活动剧情

船出の前のワンデイトリップ

活动ID:94

第 1 话:最後かもしれない遠足へ

宮益坂女子学園 1年C組
先生:さて、今度の遠足のスケジュールについて説明します
先生:集合は関内駅に9時、そこから開港史料館に行って、 12時からは自由行動となります
先生:このあと5人組の班を作ってもらいますので、 当日はその班で行動してください
咲希:わ~、横浜だって! 自由行動、どこ行くか悩んじゃうね!
遥:横浜っていうと、中華街とかかな? 他にもいろいろありそうだよね
咲希:うんうん! 中華まんとかごま団子も食べたいな~! あと、みなとみらいのほうもきれいなんだよね!
咲希:みんなで写真いっぱい撮りたいな~!
遥:(遠足か……)
遥:(普通科に来てから、体育祭や文化祭、臨海学校…… いろんな行事に参加してきたな)
遥:(……でも——)
遥:私も、単位制に戻ることにしたんだ
遥:やっぱり、たくさんの人に希望を届けるためには、 それが一番いい方法だと思うから
遥:(私は近いうちに……また、単位制に戻るんだ)
遥:(だからもう、こういうことに参加できるのは 今回が最後になるかもしれないな)
先生:それじゃあ、あとの進行は——学級委員の星乃さん、お願いね
一歌:はい、わかりました
一歌:というわけで、早速ですが、 今から自由に五人一組の班を作ってもらいます
一歌:あと、今回の遠足では、自由時間は班行動になります。 そのため、各班で行動計画表を提出してもらいます
一歌:行動計画表は、なるべくHRの時間に作成して提出してください
咲希:了解しました! 学級委員どの!
一歌:計画表の用紙やガイドブックは前に置いてあるので、 そろった班から持っていってもらって大丈夫です
一歌:では、今から班を組んでください。 人数は5人を厳守するようにお願いします!
咲希:はーい!
遥:(えっと、誰と班を組もうかな——)
咲希:はるかちゃん、いっちゃん! 一緒の班になろ~!
遥:えっ?
咲希:も、もしかして誘うの遅かった!? もう約束してる子がいるとか……
遥:あ……
遥:ううん、そんなことないよ。 私でよければ、一緒に回りたいな
咲希:ホント!? よかった~!
一歌:一緒に楽しもうね、桐谷さん
遥:うん、私も今から楽しみだな
遥:でも、5人で一組ってことは、あとふたり必要だよね? どうしようか……
咲希:あ、はいはいっ! アタシから提案があります!
咲希:もしよかったら、ソフトテニス部の子達誘ってきてもいいかな? 向こうはふたりだから、ちょうど5人になれるかも!
遥:うん。私は大丈夫だよ
一歌:私も。咲希、ありがとう
咲希:やった~! じゃあ聞いてくるね、ちょっと待ってて!
咲希:おまたせ! ふたりあいてたから、これで5人の班になったよ!
咲希:こちらがソフトテニス部仲間の、そのちゃんといのっちです!
一歌:改めて紹介しなくても知ってるってば
遥:ふたりとも、よろしくね
園田:うん! よろしく、桐谷さん!
井上:桐谷さんと一緒の班になれるなんて夢みたいだな~。 一緒に楽しもうね!
一歌:じゃあ早速、行動計画を考えようか。 私、記入用紙とガイドブック持ってくるよ
咲希:オッケー、いっちゃんよろしく! じゃあ、ちょっとこの辺の机貸してもらっちゃおっか
井上:そうだね。机寄せて寄せて!
園田:わわっ、危ないよ~
遥:(……ふふっ。 なんだか、にぎやかな遠足になりそうだな)
咲希:よーし、自由行動のコース! みんなで決めていこ~っ!
みんな:『おー!』

第 2 话:楽しい遠足会議

宮益坂女子学園 1年C組
遥:えっと……自由時間は12時からで、 17時までの予定を考えればいいんだよね
園田:5時間もあると、結構いろんなところ回れそうだね!
一歌:ただ、帰りは解散前に集合することになってるから、 あんまりカツカツに予定を詰めないほうがいいと思うな
遥:じゃあ、17時の集合時間に間に合うように 少し余裕のある予定にしようか
遥:天馬さんは、どこか行きたいところとかある?
遥:天馬さん?
咲希:……このお店が肉まん食べ放題で…… こっちの通りに行ったら飲茶コースも……
一歌:咲希ってば、聞いてる?
咲希:ほえっ!? き、聞いてる聞いてる!
咲希:時間いっぱい楽しめるコースを考えるから、 このアタシにどーんと任せてよ!
井上:も~、全然聞いてないじゃん。 あんまりカツカツに予定詰めちゃうとダメだって話してたの
遥:まあ、気持ちはわかるけどね。 ガイドブックってつい集中して読んじゃうし
咲希:えへへ、こういうの読んでると いろいろ気になっちゃって……
咲希:しかも……見て! このお店の桃まん、かわいくない!?
遥:本当だ、ちっちゃくて可愛いね。 見た目は桃の形で、中にカスタードが入ってるんだ
井上:しかも食べ放題なの!? いくらでも食べられちゃいそう!
咲希:でしょでしょ! みんなで何個いけるか競争しちゃおうよ!
遥:ふふ、面白そうだね
遥:でも、そんなに食べたら 他のものが食べられなくなっちゃわない?
咲希:あ、そっか……。 せっかくだから、いろんなもの食べてみたいもんね
一歌:それなら、中華街以外も見てみようよ。 みなとみらいのエリアとかどう?
咲希:さんせーい! そっちはオシャレスポットが多いよね! どっかいいところあるかなあ……
一歌:……あ、みんな見て。 ここ、船の見学ができるみたいだよ
一歌:ほら、写真ものってる。 なんかすごい豪華だな……
咲希:ホントだ! 船の中だけじゃなくて、 デッキからの眺めがすごくいいんだって!
園田:へえ、ちょっと見てみたいね
遥:うん、面白そう! いいんじゃないかな
咲希:じゃあ決定ってことで! ランチもこの近くがいいけど、おいしそうなとこあるかな~
一歌:うーん、どこがいいんだろ……
遥:(……この近くでランチか……)
遥:——あ、それじゃあここは? このカレー屋さん
一歌:カレー?
遥:うん。前にロケで食べたことあるんだ。 おしゃれだし、味もすごく美味しかったよ
咲希:ロケで!?
一歌:へぇ、気になるね。 ガイドブックにお店のこと書いてあるよ
園田:本当だ、なになに…… 『我が国でカレー発祥の地といわれる横浜にふさわしい、 食欲を刺激する香りと本格的な味が楽しめる』だって!
咲希:おお~、なんかおいしそう! はるかちゃんのオススメなら 外れないだろうし、ランチはここで食べたいな~!
遥:ふふ、みんなが大丈夫そうなら計画表に書いちゃうね。 そのあとはどうしようか?
井上:赤レンガセンターは? お土産とかも買えそうだし!
一歌:たしかに、ここならいろいろ売ってそうだね。 それなら——
遥:(こういうの、楽しいな。みんなでガイドブックを 覗き込んでるだけでワクワクするっていうか……)
遥:(だけど……横浜か。 人も多いだろうし、変装したほうがいいかも)
遥:(——みんなで、楽しめるといいな)
ステージのセカイ
愛莉:遠足の行動計画表? ……そっか、そういえばそんな時期だったわね~
愛莉:で、今年の1年生はどこに行くの?
遥:横浜だよ。最初は開港史料館で勉強して、 そのあとは班ごとに自由行動なんだ
遥:私の班は港を散策したり、船の見学をしたり、 あとはカレー屋さんに行こうって話したよ
雫:まあ、とっても楽しそうね! 海の風が気持ちよさそうだわ
みのり:雫ちゃん達は、1年生の時どこに行ったの?
雫:私達はフェニランだったわ
愛莉:ええ。わたしは仕事が入っちゃって行けなかったけど。 にしても横浜なんて、ずいぶんとおしゃれな場所になったわね~
ミク:フェニランも横浜も楽しそうだね♪ みのりちゃんも同じ学年だし、一緒に行くんだよね?
みのり:うん! わたしと遥ちゃんは、クラスが違うから 一緒に行動はできないんだけど……
みのり:わたし達の班は、中華街に行く予定なんだ!
遥:あそこも美味しそうなお店多いよね。何食べに行くの?
みのり:えっとね……まず肉まんが有名なお店でしょ! あと桃まんが有名なお店と、あと餃子が有名なお店と~
ミク:そ、そんなに食べるの!? わたしだったら、すぐお腹いっぱいになっちゃいそうだなぁ
みのり:大丈夫だよ! いろんなものが食べたいから、 みんなでわけて食べようねって話してるんだ~
ミク:そうだったんだ! それならいろんな種類が食べられるし、楽しそうだね!
ミク:どんなものがあるのか、わたしも気になるなぁ
みのり:あ、それなら、一緒にガイドブック見ようよ!
みのり:実は今日持ってきてるんだ~! じゃじゃ~ん!
愛莉:へえ、準備いいじゃない
みのり:えへへ、ミクちゃん達に見せてあげたくって!
ミク:わあ、嬉しいなぁ♪ 見せて見せて!
みのり:うん、一緒に見よう!
みのり:見て見て、ミクちゃん! ここの中華まん、パンダの形なんだよ!
ミク:あ、ホントだ! 『パンダまん』って言うんだね、名前までかわいい!
ミク:このカステラも、ふわふわしてておいしそう……! どんな味なんだろ?
みのり:あっ、じゃあお土産に買ってくるね! みんなで一緒に食べようよ!
ミク:わあ、ありがとうみのりちゃん! 横浜って、おいしそうなものがいっぱいあるんだね♪
ミク:遥ちゃんの言ってたカレー屋さんも気になるなぁ~
愛莉:ふふっ、ミクってば結構食いしんぼなのね
ミク:えっ? そ、そうかなぁ……。 だって、おいしそうだったんだもん
雫:ふふ、気持ちはわかるわ
遥:じゃあ私も、ミクに満足してもらえるくらい 美味しいお土産を買ってこないとね
ミク:は、遥ちゃんまで~! お土産は楽しみだけど……
みのり:あっ! もちろん愛莉ちゃんと雫ちゃんの分も買ってくるから、 ふたりも乞うご期待だよ!
愛莉:ありがと。 じゃあ期待しちゃおうかしら
雫:みのりちゃんも遥ちゃんも、いつも頑張ってる分、 遠足の日は思いっきり羽を伸ばしてきてね
ミク:そうだね! ふたりはいつも、 ライブもお仕事もずーっと全力でやってきたんだから——
ミク:せっかくだから、 遠足の日は高校生として、思いっきり楽しんできてね!
遥:高校生として、か……
遥:……うん、そうだね。 ありがとう、ミク

第 3 话:出発!美味しいカレーにご案内

遠足当日
横浜
一歌:開港史料館、本がたくさん並んでてすごかったね。 展示されてた資料も、写真つきでわかりやすかったし
遥:それに建物自体もすごく素敵だったよね。 ああいうの、レトロモダンって言うのかな?
一歌:なんだか、すごく雰囲気あったね。 咲希も『オシャレだ~!』ってはしゃいでたし……
咲希:え~!? そんなにはしゃいでないよ! 普通だって! って——
咲希:お~、見て見て! 海だよ海! カモメが遊んでる~!
遥:……ふふ、今もはしゃいでるみたいだね
遥:でも、開放的になる気持ちもわかるな。 潮の香りもすごく爽やかだし
クラスメイト:あ、ねえ桐谷さん。気になってたんだけど、 もしかして……そのメガネって、変装?
遥:ああうん、普段出かける時はしてないんだけど…… 今日はみんなと一緒だし、 ファンの人達に見つかったら迷惑かけちゃうかもしれないから
クラスメイト:……げ、芸能人っぽい~!
クラスメイト:……でも、わたしも好きな俳優さんが 写真とかSNSにあげられちゃったりしてるの見るし、 やっぱ芸能人って大変そうだね……
遥:まあ……大変なことも少しはあるけど、 どんな形でも応援してくれる気持ちは嬉しいよ
クラスメイト:わあ……桐谷さんって、やっぱりファン想いなんだね!
先生:はいそこ、私語はそのくらいにね
先生:それでは、ここからは自由行動になります。 班ごとに集まったら、各自出発してください
先生:解散前には点呼しますから、 17時には必ず、駅に集合してくださいね。 何かトラブルがあったら、すみやかに連絡するように
咲希:はーい!
先生:ふふ、いいお返事ね、天馬さん
先生:みんな、宮益坂女子学園のいち生徒という自覚を忘れずに、 楽しんできてくださいね
生徒達:『はい!』
咲希:よーし、みんな! アタシ達も出発しよう!
遥:予定だと、船の見学からだったよね
咲希:そうそう! デッキからの景色がいいって話だったけど、 船長室とかも楽しみだな~!
遥:そうだね。 せっかく見学できるんだから、じっくり見て回ろうか
船のデッキ
一歌:へえ、船のデッキってこんなに広いんだ
遥:ガイドブックに書いてあったとおり、本当に眺めがいいね。 海と街が一望できるし、晴れてるから結構遠くまで見えるな
咲希:あ、あんなところにタワーがある! 見晴らしよさそう! あそこからなら、向こうにある観覧車の方まで見えるかな?
咲希:昔はここでパーティーなんかもやってたみたいだし、 セレブな人達もこうやって楽しんでたのかな?
井上:そうかもね! こうやって潮風浴びながら、 気持ちいいな~!って思ってたんだろうな~
井上:——って、なんか風強くなって……うわわっ!
一歌:あ、井上さんっ!
遥:……大丈夫? 井上さん
井上:は、はわ……
遥:気をつけてね。 転んじゃうと危ないから
井上:……は、はい。助けてくれてありがとうございます……
一歌:えっ、なんで敬語なの?
園田:桐谷さんのアイドルオーラにやられちゃったんじゃない?
井上:し、仕方ないじゃん! あんなアイドルオーラ耐えられるわけないよ……!
遥:えっと……そんな風に言われると恥ずかしいな……
遥:とりあえず船内はひととおり見たし、ランチに行かない? そろそろお腹すいてきたなって
咲希:アタシもアタシも! 実はそろそろお腹が鳴っちゃいそうだったんだよね~
遥:ふふ、それじゃ早く行かないとね
カレー屋
咲希:お~、ここがはるかちゃんおすすめのカレー屋さん!?
一歌:なんか……テラス席も雰囲気あるね。 写真で見るよりオシャレに見えるな
遥:ふふ、素敵だよね。 ちょうどお店もすいてるし、今なら入れそうだよ
咲希:もうお腹ぺこぺこ! 早く入ろ!
園田:わ、内装もすごいオシャレだ!
一歌:メニューもいっぱいあるよ。 このランチプレートとか、ハンバーグ付きで美味しそう
咲希:はるかちゃんは、前にお仕事で来たんだよね? その時はどれ食べたの?
遥:私はチキンカレーのランチセットを食べたよ。 その時はライスにしたけど……今日はナンにしようかな
一歌:へえ、今回もチキンカレーにするの? ってことは、そんなに美味しかったんだね
咲希:うー、全部おいしそうで迷うなあ~! このグリーンカレーっていうのも気になるし……
遥:あ、それからいらしいから気をつけてね
咲希:え?
遥:ロケの時、共演してた芸人さんが食べて悶絶してたんだ。 結構からいって有名なメニューみたい
咲希:そうなんだ! あぶなかった~……って——
咲希:——あ、ああ~っ!
一歌:ど、どうしたの咲希!?
咲希:あ、あれ見て! あれ!
園田:あれって……
咲希:はるかちゃんのサインだ~!
遥:えっ?
井上:うわ、本当じゃん!
一歌:すごい……なんか、本当に芸能人なんだ……
遥:……そんな、まじまじ見ないでよ。 ASRUNにいた頃のだから、今とは違うんだし
遥:それより、早く注文しない? 食べる時間なくなっちゃうよ
咲希:はーい! じゃあ、アタシは——
咲希:ん~~~!!
咲希:本格的って説明あったけど……スパイシーでおいしいね! なんかちょっと熱くなってきたかも……!
一歌:あはは。チキンカレーはそんなからくなくて助かったな。 私はライスにしたけど、ナンも美味しそうだね
遥:うん、焼きたてで美味しいよ。 もちもちしてて、いくらでも食べられちゃいそう
咲希:はぁ~あ、おもしろいもの見て、おいしいもの食べて、 幸せだなあ。毎日遠足したいよ~
園田:さすがにそれは無理じゃない?
井上:まあ気持ちはわかるけど! ていうか来年は修学旅行があるから、それも楽しみだね
一歌:でも、修学旅行ってどこに行くんだろ。 北海道とか? それとも沖縄?
咲希:部活のセンパイは 京都に行くんだ~って話してたよ。ね!
井上:そう言ってたね。 でも沖縄行きたかったな~
遥:……まあ、私達の代でどうなるかはわからないと思う。 ひとつ上の代は、遠足もフェニランだったっていうし
咲希:あ、たしかに! じゃあ修学旅行がどこになるかは、まだお楽しみだね!
咲希:その時は、このメンバーで行けたらいいな~!
遥:このメンバーで……
井上:でも、クラス替えとかもあるし またみんな一緒になるとは限らなくない?
咲希:それはそうだけど……。 でも、運良くみんな一緒のクラスになれるかもじゃん!
園田:相当運良くてもムズいと思うけどね?
一歌:ふふ、そうだよね
一歌:桐谷さん、どうかした?
遥:——あ、ううん。 なんでもないよ
遥:ちょっと頼んだカレーがからかっただけ
遥:みんな食べ終わったね。 そろそろお店出よっか
咲希:うん!
赤レンガセンター前
咲希:わ、思ってたより大きい~! こんなに立派なレンガの建物なんだ!
遥:レトロっていうか、異国情緒あるよね。 外観だけじゃなくて、中のショップもおしゃれなんだっけ
園田:みたいだね。 たしか1号館と2号館があるって書いてあったけど、 えっと……大きいほうが1号館?
遥:ううん、小さいほうが1号館みたい。 まずはそっちから見に行かない?
一歌:……あ、そうだ。 お土産を買いに行きたいんだけど、いいかな
一歌:せっかくだし、時間があるうちに選んでおきたくて
井上:うん、いいと思う。 私も先に買っておきたいな!
咲希:オッケー、じゃあ最初はお土産屋さんだね! レッツゴ~♪

第 4 话:背中を押せるように

赤レンガセンター1号館 1階
遥:(よし、ミク達のお土産も買えたし……これで大丈夫)
遥:(みんなは……って、あれ?)
遥:——星乃さん。 なんか難しい顔してるけど、どうしたの?
一歌:あ、桐谷さん。 ……実は、お土産どれにしようかなって迷ってたんだ
一歌:よく歌を教えてくれる友達がいるんだけど、 何を贈ったら喜んでくれるのか迷っちゃって……
遥:そうだったんだ。 やっぱりその子も、バンドをやってる子なの?
一歌:あ、ううん。フェニランでショーキャストをやってる子だよ。 本当に、すごく綺麗な歌を歌うんだ
一歌:いつもお世話になってるし、 いいものを買えたらって思ってるんだけど……
ワンマン当日 夜
一歌の部屋
一歌:ふう……お風呂浸かってたら、やっと気分おちついたな
一歌:——私達、本当にワンマンやったんだ……。 なんだか、全然終わったって実感ないけど
一歌:ん、電話だ……
一歌:——草薙さんから? こんな時間にどうしたんだろ?
一歌:もしもし、草薙さん?
寧々:『あ……ごめんね、こんな夜遅くに』
一歌:ううん、大丈夫。 ちょうどお風呂あがって、麦茶飲もうとしてたところだから
寧々:『ふふっ、そうなんだ。 お腹冷やさないようにね』
寧々:『——えと、星乃さん。 初ワンマン、本当におめでとう。 ……歌、すごくよかった。本当に……』
寧々:『星乃さん達の伝えたい気持ちが、いっぱい伝わってきたよ。 だから……なんか、聴いてたら感動しちゃった』
一歌:よかった。 草薙さんにそう言ってもらえるなんて、嬉しいよ
一歌:それに……今日成功したのは、草薙さんのおかげでもあるんだ
寧々:『え……?』
一歌:草薙さんに、今までずっと歌を教えてもらってたでしょ? そのおかげで、成長できたし—— 今日のワンマンも頑張れたんだと思う
一歌:だから、本当にありがとう
寧々:『…………』
一歌:……草薙さん?
寧々:『う、ううん。なんでもない』
寧々:『……わたしも、星乃さんの歌を聴いて、 頑張りたいって思ったんだ』
一歌:え?
寧々:『今日、胸を張って歌う星乃さんはすごくかっこよくて……』
寧々:『……わたしの友達、こんなにすごいんだって…… そう思ったらちょっと、勇気がわいたっていうか』
寧々:『——もっと頑張らなきゃって思ったの。 星乃さんみたいに胸を張って、ステージに立てるように』
一歌:草薙さん……
寧々:『……って、急にごめん。変なこと言って』
一歌:ううん、変なんかじゃない。 ——一緒に、頑張ろうね
遥:そっか……。 星乃さんは、その人のために選んでるんだね
一歌:うん。何か少しでも背中を押せるようなものを あげられたらいいなって思うんだけど……
遥:背中を押せるもの、か……
遥:……あ、それなら、おそろいの物とかは?
一歌:おそろいのもの? っていうと、キーホルダーとか?
遥:うん。ほら、不安な時に『ひとりじゃない』って思えると、 少し勇気が出ることってあると思うんだ
遥:前に……ライブグッズのことで、そういう声を ファンからもらったことがあるから
一歌:ライブグッズで?
遥:うん。 『友達とおそろいのライブグッズを買ったら、友達と、 思い出をとおしてつながってる気がして、元気がでる』って
一歌:なるほど……、私もわかる気がする。 咲希も、同じようなこと言ってたから
一歌:それなら、おそろいでつけられるものを渡そう
一歌:何がいいかな……
一歌:(この青い小鳥……)
一歌:(前に草薙さんがおすすめしてくれたミュージカルで、 主人公が、こういう小物を大事にしてた気がする……)
遥:それ、いいね。 2羽並んでると、なんか可愛いし
一歌:うん……! この青い小鳥のキーホルダーにしようかな
一歌:——ありがとう、桐谷さん! おかげでいいものが選べたよ
遥:その友達、喜んでくれるといいね
???:——あ! 遥ちゃんだ!
遥:え?
遠足の小学生:あのめがねの人?
遠足の小学生:本当だ! 桐谷遥だ~!
一歌:……っ、どうしよう、このままじゃ人が集まってきちゃう……
一歌:桐谷さん、あっちに——
遥:——待って、星乃さん
一歌:え?
遠足の小学生:あ、遥ちゃんこっち来た! サインほしい~!
遠足の小学生:えー! でも書くもの持ってないもん! わたし握手がいい!
遥:みんな、よく私を見つけてくれたね。すごいな
遠足の小学生:いっぱつでわかったよ、かわいいから!
遥:ふふ、ありがとう。 そんな風に言ってくれるなんて嬉しいな
遥:でも——そんなみんなに、 お願いしたいことがあるんだけど、聞いてもらえる?
遠足の小学生:えっ、なになに?
遥:実は今、私……かくれんぼの途中なの
遥:見つかったら悲しいから、 私がここにいるってこと……内緒にしてくれる?
遠足の小学生:そうなんだ、わかった! ないしょにするね!
遠足の小学生:でも、そのかわり遥ちゃん握手して!
遥:ふふ、いいよ
遠足の小学生:おれもおれも! サインちょうだい!
小学校の先生:こ、こらっ、みんな——
遥:あ、大丈夫ですよ
遥:色紙とかペンはないからサインはできないけど、 かわりに順番に握手しよ? そのあいだ、静かに待てるかな?
遠足の小学生:うん!
一歌:桐谷さん……
遥:ごめんね、星乃さん。 そろそろ行かないと、天馬さん達が心配しちゃうよね
遥:そうだ、先に行ってもらってもいい? 私、みんなと話してから行くから
一歌:(……すごいな、桐谷さん。 こんな場所でもアイドルをしてるなんて……)
一歌:——わかった。 じゃあ、先に行って待ってるね
遥:ありがとう、星乃さん
遥:じゃあ、一番は誰かな?

第 5 话:今日は、高校生として

数十分後
赤レンガセンター1号館 1階
遥:じゃあみんな、またね。 私のことは秘密だよ?
遠足の小学生:うん、絶対ないしょにする! 気をつけてね遥ちゃん!
遥:……ふう、みんな喜んでくれてよかった
遥:(でも、結構時間かかっちゃったな。 星乃さん達待たせてるし、早くみんなのところに行かなくちゃ)
遥:(それに——班行動だったのに、 みんなと別行動になっちゃった。 悪いことしちゃったな)
遥:……とにかく、早く合流しよう
2階
ファッションショップ
遥:(星乃さん達、どこにいるんだろ?)
遥:(さっき来たメッセージだと、 このお店にいるって言ってたけど……)
???:——あ! いた! おーい!
遥:天馬さん、みんな! ごめんね、待たせちゃって——
遥:——って、何してるの?
咲希:ふっふっふ……
咲希:じゃじゃーん! はるかちゃんに バッチリ似合いそうな変装グッズ! みんなで選んでたんだ~!
遥:え……?
園田:どれが似合うかな?とか、これ芸能人っぽいねって さっきまでみんなで話したり、試着したりしてたんだよ!
一歌:芸能人っぽかったら変装の意味ないのにね
井上:あ、安心してね! そういうのは選んでないから!
遥:みんな……
咲希:これではるかちゃんも、ゆっくりいろんなところ回れるね!
遥:あ……
遥:……そうだね、気をつかわせちゃってごめん
咲希:あっ、違うの! そういうのじゃなくって……!
咲希:アタシね、今日ははるかちゃんと めいっぱい楽しみたいな~って思ってたんだ!
咲希:だってせっかく同じ班になれたんだもん!
遥:天馬さん……
一歌:咲希だけじゃないよ。私達もそう思ってるんだ
一歌:ファンのことをすごく大切に想ってる 桐谷さんの考えとは違うかもしれないし、 これはもう、私達のわがままとしか言いようがないんだけど
一歌:それでも、桐谷さんと一緒に、遠足を思いっきり楽しみたい
井上:そのためにどうしたらいいんだろうってみんなで考えて、結局、 変装グッズを選ぶことしか思いつかなかったんだけど……
遥:(みんな……)
ミク:せっかくだから、 遠足の日は高校生として、思いっきり楽しんできてね!
遥:(……そうだよね。私は元々、 普通の学生として、思いきり遊ぶつもりで来たんだ)
遥:(みんなとも、ずっとそのつもりで計画してきた。 それなのに……私、中途半端だったのかも)
遥:……ありがとう、みんな。嬉しいよ
遥:たしかに、ファンのことは大事だし、 応援してくれる気持ちにはできるだけ全力で向き合っていきたい
遥:……だけど私も、みんなと一緒に楽しみたいよ。 それは本当だから……
遥:——だから今日は、みんなの言葉に甘えて 思いっきり楽しませてもらうね!
咲希:……! うんっ! 一緒にいーっぱい楽しんじゃお!
遥:——それで、変装って言ってたけど、どんなの選んでくれたの?
咲希:まずねー、帽子でもいろいろ悩んだんだけど、 このキャスケット帽とかどう!? はるかちゃんにぴったりだって思ったんだ♪
遥:あ、いいね。シンプルなデザインで、 今日だけじゃなくて普段使いもできそうだし……
園田:うん、すごく似合ってるよ!
一歌:このサングラスはどうかな。 かっこいいって思うんだけど……
遥:それは、ちょっと……やめとこうかな。 派手すぎて、逆に目立っちゃうかも
一歌:えっ……
井上:ほら~! だから派手って言ったじゃん!
一歌:だって似合うと思ったから……!
咲希:いいものが買えてよかったよね!
園田:ね! 桐谷さんにぴったりって感じ!
一歌:帽子1つかぶるだけで、結構変わるものなんだね。 周りの人にも気づかれないんじゃないかな
遥:本当? よかった。 これで安心して回れるね
遥:じゃあ、このあとどうしよっか? もうちょっと見ていく?
咲希:アタシはお土産も買えたし、はるかちゃんの変装もできたし 満足かな~!
一歌:私も。計画よりちょっと早いけど、移動しちゃおっか
井上:オッケー!
お客さん:あ、ねえ、知ってる? なんか今日、桐谷遥ちゃんがここ来てるらしいよ
お客さん:え? 桐谷遥って……あの?
お客さん:うん! SNSで話題になってるんだよ! 何人か見たって人もいて、ガセネタじゃないと思う!
遥:(あ……私の話してる)
一歌:さっきの子達の声で、気づいた人がいたのかな?
遥:そうかも……。 でも、今はみんなが選んでくれた帽子もあるし、大丈夫だよ
咲希:あ、こっち来る!
お客さん:生で見ると顔ちっちゃくて、 めちゃくちゃ可愛いんだってさ! 見てみたいな~!
お客さん:もしかして、すぐ近くにいたりして!? 会えちゃったら、勇気だして写真お願いしようよ!
遥:…………
全員:『…………』
遥:……とおり過ぎていったね
一歌・咲希:『はぁ~~』
井上:バレちゃうかと思ってドキドキした~~~!
一歌:本当……なんかこっちまで緊張しちゃった
園田:ね! 手汗ヤバいんだけど……!
咲希:へへへ……。 変装作戦、大・成・功~♪
遥:……ふふ。 うん、大成功だね

第 6 话:手を引いて、水の上へ

赤レンガセンター 外
咲希:は~、楽しかった~!
遥:いろんなお店があって面白かったね
咲希:ね! 北欧雑貨のお店とか、見ててテンション上がっちゃった! ああいうのが部屋にあったら毎日ハッピーかも!
園田:私もああいうの憧れるな~。 あと、フレグランスショップもよくなかった?
井上:あ、わかる。 香りもそうだけど、商品の並べかたまでおしゃれだったし
咲希:うんうん! でも、どのお店も賑わってたね! 平日だからすいてると思ってたけど、甘く見てたなあ~
咲希:……ていうか、なんかさっきよりお客さん増えてない?
遥:あ、やっぱりそうだよね。 私も薄々思ってたけど……
咲希:みんながお昼ご飯食べ終わる時間帯っていうのはあるかもだけど、 もしかして……はるかちゃん探しに来たのかな?
一歌:その可能性はあるよね。 さっきすれ違った人達も『SNSで見た』って言ってたし
一歌:ほら、これ。 動画で『桐谷遥ちゃん、小学生に神対応!』だってさ。 いいねが4000もついてて、すごい拡散されちゃってる
咲希:ええっ!? よ、4000!? すっご~い! さすがはるかちゃんだね!!
井上:感心してる場合じゃないって、もー!
一歌:『赤レンガセンター』ってはっきり書いてあるから、 みんな探しに来ちゃってるんだね
遥:……やっぱり、早めに出てきて正解だったみたい
咲希:えへへ、もう違うとこ行っちゃうもんね! そしたらさすがに見つかんないだろうし
遥:じゃあ、次のところに——
遥:わっ……!?
咲希:うわわっ、びっくりした! 急にすっごい強い風——って
遥:あっ、帽子が——!
お客さん:あれ? 今の子って、もしかして……
遥:……っ!
遥:(……しまった。 一瞬だったけど、目が合っちゃったな……)
咲希:ど、どうしよう! このままじゃ……
井上:隠れる場所もないし……でも、桐谷さんが見つかっちゃう……!
咲希:あ、アタシ達で隠すとか!? でも絶対不自然だし~!
遥:わっ!? 星乃さん!?
一歌:桐谷さん、こっち!
遥:えっ?
一歌:あれ乗ろう! ギリギリ間に合うと思う!
遥:——あれって、水上バス!?
井上:星乃さん!?
園田:きゅ、急に桐谷さんの手つかんで行っちゃったけど……
咲希:も~、いっちゃんってば
咲希:……でも、よかったぁ。きっとはるかちゃんも大丈夫だね
井上:……咲希?
咲希:よーし、それじゃアタシも……
咲希:——あ! あそこ! あそこに、はるかちゃんが~~!
お客さん:え? どこ!?
咲希:あっちの公園に行ったみたいですよ~!
お客さん:マジで? ちょっと行ってみる?
咲希:……ふっふっふ! 大成功パート2!
井上:やるね~! お手柄じゃん、咲希!
咲希:えへへっ、それほどでもあります!
咲希:(……でも、はるかちゃんのこと好きな人達に、 ちょっと悪いことしちゃったかな)
咲希:(だけど、せっかくの遠足だもん。 はるかちゃんに楽しんでもらうためだし、仕方ないよね)
園田:——ていうか、これからどうする? ふたり追っかける?
井上:あの感じだと、水上バス乗ったよね?
咲希:だね! 先回りして、水上バスのゴールで待ってよっか!
水上バス
一歌:はぁ、はぁ……はぁ……
一歌:ごめんね、急に連れてきちゃって
遥:ううん、助かったよ あんまり人もいないし、ゆっくりできそう
遥:結構人目もあったから、あそこで見つかってたら 今度こそ遠足どころじゃなくなってただろうし
遥:それより、ごめんね。 私のせいで、星乃さんまで一緒にはぐれちゃって
一歌:ううん、全然大丈夫だよ。 ちょっと前に、咲希からメッセージが来てたし
遥:え?
一歌:ほら、グループメッセージに。 ——『水上バスのゴールで待ってるね!』だってさ
遥:……本当だ。気づかなかった……
一歌:咲希はああ見えてしっかりしてるし、 3人のことは心配いらないと思う
一歌:きっと、向こうは向こうで楽しんでるんじゃないかな?
一歌:……あ、ほら。 ちょうどみんなからメッセージ来たよ。写真付きで
咲希のメッセージ:『水上バスのゴールに移動中~! アタシ達も遊んでるから、ふたりも楽しんでね♪』
一歌:咲希達、あーんって食べさせあいっこしてる
遥:……そうだね。 みんな楽しそう
一歌:さっき桐谷さん、はぐれちゃったって言ってたけど、 少しくらい離れてもどうってことないよ
一歌:私達、これでもう会えないってわけじゃないんだし。 また合流してから、時間いっぱいまでみんなで遊ぼう
遥:星乃さん……
遥:——うん、そうだね。ありがとう
一歌:……って、あ!
一歌:咲希達、クレープ食べてる……! いいなぁ、美味しそう
遥:あ、本当だ。みんな笑顔で『美味しい~!』って 言ってるみたいだね
一歌:もう、ちょっとずるいなあ
遥:……じゃあ、私達もお返しする?
一歌:お返し?
遥:うん、食べ物じゃないけど……こっちは綺麗な海が見えるし。 写真撮って送っちゃおうよ
一歌:いいね、そうしようか
遥:それじゃ、ポーズはどうする?
一歌:えっ、ポーズ……ピースとか?
遥:それでもいいけど……せっかくだし、 もっと可愛いのに挑戦してみない?
一歌:可愛いの?
遥:うん。たとえば……指でハート作るとか、 そのハートをほっぺにくっつけるとか
一歌:そっか……。じゃあ、お菓子を食べるポーズは? 咲希達はクレープ食べてるし、私達も対抗して
遥:お菓子か……いいかもね。 でも、ポーズだけでお菓子を食べてるって伝わるかな?
一歌:それなんだけど……実は、ドーナツがあるんだ
一歌:ほら、みんなのおやつになるかなって、 さっきお土産屋さんで買ったやつなんだけど
遥:わ、美味しそう。でも、いいの?
一歌:クレープのお返しだし、ちょうどいいよ
遥:ふふっ、わかった。 じゃ、こっち寄って
遥:……星乃さん、もっとはむってやっちゃったら?
一歌:こ、こう?
遥:あ、可愛いね。——じゃあ、いくよ?
一歌:……ど、どうだった……?
遥:——うん、綺麗に撮れてるよ。 じゃあ、これ送っちゃうね
一歌:あ、う、うん。ありがとう。 ちょっと恥ずかしいけど……咲希達、どんな顔するかな
咲希のメッセージ:『なんで食べてるの!? それみんなのおやつって言ってなかった!?!?』
一歌:ふふっ、怒ってるスタンプもきた
遥:……お返し作戦は成功だね

第 7 话:何があっても、私達は

水上バス
遥:もうそろそろ到着しそうだね
一歌:うん。咲希達も、もう水上バスの乗り場で待ってるって
遥:あ、本当だ。メッセージが来てる
遥:……それにしても天馬さん、変なスタンプ使ってるね
一歌:ああ、この力士のスタンプ?
遥:うん。 この号泣する力士って、シリーズなの?
一歌:そうみたい。最近このシリーズがお気に入りらしくて、 よく使ってくるんだよね
一歌:でも毎日見てたらこっちまで愛着わいてきて、 私も同じの買っちゃったんだ
遥:へえ、星乃さんも同じの持ってるんだ
遥:ふふ、やっぱりふたりってすごく仲良しだよね
一歌:幼馴染みだし、同じバンドだからね
遥:そっか……たしかに、同じグループで活動してると、 自然と距離って縮まってるよね。 それが幼馴染みなら、なおさらだと思うし……
一歌:そうだね。でも私、咲希とは ずっと一緒にいたわけじゃなかったんだ
遥:あ……そっか……。 天馬さん、病気で休んでたんだもんね
一歌:……うん、ちょっと前まで遠くの病院で入院してたんだ
一歌:それで……離れて過ごしてた期間があって
一歌:その前までは、いつも一緒だったから少しそわそわしたな。 でも、咲希はすぐ戻ってくるから大丈夫って信じてた
一歌:そう信じてたけど、入院が思ってたより長引いたんだ
遥:……それは、寂しかっただろうね。 そのあいだ天馬さんと、連絡は取り合ってなかったの?
一歌:お見舞いに行ったり、メッセージを送ったりはしてたよ。 でも、会えるのもほんの少しの時間だったし
一歌:咲希のことを、遠くに感じるようになっちゃった時もあったな
一歌:咲希が退院した時、前と同じように話せなかったら どうしようって——
遥:星乃さん……
一歌:……でも、咲希と会ったら、そんな不安はなくなってた。 だって、昔のまま全然変わってなかったから
一歌:——そのあとは、今のとおりだよ
一歌:咲希が、私達と一緒にいたいってずっと思ってくれて、 そのために動いてくれたから、前よりもっと仲良くなれたし、 みんなでバンドを組むこともできたんだ
遥:……そう、だったんだね。 星乃さん達って、そんなことがあったんだ
遥:(……すごいな。天馬さんも星乃さんも、 会えなくなった友達と会うのって、結構勇気がいると思うけど)
遥:(もし、うまくいかなかったら、 そこで関係は終わっちゃうから……)
遥:(……私は、できるかな? 私も——)
一歌:あ、見て桐谷さん。 もう乗り場が近づいてるよ。そろそろ到着するみたい
遥:……え? あっ、本当だ。 全然気づかなかったな
一歌:私も。桐谷さんと話すのが楽しくって、 あっという間だったよ
遥:私も、星乃さん達のことを知れて嬉しかったよ。 話してくれてありがとう
遥:……自分から一緒にいたいって思って行動できるの、すごいね。 でもなんだか天馬さんらしいな
一歌:うん。本当に、咲希は強いんだ。 私よりずっと寂しかったはずなのに、会うといつも元気でさ
遥:今もそうだよね。 友達も多いし
一歌:昔から人懐っこいんだよね。 そういえば、桐谷さんのことも、 すぐに『はるかちゃん』って呼んでたっけ
遥:ふふっ、そういえばそうだね
???:……お~~~い
咲希:おーい! いっちゃ~~ん!
一歌:あ、噂をすれば……
遥:ふふ、手を振ってる。元気だね
咲希:おかえり~、ふたりとも!
一歌:ただいま、心配させてごめんね
咲希:あははっ、ちょっとびっくりしちゃったけど大丈夫! いっちゃんらしいな~って思ったし
一歌:さっき桐谷さん、はぐれちゃったって言ってたけど、 少しくらい離れてもどうってことないよ
一歌:私達、これでもう会えないってわけじゃないんだし。 また合流してから、時間いっぱいまでみんなで遊ぼう
遥:(もう会えないわけじゃない、か。そのとおりだな……)
遥:(それで、少し離れても……)
遥:(——どうってことないんだ)
咲希:合流できてホントよかった~! あのあと大丈夫だった?
遥:うん、問題なかったよ。 特に声かけられたりもなかったから
咲希:そっか、よかった!
遥:……みんな。本当に、今日はごめん。 いろいろと迷惑かけちゃって
園田:え? むしろ楽しかったから全然いいよ!
井上:ね! なんかドラマみたいでドキドキしちゃった!
咲希:そうそう! 迷惑なんてこれっぽっちも思ってないよ!
咲希:ふたりが水上バスでのんびりしてるあいだに、 アタシ達も甘いもの食べたり買い物したり、遊んできたからね♪
一歌:……ほらね、言ったでしょ。心配いらないって
遥:……本当だね
咲希:なにー、その感じ……。 ふたりとも、なんだかすっごく仲良くなってる~!
一歌:ふふ、なんでもない。 ていうか、それより時間!
一歌:駅前の集合時間まで、あと1時間くらいしかないよ
井上:えっ、本当だ! もうそんな経ってたんだ!?
遥:あと1時間って、やれることあんまりないよね……
咲希:じゃあこの辺をお散歩しようよ! ほらほらっ、海きれいだし青春っぽくない!?
一歌:もう咲希ってば……
一歌:でも、いいかもね
遥:うん、せっかくだし——時間まで、みんなで歩こっか

第 8 话:またいつか、みんなで

横浜
咲希:は~、風が気持ちいい~!
遥:本当だね。あ……そうだ
遥:帽子、失くしちゃってごめんね せっかくみんなが選んでくれたのに……
井上:全然気にしないで! 逆に、もう飛ばされない分安心かも?
咲希:あははっ、たしかに! もしまた見つかりそうになったら、 今度はアタシ達が体でガードするね!
園田:おっ、任せて! 桐谷さん細いし、4人いれば隠せるでしょ!
遥:そんなことないと思うけど…… でも、もしもの時は頼りにしようかな
一歌:途中はひやひやしたけど、 なんだかんだで今日1日、本当に楽しかったな
咲希:ね! でもでも、今日遊べなかった分、 またどこかで遊ぼうよ!
園田:え? どこかって?
咲希:——あ、ほら! カレー屋さんで話してたでしょ? 修学旅行って沖縄かな?北海道かな?って
遥:あ……
遥:(修学旅行か……)
遥:(その頃には、私は——)
咲希:——もう、先にアタシ達だけで行っちゃおうよ!
遥:……え? 先に、って……
一歌:そうだね。学校行事じゃないと行けないわけじゃないんだし、 私達だけで遊びに行ってもいいんじゃないかな
咲希:そうそう! だって修学旅行とか待てないし! こんなに楽しいなら、何回だって遊びたいもん♪
咲希:さっきのいっちゃんみたいに 船とか飛行機とか乗って、びゅーんって行っちゃおうよ!
咲希:ね、はるかちゃんどうかな!?
遥:……えっと、これから仕事も増えるかもしれなくて、 都合がつきづらくなると思うんだけど……
遥:それでも、いいかな……?
一歌:うん、大丈夫だよ。 私と咲希もバンドの関係で忙しくなりそうだし
井上:私達も部活あるから、お互いさま!
咲希:そうそう! 行ける時に予定合わせようよ!
遥:(みんな……)
遥:……うん。それなら、いつでも行けるね
遥:私も、遊びに行きたいな。 みんなとなら——どこに行っても楽しいだろうし
咲希:…………あ
一歌:……? どうしたの、咲希?
咲希:あとさ、ず~~っと言いたかったんだけど
咲希:ふたりが送ってきたあの写真なに!? あんなツーショット送ってくるなんて!
一歌:あ、あれは、お返しっていうか……。 だいたい咲希だって、私達抜きでクレープ食べちゃうし
咲希:いっちゃんだっておやつ食べちゃったでしょ! おあいこだよ!
咲希:——じゃなくて! はるかちゃんとツーショット撮るなんてずるい! アタシもはるかちゃんともっと仲良くなりたいのに~!
遥:えっと……私はもう天馬さんと仲良しなつもりなんだけどな
咲希:それ! はるかちゃん、それだよ!
遥:えっ?
咲希:アタシ、ずっと前から思ってたんだから! いつか名前で呼んでくれないかなぁって
遥:……そ、そんなことでいいの?
遥:ふふっ、わかった。 私もみんなと、今よりもっと仲良くなりたいし
遥:——これからもよろしくね、咲希
咲希:はっ……!
咲希:ま、まぶしい~~~~!!
一歌:もう、咲希ってば大げさだよ
一歌:でも、私も……名前で呼んでくれると嬉しいな
遥:もちろん。よろしくね、一歌
一歌:わっ……!
一歌:な、なんだかみのりの気持ちがわかった気がする……
咲希:ほらほら! 全然大げさじゃないでしょ!?
咲希:でも、すっごく仲良くなれた感じがして嬉しい! これからもよろしくね、はるかちゃん!
遥:うん、よろしく
遥:(学校行事に出られるのは最後かもって、 そう思って、最初は少し寂しかったはずなのに……)
遥:(そんなこと、すっかり忘れちゃうくらい楽しかった)
遥:(——今日は、最高の思い出になったな)
ステージのセカイ
レン:僕達の分までお土産買ってきてくれたなんて…… ありがとう、遥ちゃん!
遥:ううん、私こそこんな時間にごめんね。 なんだか……みんなと話したくなって、つい来ちゃったんだ
MEIKO:ふふ、そうだったのね。 どう? 楽しかった?
遥:うん。水上バスに乗ったんだけど、 船のデッキから見えた港の景色がすごく綺麗だったんだ
遥:お土産もすっごくいろいろあったんだよ。 でも、パッケージも可愛かったから、これにしようって思って
遥:みんな、食べてくれると嬉しいな
MEIKO:これって……あら、レンガの形をしたチョコね。 パッケージもすっごく可愛いわ!
リン:わー、おいしそう~! わたしも食べたいな
ルカ:焦らなくても大丈夫よ。 遥ちゃんは人数分買ってきてくれてるから♪
KAITO:ありがとう、遥ちゃん。 美味しくいただくよ
遥:あれ、ミクはいいの?
ミク:うん。お土産も楽しみだったけど、 今は、遥ちゃんの顔を見てるほうが楽しいから♪
遥:え、私の……?
ミク:ふふ、ここ来てからずっとニコニコしてるよ?
ミク:本当に遠足が楽しかったんだな~って、 わたしもなんだか嬉しくなっちゃった!
遥:……そうだね。 本当に楽しかったよ。横浜にいた時も、今だって
ミク:今も?
遥:うん。今日解散してから、 まだグループメッセージの更新がとまらなくて
ミク:そうなんだ! どんなことを話してるの?
遥:ふふ、私と友達が撮った写真がすごく可愛いから 今度みんなでまた撮ろうって話してるんだ
遥:ミク、よかったら写真見る?
ミク:いいの? じゃあお願い!
遥:うん。 これなんだけど——
ミク:わあ、すてきな写真だね! 海もきれいだし、遥ちゃん達のポーズもかわいい♪
ミク:遥ちゃん、すっごく楽しそうだね。 写真からも伝わってくるよ
遥:ふふ、そうだね。 すごく楽しかったよ
遥:それに——この日だけじゃなくて、 いつでも予定を合わせて遊ぼうって言ってくれたんだ
遥:仕事で忙しくなるかもって伝えたんだけど、 お互いさまだって
遥:それが……すごく嬉しかったんだ
ミク:そっか……。 本当に、すてきな友達なんだね!
遥:うん、本当に
遥:……私、短いあいだでも普通科にいって、本当によかった
遥:そうじゃなきゃ、こんな気持ちになれることも、 こんなにみんなと仲良くなる機会もなかったから
ミク:ねえねえ、もっとお友達との話を知りたいな。 今日のこと、詳しく聞いてもいい?
遥:……ちょっと長くなっちゃうと思うけど、いい?
ミク:うん! もちろんだよ!
遥:えっとね、今日は——
遥:(今日の思い出を、大事にしよう)
遥:(単位制に戻ったとしても……一歌や咲希と、みんなと、 これからも友達でいたいから——)
遥:(だから今は、この大切な気持ちをなくさずにいよう)