活动剧情
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活动ID:66
第 1 话:ワクワクゲーム大会開催!?
スクランブル交差点
ゲームセンター店員:ありがとうございました!
寧々:はあ……
寧々:(『ブラックギャラクシーソルジャー』を やれたのはよかったな、ヘッショも結構決められたし。 だけど……)
寧々:(やっぱりあのお店、どのゲームも 筐体のメンテ不足な感じがするんだよね)
寧々:(駅前で行きやすいし、今までは少しボタンの反応が悪くても しょうがないと思ってたけど……ガンシューティングで 照準のポイントが合わないのは、さすがにどうなの?)
寧々:(危うくやられかけたし、スコアも伸びないし……。 すっごくストレスだった……)
寧々:(まだ新作ゲーム入ってないと思うけど、 向こうのゲーセン使おうかな……)
寧々:でも、あっちは少し治安が悪いんだよね。 もっといいところがあればいいんだけど——
ビラ配りの男性:リニューアルしました! よろしくお願いしまーす!
寧々:えっ、あっ……! ど、どうも……
寧々:(い、勢いに押されて、ついもらっちゃった……。 こういうの、いつも断れないんだよね……)
寧々:(だいたい興味ないチラシで、 もらっても困るものばっかなのに——って)
寧々:『ゲームセンター、リニューアルオープン! ワクワクゲーム大会開催のお知らせ』……?
寧々:地図見た感じ、この辺りだけど……。 この通りに、他にゲーセンなんてあったっけ?
寧々:(もしかして、すごく小さいところなのかな。 でも、リニューアルしてゲーム大会までやるって なんか珍しいな。どんなことを——)
寧々:——えっ!? これって……!
ワンダーランドのセカイ
えむ:ゲームの大会!? おもしろそう~っ!
寧々:うん。ちょっと、これを見てほしいんだけど
司:これは……。 なんというか、個性的なチラシだな
類:ひと昔前の文章作成ソフトで作ったような雰囲気だね。 文字が虹色だったり、妙に立体的な感じが
ルカ:まあ、カラフルでかわいいわねえ
寧々:見てほしいのは、チラシのデザインじゃなくて 内容なんだけど……
司:ああ、この大会に出たいという話だったな
類:だけど珍しいね。 寧々は、こういう大会には興味がないと思ってたけど
寧々:まぁ……知らない人の前でゲームするの、 ちょっと緊張するし、あんまり好きじゃないけど……
寧々:このゲーム大会の優勝賞品になってる ゲームエキスポのVIP招待券が……その、 どうしても欲しくて
ミク:げーむえきすぽ? 何それ何それっ!
類:今度、展示場でやるゲームの紹介イベントのことだよ。 開発者の声が聞けたり、新作ゲームの先行試遊ができたり、 ゲーム好きにとっては年に一度のお祭りのようなイベントらしいね
リン:そうなんだ~! じゃあ、寧々ちゃんにとってもお祭りだねっ☆
寧々:お祭り……っていうと、大げさかもしれないけど まあ、そうだね
寧々:それに、このチケットがほしいのは エキスポがあるからだけじゃなくて、 イベント内でやるショーの招待券もついてるからなの
ミク:ショーの招待券?
寧々:うん、そう。ゲーム原作のショーで、 そのゲームが昔から好きだったから 絶対見たいって思ってたんだけど
寧々:チケットがすぐ完売しちゃったから、諦めてたんだ
類:ああ、次世代エンターテインメントショーと銘打っていたあれだね
えむ:すごーい! 大人気なんだね!
司:しかし……ゲームエキスポ内のショーが そんなに人気なのか?
類:うん。技術的にも新しい上に、日本一と名高い劇団から 役者と演出家が参加していることも大きな要因だろうね
司:日本一の……なるほど。 それはたしかに興味があるな
えむ:あたしも見てみたーい!
寧々:そっか……
寧々:じゃあ、みんなで大会に出てみない? 賞品はVIP招待券4枚だから、 優勝すればみんなで行けるよ
寧々:それに……この大会はペア参加が条件だから、 一緒に出てくれると助かるっていうか……
司:なるほど、そうだったのか。 オレはあまりゲームに慣れていないから 力になれるか疑問だが……
司:そういうことなら、全力で挑もう!!
えむ:うんうんっ! あたしもがんばるよ!
類:もちろん僕も、と言いたいところだけれど……
類:この大会の日は、 次のショーで使うために発注していた大道具を 取りに行く予定じゃなかったかな
寧々:あ……!
えむ:そうだった! 晶介お兄ちゃんがトラック手配してくれるって 言ってくれてたんだ!
えむ:たしか、その日のお昼に取りに行くから…… ゲーム大会の時間とも、ぴったり同じだよ~!
レン:え~っ!
リン:それじゃあ、諦めるしかないの?
寧々:……ごめん、すっかり忘れてた。 次のショーのほうが大事だし、今回は仕方ないね
司:……いや。まだ方法はある
えむ:司くん?
司:大道具はオレと類で取りに行き、 ゲーム大会には寧々とえむが出ればいい!
司:大道具のチェックは類がいればなんとかなるし、 荷物運びならオレが寧々とえむの分をカバーする。 どうだ?
類:そうだね。今回、運ぶ量自体はいつもより少ないし、 司くんとふたりでも問題ないんじゃないかな
寧々:えっ、でも……いいの……?
司:いいもなにも、それが最高のプランだ! 大道具は予定どおり運べるし、 ショーのチケットも手に入るかもしれない!
司:というわけで、チケットのことは任せたぞ!
えむ:了解でありますっ! 寧々ちゃんがいるし、絶対大丈夫だよ!
寧々:ぜ、絶対なんてことはないと思うけど
寧々:でも……頑張ってくる
司:ああ! 応援しているぞ!
寧々:うん。……ありがと
寧々:(……よし! 勝てるように、当日まで練習しよう……!)
寧々:(……あれ? でも、なんのゲームをやるか書いてない。 当日発表されるのかな……)
えむ:寧々ちゃーん! 絶対優勝しようねーっ☆
寧々:わっ! もう……。 ふふ、頑張ろうね
翌日
センター街
冬弥:……よし、いい位置だ。 ここでアームを下ろせば……
冬弥:……取れた
冬弥:……そろそろ両手では抱えきれなくなってきたな。 もうすぐ彰人も着く頃だろうし、このくらいにしておくか
冬弥:プレイ回数はあと2回か……。 奥のものを取るのは難しそうだが 手前のぬいぐるみなら、なんとかなりそうだ
冬弥:よし、もう1回——
彰人:悪い冬弥、遅くなった——
彰人:って、なんだそのぬいぐるみの量!? 袋いっぱいに詰まってるじゃねえか
冬弥:ああ、新しい台がいくつか出ていたからな。 待っているあいだに挑戦していた
彰人:それでこれだけ取ってたのかよ
彰人:(毎回こんなに取ってたら、 こいつの家、ぬいぐるみだらけになってんじゃねえのか……?)
冬弥:すまない、まだプレイ回数が残っているから 少しだけ待っていてもらえないだろうか
彰人:ああ、別にかまわねえよ。 向こうで座って待ってる
冬弥:——彰人、待たせてしまってすまない
彰人:おう。つーか、もうひとつ取ったのかよ。 相変わらずすげえな
冬弥:ああ、アームから落ちそうになってしまったんだが、 うまくヒモが引っかかってくれた
彰人:へえ……。 よくわからねえけど、よかったな
彰人:それじゃ、練習に行くか。 今日もいつもの場所で、発声から——
ビラ配りの男性:リニューアルしました! よろしくお願いしまーす!
冬弥:あ……どうも、ありがとうございます
冬弥:……ん? 『ゲームセンター、リニューアルオープン! ワクワクゲーム大会開催のお知らせ』……
彰人:そんな場所にゲーセンあったのか。 ……つーか、妙に古くせえデザインのチラシだな
冬弥:…………
彰人:なんだよ、興味あんのか?
冬弥:ああ、少しな。 まだプレイしていないゲームがあるならやってみたいんだ
冬弥:……しかし、このゲーム大会というのは どういう——
冬弥:……!
冬弥:……これは……!
第 2 话:選手登場!
ゲーム大会当日
ゲームセンター
えむ:わあっ……! ここでゲーム大会やるの~!?
寧々:意外と広いね……。 チラシの雰囲気で、勝手に小さいお店なのかなって思ってたけど
ミク:『地下にこんな場所があるなんて、秘密基地みたいだねっ』
寧々:うん、本当に——ってミク!? どうして来てるの?
ミク:『えへへ☆ おもしろそうだから遊びに来ちゃった~! ちょっとだけ見ていってもいい?』
えむ:うん、いいよ~! 一緒にゲームしようよ☆
寧々:そ、それはさすがに無理でしょ
寧々:まあ、人が多くなったら隠れてもらうと思うけど、 それまでなら見てていいんじゃない?
ミク:『わーい☆ ありがと~!』
ミク:『それにしても、いろんなゲームがあるね~!』
えむ:あっ、あたし、このゲーム知ってる! 音に合わせてダンスするやつだよね☆
えむ:前にやって、オニレベルまでできるようになったんだ~!
寧々:え、それ……かなりすごいんじゃ……
ミク:『寧々ちゃんは、いつもどんなのやってるの?』
寧々:わたしは、ガンシューティングとか…… 対戦するゲームがメインかな
えむ:ガンシューティングって?
寧々:銃で敵を撃つゲームだよ。 多分、この辺りのコーナーに——
寧々:……えっ!? どうしてこのゲームがここに……!?
えむ:なになに? これ、珍しいゲームなの?
寧々:ブラックギャラクシーソルジャーっていう海外のゲームで ゲーマーに人気なんだけど、日本には筐体が あんまり入ってきてないんだよね
寧々:まさかこんなところで見つけられるなんて……。 この辺では、駅前の大きな店にしかなかったのに……!
寧々:……ちょ、ちょっと触ってみてもいい? コントローラーがどんな感じなのか試してみたくて
えむ:もちろんいいよっ!
ミク:『もしかして、その銃みたいなのがコントローラーなの? おもしろーい!』
ミク:『寧々ちゃんがそれ使ってるところ、 ミクも見てみたーい☆』
寧々:じゃあ……
寧々:(……ボタンが押しやすいし、 照準ポインタも、ちゃんと合ってる)
寧々:(見た感じ、周りにある古めの筐体もボタンとか ちゃんと掃除されてるみたいだし……結構いい店かも。 こんな場所が近くにあったなんて……)
寧々:ありがと。 なんとなくわかった
えむ:持っただけで何かわかったの!?
寧々:わかったっていうか……。 別の店と、どっちが撃ちやすいかなって調べてただけ
えむ:ほえ~、そうなんだ~
えむ:でも、寧々ちゃんがびっくりするくらい 珍しいゲームもあるお店なのに、 なんだかお客さん、あんまりいないよね
寧々:……うん。 ここまで綺麗で設備も整ってるなら、 もっとお客さんが入っててもいいと思うんだけど
ミク:『何か理由があるのかなあ?』
寧々:場所の問題とか? 地下にあるとなかなか目立たないだろうし……
寧々:でも、こんな穴場見つけられてよかったな。 人が少ないなら集中してやれるし——
寧々:って、もうこんな時間! 早く大会の受付しないと
えむ:あっ、そうだった!
えむ:ごめんミクちゃん! これからちょっと隠れててもらうことになるかも!
ミク:『はーい! ポケットからふたりのこと応援してるねっ☆ いってらっしゃ~い!』
寧々:あ、あの……ゲーム大会の受付ってここですか?
店長:おおっ……! もしかしてキミ達、参加してくれるのかな!?
寧々:は、はい
店長:ありがとう! それじゃあ、この用紙に必要事項を記入してね!
えむ:はーい、あたしが書いちゃうね! さらさらさら~っと!
えむ:はいっ、できました!
店長:ありがとう。エントリーしてくれる人がいて嬉しいよ。 ……恥ずかしながらこのお店、お客さんが少なくてね
寧々:たしかに……こんなに大きいのに、 あんまり人が入ってないですね
寧々:やっぱり地下にあるから、目立ちにくいのかな
店長:それもあるけど……まあ、他にも理由があってね
えむ:理由?
店長:……実は、店長だった僕の祖父が亡くなって、 ゲームのことをあまり知らない父が店を引き継いだんだけど……
店長:その頃から、メンテナンスが疎かになったり、 新機種が入りにくくなってしまってね
店長:売上が右肩さがりになって 経営が難しくなってしまったんだ
えむ:おじいちゃんのお店が……
店長:このまま店を閉めるか、という話もあったんだけど……。 この店には思い出があるから、反対を押し切って 僕がリニューアルしたんだ
店長:それで、少しでもお客さんに この店を知ってもらいたいと思って、 今回の大会を企画したんだよ
寧々:……そうだったんですか
店長:ああ、だから今日は再出発の一発目として 盛り上げていきたいんだ! キミ達も思いきり楽しんでくれると嬉しいな
えむ:……はいっ! あたしも、ゲーム大会を 盛り上げられるようにがんばります!
寧々:……うん、そうだね
寧々:(このお店のゲーム、少し触っただけで 大事に手入れされてるのも伝わってきたし……)
寧々:(これから続けてもらうためにも 今日の大会、盛り上げられたらいいな)
えむ:わあ、人がいっぱい集まってきたね~!
寧々:うん。……でもなんだか、主婦っぽい人とかお年寄りとか、 ゲームやらなそうな人が多いような……
えむ:あっ、さっき店長さんが、せっかくの大会だから 近所の人を集めたって言ってたよ!
えむ:お客さんがいーっぱいいると、 賑やかでわくわくするねっ☆
寧々:う、うん……。 でも、こんなにたくさんの人の前でゲームするのは ちょっと緊張するかも……
店長:——皆さん、本日はご来場いただき、ありがとうございます! 只今より、当店主催のワクワクゲーム大会を開催いたします!
寧々:——あ、始まったみたい
えむ:楽しみだね~!
店長:それでは早速ですが、 今日の大会を盛り上げてくれる、4チームの発表です!
店長:皆さん、前にどうぞ!
寧々:え……。わ、わざわざステージに上がるんだ……
えむ:寧々ちゃん、行こ!
寧々:うう……
寧々:(……意外とお客さん、多くないみたい。 これくらいなら、そんなに緊張しないから助かるかも……)
店長:それでは、参加チームを紹介します
店長:まずは……『ピコピコわんだほい』チーム!
寧々:ピコピコ……わんだほい?
寧々:……え。 それって、もしかして……
えむ:はいはーいっ! あたし達でーす!
寧々:ちょ、ちょっと、えむ! いつの間にそんな名前つけたの!?
えむ:さっき参加手続きする時に 店長さんからもらった紙あったでしょ? あそこにチーム名を書く場所があったんだ!
えむ:ピコピコは、ゲームっぽい音から取ったんだよ! かわいいでしょ~☆
寧々:か、可愛くなくはないけど……。 ちょっと子供っぽすぎない……?
店長:続きまして『俺達さいつよ』チーム、『筋肉こそ正義』チーム……
寧々:(……なんだ。 意外にみんな同じような名前みたい)
店長:そして最後に…… 『柳と雲』チームです!
えむ:柳と雲?
寧々:どういう意味だろ? 今までの感じとちょっと違うけど、どんな人が——
???:——今日はよろしくお願いします!
寧々:え……この声……
寧々:(二重人格っぽい人と……青柳くん!? どうしてこんなところに……!)
第 3 话:意外なライバル
寧々:(ど、どうして青柳くん達がこんなところに……!? ゲームとか興味なさそうなのに……!)
寧々:(うう、なんかちょっと気まずいし、 できればバレないようにしたいけど……)
えむ:ほえ? あの人達、なんか見たことあるような~?
えむ:あ! 司くんのお友達じゃないっ? ねえ、寧々ちゃん!
寧々:え、あっ、ちょっとえむ! もう少し声抑えて——
彰人:あ、お前……。 司センパイ達とショーやってる——
冬弥:……草薙か?
寧々:ど、どうも……
えむ:こんにちはー! 司くんのお友達だよねっ?
えむ:あたし、鳳えむ! よろしくね☆
彰人:別に友達じゃねえよ
冬弥:はじめまして、青柳冬弥です。 司先輩には小さい頃からお世話になっています
彰人:東雲彰人、よろしく
えむ:彰人くんと冬弥くんだね☆
えむ:あれ? でも彰人くん、なんだかさっきと違うよーな……? さっき挨拶してた時はもっとニコニコしてたのに
寧々:そういう人だからね……
冬弥:だが、ここで会うとは思わなかったな。 草薙もゲームが好きなのか?
寧々:う、うん。それもあるけど…… 優勝賞品のチケットが欲しくて
冬弥:そうだったのか。 奇遇だな、俺達もあのチケットを狙っているんだ
寧々:え? 青柳くん達も……?
冬弥:ああ。そのイベントのメインステージでライブがあってな。 そこに、いつもチケットが入手困難の 有名なチームが出るというから、興味があったんだ
彰人:一流のパフォーマンスがどんなものか、 見ておきたいからな
寧々:……そっか。 チームで歌ってるって言ってたもんね
冬弥:だが、そうなると—— 俺達は優勝争いをすることになるな
寧々:……じゃあ、ライバルってことだね
冬弥:ああ。お互い、全力を尽くそう
寧々:——うん
店長:さて、これで参加者すべてが出そろいました! いよいよ大会のルール説明といきましょう!
観客のおじさん:よっ、待ってました~!
観客の主婦:みんな、頑張って~!
俺達さいつよA:参加者見た感じ、どいつも弱そうだな。 客入りの悪いゲーセンなだけあるぜ
俺達さいつよB:だな。これなら“あれ”をやるまでもないっしょ
彰人:ん……?
彰人:(こいつらたしか、 『俺達さいつよ』チームのやつらだったよな)
彰人:(“あれ”って……なんだ?)
店長:今大会では3つのゲームを用意しており、 順位に応じてチームにポイントを加算します
店長:そして最終的に、 そのポイントが一番高かったチームが優勝となります!
冬弥:なるほど。 とにかくゲームに勝って、ポイントを取ればいいんだな
彰人:ああ、どういうゲームが来るかはわからねえけど 何がきても勝つだけだ
えむ:ついに始まるね、寧々ちゃん!
寧々:そうだね。頑張らなくちゃ……!
寧々:(それにしても、3つのゲームか。 何があるんだろ)
寧々:(まあ、大会っていうんだから対戦系のゲームがメインかな。 それなら得意だし、優勝も狙えそう。 格闘系とかガンシューティングがあればいいけど——)
店長:それでは、まず最初の対戦に使用するゲームの発表です! 1回戦目のゲームは——
店長:『プリントシール』ですっ!!
寧々・冬弥・彰人:『……え?』
寧々:プリント……シール……?
彰人:どういうことだよ……
えむ:わあっ、やった~! 楽しそう~!
彰人:えーと……すみません。 少しいいですか?
彰人:プリントシールって、部屋っぽいブースの中で 写真を撮って落書きするやつですよね?
店長:はい! デカ目もスタイルアップも自由自在、 女子高生を中心に幅広く愛されているプリントシール、 通称プリシです!
冬弥:最近のプリントシールには、 対戦する機能もついているんだな……
彰人:いや、そんなわけねえだろ。 ……多分
筋肉こそ正義A:な、なんでプリシが競技に……?
俺達さいつよA:そもそもゲームですらねえだろ!
寧々:(……そうだよね。 こんなので競うなんて、さすがに見てる人も疑問に……)
観客の主婦達:あらあ、プリントシール。 懐かしいわ、私達も若い時はよく撮ったわねえ
観客の主婦達:そうそう、オリジナルの手帳作ったり、 みんなで交換なんかしたりしてね。 当時は背景の種類が少なくて……
寧々:ぜ、全然思ってない……!?
店長:驚かれたかたも多いでしょうが、 本大会では、店内にある様々なジャンルのものに 触れていただきたいと思っております!
店長:なお当店では、ゲームセンターでは珍しい 男性も入れるブースをご用意しておりますので、 ご遠慮なくお楽しみください!
寧々:……なるほど、宣伝する目的だったんだ。 ちょっと露骨すぎる気もするけど……
冬弥:ひとまず概要はわかりました。 しかし、どうやって勝敗をつけるんですか?
店長:プリントシールを撮って、 審査員の『いいね』を一番多く集めたチームが勝利です!
店長:審査員は、会場にいる女子高生、主婦など それぞれ好みが違いそうな3名を選出させていただきます
店長:そして出場者の皆さんは、 彼らに『良い』と思わせるような1枚を撮ってきてください! 総合ポイントが最も高かったチームが勝利となります
店長:それでは、スタートです!
寧々:えっ……ちょっと、いきなり!?
えむ:やったやった、プリシ久しぶり~! 早く行こ、寧々ちゃんっ♪
寧々:ちょ、ちょっと、えむ~!?
店長:おおっと! 『ピコピコわんだほい』チームは さっそくブースへと向かいました!
彰人:……はあ。気は進まねえが、やるしかねえか……
彰人:おい、どうした?
冬弥:ああ……俺は、プリントシールを撮った経験があまりないんだ。 勝てるだろうか……
彰人:お前な……。 そこまで深刻に考えすぎんなよ
彰人:とはいえ、オレもそこまで経験ねえからな。 盛る?とか映え?とかは……
冬弥:そうか……。 やはり1回戦を勝つのは難しそうだな
彰人:…………
彰人:(——まあ、ゲームとはいえ冬弥にとっては 前から楽しみにしてた大会だしな)
彰人:(勝たせてやりてえし、優勝賞品のチケットはオレも興味がある)
彰人:……わかんねえけど、とりあえずやってみるか
えむ:わあ、すご~い、照明がいっぱいだ! 前はこんなにピカピカじゃなかったのに!
寧々:ううっ、まぶしい……。 舞台照明より明るいんじゃない、これ……
ミク:『ホントだ~っ! こんなところで写真を撮るんだね!』
寧々:ミ、ミク!?
ミク:『えへへ~、楽しそうだから出てきちゃった☆ ここなら、みんなにもバレなさそうだしね!』
ミク:『ねえねえ、ここで写真撮るんだよね? どんなポーズにするのっ?』
えむ:んー、こういう感じとかどうかな☆
寧々:えっ、さすがに恥ずかしくない?
えむ:でもでも、せっかく撮るなら 思いっきりポーズとったほうがいいと思うな~!
ミク:『そうだよ~! 元気いーっぱいかわいく撮れたら、みんな寧々ちゃん達を 選んでくれるんじゃないかな☆』
ミク:『それに、いつか演技でかわいいポーズをする時に 役に立つかも!』
寧々:う……た、たしかに……
寧々:(恥ずかしいけど、ここは割り切るしかないのかも……!)
えむ:じゃあいくよっ! 寧々ちゃん☆
寧々:わ、わかった……
えむ:おおーっ! 照明でおめめキラキラだったね~!
ミク:『えむちゃんも寧々ちゃんも すっごくかわいい~!』
寧々:や、やっぱり恥ずかしい……!
ミク:『そんなことないよ~! この写真なら、バッチリ優勝だよっ☆』
ミク:『せっかくだし、セカイのみんなにも 見てもらいたいな~♪』
寧々:えっ!?
えむ:あ! じゃあ司くん達にも見せようよ! みんなに1枚ずつあげたいな~☆
寧々:そ、そこまでしなくてもいいでしょ!
寧々:ていうか、こんな撮りかたでいいの? 大会なんだし、審査員のことも考えて 撮らなきゃいけないんじゃない?
えむ:あ、そっか!
ミク:『でも、どんな感じで撮ればいいのかなぁ?』
えむ:うーん、見てくれたみんなに ニコニコになってもらうなら……
ミク:『それなら、あれはどーかなっ? いつもみんながやってる笑顔のご挨拶!』
寧々:え、それって、もしかして……
彰人:よし、落書きはこんなもんでいいだろ。 ……って、冬弥どうした?
冬弥:いや、彰人はすごいな。 写真を撮る時のポーズもそうだが、 スタンプの選択や飾りかたにもセンスがあった
冬弥:俺は自分の名前を書くくらいしかできなかったからな。 きっと俺だけでは、学生証のような出来にしか ならなかっただろう
彰人:いや……別に褒めるところじゃねえだろ……。 こんなのうまくても自慢にならねえし
彰人:つーか、誰にも言うんじゃねえぞ
冬弥:なぜだ? 自慢していいクオリティだと思うが……
冬弥:——ん?
彰人:どうした?
冬弥:……いや。 今、かけ声のようなものが聞こえた気がしたんだが
彰人:他のチームも撮ってるから、その声じゃねえか?
彰人:それより、印刷終わったぞ。 こんなんでいいのかはわからねえが……
冬弥:大丈夫だ。少なくとも、俺が考えられる限り 最もいい作品になっていると思う。 これで提出しよう
彰人:……ま、そうだな
第 4 话:ナンバーワンのプリシは
ゲームセンター
えむ:えへへ☆ ニコニコなプリシが撮れたね~!
寧々:なんか、どっと疲れた……
彰人:あのシール、ここで出すんだよな……
冬弥:彰人のおかげでいい仕上がりになったと思う。 きっと大丈夫だ
店長:さて、参加者全員の撮影が終わったみたいですね。 審査に出す1枚が決まりましたら、撮影に対する熱い想いや、 こだわった部分の解説をお願いします!
寧々:か、解説!?
冬弥:撮ったシールの解説か……。 初めてやるが、うまくできるだろうか
店長:では、『筋肉こそ正義』チームから順にお願いします!
筋肉こそ正義A:ハイッ! 俺達の強みは筋肉なので肉体美を追及してみました! 見てください、このキレた上腕二頭筋を!
俺達さいつよA:……特にこだわりとかないっす。 ただ、好きなゲームとのコラボスタンプがあったから、 それだけ落書きで使ってみました
えむ:わあ~! みんなのプリシ、みんな違ってて、みんなわんだほいだねえ!
寧々:たしかに個性的だね……。 ていうか、どっちのチームも濃すぎない……?
店長:皆さん、ありがとうございます! では『ピコピコわんだほい』チーム、お願いします!
えむ:はいはーいっ! あたし達のこだわりは、みんなに笑顔のおまじないをかける 『わんだほい』のポーズです!
えむ:あと、背景や落書きも、 ニコニコワクワクがいっぱいつまった感じで、 みんなが元気になれますようにって思いながら作りました!
女子高生審査員:あっ、このポーズ、フェニランのショーで見たことある! それに、フェニーくんの落書きもカワイイ~!
主婦審査員:写真を見るだけで楽しい感じが伝わってくるわね。 旦那とフェニランでデートした時のことを思い出すわ……
サラリーマン審査員:うーん、たしかに楽しい感じはするけど……。 ちょっとゴテゴテしすぎててあんまり好きじゃないかな
えむ:あれ? あのおじさん、あんまりニコニコしてない……?
寧々:……でも、あの人以外の反応は悪くなさそうだよ。 女の人はすごく笑顔になってたし
寧々:(ただ、みんなの前で写真をまじまじ見られるのは、 やっぱ恥ずかしいな……)
店長:審査員の反応もなかなかでしたね! では最後に、『柳と雲』チームにも話を伺いましょう!
彰人:……きたか
冬弥:はい。 俺達が撮ったプリントシールはこれです。 今、流行っているものを参考にしてみました
店長:こ、このポーズは……
寧々:猫……? いや、虎……?
えむ:がおー!って感じだね☆ すっごくかわいいし、かっこいい~!
彰人:うっ……
冬弥:……彰人、心配ない。きっと勝てる。 絵名さんも暁山もやっていたという流行りのポーズなんだろう?
女子高生審査員:たしかに、この『がおポーズ』、 今ピクシェアで流行ってるやつだけど……。 ちょっとここで出すのは狙いすぎじゃない?
主婦審査員:あらぁ、私はいいと思うけど。 いつも見てる『姫様の朝食』って番組でも特集してたし、 すっごくトレンディじゃない
サラリーマン審査員:俺もいいと思うな! こういうのはいいと思っても男がやるには勇気がいるが…… クールにアレンジされていて、俺でもやれそうだ
サラリーマン審査員:何事も、やる前から諦めていたらダメだと わからされた気がしたよ、ありがとう!
彰人:……なんか、それぞれ予想外の反応だな……
冬弥:だが、ふたりには好印象のようだ。 もしかしたら上位を狙えるんじゃないだろうか?
店長:さて、これで全チームの審査が終わりましたね。 では、結果発表の時間です!
店長:3人の審査員それぞれに、 もっとも良いと思ったチームの名前が書かれた札を 出していただきます!
えむ:わ~、ドキドキだね~!
寧々:う、うん。 どうなるんだろ……
店長:それでは審査員の皆さん、一番左の方からどうぞ!
店長:あげられた札は——
店長:『ピコピコわんだほい』チーム!
寧々:わ……!
えむ:やった~! 隠れフェニーくんにも気づいてくれて 嬉しかったな~♪
店長:続きまして、次のかたどうぞ! 彼が選んだのは……
店長:『柳と雲』チーム!
彰人:……! 助かった……
冬弥:まだ気は抜けないが、ひとまず繋いだな
冬弥:しかし、これで草薙達と1対1か……
彰人:他のチームに票が入る可能性もあるが、 あいつらに入ったらまずいな……。 今後を考えるとリードしておきてえ
えむ:う~、勝ちたいね、寧々ちゃん!
寧々:……うん
店長:……さて、最後のかたです。 では、札をあげていただきましょう!
えむ:……っ
彰人:…………
冬弥:……頼む
寧々:(お願い……!)
店長:最後の1票、選ばれたのは——
店長:『ピコピコわんだほい』チームです!
寧々:あ……!
えむ:やった~っ! 寧々ちゃん、わんだほいだよ~っ!
寧々:よ、よかった……!
彰人:……まあ、しょうがねえ。 やれるだけのことはやったからな
冬弥:ああ、次で巻き返そう
冬弥:……それに、プリントシールの楽しさもわかってよかった。 今度は別のフレームやスタンプも使ってみよう
彰人:……悪いが、オレはもう二度と撮らねえぞ
俺達さいつよA:おい、なんなんだよ、このゲーム大会は……! プリシで勝負なんて“あれ”が使えねえじゃねえか!
俺達さいつよB:まあまあ、落ち着けって。 1回戦なんて、余興みたいなもんだろ。 あと2回勝ちゃ問題ねえよ
冬弥:ん……?
彰人:(さっきから、あいつら……。 “あれ”ってなんのことだ?)
店長:さてさてさて! 盛り上がって参りましたので、 続けて2戦目に移りたいと思います!
えむ:おーっ! 次は何かな、何かな~っ!?
寧々:さすがに、プリントシールの撮影以上に驚くものは ないと思いたいけど……
店長:それでは、発表します! 2戦目に行われる競技は……
店長:大人気落ち物パズルゲーム、『ぷよぷよ通』です!
冬弥:……っ!! 彰人、ぷよぷよだ!
彰人:よし、パズルゲームは冬弥の得意ゲームだな
冬弥:ああ、普段からやっているし、自信もある。 次で1勝取り返したいところだ
えむ:やった~! ぷよぷよなら昔、 晶介お兄ちゃんとやったことあるよ! いっぱい連鎖して消せると気持ちいいよね!
寧々:落ちゲーか……
寧々:あんまり得意なジャンルじゃないけど…… でも、やれるだけやろう
店長:2戦目のぷよぷよは、トーナメント戦です!
店長:チームメンバーがひとりずつ対戦し、 勝敗数で勝利チームを決定します。 引き分けの場合は、得点数で決まります
冬弥:ふむ……。 今度はひとりずつ戦うのか
彰人:オレも負けるわけにはいかねえな
えむ:1戦目はどのチームと当たるのかな~?
店長:気になる組みあわせは——こちらです!! 1戦目は——
寧々:……!
寧々:『柳と雲』チーム……!
えむ:わあ、冬弥くん達と?
寧々:うん。プリントシール勝負での獲得ポイント数は、 わたし達がトップで、その次が青柳くんのチーム……
えむ:ってことは……、 今はあたし達『ピコピコわんだほい』チームと 冬弥くん達『柳と雲』チームの優勝争い中ってことだね!
寧々:そうだね。つまり……
寧々:この戦いも——負けられない!
第 5 话:みんなでぷよぷよ!
店長:——それでは『ピコピコわんだほい』チームと 『柳と雲』チームの対戦です! 勝つのはどっちだ~!?
寧々:(そういえば、青柳くん達のゲームの腕前ってどうなんだろ……)
寧々:(ちょっと前にゲーセンの前で会ったことはあるけど、 よくゲームするって話は聞いたことないし……)
寧々:(となると、もしえむが負けちゃったとしても わたしがフォローすればいいし……1勝は取れそうかな)
店長:それでは両チーム、 1戦目の意気ごみをお願いします!
えむ:はいはーい! ニコニコ笑顔でがんばりまーす☆
店長:元気いっぱいでとてもいいですね! では東雲くんも、一言お願いします!
彰人:あ……
彰人:正々堂々、頑張ろうと思います
彰人:——というわけで、お手柔らかによろしくね
えむ:ふえっ!?
えむ:ま、またさっきと違う感じになったよ!?
寧々:そういう人だから……
冬弥:(ゲーム大会という、普段とは違うイベントだから 多少緊張するかと思ったが——さすがだ。いつもの彰人だな)
彰人:(こいつらも別にゲーム得意って感じじゃねえし、 オレらと同じ賞品目当ての参加ってとこだろ)
彰人:(オレもゲームは普段やらねえが…… 大会に出るって決まってから、いくつか練習したからな)
彰人:(ぷよぷよも何度かやって NPCに何回か勝てるレベルにはなったし—— ま、いけるだろ)
店長:それでは、対戦スタート!
彰人:(——よし、落ち着け。 まずは落ちてくるぷよと、次の色を見て……)
えむ:いっくよーー!! ずばばばばばーんっ!
彰人:は……!?
観客のおじさん:な、なんだ!? あの高速落下は!?
店長:おお! 『ピコピコわんだほい』鳳選手、 目にもとまらぬ速さでぷよを落としていきます!
寧々:(晶介さんとやったことあるとは言ってたけど、 きっちり連鎖の準備までできるなんて……! いい感じ……!)
寧々:(……これなら、もしかしたら完勝できちゃうかも)
店長:対して『柳と雲』チームは——!
彰人:クソ、いきなりこれかよ……!
彰人:(——いや、まだ大丈夫だ。 まずは積まれたおじゃまぷよを消して……)
えむ:ふんふふ~ん、ぷよっぷよっ♪
彰人:(調子よかったのは最初の一撃だけか? 今んとこ大人しそうだな)
彰人:(……よし、ここからは連鎖を重ねれば……)
冬弥:彰人、連鎖はもっと重ねたほうがいい。 2連鎖だと、あまり相手におじゃまぷよを送れない
彰人:わかってるが、狙って連鎖すんのムズいんだよな……
彰人:けど、これで練習の時は勝ててたし、 なんとかいけるだろ
冬弥:練習?
彰人:あ、いや——なんでもねえ
寧々:(東雲くん、堅実に消していくタイプなんだ……。 なんかちょっと意外かも)
寧々:(でも、そのやりかたじゃ、対人戦で勝てない。 だって、ぷよぷよの醍醐味は……)
観客の主婦:大丈夫なのかしら? あの女の子、ただ玉を積んでいっているだけに見えるけど。 同じ色をくっつけて消さないと勝てないゲームなんでしょ?
観客のおじさん:え? 知らないんですか? ただ1個ずつ消すだけじゃダメなんだよ。 だから……あの子の本番はここからだ
えむ:……ふっふっふ。準備よーし
えむ:ここから、ババーンっといっちゃうよー! えーいっ!
冬弥:っ……まずい
店長:なんと! 鳳選手、大連鎖に入りました! その数、3……4……いや、もう少し続きそうだぞ!
冬弥:彰人、こちらも連鎖を組んで相殺しなくては
彰人:相殺って——そんな連鎖すぐにできるかよ!
えむ:どっか~~んっ♪
店長:鳳選手、やりました~!! 堂々の6連鎖だ~!!
彰人:うおっ!? 画面ほとんど埋まっちまったぞ!?
冬弥:急げ、とにかく早く消さないとまずいことになる
彰人:そうは言ったって、 こんな狭くなった画面で、何ができるってんだよ!
冬弥:彰人、落ち着け。 高速でぷよを回転させても意味がない
彰人:じゃあどうすれば——あっ!
えむ:やった~! ばたんきゅ~だ~!!
店長:1戦目を取ったのは『ピコピコわんだほい』鳳選手! 鮮やかな勝利です!
彰人:……悪い、冬弥。負けちまった
冬弥:いや、大丈夫だ。 俺も鳳さんが、あそこまでうまいとは思っていなかった
冬弥:でも、次で取り返す。 信じて待っていてくれ
彰人:……ああ。頼んだぞ
えむ:わーい勝てた~! やっぱりぷよぷよって楽しいねっ☆
寧々:お疲れさま、えむ。 想像してたよりうまくてびっくりした
えむ:えへへ。お兄ちゃんが、負けると『もう1回!』って言うから いっぱいやってたんだ~!
えむ:寧々ちゃんも次、がんばってね!
寧々:うん。 このまま2戦目も勝って差をつけよう
店長:さて、それでは運命の2戦目! 『ピコピコわんだほい』チーム、草薙選手と 『柳と雲』チーム、青柳選手の対戦です!
寧々:……あれ?
寧々:(青柳くんのプレイヤーID、 どこかで見たことあるような……?)
えむ:どうしたの、寧々ちゃん?
寧々:あ、ううん。なんでもない
寧々:(多分、似たIDの人を 何かのランキングで見ただけだよね。 ……今は試合に集中しよう)
店長:それでは……対戦開始です!
寧々:(ぷよぷよの鍵になってくるのはやっぱり連鎖数。 そのための土台を、事故らないよう確実に、 でも1秒でも速く積み上げて——)
寧々:(……えっ!?)
寧々:(青柳くんの画面……どういうこと!?)
店長:く、草薙選手、 先ほどの鳳選手以上の速度でぷよを積み上げていますが……
店長:それ以上に、青柳選手の速さが異常です! 画面に現れた瞬間に積んでいて、 ほ、ほとんど見えません!!
観客の学生:な、なんだ? アイツ、ヤケになってないよな!?
観客のおじさん:いや、的確に積んでる。 しかも……あれは連鎖が始まったら、 さっきよりとんでもないことになるぞ
寧々:くっ……!
寧々:(な、なんとか捌かないと……! 大連鎖が一気に来たら……!)
寧々:(……よし、引きがいい! 一度ここで連鎖を出して、おじゃまぷよを送れれば——)
冬弥:……ふう
彰人:お、おい、冬弥。 なんでコントローラーから手離してるんだ?
冬弥:——今は待つことしかできないからな
店長:おおっと、ここで大連鎖が始まりました! 4連鎖、5連鎖、6連鎖……いや、まだいきますよ!?
寧々:(な……こんな連鎖、見たことない……!)
寧々:(まずい、早くこっちも連鎖を繋げて相殺しないと——!)
観客のおばさん:す、すごいわね……
観客のおじさん:おじゃまぷよの予告が星形になってる……。 ここで相殺しきれなかったら、もう……
寧々:(少しずつ消せはしてるけど、それでも……!)
寧々:だめ、間にあわない……!
えむ:ああ~っ! おじゃまぷよのどしゃぶりが~っ!
冬弥:……勝負あったな
店長:ここで『ピコピコわんだほい』草薙選手、ばたんきゅ~です! 勝者は『柳と雲』青柳選手でしたー!
寧々:そ、そんな……
冬弥:……よかった。 打ち返しが早かったから少し焦ったが、 なんとかなったみたいだな
彰人:結果は1勝1敗ってことか。 この場合どうなるんだ?
えむ:たしか、勝利数が同じ場合はスコアの合計で決めるって 店長さん言ってたよね!
寧々:……ってことは、今回は……
店長:ぷよぷよ対決、2戦目。 決勝戦に進む勝者は——
店長:『柳と雲』チームです!
冬弥:よし……!
第 6 话:迫りくる闇
寧々:……甘く見てた
寧々:まさか9連鎖も入れてくるなんて……。 どう見ても初心者のプレイじゃないでしょ……!
彰人:まあ、冬弥は初心者じゃないしな
えむ:どういうことっ!? 冬弥くん、ぷよぷよのプロなの!?
冬弥:プロというわけではないが…… こういう落ち物ゲームは、駅前のゲームセンターで よくやっているな
寧々:駅前の……
寧々:(あっ、思い出した、さっきのプレイヤーID……! 見覚えあると思ったら、最近こういうゲームのランキングで 1位をとってるIDと同じなんだ……!)
寧々:どうりで……
えむ:じゃあ、寧々ちゃんと冬弥くんはゲームセンター仲間だね! 寧々ちゃんもよくゲームセンター行ってるし!
寧々:ちょ、ちょっと、えむ……!
冬弥:草薙も普段からゲームをやるのか。 なるほど、強いわけだ
寧々:つ、強くなんかないでしょ。 ボロボロに負けたし
冬弥:いや、あの連鎖に対して あそこまで粘れるプレイヤーはそうはいない
寧々:え……
寧々:あ……ありがと。 でも、結局負けちゃったわけだし
寧々:……いつか再戦させてよ。 負けたままなのは嫌だから
冬弥:ああ、わかった。 時間があう時に、また手合わせさせてくれ
筋肉こそ正義A:おい、今のは汚いだろう! スポーツマンシップに反するぞ!
寧々:な、なに?
筋肉こそ正義B:あいつら、対戦中に体をぶつけてきたんだ! 反則じゃないのか!?
俺達さいつよA:いやいや、そんなん、負けた言い訳にすぎないでしょ。 だいたい証拠はあるんすか?
筋肉こそ正義B:なんだと……!?
彰人:あいつら……
俺達さいつよA:参加者見た感じ、どいつも弱そうだな。 客入りの悪いゲーセンなだけあるぜ
俺達さいつよB:だな。これなら“あれ”をやるまでもないっしょ
彰人:…………
冬弥:向こうの対戦で、何か揉めているみたいだな
寧々:不正行為があったって言ってるみたいだけど…… 証拠がないから、どっちが本当のことを言ってるのか わからないみたいだね
店長:すみません。防犯カメラでも確認できなくて——
筋肉こそ正義A:なんで俺達の負けになるんだ!? 納得いかない……!
えむ:すっごく怒ってるね……
冬弥:あまり気持ちのいい対戦ではなかったみたいだな
えむ:……ゲームって、みんなで楽しくやるものじゃないのかなぁ
寧々:わたし達も見てたわけじゃないし、 本当に不正があったかどうかはわからないけど……
寧々:あのチームが勝ったなら、 次のぷよぷよ決勝、青柳くん達と戦うことになるんじゃない?
えむ:あ……たしかに!
冬弥:一応、気をつけておく。 勘違いだったらいいんだが……
彰人:……そうだな
店長:さて、白熱のぷよぷよ対決も、 『俺達さいつよ』チームと『柳と雲』チームの 最終決戦となりました~!
寧々:……なんか最初より人増えてない? 最初は店長さんが呼んだ近所の人しかいなかったのに、 いつの間にか若い人がいっぱいいるっていうか
えむ:あ、それさっき観客の人が言ってたの聞いたんだけど、 ネットでこの大会のことが話題になって、 いろんな人が見にきてるみたい!
寧々:そうだったんだ。 たしかに動画とか写真撮ってる人もいたもんね。 次は青柳くんのプレイもあるし、もっと話題になりそう
えむ:そうだね! この調子でもっともっと盛り上がるといいな~!
寧々:うん
寧々:(だからこそ……何も起こらないといいんだけど)
店長:では、両チーム1戦目のプレイヤーは準備をお願いします!
俺達さいつよA:ハッ、俺の相手はあいつか。 初心者が相手でよかったぜ
彰人:……好き放題言いやがって
冬弥:——大丈夫だ。 それよりも落ち着いていこう
彰人:ああ、わかってる
店長:それでは、対戦スタート!
えむ:わわっ、もう始まった!
寧々:(あ……相手チームの人、うまい……! 本当に不正なんかしたのかな? そんなことしなくたって十分強いように見えるけど)
寧々:(でも、この調子だと東雲くんは苦戦することに——)
店長:おおっと!? 『柳と雲』チーム東雲選手、3連鎖ダブルで送られた おじゃまぷよを相殺することに成功です!
寧々:えっ……!
えむ:すごーい、彰人くん!
冬弥:さっきより遥かに成長している。 彰人は、すぐに俺よりうまくなりそうだな
彰人:……さすがにそれはねえ。 おじゃまぷよを相殺できたのは、ただの運だ
俺達さいつよA:チッ、小賢しいマネしやがって……!
俺達さいつよA:けど——これで終わりだ!
彰人:な……!? 8連鎖!?
冬弥:……まずいな。 今も結構積みあがってるし、ここでおじゃまぷよがきたら——
彰人:くっ……ダメだ、間に合わねえ!
店長:お~っと、ここで東雲選手がばたんきゅ~! 『俺達さいつよ』チームが先制しました~!
えむ:ああ~っ! 彰人くん、惜しかったよ~!
寧々:すごく健闘してたね……
彰人:……すまねえ、冬弥
冬弥:いや、健闘してくれてありがとう。 あとは俺がなんとかしよう
俺達さいつよA:はあ~、あぶねえな。 一瞬ヒヤッとしたわ
俺達さいつよB:ま、でもあれくらいなら“あれ”を使うまでもなかったな。 ……問題は次のヤツだ
彰人:……冬弥、気をつけろよ
冬弥:——ああ、わかっている
店長:それでは、いよいよクライマックス! ぷよぷよ対決の勝者を決める2戦目となります!
店長:泣いても笑っても最後の対戦…… ついにスタートです!
冬弥:…………
寧々:(うわっ、やっぱり速い……! 落としかたも正確だし、迷いがない)
えむ:すごいね! さっきよりも、びゅびゅびゅびゅーんって積んでいってる!
彰人:(……調子いいみてえだな。 このままいけば冬弥が勝つのは確実だが、問題は——)
俺達さいつよA:…………
彰人:(……やっぱり、動き出したか)
彰人:……あの、どうかしましたか? まだ試合中ですけど
俺達さいつよA:今後の参考に彼の技を近くで見たくてさ。 でも俺、目が悪くて……近づかないと見えないんだよ
彰人:(こいつ……)
彰人:すみません、彼の集中を切らしたくないので……。 よかったら動画撮っておくので、あとで送りますよ
俺達さいつよA:チッ……
寧々:(あれ……東雲くんとあの人、なんか揉めてる? やっぱりあのチーム、何か……)
俺達さいつよB:くっ、まずい! このままじゃ負ける……!
俺達さいつよA:——クソッ、こうなったら……
寧々:あっ……!
冬弥:……!
えむ:あっ、ジュースこぼしちゃった!
寧々:……違う。 明らかにわざと青柳くんの手にかけてた……
彰人:てめっ……!
俺達さいつよA:ご、ごめんごめん! 試合に夢中になって前のめりになったらつい——
冬弥:彰人、大丈夫だ。 ……もう終わる
彰人:え? 終わるって……
俺達さいつよB:っ!? お、王冠のおじゃまぷよだと!? クソッ、こんなの間に合うわけが——
店長:あ……しょ、勝者…… 『柳と雲』チームです! 1戦目、2戦目と見事に勝ち抜きました……!
えむ:13連鎖だって! すごいねえ~!
寧々:そうだね……。 ——でも
店長:キミ達、ちょっといいかな。 さすがに今の行為は看過できないよ
俺達さいつよA:ちょ、ちょっと待ってくださいよ。 手にかけたことは謝ります。 でも、本当にわざとじゃないんですって
俺達さいつよB:そうですよ! それに結局、試合には俺達が負けたんだし。 本当に勝つつもりならもっと早く邪魔してるって!
店長:そういう問題じゃなくてね……!
冬弥:いや、俺は勝ったし大丈夫です。 このまま大会を続行してください
彰人:な……冬弥!?
店長:……いいのかい?
冬弥:はい。せっかくの大会を、こんなことで 台無しにするわけにはいきませんから
冬弥:だが——
冬弥:次はないと思ってほしい
俺達さいつよA:っ……!
店長:被害者のキミが言うなら、それでいいが……。 キミ達、疑われるような行為はしないようにしてくれよ
俺達さいつよA:……ええ、もちろんです
寧々:……青柳くんは見逃してあげたみたいだけど、 やっぱりあれ、わざとだと思う
えむ:でも、どうしてそんなことするんだろ? せっかく店長さんがワクワクな大会をやってくれてるのに、 みんなが楽しく遊べなかったら悲しいよ
寧々:えむ……
寧々:(そうだよね。店長さんも、大事な思い出のある店を 盛り上げるために頑張ってるし、 みんなも真剣にゲームしてるのに——)
寧々:(みんなの気持ちを台無しにするようなことするなんて ……許せない)
店長:さあ、それではいよいよ最終競技となりました。 最後の試合を盛り上げてくれるのは…… 大人気、次世代体感型サバイバルゲームです!
寧々:え……
寧々:それって、もしかして……!
店長:そして、最終競技に移る前に順位の振り返りです!
店長:1位は『柳と雲』チーム! あとを追う『ピコピコわんだほい』、『俺達さいつよ』チーム、 『筋肉こそ正義』チームは追いつけるか~!?
店長:最後は両チームの一騎打ち……となるところですが、 3位以下の皆さんにもこのゲームを全力でやりきっていただくため スペシャルルールを追加いたします!
冬弥:スペシャルルール?
店長:本試合で最後まで生き残ったチームは、なんと…… ポイントを2倍! 2倍差し上げます! 大逆転のチャンスですので、皆さんがんばってください!
彰人:……マジか
寧々:お約束とはいえ、2倍って雑すぎない?
寧々:——でも、チャンスかも
寧々:……えむが言ってたとおり、 ゲームはみんなで楽しく遊ぶものだよね
えむ:……寧々ちゃん?
寧々:それなら…… あの人達に、ゲームでわからせてあげなくちゃ
第 7 话:生き残るために
ゲームセンター
寧々:……すごい。お店いっぱいに人が……
えむ:やっぱり冬弥くんのぷよぷよがすごかったからかな? お客さんでい~っぱいだね☆
えむ:きっと店長さんも喜んでくれてるよね。 あたし達も最後の戦い、盛り上げられるようにがんばろー!
寧々:う、うん……
寧々:(こんなたくさんの人に見られてると落ち着かないけど……。 もし最後のゲームがアレなら、わたしの一番 得意なジャンルだし……!)
店長:さあ、ついにクライマックス! 多くのお客さまに見守られ、最終決戦の幕が開きます! 最後に選ばれた大人気対人ゲームとは——
店長:『フィールドバトル』! 『フィドバ』の名前でおなじみの、 次世代体感型サバイバルゲームだー!
寧々:フィドバ……!
えむ:もしかして寧々ちゃんやったことあるの!?
寧々:うん。結構好きで、最近ハマってるんだ
寧々:2人組のチームを作って、広い荒野の中で生き残りを競う 共闘あり、裏切りありの対人サバイバルバトルだよ。 最大50チームで戦えるの
えむ:50チーム!? すっごくたくさんの人と遊べるんだね~!
寧々:まあ今回は店内のゲーム大会だし、 小さいフィールドでここにいる人だけの対戦になると思うけど、 フィドバなら、勝てる自信はある
寧々:(けど、フィドバって今たしか……)
えむ:おー! それじゃ、このまま優勝までビューンってできるかも!?
えむ:ねえねえ、寧々ちゃん! あたし、このゲームやったことないから いろいろ教えてっ!
寧々:もちろん、伝えられることは全部教えるよ。 こういうゲームはチームワークが大事だしね
寧々:でも……生き残ったらポイント2倍だし、 優勝を諦めてたチームも本気で向かってくるかも……
寧々:だから、まずは逃げに徹して。 敵が見えたらしゃがんで姿を隠してね
えむ:了解ですっ! えむ隊員、強くて頼もしい寧々ちゃん隊長に従いますっ!
寧々:はいはい。普通に呼んでくれていいから
寧々:(最初に想定してたより激戦にはなりそうだけど…… 経験がある分、落ち着いてやれば大丈夫なはず。 あとは……)
冬弥:次はフィドバか……
彰人:こういうゲームは冬弥も得意分野ってわけじゃないんだろ? となると、戦いを避けたほうが生き残れそうだな
冬弥:そうだな。 どこまでいけるかはわからないが、俺達なりにやってみよう
店長:それでは、優勝を勝ち取るのにふさわしい 生き残りをかけた、最後のゲーム……
店長:——今、スタートです!!
サバイバルフィールド
寧々:まずは武器を見つけなきゃ……
えむ:あ、寧々ちゃん! キノコ見つけたよ~!
寧々:あ……えむ。それは拾わないで。 大変なことになるから
えむ:ほえ? そうなの?
寧々:うん。……あ、銃があった。 これ拾って装備しておいて
寧々:それで攻撃ができるようになるから、 敵を見つけたら撃っていってね
えむ:はーい! わあ、おっきくてかっこいい~!
寧々:あと、使いにくかったら途中でもいろんな武器拾えるから、 自分の手になじむやつ試してみて
えむ:わかった! とりあえずこれ持ってってみる!
寧々:(……敵の足音も聴こえないし、 見た感じ、このエリアに降りたのはわたし達だけみたい)
寧々:(まずはこの辺を探索して、 銃弾とか回復薬とか必要なアイテムをそろえてから敵を探そう)
彰人:冬弥、こっちは銃を装備できたぞ。 そっちは?
冬弥:ああ、俺も大丈夫だ。 それと、鎮痛剤や回復薬も拾っておいた。 これだけあれば、いつ戦闘になっても——
冬弥:……っ! 彰人、後ろだ!
彰人:チッ、早速かよ! だが……!
彰人:っし、やったか!?
冬弥:……うまいな彰人。 ヘッドショットと出ていたぞ
彰人:……まあな。 ぷよぷよよりかは、こういうゲームのが性に合ってるらしい
彰人:さっきしとめたヤツは、たしか…… 『筋肉こそ正義』のひとりだったか
冬弥:ああ、残りのひとりをしとめれば、 1チームを脱落させられる
彰人:だな。ひとりここにいたってことは、 近くに仲間がいるはずだ。 逃げられないうちに探すぞ
冬弥:わかった。 背後は見ておくが、気をつけてくれ
寧々:(……よし、このエリアに落ちてるものは だいたい手に入ったかな。 これからは、銃撃戦に備えて……)
寧々:——っ!? 銃声……って
えむ:……おーっ、すごい、こうやって銃撃てるんだ! 楽しいね~っ!
寧々:ちょっ……えむ!? そんなに乱射してたら、 銃声で場所気づかれちゃう……!
えむ:ほえ?
筋肉こそ正義A:——そこだ!
寧々:……っえむ!
えむ:わ~~っ、やめて~~っ! タイム、タイムだよ~! 仲良くしようよ~っ!
筋肉こそ正義A:くっ、ウサギみたいに跳ねてるせいで照準が合わない……! こいつだったらすぐ倒せると思ったのに!
寧々:す、すごい……ジャンプで弾を避けてる……
寧々:でも、これはチャンスかも。 ……えむ、そのまま少し頑張って!
えむ:ううっ、こう~!?
寧々:(敵はえむに気を取られてる。 この死角から狙えば……!)
筋肉こそ正義A:なっ、やられた……!?
寧々:(……よし! ヘッショで仕留めた!)
えむ:も、もういい~!?
寧々:……うん。 もう倒したから大丈夫だよ
えむ:すご~い!! 寧々ちゃん隊長、一生ついていきます!
寧々:ふふっ、大げさなんだから。 とりあえず、なくなった弾リロードしてね
寧々:あと、さっきみたいに無駄撃ちはしないで。 えむが危なくなるから
えむ:う~、ごめん、気をつける~!
寧々:わかったならいいよ
寧々:それにしても、さっきのチームは 別動隊で奇襲しようとしてたみたいだね。 無駄に終わったみたいだけど
寧々:……あ。 今のあいだに、別の誰かがひとり倒したみたい。 これで『筋肉こそ正義』チームは全滅か
寧々:残ってるチームは……
えむ:あたし達と、冬弥くん達と…… あ、『俺達さいつよ』チームも残ってるよ!
寧々:……なるほどね。 それじゃ、遠慮はいらないか
寧々:ここからが本番だよ、えむ。 戦いに備えておいて
えむ:はーい!
俺達さいつよA:……今残ってんのはあの2チームか。 俺達は今実質2位だし、ここで勝ちゃ優勝奪えるな
俺達さいつよB:ああ。 それにラストがこのゲームだったのはラッキーだったぜ。 “あれ”さえ使えば——
寧々:見つけたっ!
俺達さいつよA:チッ! 撃ってきやがった!
えむ:あ~っ、おしい、寧々ちゃん!
寧々:っ、もう一発……!
俺達さいつよB:させるかよ! くらえ!
えむ:わあ~!? もくもくしてる!!
寧々:……っ、見えない……!
寧々:(まずい、この状況じゃふたりともやられる……! 早く煙幕から抜け出さないと……)
えむ:寧々ちゃーん! どこにいるの~!?
寧々:えむ、落ち着いて。 ほふく前進して煙のない場所まで行けば——
俺達さいつよB:……隙だらけだぜ!
寧々:なっ、横から!? しまっ——
俺達さいつよB:うわあああっ!!
寧々:えっ?
俺達さいつよB:う……うそだろ。 なんで俺がやられて……
えむ:うわあっ……! 冬弥くん、ナイスショットー!
寧々:もしかして助けてくれたの? わたし達、敵同士なのに
冬弥:ああ。見知った顔が撃たれそうになっているのは 気分がよくないからな
彰人:生き残らなきゃなんねえのに、 そんなこと言ってる場合かよ
冬弥:……そうだな、わかってはいるんだが。 俺はこのゲームが苦手なのかもしれない
寧々:甘すぎると思うけど。 ……でも、ありがと
俺達さいつよB:クソ~……! あいつなかなかやるから、気をつけろよ!
俺達さいつよA:おう! あのアイテムさえありゃ一発だ!
俺達さいつよB:……にしても、こうやってまともにやりあうの久しぶりだな
俺達さいつよB:だいぶ、腕鈍ってきてるかもな……。 前は仲間と毎日やってたのに
俺達さいつよA:はは、たしかにな。 こうやってまともにゲームすんのは久しぶりだ。 あとは俺がお前の仇を——……って
俺達さいつよA:ちげえ、何普通に楽しんでんだよ! 俺達はどんな手を使ってでも勝つって決めただろうが!
俺達さいつよA:こうなったら……!
冬弥:……なんだ? アイテムの『キノコ』を使っている?
寧々:(っ!! もしかしてあの人達、『あれ』を——!)
寧々:みんな、離れて!
彰人:は? キノコがどうしたんだ? たしかに道端にたくさん落ちてたが……。 なんか使えんのか?
寧々:普通にプレイするなら、拾ってもなんの意味もないよ。 製作者の遊びで入れられてるだけだから
寧々:でも、今は——
えむ:あ、あれ、なんで!? あたし、撃たれてないのに死んじゃったことになってる!
彰人:なっ……オレもだ! どうなってやがる?
寧々:えむと東雲くんは間にあわなかったみたい……
寧々:特定の条件であのキノコを使うと、 近くにいるプレイヤーが強制的に戦闘不能になっちゃう バグ技があるんだ
寧々:つい最近見つかって公式でも今修正対応中だから、 意図的な使用は禁止行為にするってアナウンスがあったのに……
えむ:ばぐ……ざわ?
寧々:『ばぐざわ』じゃなくて、『バグ技』ね
冬弥:つまり、そのバグ技は 本来のプレイでは禁止されているもの、ということか?
彰人:本当に勝つためなら何してもいいって感じだな、あいつら
俺達さいつよA:おやー? な~んかよくわかんないけど、 キノコ使ったら、何人か落ちちゃったみたいだな~?
寧々:……わざとやったくせに
冬弥:俺もさすがに、これ以上見過ごすわけにはいかない。 草薙、提案があるんだが——
寧々:……考えてることは一緒みたいだね
寧々:ここはひとまず、共闘しよう!
俺達さいつよA:……はあ。ぷよぷよ達人のそいつはともかく、 面倒なのが残っちまったな。 あの技を知ってたってことか……
俺達さいつよA:くっ、あぶねっ……!
冬弥:すごいな、草薙。 あとほんの数ミリでヘッドショットだった
寧々:別に、これくらい普通。 それより、今なら挟み撃ちができるから早く仕留めよう
冬弥:……ああ。しかし、やはり撃つのは少し抵抗があるな……
冬弥:——そうだ
俺達さいつよA:くそっ、あとちょっとだってのに……! ここで負けてたまるかよ!
寧々:ま、また煙幕!?
寧々:……っ、きっとまた不意をついてくる……! 絶対、迎え撃ってやるんだから……!
寧々:あれ……、消えた? 一体どこに……
俺達さいつよA:もらったぁ!
寧々:な……っ! 急に姿が出てくるなんて……またバグ技!? こいつ、バグ技いくつ知ってるわけ!?
俺達さいつよA:お前さえ倒しゃ、こっちの勝ち——
俺達さいつよA:っうわああ!?
寧々:えっ? 何、今の……鍋のふたを投げたの?
俺達さいつよA:クソッ……! だが、まだ負けねえ。お前からやってやる!
冬弥:っ!
寧々:煙幕……!
寧々:(よく見えない……。 このままじゃ青柳くんが……!)
寧々:(でも、今動くとわたしも危ない……。 ふたりが撃ち合うのを見届けて、残ったひとりを狙うほうが 確実に勝ち残れる、けど……)
寧々:(青柳くんは、わたしを助けようとして あいつに狙われたんだ)
寧々:(わたしも、青柳くんを助けなきゃ——!)
寧々:——青柳くん、今あいつがどこにいるかわかる!?
冬弥:草薙、ここだ! 俺の上に馬乗りになっている!
寧々:……っ!
寧々:なら頭は——そこっ!
俺達さいつよA:ぐわっ!?
俺達さいつよA:そんな……この俺が、こんなやられかたするなんて……
冬弥:やったな、草薙。 見事な一撃だった
寧々:うん……
寧々:これで、全滅……かな
冬弥:ああ、あとは——俺達だけだな
冬弥:……短い共闘だったが、楽しかった。 それに、草薙の強さも間近で見て感じている。だから……
冬弥:ここからは、手加減はしない
寧々:——わたしも、負けない。 全力でやるから
店長:さ、さあ……手に汗握る最終決戦! ここで勝利を手にしたチームが優勝となります! 勝利の女神はどちらに微笑むのか~!?
えむ:がんばれ~っ、寧々ちゃん!
彰人:冬弥、勝ってこい!
観客達:いいぞ、ふたりとも~!
観客達:どっちが勝ってもすごい試合になりそうだな!
寧々:(……わたしの手に、チケットが懸かってる。 みんなと一緒に、ショーを見に行くんだ。 そのためにここまで来たんだから——)
寧々:——いくよ!
第 8 话:笑顔でGG!
大会終了後
ゲームセンター
寧々:(……終わった。 なんだかんだで、すごくいい大会だったな)
寧々:(それに——)
観客達:やばかったな、この大会! 最初から見たかったぜ!
観客達:特に最後の一騎打ちがすごかったよな! まさか鍋があそこまで銃弾防げるとは思わなかったし、 女の子の射撃の腕もすごくてさー
観客達:それに、こんなとこにゲーセンあるとは思わなかったよな。 設備もいいし、これからここ通っちゃおうかな
寧々:(店長さんの目的も達成できたみたいだし、本当によかった)
寧々:(あとは……)
店長:——それじゃキミ達は、 どうしてもこの優勝賞品のチケットがほしくて 不正を働いたということなんだね
俺達さいつよA:……イベントで好きな対戦ゲームの先行試遊ができるから。 本来は抽選だけど、VIP招待券があれば 確実に遊べるって聞いたんで
俺達さいつよB:好きなゲームは誰よりも早くやりたいし……
寧々:……気持ちはわかるけど、 不正していい理由にはならないんじゃない
えむ:それに、やっぱりゲームは みんなで楽しく遊ぶものなんじゃないかなぁ? ひとりでもズルしてる人がいたら、みんな悲しくなっちゃうよ
店長:……そうだね。 どうしても勝てなかったり、 思うようにクリアできなかったりすることもあると思う
店長:だけど、そこを自分で工夫して 道を切り開くから楽しいんじゃないかな
店長:楽をしたら、ゲームの本当の楽しさを 感じることができないと思う。 それはゲーマーとして、とてももったいないと思うんだ
俺達さいつよA:……それは
冬弥:……俺は、ぷよぷよにはそこそこ自信があるが、 最後のゲームはあまり触れていないジャンルだし、 全然うまく立ち回れてもいなかった
冬弥:それでも……最後のゲームは楽しかった。 草薙との最後の一騎打ちもそうだが、その前…… あなた達とやっている時も
俺達さいつよA:え……
寧々:——わたしが、あなた達だったら……
寧々:2対1のあの状況で、 バグ技使わないで勝ちぬけてたら…… きっと、最高に嬉しかったと思う
寧々:こんなわたしでも、自分の力でやりとげたって思えて…… ちょっとだけ自信を持てた、と思う
えむ:寧々ちゃん……
寧々:……そういうの抜きにしても、 自分で頑張って勝ったほうがおもしろいでしょ
俺達さいつよA:…………、そうだな
俺達さいつよA:……お前達の言うとおりだ。 いつの間にか、ゲームを楽しむことを忘れてた
俺達さいつよA:すまない。もう、こんなことはしない。 今度からは正々堂々戦うと約束する
俺達さいつよB:……悪かった。 店長も、申し訳ありません
店長:……わかってくれたのなら、構わないよ。 キミ達がゲームをよく知っていて、そして大好きだっていうことも 最後の試合を見ていたらわかった
店長:だから、その気持ちがあるのなら、 いつだってまた、この場所へ来てほしいな。歓迎するよ
寧々:店長……
えむ:えへへ、よかったね! 今度こそ、みんなで楽しくゲームしよ~!
俺達さいつよ達:っ……ありがとうございます……
店長:さてと。それじゃあ、改めて優勝賞品を渡そうかな。 ワクワクゲーム大会の栄えある優勝者——
店長:——『ピコピコわんだほい』チームのふたりに。 おめでとう!
寧々:ありがとうございます
えむ:えへへ、よかった~! これでみんなと一緒にショーを見に行けるね!
彰人:……結構いいとこまでいったのに、残念だったな
冬弥:ああ、だが負けてしまったのなら仕方ない。 あのチームのライブはあきらめよう
冬弥:いつか見るチャンスは、あるだろうからな
寧々:あ……
寧々:(そっか、ふたりとも優勝賞品がほしかったんだよね)
えむ:う~ん……このチケット、 はんぶんこできないかな!?
冬弥:それは優勝した草薙達のものだ。 気にせず行ってきてくれ
寧々:うん……
店長:……ふむ。 そうか、それなら……
店長:僕の持っているVIP招待券を青柳くん達にあげよう
冬弥:えっ?
彰人:は? なんで……
店長:実は、この店のリニューアルにあたって、 業界に詳しい人から勉強用に4枚もらっていたんだよ。 だから、これでそのライブを見に行くといい
彰人:……ですが、それは店長が……
店長:遠慮しなくていいよ。 こんな仕事をしていたら、また機会はあるだろうし。 それに、今日はキミ達のおかげで忘れられない日になったからね
寧々:忘れられない日……?
店長:ああ。祖父の店が、お客さんでいっぱいになって、 みんなが笑顔で……。 こんな日が来るなんて、思っていなかった
店長:この店を盛り上げてくれたのは、間違いなくキミ達だ。 だから、これはほんのお礼だよ
えむ:よかったね、店長さん……!
冬弥:本当にありがとうございます。 彰人と一緒に、大切に使わせてもらいます
えむ:よかったね、冬弥くん、彰人くん!
彰人:……けど、優勝したチームと同じ賞品をもらうのは なんか悪い気がすんな……
店長:それなら、優勝したふたりには副賞として、 このゲーセンのゲームを1年間プレイし放題券をつけよう!
えむ:ええっ!? ゲームし放題券っ!?
寧々:う、嘘…… そんなの、本当にいいんですか……!? もしかして、新作も……?
店長:ああ、もちろん! 新作も、これから出るものも、好きにやっていいからね。 声をかけてくれたら動かすから、いつでも言ってくれ
えむ:やったあ~! やってみたいゲームもいっぱいあるし、 毎日いっぱい通っちゃお~!!
寧々:わたしも……!
寧々:(それに……)
寧々:ねえ、青柳くん。 これからぷよぷよ猛特訓するから、また勝負させて
寧々:次は絶対に負けないから
冬弥:ああ、もちろんだ。 俺も草薙と対戦できて楽しかったから、またやりたい
えむ:いいねいいね! 冬弥くんと寧々ちゃんの再戦、あたしも見たーい!
彰人:オレも少し興味あるな。 その時は呼べよ、冬弥
冬弥:わかった。 彰人もまた一緒にやろう
彰人:は? いや、オレは……
えむ:じゃあ、あたしと彰人くんもまた対戦だね! 次も負けないよ~っ!
彰人:……まあ、負けたままってのも性に合わねえしな
寧々:ふふっ
寧々:じゃ、わたし帰る準備してくる
寧々:——ふう
ミク:『優勝できてよかったね、寧々ちゃん!』
寧々:あ、ミク……!
寧々:バタバタして、全然話せなくてごめんね。 せっかく遊びに来てくれてたのに……
ミク:『ううん、大丈夫だよ☆ それに寧々ちゃんのかっこいいところ、たっくさん見れたし!』
寧々:あ、ありがと……
ミク:『えへへ。寧々ちゃん、本当に楽しそうだったね☆ ゲームが好きなんだな~って、すっごく伝わってきたよ!』
寧々:——ショーができなくて、ずっと燻ってた頃…… 気持ちを支えてくれたのがゲームだったんだ
ミク:『寧々ちゃん……』
寧々:その時は、ゲームばっかりやって 現実から目を背けてるなって 自己嫌悪しちゃうこともあったけど……
寧々:今日はすっごく楽しかったし—— みんなを笑顔にできてよかった
えむ:——あっ、寧々ちゃーん!
えむ:司くん達、搬入終わったから こっちに来てくれるって! プリシ見せようよ☆
寧々:えっ、あ……! そ、それはいいから!