活动剧情

キャンドルの香りは思い出と共に

活动ID:84

第 1 话:ドキドキ、バレンタイン!

放課後
宮益坂女子学園
一歌:(……やっと放課後か。 なんでだろう、今日はやけに1日が長く感じたな)
一歌:(もしかしたら、このあと草薙さんと歌の練習するからかも。 久しぶりだから楽しみだな)
生徒A:——ねえねえ、もうすぐだよね、バレンタイン! 友チョコ楽しみだな~♪
一歌:(バレンタイン……。 そっか、もうそんな時期なんだ)
一歌:(私もミクやみんなに贈りたいけど……何がいいんだろう)
一歌:(あ、そういえば、ショッピングモールで バレンタインフェアとかやってた気がするし、 そこで何か買ってみようかな)
生徒A:何作る? 私は気合い入れて、 チョコタルトに挑戦しようと思ってるんだ~
生徒B:あー……私は面倒だし、 買っちゃおっかなーなんて思ってるんだけど……
生徒A:えっ、なんで!? せっかくだし、みんなで手作りのもの交換しようよ~!
生徒B:別に手作りじゃなくても交換はできるでしょ。 それにほら、買ったほうが綺麗だし美味しそうじゃない?
生徒A:そ、そうかもしれないけど、 でもほら、手作りしたら、 気持ちをたくさん込められる感じしない?
一歌:……!
一歌:(気持ちを込められる、か……)
一歌:(たしかに、売ってるものを渡すだけより、 自分で一から作ったほうが、 日頃の感謝を伝えられるような気はするけど……)
一歌:(でも、どうしようかな……。 私、お菓子作りなんて、あんまりできないし……)
一歌:(——って、ぼーっとしてちゃダメだ。 早く草薙さんとの待ち合わせ場所に行かなくちゃ!)
シブヤの公園
一歌:♪————!
一歌:……ふう。ど、どうだったかな……
寧々:——すごくよかったよ。 シブフェスの時も思ったけど、 星乃さん、どんどんうまくなってると思う
寧々:前から凛としてて綺麗な声だなって思ってたけど、 今はもっと磨きがかかってるような……
寧々:きっと——自分の歌を信じられるようになってきてるんだね
寧々:……あ、ご、ごめん。なんか偉そうなこと言って
一歌:ううん、全然。 むしろ、そう言ってもらえてすごく嬉しいよ!
一歌:歌の変化って、自分じゃあんまりわからないから……
一歌:草薙さんにそう言ってもらえると、 成長できてるんだなってすごく実感できるんだ。 だから、ありがとう草薙さん
寧々:そ、そっか……
寧々:けど……お礼を言うならわたしも同じだよ。 わたしも、星乃さんとの練習ですごくいい刺激をもらってるから
一歌:え……そうなの?
寧々:うん。星乃さんと練習すると、 普段の練習じゃ気づけないことにも気づけるって言うか……
寧々:こうやってワンダーステージ以外でも 誰かと歌の練習ができる機会があるのは、 わたしにとっても、本当に嬉しいことなんだ
一歌:そっか……。それならよかったな
寧々:えっと……それじゃあ、次は一緒に歌ってみる?
一歌:うん! ……あ、でも、その前に飲み物買ってきていいかな。 歌ったらちょっと喉渇いちゃって
寧々:あ、わたしも飲みたいかも。 すぐそこにコンビニあったし、一緒に買いに行こっか
コンビニ店員:ありがとうございました~
寧々:とりあえず、飲み物は買えてよかったけど……
一歌:お店の中、 なんだかバレンタインの商品がいっぱいあったね
寧々:レジの前とかチョコだらけだったよね。 やっぱり、もうすぐだからかな
一歌:そういえば、ちょうど今日学校でも、 バレンタインの話してる子達がいたんだ
一歌:私もその話を聞いて、バレンタインどうしようかなって 考えてたんだけど、結局まだ決められてないんだよね
寧々:あ、星乃さんも誰かに渡す予定あるんだ
一歌:うん。同じバンドの仲間にね。 でも私、お菓子作りとかそんなに得意じゃないから 市販のを買おうかなって、最初は思ってたんだけど……
一歌:でも、その子達が、 手作りのほうが気持ちが伝わるよねっていう話をしてて……。 やっぱり、私も何か作ったほうがいいのかなって
寧々:そうだったんだ……。 それなら、わたしと同じかも
一歌:え? 草薙さんも?
寧々:うん。わたしも最初は、買ったものをあげればいいかなって 思ってたんだけど……。 でも、昨日ショーの練習のあとバレンタインの話になって——
えむ:バレンタインって、すっごくわんだほいなイベントだよね!
えむ:あたし、すっごいお菓子作ってくるから、みんな楽しみにしてて! まだなんにも考えてないけど……でも、すっごいの作るから!
寧々:って、えむが言うもんだから、 何か作らないといけない気がしちゃって
一歌:ふふ、鳳さんらしいね
寧々:でも、わたしもお菓子作りはそこまで得意じゃないから、 ホントどうしようかなって思ってたんだ
一歌:何か、いい方法があればいいんだけどね……
寧々:あ……それならいっそ、お菓子じゃないものにするのはどうかな
一歌:お菓子じゃないもの?
寧々:うん。手作りのアクセサリーとか小物とか……。 食べ物じゃなくても、気持ちを伝えることは できるんじゃないかなって
一歌:たしかに……。その発想はなかったな……
一歌:それに、お菓子に限定しなくていいって考えたら、 贈れるものの幅も広がるし、いいかも
寧々:うん。そうだよね
一歌:あ……そうだ。 草薙さん。もしよかったら……一緒にやってみない?
寧々:え? 一緒に……?
一歌:うん。ほら、ふたりで試行錯誤しながら作れたら楽しいかなって
一歌:えっと……もちろん、草薙さんがよければだけど
寧々:あ……う、うん、いいよ。 わたしも……星乃さんと一緒に、何か作ってみたいな
一歌:よかった……
寧々:でも、何がいいかな。 わたし達でも作れそうなのって……へアアクセサリーとか?
一歌:いいかも。だけど、咲希や穂波は喜んでくれそうだけど 志歩はあんまりそういうのつけないだろうな……
寧々:そっか……。たしかに、みんなが喜んでくれるものがいいよね。 それでいて、ちゃんと心を込めて作れそうなもの……
一歌:うん……
一歌:……だめだな、全然思いつかない
一歌:こういうの、穂波だったら詳しいんだけどな
寧々:え、そうなの?
一歌:あ……うん。 穂波はハンドメイドが得意なんだ。 編み物とか、アクセサリーを作ったりもしてるみたい
寧々:へえ、すごいね……。 たしかにそういうの作れるのなら、いろいろ知ってそう
一歌:そうだよね。……いいアドバイスくれそうだし、 穂波にちょっと相談してみようかな
寧々:え、でも望月さんにも渡すんだよね?
一歌:うん。本当はサプライズにできたらよかったけど……。 それよりも、ちゃんといいものを渡せるのが大事だから
寧々:そっか……。ごめんね、いいアイディアが出せなくて
一歌:ううん、草薙さんが謝ることじゃないよ。気にしないで。 ……それじゃあ、ちょっとメッセージ送ってみるね
一歌:えーっと、『急にごめんね。少し相談したいんだけど、 今、草薙さんとふたりで、バレンタインに 小物を手作りしようって話をしていて……』
一歌:『何か、初心者でも簡単にできるようなものってないかな』 ……っと
一歌:結構ざっくりした相談だけど大丈夫かな……
一歌:あ、もう返事来た
穂波:『それなら、アロマキャンドルとかどうかな。 初めてでも簡単に作れて、失敗しにくいよ』
一歌:アロマキャンドル……って、 あのいい香りのするロウソクのことだよね。 あれって、手作りできるんだ……
寧々:うん……。でも、たしかにそれだったら誰に渡しても 使ってもらえそうだし、いいかも
一歌:さすが穂波だな。すぐこんないいアイディア出してくれるなんて。 ……って、わっ! 他にもどんどんアイディア出してくれてる
寧々:他は……レジンアクセサリーとか、レザークラフト? いろいろあるんだね
一歌:でも、アロマキャンドルが他と比べても簡単で、 それにお洒落にできるって
一歌:志歩も、もらって困るってことはなさそうだし…… 私はこれがいいかも
寧々:うん、そうだね……。 わたしもいいと思う
一歌:そしたら、穂波に返信しておかなきゃ。 『ありがとう。最初に挙げてもらった アロマキャンドルで考えてみるね』……と
一歌:……あれ? また穂波から来てる……
穂波:『多分、アロマキャンドルなら教えられると思うから、 もしよかったら、みんなで一緒に作らない?』
一歌:あ……穂波が教えてくれるって!
寧々:えっ……
寧々:で、でも、星乃さんはともかく、 わたしまで一緒って、いいのかな……?
一歌:穂波から誘ってくれたんだし、大丈夫だと思うよ。 私からも改めてお願いしておくから
寧々:そ、そっか……
寧々:(望月さんか……。あんまりしゃべったことないから、 ちょっと緊張するけど……)
寧々:(でも、せっかくの機会だし、 話して仲良くなりたい……かも……)
寧々:……わかった。それなら、お願いしようかな
一歌:よかった。それじゃあ、穂波にそう返事しておくね
寧々:うん
一歌:(何を作ろうって悩んでたけど…… いいものを教えてもらえてよかったな)
一歌:(穂波も教えてくれるって言うし…… 草薙さんとのキャンドル作り、頑張ろう!)

第 2 话:お悩みバレンタイン

誰もいないセカイ
瑞希:ねえ、みんな気づいてた!?
瑞希:もうすぐ——バレンタインだって!
奏:ああ……そういえば、そんな時期だね
絵名:たしか、ショッピングモールで バレンタインフェアやってるんだよね。 可愛いのないか見に行こっかな
まふゆ:……それで、バレンタインがどうかしたの?
瑞希:いやいや、どうしたじゃないよ! バレンタインって言ったらさ、いろいろあるでしょ! 友チョコとか!
レン:友チョコ……?
絵名:あ……えっと、バレンタインっていうのは、 大切な人とか、日頃お世話になってる人に 贈り物をするイベントなんだ
瑞希:で、友チョコは友達に贈るチョコってこと!
瑞希:ま、とは言っても別にチョコレートじゃなきゃいけないって 縛りはないから、想いが込められてるなら 何を贈ってもオッケーなんだよ♪
レン:そうなんだ……。 みんなに贈り物をするなんて、素敵な日だね
瑞希:でしょでしょ!? すっごくいいイベントだよね!
瑞希:というわけで、バレンタインにはみんなで盛り上がるために…… ボクら4人で、ミク達に贈り物をしようよ!
絵名:え? ミク達に?
瑞希:だって、ミク達にはいつもお世話になってるじゃん? だから感謝の意味を込めて、贈り物をしたいな~って!
絵名:まあ……たしかにそうかもね
奏:……うん、いいと思う
まふゆ:…………
絵名:まふゆはどうするの?
まふゆ:……何をあげればいいのかわからないけど、探してみる
ミク:ありがとう……嬉しい
瑞希:やった! じゃあみんな、当日はそれぞれ 贈り物持参ってことでよろしくね!
奏:(みんなに贈り物、か……)
奏:(ミク達には喜んでほしいし……それにせっかくなら、 瑞希や絵名、まふゆにも何か贈りたいけど……)
奏:(でも、何を贈ればいいんだろう……)
レン:……バレンタイン、楽しみだな
レン:……ぼくも、瑞希ちゃん達みたいに 何かできたらいいんだけど……
奏:……? レン、何か言った?
レン:えっ? あ……! う、ううん。なんでもないよ
奏:そう……?
瑞希:よーし、それじゃみんな、バレンタインの日、楽しみにしててね!
数日後
奏の部屋
奏:う……お腹減ってきたな……。 さすがに、そろそろ何か食べないと……
奏:カップ麺……どこだっけ……
奏:(……あ。そうだ、今日は望月さんが来る日だった)
奏:(時間は……もうすぐだ。なら、食べないほうがいいな)
奏:(望月さん、ゴミ袋にカップ麺の容器が多いと、 本当に少しだけだけど、悲しそうな顔するんだよね……)
奏:……そうだ。今のうちにアップした曲のコメントでも見ようかな。 それなら、あんまりエネルギー使わなさそうだし……
奏:(あ——このバナー広告……。 バレンタインのだ……)
奏:『大切な人へ、想いを届けるチョコレート』か……
奏:(そういえば……結局このあいだの贈り物のこと、 どうするか決めてなかったな……)
奏:(たしか、瑞希は手作りのお菓子を持ってくるって言ってたっけ。 けど、わたしにはそんなのできないし……)
奏:……どうしよう
奏:——あ、望月さんかな。 鍵開けなくちゃ
穂波:おじゃまします。宵崎さん、今日もよろしくお願いしますね
奏:うん。こちらこそ、よろしく
穂波:お昼ご飯、もう食べてますか? もしまだなら、今から作り置きの料理と一緒に作りますよ
奏:あ……ありがとう。ちょうどお腹すいてたんだ
穂波:ふふ、わかりました。それじゃあすぐに取り掛かりますね
穂波:お昼用には、煮込みうどんを作りますね。 まだまだ寒い日が続きますから、 体があったまるものがいいかなと
奏:ありがとう。楽しみだな
奏:(望月さん、やっぱり手際いいな……。 動きに迷いがないし、手慣れてるって感じがする……)
奏:(いつも作ってくれる料理も美味しいし…… やっぱり、料理得意なんだな)
奏:(アップルパイみたいな難しそうなお菓子も作れちゃうし、 バレンタインもきっと……)
穂波:——あの
奏:え?
穂波:どうかしました? 何か気になることでも……
奏:あ、ご、ごめん。邪魔だったよね
穂波:いえ、全然大丈夫ですよ
穂波:ただ、いつもならすぐ部屋に戻られるので、 何か気になることがあるのかなって思って……
奏:あ、うん……。たいしたことじゃないんだけど……
奏:でも……そうだね。少し、聞いてもらってもいいかな
穂波:バレンタインに……贈り物?
奏:うん。サークルの子達と、そういう話になって。 それで、何を持ってこうかなって考えてたんだ
奏:手作りのお菓子とかも一瞬考えたんだけど、 わたし、そういうのできないし
奏:だけど、いつもみんなには助けられてるから、 こういう時くらい、ちゃんとしたお礼をしたいんだ
穂波:なるほど……それで悩んでいたんですね
穂波:ふふ、でも……まさか宵崎さんもだなんて……
奏:え……わたしもって……?
穂波:あ、ごめんなさい。実はついこのあいだ、 一歌ちゃんから似たような相談を受けたんです
奏:星乃さんから……。 それって、どんなものを作りたいかってこと?
穂波:はい。アクセサリーとかの小物を作ろうっていう ところまでは決めていたようだったので、 わたしは、いくつかアイディアを出しただけなんですけど
奏:小物……。そっか。そういうのもあるんだ……
穂波:そうですね。基本的には、感謝を伝える日だと思うので。 心がこもっていれば、贈り物はどんなものでもいいと思いますよ
奏:たしかにそうだね。 ……それで望月さんは、何をおすすめしたの?
穂波:わたしからは、いくつか候補を出させてもらったんですが、 最終的にはアロマキャンドルを作ることになりました
奏:アロマキャンドル……そういうのも手作りできるんだね。 わたしには、難しそうだけど……
穂波:そんなことないですよ。材料さえあれば、 誰でも簡単に作れちゃうんです
穂波:……あ、そうだ。もし宵崎さんさえよければなんですけど——

第 3 话:出陣! アロマショップ

ショッピングモール
一歌:待ち合わせの時間、そろそろかな。 私達、早く着きすぎちゃったね
寧々:うん。そうだね
寧々:(……そういえば……今日は望月さんの他に、 もうひとり来るんだよね……)
寧々:(宵崎奏さん、って言ってたけど……。 その人って、たしか……)
寧々:(あの時助けてくれた人、だよね……)
穂波:おまたせ! 一歌ちゃん、草薙さん
一歌:穂波。それに奏さんも。 ふたりで一緒に来たんですね
奏:うん。こんにちは、星乃さん。それと……
寧々:(あ……やっぱり、この人だったんだ……)
寧々:あ、あの……
奏:え?
寧々:えっと、その…… お正月のショーの時、ピアノを弾いてくれたかた、ですよね
奏:あ……。 あのショーに出てた……
寧々:はい。えっと、あの時は、助けてくれて 本当にありがとうございました
奏:……ううん。あそこでショーが終わっちゃうのは もったいないなって思って。 こちらこそ、楽しいショーをありがとう
穂波:ふたりとも、もう知り合いだったんですね
奏:そうだったみたい。 でも、こうして話すのは初めてかな
一歌:それなら、改めて紹介しますね
一歌:えっと……草薙さん。こちらは宵崎奏さん。 音楽サークルで活動していて、作曲を担当してるの
一歌:実は私、前に奏さんに 曲作りのやりかたを教わったことがあるんだ
寧々:曲作り……すごいな……
一歌:それで、こちらが草薙寧々さんです。 草薙さんは歌がすごく上手で、 私もときどき教えてもらってるんです
奏:そうなんだ。 星乃さんが教わるくらいだから、本当に上手なんだね
寧々:あ、い、いえ。そんなこと……
一歌:穂波? どうかした?
穂波:あ、ごめんね。 ふたりとも、一歌ちゃんの先生なんだなって思って
一歌:そういえばそうだね。 草薙さんは歌の先生で、奏さんは曲作りの先生だし
一歌:それに今日は——穂波も先生だね。 キャンドル作りを教えてくれるわけだし
穂波:ふふ、本当だね
寧々:あ……えっと、そうだ。 望月さんも、今日はよろしくお願いします
穂波:はい、よろしくお願いします
穂波:……あの、草薙さん。もしよかったらなんですけど、 同い年ですし、敬語はなしにしませんか?
寧々:え……、あ……う、うん。 そうだね。そのほうがいいかも
寧々:……それじゃあ、よろしくね、望月さん
穂波:うん!
奏:……えっと、今日はみんなでアロマキャンドルを作るんだよね
奏:あの、ごめん。実はわたし、アロマキャンドルって、 いい香りがするロウソクってことくらいしか知らなくて……
寧々:あ、わたしも……
穂波:それなら、アロマキャンドルの説明から始めますね。 といっても、だいたい宵崎さんの言うとおりなんですけど……
穂波:アロマキャンドルっていうのは、 ロウの中にアロマオイルを混ぜてあるロウソクのことです
穂波:火をつけると、ロウが溶けるのと一緒に、 アロマオイルのいい香りが周りに広がっていくんですよ
寧々:アロマオイルって……、 ラベンダーとかひのきとかの香りがあるやつ……だよね?
穂波:うん。今回は主に、エッセンシャルオイル、 植物から抽出した天然のオイルを使うんだけど……
穂波:香りの種類によって、集中力を高めてくれたり、 リラックスして眠りやすくなったり、 いろんな効果があるんだって
一歌:へえ……いい匂いがするだけじゃないんだ……
穂波:あと、ロウソクの火って、それだけでも リラックス効果があるらしいの
穂波:だからアロマキャンドルは、 香りと炎の両方で癒されることができる リラックスアイテムなんだよ
奏:そうなんだ……。 全然知らなかった……
寧々:わたしも……
一歌:でも、おしゃれなだけじゃなくて役に立つみたいだし、 プレゼントしたら、本当にみんな喜んでくれそうだね
穂波:うん! えっと、それじゃあそろそろ…… みんなで材料買いに行こっか
アロマショップ
奏:えっと……ここ、かな
寧々:わ……なんだかもう、いい香りがするね
一歌:うん……。あ、瓶がいっぱい並んでる……! これ全部アロマオイルなんだ……
寧々:でも、こんなに数があると、どういうのを選んだらいいのか、 わからなくなっちゃうかも
穂波:ふふっ、それなら……気に入った香りとか、 贈りたい相手のイメージに合うものを選ぶといいと思うよ
穂波:あとは、どのアロマにどんな効能があるのか 説明が書いてあったりするから 香りと一緒に確認すると選びやすいかも
一歌:なるほど……。 ありがとう穂波
穂波:うん!
穂波:それじゃ、みんな。 先にお店を見ててくれる?
穂波:わたし、あっちの手芸屋さんで注文してたものを 取りに行ってくるから
一歌:そうなの? 私も一緒に行こうか
穂波:ふふ、大丈夫だよ
穂波:それより、アロマオイルを選ぶのを楽しんでほしいんだ。 いっぱいあって、きっとたくさん迷っちゃうだろうから
奏:……わかった。 じゃあ、先にわたし達で見てみるね
一歌:改めて見ても……本当にたくさん種類があるね……
奏:うん……。 ローズマリー、ベルガモット、クラリセージ、ユーカリ——、 他にもブレンドオイルなんてのもあるみたい
寧々:なんか、どんな香りがするのか全然想像つかないのもあるね……
一歌:うん……。あ、でも、サンプルもあるみたいだよ。 これ、嗅いでみようかな——
一歌:あ……柑橘系のいい香りがする……
奏:それ、オレンジスイート……だって。説明書きもあるね
奏:えっと、オレンジスイートは、甘くすっきりとした香りで、 気分を明るくリフレッシュしてくれる効果がある……みたい
一歌:そうなんですね。……この匂い……、 なんだか咲希を思い出すな
寧々:咲希さん……あ、司の妹さんの
一歌:うん。あ……もしかしたら、咲希の、周りのみんなを 明るくさせてくれるところとかが似てるからかも
寧々:明るく……
寧々:(もしかしたら、あのふたりにも合うかも)
一歌:あ、奏さん。それ、何の香りですか?
奏:えっと、ラベンダーだって。甘くていい香りだよ
寧々:ラベンダーって、こういうアロマとかだとよく名前を聞くよね
一歌:うん。……あ、説明書きにも、アロマでは一番ポピュラーな 香りって書いてある。それに、アロマテラピーが生まれる きっかけにもなったオイルなんだって
寧々:へえ……そうなんだ……
奏:歴史はわからないけど……でも、花の優しい香りがして…… なんだかすごく落ち着く
一歌:ラベンダーって、アロマオイルの中でも特に リラックス効果があるみたいですね
奏:そっか……。なら、買っていこうかな。 みんなにもリラックスしてほしいし
寧々:あ……そうですね。 贈る相手のイメージだけじゃなくて…… どんな気持ちになってほしいのかも、ちゃんと考えないと
一歌:うん。じゃあ、まだたくさん種類はあるみたいだし、 もっと見て回ろうか
一歌:草薙さん、これ嗅いでみて。 グレープフルーツの香りだって
寧々:あ……すごい……。すっきりした香りで…… 目の前に本当にグレープフルーツがあるみたい
一歌:奏さん、これ何の香りだと思いますか?
奏:——甘い、果物の香り……? りんごかな……
一歌:ですよね! 私もそう思ったんですけど、 カモミールみたいです。 りんごみたいな、甘くて優しい香りがしますよね
寧々:え、えっと……宵崎さん、何か探してるんですか?
奏:あ、うん。さっきのラベンダーがよかったから、 他にも落ち着ける香りがほしいなって思って
寧々:落ち着ける香り……。 それなら、向こうの棚にあったかも……
奏:え、本当?
寧々:は、はい。えっと、その……
寧々:よければ、一緒に……見に行きますか?
奏:うん、ありがとう。よろしく
寧々:あ……は、はい……!
寧々:ふう……、ちょっと休憩
一歌:思った以上にいろんな香りがあって、見てるだけでも楽しかったね
寧々:うん。けど、いろんな匂い嗅いでたら、 何がいいのかよくわかんなくなってきちゃった
奏:わたしも……。でも、気になった香りはいくつかあったから、 ちょっと休んだらまた選びに行きたいな
一歌:ですね。……あれ?
一歌:ねえ、あそこに置いてあるの、アロマキャンドルかな?
寧々:あ……本当だ。完成品、ここでも売ってるんだ。 いろんな色があって、綺麗だね
奏:……すごい。これなんか、キャンドルの中に花が入ってる
一歌:これは……紫陽花かな。色鮮やかで綺麗ですね
一歌:それに、他にもいろんな種類の花が 入ってるものもあるみたいですね。 あ、こっちはオレンジなんかの果物も入ってますよ
寧々:本当だ、可愛い……。 こんなの作れたら、きっとみんなびっくりするだろうな
奏:でも、こんな難しそうなのできるかな……。 わたし、不器用だし……
一歌:たしかに難しそうだけど……で、でも、多分大丈夫ですよ。 穂波は教えるの上手ですから! 頑張りましょう……!
奏:あ……うん、そうだよね
???:……あ! みんな、こっちのベンチにいたんだね
一歌:穂波! 注文してたやつ、受け取れた?
穂波:うん。待たせちゃってごめんね。 みんな、どうだった?
一歌:うん、咲希達に合いそうだなって思ったものもあったよ。 ……でも、匂いを嗅ぎすぎて疲れちゃったから、 少し休憩してたんだ
穂波:そうだったんだ。あ……もしかして嗅ぐ時、 瓶に近づきすぎちゃったのかな
穂波:アロマオイルは匂いが強いから、嗅ぐ時は少し離して、 手であおいで嗅ぐといいんだよ……って、ごめんね。 初めに言っておくべきだったね
一歌:あ……ううん、大丈夫。休憩して、もう楽になったから。 みんなはどう?
奏:わたしも……もう平気かな
穂波:よかった。……もしよければ、もう一度選びに行きませんか? わたしも、いろいろアドバイスできると思いますから
奏:そうだね。お願い、望月さん
数十分後
穂波:みんな、気に入るものが見つかったみたいでよかった
一歌:うん、あとはちゃんと作れるかだけど……
穂波:きっと大丈夫だよ。 わたしも頑張って教えるから
奏:……うん。よろしくね、望月さん
奏:そうだ。作るのは、わたしの家でいいんだよね?
一歌:はい。でも、あの……また奏さんの家に お邪魔することになっちゃって、本当にすみません
寧々:あ……わ、わたしも、 ほぼ初対面みたいな感じなのに……ごめんなさい
奏:気にしないで。わたしは急にみんなのキャンドル作りに 参加させてもらったわけだから、場所くらいはね
奏:それに、いつもは散らかってるけど、 望月さんのおかげで今は綺麗だから
寧々:え? それって……
奏:あ……な、なんでもない。とにかく平気だから、 気にしないで大丈夫だよ
穂波:ふふ、ありがとうございます宵崎さん。 それじゃ、お邪魔させてもらいますね
奏:うん、行こうか

第 4 话:いざ、アロマキャンドル作り!

宵崎家 キッチン
寧々:お、おじゃまします
奏:いらっしゃい。ちょっと狭いかもしれないけど、 椅子とか、好きに使ってもらっていいから
寧々:は、はい。ありがとうございます
奏:今、お茶いれるね。 えっと……この前買った紅茶のパック、どこにあったっけ……
穂波:あ、大丈夫ですよ、宵崎さん。わたしがやりますから
奏:ううん、今日は仕事じゃないんだし、望月さんもゆっくりしてて
穂波:でも……
奏:えっと……たしか、まずはお湯をわかさなきゃだよね。 ……ケトルに水を入れて……う……お、重たい……
穂波:だ、大丈夫ですか、宵崎さん。 あの、やっぱりお手伝いさせてください
奏:ご、ごめん……。じゃあ、お願いしようかな
一歌:ふう……穂波、奏さん。 紅茶、ごちそうさまでした
寧々:あ……えっと、美味しかったです。 わたしも……ごちそうさまでした
奏:よかった……。ちゃんと美味しくできてたみたいで……。 望月さんに手伝ってもらったおかげだと思うけど
奏:……本当は、望月さんにもちゃんと ごちそうできたらよかったんだけど……。 ごめん。でも、ありがとう
穂波:そんな、お礼を言われることじゃありませんから。 それに、その気持ちだけでも、とても嬉しいですから
穂波:……じゃあ、みんな落ち着いたみたいだし、 そろそろアロマキャンドル作り、始めよっか
寧々:う、うん。よろしくお願いします
穂波:アロマキャンドルの作りかたは本当に簡単なんだ。 市販のロウソクを溶かして、オイルを加えて もう1回固めるだけだから
一歌:溶かして、固める…か
寧々:そう聞くと、たしかにわたしでもできそうだけど……
穂波:ふふ。最初はなかなかイメージつかないよね。 そしたら順番にやっていこっか
穂波:——まずは、キャンドルに色を付けるための クレヨンを選んでもらうね
奏:クレヨンで……色を……?
穂波:はい。クレヨンを少し削って、溶かしたロウに混ぜるんです。 それだけで、びっくりするくらい綺麗に色がつくんですよ
穂波:今日選んだ香りに合わせた色にしたり、層を作って重ねて、 カラフルにしてみるのもいいかもしれませんね
奏:層を作る……。 そんなこともできるんだ……
穂波:はい。もちろん、色をつけずに 形だけ整えることはできますけど……。 せっかくだから、綺麗に色をつけてみると楽しいと思いますよ
奏:うん……そうだね。やってみたいな
穂波:……色が決まったら、次はロウソクを湯煎で溶かしていきます。 とりあえず、最初はわたしがやってみますね
穂波:まず、大きめの鍋とボウルを3つ用意して…… このボウルの中に、 それぞれの分のロウソクを入れて湯煎していくね
寧々:ロウソクを作るのにロウソクを溶かすって、 なんだか変な感じがする……
一歌:そうだね。……けど、チョコもこういう感じで作るから それと似てるかも
寧々:あ、言われてみればそうだね
奏:……ロウソク、溶けてきたね。 けど……なんだろうこれ……? 紐みたいなのが出てきた……
穂波:それは、ロウソクの芯ですね。 この芯はあとで使うので、取り出しておいて……
穂波:あとは、ロウソクが溶けきるまでもう少し待つんです
穂波:——うん。そろそろいいかな。そしたら、 さっき選んでもらったクレヨンを入れていくんだけど…… ここからは、みんなもやってみよっか
一歌:わ、わかった……。 でも、入れるって……どれくらい?
穂波:うーん、あんまり多くはないかな。 入れすぎると、芯にロウがうまく染み込まなくなって、 火がつかなくなっちゃうことがあるから
奏:え……
穂波:あ、大丈夫ですよ! 入れすぎてないか、わたしが隣でちゃんと見ますから
奏:そ、そっか。それなら安心……かな
一歌:(えっと……慎重に……少しずつ、削ったクレヨンを入れて……)
一歌:——ほ、穂波、これくらいでどうかな?
穂波:えっと、そんなほんのちょっとずつじゃなくて…… もう少し入れても大丈夫だよ
一歌:そ、そっか……。なら……こ、こう——!?
穂波:あ、うん……! いい感じだよ、一歌ちゃん。 このロウを少しかき混ぜれば…… ほら、綺麗に色がついてるでしょう?
一歌:ほ、ほんとだ……。 すごい……こんなにしっかり色がつくんだ……
奏:これで……ちゃんとできてるかな……
穂波:あ……宵崎さんも草薙さんも、 とっても上手にできてますね!
寧々:あ、ありがとう……。よかった
穂波:じゃあ次は……少しロウを冷ましましょうか。 あんまり高い温度の時にオイルを入れると、 蒸発しちゃって匂いが残らないので
一歌:そうなんだ……。それじゃあ、少し休憩?
穂波:そうだね。でも、そんなに時間はかからないと思うから、 今のうちに、今回入れるアロマを決めておこっか
穂波:うん……そろそろ、いい温度になってきたかな……
穂波:それじゃあみんな、それぞれ自分のボウルに、 選んだアロマを入れてね。10滴くらいがちょうどいいかな
寧々:わ、わかった……。10滴、だね
奏:ちゃんと計れるかな…… 思ったよりも一気に出てきちゃうとか……
一歌:だ、大丈夫じゃないですか? 香りをつけるためのものですから、 ちょっとくらい入れすぎちゃったって……
穂波:あ、このオイルも入れすぎると 火がつかなくなっちゃう原因になるんだけど——
穂波:……あ、あの、でも、そこまで 慎重にならなくても大丈夫だからね……!
穂波:アロマを入れた鍋をもう1回だけ、 ちょっと温めてロウをかき混ぜて……。 そうだみんな、型の準備はできてる?
一歌:うん、できてるよ。 えっと……この型の真ん中に、ロウソクの芯を置くんだよね
穂波:そうそう。芯はそんな感じで、 わりばしで挟んで固定してあげれば大丈夫だよ
穂波:あとはその型に、ボウルのロウを流し入れてあげて
一歌:……わかった。やってみる……!
穂波:——それじゃあ、はい、これ一歌ちゃんのボウル。 溢さないようにだけ気をつけてね
一歌:う、うん……
一歌:(慎重にボウルを持って——あ)
一歌:(……うん……もうちゃんと、 オレンジのいい香りがするな……)
一歌:(色も、いい感じに明るい橙色になってる。 完成したら、ちゃんと綺麗なキャンドルになるかも)
一歌:(これをプレゼントしたら、咲希……喜んでくれるかな)
一歌:(よし……そしたら…… 溢さないように……ゆっくり流し込んで——)
一歌:——うん、できた……!
穂波:ふふ。お疲れさま、一歌ちゃん
一歌:ありがとう! ……それで、次は何をすればいいの?
穂波:次はね……
穂波:特にないよ
奏・寧々・一歌:『え?』
穂波:あとはロウが固まるのを待つだけだから。 型に流し入れたらそれでおしまいなの
穂波:ね、簡単だったでしょ?
寧々:う、うん……。もっといろいろやることがあるのかと 思ってたんだけど……もう終わりなんだ
奏:たしかに、こんな簡単にできるなんて思わなかった……
穂波:ふふ、慣れてきたらもっと簡単に作れると思うよ。 じゃあ、次は湯煎から自分達でやってみようか
穂波:もちろん、わからないことがあったら何回でも教えるから、 何かあったら聞いてね

第 5 话:小さな灯り

宵崎家 キッチン
一歌:(……次は、どんな色にしよう……)
一歌:(さっきのは咲希用だったから、 明るい感じの色と香りにしたけど……。 今度のは志歩だから、もっと落ち着いた雰囲気のものがいいかな)
一歌:(穂波は……どうだろう。 そばにいるし、本人に好みを聞いてもいいけど……。 でもせっかくだから、何も聞かずに渡したいな)
一歌:(そのほうがサプライズになって、喜んでくれる気がするし)
穂波:——あ、そうだ。お花を使ったアレンジもできるから、 慣れてきたらやってみましょうか
奏:……そういえば、ドライフラワーも買ったんだったね
穂波:はい。ボタニカルキャンドルって言うんですけど、 これもそんなに難しくはないから安心してくださいね
穂波:まず、さっきみたいにアロマキャンドルを完成させたら、 それを一回り大きな型にいれるんです
穂波:そうしたら、キャンドルと型のあいだに隙間ができるから、 そこに好きなお花を少しずつ入れて、 また上からロウを流し込んで……
穂波:それでおしまいです。あとは固まるまで待つだけ
奏:あ……お店で見たあの綺麗なキャンドル、 そうやって作ってたんだ……
寧々:こうやって説明を聞くと、なんだかできそうな気がしてくるね
一歌:(……普通のアロマキャンドルより難しいかもしれないけど、 私も作ってみたいな)
一歌:(あ、作るなら、咲希や志歩、穂波、それにミク達みんなを イメージした花を入れてみたらおもしろいかも……)
一歌:(咲希だったら……ミモザとか……? 志歩は……スターチスとかどうだろう。 静かで優しい雰囲気が似ているし)
一歌:(穂波や……ミク達は、どんな花が似合うかな……)
奏:……星乃さん、なんだか楽しそうだね
一歌:え? そ、そうですか?
奏:うん。嬉しそうな顔してたよ。 何考えてたの?
一歌:あ、その……みんなのことを考えてたんです。 どんな色にしようかとか、どんな花が似合うかなとか……
奏:ああ……その気持ち、ちょっとわかるな。 わたしも、みんなにはどんな色や香りがいいかなって考えてた
寧々:それ、わたしも……。 売り物みたいにはできないかもしれないけど、 せっかくだから喜んでもらえるものにしたいよね
一歌:ふたりもそうだったんだ……もしかして、プレゼントを作る時は、 みんなこんな気持ちになるのかな……
奏:ふふ。そうかもしれないね
一歌:(あ……そっか……)
一歌:(穂波も練習の時とかに、 よく差し入れを作ってきてくれるけど……)
一歌:(それを作ってる時も、 きっと私達のことをたくさん考えてくれてたんだよね)
一歌:……ねえ、穂波。 私、やっぱり今日、手作りに挑戦してみてよかったな
穂波:え?
一歌:だって……おかげで、 こうやって相手を想いながら作業するって時間が、 すごく幸せで大事だなって感じることができたし……
一歌:——今までもらった手作りのものが、 こんな風に気持ちを込めて作られたものだっていうことが、 実感できたから
一歌:……だから、ありがとう穂波。 今日作りかたを教えてくれたこともだけど、 今まで手作りのプレゼントをしてくれたことも
穂波:……一歌ちゃん
一歌:あ! その、今までももちろん、感謝はしてたよ。 ただ、こうして自分も手作りしてみたら、 もっと穂波の気持ちが理解できるようになったって言うか……
一歌:想像するだけじゃなくて、 自分でやってみてわかることっていうのも、あるんだね
穂波:……ふふ、そうかもしれないね
一歌:あ、もうロウが固まってる……。 たしか、一番最後に作ったのがこれだから——
奏:じゃあ……これで全部完成だね
穂波:みんなお疲れさま! 最後のほうはもう、 ひとりで全部作れるようになってて……本当にすごいよ!
奏:ううん……。全部、望月さんが丁寧に教えてくれたからだよ。 本当にありがとう
穂波:あ……ふふ。どういたしまして
寧々:…………
一歌:……草薙さん? どうかした?
寧々:え? あ、その……別にたいしたことじゃないんだけど
寧々:ただ……えっと、 ここにいるみんなの分、作ってなかったなって
一歌:あ……そっか。 私も、草薙さん達の分は作ってない……
奏:……うん。わたしも
奏:でも、せっかくこうして一緒に作ったんだし、 わたしも、望月さん達にアロマキャンドル贈りたいな
穂波:……それなら、ここにいるみんなで、 最後にもう1つずつ作りませんか?
奏:1つずつ?
穂波:はい。さすがに、今から全員分作るのは大変でしょうから……
穂波:代わりに、みんなでキャンドルを1つずつ作って、 それを回して……お互いプレゼントを贈りあうのはどうでしょう
一歌:あ……うん! いいアイディアだと思う。私はやりたいな。 草薙さんと奏さんは、どうかな?
穂波:ふふ、それじゃああと少しだけ、 アロマキャンドル作り、続けよっか
寧々:……そろそろ全員分、固まってきたかな
奏:うん。軽く触ってみたけど……大丈夫みたいだよ
一歌:それじゃあ、型から取り出して……うん、綺麗にできてるね
一歌:あ……でもこれ、どうやって渡そう。 やっぱり、ラッピングしたほうがいいのかな
寧々:このメンバーの分の袋は買ってないし…… そのまま渡す……とか?
一歌:なんの包装もしてないのって、ちょっと違和感あるけど……。 でも、それしかないかな
穂波:ふふ、でもわたしはこういうのもいいと思うよ。 作ったものをその場ですぐに渡されるなんてこと、そうないし
寧々:そうだね。それじゃあ、えっと……わたしが星乃さんへ。 星乃さんが宵崎さんへで……
奏:わたしが望月さん、望月さんが草薙さんだね
穂波:はい。……じゃあ、ちょっと早いけど、 ハッピーバレンタイン!
寧々:はい、星乃さん
一歌:ありがとう! なんだかもういい香りがするね。 早く火、つけてみたいな
奏:——望月さん。ハッピーバレンタイン。 掃除も料理も……いつも本当にありがとう。 望月さんのおかげで、なんとか生活できてるよ
穂波:ふふ、ありがとうございます。 わたしも宵崎さんのおうちで働けて嬉しいですよ
寧々:……なんだか、こうやってプレゼントを贈りあうの、 胸があったかくなるね
一歌:ふふ、そうだね。 もったいないけど……早く使ってみたいな
奏:あ……じゃあ、火つけてみる?
一歌:え、そんないきなり、いいんでしょうか……?
穂波:ふふ、もらってすぐに使っても全然いいと思うよ
一歌:そっか……。 じゃあ、草薙さんからもらったキャンドル、使ってみてもいい?
寧々:あ……うん……。 ちょっと緊張するけど……
奏:じゃあ火、つけようか
穂波:あ、そうだ。 暗いほうが火も綺麗に見えると思うし、電気消しておこっか
一歌:ありがとう。 ……それじゃあ、いくよ——
一歌:あ——!
一歌:暗闇の中に……ぼんやり炎が揺れてて、綺麗だね
寧々:……うん、ロウソクの火を見て リラックスするっていうのも……わかるかも
奏:この香りも……すごく落ち着くね
一歌:はい。この、柔らかい香りは……ラベンダーかな……?
一歌:(……草薙さんはどう思って、この香りを入れてくれたのかな。 わからないけど……でも……)
一歌:——いい香りだな
穂波:ふふ……、暗いとこで見ると、 なんだかとっても幻想的だね
一歌:そうだね……。 私、ロウソクの火がこんなに綺麗だなんて知らなかったな
寧々:わたしも、なんだかちょっと感動しちゃった……。 自分で作ったキャンドルだったからかな
一歌:うん。……ありがとう、草薙さん。 こんなに綺麗なアロマキャンドルを作ってくれて
一歌:なんていうか……アロマキャンドルから、 草薙さんの優しい想いみたいなのが伝わってきた気がしたんだ
寧々:……そ、そっか。ちょっと恥ずかしいけど…… でも、そんな風に感じてくれたなら、よかった
寧々:あの……わたし、本当は今日…… ちょっとだけ緊張してたんだ
奏:え、そうだったの?
寧々:は、はい。望月さんとちゃんと話すのは久しぶりだし、 宵崎さんのことは全然知らなかったし……
寧々:だから、ふたりとちゃんと話せるか、少しだけ不安もあって
寧々:でも、ふたりともすごく優しいし、 気づいたら、そんな緊張なんてなくなってて……
寧々:……あの、今日は本当にありがとうございました。 ここに来てよかったって思えるの、きっと、みんなのおかげです
奏:……わたしも、今日、草薙さんと会えてよかったと思う
穂波:うん。またいつか、一緒に何か作ったりしたいね
穂波:——じゃあ、最後はみんなでロウソクの火を消そうか
奏:みんなで?
穂波:はい。ふーって、一緒に息を吹きかけるんです
一歌:え、なんで……あ、でもちょっと、 誕生日会みたいでおもしろいかも?
寧々:ふふ、そうだね。 それじゃあ、やってみよっか
穂波:うん。……いくよ、せーの——

第 6 话:一緒に作ろう

宵崎家 キッチン
穂波:——宵崎さん、おじゃましました
寧々:お、おじゃましました
一歌:今日は、本当に楽しかったです。 それに、こうやって場所まで貸していただいて、 ありがとうございました
奏:こちらこそ。一緒にやらせてくれてありがとう ……それじゃあみんな、またね
奏:あ……
奏:(……みんながいなくなったら、なんだかいつもよりずっと 家の中が静かになった気がする)
奏:(別に、ひとりなのは変わらないのに……。 どうして、こんなに静かに感じるんだろう)
奏:(そうだ……星乃さんからもらったアロマキャンドル 使ってみようかな。気分が落ち着くって言うし)
奏:火をつけて……。 ……うん、綺麗
奏:(星乃さんは、このキャンドルに どんな想いを込めてくれたんだろう)
奏:(はっきりとはわからないけど……でも……)
奏:(このキャンドルからは、星乃さんと同じ、 お花みたいな……優しくてほっとする香りがするな)
奏:……アロマキャンドル、いいものが作れてよかった。 これでミクやレン達にも喜んでもらえるかな
奏:(あ——そういえば……)
奏:(あの時のレン…… ちょっと元気がなかったようにも見えたけど…… なんだったんだろう……)
誰もいないセカイ
レン:(バレンタイン……そろそろだよね)
レン:(ぼくも何かできたらって考えてるうちに、 ずいぶん時間がたっちゃった……)
レン:……どうしたらいいんだろう
???:——あ、レン
レン:え——?
奏:よかった。探してたんだ
レン:……奏ちゃん? ど、どうしたの?
奏:えっと……今更なんだけど、前に会った時に 何か言ってたのが気になって……
奏:それに、ちょっと元気がない気もしたから
レン:前に会った時……? あ……!
レン:……ぼくも、瑞希ちゃん達みたいに 何かできたらいいんだけど……
レン:あ……えっと、その……大丈夫。 たいしたことじゃないよ
奏:そう……なの?
奏:……たいしたことじゃなくても、 もし困ってることがあるなら聞かせてほしいな。 わたしにも何か手伝えるかもしれないし
レン:あ、その……実はバレンタインに、 ぼくもミクや奏ちゃん達に 何かプレゼントできたらなって思って……
奏:プレゼント……そうだったんだ
レン:うん。 バレンタインは、大切な人に贈り物をする日だって聞いたから
レン:ぼくも、みんなにはたくさん助けてもらってるし、 少しでもお礼をしたいなって……
レン:……けど、奏ちゃんやミク達に渡せるようなものなんて 何も思いつかなくて……
奏:……そっか……
奏:……なら、アロマキャンドル、一緒に作ってみない?
レン:え?
奏:実は、さっきまで望月さ——あ、家に来てくれるお手伝いさんに、 アロマキャンドルの作りかたを教わってたんだ
奏:まだ材料は残ってるし、わたしもやりかたは覚えたから、 教えられると思う
奏:もちろん、レンがよければだけど
レン:ほ、ほんと? いいの?
奏:うん
レン:それじゃあ、お、お願い……! ぼく、みんなにバレンタインのプレゼント、贈ってみたい!
奏:わかった。一緒にやってみようか
宵崎家 キッチン
奏:——って言う感じなんだけど、作りかたはわかった?
レン:『う、うん……! たぶんだけど……』
奏:大丈夫だよ。わからないところがあったら 聞いてくれればすぐに答えるから
奏:でも……ごめんね。 本当なら、セカイで作れたらよかったんだけど
奏:携帯コンロとか、うちにはなかったから
レン:『う、ううん。気にしないで。 一緒に作れるだけでも嬉しいから』
奏:……そっか。そしたらわたしも、 できるだけレンが作りたいものを作れるよう頑張るから…… 気になることがあったら、なんでも言ってね
奏:じゃあ……早速始めていこっか
奏:——うん、いい色になってきたね。 このロウをもう少しかき混ぜたら……次は……
レン:『えっと……少し冷まして、 アロマオイルを入れるんだよね……!』
奏:あ……そうそう。 レン、よく覚えてたね
レン:『え、えへへ……』
奏:じゃあ、冷ましてる時間で入れるアロマを決めちゃおっか。 どんな香りがいい?
レン:『えっと……んーと……』
奏:……そんなに深く考えなくても大丈夫だよ。 なんとなく好きな香りを言ってくれるだけでもいいから
レン:『そう……なの?』
奏:うん。——でも、迷っちゃうなら……そうだな……
穂波:ふふっ、それなら……気に入った香りとか、 贈りたい相手のイメージに合うものを選ぶといいと思うよ
一歌:あ、その、みんなのことを考えてたんです。 どんな色にしようかとか、どんな花が似合うかなとか……
奏:贈りたい相手のことを考えるといいかもね
レン:『相手のこと?』
奏:うん……。相手のことを想って、どんなのだったら 似合うかなとか、喜んでくれるだろうってことを 考えていけば、答えが出るんじゃないかな
レン:『そっか……』
奏:……もし、まだ難しかったら、 まずはみんなのことを思い出してみるといいかもね
レン:『うん……。わかった……!』
レン:『えっと、ミクやリン、ルカさん、メイコさん、 それに、奏ちゃん達みんな……』
レン:『……ミク達はいつも一緒にいるわけじゃなくて、バラバラで、 それでも、ぼくが困ってるといつも手助けしてくれるんだ』
レン:『ミクだけじゃなくて、リンやルカさんや、メイコさんも…… みんなすごく優しくて……』
レン:『それに——奏ちゃん達も』
奏:わたし達も……?
レン:『うん……。奏ちゃん達はちょっと苦しそうな時もあるけど、 いつも誰かを助けようってすごく頑張ってて……』
レン:『そういうみんなが、優しいなって思うし、 それに、だからぼくも奏ちゃん達の役に立てるよう 頑張りたいって思うんだ』
奏:…………
レン:『だから……そんなみんなが元気になれるような—— あたたかくて、優しい香りがいいな』
レン:『あ……! ごめんね、ぼんやりしたこと言っちゃって……』
奏:ううん……大丈夫
奏:でも……そっか……。あたたかくて……優しい……
奏:——甘い、果物の香り……? りんごかな……
一歌:ですよね! 私もそう思ったんですけど、 カモミールみたいです。 りんごみたいな、甘くて優しい香りがしますよね
奏:……そうだ、これなんかどうかな。 カモミールっていうんだけど、りんごみたいな香りがするんだ
奏:果物みたいな、甘くて優しい香りがして……、 わたしもなんとなくだけど、あったかいなって感じがするし
レン:『あ……う、うん……! ぴったりだと思う……! ぼくも、これがいいな……』
奏:ふふ、じゃあそうしよっか
奏:うん——ちゃんと固まったみたい。これで完成だよ、レン
奏:レン? どうかした?
レン:『あ……その、すごく綺麗で……それに、 ちゃんとできてるって思ったら、なんだか感動しちゃって……』
レン:『でも……これでぼくも、 奏ちゃん達みたいにプレゼントできるんだね……!』
奏:……うん。みんなきっと喜んでくれると思うよ
レン:『……奏ちゃん、えっと……ありがとう……。 プレゼントを完成できて……すごく嬉しい……』
レン:『ぼくひとりだったら、なんにもできなかったから……』
奏:ううん……。そんなことない。 ここにあるアロマキャンドルは、レンがやりたいって言って、 頑張ったからできたものだよ
奏:わたしはそれを手伝っただけ
レン:『……ありがとう、奏ちゃん』
レン:『えっとね……キャンドルを作れたのもそうなんだけど……、 奏ちゃんと一緒に作業できて……すごく嬉しかった』
奏:わたしと、一緒に……?
レン:『うん。誰かと一緒に何かをするのって、 それだけでも、すごく楽しいんだね』
奏:(楽しい、か……)
奏:……うん。そうだね
レン:『あ……そうだ、奏ちゃん! 今日のことは、秘密にしてもらってもいいかな』
レン:『その……バレンタインにサプライズでプレゼントして、 みんなをびっくりさせたいから』
奏:わかった。……あ、それなら、 わたしがアロマキャンドルを作ってることも、 秘密にしてもらえるかな
奏:わたしも、みんなをびっくりさせたいから
レン:『う、うん……! それじゃあ、ふたりだけの秘密だね』

第 7 话:みんなへのプレゼント

バレンタイン当日
ワンダーランドのセカイ
ミク:司くん、まだかな~。 どうしてるんだろう?
類:委員会の仕事があるそうだよ。 とは言え、そんなに時間もかからないと言っていたから、 もうすぐ来るんじゃないかな
リン:ねえねえ、えむちゃんっ☆ その箱の中には何が入ってるの?
えむ:まだ秘密だよ☆ みんながそろったら開けるね!
寧々:(あの箱……きっとバレンタインのプレゼントだろうな。 ……どんなの作ったんだろ?)
寧々:(わたしも、作ったアロマキャンドルを持ってきたけど…… ちゃんと喜んでもらえるかな……)
寧々:(だ、大丈夫……! みんなと作った時のことを思い出して……。 うん、きっと喜んでもらえるはず)
ルカ:あら~、寧々ちゃん。今日は鞄が随分と重そうね~
寧々:え……! そ、そんなこと……ないよ?
類:フフ……まあ、ゆっくり待つとしようじゃないか
司:む……。全員集まっているのか。 すまん。待たせてしまっていたようだな
KAITO:大丈夫。学校の用事なら仕方ないよ。 でも、これで全員そろったね
ミク:うん! それじゃあ、えむちゃん! そろそろ箱の中身、教えてほしいな~☆
えむ:はーい☆ みんなー、ハッピーバレンタイン~! どどどどーん!!!
リン:わあ! かわいいお人形さんだ~! あれ……でもこれって……チョコレート?
えむ:うんっ、そうだよ☆ チョコで作ったお人形さんなの! でも、それだけじゃないんだ~。顔のとこをよーく見てみて!
ミク:あー! これ……ミク達の顔だ!
えむ:だいせいかーい☆ みんなの顔を思い出しながら作ってみたんだ! どうかなどうかなっ?
KAITO:とっても素敵だよ、えむちゃん。 これは……僕の顔かな。 ふふ、もったいなくて食べられないね
司:ああ、よくできているな! 感謝するぞ、えむ!
司:ホワイトデーには気合を入れてお返しをしてみせるから、 楽しみにしているがいい!
えむ:わっほーい! ありがとう! はいっ☆ 寧々ちゃんもどうぞ♪
寧々:あ、うん……
寧々:(……あ、これ……髪のサイドのところとか、 ちゃんと結んでるみたいになってるんだ)
寧々:(それに顔も……ちゃんとわたしに似てて、よくできてる)
寧々:(……ふふ。きっと、喜んでくれるようにって、 一生懸命作ってくれたんだろうな)
寧々:……えむ、ありがとね
えむ:うんっ!
寧々:そしたら……えむ。 それに、みんなにもなんだけど……
えむ:なになにっ? どうしたの?
寧々:えっと……その……
寧々:——これ、みんなに作ってきたんだ。 よかったら、受け取ってほしい
司:なにー!? えむだけでなく、寧々も手作りだと!?
えむ:寧々ちゃんの、手作りプレゼント~!? わ~☆ いっぱい袋があるけど、これがあたしのかな?
寧々:あ、うん……。全員分あるから、 自分の名前が書いてあるの受け取って
類:どれどれ……ほう、 これは……アロマキャンドルかな
レン:アロマキャンドル?
類:アロマオイルで香りをつけたロウソクだね。 火をつけると、ロウに溶けたアロマの香りが広がって、 とてもリラックスする効果があるんだよ
ルカ:まあ、なんだかすてきね~
MEIKO:たしかに、のんびりなルカにはぴったりかもね! けど、つけっぱなしにして寝たりしちゃ駄目よ? 危ないから!
リン:あ、これ全部色が違ってるんだ! カラフルでかわいいね~☆
MEIKO:あら、本当ね! なんだかちょっと、みんならしい色になってるわね
レン:あ、もしかして……これ全部——
寧々:うん。みんなのことイメージして、色とか香りをつけてみたんだ
リン:そうなの? くんくん…… あ、たしかにオレンジみたいな香りがするかも☆
KAITO:ありがとう、寧々ちゃん。 とっても素敵なプレゼントだよ!
寧々:う、うん……! 喜んでもらえたなら、よかった
類:……寧々が、こういったものを作れるとは知らなかったな。 自分で調べて作ったのかい?
寧々:ううん、望月さんに教わったの。 星乃さんと……あと宵崎さんと一緒に。 ほら、このあいだのショーの時に助けてくれた人なんだけど……
類:……へえ。 どうやら、とても有意義な経験をしてきたみたいだね
寧々:そ、そうかな……
寧々:(アロマキャンドル作り、 最初は不安なことも多かったけど……)
寧々:(宵崎さんや望月さんと少し仲良くなれたし……、 それに——こうやってみんなが喜んでくれる顔も見れた)
寧々:(……やっぱり、やってみて本当によかったな)
誰もいないセカイ
瑞希:ふっふっふ……。それじゃあお待ちかねの…… ハッピーバレンタイン!
瑞希:約束どおり、ちゃーんとプレゼントをもってきたよ! 全員集まってるよね
MEIKO:……どうして私まで
ルカ:あら、瑞希達が私達みんなにプレゼントしてくれるって 言ってるんだから、ちゃんと受け取らないと
瑞希:そうそう。悪いけど、ちょっと付き合ってよ
MEIKO:はあ……。仕方ないわね
ルカ:ふふ、どんなプレゼントが来るのか楽しみね。 それじゃあ、まずは誰に見せてもらおうかしら
瑞希:ボクは、まふゆのが一番気になるな~。 早速だけど、見せてもらってもいい?
まふゆ:別にいいけど。 ……はい
絵名:あ! この箱、駅前で売ってる高級チョコじゃない。 なかなか買えないって話なのに……
まふゆ:クラスの子に、こういう時何渡したらいいかって 聞いたら教えてくれた。 1時間くらい並んだけど
絵名:この時期だし、そりゃそうでしょ
瑞希:でも、そんな苦労してまで用意したんだね!
ミク:……ありがとう、まふゆ。 すごく嬉しい
まふゆ:……それなら、よかった
瑞希:……よ~し! それじゃあ、順番にプレゼントしていこっか!
リン:すごい……プレゼントがこんなにたくさん……
ルカ:瑞希のが、いろんな動物の形をしたクッキー、 絵名はロリポップ型のチョコレートだったわね
瑞希:えっへん! カワイくできてるでしょ?
絵名:私のも悪くないでしょ? ピンクのチョコ使ったり、カラーシュガーでカラフルにして、 可愛く見えるようにしたんだ
瑞希:うーん、まあカワイイはカワイイけど…… ちょっと狙い過ぎって言うか……
瑞希:自撮りに使うんだろうなーって言うのがわかっちゃって…… そこだけ気になるかな~
絵名:はあ!? 自分で作ったチョコをどう使おうが私の自由でしょ!
まふゆ:……自撮りには使ったんだ
奏:けど……ラッピングとかすごくこだわっててくれたよね。 名前の他に、ちょっとイラストとか描いててくれて
絵名:まあね。どうせ渡すなら、みんなにも喜んでもらいたいし?
絵名:でも、今回特に意外だったのは…… やっぱり奏のじゃない?
奏:えっ? そうかな……
瑞希:わかるわかる! 奏から手作りのアロマキャンドルを もらえるって思わなかったしさ! それに何より……
ミク:……すごく綺麗だった
瑞希:そうだよね! 色とか香りも、みんな違ってたし!
絵名:なんていうか、奏が私達のこと考えながら作って くれたんだなって思ったら、余計に嬉しくなっちゃった
絵名:……ほら、あんたも。お礼くらい言っときなさいよ
まふゆ:……ありがとう。奏。 帰ったら、使ってみる
奏:……うん。 みんなに喜んでもらえたなら、よかったな
MEIKO:……レン
レン:え……な、なに?
MEIKO:さっきから黙っているけど、どうかしたの
レン:え……あの、それはその……
奏:レンは……みんなに言いたいことがあるんだよね
リン:……どういうこと?
レン:え、えっと……。 実はぼくも……みんなに贈り物があるんだ
ミク:贈り物……?
レン:う、うん……。奏ちゃんに教えてもらって…… ぼくも一緒に、アロマキャンドルを作ったんだ
レン:えっと、これ……。みんなでひとつだけど……
まふゆ:…………
瑞希:えっ!? レ、レンもキャンドル作ってくれたの!? しかもすっごく本格的じゃん! 花とか入ってるし!
絵名:うん……。 しかも奏が教えたなんて、びっくりしちゃった
絵名:それにこれ……スイートピーとかローズとか、 いろんな種類の花が入ってるんだね。 すっごく綺麗……
レン:えっと、お花は……みんなに似合うのを考えて、 奏ちゃんと一緒に選んだんだ
レン:それに、入れるアロマや色を選ぶ時も、 奏ちゃんに相談に乗ってもらって作ったんだよ
ミク:そうだったんだ……ありがとう、レン。奏も
レン:う、うん……!
リン:……なんだか、りんごみたいな香りがする
レン:あ、それはね……カモミールのアロマなんだ
ルカ:……ねえ、レン、私をイメージしてくれたお花って、 どれなのかしら
レン:あ、それはね——
奏:……レン、よかったね
レン:……あ……うん!
レン:……奏ちゃん、本当にありがとう
レン:奏ちゃんのおかげで、 とっても素敵なバレンタインにできたよ……!
奏:ううん……わたしのほうこそ、ありがとう
レン:え?
奏:レンが、気づかせてくれたから
奏:一緒にアロマキャンドルを作ったこと—— わたしも、すごく楽しかったんだって

第 8 话:思い出の香り

バレンタイン当日
教室のセカイ
MEIKO:あ、みんな来たみたいだね
レン:練習の前に集まってくれって言ってたけど、何があるんだ?
ミク:さあ……私は聞いてないけど
咲希:ふっふっふ~! 実はね、今日はみんなに渡したいものがあるんだ!
KAITO:……渡したいもの?
ルカ:あら、何かしら。楽しみね
リン:ん~~~~~……あっ! この時期なら、もしかして……!
咲希:あ、リンちゃん気づいちゃった? それじゃあ、早速だけど……
咲希:じゃじゃーん! ハッピーバレンタイン!
リン:わ~! いいにお~い☆ これって……チョコレート?
ルカ:そうみたいね。 美味しそうな生チョコレートだわ
咲希:えへへ。昨日、がんばって作ったんだ!  お兄ちゃんにも食べてもらったから、味はお墨付きだよ!
レン:サンキュー咲希! 食べるのが楽しみだな
志歩:……じゃあ次は、私の。 咲希みたいに手作りじゃないけど……一応
ルカ:あら、可愛いわね。 このチョコレート、いろんな楽器の形をしているのね
志歩:うん。ショッピングモールでバレンタインフェアやってたから、 そこで買ったんだ
MEIKO:なんだか、食べるのがもったいない形だね。 あ、もしかして、穂波も何か持ってきてくれたの?
穂波:はい、ガトーショコラを作ってきたんです
穂波:でも、そのままだとちょっと食べづらいので、 あとで切り分けてみんなに渡しますね
ミク:一歌も、何か用意してくれてるみたいだね
一歌:あ、私は……
一歌:みんな……これ、受け取ってほしい
MEIKO:あ、もしかしてひとりひとつずつあるの?  何が入ってるんだろ
KAITO:中に入ってるのは……ロウソク? なんだかいい香りがするけれど……
一歌:う、うん。アロマキャンドルなんだ
志歩:へえ。……一歌がアロマキャンドルなんて、意外だな
志歩:この包装……もしかして、手作り?
咲希:え、ほんとだ! いっちゃん、こんなのいつの間に……?
一歌:このあいだ、穂波に教わって……。 ひとり1個ずつ、みんなの色や香りをイメージして 作ってきたんだ
咲希:す、すごい……! すごいすご~い! ありがとういっちゃん! アタシ達のためにこんなにたくさん……すっごく嬉しいよ!
志歩:うん……。ありがとう一歌。 すごく嬉しいよ
一歌:よかった……! 穂波も、ありがとう
穂波:ふふ、わたしは作りかたを教えただけだから。 みんなのために頑張ったのは、一歌ちゃんだよ
一歌:ううん……穂波がいてくれたから最後まで作れたんだ。 ……みんな喜んでくれてよかった
一歌:だけど……あとひとつ、 ここにいるみんなに向けてのプレゼントがあるんだ
咲希:アタシ達全員に?
一歌:うん。これもアロマキャンドルなんだけど——はい
レン:わっ、さっきのよりも大きい! それに、花が入ってる! この花、キャンドルの中に埋まってるのか?
一歌:うん、そうだよ
一歌:これも、みんなのことをイメージしながら花を飾ったんだ。 よかったら、使ってほしいな
咲希:もっちろん! ねえねえ、さっそくだけど、火つけてみようよ!
リン:うんうん! どんな香りがするんだろ~?
志歩:気持ちはわかるけど、まだ早いんじゃない? 練習を済ませたあとにつけたほうが、リラックスできると思うし
咲希:う……たしかにしほちゃんの言うとおりかも……。 で、でもでも、早く火つけてみたい~!
ミク:ふふっ、すっかりみんな一歌のプレゼントに夢中みたい
穂波:本当だね。……一歌ちゃん、すごく頑張ってたから……。 きっと、それがみんなにも伝わってるんだね
ミク:うん……そうだね。 ありがとう、一歌。大切に使わせてもらうよ
一歌:あ……。う、うん……!
一歌の部屋
一歌:(ふう……これで宿題は全部終わったかな)
一歌:(明日も学校だし、そろそろ寝ないと……)
一歌:(けど……なんだろう。 今日はバレンタインで少しはしゃいじゃったからかな……。 頭が冴えてて……眠る気分になれない……)
一歌:あ——そうだ
一歌:(こういう時こそ、 アロマキャンドルでリラックスすればいいんだ)
一歌:(草薙さんからもらったの……また使ってみよう)
一歌:(やっぱり、すごくいい香り……)
一歌:(ふふっ……キャンドル作り、本当に楽しかったな……)
一歌:(そういえば……匂いと記憶って、 深く関係してるって聞いたことがあるな)
一歌:(匂いを嗅いで、忘れていた記憶がふって頭に浮かぶとか……、 そういうことってあるらしいし)
一歌:(だったら……私もいつか思い出すのかな)
一歌:(草薙さんと、奏さん、それに穂波。 みんなでアロマキャンドルを作ったこと……)
一歌:(それに、咲希や志歩、ミク達と過ごした今日のバレンタイン)
一歌:(いつか私の記憶は、少しずつ薄れて 消えていっちゃうかもしれないけど……)
一歌:(でも……この香りを嗅ぐたびに、 みんなと過ごした時間を思い出すんだよね)
一歌:(きっと……何度でも——)