活动剧情

あの日の夢の、彼方向こうへ

活动ID:78

第 1 话:想い詰まったファンレター

遥の部屋
遥:『——本当に、ワンマンライブを開催してくれて ありがとうございました! ここまで応援してきて、よかったです!』
遥:『次のライブもとっても楽しみにしていますので、 活動頑張ってください!』
遥:……本当に、読んでて心があったかくなる手紙ばかりだな。 みんな、ワンマン楽しんでくれたみたいでよかった
遥:でもまさか、こんなに届くなんて……。 匿名で受け取れるサービス、使ってみてよかった
遥:……やっぱり、手紙って嬉しいな。 文字の雰囲気から書いてくれた人の想いが伝わってくる気がする。 それに——
遥:封筒も、みんな個性があって可愛いし。 この猫のシール貼ってあるのは愛莉宛かな。 こっちのは……
遥:……! 限定雪フェニーくん……!
遥:わざわざ私に選んでくれたのかな? ……開けてみよう
ファンレター:『モモジャンの皆さん、ワンマン開催おめでとうございます! 夢みたいなステージで、とっても感動しました!』
ファンレター:『実は、私はASRUN時代から 遥ちゃんのファンだったんですけど、 その時はまだ小学生で、ライブに行くことができませんでした』
ファンレター:『でも、ついに中学生になって、 いよいよ行ける!ってなったのに……。 遥ちゃんが引退しちゃって、すごく悲しくて……』
遥:あ……
ファンレター:『でも今回のワンマンで、もう見るのが無理だと思ってた 遥ちゃんのキラキラ笑顔を生で見ることができて、 本当に本当に嬉しかったです!』
ファンレター:『おかげで、明日も頑張ろうって思いました!』
遥:明日も、頑張ろう……
ファンレター:『それに私、遥ちゃんをきっかけに配信を見て モモジャンのみんなのことが大好きになったので、 生のみんなが見れた今回のワンマンは、本当に最高で……』
ファンレター:『……もっとたくさんの人に、 モモジャンのことを知ってほしいと思いました。そして——』
ファンレター:『今の私の夢は、モモジャンの武闘館ライブを見ることです! いつか、絶対にあの大きなステージに立ってください!』
遥:……武闘館か。 アイドルだけじゃなくて、 アーティスト全員にとって夢のステージだよね
遥:あそこで歌えるのは一流の証だから、 ファンのみんなもやってほしいって思ってくれてるんだろうな
遥:……私も、初めて立てた時は感動したっけ
遥:こんなステージに立てるくらい、 ASRUNってグループは大きくなって、 たくさんの人に応援してもらえてるんだって実感できて——
遥:——ここにいる人達みんなに、 明日をがんばる希望を届けられるんだって思った
遥:……いつかみのりにも、あの景色を見てほしいな
遥:でも……
遥:今の私達じゃ、現実的じゃない
遥:(武闘館って、ライブを開催するための審査が厳しくて、 知名度と実力が伴わないと通らないって聞いたことがあるし、 なにより15000人の動員が必要なんだよね)
遥:(……やっと700人のライブができた私達にとっては、 本当に遠い数字だな。 それでも目指すなら、地道にやっていくしかないけど……)
遥:……今の私達のやりかたで、届くのかな
翌日
宮益坂女子学園 屋上
遥:はい。 これ、昨日私が読み終わった分だよ
みのり:ありがとう、遥ちゃん! 今日のお手紙も楽しみだな~
雫:じゃあ、私の分は遥ちゃんに渡すわね
雫:すごく励まされる感想ばっかりだったわ。 遥ちゃんのファンの子のものもあったから、ぜひ読んでみてね
遥:ふふっ、私が昨日読んだものの中にも、 雫のファンの人の熱烈な声があったから、 回ってくるの楽しみにしてて
雫:そうなのね……! 早く読みたいわ
愛莉:それにしても、本当に予想以上の反響よね。 手分けして家に持って帰らないと 読めないくらいの手紙が届くなんて
みのり:……嬉しいよね。 メールやDMでも、いつもよりたくさん感想来てるし
遥:うん。 それに、感想だけじゃなくて——
遥:仕事の依頼のメッセージも届くようになったよね。 雑誌のインタビューとかラジオのワンコーナーの出演とか
みのり:ビックリしちゃったよね。 今までそういうメッセージ来たのって、 小学校でライブやった時くらいだったし
愛莉:たぶん、ワンマンのことが 軽くネットニュースになったからでしょうね
愛莉:わたし達3人はアイドルグループ脱退組だし…… そんな、はたから見たらレールを外れたアイドルが、 事務所の支えなしにワンマンライブを成功させてる
愛莉:記事にするには、なかなか引きのある内容よね。 ……ちょっと話は盛り気味だったけど
遥:でも、あの記事のおかげで 私達のことを知らなかった人にも 知ってもらえるようになったのなら、ありがたいよね
みのり:そうだね! ワンマンの前に比べて、チャンネル登録者数も結構増えたし
愛莉:注目されるのはいいことよね。 でも……
愛莉:そんな今だからこそ初心に帰って、 一度、今後の方針をみんなで話し合いたいと思ってるの
愛莉:ワンマンっていう大きな目標も達成したし、 次の目標はどうするのか…… そのために、どう活動していくのか、とかね
遥:目標と、活動方針か……
ファンレター:『……もっとたくさんの人に、 モモジャンのことを知ってほしいと思いました。そして——』
ファンレター:『今の私の夢は、モモジャンの武闘館ライブを見ることです! いつか、絶対にあの大きなステージに立ってください!』
遥:…………
みのり:あの、それならちょっといいかな?
遥:みのり?
みのり:実はね、ワンマンのあと、 帰ってすぐSNSで感想検索してみたの。 そしたら……
みのり:みんな、『いろんな場所でライブやってほしい』とか、 『たくさんの人に知ってほしい』とか書いてくれてたんだ
雫:……ファンレターにも、そういう声がいっぱいあったわよね
みのり:……うん。 それでわたし、思ったんだ。 わたしも、ファンのみんなが言ってくれてるように……
みのり:いろんな場所でライブをして、 MORE MORE JUMP!を いろんな人に知ってもらって——
みのり:もっともっと、たくさんの人に希望を届けたいって!
遥:たくさんの人に……
みのり:そのためにはどうしたらいいのかなって考えて、 それで——
みのり:——わたし、MORE MORE JUMP!で ライブツアーをやりたいって思ったんだ
雫:ライブツアー……!
みのり:それだけじゃないよ!
みのり:MORE MORE JUMP!がツアーができるような アイドルになったら、その次は—— ドームライブをやりたいんだ
みのり:わたしが初めて見たASRUNのライブみたいに、 たくさんの——日本中の人に、みんなで希望を届けたいの!
遥:——……っ
愛莉:お、大きく出たわね……!
愛莉:MORE MORE JUMP!でドームなんて、 そりゃあ、できたら夢みたいだけど——
みのり:わたし、本気だよ!
みのり:ワンマンでお客さんのニコニコした顔を見れて、 本当に嬉しいなって……、 今まで活動してきてよかったな、って思ったの
みのり:だから、これからもがんばろうって…… 今までみたいに、目の前のお客さんに希望を届けていこうって、 最初はそう思ってたんだ
みのり:でも……
コメント:『せっかくいいグループなんだから、もっと広めたいよね』 『宣伝とかガンガン打ってくれたら勧めやすいんだけど』 『ドームとか無理かな~、でも言うのはタダだよね~!』
みのり:…………。 みんな、こんなに期待してくれてるんだ
みのり:ファンのみんなは、 わたし達がもっとたくさんの人に希望を届けられるような 大きな場所に立つことを、望んでくれてるって思ったの!
みのり:それで……思ったんだ。 わたしは……、わたしは、やっぱり——
みのり:たくさんの人達に、一番希望を届けられるアイドルになりたい!
遥:…………!
みのり:だから、みんなと……本気で、 日本で一番大きな場所で、ドームみたいな場所で ライブができるアイドルを——
みのり:トップアイドルを、目指したいの!
遥:(そうだ。私も……)
遥:(私も、あの頃は——)
雫:…………
愛莉:……ドームライブができるトップアイドル、ね……
みのり:あっ……
みのり:も、もちろん、これは わたしがそう思ってるってだけの話だから……
みのり:みんながどう思うかは、ちゃんと聞きたいな!
遥:みのりの言いたいことはわかったよ。 それに……すごくみのりらしいなって思った
みのり:遥ちゃん……!
遥:もっとたくさんの人達に希望を届けたいって気持ちは、 私も——愛莉も雫も、持ってると思う
遥:でも、本当にトップアイドルを目指すってことが 今の私達の目標として正しいものなのか……、 少し考える時間がほしいかな
愛莉:……そうね。 まだ初めてのワンマンをやったばかりのわたし達にとっては、 とてつもなく高い目標になるわけだし
みのり:あ……
みのり:……そうだよね。ちゃんと考えないといけないよね。 じゃあ、これからみんなで——
みのり:——って思ったけど、気づいたらもうこんな時間だ! 『ワンマンお疲れさま配信』の準備しなきゃいけないよね!
雫:あら、もうそんな時間なのね……!
愛莉:それじゃ、この話は、またみんなで改めてしましょ。 今は早く準備しなくちゃ!
愛莉:——みのりと雫は三脚の準備をお願い! 遥はスマホ用意して!
遥:あっ、うん、わかった
みのり:雫ちゃん、一緒に三脚組み立てよ~!
雫:ええ! ……この足の部分を引っ張ればいいのよね? でも、なんだかすごく固くて……
みのり:わあっ、雫ちゃん逆っ! そっちに引っ張ったら折れちゃうよ~!

第 2 话:新たなる目標

スクランブル交差点
みのり:今日の『ワンマンお疲れさま配信』、 いつもよりたくさんの人が見にきてくれてたね!
遥:やっぱり、登録者数が増えたから 注目度があがってるみたいだね
雫:初めて見る名前の人も、いっぱいコメントしてくれてたわね。 この人達にも楽しんでもらわなくちゃ、って 張り切っちゃったわ
愛莉:ふふ、そうね
愛莉:でも、見てくれてる人が増えた今だからこそ、 今までと同じような配信をしていくのが適切なのか、 やっぱり考える必要があると思ったわ
愛莉:だから、配信の前にしてた 今後の話の続きをしようと思うんだけど……
みのり:あっ、ご、ごめんね! お母さんに、ひき肉買ってくるの忘れちゃったから 買ってきてって急に頼まれちゃって……!
みのり:ミートソースなのに肝心のミートがないみたいで、 このままじゃただのトマト缶パスタになっちゃうんだって~!
雫:それも美味しそうだけど、 ミートソースのつもりだったのなら 買っていってあげたほうがいいわね
みのり:本当にごめんね! 大事な話しようとしてたのに、続きできなくて……!
遥:どっちにしろ今日はもう遅いし、 気にしなくて大丈夫だから
みのり:うう、ありがとう……! わたしも、家でちゃんと目標について考えてみるよ!
みのり:それじゃわたし、スーパーに行ってくる! またね、みんな!
遥:うん、お疲れさま
愛莉:……嵐が去っていったわね
雫:ふふっ、本当にみのりちゃんはいつも元気で可愛いわね
愛莉:そうね。でも…… まさかあんなことを言い出すなんて、意外だったわ
遥:うん——
みのり:ファンのみんなは、 わたし達がもっとたくさんの人に希望を届けられるような 大きな場所に立つことを、望んでくれてるって思ったの!
みのり:だから、みんなと……本気で、 日本で一番大きな場所で、ドームみたいな場所で ライブができるアイドルを——
みのり:トップアイドルを、目指したいの!
遥:……実は昨日読んでた手紙の中に、 『武闘館でライブをやってほしい』って 書かれてたのがあったんだ
雫:武闘館で……
遥:その時私は、 『たしかにあそこでやれたらいいな』って思ったけど…… 『今の私達じゃ難しい』とも思った
愛莉:……そうよね
愛莉:わたし達は名前の知られてるアイドルグループに いたことがあるから、その時代からずっと ファンとしてついてきてくれてる人もいる
愛莉:でも、やっぱり元いたグループの看板あってこそだし、 昔からのファンが全員残ってくれてるわけじゃない。 今のわたし達じゃ15000人なんて人数、とても動員できないわ
愛莉:……だから、みのりからドームって言葉が出た時に、 スケールの大きさに驚いちゃったんだけど
遥:うん。愛莉の言うとおりだよ。 私も同じことを思った
遥:……思ったけど……、でも、それでも——
遥:みのりの言葉を聞いて、はっとしたんだ。 今までの私はこうじゃなかったなって。 動員数が多いとか少ないとか、気にしたことがなくて——
遥:ただ純粋に、 日本中の人に希望を届けたいって思ってたなって
愛莉:…………!
雫:……たしかに私も、 MORE MORE JUMP!で活動することになった時、 いつかみんなでドームライブをできたらいいなって思ったわ
雫:でもそれは、本当に『いつか』で…… 私達にとってはまだ先の話だって、どこかで思ってたの
愛莉:……わかるわ。 わたし達のアイドルとしての道のりは、 まだまだ遠いと思ってたから
愛莉:でも……いいのよね。 わたし達が今、ドームを埋められるようなアイドルを目指しても
遥:……うん。 私も、みのりの言葉で、それに気づいたんだ。だって——
遥:私達は、たくさんの人に希望を届けたくて活動してる。 それは今までも、これからも変わらなくて……
遥:このまま進んだ先には——絶対にドームがある
遥:だから目指そう、みんなで。『いつか』じゃなくて、 『今』、日本一大きな会場が埋められるくらい、 たくさんの人に希望を届けられるアイドルを
遥:——トップアイドルを
雫:……ええ!
愛莉:やってやりましょ!
愛莉:……実はね。初めてのワンマンライブも満員御礼で、 チケットを取れなかったって声も多くて、 700人の見積もりは甘かったと思ってたの
愛莉:それに、今回のネットニュースのおかげで 配信チャンネルの登録者数も結構増えて……
愛莉:次回もしイベントをするなら、 2000人から3000人の動員は見込めるんじゃないかって 斎藤さんとも話をしていたのよ
雫:そんなに……!?
遥:半年以内に1000人規模くらいのライブは できるようになるんじゃないかって思ってたけど……
遥:それなら、もしかしたら、シブヤホールくらいは……
愛莉:ああ、あそこのキャパは1900人だから、 今のわたし達でも充分狙えるわよ
雫:すごいわね……! もうシブヤホールに立てるかもしれないなんて……!
愛莉:実際、わたし達はかなり順調よ。 駆け出しのアイドルグループとしては、信じられないくらいね
愛莉:でも、ドームの動員数は30000人。 そこにはさすがに、今のわたし達では届かないわ。 ……届かないでしょうけど——
愛莉:今のわたし達の勢いなら、きっと届くはず。 だから——
愛莉:行けるところまで、駆け抜けましょ!
遥:——うん!
翌日
宮益坂女子学園 屋上
みのり:みんな、昨日はごめんね! 大事な話があったのに、先に帰っちゃって!
遥:気にしなくていいよ。 夕飯は大丈夫だったの?
みのり:うんっ! みんなのおかげで、おいしいミートソースパスタ食べれたよ! 本当にありがとう!
みのり:そ、それで…… 早速、例の話の続きをしたいと思うのですが……
愛莉:ええ、もちろん! わたし達も、みのりに話そうと思ってたことがあるのよ
みのり:えっ?
雫:……実はね。 昨日みのりちゃんが帰ったあとに、3人で話をしたの
雫:みのりちゃんが言ってた、 『トップアイドルを目指す』っていう目標について
みのり:そ、そうだったの!?
みのり:えっと、それで、みんなはどう思った……?
遥:結論から言うと、私達も、みのりに賛成だよ
みのり:…………!
遥:正直に言うとね。 私達はまだワンマンを成功させたばかりなのに、 トップアイドルを目指せるのかなって思ってたんだ
遥:でも、みのりのおかげで思い出したの
遥:私達は目の前のお客さんもそうだけど、 日本中の人達に希望を届けたかったんだ、って
みのり:遥ちゃん……
遥:だから……
遥:目指そう。 みんなで、ドームライブができるアイドルを
みのり:わあっ……!
愛莉:まあ、現実問題、簡単じゃないけどね。 わたし達はまだまだ駆け出しアイドルグループの域を出てないし、 踏むべきステップはたくさんあるし
雫:そうね。でも…… だからこそ、私達みんなで頑張りたいって思うわ
遥:うん。それに…… アイドルは、ファンのみんなに希望と夢を届けるものだから、 私達が夢を見てもいいと思うんだ
遥:私達が夢を叶える姿は、 きっとファンのみんなにも希望を与えられる
遥:だから……必ず、なろう
遥:日本で一番、 たくさんの人に希望と夢を届けられるアイドルに!
みのり:遥ちゃん……
みのり:……わたしもファンのみんなの感想見て、 『ドームをやれるトップアイドルを目指したい!』って思った時、 まだ早いかもって……夢見すぎかもって思ったんだけど
みのり:でも、やっぱり、どうしても目指したいって……、 諦めたくないって思ったんだ
みのり:だから——勇気出してみんなに話してみてよかった。 みんなが一緒にやろうって言ってくれて、 ホントによかった!
遥:みのり……
みのり:——絶対、トップアイドルになろうね! みんなで一緒に!
遥・雫・愛莉:『うん!』 『ええ!』

第 3 话:思わぬ依頼

宮益坂女子学園 屋上
遥:——ってことで、 ドームライブをやれるようなトップアイドルになる、って 目標は決まったけど……
遥:そこまでいくためには、 どんなルートをたどればいいか、考えないといけないよね
みのり:そうだよね! ドームライブまでは、まだまだ遠いし……
みのり:やっぱり、ライブする場所を少しずつ大きくして、 お客さんをちょっとずつ増やしていきながら、 ドームに近づいていくしかないのかなあ?
雫:あ、その話なんだけど……
雫:今の私達なら、もう少し大きな会場で ライブをやることができるんじゃないかって話していたのよ!
愛莉:そうそう。 例えば、シブヤホールとかね
みのり:ええっ、シブヤホール……って、あのシブヤホールのことっ!?
みのり:あそこが埋められるくらい たくさんのお客さんに見てもらえるかもしれないなんて、 すごいね……!
遥:でも——もう2000人の動員が達成できるなら、 もっと上を目指してもいいのかも
みのり:も、もっと上って……
愛莉:夢は大きくってことで、10000人規模を目指すなら、 両国相撲館や、乃々木体育館があるわね。それと——
愛莉:15000人規模なら、武闘館も
みのり:武闘館——
みのり:……お手紙を送ってくれた人にもいたよね。 わたし達を武闘館で見たい、って書いてくれてたお客さん……
遥:……うん
遥:私達がもし武闘館でやれたら、 あの人にも希望を届けられるかもしれない
遥:だから——私は目指したいな。 ドームライブへの中間目標として、 まず武闘館でやれるくらいのアイドルを
愛莉:15000人、か……。 大きな数字だと思うけど、トップアイドルを狙うんなら それくらいやってみせないとね!
雫:でも、そうなると、お客さんを今の700人から 15000人まで増やさないといけないのよね
雫:……どうやったら、そんなにお客さんを増やせるのかしら?
遥:配信を続けてファンを増やすこともできると思うけど…… 15000人のお客さんがライブに来てくれるまでとなると、 今の登録者数のペースじゃ厳しそうだよね
みのり:それじゃあ、配信以外の方法を考えたほうがいいのかな? 今回登録者が増えたのって、記事のおかげもあると思うし!
愛莉:それなら、選択肢はたくさんあるんじゃない? 雑誌とか、ラジオとか——
みのり:あっ! そういうのだったら、お仕事の依頼が来てたよね!
雫:たしかに……。 それを受けてみるのもいいかもしれないわ!
愛莉:おおむね賛成だけど……。 受ける仕事は、ちゃんと相手の会社のこととか 調べてからにしたいわね
遥:そうだね。 結構いろんなメッセージもらってるけど、 中にはちょっと怪しそうなのもあったりするし
遥:……いったん、もらったメッセージを みんなで整理していこうか
みのり:うん……! どんなのが来てるんだろ? 全部ちゃんと見れてなかったから、ドキドキしちゃうな……!
遥:私はメールを見てみるから、みのりはSNSのDMをお願い。 愛莉は配信サイトのコメントを見てくれると嬉しいな
遥:あと、雫は——……、 みのりと愛莉のアシスタントでどうかな?
雫:アシスタント……! なんだかかっこいいわね
愛莉:そうね……。 アシスタント頼んだわよ、雫!
遥:じゃあ、早速作業していこうか
愛莉・雫・みのり:『ええ!』 『うん!』
数十分後
みのり:えーっと、次のDMは……
みのり:『MORE MORE JUMP!様、 初のワンマンライブ開催おめでとうございます! 個人でワンマンを開催されている姿に感動いたしました!』
みのり:『つきましては、皆さんの若いパワーを活かして、 ぜひ我が社の、“毎日飲むだけでマイナス30kg! 激ヤセビューティーDX”を宣伝していただきたく……』
みのり:って、飲むだけでマイナス30kg!?
雫:そんなのを飲み続けたら、 いつか体がなくなっちゃうんじゃないかしら……!?
愛莉:うそに決まってるでしょ、そんなの
遥:体重を減らすには、食事の管理と運動は必須だよ。 飲むだけで痩せるなんて魔法のような薬はないから
みのり:そ、そうだよね……。 本当にそんな商品ができたのなら、すごいな~って思ったけど
愛莉:……でも、ここまでメッセージを見てきた感じ、 ほとんどが、そういう怪しい案件ね
愛莉:受けるにせよ、ちゃんと依頼元は調べなくちゃ。 こういうのって、簡単に受けたら悪意ある企業で、 大変なことになるってよく聞くし
雫:私達が騙されるだけならまだいいけど……。 変な商品の宣伝をして、 お客さんを騙すことになってしまったら嫌だものね
愛莉:そうね——
愛莉:——はあっ。 大量のメッセージを見るのも大変だっていうのに、 選別までしなきゃいけないなんて
愛莉:こういう作業やってると、 マネージャーの存在ってありがたかったんだって身に染みるわ
みのり:でも、怪しいのだけじゃなくて、いいのもちゃんとあるし! 前向きに次のDMいってみよー!
みのり:次は——
雫:私も見ていいかしら。 ええと……
雫:『突然のご連絡失礼いたします。 私は東京NXで放送中の“アイドル大戦争!”という番組で プロデューサーをしております』——
みのり:えええええっ!?!? アイハザのプロデューサーさんからっ!?!?
雫:わっ……びっくりした
みのり:ごっ、ごめんね、雫ちゃん! 突然だったから、驚いちゃって……!
愛莉:あら? もしかして『アイハザ』って……
みのり:愛莉ちゃんも知ってる!? メッセージにも書いてあったけど、 東京NXで深夜にやってるアイドル番組だよね!
みのり:『アイドル大戦争』って書いて、 『アイドルハザード』って読む、通称『アイハザ』! いろんなアイドルグループの子が交代でMCやってて……
みのり:ゲストで来る他のグループの子との絡みも見れちゃうから アイドル好きにはたまらない番組で、 最近始まったのに結構話題になってるんだ~!
遥:……そんな番組のプロデューサーが 私達にメッセージを送ってきたってことは……
みのり:う、うんっ……! もしかして……もしかするって感じだよねっ!?
みのり:し、雫ちゃん! メッセージの続きをお願いしますっ!
雫:わ、わかったわ。ええと……
雫:『実は以前、配信を拝見させていただいたのですが、 今回初めてのワンマンを自分達の手で成功させたと伺い、 大変興味を抱きました』
雫:『その後、動画サイトのアーカイブなども 視聴させていただいたのですが、 非常に明るく前向きな皆さんの姿に元気をいただき——』
雫:『皆さんと同じように、“視聴者の皆さまに元気を届けたい”を コンセプトにしている当番組にぜひ出演していただきたく、 ご連絡差し上げました』——!
みのり:わあっ、本当に出演依頼なんだ……!
愛莉:……わたしにも、見せてくれる?
愛莉:——なるほどね。 要約すると、その番組の注目のアイドルを特集する 5分くらいのワンコーナーに出演してほしいってことみたい
みのり:す、す、すごいね……! テレビに出れるかもしれないなんて……!
みのり:それに、テレビならいろんな人に わたし達のことを知ってもらえるかもしれないし、 すっごくいい機会だよね!
愛莉:そうね。5分のコーナーとはいえ、 今のわたし達にとっては渡りに船だと思うわ
雫:私も、ぜひやってみたいわ!
みのり:遥ちゃんはどうかな?
遥:そうだね——
遥:(依頼元はそれなりに有名な番組のプロデューサーみたいだし、 メッセージの内容も誠実で、信頼できる感じではあった)
遥:(それに、こんな大きな案件がくるのは もっと小さな仕事を何個かこなしてからだと思ってたから、 みんなの言うように、思いがけない大チャンスだよね)
遥:(……大チャンスなんだけど……)
遥:……もう少し、考えたいな
愛莉:どういうこと?
遥:……今テレビに出るのが、本当にいいことなのかわからなくて
遥:テレビに出れば、たしかにお客さんは増えると思う。 今はネット配信でもたくさんの人に見てもらえるけど、 それ以上に影響力があるのが、テレビっていう媒体だから
みのり:それなら……!
遥:でも、その影響力にはデメリットもある
みのり:デメリット……?
遥:私達が伝えたいものが、 違う形になって広まる可能性があるってこと
遥:もしかしたら、面白くするために 思ってなかった方向に言葉を切り抜かれちゃうかもしれない。 ……それは、番組のためにはなるかもしれないけど——
遥:私達やファンのみんなのためには、ならないかもしれない
雫:あ……
遥:……もちろん、テレビ番組が全部、 そういう悪意を込めて作られてるわけじゃないし、 いいところもたくさんあると思ってるよ
遥:でも……テレビに出るっていうのは、 そういうのを覚悟しないといけないってことだから。 ……だから、今すぐに判断するのは難しいなと思って
愛莉:……たしかにそういうリスクはあるわよね
愛莉:——ていうかあったわ。 ちょっとしたツッコミを編集されて、 共演した俳優さんの悪口言ってるように見せられちゃったこと
みのり:ええっ、ホント!? 大丈夫だったの?
愛莉:まあ、放送された直後はちょっと燃えたわね。 それに、今でもその俳優さんのファンの一部から その話を持ち出されることはあるけど……
愛莉:でも、ファンの子達が、 『愛莉はそういうこと言う子じゃない』って言ってくれたから、 大事にはならなかったし、大丈夫だったわ
雫:……よかった
愛莉:まあ、そんなことはあったけど——
愛莉:それでもわたしはメリットのほうが大きいと思うから、 テレビに出れるなら出たほうがいいと思ってるけどね
遥:(……そっか。 そういう経験してる愛莉でも、そう思うんだ……)
みのり:わわっ、チャイムだ!
雫:もうお昼休み終わりなのね……。 話してるとあっという間だわ
愛莉:まだ話の途中だけど……仕方ないわね
愛莉:この話は日を改めることにして、 それぞれ一晩冷静に考えてみましょうか
遥:……ごめんね。 みんなはやる気だったのに、水を差すようなことを言って
雫:水を差すだなんて、とんでもないわ。 遥ちゃんのおかげで、そういう考えもあるんだって気づけたもの。 話してくれてありがとう
遥:雫……
みのり:雫ちゃんの言うとおりだよ! ……それにやっぱりこういうのは、 全員が納得して決めないとダメだと思うんだ
みのり:だってMORE MORE JUMP!は みんなでひとつだから!
愛莉:……そういうこと。 だから、遥は変に遠慮しないで、 これからも言いたいことは言っていいんだからね
遥:みんな……
遥:……ありがとう。 私も、もう一度ゆっくり考えてみるね

第 4 话:想いの届けかた

遥の部屋
遥:……ふう。 今日の入浴剤、すごくいい香りだったな
遥:テレビ出演をどうするか、か……
遥:(湯船の中でもたくさん考えたけど、答えはでなかった)
遥:(みんなは、私の考えに『わかる』って言ってくれたけど…… それでも、出演には前向きみたいだった)
遥:でも……
愛莉:——ていうかあったわ。 ちょっとしたツッコミを編集されて、 共演した俳優さんの悪口言ってるように見せられちゃったこと
遥:……やっぱり、そういうことはあるんだよね
遥:(将来ドームでやることを考えたら、 お客さんをたくさん呼ぶ必要があるし、 そのためにもテレビに出たほうがいいとは私も思ってるけど……)
遥:(私達自身だったり、私達が伝えたい想いを 歪められる可能性はゼロじゃない。それに——)
愛莉:記事にするには、なかなか引きのある内容よね。 ……ちょっと話は盛り気味だったけど
遥:(実際、小さな記事でさえ、 少し違和感のある内容になってたりした)
遥:(……もちろんそれって、 この先私達が活動を広げていくなら 避けられるものじゃないけど)
遥:(私達は一度アイドルグループを脱退して、 個人で活動してるっていう背景があるから、 そこをおもしろおかしく扱われる可能性は高い)
遥:それで、そんな私達がテレビで流れたら—— 今まで私達を応援してきてくれた人が、悲しむかもしれない
遥:(……もしかしたら、 テレビに出た私達を好きになってくれる人達も いるかもしれないけど……)
遥:今のファンの人達を悲しませてまで——、 ありのままの私達を曲げられるリスクを冒してまで、 テレビに出る必要って、あるのかな……
遥:……でも……
みのり:す、す、すごいね……! テレビに出れるかもしれないなんて……!
雫:私も、ぜひやってみたいわ!
愛莉:それでもわたしはメリットのほうが大きいと思うから、 テレビに出れるなら出たほうがいいと思ってるけどね
遥:(……やっぱり、私の考えすぎなのかな。 ASRUNの時にもテレビの仕事はやってたけど、 楽しかったことのほうが多いし……)
遥:(それに、みんなが前向きなんだから、 試しに1回やってみても——)
遥:——ううん。やっぱりそれじゃ駄目だ。 成功しても失敗しても、きっと私の中でわだかまりが残る
遥:(みんなも私が納得しないと意味がないって言ってくれてた。 ……だから、ちゃんと自分の中で答えを出さなくちゃ)
遥:(……でも、ひとりで考えてても仕方ないよね。 誰かに客観的な意見を聞けたら……)
遥:——あ。そうだ……!
ステージのセカイ
遥:みんな、ちょっといいかな?
ミク:あれ、遥ちゃん? こんなに遅い時間にどうしたの?
遥:……どうしても、自分だけじゃ答えが出なくて。 みんなに相談に乗ってほしいことがあるんだ
遥:実は——
ミク:そっか……! 遥ちゃん達、ドームライブを目指すことになったんだね!
KAITO:素敵な夢だね。 みんなのこれからの活動が、ますます楽しみになってきたよ
KAITO:……でも、その前に悩みを解決しないとね
遥:そうですね
レン:テレビ出演をどうするか、だったよね
MEIKO:遥ちゃんはテレビに出ることで、 自分達のイメージや、届けたい想いが違う形になって、 みんなを悲しませちゃうかもしれないって思ってるのよね
遥:……うん。番組を面白くするために ある程度編集されるのはしょうがないし、 私も見やすい編集の番組はすごく好きなんだけど
遥:私達が伝えたいことが違う意味になったり、 みんなが嫌な子に見えるような編集になったら…… ファンのみんなも、悲しむと思って
ミク:遥ちゃん……
遥:……でも、私が考えてることって、 本当にそうなるって決まってるわけじゃないでしょ?
遥:だったら、起きるかわからないことで悩んで テレビに出ないっていうのも違うような気がしてるんだ
遥:——結局、私には今の、 事務所とか守ってくれる人がいない状況でテレビに出る覚悟が 足りてないってことなのかな?
ルカ:……そんなことはないと思うわ
KAITO:うん。それに……遥ちゃんはファンのみんなのことを、 とっても大切に想ってるんだね
遥:……そうですね
遥:私達はいつもファンのみんなに 希望を届けられるようにって頑張ってるけど……、 みんなからも、たくさん希望をもらってるから
MEIKO:こんなにファン想いのアイドルを応援できて、 MORE MORE JUMP!のファンは幸せね
遥:そんな——
MEIKO:ふふっ、照れなくたっていいじゃない。 わたしもファンとして、遥ちゃんのことが、 もっとも~っと好きになっちゃったわ♪
遥:も、もう、からかわないでよ
MEIKO:ふふふっ。 でもね、そんな遥ちゃんだから——
MEIKO:わたしはファンとして、 『安心して』って言ってあげたいわ
遥:……どういうこと?
MEIKO:わたしは、遥ちゃん達のことをよく知ってるわ
MEIKO:遥ちゃん達が届けたい気持ちも。 遥ちゃん達からもらえる希望のあたたかさも
MEIKO:——そしてそれは、わたしにとって とても大切なものだから……
MEIKO:テレビで何を見せられたって、 みんなを想う気持ちは簡単に変わらないと思うの
MEIKO:だってわたしは—— ずっとMORE MORE JUMP!のファンでいるわたしは、 『本当のみんな』を知ってるわ
遥:あ……
愛莉:——ていうかあったわ。 ちょっとしたツッコミを編集されて、 共演した俳優さんの悪口言ってるように見せられちゃったこと
みのり:ええっ、ホント!? 大丈夫だったの?
愛莉:まあ、放送された直後はちょっと燃えたわね。 それに、今でもその俳優さんのファンの一部から その話を持ち出されることはあるけど……
愛莉:でも、ファンの子達が、 『愛莉はそういうこと言う子じゃない』って言ってくれたから、 大事にはならなかったし、大丈夫だったわ
MEIKO:——だから、きっと大丈夫だと思うの。 どんな番組になったとしても、きっとわたしは 遥ちゃん達に失望したり、悲しんだりなんかしない
MEIKO:それに——
MEIKO:わたしはそれより、もっとたくさんの人に わたしの大好きなMORE MORE JUMP!を 知ってもらいたいと思うわ!
MEIKO:わたしがもらった希望を、そのあたたかさを、 他の人にも届けてあげてほしいって
MEIKO:きっと、みんながカメラを通して届ける希望は、 いつものみんなと変わらないはずだから
MEIKO:ね♪
遥:メイコ……
ミク:……そうだね。 何があったとしても、 本当のみんなは、いつものみんなだもんね
リン:うんっ! 届けたい想いが変わらないなら、きっと大丈夫—— みんなに伝わると思うな!
ルカ:ええ。……それに、やっぱりファンのみんなは、 みんながテレビに出て、いろんな人に知ってもらうことを 純粋に楽しみにしていると思うもの
遥:……たしかに、そうだね。 手紙を送ってくれた人も、喜んでくれるかも
遥:ありがとう。 なんか、勇気が持てた気がする
MEIKO:最終的に答えを出すのは遥ちゃん達だから、 ゆっくり考えていいと思うわ
MEIKO:それに……こういう時は、 自分の想いと向き合ってみるのも、いいかもしれないわね
遥:自分の想いと?
MEIKO:ええ。ワンマンライブが成功して、 とっても素敵な目標ができて、 今みんなは大きな節目を迎えてると思うの
MEIKO:そんな時は忙しくて、大切なものを見失っちゃいがちだから。 どうしてアイドルになりたいと思ったのか、とか、 その時感じたこととか——
MEIKO:この機会に、もう一度振り返ってみるのも いいんじゃないかなと思って
遥:あ……
遥:……たしかにそうだね。 ありがとう、ちゃんと考えてみる
MEIKO:……ふふっ
ルカ:これからのMORE MORE JUMP!も 楽しみにしてるわね

第 5 话:アイドルのルーツ

遥の部屋
MEIKO:どうしてアイドルになりたいと思ったのか、とか、 その時感じたこととか——
MEIKO:この機会に、もう一度振り返ってみるのも いいんじゃないかなと思って
遥:……メイコの言うとおりだな
遥:(——私は、『たくさんの人に希望を届けたい』って思ってる)
遥:(今まで私達を応援してくれたお客さんのためにも、 これから出会う、たくさんの人のためにも——)
遥:自分がどうしてアイドルになりたかったのか、 これからどんなアイドルになりたいのか……ちゃんと考えよう
遥:私が……、私がアイドルになった理由は——
数年前
幼い遥:『そして、そのとびきりの笑顔で、 お姫さまはたくさんの人に愛と勇気を届けたのでした』——
幼い遥:(……ちょっとちっちゃい子向けだったけど、面白い本だったな。 お姫さまが明るくて、いろんな問題を解決してって……)
幼い遥:(明日、貸してくれた先生にお礼言わなくちゃ——)
遥の母:遥、ちょっといい?
幼い遥:どうしたの?
遥の母:実はね……ほら! おばあちゃんが、遥にプレゼントを贈ってくれたの
遥の母:この前テストで100点とったご褒美にって。 ゆでたまちゃんの筆箱、欲しがってたでしょ?
幼い遥:あ……。ありがとう
遥の母:……ふふ。 本当に遥は、なかなか笑ってくれないね
幼い遥:あ、えっと……。 本当に嬉しいんだけど……
遥の母:あ——いいの、いいの! 本当は喜んでくれてることはわかってるから
遥の母:おばあちゃんにも、遥が喜んでたって伝えておくね
幼い遥:……ありがとう、お母さん
遥の母:あっ、そうだ。 今週末、ちょっと遠くのショッピングモールで ゆでたまちゃんのショーをやるんだって
遥の母:どう? 行きたい? ゆでたまちゃんと握手できちゃうかもよ~!?
幼い遥:そうなんだ。 じゃあ、行きたいな
遥の母:……じゃ、お父さんと一緒に行こっか! またお夕飯になったら呼ぶね
幼い遥:うん、ありがとう
幼い遥:(………。 また、お母さんに悲しそうな顔させちゃったな)
幼い遥:(おばあちゃんに筆箱もらえたのも嬉しいし、 ゆでたまちゃんのショーも楽しみなのに……)
幼い遥:(なんで、普通の子みたいに笑えないのかな……)
幼い遥:……『そして、そのとびきりの笑顔で、 お姫さまはたくさんの人に愛と勇気を届けたのでした』
幼い遥:……笑顔の練習、してみようかな
週末
ショッピングモール
遥の母:ゆでたまちゃん可愛かったね~! 遥も握手できてよかった~!
幼い遥:うん、かわいくて、楽しかった
幼い遥:……でも、人がいっぱいでちょっと疲れたかも
遥の母:ふふっ、本当だね。 もうお昼の時間だし、ちょっと休憩しよっか
遥の父:それなら、僕が何か買ってくるよ。 あっちにお店があるみたいだし
遥の母:ありがとう! でも……、あなたひとりで3人分は持てないんじゃない? せっかくだし、みんなで行こうよ
遥の母:遥も、もうちょっと頑張って歩ける?
幼い遥:うん。歩く
遥の母:よし、それじゃあ、みんなで行こう!
幼い遥:(……やっぱり、人が多いな……。 さっきよりも、もっといっぱいいるかも……)
遥の父:遥、はぐれないようにな
幼い遥:あ……うん
幼い遥:(こんなに人がいると、押されて流されちゃいそう……)
幼い遥:(……手をつないでたほうがいいかも)
幼い遥:お母さん、手——
知らない女性:わ、びっくりした
幼い遥:えっ……
知らない女性:お母さんと間違えちゃったのかな? 違う人でごめんね。本物のお母さんは——
幼い遥:ご……ごめんなさい
知らない女性:あっ、ちょっと……!
幼い遥:(……どうしよう。 お母さん達とはぐれちゃった)
幼い遥:(お母さん達が行こうって言ってたとこも行ってみたけど、 人がいっぱいで、全然見つからなかったし……)
幼い遥:(……どうしよう……)
幼い遥:(このまま、ずっと会えなかったら——)
幼い遥:(ここで、ひとりぼっちになったら……!)
お姉さん:どうしたの?
幼い遥:えっ……
幼い遥:(なんだろう、このお姉さん…… すごくかわいい服を着てる……)
幼い遥:(なんだか、お姫さまみたい……)
お姉さん:んん? ひとりでいるから迷子ちゃんかなって思ったけど……、 落ち着いてるから、違うのかな?
幼い遥:あっ……え、えっと、私……
お姉さん:あれ? やっぱり迷子?
お姉さん:ねえマネージャーさん、この子なんだけど…… 迷子センターに連絡しておいてくれない?
マネージャー:……こういう場所でイベントをやると、 いつも迷子を拾ってきますね。 今回も、ちゃんと連絡しておきます
お姉さん:ふふっ、ありがと~!
幼い遥:あ、あの……
お姉さん:安心して! きっとすぐにママ達が迎えに来てくれるから。 それまで——
イベントスタッフ:あっ、こんなところにいたんですか! ステージもうすぐ始まっちゃいますよ! スタンバイお願いします!
お姉さん:えっ、もうそんな時間!? ここには初めて来たから、 もうちょっと雰囲気見ておきたかったんだけどなあ
幼い遥:……ステージ……?
お姉さん:うん、ステージ。 そこの——ほら、この広場の真ん中にあるでしょ。 私ね、あの上に立つんだ
幼い遥:あの上に……どうして?
お姉さん:それはね——
お姉さん:……そうだ。 あなたにも、とびっきりのワクワクを届けちゃうから、 一緒についてきて!
幼い遥:えっ……!

第 6 话:笑顔のお姫さま

ショッピングモール
幼い遥:えっと、私……
お姉さん:はい、ここがステージの最前列! 今日ここで会えた記念に、ご招待だよ♪
幼い遥:さいぜんれつ……ごしょうたい?
お姉さん:そう! 特別ってこと!
お姉さん:それで、あなた……、 お名前はなんだったっけ?
幼い遥:……桐谷遥
お姉さん:——遥ちゃん! かわいいけどキリッとしてて、ぴったりの名前だね!
お姉さん:それじゃあ、これから私が このステージをたっくさん盛り上げちゃうから、 パパとママが来るまで思いっきり楽しんでね!
幼い遥:あ……
お姉さん:みんな~、おまたせ~っ! 新曲リリース記念、出張特別ライブにようこそ~っ!
お姉さん:私のことを見に来てくれた人も 私のことを初めて見るって人も、 み~んな一緒に楽しんでいってね!
カップルの彼女:なになに、アイドルのライブ? ……それにしては、人が少ないみたいだけど
カップルの彼氏:たしかに、前のほうに追っかけっぽい人達が少しいるけど、 そんなに売れてるアイドルって感じじゃなさそうだな。 でも……
お姉さん:♪————
カップルの彼氏:歌は、悪くないかも
幼い遥:(歌って、踊って…… 服がヒラヒラして、すごくかわいいな)
幼い遥:(歩いてる人も、お姉さんの歌を聴いて ステージを見てる……)
幼い遥:(……すごいな。これって、なんか……)
幼い遥:『そして、そのとびきりの笑顔で、 お姫さまはたくさんの人に愛と勇気を届けたのでした』——
幼い遥:…………
おじさん:いいぞ~、姉ちゃ~ん!
おばあさん:ふふ、かわいらしいわねえ。 若い子が頑張ってるの見ると、なんだか元気がでるわ
幼い遥:(……! お姉さんの歌に乗って、みんな手をたたいてる……)
幼い遥:(わ、私も、やったほうがいいのかな……? でも、ちょっと恥ずかしいな……)
お姉さん:♪————
幼い遥:(えっ……お姉さんが、私のほうを見て……)
お姉さん:♪————
幼い遥:(手を……たたいてる。 あれに、あわせたらいいのかな……)
お姉さん:♪————
幼い遥:(あ……笑ってくれた……)
お姉さん:——みんな、ありがと~!
お姉さん:それでは、お客さんも少しずつ集まってきてくれたところで、 次の曲にいきたいと思うんだけど…… せっかくだから、特別ゲスト呼んじゃおっかな?
幼い遥:(……特別げすと? 特別なお客さんってことかな?)
お姉さん:それはね——
お姉さん:さっき友達になった、遥ちゃん!
幼い遥:えっ……!
お姉さん:今の曲の手拍子も花丸満点でやってくれました! だから——
お姉さん:今度は一緒にステージで踊っちゃおうよ! どうかな!?
幼い遥:で、でも……私、やりかたわかんない……
お姉さん:大丈夫! 簡単な振り付けだから、きっと遥ちゃんなら覚えられるよ!
お姉さん:——一緒にやろう!
幼い遥:……っ
幼い遥:う、うん……!
お姉さん:みんなも、一緒にやってみてね!
お姉さん:ここは、こうやって足を蹴りだしてステップ! そのあと、くるっとターン! ……どう、遥ちゃん? できるかな?
幼い遥:こ、こう……?
お姉さん:——お~っ、すっごく上手~! それでターンのあとは、こうやって、 ちょん!ってちょっと首をかしげてかわいいポーズしてみよ~!
幼い遥:ちょん……
お姉さん:かわいい~っ!! みんな、見た!? 私、遥ちゃんにメロメロになっちゃったよ~!
カップルの彼女:ふふっ、あの子かわいいね
カップルの彼氏:たしかに、つい目がいっちゃうな
お姉さん:よーし、それじゃあ曲にあわせてやってみようか! このフリが入る場所で私が『せ~の』って言ったら、 みんなも遥ちゃんをお手本にして動いてみてね!
お姉さん:それじゃあ——ミュージック、スタート♪
お姉さん:♪————
幼い遥:(あ、お姉さんが歌い出した……)
幼い遥:(……さっきみたいに手をたたいたら、喜んでくれるかな)
お姉さん:♪————
幼い遥:(あ……よかった)
幼い遥:(……なんだろう、さっきからずっと、 ここの奥がポカポカしてて……)
幼い遥:(はじけちゃいそうな、そんな感じがする……)
お姉さん:よーし、みんな次だよ!
幼い遥:あっ……
お姉さん:——いくよっ、せ~のっ!
幼い遥:(あ……音楽と私の踊りがぴったりあってる……)
幼い遥:(……なんか、いいな)
おばあさん:あらあら、あの子、一生懸命踊ってるわ。 なんて可愛いのかしら
幼い遥:え……
カップルの彼女:ねえ見て、あの子! あんな小さいのに、ダンス上手!
カップルの彼氏:はは、本当だ。 見てると、つい笑顔になっちゃうな
幼い遥:(みんなが、私の踊りを見て笑ってくれてる……)
遥の母:……ふふ。 本当に遥は、なかなか笑ってくれないね
幼い遥:(いつも、お母さんに 悲しそうな顔をさせてばっかりだったのに)
幼い遥:(私が、知らないおばあさんや、 お兄さんや、お姉さんを、笑顔にしてる——)
幼い遥:(……嬉しいな。みんなが笑ってくれて)
幼い遥:(あったかい気持ち…… さっき感じてた不思議な気持ちが、 いっぱいになって、あふれてくる……)
幼い遥:(……、なんか……)
カップルの彼女:わ……あの子、ニコニコしてるね!
おばあさん:素敵な笑顔ねえ。おひさまみたいだわ
幼い遥:(笑顔……)
幼い遥:(今、私、笑ってる……?)
幼い遥:(……でも、そうかも。 だって、お姉さんも、みんなも、キラキラして……)
幼い遥:(……すごく、楽しい!)
お姉さん:——みんな、すっごく上手だったよ~!
お姉さん:遥ちゃんも。 ……やっと笑ってくれたね
幼い遥:お姉さん……、私、ちゃんと踊れてたよね? みんな、私を見て笑ってくれてたもんね?
お姉さん:うんっ! すっごく上手だったし、今の笑顔も花丸満点!
幼い遥:えへへ……よかった
お姉さん:……遥ちゃん、アイドルに向いてると思うなあ。 だって遥ちゃんの笑顔に、私も希望をもらえちゃったし!
幼い遥:……き、ぼう?
お姉さん:うん! 明日をがんばる希望!
お姉さん:遥ちゃんを見て、私も、 『遥ちゃんに負けないぞ~、明日もがんばるぞ~!』って 気持ちでいっぱいになったんだよ
幼い遥:私を見て……
お姉さん:ふふっ、そうだよ! だから、笑顔で希望をあげられちゃう遥ちゃんは、 私にとってはアイドルだね!
幼い遥:……笑顔で希望をあげるのが、『アイドル』なの?
お姉さん:そう! それがアイドルの大切なお仕事!
お姉さん:だから、もっともっと、 みんなに希望を届けられるように……、 明日もがんばろうって思ってもらえるように——
お姉さん:——次の曲も、一緒に踊らない?
幼い遥:あ……
幼い遥:うんっ!

第 7 话:希望の継承

ショッピングモール
お姉さん:——ありがとうございました!
お姉さん:遥ちゃんもありがとね。 一緒に踊ってくれて
幼い遥:ううん
幼い遥:すっごく、楽しかった……!
お姉さん:ふふっ、よかった! それじゃあ、最後は——
遥の母:遥! よかった、見つかって!
幼い遥:あ……お母さん、お父さん!
お姉さん:おっ、いいところでお迎えがきてくれたね~! それじゃあ最後の曲は、 パパとママと一緒に見てもらっちゃおうかな!
幼い遥:で、でも…… 私、お姉さんと、もっと……
お姉さん:……ふふっ。 遥ちゃんはステージが大好きになってくれたみたいだね
お姉さん:それなら…… これからもその笑顔を忘れずに、 歌やダンスをやってみてほしいなあ
幼い遥:これからも……?
お姉さん:うん。それで、遥ちゃんがもしも将来、 今みたいにステージに立って 誰かに希望を届けることがあったら——
お姉さん:私、絶対見に行くから!
幼い遥:あ——
遥の父:遥、おいで
幼い遥:……うん。 バイバイ、お姉さん
遥の父:……本当に、娘を預かっていただいてありがとうございました。 それにステージにまでお邪魔させてもらうなんて
遥の母:本当にお世話になりました。 ……ほら、遥もお礼言わないと
幼い遥:あ、ありがとうございました
マネージャー:いえ、気にしないでください。 いつものことですから
遥の父:いつもの……?
お姉さん:♪————
幼い遥:あ……
幼い遥:……お父さん、お母さん。 ちゃんと、あのお姉さんのステージ見て
遥の母:え?
幼い遥:すごいんだよ。 歌と踊りで、たくさんの人を笑顔にして
お姉さん:♪————
幼い遥:本の中の、お姫さまみたいなの……!
遥の父:遥……
遥の母:……そうだね。本当に素敵な人だね。 だって——こんな風に遥の笑顔を引き出してくれたんだもん
幼い遥:えへへ……
幼い遥:みんなを笑顔にするのが……、希望を届けるのが、 お姉さんの——アイドルのお仕事なんだって
幼い遥:……それで……、それで、私ね……
幼い遥:お姉さんのこと、すごく素敵だなって思ったの。 だから、私もお姉さんみたいに——
幼い遥:お姉さんみたいに、希望をあげたいなって…… たくさんの人を、笑顔にしたいって思ってね……
幼い遥:私も、アイドルになりたいって思ったんだ……!
遥の母:遥が……アイドルに?
幼い遥:うん。 ……なれるかな?
遥の父:……ああ。きっとなれるよ
幼い遥:ほんとっ?
遥の母:うん。 だって遥の笑顔は……世界一可愛いから!
幼い遥:えへへ、よかった。 それじゃあ、私——
幼い遥:いつか絶対、お姉さんみたいなアイドルになる!
遥:——懐かしいな。 あの時のこと、今でも鮮明に思い出せる
遥:ふわふわの可愛い衣装が、お姉さんが動くたびに揺れて……
遥:歌って踊るお姉さんの笑顔がキラキラで、 心の中に小さな明かりが灯っていく感じがして——
遥:それまでよくわからなかった 『希望』っていうものの形が、初めてわかった
遥:……これから先、私がお客さんに届けたいのは、 あの日に私が感じた、『明日をがんばる希望』——
遥:それだけは、絶対に変わらない。 これまでも、これからも——
遥:……お母さん?
遥の母:まだ起きてる? ちょっと、遥に見せたいものがあって
遥:え……私に見せたいもの?
遥の母:ふふっ、これ。 お父さんが夕刊を読んでて、たまたま見つけたの
遥:(夕刊? ……もしかして、私達のワンマンのことが 小さな記事になってるとか?)
遥:(いや、でもまださすがに全国紙までには——)
遥の母:ほら見て。 ここの、小さなコーナーだけど……
遥の母:……ここに載ってるの、 遥が大好きなあのお姉さんじゃない?
遥:え——
遥:み、見せて……!
遥:あの人だ……
遥:服も髪型も変わってるけど、 この笑いかたは、絶対に——……
遥:……『“引退した元アイドル、 舞台を降りてもなお、人々に希望を届け続ける”』
遥:『……アイドルを引退後、 地方ラジオ局のアナウンサーとなった彼女は、 その活躍の場を小さなブースに留まらせることなく』——
遥:『介護老人福祉施設や幼稚園、温泉施設など、 その華やかな経歴を活かしてステージに立ち 地域に密着した活動を続け……』
遥:『花が咲いたような笑顔と歌声で、 多くの人々に勇気と希望を与え続けている』……
遥:……あの人がアイドルを辞めちゃってから、 どうしてるのか、全然わからなかったけど……
遥:そう……だったんだ。 今でもずっと……あの頃みたいに、 たくさんの人に希望を届けてたんだ
遥の母:……お姉さんらしいね。 この写真も、たくさんの子供達に囲まれて笑ってる
遥:——うん。 本当に、あの人らしいな
遥:……ありがとう、お母さん。 知れてよかったよ
遥:この記事のおかげで、 私はまた、お姉さんから希望をもらうことが——
遥:この記事のおかげ……
遥:……そっか。 この記事のおかげで、今、私——……
遥の母:遥? どうしたの?
遥:——ううん。 悩んでたことが解決したの。 明日、みんなに話さないと
遥:……また、背中を押してもらっちゃいましたね
遥:やっぱり、あなたは…… 私にとって、ずっと憧れの人です

第 8 话:まだ見ぬ人達へ

翌日
宮益坂女子学園 屋上
愛莉:……さてと。 みんな、一晩冷静に考えたと思うし——
愛莉:改めて、テレビ出演に対しての考えを聞いてもいいかしら?
みのり:そ、そうだね。 それじゃあ……、えっと、誰から話す?
遥:私から話してもいいかな?
愛莉:……ええ。 じゃあ、お願いするわ
遥:わかった、単刀直入に言うね。 私は——
遥:みんなと、テレビに出たいと思った
みのり:えっ……!
愛莉:遥がそう言うなんて、正直意外だったわ。 ……どうしてそう思ったの?
遥:……それがね。実は——
雫:まあ……! 遥ちゃんの憧れの人が新聞の記事に……!?
遥:うん。 アイドルを引退してから、 どこで何をしてるのかもわからなかったんだけど
遥:新聞の記事が教えてくれたんだ。 お姉さんがアイドルを辞めても、 たくさんの人に希望を届けてるってこと……
遥:私はそれに……すごく勇気をもらえた
みのり:遥ちゃん……
遥:だから私——思ったんだ。 メディアって予想外の切り取られかたをすることもあるし、 影響力もあるから怖いけど……
遥:怖いくらいの力だからこそ、 私達の届けたい希望を、私達がまだ出会ってない たくさんの人達にも届けてくれるかもしれない
遥:——この新聞記事が、私に届けてくれたみたいに
愛莉:……そうよね。 わたしも今日、似たようなことを言おうと思ってたの
愛莉:例えば……、この世界の中には、 自分が希望を必要としていることに 気づいてない人がいると思うのよね
雫:希望を必要としていることに、気づいていない人……
愛莉:ええ。本当に落ち込んでる人なんて、 自分のことに精一杯で、アイドルを追いかけることなんて できないんじゃないかしら
愛莉:でも、そういう人達と、わたし達を引き合わせてくれるのが テレビっていうメディアだと思うの
愛莉:たまたま新聞記事を見て、 憧れの人の活躍を知って勇気をもらえた遥みたいに……
愛莉:ふとした瞬間にテレビを通じてわたし達に出会ってくれた人に 希望を届けられたら、最高じゃない?
みのり:……たしかに! それ、すっごくすてきだね!
愛莉:ふふっ、そうでしょう?
愛莉:それに……やっぱり、わたし達のファンは、 わたし達がテレビっていう、いろんな人の目に触れやすいものに 出ることを喜んでくれると思うのよね
愛莉:だから、わたしもテレビ出演には賛成なんだけど……
愛莉:他に、何か意見はあるかしら?
みのり:わ、わたしは正直、遥ちゃんや愛莉ちゃんの話聞いたら、 全然ちゃんと考えられてなかったなあって思ったんだけど……
みのり:わたしも、テレビに出たいなって思った。 今まで、わたし達って配信活動がメインだったけど……
みのり:そればっかりじゃ、 わたし達を見たいと思って見に来てくれるお客さんにしか 届かないんじゃないかなって……
みのり:わたしも—— テレビに映ってた遥ちゃんを見て、希望をもらったから
遥:みのり……
愛莉:ふふっ、それじゃあ、みのりも賛成派ってことで……、 最後になっちゃったけど、雫はどうなの?
雫:私は——……
雫:……実は、さっきまで決めきれていなくて、 ずっと悩んでいたの
雫:テレビには出たいけど、 昨日遥ちゃんの言ってたこともわかるなあって。 ……私も、みんなの印象が捻じ曲げられちゃったら嫌だから
愛莉:雫……
雫:でも、今みんなから話を聞いて、 きっと、大丈夫だなって思ったわ
遥:え……?
雫:だってみんなは、 『たくさんの人に希望を届けたい』って目標を ちゃんと持っていて、そのためにいろいろ考えてるでしょう?
雫:その気持ちは、この先も変わらないと思うの。 だから、もしも私達が伝えたいことが、 思ったとおりの形で伝わらなかったとしても……
雫:諦めずに何度も、伝えていきましょう。 そうしたら、時間がかかっても必ず届くと思うから
遥:あ……
遥:……メイコも、似たようなこと言ってたっけ
雫:まあ、めーちゃんも……!? なんだか嬉しいわ
みのり:めーちゃん……ってことは、 遥ちゃん、セカイに行ってたの?
遥:あっ……
遥:……ちょっと、今回のこと悩んじゃって。 相談したかったから
愛莉:……遥らしいわね
遥:大事なことだからね。それに……
遥:ちゃんと考えたおかげで、 みんなと同じ決意ができてよかった。 ……これで、ちゃんとテレビ出演に舵を切れるね
みのり:そうだね……。 これからわたし達、テレビ出演するんだ……
みのり:……ふわあああっ、緊張してきちゃったよ! わたし、ちゃんとできるかな!? また嚙んじゃったりしないよね~!?
愛莉:っていうか、緊張するの早すぎるでしょ。 まだ連絡も返してないんだから
遥:あ、それなんだけど、 今日、私のほうから返しておくよ
遥:……結局テレビに出るって結論になったのに、 私のせいで、みんなを遠回りさせちゃったしね
愛莉:もう、言ったでしょ。 そんなの気にすることじゃないって。 これは必要な議論で、必要な時間だったわ
遥:……そうだね
愛莉:ま、でも、やってくれるっていうなら メッセージに関してはお任せしちゃおうかしら。 遥はそういうの得意そうだしね
みのり:たしかに~! わたし、そういうビジネスとかの文章って 上手に書ける自信ないし……遥ちゃん、お願いしますっ!
雫:私も、あんまりやったことがなくて……。 申し訳ないけれど、よろしくね、遥ちゃん
遥:うん、任せて
遥:(……このメッセージへの返信で、 きっとMORE MORE JUMP!のこれからが大きく動く)
遥:(でも、もう大丈夫。だって、私達は——)
遥:(目の前の人達だけじゃなくて、 まだ出会っていない人達にも希望を届けられるアイドルになる)
遥:(これは、そのために必要な一歩だから)
遥:……みんな
みのり:遥ちゃん?
雫:どうしたの?
遥:頑張ろうね。これからも
雫・愛莉・みのり:『うん!』 『ええ!』
テレビ局
新人AD:プロデューサー、お疲れさまです!
プロデューサー:うん、お疲れさま
プロデューサー:ふう、今日はこれで収録終わりか。 明日は次のアイハザのMCの『君色シンフォニウム』の子達と 打ち合わせがあったっけ
プロデューサー:今注目株のMORE MORE JUMP!も 出てくれるって言ってくれてよかった。 次も、なかなかおもしろい番組になりそ——
プロデューサー:ん? こんな時間に電話?
プロデューサー:……はい、もしもし。 ああ、『君色シンフォニウム』のマネージャーさん。 いつもお世話になって——えっ?
プロデューサー:センターの子が急病で入院!? そ……それは困りましたね。もう収録が近いし…… えっ、代理のアイドルグループを立ててもらえる?
プロデューサー:いやあ、助かります。 それで、そのグループってのは——
プロデューサー:——『Cheerful*Days』……
プロデューサー:……ああ、いえ! こんな深夜帯の番組に、 そんな人気グループを代理に立ててくださって 本当にありがとうございます
プロデューサー:ではまた明日、打ち合わせで——