとしてくれているのかもしれない
えむ:お兄ちゃん……
司:……それなら、無線のことは彼に任せて、 ここはオレ達だけでやろうではないか!
えむ:うんっ!
えむ:お兄ちゃんに見せたらびっくりするような ベースキャンプを作ろー!
第 7 话:みんなで一緒に
海辺
寧々:……ふう。 これで料理は大丈夫かな……
寧々:完成までにはもうちょっと煮込む必要がありそうだけど、 類達のほうはどう——
寧々:って、なにその立派なテント!?
司:ハーッハッハッハ! どうだ、すごいだろう!?
司:洞窟は少し手狭だったからな。 あっちは寝室ということにして、 居住スペースを別で設置してみた!
司:この生活が長期戦になることも考慮して 洗濯物を干すスペースもきちんと用意したし……
司:目玉は、このハンモックだ! 無人島生活をしながらもバカンス感が楽しめる優れものだぞ!
えむ:わあっ、すごいすごーいっ! 秘密基地みたいでワクワクするね!
類:あと、日時計も作ってみたよ。 やっぱり時間がわからないと不便だからね
寧々:日時計って……太陽の光と影を使って時間を測るやつでしょ? なんか、異様に装飾が凝ってるけど……
類:拾った木の棒を立てるだけじゃつまらないと思ってね。 木を石で削って彫刻して、技巧を凝らしてみたというわけさ
寧々:そ、そんなとこまでこだわってるなんて……。 全然サバイバルって感じしないんだけど
司:む? サバイバルという感じのほうがいいということか? そうなると快適さはなくなるが……
類:寧々もそういうものが楽しめる余裕が出てきたということかな
寧々:あ……
寧々:……メイコさん達のおかげかも
えむ:そういえば、 さっきからミクちゃん達の声が聞こえないね?
司:むっ、言われてみれば。 スマホはここにあるが……
司:——なっ! 充電が切れている!?
類:ずっとつけっぱなしだったし、仕方がないだろうね
司:ミク達は心配すると思うが……
司:外部への連絡手段としてはもともと使えなかったし、 問題はないな!
寧々:そうだね。 メイコさんにお礼言えないのは残念だけど
えむ:帰れたら、こんなことがあったよ~って話 みんなでたくさんしよー!
寧々:……ふふっ
類:寧々?
寧々:なんか…… おかしくなってきちゃって
寧々:遭難したってわかった時は、 この先どうなっちゃうんだろうとか もう戻れないかもしれないとか、いろんなこと考えてたのに
寧々:今は司と同じように スマホなんて持っててもどうせ使えないしって思ってる
寧々:さっきまでのわたしだったら、絶対怖がってたと思うのに
えむ:おーっ、寧々ちゃんがにっこりだ!
司:心配することなど何もないぞ! 大量の食材も調達でき、 こんなに立派なベースキャンプも作ることができたんだ
司:オレ達にかかれば、不可能なんてないんだからな!
類:……そうだね。 この状況をこんな風に笑いあって過ごすことができているのも、 みんながいるからこそだと思うよ
寧々:……うん。 わたしも、そう思う
寧々:(まず無人島に漂着するってことがありえないけど、 そんな中でもバナナを採ったり、猿を捕まえたり……。 本当にありえないことだらけだったな)
寧々:(でも、考えてみると全部わたし達らしくて…… この4人じゃなきゃできなかったことだよね)
寧々:(あ……。よく考えたら、いつもやってるショーもそうかも)
寧々:(類の考えたとんでもない演出で司が飛んだり、 思いもよらないところからえむがでてきたり…… 本当、とんでもないことばっか)
寧々:(でも……どんなことだって、 本当にみんながいればできるんじゃないかって思っちゃう)
寧々:(……馬鹿みたいだけど)
晶介:うわ、なんだこりゃ
晶介:ずいぶん派手なもん作ってんな。 ここに永住する気か?
えむ:あーっ、お兄ちゃん来ちゃったの!? サプライズしようと思ってたのに~!
類:無線のほうはどうでしたか?
晶介:予想はしてたが、やっぱり壊れてた。 生き返りそうな気配はあったから直してるんだが…… 少なくとも明日の朝まではかかりそうだな
類:それなら僕も手伝いましょうか? ふたりでやれば、もしかしたら……
晶介:いや、お前達は公演があるかもしれないだろ。 俺は無線さえ直ればいくらでも寝れるからな
司:それは……今日は徹夜するということか? あまり無理はしないでほしいものだな
晶介:むしろ、今が無理のしどころだろ。 目的が達成できれば、すぐ助けが来て、 予定どおり公演ができるかもしれねえんだし
えむ:お兄ちゃん……
寧々:(……晶介さん、本当に1日中無線をいじってたんだ。 きっと疲れてるはずだよね)
寧々:(それなら——わたし達がとってきたごはん、 たくさん食べてもらおう)
寧々:……じゃあ、ちょうどみんな集まったことだし夕食にしない?
えむ:あ、そうだ! そろそろできあがってるはずだよね!
司:腹も減ったし、ありがたくいただこう!
えむ:はいっ、それでは皆さんご一緒に!
みんな:『いただきます!』
寧々:ど、どう? 初めて作ったものだからちょっと不安なんだけど……
えむ:すっ——
えむ:——ごくわんだほいだよ!
寧々:本当?
類:うん、このスープは、貝やカニのダシがちゃんときいてる。 無人島で食べる料理とは思えないな
司:木の実とフルーツの煮物も、 妙な組み合わせだが意外にあっているな。 フルーツのおかげか味付けも薄くなくて、ちょうどいい
えむ:やったー! 寧々ちゃんとあたしのワクワクアレンジレシピ おいしいって言ってくれたー!
寧々:よかった……
えむ:……えへへ。なんかいいなあ
えむ:みんなで集めたものをジャーン!ってあわせて料理したら スペシャルわんだほいにおいしくなって! なんだか、すっごく嬉しくてニコニコしちゃうよ~
晶介:スペシャルわんだほい……?
寧々:……少し、わかる気がする
司:ああ、オレにもわかるぞ。 えむが言いたかったのはつまり——
司:この夕食が最高だということだな!
えむ:うんっ!
寧々:……本当は、明日の公演もできれば もっと最高だったんだけど
えむ:あ……
晶介:——悪かったな。 今回、こんな状況になっちまったのは俺の判断ミスだ
えむ:お兄ちゃん……
晶介:出発前に天気が荒れることも予測できたはずだ。 安全面を考えれば飛行機で行くように勧めることもできた
晶介:それでもクルーザーで向かうことを選んだのは、俺の甘さと…… フェニックスワンダーランドに貢献してくれているお前達に 少しは息抜きをさせてやろうと思った余計なお節介だ
えむ:お節介なんかじゃないよ! あたし、久しぶりにクルーザーに乗れて本当に楽しかったもん!
司:えむの言うとおりだ! そもそも晶介さん達が提案してくれなければ、 宣伝公演自体やれていないのだからな!
類:ええ、感謝しかないですよ
晶介:……そうか
晶介:あー、なんか余計なことまで話しちまったな。 ……ほら、お前達もなんか——思い出話とかしろよ。 焚火を囲んで話す機会なんてめったにないだろ
類:思い出話か……。 そう言われて思い浮かぶのは、これまでの宣伝公演のことかな
寧々:そうだね。 ……いろんな経験をさせてもらったな。 この前の公演は、司のトルぺが大好評だったし
司:ああ、掴むまでに苦労はあったが…… オレとしても、いつもと違う役ができて楽しかった
えむ:うんうん、あの時の司くんすっごくキラキラしてたよ!
類:あれは、司くんにしか演じられないトルぺになっていたね。 僕も見ていて驚いたよ
えむ:その前の公演は…… あたしのおじいちゃんのおうちでやったやつだね!
類:ああ。僕が夢見たショーを最高の形でみんなに演じてもらえて、 本当に嬉しかったよ
類:でも僕は最初の人魚姫の公演も印象深いな。 あの時の寧々のアドリブには助けられたから
えむ:たしかに、すごかったよね! 歌声もすごくきれいで、本物の人魚姫だ~!って思っちゃった!
司:さすがは、オレ達の歌姫だな!
寧々:なんか、そんな風に言われると照れるけど……。 ありがと……
類:……こうして振り返ってみると、 宣伝公演は僕達にとって、とても意義のあるものになっているね
司:そうだな! だが、ここで慢心したりはしないぞ! なんと言ってもオレの夢は世界一のスターになることだからな!
えむ:あっ、あたしはね、あたしはね! おじいちゃんが言ってたみたいに たっくさんの人を笑顔にしたいんだ~♪
寧々:……ふふ。 改めて言われなくても、 司の夢もえむの夢も、みんなもう知ってるよ
司:じゃあ、お前達の夢はどうなんだ?
寧々:えっ……
えむ:そういえば、ちゃんと聞いたことなかったかも!
類:そうだね……
類:僕は、誰も見たことがないような演出で、 すべての人が笑顔になれるショーをすることだよ
類:人種も性別も、言葉の壁も関係ない…… 本当にすべての人が笑顔になれるショーをね
寧々:…………!
えむ:わあっ、すてきな夢だね! あたしとちょっと似てるかも!
司:うむ、類らしくていい夢だな! ……演出の実験はほどほどにするんだぞ!
寧々:(みんな知ってたとは思うけど……。 類が自分の夢を、自分の口から はっきり誰かに言うなんて、思わなかった……)
えむ:じゃあ、最後は寧々ちゃんだね! 寧々ちゃんの夢は……なんでしょーか!?
寧々:わたしは——
寧々:(……たった一度の失敗におびえて、 大好きな歌がちゃんと歌えなくなって)
寧々:(でも、みんなとショーをやることになって、 ステージで歌うことの楽しさを思い出して)
寧々:(ショーをすることが、本当に大好きになった。 わたしが笑顔をもらえたショーを、わたしもみんなに…… 世界中の人達に届けてあげられたらいいなって思った)
寧々:(だから……)
寧々:わたしは、ミュージカル俳優になりたい
寧々:……せ、世界中で、歌えるような
えむ:おお~っ!
司:なにっ、寧々も世界を狙っているのか! オレと同じではないか!
司:ということは、オレと寧々が夢を叶えた時は、 世界のどこかで共演することもあるということだな!
寧々:そう……なるのかな? 全然想像できないけど……
寧々:でも、もし本当にそうなったらすごいね
類:寧々の歌声や、司くんの演技が世界中の人達に届くのか。 ……フフ、ワクワクするね
えむ:すっごいね~! ふたりは世界でどんなショーをやるんだろ? あたしも見てみたいなあ
晶介:……へえ。 案外お前らもいろいろ考えてるんだな
司:なんだとう!?
晶介:馬鹿にしてるわけじゃねえよ。 ただ……意外だっただけだ
晶介:お前達は、この先もずっと 全員で一緒にショーをやるもんだと思ってたからな
司:っ!!
えむ:あっ……
寧々:…………
寧々:(そう……だよね。 わたし達が、わたし達の夢を叶えようとしたら、その時は——)
類:……そうだね
類:僕達が夢を叶える時は、 きっとそれぞれが別のステージに立っているのだろうね
類:いつもいるあの場所じゃない、別のステージに……
えむ:……うん……
えむ:…………やだなあ
えむ:あ……もちろん、みんなの夢はホントにキラキラで、 あたしも応援してるし、絶対に叶えてほしいって思うよ!
えむ:でも……
えむ:みんなで一緒にショーができなくなるのは、 やっぱり……ちょっとだけ、さみしいなあ
司:……そうだな
寧々:…………
寧々:(わたしが夢を持てたのも、みんながいるから。 ショーを楽しいって思えるのも、みんながいるから)
寧々:(今日だって、みんなのおかげで 怖いことも全部乗り越えられた。なのに——)
寧々:(本当に離れる時がきたら……どう、なるんだろう)
えむ:…………
寧々:(……みんなも、同じ気持ちなんだ)
寧々:(でも——)
MEIKO:『でも……この経験もきっと、 みんなにとってかけがえのないものになるはずだわ!』
寧々:(わたし達にとって、それはきっと…… 悲しいことだけじゃない……)
寧々:(だから——)
類:寧々……?
寧々:——た、たしかに、みんなが夢を追いかけたら、 いつか離れ離れになるかもしれない……
寧々:わたしも、その時のことを考えるとすごく寂しくて…… 胸がぎゅっとなるよ。でも……
寧々:きっとその時は、みんなが……。 みんなが、夢に向かって一歩進み始めた時なんだと、思う……!
えむ:寧々ちゃん……
寧々:だから……だから……っ!
寧々:だから……わたし、その時はみんなで 『よかったね』って笑いあいたい……!
寧々:そ、それにわたし、わたし達には—— ワンダーランズ×ショウタイムには、 この4人だからできたことが、たくさんあったと思うから!
司:…………
寧々:それはきっと今も、 夢を追ったその先も変わらなくて……
寧々:ずっと大切なものになるんだろうな、って思う。 うまく言葉にできないんだけど……なんか、そう思う
寧々:だからわたしは、その時がくるまで、 今みんなでできるショーを大切にしたい……!
寧々:今までみたいに、難しいショーも、 今度こそ無理かもって思うショーも、 いろいろチャレンジしたい!
寧々:みんなと、一緒に……っ!
えむ:寧々ちゃん……
司:……寧々の言うとおりだな
司:オレ達が目指す夢への道は険しい! つまり、その一歩を踏み出すことも簡単じゃない!
司:そこに至るまで、様々な困難があるはずだ
司:……だが、オレ達はワンダーランズ×ショウタイムだ。 どんな困難なこともこの4人で成し遂げてきた! だからオレ達なら、きっとどんな壁だって乗り越えられる!
類:……そうだね
えむ:……どんな未来の壁だって……
えむ:…………
えむ:これからも、みんなでがんばってこー! 次の宣伝公演のことも考えなきゃいけないしね!
寧々:えむ……
司:よーし、それじゃあ寧々の言ったように これからも4人でできることを頑張っていこうではないか!
司:オレ達の未来のために!
第 8 话:最高のチームワークで!
翌日
海辺
寧々:ん……? もう朝……?
えむ:う~ん、寧々ちゃん、 そのおかしの家は魔女がカラシ塗ってたから 食べちゃダメだよ……
寧々:もう、えむってば。 どんな夢見て——
司:あめんぼ赤いなあいうえおーーー!!!
えむ:ふえっ!?
寧々:うるさ……
ネネロボ:120dB。 ヘリコプターのローター並ミの音声を検知シマシタ
類:朝から元気だねえ
司:むっ、すまん。起こしてしまったか
司:公演にはもう間に合わないが…… 晶介さんは埋め合わせをすると言ってくれていただろう?
司:いつ本番が来ても大丈夫なように 万全の準備をしておきたいと思ってな
えむ:司くん……
類:そういうことなら、僕も参加しようかな
寧々:……わたしも。 こんな場所で練習できることなんて、そうないだろうし
えむ:じゃあ、みんなであわせてみようよ! まずは……クライマックスのシーンから
寧々:いきなりクライマックス!?
えむ:だってだって、 あたし、あのシーン好きなんだもん! いくよ~!
騎士A:『王女! どうしましょう、軍勢がもう、すぐそこまで……!』
寧々:……もう、しょうがないな
王女:『ついに来てしまったのね。……我が軍は?』
騎士B:『皆傷つき、疲弊しています。 このままでは、すぐに……』
王女:『とても……とても怖いわ。 誰かが傷つくことも、この命と共に 国の未来が失われることも……』
王女:『でもきっと……いつまでも逃げることはできない』
王女:『私が戦わなくては……!』
王女:『我が兵よ! 今こそ剣を取る時です!』
騎士C:『……行こう! これを、最後の戦いにするぞ!』
騎士A:『はいっ!』
えむ:わあっ……すごいすごーい! 今の演技、すっごく良かったよ!
類:ああ、演技の間やセリフのテンポも自然でうまく噛み合っていた。 今までで一番、それぞれの息がピッタリ合っていた気がするね
司:もしかして、このサバイバル生活で オレ達のチームワーク的なものが深まったんじゃないか!?
えむ:そうかも! みんなでいろんなことやったしね!
えむ:それに寧々ちゃんの演技、 今まで練習してきた中で一番すごかったよね!?
類:ああ。 最後のセリフの声量と、なにより恐怖を感じての演技。 迫真だったよ
寧々:たしかに、なんかいつもより役に入れた気がする。 どうしてだろ……
類:それもきっと、サバイバルでの経験が活きているんだろうね
寧々:え……?
寧々:サバイバルでの、経験……
寧々:(や、やるしかないの……!?)
寧々:(たしかに、あの本番前の独特の緊張感とか、 セリフ飛んだらどうしようとか、 歌の音程がズレたら失敗しちゃうかもとか)
寧々:(そういう怖さに比べたら、今は……!)
MEIKO:『大変かもしれないけど、 みんなで一生懸命考えて行動した経験なら、 全部これからのみんなのためになるんだから』
寧々:——そっか。 メイコさんが言ってたことって、そういうことだったんだ
類:ああ、大変な経験が身になるという話かい? たしかに、彼女の言うとおりだったね
司:助言をくれたことに感謝しなくてはな!
えむ:お礼したいけど、充電切れちゃってるんだよね~。 帰ったらお土産持っていってあげたいな……
えむ:あっ、昨日類くんが言ってた海水漬けバナナとかどうかなっ!?
寧々:たしかに、ここでしか食べれない物かもしれないけど……。 そんなの渡すのはさすがに罰ゲームでしょ
類:でも、意外に美味しいかもしれないよ?
司:そもそも昨日全部食べたから残ってないだろう……
ネネロボ:——50dB。 家庭用エアコンの室外機並ミの音声を検知シマシタ
えむ:えっ? 司くんの声にしては小さいね?
司:オレだって年中大声張り上げているわけじゃないからな!
類:いや、多分、今のは司くんの声ではなくて——
えむ:わわっ!? 何、この音!
ネネロボ:120dB。 ヘリコプターのローター並ミの音声を検知シマシタ
寧々:ローター並みっていうか、これは……
類:本物のヘリコプターの音だね
えむ:えーっ!?
晶介:来たか。 思った以上に早かったな
えむ:あ、お兄ちゃん! どこ行ってたの!?
晶介:明けがたくらいに、ようやく修理が終わってな。 SOSを出せたから、見つけてもらいやすいように 海岸に旗立てて待ってたんだ
晶介:これでこの場所ともおさらばだな
司:おおっ!
寧々:よかった……
えむ:でも無人島生活楽しかったよね! たまには、またやってもいいかも!
晶介:馬鹿なこと言ってる場合か。 お前達には公演があるだろ
類:えっ? それは……
晶介:今日はもう無理だが、スケジュールの目処が立った
晶介:——明日だ。 例の嵐の影響で船が出せずに キャンセルが出たイベントがあるらしい
晶介:そこに滑りこんで入れさせてもらった
えむ:明日……って
えむ:明日っていつ!? もう今日!? 何時から!?
司:落ち着け! 明日は明日であって明日のことだ! 今日ではない!
寧々:……延期になるかもとは思ってたけど、 まさかこんなに急だなんて
晶介:そうだな。 しっかりした睡眠も取れず、疲れもあるだろう。 コンディションは最悪だ
晶介:それでも……やれるか?
寧々:大丈夫です
寧々:わたし達、ワンダーランズ×ショウタイムに、 できないことはないから
えむ:よーし、それじゃヘリコプターの中で練習しよ!
司:ああ! みんなに笑顔を届けるためだ、気合い入れてやるぞ!
えむ:あっ、そうだ! みんなであれやろ! ニコニコを届ける笑顔のご挨拶!
司:こ、ここでか!?
類:クルーザーに乗る前ぶりだね
寧々:まあ、気合い入れるために必要って言うなら……
えむ:えへへ、それじゃあ皆さんご一緒に! 公演でもみんなにニコニコワクワクを届けるために! せ~のっ……
全員:『わんだほーい!』