活动剧情
青空の先、輝きを追いかけて
活动ID:67
第 1 话:ワンマンライブに向けて
ステージのセカイ
愛莉:みんな、聞いてちょうだい!
レン:えっ、どうしたの?
愛莉:実はついに——
ミク:ついに……!?
愛莉:ワンマンライブの会場が決まったの!
リン:わあっ、そうなんだ~!
ルカ:おめでとう! どういう場所なの?
遥:シブヤの駅から少し歩いたところにあるホールだよ。 700人くらいお客さんが入れるんだって
MEIKO:700人……って、前回より、かなり規模大きいわよね。 よくそんなところを借りられたわね!
愛莉:……でも、配信の視聴者数を考えると、 それでも少ないかなって思ってるのよね
ルカ:あら、そうなの?
愛莉:特に遥と雫はファンの数が多いからね。 でも、大きい会場だと予算も結構かかっちゃうし、 運営のことを考えると、今のわたし達には回しきれないと思ったの
遥:初めてのワンマンで、 お客さんに嫌な思いをしてほしくないしね
遥:もちろん当日はスタッフを手配するつもりだけど、 それでも、ちゃんと私達の目が届くくらいの規模で やったほうがいいよねって話してたんだ
レン:そっか……。 たしかに、自分達で運営するのなら最初のうちは 動員数を抑えて様子見をしたほうがいいよね
愛莉:とはいえ、これは全部予想でしかないから、 実際のところはわからないけどね
愛莉:蓋を開けてみたら、700人も集まりませんでしたー、 なんてことになる可能性だってあるわけだし、 その場合は赤字になって、そっちのほうが大変だわ
みのり:そ、そうだよね……。 もし赤字になったら、 わたし達でなんとかしなくちゃいけないもんね
愛莉:ま、でも、そんなことを考えたって仕方ないわ
愛莉:今はひとりでも多くのお客さんに MORE MORE JUMP!を好きになってもらうつもりで 活動していきましょ!
みのり:愛莉ちゃん……
みのり:——うん! 本番に向けて、一生懸命がんばろう!
雫:でも会場が決まると、 いよいよ本当にワンマンをやるんだって実感がわいてくるわね
遥:本当だね。 長谷川さんが作ってくれた新曲もあるし、 本番までに歌もダンスも仕上げていかないと
リン:もしかして新曲のダンス、もうできてるの!?
愛莉:ええ、この前完成して、 今はそれぞれのパートを練習しているところよ
KAITO:そうだったんだ。 それなら是非見てみたいな
雫:そう言ってくれてよかったわ。 今日は会場が決まったことの報告と、 ダンスを見てもらうためにここにきたの
ミク:えっ、そうだったの?
遥:うん。今回の新曲のダンスには、 今まであんまり挑戦したことのない振りもあるから、 客観的な意見をもらいたくて
みのり:気づいたことがあったら、なんでも言ってね! ……ついでに、わたしの最近の自主練の成果も見せちゃうよ!
レン:わかった。 みんなのライブを楽しみにして来たお客さんの気持ちになって 見させてもらうね
愛莉:ふふっ、よろしくね。 じゃあ早速——始めましょうか!
愛莉:ふう……。 どうだったかしら……?
みのり:ちゃんとできてたかな~!?
ミク:すっごく良かったよ~!
ルカ:ええ! みんなキラキラしていて、とっても可愛かったわ
みのり:わあ、よかったあ……!
リン:ソロパートも、すごく良かったね!
愛莉:そう思ってくれたのなら、嬉しいわ。 ……でも、まだ課題はあると思ってるの
ミク:あっ……もしかしてサビのちょっと前のパートかな。 みんなで一斉に立ち位置が変わるところ
ミク:いつもだったら、そろってるところが、 少しだけバラバラになってたような感じがしちゃったんだ
みのり:やっぱり、見てるとわかっちゃうよね……。 わたしもあそこ、モタッとしちゃってるなって 思ってたんだ……
みのり:ダンスを踊るのに精一杯で、動きのタイミングを うまく合わせられないっていうか
みのり:それに、ワンマンライブって1曲じゃなくて 何曲も連続で踊ったりするでしょ?
みのり:そしたら体力もなくなってくると思うし、 どんどんみんなと合わなくなるんじゃないかって ちょっとだけ不安なんだ
愛莉:みのり……
愛莉:——正直、今の曲だけで見るとみのりだけじゃないわ。 全員、息があってなかったところもあったもの
愛莉:でも、そうね……。 ワンマンライブのことを考えると、 個人の動きも、全体の精度も上げていかなきゃね
遥:とにかく練習するしかないとは思うけど……。 他に、何か効率のいい方法はないかな
MEIKO:あら、それならいい方法があるわよ
雫:いい方法?
レン:それって……
MEIKO:もちろん、合宿よ♪
みのり:合宿……!?
ミク:あ、そういえば前にわたし達もやったよね! 6人みんなでピッタリ合うダンスをやりたくて
ルカ:めーちゃんが提案してくれて……、 おかげでみんな、ずいぶん上達したのよね♪
リン:わたしは、そもそも基礎体力をつけたほうがいいかなってなって、 腹筋100回とかやったなあ……。 次の日、すっごく筋肉痛になったっけ
KAITO:二人三脚ならぬ六人七脚で いろんな場所を走り回ったりもしたね
レン:それで、夜はみんなで寝袋を並べて寝たりして……
レン:あの時は、もう動けないってくらい疲れちゃったけど、 みんなずっと一緒にいたから だんだん息が合いやすくなった感じがしたね
みのり:そうなんだ……! もうダンスや歌がすっごく上手なみんなでも、 そんなことやったりするんだね……!
KAITO:大変ではあったけど、チームワークが高まった実感はあったね。 そういう意味では、僕も合宿はオススメできるよ
遥:……たしかに、悪くないかも
愛莉:わたしも昔、何度かやったことがあるけど効率がいいわよね。 朝から晩まで時間を気にせずにやれるし
みのり:わ、わたし、やりたいな!
みのり:自主練してて苦手だなって思うところもでてきたから、 みんなからアドバイスもらいたいし……、 ワンマンのためにも、もっとアイドルとして成長したいから!
雫:私も是非やってみたいわ。 ダンスも歌も、もっと上達できそうだもの
愛莉:ふふっ、みんなやる気満々みたいね。 それなら、やってみてもいいんじゃないかしら
遥:でも、やるならちゃんとメニューを考えたいよね。 基礎体力の特訓は必須だし、 みんなでみっちりダンスを練習する時間もあるといいかも
雫:そうね。 もし遠出するなら、普通の練習ではできないようなことも できたらいいと思うけど……
愛莉:たしかに、合宿ならではの練習メニューが欲しいところね。 ……砂浜で走りこみとか?
遥:砂浜か……。 関節に負担もかかりにくいし、筋肉も鍛えられるから いいんじゃないかな
みのり:そうなんだ! やってみたいな~!
雫:でも……大丈夫かしら。 特訓とはいえ、初めてやるメニューについていけなくなったり つらくて続かなかったら……
愛莉:体壊しちゃうのは避けたいし、 そこまで厳しくはしなくてもいいと思うけど、そうね……
愛莉:それなら、合宿の様子を配信するのはどうかしら?
みのり:えっ、配信?
愛莉:ええ、そうよ。 これなら、今わたし達が考えてたことが 全部解決できるって思ったの
愛莉:配信をすることでワンマンライブがあるって宣伝にもなるし、 お客さんも増やせるし……
愛莉:それに、練習がつらくても みんなが見てくれてるって考えれば、がんばれるでしょ?
遥:たしかに、面白そうだとは思うけど……。 練習してるところの配信は前にもやったことがあるし、 飽きられちゃうんじゃないかな?
愛莉:安心して、それについても考えがあるわ
愛莉:それに、配信するのなら……。 さっき話していた『普通じゃない練習メニュー』も、 いいものが思い浮かびそうな気がするの
みのり:ええっ、ホント!?
愛莉:ええ! だから今回の合宿の件、わたしに任せてくれない?
愛莉:絶対に実のある合宿にしてみせるから!
遥:愛莉がそこまで言うならお願いしようかな
みのり:どんな合宿になるんだろ? 楽しみだな~!
リン:うんうん! わたしもこっそり見に行っちゃおうっと!
MEIKO:ここで言ったら、もうこっそりじゃないけどね……
愛莉の部屋
愛莉:うん、配信企画とトレーニングメニューのアイディアは これでだしきったわね
愛莉:あとは中身を詰めて、 ちゃんと基礎やチームワークのトレーニングになりつつ、 配信としてみんなが楽しめるようなものにしなくちゃ
愛莉:それに、見てくれる人のことを考えると、 最後に合宿の成果がわかるように、 最初はみんなの今の基礎能力を知ってもらいたいのよね
愛莉:あ、それなら……!
愛莉:——うん、できたわ! これで、みのり達にもファンのみんなにも満足してもらえる 完璧なプランになったはず……
愛莉:って、もう2時!? 案外時間かかったわね……
愛莉:でも、おもしろそうなものができてよかったわ。 このメニューをきちんとこなせれば、結束力も上がって 万全の状態でワンマンを迎えられるはずよ!
愛莉:……ワンマン、か
愛莉:いつかは、って思ってたけど……。 本当にMORE MORE JUMP!のみんなと ここまで来ることができるなんてね
愛莉:……いろんなことがあったわよね
愛莉:初めてのイベントをやったり、この前は長谷川さんのことも……
愛莉:思い返せば、大変なことが多かった気がするけど、 そのたびにみんなどんどん成長していった気がするわ
愛莉:特にみのりは、ファンのみんなにいろいろ言われて 人一倍努力をしなくちゃいけなかったのに、 経験者のわたし達に囲まれながらよくついてこれたと思うわ
愛莉:……そういえば、みのりにとっては、 今回が初めてのワンマンになるのね
愛莉:ワンマンは普通のライブとは雰囲気が全然違って、 わたし達だけを見にわざわざ来てくれたファンのみんなの 熱い反応が返ってくる……
愛莉:あれはすっごく緊張するけど、ドキドキもするのよね……
愛莉:……ふふっ。 あの時のこと、思い出しちゃったわ
愛莉:わたしもそうだったけど、 みのりにとっても初めてのワンマンは 絶対に忘れられない大切な思い出になるはずよね
愛莉:それならやっぱり、これ以上ないってくらい いいものにしなくちゃね!
第 2 话:特別企画!24時間生配信!
2週間後
海辺
愛莉:さあ、いくわよ! MORE MORE JUMP!ワンマンに向けての強化合宿——
愛莉・雫:『ほぼ24時間生配信~!』
遥・みのり:『いえ~いっ♪』
コメント:『1日中モモジャンのみんなが見れるなんて神企画!』 『泊まるのかな? 海楽しそう~!』 『どんなことやるの~?』
遥:みんな、見てくれてありがとう。 今日は、私達のいろんなところを 見せられたらいいなって思ってるから、楽しみにしててね
みのり:でも……どんなことをやるのかは、 まだわたし達も知らないんだよね
コメント:『え、どういうこと?』 『ぶっつけ本番合宿的な……?』 『メニュー考えてなくて大丈夫?』
愛莉:ふふふ……
コメント:『なんか愛莉、怪しくない?』 『ひとりだけなんか知ってるっぽい人おる』
遥:ふふっ、鋭い人は気づいたかな?
雫:実は今日の合宿プラン、 場所もメニューも全部愛莉ちゃんが考えてくれたの
コメント:『やっぱり!』 『こういうのは得意分野だもんね』 『ってことは、愛莉ちゃんの地獄の特訓メニューが見れる!?』
愛莉:ふふ、そのとおりよ。厳しいだけじゃなくて、 みんなも見てて楽しいものを考えてきたから、期待しててね!
コメント:『さすが愛莉ちゃん!』 『めちゃくちゃ楽しみw』 『スクショがはかどりそうだから、指鍛えておくね!』
愛莉:それじゃ、期待に応えて早速特訓に入っていくわよ! せっかくの合宿、時間を無駄にできないものね!
雫:そうね。 最後までやりきれるか、ちょっと心配だけど、 精一杯やって、少しでも成長できるように頑張るわ!
みのり:でも、特訓ってどんなことやるの?
遥:愛莉のことだから、すごいのを考えてそうだよね。 楽しみだな
愛莉:ふふっ、なんだかハードルがあがってる気がするけど…… 最初は、みんなの実力を見せてもらおうと思うわ!
みのり:じ、実力っ!?
愛莉:ふふっ、それじゃお待ちかね、特訓内容の発表よ。 まず最初は乗ってもらおうと思ってるわ——
愛莉:この、バナナボートに!
みのり:バナナ……ボート?
コメント:『特訓でバナナボート……?』 『アイドルとバナナボート、絵になるね~』 『バナナボートって何? 普通のボートと違うの?』
遥:たしか、モーターボートとかに引っ張られて進むやつだよね? こういう観光地にはよくある……
愛莉:そう、間違いなくそのバナナボートよ。 今日のためにレンタルしておいたの
雫:まあ、そうだったのね。 でも……これでどんな特訓をするのかしら?
みのり:わたしも気になる! 乗るだけなら楽しそうだし、特訓って感じしないもんね
愛莉:ふっふっふ。 ただ乗るだけだったらそう思うわよね。 そこで……モアモアミッションよ!
コメント:『きたー!』 『やっぱそう簡単じゃないよねw』 『乗ったあとに何かするってこと?』
愛莉:じゃ、企画兼プレゼンターのわたしから 詳しく説明させてもらうわね!
愛莉:今回の特訓では、ひとりでバナナボートに乗ってもらいます。 そして沖に出たあと、わたしが合図を送ったら……
雫:送ったら……?
愛莉:この配信カメラに向かって、 アイドルらしいキラキラスマイルをキメてもらうわ!
みのり:…………えっ?
遥:それだけ?
愛莉:ええ、それだけよ
みのり:う~ん、やっぱり普通に楽しそうなだけに思えるけどな~?
雫:もしかして、ボートに何か仕掛けがあるのかしら?
遥:もしくはボートを引く力が強くて、 スピードで振り落とされるとか?
愛莉:そういうバラエティ的なことはしてないわ。 今回はむしろ、とことん安全に配慮して、 普通よりゆっくり引っ張ってもらうことになってるの
遥:……最初は実力を見るだけだから、 そこまで激しいのじゃないってことなのかな?
愛莉:ふふ、どうかしら。 ……それじゃ、最初は雫からお願い!
雫:えっ、私から?
みのり:おおっ、雫ちゃんトップバッターだ!
雫:うまくできるかわからないけれど…… 頑張ってみるわね!
雫:準備できたわ!
愛莉:ええ、バッチリみたいね。 それじゃ、発進の合図で動かすわよ~!
みのり:雫ちゃん、何が起こるかわからないから注意してね! もしかしたら下からクジラがざっぱ~んって 出てくるかもしれないし!
遥:それはないと思うけど……
雫:も、もしクジラさんが出てきても 取り乱さないように気をつけるわ……!
愛莉:はいはい、もうカウントダウン始めるわよ? 3……
愛莉の声:2……
愛莉の声:1……
愛莉:ゴー!
雫:きゃっ……!
みのり:お~っ! もうあんなとこまで行っちゃった!
雫:ふふっ、こんな風に海の上を走れるなんて、 バナナボートってすごいわね
遥:いいな、風がすごく気持ちよさそう。 ……でも、まだ変わったところはなさそうだね
みのり:うん……。 でも、雫ちゃんのほうで何か気づいてるかも!?
みのり:お~い、雫ちゃ~ん! 大丈夫~!?
雫の声:ええ~! さっき近くでお魚が跳ねてたの! みんなにも見せたかったわ~!
みのり:えっ、いいなー、わたしも早くやりたい~!
遥:ふふ、楽しそうだね。 ……でも結局、仕掛けとかは何もなかったのかな。 それなら、この特訓の意味って……
愛莉:……ふふっ。さすがは雫ね
遥:えっ? どういう——
愛莉:さて、いい感じに沖に出たことだし、 課題のほうに移りましょうか
愛莉:……雫~! こっちに向かってアイドルスマイルよ!
雫:アイドルスマイル……。 こう、かしら?
コメント:『ちょ……破壊力やば!』 『尊すぎて自然と拝んだ』 『雫様がまぶしいのか太陽がまぶしいのかわからない』
遥:コ、コメントの勢いすごいね……
愛莉:でも、わかるわ。 海と雫の笑顔が最高にマッチしてて、まぶしさの激流…… いや、氾濫って感じね
愛莉:みのりはどう思う?
みのり:……そうですね。 アイドルファンをやらせてもらってるわたしとしましては……
みのり:ボートから跳ねてる水しぶきさえ 雫ちゃんの一部みたいでとっても美しくて、 『雫』という名前もあいまって水の精霊さんかと思いました!
コメント:『さすがみのり、わかってる』 『みのりちゃんの講評は信頼できるね』
遥:みんなのお墨付きをもらってるみたいだね
愛莉:……それじゃ、みのり審査員。 雫のアイドルスマイルは100点ってことでいいかしら?
みのり:うんっ! 100点じゃたりないから、100億点あげたいくらいだよ~!
愛莉:……気持ちはわかるけど、 インフレがすごいことになりそうだから100点にしておくわね
愛莉:じゃあ雫、戻ってきていいわよ~!
雫:は~い! 運転手さん、お願いします
雫:はあ……ボートに乗るのって気持ちいいのね。 とっても楽しかったわ
遥:おかえり、雫
みのり:雫ちゃんのアイドルスマイル最高だったよ~! 見ただけで胸がギュッ!って掴まれる感じだった~!
みのり:ハッ、もしかして特訓っていうのは、 みんなのアイドルスマイルを見届けて 心臓がどれだけ持つかっていう……そういうこと!?
愛莉:そんな意図はないわよ
雫:そういえば、結局どんな特訓だったのか、 私にもわからなかったわ。普通に楽しんじゃったもの
遥:……単純にアイドルスマイルの採点ってことかな。 それなら、愛莉の言ってた『今の実力』っていうのも わかる気はするけど……
コメント:『でも、それならバナナボートじゃなくてもいいよね?』 『愛莉ちゃんまさかの企画失敗!?』 『↑いや、きっとなにかあるはず!』
愛莉:ふふっ、みんないい反応してくれるわね~
愛莉:まあまあ、そう焦らないでちょうだい。 まずはひとりずつやっていきましょ?
愛莉:ってことで、次は遥、よろしくね
みのり:っ!! 遥ちゃんの水上アイドルスマイルが見れちゃう……!
遥:……雫ほどキラキラ感がだせるか不安だけど、 やってみるね
愛莉:じゃ、始めるわよ。 見てるみんなも一緒にカウントお願いね!
愛莉:3……!
遥:(やっぱり、こうやって乗ってみても 特に変わったところは、なさそうなんだよね)
遥:(でも、愛莉が意味のない企画をやるとは思えないし……。 きっとどこかに何か仕掛けがあるはず。注意しておかないと)
雫:2……
みのり:いーち!
愛莉:発進よ!
遥:あっ!
遥:この、力……!
みのり:遥ちゃ~ん! いってらっしゃ~い!
遥:(……なるほどね。そういうことだったんだ)
遥:(よく考えられてる。さすがは愛莉だね)
第 3 话:ドキドキアイドルスマイル
海辺
愛莉:どう、遥~!? ボートに乗った気分は~!
遥:大丈夫~! 水しぶきが跳ねて、顔に当たって気持ちいいよ~!
雫:遥ちゃんも普通に乗れてるみたいね
みのり:こ、このままじゃホントに わたしの心臓が大丈夫か試すだけの特訓になっちゃうよ~!
愛莉:ふふ、見てくれているみんなもお待ちかねだろうし、 早速そっちも試してみましょうか?
愛莉:遥~! アイドルスマイルいただくわよ~!
遥:わかった、任せて
みのり:——っ!
コメント:『遥ちゃんが私のかおをみてkyg@ljk』 『言語を失った』 『アーカイブ残してほしい。ここだけ一生再生する』
愛莉:さすがは遥ね。 このまま炭酸飲料のPRポスターになってもおかしくないわ
愛莉:コメントの反応も雫に負けず劣らずって感じだけど…… みのり審査員的にはどうかしら?
雫:みのりちゃん……?
みのり:あっ! ご、ごめん、心臓が止まりかけちゃってた!
みのり:遥ちゃんってなんでも似合うけど、海が一番似合うよね! 青いペンライトがいっぱいのステージにいるみたいで 水しぶきとかあわせてもホント1枚の絵みたいで写真にして
みのり:おっきく引き伸ばして額縁に入れて家の一番広い壁に飾って 毎日おはようとおやすみを言いたいって思っちゃったよ!あっ でもそれってほぼ遥ちゃんと一緒に暮らしてるみたいな感じになっ
愛莉:はいはい、ちょっと何言ってるかわからないけど、 遥のスマイルはみのり的に何点なの?
みのり:もちろん、雫ちゃんと同じ100億点だよっ!
雫:ふふっ、わかるわ。 とっても素敵な笑顔だったものね
愛莉:それじゃあ次はみのりの番になるから、 ふたりに負けないよう、心の準備をしておかなくちゃね
みのり:ううっ、そうなるよね……。 大丈夫かな~!?
愛莉:さて、それじゃあ、お待ちかねのみのりの番ね
みのり:う、うん!
みのり:ふたりのキラキラには届かないかもしれないけど…… 遥ちゃんと雫ちゃんの笑顔に元気をもらえたし、 わたしも、がんばってみる!
雫:ふふっ、応援してるわ
遥:……頑張るみのりに、ひとつだけアドバイスがあるんだけど
みのり:え?
遥:大事なのは、アイドルスマイルだけじゃないから気をつけてね
みのり:アイドルスマイルだけじゃ、ない……? それって、どういう——
愛莉:はいはい、おしゃべりはそこまで!
愛莉:みのりも準備できたみたいだし、発進するわよ~!
みのり:は、はいっ! 花里みのり、いきますっ!
みのり:って、あれ!? なんかバランスが……
みのりの声:ひゃ~~~~っ!
雫:みのりちゃん!?
遥:大丈夫、みのり?
みのり:うう……。 びしょびしょになっちゃった……
みのり:うー、なんで落ちちゃったんだろ~! ちゃんとバランスとってたはずなのになあ
みのり:雫ちゃん達も楽しそうに乗ってたのに……
遥:……実は、私も簡単に乗れてたわけじゃないんだ
みのり:えっ、そうだったの!? じゃあ、もしかしてこのボートの特訓の意味って——
愛莉:ふふ、みんな気づき始めたみたいだし、 ネタばらしといきましょうか
愛莉:アイドル活動は歌とダンスが基本! そしてそれを美しく見せるのがインナーマッスル…… すなわち、鍛えられた体幹よ!
愛莉:だから最初の特訓では、 みんなの体幹が今どれくらいのレベルなのか 見てみようと思ったの
コメント:『そうだったんだ……』 『じゃあ、みのりちゃんは体幹弱かったってこと?』 『でも、普通のバナナボートは体幹とか関係ないよね?』
愛莉:ふっふっふ。だからこれは普通のバナナボートじゃないの。 少し重りが入ってて、体幹がしっかりしていないと、 ドボーンと落ちちゃう作りになってるのよ!
みのり:え~っ!
雫:そうだったのね……!
愛莉:なんで完璧にできた雫が驚いてるのよ
雫:だって私、特に何も感じなかったから……。 そんな仕掛けがあったなんて、気づかなかったわ
遥:……もしかして、雫はモデルの仕事で鍛えられてるから 無意識に体幹が使えてたのかな?
雫:そうなのかしら? たしかに、いい姿勢を維持するために、 体幹のトレーニングはやってきたけど……
愛莉:……こうやって、さらっとこなせちゃうのが雫なのよね
みのり:雫ちゃん、すごすぎる……
愛莉:ってことで、みのりはちゃんと インナーマッスルを意識しないとダメよ
愛莉:練習でも体幹トレーニングはしてきたけど、 まだ弱いってことがわかったでしょ?
みのり:うぐっ……。 が、がんばります……!
遥:大丈夫だよ。 トレーニングと食事に配慮すれば、 筋肉はちゃんとついてきてくれるから
遥:効率のいいやりかたが知りたかったら言って。 たとえば、運動中って筋肉が分解されやすいんだけど、 EAA——必須アミノ酸を摂るとそれが抑えられたりするんだ
遥:私もこの合宿のために 水に溶かす用の粉末を持ってきてるから、 もし必要だったらみのりにもあげるね
みのり:わあっ、ありがとう……!
みのり:いーえーえー……って初めて聞いたけど、 遥ちゃんのオススメなら、いっぱい飲みます!
愛莉:たくさん摂ればいいってわけじゃないと思うけど…… 近くに優秀なトレーナーがいてよかったわね
遥:そういえば、愛莉はまだバナナボートをやってなかったよね。 ……企画者だからってやらないわけじゃないでしょ?
愛莉:ふふっ、当たり前じゃない
コメント:『おっ!?』 『愛莉ちゃんのスマイルくる~!?』 『元気をください!』
愛莉:もっちろん! 期待に応えて、お手本を見せてあげちゃうわよ!
雫:まあ、楽しみだわ……!
愛莉:ふふっ、水が冷たいんじゃないかって思ってたけど、 案外気持ちいいわね!
遥:……さすが愛莉。 体の軸が全然ブレてないね
みのり:ううっ……やっぱり、できないのわたしだけかぁ……
遥:大丈夫だよ。 要は体幹さえ強化できればいいんだから、 合宿で、そのトレーニングも頑張っていこう
みのり:はるかちゃん……!
みのり:うんっ! 花里みのり、がんばります!!
雫:ふふっ、頑張ってね。みのりちゃん
雫:ええと、そろそろアイドルスマイルをしてもらう頃よね。 ……カメラは、これで大丈夫かしら?
みのり:し、雫ちゃん、逆さまになってるよ! わたしに任せて任せて~!
雫:あら……? みんな、ごめんなさいね。 みのりちゃんにお願いするわ
コメント:『逆立ちして見るしかないかと思った』 『機械音痴の雫様、カワイイ……』 『みのりちゃん、カメラマン頑張れ~』
みのり:はいっ、お願いされました、新米カメラマンのみのりです! 今日は愛莉ちゃんの笑顔を激写しちゃいますよ! ……愛莉ちゃ~ん、笑って~!
愛莉:いいわ、いくわよ~!
愛莉:さあ、みんな! スクショの準備はいいかしら!?
みのり:わあ……! 愛莉ちゃん、すっごくかわいいよ……!
雫:ええ! 愛莉ちゃんらしくて、とっても素敵だわ……!
愛莉:ふふっ。まだまだ、これだけじゃないわよ!
みのり:えっ、どういうこと?
みのり:えっ、あれって……
みのり:ハッピーエブリデイの技、ハッピードボン!?
遥:ハッピー……ドボン……?
みのり:うん! バラエティ番組でプールに落ちる時とかに ちょっとおもしろいポーズをして みんなを笑わせてくれるんだよ!
みのり:しかもさっきやってくれてたのは、 カニを追いかける人魚姫のポーズだったよ! すっごくレアで人気なんだよね!
愛莉の声:——ぷはっ! いい子のみんなは、真似しちゃダメよ~!
コメント:『ハッピーエブリデイの人魚姫見たのいつぶりだろ~!』 『おもしろいけど、懐かしくて泣きそう』 『初見だけどおもしろくて泣いてる』
遥:ちゃんとオチまでつけてくるなんて、 さすがは愛莉だね
愛莉:ふう、どうだったかしら
雫:とっても良かったわ。 最後までおもしろくて
みのり:うんうん! かわいくておもしろいなんて、愛莉ちゃん最強すぎるよ~!
みのり:それに最後が人魚姫のポーズっていうのがいいよね。 最初のアイドルスマイルと比較するとどっか寂しいっていうか、 そういう物語性を感じられるのはさすが愛莉ちゃんだと思ったよ!
遥:ふふ、本当にすごかったね。 あれは愛莉にしかできないって、 見てくれてるみんなも言ってくれてるよ
コメント:『愛莉ちゃんの普通では終わらせないとこ、好きがあふれる』 『絶対何かやってくれるって信じてた!』 『さすが、バラエティで鍛えてただけあるね』
愛莉:ふふ、そう言ってもらえると、やったかいがあったわね
みのり:あ、あの、ちょっといいかな? 結局、今の特訓できなかったのわたしだけだから……
みのり:そのっ、リベンジの機会を! いただけませんでしょうかっ!?
愛莉:えっ?
みのり:さすがに愛莉ちゃんみたいなことはできないけど……。 ちゃんとアイドルスマイルができるようになるまで がんばらせていただきたいと思いまして!
愛莉:……いいじゃない! その心意気は嫌いじゃないわ
愛莉:やるからにはとことんまでやるわよ! 妥協は許さないから、そのつもりでね!
みのり:はいっ!! 花里みのり、全力でがんばらせていただきますっ!
数時間後
みのり:はあ~、クタクタだ~!
遥:ふふっ、みのり、バナナボート特訓頑張ってたもんね
愛莉:でも、最後はアイドルスマイルもできてたし、良かったわよ。 何度もチャレンジしたおかげで、 体幹を安定させる方法もわかってきたんじゃないかしら?
みのり:あっ、それはそうかも! お腹のとこが、なんかピクピクして……。 筋肉痛になりそうな感じ!
コメント:『みのりちゃん、そうとう頑張ってたもんね』 『アイドルスマイル、かわいかったよ!』 『最後はハッピードボンもできるようになってて感動した!』
みのり:うう、みんなにそう言ってもらえると、 すっごくうれしいよ~!
愛莉:正直、ハッピードボンは真似しなくてよかったんだけど……
コメント:『ボートもだけど、さっきのスイカ割りもおもしろかったな』 『たしかに、私もスイカ割り好きだった』 『変わったゲームだったよね』
雫:そうね。 目隠しをする人、しゃべれないけどサポートする人、 声だけ出せる人……それぞれ役割があっておもしろかったわね
遥:みのりが目隠しした時は大変だったね。 私がしゃべれない役で、雫とアイコンタクトして——
遥:(あっ、みのり、 だいぶスイカのあるルートから外れてきてる! 私がサポートしなくちゃ)
遥:(——って、なんかこの辺、 いろんなところに穴があってデコボコしてる!?)
愛莉:ふっふっふ……
遥:(……歩きにくくするために愛莉が仕掛けた罠だね。 私は声が出せないから、 雫からみのりに教えてあげてほしいけど……)
遥:(雫、気づいて——!)
雫:(遥ちゃんが、何か伝えようとしてるみたい。 いったい何かしら……)
雫:あっ……そういうことね、わかったわ!
遥:(……よかっ——)
雫:みのりちゃん! 遥ちゃんが、カニさんが歩いてるから気をつけてって!
遥:(そ、そうじゃなくて——!)
みのり:目隠しをしてスイカまで辿りつくのが あんなに大変だなんて思わなかったよ~
遥:でも、やっていくうちに連携が取れてきて、 最後はちゃんと辿りつけたんだよね
雫:ええ! 最後は、遥ちゃんと目をあわせるだけで お話できているような気がしたわ
みのり:ふたりのチームワークすごかったよね! おかげでおいしいスイカも食べられてよかった~!
愛莉:ふふ、わたしも楽しんでもらえてよかったわ
遥:でも愛莉、こんな特訓よく思いついたよね
愛莉:実は、わたしがいちから考えたものじゃないのよ
愛莉:チームワークを高めるのにいいって言われている 目的地移動ゲームっていうのがあるんだけど……
愛莉:今回の合宿はせっかく海だし、 普通にやるのもつまらないと思って。 スイカ割りと合体させてアレンジしてみようと思ったの
みのり:へー! そうだったんだ!
愛莉:シミュレーションはしてたんだけど、 本番でうまくいくかはちょっと不安だったのよね。 ……でも、バッチリやれてよかったわ!
遥:合宿の成果としても、ここまでは順調って感じだね
みのり:このままどんどんいこ~! 次の特訓は何かなっ!?
愛莉:気合い充分のところ申し訳ないけど、 いったん特訓はここで終わり。 配信も止めて少し休憩をもらおうと思うわ
コメント:『えっ、配信止めちゃうの?寂しいな~』 『何気に結構長いことカメラ回してるもんね』 『みんな頑張ってたし、休憩ほしいよね』
愛莉:ええ。別れを惜しんでくれるのは嬉しいんだけど、 疲れた体で特訓をやってもいいパフォーマンスは出せないから、 ちゃんと休む時間はとっていこうと思ってるわ
愛莉:次は2時間後くらいに配信するから、また見に来てね! ……それじゃあ……
みのり・遥・愛莉・雫:『ばいば~い!』
愛莉:……ふう。配信お疲れさま!
みのり:すっごく楽しかったね! ……でも、たくさん失敗しちゃったな~
愛莉:ふふ、いいじゃない。 撮れ高がたくさんあって良かったわよ
遥:結構いい配信ができてるよね。 みんなのコメントも盛り上がってるし、 休憩後もこの感じで——
ミク:『みんな、配信お疲れさま~!』
みのり:わわっ、ミクちゃん!? それに、みんなも!?
リン:『えへへ♪ 合宿が気になって、みんなの配信覗いてたんだ!』
KAITO:『見てくれてるみんなの反応はどう? よかったら、コメントを見せてくれないかな?』
愛莉:ふふっ、もちろんよ
愛莉:せっかくだから、みんな一緒に振り返っていきましょ!
第 4 话:着実な進歩
海辺
ミク:『——すごいなあ。 配信中、こんなにいっぱいコメント来てたんだね』
愛莉:そうなのよ。 最初はいつもと同じくらいだったんだけど、 途中から勢いがすごくて、追うのに苦労したわ
雫:こうやって読んでいると、 私達の配信を初めて見てくれた人も結構いたみたいね
MEIKO:『そうみたいね。 “愛莉ってQT辞めてから全然テレビに出ないなと思ってたけど、 こんなところで活動してたんだな”——』
MEIKO:『“雫ちゃんと遥ちゃん懐かしー! アイドルヲタやってた時のこと思い出しちゃった! チャンネル登録します!”……ですって』
愛莉:ふふっ、嬉しいわね
遥:みのりへのコメントもたくさんついてるよ。 『ナイスファイト!』とか 『この子初めて見たけど一生懸命でいいな』とか
みのり:わっ……! 恐縮ですっ!
ルカ:『それに……見て。もう配信は止めているのに、 コメントをしながら待ってくれてる人もいるみたい』
ルカ:『“このまま2時間待つ”、って言ってる人もいるわよ♪』
遥:すごいね。ほぼ24時間っていう長い配信なのに、 全部リアルタイムで見ようとしてくれてる人もいるみたいだし
遥:特訓も大事だけど、見てくれてる人のために その熱量に負けないものを配信しなくちゃね
雫:ええ! このあとも頑張りましょう!
愛莉:ふふっ、みんな気合い十分ね
愛莉:それじゃ、そろそろ休憩も終わりにして、 次の特訓にいきましょうか
みのり:えっ? でも、まだ休憩に入ったばっかりだよね?
遥:それに、配信再開も2時間後の予定のはずでしょ?
愛莉:もう、みんな、大事なことを忘れてるんじゃない?
愛莉:新曲のダンス特訓は、 ファンのみんなが見ていない今しかできないでしょ?
みのり:あ、そっか! 新曲はまだみんなにナイショだもんね!
遥:せっかくなら、録画してみたらどうかな。 そのほうが客観的に見れそうだし
愛莉:いいわね、そうしましょ!
雫:それじゃあ、ミクちゃん達には、 お客さんの役をお願いしようかしら?
ミク:『わかった! ノリノリで盛り上げちゃうよ♪』
リン:『何か気づいたことがあったら言うね! みんな、がんばって~!』
みのり:うんっ! 失敗しないようにがんばるぞ!
みのり:……ミュージック、お願いしますっ!
愛莉:雫、少しポジションがズレてるわ! 立ち位置が変わる時は注意して!
雫:うん!
遥:(次、この曲の振りで一番難しいターンのところだね)
みのり:(ううっ、ここ苦手なんだよね……。 ふらつかないように軸足に力を入れて……っと)
愛莉:うん、いいわね! みのり、体幹安定してるわよ!
みのり:わ、やった……! よーし、このままいっちゃうぞ~!
遥:(このあと、私と雫の位置が入れ替わるんだよね。 この前セカイでやった時は少しぶつかりそうになって 危なかったけど……)
雫:(あ……! このアイコンタクト、スイカ割りの時の……!)
雫:(それなら……!)
愛莉:いいじゃない! ふたりの入れ替わり、すごく自然でなめらかよ!
みのり:(わあっ、みんな特訓の成果が出てる! すごいな——)
みのり:(——って、サビの入り、ちょっと遅れちゃった~!)
みのり:(だ、ダメダメ! 焦ってないでしっかり持ち直さないと……)
みのり:(わっ……! 今の遥ちゃんの手の動き、すっごくきれい……!)
みのり:(わたしも、ああいう動きできるようになりたいな。 ……ワンマンまでに、がんばらなくちゃ!)
ミク:『みんな~、すっごく良かったよ~!』
みのり:ホント!?
ルカ:『ええ! この前セカイで見せてもらった時も素敵だと思ったけど、 今回はさらに良くなってると思ったわ♪』
KAITO:『なんだか、みんながひとつになってる感じがしたよね』
MEIKO:『早速合宿の成果がでてきてるんじゃない?』
愛莉:わたしもそう思ってたとこよ!
愛莉:もちろん、まだ詰められるところはあると思うから、 一度録画を確認してみましょ
遥:そうだね。 私も自分がどう見えてるのか気になるし……。 みんな見える位置に寄ろうか
愛莉:ええ、寄って寄って! 再生するわよ~
雫:あ……! 入りのところから、ちゃんとそろってるわね
みのり:でもわたし、サビの……ここ! ちょっとミスしちゃったんだよね……
みのり:映像で見ると、やっぱり目立つな~。 遥ちゃんとか、手の動きがスラ~ってしてるのに、 わたしのはなんか重たそうに見えるし……
遥:ああ、そこはね、 太陽を掴むように手を伸ばすと綺麗に見えるようになるよ
みのり:太陽を掴む……
遥:そう。あとは体幹を意識したり、ちょっとしたコツはいるけど 本番までにしっかり練習して調整すれば、問題ないと思う
MEIKO:『ええ、この前より上達してると思うわよ。 大きなターンの時も体の軸にブレがなかったし』
みのり:うわ~ん、ふたりともありがとー!
みのり:でも、もっともっと練習がんばらなきゃ。 初めてのワンマンで今みたいな失敗、絶対できないもんね!
愛莉:ふふ、そうね。 本番までにもっと練度を上げていきましょ!
愛莉:みのりだけじゃなくて、 わたし達も、まだ細かいところで課題はあるから、 ちゃんと調整していかないとね
雫:ええ! みのりちゃんに負けないくらい、私も頑張るわ
遥:それじゃ、どうする? さっきは通したけど、少しパートをわけて 細かいところを見ていく?
愛莉:そうね……
雫:あ、その前に飲み物を買ってきていいかしら。 持ってきてたものがなくなっちゃって
雫:近くにカフェがあったから、そこへ行こうと思うんだけど…… よかったらみんなで行かない?
みのり:あ、それってトロピカルジュースが置いてあったとこ? さっきわたしも看板見かけて気になってたんだよね!
ミク:『わあ、トロピカルジュース? おいしそう……』
リン:『海に来てるって感じがしていいね! わたしも飲んでみたいなあ~』
愛莉:それなら、合宿が終わったら買っていってあげるわよ
リン:『いいの!? すっごく楽しみ~♪』
愛莉:ふふっ、それじゃ、わたし達も小休憩にして うわさのトロピカルジュースとやらを買いに行きましょうか
みのり:そうだね! じゃあ、みんなで——
みのり:——あっ、でもやっぱり、わたしはまだいいかな。 みんなで行ってきて!
雫:えっ? でも…… みのりちゃんもトロピカルジュース気になっていたんでしょう?
愛莉:心配しなくても、個人練習の時間はこのあとちゃんと取る予定よ。 だから、今ひとりでがんばらなくてもいいんじゃないかしら
みのり:あ、そうだったんだ!
みのり:……でも、やっぱり、 今練習やめると集中力切れちゃう気がする。 だから、わたしはあとで買いに行くよ!
遥:それなら無理にとは言わないけど……。 みのりも少しは休憩するんだよ。 ジュースは私達が買ってくるから
みのり:えっ、いいの!? ありがと~!
雫:ふふっ、それじゃあ、またあとでね
レン:『わあ……海、近くで見るとすごく綺麗だね』
愛莉:あ、そういえば、 みんなからは、あんまり見えなかったわよね
ルカ:『ええ、でも改めて見るといいわね~、夏らしくて。 私、そこにいたら飛びこんじゃってると思うわ♪』
遥:その気持ちはちょっとわかるかも。 私達もバナナボートで海に出たりはしたけど、 泳いではないもんね
愛莉:……まあ、強いて言えば みのりと、わたしだけは海に落ちたから泳いでるわね
遥:あ、言われてみれば……
リン:『いいな~、みのりちゃんと愛莉ちゃん!』
愛莉:まあ、みのりに泳ぎを楽しむ余裕があったのかは わからないけどね
雫:あの時のみのりちゃん、頑張ってたものね
遥:そうだね。今もきっと、 ダンスの時言ってた反省点を練習してるんだろうし
ミク:『……無理してないか、ちょっと心配だね』
愛莉:まあ、気持ちはわかるけどね。 みのりにとって初めてのワンマンが近いんだから
レン:『……そっか。言われてみれば、 この中でワンマンライブを経験してないのって、 みのりちゃんだけなんだ』
愛莉:ええ。“初めて”っていうのは、それだけで その人にとっては一生に一度の特別なものだけど……
愛莉:特にアイドルをずっと目指してきたみのりにとっては、 本当にかけがえのない、夢のステージなのよね
MEIKO:『……そうよね。 ワンマンライブは新米アイドルにとって 大きな目標のひとつだもの』
MEIKO:『だから、これまでたくさん努力してきた みのりちゃんの想いが強いのは、当然のことよね』
雫:……そういえば私も、初めてワンマンライブの ステージに立った時は、胸のドキドキがみんなに 聞こえてしまうんじゃないかってくらい緊張したわ
遥:私もそうだったな
遥:でも、そんな中でも 私の歌とダンスで絶対お客さんを楽しませないと、 って気持ちはあるんだよね
愛莉:すごくわかるわ! あの時の感情って、うまく言葉で言い表せないし、 忘れることができないわよね
愛莉:(……懐かしいわね。 あの時は目の前のワンマンライブにとにかく必死になって、 毎日遅くまで練習したっけ)
愛莉:(絶対失敗できないからって、 全体練習が終わったあとにもひとりで練習したり、 自分の姿を鏡で見て細かいところを調整したり……)
愛莉:(……そうよね。 みのりも今、そういう気持ちでいるのよね)
KAITO:『愛莉ちゃん?』
愛莉:……ごめん、みんな。 やっぱり気になるから、みのりの様子見てくるわ!
遥:あっ、愛莉……!?
第 5 话:似たもの同士
海辺
愛莉:(さてと、みのりは……)
みのり:はあ、はあ……
みのり:指の先まで意識しながら……。 ここは太陽をキャッチするみたいに、空に手を伸ばして……
みのり:……んー、やっぱりうまくできないなあ……。 腕の伸ばしかたなのかな?
みのり:遥ちゃんの動きはあんなにきれいだったのに、 やっぱり、わたしのは、なんかぎこちないみたいな……
愛莉:(……やっぱり、サビのところが課題だと思ってるみたいね)
愛莉:(——ほんと、みのりはいつも人一倍一生懸命ね)
みのり:……よしっ、もう1回——
愛莉:やってるわね、みのり
みのり:えっ、愛莉ちゃん!? もう帰ってきたの!?
愛莉:……ちょっと気になることがあってね。 がんばってるみたいじゃない
みのり:う、うん……。 やっぱり、初めてのワンマンライブで 見にきてくれたお客さんをがっかりさせたくないし
みのり:だから、やれるだけのことはやろうと思って!
愛莉:……そう
みのり:あ、そうだ! よかったら愛莉ちゃん、 わたしの引っかかってるとこ見てくれないかな!?
みのり:それで、気になるところがあったら教えてほしいんだけど……
愛莉:いいけど…… わたしの指導は厳しいわよ?
みのり:もっ、もちろん、どんなダメ出しでもどんとこいですっ!
愛莉:ふふっ、それならいいわ。 やってみて!
みのり:はいっ!
みのり:——で、ここは手の角度ビシッ!と……
愛莉:(……うん、悪くないわね。 ちゃんときれいに見える角度になってるのは、 自主練の成果かしら)
みのり:次は……こうやって、流れるように……
愛莉:(……ここが、みのりが一番気にしてる、 サビの空に向かって手を伸ばすところよね)
愛莉:(……あら? この動き、もしかして……)
みのり:こう、かな。 もっともっと、太陽に手を伸ばすように……
愛莉:…………
みのり:——って、感じなんだけど、どうだった!? ちゃんとできてたかなっ!?
愛莉:……そうね。振りは完璧だったわ
みのり:ホントっ!?
愛莉:でも、表現が全然ダメ
みのり:え~っ!
みのり:そんなあ……。 これなら、って思ったのに……
愛莉:……みのりが、がんばってることは認めるわ。 自分のダンスが何か違うと思って、 分析して変えようとしてることも、いいことだと思う
愛莉:でもね。 ただ真似をすればいいってわけじゃないのよ
みのり:え……? 真似って?
愛莉:もしかして、無意識なのかしら
愛莉:でも、影響されてるようには見えたわね。 ……遥のダンスに
みのり:あっ……
みのり:さ、さっき踊ってた時、 遥ちゃんの動きがきれいだなって思ったから……
愛莉:……まったく
愛莉:昔のわたしとそっくりね
みのり:えっ……愛莉ちゃんと?
みのり:愛莉ちゃんも、誰かの真似をしようとしたことがあるの?
愛莉:そうよ。 わたしは意識的に、だけどね
みのり:そうなんだ……! 愛莉ちゃんが真似しようとするなんて、 すっごく上手な人だったんだろうなー
愛莉:んー……。 その時はそうでもなかったかも?
愛莉:むしろ、歌もダンスも、 わたしのほうができてたわ
みのり:えっ? じゃあ、なんで……
愛莉:……その子が、わたしにはないものを持ってたから、かしら
みのり:愛莉ちゃんにないものを……?
愛莉:ええ。わたしはずっと…… その人みたいに、キラキラしたアイドルになりたかったの
愛莉:あれは、わたしが研究生になったばかりの頃——
愛莉:やっと手に入れた夢の切符…… 研究生としてのスタートを切りだすオーディション
愛莉:それに受かって、 『さあこれからトップアイドルの道を踏み出すぞー!』って時に、 話題をかっさらっていった子がいたのよ
カメラマン:はい、お疲れさま。 バッチリ撮れたわよ
愛莉:ありがとうございました。 またよろしくお願いします!
愛莉:(宣材写真の撮影って、こんな風にやるのね……!)
愛莉:(昨日鏡の前で何度も練習したけど、うまく撮れたかしら? 確認したいけど、ひよっこのわたしがあんまり口出すのは——)
若いスタッフ:聞きました? チアデの3期生オーディションのグランプリの子のこと
中堅スタッフ:聞いたっていうか見たよ。 あれはいいね~。すごい美少女だし、オーラがあるよ。 アイドルだけじゃなくて、モデルや女優もやれるんじゃないかな
若いスタッフ:やっぱ先輩でもそう思うんですね! たしか、明日ここで撮影でしたっけ? 会えるの楽しみだなー
愛莉:(へえ、昨日チアデのオーディションが あったことは知ってたけど……。 そんな子がグランプリ取ったのね)
愛莉:(たしかにチアデは事務所の看板だし、 そのオーディションでグランプリを取るなんて 絶対すごい子だろうけど……)
女性スタッフ:ね、チアデの子見た? やっぱグランプリは違うよね! 研究生とは圧倒的な差があるって思っちゃった!
愛莉:…………
愛莉:(今日は研究生の撮影の日だっていうのに、 なんなのよこの空気は……)
新人スタッフ:話題の子、日野森雫さんっていうんですよね。 名前だけは速報で見ました! オレも生で会ってみたいけど……今日はもういないのかな?
女性スタッフ:劇場で練習してるみたいだから、行けば会えるよ。 芸能人オーラあるから、一目でわかると思う!
愛莉:(……へえ、劇場ならすぐそこじゃない)
愛莉:(トップアイドルを目指す上でライバルになるかもしれないし、 そんなに話題になるような子なら、1回会っておきたいわね)
愛莉:(……よーし、そうと決まれば——!)
Cheerful*Days シアター
愛莉:(……ここね)
愛莉:(今は休憩時間かしら? ちょっと忍びこんだみたいになっちゃったけど、 その日野森って子はどこに……)
愛莉:————!
愛莉:あの子が……今回の……
愛莉:(……すごい。こんな子がいるのね……)
愛莉:(いるだけで光が当たってるみたいな存在感……。 明らかに他の子達とは違うわ……)
愛莉:(……できるのかしら)
愛莉:(あんな子と同じ世界で、わたしは……)
愛莉:(初日から、何弱気になってるのよ)
愛莉:(やっていけるとか、いけないとか、 そういうことじゃない——)
愛莉:(アイドルは、ハートが大事なんだから!)
愛莉:見つけたわ! アンタね! 今回のオーディションでグランプリとった、日野森雫ってのは!
第 6 话:自分らしいやりかた
海辺
みのり:愛莉ちゃんにも、そんなことがあったんだね……!
愛莉:ホント驚いたわ。その場にいるだけで輝いていて、 自然と目が吸い寄せられちゃうんだもの
愛莉:世の中にはいるのよね~、 生まれつきそういうものを持ってる人が
みのり:……うん。 雫ちゃんは——遥ちゃんも、 普通にしてるだけで、すっごくキラキラしてるもんね
愛莉:そうね。 遥も、持ってる人なのよね
愛莉:……でも、あの頃のわたしは、 アイドルにとって大切なのはオーラとかタレント性とか容姿とか、 そういうものじゃないって思ってたの
愛莉:だから、そういうものを持ってる子に——雫に、 『絶対負けたくない!』って勝手にライバル心を燃やしてね
愛莉:アイドルはハートだ——って、 わたしの信念を見せつけるように、 がむしゃらに仕事をこなしたわ
みのり:わあ、愛莉ちゃんらしいね!
愛莉:……でもやっぱり、そううまくはいかなかった。 どんなにがんばっても、事務所は雫に目をかけるし、 ファンの数もどんどん増えていって……
愛莉:そう、ホワイトデーなんて、 雫宛のチョコレートがトラック3台分届いたこともあるのよ! もう、伝説でしょ!?
みのり:と、トラック3台分!?
みのり:雫ちゃんらしいね……
愛莉:もちろん、 雫も真面目にがんばってたんだから当然なんだけどね
愛莉:でも、わたしはQTの選抜メンバーになるまで、 努力を重ねても手応えが全然なかったの。 他の子より覚えてもらうために、いろいろ挑戦したりしたのにね
愛莉:そんな時に、テレビで活躍してる雫を見ちゃったら—— やっぱり、ハートだけじゃダメなのかなって。 キラキラしたものも必要なのかな、って考えさせられたわ
みのり:愛莉ちゃん……
愛莉:だから、今度はそっちの方向で努力してみることにしたの。 ちょっとでもかわいくなれるようにメイクの練習とか…… あとは食生活を変えてみたり、筋トレなんかもそうね
愛莉:美容とかファッションとか、 持ってないなりに少しでも輝きを得るために あらゆるものに手を出して、その中で——
愛莉:やっと、わたしにはわたしのやりかたがある、って気づいたわ
みのり:やりかたって……?
愛莉:そうね、例えば——わたしとみのりは似てるわよね。 雫や遥みたいなアイドルオーラがあるわけでもないし、 特別スタイルがいいってわけでもないし
みのり:うっ……。 愛莉ちゃんがそうだとは思わないけど、 わたしはそうだと思います……
愛莉:ふふっ、気持ちはありがたいけどフォローはいらないわよ。 それに、卑屈になる必要もないの
愛莉:今からわたしが、 みのりが一番かわいく見える方法を教えてあげるわ!
みのり:えっ、本当!?
愛莉:ええ、もちろんよ。 だからまずは……この砂浜をライブの会場だと思って、 ファンのみんなに笑ってみせて
みのり:ここを会場だと思って、ファンのみんなに……。 えーっと、えーっと……
みのり:こうかな?
愛莉:……それだけ?
みのり:えっ!?
みのり:あ、あとは、会釈する……とか……? 他には、えーっと、えーっと
愛莉:それだけじゃ、みのりの笑顔が届くのは ステージの近くにいるお客さんだけでしょ?
みのり:はっ、そっか……! わたしが笑顔を届けたいのは、会場にいるみんなだった……!
愛莉:そうよね。 それなら、今度はそこを意識してやってみましょ!
愛莉:まずは想像してみて。 お客さんでいっぱいの広い会場を
みのり:お客さんでいっぱいの、広い会場……
愛莉:そして、わたし達が全力でダンスを踊ったあと。 2階席のお客さんがこっちに向かって何かを叫んでる
愛莉:……そんな時、みのりはどう応えてあげる?
みのり:2階席から……。 わたし……わたしなら……
みのり:聞こえてるよ~っ! ありがと~っ!
愛莉:そう、その感じよ!
みのり:あ……! わたしの、今の手の振りかた……!
愛莉:ええ。 さっきの振りかたとは違ったでしょ? お客さんに届いてほしいって気持ちが動きを大きくさせたわよね
愛莉:手だけじゃないわ。 確実に声を届けようと思って、かかともちょっとあげてた。 ……自分で気づいてたかしら?
みのり:い、言われてみれば……
愛莉:本当にほんの少し……自分でさえ気づかない違いだけど、 こういう仕草はみのりらしくて、とっても魅力的よ。 元気いっぱいで一生懸命で、もっと見たいって思うわ!
みのり:わ、わたしが…… もっと見たいって思ってもらえる……!?
愛莉:ふふっ、そうよ。 それに、見てもらえる方法はこれだけじゃない。 他にもたくさんあるわ
愛莉:例えば、ステージ上でのふるまいだけじゃなくて、 踊ってる時のちょっとした仕草とか
愛莉:やっぱりオーラのある子と並んで踊ると、 お客さんの目線はそっちに吸い寄せられちゃうものだけど、 取り戻す方法はあるの
みのり:ど、どうやるの!?
愛莉:素直に、『わたしを見て~!』って気持ちを出すのよ
みのり:『わたしを見て』……
みのり:あ、もしかして、さっきやったのと似たことなのかな? さっきのは、『わたしを見て!』じゃないけど、 『こっちに気づいて!』って感じでやったし
愛莉:まさにそのとおりよ!
愛莉:見せよう見せようとする必要はないの。 大事なのは、お客さんとのコミュニケーションで、 さっきみのりが無意識にしたのと同じことよ
愛莉:例えば……踊ってるあいだ、どこを見るのか、 お客さんと目があった時はどうするか、 そういうのを考えてみるだけでも違うと思うわ
みのり:踊ってるあいだ、かあ……。 わたしは結構客席の奥のほう見てたけど、 それだとお客さんを見てることにはならないのかも?
みのり:愛莉ちゃんはどうしてる?
愛莉:そうねえ……。 わたしは、お客さんと目が合ったらウィンクしちゃうわ
愛莉:わたしを見てくれてありがとう、って気持ちでね!
みのり:はっ……! 大好きなアイドルにそんなことされたら……
愛莉:ふふっ、釘づけになっちゃうでしょ?
愛莉:そうなったら、もう最高じゃない。 あとは一生懸命踊り切るだけよ!
みのり:そっか……! お客さんとのコミュニケーションっていうのは、 そういうことなんだね
愛莉:ええ。 最初の例で言うと、顔の角度もそうよ。 みのりはただ、正面を見て微笑んだだけだった
愛莉:でも、2階のお客さんを意識した時はアゴをあげたでしょう? それは、お客さんに気持ちを届けたいって心がそうさせたのよ
愛莉:そして、そんなみのりをお客さん達も見てる……
みのり:……っ
みのり:そっか。 それじゃ、わたしが、会場のお客さん全員に 笑顔を届けたいと思ったら……
愛莉:そう! かわいいじゃない!
愛莉:これならお客さんの視線も集められること間違いなしよ!
みのり:えへへ~……褒められちゃった
愛莉:……どう? これでわかったかしら? これが『わたしのやりかた』——
愛莉:オーラがなくても輝ける、アイドルの秘訣よ!
みのり:うんっ、すっごくわかりやすかったよ! こういうのをずっと愛莉ちゃんは考えてきたんだね。 すごいなあ……
みのり:あっ! でも……。 そんな大事なこと、教えてもらっちゃってよかったのかな……
愛莉:いいに決まってるじゃない
愛莉:だって、ちょっとしたコツを教えることで みのりがもっとかわいくなれるなら、わたしも嬉しいもの
みのり:愛莉ちゃん……
愛莉:でも、自分をどう見せるかは、 みのり自身がお客さんに何を届けたいか、 どんなアイドルになりたいかで変わってくると思うの
愛莉:だから今話したことが全部だとは思わないで、 みのりはこの先も、みのりらしい方法で、 自分が一番輝けるやりかたを探していってほしいわ
みのり:自分が一番輝けるやりかたを……
みのり:……わかった! 愛莉ちゃんに教えてもらったことを意識して、 わたし、もっともっともーっとがんばってみる!
愛莉:ふふっ、応援してるわよ!
雫:……愛莉ちゃんのアドバイス、うまくいったみたいね
遥:うん。 雫の言うとおり、愛莉に任せてよかった
MEIKO:『ふふっ…… ますますワンマンライブが楽しみね』
第 7 话:光を追いかけて
数時間後
海辺
愛莉:みんな、見てくれてありがと!
愛莉:ってことで、 後半の特訓の配信はここで締めさせてもらうわね!
コメント:『ダンス特訓、すごく上達しててビックリしたよ』 『ワンマンへの期待、めちゃめちゃ高まった!』 『夜の配信もあると嬉しいな~』
愛莉:ふふっ、もちろん夜も……。 もしかしたら、ゲリラ的にやるかもしれないから注目しててね!
コメント:『え~! お風呂入れなくなった!』 『アーカイブたのむ、マジでたのむ』 『↑さっき配信全部残してくれるって言ってたよ』
遥:ここまでリアルタイムで見てくれた人も、 追いかけて見てくれた人も、本当にありがとう
みのり:またしばらくお別れだね。 それじゃあ、みんな……
愛莉・遥・みのり・雫:『おやすみなさ~い!』
愛莉:……さて、後半の特訓もみんなお疲れさま!
雫:大変だったけど、最後までやりきれたわね
みのり:うんっ! でも、本当に1日中動いてたから、 もう体がヘトヘトだよ~……
遥:ふふっ、それじゃ温泉に行ってリフレッシュしようか
みのり:わあ、やった~! 温泉あるって聞いて、ずっと楽しみにしてたんだ!
愛莉:いいわね、みんなで行ってきてちょうだい。 わたしはちょっと、この辺をブラブラしてから行くから
雫:何か用事でもあるの?
愛莉:ただ散歩したいだけよ。 夜の海を歩けるのは、こんな時しかないでしょ?
遥:そっか……。 それじゃ、私達は先に行ってるね
愛莉:ええ! 温泉楽しんできてちょうだい!
愛莉:ふう……。 夜の海って、なんかミステリアスでいいわね
愛莉:夜風も気持ちいいし……。 こういうところで花火する配信も楽しかったかも——
雫:愛莉ちゃん!
愛莉:あら? 遥達と一緒に温泉に行ったんじゃないの?
雫:ええ、行こうと思ったんだけど……。 愛莉ちゃんが散歩に行くなら、私も行きたいなって
愛莉:ふふ、何よ、それ。 まあ、雫がいいならいいけど
愛莉:……それにしても、すてきな景色だと思わない? 夕方もいいけど、夜の海も夜景がきれいで好きだわ
雫:うん、私も。 ……もしかしたら、これも配信で流したら 見てくれてる人は喜んでくれるかもしれないね
愛莉:あ、わたしも同じようなことを考えてたの! 遥達がお風呂から出たら提案してみましょ
雫:うんっ!
雫:それにしても、今日の配信すごかったね。 たしか、何かのランキングにのったんだったっけ?
愛莉:ああ、配信サイトの急上昇ランキングね! 一瞬だったけど、ここまで勢いにのれるとは思ってなかったわ
雫:ふふっ、愛莉ちゃんが泊まる場所から おもしろい特訓まで、いっぱい考えてくれたおかげだね
愛莉:そう言ってくれるのは嬉しいけど、 たいしたことしてないわよ。 配信がおもしろくなったのは、みんなのおかげだし
愛莉:特訓で手応えを感じられてるのも、 みんなのがんばりがあってこそよ
雫:たしかに、みんな頑張ってたよね! バナナボート特訓も、スイカ割り特訓も……
雫:あ。そういえば、さっき配信でやったダンス特訓…… みのりちゃんのを見た時は驚いちゃった
愛莉:ふふ、あの時ね——
愛莉:さあ、今日最後の特訓よ! しっかり踊りきって、見てくれてるみんなに成果をみせましょ!
みのり:はいっ!
愛莉:(……みのり、さっき言ったこと、ちゃんと覚えてるかしら)
愛莉:(もし、あの言葉がみのりの中で形になっているなら…… さっきよりもずっと——輝けるはずよ!)
みのり:届けたい相手を、意識して——
雫:(……みのりちゃん?)
愛莉:(……うん、いい感じね! その調子でサビのところも——)
遥:え……っ
雫:(みのりちゃんの動き…… なんだか、いつもと違う……!)
雫:(すごく活き活きしてるような……)
雫:(いつもより遠くを見てるみたい。 どこ……? カメラの先……)
雫:(あ……もしかして…… カメラの向こうにいるお客さんを見てるの……!?)
愛莉:……やるじゃない
愛莉:(届けようって想いが強すぎて、 重心が前にいって軸がブレてる)
愛莉:(今まで踊ってきたダンスより、全然動きが洗練されてない。 でも——それでも、今のみのりは……)
雫:(なんだろう。すごく……)
雫:(可愛いわ……!)
雫:みのりちゃんのダンス、 見てる人達も、とっても喜んでたよね
愛莉:ふふっ、そうね! 『みのりと目が合った気がした!』ってコメントも いっぱい流れてたし
雫:私も隣で踊ってて、みのりちゃんは今、 お客さんを見てるんだなって思ったよ
雫:きっと、愛莉ちゃんのアドバイスのおかげなんだよね。 どんなことを話したの?
愛莉:昔話をしただけよ
雫:昔話って……愛莉ちゃんの?
愛莉:……ええ。 それと、わたしが研究生の頃に考えた、 自分の魅力を最大限に引き出すテクニックの話ね
雫:そうだったんだ……! だからみのりちゃんは、あんなにキラキラしてたんだね
雫:自分の魅力を引き出すテクニック、か……。 愛莉ちゃんが考えた方法なら、すっごく効果がありそうだね
雫:今度、私にも教えてほしいな
愛莉:別にいいけど…… わたしのテクニックは、あんまり雫の役には立たないと思うわよ
雫:え、どうして?
愛莉:わたしとみのりはタイプが似てるけど、 雫とは全然違うじゃない
雫:え……? そうかな……
愛莉:そうよ。 だから、わたしと雫では、歌いかたや話しかたもだけど、 ダンスでの体の使いかたとかも、攻略法が違うの
愛莉:例えば——見て。 この手ひとつとっても、雫とわたしのは、全然違うわ
愛莉:雫のは細くて長くて、とってもしなやかで…… でも、わたしのは——
愛莉:わたしのは、なんていうか…… ちょっと、おまんじゅうみたいでしょ?
雫:っ……
愛莉:だから、わたし達のテクニックは——
愛莉:……雫?
雫:そんな——そんなこと言わないで。 私は愛莉ちゃんのこの手が好きだよ
雫:いつもみんなを引っ張ってくれる、優しい手…… 今日みのりちゃんだって、きっとそう思ったはずだよ。 それに……
愛莉:……ほら、タオル。顔ふきなさいよ。 せっかくキレイな顔してるんだから、笑わなくっちゃ
愛莉:一緒にアイドル、がんばりましょうね。 負けないわよ! 雫!
雫:挫けそうになっていた私にも、 ふわふわのタオルと、立ち上がる勇気をくれた
雫:だから、私は愛莉ちゃんの手が好きなの。 優しくて、ふわふわで……
雫:この手に勇気をもらっている人がいることも、 忘れないでほしいな
愛莉:雫……
愛莉:……まさか、アンタが そんなこと言ってくれるなんてね
雫:だって、愛莉ちゃんは、 研究生の頃からずっと私の憧れだもの
雫:ダンスレッスンでも、私はトレーナーさんの指摘で、 いっぱいいっぱいだったのに…… 愛莉ちゃんは、いつも最初から、誰よりもうまく踊れてて
雫:きっと誰よりも陰でたくさん練習してるんだなあって……。 本当にかっこいいなって、思ってたんだ
愛莉:……わたしが、かっこいい?
雫:うん。それ以外にもたくさんあるよ。 仕事で一緒になった時の、スタッフさんへの気づかいとか、 ステージでのお客さんの気にかけかたとか
雫:私は、そういう一生懸命な愛莉ちゃんが大好き。 ……だから、たとえ手ひとつでも、 愛莉ちゃんを悪くいうことは、愛莉ちゃんでも許さないからね!
雫:だって—— 私は前からずっと、愛莉ちゃんのファンだから
愛莉:雫……
愛莉:……ありがとう。 雫はいつもそうやって、 わたしにやさしい言葉をかけてくれるわね
愛莉:わたしも、雫に何度も勇気をもらってきたわ
雫:え……? 私が、愛莉ちゃんに勇気を……?
愛莉:ええ。 わたしはずっと、自分の華のなさに悩んできたけど……。 やっぱり、アイドルの魅力って、それだけじゃないのよね
愛莉:だって、こんなわたしでも 誰かに希望を届けられるんだもの。それも——
愛莉:こうして、わたしが憧れた人が…… アイドルとして届かないって思ってた子が、 ファンだなんて言ってくれるんだもの
雫:愛莉ちゃん……
愛莉:……だからね、雫には感謝してるの
愛莉:わたしがあがいてこれたのは……輝いてこれたのは、 雫がわたしの理想として前に立ち続けていてくれたから
愛莉:雫のおかげで、わたしはここまで成長できたの。 だから……本当にありがとね
雫:ううん。 私のほうこそ、そんな風に言ってくれてありがとう
雫:私にとって愛莉ちゃんは、大好きなアイドルで…… アイドルとしての目標だよ
雫:出会ったあの日から、ずっと……
愛莉:……ふふっ。 わたし達は、お互いに希望を届けあってるのね
雫:——次はファンのみんなにも届けていかなくちゃね
愛莉:ええ。 今度のワンマンライブは、 応援してくれているみんなへの恩返しにもなるし……
愛莉:これからも、たくさんの人に、 より多くの希望を届けられるようにがんばりましょ!
雫:うん!
第 8 话:ワンマン成功祈願!
翌朝
海辺
愛莉:——さてと。カメラはこの画角でいいかしら
MEIKO:『おはよう、愛莉ちゃん。ずいぶん早起きね』
愛莉:メイコ! メイコのほうこそ、やけに早いじゃない。 みんな、もう起きてるの?
MEIKO:『ううん、まだ寝てるわ。 わたしは愛莉ちゃんが早朝ドッキリとか やるんじゃないかなと思って覗きにきただけよ』
愛莉:す、鋭いわね……
MEIKO:『あら、当たっちゃったかしら? これも合宿と……、あとアイドルの経験値の差ってとこね♪』
愛莉:……かなわないわね
愛莉:まあ、ドッキリっていうほど たいしたものでもないんだけど……。 みんなに健康的な朝ごはんを作ってあげようと思って
MEIKO:あら、いいじゃない! じゃあ料理配信をするってことかしら?
愛莉:ええ。本当は昨日、夕食をみんなで作って、 それを配信するのが一番楽しいかなって思ったんだけど……
愛莉:特訓のあと、ヘトヘトの状態でご飯を作るのは かわいそうだなって思ったから、 代わりにひとりで朝食配信をしようと思ったのよ
MEIKO:『へえ、そうだったの。 そこまで考えてるなんて、さすがね』
MEIKO:『でも、そんな愛莉ちゃんのことだから…… この朝食料理配信も、普通とはちょっと違うんでしょう?』
愛莉:ふふっ、そのとおりよ! 料理の最後に配信を見てくれてるみんなと とびっきりの企画をやろうと思ってるの!
MEIKO:『とびっきりの企画?』
愛莉:ふふ、教えてあげるのはここまでよ。 あとは、メイコも一緒に見てくれると嬉しいわ!
MEIKO:『あら、さすが愛莉ちゃん、気になる引きをするわね!』
MEIKO:『わたしもその企画、早く見たくなっちゃったわ♪』
愛莉:それじゃ、カメラも準備できてるし、早速始めちゃおうかしら! いくわよ~……
愛莉:みんな、おはよう! こんな朝早くから見てくれてる人はいるかしら?
コメント:『早朝配信来た!』 『いつ配信が来るかわからないからずっと待機してました』 『愛莉ちゃんひとり? みんなはまだ寝てるの?』
愛莉:ふふっ、みんなありがとう。 こんな時間でもたくさんの人が見てくれてるみたいね
愛莉:お察しのとおり、みんなはまだ寝てるわ
愛莉:実はね、そのあいだに…… みんなにナイショで、朝ごはんを作ろうと思ってるの!
コメント:『愛莉ちゃんが作るなら 栄養バランスとかもちゃんと考えられてそうだね』 『私も一緒に朝ごはん作ろうかな』
愛莉:あら、いいわね! それじゃ、一緒にやりましょ!
愛莉:じゃ、まずは焼き鮭を用意していくわね。 下味なんだけど……実は配信の前に15分くらい 塩とお酒につけておいたから、この切り身を使っていくわ
コメント:『さすが愛莉ちゃん、用意周到!』 『15分待ってたら料理配信っていうか雑談配信になるもんね』 『そういえば、泊まってるとこに朝ごはんつかないの?』
愛莉:あ、一応泊まってるコテージの宿泊プランにも 朝食付きはあったんだけど
愛莉:外に調理場があるって書いてあったから、 そっちで作るのも楽しそうだなと思って あえて、朝食なしのプランにしてみたの
愛莉:——っと、フライパンもあったまってきたから、 いよいよ、この切り身を焼いていくわよ。 で、ここで注意点なんだけど……
愛莉:鮭の皮って結構油分が多いから、 油断してるとパチッと跳ねて攻撃してくるの。 みんなも焼く時はやけどしないように気をつけてね!
コメント:『鮭の皮危ないのわかる~』 『身はそうでもないのに、皮付近だけ脂あるんだよな』 『みんな鮭皮食べる派? 残す派?』
愛莉:あ、鮭の皮食べるかどうかは、わたしも気になるわね。 ちなみにわたしは、おいしくいただいちゃう派よ!
愛莉:——って、そんなこと言ってたら、いい焼き加減ね。 火を止めてちょっと休ませてるあいだに、 さっき切っておいた野菜を持ってきて……
愛莉:お味噌汁用は、わかしておいたお鍋に。 サラダ用はそのまま盛り付けて……。 ほら、もう2品完成! 簡単でしょ?
コメント:『すごい手際の良さ……』 『マジで普段からちゃんと料理してる人だ……』 『愛莉ちゃんのお味噌汁飲みたい』
愛莉:ふふっ、そんなに褒められたら照れちゃうわね。 ……さて、これであとはお味噌汁の完成を待つだけだから……
愛莉:ここからは特別企画! 『みんなでワンマン成功祈願スムージーを作ろう』!
コメント:『突然なんか始まったw』 『やっぱり普通の料理配信で終わるわけないんだよなあ』 『スムージーってことはもしかして……』
愛莉:予想がついている人もいるみたいね。 ……わたしが無差別に買ってきたこの食材の中から みんながスムージーにいれたいものをコメントしてね!
愛莉:人気が高いもの4種類と、 わたしが選んだ3種類をミキサーで混ぜて スムージーにしてみんなで飲んじゃうわよ!
コメント:『私達で選べるんだ! 楽しそう~』 『でも、組み合わせによってはヤバいものできそうだな』 『野菜や果物から豆腐まで、結構いろんなものがあるしね……』
愛莉:ふふ、ただのお料理コーナーじゃつまらないものね! さ、まずは1種類目、みんなで選んでいくわよ~!
愛莉:……ふう。 これで完成だけど……
愛莉:なんだかすごいものができちゃったわね。 これをわたしも飲むのかと思うと、 あの材料リストを作ったことを後悔するわ……
コメント:『食材は全部健康にいいものだから大丈夫でしょ』 『愛莉ちゃんがんばって!』 『みんなの反応、今から楽しみw』
愛莉:もう、みんな好き勝手言ってくれるわね~
遥:おはよう、愛莉
コメント:『お、みんな起きてきた!』 『遥ちゃん、みのりちゃんおはよう~』 『え、雫様って朝一からこの輝きなの? 太陽なの?』
みのり:ん~、おはよう愛莉ちゃん~…… 筋肉痛がすごくてね、今日もお腹が——
遥:……あれ? もしかして、今配信してる?
みのり:配信……?
みのり:……えっ……えっ!? 配信!?
愛莉:ふふっ、実はそうなの。 みんなを驚かせたくて、配信しながら朝ごはんを作ってたのよ
雫:まあ……! 愛莉ちゃんの朝ごはんが食べられるなんて贅沢ね……!
みのり:そ、そうだね!
みのり:でも……
遥:みのり?
みのり:(ううう、寝ぐせ直してから出てくるんだった! 手で押さえつけたら直るかな? お願いお願い~!)
コメント:『みのりちゃん、めっちゃ寝ぐせついてたw』 『隠れても、もう遅い感ある』 『むしろ今日のワンポイントにしたら?w』
愛莉:——らしいわよ、みのり
みのり:ううっ……! 合宿配信にこんな罠があったとは~!
遥:でも、わざわざ早起きして朝食作ってくれたなんて……。 私達にも声かけてくれればよかったのに
愛莉:それじゃ、サプライズにならないでしょ?
愛莉:ま、それは置いといて—— さっそく食べて……と言いたいところだけど、 実はもうひとつサプライズが残ってるの!
雫:えっ、まだあるの?
愛莉:ええ。実は、配信を見てくれているみんなと一緒に 『ワンマン成功祈願スムージー』を作ったのよ
愛莉:朝食の前に、まずはそれをいただきましょ!
コメント:『高まってまいりました』 『あれ、どんな味なのかな……』 『ヤバそうだけど、願掛けはこういうのでちょうどいい』
遥:……なんか、みんなのコメント見てると 不穏な感じがするんだけど
愛莉:あら~、そんなことないわよ。 みんなの愛がたくさんつまったスムージーなんだから
雫:怪しいわねえ……
みのり:そ、それで、そのスムージーってどこにあるの?
愛莉:これよ
遥:………………。 ……なんか、飲み物とは思えない色してない?
雫:これは……何が入ってるのかしら?
愛莉:みんなと選んだ、超健康的な食材よ
愛莉:ゴーヤ、納豆、青唐辛子、まいたけ……を、 わたしが選んだ果物の甘味でコーティングしたわ!
みのり:ぜ、全然味の想像がつかないよ……!
遥:愛莉もヤケになってない?
遥:——でも……
コメント:『私が提案した食材が選ばれて嬉しかったな』 『みんな早く飲んでみて!』 『倒れないといいけど……w』
雫:みんなが選んでくれたのなら、 ちゃんと飲まないといけないわね……
愛莉:そうよ。 そもそもこれは『ワンマン成功祈願スムージー』なんだから、 絶対飲まなくちゃいけないの!
愛莉:最後の一滴まで、おいしく飲み干しましょ!
みのり:う、うう……ものすごく不安だけど……
遥:いただきます……
みのり:い、意外においしい……!
遥:色からは想像できない味になってるね。 ゴクゴク飲めるってわけじゃないけど…… 味付きのプロテインと近い感じがするかも
雫:これが健康にいいっていうのなら、毎日でも飲めるわ
コメント:『え、意外! あんなに変なのばっかり入れたのに……!』 『正直、マズいって反応を期待してたw』
愛莉:ふふっ、見てくれてるみんなにとっては もしかしたら期待外れだったかもしれないけど、 偶然おいしくできてよかったわ!
愛莉:(……まあ、どんなものを選ばれても 飲めないことはないように、 少し味付けを調整させてもらったけど)
みのり:ぷは~、ごちそうさまでした!
雫:なんだか、これを飲んだだけで健康になれた気がするわね
遥:みんなにも、ごちそうさま。 美味しかったよ
コメント:『笑顔が見れたから、マズくなくてよかったかも』 『全部飲めたし、これでワンマンも成功だね』 『スムージー企画おもしろかった。愛莉ちゃんありがとう!』
愛莉:みんなも喜んでくれたみたいで、よかったわ
愛莉:さてと、それじゃ朝ごはんにするわよ。 ……合宿配信も、もうそろそろ終わりだけど、 最後まで楽しんでいってね!
コメント:『そっか……。24時間配信、あっという間だったな』 『愛莉ちゃんの企画のおかげで楽しかったよ』 『やっぱ愛莉はこういうの考えるの天才だよなあ』
コメント:『私は雫ちゃん推しだけど、 やっぱりモモジャンには愛莉ちゃんが欠かせないよね』
愛莉:(あ……)
コメント:『次の企画も楽しみだな』 『また別の24時間配信やってほしい~』 『今回の特訓みたいなやつ、もっと見たいな!』
愛莉:なんだか、すごくハードルがあがってる気がするけど、 次もまたおもしろい企画考えるから期待しててね!
みのり:えへへ、さすが愛莉ちゃんだね!
遥:私からもありがとう。 今回の合宿、すごく楽しかったよ
愛莉:……もう、締めるにはちょっと早いわよ。 まだ朝食も食べてないんだから
愛莉:ほら、みんなも準備手伝って! 雫はごはんをよそう、遥はお茶を準備して、みのりは運ぶ! これもチームワーク特訓のひとつよ!
みのり:わ~、愛莉ちゃんスパルタだ~!
愛莉:(少し前までは、こんな形で アイドル活動をすることになるなんて、思ってもいなかったわね)
愛莉:(あの頃の、夢いっぱいなわたしが今の姿を見たら、 『こんなのわたしが夢見たアイドルじゃない』って 幻滅しちゃうかもしれないけど)
愛莉:(でも、わたしは今が一番楽しいわ。 わたし自身を認めてくれる、 信頼できる仲間がいて、それから——)
雫:ごはんの量、これくらいでどうかしら?
遥:うん、ちょうどいいんじゃないかな。 こっちもお茶の用意ができたから、持ってくね
みのり:じゃ、わたしは雫ちゃんがよそってくれたごはん運ぶよ! ……もちろん、これも特訓だから体幹意識しながら!
愛莉:(つらくて苦しいことも、たくさんあったけど、 その時の努力は全然無駄じゃなかったって思えるの)
愛莉:(だから、あとは——)
みのり:愛莉ちゃん! ごはんの準備、完了しましたっ!
愛莉:……ありがと。 それから——みんな改めて、合宿最後までお疲れさま
愛莉:このメニューをこなせたわたし達に、 もう怖いものは何もないわ。 あとは本番まで、できる限り練習を重ねていくだけ……
愛莉:誰にとっても、最高のワンマンにしましょ!
雫:愛莉ちゃん……!
みのり:うんっ! その日まで、一生懸命がんばろうね!
愛莉:ふふっ、それじゃ、朝ごはんいただきましょうか。 ここもチームワークが大事だから、最後まであわせていくわよ?
愛莉:手と手をあわせて……せーのっ
みのり・雫・愛莉・遥:『いただきま~す!』