活动剧情

Get over it.

活动ID:91

第 1 话:誰かの胸を打つ音楽を

ライブハウス
観客達:うー、Leo/needもついにワンマンかあ……。 ずっと追いかけてたから嬉しいよね!
観客達:最近は演奏もすごくうまくなったなって思ってたけど、 ワンマンまでできるようになるなんて……大きくなったなー
観客達:今日はどんなセトリでくるんだろ? 新曲とかあるかも……楽しみだな~!
咲希:なんだかお客さん、 みんなワクワクしてくれてるみたいだね!
リン:『ていうか、すごくないっ!? フロア、お客さんでパンパンだよ!』
MEIKO:『前、anemoneとライブやった時と同じくらい 人いるんじゃない?』
ミク:『ここまで会場を埋められるなんて、 Leo/needもすっかり人気バンドだね』
一歌:今回は初めてのワンマンで、 今までお世話になった人も招待で呼んでたりするから、 いつもよりたくさん来てくれてるんだと思うよ
レン:『でも、それだけじゃここまで埋まらないだろ。 動画アップした影響とかもあるんじゃないか?』
咲希:あ、それあると思う! さっき『動画見て気になって来た』ってお客さん見かけたし!
穂波:そうなんだ……。 再生数はそこまで多いわけじゃなかったから、 そういうお客さんは少ないかなって思ってたけど……
穂波:ちゃんと興味を持ってもらえたんだね
穂波:……みんなで、頑張って作ってよかった
志歩:期待して来てくれてるお客さんのためにも、 演奏で応えなきゃね
志歩:いざライブ始まって、『想像と違った』って がっかりさせるわけにはいかないし
一歌:……そうだね。 でも、きっと大丈夫だよ
一歌:やれることは、やり切ったから。 練習だけじゃなくて、今日までのセッティングも
穂波:……うん。このライブには、 わたし達の想いがたくさん詰まってるもんね
穂波:だからきっと、 みんなの期待に応えられるライブができると思うな
咲希:そうだよね! あとは思いっきりがんばるだけだね!
咲希:でもでも、すっっっごく感動しちゃうな! みんなでやってきたことが、こんな風に形になって……
咲希:今日は本当に、今までで一番の…… 最高のライブができちゃう気がする!
ルカ:『ふふっ。その気持ちがあれば大丈夫ね』
KAITO:『……みんな、楽しんで』
志歩:ありがとうございます
志歩:——そろそろ時間だね。いつものやろうか
咲希:待ってました~! 気合いと勇気をくれるスターピースっ♪
一歌:今回は、志歩に掛け声をお願いしようかな
志歩:……私が?
一歌:うん。 志歩がいなかったら、ここまで来れてないと思うから
志歩:……わかった。それじゃあ……
志歩:……さっき話したとおり、 このワンマンには、本当にたくさんの人が来てくれてる
志歩:このワンマンを応援してくれた人達や——
志歩:私達が前に進むための力をくれた人達……
志歩:それだけじゃなくて、 今までのライブで見たことがある人達も、たくさん来てくれてる
志歩:だから——
志歩:初めてのワンマンライブ……絶対後悔しないように、 私達の曲を聴きに来てくれた人達へ最高の演奏を届けよう
志歩:このライブはLeo/needの今までの集大成で、 未来を決める大事な一歩でもあるから
穂波・咲希・一歌:『うん!』
咲希:(今日に向けて、今までたっくさん準備してきた)
咲希:(でも、『ワンマン』っていう特別なライブができるのは、 ただアタシ達ががんばったから……だけじゃないんだよね)
咲希:(アタシ達の音楽を好きって言ってくれる人達がいたから、 ここまでこれた)
咲希:(……だからこそ、今日はそんな人達に、 アタシ達の気持ちがいっぱい詰まったステージを楽しんでほしい)
咲希:(それに——)
真堂:はい。これからも皆さんの活動を見ていって——、 もしいい機会があれば、一緒に仕事ができたらと思っています
咲希:(このライブを成功させたら、 アタシ達はプロになれるかもしれない)
咲希:(みんなが、ずっと憧れてた……、 ずっと夢だった、『プロ』に——!)
志歩:——行くよ
咲希:うん……!
一歌:皆さん、こんばんは! Leo/needで——
咲希:(す、すごい歓声……。 こんなの、聞いたことない……!)
穂波:(……今までのライブとは違う。 本当に、ここにいる人達みんなが、 わたし達だけを見に来てくれてて……)
穂波:(わたし達の音楽を……聴きたいと思ってくれてるんだ)
志歩:(これが、ワンマン……。 私達の——Leo/needのライブの空気……!)
一歌:皆さん、今日は私達の初めてのワンマンに 足を運んでくださって本当にありがとうございます!
一歌:こうして私達だけのライブができるようになるまで、 いろんなことがありましたが……
一歌:無事にワンマンを開催できたのは、 私達の音楽を好きだって言ってくれる皆さんのおかげです!
一歌:なので、これまで私達のことを応援してくれた皆さんのためにも、 今日のライブも、最高のライブにしたいと思います!
一歌:それでは、1曲目……聴いてください。 このライブのために書き下ろしてきた——
一歌:私達の、新曲——!

第 2 话:全力を出し切って

ライブハウス
志歩:(——っ、7曲目終わり……!)
穂波:(……大丈夫。 疲れはあるけど……まだ、ちゃんと叩ける)
穂波:(このまま最後まで、最高の演奏をしよう。 お客さんに、このライブが最高だったって……、 来てよかったって、思ってもらうために!)
一歌:次が、最後の曲です——
咲希:(……すごいな、みんな)
咲希:(最初はスタミナが全然足りなくて、 5曲通すのだって、難しかったのに……)
咲希:(いっちゃんの声は、いつもどおりすっごくきれいだし、 しほちゃんとほなちゃんの演奏も、 1曲目と全然変わらないくらい勢いがあって)
咲希:(ワンマンの準備も大変だったのに……、 本当にみんな、がんばったよね)
咲希:(……アタシ達の曲を聴いて、元気になってくれる人がいる。 何かを、感じてくれる人がいる)
咲希:(だから——)
咲希:(みんなに最高の演奏を届けるために—— アタシも、全力で駆け抜けてみせる……!)
一歌:——いくよ
一歌:ラスト!!!
一歌:♪————
イオリ:(久々に、この子達の演奏を見たけど…… 一歌ちゃんの力強さもバンドの演奏も、前とは段違いだな)
イオリ:(……っていうか、もうワンマンまでやれるなんて)
イオリ:(もしかしたら『プロになる』って夢、 案外早く達成しちゃうかもね)
イオリ:——まあ、大変なのはそこからなんだけど
朔:(正直、Leo/needの曲調は、私の好みじゃない)
朔:(でも演奏を聴くと、 胸の奥が揺さぶられて、感情がどんどん溢れ出して……。 この感覚が、なんか病みつきになる)
朔:(この良さがわかる人は、まだ少ないと思ってたけど……)
朔:(……意外にみんな、見る目あるね)
朔:(まあ、私は2度目の対バンの時から、 これくらいはやれるってわかってたけど)
一歌:♪————!
咲希:(いっちゃんの声、すごい……。 いつもよりビリッときて——)
咲希:(——この音に、乗っかりたいな。 そしたら、みんなの音がひとつひとつ集まっていって——)
咲希:(きっと、一番楽しくなるから!)
志歩:(咲希の音……変わった)
志歩:(これ、素の……いつもの咲希の音だ。 私達と好きな曲を合わせてる時と同じ……)
穂波:(うまくやろうとか、そんな風に考えてない……。 それなのに、この曲に咲希ちゃんの音は、すごくぴったりで)
穂波:(お客さんも——)
穂波:(……そっか、こういうことなんだね)
穂波:(わたし達の演奏はまだまだで、これだけ練習しても きっとわたし達よりうまい人はたくさんいる)
穂波:(でも、わたし達にとって…… Leo/needにとって一番大切なのは、そういうのじゃなくて)
穂波:(……今の咲希ちゃんみたいに、楽しいって気持ち。 みんなで合わせるのが、本当に好きって気持ち)
志歩:(——そうだ。だから……)
志歩:(だから、私も、みんなと一緒に——)
イオリ:——っ! この子達……
朔:————
朔:(そうだ。 理屈じゃなく、心を掴まれる……)
朔:(だから私は、Leo/needの音が——)
一歌:♪————~~!!
咲希:(アタシ達の大切な曲——もっともっと聴いてほしい)
穂波:(届いて、みんなに……。 わたし達の想いと一緒に——!)
真堂:……なるほどな
真堂:俺の見込みは間違ってなかった。 いや、むしろ——
真堂:——予想以上だ。 anemoneとのライブから、ここまで伸びるとは
真堂:あの時、声をかけておいて良かったな。 今日のライブを他の会社のやつらが見てたら、きっと……
一歌:♪————~~!!
真堂:——これから忙しくなりそうだ

第 3 话:未来の行く末

バックステージ
リン:『みんな、お疲れ~っ! ライブ、すっごくすっごくよかったよ!!』
ミク:『うん、最高だった。 この前の対バンもよかったけど……』
ルカ:『今日は、あの時よりみんな楽しそうで 見ているだけで熱くなったわね』
KAITO:『……うん。 俺も、ギター弾きたくなった』
MEIKO:『お客さんもすごく楽しんでくれてたよね』
レン:『みんなの想いが届いた、いいライブだったな』
咲希:えへへへっ、みんながそう言ってくれてよかった!
穂波:わたし達も、すごく楽しかったよね。 特に最後の曲の時は、なんだかワクワクして……
一歌:わかる。いつも最後の曲って少し緊張するけど、 今日は本当に、ただ楽しいって気持ちが溢れてきて
一歌:このまま終わっちゃうのが残念だなって……、 みんなと演奏するこの時間が——お客さんとの時間が、 もっともっと続いたらいいのにって思った
志歩:……うん。 あの感覚は、味わおうと思っても味わえないよね
穂波:……本当に、大成功だったね
咲希:——うん! ワンマンってこんなに楽しいんだね!
咲希:準備はすっごく大変だったけど、 これからも、いっぱい——
???:皆さん、お疲れさまでした
穂波:あ……
一歌:真堂さん……!
リン:(わわわっ……!)
レン:(おいリン、早く隠れるぞ!)
志歩:今日は来てくださって、ありがとうございました。 それで……
志歩:……どうでしたか? 私達のワンマンライブ
真堂:ええ、それを伝えようと思って寄らせてもらったんですよ。 率直に言って——
真堂:——いいライブでした
咲希:…………!
真堂:この前の望月さんの言葉に 説得力を感じたパフォーマンスでしたよ
穂波:わたしの……?
真堂:ええ。初めてのワンマンということもあって、 粗削りな部分はあったとは思います。それでも……
真堂:今日のライブは、ありのままのあなた達だからこそ できたものだと感じさせられました
穂波:あ……
穂波:一歌ちゃんの歌詞も、志歩ちゃんの演奏もそうです。 たくさんの人の心に響かせたいっていう想いが 一番に入ってるんです
穂波:プロになるためには必要な気持ちじゃないかもしれません。 でも……
穂波:わたしは——わたし達の中にあるこの気持ちを、 絶対に大切にしたいんです
穂波:そう、ですか……
穂波:今日のライブを見てそう感じてくださったなら、 とても嬉しいです
咲希:あっ……あの……、 それでアタシ達は、これから、その……
真堂:——ひとまず、私は今日はこのまま帰ります
穂波:え……
真堂:ですが——
真堂:また今度、改めて。 いい話ができることを期待していてください
一歌:あ……
咲希:は、はい……!
咲希:よろしくお願いしますっ……!
一歌:……ね、ねえ。 今の、真堂さんの言葉って……
咲希:もしかしてもしかしてもしかしちゃう、ってことだよね~!?
志歩:ちょっと落ち着きなよ、咲希。 まあ、でも……
志歩:期待できそうな感じではあったよね。 私達も、今日のライブは手ごたえあったって思ってるし
穂波:そうだよね。まだどうなるかわからないけど……、 いい話って言ってたし、ちょっとソワソワしちゃうな
咲希:うんうん! だって今の真堂さんの言葉が本当なら、アタシ達——
咲希:本当に……、 本当にプロになれるかも——
イオリ:お疲れさま。今大丈夫?
咲希:あっ、イオリさん……と朔さん!
朔:今日は招待ありがと。 まあ、招待されなくてもチケット買ってたと思うけど……
朔:……いいライブだったよ。 特に最後、また進化したなって感じがした
イオリ:そうだね。 ラストは本当、いい意味で驚いたな
イオリ:みんなの演奏、すごく楽しそうで…… これがLeo/needの音楽なんだって、心に響いてきた
一歌:……おふたりからそう言ってもらえるなんて、 すごく嬉しいです
咲希:っていうか……もしかしてイオリさんと朔さんって、 知り合いだったりするんですか?
朔:ううん。 ライブ終わって初めて顔合わせた
イオリ:anemoneのことは知ってたし興味あったから、 私から声かけたんだ
イオリ:そしたら高坂さんも私達のこと知ってるって言ってくれて、 そのまま話が盛り上がってさ
イオリ:せっかくだから一緒にみんなのとこ挨拶に行こうってなって、 今に至るってわけ
志歩:そうだったんですね
一歌:(私達の音楽で、人と人がつながっていく……)
一歌:(……なんか、いいな)
イオリ:ていうか、知り合いっていえば、さっきすれ違ったおじさん。 この辺のライブハウスでよく見るけど、 どこかのレコード会社の人じゃない?
朔:へえ、そうなんだ。 ここまで入ってきてるってことは、みんなの知り合い?
一歌:あ、それは……
穂波:ええと……話しても大丈夫かな?
志歩:いいんじゃないかな。 ふたりになら、これからのことについて アドバイスもらえるかもしれないし
イオリ:なに? なにか言いにくいこと?
穂波:あっ、そういうわけじゃないんです
咲希:その……、実は、アタシ達——

第 4 话:プロとしての意識

バックステージ
朔:——じゃあ、このワンマンって、レーベル所属がかかってたんだ
イオリ:今日のライブ見たら、声かけられるのも納得って感じだけど、 ここまで早いとは思わなかったな
咲希:あっ、でも、まだ決まったわけじゃないです! 連絡を待ってる状態で……
朔:でも、さっきのおじさんが期待しててって言ってるなら、 ほとんど確実って感じじゃない?
イオリ:まあ、いざ蓋を開けてみたら残念……って場合もあるし、 期待しすぎもよくないと思うけど
イオリ:でも、レコード会社の人の目にとまってるのは事実だし、 遅かれ早かれプロデビューはできそうな気がするね
穂波:だ、だといいんですけど……
朔:でも、Leo/needもデビューってなったら、 なんか面白いね
朔:こういうの、同期っていうんだっけ? 時期が同じだったら、たぶんそんな感じになると思うし……
朔:その時はライバルになるんだ
一歌:えっ……ライバル? それに、同期って……
咲希:もしかして、anemoneもプロデビューするんですか!?
朔:え、言ってなかったっけ?
志歩:……知らなかった。 いろんな会社に声かけられてるとは聞いてたけど、 どこに所属するかは決めてないと思ってたし
朔:たしかに、変なところに所属するくらいなら プロになんてならなくていいって思ってたよ
朔:ビジュアルで売り出そうとか言ってきたとこもあったけど、 そういうのは、うちのスタンスとは違うし
朔:でも、いろいろ話をする中で、ひとつだけいいとこがあったんだ
朔:そんな大きな会社じゃないんだけど、 私達がやりたい音楽を好きにやっていいって言ってくれて
朔:この会社ならいいかなって思って……、 先週だったかな。契約書にサインしてきた
咲希:そ、そうだったんですね……
イオリ:ってことは、ここにいる全員、プロってわけだ
志歩:私達はもし所属できたとしても、インディーズなんですけど
イオリ:今、メジャーもインディーズも変わんないでしょ。 やることは変わらないし、あとは自分達次第だよ
咲希:自分達次第……
イオリ:うん。レコード会社に所属したら 今までより、やれることがたくさんあるからね
イオリ:例えば……今回のワンマンって開催大変だったでしょ? 会場おさえるのもチケット売るのも、 全部自分達でやらなきゃいけないし
一歌:……そうですね
穂波:(今回は、いろんな人に協力してもらえたから、 なんとかできたけど……。 全部自分達でやろうとしてた時は、本当に大変だったな)
イオリ:でも、レーベルに所属すれば そういうことは全部会社に任せられるし、 私達は音楽だけに集中できる
穂波:あ……
イオリ:ライブでは、いいハコをおさえてくれたり、 演出とかにも実績あるスタッフつけてもらえたりするし
イオリ:曲にあうMV作ってもらえたり、 ラジオのちょっとした枠もらえたりとか——
イオリ:もしかしたら、テレビに出れる機会もあるかも
咲希:テレビっ!?
イオリ:まあ、ひっくるめて言うと単純に露出が増えるよね
イオリ:その分、いろんな人に自分達の曲が届いて……、 それが実感できた時は、すごく嬉しいって感じると思うよ
穂波:わたし達の曲が、今まで届かなかった人達にも 聴いてもらえたら、嬉しいよね……!
志歩:……そうだね。 やっぱり、私達の音楽でたくさんの人の心を揺さぶりたいし
咲希:それにそれに、テレビにも出れちゃうなんてすごいよね! アタシ達の曲が、いろんな人の家で流れちゃうんだ!
一歌:でも、テレビなんて……。 ちょっと、緊張しちゃうかも……
志歩:ちょっと気が早くない? まだ本当に所属できるかも決まってないのに
一歌:も、もしもの話だから! そういうことになったらどうしよう、って——
朔:でも、そんなに夢いっぱいでもいられないと思うよ
咲希:え……
朔:もちろん、やれることが増えて楽しいのは事実だと思うけど
朔:でも、そこからは『私達次第』。 バンドとして生き残るためには、現実と戦わないと
穂波:現実と……
咲希:ど、どういうことですか?
イオリ:そうだね——
イオリ:今までは自分達の好きなように音楽をやってこれたでしょ? ライブやるのも新曲出すのも、好きなタイミングでやれたし
イオリ:でも、プロになるとそうはいかなくなる。 レコード会社にとって私達はビジネスパートナーだから
志歩:……会社から提示された条件で 活動していく必要があるってことですよね?
イオリ:っていうか、売れるためにできることを 常に考えなきゃいけないってことだね
イオリ:こういうのって、すごく嫌な話に聞こえるかもしれないけど、 プロになるっていうのはそういうことなんだよ
イオリ:私達は、レーベルに売れる音楽を提供する。 レーベルは、私達の音楽を売るために最大限のことをしてくれる
イオリ:それがさっき言った宣伝だったり、 ライブのハコだったり演出だったりするわけで……
イオリ:つまり私達プロのアーティストとレーベルっていうのは、 『売り上げ』を軸にして関係が成り立ってるんだ
穂波:あ……
真堂:そして……売れる可能性が低いバンドを 所属させるわけにはいきません。 こっちも仕事なので
穂波:……もしも売れなかったら、どうなるんですか?
穂波:所属の契約を解消されてしまうとか……
朔:そういう場合もあるかもね
朔:……ていうか、むしろそうなったほうが、 売れないアーティストにとっては幸せかも
穂波:え……
イオリ:そうだね。アーティストにとって一番つらいのは、 売れないことが自分達だけの問題じゃなくなることだと思う
イオリ:レーベルが『このバンドは売れる!』って信じてくれて、 お金や時間を使ってたくさん宣伝をしてくれたとしても、 売れないことはあるから
イオリ:その時は会社の人とか、代理店の人とか—— いろんな人達に申し訳ないって気持ちが大きくなると思うよ
咲希:あっ……
咲希:(そっか、アタシ達がプロになっても売れなかったら……)
咲希:(アタシ達の音楽をいいと思って声をかけてくれた真堂さんにも、 迷惑をかけちゃうかもしれないんだ……)
イオリ:——とまあ、先輩風吹かせちゃったけど。 プロになるっていうのは、自分達の音楽のために 他人の人生も巻き込んでるってことなんだよね
イオリ:だから、その意識はみんなで持っておいたほうがいいよ。 いざプロになった時、そのへんで揉めるバンドって結構多いから
穂波:揉める……?
朔:そういえば、ついこの前もそういう話聞いたな
朔:ボーカルは売れる音楽をやりたいって思ってたけど、 ギターとベースの子はそういうのはあんま意識してなくて、 ただ楽しく音楽をやりたかっただけなんだって
朔:で、結局その意識の差をきっかけに、 いろんなことがうまくいかなくなって解散したみたい
朔:結構、メンバーの仲がいいって有名なバンドだったんだけどね
イオリ:まあ、正直よく聞く話だよね
イオリ:……うちも、そうなりかけたし
咲希:そう……なんですね
朔:でも、絶対なのは『音楽を届けたい』って気持ちじゃない? バンドって、そのための集まりなわけだから
咲希:そのための……集まり?
朔:もちろん、メンバー同士仲が良いのはいいことだと思うけど、 それってバンドの本質じゃないでしょ?
朔:私達が一番にやるべきなのは、 『自分達の音楽をたくさんの人に聴いてもらう』ことだし
咲希:それは……そう、ですね
咲希:(アタシも、Leo/needの音楽を たくさんの人に聴いてもらいたいと思ってる)
咲希:(でも——)
志歩:……うん。 私達は、たくさんの人達の心に響くような音楽をやりたくて、 そのためにプロになろうと思ってたんだから
志歩:その気持ちは絶対だし、忘れようもないけど…… これからもしっかり胸に刻んで活動していこう
一歌:そうだね。いい曲や歌詞を作って—— 誰かの心を打てるように、もっと頑張らないと
咲希:あ…………
咲希:(たしかに……たしかにアタシも今までずっと、 お客さんの心を響かせられるような音楽をやりたいって、 そう思ってやってきた)
咲希:(でも……でも、なんだろう……)
朔:私達が一番にやるべきなのは、 『自分達の音楽をたくさんの人に聴いてもらう』ことだし
咲希:(……一番、って言われた時、アタシは……)
一歌:大きなライブハウスって、 今までよりいい音でやれたりするのかな?
志歩:機材によると思うけど……いい音が出るなら その分ごまかしもきかないだろうから、しっかり弾き込まないと
穂波:そういう場所でやれるようになるまでに、 今まで以上に練習頑張らないとね
咲希:(……これで、いいのかな)
咲希:(このままプロになれたとしても、今のままで、アタシは……)

第 5 话:『一番』持つべき気持ちは

スクランブル交差点
一歌:ワンマン成功したのもそうだけど、 イオリさんと朔さんから話聞けてよかったね
穂波:うん。 本格的に一歩進んだ感じがするね
志歩:あとは真堂さんから連絡が来るのを待つだけか
一歌:いつぐらいになるんだろうね。 あの感じなら、そんなに遅くならなそうな感じだけど——
一歌:……咲希? なんかいつもより静かだけど、どうかしたの?
咲希:あっ……
咲希:え、えーっと……実はみんなの話を聞いて、 ちょっと怖いなあって思っちゃって……
一歌:怖い?
志歩:……どうして?
咲希:あ、えっと、たいしたことじゃないんだけど……
咲希:さっき朔さんが、 『バンドにとって一番大事なのは、音楽を届けたいって気持ちだ』 って言ってたでしょ?
咲希:アタシも、今までそういうつもりで曲を作ってきたし、 ライブも『みんなに届け~!』って想いでやってきたよ
咲希:でも……それが一番かって言われると……
咲希:……アタシはそれより、もっと大事にしちゃってることが あるかもって、思っちゃったんだ
穂波:それって……
咲希:……アタシにとっての一番は、 『みんなと一緒に音楽をやること』なんだろうな……って
咲希:でもでも、みんなは朔さんの言うとおり 『音楽を届けたい』が一番!って感じだったでしょ!?
咲希:だから……アタシはこれでいいのかなって
咲希:こんな気持ちでプロになって大丈夫かなって—— ちょっと、怖くなっちゃったんだ
一歌:そうだったんだ……
穂波:……でも、咲希ちゃんの気持ち、わかるな
咲希:えっ……
一歌:うん。 ていうか、みんなそうなんじゃないかな
志歩:そうだね。みんな咲希と同じように 『この4人で一緒に音楽をやりたい』って気持ちがあるし——
志歩:『怖い』って気持ちも、持ってると思うよ
咲希:……本当?
志歩:正直、デビュー後のことなんて、想像つかないし、 どれだけ話を聞いたとしても、 体験してみないとわからないことばっかりだしね
志歩:……朔さんが言ってたように、 『音楽を届けたい』を一番に考えるのが正解なのかもしれないし
志歩:『みんなと一緒にやりたい』って一番に考えるのは、 もしかしたら間違ってるのかもしれない
咲希:……うん……
志歩:私にとっては、どっちも同じくらい大切だけど、 何が正しいかなんて、 進んでみないとわからないことだと思うし——
志歩:私は、みんなのこと信じてるから
咲希:え……
志歩:みんなそれぞれ、違うことで 『怖い』って気持ちを持ってると思うけど、 それって今は解消しようがないでしょ
志歩:もちろん、悩んだら話を聞くし、私にできることなら力になる
志歩:でも、この怖さだけは…… みんなそれぞれが折り合いをつけるしかないと思うんだ
志歩:——それに私は、みんななら、 乗り越えて進む力があるって信じてる
志歩:だから、大丈夫だって思うよ
咲希:しほちゃん……
穂波:……たしかに、そうだね
一歌:うん。やっぱり不安はあるけど…… これって、実際そういう状況になってみないとわからないもんね
一歌:……私も、『音楽を届けたい』も『みんなと一緒にいたい』も、 どっちも持ってるのは大事だと思う
一歌:私達にとっては、どっちも大切なものだから
咲希:みんな……
咲希:(たしかに、みんなの言うとおりかも)
咲希:(今、答えがわからないことに悩んでてもしょうがないよね)
咲希:(それに……『怖い』って気持ちはみんな同じなんだ。 だったら——)
咲希:ありがとう、みんな。 なんだか、楽になった気がする!
咲希:(——アタシの『怖い』って気持ちも、 ちゃんと折り合いをつけて、前に進もう)
咲希:(進んで……プロになるんだ!)
数日後
宮益坂女子学園 1年C組
咲希:ふう~、やっとプリント運ぶの終わった~!
咲希:もー。昼休みなのに、先生ってば人使い荒いなぁ
咲希:(……そういえば、もうワンマンから1週間くらい経ったっけ)
咲希:(でも、真堂さんからはまだ連絡ないなあ。 あの時はすぐメッセージとかくれそうな感じあったけど……)
咲希:(……もしかして、所属ダメになっちゃったとか……?)
咲希:(そ、そんなわけないよね。 真堂さんだって忙しいだろうし、まだ連絡くれてないだけで——)
咲希:えっ、このタイミングでメッセージ!? もしかして——
メッセージ:『咲希、どこにいるの? みんなそろってるから先食べちゃうよ』
咲希:な~んだ、しほちゃんかあ……
咲希:今日はみんなと一緒に お昼食べようって話してたんだったよね
咲希:早く行かなくちゃ!

第 6 话:いざ目の前にしたら

宮益坂女子学園 中庭
咲希:みんな~、おまたせ! 遅くなってごめ——
穂波:あ、咲希ちゃん!
一歌:来た、咲希!
志歩:メッセージ見た?
咲希:メッセージって、さっきのしほちゃんの 『先食べちゃうよ』っていう……?
志歩:そんなどうでもいいのじゃなくて、 そのあとの、真堂さんの
咲希:真堂さんの…… って、もしかして……
一歌:そう、連絡くれたんだよ。 それで——
一歌:デビューについて打ち合わせしたいって!
咲希:え……っ
一歌:もしかしたら、って思ってはいたけど…… いざ本当に連絡もらえると、びっくりするよね!
穂波:これでわたし達も、本当にプロになれるかもしれないんだね……!
志歩:……私達の音楽を認めてもらえて、本当によかった
咲希:や……やった~っ!
咲希:アタシ達、ホントにデビューできるんだ!!
穂波:……早く返事しないとね。 打ち合わせの日程は——
咲希:(……やっぱり、まだ怖いな)
咲希:(真堂さんから連絡くるの、ずっと待ってたはずなのに。 ホントに所属が決まって嬉しいはず、なのに……)
咲希:(……みんなと話して、 折り合いつけて前に進もうって決めたのに……)
志歩:——それに私は、みんななら、 乗り越えて進む力があるって信じてる
志歩:だから、大丈夫だって思うよ
咲希:(どうしたらいいんだろ……)
スクランブル交差点
志歩:じゃ、今日もお疲れさま。 また明日ね
咲希:うん、バイバーイ!
咲希:(……所属についての打ち合わせ、週末かあ)
咲希:(アタシ、大丈夫なのかな……。 その頃には、怖いって気持ちなくなってる……?)
咲希:(怖いのはみんな一緒って言ってたし、 時間が経てばこの気持ちもなくなるかもって思ってたけど……)
咲希:(……そんなわけ、ないよね)
咲希:(不安だけど……。 やっぱり、このまま進むしかないのかな——)
???:——ん? 天馬さんじゃないですか
咲希:え……
真堂:偶然ですね。 もしかして、そこのスタジオの帰りですか?
咲希:し……真堂さん!
咲希:えっと、たしかにスタジオで練習してました。 お昼に真堂さんからメッセージもらって——
咲希:みんな、本当に所属できるんだ~って、すごく喜んでて! 今日の練習にも力が入ったんですよ!
真堂:へえ、そうだったんですか。 前向きに検討いただけてるようで、嬉しいです
咲希:前向きも前向きです! だって、プロになるのはみんなの夢だったので
咲希:みんな、週末の打ち合わせも楽しみだって——
真堂:それで、天馬さんはどうなんですか?
咲希:…………えっ?
真堂:『みんな』は喜んでくれてるみたいですが——
真堂:天馬さんの気持ちは、どうなのかなって
咲希:アタシ……
咲希:あ……アタシだって、嬉しいです! だって、アタシもみんなと同じ夢を持ってて——
咲希:ずっと——ずっと、プロになりたかったから……、 えっと、その……
咲希:たくさんの人に、『音楽を届ける』ために——……
真堂:…………
真堂:……よかったら、ちょっと話しませんか?
咲希:えっ?
真堂:まだ条例に引っかかる時間でもないですし、 1杯おごりますよ
咲希:ええっ!? アタシ、未成年ですよ!
真堂:ははは、もちろん酒じゃないですよ。 お茶です、お茶
咲希:で、でも……、 お金出してもらうの悪いし……
真堂:会社の金なんで気にしないでください。 それに——
真堂:何か不安に思ってることがあるのなら、 力になれるかもしれませんから
咲希:あ……
咲希:(たしかに、真堂さんなら 今まで同じような人達をたくさん見てるだろうし、 どうしたらいいか教えてくれるかな……)
咲希:(……でも、こんなこと聞いて、 『後ろ向きなやつだな! やっぱ所属はなし!』 って思われたらどうしよ~!)
真堂:じゃ、行きましょうか
咲希:あっ……!?
咲希:ま、待ってください……!
ファミリーレストラン
真堂:……なるほど
真堂:天馬さんは『音楽を届けたい』より 『みんなと一緒にやりたい』という気持ちが強くて——
真堂:それで本当に大丈夫なのか不安になって、 レーベルに所属するのを怖いと思ってる、ってことですね
咲希:は、はい……
咲希:(ううっ……なんか真堂さんには誤魔化せる気がしなくて、 全部話しちゃったけど大丈夫だったかな……)
真堂:まあ、率直に言って——
真堂:日野森さんが言ってるように、 『みんなと一緒にやりたい』って気持ちで問題ないと思いますよ
咲希:あ……
咲希:そ……そう、ですよね……
真堂:——とはいえ、そう言われただけじゃ 天馬さんは納得できなかった、という話ですよね
咲希:……! それは……
真堂:……少し、昔話をさせてもらいましょうか
咲希:昔話?
真堂:ええ
真堂:昔、ちょっとだけ界隈で話題になった……、 どこにでもいるバンドの話です

第 7 话:『昔話』

ファミリーレストラン
咲希:どこにでもいるバンドの話、って……
真堂:そのバンドは天馬さん達と似ていて——
真堂:学生の頃に仲が良かった奴らが集まって 始まったバンドだったんです
咲希:え……
真堂:で、これもLeo/needと同じなんですが、 学生のうちに声をかけられてデビューして……、 まあ、そこそこ売れました
咲希:わ……すごいですね!
真堂:運がよかったってのもあるんでしょうけどね。 でも——
真堂:技術面で言えば、 ギターボーカルとベースの力が大きかったんです
真堂:もちろん、周りもそれを理解してたので、 デビューして露出が増えてきて、いよいよこれからって時に——
真堂:——引き抜きがあったんです。 ギターボーカルとベースのふたりをそのバンドから抜いて、 別のバンドとして再デビューさせたいって
咲希:そんな……
真堂:声をかけてきたのは、トップアーティストを ゴロゴロ抱えてるような巨大事務所でした
真堂:誘いに乗れば宣伝もガンガン打ってくれるだろうし、 最初の条件として夏フェスへの参加も約束するって話で……
真堂:今考えても信じられないくらいの好待遇ですよね。 それに、そういう事務所に移籍すれば——
真堂:——今までよりも、たくさんの人に『音楽を届ける』ことができる
咲希:あ……
咲希:で、でも……。 その誘いに乗ったら、仲が良かったバンドは……
真堂:解散になりますね
咲希:——っ
咲希:そんなの……、 そんなの、アタシだったら……
真堂:ベースの男も、天馬さんと同じ考えでした
真堂:だから、『音楽を届ける』ことより 『みんなと一緒にやること』を選んだんです
咲希:やっぱり……!
真堂:でも——
ベース:っ……、なんで……
ベース:なんでだよ! だって、俺達の音楽は——
ギターボーカル:本当に——すまない
真堂:ギターボーカルは、そのバンドでやることより、 移籍して自分の音楽を届けることを選んだ
咲希:…………!
真堂:もちろん、元のバンドは解散になった。 そして——
真堂:そのギターボーカルも、 そのあとどうなったか、よくわからない
咲希:えっ、それって……
真堂:まあ、いろいろと要因はあると思いますが——
真堂:彼の音楽は、元のバンドだったからこそ輝いていたもので、 場所を変えたら変わってしまったというのもあるんでしょうね
咲希:あ……
真堂:結果的に、そのバンドはすべてを失ってしまった
真堂:だから、俺——私は、思うんです
真堂:『音楽を届ける』って気持ち——
真堂:そして、奇跡的に出会えた仲間達と 『一緒にやっていきたい』って気持ち
真堂:バンドにとって大切なのは、そのふたつの比重じゃなく——
真堂:そのどちらも、失わないことだと
咲希:どちらも、失わないこと……
真堂:その点、天馬さんはしっかりどちらも持っている
真堂:だから、怖がることなんてないと思いますよ。 それに——
真堂:『みんなと一緒にいたい』って気持ちの強さと、 『音楽を届けたい』って気持ちの強さ……
真堂:その絶妙なバランスが、 今のLeo/needの音楽の本質だと思うんです
真堂:そして、そんな皆さんの音楽を、 私は好きだと思って声をかけさせてもらった
真堂:——だから、大丈夫ですよ
咲希:真堂さん……
咲希:(……真堂さんの、言うとおりだな)
咲希:(大事なのは、『どれが一番か』じゃなくて、 どっちの気持ちも大切にすることなんだ)
咲希:(それに、アタシの気持ちの強さも、 みんなの気持ちの強さも、Leo/needの音楽の一部……)
咲希:(それなら……)
咲希:(それなら、アタシは——)
真堂:……っと、もうこんな時間ですね
真堂:中年の長話を聞かせてしまいましたが、 少しは楽になれましたか?
咲希:……はい
咲希:アタシの中で、ちゃんと納得できました
真堂:……それはよかった
真堂:では週末、改めて。 お会いできるのを楽しみにしていますよ

第 8 话:アタシ達らしい音楽を

教室のセカイ
リン:えーっ、それじゃあ、本当に所属できるかもしれないの!?
咲希:うん! 今週末、みんなで事務所に打ち合わせにいくんだ!
ミク:すごいね。 本当にプロになるって夢が叶うかもしれないんだ
レン:まあ、ワンマンの成功からして納得って感じだけどな
ルカ:本当に。 嬉しい話が聞けてよかったわ
MEIKO:みんな、報告しにきてくれてありがとうね
一歌:お礼を言われるようなことじゃないよ。 みんなには、いつも助けてもらってるから
KAITO:……でも、週末ってもうすぐだね
咲希:ドキドキしちゃいますよね! 事務所に行くのもちょっと緊張しちゃうし!
咲希:どんな格好で行ったらいいかな? スーツとか着るべき!?
一歌:気合い見せるためにはいいと思うけど…… スーツはちょっと違う気がするな
穂波:逆に浮いちゃいそうだよね
咲希:えーっ、そっかあ……。 じゃあ、いつもの服で大丈夫かな?
志歩:ていうか……咲希、吹っ切れたんだね
咲希:えっ?
志歩:ワンマンのあと、 『プロになるのがちょっと怖い』って言ってたでしょ
志歩:でも今の咲希は、 そういうの全然感じてないみたいに見えるから
咲希:あ……
咲希:……うん。 ちょっと前——本当に少し前まで引っかかってたんだけど、 もう大丈夫なんだ
咲希:しほちゃんが言ってたみたいに、 ちゃんと自分の中で折り合いつけられたよ!
穂波:……ふふっ。 咲希ちゃんも乗り越えられたんだね
咲希:うん! みんなもちゃんと乗り越えてるのに、 アタシだけ悩んでるわけにはいかないからね!
咲希:だから今は……プロになるのが楽しみなの
咲希:イオリさんや朔さんが言ってたみたいに、 今までできなかったことが、きっとたっくさん待ってるから!
MEIKO:咲希、いい顔してるね
咲希:えっ? そ、そうですか?
MEIKO:うん。咲希の顔見てると、みんなは—— Leo/needは、この先何があっても大丈夫だって思えるよ
MEIKO:ワンマンも…… 本当に聴いてる人の心に響く、いいライブだったと思う
MEIKO:それは音に、みんなのありのままの気持ちが 乗ってるからだって思ったんだ
咲希:アタシ達の、ありのままの気持ちが……
穂波:たしかに、特に最後の曲の時は、 何も考えずに楽しもうって思って演奏したよね
一歌:うん。 あの時、咲希の音がちょっと変わった気がしたんだ
一歌:それで——そっか、うまくやろうとしなくていいんだって…… この『演奏が楽しい』って気持ちが、私達の音楽なんだって思った
一歌:そう思ったら気持ちがすごく楽になって—— ただ純粋に、演奏と歌を楽しむことができたよ
咲希:いっちゃん……
志歩:……正直、あの時の演奏技術って 前にanemoneとライブした時のにも達してなかったと思うけど、 お客さんはいつも以上にノってくれてたよね
MEIKO:……そうだね。 音楽って、技術だけじゃないところがあるから
MEIKO:あの時みんなが曲に乗せた感情—— 『みんなと演奏するのが楽しい』って気持ちは、 とても心に響くものだった
MEIKO:だから私は、改めてLeo/needが好きだと思ったし——
MEIKO:これから、大きな一歩を踏み出しても、 今のみんなの気持ちを忘れてほしくないと思ったんだ
咲希:メイコさん……
MEIKO:これからも頑張ってね。 私達はいつだって、みんなの味方だから
咲希:っ……
咲希:ありがとうございます!
ミク:これから、みんなの曲を、 もっとたくさんの人達に聴いてもらえるようになるんだ
ミク:——楽しみだね
数日後
ソリス・レコード事務所
志歩:……この度はお声がけいただきありがとうございます。 それで、所属の件ですが……
真堂:はは、そんな構えないでください。 これから私達は一緒にやっていく仲間になるんですから
一歌:一緒に……
真堂:ひとまず契約条件に関しては、 契約書の読み合わせをしつつ確認を行っていこうと思います
真堂:ちょっと長丁場になるので、 覚悟しておいていただけると
穂波:は、はい、大丈夫です
真堂:で、そんな長々とした説明ののち、 皆さんでその契約条件でいけるか揉んでもらいまして……
真堂:皆さんは未成年なのでいったん家に持ち帰っていただき、 保護者の方にも見てもらってください
真堂:もし、そこでご両親から質問などが出たら、 私の連絡先を共有していただいて大丈夫なので、 直接連絡もらえればと思います
穂波:……わかりました
真堂:そういう細かい確認に 時間をいただくことにはなりますが——
真堂:大丈夫であればサインをいただいて、 その後、正式にうちの所属アーティストとなります
真堂:なので、まずはひとつずつ、条項を確認していきましょうか
志歩:はい、よろしくお願いします
真堂:では、契約書の原本をお渡ししますね。 これに——
咲希:わ~、文字びっしりだ~! これ読むの、たしかに時間かかりそうですね!
咲希:でも、これに大事なこといっぱい書いてあるんですもんね! がんばって読まなくちゃ!
一歌:ちょ、ちょっと咲希……
真堂:はは、それぐらい気楽でいてくれていいですよ。 そのほうが、こっちもやりやすいんで
真堂:というか、この契約が成立すれば、 私——いや
真堂:俺が皆さんの世話係みたいなものになるんで、 まあ、楽にしてください
一歌:よろしくお願いします
咲希:(この契約書にサインしたら、 本当にアタシ達、レーベルに所属できるんだ)
咲希:(所属できて—— 今までずっと夢だった、プロになれる)
咲希:(……きっと、この先いろんなことがあるはずだよね。 楽しいこととか、大変なことも、いっぱい——)
咲希:(でも、アタシはもう迷わない。 『怖い』って気持ちも……もう、大丈夫)
咲希:(『音楽を届けたい』って気持ちも 『みんなと一緒にいたい』って気持ちも、大事にする)
咲希:(そうすれば、きっと大丈夫なはずだから)
咲希:(……がんばろう、この先も)
咲希:(アタシ達らしい—— Leo/needらしい音楽を、届けられるように!)